説明

負荷時タップ切換器の切換開閉器の蓄勢機構

【課題】負荷時タップ切換器の切換開閉器の蓄勢機構において、蓄勢機構の1つの入力から2つの出力を得る。
【解決手段】周方向において回動する入力ディスク210と、入力ディスク210の回動中心を回転中心として回転する第1クランク110と、入力ディスク210の回動中心を回転中心として回転する第2クランク120とを備える。第1クランク110を拘束して第1クランク110の回転を規制する第1ラッチ150および第2ラッチ160と、第2クランク120を拘束して第2クランク120の回転を規制する第3ラッチ170および第4ラッチ180とを備える。第1ラッチ150および第2ラッチ160による第1クランク110の拘束を解除する第1クランク解除部213と、第3ラッチ170および第4ラッチ180による第2動力伝達部の拘束を解除する第2クランク解除部214とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、負荷時タップ切換器の切換開閉器の蓄勢機構に関する。
【背景技術】
【0002】
蓄勢機構を有する切換開閉器を開示した先行文献として特許文献1がある。特許文献1に開示された切換開閉器においては、タップ端子間の接続を切り換えるために蓄勢機構の出力側に結合されて回動する主開閉器駆動軸に連結された主切換開閉器と、限流抵抗器の接続を変更する副切換開閉器とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公昭63−28822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
切換開閉器の構成によっては、蓄勢機構の出力が2つ必要となる場合がある。特許文献1に記載された切換開閉器においては蓄勢機構の出力を1つしか得ることができない。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであって、蓄勢機構の1つの入力から2つの出力を得ることができる、負荷時タップ切換器の切換開閉器の蓄勢機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に基づく負荷時タップ切換器の切換開閉器の蓄勢機構は、円環状の外形を有し、周方向において回動する動力入力部と、第1開閉器駆動軸と繋がって、動力入力部の回動中心を回転中心として回転する第1動力伝達部と、第2開閉器駆動軸と繋がって、動力入力部の回動中心を回転中心として回転する第2動力伝達部とを備える。また、負荷時タップ切換器の切換開閉器の蓄勢機構は、動力入力部と第1動力伝達部とを連結する第1蓄勢部材と、動力入力部と第2動力伝達部とを連結する第2蓄勢部材とを備える。さらに、負荷時タップ切換器の切換開閉器の蓄勢機構は、第1動力伝達部を拘束して第1動力伝達部の回転を規制する第1拘束部と、第2動力伝達部を拘束して第2動力伝達部の回転を規制する第2拘束部とを備える。また、負荷時タップ切換器の切換開閉器の蓄勢機構は、第1拘束部による第1動力伝達部の拘束を解除する第1拘束解除部と、第2拘束部による第2動力伝達部の拘束を解除する第2拘束解除部とを備える。第1拘束解除部および第2拘束解除部の各々が、動力入力部の回動に連動して動作する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、負荷時タップ切換器の切換開閉器の蓄勢機構において、蓄勢機構の1つの入力から2つの出力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】変圧器巻線の奇数側タップに接続されている状態を示す切換開閉器の回路図である。
【図2】主真空スイッチを開極した状態を示す切換開閉器の回路図である。
【図3】通電スイッチを切り換えている状態を示す切換開閉器の回路図である。
【図4】通電スイッチを偶数側タップに繋がった配線に接続した状態を示す切換開閉器の回路図である。
【図5】主真空スイッチを閉極した状態を示す切換開閉器の回路図である。
【図6】抵抗真空スイッチを開極した状態を示す切換開閉器の回路図である。
【図7】補助スイッチを切り換えている状態を示す切換開閉器の回路図である。
【図8】補助スイッチを偶数側タップに繋がった配線に接続した状態を示す切換開閉器の回路図である。
【図9】抵抗真空スイッチを閉極した状態を示す切換開閉器の回路図である。
【図10】本発明の実施形態1に係る負荷時タップ切換器の切換開閉器の蓄勢機構の構成を示す斜視図である。
【図11】第1クランクが第2固定位置に固定され、第2クランクが第4固定位置に固定されている状態を示す蓄勢機構の平面図である。
【図12】入力ディスクが左周りに回転している途中の状態を示す蓄勢機構の平面図である。
【図13】第2クランク解除部が第4ラッチの短手部に接触した状態を示す蓄勢機構の平面図である。
【図14】第2クランク解除部が第4ラッチの短手部を押圧して第2クランクの拘束を解除した状態を示す蓄勢機構の平面図である。
【図15】第2ばねの蓄勢力が開放されて第2クランクが回転している状態を示す蓄勢機構の平面図である。
【図16】第2クランクが第3ラッチに拘束されて第3固定位置に固定された状態を示す蓄勢機構の平面図である。
【図17】第1クランク解除部が第2ラッチの短手部を押圧して第1クランクの拘束を解除した状態を示す蓄勢機構の平面図である。
【図18】第1ばねの蓄勢力が開放されて第1クランクが回転している状態を示す蓄勢機構の平面図である。
【図19】第1クランクが第1ラッチに拘束されて第1固定位置に固定された状態を示す蓄勢機構の平面図である。
【図20】入力ディスクが右周りに回転している途中の状態を示す蓄勢機構の平面図である。
【図21】第2クランク解除部が第3ラッチの短手部に接触した状態を示す蓄勢機構の平面図である。
【図22】第2クランク解除部が第3ラッチの短手部を押圧して第2クランクの拘束を解除した状態を示す蓄勢機構の平面図である。
【図23】第2ばねの蓄勢力が開放されて第2クランクが回転している状態を示す蓄勢機構の平面図である。
【図24】第2クランクが第4ラッチに拘束されて第4固定位置に固定された状態を示す蓄勢機構の平面図である。
【図25】第1クランク解除部が第1ラッチの短手部を押圧して第1クランクの拘束を解除した状態を示す蓄勢機構の平面図である。
【図26】第1ばねの蓄勢力が開放されて第1クランクが回転している状態を示す蓄勢機構の平面図である。
【図27】同実施形態の蓄勢機構において、第1クランクと第2クランクの固定解除時期に所定の間隔を設けた状態を示す蓄勢機構の平面図である。
【図28】第1クランクと第2クランクの固定解除時期を同期させた状態を示す蓄勢機構の平面図である。
