説明

負荷制御スイッチ及び負荷制御スイッチシステム

【課題】配線工事を伴わずに、ユーザによって簡単に無線信号受信機能を有するように機能を向上させることができる負荷制御スイッチとリモコン装置との間の通信信頼性を向上した負荷制御スイッチシステムを提供する。
【解決手段】負荷制御スイッチシステムAは、負荷制御スイッチ1及びリモコン装置7から構成される。負荷制御スイッチ1は、電線が接続される端子モジュール2と、外部から入力される制御信号に応じて負荷のオン及びオフを制御する電子スイッチ機能を有する開閉機能モジュール3と、リモコン装置7との間で信号を送受信する無線信号送受信回路45、及び制御回路50を有する操作ハンドル4とを備える。リモコン装置7は、開閉機能モジュール3への制御信号を生成する制御部72と、開閉機能モジュール3を遠隔操作するため負荷制御スイッチ1と無線信号を送受信する送受信部73と、表示部74とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気工事士の資格を有していなくても、ユーザによって簡単に無線信号受信機能を有するように機能を向上させることが可能な負荷制御スイッチと、この負荷制御スイッチを遠隔制御するリモコン装置とを用いた負荷制御スイッチシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、換気扇や照明装置などの負荷のオン及びオフをリモコン装置などによって行えるように、建築物の壁面などに設置された負荷制御スイッチに無線信号受信機能を設けたものなどが提案されている。元々、単純に負荷のオン/オフを制御する負荷制御スイッチが設置されていたと仮定して、そのような負荷制御スイッチを、無線信号受信機能を有するものに交換するには、配線工事を必要とするため、ユーザが自分で交換することはできず、電気工事士の資格を有する者に依頼しなければならなかった。
【0003】
一方、近年DIY(Do It Yourself)と呼ばれるように、ホームセンターなどで部品を購入してきて、ユーザが自分で部品交換などを行うことが流行っている。現行のシステムにおいては、例えば非特許文献1に記載されているように、ユーザは、ホームセンターなどにおいて操作ハンドルの色やデザインなどを選択できる程度であり、負荷制御スイッチ本体の交換は自由にできないという煩わしさはそのままである。
【0004】
また、トライアックなどの半導体スイッチ素子を主スイッチ素子とする電子スイッチの場合、無線信号受信装置や人体感知センサなどから出力される信号に応じて、負荷のオン/オフを制御することが可能である。従って、電子式の負荷制御スイッチにあらかじめ外部信号入力端子を設けておき、その電子式の負荷制御スイッチに無線信号受信装置や人体感知センサなどをユーザ自身で接続できれば、低コストで負荷制御スイッチの機能を向上させることができる。
【0005】
さらに、従来の照明システムにおいて、1台のリモコンで空間内に配置された複数の照明装置の制御を同時に行うと共に、複数の照明装置の制御を個々に行うことが可能な照明システムが開示されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、このような従来の照明システムでは、ユーザがリモコン装置を用いて複数の照明の全消灯や調光制御などを行った場合に、制御信号を受信した照明装置からリモコン装置に対して応答信号が送信されないので、照明とリモコン装置との間の通信成立/不成立状態が確認できない。