説明

負荷状態制御装置、攪拌装置および冷菓製造装置

【課題】所望の硬さの冷菓を提供できる冷菓製造装置を実現する。
【解決手段】本発明の攪拌装置1は、ビータ21と、ビータ21を駆動するビータモータ22と、ビータモータ22の出力トルクを制御する制御装置23とを備える。制御装置23では、電流検出部232によってビータモータ22の電流を検出し、電圧検出部233によってビータモータ22に印加される電圧を検出する。当該電流および電圧に基づいて、有効電力演算部234がビータモータ22の有効電力を導出し、当該有効電力に応じてビータモータ22などへの印加電圧を制御する。ここで、ビータモータ22の出力トルクと有効電力とは、印加電圧に関わらずほぼ対応するので、シリンダ3内の攪拌対象原料の硬さを正確に制御することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状原料の攪拌状態を制御するための負荷状態制御装置、液状原料を攪拌する攪拌装置、および攪拌装置を攪拌手段として備える冷菓製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ソフトクリームやシェーク等の冷菓を製造する冷菓製造装置では、冷菓を一定の硬さに制御して提供する必要がある。冷菓の硬さを制御するために、冷菓を攪拌する攪拌装置のビータモータの電流に基づいて、ビータモータの出力トルクを制御する方法が、従来から用いられている。
【0003】
図5は、従来の冷菓製造装置91の構成を示すブロック図である。冷菓製造装置91は、ミックスタンク92、シリンダ93、加熱冷却部94および攪拌装置95を備えている。攪拌装置95は、シリンダ93、ビータ951、ビータモータ952(特許請求の範囲の攪拌モータに相当)および制御装置953から構成されており、ビータ951はシリンダ93の内部に設けられている。
【0004】
ミックスタンク92には、冷菓原料となるミックスが貯蔵され、ミックスタンク92からシリンダ93へミックスが供給される。加熱冷却部94がシリンダ93を冷却し、ミックスがシリンダ93内でビータ951によって攪拌されることにより、冷菓が製造される。なお、ミックスタンク92およびシリンダ93は、殺菌洗浄時に加熱冷却部94によって加熱される。
【0005】
ビータモータ952は、ビータ951を駆動するモータであり、三相交流電源を電源としている。ビータモータ952の出力トルクは、制御装置953によって制御される。ここで、ビータモータ952の出力トルクは、シリンダ93内のミックスの硬さに応じて変化する。すなわち、ミックスが液状から所定の硬さになるまでの間、ビータモータ952の出力トルクは、ミックスの硬さに応じて上昇する。したがって、冷菓を所望の硬さに製造するためには、ビータモータ952の出力トルクを検出し、出力トルクが所定値まで上昇した時点で攪拌・冷却を停止すればよい。
【0006】
そこで、冷菓製造装置91では、ビータモータ952の電流値に応じてビータモータ952の出力トルクを制御する。具体的には、攪拌装置95の制御装置953は、電圧制御部9531および電流検出部9532を備えており、電流検出部9532は、ビータモータ952に流される電流を検出し、電圧制御部9531は、検出された電流値に基づいてビータモータ952に印加される電圧を制御する。
【0007】
ビータモータ952の出力トルクが上昇すると、ビータモータ952の電流値も上昇するので、電流値が所定値になった時点で、電圧制御部9531はビータモータ952への電圧印加を停止するとともに、加熱冷却部94の冷却運転も停止させる。これにより、冷菓の硬さを制御する。
【0008】
このように、ビータモータの電流値に基づいて出力トルクを検出し冷菓の硬さを制御する構成は、例えば、下記特許文献1や特許文献2に開示されている。
【特許文献1】特開2001−25362号公報(2001年1月30日公開)
【特許文献2】特開2001−178372号公報(2001年7月3日公開)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来の構成では、ビータモータの出力トルクを正確に検出できないという問題を生じる。
【0010】
具体的には、ビータモータの出力トルクとビータモータに流される電流との関係は、ビータモータへの印加電圧の影響を受ける。また、一般に冷菓製造装置の電源は、三相交流電源が用いられる。
【0011】
図6は、三相交流電源を用いるビータモータの負荷率と電流との特性を示すグラフである。また、実線、破線および一点鎖線は、印加される電圧がそれぞれ低電圧、通常電圧および高電圧の場合を示している。ここで、負荷率は、定格出力(定格出力トルク×ビータモータの回転数)に対する実出力の比であり、ビータモータの出力トルクにほぼ対応する。ここで、「ほぼ」とは、以下に述べる用途において、ビータモータの回転数は、略一定であるので、負荷率は出力トルクに比例していると近似できることを意味する。
