説明

貨幣処理機

【課題】操作員に間違った操作を続行させないように促して破損の発生を未然に防止することができる貨幣処理機の提供。
【解決手段】相対移動部18をロックするロック手段と、ロック解除操作が入力されるとロック手段のロックを解除するロック解除手段45と、ロック手段のロックが解除されたロック解除状態にあるか否かを検知するロック解除検知手段と、相対移動部18の相対移動方向先側にある対象部24〜26,33,38が相対移動部18の相対移動を許容する相対移動許容状態にあるか否かを検知する相対移動許容状態検知手段と、対象部24〜26,33,38が相対移動許容状態にないことを相対移動許容状態検知手段が検知し且つロック手段がロック解除状態にあることをロック解除検知手段が検知するとアラームを発生する報知手段と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣を取り扱う貨幣処理機に関する。
【背景技術】
【0002】
紙幣や硬貨等の貨幣の入出金などの様々な処理を行う貨幣処理機において、従来から、ジャムなどの異常が発生した場合に不慣れな操作員でも復旧操作ができるように、操作箇所の画像や復旧操作の手順を、復旧操作の進捗に応じて段階的に表示する案内制御を行うものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−227906号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した案内制御によって操作手順が明確になったとしても、操作員が操作手順を間違えてしまった場合には、貨幣処理機に故障を生じてしまう可能性がある。例えば、開状態で対象部への操作員のアクセスが可能となる開閉部位において、操作員が対象部へのアクセス後、対象部を元の状態に戻さずに開閉部位を閉作動させてしまうと、閉作動途中で相対移動部位同士に接触や衝突を生じ、破損を引き起こしてしまう虞がある。
【0005】
したがって、本発明は、操作員に間違った操作を続行させないように促して破損の発生を未然に防止することができる貨幣処理機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に係る発明は、相対移動部と、該相対移動部をロックするロック手段と、ロック解除操作が入力されると前記ロック手段のロックを解除するロック解除手段と、前記ロック手段のロックが解除されたロック解除状態にあるか否かを検知するロック解除検知手段と、前記相対移動部の相対移動方向先側にある対象部が前記相対移動部の相対移動を許容する相対移動許容状態にあるか否かを検知する相対移動許容状態検知手段と、前記対象部が前記相対移動許容状態にないことを前記相対移動許容状態検知手段が検知し且つ前記ロック手段が前記ロック解除状態にあることを前記ロック解除検知手段が検知するとアラームを発生する報知手段と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記相対移動部は、本体と、該本体に対し引き出しおよび装填可能に設けられたユニットとからなり、前記対象部は、前記本体または前記ユニットに開閉可能に設けられていて、前記相対移動許容状態検知手段は、前記対象部が閉状態にあるとき当該対象部が前記相対移動許容状態にあることを検知し、前記対象部が開状態にあるとき当該対象部が前記相対移動許容状態にないことを検知することを特徴とする。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項1または2に係る発明において、前記ロック手段は、断続的なロック位置または連続的なロック位置で前記相対移動部をロック可能であることを特徴とする。
【0009】
請求項4に係る発明は、請求項1乃至3のいずれか一項に係る発明において、前記ロック解除手段が片手での同時操作が不可な2カ所に設けられており、これらのロック解除手段が同時にロック解除操作されることで前記ロック手段のロックが解除されることを特徴とする。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか一項に係る発明において、前記相対移動部は開閉部であり、前記対象部は前記開閉部が開放されると露出することを特徴とする。
【0011】
請求項6に係る発明は、請求項1乃至5のいずれか一項に係る発明において、前記報知手段は、前記対象部を前記相対移動許容状態にする旨をガイドすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に係る発明によれば、相対移動部の相対移動方向先側にある対象部が、相対移動部の相対移動を許容する相対移動許容状態にない状態で、ロック解除手段によりロック手段のロックが解除されると、対象部が相対移動許容状態にないことを相対移動許容状態検知手段が検知し且つロック手段がロック解除状態にあることをロック解除検知手段が検知することになる。すると、報知手段がアラームを発生する。これにより、対象部が相対移動許容状態にない状態で相対移動部が相対移動させられてしまうことを抑止できる。このように操作員に間違った操作を続行させないように促すことで、相対移動部が、相対移動の途中で相対移動方向の前方にある対象部に接触や衝突を生じることを防止でき、これに起因して生じる破損を未然に防止することができる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、相対移動部の相対移動方向先側にある対象部が、閉状態にならず、相対移動部の相対移動を許容する相対移動許容状態にない状態で、ロック解除手段によりロック手段のロックが解除されると、対象部が相対移動許容状態にないことを相対移動許容状態検知手段が検知し且つロック手段がロック解除状態にあることをロック解除検知手段が検知することになる。すると、報知手段がアラームを発生する。これにより、対象部が閉状態になく相対移動許容状態にない状態で相対移動部が相対移動させられてしまうことを抑止できる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、ロック手段が、断続的なロック位置または連続的なロック位置で相対移動部をロック可能であるため、相対移動部の相対移動の途中でロック解除手段へのロック解除操作入力が停止されると相対移動部が途中位置でロックされることになる。よって、相対移動部の移動の途中であっても操作員がロック解除操作入力を停止すれば、その後の慣性等による移動を停止できる。したがって、相対移動許容状態にない状況で、報知手段が故障していて操作員が相対移動部の移動を開始してしまったり、あるいは操作員が無意識に相対移動部の移動を開始してしまったりしても、操作員が相対移動部の移動の途中で相対移動許容状態にないことに気付いてロック解除操作入力を停止すれば、移動が停止することになって、それ以降に生じる破損を防止できる。
