説明

貝類取り出し方法と取り出し装置

【課題】本願発明の課題は、養殖用カゴから貝類を取り出す作業を自動化し、作業員を過酷な労働から解放するとともに、貝類の取り出し作業を迅速化する貝類取り出し装置を提供することにある。
【解決手段】本願発明の貝類取り出し方法及び貝類取り出し装置は、貝類を取り出す出し入れ口を備えた貝類の養殖用カゴから貝類を取り出し可能な貝類取り出し装置であって、前記養殖用カゴの一部を把持してこの養殖用カゴを搬送する搬送体を備え、搬送中の前記養殖用カゴの出し入れ口から貝類を落下させて取り出すものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、帆立貝、あこや貝、牡蠣、真珠貝、その他の貝(以下、「貝類」という。)といった貝類を養殖用カゴ内に収めて海中に吊るすカゴ養殖において、養殖用カゴを海中から引き揚げてこの養殖用カゴから貝類を取り出す方法と取り出し装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
貝類を養殖する場合、貝類を養殖用カゴ内に収めて海中に吊るすカゴ養殖と、耳吊り養殖が代表的な垂下養殖による養殖方法である。このカゴ養殖とは、後に詳しく説明する略四角錐の形状のカゴ(「座布団カゴ」ともいわれる。)や、複数の円形枠に平行に配置しこれらをネットでつないだ丸カゴ(「提灯カゴ」ともいわれる。)の中に貝類を入れて、これら座布団カゴや提灯カゴなど(以下、これらをまとめて「養殖用カゴ」という。)を付けたロープを海中に吊下げて養殖する方法である。また、耳吊り養殖とはロープに差し込んだ樹脂製の貝係止具やテグスを貝類に開けた孔に通し、貝類の付いたロープを海中に吊下げて養殖する方法である。貝類はカゴ養殖によってある程度成長させた状態で養殖用カゴから取り出して出荷されるか、カゴ養殖で成長させた貝類を養殖用カゴから取り出し、さらに耳吊り養殖で十分成長させた状態で海中から引き揚げて出荷されている。つまり、カゴ養殖は前記いずれの場合でも採用される養殖方法である。
【0003】
養殖用カゴ1のひとつである前記座布団カゴの一例を図1に示す。この養殖用カゴ1は、吊り紐(通常、樹脂製ロープ)1cを上下に引くと略四角錐の形状(ピラミッド形)をしており、防食加工された金属線材で方形の枠体1aを作り、それに金属線材の補強材1eを十字状に組み合わせて補強した枠体1aの外周にネット1bを張って、ネット1bの内側に貝類を収容する空間を形成し、枠体の中心(十字状の補強材1eの中央)に吊り紐(通常、樹脂製ロープ)1cを結び、その吊り紐1cの上側を補強ネット1bの中央部に結び、下側を十字状の補強材1eの中央に結んで下方に引き出してあり、使用時に吊り紐1cの上側を上方に引くと、四角形の枠体を底面Aとするピラミッド形となるものが一般的である。ネット1bの底面Aから頂部Cに向かう4つの稜線のうち一つの稜線上に貝類を出し入れするための出し入れ口1dが設けられている。
【0004】
カゴ養殖は、図13に示すように、予め、養殖用カゴ1の吊り紐1cを縦に繋いで多数の養殖用カゴ1を縦に連結しておき、その縦連結された養殖用カゴ1の最上段の養殖用カゴ1の吊り紐1cを、浮き玉を付けて海上に浮かせた幹ロープRに多数列繋ぐことによって養殖用カゴ1を海中に吊下げ、養殖用カゴ1内の貝類を海で養殖する方法である。海中の養殖用カゴ1は底面Aが水平姿勢となるように吊下げられて養殖される。
【0005】
カゴ養殖では出荷前に養殖用カゴ1から貝類を取り出すだけでなく、成長を促進するため定期的に貝類を洗浄・選別する必要があり、洗浄・選別を行うたびに養殖用カゴ1から貝類を取り出している。従来、養殖用カゴ1から貝類を取り出す場合、一旦、船S(図13)のデッキ付近まで幹ロープRを持ち上げ、各列の養殖用カゴ1を幹ロープRから外して、船Sのデッキ上まで引き揚げ、養殖用カゴ1を一つずつ手で持って上下逆さ(出し入れ口1dを下)にし、養殖用カゴ1を振って貝類を出し入れ口1dから出していた。この作業は腰を曲げた無理な姿勢で長時間行われるため過酷な重労働であり、特に、冬季の作業となると手指が傷つくこともあり、さらにその過酷さが増していた。また、貝類表面に海中での養殖中に海草や汚れが付着するため、貝類が網に引っ掛かって養殖用カゴ1から出にくいという問題もあった。
【0006】
しかし、これまで、養殖用カゴ1から貝類を取り出す作業を自動化する装置が提案されたことはなく、むしろ特許文献1のように養殖用カゴを海中から引き揚げるための装置に関する提案が多かった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】実開平5−43853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1は、養殖用カゴを引き揚げる装置の回転ドラム表面に複数の凹部を設けて、吊索と回転ドラム表面との間で適度な摩擦力を得るとともに、作業時に作業員の指詰め事故などを未然に防止することを目的に提案された技術である。このように、養殖用カゴを海中から引き揚げるための装置に関する提案はあっても、養殖用カゴから貝類を取り出す装置に関する提案はこれまでされてこなかった。
【0009】
本願発明の課題は、養殖用カゴから貝類を取り出す作業を自動化し、貝類の取り出し作業を迅速化し、作業員を過酷な労働から解放することのできる貝類取り出し方法と取り出し装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願発明の貝類取り出し方法は、養殖中の貝類養殖用カゴを引き揚げ機により海中から船上に連続的に引き揚げ、引き揚げた養殖用カゴの底を上、出し入れ口側が下となるように自動的に反転させ、養殖用カゴを反転状態で搬送し、搬送中に養殖用カゴを自動的に揺動(振動)させて、養殖用カゴ内の貝類を出し入れ口から自動的に落下させる(取り出す)方法である。この場合、養殖用カゴの出し入れ口から貝類を取り出し易くするために、養殖用カゴの搬送中に養殖用カゴに液体、又は気体、又は気体が混入した液体を噴射して、養殖用カゴ内の貝類を出し入れ口側に寄せることも、搬送中の養殖用カゴの頂部に接触する支持体によって養殖用カゴを持ち上げて、養殖用カゴの出し入れ口を広げることもできる。また、出し入れ口から自動的に落下する貝類を選別機に投入してサイズ別に選別することもできる。
【0011】
本願発明の貝類取り出し装置は、貝類を取り出す取り出し口を備えた貝類の養殖用カゴから貝類を取り出し可能な貝類取り出し装置であって、前記養殖用カゴの一部を把持して養殖用カゴを搬送する搬送体を備え、搬送中の前記養殖用カゴの出し入れ口から貝類を取り出すものである。
【0012】
本願発明の貝類取り出し装置は、前記貝類取り出し装置において、搬送中の養殖用カゴを揺動させる揺動手段を備え、搬送中の前記養殖用カゴの出し入れ口から貝類を取り出すこともできる。前記揺動手段は、搬送体を揺動させることによって搬送中の前記養殖用カゴを揺動させるものであっても、搬送体で搬送される養殖用カゴの搬送路内に配置された接触壁であり、前記接触壁が搬送中の前記養殖用カゴの一部に接触することで、搬送中の前記養殖用カゴが回転し、この回転によって搬送中の前記養殖用カゴを揺動させるものであってもよい。
【0013】
本願発明の貝類取り出し装置は、前記貝類取り出し装置において、搬送体の下方に、1又は2以上の篩を備え、前記篩は、養殖用カゴの搬送方向に向けて下り傾斜で配置され、当該篩の孔を通過しない貝類は篩上を養殖用カゴの搬送方向に向けて移動させることもできる。
【0014】
本願発明の貝類取り出し装置は、前記貝類取り出し装置において、搬送体が上部搬送体及び下部搬送体からなり、この上部搬送体と下部搬送体は隙間を設けて上下に重ねられて配置され、養殖用カゴの一部が、前記隙間に挿入されるとともに前記上部搬送体と前記下部搬送体で挟持された状態で、養殖用カゴが搬送されるものとすることもできる。この場合、上部搬送体は、1又は2以上の無端搬送体、又は搬送方向に複数のローラーが並べられたローラー搬送体とし、下部搬送体は、1又は2以上の無端搬送体、又は搬送方向に複数のローラーが並べられたローラー搬送体とすることもできる。さらにこの場合、搬送体の入り口部における上部搬送体及び下部搬送体からなる隙間が、搬送体の他の位置の隙間よりも大きくすることもできる。
【0015】
本願発明の貝類取り出し装置は、前記貝類取り出し装置において、搬送体の下方に、搬送方向に連続して又は断続的に設置される支持体を備え、前記支持体は、その上面が搬送中の養殖用カゴの底部に接触する位置となるように配置され、前記養殖用カゴは、その底部が前記支持体によって持ち上げられた状態で搬送されるものとすることができる。この場合、支持体を揺動させることによって搬送中の養殖用カゴを揺動させ、搬送中の前記養殖用カゴの出し入れ口から貝類を取り出すこともできる。
【0016】
本願発明の貝類取り出し装置は、貝類を取り出す出し入れ口を備えた貝類の養殖用カゴから貝類を取り出し可能な貝類取り出し装置であって、前記養殖用カゴを揺動させながら搬送する回転揺動体を備え、前記回転揺動体は、その外周に貝類の大きさよりも大きく前記養殖用カゴの幅よりも小さい寸法の開口部が設けられた中空の回転体と、この回転体を回転軸回りに回転させる回転手段と、回転体を揺動させる揺動手段を有し、前記養殖用カゴは、回転体の回転に伴い前記回転体の外周に沿って移動し、回転体の揺動によって養殖用カゴの中の貝類を回転体内に落下させて取り出すこともできる。この場合、養殖用カゴを回転体の外周面に押さえつけ、回転体の揺動を養殖用カゴに伝えやすくする抑え具を備えることもできるし、回転体の中に1又は2以上の篩を備え、前記篩は、回転軸と略平行で、回転体の内側から外側に向けて下り傾斜となるように配置され、当該篩の孔を通過しない貝類は篩上を回転揺動体の外側に向けて移動させることもできる。
