説明

貨幣管理装置および貨幣管理システム

【課題】行員の作業負担を軽減し、かつ、束紙幣を厳正かつ容易に管理することができる貨幣管理装置を提供する。
【解決手段】本実施形態による貨幣管理装置は、金融機関の店舗内に設置され、貨幣を入金または出金することが可能な貨幣管理装置であって、貨幣を収納する収納庫と、貨幣が収納庫に収納された時点からの保管期間を計時するタイマと、保管期間、または、保管期間の上限を示す上限期間から保管期間を引いた残り期間を表示する表示部とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貨幣管理装置および貨幣管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
銀行等の金融機関の店舗には、その店舗内の貨幣の入金および出金を管理する出納機が設けられている。また、金融機関内には出納機と連携する貨幣管理装置が設けられている場合がある。
【0003】
出納機において貨幣を出し入れする際に出納機に充分な貨幣が収納されていない場合や出納機に貨幣を収納することができない場合に、貨幣管理装置から出納機に貨幣を補充し、あるいは、出納機から貨幣管理装置へ貨幣を回収する。
【0004】
このような貨幣管理システムにおいて、出納機および貨幣管理装置は、相互に通信可能に接続されており、貨幣管理装置内の貨幣在高を出納機において管理することができるように構成されている。出納機内の貨幣在高と貨幣管理装置内の貨幣在高との管理を連動させることにより、貨幣管理システムは、金融機関内の在高管理を安全に且つ総合的に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−24896号公報
【特許文献2】特開2003−256904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来から貨幣管理装置は、小束紙幣(紙幣100枚の束)または大束紙幣(小束紙幣10束の束)を収納している。大束紙幣は、小束紙幣が不足しているときに使用されるため、小束紙幣に比較して使用頻度が低い。従って、貨幣管理装置に大束紙幣を収納した場合、大束紙幣は、長期間そのままの状態で保管される場合がある。このような場合、誰かが大束紙幣から紙幣を数枚抜き取るような不正を行っても、その不正の発覚が大幅に遅れる可能性があり、セキュリティ上好ましくない。大束紙幣を長期間保管することを防止するために、各金融機関では、大束紙幣については所定期間(例えば、2週間)以内に束を開封しなければいけない、といった規定が設けられている。
【0007】
しかしながら、このような規定の運用は、従来、各行員に任せられていたため、セキュリティ上好ましくなく、厳正な管理ができていなかった。また、行員は各大束紙幣について保管期間を管理しなければならず、従って、行員の負担が大きかった。
【0008】
もし、保管期限が過ぎた場合、行員は、保管期限の過ぎた大束紙幣を一旦開封し、紙幣を計数し直してから再度帯封を巻き直さなければならない。このように、保管期限が過ぎた場合には、行員は、煩雑な作業を行う必要がある。
【0009】
本願発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、行員の作業負担を軽減し、かつ、束紙幣を厳正かつ容易に管理することができる貨幣管理装置および貨幣管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る実施形態に従った貨幣管理装置は、金融機関の店舗内に設置され、貨幣を入金または出金することが可能な貨幣管理装置であって、貨幣を収納する収納庫と、貨幣が前記収納庫に収納された時点からの保管期間を計時するタイマと、前記保管期間、または、前記保管期間の上限を示す上限期間から前記保管期間を引いた残り期間を表示する表示部とを備えている。
【0011】
前記貨幣管理装置は、前記保管期間の上限を示す上限期間を記憶する記憶部と、前記保管期間と前記上限期間とを比較する制御部とをさらに備え、前記表示部は、前記保管期間が前記上限期間を超過したときに、前記保管期間が前記上限期間を過ぎたこと、あるいは、前記残り期間がゼロになったことを示す警告を表示するように構成してもよい。
【0012】
前記貨幣管理装置は、前記保管期間の上限を示す上限期間よりも所定期間だけ短い注意期間を記憶する記憶部と、前記保管期間と前記注意期間とを比較する制御部とをさらに備え、前記表示部は、前記保管期間が前記注意期間を超過したときに、前記保管期間が前記注意期間を過ぎたことを示す警告を表示するように構成してもよい。
【0013】
