説明

負荷計測装置

【課題】既存の構造物に構造の変更なしに後付で組み込みが簡単にでき、外部ノイズの影響を受けにくく、電圧降下による損失が発生しない負荷計測装置を提供する。
【解決手段】構造物Cに固定された少なくとも1つのメディア110とメディア110に記録された情報を読み取る少なくとも1つのレーザピックアップ130とレーザピックアップ130の出力を記憶演算する演算回路とを有し、メディア110がレーザピックアップ130で読み取り可能な凹凸形状のピット120を定間隔で配列することからなる位置データを記録し、レーザピックアップ130が位置データの初期値と計測時における現在値とを読み取り、演算回路が現在値と初期値との差に所定の定数を乗ずることにより構造物の負荷を求めることによって前記の課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物に加わる負荷を計測する装置に関するものであり、さらに詳しくは、簡便に計測し且つ解析し、あらゆる構造物の設計、運転、過負荷保護、保守点検に寄与する特性を有する負荷計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、負荷計測装置は、その負荷の種類に応じて圧縮負荷計測装置、引張負荷計測装置、捩れ負荷(トルク)計測装置などがあり、必要に応じて構造物に組み込まれて用いられている。これらの負荷計測装置は、構造物の変形量をセンサによって検出することによって負荷を計測することができる。このセンサの代表的なものとしては、ひずみゲージ式と圧電式とがある。ひずみゲージ式は、構造物の計測部分にひずみゲージを貼り付けて、その部分のひずみを測定することにより構造物に加わる負荷を求める方法である(例えば、特許文献1参照)。一方、圧電式は、水晶、ロッシェル、チタン酸バリウムなどの物質に周りから応力を作用させると、ある定まった方向に誘導分極を起こす圧電効果と呼ばれる現象を利用した方法であって、圧電素子を構造物の一部に組み込んで構造物の変形によって生じる圧電効果による電圧を測定することにより構造物に加わる負荷を求めるものである(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開平8−29276号公報(第13段落)
【特許文献2】特開平8−101941号公報(第12段落)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述したような従来の負荷計測装置においては、負荷計測装置の構成要素であるセンサ自身の負荷による変化を検出するため、センサを負荷が加わる経路中に組み込む必要がある。そのため負荷計測装置が組み込まれていない構造物において、構造物の使用中に負荷の計測が余儀なく必要とされた場合、構造物を改造して組み込まなくてはならないが、負荷計測装置の外形寸法や長さは負荷の大きさによって異なり、構造物の寸法上負荷計測装置を組み込むことが難しいという課題がある。
【0004】
また、ひずみゲージ式によって構造物の変形を測定して負荷を求める場合、外部ノイズの影響によって計測値が狂いやすく、高精度で構造物の変形を測定することができないという課題がある。一方、圧電式は剛性に優れて線形性もよく、ヒステリシスも少なく感度、応答性に優れているが、電流のリークがあり、測定が長時間にわたる場合には電圧降下による損失が無視できないという課題がある。
【0005】
そこで、本発明が解決しようとする技術的課題、すなわち、本発明の目的は、既存の構造物に構造の変更なしに後付で組み込みが簡単にでき、外部ノイズの影響を受けにくく、電圧降下による損失が発生しない負荷計測装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
まず、本請求項1に係る発明は、構造物に固定された少なくとも1つのメディアと該メディアに記録された情報を読み取る少なくとも1つのレーザピックアップと該レーザピックアップの出力を記憶演算する演算回路とを有する負荷計測装置において、前記メディアがレーザピックアップで読み取り可能な凹凸形状のピットを定間隔で配列することからなる位置データを記録し、前記レーザピックアップが前記位置データの初期値と計測時における現在値とを読み取り、前記演算回路が前記現在値と初期値との差に所定の定数を乗ずることにより構造物の負荷を求めることにより、前記課題を解決したものである。
【0007】
