説明

貨幣管理装置、釣銭準備金算定方法及び釣銭準備金算定プログラム

【課題】店舗の営業開始前に貨幣処理装置に装填すべき釣銭準備金の適正な枚数を効率良く算定することを課題とする。
【解決手段】貨幣管理装置40は、キャッシュレジスタ20内の金種毎の貨幣の増減の推移を取引実績データ45aとして管理するとともに、金種毎の貨幣の増減の推移の最小値を求め、この最小値を取引数で除算した商に1000を乗算することで、1000人あたりの金種毎の貨幣の増減を示すCI値をそれぞれ算定し、翌営業日の予測顧客数の入力を受け付けた場合に、この予測顧客数とCI値を用いて、翌営業日の釣銭準備金の枚数を算定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、店舗の営業開始前に貨幣処理装置に装填すべき釣銭準備金の適正な枚数を効率良く算定することができる貨幣管理装置、釣銭準備金算定方法及び釣銭準備金算定プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スーパーマーケットなどの店舗では、顧客が商品を購入する代償として支払う貨幣を入金処理するとともに、該貨幣と商品の価格との差額となる釣銭を出金処理する貨幣処理装置及びキャッシュレジスタ(以下、両方を包括して「キャッシュレジスタ」と言う)が配設されている。そして、かかるキャッシュレジスタには、店舗の営業開始前にあらかじめ金種毎の釣銭準備金が装填される。
【0003】
このため、キャッシュレジスタに十分な釣銭準備金が装填されている場合には、店舗の営業時間中に釣銭が不足する事態が生じないため、顧客に対して円滑な精算サービスを提供することができるが、必要以上の釣銭準備金をキャッシュレジスタに装填するのは店舗の経営管理上望ましくない。一方、キャッシュレジスタに十分な釣銭準備金が装填されていなければ、店舗の営業時間中に釣銭が不足し、営業時間中に釣銭準備金を補充する必要が生じ、顧客サービス及び人的労力の観点から見て望ましくない。
【0004】
これらのことから、店舗の営業開始前にキャッシュレジスタに装填すべき釣銭準備金の枚数を算定する従来技術が知られている。例えば、特許文献1には、キャッシュレジスタ内の貨幣の在高を金種毎に求め、求めた貨幣の在高を取引毎に記憶し、記憶した貨幣の在高の最大値と最小値の差を釣銭準備金として算定する技術が開示されている。また、特許文献2には、所定期間の日毎の貨幣の在高を金種毎に求め、該在高の標準偏差に所定の定数を掛けて金種毎の釣銭準備金の枚数を算定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−9450号公報
【特許文献2】特開2008−269150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1のように、貨幣の在高の最大値と最小値の差を釣銭準備金の枚数としたのでは、営業時間中に釣銭準備金の枚数に過不足が生ずるおそれがある。例えば、店舗への過去の来店人数が少なく、当日に多くの顧客が来店したような場合には、釣銭準備金の枚数が不足する可能性が高い。一方、店舗への過去の来店人数が多く、当日に来店する顧客数が少ない場合には、釣銭準備金の枚数が過剰になる可能性がある。
【0007】
また、上記特許文献2のように、在高の標準偏差に所定の定数を掛けて釣銭準備金の枚数とする場合にも、同様の理由から、営業時間中に釣銭準備金の枚数に過不足が生ずるおそれがある。釣銭としての貨幣の必要枚数は、取引数すなわち来店する顧客数に比例して増加するのが実情だからである。これらのことから、店舗の営業開始前にキャッシュレジスタに装填すべき釣銭準備金の適正な枚数をいかに効率良く算定するかが重要な課題となっている。
【0008】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであって、店舗の営業開始前に貨幣処理装置に装填すべき釣銭準備金の適正な枚数を効率良く算定することができる貨幣管理装置、釣銭準備金算定方法及び釣銭準備金算定プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するため、本発明は、顧客から受け渡された貨幣を入金処理するとともに、該貨幣と商品の価格との差額となる釣銭を出金処理する貨幣処理装置の金種毎の釣銭準備金の枚数を算定する貨幣管理装置であって、前記貨幣処理装置の過去の取引実績データに基づいて、所定人数あたりの釣銭準備金の枚数を金種毎に算定する第1の算定手段と、店舗に来店する予測人数の入力を受け付ける受付手段と、前記受付手段により予測人数を受け付けた場合に、前記第1の算定手段により算定された所定人数あたりの釣銭準備金の枚数と前記予測人数に基づいて金種毎の釣銭準備金の枚数を算定する第2の算定手段とを備えたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、上記発明において、前記第1の算定手段は、前記貨幣処理装置の過去の所定期間の取引実績に基づいて、所定人数あたりの釣銭準備金の枚数を金種毎に算定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は、上記発明において、前記貨幣処理装置から取引毎の取引データを所定の通信回線を介して受信する受信手段と、前記受信手段により受信された取引データを金種毎に累積加算した累積加算値及び取引人数が推移する推移データを取引実績データとして管理する取引実績管理手段とをさらに備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、上記発明において、前記第1の算定手段は、前記取引実績管理手段により管理される累積加算値が推移する推移データのうちの最小値となる累積加算値を該累積加算値に対応する取引人数で除算し、その商に所定人数を乗算して前記所定人数あたりの釣銭準備金の枚数を金種毎に算定することを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記発明において、前記取引実績管理手段は、日付毎、曜日毎又は貨幣処理装置毎に前記取引実績データを管理し、前記第1の算定手段は、前記貨幣処理装置の日付毎、曜日毎又は貨幣処理装置毎の過去の取引実績データに基づいて、所定人数あたりの釣銭準備金の枚数を金種毎に算定することを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、上記発明において、前記第2の算定手段は、前記受付手段により予測人数を受け付けた場合に、前記第1の算定手段により算定された所定人数あたりの釣銭準備金の枚数、前記予測人数及び所定の安全倍率に基づいて金種毎の釣銭準備金の枚数を算定することを特徴とする。