【0017】
本願発明の貝類取り出し装置は、前記貝類取り出し装置において、養殖用カゴ内の貝類に向けて、液体、又は気体、又は気体を混入した液体を噴射可能な噴射手段を備え、搬送中の前記養殖用カゴ内の貝類を前記噴射手段によって移動させることで、前記養殖用カゴの出し入れ口から貝類を取り出すこともできる。この場合、噴射手段が、液体、又は気体、又は気体を混入した液体の噴射方向を変化させながら噴射可能とすることもできる。
【0018】
本願発明の貝類取り出し装置は、前記貝類取り出し装置において、噴射手段が、搬送体で搬送される養殖用カゴの上方又は/及び下方に設置され、上方に設置された前記噴射手段から搬送中の前記養殖用カゴに向けて、又は/及び下方に設置された前記噴射手段から搬送中の前記養殖用カゴに向けて、噴射可能とすることもできる。
【0019】
本願発明の貝類取り出し装置は、前記貝類取り出し装置において、噴射手段が、養殖用カゴの搬送方向上流側と下流側にそれぞれ設けられ、前記上流側の噴射手段は、下流側よりも高圧で噴射水量の少ないものとし、前記下流側の噴射手段は、上流側よりも低圧で噴射水量の多いものとすることもできる。
【0020】
本願発明の貝類取り出し装置は、前記貝類取り出し装置において、養殖用カゴを海中に吊り下げられた吊り紐を巻き上げる回転体を備え、前記回転体によって吊り紐を巻き上げることで海中から引き揚げられた養殖用カゴを搬送体へ送り出すこともできる。この場合、回転体が、その回転軸に対して略垂直に配置された回転羽を備え、この回転羽の一部に切り欠き部が設けられたものとすることもできる。
【0021】
本願発明の貝類取り出し装置は、前記貝類取り出し装置において、搬送体の周囲を覆う周壁と、この周壁の下部に取り付けられた複数の支持脚とを有する筐体を備え、前記支持脚には車輪が設けられ、前記貝類取り出し装置を構成する部材は、前記筐体に連結され、前記支持脚の車輪によって平面移動が可能なものである。
【発明の効果】
【0022】
本願発明の貝類取り出し方法及び貝類取り出し装置は次のような効果がある。
(1)養殖用カゴから貝類が自動的に落下する(取り出される)ため、迅速に貝類が取り出され、作業効率がよく、作業員が過酷な労働から解放される。
(2)搬送中の養殖用カゴを揺動する揺動手段を備えているので、貝類が養殖用カゴから確実に取り出される。
(3)搬送中の養殖用カゴ内の貝類に向けて、液体等を噴射する噴射手段備えているので、養殖用カゴ内の貝類が出し入れ口側に移動されて確実に取り出される。
(4)噴射手段の噴射方向を、養殖用カゴ内の貝類を出し入れ口側に移動させることができる方向に変化させることができるので、貝類が出し入れ口まで移動し易くなって、より確実に養殖用カゴから取り出される。
(5)搬送体の下方に篩を備えているので、貝類が養殖用カゴから取り出されると同時に、貝類の大きさ(サイズ)別に選別することができる。
(6)搬送体を上部搬送体及び下部搬送体の構成として、養殖用カゴの一部を両搬送体の間に確実に挟持できるようにしたので、養殖用カゴは揺動や噴射を受けても落下せず、貝類の取り出し作業がさらに確実となる。
(7)上部搬送体及び下部搬送体の入り口の隙間が搬送方向先方の隙間よりも大きいので、上部搬送体と下部搬送体の間に養殖用カゴの一部が導入され易くなる。
(8)搬送中の養殖用カゴを押し上げ、持ち上げ、開きのいずれか一又は二以上により出し入れ口を開く開口具を備えているので、下向きの出し入れ口が横に開き易くなって、貝類が養殖用カゴから落下し易くなる。
(9)海中に吊り下げられた養殖用カゴを引き揚げる引き揚げ機を備えているので、養殖用カゴの海中からの引き揚げから貝類の取り出しまでの一連の作業が自動的に容易かつ迅速に行われる。
(10)貝類取り出し装置全体を筐体に内蔵し、筐体に車輪を設けたので、貝類取り出し装置が移動し易くなって作業準備や作業終了後の片付けが容易かつ迅速にできる。特に、貝類取り出し作業中に、養殖用カゴを吊下げてある海の潮流の向きが変わっても、貝類取り出し装置を作業し易い向きに変えることができるので、貝類取り出し作業を中止することなく連続して行うことができ、作業性が良い。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】養殖用カゴを説明する斜視図。
【図2】本願発明の貝類取り出し装置を船上に設置した状態の側面図。
【図3】本願発明の貝類取り出し装置の平面概要図。
【図4】噴射手段が搬送中の養殖カゴ内の貝類に噴射する状況を示す側面図。
【図5】(a)、(b)は本願発明の貝類取り出し装置における選別機用スクリーンの孔径の異なる例を示す平面図。
【図6】(a)は本願発明の貝類取り出し装置を船上に設置した状態を示す平面図、(b)は(a)の状態から貝類取り出し装置の配置方向を変えた状態を示す平面図。
【図7】本願発明の貝類取り出し装置を船上に設置した他例を示す側面図。
【図8】上昇搬送体の詳細を示す説明図。
【図9】養殖用カゴの搬送路内に接触壁を配置した貝類取り出し装置を示す説明図。
【図10】噴射手段を搬送体の下方に設置した貝類取り出し装置を示す説明図。
【図11】本実施形態4の貝類取り出し装置を示す斜視図。
【図12】(a)は抑え具を備えた回転揺動体を示す側面図、(b)は抑え具の詳細図。
【図13】カゴ養殖の説明図。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(貝類取り出し方法の実施形態1)
本願発明の貝類取り出し方法は、図1に示すように、養殖のために、吊り紐1cで連結されて海中に吊り下げられた多数の貝類養殖用カゴ1を、引き揚げ機により海中から船上に連続的に引き揚げ、引き揚げた養殖用カゴ1の底が上、出し入れ口側が下となるように反転させ、養殖用カゴ1を反転状態で搬送し、搬送中に養殖用カゴ1を自動的に揺動させて、養殖用カゴ1内の貝類を出し入れ口から自動的に落下させる(取り出す)ようにした方法である。
【0025】
本願発明の貝類取り出し方法では、搬送中の養殖用カゴに液体又は気体又は気体混入液体を噴射して、養殖用カゴ内の貝類を出し入れ口側に寄せて、出し入れ口から貝類を出易くすることもできる。搬送中の養殖用カゴの出入り口側を押すか、持ち上げるか、開くかのいずれか一又は二以上の操作により、出し入れ口を広げて貝類を出易くすることもできる。これら操作は搬送中に随時行うことも、繰り返し行うこともできる。
【0026】
本願発明の貝類取り出し方法では、養殖用カゴ1の出し入れ口から自動的に落下する貝類を選別機に投入して(落下させて)サイズ別に選別することもできる。この場合、貝類を上下に多段に設けたスクリーン5(多数の孔が開口された板:上段のスクリ−ンは孔が大きく、下段のスクリーンの孔が小さい)で選別して、選別精度を高めることもできる。
【0027】
(貝類取り出し装置の実施形態1)
本願発明の貝類取り出し装置の第1の実施形態を図に基づいて説明する。本実施形態では、帆立貝を養殖する例で説明しているが、他の貝類でも構造や作用等は同様となる。
【0028】
図2は、貝類取り出し装置2を船上に設置した状態を側方から見た側面図である。この貝類取り出し装置2は、養殖用カゴ1を搬送する搬送体3、養殖用カゴ1内の帆立貝に水等を噴射して帆立貝を養殖用カゴ1の下向きの出し入れ口側に寄せる噴射装置4(図4)、養殖用カゴ1内の帆立貝を落下させ易くするための揺動装置、養殖用カゴ1から落下した帆立貝を受けてサイズ別に選別するスクリーン5、前記機器を内蔵する筐体6などによって構成されている。また実施形態3で説明するように、養殖用カゴ1は引き揚げ機(図2では引き揚げ回転体)11などにより海中から引き揚げられ、引き揚げ回転体11を通過することで出し入れ口1d(図1)が下向きになるように反転し、その反転状態で搬送体3に引き入れられる構造とすることもできる。
【0029】
養殖用カゴ1は、搬送体3の上流側(図2では左側)にある入り口部から入り、下流側(図2では右側)に向かって搬送され、この搬送中に養殖用カゴ1内にある帆立貝が振り落とされて(取り出されて)空となった(帆立貝が取り出された後の状態となった)養殖用カゴ1は出口部から送り出される。
【0030】
(養殖用カゴ)
図1に示す養殖用カゴ1は、枠体1a、ネット1b、吊り紐1c、出し入れ口1dなどで構成されており、方形の枠体1aの外側にネット1bを張ってあり、ネット1bは一つの四角形面(底面A)と四つの三角形面(周面B)からなる5面体に形成されている。枠体1aは四角形面の各辺を構成するように骨組みされ、補強材1eが十字状に配置されている。枠体1aや補強材1eは比較的強度のある材料、たとえば金属製や高強度の樹脂製の線材(棒材)とすることが望ましく、金属製とする場合は海中で使用するため防食加工されたものが適する。ネット1bは、海中でも破れない強度を必要とし、ナイロン網や樹脂製のものが多用されている。
【0031】
四つの周面Bが重なる箇所(頂部C)と底面Aの中心付近には吊り紐1cが取り付けられており、吊り紐1cを上下に引っ張ると養殖用カゴ1は略四角錘の形状となるが、底面A以外には補強材等は配置されていないため、吊り紐1cの上下への引っ張りを解放すると養殖用カゴ1は四角錘形状が崩れて平坦な形状になる。海中に吊るされた状態の養殖用カゴ1は底面Aが下方、三角形面が重なる点(頂部C)が上方となり、かつ底面Aが略水平姿勢となる。
