貝類処理システムおよび貝類の処理方法
【課題】貝類処理の連続運転システムを構成する場合における、処理効率の向上、CO2の排出抑制、処理状態ないしメンテナンスといった運転管理の労力低減、また長時間運転に耐えうるだけの耐久性を解決した貝類処理システム及びその処理方法を提供する。
【解決手段】原料貝類O1を水洗する脱塩洗浄装置1と、洗浄貝類O2を粗砕する粗砕装置3と、粗砕片O3を加熱乾燥させる加熱乾燥装置4と、平面視円形経路の炉室51内の移動床式の基盤52上を通過させて半焼成片を焼成する抵抗型電気炉5を具備して、連続処理によって酸化カルシウムO5を得る。
【解決手段】原料貝類O1を水洗する脱塩洗浄装置1と、洗浄貝類O2を粗砕する粗砕装置3と、粗砕片O3を加熱乾燥させる加熱乾燥装置4と、平面視円形経路の炉室51内の移動床式の基盤52上を通過させて半焼成片を焼成する抵抗型電気炉5を具備して、連続処理によって酸化カルシウムO5を得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海産の貝類或いは介類(貝や甲殻類等の甲羅を持つ動物)を対象とした回転移動床式の電気炉であって、対象物(貝類又は介類)を産業廃棄物としたときの最終処分炉であると共に、対象物の高温処理(焼成)によって酸化カルシウムを得る焼成炉を含んだ貝類処理システム、および貝類の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各地に残る貝塚にみられるように、人々が貝類を食する際には必ずその貝殻が廃棄物として捨てられてきた。この貝殻の処分については過去に多くの人々がその処分方法について悩んで来た経緯がある。このように廃棄物として行き場の無いものに対して近年有効な処分後の副産物の利用方法の研究が進んでいる。
【0003】
例えば従来、貝殻生石灰を製造する竪型石灰焼成炉として、竪型石灰焼成炉の原料投入管を炉内挿入部分のない構造とし、排鉱機部の回転シール部を二重構造として、吹き込み空気量の調節機構を備えた冷却用配管を設けたものが開示される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3076432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記竪型石灰焼成炉は貝殻の処理能力が25トン/日程度の小型の独楽型石灰焼成炉であり、固定床式であって連続処理することはできない。また炉内に配置した焼成帯を高温に保持して焼成するものであるため、7時間もの炉内滞留時間が必要となり、効率的に処理できるものではない。またこの種の焼成帯は通常、オイルやガスによる燃焼熱を熱源とするため、CO2の排出を伴い、処理量を増やした場合には将来的なCO2の削減目標などの社会的要求にこたえることが困難となる。
【0006】
すなわち日々多くの貝類を処理する為には連続運転システムを構成する必要があるが、この連続運転システムを構成する場合には、処理効率の向上という課題のほか、CO2の排出抑制という課題や、処理状態ないしメンテナンスといった運転管理の労力低減という課題、また長時間運転に耐えうるだけの耐久性といった課題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決すべく発明されたものであって、以下(1)〜(8)の手段を採用している。
【0008】
(1)本発明の貝類の処理方法は、海産の原料貝類O1を連続的に処理して酸化カルシウムO5を得る貝類の処理方法であって、少なくとも、
原料貝類O1を洗浄液Wで洗うことで付着塩類を除去して脱塩貝類O2を得る脱塩洗浄工程と、
脱塩貝類O2を粗砕して粗砕O3を得る粗砕工程と、
粗砕片O3を加熱乾燥させて半焼成片O4を得る予熱乾燥工程と、
電気炉の炉室51内に備えた移動床式の基盤52上で、半焼成片O4を所定の経路、好ましくは略円形経路又は略往復経路に沿って周方向に移動させながら焼成し、酸化カルシウムO5を得る電気焼成工程とを順に具備することを特徴とする。
【0009】
さらに上記電気焼成工程ののちは、得られた酸化カルシウムを天井付きの冷却貯留ホッパー6内に貯留しながら冷風を吹き付けて冷却する冷却貯留工程と、
冷却貯留工程を経て冷却された酸化カルシウムO5を必要量ずつ収容袋P内に収容して収容袋Pを密閉する袋詰め工程とを順に経ることが好ましい。
【0010】
(2)本発明の貝類処理システムは、前記(1)記載の貝類の処理方法を行う貝類の処理プラントであって、少なくとも、
原料貝類O1を洗浄液Wで洗うことで付着塩類を除去して脱塩貝類O2を得る脱塩洗浄装置1と、
脱塩貝類O2を粗砕して粗砕片O3を得る粗砕装置3と、
粗砕片O3を加熱乾燥させて半焼成片O4を得る加熱乾燥装置4と、
平面視略円形経路に沿って伸びる炉室51内に備えた移動床式の基盤52上で、半焼成片O4を所定の運搬経路に沿って運搬しながら焼成し、酸化カルシウムO5を得ると共にそれ以外の構成材を焼却する抵抗型電気炉5とを具備し、
各装置間に、対象物(原料貝類O1から脱塩貝類O2、粗砕装置O3、半焼成片O4を経て得られる酸化カルシウムO5)を貯留するホッパーと、隣接装置間で連続運搬動作する運搬手段と、ホッパーから運搬手段への供給を制御する供給制御装置とを備え、
各装置および運搬手段を連続運転しながら供給制御装置でホッパーから対象物量を制御しながら供給することで、貝類処理システム全体での連続処理を行うことを特徴とする。
【0011】
(3)また、加熱乾燥装置4と抵抗型電気炉5の間を密閉管で連結すると共に第一、第二の2つの貯留タンクを介在させたものとし、抵抗型電気炉5の先に冷却貯留ホッパー6を配置してその間を密閉管で連結したものが好ましい。このうち第一貯留タンクと第二貯留タンクは、それぞれの排出孔5hに第一、第二電磁弁を介設しており、両電磁弁のうち必ず一方が閉じた状態でしか他方が開かないように制御されている。これと共に抵抗型電気炉5を密閉炉とすることで、抵抗型電気炉5周りを完全密閉構成することができ、加熱焼却を極めて効率的に行えるものとなる。
上記構成における所定の運搬経路は「平面視略円形経路」であり、略円形経路上を周回して運搬焼成されることが好ましい。
【0012】
上記構成のうち、本発明における電気炉の「平面視略円形経路」とは、両側方及び天井によって形成された炉室51の移動床面を構成する基盤52の移動方向の経路が、平面視にて真円形、楕円形、長円形、あるいはこれらを一方向または二方向以上に偏平させた偏平の円形、或いはこれらいずれかの円形の始点と終点がずれるように渦状に1周または複数周回連ねた渦状経路をいう。
【0013】
渦状経路として例えば、大きさの異なる円形を複数個、同心状に内外に組み合わせ、各円形の一区間を分断して隣接する他の円形へ斜めに経路横断し、内外周の円形経路同士を順に連ねたものが挙げられる。この場合、分断部分以外の円形経路の曲率は一定であると共に、外周側から内周側へ経路進行したときの円形経路の径の大きさが、各分断・経路横断の部分を境にして段階的に小さくなる。このほか、曲率が一定の割合で連続大きくなるからなることを意味する。
【0014】
上記のように、少なくとも脱塩洗浄装置1と粗砕装置3と移動床式の電気炉という構成を連続処理可能に組み合わせることで、脱塩による余分な塩類の付着の除去、粗砕による貝類の大きさや形状の均一化を行っている。これにより、本炉である電気炉(実施例では抵抗型電気炉5)の加熱処理の際に、「はじけ現象」(加熱された貝殻やその中身が割れたり破裂して飛散する現象)が生じるのを防止し、連続的な長時間の処理を行うことができる。
【0015】
また特に加熱乾燥装置4を前処理装置として設け、前処理として抵抗型電気炉5の処理に先立って一次加熱することとしている。これにより連続運転において確実に貝類を処理することができる。
【0016】
上記に加えてさらに、酸化カルシウムO5を収集して収容袋内に密封する袋詰め装置7を設けることで、得られた酸化カルシウムO5を良好な状態で保管することができる。
【0017】
(4)前記いずれかの貝類処理システムにおいて、電気炉として長時間運転可能な抵抗型電気炉5を採用し、この抵抗型電気炉5の炉室51の平面視円形経路の円内または円外の下方に、炉室51から排出された酸化カルシウムO5を収集して貯留し、この貯留した状態で冷却する冷却貯留ホッパー6を具備し、この冷却貯留ホッパー6にて貯留した酸化カルシウムO5を常温にまで冷却することが好ましい。
【0018】
炉室51の下方の円形経路の内部又は外部のいずれかに冷却貯留ホッパー6を設けることで、抵抗型電気炉5での熱処理によって得られた酸化カルシウムO5を冷却するまでの装置群をコンパクトに構成することができる。なお後述の実施例では平面視内部中央位置に冷却貯留ホッパー6を設けて抵抗型電気炉5と共にコンパクトに構成しているが、配置によっては平面視円外の位置に設けてもよい。また抵抗型電気炉5が、耐熱炉材を主構成材とする耐火煉瓦からなる炉室51と、多数の基盤プレート520がコンベア連結されてなる移動床式の平面視円形経路の基盤52と、基盤52を動力牽引して、炉室51内を基盤52の平面視略円形経路に沿って移動させる牽引手段とを具備するものとしてもよい。
【0019】
(5)前記貝類処理システムにおいて、
抵抗型電気炉が、
耐熱炉材を主構成材として内部に電熱線が配された炉室と、
炉室の床部を構成し、平面視回転移動する移動床式の基盤と、
炉室内の基盤上に焼却前の半焼成片を投入する投入口と、
焼却後の酸化カルシウム及び構成材を基盤上から排出する排出孔5hと、
炉室内の上方又は側方から固定されて基盤上の半焼成片を排出孔5hまで導く誘導壁511とを具備し、
固定された誘導壁511の下で基盤が回転することで、投入口から基盤上に投入された半焼成片が、炉室内で焼成されながら誘導壁511によって所定の平面経路に沿って排出孔5hまで誘導進行されることが好ましい。
【0020】
(6)前記貝類処理システムにおいて、
投入口による基盤への投入部が、基盤の平面一端縁付近にあり、
排出孔5hを有する基盤からの排出孔5hが、基盤中央の回転軸付近にあり、
また誘導壁511によって形成される電気炉の所定の平面経路が、前記投入部から基盤上を周回しながら排出孔5hに向かう周回渦状の経路であることが好ましい。
【0021】
なお前記いずれかの貝類処理システムの抵抗型電気炉5において、炉室51及び基盤52が共に耐熱炉材を主構成材とする耐火煉瓦からなることが好ましい。
【0022】
(7)前記貝類処理システムにおいて、粗砕装置3は、表面に複数の突起部がそれぞれ固設された一対または複数対のローラー32を各対にて並行軸状に配置してなり、各ローラー32を回転駆動させながら、各対のローラー間32に脱塩貝類O2を通すことで、所定以下の大きさに粗砕すると共に、脱塩貝類に付着した水分を落とすことが好ましい。
【0023】
実施例(図2)では一対のローラー32を5cm以下の微小間隔をあけて水平軸状に並行配置し、各ローラー32間に挟んだ貝類を下へ落とす方向へローラー32をそれぞれ回転駆動させ、その間に洗浄貝類O2を所定量ずつ落下させている。ローラー32は一対に限らず複数対設けてもよい。ローラー32の表面には1cm〜3cmの高さの略円錐状の突起部がランダムに離散して、あるいは離間して所定パターンで並んで複数個設けられる。粗砕装置3は洗浄後の原料貝類を一対のローラー32間の突起部で保持しながら一対のローラー32の表面で挟んで押しつぶすことで貝類を所定の大きさ以下に砕く。
【0024】
(8)前記いずれかの貝類処理システムにおいては、電気炉によって得た酸化カルシウムO5を収集して収容袋内に密封する袋詰め装置7を備えてなり、この袋詰め装置7は、
収容袋Pの口部を一枚ずつ引き上げる引き上げ手段71と、
引き上げた収容袋Pの口部内で環状に広がることで、収容袋を開口した状態で吊下げ保持する開口保持手段72と、
開口保持手段で開口した収容袋P内に、酸化カルシウムO5を所定量ずつ供給する供給手段73と、
複数の開口保持手段72を、酸化カルシウムO5が袋内に供給され、つり下げられた収容袋Pと共に袋の収集位置まで運搬する運搬手段74と、
収容後の収容袋P1の口部の両外側に対向して収容袋を挟むように設けられた水平棒状加熱部を有するシーラー75とを具備することが好ましい。
そして、シーラー75は、酸化カルシウムO5収容後の収容袋Pの口部を袋内の開口保持手段72と共に外側の対向両面から挟み、つぶして閉口させ、開口保持手段72を抜き取ったのちに加熱して収容袋Pを密閉するものであることが好ましい。
【0025】
後述の実施例では、供給手段73として上部が拡径された縦型筒状の容体を採用している(図4)が、この構成に限らず種々の機構を採用することができる。
【0026】
(9)前記いずれかの貝類処理システムにおいて、脱塩洗浄装置1は、
上部の拡径した投入口から海水つきの原料貝類O1を収容し、下部の縮径した排出孔5hから排出する縦型筒状の原料ホッパー11と、
原料ホッパー11の下方にて下連通部101に連通し、この下連通部から斜め上方へ伸長する内部空間を有した筒状容体10と、
筒状容体の内部空間の伸長方向に沿って軸設された回転軸周りにらせん状に連続形成され、回転駆動によって貝類を軸方向に運搬するスクリュー羽根12と、
筒状容体内の下連通部よりも上方の天井部に配置されて内部に洗浄水を噴射する複数の噴射ノズル13を備えてなる。
そして筒状容体10は、下連通部よりも下方の底部に設けられ、筒状容体内の水を排出する排水口103と、筒状容体内の上方伸長先の底部に設けられ、容体内の貝類を外部へ排給する排給口104とを備える。
これらは、噴射ノズルから噴射される洗浄水量と排水口からの排水量の自動調整によって、内部空間内に洗浄水を一定水位で保持するものである。
そして、原料ホッパー11から供給された海水つきの貝類を筒状容体10内に貯留した洗浄水W内に浸漬させてスクリュー羽根12によって転回させながら伸長方向上方へ運搬し、この運搬した浸漬後の貝類を、洗浄水の水面上方にてスクリュー羽根12によって転回させながら噴射ノズル13によって洗浄したのちに、排給口104から外部へ排給することで貝類を脱塩することが好ましい。
【0027】