【0015】
また、本発明は、顧客から受け渡された貨幣を入金処理するとともに、該貨幣と商品の価格との差額となる釣銭を出金処理する貨幣処理装置内の貨幣の在高を管理する貨幣管理装置の釣銭準備金算定方法であって、前記貨幣処理装置の過去の取引実績データに基づいて、所定人数あたりの釣銭準備金の枚数を金種毎に算定する第1の算定工程と、店舗に来店する予測人数の入力を受け付ける受付工程と、前記受付工程により予測人数を受け付けた場合に、前記第1の算定工程により算定された所定人数あたりの釣銭準備金の枚数と前記予測人数に基づいて金種毎の釣銭準備金の枚数を算定する第2の算定工程とを含んだことを特徴とする。
【0016】
また、本発明は、顧客から受け渡された貨幣を入金処理するとともに、該貨幣と商品の価格との差額となる釣銭を出金処理する貨幣処理装置の金種毎の釣銭準備金の枚数を算定する貨幣管理装置の釣銭準備金算定プログラムであって、前記貨幣処理装置の過去の取引実績データに基づいて、所定人数あたりの釣銭準備金の枚数を金種毎に算定する第1の算定手順と、店舗に来店する予測人数の入力を受け付ける受付手順と、前記受付手順により予測人数を受け付けた場合に、前記第1の算定手順により算定された所定人数あたりの釣銭準備金の枚数と前記予測人数に基づいて金種毎の釣銭準備金の枚数を算定する第2の算定手順とをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、顧客から受け渡された貨幣を入金処理するとともに、該貨幣と商品の価格との差額となる釣銭を出金処理する貨幣処理装置の過去の取引実績データに基づいて、所定人数あたりの釣銭準備金の枚数を金種毎に算定し、店舗に来店する予測人数の入力を受け付けた場合に、所定人数あたりの釣銭準備金の枚数と予測人数に基づいて金種毎の釣銭準備金の枚数を算定するよう構成したので、店舗の営業開始前に貨幣処理装置に装填すべき釣銭準備金の適正な枚数を効率良く算定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本実施例1に係る貨幣管理システムの概念を説明するための説明図である。
【図2】図2は、本実施例1に係る貨幣管理システムの装置構成を示す図である。
【図3】図3は、図2に示したキャッシュレジスタの内部構成を示す機能ブロック図である。
【図4】図4は、貨幣管理装置の内部構成を示す機能ブロック図である。
【図5】図5は、キャッシュレジスタでの取引と取引実績データの関係を説明するための説明図である。
【図6】図6は、図5(d)に示した金種毎の取引実績データの推移を示すグラフである。
【図7】図7は、CI値の算定及び釣銭準備金の算定の一例を示す図である。
【図8】図8は、予測顧客数を入力した際の表示画面の一例を示す図である。
【図9】図9は、図4に示した取引実績データを生成する生成処理手順を示すフローチャートである。
【図10】図10は、本実施例1に係る釣銭準備金の算定処理手順を示すフローチャートである。
【図11】図11は、本実施例2に係る管理システムの概念を説明するための説明図である。
【図12】図12は、本実施例2に係る貨幣管理装置の内部構成を示す機能ブロック図である。
【図13】図13は、図12に示したキャッシュレジスタ毎且つ曜日毎の複数のCI値データをさらに具体的に説明するための説明図である。
【図14】図14は、図12に示した貨幣管理装置による釣銭準備金の算定操作について説明する説明図である。
【図15】図15は、図12に示した取引実績データを生成する生成処理手順を示すフローチャートである。
【図16】図16は、本実施例2に係る釣銭準備金の算定処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に、添付図面を参照して、本発明に係る貨幣管理装置、釣銭準備金算定方法及び釣銭準備金算定プログラムの好適な実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0020】
まず、本実施例1に係る貨幣管理システムの概念について説明する。図1は、本実施例1に係る貨幣管理システムの概念を説明するための説明図である。同図に示すキャッシュレジスタ20は、顧客が商品を購入する代償として支払う貨幣を入金処理するとともに、該貨幣と商品の価格との差額となる釣銭を出金処理する装置であり、貨幣管理装置40は、キャッシュレジスタ20の金種毎の釣銭準備金の枚数を算定する装置である。
【0021】
図1に示すように、貨幣管理装置40は、キャッシュレジスタ20から取引毎の取引データを受信する。かかる取引データは、顧客が商品購入の取引を行う都度生成されるデータであり、キャッシュレジスタ20に収納された金種毎の貨幣の枚数及びキャッシュレジスタ20から釣銭として払い出された金種毎の貨幣の枚数が含まれる。
【0022】
同図に示す取引データB1は、キャッシュレジスタ20に1000円札2枚が収納され、キャッシュレジスタ20から100円硬貨1枚が払い出された状況を示している。例えば、顧客が1900円の商品を購入するために1000円札2枚を店員に渡し、釣銭として100円硬貨1枚を受け取った場合が該当する。また、取引データB2は、キャッシュレジスタ20に5000円札1枚が収納され、キャッシュレジスタ20から1000円札4枚と10円硬貨2枚が払い出された状況を示している。さらに、取引データB3は、キャッシュレジスタ20に10000円札1枚が収納され、キャッシュレジスタ20から5000円札1枚と1000円札2枚が払い出された状況を示している。
【0023】
貨幣管理装置40は、キャッシュレジスタ20から受信した取引データを用いて取引実績データを生成する。この取引実績データは、取引データを金種毎に累積加算した累積加算値及び取引人数が推移する推移データである。図1に示した例において、貨幣管理装置40が取引データB1、取引データB2、取引データB3の順に受信した場合には、まず、取引データB1により1000円札の数量が「0」から「2」に増加し、図示省略したが100円硬貨の数量は「0」から「−1」に減少する。
【0024】
その後、取引データB2により5000円札の数量が「0」から「1」に増加し、1000円札の数量は4減少して「2」から「−2」となり、図示省略したが10円硬貨の数量は「0」から「−2」に減少する。そして、取引データB3により10000円札の数量が「0」から「1」に増加し、5000円札の数量は1減少して「1」から「0」となり、1000円札の数量が2減少して「−2」から「−4」となる。
【0025】