【図29】本発明の実施形態2に係る負荷時タップ切換器の切換開閉器の蓄勢機構の構成を示す平面図である。
【図30】本発明の実施形態3に係る負荷時タップ切換器の切換開閉器の蓄勢機構の構成を示す平面図である。
【図31】本発明の実施形態4に係る負荷時タップ切換器の蓄勢機構の構成を示す斜視図である。
【図32】同実施形態に係る蓄勢機構を下方から見た斜視図である。
【図33】同実施形態に係る蓄勢機構の構成を示す断面図である。
【図34】第1クランクが第2固定位置に固定され、第2クランクが第4固定位置に固定されている状態を示す蓄勢機構の平面図である。
【図35】入力ディスクが左周りに回転している途中の状態を示す蓄勢機構の平面図である。
【図36】第1クランク解除部が第2ラッチの短手部に接触した状態を示す蓄勢機構の平面図である。
【図37】第1クランク解除部が第2ラッチの短手部を押圧して第1クランクの拘束を解除した状態を示す蓄勢機構の平面図である。
【図38】第2ばねの蓄勢力が開放されて第1クランクが回転している状態を示す蓄勢機構の平面図である。
【図39】第2クランク解除部が第4ラッチの短手部に接触した状態を示す蓄勢機構の平面図である。
【図40】第2クランク解除部が第4ラッチの短手部を押圧して第2クランクの拘束を解除した状態を示す蓄勢機構の平面図である。
【図41】第2ばねの蓄勢力が開放されて第2クランクが回転している状態を示す蓄勢機構の平面図である。
【図42】第2クランクが第3ラッチに拘束されて第3固定位置に固定された状態を示す蓄勢機構の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態1に係る負荷時タップ切換器の切換開閉器の蓄勢機構について図面を参照して説明する。以下の実施形態の説明においては、図中の同一または相当部分には同一符号を付して、その説明は繰返さない。
【0010】
(実施形態1)
まず、本発明の実施形態1に係る負荷時タップ切換器の切換開閉器の動作シーケンスについて説明する。
【0011】
図1は、変圧器巻線の奇数側タップに接続されている状態を示す切換開閉器の回路図である。図1に示すように、負荷時タップ切換器の切換開閉器においては、変圧器巻線10の奇数側タップ11と偶数側タップ12との切換が行なわれる。
【0012】
負荷時タップ切換器の切換開閉器は、タップ切換途中に負荷電流を寸断させることのないように、奇数側タップと偶数側タップとのタップ間橋絡状態でタップ間電圧による橋絡電流を制限するための限流抵抗器40を有する。限流抵抗器40には、抵抗真空スイッチ30および主真空スイッチ20が直列に接続されている。
【0013】
負荷時タップ切換器の切換開閉器は、奇数側タップ11に繋がった配線または偶数側タップ12と繋がった配線と限流抵抗器40とを選択的に接続する補助スイッチ50を有する。また、負荷時タップ切換器の切換開閉器は、奇数側タップ11に繋がった配線または偶数側タップ12と繋がった配線と主真空スイッチ20とを選択的に接続する通電スイッチ60を有する。
【0014】
負荷時タップ切換器の切換開閉器においては、抵抗真空スイッチ30と主真空スイッチ20との間に接続された配線70から負荷電流が流れるとともに、タップ間電圧による橋絡電流が流れる。
【0015】
図1に示す状態においては、主真空スイッチ20および抵抗真空スイッチ30は閉極しており、補助スイッチ50および通電スイッチ60は奇数側タップ11に繋がった配線に接続されている。その結果、図中の矢印で示すルートで負荷電流が流れる。
【0016】
図2は、主真空スイッチを開極した状態を示す切換開閉器の回路図である。図2に示すように、主真空スイッチ20を開極することにより、図中の矢印で示すルートで負荷電流が流れる。
【0017】
図3は、通電スイッチを切り換えている状態を示す切換開閉器の回路図である。図3に示すように、通電スイッチ60を切り換えている状態においては、図中の矢印で示すルートで負荷電流が流れる。
【0018】
図4は、通電スイッチを偶数側タップに繋がった配線に接続した状態を示す切換開閉器の回路図である。図4に示すように、通電スイッチ60を偶数側タップ12に繋がった配線に接続した状態において、図中の矢印で示すルートで負荷電流が流れる。
【0019】
図5は、主真空スイッチを閉極した状態を示す切換開閉器の回路図である。図5に示すように、主真空スイッチ20を閉極することにより、図中の矢印で示すルートで負荷電流が流れる。
【0020】
図6は、抵抗真空スイッチを開極した状態を示す切換開閉器の回路図である。図6に示すように、抵抗真空スイッチ30を開極することにより、図中の矢印で示すルートで負荷電流が流れる。
【0021】
図7は、補助スイッチを切り換えている状態を示す切換開閉器の回路図である。図7に示すように、補助スイッチ50を切り換えている状態において、図中の矢印で示すルートで負荷電流が流れる。
【0022】
図8は、補助スイッチを偶数側タップに繋がった配線に接続した状態を示す切換開閉器の回路図である。図8に示すように、補助スイッチ50を偶数側タップ12に繋がった配線に接続した状態において、図中の矢印で示すルートで負荷電流が流れる。
【0023】
図9は、抵抗真空スイッチを閉極した状態を示す切換開閉器の回路図である。図9に示すように、抵抗真空スイッチ30を閉極した状態において、図中の矢印で示すルートで負荷電流が流れる。
【0024】
上記のシーケンスを行なうことにより、負荷電流が出力される配線70と接続されるタップを奇数側タップ11から偶数側タップ12に切換ることができる。
【0025】
以下、本実施形態に係る負荷時タップ切換器の切換開閉器の蓄勢機構の構成について説明する。
【0026】
図10は、本発明の実施形態1に係る負荷時タップ切換器の切換開閉器の蓄勢機構の構成を示す斜視図である。図10に示すように、本実施形態に係る負荷時タップ切換器の切換開閉器の蓄勢機構100(以下、蓄勢機構100と称す)は、円環状の外形を有し、周方向において回動する動力入力部である入力ディスク210を備える。入力ディスク210は、中心部に開口を有して周方向の所定の範囲を回動する。
【0027】
入力ディスク210は、中心部に開口を有する円盤240の上面に配置されている。入力ディスク210の回動中心と円盤240の中心とは、一致している。本実施形態においては、入力ディスク210は、円盤240上に配置されているが、円盤に限られず、平板上に配置されていればよい。
【0028】
円盤240上には、入力ディスク210の回動中心と軸中心とが一致するように配置された中空状の第1開閉器駆動軸130と繋がった第1動力伝達部である第1クランク110が配置されている。第1開閉器駆動軸130は、円盤240の中心部の開口を貫通している。第1開閉器駆動軸130には、補助スイッチ50の接触子が接続されている。