【0032】
吊り紐1cを上下に引くと略四角錘形状となる養殖用カゴ1には底面Aのコーナーから頂部Cにかけて稜線部が形成される(隣接する三角面の接合部を縫い合わせることにより形成される)が、そのうちいずれか一つの稜線部には帆立貝を出し入れするための出し入れ口1dが設けられている。この出し入れ口1dは稜線部の底面A付近から頂部Cよりやや下方の位置にわたって縫い合わせずに開口したままにして形成してある。この出し入れ口1dは、吊り紐1cを上下に引っ張って周面に張りをもたせて養殖用カゴ1を略四角錘の形状にすると閉じた状態になり、その引っ張りを解放して張りを緩めると横に開き易く(開口し易く)なる。
【0033】
養殖用カゴ1は海中に吊るすときは、吊り紐1cを連結して上下に多段に複数連結され、その数は8段から10段、場合によっては20段以上に連結されることもある。なお、最上部にある養殖用カゴ1の頂部Cに取り付けられた吊り紐1cは業界では「テボ」と呼ばれている。
【0034】
これまで述べた養殖用カゴ1は一般的な座布団カゴの場合であるが、これに限らず丸カゴなど他の形状や構造の養殖用カゴ1であっても良く、要は、本願発明の貝類取り出し装置2により帆立貝を自動的に取り出すことができるものであればよい。
【0035】
(搬送体)
図2に示す搬送体3は、上部搬送体3aと下部搬送体3bで構成される。上部搬送体3aも、下部搬送体3bも、図3に示すように細幅のベルトが養殖用カゴ1の搬送方向左右に2本ずつ離して配置されて、2本の上部搬送体3aの間と、2本の下部搬送体3bの間に空間通路3c(図3)が形成されている。上部搬送体3aと下部搬送体3bは間に隙間を設けて上下に対向配置されている。この上部搬送体3aと下部搬送体3bの夫々はベルトコンベアの無端搬送体であり、上部搬送体3aは図3のように両端にある回転ローラー間にベルトが巻かれた構造であり、ベルトの下側が搬送方向に進むように回転(図2では反時計回りに回転)する。下部搬送体3bは両端にある回転ローラー間にベルトが巻かれた構造であり、ベルトの上側が搬送方向に進むように回転(図2では時計回りに回転)する。上部搬送体3aの下側ベルトと、下部搬送体3bの上側ベルトの間に形成される隙間に養殖用カゴ1の枠体1aが引き込まれ、養殖用カゴ1は搬送体3に把持されて搬送される。そのため、前記隙間は養殖用カゴ1の部材厚よりも若干大きい(広い)程度にして、養殖用カゴ1が無理なく隙間に引き込まれるようにするのが望ましい。
【0036】
養殖用カゴ1は、図2に示すように、底面Aが上側、頂部Cが下側で、さらに底面Aが水平姿勢となるように、搬送体3の入り口部に挿入される。このとき、養殖用カゴ1の内部の帆立貝の自重によって、養殖用カゴ1の頂部Cは垂下し、養殖用カゴ1は底面Aが上方の四角錘形状となる。この垂れ下がった養殖用カゴ1の頂部C側は、前記空間通路3c内を通過する。すなわち、養殖用カゴ1はその底面Aにある枠体1aが両側の上部搬送体3aと下部搬送体3bで挟持され、頂部Cは前記空間通路3c(図3)を通って円滑に搬送される。
【0037】
上部搬送体3a及び下部搬送体3bは、駆動装置によって強制回転させる。あるいは、上部搬送体3aを駆動装置によって強制回転させて下部搬送体3bは自由回転とすることも、逆に、下部搬送体3bを駆動装置によって強制回転させて上部搬送体3aは自由回転とすることもできる。また、上部搬送体3a及び下部搬送体3bともに自由回転とし、他のけん引装置で養殖用カゴ1を搬送方向に引っ張ることもできる。
【0038】
図2では、入り口部の上部搬送体3aをやや上方に屈折させて、上部搬送体3aと下部搬送体3bの間に形成される隙間をその搬送方向における先方(下流側)区間の隙間より広くして、養殖用カゴ1が入り口部に引き込まれ易くなり、前記隙間に円滑に案内されるようにしてある。この場合、上部搬送体3aの上方屈折箇所では、中間の回転ローラーを設けるとともに、上側のベルトを押さえて屈曲を保持する押さえローラー7を設けることが望ましい。上部搬送体3aの上方屈折に代えて、下部搬送体3bを下方屈折させて入り口部の隙間を広くすることも、上部搬送体3a及び下部搬送体3bともに屈折させず入り口部の隙間を他の箇所の隙間と同程度とすることもできる。入り口部の隙間を他の区間と同程度とする(広くしない)場合、ラッパ状の案内体を入り口部に配置して、養殖用カゴ1の枠体1aを入り口部に引き込み易くし、前記隙間に円滑に案内されるようにすることもできる。
【0039】
前記説明は搬送体3がベルトコンベアの場合であるが、搬送体3はチェーンとスプロケットからなるチェーンコンベアなど他の無端搬送体や、ローラーを搬送方向に複数並べたローラーコンベアといった各種コンベアとすることもできる。あるいは搬送体3をレールとし、このレール内に上下2段のローラーを連続設置し、上下ローラーの間に形成される隙間に養殖用カゴ1の枠体1aを把持させることもできる。これらの場合も、上部搬送体3a、下部搬送体3bのチェーンコンベアやローラーコンベアやローラーを共に駆動装置によって強制回転させたり、一方のみを強制回転として他方を自由回転としたり、上部搬送体3a及び下部搬送体3bを共に自由回転とし、他のけん引装置で養殖用カゴ1を搬送方向に引っ張ることもできる。なお、ローラーコンベアやローラーを駆動回転させる場合は、それぞれローラー間をチェーン等で連結することができる。
【0040】
図2では、搬送体3の長さを養殖用カゴ1が4〜6個ほど並ぶ程度の延長(L=2〜2.5m)としているが、これより長くすることも短くすることも可能であり、処理する養殖用カゴ1の数や設置スペース(ここでは船上のスペース)によって適宜設計することができる。
【0041】
図2、図3では、搬送体3が搬送方向の左右両側にそれぞれ上部搬送体3aと下部搬送体3b(合計4つの無端搬送体)を配置した構造の場合を示しているが、片側のみ(左右どちらか一方のみ)に上部搬送体3aと下部搬送体3bを配置した構造として、片側の上部搬送体3aと下部搬送体3bで養殖用カゴ1の一部(たとえば枠体1a)を挟持する、いわゆる片持ち状態で養殖用カゴ1を搬送することもできる。あるいは、搬送体3を上部搬送体3aと下部搬送体3bの2層構造とせず、一層の無端搬送体を配置することもできる。この場合、無端搬送体に養殖用カゴ1の一部を係止することのできる係止手段を設け、養殖用カゴ1の一部がこの係止手段に係止(把持)された状態で養殖用カゴ1を搬送する。ここでの係止手段としては、クリップ、フック、その他突起など、従来の技術を利用することができる。
【0042】
その他、搬送体3は上部搬送体3aと下部搬送体3bの組み合わせを左右2列ずつとしたり、片側に2列配置したり、あるいは3列以上としたり、左右の配置列を変えたり(2列と3列など)、ベルトコンベア、チェーンコンベア、ローラーコンベアを種々組み合わせたり(たとえば、上部搬送体3aをローラーコンベアとして下部搬送体3bをベルトコンベアとする)するなど適宜設計することができる。これは、搬送体3を上部搬送体3aと下部搬送体3bに分けない(一層の無端搬送体とした)場合も同様である。
【0043】
養殖用カゴ1内の帆立貝は養殖用カゴ1の外から海水を噴射し、搬送体3で搬送中に養殖用カゴ1を揺動させることにより落下する(取り出される)。搬送体3は養殖用カゴ1からの帆立貝取り出し作業中は定速の連続運転が基本であるが、間欠運転することもできる。想定以上に大きく成長した帆立貝が養殖用カゴ1内に入っていたり、藻や海草が帆立貝に絡んでいたり、養殖用カゴ1の出し入れ口1dに藻や海草が付着しているなど帆立貝が取り出しにくい場合には、一旦、搬送体3を停止させて十分に噴射、揺動するのがよい。この場合、搬送体3の搬送速度を可変とすれば、搬送体3を停止させずに低速運転に切り替えて噴射、揺動を十分に与えることもできる。揺動のための作動手段と、液体噴射のための噴射装置は、併設することもできるが、貝類取り出し装置2の製造コストを抑えるためにどちらか一方のみを備えることも、あるいは両手段とも備えず、搬送中の養殖用カゴ1の出し入れ口1dから帆立貝を自重で自由落下させて取り出すこともできる。
【0044】
(揺動手段)
搬送中の養殖用カゴ1から帆立貝を取り出す際、養殖用カゴ1を揺動させると帆立貝が、下向きになっている養殖用カゴ1の最下部つまり頂部C付近に集まって、前記出し入れ口1dから帆立貝が落下し易くなる。搬送中の養殖用カゴ1を揺らす揺動手段としては、振動機(バイブレーター)を使用することができ、それにより搬送体3を揺動(振動)させることができる。この場合、搬送体3のうち回転ローラー(スプロケット)を揺動させたり、ベルト(チェーン)を揺動させたり、回転ローラー(スプロケット)とベルト(チェーン)の両方を揺動させるなど、搬送体3の一部を揺動させることも、搬送体3全体を揺動させることもできる。
【0045】
搬送体3を揺動させる方向は、鉛直方向のみ、水平方向(搬送方向の前後、左右など)のみ、鉛直方向と水平方向の組み合わせなど、帆立貝が出易い方向に適宜設計することができる。また、搬送体3そのものの移動を反転(搬送方向とは逆方向に移動)させ、再び順転(搬送方向に移動)させ、これを小刻みに繰り返すことによって、養殖用カゴ1を搬送方向の前後に揺動させることも、揺動手段に含まれる。
【0046】