そのため、複数の照明の全消灯や調光制御などができていない場合でも、ユーザはリモコン装置のボタンを押しただけで照明の全消灯や調光制御などができたものと間違えてしまうという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−8068号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】パナソニック電工 電設資材カタログ 2010−2012 第19頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、配線工事を伴わずに、ユーザによって簡単に無線信号受信機能を有するように機能を向上させることが可能な負荷制御スイッチを提供し、且つこの負荷制御スイッチとリモコン装置との間の通信信頼性をも向上した負荷制御スイッチシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明に係る負荷制御スイッチは、建築物の壁面に設置された取り付け枠に直接取り付けられ、電線が接続される端子モジュールと、前記端子モジュールに着脱可能に装着され、外部から入力される制御信号に応じて負荷のオン及びオフを制御する電子スイッチ機能を有する開閉機能モジュールと、前記開閉機能モジュールに着脱可能に装着され、リモコン装置との間で信号を送受信する無線信号送受信回路、及び制御回路を有する操作ハンドルとを備えることを特徴とする。
【0010】
また、前記無線信号送受信回路が前記リモコン装置から制御信号を受信すると、前記操作ハンドルの前記制御回路は、当該制御信号の受信確認を示す応答信号を前記リモコン装置に返信することが好ましい。
【0011】
また、上記目的を達成するために本発明に係る負荷制御スイッチシステムは、リモコン装置を用いて負荷制御スイッチを遠隔制御する負荷制御スイッチシステムであって、前記負荷制御スイッチは、建築物の壁面に設置された取り付け枠に直接取り付けられ、電線が接続される端子モジュールと、前記端子モジュールに着脱可能に装着され、外部から入力される制御信号に応じて負荷のオン及びオフを制御する電子スイッチ機能を有する開閉機能モジュールと、前記開閉機能モジュールに着脱可能に装着され、前記リモコン装置との間で信号を送受信する無線信号送受信回路、及び制御回路を有する操作ハンドルとを備え、前記リモコン装置は、前記開閉機能モジュールを制御するための制御信号を生成する制御信号出力部と、前記開閉機能モジュールを遠隔操作するため、前記無線信号送受信回路と無線信号を送受信する送受信部と、前記送受信部と前記無線信号送受信回路との間の信号の送受信結果に応じて、前記開閉機能モジュールによる負荷制御状態をユーザに通知する負荷制御状態通知部とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、前記負荷制御スイッチシステムにおいて、前記無線信号送受信回路が前記リモコン装置から制御信号を受信すると、前記操作ハンドルの前記制御回路は、当該制御信号の受信確認を示す応答信号を前記リモコン装置に返信することが好ましい。
【0013】
また、前記負荷制御スイッチシステムにおいて、前記送受信部が応答信号を受信した場合、若しくは応答信号を受信できない場合、前記負荷制御状態通知部は、視覚又は聴覚を介して前記負荷制御状態の内容を更新することが好ましい。
【0014】
また、前記負荷制御スイッチシステムにおいて、前記リモコン装置の制御信号出力部は、前記負荷制御スイッチへ制御信号を送信後、所定時間以内に応答信号を受信できない場合には、前記制御信号を前記負荷制御スイッチに再送信することが好ましい。
【0015】
また、前記負荷制御スイッチシステムにおいて、前記リモコン装置の制御信号出力部は、前記負荷制御スイッチへの制御信号の再送信をしても応答信号を受信しない場合、前記負荷制御状態通知部の通知の内容を更新することが好ましい。
【0016】
また、前記負荷制御スイッチシステムにおいて、前記負荷制御スイッチシステムは、複数のリモコン装置若しくは複数の負荷制御スイッチを有し、前記リモコン装置の制御信号出力部若しくは前記負荷制御スイッチの制御回路は、制御信号を受信した場合には、当該制御信号を別の負荷制御スイッチに中継して送信することが好ましい。
【0017】
また、前記負荷制御スイッチシステムにおいて、前記無線信号送受信回路は、前記開閉機能モジュールの負荷制御状態信号を、所定期間ごとに前記リモコン装置に送信し、前記リモコン装置の制御信号出力部は、前記送受信部が前記負荷制御状態信号を受信した場合には、当該負荷制御状態信号に基づいて前記負荷制御状態通知部の通知の内容を更新することが好ましい。