上記のものは、洗浄水量、排水量のいずれかまたは両方を調整して、容体の内部空間内に貯水された洗浄水の水位を一定の範囲内に保つ。なお後述の実施例(図2)では排水口103からの排水量の自動調整によって、噴射ノズル13から噴射された洗浄水量を所定範囲内に保つことで容体内に洗浄水Wを常に略一定水位となるよう貯留保持している。
【0028】
さらに上記貝類処理システムにおいて、スクリュー羽根12には、回転軸方向に隣り合う羽根板間をつなぐ連接板121が、回転軸周りに等間隔に複数枚固設されてなり、各連接板121は、回転軸方向に対して軸側面視及び軸断面視の両方で傾斜して、いわゆるねじれ角度で配置された平板であることが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明は上記手段を講じており、本炉である移動床式の電気炉と、その前処理である脱塩、乾燥、小砕片化のための各種装置とを、対象物の装置間及び装置内運搬を可能としてすべて備えることで、長時間の連続的な自動運転が可能となっている。これより、酸化カルシウムO5を連続生産することが可能である。
【0030】
また移動床式の抵抗型電気炉であるから、炉の運転にCO2の排出を伴わず、火力調整等の運転管理が不要となり、また長時間運転に耐えうるという耐久性の課題に対応したものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施例1の本貝類処理システムの全体構成を示した側面視説明図。
【図2】図1に示す実施例1の本貝類処理システムの平面視説明図
【図3】実施例1の貝類処理システムにおける抵抗型電気炉5及び冷却貯留ホッパー6を示した斜視一部破断説明図。
【図4】実施例1の貝類処理システムにおける抵抗型電気炉5を示した側面視軸断面説明図。
【図5】図4の平面視A−A線断面図。
【図6】図4の平面視B−B線断面図。
【図7】実施例2の貝類処理システムにおける抵抗型電気炉5及び冷却貯留ホッパー6を示した斜視一部破断説明図。
【図8】実施例2の貝類処理システムにおける抵抗型電気炉5を示した側面視軸断面説明図。
【図9】図8の平面視C−C線断面図。
【図10】本発明の実施例3の本貝類処理システムの全体構成を示した側面視説明図。
【図11】実施例3の貝類処理システムにおける脱塩洗浄装置1、脱塩物貯留ホッパー2及び粗砕装置3までの構成を示した側面視説明図。
【図12】実施例3の貝類処理システムにおける加熱乾燥装置4、抵抗型電気炉5、冷却貯留ホッパー6、及び袋詰め装置7までの構成を示した側面視説明図。
【図13】実施例3の貝類処理システムにおける抵抗型電気炉5及び冷却貯留ホッパー6を示した斜視説明図。
【図14】実施例4の貝類処理システムにおける抵抗型電気炉5及び冷却貯留ホッパー6を示した斜視説明図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本貝類処理システムの実施形態を、実施例として示す各図と共に説明する。
【0033】
実施例の貝類処理システムは、海産の貝類又は介類を連続的に処理して酸化カルシウムO5を生産する貝類処理システムであって、基本的に下記構成からなる(図1)。
・貝類に付着する塩類を水洗によって除去して脱塩貝類を得る脱塩洗浄装置1
・脱塩貝類を貯留する脱塩物貯留ホッパー2
・脱塩貝類を粗砕して粗砕片を得る粗砕装置3
・粗砕片を500℃〜600℃で加熱乾燥させて半焼成片を得る加熱乾燥装置4(前処理装置)
・半焼成片を平面視円形経路であって内部温度1,000℃〜1,600℃の炉室内の移動床式の基盤上を通過させて焼成し、酸化カルシウムO5を得ると共にそれ以外の構成材を焼却する抵抗型電気炉5(本炉)
・酸化カルシウムO5を貯留しながら冷却する冷却貯留ホッパー6
・酸化カルシウムO5を収集して収容袋内に密封する袋詰め装置7
(本貝類処理システムの実施例の主なポイント)
本貝類処理システムは、貝類或いは介類を原料とした原料処分システム兼、酸化カルシウムO5を得るシステムであり、貝類の最終処分方法として、抵抗型の電気加熱炉による1000℃以上の連続的な熱処理(焼成)を行い、酸化カルシウムO5に変化させることがポイントとなっている。貝類は1000℃以上の高温で焼く事により物性が酸化カルシウムO5に変化する。
【0034】
最終的に得た酸化カルシウムO5はそのまま利用することも出来、何かを添加する事により又その物性を変化させ原材料として利用することや、自然に戻すなり副産物として再利用することができる。
【0035】
また、抵抗型電気炉5による連続熱処理を効率的に行うための脱塩洗浄装置1、粗砕装置3、加熱乾燥装置4を順に前処理装置群としてひとつのプラント内に備え、これら装置による脱塩工程、粗砕工程、前処理用の予熱乾燥工程を順に行ってから本炉である抵抗型電気炉5による熱処理を行うことがポイントのひとつとなっている。
【0036】
さらに袋詰め装置7を一プラント内にすべて備え、これらを順に運搬コンベアCでつなぐことで温度・含水率制御を行いながら一連の生産システムを形成したことが新規なポイントとなっている。
【0037】
特に本炉として、複雑な設備が必要とならない抵抗型電気炉5を用いており、炉内では対象物が円形経路の可動床(基盤)上を移動することで、長時間の連続運転を容易に行うことができる点、酸化カルシウムO5を連続的に得ることができる点で新規となっている。
【0038】
(脱塩洗浄装置1)
脱塩洗浄装置1は、表面または内部の塩類を水洗いによって除去する(脱塩する)装置であり、本装置によって脱塩洗浄工程を行う。本装置は具体的には図2に示すように、
上部の拡径した投入口から海水つきの貝類(原料貝類O1)を収容して下部の縮径した排出孔5hから排出する縦型筒状の原料ホッパー11と、
原料ホッパー11の下方にて下連通部101に連通し、この下連通部から円筒状の内部空間を有して斜め上方へ伸長する筒状容体10と、
筒状容体10内に軸設された駆動軸12S周りにらせん状に連続形成され、駆動軸12Sの回転駆動によって貝類を軸方向に沿って斜め上方へ運搬するスクリュー羽根12と、
筒状容体内の下連通部よりも上方の天井部に配置されて内部に洗浄水を噴射する複数の噴射ノズル13を備える。
【0039】
筒状容体10は、原料ホッパー11の下方にて下連通部101に連通し、この下連通部から円筒状の内部空間を有して斜め上方へ伸長する。伸長方向の両端付近にはそれぞれ閉塞壁102が形成され、両端の閉塞壁102間によって、内部に洗浄水及び原料貝類O1を保持しうる円筒状の内部空間が形成される。なお閉塞壁102は中央に駆動軸12Sが貫通する貫通孔が形成され、貫通孔には駆動軸12Sを回転自在に支持するためのベアリング構造が設けられている。
【0040】
また筒状容体10は、下連通部101よりも下方の底部に設けられ、筒状容体10内の水を排出する排水口103と、筒状容体10内の上方伸長先の底部に設けられ、容体内の貝類を外部へ排給する排給口104とを備える。
【0041】
中でも下側の閉塞壁102で仕切られた内部空間よりも下方先側に底部が設けられており、下側の閉塞壁102と底部との間に、洗浄後の水を排水するための円筒状の排水室が形成される。排水口103は、この排水室の側部に設けられると共に、排水量を自動調整するための排水バルブが介設されている。排水室には下側の閉塞壁102の貫通孔から洗浄水が流入し、この室内で原料貝類O1を除く洗浄水を一端貯水してから排水する。この排水室への貯水および排水口103からの排水量の自動調整によって、噴射ノズル13から噴射された洗浄水量を所定範囲内に保つことで容体内に洗浄水Wを一定水位で貯留保持している。
【0042】
駆動軸12Sは、筒状容体10内であって円筒状の内部空間の断面視中央位置にて、モーター105によって両方向に回転駆動可能に軸設される。
【0043】
(スクリュー羽根12)
スクリュー羽根12は、駆動軸12S周りにらせん状に連なって形成された羽根板からなる。この羽根板は、軸端部から見て同一の円形に重なり、軸方向に略等間隔に離間して連なると共に、一定曲率のねじれ変形によって一体的に形成される。
【0044】
(連接板121)
スクリュー羽根12には、回転軸方向に隣り合う羽根板間をつなぐ連接板121が、回転軸周りに等間隔に複数枚、略放射状に固設される。各連接板121は、回転軸12Sの伸張方向に対して軸側面視及び軸断面視の両方で傾斜した、いわゆるねじれ角度で配置された平板である。連接板121によって貝類の転回を促し、洗浄水が裏側にまで行き渡るようにしている。スクリュー羽根12は駆動軸12Sの回転駆動によって原料貝類O1を転回させながら軸方向に沿って斜め上方へ運搬するが、このとき連接板121によって原料貝類O1をより多く転回させ、より確実に上方運搬するものとしている。
【0045】
そして、原料ホッパー11から供給された海水つきの原料貝類O1を筒状容体10内は、噴射ノズル13によって常時注水されるとともに必要に応じて排水バルブを有した排水口103によって適宜排水され、これによって内部空間に洗浄水Wが常に一定範囲量となっている。この洗浄水Wは原料貝類O1を一定時間浸漬させる。
【0046】
噴射ノズル13は、洗浄水Wに浸漬され、伸長方向上方へ運搬されてきた原料貝類O1に、洗浄水の水面上方にて洗浄水Wを噴射するものである。スクリュー羽根12によって転回させた状態のまま洗浄することで、より効率的な脱塩洗浄を行うものとなっている。
【0047】
(第一コンベアC1)
第一コンベアC1は、脱塩洗浄装置1と脱塩物貯留ホッパー2の間に設けられ、洗浄貝類O2を上方位置まで運搬する。具体的には図2に示すように、配給口104の下方に設置され、そこから緩やかな勾配で上方に傾斜する第一コンベアCaと、急勾配で上方に傾斜すると共に運搬物の落下防止用爪が等間隔に設けられた第二コンベアCbと、原料ホッパー6内に投入する略水平の第三コンベアCcとから構成され、これら第一コンベアCa、第二コンベアCb、第三コンベアCcの順に、脱塩洗浄後の洗浄貝類O2を連続して上方の脱塩物貯留ホッパー2まで運搬する。またこれらの上方運搬によって脱塩貝類O2の水分を落下させる。
【0048】
(脱塩物貯留ホッパー2)
脱塩物貯留ホッパー2は、脱塩装置で脱塩した脱塩貝類O2を貯留して、これ以降の処理量を調整するものである。脱塩貝類O2は、円筒状の取り込み口21から本体内に取り込まれ、内部に貯留される。すり鉢状の本体下部のすり鉢状の底に設けられた排出ノズル23から、排出バルブ22を介して所定量ずつ排出される。
【0049】
(粗砕装置3)
粗砕装置3は、脱塩貝類O2を一定以内の大きさに粗砕して、所定以下の大きさであって大きな突起部のない安定した形状の粗砕片O3を得るものであり、本装置によって粗砕工程を行う。所定以下の最大長の粗砕片O3とすることにより、本炉である抵抗型電気炉5における熱効率を高め、連続処理を行うことができる。粗砕片O3は例えば、最大長2cmm前後、大きくとも最大長4〜5cmの粗粒状に揃えられて本装置から排出される。これにより、加熱乾燥装置4や抵抗型電気炉5での移動床運搬中に、炉内で破裂、崩落、或いは倒落したり、これらによって基盤プレートの隙間に挟まったりするのを防ぐことができる。また粗砕装置3内を通って砕かれる際に、水洗脱塩後の貝類の大半の水分を落とすものとなっている。
【0050】
具体的には図2に示すように、水平軸の横置き円柱からなる一対または複数対のローラー32を、各対にて並行軸となるように設置し、1つのモーター33によってそれぞれ逆方向に回転駆動させて使用する。下方に縮径した錐体状の投入枠31から、駆動中の一対のローラー32間に脱塩貝類O2を投入して挟み、ローラー32間の下部から粗砕片O3を排出する。各ローラー32の柱状表面にはそれぞれ、放射方向を頂部とする錘状の突起が前面に亘ってランダムに固設されており、両側からこの突起で挟みこむことによって、貝類は確実に一定以下の大きさにまで粗砕される。
【0051】
(加熱乾燥装置4)
加熱乾燥装置4は、前処理として粗砕片を加熱乾燥させて半焼成片を得る前処理用装置である。
【0052】
(第二コンベアC2、第三コンベアC3)
第二コンベアC2は粗砕装置3と加熱乾燥装置4の間に設けられ、粗砕片O3を水平運搬する。第三コンベアC3は加熱乾燥装置4と抵抗型電気炉5の間に設けられ、半焼成片を水平運搬する(いずれも図1、図10)。また加熱乾燥装置4の炉内では、粗砕片O3を耐熱性の移動床によって運搬する。本システムではこれらの運搬経路を平面視直線状としており、実施例では、第二コンベアC2、第三コンベアC3を直線状に連なる同一のコンベアベルトによって形成している。
【0053】
(実施例1の第二コンベアC2、第三コンベアC3)
このうち実施例1及び2では第二コンベアC2と第三コンベアC3が同一のコンベアベルトで構成されるとともに、この同一のコンベアベルトが第一列コンベアC21、第二列コンベアC22の互いに並行運搬する二本のコンベアベルトからなるものとしている。第一列コンベアC21、第二列コンベアC22は、それぞれが第一列乾燥装置41、第二列乾燥装置42内を通過して予熱乾燥工程を並行して行った後、並行する第一列、第二列コンベアC21,C22の両列幅大の一つの併合ホッパー43によって系列併合してから単独の抵抗型電気炉5によって連続的に電気焼成工程を行うものとしている(図1,2)。
【0054】
(実施例1の加熱乾燥装置4)
特に実施例1の加熱乾燥装置4は第一列乾燥装置41、第二列乾燥装置42が同一方向を向いて並列隣接形成されたトンネル型の横型連続炉であり、隣接部では共通の発熱体を使用するものである(図1,2)。
【0055】
(実施例3の第二コンベアC2、第三コンベアC3、加熱乾燥装置4)
実施例3の第二コンベアC2、第三コンベアC3は一系統のみの単独の同一コンベアのみで構成され、横型の連続炉である加熱乾燥装置4を通過することで予熱乾燥工程が行われて半焼成片O4が得られる。半焼成片O4はその後、収集ホッパー500によって収集された後、投入管50内によって抵抗型電気炉5内に投入される(図13)。
【0056】
(第一貯留タンク、第二貯留タンク)