【0015】
請求項4に係る発明によれば、ロック解除手段が片手での同時操作が不可な2カ所に設けられており、これらのロック解除手段が同時にロック解除操作されることでロック手段のロックが解除されるため、操作員は両手でロック解除手段をロック解除操作しなければ、ロック手段のロックを解除できない。よって、ロック解除操作が片手での操作よりも手間が掛かることになり、報知手段がアラームを発生しているのに、操作員が無意識に相対移動部を移動してしまうことを一層抑制できる。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、対象部は開閉部が開放されると露出することから、相対移動許容状態にないことが目視により気づかれ難い場所にあることが多く、より接触や衝突を生じやすいため、上記のように、操作員に間違った操作を続行させないように促すことの効果がより高まる。
【0017】
請求項6に係る発明によれば、報知手段が、アラームとして対象部を相対移動許容状態にする旨をガイドするため、操作員には、より分かりやすく報知が働くことになる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態に係る貨幣処理機の要部を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る貨幣処理機の要部を示すブロック図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る貨幣処理機のロック機構等を示す概略平面図である。
【図4】本発明の第2実施形態に係る貨幣処理機を示す斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る貨幣処理機の要部を示すブロック図である。
【図6】本発明の第3実施形態に係る貨幣処理機の要部を示す側面図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る貨幣処理機の要部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の第1実施形態に係る貨幣処理機を図1〜図3を参照して以下に説明する。
第1実施形態に係る貨幣処理機は、本体11と、本体11に引き出しおよび装填可能に設けられた複数の上部ユニット12、中部ユニット13および下部ユニット14とを有している。これら上部ユニット12、中部ユニット13および下部ユニット(ユニット)14は、本体11に対し同方向に引き出し可能となっている。
【0020】
上部ユニット12は、硬貨の入出金処理を行うユニットとなっている。また、中部ユニット13および下部ユニット14は、紙幣の入出金処理を行うユニットとなっている。
【0021】
中部ユニット13の前面には、入金紙幣が機外から投入されるとともに出金紙幣を機内から機外へ取り出し可能に繰り出す紙幣入出金口17が設けられている。中部ユニット13には、図示は略すが紙幣入出金口17に投入された入金紙幣を搬送する搬送部や搬送中の紙幣を鑑別しつつ計数する鑑別部等が設けられている。
【0022】
下部ユニット14は、本体11から引き出されることで内部が露出することになり、元の位置に戻すべく押し込まれて本体11に装填されると内部が露出しない状態となる。つまり、本体11と下部ユニット14とは、相対移動することにより、少なくともいずれか一方の内部が露出する開状態と、いずれの内部も露出しない閉状態とに状態が切り替わる外側開閉部(相対移動部)18を構成している。なお、本体11および中部ユニット13も同様に外側開閉部を構成することになり、本体11および上部ユニット12も同様に外側開閉部を構成することになるが、以下では、本体11および下部ユニット14で構成される外側開閉部18を例にとり説明する。
【0023】
下部ユニット14の両外側にはスライドレール21が連結されており、これらスライドレール21は本体11にも連結されている。スライドレール21は、相対的にスライド自在に連結されたレール部材21A,21Bからなっており、内外二重構造で伸縮自在となっている。スライドレール21は、レール部材21Aが下部ユニット14に、レール部材21Bが本体11にそれぞれ固定されている。これにより、本体11に対し、下部ユニット14がスライドレール21を介してスライド可能に支持されている。本体11には、下部ユニット14が引き出された状態にあるか装填された状態にあるかを検出する図2に示すチートロックスイッチ22が設けられている。なお、チートロックスイッチ22にかえてフォトインタラプタ等を用いて下部ユニット14の引き出し状態を検出するようにしても良い。
【0024】
本体11から引き出される下部ユニット14には、鑑別部で正常紙幣と鑑別された紙幣を金種別に一時貯留する一時貯留部(対象部)24〜26が上部に設けられており、その下側に、図示は略すが、各一時貯留部24〜26から紙幣を受け入れる金種別の収納カセットが設けられている。下部ユニット14が本体11に装填された状態つまり外側開閉部18が閉状態にあると、一時貯留部24〜26は、中部ユニット13および本体11で覆われて露出しない状態になり、操作員によるアクセスが不可となる。また、一時貯留部24〜26は、下部ユニット14が本体11から引き出された状態つまり外側開閉部18が開放されると、中部ユニット13および本体11で覆われない露出状態となり、操作員によるアクセスが可能となる。