【0018】
また、前記負荷制御スイッチシステムにおいて、前記無線信号送受信回路及び前記制御回路は、前記操作ハンドルに内蔵された一次電池から駆動電力が供給されることが好ましい。
【0019】
また、前記負荷制御スイッチシステムにおいて、前記操作ハンドルは、発電素子及び前記発電素子によって発電された電力を充電するための2次電池を備え、前記操作ハンドルが有する前記無線信号送受信回路及び前記制御回路は、前記発電素子又は前記2次電池から駆動電力が供給されることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、負荷制御スイッチが、電線が接続される端子モジュールと、端子モジュールに着脱可能に装着される開閉機能モジュールに分離され、さらに無線信号送受信回路が操作ハンドルに設けられている。そのため、ユーザは、配線工事を行うことなく、操作ハンドルのみ又は開閉機能モジュールと操作ハンドルの組み合わせを選択し、自分で交換することができる。
【0021】
また、負荷制御スイッチとリモコン装置とが無線通信で接続され、リモコン装置からの制御信号を受信した負荷制御スイッチは受信確認のための応答信号をリモコン装置に返信する。そのため、負荷制御スイッチとリモコン装置との間の通信信頼性を向上させると共に、ユーザは表示部を介して照明の点灯/消灯制御や調光制御などを確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態に係る負荷制御スイッチシステムの構成を示す図。
【図2】同負荷制御スイッチシステムにおいて負荷制御スイッチからリモコン装置に応答信号を返信する場合のシーケンス図。
【図3】同負荷制御スイッチシステムにおいて負荷制御スイッチからリモコン装置に応答信号が返信されない場合のシーケンス図。
【図4】同負荷制御スイッチシステムにおいて他のリモコン装置を用いて制御信号を中継送信する場合の説明図。
【図5】開閉機能モジュールから開閉状態信号をリモコン装置に定期的に送信する場合のシーケンス図。
【図6】同負荷制御スイッチシステムの第1の変形例の構成を示す図。
【図7】同負荷制御スイッチシステムの第2の変形例の構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態に係る負荷制御スイッチシステムについて説明する。図1は、本実施形態に係る負荷制御スイッチシステムAの基本構成を示す図であり、負荷制御スイッチ1及びリモコン装置7を備える。負荷制御スイッチ1は、例えばVVF(Vinyl insulated Vinyl sheathed Flat-type cable:600Vビニル絶縁ビニルシースケーブル平型)などの電線5が接続される端子モジュール2、スイッチ機能を有する開閉機能モジュール3、及び操作ハンドル4で構成されている。
【0024】
端子モジュール2は、絶縁被覆が剥がされた電線5の心線51が挿入されるインレット21と、開閉機能モジュール3のソケット31が挿入されるアウトレット22を備えている。インレット21は、電線5の心線51が挿入されると自動的にロックがかかるような、従来の負荷制御スイッチのものと同様である。アウトレット22の構造は特に限定されず、単なる電気接点であってもよいし、コンセントのような構造であってもよい。後者の場合、感電を防止するため、アウトレット22にスライド式のシャッターが設けられていてもよい。なお、図1では、端子モジュール2として2線式のものを例示しているが、3線式のものであってもよい。端子モジュール2は、電気工事士など専門知識を有するものによって設置されるものであり、本実施形態の構成によれば、端子モジュール2が一旦設置されると、通常は交換されない。なお、端子モジュール2は、開閉機能モジュール3が分離されている分、従来の負荷制御スイッチよりも小さい。そのため、従来の取り付け枠に取り付けられる場合は、アダプター6などが使用される。