【0012】
図6のグラフから、印加される電圧によって負荷率と電流値との関係にバラツキがあることが分かる。したがって、電流値に基づいて出力トルクを検出する従来構成では、正確に冷菓の硬さを制御することは困難である。
【0013】
なお、電流値に力率を乗じた有効電流と負荷率との関係も、同様に印加される電圧の影響を受ける。図7は、三相交流電源を用いるビータモータの負荷率と有効電流との特性を示すグラフである。また、実線、破線および一点鎖線は、それぞれ図6に示す実線、破線および一点鎖線におけるものと同じ電圧が印加される場合を示している。
【0014】
図7のグラフから、印加される電圧によって負荷率と有効電流値との関係にもバラツキがあることが分かる。したがって、有効電流値からも出力トルクを正確に検出できないため、正確に冷菓の硬さを制御することは困難である。
【0015】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、攪拌対象の硬さを正確に制御することができる負荷状態制御装置、液状原料の硬さを正確に制御することができる攪拌装置、および、所望の硬さの冷菓を提供できる冷菓製造装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る負荷状態制御装置は、上記課題を解決するために、モータによって駆動される被駆動物の負荷状態を制御する負荷状態制御装置であって、上記モータに印加される電圧を検出する電圧検出手段と、上記モータに流れる電流を検出する電流検出手段と、上記電圧および上記電流に基づいて上記モータの有効電力を導出する有効電力演算手段と、上記有効電力に応じて上記被駆動物の負荷状態を制御する負荷状態制御手段とを備えることを特徴としている。また、上記モータは、攪拌対象を攪拌するための攪拌モータであってもよい。
【0017】
本発明に係る負荷状態制御装置では、上記負荷状態制御手段は、上記有効電力に応じて上記攪拌対象の温度を制御することにより、上記攪拌対象の攪拌状態を制御してもよい。
【0018】
本発明に係る攪拌装置は、液状原料を攪拌する攪拌装置であって、上記被駆動物であるビータと当該ビータを駆動する攪拌モータと上記負荷状態制御装置とを備えることを特徴としている。
【0019】
本発明に係る攪拌装置では、上記液状原料は冷菓原料であってもよい。
【0020】
本発明に係る冷菓製造装置は、上記攪拌装置を攪拌手段として備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る負荷状態制御装置は、攪拌対象の硬さを正確に制御することができるという効果を奏する。
【0022】
本発明に係る攪拌装置は、攪拌対象である液状原料の硬さを正確に制御することができるという効果を奏する。なお、液状原料が冷菓原料である場合、攪拌装置によって冷菓原料の硬さを正確に制御することができる。
【0023】
本発明に係る冷菓製造装置は、所望の硬さの冷菓を提供できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の一実施形態について図1ないし図4に基づいて説明すると以下の通りである。
【0025】
図1は、本実施の形態に係る攪拌装置1の構成を示すブロック図である。攪拌装置1は、ビータ21、ビータモータ22、制御装置23およびシリンダ3を有しており、ビータ21はシリンダ3の内部に設けられている。なお、ビータモータ22は、特許請求の範囲の攪拌モータに相当する。また、攪拌対象原料としては、小麦粉,卵の白身と水のように、複数の液体または粉体と液体が、ビータ21の回転により攪拌され、場合によっては空気と混合されることにより、攪拌時間により粘度が上昇するものを想定する。
【0026】
攪拌装置1では、ビータモータ22の出力トルクを制御装置23によって制御しており、制御装置23は、電圧制御部231、電流検出部232を備えている。電流検出部232は、ビータモータ22に流される電流を検出し、電圧制御部231は、ビータモータ22に印加される電圧を制御することにより、ビータモータ22を停止させる。この種装置および用途においては、攪拌対象原料の攪拌おけるビータモータ22は、連続回転をするよう、電圧制御部231により制御される。ビータモータ22の回転中に検出される同モータの出力トルクが所定値以下である場合には、攪拌対象原料の攪拌による混合度合いが不足しているため、更に攪拌が必要なので、ビータモータ22の回転が継続される。逆に、同トルクが所定値以上の場合には、攪拌対象原料の攪拌による混合度合いが適切な状態になったものとして、電圧制御部231は、ビータモータ22への電圧印加を停止し、ビータモータ22の回転が停止する。
【0027】