実施例1では、加熱乾燥装置4と抵抗型電気炉5の間を密閉管で連結すると共に第一貯留タンク44、第二貯留タンク45の2つの貯留タンクを介在させたものとしている。第一貯留タンク44と第二貯留タンク45は、それぞれの排出孔5hに第一、第二電磁弁を介設しており、両電磁弁のうち必ず一方が閉じた状態でしか他方が開かないように制御されている。これと共に抵抗型電気炉5を密閉炉とすることで、抵抗型電気炉5周りを完全密閉構成することができ、加熱焼却を極めて効率的に行えるものとなる。具体的には、第一電磁弁が開くときにはその直前に第二電磁弁が閉動作を行い、上部解放された第一電磁弁を通って第一貯留タンク内に半焼成O4が送り込まれる。次に第二電磁弁が開くときにはその前に第一電磁弁が閉動作を行い、第一貯留タンク44上部から下方の炉室までを密閉状態としたまま半焼成片O4が送り込まれる。
【0057】
上記構成における所定の運搬経路は「平面視略円形経路」であり、略円形経路上を周回して運搬焼成されることが好ましい。
【0058】
(抵抗型電気炉5)
しかして、本システムにおける本炉である抵抗型電気炉5は、焼却炉よりも処理温度が高く、溶融炉よりも処理温度が低い。これらの炉の中間に位置づけられる抵抗型電気炉5である。本装置は電気焼成工程を行う。
【0059】
抵抗型電気炉5の動作はオイルを使った燃焼でなく、電気炉を採用することによりCO2の削減に貢献出来る焼成炉となっている。炉はその目的によって多くのタイプと呼び名があり、一般的に言われるのは焼却炉、燃焼炉、高炉、溶解炉、溶融炉である。またエネルギー源は石油、ガス、電気、(原子力、風力、波力、火力、水力、太陽、)等に大別される。本処理システムの本炉として基本的に電気炉を採用しており、長時間にわたって自動運転することができる。
【0060】
電気炉そのものは電気ヒーターと耐熱炉材とを組み合わせた極めてシンプルな炉であって、複雑な装置が少なく部品点数が少ないのが特徴である。よって運転管理上メンテナンス等の維持管理が容易であり、作業の安全性や品質管理、行程、時間、人件費等、どの面から見ても経費削減に繋がる。また熱源を電気に求めているため、将来的なCO2 の削減目標など社会コストやオイルやガスを使用する焼却炉の維持費や産廃費用も含めたコストと比べればコスト削減に繋がる。日々多くの貝類を処理する為には処理能力からどうしても連続炉にする必要があり、又システムとして自動運転可能な炉であり可動式、運転温度能力は1000℃〜1600℃とし長時間運転に耐えうる構造が求められる為、機能として満たされたものである。
【0061】
(抵抗型電気炉5の形態分類)
抵抗型電気炉5の形態として、立方体形状の炉内に試料を出し入れする箱型炉、縦置きまたは横置きにされた筒型の管状炉、上部蓋を開口させて試料を投入するルツボ炉、チェーンコンベアやプッシャーからなる搬送路上に試料を載せてトンネル型炉の中をくぐらせて入り口から出口までに温度条件をつける水平移動床式連続炉、炉床が炉内で試料を載せられた後に昇降するエレベーター炉、炉体内で試料を回転により攪拌させながら焼成を行うロータリーキルン炉、試料を載せた台車を移動させながら台車ごと焼成する台車炉が挙げられる。
【0062】
〔抵抗型電気炉5の形態1(実施例1)〕
上記多数の形態を採用できるが実施例1においては、抵抗型電気炉5が、耐熱炉材を主構成材として内部に電熱線HWが配された炉室51と、炉室の床部を構成し、平面視回転移動する移動床式の基盤52と、炉室内の基盤上に焼却前の半焼成片を投入する投入口501と、焼却後の酸化カルシウム及び構成材を基盤上から排出する排出孔5hと、炉室内の上方又は側方から連続的または断続的に配置固定されて基盤上の半焼成片を排出孔5hまで導く誘導壁511とを具備するものとしている(図3〜図6)。特に実施例1では一枚の誘導壁が緩湾曲しながら、室内壁512に接する外周部から排出孔5hの半縁を覆うまでの一連の誘導経路に沿って立設配置される。
【0063】
そして、固定された誘導壁511の下で基盤が回転することで、投入口から基盤上に投入された半焼成片O4を、炉室内で焼成されながら誘導壁511によって周回渦状の平面経路に沿って排出孔5hまで誘導進行させ、排出孔5hから落下排出させる。ここで周回渦状の経路とは、投入部から基盤上を周回しながら平面視中心側から外側、または平面視外側から中心側に徐々にずれていく連続経路のことをいい、緩曲線経路のみによる略円形渦のほか、複数の直線部が所定長さごとに湾曲して多角形状につらなる略多角形渦を含む。渦状の経路とすることで、回転板521の回転を利用して半焼成片O4を効率的に加熱しながら炉内移動させることができる。
【0064】
なお誘導壁511によって形成される抵抗型電気炉の経路は上記周回渦状の経路のほか、往復並行線経路、矩形経路、上下に亘る平面視一方向往復経路等が挙げられ、これらいずれかの経路を採用してもよい。
【0065】
投入管50は炉室51の室天井51Cを鉛直下方に貫通し、下端が斜めに切断された投入口501となっている。この投入口501は、投入された半焼成片O4が進行方向である周回方向を向くように斜めに切断形成されており、投入口501の位置は、基盤52上の平面一端縁たる平面視円形形状の外周付近に配置される。また基盤に形成される排出孔5hは、基盤中央の回転軸付近である平面視円形形状中心に円形孔として配置される。
【0066】
炉室51の室天井51Cには電熱線HWが半焼成片O4の平面経路に沿って室内露出して配置される(図4,5)。この配置に代えて或いは加えて、誘導壁511或いは室内壁512の表面または内部に配置してもよい。これらのいずれかを組み合わせて複数の電熱線HWを配置してもよい。
【0067】
炉室51内には一枚または複数枚の誘導壁511が吊り下げ固定され、炉室51が固定されたまま基盤のみが室内回転することで、基盤52の回転板521上に載置された半焼成片O4は、投入部から排出孔5hに向かって周回渦状の経路を通って排出孔5hに誘導される。
【0068】
基盤51は回転板521と、回転板の周囲から上方に張り出した上外枠522と、同じく回転板の周囲から下方に張り出してその外側へ断面視U字型に屈曲形成された下外枠523とが回転駆動可能に一体的に構成される。下外枠523内にはサンドシール砂5sが充填され、この中に炉室の下外枠が突入してサンドシール構造を形成する(図3,4,6)。サンドシール構造によって、炉内を密閉型に構成し、ダイオキシン等の有害ガスや臭気の発生を防ぎ、燃焼効率が高いものとなる。
【0069】
また回転板521の下面側には内外2重の円形脚524L,525Lが下方に突出形成される(図3,4,6)。円形脚524L,525Lの下部にはこれらの円形形状に沿って等間隔に駆動ローラー524および支持ローラー525が回転可能に配置される。これら駆動ローラー524および支持ローラー525は、ラックピニオン構造及び平滑面の圧接構造によって円形脚524L,525Lを支えながら回転板521を平面回転駆動させる。
【0070】
〔抵抗型電気炉5の形態2(実施例2)〕
上記実施例1の抵抗型電気炉5に代えて、実施例2(図7〜図9)においては、外誘導壁511aと内誘導壁511bとからなる2片の屈曲板状の誘導壁511が、共に炉室51の円筒枠510の上面から吊り下げ固定される。これも実施例1と同様、基盤52が回転することで固定配置された誘導壁511に押されて路盤52上の半焼成片O4が排出孔5hまで周回渦状経路に沿って誘導される(図9)。基盤52は円形平面を有する回転板521の周囲に沿って上外枠522が円形筒状に立設し、上外枠522と平面視同一形状に下外枠523が下方に伸び、そこから外側へ断面視U字状の枠を形成している。この下外枠523内にサンドシール砂5sが充填されると共に炉室51の下外枠513が突入してサンドシール構造が形成される。
【0071】
〔抵抗型電気炉5の形態3(実施例3)〕
実施例3(図10〜図13)においては、抵抗型電気炉5として、中央に排出孔5hが形成された円環状の回転移動床式炉を採用している。具体的には平面視円形経路状の基盤52の両側壁部と天井部を覆って炉室51が形成され、この炉室51内で半焼成片O4が円形経路に沿って移動する仕組みとなっている(図13)。貝類の焼成炉として平面視真円形状の移動床式の炉体であり、連続運転可能な抵抗型の電気炉として構成することで、均等に加熱処理を行うとともに連続的な処理を可能としている。
【0072】
(抵抗型電気炉5の具体的構成)
実施例3の抵抗型電気炉5は図13に示すように、半焼成片O4を投入する投入管50と、投入管50に一端付近の天井部で連結され、所定の平面経路状に形成された炉室51と、多数の基盤プレート520がコンベア状に連結されて前記所定の平面経路状に形成された基盤52と、対象物を載置した基盤52を動力牽引して炉室内を所定の経路状に水平移動させる牽引手段とを具備する。炉室51及び基盤52は共に、耐熱炉材を主構成材とする耐火煉瓦からなる。抵抗型電気炉5の下方の排出先には冷却貯留ホッパー6を配置しており、その間を密閉管でパイプ連結している。
【0073】
(炉室51)
炉室51は基盤52の両側面及び天井面の周囲三面を覆う。基端側の天井に設けられた上部接続口501から排出板54の手前部分の排出孔5hまで、基盤52に沿って平面視円形状に伸びる。炉室51は排出板54の部分のみ区切られた部分円形状となっており、先端が排出孔5hとなっている。
【0074】
排出板54は水平に配置された円柱状の軸体周りに等間隔に複数枚が放射固定される。軸体は間欠時間ごとに回転することで、焼成後の酸化カルシウムO5を平面視円形経路よりも平面視内側の排出孔5h内に払い落とす。
【0075】
(牽引手段)
牽引手段は、半焼成片の入口部である上部接続口501付近から出口部である排出孔5hまで、基盤52上の半焼成片を、時間をかけて円形経路に沿って移動(周回移動)させる。平面視円形経路状に移動させ、経路方向の変化に伴って配置角度を変えながら焼成させることで、対象物の周囲を均等に加熱して酸化カルシウムO5を確実に得る。
【0076】
〔抵抗型電気炉5の形態4(実施例4)〕
上記実施例3の抵抗型電気炉5に代えて、実施例4(図14)においては、中央に排出孔5hが形成された略長円の環状回転移動床式炉を採用している。具体的には平面視円形経路状の基盤52の両側壁部と天井部を覆って炉室51が形成され、この炉室51内で半焼成片O4が円形経路に沿って移動し、レーキ状のスクレーパー54が水平移動することで終位置の半焼成片O4を排出孔5h内に押し出して排出する仕組みとなっている(図14)。貝類の焼成炉として平面視略長円形状あるいは往復経路状の移動床式の炉体となっており、連続運転可能な抵抗型の電気炉としてコンパクトに構成され、長時間の加熱処理を効率的に行うとともに炉内経路を部分的に分けた段階的な加熱処理を可能としている。
【0077】
(炉内温度の変更と速度調整)
抵抗型電気炉5は、電圧変位によって炉内温度を1000℃〜1500℃の間で調節する温度調節手段と、牽引手段の牽引速度を調節する牽引速度調節手段とを具備している。これら2手段を適宜組み合わせて使用する。温度調節手段による炉内温度の変更と、牽引速度調節手段による速度の変更とを組み合わせると、抵抗型電気炉5の処理能力に幅を持たせることができる。
炉室51から排出された酸化カルシウムO5は抵抗型電気炉5の平面視円形経路の炉室51の円形中央位置下方に設けられた、すり鉢状の収集器54によって収集される。収集器54は最下部が開口され、下方の冷却貯留ホッパー6にパイプ連結される。
【0078】
(冷却貯留ホッパー6)
冷却貯留ホッパー6は、収集器53から連結パイプC5によってパイプ連結される。と共に天井を有して略密閉された粉貯留装置であって、本システムの抵抗型電気炉5までの工程で得られた酸化カルシウムO5を貯留しながら常温まで冷却する冷却貯留工程を行う。冷却貯留ホッパー6は具体的には図3に示すように、抵抗型電気炉5の平面視円形経路の円内または円外の下方に配置されており、縦型円筒形状の本体貯留部61と、冷却貯留ホッパー6の外部に設けられ、貯留部61の外側面に連通された冷却器62とを具備し、酸化カルシウムO5を本体貯留部61内に貯留しながら貯留部61内へ常に冷却風を拭き込んでいる。平面視円形経路の円内下方に配置され、図3のように抵抗型電気炉5と上下に一体的に配置されることでコンパクトに構成される。なお図3のように、本体貯留部61の内部には攪拌板63を備え、鉛直軸の攪拌板63によって内部攪拌しながら貯留するものとしてもよい。
【0079】
縦型円筒状の排出ノズル64には排出バルブ65が介設されており、排出バルブ65は、貯留部60への貯留量が所定値を超えたとき、かつ下方排出孔5h64付近の貯留物が所定の温度以下になったときに自動的に開くものとしている。
【0080】
冷却貯留ホッパー6の側部上方よりの位置には、ファン及び熱交換器を内蔵した冷却器63がダクト連結されており、冷却器63で発生させた冷風をダクト連結部から吹き込むことによって、本体貯留部61内に貯留した酸化カルシウムO5を常温まで冷却する。貯留状態で常温まで冷却させることで、その後の袋詰め工程で収容袋Pが熱変性することなく、袋詰めを安全に行うことができる。
【0081】
(袋詰め装置7)
袋詰め装置7は、冷却貯留工程で貯留され、冷却された酸化カルシウムO5を所定量ずつ収容袋P内に袋詰めして運搬可能な状態とする装置であり、本装置によって袋詰め工程が行われる。図4に示すように収容袋Pの口部を一枚ずつ引き上げる引き上げ手段71と、引き上げた収容袋Pの口部内で水平の環状に広がることで、収容袋を開口した状態で吊下げ保持する帯板状の開口保持手段72と、開口保持手段で開口した収容袋内に、粉状の酸化カルシウムO5を上部から押し出して落下させる供給手段73と、複数の開口保持手段を収容袋と共につり下げたまま運搬する運搬手段74と、収容後の収容袋の口部の両外側に対向して一対設けられた水平棒状体のシーラー75とを具備してなり、
シーラー75は、酸化カルシウムO5収容後の収容袋Pの口部を袋内の開口保持手段72と共に外側の対向両面から押しつぶして閉口させ、開口保持手段72を抜き取ったのちに加熱して収容袋Pを密閉し、密閉袋P2とする。密閉袋P2は最終コンベアC6で運搬される。
【0082】
(貝類の処理工程)
本実施例の処理システムによる貝類の処理方法として、下記(a)ないし(f)の工程を順に挙げることができる。
(a)原料貝類O1を洗浄液Wで洗うことで付着塩類を除去して脱塩貝類O2を得る脱塩洗浄工程
(b)脱塩貝類O2を粗砕して粗砕O3を得る粗砕工程
(c)粗砕片O3を加熱乾燥させて半焼成片O4を得る予熱乾燥工程