【0025】
図1は、開閉機能モジュール3としては、例えば、半導体スイッチ素子を主スイッチ素子とする電子スイッチを例示している。開閉機能モジュール3の操作ハンドル4が装着される装着面32には、操作ハンドル4によって操作されるプッシュオン/プッシュオフ・スイッチ33が設けられている。また、開閉機能モジュール3の装着面32には、操作ハンドル4の背面41に設けられた軸受け42と嵌合される支軸34が設けられている。操作ハンドル4の背面41には、軸受け42が支軸34に嵌合された状態、すなわち、操作ハンドル4が開閉機能モジュール3に装着された状態で、プッシュオン/プッシュオフ・スイッチ33と当接される突起43が設けられている。操作ハンドル4は、支軸34(又は軸受け42)に対して非対称に形成されているプッシュオン/プッシュオフ・スイッチ33のばねによって、通常は一方向に偏って保持されている。
【0026】
上記非特許文献1などから周知のように、操作ハンドル4の大きさは、取り付け枠に取り付けられる負荷制御スイッチの数によって決定される。例えば、取り付け枠に負荷制御スイッチが1個だけ取り付けられる場合、シングルと呼ばれるように、化粧プレートに形成された矩形開口とほぼ同じ大きさの操作ハンドルが使用される。また、取り付け枠に負荷制御スイッチが2個取り付けられる場合、ダブルと呼ばれるように、化粧プレートに形成された矩形開口の高さ方向寸法の1/2の大きさの操作ハンドルが使用される(幅方向寸法は同じ)。さらに、取り付け枠に負荷制御スイッチが3個取り付けられる場合、トリプルと呼ばれるように、化粧プレートに形成された矩形開口の高さ方向寸法の1/3の大きさの操作ハンドルが使用される。従来と同じく、複数の色やデザインのものから選択できることは言うまでもない。
【0027】
開閉機能モジュール3の内部には、回路基板35が設けられており、回路基板35にはトライアックなどの半導体スイッチ素子などで構成された制御回路36が実装されている。ユーザによって操作ハンドル4が操作されると、プッシュオン/プッシュオフ・スイッチ33がオン又はオフされ、それに伴って負荷がオン又はオフされる。
【0028】
操作ハンドル4の内部には、回路基板44が設けられており、回路基板44に無線信号送受信回路45、アンテナ46及び47、及び制御回路50が実装されている。さらに、開閉機能モジュール3の装着面には、複数(例えば3つを例示)の第1接点37が設けられており、操作ハンドル4の背面41には、第1接点37と接触する複数(一般的には同数)の第2接点(ばね片)48が設けられている。それによって、第1接点37及び第2接点47を介して、電子スイッチの制御回路36と無線信号送受信回路45及び制御回路50とが接続される。
【0029】
図1に示す実施形態では、無線信号送受信回路45の駆動電力は、第1接点37及び第2接点48を介して、電子スイッチ(開閉機能モジュール3側)から供給される。この構成により、操作ハンドル4は電子スイッチモジュールから供給される電力で駆動されるため、操作ハンドル4の電池交換等のメンテナンスが不要となる。
【0030】
アンテナ46及び47は、ほぼ同一の部品がそれぞれ直交するように配置されており、いずれか一方のみを選択して使用するように構成されている。周知のように、リモコン装置(図示せず)などから送信される電波は、水平偏波成分と垂直偏波成分を含んでおり、周囲の電波環境に応じて、いずれか受信状態のよい方のアンテナ46又は47を選択することができる。アンテナ46又は47の選択は、ユーザによるスイッチの切換であってもよいし、無線信号送受信回路45による自動的切り換えであってもよい。
【0031】
例えば、白熱灯やLEDなどの照明装置が負荷として接続される場合、負荷制御スイッチに調光機能を持たせることが効果的である。その場合、電子スイッチの制御回路36にさらに調光回路を設け、無線信号送受信回路45によりリモコン装置から送信される調光信号を受信し、調光回路は調光信号に応じて負荷である照明装置を調光制御するように構成すればよい。