そして、本請求項2に係る発明は、請求項1に係る負荷計測装置において、前記位置データが構造物の絶対位置情報であることにより、前記課題をさらに解決したものである。
【0008】
また、本請求項3に係る発明は、請求項1に係る負荷計測装置において、前記ピットが構造物の変位方向に位相を90°ずらして2列に配列されていることにより、前記課題をさらに解決したものである。
【0009】
また、本請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに係る負荷計測装置において、前記レーザピックアップが構造物上のメディアから所定の距離離れた位置に端部が固設された支持部材に前記メディアに対向するように固定されていることにより、前記課題をさらに解決したものである。
【0010】
また、本請求項5に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに係る負荷計測装置において、前記レーザピックアップが構造物から独立した支持部材に固定されていることにより、前記課題をさらに解決したものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の負荷計測装置によれば、構造物に固定された少なくとも1つのメディアとメディアに記録された情報を読み取る少なくとも1つのレーザピックアップとレーザピックアップの出力を記憶演算する演算回路とを有していることによって、既存の構造物に簡単に取り付けられ、利便性に富み、高精度にあらゆる構造物の負荷を計測することを実現できる。加えて、以下のような特有の効果に対応した格別の効果を奏することができる。
【0012】
すなわち、本請求項1に係る負荷計測装置は、メディアがレーザピックアップで読み取り可能な凹凸形状のピットを定間隔で配列することからなる位置データを記録し、レーザピックアップが位置データの初期値と計測時における現在値とを読み取り、演算回路がレーザピックアップが読み取った位置データの現在値と初期値との差に所定の定数を乗ずることにより、構造物が負荷を受けてその大きさに比例して伸び、縮み、捩れが発生した際に、構造物に固定したメディアに記録されたデータの位置が変化するため、その変化をレーザピックアップで読み取ることにより、既存の構造物に構造の変更なしに後付で組み込みが簡単にでき、外部ノイズの影響を受けにくく、電圧降下による損失が発生しない構造物の負荷の計測が実現できる。
【0013】
そして、本請求項2に係る負荷計測装置は、請求項1に係る負荷計測装置において、位置データが構造物の絶対位置情報であることにより、構造物の変化量及び変化の方向を絶対位置の変化として認識することができるので、メディアの数が1つであってもメディアに記録された絶対位置情報と構造物の基準点との変位を求めることによって負荷の大きさ及び方向の計測が実現できる。
【0014】
また、本請求項3に係る負荷計測装置は、請求項1に係る負荷計測装置において、ピットが構造物の変位方向に位相を90°ずらして2列に配列されていることにより、位置データが絶対位置情報でない場合であっても、負荷の変化の方向が逆向きになると2列に配列されたピットの相対的な変化の仕方も逆になるため、すなわち、正方向の変位が生じた際に1列目のピットが0であり次に2列目のピットが0である場合、負方向の変位が生じた際には1列目のピットが0であるとすると次に2列目のピットが1となるため、負荷の大きさだけでなく負荷の方向の計測が実現できる。
【0015】
また、本請求項4に係る負荷計測装置は、請求項1乃至請求項3のいずれかに係る負荷計測装置において、レーザピックアップが構造物上のメディアから所定の距離離れた位置に端部が固設された支持部材にメディアに対向するように固定されていることにより、構造物の基準点とメディアとの間の位置の変化を計測できるので、メディアの数が1つであっても負荷の計測が可能であるとともに、構造物に後付で簡単に負荷計測装置を装着することができる。
【0016】