揺動手段によって搬送体3が揺動されると、搬送体3に把持された養殖用カゴ1も揺動され、養殖用カゴ1内の帆立貝は下向き養殖用カゴ1の下部(出し入れ口1d付近)に寄せられて(集まって)出し入れ口1dから落下する。この場合、この出し入れ口1dは図1に示すように頂部Cより稜線上やや下方(搬送体3内では上方)までは閉じているため、出し入れ口1d付近に寄せられた帆立貝は出し入れ口1dから落下しにくい状態となる。この問題を解消するため、搬送中の養殖用カゴ1の下部を押し上げる支持体8を備えることができる。図4に示すように、支持体8は曲線状の接触板8aと、これを支える支柱8bと、支柱8bを支持する梁8cからなる。接触板8aは、搬送体3の下方であって搬送中に垂下した下向き養殖用カゴ1の下部よりも若干高い位置に配置されている。このため下向きで搬送される養殖用カゴ1は搬送が進行して下部が支持体8に接触するとやや押し上げられ、その帆立貝は出し入れ口1d側へ押されて出し入れ口1dから出易く(落下し易く)なる。また、養殖用カゴ1の下部が押し上げられることによって出し入れ口1dが広く開口して帆立貝が落下し易くなるという効果も生じる。
【0047】
搬送中常に養殖用カゴ1の底面Aを持ち上げるため、接触板8aは搬送体3と略同じ長さで連続して設置されるが、搬送体3の下方の搬送方向数か所に間隔をあけて断続的に設置してもよい。もちろん、接触板8aの長さは搬送体3と略同じ長さに限らず、これより長くすることも、短くすることもできる。養殖用カゴ1の下部が最初に接触板8aに接触する箇所(搬送方向の最上流部)で、養殖用カゴ1の搬送の障害とならないように、接触板8aを傾斜(搬送方向の下流側に向けて上り傾斜)させると、円滑に養殖用カゴ1の下部が接触板8aに乗り上がって好適である。接触板8aは、図4にも示すように断面視が曲線となっている。これにより、接触板8aが養殖用カゴ1の搬送の妨げとならず、出し入れ口1dから落下する帆立貝を円滑に下方へ案内することができる。同様の理由で、接触板8aは表面が滑らかな材質のものを使用することが望ましい。たとえば、塩化ビニルなどの樹脂や金属板などが用いられる。もちろん、養殖用カゴ1の搬送の妨げとならず、養殖用カゴ1の底面Aを持ち上げることができれば、この構造には限られない。
【0048】
接触板8aを支える支柱8bは、ステンレススチール管や一般構造用炭素鋼鋼管(通称、単管パイプ)などの管状、棒状のものであり、搬送体の搬送方向に間隔をあけて複数個所設けられる。支柱8bの下端は、後に説明するスクリーン5の妨げとならないようにスクリーン5の上方に配置された梁8c(図4)によって支持されている。梁8cは、落下してくる帆立貝の障害とならないように幅の細い部材、たとえば溝形鋼やH形鋼などが用いられ、スクリーン5よりも上方であって、搬送体3と略同じ長さで連続して設置される。また梁8cは、両端(搬送方向の上流側と下流側)で筐体6に固定される。
【0049】
支柱8bを、水平部材と鉛直部材を組み合わせた逆T字の形状とし、この水平部材を直接筐体6に固定すれば、梁8cは省略することができる。また、接触板8aが、搬送中に垂下した養殖用カゴ1の底面Aよりも若干高い位置であって、落下してくる帆立貝の障害とならず、さらにスクリーン5の妨げとならないように固定されれば、支柱8b及び梁8cは省略することもできる。
【0050】
支柱8b及び梁8cを省略した場合、接触板8aとしてロープあるいはパイプを設置することができる。この場合、ロープあるいはパイプは、搬送体3の下方であって搬送中に垂下した下向き養殖用カゴ1の下部よりも若干高い位置で、搬送体3の搬送方向と略同方向に設置する。これにより搬送中、常に養殖用カゴ1の底面Aの一部がロープやパイプに接触して持ち上げられる。
【0051】
また、ロープあるいはパイプを搬送体3の搬送方向に対して交差方向(搬送体3の幅方向)に設置することもできる。この場合、搬送体3の搬送方向に対して間隔を開けて数か所にロープあるいはパイプを設置すれば、養殖用カゴ1の底面Aの一部がロープやパイプに接触するたびに、出し入れ口1dが広く開口し、その上、養殖用カゴ1を上下に揺動させる揺動手段となって、帆立貝は養殖用カゴ1から落下しやすくなる。
【0052】
接触板8a(ロープやパイプである場合も含む)、あるいは支柱8bと梁8cを含めた支持体8全体を上下に揺動させれば、支持体8が養殖用カゴ1を揺動させる揺動手段となって、さらに帆立貝が落下しやすくなる。
【0053】
支持体8は、養殖用カゴ1の頂部C側を反対方向の二方向、又は四方に引いて広げて出し入れ口1dを開くものであってもよい。
【0054】
(噴射装置)
図2に示すように、貝類取り出し装置2には噴射装置4を備えることもできる。搬送中の養殖用カゴ1内にある帆立貝に向けて、噴射装置4により海水を噴射することで、帆立貝が搬送中の養殖用カゴ1の下向き頂部C側(出し入れ口1d側)に集められて、出し入れ口1dから帆立貝が落下しやすくなる。また、帆立貝や養殖用カゴ1に付着した、あるいは絡まった藻や海草なども除去され、また養殖用カゴ1が洗浄されるという効果もある。
【0055】
噴射装置4は、図2に示すように、搬送体3と略同じ長さの全長をもつ通水部(例えばパイプ)4a、海水を噴射する噴射口4bを備えており、噴射口4bは通水部4aの軸方向に複数(図2では10か所)設けられている。また、図4に示すように、噴射装置4は養殖用カゴ1の底面の幅方向における両端付近の上方に2列設置されている。この噴射装置4は、加圧ポンプ(図示しない)によって加圧された海水が通水部4a内に圧送され、圧送先であるそれぞれの噴射口4bから海水を噴射する構造である。噴射口4bの設置数や設置間隔は適宜設計することができ、その向きは一つの通水部4aに対してすべて同じ方向とすることもできるし、それぞれ異なる方向とすることもできる。また、噴射されるものは海水に限らず、加圧された水や他の液体を利用することもできる。この液体に混入口4cから高圧のガス(空気などの気体)を混入させると、帆立貝により強い衝撃を与えることができる。あるいは、海水などの液体に代えて高圧ガスのみを噴射することもできる。
【0056】
海水などを養殖用カゴ1の周囲から中心に向けて噴射すると、帆立貝を養殖用カゴ1の下向き頂部C側に集めやすくなる。そのため、ロータリージョイントなどの回転手段4dを設け、通水部4a及び噴射口4bを首振りさせたり回転させたりすることができる。この場合、図4に示すように、右側の噴射口4bの回転方向と左側の噴射口4bの回転方向を逆向きとし、それら噴射口4bを首振りさせて、帆立貝を養殖用カゴ1の下向き頂部C側へ移動させるように噴射しながら噴射方向を変えるとよい。また、噴射装置4の回転は一方向だけでなく反転させることも可能で、噴射装置4自体を上下左右に移動させることもできる。図4では、噴射口4bが搬送方向に直交する鉛直面内を回転しているが、これに限らず搬送方向と平行な鉛直面内を回転するなど、任意の方向に回転させることができる。なお、搬送方向と平行な鉛直面内を回転させる場合、それぞれの噴射口4bに回転手段を設ける必要がある。さらに、噴射装置4の小型化を目的に、噴射口4bを少数(一つや二つ)に抑えることもできる。この場合、搬送体3の搬送速度を低速にするか、あるいは一時停止させて、噴射口4bを搬送方向に走行させながら搬送体3に把持された養殖用カゴ1を均等に噴射する。
【0057】
(スクリーン)
図2に示すように、貝類取り出し装置2にはスクリーン5を備えることもできる。スクリーン5は、養殖用カゴ1から取り出される(落下する)帆立貝を受け、搬送中に帆立貝をサイズ別に選別して収納器9に送り出すものであり、そのためスクリーン5は搬送体3よりも下方に設置される。また、スクリーン5は帆立貝を受けやすいように幅が広く、搬送方向に長い板状にして選別距離を長くしたものであり、搬送方向の下流側に向かって下り傾斜とし、自重や揺動で落下しやすくしてある。
【0058】
図5(a)に示すように、一枚のスクリーン5には同径の孔が多数設けられている。養殖用カゴ1から落下した帆立貝はスクリーン5で受けられ、スクリーン5の孔よりも小さな帆立貝はこの孔を通過してスクリーン5の下へ落下するが、スクリーン5の孔よりも大きな帆立貝はスクリーン5上を移動して収納器9に収容される。つまり、スクリーン5が篩となって帆立貝を大きさ別に仕分けすることができる。このとき、スクリーン5を揺動させると、より篩の機能が高まり正確な仕分けができる。
【0059】
スクリーン5は、多数段設けることができる。図2では、上段に5a、中段に5b、下段に5cを設置している。図5(a)、(b)に示すように、スクリーン5の孔の径は、上段から下段に向けて徐々に小さくする。これにより、大きい帆立貝はLサイズ収納器9aに、中程度の帆立貝はMサイズ収納器9bに、小さい帆立貝はSサイズ収納器9cに仕分けして収納することができる。また、下段スクリーン5cには孔を設けず、径の小さい帆立貝や帆立貝以外の海草類やごみなどすべての落下物をSサイズ収納器9cに収納することもできる。ただし、この場合は海水も送られて来るので、Sサイズ収納器9cには水抜き孔を設けることが望ましい。下段スクリーン5cに孔を設けた場合は、この孔を通過するものを受ける収納器9は、下段スクリーン5cの投影面全体に設置することも、間隔をあけて複数個所設置することも、あるいは省略する(デッキ上に直接落とす)こともできる。
【0060】
スクリーン5は板状のものに限らず、中空円筒状(ドラム状)で入口側と出口側(軸方向両端)が開口したのもの(通称ゴロ)でもよい。この場合、ドラムを回転させながら帆立貝をふるい落とすことができる。あるいは、径の異なる複数の孔開きドラムを、径の小さいものが内側、大きいものが外側となるように同心状に配置したスクリーン5とすることもできる。内側ドラムの孔径を大きく、外側ドラムの孔径を小さくすることにより、ドラムの回転により搬送される帆立貝が内側ドラムから外側ドラムに落下してサイズ別に選別される。