【0032】
リモコン装置7は、操作ハンドル4の無線信号送受信回路45と間で無線通信を行うことで負荷制御スイッチ1の開閉や調光強度などを遠隔制御するために用いられる。リモコン装置7は、持ち運び可能に軽量化された形態でも良いし、持ち運びができない壁に固定される形態でも良い。
【0033】
リモコン装置7は、操作ボタン部71、制御部(制御信号出力部)72、送受信部73及び表示部(負荷制御状態通知部)74を備える。操作ボタン部71は、ユーザが要求する負荷制御スイッチ1の入力操作を受ける複数のボタン部から構成され、例えば負荷制御スイッチ1の入/切ボタン、明るさ調整ボタンなどを含む。制御部72は、CPUを備え、操作ボタン部71に対応して負荷制御スイッチ1へ送信する制御信号を生成し、送受信部73に出力する。また、制御部72は、送信した信号や負荷制御スイッチ1から受信した信号に応じて表示部74の表示制御を行う。送受信部73は、制御部72からの指令を受けて、負荷制御スイッチ1との間で制御信号の送受信を行う。表示部74は、負荷制御スイッチ1との通信状態をユーザに通知するための液晶表示部、LED(発光ダイオード)や警告音を発生するブザーなどである。例えば、リモコン装置7から負荷制御スイッチ1に制御信号の送信後に負荷制御スイッチ1から応答信号が返ってこなければ、リモコン装置7の表示部74には「照明と通信できません」などの警告表示がなされる。
【0034】
次に、本実施形態に係る負荷制御スイッチシステムAの動作に関して説明する。図2に示すように、最初に、リモコン装置7の操作ボタン部71を介して、例えば照明の点灯/消灯などの指示入力がなされると(S21)、制御部72は操作ボタン部71の種類に応じた制御信号を生成し、送受信部73に出力する(S22)。そして、送受信部73は、制御信号を操作ハンドル4の無線信号送受信回路45に送信する(S23)。
【0035】
次に、操作ハンドル4の制御回路50は、制御信号を受信した無線信号送受信回路45を介して制御信号を取得して(S24)、取得した制御信号に対応する命令信号を開閉機能モジュール3の制御回路36に行うと共に(S25)、制御信号の受信確認を表す応答信号の返信命令をする(S26)。そして、無線信号送受信回路45は、応答信号をリモコン装置7に送信し(S27)、リモコン装置7の送受信部73は、応答信号を受信する(S28)。次に、応答信号受信を受けた制御部72は、操作ボタン部71を用いて行った指示入力が完了したことを表示部74に表示する(S29)。
【0036】
図3に示すように、リモコン装置7の制御部72は、負荷制御スイッチ1へ制御信号を送信した後(S23)、所定時間以内に負荷制御スイッチ1からの応答信号を受信しない場合(S31)、制御信号を再送信する(S32)。このことにより、リモコン装置7と負荷制御スイッチ1との間の通信信頼性を、より向上させることができる。
【0037】
また、リモコン装置7の制御部72は、制御信号の再送信(S32)の後においても応答信号を受信できない場合(S33、S34)、通信不可と表示部74に表示する(S35)。これは、例えば、ユーザがリモコン装置7の操作ボタン部71を用いて複数の照明の全消灯の操作入力をした場合でも、全ての負荷制御スイッチ1からの応答信号が受信できない場合がある。この場合、一部の負荷制御スイッチ1に対応する照明が消灯できていないことを表示部74に表示して、ユーザは照明が全消灯できていないことを確実に知ることができる。
【0038】
なお、図4に示すように、リモコン装置7は、上述のS32に示す制御信号の再送信を、負荷制御スイッチシステムA内に存在する他の負荷制御スイッチ1やリモコン装置7を中継器として用いて、制御信号を所望の負荷制御スイッチ1に再送信することもできる。これは、1回目の制御信号送信が不可だった場合、制御信号の再送信を同じリモコン装置7を用いて行っても再度送信不可となる可能性が高く、2回目の制御信号の送信を負荷制御スイッチシステムA内の他のリモコン装置7や負荷制御スイッチ1に中継処理依頼をすることでリモコン装置7と負荷制御スイッチ1との間の通信信頼性を高める。なお、この場合、制御信号のヘッダ部には中継依頼を示すコマンドや転送先の負荷制御スイッチ1のアドレス情報などを含ませる。また、図4以外に、リモコン装置7が制御信号の中継を負荷制御スイッチシステムA内のリモコン装置7及び負荷制御スイッチ1にブロードキャストする方法もある。