(d)電気炉の炉室51内に備えた移動床式の基盤52上で、半焼成片O4を略円形経路に沿って移動させることで焼成し、酸化カルシウムO5を得る電気焼成工程
(e)得られた酸化カルシウムを天井付きの冷却貯留ホッパー6内に貯留しながら冷風を吹き付けて冷却する冷却貯留工程
(f)冷却貯留工程を経て冷却された酸化カルシウムO5を必要量ずつ収容袋P内に収容して収容袋Pを密閉する袋詰め工程
このうち少なくとも、(a)脱塩洗浄工程、(b)粗砕工程、(c)予熱乾燥工程、および(d)電気焼成工程を順に備えることで連続的に酸化カルシウムO5を得ることができるが、その後の処理として(e)冷却貯留工程を備えること、あるいはさらに(f)袋詰め工程を備えることが好ましい。なお各工程を抽出して行うことも可能であるし、あるいは対象物によって(a)や(b)といった一部工程を省略すること、一部工程のみを複数回繰り返して行うことも可能である。以下、各工程の意義について説明する。
【0083】
先ず(a)脱塩洗浄工程として、抵抗型電気炉5の損傷を最小限に留める為に、原料貝類O1に含まれる塩分を落とす必要が有る。よって最初の工程として脱塩洗浄装置1の設置による脱塩洗浄工程が必要であり、本装置によって原料貝類O1の脱塩洗浄を行う。
【0084】
(b)次に粗砕工程として、運転中の抵抗型電気炉5内での支障を未然に防ぐため、様々な大きさ、形状の貝類(特に洗浄貝類O2)を出来るだけ均一に熱処理すべく、抵抗型電気炉5の炉内へ入れる際に均一な大きさ、形状にしておく必要がある。よって貝類を粗く砕く粗砕装置3にかけ、大きさを揃える粗砕行程が必要となる。又この粗砕装置3を通すことで、脱塩洗浄工程を経た貝類の脱水工程も同時に行うことができる。
【0085】
(c)次に予熱乾燥工程として、粗砕装置3を通って来た貝類を加熱乾燥装置4によって乾燥させ、予熱する必要がある。本炉である抵抗型電気炉5に入れる前の前処理工程として加熱乾燥装置4の予熱乾燥工程を行う。本装置によって約600℃前後の温度で乾燥処理することで熱効率が向上し、本炉(抵抗型電気炉5)での熱処理時間の短縮に繋がる。つまり加熱乾燥装置4による加熱乾燥は処理能力を上げる為の大切な行程である。この加熱乾燥装置4も電気炉とする。
【0086】
(d)そして電気焼成工程として、本炉である抵抗型電気炉5において、1000℃〜1600℃の範囲内で焼成する電気焼成工程を経る。これ以上の温度になると溶融の世界に入ってしまい、この範囲以下だと焼却炉の世界となり物性を変えることが出来ない。
【0087】
(e)その後の冷却貯留工程として、電気焼成工程によって焼成されて得た酸化カルシウムO5は高温の為、容器に溜めて貯留する貯留工程、及び容器内にて冷却器を有して常温まで冷ます冷却工程の必要がある。実施例ではこれを冷却貯留ホッパー6によって、冷却貯留工程として行っている。
【0088】
(f)そして最後の袋詰め工程として、出来上がった酸化カルシウムO5は性質上吸湿性が高い事や、安全衛生法等によって規制対象となる為に速やかに樹脂製の袋に袋詰めしなければならない。この為に袋詰め装置7による袋詰め工程を必要とする。
【0089】
以上6行程を順番に具備することをもって本プラントの処理方法の一実施例とする。但し、粗砕工程で脱水工程を兼ねることなく、予熱乾燥工程で脱水を行うもの、或いは運搬中に脱水工程を行うものとしても良い。他に、袋詰め工程を除いた場合でも原料貝類O1から酸化カルシウムO5を得ることができ、酸化カルシウムO5の処理方法によっては貝類の処理方法として成立する場合がある。また他に、淡水の貝類を処理する場合にも用いることができ、この場合には脱塩洗浄装置1による脱塩洗浄工程を除いて、少なくとも粗砕装置3による粗砕工程ないし抵抗型電気炉5による電気焼成工程までを順に備えた処理方法となる。
【0090】
(実施例のプラントの作用)
本実施例の貝類の処理システムは、貝類を原料として連続処理可能なプラントであり、原料貝類O1を電気炉で1000℃以上の熱処理を施して処理(焼成)し、酸化カルシウムO5を得るものとなっている。また本炉として、複雑な設備が必要とならない抵抗型電気炉5によって円形経路状に移動させながら加熱処理することで、温度低下や多量の二酸化炭素の排出を伴うことなく、効率的に連続処理を行うことができ、また長時間にわたって自動運転することができる。特に脱塩洗浄装置1から抵抗型電気炉5までが組み合わされた装置群においては、貝類を対象としたことで、産業廃棄物の排出されない最終処分炉であると共に、酸化カルシウムO5を連続焼成する焼成炉となっている。
【0091】
なお本処理システムは、海産の貝類のほか、海産の介類(貝のほか甲殻類、亀を含む)を処理対象物として使用することができる。また火力発電所や原子力発電所をはじめとする大型設備や海水使用施設、海洋構造物で使用することができる。
【0092】
このうち、特に蒸気を真水に戻すための復水器を含む設備、装置においては、多量の冷却用水を必要とし、この冷却用水として、海水を海水路によって引き込んで使用する場合がある。本処理システムはこのような設備等に組み込んで使用することが出来る。すなわちこのような設備等では、海水に含まれる貝類が海水路の壁面等に付着して、連続運転時間後には貝類が幾重にも積み重なった状態となり、やがて積み重なった下層部分からはがれ落ちる。これによって貝類が海水路の底に溜まったり機械設備の目的を損なわせたりするのを防ぐため、本発明の処理システムを組み込んだ設備にすることが好ましい。
【0093】
また、酸化カルシウムO5を電気的に焼成する処理システムであり、最終処分炉を含むシステムでありながら産業廃棄物は排出されない。この様に廃棄物ではなくなり産業資源の一つに成り得ることによりこれまで掛かっていた産廃費用が不要となる。従来のように廃棄物として処分するのではなく、廃棄物を工夫する事により廃棄物ではない物性に変え自然に戻すことで環境への負担を減少させるものとなっている。
【0094】
(焼成試験)
本発明の貝類処理方法の効果を確認すべく、実際の貝類又は介類に本発明の各工程を施した焼成試験を行った。テスト貝殻として、ヘドロ、カラス・ムラサキ貝、カキ、フジツボの4種類を用意した。ただしいずれも身を取り除いたものを使用した。搬送速度1667mm/hで、300度の予熱と800度の本炉焼成による第一回路、並びに500度の予熱と1000度の本炉焼成による第二回路の2種類で行った。その結果第二回路のほうが良好な処理が行えることがわかった。
【0095】
試験によって、フジツボは粗砕を行わなければ、1000度の焼却温度設定においても300度付近まで加熱されたときに爆発して飛散することがわかった。そこで最大長1cm以下となるまで砕いた後、500度で予熱乾燥させてから本炉で1000度条件で焼成した。カキは爆発は起こさないものの、小片になって飛散することがわかった。
テスト焼成後の嵩比重測定の結果及び重量変化測定の結果を下記に示す。
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】
又焼成物の成分分析結果を下記に示す。
【0099】
【表3】
【0100】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0101】
本処理システムによる焼成物は酸化カルシウムと成る。これをそのまま自然に戻すことのほか、その滅菌効果によって医療関係に使用すること、食品、飼料、ペットフードの添加剤、土壌改良肥料、凍結防止材として使用すること、強アルカリ溶液として洗剤として使用することができる。
【0102】
本発明の構成は以上であるが、本処理システムは上述の実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成要素の抽出、一部構成要素の削除、代替構成への置換、対象物の変更、大きさや時間、運転速度の調整といった各種変更を行うことができる。本発明はこれらの変更後の処理システムを含む。
【符号の説明】
【0103】
1 脱塩洗浄装置
10 筒状容体
103 排水口
104 排給口
105 モーター
11 原料ホッパー
12 スクリュー羽根
121 連接板
13 噴射ノズル
2 脱塩物貯留ホッパー
21 取り込み口
22 排出バルブ
23 排出ノズル
3 粗砕装置
31 投入枠
32 ローラー
33 モーター
4 加熱乾燥装置
41 第一列乾燥装置
42 第二列乾燥装置
43 併合ホッパー
44 第一調整タンク
45 第二調整タンク
5 抵抗型電気炉
5h 排出孔
501投入口
51 炉室
511誘導壁
52 基盤
53 収集器
54 スクレーパー
55連結内枠
56連結外枠
6 冷却貯留ホッパー
61 本体貯留部
62 冷却器
63 回転羽根
64 排出ノズル
65 排出バルブ
7 袋詰め装置
71 引き上げ手段
72 開口保持手段
73 供給手段
74 運搬手段
75 シーラー
C 連結部
C1乾燥コンベア
C21第一列コンベア
C22第二列コンベア
C5 連通パイプ
F ファン
O 貝類
P 収容袋
W 洗浄水
【技術分野】
【0001】
本発明は、海産の貝類或いは介類(貝や甲殻類等の甲羅を持つ動物)を対象とした回転移動床式の電気炉であって、対象物(貝類又は介類)を産業廃棄物としたときの最終処分炉であると共に、対象物の高温処理(焼成)によって酸化カルシウムを得る焼成炉を含んだ貝類処理システム、および貝類の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
各地に残る貝塚にみられるように、人々が貝類を食する際には必ずその貝殻が廃棄物として捨てられてきた。この貝殻の処分については過去に多くの人々がその処分方法について悩んで来た経緯がある。このように廃棄物として行き場の無いものに対して近年有効な処分後の副産物の利用方法の研究が進んでいる。
【0003】
例えば従来、貝殻生石灰を製造する竪型石灰焼成炉として、竪型石灰焼成炉の原料投入管を炉内挿入部分のない構造とし、排鉱機部の回転シール部を二重構造として、吹き込み空気量の調節機構を備えた冷却用配管を設けたものが開示される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3076432号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記竪型石灰焼成炉は貝殻の処理能力が25トン/日程度の小型の独楽型石灰焼成炉であり、固定床式であって連続処理することはできない。また炉内に配置した焼成帯を高温に保持して焼成するものであるため、7時間もの炉内滞留時間が必要となり、効率的に処理できるものではない。またこの種の焼成帯は通常、オイルやガスによる燃焼熱を熱源とするため、CO2の排出を伴い、処理量を増やした場合には将来的なCO2の削減目標などの社会的要求にこたえることが困難となる。
【0006】
すなわち日々多くの貝類を処理する為には連続運転システムを構成する必要があるが、この連続運転システムを構成する場合には、処理効率の向上という課題のほか、CO2の排出抑制という課題や、処理状態ないしメンテナンスといった運転管理の労力低減という課題、また長時間運転に耐えうるだけの耐久性といった課題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決すべく発明されたものであって、以下(1)〜(8)の手段を採用している。
【0008】
(1)本発明の貝類の処理方法は、海産の原料貝類O1を連続的に処理して酸化カルシウムO5を得る貝類の処理方法であって、少なくとも、
原料貝類O1を洗浄液Wで洗うことで付着塩類を除去して脱塩貝類O2を得る脱塩洗浄工程と、
脱塩貝類O2を粗砕して粗砕O3を得る粗砕工程と、
粗砕片O3を加熱乾燥させて半焼成片O4を得る予熱乾燥工程と、
電気炉の炉室51内に備えた移動床式の基盤52上で、半焼成片O4を所定の経路、好ましくは略円形経路又は略往復経路に沿って周方向に移動させながら焼成し、酸化カルシウムO5を得る電気焼成工程とを順に具備することを特徴とする。
【0009】
さらに上記電気焼成工程ののちは、得られた酸化カルシウムを天井付きの冷却貯留ホッパー6内に貯留しながら冷風を吹き付けて冷却する冷却貯留工程と、
冷却貯留工程を経て冷却された酸化カルシウムO5を必要量ずつ収容袋P内に収容して収容袋Pを密閉する袋詰め工程とを順に経ることが好ましい。
【0010】
(2)本発明の貝類処理システムは、前記(1)記載の貝類の処理方法を行う貝類の処理プラントであって、少なくとも、
原料貝類O1を洗浄液Wで洗うことで付着塩類を除去して脱塩貝類O2を得る脱塩洗浄装置1と、
脱塩貝類O2を粗砕して粗砕片O3を得る粗砕装置3と、
粗砕片O3を加熱乾燥させて半焼成片O4を得る加熱乾燥装置4と、
平面視略円形経路に沿って伸びる炉室51内に備えた移動床式の基盤52上で、半焼成片O4を所定の運搬経路に沿って運搬しながら焼成し、酸化カルシウムO5を得ると共にそれ以外の構成材を焼却する抵抗型電気炉5とを具備し、
各装置間に、対象物(原料貝類O1から脱塩貝類O2、粗砕装置O3、半焼成片O4を経て得られる酸化カルシウムO5)を貯留するホッパーと、隣接装置間で連続運搬動作する運搬手段と、ホッパーから運搬手段への供給を制御する供給制御装置とを備え、
各装置および運搬手段を連続運転しながら供給制御装置でホッパーから対象物量を制御しながら供給することで、貝類処理システム全体での連続処理を行うことを特徴とする。
【0011】
(3)また、加熱乾燥装置4と抵抗型電気炉5の間を密閉管で連結すると共に第一、第二の2つの貯留タンクを介在させたものとし、抵抗型電気炉5の先に冷却貯留ホッパー6を配置してその間を密閉管で連結したものが好ましい。このうち第一貯留タンクと第二貯留タンクは、それぞれの排出孔5hに第一、第二電磁弁を介設しており、両電磁弁のうち必ず一方が閉じた状態でしか他方が開かないように制御されている。これと共に抵抗型電気炉5を密閉炉とすることで、抵抗型電気炉5周りを完全密閉構成することができ、加熱焼却を極めて効率的に行えるものとなる。
上記構成における所定の運搬経路は「平面視略円形経路」であり、略円形経路上を周回して運搬焼成されることが好ましい。
【0012】