【0029】
第1クランク110は、入力ディスク210の回動中心を回転中心として回転する。第1クランク110は、後述する第1ラッチ150に固定される際に第1ラッチ150と係合する第1側部111と、後述する第2ラッチ160に固定される際に第2ラッチ160と係合する第2側部112とを含む。
【0030】
第1クランク110上には、第1開閉器駆動軸130の中空部に配置された第2開閉器駆動軸140と繋がった第2動力伝達部である第2クランク120が配置されている。第2開閉器駆動軸140には、通電スイッチ60の接触子が接続されている。第2開閉器駆動軸140は、円盤240の中心部の開口を貫通している。
【0031】
第2クランク120は、入力ディスク210の回動中心を回転中心として回転する。第2クランク120は、後述する第3ラッチ170に固定される際に第3ラッチ170と係合する第3側部121と、後述する第4ラッチ180に固定される際に第4ラッチ180と係合する第4側部122とを含む。
【0032】
入力ディスク210と第1クランク110とは第1蓄勢部材である第1ばね190により連結されている。具体的には、入力ディスク210の上面の一部から突出した突出部211に第1ばね190の一端が取付けられている。第1クランク110の上面の一部から突出した突出部113に第1ばね190の他端が取付けられている。
【0033】
入力ディスク210と第2クランク120とは第2蓄勢部材である第2ばね200により連結されている。具体的には、入力ディスク210の上面の一部から突出した突出部212に第2ばね200の一端が取付けられている。第2クランク120の上面の一部から突出した突出部123に第2ばね200の他端が取付けられている。
【0034】
円盤240上には、第1クランク110を拘束して第1クランク110の回転を規制する第1拘束部である第1ラッチ150および第2ラッチ160が配置されている。第1ラッチ150は、入力ディスク210が周方向において一方の方向に回転した際に第1クランク110を第1固定位置に固定する。第2ラッチ160は、入力ディスク210が周方向において他方の方向に回転した際に第1クランク110を第2固定位置に固定する。
【0035】
具体的には、第1ラッチ150は、平面視略L字状の形状を有している。第1ラッチ150は、短手部151と長手部152とを有する。第1ラッチ150は、短手部151と長手部152との交差点においてラッチピン153により円盤240上に軸支されている。
【0036】
第2ラッチ160は、平面視略L字状の形状を有している。第2ラッチ160は、短手部161と長手部162とを有する。第2ラッチ160は、短手部161と長手部162との交差点においてラッチピン163により円盤240上に軸支されている。
【0037】
第1ラッチ150と第2ラッチ160とは、長手部152の先端と長手部162の先端とが接近するように配置されている。また、第1ラッチ150と第2ラッチ160とは、それぞれラッチピン153およびラッチピン163を中心に回動した際に互いに接触しないように配置されている。
【0038】
第1ラッチ150の長手部152は、ばね154により入力ディスク210の中心側に付勢されている。第2ラッチ160の長手部162は、ばね164により入力ディスク210の中心側に付勢されている。
【0039】
円盤240上には、第2クランク120を拘束して第2クランク120の回転を規制する第2拘束部である第3ラッチ170および第4ラッチ180が配置されている。第3ラッチ170は、入力ディスク210が周方向において一方の方向に回転した際に第2クランク120を第3固定位置に固定する。第4ラッチ180は、入力ディスク210が周方向において他方の方向に回転した際に第2クランク120を第4固定位置に固定する。
【0040】
第3ラッチ170は、平面視略L字状の形状を有している。第3ラッチ170は、短手部171と長手部172とを有する。第3ラッチ170は、短手部171と長手部172との交差点においてラッチピン173により円盤240上に軸支されている。
【0041】
第4ラッチ180は、平面視略L字状の形状を有している。第4ラッチ180は、短手部181と長手部182とを有する。第4ラッチ180は、短手部181と長手部182との交差点においてラッチピン183により円盤240上に軸支されている。
【0042】
第3ラッチ170と第4ラッチ180とは、長手部172の先端と長手部182の先端とが接近するように配置されている。また、第3ラッチ170と第4ラッチ180とは、それぞれラッチピン173およびラッチピン183を中心に回動した際に互いに接触しないように配置されている。
【0043】
第3ラッチ170の長手部172は、図示しないばねにより入力ディスク210の中心側に付勢されている。第4ラッチ180の長手部182は、図示しないばねにより入力ディスク210の中心側に付勢されている。
【0044】
入力ディスク210の内周面には、第1ラッチ150および第2ラッチ160による第1クランク110の拘束を解除する第1拘束解除部である第1クランク解除部213が設けられている。
【0045】
第1クランク解除部213は、入力ディスク210が周方向において一方の方向に回転した際に第1ラッチ150の短手部151を押圧することにより第1ラッチ150による第1クランク110の固定を解除する。かつ、第1クランク解除部213は、入力ディスク210が周方向において他方の方向に回転した際に第2ラッチ160の短手部161を押圧することにより第2ラッチ160による第1クランク110の固定を解除する。
【0046】
具体的には、第1クランク解除部213が第1ラッチ150の短手部151を押圧することにより、第1ラッチ150がラッチピン153を中心として回動する。このとき、第1ラッチ150の長手部152は、ばね154の付勢力に反して、入力ディスク210の中心から離れる方向に移動する。
【0047】
第1クランク解除部213が第2ラッチ160の短手部161を押圧することにより、第2ラッチ160がラッチピン163を中心として回動する。このとき、第2ラッチ160の長手部162は、ばね164の付勢力に反して、入力ディスク210の中心から離れる方向に移動する。
【0048】
入力ディスク210内周面には、第3ラッチ170および第4ラッチ180による第2クランク120の拘束を解除する第2拘束解除部である第2クランク解除部214が設けられている。
【0049】