【0039】
また、ユーザが現時点での照明のオン/オフ状態を確実に確認できるようにするため、図5に示すように、開閉機能モジュール3の制御回路36が、負荷制御状態信号を定期的(例えば、数秒毎など)に生成して操作ハンドル4の制御回路50に送信する(S51)。そして、操作ハンドル4の制御回路50から無線信号送受信回路45を介してリモコン装置7に負荷制御状態信号を送信し(S52,53)、リモコン装置7の制御部72は、受信した負荷制御状態信号に基づいて、照明のオン/オフ状態を表示部74に表示する(S54,55)。このため、ユーザは、リモコン装置7が複数であったり、3路スイッチや4路スイッチを用いて1つの照明に複数の負荷制御スイッチ1を接続する場合でも、リモコン装置7の表示部74において現時点での照明のオン/オフ状態を確認することができる。
【0040】
(第1の変形例)
本実施形態の第1の変形例について、図6を参照して説明する。図6に示す第1の変形例では、第1接点37及び第2接点48をそれぞれ少なくとも2つとし、操作ハンドル4に内蔵された1次電池49から無線信号送受信回路45と制御回路50とに駆動電力を供給するように構成されている。例えば2線式配線の場合、負荷制御スイッチ1は商用電源と負荷に対して直列に接続される。そして、負荷制御スイッチ1の開閉機能モジュール3の制御回路36の駆動電力は商用電源から供給される。すなわち、負荷がオフの状態でも、制御回路36のCPUなどを待機させるための待機電力が消費され、それに起因して、負荷に微小電流が流れる。同様に、無線信号送受信回路45や制御回路50も、負荷がオフの状態であっても、常にリモコン装置7からの制御信号を受信できるように待機している。
【0041】
ここで、図1に示す構成例のように、無線信号送受信回路45と制御回路50との駆動電力を開閉機能モジュール3から供給すると、負荷がオフの状態で負荷に流れる電流が増加する。負荷が白熱電灯などの場合はさほど問題とはならないが、LEDのように元々消費電力が少ない上、商用電源の電圧上昇に伴って電流値が低下するような特性を有する負荷の場合、制御回路36の待機電力に起因する電流によってLEDが点灯してしまう畏れがある。従って、図6に示す変形例のように、内蔵1次電池49から無線信号送受信回路45や制御回路50に駆動電力を供給することにより、LEDの誤点灯を防止することができる。また、操作ハンドル4の受電端子が不要となり、開閉機能モジュール3は操作ハンドル4への電源供給が不要なので回路構成を簡略化できる。なお、内蔵1次電池49として、例えばリチウムイオン電池などを用いれば、(使用頻度にもよるが)3〜5年の電池寿命が確保されるので、実用上特に問題は生じない。また、電池寿命が残り少なくなったときに、電池交換を促すような警報を出力するように構成してもよい。
【0042】
また、図6に示すリモコン装置7は、内蔵電池75を具備し、この内蔵電池75を電源として各処理部を駆動することで、リモコン装置7を軽量化して、ユーザの利便性を向上できる。なお、壁に固定されるタイプのリモコン装置7では、商用電源から受電するための受電回路を有していてもよい。
【0043】
(第2の変形例)
本実施形態の第2の変形例について、図7を参照して説明する。図7に示す第2の変形例では、操作ハンドル4に太陽電池などの発電素子61及び発電素子61によって発電された電力を充電するための2次電池62を備え、無線信号送受信回路45及び制御回路50には、発電素子61又は2次電池62から駆動電力が供給されるように構成されている。
【0044】