【0025】
このように下部ユニット14に設けられた一時貯留部24〜26は、下部ユニット14が開状態から閉状態へ移動する際の、本体11の相対移動方向の先側に位置している。一時貯留部24〜26は、上部が開閉可能な内側開閉部24a〜26aとなっており、これら内側開閉部24a〜26aは、閉状態から回動させられることによって上方に突出する姿勢の開状態となる。内側開閉部24a〜26aが開状態にあるとき、一時貯留部24〜26の内側の搬送路や集積部等への操作員によるアクセスが可能となる。内側開閉部24a〜26aは、開状態のままで、下部ユニット14が本体11に対し相対移動する閉作動が行われると、本体11の相対移動方向の先側にあって衝突する位置にあり、閉状態とされれば、下部ユニット14の閉作動が行われても、本体11に対し衝突しない位置にある。
【0026】
そして、各内側開閉部24a〜26aには、それぞれ、基本の定位置にある閉状態にあって本体11および下部ユニット14の相対作動を許容する相対作動許容状態(相対移動許容状態)にあるか、開状態にあって本体11および下部ユニット14の相対作動を許容しない状態にあるかを検知する図2に示す開閉部開閉検知センサ(相対移動許容状態検知手段)27〜29が設けられている。つまり、内側開閉部24aの開閉状態を開閉部開閉検知センサ27が、内側開閉部25aの開閉状態を開閉部開閉検知センサ28が、内側開閉部26aの開閉状態を開閉部開閉検知センサ29が、それぞれ検知する。これら開閉部開閉検知センサ27〜29は制御部31に接続されている。開閉部開閉検知センサ27〜29には、マイクロスイッチやフォトインタラプタ等が用いられている。開閉部開閉検知センサ27〜29は、内側開閉部24a〜26aが正しく閉鎖された状態を検知することが可能となっていて、正しく閉鎖された状態とは異なる状態、つまりは全開の状態や予め定められた位置での開いた状態や不正に中途半端に開いた状態等は全て一律で開状態とみなし検出する。
【0027】
また、下部ユニット14には、側面に開閉扉(対象部)33が設けられている。この開閉扉33も、下部ユニット14が本体11に装填された状態つまり外側開閉部18が閉状態にあると、本体11で覆われて露出しない状態になり、操作員によるアクセスが不可となる。また、下部ユニット14が本体11から引き出された状態つまり外側開閉部18が開状態にあると、本体11で覆われない露出状態となり、操作員によるアクセスが可能となる。
【0028】
開閉扉33は、本体11の相対移動方向先側にあって、下部ユニット14に開閉可能に設けられている。開閉扉33は、閉状態から回動させられることによって側方に突出する姿勢の開状態となり、この開状態で内側の搬送路や集積部等への操作員によるアクセスが可能となる。開閉扉33は、開状態のままで、下部ユニット14の閉作動が行われると、本体11の相対移動方向先側にあって衝突する位置にあり、閉状態とされれば、下部ユニット14の閉作動が行われても、本体11に対し衝突しない位置にある。
【0029】
そして、開閉扉33にも、これが閉状態にあって本体11と下部ユニット14との相対移動を許容する相対移動許容状態にあるか、開状態にあって本体11と下部ユニット14との相対移動を許容しない状態にあるかを検知する図2に示す扉開閉検知センサ(相対移動許容状態検知手段)34が設けられており、この扉開閉検知センサ34も制御部31に接続されている。扉開閉検知センサ34にも、マイクロスイッチやフォトインタラプタ等が用いられている。扉開閉検知センサ34も、開閉扉33が正しく閉鎖された状態を検知することが可能となっていて、正しく閉鎖された状態とは異なる状態、つまりは全開の状態や予め定められた位置での開いた状態や不正に中途半端に開いた状態等は全て一律で開状態とみなし検出する。
【0030】
開閉扉33には、開閉扉33を閉状態でロックするためのシリンダ錠本体36が設けられている。シリンダ錠本体36には、ロックを解除するための別体のキー37が差し込まれる。これらシリンダ錠本体36およびキー37がシリンダ錠(対象部)38を構成している。シリンダ錠本体36も、下部ユニット14が本体11に装填された状態つまり外側開閉部18が閉状態にあると、本体11で覆われて露出しない状態になり、操作員によるアクセスが不可となる。また、下部ユニット14が本体11から引き出された状態つまり外側開閉部18が開状態にあると、本体11で覆われない露出状態となり、操作員によるアクセスが可能となる。
【0031】
着脱自在のキー37は、シリンダ錠本体36に差し込まれると側方に突出する状態となる。このようにシリンダ錠本体36に差し込まれた状態で、キー37は、本体11の相対移動方向先側にあって、下部ユニット14の閉作動が行われると、本体11に衝突する位置にある。勿論、キー37は、シリンダ錠本体36から抜かれれば、下部ユニット14の閉作動が行われても、本体11に対し衝突することはなくなる。そして、シリンダ錠本体36にも、キー37が差し込まれていない状態にあって下部ユニット14と本体11との相対移動を許容する相対移動許容状態にあるか、キー37が差し込まれた状態にあって下部ユニット14と本体11との相対作動を許容しない状態にあるかを検知する図2に示すキー取外検知センサ(相対移動許容状態検知手段)40が設けられている。このキー取外検知センサ40も制御部31に接続されている。キー取外検知センサ40にも、マイクロスイッチやフォトインタラプタ等が用いられている。
【0032】
図3に示すように、一方のスライドレール21の本体11側のレール部材21Bには、ロックピン穴41がスライド方向に等間隔で断続的に形成されており、スライドレール21の下部ユニット14側のレール部材21Aには、ロックピン穴41のいずれか一つにロックピン42を係合させることで下部ユニット14を開状態で本体11に対しロックするロック機構(ロック手段)43が設けられている。つまり、ロック機構43は、断続的なロック位置で、下部ユニット14および本体11からなる外側開閉部18を開状態でロック可能となっている。ロック機構43は、閉状態にある下部ユニット14をもロック可能となっている。ロック機構43は、ロックピン42を図示略のバネの付勢力で突出させるようになっている。