前記貨幣管理装置は、前記収納庫に収納された貨幣の量を測定し、該収納庫に貨幣が収納されたことを検知する測定部をさらに備え、前記タイマは、前記測定部が前記収納庫に貨幣が収納されたことを検知したときに前記保管期間の計時を開始するように構成してもよい。
【0014】
前記収納庫は、1束100枚の束紙幣を10束ごとに束ねた大束紙幣を収納し、前記表示部は、少なくとも前記大束紙幣の前記保管期間または前記残り期間を表示するように構成してもよい。
【0015】
複数の前記収納庫が設けられており、前記タイマは、各前記収納庫ごとに前記保管期間を計時し、前記表示部は、前記保管期間の長い順番に複数の前記収納庫および前記保管期間または前記残り期間を表示するように構成してもよい。
【0016】
前記貨幣管理装置は、当該貨幣管理装置の操作許可者のID情報を読み取るカードリーダをさらに備え、前記収納庫は、1束100枚の束紙幣を10束ごとに束ねた大束紙幣を収納し、前記記憶部は、当該貨幣管理装置の操作許可者のID情報を記憶し、或る大束紙幣の前記保管期間が前記上限期間を超過した場合に、前記カードリーダは、該大束紙幣の帯封を巻き直して作成された新しい大束紙幣を再度前記収納庫へ収納する複数の操作者のID情報を読み取り、前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記操作許可者のID情報の中に、前記カードリーダによって読み取った前記複数の操作者のID情報がある場合に、前記大束紙幣を前記収納庫へ収納することを許可するように構成してもよい。
【0017】
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記操作許可者のID情報の中に、前記カードリーダによって読み取った前記複数の操作者のID情報のいずれかが無い場合に、前記大束紙幣を前記収納庫へ収納することを許可せず、前記表示部は、前記カードリーダによって読み取った前記複数の操作者のいずれかが前記操作許可者でないことを通知するように構成してもよい。
【0018】
本発明に係る実施形態に従った貨幣管理システムは、金融機関の店舗内に設置され、貨幣を収納する第1の貨幣管理装置と、前記金融機関の店舗内において前記第1の貨幣管理装置と通信可能に接続され、貨幣を収納する第2の貨幣管理装置とを備え、前記第1の貨幣管理装置は、貨幣を収納する第1の収納庫と、貨幣が前記第1の収納庫に収納された時点からの第1の保管期間を計時する第1のタイマと、前記第1の保管期間、または、前記第1の保管期間の上限を示す上限期間から前記第1の保管期間を引いた第1の残り期間を表示する表示部とを備え、前記第2の貨幣管理装置は、貨幣を収納する第2の収納庫と、貨幣が前記第2の収納庫に収納された時点からの第2の保管期間を計時する第2のタイマと、前記第2の保管期間、または、前記第2の保管期間の上限を示す上限期間から前記第2の保管期間を引いた第2の残り期間を前記第1の貨幣管理装置に送信する送信部を備え、前記第1の貨幣管理装置の表示部は、前記第1の保管期間または前記第1の残り期間とともに前記第2の保管期間または前記第2の残り期間を表示する。
【0019】
前記第1の貨幣管理装置は、前記第1の収納庫に収納された貨幣の量を測定し、該第1の収納庫に貨幣が収納されたことを検知する第1の測定部をさらに備え、前記第2の貨幣管理装置は、前記第2の収納庫に収納された貨幣の量を測定し、該第2の収納庫に貨幣が収納されたことを検知する第2の測定部をさらに備え、前記第1のタイマは、前記第1の測定部が前記第1の収納庫に貨幣が収納されたことを検知したときに前記第1の保管期間の計時を開始し、前記第2のタイマは、前記第2の測定部が前記第2の収納庫に貨幣が収納されたことを検知したときに前記第2の保管期間の計時を開始するように構成してもよい。
【0020】
前記第1の収納庫および前記第2の収納庫は、それぞれ複数設けられており、前記第1のタイマは、各前記第1の収納庫ごとに前記第1の保管期間を計時し、前記第2のタイマは、各前記第2の収納庫ごとに前記第2の保管期間を計時し、前記第1の貨幣管理装置の表示部は、前記第1および前記第2の貨幣管理装置のそれぞれにおいて、前記保管期間の長い順番に前記収納庫および前記保管期間または前記残り期間を表示するように構成してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明による貨幣管理装置および貨幣管理システムは、行員の作業負担を軽減し、かつ、束紙幣を厳正かつ容易に管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すシステム概略図である。
【図2】出納機の外観を示す斜視図である。
【図3】出納機の構成を示すブロック図である。
【図4】第1の貨幣管理装置200Aの外観を示す斜視図である。
【図5】第1の貨幣管理装置200Aの第2紙幣収納ドロアの斜視図である。