発電素子61としては、太陽電池の他に圧電素子などを用いることも可能である。例えば、操作ハンドル4は、プッシュオン/プッシュオフ・スイッチ33のばねによって一定の方向に付勢されている。従って、操作ハンドル4の背面41などに圧電素子を設け、常時圧電素子に圧力が加えられるようにしておけば、無線信号送受信回路45や制御回路50の駆動電力程度の電力を発電することは可能である。また、発電素子61を操作ハンドル4が具備するので、操作ハンドル4は受電端子が不要となり、且つ開閉機能モジュール3からの電源供給が不要なので回路構成を簡略化できる。さらに、発電素子61を用いることで、ユーザは操作ハンドル4の電池交換等のメンテナンスが不要となる。
【0045】
なお、開閉機能モジュール3の最もシンプルな構成として、可動接点及び固定接点を備えた機械スイッチが挙げられる。例えば、支軸の周りに操作ハンドルを一方向に回転させれば可動接点が固定接点に接触し、操作ハンドルを逆方向に回転させれば可動接点が固定接点から離反するシーソースイッチや、あるいは、機械式のプッシュオン/プッシュオフ・スイッチなどが考えられる(公知につき図示せず)。これらの機械スイッチは、機能自体は負荷をオン又はオフさせるだけのシンプルなものであるが、低コストである。
【0046】
上記のように構成された負荷制御スイッチシステムAによれば、あらかじめ端子モジュール2さえ設置されていれば、ホームセンターなどでユーザが自分の目的にあった開閉機能モジュール3及びそれに適合する操作ハンドル4を購入することにより、負荷制御スイッチ1を自分で交換することができる。例えば、入居時に開閉機能モジュール3として最も安価な機械スイッチが装着されていたと仮定して、ユーザが照明装置のオン及びオフをリモコン装置から制御したい場合、電子スイッチを備えた開閉機能モジュール3、無線信号受信機能を備えた操作ハンドル4及びリモコン装置7を購入し、自分で交換すればよい。それによって、例えば工務店に電気工事の依頼をする必要がなくなり、低コストで、かつ、任意の時に、負荷制御スイッチの機能向上又は変更を行うことができる。
【0047】
また、本発明に係る負荷制御スイッチシステムAでは、リモコン装置7から負荷制御スイッチ1を操作した場合に、負荷制御スイッチ1から返信される応答信号を受けて通信状態を表示部74に表示するため、リモコン装置7及び負荷制御スイッチ1の間の通信信頼性を向上させると共に、ユーザは表示部74を介して照明のオン/オフや調光制御を確認できる。
【0048】
なお、本発明の負荷制御スイッチシステムAは、例えば2線用及び3線用の2種類の端子モジュール2と、上記実施形態で例示した複数種類の開閉機能モジュール3及びそれに適応する複数種類の操作ハンドル4などでも構成できる。また、上記実施形態では、無線信号受信機能として電波を用いた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、赤外線などを用いた無線信号受信機能であってもよい。
【符号の説明】
【0049】
A 負荷制御スイッチシステム
1 負荷制御スイッチ
2 端子モジュール
3 開閉機能モジュール
31 ソケット
32 装着面
33 プッシュオン/プッシュオフ・スイッチ
34 支軸
35 回路基板
36 制御回路
4 操作ハンドル
41 背面
42、42A、42B 軸受け
43 突起
44 回路基板
45 無線信号送受信回路
46、47 アンテナ
49 1次電池
50 制御回路
5 電線
51 心線
61 発電素子
62 2次電池
7 リモコン装置
71 操作ボタン部
72 制御部
73 送受信部
74 表示部
75 内蔵電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の壁面に設置された取り付け枠に直接取り付けられ、電線が接続される端子モジュールと、
前記端子モジュールに着脱可能に装着され、外部から入力される制御信号に応じて負荷のオン及びオフを制御する電子スイッチ機能を有する開閉機能モジュールと、