【0033】
図1に示すように、下部ユニット14の前部の左右両側には、操作員が下部ユニット14を本体11に対し引き出したり装填したりする際に把持される取手部44がそれぞれ設けられており、両側の取手部44には、それぞれにロック解除レバー(ロック解除手段)45が設けられている。両側のロック解除レバー45は、図3に示す連動機構46を介してこれらに共通の上記したロック機構43に連結されている。これら2カ所のロック解除レバー45は、片手での同時操作が不可な距離だけ離間した位置に設けられている。
【0034】
連動機構46は、両方のロック解除レバー45が押下操作されたときのみ、共用のロック機構43のロックピン42をバネの付勢力に抗して機械的に移動させてロックピン穴41から引き抜くことになる。つまり、2カ所のロック解除レバー45に同時にロック解除操作である押下操作が入力されると、連動機構46がロック機構43による下部ユニット14のロックを機械的に解除する。また、両側のロック解除レバー45のうち少なくともいずれか一方の押下操作が解除された状態では、連動機構46は、ロックピン42のバネの付勢力に抗した移動を解除する。すると、バネの付勢力でロックピン42が突出方向に付勢される。
【0035】
よって、この状態でロックピン42がいずれかのロックピン穴41と位置が合うと、ロックピン42がロック機構43から突出して、このロックピン穴41に係合して下部ユニット14を本体11にロックする。ロック機構43には、ロックピン42がバネの付勢力に抗して移動した状態にあってロック機構43による下部ユニット14のロックが解除されたロック解除状態にあるか、ロックピン42がバネの付勢力で移動した状態にあってロック機構43により下部ユニット14が本体11にロックされたロック状態にあるかを検知する図2に示すロック解除検知センサ(ロック解除検知手段)48が設けられている。ここで、ロック解除検知センサ48には、ロックピン42に機械的に連動してオンオフするスイッチやフォトインタラプタ等が用いられている。なお、ロック解除検知センサ48は、下部ユニット14がロック解除状態にあることを検知できれば良く、例えば、ロック解除レバー45の押下操作を検知するものであっても良い。
【0036】
上記したロックピン42を含むロック機構43、ロックピン穴41および連動機構46を、両側のロック解除レバー45のそれぞれに個別に設けても良い。また、ロックピン42が係合するロックピン穴41は、本体11側にあればレール部材21Bに設けられている必要はなく、例えば本体11のフレームに設けられていても良い。また、ロックピン42を含むロック機構43は、下部ユニット14側にあればレール部材21Aに設けられている必要はなく、例えば下部ユニット14のフレームに設けられていても良い。さらに、ロックピン42を含むロック機構43を本体11側に設け、下部ユニット14側に多数のロックピン穴やラックギア等からなる多数の係合片を設けても良い。また、ロック解除レバー45を操作すると、多数のロックピン穴や多数の係合片が移動して、ロックピン42から離れ、ロックを解除するものであっても良い。さらに、ロックピン穴41を、下部ユニット14が本体11から最も引き出された状態でロックピン42に係合できる位置に一カ所のみ設けても良い。
【0037】
図2に示すように、制御部31には、上記したチートロックスイッチ22、開閉部開閉検知センサ27〜29、扉開閉検知センサ34、キー取外検知センサ40、ロック解除検知センサ48に接続されており、これらは制御部31によって集中制御されて状態監視されている。制御部31には、これらの他に、操作員に対して表示を行う液晶画面等の表示部(報知手段)50と、操作員に対して音声を発生させる音声出力部(報知手段)51とが接続されている。これら表示部50および音声出力部51は、例えば一体にユニット化されて本体11に設けられることになるが、別置きの操作卓装置に設けられていても良い。
【0038】
制御部31は、貨幣処理機で取り引きされる取り引き明細や処理結果等を表示部50に表示する。加えて、制御部31は、操作員がジャム等の異常復旧処理を行う際にも、操作箇所の画像や復旧操作の手順を、復旧操作の進捗に応じて段階的に表示を行う。
【0039】
そして、制御部31は、このような異常復旧処理や、正常処理における収納カセットの抜き取りや、入金キャンセル処理における一時貯留部24〜26の貨幣の返却抜き取り等のために、下部ユニット14が本体11から引き出されたことがチートロックスイッチ22により検知されると、開閉部開閉検知センサ27〜29の検知結果から一時貯留部24〜26の内側開閉部24a〜26aが閉状態にあって下部ユニット14の閉作動を許容する相対移動許容状態にあるか否かと、扉開閉検知センサ34の検知結果から開閉扉33が閉状態にあって下部ユニット14の閉作動を許容する相対移動許容状態にあるか否かと、キー取外検知センサ40の検知結果からキー37がシリンダ錠38から取り外された状態にあって下部ユニット14の閉作動を許容する相対移動許容状態にあるか否かとを検知して監視するようになっている。
【0040】
そして、両側のロック解除レバー45が同時に押下操作されて、ロック機構43のロックピン42がロックピン穴41から引き抜かれたことがロック解除検知センサ48で検知されると、制御部31は、開閉部開閉検知センサ27〜29、扉開閉検知センサ34およびキー取外検知センサ40の検知結果を確認することになり、これら開閉部開閉検知センサ27〜29、扉開閉検知センサ34およびキー取外検知センサ40の少なくともいずれか一つで、相対移動許容状態にないことが検知されると、アラーム表示を表示部50に表示させるとともにアラーム音を音声出力部51に発生させる。つまり、本体11から下部ユニット14を引き出した後に、一時貯留部24〜26、開閉扉33およびシリンダ錠38のうちの少なくともいずれか一つが相対移動許容状態にないことを開閉部開閉検知センサ27〜29、扉開閉検知センサ34およびキー取外検知センサ40が検知し且つロック機構43がロック解除状態にあることをロック解除検知センサ48が検知すると、制御部31は、表示部50および音声出力部51にアラームを発生させる。