上記実施の形態においては、攪拌対象原料は、攪拌時間とともに粘度が上昇する特性を有するものとしたが、攪拌時間により粘度が低下する特性を有する原料を攪拌する場合には、ビータモータ22のトルクが所定値まで低下したことを検出して、攪拌動作を停止させても良い。
【0028】
また、本実施の形態では、制御装置23は、電圧検出部233および有効電力演算部234をさらに備えている。電圧検出部233は、ビータモータ22に印加される電圧を検出する。有効電力演算部234は、電流検出部232によって検出された電流値と電圧検出部233によって検出された電圧値とに基づいて、ビータモータ22の有効電力を導出する。電圧制御部231は、当該有効電力に応じてビータモータ22への電圧印加を制御する。これにより、攪拌装置1では、有効電力演算部234は、ビータモータ22に印加される電圧とビータモータ22に流される電流とに基づいて、ビータモータ22の有効電力を導出し、電圧制御部231は、当該有効電力に応じて、ビータモータ22への印加電圧を制御する。すなわち、ビータモータ22の有効電力に基づいてビータモータ22に印加される電圧を制御することにより、攪拌対象原料の攪拌状態を制御している。
【0029】
なお、電圧制御部231、電流検出部232、電圧検出部233および有効電力演算部234は、それぞれ特許請求の範囲の負荷状態制御手段、電流検出手段、電圧検出手段および有効電力演算手段に相当する。
【0030】
図2は、三相交流電源を用いるビータモータにおける、負荷率と有効電力との特性の一例を示すグラフである。なお、有効電力の具体的な導出方法については、後述する。
【0031】
図2に示すように、印加電圧が変化しても、負荷率と有効電力との関係は、殆どバラツキがないことが分かる。また、図1に示すビータモータ22の出力トルクは、攪拌対象原料の硬さに応じて変化する。したがって、有効電力と攪拌対象原料の硬さとは、印加電圧に関係なくほぼ対応することとなる。
【0032】
そこで、本実施の形態では、ビータモータ22の回転中に、有効電力演算部234によって導出される有効電力が所定値に達すると、攪拌対象原料の硬さを保つため、ビータ21の回転を抑制または停止させるように、また、上記有効電力が所定値以下である場合には、ビータ21の回転を継続させるように、電圧制御部231は、ビータモータ22への印加電圧を制御する。ここで、上記有効電力の所定値を、所望の攪拌対象原料の硬さに対応する出力トルク値と対応する値に設定する。これにより、攪拌対象原料の硬さを正確に制御することができ、攪拌装置1から所望の硬さの攪拌対象原料を提供できる。
【0033】
このように、本実施の形態に係る制御装置23は、シリンダ3内の攪拌対象原料の硬さを正確に制御することができるという効果を奏する。また、本発明に係る攪拌装置1は、制御装置23を備えているので、攪拌対象原料の硬さを正確に制御することができるという効果を奏する。また、本実施の形態に係る攪拌装置1は、所望の硬さの攪拌対象原料を提供できるという効果を奏する。
【0034】
図3は、本実施の形態に係る冷菓製造装置10の構成を示すブロック図である。冷菓製造装置10は、攪拌装置11、ミックスタンク4および加熱冷却部5を備えており、攪拌装置11は、図1に示す攪拌装置1において加熱冷却制御部331を加えた構成である。更に、加熱冷却部5はシリンダ3を冷却し、シリンダ3には冷菓原料であるミックスがミックスタンク2から供給される構成である。また、これに伴い、制御装置23を制御装置33に変更している。
【0035】
加熱冷却制御部331は、特許請求の範囲の負荷状態制御手段に相当し、有効電力演算部234によって導出されたビータモータ22の有効電力に応じて、加熱冷却部5に制御信号を出力する。加熱冷却部5は、当該制御信号に応じて、シリンダ3内の温度を制御する。すなわち、ビータモータ22の有効電力に応じて、ミックスの温度を制御することにより、ミックスの攪拌状態を制御する構成である。
【0036】
具体的には、シリンダ3にて、ミックスを攪拌冷却中は、ビータモータ22は連続回転し、シリンダ3内のミックスを連続攪拌するとともに、加熱冷却部5により連続冷却される。有効電力演算部234によって導出される有効電力が所定値に達すると、加熱冷却制御部331は、加熱冷却部5に対しシリンダ3への冷却を中断させるための制御信号を出力するとともに、ビータモータ22を、所定周期で所定期間、断続回転させる。ビータモータ22の回転中に検出される有効電力が、所定値以下となると、上述の、連続攪拌および連続冷却が行われる。ここで、上述のように、上記有効電力とミックスの硬さとは、ビータモータ22への印加電圧に関係なくほぼ対応することとなる。したがって、上記有効電力の所定値を、所望のミックスの硬さに対応する出力トルク値と対応する値に設定する。これにより、ミックスの硬さを正確に制御することができ、冷菓製造装置10から所望の硬さのミックスを提供できる。
【0037】