また、本請求項5に係る負荷計測装置は、請求項1乃至請求項3のいずれかに係る負荷計測装置において、レーザピックアップが構造物から独立した支持部材に固定されていることにより、構造物が回転軸のようなものである場合であってもレーザピックアップを構造物とは独立して固定できるので、レーザピックアップの出力信号の伝送を有線で行うことができ、装置構成の簡略化が図られると共にノイズに強い計測が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の負荷計測装置は、構造物に固定された少なくとも1つのメディアとメディアに記録された情報を読み取る少なくとも1つのレーザピックアップとレーザピックアップの出力を記憶演算する演算回路とを有し、メディアがレーザピックアップで読み取り可能な凹凸形状のピットを定間隔で配列することからなる位置データを記録し、レーザピックアップが位置データの初期値と計測時における現在値とを読み取り、演算回路が現在値と初期値との差に所定の定数を乗ずることにより構造物の負荷を求めることにより、既存の構造物に構造の変更なしに後付で組み込みが簡単にでき、外部ノイズの影響を受けにくく、電圧降下による損失が発生しないものであれば、その具体的な実施の態様は、如何なるものであっても何ら構わない。
【0018】
例えば、本発明の負荷計測装置が負荷の計測を行う構造物は、建屋の支柱や梁などの静止体であっても、工作機械の主軸や車両の車軸のような回転体であっても構わない。
【0019】
また、本発明の負荷計測装置のメディアの構造物への固定方法は、接着剤による接着であっても、バンドによる締結であっても構わない。
【0020】
さらに、本発明の負荷計測装置のメディア数は、1つであっても2つ以上であっても構わない。
【実施例1】
【0021】
本発明の一実施態様である実施例1について、図1に基づいて説明する。ここで、図1は、実施例1の負荷計測装置100を構造物C(回転軸)に装着し、構造物Cに掛かる捩れ量を計測する概要を示す斜視図である。
【0022】
まず、負荷計測装置100の構造について説明する。構造物Cの表面に、1つのメディア110が接着剤で接着される。このメディア110には、レーザピックアップ130で読み取り可能な凹凸状のピット120が定間隔で構造物Cの軸方向に配列されている。本実施例においては、8個のピットによって、一つの位置データを構成している。これらの位置データは、構造物Cの円周方向の絶対位置情報を表している。すなわち、構造物Cの円周方向に360個の位置データを配列した場合、1つの位置データが中心角1度の変位を表していることになる。なお、図1においては、ピット120の凹凸を0と1で表現している。
【0023】
また、構造物C上のメディア110から所定の距離離れた位置に端部が固設された支持部材140にメディア110に対向するようにレーザピックアップ130が固定されている。支持部材140は、その端部と固定部材150によって構造物Cを挟持してボルト160によって構造物Cに締結されている。メディアの構造、ピットの形成方法、ピットの読み取り方法は、CDやDVDなどに用いられている公知の技術を用いることができる。
【0024】
次に、負荷計測装置100を用いて構造物Cに掛かる捩れ量を計測する手順について説明する。まず、計測対象となる構造物Cの大きさ、硬度や支持部材140の固定位置とメディア110との距離などからなるパラメータを操作端末から入力する。次に計測開始信号をトリガーとしてレーザピックアップ130でメディア110のピット120の配列からなる位置データを読み取り、これを初期値として記憶する。そして、構造物Cへ負荷が加わった後、再度、レーザピックアップ130でメディア110の位置データの現在値を読み取る。この時、負荷により、構造物Cは捩れて支持部材140の固定位置に対してレーザピックアップ130の読み取り位置に変位が生じている。この変位量を位置データの現在値と記憶されている初期値との差から求める。そして、この変位量に操作端末から入力されたパラメータにより決まる変換定数Kを乗ずることにより負荷量が算出される。算出された負荷量は操作端末のディスプレイに表示される。さらに、必要に応じて、所定のアプリケーションソフトウェアにより所望の解析、演算が施され多目的な資料として出力される。
【実施例2】
【0025】
次に、本発明の別の実施態様である実施例2について、図2に基づいて説明する。ここで、図2は、実施例2の負荷計測装置200を用いて構造物C(回転軸)に掛かる捩れ量を計測する概要を示す斜視図である。
【0026】
まず、負荷計測装置200の構造について説明する。構造物Cに、レーザピックアップ230で読み取り可能な凹凸状のピット220が定間隔で構造物Cの軸方向に配列された位置データ列が所定の距離を隔てて2個所に設けられたメディア210が構造物Cの表面に接着される。本実施例においては、8個のピットによって、一つの位置データを構成している。これらの位置データは、構造物Cの円周方向の絶対位置情報を表している。すなわち、構造物Cの円周方向に360個の位置データを配列した場合、1つの位置データが中心角1度の変位を表していることになる。