前記開閉機能モジュールに着脱可能に装着され、リモコン装置との間で信号を送受信する無線信号送受信回路、及び制御回路を有する操作ハンドルとを備えることを特徴とする負荷制御スイッチ。
【請求項2】
前記無線信号送受信回路が前記リモコン装置から制御信号を受信すると、前記制御回路は、受信確認を表す応答信号を前記リモコン装置に返信することを特徴とする請求項1記載の負荷制御スイッチ。
【請求項3】
リモコン装置を用いて負荷制御スイッチを遠隔制御する負荷制御スイッチシステムであって、
前記負荷制御スイッチは、
建築物の壁面に設置された取り付け枠に直接取り付けられ、電線が接続される端子モジュールと、
前記端子モジュールに着脱可能に装着され、外部から入力される制御信号に応じて負荷のオン及びオフを制御する電子スイッチ機能を有する開閉機能モジュールと、
前記開閉機能モジュールに着脱可能に装着され、前記リモコン装置との間で信号を送受信する無線信号送受信回路、及び制御回路を有する操作ハンドルとを備え、
前記リモコン装置は、
前記開閉機能モジュールを制御するための制御信号を生成する制御信号出力部と、
前記開閉機能モジュールを遠隔操作するため、前記無線信号送受信回路と無線信号を送受信する送受信部と、
前記送受信部と前記無線信号送受信回路との間の信号の送受信結果に応じて、前記開閉機能モジュールによる負荷制御状態をユーザに通知する負荷制御状態通知部とを備えることを特徴とする負荷制御スイッチシステム。
【請求項4】
前記無線信号送受信回路が前記リモコン装置から制御信号を受信すると、前記操作ハンドルの前記制御回路は、当該制御信号の受信確認を示す応答信号を前記リモコン装置に返信することを特徴とする請求項3記載の負荷制御スイッチシステム。
【請求項5】
前記送受信部が応答信号を受信した場合、若しくは応答信号を受信できない場合、前記負荷制御状態通知部は、視覚又は聴覚を介して前記負荷制御状態の内容を更新することを特徴とする請求項4記載の負荷制御スイッチシステム。
【請求項6】
前記リモコン装置の制御信号出力部は、前記負荷制御スイッチへ制御信号を送信後、所定時間以内に応答信号を受信できない場合には、前記制御信号を前記負荷制御スイッチに再送信することを特徴とする請求項4記載の負荷制御スイッチシステム。
【請求項7】
前記リモコン装置の制御信号出力部は、前記負荷制御スイッチへの制御信号の再送信をしても応答信号を受信しない場合、前記負荷制御状態通知部の通知の内容を更新することを特徴とする請求項6記載の負荷制御スイッチシステム。
【請求項8】
前記負荷制御スイッチシステムは、複数のリモコン装置若しくは複数の負荷制御スイッチを有し、
前記リモコン装置の制御信号出力部若しくは前記負荷制御スイッチの制御回路は、制御信号を受信した場合には、当該制御信号を別の負荷制御スイッチに中継して送信することを特徴とする請求項6記載の負荷制御スイッチシステム。
【請求項9】
前記無線信号送受信回路は、前記開閉機能モジュールの負荷制御状態信号を、所定期間ごとに前記リモコン装置に送信し、
前記リモコン装置の制御信号出力部は、前記送受信部が前記負荷制御状態信号を受信した場合には、当該負荷制御状態信号に基づいて前記負荷制御状態通知部の通知の内容を更新することを特徴とする請求項3記載の負荷制御スイッチシステム。
【請求項10】
前記無線信号送受信回路及び前記制御回路は、前記操作ハンドルに内蔵された一次電池から駆動電力が供給されることを特徴とする請求項3記載の負荷制御スイッチシステム。
【請求項11】
前記操作ハンドルは、発電素子及び前記発電素子によって発電された電力を充電するための2次電池を備え、前記操作ハンドルが有する前記無線信号送受信回路及び前記制御回路は、前記発電素子又は前記2次電池から駆動電力が供給されることを特徴とする請求項3記載の負荷制御スイッチシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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