第2クランク解除部214は、入力ディスク210が周方向において一方の方向に回転した際に第3ラッチ170の短手部171を押圧することにより第3ラッチ170による第2クランク120の固定を解除する。かつ、第2クランク解除部214は、入力ディスク210が周方向において他方の方向に回転した際に第4ラッチ180の短手部181を押圧することにより第4ラッチ180による第2クランク120の固定を解除する。
【0050】
具体的には、第2クランク解除部214が第3ラッチ170の短手部171を押圧することにより、第3ラッチ170がラッチピン173を中心として回動する。このとき、第3ラッチ170の長手部172は、ばねの付勢力に反して、入力ディスク210の中心から離れる方向に移動する。
【0051】
第2クランク解除部214が第4ラッチ180の短手部181を押圧することにより、第4ラッチ180がラッチピン183を中心として回動する。このとき、第4ラッチ180の長手部182は、ばねの付勢力に反して、入力ディスク210の中心から離れる方向に移動する。
【0052】
第1クランク解除部213および第2クランク解除部214の各々は、入力ディスク210の回動に連動して動作する。
【0053】
以下、本実施形態に係る蓄勢機構100の動作について説明する。
図11は、第1クランクが第2固定位置に固定され、第2クランクが第4固定位置に固定されている状態を示す蓄勢機構の平面図である。なお、以下の説明に用いる図においては、簡単のため、蓄勢機構100の構成の一部を図示していない。
【0054】
図11に示すように、第1クランク110が第2固定位置に固定されている状態においては、第1クランク110の第2側部112と第2ラッチ160の長手部162とが係合している。このとき、第1ラッチ150による第1クランク110の拘束は解除されている。また、第1ばね190は、引っ張られておらず蓄勢していない。
【0055】
第2クランク120が第4固定位置に固定されている状態においては、第2クランク120の第4側部122と第4ラッチ180の長手部182とが係合している。このとき、第3ラッチ170による第2クランク120の拘束は解除されている。また、第2ばね200は、引っ張られておらず蓄勢していない。
【0056】
図12は、入力ディスクが左周りに回転している途中の状態を示す蓄勢機構の平面図である。図12に示すように、入力ディスク210が矢印220で示すように左周りに回転し始めると、第1クランク110は第2ラッチ160に拘束されているため回転できない。そのため、第1ばね190が引っ張られて蓄勢される。同様に、第2クランク120は第4ラッチ180に拘束されているため回転できない。そのため、第2ばね200が引っ張られて蓄勢される。
【0057】
図13は、第2クランク解除部が第4ラッチの短手部に接触した状態を示す蓄勢機構の平面図である。図13に示すように、本実施形態においては、入力ディスク210が左周りに回転して第2クランク解除部214が第4ラッチ180の短手部181に接触したとき、第1クランク解除部213は第2ラッチ160の短手部161に接触していない。上記の関係を満たすように、第1クランク解除部213、第2クランク解除部214、第2ラッチ160および第4ラッチ180が配置されている。
【0058】
図14は、第2クランク解除部が第4ラッチの短手部を押圧して第2クランクの拘束を解除した状態を示す蓄勢機構の平面図である。図14に示すように、第2クランク解除部214が第4ラッチ180の短手部181を押圧することにより、第4ラッチ180はラッチピン183を中心に矢印221で示す方向に回動する。その結果、第4ラッチ180による第2クランク120の拘束が解除される。
【0059】
図15は、第2ばねの蓄勢力が開放されて第2クランクが回転している状態を示す蓄勢機構の平面図である。図15に示すように、第4ラッチ180による第2クランク120の拘束が解除されたことにより、第2ばね200の蓄勢力が開放される。その結果、第2クランク120は、入力ディスク210の中心を回転中心として矢印223で示す方向に回転する。
【0060】
このとき、第1クランク解除部213が第2ラッチ160の短手部161を押圧することにより、第2ラッチ160はラッチピン163を中心に矢印222で示す方向に回動する。
【0061】
図16は、第2クランクが第3ラッチに拘束されて第3固定位置に固定された状態を示す蓄勢機構の平面図である。図16に示すように、第2クランク120が矢印223方向に回転して第3固定位置に到達すると、第3ラッチ170は、ばねの付勢力によりラッチピン173を中心に矢印224で示す方向に回動する。
【0062】
その結果、第2クランク120の第3側部121と第3ラッチ170の長手部172とが係合して、第2クランク120が第3ラッチ170により拘束されて第3固定位置に固定される。
【0063】
このように、第2クランク120が第4固定位置から第3固定位置に移動することにより、第2クランク120に連結されている第2開閉器駆動軸140が回転して、図2から図5に示す切換開閉器のシーケンスが行なわれる。
【0064】
図17は、第1クランク解除部が第2ラッチの短手部を押圧して第1クランクの拘束を解除した状態を示す蓄勢機構の平面図である。図17に示すように、第1クランク解除部213が第2ラッチ160の短手部161を押圧することにより、第2ラッチ160はラッチピン163を中心に矢印222で示す方向に回動する。その結果、第2ラッチ160による第1クランク110の拘束が解除される。
【0065】
図18は、第1ばねの蓄勢力が開放されて第1クランクが回転している状態を示す蓄勢機構の平面図である。図18に示すように、第2ラッチ160による第1クランク110の拘束が解除されたことにより、第1ばね190の蓄勢力が開放される。その結果、第1クランク110は、入力ディスク210の中心を回転中心として矢印225で示す方向に回転する。
【0066】
図19は、第1クランクが第1ラッチに拘束されて第1固定位置に固定された状態を示す蓄勢機構の平面図である。図19に示すように、第1クランク110が矢印225方向に回転して第1固定位置に到達すると、第1ラッチ150は、ばね154の付勢力によりラッチピン153を中心に矢印226で示す方向に回動する。
【0067】
その結果、第1クランク110の第1側部111と第1ラッチ150の長手部152とが係合して、第1クランク110が第1ラッチ150により拘束されて第1固定位置に固定される。
【0068】
このように、第1クランク110が第2固定位置から第1固定位置に移動することにより、第1クランク110に連結されている第1開閉器駆動軸130が回転して、図6から図9に示す切換開閉器のシーケンスが行なわれる。
【0069】