【0027】
また、構造物Cとは独立した支持部材240にメディア210の2個所の位置データ列A、Bにそれぞれ対向するように2つのレーザピックアップ230が固定されている。
【0028】
次に、負荷計測装置200を用いて構造物Cに掛かる捩れ量を計測する手順について説明する。まず、計測対象となる構造物Cの大きさ、硬度やメディア210上の2個所の位置データ列A、B間の距離などからなるパラメータを操作端末から入力する。次に計測開始信号をトリガーとして2つのレーザピックアップ230でメディア210の2個所の位置データ列A、Bの位置データをそれぞれ読み取り、これを初期値A及び初期値Bとして記憶する。そして、構造物Cへ負荷が加わった後、再度、2つのレーザピックアップ230でメディア210の2個所の位置データ列A、Bの位置データのそれぞれの現在値A及び現在値Bを読み取る。この時、負荷により、構造物Cは捩れて2つの位置データ列A、Bの位置データにはそれぞれ変位が生じている。そこで、位置データ列Aの変位量Aを位置データの現在値Aと記憶されている初期値Aとの差から求める。また、位置データ列Bの変位量Bを位置データの現在値Bと記憶されている初期値Bとの差から求める。そして、変位量Aと変位量Bの差に操作端末から入力されたパラメータにより決まる変換定数Kを乗ずることにより負荷量が算出される。算出された負荷量は操作端末のディスプレイに表示される。さらに、必要に応じて、所定のアプリケーションソフトウェアにより所望の解析、演算が施され多目的な資料として出力される。
【実施例3】
【0029】
次に、本発明のさらに別の実施態様である実施例3について、図3に基づいて説明する。ここで、図3は、実施例3の負荷計測装置300を用いて構造物C(回転軸)に掛かる圧縮負荷量及び引張負荷量を計測する概要を示す斜視図である。
【0030】
まず、負荷計測装置300の構造について説明する。構造物Cの表面に、1つのメディア310が接着される。このメディア310には、レーザピックアップ330で読み取り可能な凹凸状のピット320が定間隔で構造物Cの円周方向に配列されている。本実施例においては、8個のピットによって、一つの位置データを構成している。これらの位置データは、構造物Cの軸方向の絶対位置情報を表している。すなわち、構造物Cの軸方向に1mm間隔で位置データを配列した場合、1つの位置データが軸方向の1mmの変位を表していることになる。なお、図3においては、ピット320の凹凸を0と1で表現している。
【0031】
また、構造物C上のメディア310から所定の距離離れた位置に端部が固設された支持部材340にメディア310に対向するようにレーザピックアップ330が固定されている。支持部材340は、その端部と固定部材350によって構造物Cを挟持してボルト360によって構造物Cに締結されている。
【0032】
次に、負荷計測装置300を用いて構造物Cに掛かる圧縮負荷量及び引張負荷量を計測する手順について説明する。まず、計測対象となる構造物Cの大きさ、硬度や支持部材340の固定位置とメディア310との距離などからなるパラメータを操作端末から入力する。次に計測開始信号をトリガーとしてレーザピックアップ330でメディア310のピット320の配列からなる位置データを読み取り、これを初期値として記憶する。そして、構造物Cへ負荷が加わった後、再度、レーザピックアップ330でメディア310の位置データの現在値を読み取る。この時、負荷により、構造物Cは圧縮されて又は引っ張られて支持部材340の固定位置に対してレーザピックアップ330の読み取り位置に変位が生じている。この変位量を位置データの現在値と記憶されている初期値との差から求める。そして、この変位量に操作端末から入力されたパラメータにより決まる変換定数Kを乗ずることにより負荷量が算出される。算出された負荷量は操作端末のディスプレイに表示される。さらに、必要に応じて、所定のアプリケーションソフトウェアにより所望の解析、演算が施され多目的な資料として出力される。
【実施例4】
【0033】
次に、本発明のさらに別の実施態様である実施例4について、図4(a)及び図4(b)に基づいて説明する。実施例4は、メディア410上のピット420の配列が実施例1乃至実施例3のものと相違しているのみで、負荷計測装置の基本的構成は変わらないのでメディア410についてのみ説明する。