【0061】
また、孔を設けないスクリーン5を一つだけ設置することもできる。この場合、すべての落下物をスクリーン5で搬送し、別途設けられた篩で大きさ別に仕分けすることもできる。
【0062】
(筐体)
図2に示すように、貝類取り出し装置2には筐体6を備えることもできる。筐体6は、搬送体3、噴射装置4、スクリーン5を覆う周壁6aと、これを支持する支持脚6bを備えている。周壁6aは、貝類取り出し装置2の運転中に、藻や海草あるいは貝殻の破片などが飛散しないよう防止する機能と、作業員が搬送体3内に手指を詰めるなどの災害を防止する安全機能を備えており、搬送体3の上方と搬送方向に沿った両側面の3面を板材で囲ったものである。この板材には飛散物により損傷しない程度の強度を要するが、搬送時の容易性を考慮して軽量のものが望ましい。なお、搬送体方向に直交する面は、搬送体3の入り口又は出口となるため、全面あるいは一部に周壁6aが設けられない。また、搬送体3の下方つまり底面も、海水を排出するために全面あるいは一部に周壁6aが設けないものとすることもできる。
【0063】
搬送体3、噴射装置4、スクリーン5、支持体8等は、筐体6に固定することができる。どうしても養殖用カゴ1から帆立貝が取り出せない場合や、養殖用カゴ1が障害物に引掛って搬送体3が回転できなくなる場合など、何らかの障害が発生した時のために、筐体6の側面あるいはその一部は開閉可能となっている。また、中の作業状況が確認できるように筐体6の側面には確認窓を設けることができる。この確認窓に代えて筐体6内にカメラを設置し、別途モニターで監視することもできる。
【0064】
図2では、周壁6aを支持する支持脚6bを4本備えている。支持脚6bの数は3本以上であれば任意の数とすることができる。また、筐体6の中央付近に取り付けられるものは細い支持脚6bとし、筐体6の端部付近に取り付けられるものは太い支持脚6bとするなど、それぞれ太さや長さ、材質を変えることもできる。
【0065】
支持脚6bを接地面に設置させて貝類取り出し装置2を支持することもできるが、支持脚6bの下端に車輪6cを取り付け、貝類取り出し装置2の平面移動を容易とすることもできる。この車輪6cには、通常の車輪のほか、方向を自在に変えられる自在車輪(自在キャスタ)や、球状車輪など適宜に選択できる。一例としては、車輪6cを4本とすると、下流側(図1では右側)2本は自在キャスタや球状車輪とし、上流側(図1では左側)2本は通常の車輪(方向を変えられない車輪)とすれば、貝類取り出し装置2を自在に移動させることができる。なお車輪6cには、作業時の安全のためストッパ手段を設けることが望ましい。また、貝類取り出し装置2を移動する際に、クレーンなどの揚重機で吊り上げる場合を考え、筐体6の一部に吊り環を備えることもできる。
【0066】
搬送体3の出口部まで搬送され、中に帆立貝がなくなった養殖用カゴ1は、カゴ台10に積み重ねられていく。
【0067】
(貝類取り出し装置の実施形態2)
本願発明の貝類取り出し装置の第2の実施形態を図に基づいて説明する。本実施形態は、実施形態1の貝類取り出し装置2に、養殖用カゴ1を引き揚げる引き揚げ回転体11及びこれに付随する物を加えた場合を説明するためのものであって、実施形態1で説明したものは本実施形態でも同様とし、その説明を省略する。
【0068】
図2に示す引き揚げ回転体11は、養殖中の養殖用カゴ1を海中から引き揚げるものであり、船上の一部に固定される。引き揚げ回転体11は駆動装置によって強制回転させるものであるが、引き揚げ回転体11を自由回転とし、他のけん引装置でテボを引っ張ることもできる。テボを手繰り寄せると、先頭の養殖用カゴ1を搬送体3へ送る。後続の養殖用カゴ1は前(海中では上)の養殖用カゴ1に連れられて順次、搬送体3へ送り込まれる(引き込まれる)。
【0069】
引き揚げ回転体11は、円筒体とその両側に鍔を備え、中央にローラー形状のドラムを備えた、従来から用いられているいわゆるドラム式を採用してもよい。また引き揚げ回転体11を、図2、図3に示すように複数(図2では4枚)の回転羽11aを回転軸11bに対して略垂直(垂直含む)に取り付けた回転羽式としてもよい。
【0070】
引き揚げ回転体11を回転羽式とする場合、図2に示すように海中から養殖用カゴ1を引き揚げる際、養殖用カゴ1の底面Aの下側から回転羽11aで押し上げることができる。これによって、養殖用カゴ1は円滑に引き揚げられるとともに、引き揚げ回転体11の回転に伴って天地が反転しやすくなる。養殖用カゴ1をつなぐ吊り紐1cが長い場合、あるいは養殖用カゴ1の底面Aが回転羽11aに接触せずに頂部Cが回転羽11aに接触する場合(数多く養殖用カゴ1を引き揚げる中にはこのようなケースもありうる)には、底面Aと回転羽11aによって養殖用カゴ1内の帆立貝が挟まれて圧迫されることがある。これを回避するため、図3に示すようにそれぞれの回転羽11aの中央付近において外周側(回転軸11bの反対側)に切り欠き11cを設けることができる。養殖用カゴ1の天地が逆転した姿勢になったときに、この切り欠き11cの効果で、頂部C付近は回転羽11aが妨げとならずに垂下することができるので、すなわち少なくとも頂部C付近は略四角錘姿勢を確保することができるので、養殖用カゴ1内の帆立貝が底面Aと回転羽11aによって圧迫されることはない。
【0071】
なお、養殖用カゴ1が引き揚げ回転体11を通過する際に、養殖用カゴ1の枠体1aのうち回転内側(図2では右側)を押さえ、養殖用カゴ1の天地逆転を促進することも有効であり、このように養殖用カゴ1の枠体1aのうち回転内側を押さえることのできる突起を引き揚げ回転体11の近くに設けることもできる。
【0072】
引き揚げ回転体11の先方(搬送体側:図2では右側)には、引き揚げられた養殖用カゴ1を円滑に搬送体3へ送り出すための送りローラー12が設けられ、さらにその先方には搬送レール13が設けられている。送りローラー12は、駆動装置による強制回転あるいは自由回転のいずれも選択できるし、引き揚げ回転体11と同様にいわゆるドラム式を採用してもよいし、回転軸に回転羽を取り付けた回転羽式としてもよい。
【0073】
また搬送レール13は、左右に配置された2本のレールからなり、天地が逆転した養殖用カゴ1の頂部Cの搬送を妨げないように2本のレール間は空間を設けてある。図2にも示すように、この搬送レール13あるいはこの搬送レール13前後に(つまり養殖用カゴ1の搬送方向上流側に)、噴射装置4を設置することもできる。養殖用カゴ1がこの搬送レール13を通過する間に、上方及び下方から(若しくはどちらか一方から)噴射装置4により海水を噴射することで、帆立貝が搬送中の養殖用カゴ1の下向き頂部C側(出し入れ口1d側)に集められて、出し入れ口1dから帆立貝が落下しやすくなる。また、帆立貝や養殖用カゴ1に付着した、あるいは絡まった藻や海草なども除去され、また養殖用カゴ1が洗浄されるという効果もある。この搬送レール13に噴射装置4を設置し、さらに下流側(例えば実施形態1で示す搬送体3の位置)にも噴射装置4を設置することも可能で、この場合、搬送レール13での噴射装置4は高圧で噴射水量の少ないものとし、搬送体3での噴射装置4は搬送レール13のものよりも低圧で噴射水量の多いものとすることができる。なお、上流側の噴射装置4と下流側の噴射装置4に利用する加圧ポンプは、同一のものとすることもできるし、それぞれ別の加圧ポンプとすることもできる。
【0074】
なお、送りローラー12や搬送レール13は省略することも可能で、引き揚げ回転体11から搬送レール13を通じて搬送体3へ養殖用カゴ1を送り出すことも、引き揚げ回転体11から送りローラー12を通じて搬送体3へ養殖用カゴ1を送り出すことも、引き揚げ回転体11から搬送体3へ養殖用カゴ1を直接送り出すこともできる。
【0075】
引き揚げ回転体11で巻き揚げられて天地が逆転した養殖用カゴ1は、送りローラー12によって水平姿勢となりながら先方の搬送レール13へと送られ、搬送レール13まで到達すると枠体1aの左右両端部分が2本のレールにあずけられて頂部Cが垂下した状態(断面視で逆三角形)となり、さらに先方の搬送体3の入り口部まで搬送されると枠体1aが入り口部の隙間に引き込まれる。なお、枠体1aの隙間(入り口部)への挿入作業は手動とすることもできるが、搬送レール13のレールの中に駆動するローラーを上下2段に連続配置して、あるいはレールに代えてベルトコンベアなどの無端搬送体として、養殖用カゴ1を自動搬送とすることもできる。
【0076】
引き揚げ回転体11は、連結体14によって筐体6に固定されている。連結体14の先端(図2では左側)の平板部には挿入孔が設けられており、引き揚げ回転体11の支柱11dを船体に固定する際この挿入孔に支柱11dを挿入する。この支柱11dは正面視で音叉(おんさ)のようにU字状のものに支柱が取り付けられた構造となっており、U字状部分に回転軸11bが渡され、ここで引き揚げ回転体11が回転し、支柱部分はこのU字状部分を支え、かつ船体に固定される。連結体14の挿入孔は、支柱11dの支柱部分よりも若干大きな径となっており、すなわち引き揚げ回転体11と連結体14は回転可能なヒンジ結合となっている。もちろん引き揚げ回転体11と連結体14の連結手段はヒンジ結合に限らず、回転固定に連結するなど他の連結手段とすることもできる。
【0077】