図20は、入力ディスクが右周りに回転している途中の状態を示す蓄勢機構の平面図である。図20に示すように、図19に示す状態から入力ディスク210が矢印230で示すように右周りに回転し始めると、第1クランク110は第1ラッチ150に拘束されているため回転できない。そのため、第1ばね190が引っ張られて蓄勢される。同様に、第2クランク120は第3ラッチ170に拘束されているため回転できない。そのため、第2ばね200が引っ張られて蓄勢される。
【0070】
図21は、第2クランク解除部が第3ラッチの短手部に接触した状態を示す蓄勢機構の平面図である。図21に示すように、本実施形態においては、入力ディスク210が右周りに回転して第2クランク解除部214が第3ラッチ170の短手部171に接触したとき、第1クランク解除部213は第1ラッチ150の短手部151に接触していない。上記の関係を満たすように、第1クランク解除部213、第2クランク解除部214、第1ラッチ150および第3ラッチ170が配置されている。
【0071】
図22は、第2クランク解除部が第3ラッチの短手部を押圧して第2クランクの拘束を解除した状態を示す蓄勢機構の平面図である。図22に示すように、第2クランク解除部214が第3ラッチ170の短手部171を押圧することにより、第3ラッチ170はラッチピン173を中心に矢印231で示す方向に回動する。その結果、第3ラッチ170による第2クランク120の拘束が解除される。
【0072】
図23は、第2ばねの蓄勢力が開放されて第2クランクが回転している状態を示す蓄勢機構の平面図である。図23に示すように、第3ラッチ170による第2クランク120の拘束が解除されたことにより、第2ばね200の蓄勢力が開放される。その結果、第2クランク120は、入力ディスク210の中心を回転中心として矢印233で示す方向に回転する。
【0073】
このとき、第1クランク解除部213が第1ラッチ150の短手部151を押圧することにより、第1ラッチ150はラッチピン153を中心に矢印232で示す方向に回動する。
【0074】
図24は、第2クランクが第4ラッチに拘束されて第4固定位置に固定された状態を示す蓄勢機構の平面図である。図24に示すように、第2クランク120が矢印233方向に回転して第4固定位置に到達すると、第4ラッチ180は、ばねの付勢力によりラッチピン183を中心に矢印234で示す方向に回動する。
【0075】
その結果、第2クランク120の第4側部122と第4ラッチ180の長手部182とが係合して、第2クランク120が第4ラッチ180により拘束されて第4固定位置に固定される。
【0076】
このように、第2クランク120が第3固定位置から第4固定位置に移動することにより、第2クランク120に連結されている第2開閉器駆動軸140が回転する。
【0077】
図25は、第1クランク解除部が第1ラッチの短手部を押圧して第1クランクの拘束を解除した状態を示す蓄勢機構の平面図である。図25に示すように、第1クランク解除部213が第1ラッチ150の短手部151を押圧することにより、第1ラッチ150はラッチピン153を中心に矢印232で示す方向に回動する。その結果、第1ラッチ150による第1クランク110の拘束が解除される。
【0078】
図26は、第1ばねの蓄勢力が開放されて第1クランクが回転している状態を示す蓄勢機構の平面図である。図26に示すように、第1ラッチ150による第1クランク110の拘束が解除されたことにより、第1ばね190の蓄勢力が開放される。その結果、第1クランク110は、入力ディスク210の中心を回転中心として矢印235で示す方向に回転する。
【0079】
第1クランク110が矢印235方向に回転して第2固定位置に到達すると、第2ラッチ160は、ばねの付勢力によりラッチピン163を中心に回動する。その結果、図11に示すように、第1クランク110の第2側部112と第2ラッチ160の長手部162とが係合して、第1クランク110が第2ラッチ160により拘束されて第2固定位置に固定される。
【0080】
このように、第1クランク110が第1固定位置から第2固定位置に移動することにより、第1クランク110に連結されている第1開閉器駆動軸130が回転する。
【0081】
その結果、上記の負荷電流が出力される配線70と接続されるタップが、偶数側タップ12から奇数側タップ11に切り換えられる。
【0082】
上記の構成により、蓄勢機構100においては、1つの動力入力部である入力ディスク210を用いて、第1クランク110および第2クランク120を回転させることにより2つの出力を得ることができる。その結果、第1開閉器駆動軸130および第2開閉器駆動軸140の各々を回転させて、負荷時タップ切換器の切換開閉を行なうことができる。
【0083】
本実施形態においては、第1クランク解除部213による第1クランク110の固定の解除時期と第2クランク解除部214による第2クランク120の固定の解除時期とに所定の間隔が設けられている。
【0084】
図27は、本実施形態の蓄勢機構において、第1クランクと第2クランクの固定解除時期に所定の間隔を設けた状態を示す蓄勢機構の平面図である。図27に示すように、本実施形態の蓄勢機構100においては、第2クランク解除部214と第4ラッチ180の短手部181とが接触した状態で、第1クランク解除部213と第2ラッチ160の短手部161との間に距離Lを設けている。第1ラッチ150および第3ラッチ170についても同様にすることができる。
【0085】
この距離Lの長さを調節することにより、第1クランク解除部213による第1クランク110の固定の解除時期と第2クランク解除部214による第2クランク120の固定の解除時期との間の所定の間隔を調節している。
【0086】
図28は、第1クランクと第2クランクの固定解除時期を同期させた状態を示す蓄勢機構の平面図である。図28に示すように、第1クランク110と第2クランク120の固定解除時期を同期させた状態においては、第2クランク解除部214と第4ラッチ180の短手部181とが接触した状態で、第1クランク解除部213と第2ラッチ160の短手部161とが接触している。第1ラッチ150および第3ラッチ170についても同様である。
【0087】
このように、距離Lを調節することにより、第1開閉器駆動軸130と第2開閉器駆動軸140との動作を所望のタイミングで行なわせることができる。その結果、補助スイッチ50および通電スイッチ60の切り換えを所望のタイミングで行なうことができる。
【0088】
本実施形態の蓄勢機構100においては、1つの動力入力部を用いて2つの出力を得られるため、切換開閉器を小型化できる。また、部品点数を削減できるため、負荷時タップ切換器のコストダウンを図れる。
【0089】
以下、本発明の実施形態2に係る負荷時タップ切換器の切換開閉器の蓄勢機構について説明する。本実施形態は、第1ラッチおよび第2ラッチの形状のみ実施形態1の蓄勢機構100と異なるため、他の構成については説明を繰り返さない。