貨幣管理装置40は、上記取引実績データから各金種についての釣銭の指標となる「CI(Charge Index)」値を算定する。このCI値は、商品販売の指標となるPI(Purchase Index)値と同様の指標である。PI値は、1000人の顧客により商品がいくつ売れるかを示す指標であるのに対して、本実施例が導入したCI値は、1000人の顧客がキャッシュレジスタ20で取り引きを行った場合の金種毎の貨幣の増減を示す指標である。
【0026】
具体的には、貨幣管理装置40は、取引実績データから金種毎の最小の累積加算値を求め、求めた累積加算値を取引数で除算した後、その商に1000を乗じて金種毎のCI値を算定する。例えば、図1において取引件数「2000」の時点で各金種の累積加算値が最小となった場合には、5000円札の累積加算値が「−26」であるのでCI値が「−13」となる。同様に、1000円札の累積加算値が「−72」であるのでCI値が「−36」となり、500円硬貨の累積加算値が「−274」であるのでCI値が「−137」となる。
【0027】
このため、1000人の顧客がキャッシュレジスタ20で取引を行う場合には、13枚の5000円札と、36枚の1000円札と、137枚の500円硬貨を釣銭準備金として準備すれば、過剰な釣銭を準備する必要をなくすとともに、釣銭不足によるキャッシュレジスタの停止を避けることができる。
【0028】
ところで、上記説明では、1000人の顧客がキャッシュレジスタ20で取り引きを行うと仮定したが、実際に店舗で取り引きを行う顧客数は日々変動する。このため、店舗では、何人の顧客が取り引きを行うかを予測し、この予測顧客数と金種毎のCI値を用いることで、その日の金種毎の釣銭準備金の枚数を算定する。なお、ここで言う「予測顧客数」は、実質的に取引件数を意味するため、複数の取り引きを同一人が行った場合には、それぞれ別顧客による取り引きとみなす。具体的には、
釣銭準備金=CI値×予測顧客数÷1000
の算定式から金種毎の釣銭準備金の枚数が算定される。
【0029】
例えば、図1に示す例では、予測顧客数が「400人」であるので、5000円札の釣銭準備金は、「−13×400÷1000=−5.2」となるため「6枚」となる。なお、符号「−」は、釣銭準備金の枚数が不足する状況を示している。同様に、1000円札の釣銭準備金は、「−36×400÷1000=−14.4」となるため「15枚」となり、500円硬貨の釣銭準備金は、「−137×400÷1000=−54.8」となるため「55枚」となる。
【0030】
このように、キャッシュレジスタ20の貨幣の増減を取引実績データとして管理し、顧客1000人当りの貨幣の累積加算値の最小値であるCI値を用いることにより、予測顧客数を入力しさえすれば金種毎の釣銭準備金の適正な枚数を効率良く算定することができる。なお、ここでは説明の便宜上、5000円札、1000円札及び500円硬貨の釣銭準備金の枚数を算定する場合について示したが、100円硬貨、50円硬貨、10円硬貨、5円硬貨及び1円硬貨についても同様に算定することができる。
【0031】
次に、本実施例1に係る貨幣管理システムの装置構成について説明する。図2は、本実施例1に係る貨幣管理システムの装置構成を示す図である。同図に示すように、店舗50にはキャッシュレジスタ20a、キャッシュレジスタ20b及びキャッシュレジスタ20c(以下、「キャッシュレジスタ20」と総称する)が設けられている。キャッシュレジスタ20は、店内ネットワーク10を介して出納機30及び貨幣管理装置40と通信可能に接続されている。また、貨幣管理装置40は、店外ネットワーク51を介して警送会社のサーバ装置52及び銀行のサーバ装置53と通信可能に接続されている。
【0032】
出納機30は、店舗50で取り扱う現金を管理する装置であり、店員操作によって現金の入金及び出金が行われる。例えば、キャッシュレジスタ20の所定の金種の貨幣の枚数が収容可能枚数を超えたならば、超えた分の貨幣がキャッシュレジスタ20から取り出され出納機30に入金される。また、ある金種の釣銭準備金の枚数がキャッシュレジスタ20の収納可能枚数を超える場合には、超過する分の釣銭準備金の枚数を出納機30に入金しておく。そして、キャッシュレジスタ20内の釣銭が不足した時点若しくは適宜のタイミングで、出納機30から貨幣を出金してキャッシュレジスタ20に釣銭として補充することになる。
【0033】
キャッシュレジスタ20は、すでに説明したように、顧客が商品を購入する代償として支払う貨幣を入金処理するとともに、該貨幣と商品の価格との差額となる釣銭を出金処理する装置である。具体的には、商品に付されたバーコードをバーコードリーダで読み取って商品価格を認識し、顧客から受け取った貨幣により商品の精算処理を行う。また、キャッシュレジスタ20は、入出金された貨幣の金種と枚数を取引データとして貨幣管理装置40に送信する。
【0034】
図3は、図2に示したキャッシュレジスタ20の内部構成を示す機能ブロック図である。図3に示すように、キャッシュレジスタ20は、表示部21、入力部22、印字部23、バーコードリーダ24、通信I/F部25、紙幣処理装置26、硬貨処理装置27、棒金管理装置27a及び制御部28を有する。
【0035】
表示部21は、ディスプレイ装置又は液晶パネルなどの表示デバイスであり、入力部22は、キーボード、テンキー又は操作キー等の入力デバイスである。印字部23は、精算結果を印字したレシートを発行する処理部である。バーコードリーダ24は、商品に付加されたバーコードを読み取る装置である。
【0036】
通信I/F部25は、店内ネットワーク10を介して出納機30及び貨幣管理装置40と通信するためのインタフェース部である。紙幣処理装置26は、紙幣の収納、金種識別、真偽判定及び計数処理等を行う装置であり、硬貨処理装置27は、硬貨の収納、金種識別、真偽判定及び計数処理等を行う装置である。棒金管理装置27aは、硬貨処理装置27に補充する為の棒金状態の硬貨を収納して管理しておくための装置である。
【0037】
制御部28は、キャッシュレジスタ20を全体制御する制御部であり、バーコード処理部28a及び精算処理部28bを有する。また、精算処理部28bは、取引データ送信部28cを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPUにロードして実行することにより、バーコード処理部28a、精算処理部28b及び取引データ送信部28cにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0038】
バーコード処理部28aは、バーコードリーダ24により商品に付されたバーコードを読み取らせ、読み取らせたコードを復号することにより、商品の価格等に関するデータを精算処理部28bに出力する処理部である。
【0039】