【0041】
より具体的に、例えばジャム等の異常復旧処理を行うべく、操作員が下部ユニット14を本体11から引き出して、一時貯留部24〜26の内側開閉部24a〜26aおよび開閉扉33の少なくともいずれか一つを開作動させて異常箇所のジャム処置等のメンテナンスを行った後、操作員は、下部ユニット14を元の位置に戻すため押し込んで本体11に装填させようとして、両手を左右の取手部44に添えて、手の指にて左右両側のロック解除レバー45を押下する。つまり、操作員は、右手を右側の取手部44に添えて、右手の指にて右手のロック解除レバー45を押下するとともに、左手を左側の取手部44に添えて、左手の指にて左手のロック解除レバー45を押下する。そして、このように両手の指にて左右のロック解除レバー45を同時に押下したままの状態で、左右の取手部44に添えた両手にて下部ユニット14を本体11の奥まで押し込み、閉位置で両手の指をロック解除レバー45から離す操作を行うことになる。
【0042】
上記において、両側のロック解除レバー45を押下操作した時点で、制御部31は、操作員が下部ユニット14を押し込む意思があるものとみなすことになり、この時点で、内側開閉部24a〜26aのいずれかが開状態にあったり、開閉扉33が開状態にあったり、開閉扉33が閉状態にあってもキー37がシリンダ錠38に差し込まれていたりして、一時貯留部24〜26、開閉扉33およびシリンダ錠38のうちの少なくともいずれか一つが、下部ユニット14の引き出し前の元の状態つまり相対移動許容状態になければ、制御部31は、操作間違いを起こしていることを認識して、上記したアラーム表示を表示部50に表示させるとともに、アラーム音を音声出力部51に発生させる。具体的に、音声出力部51は警告音を鳴らすことになり、表示部50は、操作間違いを起こしている旨の警告表示を出すことになる。このようにして、操作間違いを起こしていることが、操作員に明確に報知されることになる。表示部50のアラーム表示は、上記のように操作間違いを起こしている旨に加えて、相対移動許容状態にない旨と、一時貯留部24〜26、開閉扉33およびシリンダ錠38のうちの相対移動許容状態にないものの識別と、相対移動許容状態にないものを相対移動許容状態にする旨をガイドするガイド表示とを表示させる。
【0043】
以上に述べた第1実施形態に係る貨幣処理機によれば、外側開閉部18が開状態にあってロック機構43によりロックされた状態で、一時貯留部24〜26、開閉扉33およびシリンダ錠38のうちの少なくともいずれか一つにアクセスがなされることになり、その後、一時貯留部24〜26、開閉扉33およびシリンダ錠38のうちの少なくともいずれか一つが、本体11および下部ユニット14の相対移動を許容する相対移動許容状態にない状態で、両側のロック解除レバー45が押下操作されて、ロック機構43のロックが解除されると、一時貯留部24〜26、開閉扉33およびシリンダ錠38の少なくともいずれか一つが相対移動許容状態にないことを開閉部開閉検知センサ27〜29、扉開閉検知センサ34およびキー取外検知センサ40が検知し且つロック機構43がロック解除状態にあることをロック解除検知センサ48が検知することになる。すると、制御部31は、表示部50および音声出力部51にアラームを発生させる。これにより、一時貯留部24〜26、開閉扉33およびシリンダ錠38のうちの少なくともいずれか一つが相対移動許容状態にない状態で下部ユニット14が閉作動されてしまうことを抑止できる。このように操作員に間違った操作を続行させないように促すことで、下部ユニット14の閉作動途中で本体11の相対移動方向先側にある一時貯留部24〜26、開閉扉33およびシリンダ錠38に接触や衝突を生じることを防止でき、これに起因して生じる破損を未然に防止することができる。
【0044】
また、下部ユニット14が本体11から引き出されロック機構43によりロックされた開状態で、一時貯留部24〜26および開閉扉33の少なくともいずれか一つが開かれてこれにアクセスがなされ、その後、一時貯留部24〜26および開閉扉33の少なくともいずれか一つが閉状態にならず下部ユニット14の閉作動を許容する相対移動許容状態にない状態で、両側のロック解除レバー45によりロック機構43のロックが解除されると、一時貯留部24〜26および開閉扉33の少なくともいずれか一つが相対移動許容状態にないことを開閉部開閉検知センサ27〜29および扉開閉検知センサ34が検知し且つロック機構43がロック解除状態にあることをロック解除検知センサ48が検知することになる。すると、制御部31は、表示部50および音声出力部51にアラームを発生させる。これにより、一時貯留部24〜26および開閉扉33の少なくともいずれか一つが閉状態になく相対移動許容状態にない状態で下部ユニット14が閉作動されてしまうことを抑止できる。
【0045】
また、ロック機構43が、断続的なロック位置で下部ユニット14をロック可能であるため、下部ユニット14の閉作動途中にロック解除レバー45へのロック解除操作入力が停止されると下部ユニット14が途中位置でロックされることになる。よって、下部ユニット14の閉作動の途中であっても操作員がロック解除操作入力を停止すれば、その後の慣性等による閉作動を停止できる。したがって、相対移動許容状態にない状態で、表示部50および音声出力部51が故障していて操作員が下部ユニット14の閉作動を開始させてしまったり、あるいは操作員が無意識に下部ユニット14の閉作動を開始させてしまったりしても、操作員が閉作動の途中で相対移動許容状態にないことに気付いてロック解除操作入力を停止すれば、閉作動が停止することになって、それ以降に生じる破損を防止できる。なお、ロック機構43が、連続的なロック位置で下部ユニット14をロック可能であっても同様の効果が得られる。
【0046】
また、ロック解除レバー45が片手での同時操作が不可な2カ所に設けられており、これらのロック解除レバー45が同時にロック解除操作されることでロック機構43のロックが解除されるため、操作員は両手でロック解除レバー45をロック解除操作しなければ、ロック機構43のロックを解除できない。よって、ロック解除操作が片手での操作よりも手間が掛かることになり、表示部50および音声出力部51がアラームを発生しているのに、操作員が無意識に下部ユニット14を閉作動させてしまうことを一層抑制できる。