上記構成のうち、本発明における電気炉の「平面視略円形経路」とは、両側方及び天井によって形成された炉室51の移動床面を構成する基盤52の移動方向の経路が、平面視にて真円形、楕円形、長円形、あるいはこれらを一方向または二方向以上に偏平させた偏平の円形、或いはこれらいずれかの円形の始点と終点がずれるように渦状に1周または複数周回連ねた渦状経路をいう。
【0013】
渦状経路として例えば、大きさの異なる円形を複数個、同心状に内外に組み合わせ、各円形の一区間を分断して隣接する他の円形へ斜めに経路横断し、内外周の円形経路同士を順に連ねたものが挙げられる。この場合、分断部分以外の円形経路の曲率は一定であると共に、外周側から内周側へ経路進行したときの円形経路の径の大きさが、各分断・経路横断の部分を境にして段階的に小さくなる。このほか、曲率が一定の割合で連続大きくなるからなることを意味する。
【0014】
上記のように、少なくとも脱塩洗浄装置1と粗砕装置3と移動床式の電気炉という構成を連続処理可能に組み合わせることで、脱塩による余分な塩類の付着の除去、粗砕による貝類の大きさや形状の均一化を行っている。これにより、本炉である電気炉(実施例では抵抗型電気炉5)の加熱処理の際に、「はじけ現象」(加熱された貝殻やその中身が割れたり破裂して飛散する現象)が生じるのを防止し、連続的な長時間の処理を行うことができる。
【0015】
また特に加熱乾燥装置4を前処理装置として設け、前処理として抵抗型電気炉5の処理に先立って一次加熱することとしている。これにより連続運転において確実に貝類を処理することができる。
【0016】
上記に加えてさらに、酸化カルシウムO5を収集して収容袋内に密封する袋詰め装置7を設けることで、得られた酸化カルシウムO5を良好な状態で保管することができる。
【0017】
(4)前記いずれかの貝類処理システムにおいて、電気炉として長時間運転可能な抵抗型電気炉5を採用し、この抵抗型電気炉5の炉室51の平面視円形経路の円内または円外の下方に、炉室51から排出された酸化カルシウムO5を収集して貯留し、この貯留した状態で冷却する冷却貯留ホッパー6を具備し、この冷却貯留ホッパー6にて貯留した酸化カルシウムO5を常温にまで冷却することが好ましい。
【0018】
炉室51の下方の円形経路の内部又は外部のいずれかに冷却貯留ホッパー6を設けることで、抵抗型電気炉5での熱処理によって得られた酸化カルシウムO5を冷却するまでの装置群をコンパクトに構成することができる。なお後述の実施例では平面視内部中央位置に冷却貯留ホッパー6を設けて抵抗型電気炉5と共にコンパクトに構成しているが、配置によっては平面視円外の位置に設けてもよい。また抵抗型電気炉5が、耐熱炉材を主構成材とする耐火煉瓦からなる炉室51と、多数の基盤プレート520がコンベア連結されてなる移動床式の平面視円形経路の基盤52と、基盤52を動力牽引して、炉室51内を基盤52の平面視略円形経路に沿って移動させる牽引手段とを具備するものとしてもよい。
【0019】
(5)前記貝類処理システムにおいて、
抵抗型電気炉が、
耐熱炉材を主構成材として内部に電熱線が配された炉室と、
炉室の床部を構成し、平面視回転移動する移動床式の基盤と、
炉室内の基盤上に焼却前の半焼成片を投入する投入口と、
焼却後の酸化カルシウム及び構成材を基盤上から排出する排出孔5hと、
炉室内の上方又は側方から固定されて基盤上の半焼成片を排出孔5hまで導く誘導壁511とを具備し、
固定された誘導壁511の下で基盤が回転することで、投入口から基盤上に投入された半焼成片が、炉室内で焼成されながら誘導壁511によって所定の平面経路に沿って排出孔5hまで誘導進行されることが好ましい。
【0020】
(6)前記貝類処理システムにおいて、
投入口による基盤への投入部が、基盤の平面一端縁付近にあり、
排出孔5hを有する基盤からの排出孔5hが、基盤中央の回転軸付近にあり、
また誘導壁511によって形成される電気炉の所定の平面経路が、前記投入部から基盤上を周回しながら排出孔5hに向かう周回渦状の経路であることが好ましい。
【0021】
なお前記いずれかの貝類処理システムの抵抗型電気炉5において、炉室51及び基盤52が共に耐熱炉材を主構成材とする耐火煉瓦からなることが好ましい。
【0022】
(7)前記貝類処理システムにおいて、粗砕装置3は、表面に複数の突起部がそれぞれ固設された一対または複数対のローラー32を各対にて並行軸状に配置してなり、各ローラー32を回転駆動させながら、各対のローラー間32に脱塩貝類O2を通すことで、所定以下の大きさに粗砕すると共に、脱塩貝類に付着した水分を落とすことが好ましい。
【0023】
実施例(図2)では一対のローラー32を5cm以下の微小間隔をあけて水平軸状に並行配置し、各ローラー32間に挟んだ貝類を下へ落とす方向へローラー32をそれぞれ回転駆動させ、その間に洗浄貝類O2を所定量ずつ落下させている。ローラー32は一対に限らず複数対設けてもよい。ローラー32の表面には1cm〜3cmの高さの略円錐状の突起部がランダムに離散して、あるいは離間して所定パターンで並んで複数個設けられる。粗砕装置3は洗浄後の原料貝類を一対のローラー32間の突起部で保持しながら一対のローラー32の表面で挟んで押しつぶすことで貝類を所定の大きさ以下に砕く。
【0024】
(8)前記いずれかの貝類処理システムにおいては、電気炉によって得た酸化カルシウムO5を収集して収容袋内に密封する袋詰め装置7を備えてなり、この袋詰め装置7は、
収容袋Pの口部を一枚ずつ引き上げる引き上げ手段71と、
引き上げた収容袋Pの口部内で環状に広がることで、収容袋を開口した状態で吊下げ保持する開口保持手段72と、
開口保持手段で開口した収容袋P内に、酸化カルシウムO5を所定量ずつ供給する供給手段73と、
複数の開口保持手段72を、酸化カルシウムO5が袋内に供給され、つり下げられた収容袋Pと共に袋の収集位置まで運搬する運搬手段74と、
収容後の収容袋P1の口部の両外側に対向して収容袋を挟むように設けられた水平棒状加熱部を有するシーラー75とを具備することが好ましい。
そして、シーラー75は、酸化カルシウムO5収容後の収容袋Pの口部を袋内の開口保持手段72と共に外側の対向両面から挟み、つぶして閉口させ、開口保持手段72を抜き取ったのちに加熱して収容袋Pを密閉するものであることが好ましい。
【0025】
後述の実施例では、供給手段73として上部が拡径された縦型筒状の容体を採用している(図4)が、この構成に限らず種々の機構を採用することができる。
【0026】
(9)前記いずれかの貝類処理システムにおいて、脱塩洗浄装置1は、
上部の拡径した投入口から海水つきの原料貝類O1を収容し、下部の縮径した排出孔5hから排出する縦型筒状の原料ホッパー11と、
原料ホッパー11の下方にて下連通部101に連通し、この下連通部から斜め上方へ伸長する内部空間を有した筒状容体10と、
筒状容体の内部空間の伸長方向に沿って軸設された回転軸周りにらせん状に連続形成され、回転駆動によって貝類を軸方向に運搬するスクリュー羽根12と、
筒状容体内の下連通部よりも上方の天井部に配置されて内部に洗浄水を噴射する複数の噴射ノズル13を備えてなる。
そして筒状容体10は、下連通部よりも下方の底部に設けられ、筒状容体内の水を排出する排水口103と、筒状容体内の上方伸長先の底部に設けられ、容体内の貝類を外部へ排給する排給口104とを備える。
これらは、噴射ノズルから噴射される洗浄水量と排水口からの排水量の自動調整によって、内部空間内に洗浄水を一定水位で保持するものである。
そして、原料ホッパー11から供給された海水つきの貝類を筒状容体10内に貯留した洗浄水W内に浸漬させてスクリュー羽根12によって転回させながら伸長方向上方へ運搬し、この運搬した浸漬後の貝類を、洗浄水の水面上方にてスクリュー羽根12によって転回させながら噴射ノズル13によって洗浄したのちに、排給口104から外部へ排給することで貝類を脱塩することが好ましい。
【0027】
上記のものは、洗浄水量、排水量のいずれかまたは両方を調整して、容体の内部空間内に貯水された洗浄水の水位を一定の範囲内に保つ。なお後述の実施例(図2)では排水口103からの排水量の自動調整によって、噴射ノズル13から噴射された洗浄水量を所定範囲内に保つことで容体内に洗浄水Wを常に略一定水位となるよう貯留保持している。
【0028】
さらに上記貝類処理システムにおいて、スクリュー羽根12には、回転軸方向に隣り合う羽根板間をつなぐ連接板121が、回転軸周りに等間隔に複数枚固設されてなり、各連接板121は、回転軸方向に対して軸側面視及び軸断面視の両方で傾斜して、いわゆるねじれ角度で配置された平板であることが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
本発明は上記手段を講じており、本炉である移動床式の電気炉と、その前処理である脱塩、乾燥、小砕片化のための各種装置とを、対象物の装置間及び装置内運搬を可能としてすべて備えることで、長時間の連続的な自動運転が可能となっている。これより、酸化カルシウムO5を連続生産することが可能である。
【0030】
また移動床式の抵抗型電気炉であるから、炉の運転にCO2の排出を伴わず、火力調整等の運転管理が不要となり、また長時間運転に耐えうるという耐久性の課題に対応したものとなっている。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施例1の本貝類処理システムの全体構成を示した側面視説明図。
【図2】図1に示す実施例1の本貝類処理システムの平面視説明図
【図3】実施例1の貝類処理システムにおける抵抗型電気炉5及び冷却貯留ホッパー6を示した斜視一部破断説明図。
【図4】実施例1の貝類処理システムにおける抵抗型電気炉5を示した側面視軸断面説明図。
【図5】図4の平面視A−A線断面図。
【図6】図4の平面視B−B線断面図。
【図7】実施例2の貝類処理システムにおける抵抗型電気炉5及び冷却貯留ホッパー6を示した斜視一部破断説明図。
【図8】実施例2の貝類処理システムにおける抵抗型電気炉5を示した側面視軸断面説明図。
【図9】図8の平面視C−C線断面図。
【図10】本発明の実施例3の本貝類処理システムの全体構成を示した側面視説明図。
【図11】実施例3の貝類処理システムにおける脱塩洗浄装置1、脱塩物貯留ホッパー2及び粗砕装置3までの構成を示した側面視説明図。
【図12】実施例3の貝類処理システムにおける加熱乾燥装置4、抵抗型電気炉5、冷却貯留ホッパー6、及び袋詰め装置7までの構成を示した側面視説明図。
【図13】実施例3の貝類処理システムにおける抵抗型電気炉5及び冷却貯留ホッパー6を示した斜視説明図。
【図14】実施例4の貝類処理システムにおける抵抗型電気炉5及び冷却貯留ホッパー6を示した斜視説明図。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本貝類処理システムの実施形態を、実施例として示す各図と共に説明する。
【0033】
実施例の貝類処理システムは、海産の貝類又は介類を連続的に処理して酸化カルシウムO5を生産する貝類処理システムであって、基本的に下記構成からなる(図1)。
・貝類に付着する塩類を水洗によって除去して脱塩貝類を得る脱塩洗浄装置1
・脱塩貝類を貯留する脱塩物貯留ホッパー2
・脱塩貝類を粗砕して粗砕片を得る粗砕装置3
・粗砕片を500℃〜600℃で加熱乾燥させて半焼成片を得る加熱乾燥装置4(前処理装置)
・半焼成片を平面視円形経路であって内部温度1,000℃〜1,600℃の炉室内の移動床式の基盤上を通過させて焼成し、酸化カルシウムO5を得ると共にそれ以外の構成材を焼却する抵抗型電気炉5(本炉)
・酸化カルシウムO5を貯留しながら冷却する冷却貯留ホッパー6
・酸化カルシウムO5を収集して収容袋内に密封する袋詰め装置7
(本貝類処理システムの実施例の主なポイント)
本貝類処理システムは、貝類或いは介類を原料とした原料処分システム兼、酸化カルシウムO5を得るシステムであり、貝類の最終処分方法として、抵抗型の電気加熱炉による1000℃以上の連続的な熱処理(焼成)を行い、酸化カルシウムO5に変化させることがポイントとなっている。貝類は1000℃以上の高温で焼く事により物性が酸化カルシウムO5に変化する。
【0034】
最終的に得た酸化カルシウムO5はそのまま利用することも出来、何かを添加する事により又その物性を変化させ原材料として利用することや、自然に戻すなり副産物として再利用することができる。
【0035】
また、抵抗型電気炉5による連続熱処理を効率的に行うための脱塩洗浄装置1、粗砕装置3、加熱乾燥装置4を順に前処理装置群としてひとつのプラント内に備え、これら装置による脱塩工程、粗砕工程、前処理用の予熱乾燥工程を順に行ってから本炉である抵抗型電気炉5による熱処理を行うことがポイントのひとつとなっている。
【0036】
さらに袋詰め装置7を一プラント内にすべて備え、これらを順に運搬コンベアCでつなぐことで温度・含水率制御を行いながら一連の生産システムを形成したことが新規なポイントとなっている。
【0037】
特に本炉として、複雑な設備が必要とならない抵抗型電気炉5を用いており、炉内では対象物が円形経路の可動床(基盤)上を移動することで、長時間の連続運転を容易に行うことができる点、酸化カルシウムO5を連続的に得ることができる点で新規となっている。
【0038】
(脱塩洗浄装置1)
脱塩洗浄装置1は、表面または内部の塩類を水洗いによって除去する(脱塩する)装置であり、本装置によって脱塩洗浄工程を行う。本装置は具体的には図2に示すように、
上部の拡径した投入口から海水つきの貝類(原料貝類O1)を収容して下部の縮径した排出孔5hから排出する縦型筒状の原料ホッパー11と、
原料ホッパー11の下方にて下連通部101に連通し、この下連通部から円筒状の内部空間を有して斜め上方へ伸長する筒状容体10と、
筒状容体10内に軸設された駆動軸12S周りにらせん状に連続形成され、駆動軸12Sの回転駆動によって貝類を軸方向に沿って斜め上方へ運搬するスクリュー羽根12と、
筒状容体内の下連通部よりも上方の天井部に配置されて内部に洗浄水を噴射する複数の噴射ノズル13を備える。
【0039】