【図6】第1の貨幣管理装置200Aの第2硬貨収納ドロアの斜視図である。
【図7】第1の貨幣管理装置200Aの予備収納庫の斜視図である。
【図8】第1の貨幣管理装置200Aの制御部225の構成を示すブロック図である。
【図9】出納機100の側での入出金操作準備プロセスの一例のフローチャート。
【図10】貨幣管理装置200A、200Bにおける入出金操作プロセスのフロー図。
【図11】本実施形態による貨幣管理システム及び貨幣管理方法による貨幣在高管理の全体像を模式的に表した説明図。
【図12】第1の実施形態による貨幣管理装置200Aにおける大束紙幣の管理動作を示すフロー図。
【図13】第1の実施形態による貨幣管理装置200Aにおける大束紙幣の他の管理動作を示すフロー図。
【図14】第1の実施形態による貨幣管理装置200Aにおける大束紙幣のさらに他の管理動作を示すフロー図。
【図15】貨幣管理装置200Aの表示部227に表示される残り期間の管理画面を示す図。
【図16】二者承認における貨幣管理装置200Aの動作を示すフロー図。
【図17】第2の実施形態による貨幣管理システム300における大束紙幣の管理動作を示すフロー図。
【図18】第2の実施形態による貨幣管理システム300における大束紙幣の他の管理動作を示すフロー図。
【図19】第2の実施形態による貨幣管理システム300における大束紙幣のさらに他の管理動作を示すフロー図。
【図20】第1の貨幣管理装置200Aの表示部227に表示される第2の残り期間の管理画面を示す図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。
【0024】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態を示すシステム概略図である。貨幣管理システム300は、銀行等の金融機関の店舗内に設置されており、出納機100、第1の貨幣管理装置200A、および、第2の貨幣管理装置200Bを備えている。出納機100が、貨幣管理本体機として機能し、貨幣管理装置200A、200Bが、貨幣管理端末機として機能するように構成されている。出納機100および貨幣管理装置200A、200Bは、それぞれ、上位の貨幣管理装置及び下位の貨幣管理装置として理解されてもよい。
【0025】
出納機100および貨幣管理装置200A、200Bは、それぞれ貨幣を収納することができるように構成されている。出納機100は、第1および第2の貨幣管理装置200A、200B内の貨幣在高を含めた店舗内の貨幣在高を管理することができるように構成されている。
【0026】
出納機100は、第1の貨幣管理装置200Aと通信可能に接続されており、第1の貨幣管理装置200Aは、第2の貨幣管理装置200Bと通信可能に接続されている。第2の貨幣管理装置200Bは、出納機100に直接接続されていないが、出納機100は、第1の貨幣管理装置200Aを介して第2の貨幣管理装置200Bの在高管理をすることができるように構成されている。この場合、出納機100に接続された第1の貨幣管理装置200Aが親機として機能し、親機としての第1の貨幣管理装置200Aにのみ接続され出納機100に接続されていない第2の貨幣管理装置200Bが子機として機能する。
【0027】
第2の貨幣管理装置200Bは、第2の貨幣管理装置200Bに収納されている貨幣の在高を第1の貨幣管理装置200Aへ送信する。出納機100に接続されている第1の貨幣管理装置200Aは、第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bの各貨幣在高および第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bに収納されている貨幣の総在高を記憶している。そして、第1の貨幣管理装置200Aは、第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bの総在高を出納機100へ送信する。出納機100は、第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bに収納されている貨幣の総在高を記憶し管理する。出納機100は、第1の貨幣管理装置200Aにのみ接続されており、かつ、親機である第1の貨幣管理装置200Aが第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bの総在高を一括管理しているので、出納機100は、第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bを1つの貨幣管理装置と見なして管理することができる。これにより、出納機100の構成および設定を変更すること無く、子機としての第2の貨幣管理装置200Bを増設することが可能となる。