【0047】
また、一時貯留部24〜26、開閉扉33およびシリンダ錠38は、外側開閉部18が開放されると露出することから、相対移動許容状態にないことが目視により気づかれ難い場所に配置されることが多く、より接触や衝突を生じやすいため、上記のように、操作員に間違った操作を続行させないように促すことの効果がより高まる。
【0048】
また、表示部50が、アラームとして、一時貯留部24〜26、開閉扉33およびシリンダ錠38のうちのいずれか相対移動許容状態にないものを指定して、相対移動許容状態にする旨をガイドするため、操作員にはより分かりやすく報知が働くことになる。
【0049】
なお、以上の第1実施形態においては、下部ユニット14に、本体11の相対移動方向先側にあって本体11に衝突の可能性がある対象部が設けられる場合を例にとり説明したが、本体11に、下部ユニット14の相対移動方向先側にあって下部ユニット14に衝突の可能性がある対象部が設けられている場合にも適用可能である。また、ロック解除レバー45を左右の取手部44に設けるのではなく、例えば左側の取手部44のロック解除レバー45をなくし、前面の鍵部と右側の取手部44のロック解除レバー45の両方にアクセスされた場合に、ロック機構43のロックが解除されるように構成しても良い。加えて、ロック機構43は、下部ユニット14を本体11に対してスライド不可とすることができる構成であれば、上記のようにスライドレール21に設ける構成以外にも、種々の構成を採用することができる。
【0050】
本発明の第2実施形態に係る貨幣処理機を図4および図5を参照して以下に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付しその説明は略す。
【0051】
第2実施形態に係る貨幣処理機は、本体61と、本体61に対し揺動により開閉可能に設けられた上カバー62とを有している。
【0052】
この貨幣処理機は、複数の小束紙幣に結束テープを巻回して大束紙幣とするもので、本体61には、複数の小束紙幣がセットされる小束紙幣セット部65と、結束テープ66を保持するテープ保持部67と、結束テープ66を搬送する結束テープ搬送機構(対象部)68と、結束テープ搬送機構68で送り出された結束テープ66を小束紙幣に巻回する図示略の巻回部とが設けられている。上カバー62は、本体61に対しヒンジ70で連結されている。本体61には、上カバー62が開状態にあるか閉状態にあるかを検出する図5に示す開閉スイッチ72が設けられている。この開閉スイッチ72は制御部31に接続されている。
【0053】
本体61は、上カバー62が開かれることで内部のテープ保持部67および結束テープ搬送機構68が露出可能となり、上カバー62が閉じられると内部のテープ保持部67および結束テープ搬送機構68が露出不可となる。つまり、本体61と上カバー62とは、相対移動することにより、いずれか一方の内部が露出する開状態と、いずれの内部も露出しない閉状態とに状態が切り替えられる外側開閉部(相対移動部)73を構成している。言い換えれば、上カバー62が本体61に対し閉じられた状態つまり外側開閉部73が閉状態にあると、テープ保持部67および結束テープ搬送機構68は、上カバー62で覆われて露出しない状態になり、操作員によるアクセスが不可となる。また、テープ保持部67および結束テープ搬送機構68は、上カバー62が本体61に対し開かれた状態つまり外側開閉部73が開状態にあると、上カバー62で覆われない露出状態となり、操作員によるアクセスが可能となる。
【0054】
結束テープ搬送機構68は、上カバー62の相対移動方向先側にあり、その一部が開閉可能な内側開閉部68aとなっている。この内側開閉部68aは、閉状態から回動させられることによって上方に突出する姿勢の開状態となり、この開状態で結束テープ搬送機構68の内側への操作員によるアクセスが可能となる。内側開閉部68aは、開状態のままで、上カバー62の閉作動が行われると、上カバー62に衝突する位置にあり、閉状態とされれば、上カバー62の閉作動が行われても、上カバー62に対し衝突しない位置にある。
【0055】
そして、結束テープ搬送機構68には、内側開閉部68aが閉状態にあって上カバー62の本体61に対する閉方向の相対移動を許容する相対移動許容状態にあるか、内側開閉部68aが開状態にあって上カバー62の本体61に対する閉方向の相対作動を許容しない状態にあるかを検知する図5に示す開閉部開閉検知センサ(相対移動許容状態検知手段)75が設けられている。この開閉部開閉検知センサ75は制御部31に接続されている。
【0056】
図示は略すが、ヒンジ部70の上カバー62側の部材70Aには、ロックピン穴が揺動方向に等間隔で断続的に形成されており、ヒンジ部70の本体61側の部材70Bには、ロックピン穴のいずれか一つにロックピンを係合させることで上カバー62を開状態で本体61に対しロックするロック機構(ロック手段)が設けられている。つまり、ロック機構は、断続的なロック位置で、上カバー62および本体61からなる外側開閉部73を開状態でロック可能となっている。ロック機構は、上カバー62を閉状態でも本体61にロックする。ロック機構は、ロックピンをバネの付勢力で突出させる。
【0057】
また、本体61には、図示は略すが、ロック解除レバー(ロック解除手段)が設けられている。ロック解除レバーは、連動機構を介してロック機構に連結されている。連動機構は、ロック解除レバーが押下操作されたときのみ、ロック機構のロックピンをバネの付勢力に抗して機械的に移動させてロックピン穴から引き抜くことになる。つまり、ロック解除レバーにロック解除操作である押下操作が入力されると、連動機構がロック機構による上カバー62のロックを解除する。また、ロック解除レバーの押下操作が解除された状態では、連動機構は、ロックピンのバネの付勢力に抗した移動を解除する。すると、バネの付勢力でロックピンが突出方向に付勢される。
【0058】