続いて、ビータモータ22の有効電力の具体的な導出方法について説明する。
【0038】
図4は、制御装置23の電流検出部232、電圧検出部233および有効電力演算部234の具体的な構成を示す回路図である。
【0039】
図4の構成では、三相交流の有効電力を2電力計法を応用して導出する。ビータモータ22に流されるU、V、Wの三相電流の中で、相Wを基準として、U−W間の電圧ベクトルとU相の電流ベクトルとを乗じた(数学で言うベクトルの内積)値、および、V−W間の電圧ベクトルとV相の電流ベクトルとを乗じた値を加算して有効電力を導出する。
【0040】
U−W間の電圧VUWをトランス233aにて検出し、アンプ233bにて増幅する。アンプ233bの出力の一方は、半波整流回路233cに入力され、他方は、2値信号として同期検波回路232cに入力される。半波整流回路233cからローパスフィルタ233dを経て電圧波形は平滑化され、ADコンバータ233eにてデジタル値となる。これにより、当該デジタル値は、電圧振幅vUWに比例した値となる。
【0041】
また、U相の電流Iをトランス232aにて検出し、アンプ232bにて電圧値に変換する。アンプ232bの出力は同期検波回路232cに入力される。同期検波回路232cでは、アンプ233bにて得られた電圧VUWの電圧波形の2値信号に応じて、アンプ232bからの出力をどのように通過させるか決定する。例えば、当該2値信号がHighの時は、アンプ232bからの出力波形をそのまま通過させ、当該2値信号がLowの時は、アンプ232bからの出力波形を反転して通過させる。同期検波回路232cを通過した出力波形は、ローパスフィルタ232dにて平滑化され、ADコンバータ232eにてデジタル値となる。これにより、ADコンバータ232eから、電圧VUWに同期したU相の有効電流値が出力される。
【0042】
なお、U相の有効電流は、電流に力率を乗じた値であり、より具体的には、以下のように求められる。電圧VUWに対する電流Iの位相差θを、電流Iと電圧VUWとのゼロクロス点の時間間隔Tで検出する。また周波数fは、電圧VUWの周期tで検出する。これにより、位相差θは、
θ=2πT
となり、力率は、Cos(2πTf)となる。したがって、U相の有効電流は電流Iの振幅に比例した値iに対し、
×Cos(2πTf)
となる。
【0043】
同様に、V−W間の電圧VVWをトランス233fにて検出し、上記と略同様に、アンプ233g、半波整流回路233h、ローパスフィルタ233iおよびADコンバータ233jを経て電圧VVWの振幅に比例したデジタル値vVWが出力される。また、V相の電流Iをトランス232fにて検出し、上記と略同様に、アンプ232g、同期検波回路232h、平滑回路232iおよびADコンバータ232jを経て、V相の有効電流のデジタル値が出力される。なお、電圧VVWに対する電流Iの位相差θは、2πTfとなる(Tは、電圧VVWのゼロクロス点の時間間隔)ので、V相の有効電流は電流Iの振幅に比例した値iに対し、
×Cos(2πTf)
となる。
【0044】
また、上記部材232a〜232jは、図1および図3に示す電流検出部232に相当し、上記部材233a〜233jは、図1および図3に示す電圧検出部233に相当する。
【0045】
ADコンバータ232eおよびADコンバータ233eの各出力は、乗算器234aに入力され、当該各出力同士を乗じた値が、加算器234cに入力される。また、ADコンバータ232jおよびADコンバータ233jの各出力は、乗算器234bに入力され、当該各出力同士を乗じた値が、加算器234cに入力される。加算結果は、有効電力に比例したものとなる。
【0046】
以上に述べた実施の形態における信号処理を、2電力計法の理論式を用いて説明する。同法において、有効電力Pは、電圧VUWの電圧ベクトルと電流Iの電流ベクトルとの内積、および、電圧VVWの電圧ベクトルと電流Iの電流ベクトルとの内積の和で得られる。具体的には、以下の式となる。
P=vUW×i×PF+vVW×i×PF
なお、PFは電圧VUWの電圧ベクトルと電流Iの電流ベクトルとの位相差による力率であり、Cos(2πTf)で得られ、同様に、PFはCos(2πTf)として得られる。ここで、TおよびTは、位相差に相当する時間差であり、fは周波数である。
【0047】
上記実施の形態は、上記演算を行うものである。ローパスフィルタ232dおよび232iの出力には、各々、i×PFおよびi×PFに相当する電圧が得られる。
【0048】
他の実施の形態としては、部材232c,232d,232h,232i,233c,233d,233h,233iを省略し、ADコンバータ232e,232j,233e,233jの出力デジタル値により、上記2電力計法の理論式による演算を行っても良い。この場合、X=2πTfとして、
CosX=1−(X/2!)−(X/4!)−(X/6!)−(X/8!)