精算処理部28bは、顧客が購入する1又は複数の商品の精算処理を行う処理部である。具体的には、バーコード処理部28aから商品の価格等のデータを受け付ける度に該価格を合計金額に加算し、また操作キーから手入力された商品の金額についても合計金額に加算して、顧客が購入しようとする合計金額を特定する。そして、店員により貨幣が図示しない貨幣入出金口に投入されると、該貨幣を紙幣処理装置26又は硬貨処理装置27に搬送して金種毎に収納するとともに、投入された貨幣と商品の合計金額の差額分の釣銭を貨幣入出金口から排出する。
【0040】
取引データ送信部28cは、入金処理された貨幣の金種毎の枚数の増減を含む取引データを通信I/F部25を介して貨幣管理装置40に送信する。なお、貨幣管理装置40は、かかる取引データに基づいて取引実績データを生成する。
【0041】
次に、貨幣管理装置40の内部構成について説明する。図4は、貨幣管理装置40の内部構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、貨幣管理装置40は、表示部41、入力部42、通信I/F部43、通信I/F部44、記憶部45及び制御部46を有する。
【0042】
表示部41は、液晶パネルなどの表示デバイスであり、入力部42は、操作キー等の入力デバイスである。通信I/F部43は、店内ネットワーク10を介してキャッシュレジスタ20と通信するためのインタフェース部であり、通信I/F部44は、店外ネットワーク51を介して警送会社のサーバ装置52又は銀行のサーバ装置53と通信するためのインタフェース部である。
【0043】
記憶部45は、ハードディスク装置や不揮発性メモリ等からなる記憶デバイスであり、取引実績データ45a、CI値データ45b及び安全倍率データ45cを記憶する。ここで、取引実績データ45aとは、キャッシュレジスタ20から受信した取引毎の取引データの増減を金種毎に累積加算した累積加算値及び取引顧客数が推移する推移データである。かかる取引実績データ45aを参照すれば、キャッシュレジスタ20に収納した各貨幣の枚数の推移を把握することができる。
【0044】
CI値データ45bは、各金種についての釣銭の指標となるデータであり、1000人の顧客がキャッシュレジスタ20で取り引きを行った場合の金種毎の貨幣の増減を示している。このCI値データ45bは、取引実績データ45aのうちの最小値となる累積加算値及び取引顧客数から算定される。
【0045】
安全倍率データ45cは、金種毎の釣銭準備金の枚数が不足する事態を防止する観点から設けられるデータであり、CI値と予測顧客数から算定される金種毎の釣銭準備金の枚数に乗算される。かかる安全倍率データ45cを設ける理由は、あらかじめ予測した予測顧客数を超える顧客が来店する可能性があるためである。
【0046】
制御部46は、貨幣管理装置40を全体制御する制御部であり、データ管理部46a、CI値算定部46b、釣銭準備金算定部46c、釣銭発注処理部46dを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPUにロードして実行することにより、データ管理部46a、CI値算定部46b、釣銭準備金算定部46c、釣銭発注処理部46dにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0047】
データ管理部46aは、取引実績データ45aを管理する管理部であり、キャッシュレジスタ20から取引データを受信したならば、該取引データに含まれる貨幣の増減を取引実績データ45aに反映して更新する。
【0048】
CI値算定部46bは、取引実績データ45aのうちの金種毎の最小値となる累積加算値を取引数で除算し、その商に1000を乗算してCI値を算定し、算定したCI値をCI値データ45bとして記憶部45に格納する処理部である。
【0049】
なお、複数のキャッシュレジスタ20から取引データを受信した場合には、キャッシュレジスタ20毎に取引実績データ45aを算定し、複数の取引実績データ45aの最小値を用いてCI値の算定を行う。また、所定期間内の日毎の取引実績データ45aを生成し、各取引実績データ45aの最小値となる累積加算値の平均値を用いてCI値を算定することもできる。
【0050】
釣銭準備金算定部46cは、予測顧客数の入力を条件として金種毎の釣銭準備金の枚数を算定する処理部である。具体的には、この釣銭準備金算定部46cは、各金種について
CI値×予測顧客数÷1000×安全倍率
の算定式から釣銭準備金の枚数を算定する。
【0051】
釣銭発注処理部46dは、釣銭準備金算定部46cにより算定された釣銭準備金を発注する処理部である。具体的には、この釣銭発注処理部46dは、通信I/F部44を介して警送会社のサーバ装置52又は銀行のサーバ装置53に対して釣銭準備金となる貨幣を発注する。
【0052】
次に、図4に示した取引実績データ45aについてさらに具体的に説明する。図5は、キャッシュレジスタ20での取引と取引実績データ45aの関係を説明するための説明図である。図5(a)〜(c)にはキャッシュレジスタ20の状態を示し、図5(d)には取引実績データ45aを示している。
【0053】
図5(a)には、キャッシュレジスタ20を用いた取引1(商品の合計金額が「1825円」、入金額が「2000円(1000円札が2枚)」)、取引2(商品の合計金額が「980円」、入金額が「5000円(5000円札が1枚)」)、取引3(商品の合計金額が「2884円」、入金額が「10000円(10000円札が1枚)」)、取引4(商品の合計金額が「1872円」、入金額が「10002円(10000円札が1枚、1円硬貨が2枚)」)が連続して行われた状況を示している。
【0054】
同図(b)には、キャッシュレジスタ20における各取引1〜4での釣銭払出状況を示している。取引1では「175円(100円硬貨1枚、50円硬貨1枚、10円硬貨2枚、5円硬貨1枚)」を釣銭として出金し、取引2では「4020円(1000円札4枚、10円硬貨2枚)」を釣銭として出金し、取引3では「7116円(5000円札1枚、100円硬貨1枚、10円硬貨1枚、5円硬貨1枚、1円硬貨1枚)」を釣銭として出金し、取引4では「8130円(5000円札1枚、1000円札3枚、100円硬貨1枚、10円硬貨3枚)」を釣銭として出金している。
【0055】
同図(c)には、キャッシュレジスタ20内の貨幣の機内在高を示しており、初期状態においては、合計50000円(5000円札5枚、1000円札20枚、500円硬貨5枚、100円硬貨20枚、50円硬貨5枚、10円硬貨20枚、5円硬貨6枚、1円硬貨20枚)が準備されている。
【0056】