【0028】
例えば、親機としての第1の貨幣管理装置200Aに接続される子機としての貨幣管理装置を2台以上にする。子機としての貨幣管理装置を200B、200Cとする。この場合、複数の貨幣管理装置200B、200Cがそれぞれの貨幣在高を第1の貨幣管理装置200Aに送信する。親機としての第1の貨幣管理装置200Aは、複数の貨幣管理装置200B、200Cの貨幣在高を記憶し、尚且つ、貨幣管理装置200A〜200Cの総在高を記憶する。さらに、第1の貨幣管理装置200Aは、貨幣管理装置200A〜200Cの総在高を出納機100へ送信する。これにより、出納機100は、第1の貨幣管理装置200Aに記憶されている貨幣管理装置200A〜200Cの総在高を管理することができる。
【0029】
親機としての第1の貨幣管理装置200Aは、第1の貨幣管理装置200Aの貨幣在高だけでなく、子機としての貨幣管理装置200B、200Cの貨幣在高をも管理する。従って、第1の貨幣管理装置200Aは、貨幣管理装置200A〜200Cの各貨幣在高に応じて、貨幣管理装置200A〜200Cにおいて出し入れする貨幣の金額または数量の制限を使用者に提示することができる。
【0030】
このように、出納機100は、親機としての第1の貨幣管理装置200Aに記憶された貨幣管理装置200A〜200Cの総在高を管理すれば足りるため、出納機100から見て貨幣管理装置200A〜200Cは、1つの貨幣管理装置と見なすことができる。
【0031】
出納機100は、貨幣管理装置200A〜200Cの総在高だけでなく、貨幣管理装置200A〜200Cの各貨幣在高も管理してもよい。これにより、出納機100は、貨幣管理装置200A〜200Cの各貨幣在高に応じて、貨幣管理装置200Aから200Cにおいて出し入れする貨幣の金額または数量の制限を使用者に提示してもよい。
【0032】
第1の貨幣管理装置200Aおよび第2の貨幣管理装置200Bの親子関係は、出納機100に通信可能に接続されているか否かによって判断される。例えば、貨幣管理システムを構成する際に、第1の貨幣管理装置200Aが出納機100との通信接続を検知した場合、第1の貨幣管理装置200Aは、自己が親機であることを認識する。一方、第2の貨幣管理装置200Bが他の貨幣管理装置200(ここでは、第1の貨幣管理装置200A)との通信接続を検知した場合、第2の貨幣管理装置200Bは、自己が子機であると認識する。これにより、複数の貨幣管理装置200A、200Bの間において、親子関係が成立する。
【0033】
通信接続される装置の識別は、次のように行えばよい。出納機100および貨幣管理装置200A、200Bには、出納機と貨幣管理装置とを識別するための固有の識別IDを予め割り当て、各貨幣管理装置200A、200BのROM225dまたはハードディスクドライブ225g(図8参照)は、識別IDを予め格納している。そして、貨幣管理装置200Aが出納機100または貨幣管理装置200Bに接続されたときに、貨幣管理装置200Aは、接続された装置から識別IDを受け取り、その識別IDとROM225dまたはハードディスクドライブ225gに格納されている識別IDとを比較する。これにより、貨幣管理装置200A、200Bは、通信接続される装置が出納機または貨幣管理装置のいずれであるかを自動的に認識することができる。
【0034】
勿論、貨幣管理システム300の設置者が手作業にて貨幣管理装置200A、200Bの親子関係を設定してもよい。
【0035】
上記実施形態において、出納機100に第1の貨幣管理装置200Aを親機として接続し、第1の貨幣管理装置200Aが全ての第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bの総在高を出納機100に送信するようにしている。しかし、出納機100に対して第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bをそれぞれ接続し、出納機100が第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bのそれぞれの在高、並びに、第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bの総在高を記憶するようにしても構わない。
【0036】
図2は、出納機100の外観を示す斜視図である。図3は、出納機100の構成を示すブロック図である。
【0037】