図2に示すように、送りローラー12と搬送レール13も連結体14に固定されており、連結体14は筐体6に固定されていることから、貝類取り出し装置2の構成部材はすべて連結されることになる。なお、連結体14と筐体6との固定は製作段階から一体化することもできるが、作業現地(ここでは船上)にてボルト等で連結する脱着可能な形式とすることもできる。同様に、連結体14と送りローラー12、連結体14と搬送レール13も、製作段階から一体化することも、現地にて固定する脱着可能な形式とすることもできる。また、搬送レール13と搬送体3の軸方向は同一直線上となるように連結されるが、船上のスペースによっては同一直線上の配置が難しい場合もあり、搬送レール13と搬送体3の向きを変えて連結することもできる構造とすることが望ましい。その一例としては、搬送レール13と筐体6の連結部にそれぞれ水平面の孔を設け、これらの孔を合わせた状態で搬送レール13と筐体6の角度を調整し、合わせた孔をボルト、ナットなどで締め付けて連結する。
【0078】
前記のとおり、貝類取り出し装置2の構成部材はすべて連結されているが、引き揚げ回転体11と連結体14は回転可能なヒンジ結合となっているので、図6(a)(b)に示すように、貝類取り出し装置2は、引き揚げ回転体11の支柱11dを回転中心にして平面上(例えば船上)を回転移動することがきる。この場合、筐体6の支持脚6bの下端には車輪6cを取り付け、この車輪6cとして方向を自在に変えられる自在キャスタや球状車輪などを用いる。これによって、作業中に潮流の方向が変わり、これに伴って海中に吊下げられた一連の養殖用カゴ1の方向が変化しても、貝類取り出し装置2を回転移動させるだけで容易に対応することができる。
【0079】
なお図2では、引き揚げ回転体11、送りローラー12、搬送体3へ進むに従って養殖用カゴ1が下向きへと搬送されるように(養殖用カゴ1が上から下へと降下しながら搬送されるように)、引き揚げ回転体11、送りローラー12、搬送体3が配置されているが、その逆となるような配置でもよい。図7は、養殖用カゴ1が上向きへと搬送されるように(養殖用カゴ1が下から上へと上昇しながら搬送されるように)引き揚げ回転体11、送りローラー12、搬送体3が配置された例を示す側面図である。この図に示すように、海中から引き揚げられた養殖用カゴ1は、引き揚げ回転体11の頂部付近まで移動するとさらに上方へ移動するように送りローラー12に引き渡され、ローラー12の頂部付近まで移動するとまた上方へ移動するように上昇搬送体15に引き渡され、上昇搬送体15の終点付近(図では右側)まで搬送されると、搬送体3の下部搬送体3b上へ引き渡される。
【0080】
この場合、図7にも示すように、養殖用カゴ1が回転しながら下部搬送体3bの上へ移動するため、当該区間には養殖用カゴ1の移動の妨げとなる上部搬送体3aを配置せず、下部搬送体3bのみを配置している。すなわち、搬送体3の上流側(図では左側)の所定区間(養殖用カゴ1の引き渡しに必要な区間)は下部搬送体3bのみで搬送体3が構成されている。
【0081】
図8は、上昇搬送体15の詳細を示す説明図である。上昇搬送体15は、2つのチェーンベルト15a、その両端に配置されたスプロケット15b、養殖用カゴ1を載せるための搬送台15cから構成され、2つのチェーンベルト15aは搬送方向に略平行に並べられて配置されている。スプロケット15bが矢印方向(図では時計回り)に回転すると、これに伴って2つのチェーンベルト15aも回転し、2つのチェーンベルト15aにまたがって固定されている搬送台15cが搬送方向に移動し、すなわち搬送台15cに載せられた養殖用カゴ1も同方向に移動する。搬送台15cは、チェーンベルト15aに対して角度(図では搬送方向に向けて上方となる取付け角度)をもって取り付けられており、ローラー12から養殖用カゴ1を円滑に受け取ることができる。また搬送台15cは、2つのチェーンベルト15aにまたがって取り付けられた板状の固定板と、これに斜めに取りつけられた2本の細板状のクシ材で構成されており、この2本のクシ材の幅(外端〜外端)は空間通路3c内(図では下部搬送体3bの2本のベルトの間)を通過できる寸法としている。これにより、養殖用カゴ1を搬送体3に引き渡す際、養殖用カゴ1は下部搬送体3bの上に残すが2本のクシ材は空間通路3c内を通過してチェーンベルト15aは妨害されずに引き続き回転することができる。もちろん、養殖用カゴ1を円滑に搬送体3に引き渡すことができれば搬送台15cは他の形状・構造とすることができるし、上昇搬送体15もチェーンとスプロケット形式に限らず他の従来形式を採用することもできる。
【0082】
図7に示すように、搬送体3に引き渡された養殖用カゴ1は、帆立貝を落下させながら略水平方向に下流側(図では右側)まで搬送される。搬送体3の終点付近まで搬送された養殖用カゴ1は、カゴ台10に載せ替えられる。図2に示すように、搬送体3の下部搬送体3bの上面高さとカゴ台10の上面高さが略同じとなるように配置し、養殖用カゴ1を略水平姿勢のまま載せ替えることもできるが、図7に示すように下部搬送体3bの上面高さとカゴ台10の上面高さを変えて配置することもできる。図7では、搬送体3による養殖用カゴ1の搬送高さよりもカゴ台10の上面高さが低い位置となるように配置され、下部搬送体3bは終点付近(図では右側)の所定区間で下方に傾斜している。なおこの区間では上部搬送体3aを配置せず、下部搬送体3bのみを配置している。この下部搬送体3bの傾斜区で搬送される養殖用カゴ1は、それまでの水平姿勢から搬送方向に対して前下がり(図では右下がり)の姿勢となり、養殖用カゴ1の出し入れ口1dの位置も変化するので、養殖用カゴ1内にまだ残っている帆立貝があればここで落下することも期待できる。
【0083】
(使用例)
実施形態2における貝類取り出し装置を使用する一例について、図2に基づいて以下説明する。
引き揚げ回転体11を回転させることによって、海中から養殖用カゴ1を引き揚げる。先頭の養殖用カゴ1を手繰り寄せると、この養殖用カゴ1を搬送体3へ送る。後続の養殖用カゴ1は前方の養殖用カゴ1に連れられて順次、搬送体3へ送り込まれる。このとき養殖用カゴ1は、引き揚げ回転体11が回転するにつれて、徐々に、養殖時とは天地が逆転する姿勢となる。
天地が逆転した養殖用カゴ1は、送りローラー12によって水平姿勢へ移行しながら先方の搬送レール13へと送られ、搬送レール13まで到達すると枠体1aの左右両端部分が2本のレールにあずけられて頂部Cが垂下した状態となって、さらに先方の搬送体3の入り口部まで搬送されると枠体1aが入り口部の隙間に引き込まれる。
枠体1aが入り口部の隙間に引き込まれると、上部搬送体3aの下側ベルトと、下部搬送体3bの上側ベルトの間に形成される隙間に枠体1aが把持されることによって養殖用カゴ1は搬送体3に把持され、下流側に搬送される。
搬送中の養殖用カゴ1は揺動手段によって揺動され、養殖用カゴ1内の帆立貝は噴射装置4によって海水を噴射され、帆立貝は出し入れ口1dに集まり、ここから落下していく。
なお、養殖用カゴ1の搬送中は、適宜、筐体6の側面に設けられた確認窓から作業状況を監視し、必要に応じて搬送体3の搬送速度を低速とし、十分な揺動・噴射によって確実に帆立貝が出し入れ口1dから落下するように管理する。また、何らかの障害が発生した場合、搬送体3を停止し、筐体6の側面を開けて対処する。
出し入れ口1dから帆立貝は、スクリーン5によって大きさごとに振り分けられ、合致する収納器9に収容される。搬送体3の出口部まで搬送されて中に帆立貝がなくなった養殖用カゴ1は、カゴ台10に積み重ねられていく。
【0084】
(貝類取り出し装置の実施形態3)
本願発明の貝類取り出し装置の第3の実施形態を図に基づいて説明する。本実施形態は、実施形態1や実施形態2とは異なる揺動手段ならびに噴射装置について説明するためのものであって、揺動手段と噴射装置4以外については本実施形態においても実施形態1や実施形態2で説明したものと同様であり、その説明は省略する。
【0085】
図9は、養殖用カゴ1の搬送路内に揺動手段である接触壁16を配置した貝類取り出し装置2を示す説明図である。この図に示すように、水平面に対してやや傾斜(図では手前下がりに傾斜)した上部搬送体17aと下部搬送体17bによって養殖用カゴ1の一部が挟持されており、養殖用カゴ1も水平面に対してやや傾斜した状態で図の矢印X方向に搬送されている。
【0086】
養殖用カゴ1の搬送路、つまり上部搬送体17aと下部搬送体17bの間に位置する養殖用カゴ1が通過する空間には、接触壁16が養殖用カゴ1の搬送の妨げとなる高さで配置されている。この接触壁16は、養殖用カゴ1の搬送方向に並べられ略垂直に立設した複数の壁板16a(図では5枚)を備えている。この壁板16aは、溶接、接着、ボルト固定等の手段により、筐体6の周壁6a内面側に直接取り付けることができる。あるいは、養殖用カゴ1の搬送方向であって略垂直に立設する背面板16bで複数の壁板16aを連結し、さらに底板16cによって壁板16aの底部を連結し、この壁板16aと背面板16bと底板16cからなる接触壁16を筐体6内面に設置することもできる。
【0087】
壁板16aは、上部がV字状に切り欠かれており、搬送方向左側から内側に向かって下り傾斜(図9では手前側に下り傾斜)する左傾斜辺16dと、搬送方向右側から内側に向かって下り傾斜(図9では奥側に下り傾斜)する右傾斜辺16eを備えている。この左傾斜辺16dと右傾斜辺16eからなるV字状の切り欠き部を、養殖用カゴ1が通過するような位置に壁板16aは配置されるとともに、左傾斜辺16dと右傾斜辺16eとが接続する接続点16fが搬送中の養殖用カゴ1の最下点よりも上方となるような高さに壁板16aは配置される。
【0088】