【0090】
(実施形態2)
図29は、本発明の実施形態2に係る負荷時タップ切換器の切換開閉器の蓄勢機構の構成を示す平面図である。図29に示すように、本実施形態の蓄勢機構においては、第1ラッチ350の短手部351が、第3ラッチ170の短手部171より幅が狭くなるように形成されている。第2ラッチ360の短手部361は、第4ラッチ180の短手部181より幅が狭くなるように形成されている。
【0091】
上記の構成により、第2クランク解除部214と第4ラッチ180の短手部181とが接触した状態で、第1クランク解除部213と第2ラッチ360の短手部361との間に距離Lを設けている。第1ラッチ350および第3ラッチ170についても同様にすることができる。
【0092】
この距離Lの長さを調節することにより、第1クランク解除部213による第1クランク110の固定の解除時期と第2クランク解除部214による第2クランク120の固定の解除時期との間の所定の間隔を調節している。
【0093】
言い換えると、第1ラッチ350、第2ラッチ360、第3ラッチ170および第4ラッチ180の形状によって、第1クランク解除部213による第1クランク110の固定の解除時期と第2クランク解除部214による第2クランク120の固定の解除時期との間の所定の間隔を調節している。
【0094】
本実施形態においても、第1開閉器駆動軸130と第2開閉器駆動軸140との動作を所望のタイミングで行なわせることができる。その結果、補助スイッチ50および通電スイッチ60の切り換えを所望のタイミングで行なうことができる。
【0095】
以下、本発明の実施形態3に係る負荷時タップ切換器の切換開閉器の蓄勢機構について説明する。本実施形態は、第1クランク解除部の形状のみ実施形態1の蓄勢機構100と異なるため、他の構成については説明を繰り返さない。
【0096】
(実施形態3)
図30は、本発明の実施形態3に係る負荷時タップ切換器の切換開閉器の蓄勢機構の構成を示す平面図である。図30に示すように、本実施形態の蓄勢機構においては、第1クランク解除部313が、第2クランク解除部214より小さくなるように形成されている。
【0097】
上記の構成により、第2クランク解除部214と第4ラッチ180の短手部181とが接触した状態で、第1クランク解除部313と第2ラッチ160の短手部161との間に距離Lを設けている。第1ラッチ150および第3ラッチ170についても同様にすることができる。
【0098】
この距離Lの長さを調節することにより、第1クランク解除部313による第1クランク110の固定の解除時期と第2クランク解除部214による第2クランク120の固定の解除時期との間の所定の間隔を調節している。
【0099】
言い換えると、第1クランク解除部313および第2クランク解除部214の形状によって、第1クランク解除部313による第1クランク110の固定の解除時期と第2クランク解除部214による第2クランク120の固定の解除時期との間の所定の間隔を調節している。
【0100】
本実施形態においても、第1開閉器駆動軸130と第2開閉器駆動軸140との動作を所望のタイミングで行なわせることができる。その結果、補助スイッチ50および通電スイッチ60の切り換えを所望のタイミングで行なうことができる。
【0101】
以下、本発明の実施形態4に係る負荷時タップ切換器の切換開閉器の蓄勢機構について説明する。本実施形態は、第2クランク解除部214が入力ディスク210から分離して第1開閉器駆動軸130と連結されていることのみ実施形態1の蓄勢機構100と異なるため、他の構成については説明を繰り返さない。
【0102】
(実施形態4)
図31は、本発明の実施形態4に係る負荷時タップ切換器の蓄勢機構の構成を示す斜視図である。図32は、本実施形態に係る蓄勢機構を下方から見た斜視図である。図33は、本実施形態に係る蓄勢機構の構成を示す断面図である。
【0103】
図31〜33に示すように、本発明の実施形態4に係る負荷時タップ切換器の切換開閉器の蓄勢機構400においては、入力ディスク210は、中心部および周縁部に開口を有する円盤240の上面に配置されている。入力ディスク210の回動中心と円盤240の中心とは、一致している。本実施形態においては、入力ディスク210は、円盤240上に配置されているが、円盤に限られず、平板上に配置されていればよい。
【0104】
円盤240の周縁部に設けられた開口241は、入力ディスク210の内周面に沿うように平面視において円弧状に形成されている。
【0105】
第1開閉器駆動軸130においては、円盤240の直下に位置する外側面から、第1開閉器駆動軸130の径方向に延在するアーム部250が設けられている。アーム部250の先端に、第2クランク解除部214が設けられている。
【0106】
第2クランク解除部214は、アーム部250の先端から第1開閉器駆動軸130の軸方向に延在し、円盤240の開口241を貫通して円盤240の上方に突出している。言い換えると、第1開閉器駆動軸130の外側面と繋がって開口241を貫通して平板の上方に突出している。第2クランク解除部214は、第1開閉器駆動軸130が周方向に回転することにより、開口241内で入力ディスク210の内周面に沿って移動できるように支持されている。
【0107】
本実施形態においては、第1開閉器駆動軸130と第1クランク110とが一体で形成されているが、これに限られず、第1開閉器駆動軸130と第1クランク110とは別体で形成されて互いに連結されていてもよい。
【0108】
また、第2開閉器駆動軸140と第2クランク120とが一体で形成されているが、これに限られず、第2開閉器駆動軸140と第2クランク120とは別体で形成されて互いに連結されていてもよい。
【0109】
以下、本実施形態に係る蓄勢機構400の動作について説明する。
図34は、第1クランクが第2固定位置に固定され、第2クランクが第4固定位置に固定されている状態を示す蓄勢機構の平面図である。なお、以下の説明に用いる図においては、簡単のため、蓄勢機構400の構成の一部を図示していない。
【0110】
図34に示すように、第1クランク110が第2固定位置に固定されている状態においては、第1クランク110の第2側部112と第2ラッチ160の長手部162とが係合している。このとき、第1ラッチ150による第1クランク110の拘束は解除されている。また、第1ばね190は、引っ張られておらず蓄勢していない。
【0111】
第2クランク120が第4固定位置に固定されている状態においては、第2クランク120の第4側部122と第4ラッチ180の長手部182とが係合している。このとき、第3ラッチ170による第2クランク120の拘束は解除されている。また、第2ばね200は、引っ張られておらず蓄勢していない。