ここで、キャッシュレジスタ20を用いた取引1が行われると、1000円札が2枚増加し、釣銭として100円硬貨1枚、50円硬貨1枚、10円硬貨2枚、5円硬貨1枚が減少する。このため、1000円札「2」、100円硬貨「−1」、50円硬貨「−1」、5円硬貨「−1」となる取引データが貨幣管理装置40に送信される。このため、図5(d)に示すように、取引数「1」の場合の取引実績データ45aは、10000円札「0」、5000円札「0」、1000円札「2」、500円硬貨「0」、100円硬貨「−1」、50円硬貨「−1」、10円硬貨「−2」、5円硬貨「−1」、1円硬貨「0」となる。
【0057】
その後、キャッシュレジスタ20を用いた取引2が行われると、5000円札が1枚増加し、釣銭として1000円札4枚、10円硬貨2枚が減少する。このため、5000円札「1」、1000円硬貨「−4」、10円硬貨「−2」となる取引データが貨幣管理装置40に送信される。このため、図5(d)に示すように、取引数「2」の場合の取引実績データ45aは、10000円札「0」、5000円札「1」、1000円札「−2」、500円硬貨「0」、100円硬貨「−1」、50円硬貨「−1」、10円硬貨「−4」、5円硬貨「−1」、1円硬貨「0」となる。同様にして、取引3及び4が行われると、図5(d)に示すように、取引数がインクリメントされるとともに、取引実績データ45aが算定される。
【0058】
図6は、図5(d)に示した金種毎の取引実績データ45aの推移を示すグラフである。同図に示すように、金種によってその推移が異なるが、10000円札については釣銭として払い出されないために増加する一方であり、その他の貨幣については、取引数が増えるにつれて減少する傾向にある。かかるグラフにおける各金種の最小値は、該金種の枚数が最も少なくなった状況を示しているため、該最小値からCIを求めることで、取引数1000回すなわち顧客1000人あたりの取引に必要な釣銭準備金の枚数を求めることができる。
【0059】
次に、CI値の算定及び釣銭準備金の算定の一例についてさらに具体的に説明する。図7は、CI値の算定及び釣銭準備金の算定の一例を示す図である。ここでは、取引実績データ45aの最小値となる取引数が各金種に共通して「305回」であり、5000円札「−4」、1000円札「−11」、500円硬貨「−42」、100円硬貨「−144」、50円硬貨「−43」、10円硬貨「−165」、5円硬貨「−30」、1円硬貨「−193」である場合を示している。
【0060】
同図に示すように、各金種の最小値を取引数「305」で除算し、その商に1000を乗算すると、5000円札のCI値は「−13.114754」となり、1000円札のCI値は「−36.065574」となり、500円硬貨のCI値は「−137.70492」となり、100円硬貨のCI値は「−472.13115」となり、50円硬貨のCI値は「−140.98361」となり、10円硬貨のCI値は「−540.98361」となり、5円硬貨のCI値は「−98.360656」となり、1円硬貨のCI値は「−632.78689」となる。
【0061】
ここで、店舗の翌営業日の予測顧客数が「400人」であれば、CI値×予測顧客数÷1000の算定式により、5000円札が「−5.2459」となり、1000円札が「−14.4262」となり、500円硬貨が「−55.082」となり、100円硬貨が「−188.852」となり、50円硬貨が「−56.3934」となり、10円硬貨が「−216.393」となり、5円硬貨が「−39.3443」となり、1円硬貨が「−253.115」となる。
【0062】
したがって、5000円札を6枚、1000円札を15枚、500円硬貨50枚を包装した包装硬貨を2本、100円硬貨を50枚包装した包装硬貨を4本、50円硬貨を50枚包装した包装硬貨を2本、10円硬貨を50枚包装した包装硬貨を5本、5円硬貨を50枚包装した包装硬貨を1本、1円硬貨を50枚包装した包装硬貨を6本準備すれば、各金種について必要な釣銭準備金の枚数を確保できることになる。
【0063】
ただし、翌営業日の顧客数が予測顧客数を上回るケースや、各顧客が高額紙幣のみを利用するケース等に対応するため、各金種の釣銭準備金の枚数に安全倍率を乗算する。図7に示した例では、5000円札、500円硬貨、50円硬貨及び5円硬貨の安全倍率を「1.2」とし、1000円札、100円硬貨、10円硬貨及び1円硬貨の安全倍率を「1.5」としている。このようにした理由は、5000円札、500円硬貨、50円硬貨及び5円硬貨については、たとえ該当する貨幣の釣銭準備金が不足したとしても、一つ下の金種の貨幣で代替えできるからである。
【0064】
このようにして得られた釣銭準備金は、図7に示すように、1000円札が7枚、1000円札が23枚、500円の包装硬貨が2本、100円の包装硬貨が6本、50円の包装硬貨が2本、10円の包装硬貨が8本、5円の包装硬貨が1本、1円の包装硬貨が9本となる。
【0065】
次に、予測顧客数を入力した際の表示画面の一例について説明する。図8は、予測顧客数を入力した際の表示画面の一例を示す図である。ここでは、あらかじめ従来の周知技術等を用いて翌営業日に店舗に来店する予測顧客数が算定されているものとする。
【0066】
図8に示すように、店員が表示部41に表示された入力画面に予測顧客数「400人」を入力すると、貨幣管理装置40は、CI値と安全倍率から各金種の釣銭準備金の枚数を算定して金種毎に表示する。また、各金種の釣銭準備金の金額と合計金額を算定し、合計金額の欄に表示する。このように、店員は予測顧客数を入力することで、金種毎の釣銭準備金の枚数及び合計金額を得ることができる。
【0067】
図8の例では、5000円札が7枚で35000円分、1000円札が23枚で23000円分、500円の包装硬貨が2本で50000円分、100円の包装硬貨が6本で30000円分、50円の包装硬貨が2本で5000円分、10円の包装硬貨が8本で4000円分、5円の包装硬貨が1本で250円分、1円の包装硬貨が9本で450円分の釣銭準備金が必要であり、その合計金額が147700円となる状況を示している。
【0068】
次に、取引実績データ45aを生成する生成処理手順について説明する。図9は、図4に示した取引実績データ45aを生成する生成処理手順を示すフローチャートである。ここでは、説明の便宜上、精算対象となる商品が単一の商品であり、また該商品に付されたバーコードをバーコードリーダ24で読み取ることで、該商品の価格を受け付ける場合を示すこととする。
【0069】
同図に示すように、キャッシュレジスタ20は、バーコードリーダ24によりバーコードが読み取られたならば(ステップS101;Yes)、バーコードを復号して商品の価格を含む商品の情報を認識する(ステップS102)。
【0070】