筒状容体10は、原料ホッパー11の下方にて下連通部101に連通し、この下連通部から円筒状の内部空間を有して斜め上方へ伸長する。伸長方向の両端付近にはそれぞれ閉塞壁102が形成され、両端の閉塞壁102間によって、内部に洗浄水及び原料貝類O1を保持しうる円筒状の内部空間が形成される。なお閉塞壁102は中央に駆動軸12Sが貫通する貫通孔が形成され、貫通孔には駆動軸12Sを回転自在に支持するためのベアリング構造が設けられている。
【0040】
また筒状容体10は、下連通部101よりも下方の底部に設けられ、筒状容体10内の水を排出する排水口103と、筒状容体10内の上方伸長先の底部に設けられ、容体内の貝類を外部へ排給する排給口104とを備える。
【0041】
中でも下側の閉塞壁102で仕切られた内部空間よりも下方先側に底部が設けられており、下側の閉塞壁102と底部との間に、洗浄後の水を排水するための円筒状の排水室が形成される。排水口103は、この排水室の側部に設けられると共に、排水量を自動調整するための排水バルブが介設されている。排水室には下側の閉塞壁102の貫通孔から洗浄水が流入し、この室内で原料貝類O1を除く洗浄水を一端貯水してから排水する。この排水室への貯水および排水口103からの排水量の自動調整によって、噴射ノズル13から噴射された洗浄水量を所定範囲内に保つことで容体内に洗浄水Wを一定水位で貯留保持している。
【0042】
駆動軸12Sは、筒状容体10内であって円筒状の内部空間の断面視中央位置にて、モーター105によって両方向に回転駆動可能に軸設される。
【0043】
(スクリュー羽根12)
スクリュー羽根12は、駆動軸12S周りにらせん状に連なって形成された羽根板からなる。この羽根板は、軸端部から見て同一の円形に重なり、軸方向に略等間隔に離間して連なると共に、一定曲率のねじれ変形によって一体的に形成される。
【0044】
(連接板121)
スクリュー羽根12には、回転軸方向に隣り合う羽根板間をつなぐ連接板121が、回転軸周りに等間隔に複数枚、略放射状に固設される。各連接板121は、回転軸12Sの伸張方向に対して軸側面視及び軸断面視の両方で傾斜した、いわゆるねじれ角度で配置された平板である。連接板121によって貝類の転回を促し、洗浄水が裏側にまで行き渡るようにしている。スクリュー羽根12は駆動軸12Sの回転駆動によって原料貝類O1を転回させながら軸方向に沿って斜め上方へ運搬するが、このとき連接板121によって原料貝類O1をより多く転回させ、より確実に上方運搬するものとしている。
【0045】
そして、原料ホッパー11から供給された海水つきの原料貝類O1を筒状容体10内は、噴射ノズル13によって常時注水されるとともに必要に応じて排水バルブを有した排水口103によって適宜排水され、これによって内部空間に洗浄水Wが常に一定範囲量となっている。この洗浄水Wは原料貝類O1を一定時間浸漬させる。
【0046】
噴射ノズル13は、洗浄水Wに浸漬され、伸長方向上方へ運搬されてきた原料貝類O1に、洗浄水の水面上方にて洗浄水Wを噴射するものである。スクリュー羽根12によって転回させた状態のまま洗浄することで、より効率的な脱塩洗浄を行うものとなっている。
【0047】
(第一コンベアC1)
第一コンベアC1は、脱塩洗浄装置1と脱塩物貯留ホッパー2の間に設けられ、洗浄貝類O2を上方位置まで運搬する。具体的には図2に示すように、配給口104の下方に設置され、そこから緩やかな勾配で上方に傾斜する第一コンベアCaと、急勾配で上方に傾斜すると共に運搬物の落下防止用爪が等間隔に設けられた第二コンベアCbと、原料ホッパー6内に投入する略水平の第三コンベアCcとから構成され、これら第一コンベアCa、第二コンベアCb、第三コンベアCcの順に、脱塩洗浄後の洗浄貝類O2を連続して上方の脱塩物貯留ホッパー2まで運搬する。またこれらの上方運搬によって脱塩貝類O2の水分を落下させる。
【0048】
(脱塩物貯留ホッパー2)
脱塩物貯留ホッパー2は、脱塩装置で脱塩した脱塩貝類O2を貯留して、これ以降の処理量を調整するものである。脱塩貝類O2は、円筒状の取り込み口21から本体内に取り込まれ、内部に貯留される。すり鉢状の本体下部のすり鉢状の底に設けられた排出ノズル23から、排出バルブ22を介して所定量ずつ排出される。
【0049】
(粗砕装置3)
粗砕装置3は、脱塩貝類O2を一定以内の大きさに粗砕して、所定以下の大きさであって大きな突起部のない安定した形状の粗砕片O3を得るものであり、本装置によって粗砕工程を行う。所定以下の最大長の粗砕片O3とすることにより、本炉である抵抗型電気炉5における熱効率を高め、連続処理を行うことができる。粗砕片O3は例えば、最大長2cmm前後、大きくとも最大長4〜5cmの粗粒状に揃えられて本装置から排出される。これにより、加熱乾燥装置4や抵抗型電気炉5での移動床運搬中に、炉内で破裂、崩落、或いは倒落したり、これらによって基盤プレートの隙間に挟まったりするのを防ぐことができる。また粗砕装置3内を通って砕かれる際に、水洗脱塩後の貝類の大半の水分を落とすものとなっている。
【0050】
具体的には図2に示すように、水平軸の横置き円柱からなる一対または複数対のローラー32を、各対にて並行軸となるように設置し、1つのモーター33によってそれぞれ逆方向に回転駆動させて使用する。下方に縮径した錐体状の投入枠31から、駆動中の一対のローラー32間に脱塩貝類O2を投入して挟み、ローラー32間の下部から粗砕片O3を排出する。各ローラー32の柱状表面にはそれぞれ、放射方向を頂部とする錘状の突起が前面に亘ってランダムに固設されており、両側からこの突起で挟みこむことによって、貝類は確実に一定以下の大きさにまで粗砕される。
【0051】
(加熱乾燥装置4)
加熱乾燥装置4は、前処理として粗砕片を加熱乾燥させて半焼成片を得る前処理用装置である。
【0052】
(第二コンベアC2、第三コンベアC3)
第二コンベアC2は粗砕装置3と加熱乾燥装置4の間に設けられ、粗砕片O3を水平運搬する。第三コンベアC3は加熱乾燥装置4と抵抗型電気炉5の間に設けられ、半焼成片を水平運搬する(いずれも図1、図10)。また加熱乾燥装置4の炉内では、粗砕片O3を耐熱性の移動床によって運搬する。本システムではこれらの運搬経路を平面視直線状としており、実施例では、第二コンベアC2、第三コンベアC3を直線状に連なる同一のコンベアベルトによって形成している。
【0053】
(実施例1の第二コンベアC2、第三コンベアC3)
このうち実施例1及び2では第二コンベアC2と第三コンベアC3が同一のコンベアベルトで構成されるとともに、この同一のコンベアベルトが第一列コンベアC21、第二列コンベアC22の互いに並行運搬する二本のコンベアベルトからなるものとしている。第一列コンベアC21、第二列コンベアC22は、それぞれが第一列乾燥装置41、第二列乾燥装置42内を通過して予熱乾燥工程を並行して行った後、並行する第一列、第二列コンベアC21,C22の両列幅大の一つの併合ホッパー43によって系列併合してから単独の抵抗型電気炉5によって連続的に電気焼成工程を行うものとしている(図1,2)。
【0054】
(実施例1の加熱乾燥装置4)
特に実施例1の加熱乾燥装置4は第一列乾燥装置41、第二列乾燥装置42が同一方向を向いて並列隣接形成されたトンネル型の横型連続炉であり、隣接部では共通の発熱体を使用するものである(図1,2)。
【0055】
(実施例3の第二コンベアC2、第三コンベアC3、加熱乾燥装置4)
実施例3の第二コンベアC2、第三コンベアC3は一系統のみの単独の同一コンベアのみで構成され、横型の連続炉である加熱乾燥装置4を通過することで予熱乾燥工程が行われて半焼成片O4が得られる。半焼成片O4はその後、収集ホッパー500によって収集された後、投入管50内によって抵抗型電気炉5内に投入される(図13)。
【0056】
(第一貯留タンク、第二貯留タンク)
実施例1では、加熱乾燥装置4と抵抗型電気炉5の間を密閉管で連結すると共に第一貯留タンク44、第二貯留タンク45の2つの貯留タンクを介在させたものとしている。第一貯留タンク44と第二貯留タンク45は、それぞれの排出孔5hに第一、第二電磁弁を介設しており、両電磁弁のうち必ず一方が閉じた状態でしか他方が開かないように制御されている。これと共に抵抗型電気炉5を密閉炉とすることで、抵抗型電気炉5周りを完全密閉構成することができ、加熱焼却を極めて効率的に行えるものとなる。具体的には、第一電磁弁が開くときにはその直前に第二電磁弁が閉動作を行い、上部解放された第一電磁弁を通って第一貯留タンク内に半焼成O4が送り込まれる。次に第二電磁弁が開くときにはその前に第一電磁弁が閉動作を行い、第一貯留タンク44上部から下方の炉室までを密閉状態としたまま半焼成片O4が送り込まれる。
【0057】
上記構成における所定の運搬経路は「平面視略円形経路」であり、略円形経路上を周回して運搬焼成されることが好ましい。
【0058】
(抵抗型電気炉5)
しかして、本システムにおける本炉である抵抗型電気炉5は、焼却炉よりも処理温度が高く、溶融炉よりも処理温度が低い。これらの炉の中間に位置づけられる抵抗型電気炉5である。本装置は電気焼成工程を行う。
【0059】
抵抗型電気炉5の動作はオイルを使った燃焼でなく、電気炉を採用することによりCO2の削減に貢献出来る焼成炉となっている。炉はその目的によって多くのタイプと呼び名があり、一般的に言われるのは焼却炉、燃焼炉、高炉、溶解炉、溶融炉である。またエネルギー源は石油、ガス、電気、(原子力、風力、波力、火力、水力、太陽、)等に大別される。本処理システムの本炉として基本的に電気炉を採用しており、長時間にわたって自動運転することができる。
【0060】
電気炉そのものは電気ヒーターと耐熱炉材とを組み合わせた極めてシンプルな炉であって、複雑な装置が少なく部品点数が少ないのが特徴である。よって運転管理上メンテナンス等の維持管理が容易であり、作業の安全性や品質管理、行程、時間、人件費等、どの面から見ても経費削減に繋がる。また熱源を電気に求めているため、将来的なCO2 の削減目標など社会コストやオイルやガスを使用する焼却炉の維持費や産廃費用も含めたコストと比べればコスト削減に繋がる。日々多くの貝類を処理する為には処理能力からどうしても連続炉にする必要があり、又システムとして自動運転可能な炉であり可動式、運転温度能力は1000℃〜1600℃とし長時間運転に耐えうる構造が求められる為、機能として満たされたものである。
【0061】
(抵抗型電気炉5の形態分類)
抵抗型電気炉5の形態として、立方体形状の炉内に試料を出し入れする箱型炉、縦置きまたは横置きにされた筒型の管状炉、上部蓋を開口させて試料を投入するルツボ炉、チェーンコンベアやプッシャーからなる搬送路上に試料を載せてトンネル型炉の中をくぐらせて入り口から出口までに温度条件をつける水平移動床式連続炉、炉床が炉内で試料を載せられた後に昇降するエレベーター炉、炉体内で試料を回転により攪拌させながら焼成を行うロータリーキルン炉、試料を載せた台車を移動させながら台車ごと焼成する台車炉が挙げられる。
【0062】
〔抵抗型電気炉5の形態1(実施例1)〕
上記多数の形態を採用できるが実施例1においては、抵抗型電気炉5が、耐熱炉材を主構成材として内部に電熱線HWが配された炉室51と、炉室の床部を構成し、平面視回転移動する移動床式の基盤52と、炉室内の基盤上に焼却前の半焼成片を投入する投入口501と、焼却後の酸化カルシウム及び構成材を基盤上から排出する排出孔5hと、炉室内の上方又は側方から連続的または断続的に配置固定されて基盤上の半焼成片を排出孔5hまで導く誘導壁511とを具備するものとしている(図3〜図6)。特に実施例1では一枚の誘導壁が緩湾曲しながら、室内壁512に接する外周部から排出孔5hの半縁を覆うまでの一連の誘導経路に沿って立設配置される。
【0063】
そして、固定された誘導壁511の下で基盤が回転することで、投入口から基盤上に投入された半焼成片O4を、炉室内で焼成されながら誘導壁511によって周回渦状の平面経路に沿って排出孔5hまで誘導進行させ、排出孔5hから落下排出させる。ここで周回渦状の経路とは、投入部から基盤上を周回しながら平面視中心側から外側、または平面視外側から中心側に徐々にずれていく連続経路のことをいい、緩曲線経路のみによる略円形渦のほか、複数の直線部が所定長さごとに湾曲して多角形状につらなる略多角形渦を含む。渦状の経路とすることで、回転板521の回転を利用して半焼成片O4を効率的に加熱しながら炉内移動させることができる。
【0064】
なお誘導壁511によって形成される抵抗型電気炉の経路は上記周回渦状の経路のほか、往復並行線経路、矩形経路、上下に亘る平面視一方向往復経路等が挙げられ、これらいずれかの経路を採用してもよい。
【0065】
投入管50は炉室51の室天井51Cを鉛直下方に貫通し、下端が斜めに切断された投入口501となっている。この投入口501は、投入された半焼成片O4が進行方向である周回方向を向くように斜めに切断形成されており、投入口501の位置は、基盤52上の平面一端縁たる平面視円形形状の外周付近に配置される。また基盤に形成される排出孔5hは、基盤中央の回転軸付近である平面視円形形状中心に円形孔として配置される。
【0066】
炉室51の室天井51Cには電熱線HWが半焼成片O4の平面経路に沿って室内露出して配置される(図4,5)。この配置に代えて或いは加えて、誘導壁511或いは室内壁512の表面または内部に配置してもよい。これらのいずれかを組み合わせて複数の電熱線HWを配置してもよい。
【0067】
炉室51内には一枚または複数枚の誘導壁511が吊り下げ固定され、炉室51が固定されたまま基盤のみが室内回転することで、基盤52の回転板521上に載置された半焼成片O4は、投入部から排出孔5hに向かって周回渦状の経路を通って排出孔5hに誘導される。
【0068】
基盤51は回転板521と、回転板の周囲から上方に張り出した上外枠522と、同じく回転板の周囲から下方に張り出してその外側へ断面視U字型に屈曲形成された下外枠523とが回転駆動可能に一体的に構成される。下外枠523内にはサンドシール砂5sが充填され、この中に炉室の下外枠が突入してサンドシール構造を形成する(図3,4,6)。サンドシール構造によって、炉内を密閉型に構成し、ダイオキシン等の有害ガスや臭気の発生を防ぎ、燃焼効率が高いものとなる。
【0069】