【0034】
まず、図4(a)に示したメディア410には、両端にレーザピックアップで読み取り可能な凹凸状のピット420が定間隔で配列されている。このメディア410を実施例2と同様に構造物(回転軸)の表面にピット420の列が円周方向となるように接着する。そして、2つのレーザピックアップでピット420の情報を読み取る。無負荷のとき2つのレーザピックアップは同じ情報を出力している。そして、負荷が加わると、構造物が捩れて2つのピット420の列の間に変位が生じる。その変位量から負荷量を算出することができる。この方法によれば、メディア410に記録する情報は、絶対位置情報である必要がなく1つのピット420を定間隔に配列するだけで良いためメディア410の製作コストを削減できるとともに情報の読み取りも簡単であるという利点があるが、変位量を2つのピット420の列の相対的なずれとして読み取っているため負荷の向きについては検出できないという欠点がある。
【0035】
一方、図4(b)に示したメディア410には、両端にレーザピックアップで読み取り可能な凹凸状のピット420が位相を90°ずらして2列に配列されている。このメディア410を実施例2と同様に構造物(回転軸)の表面にピット420の列が円周方向となるように接着する。そして、2つのレーザピックアップでピット420の情報を読み取る。無負荷のとき2つのレーザピックアップは同じ情報を出力している。そして、負荷が加わると、構造物が捩れて2つのピット420の列の間に変位が生じる。その変位量から負荷量を算出することができる。この方法によれば、負荷の変化の方向が逆向きになると2列に配列されたピット422、424の相対的な変化の仕方も逆になるため、すなわち、正方向の変位が生じた際にA列のピット422が0であり次にB列のピットが0である場合、負方向の変位が生じた際にはA列のピットが0であるとすると次にB列のピットが1となるため、負荷の大きさだけでなく負荷の方向の計測も可能になる。
【実施例5】
【0036】
次に、本発明のさらに別の実施態様である実施例5について、図5に基づいて説明する。図5は、本発明の負荷計測装置500を用いて建屋などの構造物1において支柱2及び梁3に加わる工作機械4の機械重量及び振動による負荷、地震などの自然災害による負荷などを計測する態様を示している。
【0037】
構造物1の支柱2や梁3の少なくとも1箇所以上に、負荷計測装置500を設置する。測定箇所に負荷計測装置500のメディア510を固着し、そのメディア510に記憶された位置データをレーザピックアップ530で読み取れるように支持部材540を設置する。そして、その測定箇所に加わる変位量を計測してその値から負荷の大きさを計算し、モニターへの出力などを行う。
【実施例6】
【0038】
次に、本発明のさらに別の実施態様である実施例6について、図6に基づいて説明する。図6は、本発明の負荷計測装置600、700を用いて機械の部品に作用する負荷を計測する態様を示している。
【0039】
多くの機械は、図6に示すように、原動機5を動力とし、減速機6、8と軸継手7、9を介して組立装置10などを運転している。この時、それぞれの部品に作用する負荷(トルク)は異なるため負荷を把握すべき部品に負荷計測装置600、700を設置する。設置方法は、計測対象物が回転しているために負荷計測装置600のようにレーザピックアップ630を支持部材640で計測対象物に固定し回転させながら計測する方法と、負荷計測装置700のようにレーザピックアップ730を計測対象物とは独立した支持部材740に固定して計測する方法とがある。
【0040】
負荷計測装置600の場合、実施例1で説明したように、位置データを記憶したメディア610は1つ、レーザピックアップ630も1つで負荷の検出は可能である。一方、負荷計測装置700の場合、実施例2で説明したように、位置データを記憶したメディア710を2つ以上又は位置データが離れた位置に2箇所以上記録されたメディアを1つ以上計測対象物に固定し、レーザピックアップ730も位置データの数量分だけ計測対象物と分離して据え付けることで負荷の計測が可能である。
【実施例7】
【0041】
次に、本発明のさらに別の実施態様である実施例7について、図7に基づいて説明する。図7は、本発明の負荷計測装置800を用いて昇降装置11を昇降軸13に加わる負荷を計測する態様を示している。
【0042】