キャッシュレジスタ20の精算処理部28bは、認識処理により認識された商品の価格を認識したならば、該商品の精算処理を行う(ステップS103)。かかる精算処理を行う際には、合計金額以上の貨幣を顧客から受け取って入金処理を行い、顧客から受け取った貨幣と合計金額の差分となる釣銭を顧客に返却することになる。なお、複数の商品を一括精算する場合には、各商品の価格を累積加算して合計金額を算定し、算定した合計金額の精算処理を行うことになる。その後、取引データ送信部28cは、商品を精算処理する際の金種毎の貨幣の増減数を取引データとして貨幣管理装置40に送信する(ステップS104)。
【0071】
貨幣管理装置40のデータ管理部46aは、キャッシュレジスタ20から取引データを受信したならば(ステップS111;Yes)、金種毎の貨幣の増減数を前回取引の取引実績データ45aに累積加算したデータ並びに取引数に1加算して追加登録する(ステップS112)。
【0072】
次に、釣銭準備金の枚数の算定処理手順について説明する。図10は、本実施例1に係る釣銭準備金の算定処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、貨幣管理装置40は、取引実績データ45aよりCI値を算定し(ステップS201)、店員から予測顧客数の入力を受け付けたならば(ステップS202)、CI値×予測顧客数÷1000の値を金種毎に算定し(ステップS203)、安全倍率データ45cに示された金種毎の安全倍率を乗算して(ステップS204)、釣銭準備金の枚数を算定する(ステップS205)。
【0073】
その後、貨幣管理装置40は、算定した金種毎の釣銭準備金を表示部41に表示出力し(ステップS206)、店員からの発注を指示する操作に基づいて、釣銭準備金を発注して(ステップS207)、処理を終了する。
【0074】
上述してきたように、本実施例1にかかる貨幣管理装置40は、キャッシュレジスタ20内の金種毎の貨幣の増減の推移を取引実績データ45aとして管理するとともに、金種毎の貨幣の増減の推移の最小値を求め、この最小値を取引数で除算した商に1000を乗算することで、1000人あたりの金種毎の貨幣の増減を示すCI値をそれぞれ算定し、翌営業日の予測顧客数の入力を受け付けた場合に、この予測顧客数とCI値を用いて、翌営業日の釣銭準備金の枚数を算定するよう構成したので、予測顧客数を入力するだけで、翌営業日に必要となる適正な釣銭準備金の枚数を算定することが可能となる。
【実施例2】
【0075】
本実施例2では、曜日や日付によるCI値の変動並びにキャッシュレジスタ毎のCI差を考慮した管理システムについて説明する。店舗に来店する顧客は、土曜日曜は家族連れが多く、月曜から金曜は主婦が多いなど曜日により異なる場合がある。この差は、同一の取引単価であっても、支払いに使用される金種の差となって現れる。同様に、給料日後や年金給付日後には比較的高額の貨幣が支払いに使用され、給料日前や年金給付日前には比較的低額の貨幣が支払いに使用される傾向があり、CI値に変化が生じる。また、キャッシュレジスタが配置される位置や売り場によってもCI値に差が生じる場合がある。そこで、釣銭準備金の枚数をより正確に求めるためには、曜日、日付又はキャッシュレジスタ毎にCI値を算定しておくことが有効である。
【0076】
そこで、本実施例2では、曜日及びキャッシュレジスタ毎にCI値を算定する場合を説明することとする。なお、日付毎のCI値については、曜日と同様に算定すればよいので、説明を省略する。
【0077】
図11は、本実施例2に係る管理システムの概念を説明するための説明図である。図11に示すように、本実施例2に係る貨幣管理装置140はキャッシュレジスタ20aから取得した取引データと、キャッシュレジスタ20bから取得した取引データとを区別し、それぞれ取引実績データ、CI値並びに釣銭準備金の枚数の算定を行う。
【0078】
さらに、貨幣管理装置140は、同一のキャッシュレジスタから取得した取引データから曜日毎の取引実績データを生成し、曜日毎にCI値を算定する。そして、釣銭準備金の枚数を算定する場合には、釣銭準備金の枚数を算定する日の曜日により使用するCI値を選択し、釣銭準備金の枚数を算定する。
【0079】
次に、貨幣管理装置140の内部構成について説明する。図12は、貨幣管理装置140の内部構成を示す機能ブロック図である。同図に示すように、貨幣管理装置140は、記憶部45にキャッシュレジスタ毎且つ曜日毎の複数の取引実績データ45d並びにキャッシュレジスタ毎且つ曜日毎の複数のCI値データ45eを格納する。
【0080】
次に、キャッシュレジスタ毎且つ曜日毎の複数のCI値データ45eをさらに具体的に説明する。図13は、図12に示したキャッシュレジスタ毎且つ曜日毎の複数のCI値データ45eをさらに具体的に説明するための説明図である。
【0081】
図13に示すように、キャッシュレジスタ20aは、日曜日の5000円札のCI値が「−20」であり、日曜日の1000円札のCI値が「−41」であり、日曜日の500円硬貨のCI値が「−350」である。また、キャッシュレジスタ20aは、月曜日の5000円札のCI値が「−13」であり、月曜日の1000円札のCI値が「−34」であり、月曜日の500円硬貨のCI値が「−472」である。そして、キャッシュレジスタ20aは、火曜日の5000円札のCI値が「−15」であり、火曜日の1000円札のCI値が「−36」であり、火曜日の500円硬貨のCI値が「−500」である。その他の金種及び曜日については図示及び説明を省略する。
【0082】
同様に、キャッシュレジスタ20bは、日曜日の5000円札のCI値が「−19」であり、日曜日の1000円札のCI値が「−42」であり、日曜日の500円硬貨のCI値が「−360」である。また、キャッシュレジスタ20bは、月曜日の5000円札のCI値が「−14」であり、月曜日の1000円札のCI値が「−34」であり、月曜日の500円硬貨のCI値が「−469」である。そして、キャッシュレジスタ20bは、火曜日の5000円札のCI値が「−15」であり、火曜日の1000円札のCI値が「−35」であり、火曜日の500円硬貨のCI値が「−490」である。その他の金種及び曜日については図示及び説明を省略する。
【0083】
貨幣管理装置140の制御部46は、データ管理部46a、CI値算定部46b、釣銭準備金算定部46c及び釣銭発注処理部46dに加え、CI値選択部46fを有する。CI値選択部46fは、キャッシュレジスタ20の識別情報並びに釣銭準備金の枚数を算定する日の曜日に基づいて、複数のCI値データ45eから釣銭準備金の算定に使用するCI値データを選択する処理を行う。従って、釣銭準備金算定部46cは、CI値選択部46fにより選択されたCI値データを用いてキャッシュレジスタ毎に釣銭準備金の枚数を算定することとなる。その他の構成及び動作は実施例1と同様であるので、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0084】