養殖用カゴ1は、前記のとおり搬送中は水平面に対してやや傾斜しており、そのうえ枠体1aの角部(コーナー部)が搬送体17で挟持されているため枠体1aの各辺も搬送方向に対して傾斜した状態で搬送される。なお、図では上部搬送体17aと下部搬送体17bからなる搬送体17は左傾斜辺16dの上に配置されているため、左傾斜辺16dの傾斜角と同じ角度で傾斜しており、すなわち養殖用カゴ1も同角度に傾斜した状態で搬送されている。このような状態で養殖用カゴ1は矢印X方向に搬送されるため、搬送中に壁板16aを通過するたび養殖用カゴ1の一部が接続点16fに接触する。養殖用カゴ1の一部が接続点16fに接触した後もさらに養殖用カゴ1は矢印X方向に搬送されるため、養殖用カゴ1は壁板16aを乗り越えようとし接続点16fを中心に矢印Y方向に回転する。この回転によって養殖用カゴ1は揺動され、養殖用カゴ1内の帆立貝も揺動される。また、養殖用カゴ1が回転すると出し入れ口1dもその位置が変わり、出し入れ口1dが下方に位置した時に下方に移動した帆立貝が外に落下する(放出される)。
【0089】
養殖用カゴ1から外に落下した(放出された)帆立貝は、接触壁16に底板16cを設けない場合は直接スクリーン5の上に落下し、接触壁16に底板16cを設けた場合は一旦底板16cに落下し後に底板16cを滑り落ちてスクリーン5の上に落下する。そのため底板16cは、背面板16bを起点として下り傾斜(図9では手前側に下り傾斜)させる。
【0090】
10に示すように、噴射装置4は搬送体3の下方に設置することもできる。この場合、実施形態1と同様に搬送体3と略同じ長さの全長をもつ通水部4aとこれに沿って複数の噴射口4bを備えることもできるが、図10のように養殖用カゴ1の搬送方向に複数の噴射装置4(図では3箇所)を配置することもできる。図の噴射装置4は、略垂直方向に立設される通水部4aの上部に、略水平方向に延びる複数の通水腕4e(図では一つの噴射装置4につき4本)が取り付けられ、それぞれの通水腕4eには上向きに噴射する噴射口4bが複数(図では一つの通水腕4eにつき4箇所)設けられている。
【0091】
この噴射装置4は、圧送手段(図示しない)によって圧力が加えられた海水を通水部4aの下方から通水部4a内に圧送し、通水腕4eを通ってそれぞれの噴射口4bから海水が噴射される構造である。噴射装置4の設置数、通水腕4eや噴射口4bの設置数は適宜設計することができる。また、噴射装置4を通水部4aの軸まわりに回転可能としたり、通水腕4eをその軸回りに回転可能としたり、通水腕4eをその取り付け位置を中心に回転(噴射口4bが上下する方向に回転)可能としたり、噴射装置4を搬送方向あるいは搬送方向に対して直交方向に移動可能とするなど、噴射口4bからの噴射方向を変化させることもできる。
【0092】
(貝類取り出し装置の実施形態4)
本願発明の貝類取り出し装置の第4の実施形態を図に基づいて説明する。本実施形態は、実施形態1乃至実施形態3で説明した搬送体3に代えて、回転揺動体によって養殖用カゴ1内の帆立貝を落下させる貝類取り出し装置2を説明するためのものであって、搬送体3以外の基本的機能・構造については本実施形態においても実施形態1乃至実施形態3で説明したものと同様であり、その説明は省略する。
【0093】
図11は、本実施形態の貝類取り出し装置2を示す斜視図である。図11に示す回転揺動体18は中空の円筒形状を成し、回転軸回りに回転するとともに揺動するものである。海中から引き揚げられた養殖用カゴ1は、回転揺動体18の外周(表面)に移され、回転揺動体18の回転に伴って回転揺動体18の外周上を搬送されていく。この際、養殖用カゴの出し入れ口1dが回転揺動体18の中心方向となる姿勢(頂部C側が回転揺動体18の中心側で、底面A側が外周側の姿勢)であり、回転揺動体18の揺動によって養殖用カゴ1が揺り動かされるため、養殖用カゴ1内の帆立貝は中空である回転揺動体18の中に落下する。
【0094】
回転揺動体18はおもに複数の棒状リング18aからなり、帆立貝を回転揺動体18の中に落下させるため棒状リング18aは間隔をあけて配列される。この間隔(すなわち開口部)は、帆立貝の大きさよりも大きく、養殖用カゴ1の幅よりも小さい寸法である。また、棒状リング18aは円筒形状を維持し、養殖用カゴ1が載っても変形しない程度の強度を持つ材料が用いられる。一例として、鉄筋(丸鋼や異径棒鋼など)が挙げられ、望ましくは防錆加工を施した鉄筋、より望ましくはステンレス製の棒材を用いるのがよい。間隔を設けて配列された棒状リング18a同士は、軸方向に伸びる棒材(鉄筋等)を用い、溶接などの従来技術によって連結される。なおこの棒材は、養殖用カゴ1と接触しないように回転揺動体18の内周側に設けられるが、後に説明するように回転揺動体18の両端部(軸方向における端部)は内側に回転ローラー19を配置する必要があるため、この回転ローラー19の妨げとならないように、棒材は両端部まで伸ばすのではなく回転ローラー19よりもやや内側となるように配置する。そのため、回転揺動体18の両端部では棒状リング18aに代えて、やや幅のある平鋼(フラットバー)などをリング状にした板状リング18bを配置する。
【0095】
棒状リング18a、棒材、板状リング18bで構成される回転体の軸方向における両端部には、この回転体を回転軸回りに回転させる回転手段である複数(図では4個)の回転ローラー19が設置され、この回転ローラー19によって回転揺動体18の自重が支持されるとともに、回転ローラー19の回転に伴って回転揺動体18が回転する。図11に示すように、上方に設けられた回転ローラー19は回転揺動体18の内周側に配置されて回転揺動体18と同方向(図では時計回り)に回転し、下方に設けられた回転ローラー19は回転揺動体18の外周側に配置されて回転揺動体18と逆方向(図では反時計回り)に回転する。前記したように、回転ローラー19が接触するのは板状リング18bであり、棒状リング18aを連結する棒材がないことから回転ローラー19の回転力を円滑に回転揺動体18に伝達することができる。
【0096】
養殖用カゴ1から帆立貝が落下しやすいように、回転揺動体18には揺動手段が備えられる。この揺動手段としては、振動機能を有する回転ローラー19を利用したり、振動機(バイブレーター)を別途取り付けて直接回転揺動体18を揺動させたり、これら両方を組み合わせるなど種々の方法を採用できる。また、この揺動手段に加えて(あるいは揺動手段に代えて)、実施形態1で説明した噴射装置4を回転揺動体18の外側や内側に備えることもできる。
【0097】
回転体(棒状リング18a、棒材、板状リング18b)、回転手段、揺動手段を有する回転揺動体18の内部には、実施形態1でも示したスクリーン5が配置され、回転揺動体18内に落下してきた帆立貝を受ける。図11にも示すように、スクリーン5は回転揺動体18の回転軸方向と略平行であって、回転揺動体18の内部では落下する帆立貝を受け取り得る範囲で設置されるとともに、その一端が回転揺動体18の外側まで伸びるように配置される。またスクリーン5は、帆立貝が回収しやすいように、回転揺動体18の内側から外側に向けて下り傾斜となっている。実施形態1と同様、帆立貝のサイズ別に回収すべく、孔の径の異なる複数のスクリーン5を配置することもできる。
【0098】
図12(a)は、抑え具20を備えた回転揺動体18を示す側面図である。この抑え具20は、養殖用カゴ1の中の帆立貝を落下させるために、養殖用カゴ1を回転揺動体18の外周面(表面)に押さえつけるものである。押さえつけられた養殖用カゴ1内の帆立貝は回転揺動体18内に落下しやすくなり、特に揺動手段を設ける場合には、確実に養殖用カゴ1に揺動が伝わるのでさらに帆立貝は落下しやすくなる。
【0099】
図12(b)は、抑え具20の詳細図である。この抑え具20は、弾力性のある棒材が間隔をあけて平行に配列された「くし状」のものである。棒材は、全体的にはそれぞれ回転揺動体18の同心円上で弧を描いた形状をしているが、養殖用カゴ1の押さえ効果を高めるため起点側(図では左側)では下側凸となるように屈曲している。なお、抑え具20の自重とそれぞれ棒材の弾力のみで養殖用カゴ1を押さえつけてもよいし、さらにバネなど引張力を与え得るものを用いて抑え具20を下向き(回転揺動体18側)に引きつけて養殖用カゴ1の押さえ効果を高めることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本願発明の貝類取り出し方法及び貝類取り出し装置は、海上で帆立貝を養殖用カゴから取り出す場合に限らず、海岸など海に面した場所、湖上や河上で作業する場合、あるいは牡蠣、真珠貝、あこや貝、等の取り出し作業を行う場合にも利用することができる。
【符号の説明】
【0101】
1 養殖用カゴ
1a (養殖用カゴ1の)枠体
1b (養殖用カゴ1の)ネット
1c (養殖用カゴ1の)吊り紐
1d (養殖用カゴ1の)出し入れ口
1e (養殖用カゴ1の)補強材
2 貝類取り出し装置
3 搬送体
3a (搬送体3の)上部搬送体
3b (搬送体3の)下部搬送体
3c 空間通路
4 噴射装置
4a (噴射装置4の)通水部
4b (噴射装置4の)噴射口
4c (噴射装置4の)混入口
4d (噴射装置4の)回転手段
4e (噴射装置4の)通水腕
5 スクリーン
5a 上段(のスクリーン5)
5b 中段(のスクリーン5)
5c 下段(のスクリーン5)
6 筐体
6a (筐体6の)周壁
6b (筐体6の)支持脚
6c (筐体6の)車輪
7 押さえローラー
8 支持体
8a (支持体8の)接触板
8b (支持体8の)支柱
8c (支持体8の)梁
9 収納器