昇降装置11は、ジャッキ12を用いてベース14や荷物15を上下させる。この時、荷物15などの負荷はジャッキ12の昇降軸13に加わることから、負荷計測装置800の位置データを記録したメディア810を昇降軸13に固着し、レーザピックアップ830をメディア810の位置データを読み取ることができるように支持部材840で昇降軸13に固設することにより、昇降軸13に加わる負荷の大きさにより発生する昇降軸13の変位量から各々の昇降軸13の負荷を算出する。特に、荷物15の置かれた位置によってこのような昇降装置11の昇降軸13に発生する負荷はそれぞれ異なることを計測することが可能になる。
【0043】
以上のように、本発明の負荷計測装置は、既存の構造物に簡単に取り付けられ、利便性に富み、高精度にあらゆる構造物の負荷を計測することを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】実施例1の負荷計測装置により構造物の捩れ量を計測する概要を示す斜視図。
【図2】実施例2の負荷計測装置により構造物の捩れ量を計測する概要を示す斜視図。
【図3】実施例3の負荷計測装置により構造物の圧縮負荷量及び引張負荷量を計測する概要を示す斜視図。
【図4】実施例4の負荷計測装置のメディアの平面図。
【図5】実施例5の負荷計測装置により構造物の負荷を計測する概要を示す斜視図。
【図6】実施例6の負荷計測装置により構造物の負荷を計測する概要を示す斜視図。
【図7】実施例7の負荷計測装置により構造物の負荷を計測する概要を示す斜視図。
【符号の説明】
【0045】
1 ・・・ 構造物
2 ・・・ 支柱
3 ・・・ 梁
4 ・・・ 工作機械
5 ・・・ 原動機
6、8 ・・・ 減速機
7、9 ・・・ 軸継手
10 ・・・ 組立装置
11 ・・・ 昇降装置
12 ・・・ ジャッキ
13 ・・・ 昇降軸
14 ・・・ ベース
15 ・・・ 荷物
100、200、300、500、600、700、800 ・・・ 負荷計測装置
110、210、310、410、510、610、710、810 ・・・ メディア
120、220、320、420 ・・・ ピット
130、230、330、530、630、730、830 ・・・ レーザピックアップ
140、240、340、540、640、740、840 ・・・ 支持部材
150、350 ・・・ 固定部材
160、360 ・・・ ボルト
C ・・・ 構造物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物に固定された少なくとも1つのメディアと該メディアに記録された情報を読み取る少なくとも1つのレーザピックアップと該レーザピックアップの出力を記憶演算する演算回路とを有する負荷計測装置において、
前記メディアがレーザピックアップで読み取り可能な凹凸形状のピットを定間隔で配列することからなる位置データを記録し、
前記レーザピックアップが前記位置データの初期値と計測時における現在値とを読み取り、
前記演算回路が前記現在値と初期値との差に所定の定数を乗ずることにより構造物の負荷を求めることを特徴とする負荷計測装置。
【請求項2】
前記位置データが構造物の絶対位置情報であることを特徴とする請求項1に記載の負荷計測装置。
【請求項3】
前記ピットが構造物の変位方向に位相を90°ずらして2列に配列されていることを特徴とする請求項1に記載の負荷計測装置。
【請求項4】
前記レーザピックアップが構造物上のメディアから所定の距離離れた位置に端部が固設された支持部材に前記メディアに対向するように固定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の負荷計測装置。
【請求項5】
前記レーザピックアップが構造物から独立した支持部材に固定されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の負荷計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−85214(P2010−85214A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−253853(P2008−253853)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(506179929)ツバキ山久チエイン株式会社 (16)
【出願人】(000150800)株式会社ツバキエマソン (102)
【Fターム(参考)】