次に、貨幣管理装置140による釣銭準備金の算定操作について説明する。図14は、貨幣管理装置140による釣銭準備金の算定操作について説明する説明図である。図14に示す予測顧客数自動算定画面は、月の売上予算、顧客単価、予測顧客数、曜日毎の客数指数に基づいて、日毎の予測顧客数を算定して表示する。
【0085】
店員により月の売上予算の金額が入力されると、月の売上予算を顧客単価で除算することで、月の予測顧客数が算定される。顧客単価は、店舗のブランドや取扱品目により定まる値であり、あらかじめ設定されている。図14の例では、月の売上予算として80000000円が入力されており、顧客単価が1850円であるので、月の予測顧客数は43243人となる。
【0086】
曜日毎の客数指数は、曜日による客数の変動を示し、図14の例では日曜日の客数指数が「1.11」であり、月曜日の客数指数が「0.89」であり、火曜日の客数指数が「0.88」であり、水曜日の客数指数が「0.85」であり、木曜日の客数指数が「1.01」であり、金曜日の客数指数が「1.05」であり、土曜日の客数指数が「1.21」である。この曜日毎の客数指数に従って月の予測顧客数の値を配分することで、日毎の予測顧客数が得られる。
【0087】
図14の例では、日曜日の予測顧客数は「1548」であり、月曜の予測顧客数は「1241」であり、火曜の予測顧客数は「1228」であり、水曜の予測顧客数は「1186」であり、木曜の予測顧客数は「1409」であり、金曜の予測顧客数は「1465」であり、土曜の予測顧客数は「1688」である。なお、この日毎の予測顧客数は、店員の操作入力により変更可能である。
【0088】
店員が予測顧客数自動算定画面で日付を選択すると、選択した日のキャッシュレジスタ毎の釣銭準備金の枚数が表示される。図14では、識別番号(ID)が「1」のキャッシュレジスタの釣銭準備金の枚数は、5000円札が15枚で75000円分、1000円札が30枚で30000円分、500円の包装硬貨が1本で25000円分、100円の包装硬貨が5本で25000円分、50円の包装硬貨が1本で2500円分、10円の包装硬貨が4本で2000円分、5円の包装硬貨が1本で250円分、1円の包装硬貨が5本で250円分であり、釣銭準備金の合計金額は160000円となる。
【0089】
さらに、図示を省略したが、他のキャッシュレジスタについても金種毎の釣銭準備金の枚数が算定され、その合計値が1050000円であることが表示されている。また、予測顧客数に影響を与える情報として、店舗で実施するイベント、天候などが表示される。
【0090】
次に、取引実績データ45dを生成する生成処理手順について説明する。図15は、図12に示した取引実績データ45dを生成する生成処理手順を示すフローチャートである。ここでは、説明の便宜上、精算対象となる商品が単一の商品であり、また該商品に付されたバーコードをバーコードリーダ24で読み取ることで、該商品の価格を受け付ける場合を示すこととする。
【0091】
同図に示すように、キャッシュレジスタ20は、バーコードリーダ24によりバーコードが読み取られたならば(ステップS301;Yes)、バーコードを復号して商品の価格を含む商品の情報を認識する(ステップS302)。
【0092】
キャッシュレジスタ20の精算処理部28bは、認識処理により認識された商品の価格を認識したならば、該商品の精算処理を行う(ステップS303)。かかる精算処理を行う際には、合計金額以上の貨幣を顧客から受け取って入金処理を行い、顧客から受け取った貨幣と合計金額の差分となる釣銭を顧客に返却することになる。なお、複数の商品を一括精算する場合には、各商品の価格を累積加算して合計金額を算定し、算定した合計金額の精算処理を行うことになる。その後、取引データ送信部28cは、商品を精算処理する際の金種毎の貨幣の増減数を取引データとしてキャッシュレジスタを一意に識別するIDとともに貨幣管理装置140に送信する(ステップS304)。
【0093】
貨幣管理装置140のデータ管理部46aは、キャッシュレジスタ20から取引データ及びIDを受信したならば(ステップS311;Yes)、金種毎の増減を曜日及びIDに対応付けられた前回取引の取引実績データ45dに累積加算したデータ並びに取引数に1加算して追加登録する(ステップS312)。
【0094】
次に、釣銭準備金の枚数の算定処理手順について説明する。図16は、本実施例2に係る釣銭準備金の算定処理手順を示すフローチャートである。同図に示すように、貨幣管理装置140は、取引実績データ45dよりキャッシュレジスタ毎且つ曜日毎にCI値を算定し(ステップS401)、店員から月の売上予算の入力を受け付けたならば、月の売上予算から日毎の予測顧客数を算定し(ステップS402)、キャッシュレジスタ毎に曜日毎のCI値を選択する(ステップS403)。
【0095】
貨幣管理装置140の釣銭準備金算定部46cは、CI値×予測顧客数÷1000の値を金種毎に算定し(ステップS404)、安全倍率データ45cに示された金種毎の安全倍率を乗算して(ステップS405)、釣銭準備金の枚数を算定する(ステップS406)。
【0096】
その後、貨幣管理装置140は、算定した金種毎の釣銭準備金の枚数を表示部41に表示出力し(ステップS407)、店員からの発注を指示する操作に基づいて、釣銭準備金を発注して(ステップS408)、処理を終了する。
【0097】
上述してきたように、本実施例2にかかる貨幣管理装置140は、金種毎の貨幣の増減をキャッシュレジスタ毎且つ曜日毎に記録して、1000人(取引1000回)当りの貨幣の増減を示すCI値をキャッシュレジスタ毎且つ曜日毎に算定し、キャッシュレジスタのID並びに釣銭準備金の枚数を算定する日の曜日により選択したCI値を用いて釣銭準備金の枚数を金種毎に算定するよう構成したので、曜日やキャッシュレジスタによる変動を考慮して適正な釣銭準備金の枚数を算定することが可能となる。
【0098】
なお、上記実施例1及び2では、所定の貨幣入出金口に挿入された貨幣を受け付けて自動収納処理するとともに、釣銭となる貨幣を貨幣入出金口から自動払出処理するキャッシュレジスタ20を用いる場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、貨幣を収納するドロアを開閉制御しつつ店員の手作業で貨幣の収納及び取出を行う場合に適用することもできる。
【0099】