また回転板521の下面側には内外2重の円形脚524L,525Lが下方に突出形成される(図3,4,6)。円形脚524L,525Lの下部にはこれらの円形形状に沿って等間隔に駆動ローラー524および支持ローラー525が回転可能に配置される。これら駆動ローラー524および支持ローラー525は、ラックピニオン構造及び平滑面の圧接構造によって円形脚524L,525Lを支えながら回転板521を平面回転駆動させる。
【0070】
〔抵抗型電気炉5の形態2(実施例2)〕
上記実施例1の抵抗型電気炉5に代えて、実施例2(図7〜図9)においては、外誘導壁511aと内誘導壁511bとからなる2片の屈曲板状の誘導壁511が、共に炉室51の円筒枠510の上面から吊り下げ固定される。これも実施例1と同様、基盤52が回転することで固定配置された誘導壁511に押されて路盤52上の半焼成片O4が排出孔5hまで周回渦状経路に沿って誘導される(図9)。基盤52は円形平面を有する回転板521の周囲に沿って上外枠522が円形筒状に立設し、上外枠522と平面視同一形状に下外枠523が下方に伸び、そこから外側へ断面視U字状の枠を形成している。この下外枠523内にサンドシール砂5sが充填されると共に炉室51の下外枠513が突入してサンドシール構造が形成される。
【0071】
〔抵抗型電気炉5の形態3(実施例3)〕
実施例3(図10〜図13)においては、抵抗型電気炉5として、中央に排出孔5hが形成された円環状の回転移動床式炉を採用している。具体的には平面視円形経路状の基盤52の両側壁部と天井部を覆って炉室51が形成され、この炉室51内で半焼成片O4が円形経路に沿って移動する仕組みとなっている(図13)。貝類の焼成炉として平面視真円形状の移動床式の炉体であり、連続運転可能な抵抗型の電気炉として構成することで、均等に加熱処理を行うとともに連続的な処理を可能としている。
【0072】
(抵抗型電気炉5の具体的構成)
実施例3の抵抗型電気炉5は図13に示すように、半焼成片O4を投入する投入管50と、投入管50に一端付近の天井部で連結され、所定の平面経路状に形成された炉室51と、多数の基盤プレート520がコンベア状に連結されて前記所定の平面経路状に形成された基盤52と、対象物を載置した基盤52を動力牽引して炉室内を所定の経路状に水平移動させる牽引手段とを具備する。炉室51及び基盤52は共に、耐熱炉材を主構成材とする耐火煉瓦からなる。抵抗型電気炉5の下方の排出先には冷却貯留ホッパー6を配置しており、その間を密閉管でパイプ連結している。
【0073】
(炉室51)
炉室51は基盤52の両側面及び天井面の周囲三面を覆う。基端側の天井に設けられた上部接続口501から排出板54の手前部分の排出孔5hまで、基盤52に沿って平面視円形状に伸びる。炉室51は排出板54の部分のみ区切られた部分円形状となっており、先端が排出孔5hとなっている。
【0074】
排出板54は水平に配置された円柱状の軸体周りに等間隔に複数枚が放射固定される。軸体は間欠時間ごとに回転することで、焼成後の酸化カルシウムO5を平面視円形経路よりも平面視内側の排出孔5h内に払い落とす。
【0075】
(牽引手段)
牽引手段は、半焼成片の入口部である上部接続口501付近から出口部である排出孔5hまで、基盤52上の半焼成片を、時間をかけて円形経路に沿って移動(周回移動)させる。平面視円形経路状に移動させ、経路方向の変化に伴って配置角度を変えながら焼成させることで、対象物の周囲を均等に加熱して酸化カルシウムO5を確実に得る。
【0076】
〔抵抗型電気炉5の形態4(実施例4)〕
上記実施例3の抵抗型電気炉5に代えて、実施例4(図14)においては、中央に排出孔5hが形成された略長円の環状回転移動床式炉を採用している。具体的には平面視円形経路状の基盤52の両側壁部と天井部を覆って炉室51が形成され、この炉室51内で半焼成片O4が円形経路に沿って移動し、レーキ状のスクレーパー54が水平移動することで終位置の半焼成片O4を排出孔5h内に押し出して排出する仕組みとなっている(図14)。貝類の焼成炉として平面視略長円形状あるいは往復経路状の移動床式の炉体となっており、連続運転可能な抵抗型の電気炉としてコンパクトに構成され、長時間の加熱処理を効率的に行うとともに炉内経路を部分的に分けた段階的な加熱処理を可能としている。
【0077】
(炉内温度の変更と速度調整)
抵抗型電気炉5は、電圧変位によって炉内温度を1000℃〜1500℃の間で調節する温度調節手段と、牽引手段の牽引速度を調節する牽引速度調節手段とを具備している。これら2手段を適宜組み合わせて使用する。温度調節手段による炉内温度の変更と、牽引速度調節手段による速度の変更とを組み合わせると、抵抗型電気炉5の処理能力に幅を持たせることができる。
炉室51から排出された酸化カルシウムO5は抵抗型電気炉5の平面視円形経路の炉室51の円形中央位置下方に設けられた、すり鉢状の収集器54によって収集される。収集器54は最下部が開口され、下方の冷却貯留ホッパー6にパイプ連結される。
【0078】
(冷却貯留ホッパー6)
冷却貯留ホッパー6は、収集器53から連結パイプC5によってパイプ連結される。と共に天井を有して略密閉された粉貯留装置であって、本システムの抵抗型電気炉5までの工程で得られた酸化カルシウムO5を貯留しながら常温まで冷却する冷却貯留工程を行う。冷却貯留ホッパー6は具体的には図3に示すように、抵抗型電気炉5の平面視円形経路の円内または円外の下方に配置されており、縦型円筒形状の本体貯留部61と、冷却貯留ホッパー6の外部に設けられ、貯留部61の外側面に連通された冷却器62とを具備し、酸化カルシウムO5を本体貯留部61内に貯留しながら貯留部61内へ常に冷却風を拭き込んでいる。平面視円形経路の円内下方に配置され、図3のように抵抗型電気炉5と上下に一体的に配置されることでコンパクトに構成される。なお図3のように、本体貯留部61の内部には攪拌板63を備え、鉛直軸の攪拌板63によって内部攪拌しながら貯留するものとしてもよい。
【0079】
縦型円筒状の排出ノズル64には排出バルブ65が介設されており、排出バルブ65は、貯留部60への貯留量が所定値を超えたとき、かつ下方排出孔5h64付近の貯留物が所定の温度以下になったときに自動的に開くものとしている。
【0080】
冷却貯留ホッパー6の側部上方よりの位置には、ファン及び熱交換器を内蔵した冷却器63がダクト連結されており、冷却器63で発生させた冷風をダクト連結部から吹き込むことによって、本体貯留部61内に貯留した酸化カルシウムO5を常温まで冷却する。貯留状態で常温まで冷却させることで、その後の袋詰め工程で収容袋Pが熱変性することなく、袋詰めを安全に行うことができる。
【0081】
(袋詰め装置7)
袋詰め装置7は、冷却貯留工程で貯留され、冷却された酸化カルシウムO5を所定量ずつ収容袋P内に袋詰めして運搬可能な状態とする装置であり、本装置によって袋詰め工程が行われる。図4に示すように収容袋Pの口部を一枚ずつ引き上げる引き上げ手段71と、引き上げた収容袋Pの口部内で水平の環状に広がることで、収容袋を開口した状態で吊下げ保持する帯板状の開口保持手段72と、開口保持手段で開口した収容袋内に、粉状の酸化カルシウムO5を上部から押し出して落下させる供給手段73と、複数の開口保持手段を収容袋と共につり下げたまま運搬する運搬手段74と、収容後の収容袋の口部の両外側に対向して一対設けられた水平棒状体のシーラー75とを具備してなり、
シーラー75は、酸化カルシウムO5収容後の収容袋Pの口部を袋内の開口保持手段72と共に外側の対向両面から押しつぶして閉口させ、開口保持手段72を抜き取ったのちに加熱して収容袋Pを密閉し、密閉袋P2とする。密閉袋P2は最終コンベアC6で運搬される。
【0082】
(貝類の処理工程)
本実施例の処理システムによる貝類の処理方法として、下記(a)ないし(f)の工程を順に挙げることができる。
(a)原料貝類O1を洗浄液Wで洗うことで付着塩類を除去して脱塩貝類O2を得る脱塩洗浄工程
(b)脱塩貝類O2を粗砕して粗砕O3を得る粗砕工程
(c)粗砕片O3を加熱乾燥させて半焼成片O4を得る予熱乾燥工程
(d)電気炉の炉室51内に備えた移動床式の基盤52上で、半焼成片O4を略円形経路に沿って移動させることで焼成し、酸化カルシウムO5を得る電気焼成工程
(e)得られた酸化カルシウムを天井付きの冷却貯留ホッパー6内に貯留しながら冷風を吹き付けて冷却する冷却貯留工程
(f)冷却貯留工程を経て冷却された酸化カルシウムO5を必要量ずつ収容袋P内に収容して収容袋Pを密閉する袋詰め工程
このうち少なくとも、(a)脱塩洗浄工程、(b)粗砕工程、(c)予熱乾燥工程、および(d)電気焼成工程を順に備えることで連続的に酸化カルシウムO5を得ることができるが、その後の処理として(e)冷却貯留工程を備えること、あるいはさらに(f)袋詰め工程を備えることが好ましい。なお各工程を抽出して行うことも可能であるし、あるいは対象物によって(a)や(b)といった一部工程を省略すること、一部工程のみを複数回繰り返して行うことも可能である。以下、各工程の意義について説明する。
【0083】
先ず(a)脱塩洗浄工程として、抵抗型電気炉5の損傷を最小限に留める為に、原料貝類O1に含まれる塩分を落とす必要が有る。よって最初の工程として脱塩洗浄装置1の設置による脱塩洗浄工程が必要であり、本装置によって原料貝類O1の脱塩洗浄を行う。
【0084】
(b)次に粗砕工程として、運転中の抵抗型電気炉5内での支障を未然に防ぐため、様々な大きさ、形状の貝類(特に洗浄貝類O2)を出来るだけ均一に熱処理すべく、抵抗型電気炉5の炉内へ入れる際に均一な大きさ、形状にしておく必要がある。よって貝類を粗く砕く粗砕装置3にかけ、大きさを揃える粗砕行程が必要となる。又この粗砕装置3を通すことで、脱塩洗浄工程を経た貝類の脱水工程も同時に行うことができる。
【0085】
(c)次に予熱乾燥工程として、粗砕装置3を通って来た貝類を加熱乾燥装置4によって乾燥させ、予熱する必要がある。本炉である抵抗型電気炉5に入れる前の前処理工程として加熱乾燥装置4の予熱乾燥工程を行う。本装置によって約600℃前後の温度で乾燥処理することで熱効率が向上し、本炉(抵抗型電気炉5)での熱処理時間の短縮に繋がる。つまり加熱乾燥装置4による加熱乾燥は処理能力を上げる為の大切な行程である。この加熱乾燥装置4も電気炉とする。
【0086】
(d)そして電気焼成工程として、本炉である抵抗型電気炉5において、1000℃〜1600℃の範囲内で焼成する電気焼成工程を経る。これ以上の温度になると溶融の世界に入ってしまい、この範囲以下だと焼却炉の世界となり物性を変えることが出来ない。
【0087】
(e)その後の冷却貯留工程として、電気焼成工程によって焼成されて得た酸化カルシウムO5は高温の為、容器に溜めて貯留する貯留工程、及び容器内にて冷却器を有して常温まで冷ます冷却工程の必要がある。実施例ではこれを冷却貯留ホッパー6によって、冷却貯留工程として行っている。
【0088】
(f)そして最後の袋詰め工程として、出来上がった酸化カルシウムO5は性質上吸湿性が高い事や、安全衛生法等によって規制対象となる為に速やかに樹脂製の袋に袋詰めしなければならない。この為に袋詰め装置7による袋詰め工程を必要とする。
【0089】
以上6行程を順番に具備することをもって本プラントの処理方法の一実施例とする。但し、粗砕工程で脱水工程を兼ねることなく、予熱乾燥工程で脱水を行うもの、或いは運搬中に脱水工程を行うものとしても良い。他に、袋詰め工程を除いた場合でも原料貝類O1から酸化カルシウムO5を得ることができ、酸化カルシウムO5の処理方法によっては貝類の処理方法として成立する場合がある。また他に、淡水の貝類を処理する場合にも用いることができ、この場合には脱塩洗浄装置1による脱塩洗浄工程を除いて、少なくとも粗砕装置3による粗砕工程ないし抵抗型電気炉5による電気焼成工程までを順に備えた処理方法となる。
【0090】
(実施例のプラントの作用)
本実施例の貝類の処理システムは、貝類を原料として連続処理可能なプラントであり、原料貝類O1を電気炉で1000℃以上の熱処理を施して処理(焼成)し、酸化カルシウムO5を得るものとなっている。また本炉として、複雑な設備が必要とならない抵抗型電気炉5によって円形経路状に移動させながら加熱処理することで、温度低下や多量の二酸化炭素の排出を伴うことなく、効率的に連続処理を行うことができ、また長時間にわたって自動運転することができる。特に脱塩洗浄装置1から抵抗型電気炉5までが組み合わされた装置群においては、貝類を対象としたことで、産業廃棄物の排出されない最終処分炉であると共に、酸化カルシウムO5を連続焼成する焼成炉となっている。
【0091】
なお本処理システムは、海産の貝類のほか、海産の介類(貝のほか甲殻類、亀を含む)を処理対象物として使用することができる。また火力発電所や原子力発電所をはじめとする大型設備や海水使用施設、海洋構造物で使用することができる。
【0092】
このうち、特に蒸気を真水に戻すための復水器を含む設備、装置においては、多量の冷却用水を必要とし、この冷却用水として、海水を海水路によって引き込んで使用する場合がある。本処理システムはこのような設備等に組み込んで使用することが出来る。すなわちこのような設備等では、海水に含まれる貝類が海水路の壁面等に付着して、連続運転時間後には貝類が幾重にも積み重なった状態となり、やがて積み重なった下層部分からはがれ落ちる。これによって貝類が海水路の底に溜まったり機械設備の目的を損なわせたりするのを防ぐため、本発明の処理システムを組み込んだ設備にすることが好ましい。
【0093】
また、酸化カルシウムO5を電気的に焼成する処理システムであり、最終処分炉を含むシステムでありながら産業廃棄物は排出されない。この様に廃棄物ではなくなり産業資源の一つに成り得ることによりこれまで掛かっていた産廃費用が不要となる。従来のように廃棄物として処分するのではなく、廃棄物を工夫する事により廃棄物ではない物性に変え自然に戻すことで環境への負担を減少させるものとなっている。
【0094】
(焼成試験)
本発明の貝類処理方法の効果を確認すべく、実際の貝類又は介類に本発明の各工程を施した焼成試験を行った。テスト貝殻として、ヘドロ、カラス・ムラサキ貝、カキ、フジツボの4種類を用意した。ただしいずれも身を取り除いたものを使用した。搬送速度1667mm/hで、300度の予熱と800度の本炉焼成による第一回路、並びに500度の予熱と1000度の本炉焼成による第二回路の2種類で行った。その結果第二回路のほうが良好な処理が行えることがわかった。