【0112】
図35は、入力ディスクが左周りに回転している途中の状態を示す蓄勢機構の平面図である。図35に示すように、入力ディスク210が矢印220で示すように左周りに回転し始めると、第1クランク110は第2ラッチ160に拘束されているため回転できない。そのため、第1ばね190が引っ張られて蓄勢される。同様に、第2クランク120は第4ラッチ180に拘束されているため回転できない。そのため、第2ばね200が引っ張られて蓄勢される。
【0113】
図36は、第1クランク解除部が第2ラッチの短手部に接触した状態を示す蓄勢機構の平面図である。図36に示すように、本実施形態においては、入力ディスク210が左周りに回転して第1クランク解除部213が第2ラッチ160の短手部161に接触したとき、第2クランク解除部214は図34に示す状態から移動していない。
【0114】
図37は、第1クランク解除部が第2ラッチの短手部を押圧して第1クランクの拘束を解除した状態を示す蓄勢機構の平面図である。図37に示すように、第1クランク解除部213が第2ラッチ160の短手部161を押圧することにより、第2ラッチ160はラッチピン163を中心に回動する。その結果、第2ラッチ160による第1クランク110の拘束が解除される。
【0115】
図38は、第2ばねの蓄勢力が開放されて第1クランクが回転している状態を示す蓄勢機構の平面図である。図38に示すように、第2ラッチ160による第1クランク110の拘束が解除されたことにより、第1ばね190の蓄勢力が開放される。その結果、第1クランク110は、入力ディスク210の中心を回転中心として回転する。
【0116】
このとき、第2クランク解除部214が第1クランク110の回転と連動して、入力ディスク210の中心を回転中心として回転する。
【0117】
図39は、第2クランク解除部が第4ラッチの短手部に接触した状態を示す蓄勢機構の平面図である。図39に示すように、第1クランク110がさらに左周りに回転することにより、第2クランク解除部214が第4ラッチ180の短手部181に接触する。
【0118】
図40は、第2クランク解除部が第4ラッチの短手部を押圧して第2クランクの拘束を解除した状態を示す蓄勢機構の平面図である。図40に示すように、第2クランク解除部214が第4ラッチ180の短手部181を押圧することにより、第4ラッチ180はラッチピン183を中心に回動する。その結果、第4ラッチ180による第2クランク120の拘束が解除される。
【0119】
このとき、第1クランク110が第1固定位置に到達し、第1ラッチ150がばね154の付勢力によりラッチピン153を中心に回動する。その結果、第1クランク110の第1側部111と第1ラッチ150の長手部152とが係合して、第1クランク110が第1ラッチ150により拘束されて第1固定位置に固定される。
【0120】
このように、第1クランク110が第2固定位置から第1固定位置に移動することにより、第1クランク110に繋がっている第1開閉器駆動軸130が回転して、図6から図9に示す切換開閉器のシーケンスが行なわれる。
【0121】
図41は、第2ばねの蓄勢力が開放されて第2クランクが回転している状態を示す蓄勢機構の平面図である。図41に示すように、第4ラッチ180による第2クランク120の拘束が解除されたことにより、第2ばね200の蓄勢力が開放される。その結果、第2クランク120は、入力ディスク210の中心を回転中心として回転する。
【0122】
図42は、第2クランクが第3ラッチに拘束されて第3固定位置に固定された状態を示す蓄勢機構の平面図である。図42に示すように、第2クランク120が回転して第3固定位置に到達すると、第3ラッチ170は、ばねの付勢力によりラッチピン173を中心に回動する。
【0123】
その結果、第2クランク120の第3側部121と第3ラッチ170の長手部172とが係合して、第2クランク120が第3ラッチ170により拘束されて第3固定位置に固定される。
【0124】
このように、第2クランク120が第4固定位置から第3固定位置に移動することにより、第2クランク120に連結されている第2開閉器駆動軸140が回転して、図2から図5に示す切換開閉器のシーケンスが行なわれる。
【0125】
その結果、上記の負荷電流が出力される配線70と接続されるタップが、偶数側タップ12から奇数側タップ11に切り換えられる。なお、入力ディスク210を右回りに回転させることにより、負荷電流が出力される配線70と接続されるタップが、奇数側タップ11から偶数側タップ12に切り換えられる。
【0126】
上記の構成により、蓄勢機構400においては、1つの動力入力部である入力ディスク210を用いて、第1クランク110および第2クランク120を回転させることにより2つの出力を得ることができる。その結果、第1開閉器駆動軸130および第2開閉器駆動軸140の各々を回転させて、負荷時タップ切換器の切換開閉を行なうことができる。
【0127】
本実施形態においては、第1クランク解除部213による第1クランク110の固定の解除時期と第2クランク解除部214による第2クランク120の固定の解除時期とに所定の間隔が設けられている。
【0128】
よって、第1開閉器駆動軸130と第2開閉器駆動軸140とを高速で高精度に連動して駆動させることが可能である。その結果、負荷時タップ切換器の切換開閉を高速で高精度に行なうことができる。
【0129】
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0130】
10 変圧器巻線、11 奇数側タップ、12 偶数側タップ、20 主真空スイッチ、30 抵抗真空スイッチ、40 限流抵抗器、50 補助スイッチ、60 通電スイッチ、70 配線、100,400 蓄勢機構、110 第1クランク、111 第1側部、112 第2側部、113,123,211,212 突出部、120 第2クランク、121 第3側部、122 第4側部、130 第1開閉器駆動軸、140 第2開閉器駆動軸、150,350 第1ラッチ、151,161,171,181,351,361 短手部、152,162,172,182 長手部、153,163,173,183 ラッチピン、154,164 ばね、160,360 第2ラッチ、170 第3ラッチ、180 第4ラッチ、190 第1ばね、200 第2ばね、210 入力ディスク、213,313 第1クランク解除部、214 第2クランク解除部、240 円盤、241 開口、250 アーム部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円環状の外形を有し、周方向において回動する動力入力部と、