また、上記実施例1及び2では、図2の説明において、貨幣管理装置40がキャッシュレジスタ20から取引データを受信して取引実績データを生成する説明を行ったが、キャッシュレジスタがPOSレジスタの場合は、POSサーバに本発明の貨幣管理装置の機能を行わせてもよい。あるいは、外部のデータセンターにキャッシュレジスタ20から取引データを送信し外部のデータセンターがASPサービスとして、本発明の貨幣管理装置の機能を行わせるようにしてもよい。
【0100】
また、上記実施例1及び2では、1000人の顧客がキャッシュレジスタ20で取り引きを行った場合の金種毎の貨幣の増減を示す指標としてCI値を定義したが、本発明はこれに限定されるものではなく、100人又は200人の顧客を前提とする指標としてCI値を定義することもできる。
【0101】
さらに、上記実施例1及び2では、キャッシュレジスタ20と貨幣管理装置40を通信可能に接続し、取引データをオンラインで送信する場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、取引データを記憶する記憶デバイスを用いてオフラインで取引データを授受する場合に適用することもできる。
【0102】
また、上記実施例1及び2では、キャッシュレジスタ20と貨幣管理装置40を別装置とする場合を示したが、本発明はこれに限定されるものではなく、貨幣管理装置40の釣銭準備金の枚数を算定する機能部をキャッシュレジスタ20内に設けることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
以上のように、本発明に係る貨幣管理装置、釣銭準備金算定方法及び釣銭準備金算定プログラムは、店舗の営業開始前に貨幣処理装置に装填すべき釣銭準備金の適正な枚数を効率良く算定することに適している。
【符号の説明】
【0104】
10 店内ネットワーク
20、20a、20b、20c キャッシュレジスタ
21、41 表示部
22、42 入力部
23 印字部
24 バーコードリーダ
25、43、44 通信I/F部
26 紙幣処理装置
27 硬貨処理装置
27a 棒金管理装置
28、46 制御部
28a バーコード処理部
28b 精算処理部
28c 取引データ送信部
30 出納機
40、140 貨幣管理装置
45 記憶部
45a、45d 取引実績データ
45b、45e CI値データ
45c 安全倍率データ
46a データ管理部
46b CI値算定部
46c 釣銭準備金算定部
46d 釣銭発注処理部
46f CI値選択部
50 店舗
51 店外ネットワーク
52 警送会社のサーバ装置
53 銀行のサーバ装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客から受け渡された貨幣を入金処理するとともに、該貨幣と商品の価格との差額となる釣銭を出金処理する貨幣処理装置の金種毎の釣銭準備金の枚数を算定する貨幣管理装置であって、
前記貨幣処理装置の過去の取引実績データに基づいて、所定人数あたりの釣銭準備金の枚数を金種毎に算定する第1の算定手段と、
店舗に来店する予測人数の入力を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により予測人数を受け付けた場合に、前記第1の算定手段により算定された所定人数あたりの釣銭準備金の枚数と前記予測人数に基づいて金種毎の釣銭準備金の枚数を算定する第2の算定手段と
を備えたことを特徴とする貨幣管理装置。
【請求項2】
前記第1の算定手段は、前記貨幣処理装置の過去の所定期間の取引実績に基づいて、所定人数あたりの釣銭準備金の枚数を金種毎に算定することを特徴とする請求項1に記載の貨幣管理装置。
【請求項3】
前記貨幣処理装置から取引毎の取引データを所定の通信回線を介して受信する受信手段と、
前記受信手段により受信された取引データを金種毎に累積加算した累積加算値及び取引人数が推移する推移データを取引実績データとして管理する取引実績管理手段と
をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載の貨幣管理装置。
【請求項4】
前記第1の算定手段は、前記取引実績管理手段により管理される累積加算値が推移する推移データのうちの最小値となる累積加算値を該累積加算値に対応する取引人数で除算し、その商に所定人数を乗算して前記所定人数あたりの釣銭準備金の枚数を金種毎に算定することを特徴とする請求項3に記載の貨幣管理装置。
【請求項5】
前記取引実績管理手段は、日付毎、曜日毎又は貨幣処理装置毎に前記取引実績データを管理し、
前記第1の算定手段は、前記貨幣処理装置の日付毎、曜日毎又は貨幣処理装置毎の過去の取引実績データに基づいて、所定人数あたりの釣銭準備金の枚数を金種毎に算定する
ことを特徴とする請求項3又は4に記載の貨幣管理装置。
【請求項6】
前記第2の算定手段は、前記受付手段により予測人数を受け付けた場合に、前記第1の算定手段により算定された所定人数あたりの釣銭準備金の枚数、前記予測人数及び所定の安全倍率に基づいて金種毎の釣銭準備金の枚数を算定することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の貨幣管理装置。
【請求項7】
顧客から受け渡された貨幣を入金処理するとともに、該貨幣と商品の価格との差額となる釣銭を出金処理する貨幣処理装置内の貨幣の在高を管理する貨幣管理装置の釣銭準備金算定方法であって、
前記貨幣処理装置の過去の取引実績データに基づいて、所定人数あたりの釣銭準備金の枚数を金種毎に算定する第1の算定工程と、
店舗に来店する予測人数の入力を受け付ける受付工程と、
前記受付工程により予測人数を受け付けた場合に、前記第1の算定工程により算定された所定人数あたりの釣銭準備金の枚数と前記予測人数に基づいて金種毎の釣銭準備金の枚数を算定する第2の算定工程と
を含んだことを特徴とする釣銭準備金算定方法。
【請求項8】
顧客から受け渡された貨幣を入金処理するとともに、該貨幣と商品の価格との差額となる釣銭を出金処理する貨幣処理装置の金種毎の釣銭準備金の枚数を算定する貨幣管理装置の釣銭準備金算定プログラムであって、
前記貨幣処理装置の過去の取引実績データに基づいて、所定人数あたりの釣銭準備金の枚数を金種毎に算定する第1の算定手順と、
店舗に来店する予測人数の入力を受け付ける受付手順と、
前記受付手順により予測人数を受け付けた場合に、前記第1の算定手順により算定された所定人数あたりの釣銭準備金の枚数と前記予測人数に基づいて金種毎の釣銭準備金の枚数を算定する第2の算定手順と
をコンピュータに実行させることを特徴とする釣銭準備金算定プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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