但し、−π/2<X<π/2
と近似してもよい。なお、近似式はこれに限定されない。
【0049】
このように導出された有効電力Pは、図1に示す電圧制御部231、又は図3に示す加熱冷却制御部331に出力される。なお、上記部材234a〜234cは、図1および図3に示す有効電力演算部234に相当する。
【0050】
なお、印加電圧の変動による有効電力と出力トルクとの関係のバラツキをさらに抑えるために、ADコンバータ233eと乗算器234aとの間、およびADコンバータ233jと乗算器234bとの間に、平方根演算器などの補正回路を設けてもよい。
【0051】
また、以上では、冷菓原料であるミックスを攪拌する冷菓製造装置において、ミックスの硬さを制御する構成について説明したが、これに限定されず、攪拌の進行/時間経過に伴い粘度の変わる流体を攪拌する攪拌モータにおいて、本発明のように、攪拌モータの有効電力に基づいて、出力トルクや流体の温度を制御してもよい。これにより、流体の粘度を正確に制御することができる。
【0052】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0053】
特に、ビータモータの特性または用途によっては、図2などに示した有効電力と負荷率との関係においても残留する負荷率の電圧依存性を更に軽減するため、有効電力演算部における電圧と電流の乗算に用いる電圧値もしくは力率に、電圧に依存した補正を行うことにより、精度向上を図っても良い。
【産業上の利用可能性】
【0054】
攪拌の進行/時間経過に伴い粘度の変わる流体を攪拌する装置に好適に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明に係る攪拌装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】三相交流電源を用いるビータモータにおける、負荷率と有効電力との特性を示すグラフである。
【図3】本発明に係る冷菓製造装置の要部構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示す攪拌装置および図3に示す冷菓製造装置に設けられる電流検出部、電圧検出部および有効電力演算部の具体的な構成を示す回路図である。
【図5】従来の冷菓製造装置の構成を示すブロック図である。
【図6】三相交流電源を用いるビータモータの負荷率と電流との特性を示すグラフである。
【図7】三相交流電源を用いるビータモータの負荷率と有効電流との特性を示すグラフである。
【符号の説明】
【0056】
1 攪拌装置
10 冷菓製造装置
21 ビータ
22 ビータモータ
23 制御装置
231 電圧制御部
232 電流検出部
233 電圧検出部
234 有効電力演算部
33 制御装置
331 加熱冷却制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータによって駆動される被駆動物の負荷状態を制御する負荷状態制御装置であって、
上記モータに印加される電圧を検出する電圧検出手段と、
上記モータに流れる電流を検出する電流検出手段と、
上記電圧および上記電流に基づいて上記モータの有効電力を導出する有効電力演算手段と、
上記有効電力に応じて上記被駆動物の負荷状態を制御する負荷状態制御手段とを備えることを特徴とする負荷状態制御装置。
【請求項2】
上記モータは、攪拌対象を攪拌するための攪拌モータであることを特徴とする請求項1に記載の負荷状態制御装置。
【請求項3】
上記負荷状態制御手段は、上記有効電力に応じて上記攪拌対象の温度を制御することにより、上記攪拌対象の攪拌状態を制御することを特徴とする請求項2に記載の負荷状態制御装置。
【請求項4】
液状原料を攪拌する攪拌装置であって、
上記被駆動物であるビータと当該ビータを駆動する攪拌モータと請求項2または3に記載の負荷状態制御装置とを備えることを特徴とする攪拌装置。
【請求項5】
上記液状原料は冷菓原料であることを特徴とする請求項4に記載の攪拌装置。
【請求項6】
請求項5に記載の攪拌装置を攪拌手段として備えることを特徴とする冷菓製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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