9a Lサイズ収納器
9b Mサイズ収納器
9c Sサイズ収納器
10 カゴ台
11 引き揚げ回転体(引き揚げ機)
11a (引き揚げ回転体11の)回転羽
11b (引き揚げ回転体11の)回転軸
11c (引き揚げ回転体11の)切り欠き
11d (引き揚げ回転体11の)支柱
12 送りローラー
13 搬送レール
14 連結体
15 上昇搬送体
15a (上昇搬送体15の)チェーンベルト
15b (上昇搬送体15の)スプロケット
15c (上昇搬送体15の)搬送台
16 接触壁
16a (接触壁16の)壁板
16b (接触壁16の)背面板
16c (接触壁16の)底板
16d (接触壁16の)左傾斜辺
16e (接触壁16の)右傾斜辺
16f (接触壁16の)接続点
17 搬送体
17a 上部搬送体
17b 下部搬送体
18 回転揺動体
18a 棒状リング
18b 板状リング
19 回転ローラー
20 抑え具
A 底面
B 周面
C 頂部
R 幹ロープ
S 船

【特許請求の範囲】
【請求項1】
養殖中の貝類の養殖用カゴを引き揚げ機により海中から船上に連続的に引き揚げ、この引き揚げた養殖用カゴから貝類を取り出す方法において、
前記引き揚げた養殖用カゴの底が上、出し入れ口側が下となるよう自動的に反転させ、養殖用カゴを反転状態で搬送し、搬送中に養殖用カゴを自動的に揺動させて、養殖用カゴ内の貝類を出し入れ口から自動的に落下させることを特徴とする貝類取り出し方法。
【請求項2】
請求項1記載の貝類取り出し方法において、
養殖用カゴの搬送中に、この養殖用カゴに液体、又は気体、又は気体を混入した液体を噴射し、養殖用カゴ内の貝類を出し入れ口側に寄せて、養殖用カゴ内の貝類を出し入れ口から自動的に落下させることを特徴とする貝類取り出し方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の貝類取り出し方法において、
搬送中の養殖用カゴの頂部に接触する支持体によって養殖用カゴを持ち上げ、養殖用カゴの出し入れ口を広げて、養殖用カゴ内の貝類を出し入れ口から自動的に落下させることを特徴とする貝類取り出し方法。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の貝類取り出し方法において、
出し入れ口から自動的に落下する貝類を選別機に投入してサイズ別に選別することを特徴とする貝類取り出し方法。
【請求項5】
貝類を取り出す出し入れ口を備えた貝類の養殖用カゴから貝類を取り出し可能な貝類取り出し装置であって、
前記養殖用カゴの一部を把持してこの養殖用カゴを搬送する搬送体を備え、
搬送中の前記養殖用カゴの出し入れ口から貝類を取り出すことを特徴とする貝類取り出し装置。
【請求項6】
請求項5記載の貝類取り出し装置において、
搬送中の養殖用カゴを揺動させる揺動手段を備え、
搬送中の前記養殖用カゴの出し入れ口から貝類を取り出すことを特徴とする貝類取り出し装置。
【請求項7】
請求項6記載の貝類取り出し装置において、
搬送中の養殖用カゴを揺動させる揺動手段が、搬送体を揺動させることによって搬送中の前記養殖用カゴを揺動させることを特徴とする貝類取り出し装置。
【請求項8】
請求項6記載の貝類取り出し装置において、
搬送中の養殖用カゴを揺動させる揺動手段が、搬送体で搬送される養殖用カゴの搬送路内に配置された接触壁であり、
前記接触壁が搬送中の前記養殖用カゴの一部に接触することで、搬送中の前記養殖用カゴが回転し、この回転によって搬送中の前記養殖用カゴを揺動させることを特徴とする貝類取り出し装置。
【請求項9】
請求項5乃至請求項8のいずれかに記載の貝類取り出し装置において、
搬送体の下方に、1又は2以上の篩を備え、
前記篩は、養殖用カゴの搬送方向に向けて下り傾斜で配置され、当該篩の孔を通過しない貝類は篩上を養殖用カゴの搬送方向に向けて移動することを特徴とする貝類取り出し装置。
【請求項10】
請求項5乃至請求項9のいずれかに記載の貝類取り出し装置において、
搬送体は、上部搬送体及び下部搬送体からなり、この上部搬送体と下部搬送体は隙間を設けて上下に重ねられて配置され、
養殖用カゴの一部が、前記隙間に挿入されるとともに前記上部搬送体と前記下部搬送体で挟持された状態で、養殖用カゴが搬送されることを特徴とする貝類取り出し装置。
【請求項11】
請求項10記載の貝類取り出し装置において、
上部搬送体は、1又は2以上の無端搬送体、又は搬送方向に複数のローラーが並べられたローラー搬送体であり、
下部搬送体は、1又は2以上の無端搬送体、又は搬送方向に複数のローラーが並べられたローラー搬送体であることを特徴とする貝類取り出し装置。
【請求項12】
請求項10又は請求項11記載の貝類取り出し装置において、
搬送体の入り口部における上部搬送体及び下部搬送体からなる隙間が、搬送体の他の位置の隙間よりも大きいことを特徴とする貝類取り出し装置。
【請求項13】
請求項5乃至請求項12のいずれかに記載の貝類取り出し装置において、
搬送体の下方に、搬送方向に連続して又は断続的に設置される支持体を備え、
前記支持体は、その上面が搬送中の養殖用カゴの底部に接触する位置となるように配置され、
前記養殖用カゴは、その底部が前記支持体によって持ち上げられた状態で搬送されることを特徴とする貝類取り出し装置。
【請求項14】
請求項13記載の貝類取り出し装置において、
支持体を揺動させることによって搬送中の養殖用カゴを揺動させ、
搬送中の前記養殖用カゴの出し入れ口から貝類を取り出すことを特徴とする貝類取り出し装置。
【請求項15】
貝類を取り出す出し入れ口を備えた貝類の養殖用カゴから貝類を取り出し可能な貝類取り出し装置であって、
前記養殖用カゴを揺動させながら搬送する回転揺動体を備え、
前記回転揺動体は、その外周に貝類の大きさよりも大きく前記養殖用カゴの幅よりも小さい寸法の開口部が設けられた中空の回転体と、この回転体を回転軸回りに回転させる回転手段と、回転体を揺動させる揺動手段を有し、
前記養殖用カゴは、回転体の回転に伴い前記回転体の外周に沿って移動し、回転体の揺動によって養殖用カゴの中の貝類を回転体内に落下させて取り出すことを特徴とする貝類取り出し装置。
【請求項16】
請求項15記載の貝類取り出し装置において、
養殖用カゴを回転体の外周面に押さえつけ、回転体の揺動を養殖用カゴに伝えやすくする抑え具を備えたことを特徴とする貝類取り出し装置。
【請求項17】
請求項15又は請求項16記載の貝類取り出し装置において、
回転体の中に1又は2以上の篩を備え、
前記篩は、回転軸と略平行で、回転体の内側から外側に向けて下り傾斜となるように配置され、当該篩の孔を通過しない貝類は篩上を回転揺動体の外側に向けて移動することを特徴とする貝類取り出し装置。
【請求項18】
請求項5乃至請求項17のいずれかに記載の貝類取り出し装置において、
養殖用カゴ内の貝類に向けて、液体、又は気体、又は気体を混入した液体を噴射可能な噴射手段を備え、
搬送中の前記養殖用カゴ内の貝類を前記噴射手段によって移動させることで、前記養殖用カゴの出し入れ口から貝類を取り出すことを特徴とする貝類取り出し装置。
【請求項19】
請求項18記載の貝類取り出し装置において、
噴射手段が、液体、又は気体、又は気体を混入した液体の噴射方向を変化させながら噴射可能であることを特徴とする貝類取り出し装置。
【請求項20】
請求項18又は請求項19記載の貝類取り出し装置において、
噴射手段が、搬送体で搬送される養殖用カゴの上方又は/及び下方に設置され、
上方に設置された前記噴射手段から搬送中の前記養殖用カゴに向けて、又は/及び下方に設置された前記噴射手段から搬送中の前記養殖用カゴに向けて、噴射可能であることを特徴とする貝類取り出し装置。
【請求項21】
請求項18乃至請求項20のいずれかに記載の貝類取り出し装置において、
噴射手段が、養殖用カゴの搬送方向上流側と下流側にそれぞれ設けられ、
前記上流側の噴射手段は、下流側よりも高圧で噴射水量の少ないものとし、
前記下流側の噴射手段は、上流側よりも低圧で噴射水量の多いものとしたことを特徴とする貝類取り出し装置。
【請求項22】
請求項5乃至請求項21のいずれかに記載の貝類取り出し装置において、
養殖用カゴを海中に吊り下げられた吊り紐を巻き上げる回転体を備え、
前記回転体によって吊り紐を巻き上げることで海中から引き揚げられた養殖用カゴを搬送体へ送り出すことを特徴とする貝類取り出し装置。
【請求項23】
請求項22記載の貝類取り出し装置において、
回転体が、その回転軸に対して略垂直に配置された回転羽を備え、この回転羽の一部に切り欠き部が設けられたことを特徴とする貝類取り出し装置。
【請求項24】
請求項5乃至請求項23のいずれかに記載の貝類取り出し装置において、
搬送体の周囲を覆う周壁と、この周壁の下部に取り付けられた複数の支持脚とを有する筐体を備え、
前記支持脚には車輪が設けられ、請求項5乃至請求項23のいずれかに記載の貝類取り出し装置を構成する部材は、前記筐体に連結され、
前記支持脚の車輪によって平面移動が可能であることを特徴とする貝類取り出し装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−29643(P2012−29643A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172212(P2010−172212)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(398000288)株式会社むつ家電特機 (17)
【Fターム(参考)】