【0095】
試験によって、フジツボは粗砕を行わなければ、1000度の焼却温度設定においても300度付近まで加熱されたときに爆発して飛散することがわかった。そこで最大長1cm以下となるまで砕いた後、500度で予熱乾燥させてから本炉で1000度条件で焼成した。カキは爆発は起こさないものの、小片になって飛散することがわかった。
テスト焼成後の嵩比重測定の結果及び重量変化測定の結果を下記に示す。
【0096】
【表1】
【0097】
【表2】
【0098】
又焼成物の成分分析結果を下記に示す。
【0099】
【表3】
【0100】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0101】
本処理システムによる焼成物は酸化カルシウムと成る。これをそのまま自然に戻すことのほか、その滅菌効果によって医療関係に使用すること、食品、飼料、ペットフードの添加剤、土壌改良肥料、凍結防止材として使用すること、強アルカリ溶液として洗剤として使用することができる。
【0102】
本発明の構成は以上であるが、本処理システムは上述の実施例に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成要素の抽出、一部構成要素の削除、代替構成への置換、対象物の変更、大きさや時間、運転速度の調整といった各種変更を行うことができる。本発明はこれらの変更後の処理システムを含む。
【符号の説明】
【0103】
1 脱塩洗浄装置
10 筒状容体
103 排水口
104 排給口
105 モーター
11 原料ホッパー
12 スクリュー羽根
121 連接板
13 噴射ノズル
2 脱塩物貯留ホッパー
21 取り込み口
22 排出バルブ
23 排出ノズル
3 粗砕装置
31 投入枠
32 ローラー
33 モーター
4 加熱乾燥装置
41 第一列乾燥装置
42 第二列乾燥装置
43 併合ホッパー
44 第一調整タンク
45 第二調整タンク
5 抵抗型電気炉
5h 排出孔
501投入口
51 炉室
511誘導壁
52 基盤
53 収集器
54 スクレーパー
55連結内枠
56連結外枠
6 冷却貯留ホッパー
61 本体貯留部
62 冷却器
63 回転羽根
64 排出ノズル
65 排出バルブ
7 袋詰め装置
71 引き上げ手段
72 開口保持手段
73 供給手段
74 運搬手段
75 シーラー
C 連結部
C1乾燥コンベア
C21第一列コンベア
C22第二列コンベア
C5 連通パイプ
F ファン
O 貝類
P 収容袋
W 洗浄水
【特許請求の範囲】
【請求項1】
海産の原料貝類を連続的に処理して酸化カルシウムを得る貝類の処理方法であって、少なくとも、原料貝類を洗浄液で洗うことで付着塩類を除去して脱塩貝類を得る脱塩洗浄工程と、脱塩貝類を粗砕して粗砕を得る粗砕工程と、粗砕片を加熱乾燥させて半焼成片を得る予熱乾燥工程と、電気炉の炉室内に備えた移動床式の基盤上で、半焼成片を所定の経路に沿って周方向に移動させながら焼成し、酸化カルシウムを得る電気焼成工程を順に具備することを特徴とする貝類の処理方法。
【請求項2】
請求項1記載の貝類の処理方法を行う貝類の処理プラントであって、少なくとも、
原料貝類を洗浄液Wで洗うことで付着塩類を除去して脱塩貝類を得る脱塩洗浄装置と、
脱塩貝類を粗砕して粗砕片を得る粗砕装置と、
粗砕片を加熱乾燥させて半焼成片を得る加熱乾燥装置と、
平面視略円形経路に沿って伸びる炉室内に備えた移動床式の基盤上で、半焼成片を所定の運搬経路に沿って運搬しながら焼成し、酸化カルシウムを得ると共にそれ以外の構成材を焼却する抵抗型電気炉とを具備し、
各装置間に、対象物を貯留するホッパーと、隣接装置間で連続運搬動作する運搬手段と、ホッパーから運搬手段への供給を制御する供給制御装置とを備え、
各装置および運搬手段を連続運転しながら供給制御装置でホッパーから対象物量を制御しながら供給することで、貝類処理システム全体での連続処理を行うことを特徴とする貝類処理システム。
【請求項3】
抵抗型電気炉が密閉炉からなると共に、加熱乾燥装置との間を密閉管で連結すると共に第一、第二の2つの貯留タンクを介在させたものとし、
前記第一貯留タンクと第二貯留タンクには、それぞれの排出口に第一、第二電磁弁を介設しており、両電磁弁のうち必ず一方が閉じた状態でしか他方が開かないように制御されてなる請求項2記載の貝類処理システム。
【請求項4】
抵抗型電気炉の炉室の平面視円形経路の円内または円外の下方に、炉室から排出された酸化カルシウムを収集して貯留し、この貯留した状態で冷却する冷却貯留ホッパーを具備し、この冷却貯留ホッパーにて貯留した酸化カルシウムを常温にまで冷却する請求項2又は3記載の貝類処理システム。
【請求項5】
抵抗型電気炉が、
耐熱炉材を主構成材として内部に電熱線が配された炉室と、
炉室の床部を構成し、平面視回転移動する移動床式の基盤と、
炉室内の基盤上に焼却前の半焼成片を投入する投入口と、
焼却後の酸化カルシウム及び構成材を基盤上から排出する排出口と、
炉室内の上方又は側方から固定されて基盤上の半焼成片を排出口まで導く誘導板とを具備し、
固定された誘導板の下で基盤が回転することで、投入口から基盤上に投入された半焼成片が、炉室内で焼成されながら誘導板によって所定の平面経路に沿って排出口まで誘導進行される請求項2乃至4のいずれか記載の貝類処理システム。
【請求項6】
投入口による基盤への投入部が、基盤の平面一端縁付近にあり、
排出口を有する基盤からの排出部が、基盤中央の回転軸付近にあり、
また誘導板によって形成される電気炉の所定の平面経路が、前記投入部から基盤上を周回しながら排出部に向かう周回渦状の経路である請求項2乃至5のいずれか記載の貝類処理システム。
【請求項7】
粗砕装置は、表面に複数の突起部がそれぞれ固設された一対または複数対のローラーを各対にて並行軸状に配置してなり、各ローラーを回転駆動させながら、各対のローラー間に脱塩貝類を通すことで、所定以下の大きさに粗砕すると共に、脱塩貝類に付着した水分を落とす請求項2乃至6のいずれか記載の貝類処理システム。
【請求項8】
電気炉によって得た酸化カルシウムを収集して収容袋内に密封する袋詰め装置を備えてなり、この袋詰め装置は、一枚ずつ引き上げた収容袋の口部内で環状に広がることで、収容袋を開口した状態で吊下げ保持する帯板状の開口保持手段と、開口保持手段で開口した収容袋内に酸化カルシウムを供給する供給手段と、収容後の収容袋の口部の両外側に対向して収容袋を挟むように設けられた一対の水平棒状体のシーラーとを具備してなり、
シーラーは、酸化カルシウム収容後の収容袋の口部を外側の対向両面から挟んで収容袋を閉口させ、開口保持手段を抜き取ったのちに加熱して収容袋を密閉するものである請求項2乃至7のいずれか記載の貝類処理システム。
【請求項9】
脱塩洗浄装置は、上部の拡径した投入口から海水つきの貝類を収容し、下部の排出口から排出する筒状の原料ホッパーと、原料ホッパーの下方の下連通部に連通し、この下連通部から斜め上方へ伸長する内部空間を有した筒状容体と、筒状容体の伸長方向に沿って軸設された軸周りにらせん状に回転可能に形成され、回転駆動されることで貝類を軸方向に運搬するスクリュー羽根と、筒状容体内の下連通部よりも上方の天井部に配置されて内部に洗浄水を噴射する複数の噴射ノズルとを備えてなり、
筒状容体は、下連通部よりも下方の底部に設けられ、筒状容体内の水を排出する排水口と、筒状容体内の上方の伸長先に設けられ、容体内の貝類を外部へ排給する排給口を備え、
噴射ノズルから噴射される洗浄水量と排水口からの排水量の自動調整によって、内部空間内に洗浄水を一定範囲の水位に保持するものであり、
貯留ホッパーから供給された海水付きの貝類を筒状容体内の洗浄水内に浸漬させて伸長方向上方へ回転させながら運搬し、この運搬した浸漬後の貝類を、洗浄水の水面上方にて噴射ノズルによって洗浄したのちに、排給口から外部へ排給する請求項2乃至8のいずれか記載の貝類処理システム。
【請求項1】
海産の原料貝類を連続的に処理して酸化カルシウムを得る貝類の処理方法であって、少なくとも、原料貝類を洗浄液で洗うことで付着塩類を除去して脱塩貝類を得る脱塩洗浄工程と、脱塩貝類を粗砕して粗砕を得る粗砕工程と、粗砕片を加熱乾燥させて半焼成片を得る予熱乾燥工程と、電気炉の炉室内に備えた移動床式の基盤上で、半焼成片を所定の経路に沿って周方向に移動させながら焼成し、酸化カルシウムを得る電気焼成工程を順に具備することを特徴とする貝類の処理方法。
【請求項2】
請求項1記載の貝類の処理方法を行う貝類の処理プラントであって、少なくとも、
原料貝類を洗浄液Wで洗うことで付着塩類を除去して脱塩貝類を得る脱塩洗浄装置と、
脱塩貝類を粗砕して粗砕片を得る粗砕装置と、
粗砕片を加熱乾燥させて半焼成片を得る加熱乾燥装置と、
平面視略円形経路に沿って伸びる炉室内に備えた移動床式の基盤上で、半焼成片を所定の運搬経路に沿って運搬しながら焼成し、酸化カルシウムを得ると共にそれ以外の構成材を焼却する抵抗型電気炉とを具備し、
各装置間に、対象物を貯留するホッパーと、隣接装置間で連続運搬動作する運搬手段と、ホッパーから運搬手段への供給を制御する供給制御装置とを備え、
各装置および運搬手段を連続運転しながら供給制御装置でホッパーから対象物量を制御しながら供給することで、貝類処理システム全体での連続処理を行うことを特徴とする貝類処理システム。
【請求項3】
抵抗型電気炉が密閉炉からなると共に、加熱乾燥装置との間を密閉管で連結すると共に第一、第二の2つの貯留タンクを介在させたものとし、
前記第一貯留タンクと第二貯留タンクには、それぞれの排出口に第一、第二電磁弁を介設しており、両電磁弁のうち必ず一方が閉じた状態でしか他方が開かないように制御されてなる請求項2記載の貝類処理システム。
【請求項4】
抵抗型電気炉の炉室の平面視円形経路の円内または円外の下方に、炉室から排出された酸化カルシウムを収集して貯留し、この貯留した状態で冷却する冷却貯留ホッパーを具備し、この冷却貯留ホッパーにて貯留した酸化カルシウムを常温にまで冷却する請求項2又は3記載の貝類処理システム。
【請求項5】
抵抗型電気炉が、
耐熱炉材を主構成材として内部に電熱線が配された炉室と、
炉室の床部を構成し、平面視回転移動する移動床式の基盤と、
炉室内の基盤上に焼却前の半焼成片を投入する投入口と、
焼却後の酸化カルシウム及び構成材を基盤上から排出する排出口と、
炉室内の上方又は側方から固定されて基盤上の半焼成片を排出口まで導く誘導板とを具備し、
固定された誘導板の下で基盤が回転することで、投入口から基盤上に投入された半焼成片が、炉室内で焼成されながら誘導板によって所定の平面経路に沿って排出口まで誘導進行される請求項2乃至4のいずれか記載の貝類処理システム。
【請求項6】
投入口による基盤への投入部が、基盤の平面一端縁付近にあり、
排出口を有する基盤からの排出部が、基盤中央の回転軸付近にあり、
また誘導板によって形成される電気炉の所定の平面経路が、前記投入部から基盤上を周回しながら排出部に向かう周回渦状の経路である請求項2乃至5のいずれか記載の貝類処理システム。
【請求項7】
粗砕装置は、表面に複数の突起部がそれぞれ固設された一対または複数対のローラーを各対にて並行軸状に配置してなり、各ローラーを回転駆動させながら、各対のローラー間に脱塩貝類を通すことで、所定以下の大きさに粗砕すると共に、脱塩貝類に付着した水分を落とす請求項2乃至6のいずれか記載の貝類処理システム。
【請求項8】
電気炉によって得た酸化カルシウムを収集して収容袋内に密封する袋詰め装置を備えてなり、この袋詰め装置は、一枚ずつ引き上げた収容袋の口部内で環状に広がることで、収容袋を開口した状態で吊下げ保持する帯板状の開口保持手段と、開口保持手段で開口した収容袋内に酸化カルシウムを供給する供給手段と、収容後の収容袋の口部の両外側に対向して収容袋を挟むように設けられた一対の水平棒状体のシーラーとを具備してなり、
シーラーは、酸化カルシウム収容後の収容袋の口部を外側の対向両面から挟んで収容袋を閉口させ、開口保持手段を抜き取ったのちに加熱して収容袋を密閉するものである請求項2乃至7のいずれか記載の貝類処理システム。
【請求項9】
脱塩洗浄装置は、上部の拡径した投入口から海水つきの貝類を収容し、下部の排出口から排出する筒状の原料ホッパーと、原料ホッパーの下方の下連通部に連通し、この下連通部から斜め上方へ伸長する内部空間を有した筒状容体と、筒状容体の伸長方向に沿って軸設された軸周りにらせん状に回転可能に形成され、回転駆動されることで貝類を軸方向に運搬するスクリュー羽根と、筒状容体内の下連通部よりも上方の天井部に配置されて内部に洗浄水を噴射する複数の噴射ノズルとを備えてなり、
筒状容体は、下連通部よりも下方の底部に設けられ、筒状容体内の水を排出する排水口と、筒状容体内の上方の伸長先に設けられ、容体内の貝類を外部へ排給する排給口を備え、
噴射ノズルから噴射される洗浄水量と排水口からの排水量の自動調整によって、内部空間内に洗浄水を一定範囲の水位に保持するものであり、
貯留ホッパーから供給された海水付きの貝類を筒状容体内の洗浄水内に浸漬させて伸長方向上方へ回転させながら運搬し、この運搬した浸漬後の貝類を、洗浄水の水面上方にて噴射ノズルによって洗浄したのちに、排給口から外部へ排給する請求項2乃至8のいずれか記載の貝類処理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−163351(P2010−163351A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2009−156448(P2009−156448)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(599068245)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−156448(P2009−156448)
【出願日】平成21年6月30日(2009.6.30)
【出願人】(599068245)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]