よって、この状態でロックピンがいずれかのロックピン穴と位置が合うと、ロックピンが突出して、このロックピン穴に係合して上カバー62を本体61にロックする。ロック機構には、ロックピンがバネの付勢力に抗して移動した状態にあってロック機構による上カバー62のロックが解除されたロック解除状態にあるか、ロックピンがバネの付勢力で移動した状態にあってロック機構により上カバー62が本体61にロックされたロック状態にあるかを検知する図5に示すロック解除検知センサ(ロック解除検知手段)77が設けられている。
【0059】
制御部31は、開閉部開閉検知センサ75の検知結果から内側開閉部68aが閉状態にあって上カバー62の閉作動を許容する相対移動許容状態にあるか否かを検知するようになっている。
【0060】
そして、ロック解除レバーが押下操作されて、ロック機構のロックピンがロックピン穴から引き抜かれたことがロック解除検知センサ77で検知されると、制御部31は、開閉部開閉検知センサ75の検知結果を確認することになり、開閉部開閉検知センサ75で相対移動許容状態にないことが検知されると、アラーム表示を表示部50に表示させるとともにアラーム音を音声出力部51に発生させる。
【0061】
つまり、内側開閉部68aが相対移動許容状態にないことを開閉部開閉検知センサ75が検知し且つロック機構がロック解除状態にあることをロック解除検知センサ77が検知すると、制御部31は、表示部50および音声出力部51にアラームを発生させる。なお、表示部50のアラーム表示は、結束テープ搬送機構68が相対移動許容状態にない旨と、結束テープ搬送機構68を相対移動許容状態にする旨をガイドするガイド表示とを表示させる。
【0062】
以上により、操作員が上カバー62を本体61に対し開いて、結束テープ搬送機構68の内側開閉部68aを開作動させてメンテナンスを行った後、上カバー62を本体61に装填するべくロック解除レバーを押下操作すると、そのとき、結束テープ搬送機構68の内側開閉部68aが開状態にあって、これが相対移動許容状態になければ、制御部31が、上記したアラーム表示を表示部50に表示させるとともに、アラーム音を音声出力部51に発生させることになる。その結果、操作員に間違った操作を続行させないように促すことができる。
【0063】
本発明の第3実施形態に係る貨幣処理機を図6および図7を参照して以下に説明する。なお、第1実施形態と同様の部分については同一の符号を付しその説明は略す。
【0064】
第3実施形態に係る貨幣処理機は、相対移動部80を構成する、本体81と、本体81に対し開閉可能に設けられた上カバー82とを有している。
【0065】
この貨幣処理機は、投入された硬貨に所定の処理を施すもので、本体81には、バラ硬貨が投入されるホッパ84と、ホッパ84の側部を開閉する開閉扉(対象部)86と、ホッパ84から繰り出された硬貨を搬送する硬貨搬送機構(対象部)87とが設けられている。上カバー82は、ホッパ84の上部開口を開閉可能に設けられており、水平に沿う姿勢でホッパ84を閉塞し、ホッパ84に対し水平に硬貨搬送機構87側に所定量スライドさせられた後、鉛直方向に沿う姿勢に揺動させられて、開閉扉86の外側で鉛直方向に沿って下方にスライドさせられることによってホッパ84の上部開口を開放する。本体81には、上カバー82が開状態にあるか閉状態にあるかを検出する図7に示す開閉スイッチ88が設けられている。
【0066】
開閉扉86は、上カバー82の相対移動方向先側に設けられており、閉状態から回動させられることによって側方に突出する姿勢の開状態となる。開閉扉86は、開状態のままで、上カバー82が開作動され鉛直方向に沿う姿勢で鉛直下方に移動させられると、上カバー82に衝突する位置にあり、閉状態とされれば、上カバー82が鉛直方向に沿う姿勢で鉛直下方に移動させられる開作動が行われても、上カバー82に衝突しない位置にある。
【0067】
そして、開閉扉86には、閉状態にあって上カバー82の本体81に対する相対移動である開作動を許容する相対移動許容状態にあるか、開状態にあって上カバー82の本体81に対する相対移動である開作動を許容しない状態にあるかを検知する図7に示す扉開閉検知センサ(相対移動許容状態検知手段)90が設けられており、これが制御部31に接続されている。
【0068】
硬貨搬送機構87も、開閉扉86と同様、上カバー82の相対移動方向先側に設けられており、その一部が開閉可能な開閉部87aとなっている。この開閉部87aは、閉状態から回動させられることによって上方に突出する姿勢の開状態となり、この開状態で内側への操作員によるアクセスが可能となる。開閉部87aは、開状態のままで、上カバー82が鉛直方向に沿う姿勢で鉛直下方に移動させられる開作動が行われると、上カバー82に衝突する位置にあり、閉状態とされれば、上カバー82が鉛直方向に沿う姿勢で鉛直下方に移動させられる開作動が行われても、上カバー82に衝突しない位置にある。
【0069】
そして、開閉部87aには、閉状態にあって上カバー82の本体81に対する相対移動である開作動を許容する相対移動許容状態にあるか、開状態にあって上カバー82の本体81に対する相対移動である開作動を許容しない状態にあるかを検知する図7に示す開閉部開閉検知センサ(相対移動許容状態検知手段)91が設けられており、これが制御部31に接続されている。
【0070】
図示は略すが、上カバー82にはロックピン穴が形成されており、本体81には、閉状態にある上カバー82のロックピン穴にロックピンを係合させることで上カバー82を本体81に閉状態でロックするロック機構(ロック手段)が設けられている。
【0071】
また、図示は略すが、本体81には、ロック解除レバー(ロック解除手段)が設けられている。ロック解除レバーは、図示略の連動機構を介してロック機構に連結されている。図示略の連動機構は、ロック解除レバーが押下操作されたときのみ、ロック機構のロックピンをバネの付勢力に抗して機械的に移動させてロックピン穴から引き抜くことになる。つまり、ロック解除レバーにロック解除操作である押下操作が入力されると、連動機構がロック機構による上カバー82の本体81へのロックを解除する。また、ロック解除レバーの押下操作が解除された状態では、連動機構は、ロックピンのバネの付勢力に抗した移動を解除する。すると、バネの付勢力でロックピンが突出方向に付勢される。