第1開閉器駆動軸と繋がって、前記動力入力部の回動中心を回転中心として回転する第1動力伝達部と、
第2開閉器駆動軸と繋がって、前記動力入力部の回動中心を回転中心として回転する第2動力伝達部と、
前記動力入力部と前記第1動力伝達部とを連結する第1蓄勢部材と、
前記動力入力部と前記第2動力伝達部とを連結する第2蓄勢部材と、
前記第1動力伝達部を拘束して前記第1動力伝達部の回転を規制する第1拘束部と、
前記第2動力伝達部を拘束して前記第2動力伝達部の回転を規制する第2拘束部と、
前記第1拘束部による前記第1動力伝達部の拘束を解除する第1拘束解除部と、
前記第2拘束部による前記第2動力伝達部の拘束を解除する第2拘束解除部と
を備え、
前記第1拘束解除部および前記第2拘束解除部の各々が、前記動力入力部の回動に連動して動作する、負荷時タップ切換器の切換開閉器の蓄勢機構。
【請求項2】
前記動力入力部は、開口を有する平板上において周方向の所定の範囲を回動する入力ディスクから構成され、
前記第1動力伝達部は、前記回動中心と軸中心とが一致して前記開口を貫通するように配置された中空状の前記第1開閉器駆動軸と繋がって前記平板上に位置する第1クランクから構成され、
前記第2動力伝達部は、前記第1開閉器駆動軸の中空部に配置された前記第2開閉器駆動軸と繋がって前記第1クランク上に位置する第2クランクから構成され、
前記第1蓄勢部材は、一端が前記入力ディスクに、他端が前記第1クランクに取付けられた第1ばねから構成され、
前記第2蓄勢部材は、一端が前記入力ディスクに、他端が前記第2クランクに取付けられた第2ばねから構成され、
前記第1拘束部は、前記入力ディスクが周方向において一方の方向に回転した際に前記第1クランクを第1固定位置に固定する第1ラッチ、および、前記入力ディスクが周方向において他方の方向に回転した際に前記第1クランクを第2固定位置に固定する第2ラッチから構成され、
前記第2拘束部は、前記入力ディスクが周方向において前記一方の方向に回転した際に前記第2クランクを第3固定位置に固定する第3ラッチ、および、前記入力ディスクが周方向において前記他方の方向に回転した際に前記第2クランクを第4固定位置に固定する第4ラッチから構成され、
前記第1拘束解除部は、前記入力ディスクの内周面と繋がって、前記入力ディスクが周方向において前記一方の方向に回転した際に前記第1ラッチを押圧することにより前記第1ラッチによる前記第1クランクの固定を解除し、かつ、前記入力ディスクが周方向において前記他方の方向に回転した際に前記第2ラッチを押圧することにより前記第2ラッチによる前記第1クランクの固定を解除する第1クランク解除部から構成され、
前記第2拘束解除部は、前記入力ディスクの内周面と繋がって、前記入力ディスクが周方向において前記一方の方向に回転した際に前記第3ラッチを押圧することにより前記第3ラッチによる前記第2クランクの固定を解除し、かつ、前記入力ディスクが周方向において前記他方の方向に回転した際に前記第4ラッチを押圧することにより前記第4ラッチによる前記第2クランクの固定を解除する第2クランク解除部から構成された、請求項1に記載の負荷時タップ切換器の切換開閉器の蓄勢機構。
【請求項3】
前記動力入力部は、開口を有する平板上において周方向の所定の範囲を回動する入力ディスクから構成され、
前記第1動力伝達部は、前記回動中心と軸中心とが一致して前記開口を貫通するように配置された中空状の前記第1開閉器駆動軸と繋がって前記平板上に位置する第1クランクから構成され、
前記第2動力伝達部は、前記第1開閉器駆動軸の中空部に配置された前記第2開閉器駆動軸と繋がって前記第1クランク上に位置する第2クランクから構成され、
前記第1蓄勢部材は、一端が前記入力ディスクに、他端が前記第1クランクに取付けられた第1ばねから構成され、
前記第2蓄勢部材は、一端が前記入力ディスクに、他端が前記第2クランクに取付けられた第2ばねから構成され、
前記第1拘束部は、前記入力ディスクが周方向において一方の方向に回転した際に前記第1クランクを第1固定位置に固定する第1ラッチ、および、前記入力ディスクが周方向において他方の方向に回転した際に前記第1クランクを第2固定位置に固定する第2ラッチから構成され、
前記第2拘束部は、前記入力ディスクが周方向において前記一方の方向に回転した際に前記第2クランクを第3固定位置に固定する第3ラッチ、および、前記入力ディスクが周方向において前記他方の方向に回転した際に前記第2クランクを第4固定位置に固定する第4ラッチから構成され、
前記第1拘束解除部は、前記入力ディスクの内周面と繋がって、前記入力ディスクが周方向において前記一方の方向に回転した際に前記第1ラッチを押圧することにより前記第1ラッチによる前記第1クランクの固定を解除し、かつ、前記入力ディスクが周方向において前記他方の方向に回転した際に前記第2ラッチを押圧することにより前記第2ラッチによる前記第1クランクの固定を解除する第1クランク解除部から構成され、
前記第2拘束解除部は、前記第1開閉器駆動軸の外側面と繋がって前記開口を貫通して前記平板の上方に突出して、前記第1開閉器駆動軸が周方向において前記一方の方向に回転した際に前記第3ラッチを押圧することにより前記第3ラッチによる前記第2クランクの固定を解除し、かつ、前記第1開閉器駆動軸が周方向において前記他方の方向に回転した際に前記第4ラッチを押圧することにより前記第4ラッチによる前記第2クランクの固定を解除する第2クランク解除部から構成された、請求項1に記載の負荷時タップ切換器の切換開閉器の蓄勢機構。
【請求項4】
前記第1クランク解除部による前記第1クランクの固定の解除時期と前記第2クランク解除部による前記第2クランクの固定の解除時期とに所定の間隔が設けられた、請求項2または3に記載の負荷時タップ切換器の切換開閉器の蓄勢機構。
【請求項5】
前記所定の間隔が、前記第1ラッチ、前記第2ラッチ、前記第3ラッチおよび前記第4ラッチの前記平板上における配置によって調節された、請求項4に記載の負荷時タップ切換器の切換開閉器の蓄勢機構。
【請求項6】
前記所定の間隔が、前記第1ラッチ、前記第2ラッチ、前記第3ラッチおよび前記第4ラッチの形状によって調節された、請求項4に記載の負荷時タップ切換器の切換開閉器の蓄勢機構。
【請求項7】
前記所定の間隔が、前記第1クランク解除部および前記第2クランク解除部の形状によって調節された、請求項4に記載の負荷時タップ切換器の切換開閉器の蓄勢機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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