【0072】
ロック機構には、ロックピンがバネの付勢力に抗して移動した状態にあってロック機構による上カバー82のロックが解除されたロック解除状態にあるか、ロックピンがバネの付勢力で移動した状態にあってロック機構により上カバー82がロックされたロック状態にあるかを検知する図7に示すロック解除検知センサ(ロック解除検知手段)93が設けられている。
【0073】
制御部31は、扉開閉検知センサ90の検知結果から開閉扉86が閉状態にあって上カバー82の開作動を許容する相対移動許容状態にあるか否かを検知するようになっており、開閉部開閉検知センサ91の検知結果から開閉部87aが閉状態にあって上カバー82の開作動を許容する相対移動許容状態にあるか否かを検知するようになっている。
【0074】
そして、ロック解除レバーが押下操作されて、ロック機構のロックピンがロックピン穴から引き抜かれたことがロック解除検知センサ93で検知されると、制御部31は、扉開閉検知センサ90および開閉部開閉検知センサ91の検知結果を確認することになり、扉開閉検知センサ90および開閉部開閉検知センサ91で、開閉扉86および開閉部87aの少なくともいずれか一方が相対移動許容状態にないことが検知されると、アラーム表示を表示部50に表示させるとともにアラーム音を音声出力部51に発生させる。
【0075】
つまり、開閉扉86および開閉部87aの少なくともいずれか一方が相対移動許容状態にないことを扉開閉検知センサ90および開閉部開閉検知センサ91が検知し且つロック機構がロック解除状態にあることをロック解除検知センサ93が検知すると、制御部31は、表示部50および音声出力部51にアラームを発生させる。なお、表示部50のアラーム表示は、相対移動許容状態にない旨と、開閉扉86および開閉部87aのうちの相対移動許容状態にないものの識別と、相対移動許容状態にないものを相対移動許容状態にする旨をガイドするガイド表示とを表示させる。
【0076】
以上により、操作員が、開閉扉86および開閉部87aのいずれか一方を開作動させてメンテナンスを行った後、上カバー82を本体81に対し開くために、ロック解除レバーを押下操作すると、そのとき、開閉扉86および開閉部87aの少なくとも一方が開状態にあって相対移動許容状態になければ、制御部31が、上記したアラーム表示を表示部50に表示させるとともに、アラーム音を音声出力部51に発生させることになる。その結果、操作員に間違った操作を続行させないように促すことができる。
【符号の説明】
【0077】
18,73 外側開閉部(相対移動部)
24〜26 一時貯留部(対象部)
27〜29,91 開閉部開閉検知センサ(相対移動許容状態検知手段)
33 開閉扉(対象部)
34,90 扉開閉検知センサ(相対移動許容状態検知手段)
38 シリンダ錠(対象部)
40 キー取外検知センサ(相対移動許容状態検知手段)
43 ロック機構(ロック手段)
45 ロック解除レバー(ロック解除手段)
48,77,93 ロック解除検知センサ(ロック解除検知手段)
50 表示部(報知手段)
51 音声出力部(報知手段)
68 結束テープ搬送機構(対象部)
75 開閉部開閉検知センサ(相対移動許容状態検知手段)
80 相対移動部
86 開閉扉(対象部)
87 硬貨搬送機構(対象部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対移動部と、
該相対移動部をロックするロック手段と、
ロック解除操作が入力されると前記ロック手段のロックを解除するロック解除手段と、
前記ロック手段のロックが解除されたロック解除状態にあるか否かを検知するロック解除検知手段と、
前記相対移動部の相対移動方向先側にある対象部が前記相対移動部の相対移動を許容する相対移動許容状態にあるか否かを検知する相対移動許容状態検知手段と、
前記対象部が前記相対移動許容状態にないことを前記相対移動許容状態検知手段が検知し且つ前記ロック手段が前記ロック解除状態にあることを前記ロック解除検知手段が検知するとアラームを発生する報知手段と、
を備えたことを特徴とする貨幣処理機。
【請求項2】
前記相対移動部は、本体と、該本体に対し引き出しおよび装填可能に設けられたユニットとからなり、
前記対象部は、前記本体または前記ユニットに開閉可能に設けられていて、
前記相対移動許容状態検知手段は、前記対象部が閉状態にあるとき当該対象部が前記相対移動許容状態にあることを検知し、前記対象部が開状態にあるとき当該対象部が前記相対移動許容状態にないことを検知することを特徴とする請求項1記載の貨幣処理機。
【請求項3】
前記ロック手段は、断続的なロック位置または連続的なロック位置で前記相対移動部をロック可能であることを特徴とする請求項1または2記載の貨幣処理機。
【請求項4】
前記ロック解除手段が片手での同時操作が不可な2カ所に設けられており、これらのロック解除手段が同時にロック解除操作されることで前記ロック手段のロックが解除されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項記載の貨幣処理機。
【請求項5】
前記相対移動部は開閉部であり、前記対象部は前記開閉部が開放されると露出することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項記載の貨幣処理機。
【請求項6】
前記報知手段は、前記対象部を前記相対移動許容状態にする旨をガイドすることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項記載の貨幣処理機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−150644(P2012−150644A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8711(P2011−8711)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(500265501)ローレル精機株式会社 (191)
【Fターム(参考)】