図2に示すように、出納機100は、束紙幣を処理する束紙幣処理部P1及びバラ紙幣を処理するバラ紙幣処理部P2からなる紙幣処理装置11と、バラ硬貨を処理するバラ硬貨処理装置12と、包装硬貨を処理する包装硬貨処理装置13と、を備えている。図2において、21は束紙幣を出金する束紙幣出金口、22はバラ紙幣を出金するバラ紙幣出金口、23は包装硬貨を出金する包装硬貨出金口、24はバラ硬貨を出金するバラ硬貨出金口、である。
【0038】
出納機100は、貨幣以外の有価証券類を投入する貨幣外ボックス14、出納機100全体を制御する制御部15、制御部15に各種の指示を入力するキーボード式入力部16、制御部15による指示に従って印字処理を行う外部プリンタ18、を備えている。外部プリンタ18が、レシート発行装置及び/又は認証印字プリンタとして機能するようになっている。本実施形態では、許可者に対して操作情報を提供するために、操作情報に対応する4桁の数字(連携番号)が伝票に印字されるようになっている。
【0039】
制御部15は、その一部として、一般行員及び管理者とのインタフェースとしての表示部15aと、一般行員及び管理者が所持するIDカードの内容を読み取るIDカードリーダ15bと、を備えている。表示部15aは、タッチパネル式表示装置であてもよい。これにより、表示部15aは、入力部または操作部としても機能することができる。また、本実施形態においてはIDカードリーダが用いられているが、これに限られず、公知の顔認証端末や、指に流れる静脈を認証するもの等、使用者本人を認証する個人認証情報であれば何を用いても構わない。
【0040】
図3に示すように、制御部15は、各種プログラム及びデータを格納したROM15d、プログラムのロード領域やプログラム実行時における作業領域となるRAM15e、フレキシブルディスクに対してデータを読み書きするフレキシブルディスクドライブ15f、各種プログラム及びデータを記憶したハードディスクドライブ15g、ROM15dやハードディスクドライブ15g内に格納されたプログラムを実行等して出納機100全体を制御する制御部(CPU)15c、を備えている。
【0041】
また、出納機100は、第1の貨幣管理装置200Aとの間でデータ通信を行う通信インタフェース(通信IF)19をさらに備えている。これにより、出納機100と第1の貨幣管理装置200Aとは、相互に通信可能となっている。例えば、出納機100と第1の貨幣管理装置200Aとは、無線LAN、光LAN等で通信可能なように接続されている。出納機100は、インタフェース19を介して第1の貨幣管理装置200Aから第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bの総在高を受け取ることができる。
【0042】
図4は、第1の貨幣管理装置200Aの外観を示す斜視図である。第1の貨幣管理装置200Aと第2の貨幣管理装置200Bとは同じ構成を有するので、第1の貨幣管理装置200Aの構成のみを説明し、第2の貨幣管理装置200Bの構成についてはその説明を省略する。
【0043】
第1の貨幣管理装置200Aは、1万円紙幣を収納保管する第1紙幣収納ドロア211と、その他の金種の紙幣を収納保管する第2紙幣収納ドロア212と、100円と10円と1円の硬貨を収納保管する第1硬貨収納ドロア213と、500円と50円と5円の硬貨を収納保管する第2硬貨収納ドロア214と、貨幣以外の有価証券類も投入することができる予備収納ドロア215と、を有している。
【0044】
第1の貨幣管理装置200Aは、第1の貨幣管理装置200Aの全体を制御する制御部225と、制御部225に各種の指示を与えるキーボード式入力部226と、使用者(営業員及び管理者)とのインタフェースとしての表示部227と、収納庫に貨幣を入出金する操作を行う使用者が所持するIDカードの内容を読み取るIDカードリーダ228と、を備えている。
【0045】
図4では、接触式のIDカードリーダ228が採用されているが、非接触式のカードリーダが採用されてもよい。また、IDカードリーダの他に、出納機100と同様、顔認証や静脈認証等を利用するための機器が採用されてもよい。
【0046】
図5は、第1の貨幣管理装置200Aの第2紙幣収納ドロア212の斜視図である。第2紙幣収納ドロア212には紙幣の束が、規則正しく収納保管される。図5では、第2紙幣収納ドロア212の内部に、4つの紙幣保管容器(スタッカ)221〜224が配置されており、各容器ごとに、収納保管される紙幣の金種が決められている。また、1束100枚の束紙幣を10束ごとに束ねた大束紙幣が収納保管されるように構成されていてもよい。
【0047】
図6は、第1の貨幣管理装置200Aの第2硬貨収納ドロア214の斜視図である。第2硬貨収納ドロア214には棒金状態の硬貨が、規則正しく収納保管される。図6では、第2硬貨収納ドロア214の内部に、3つの硬貨保管容器241〜243が配置されており、各容器ごとに、収納保管される硬貨の金種が決められている。
【0048】
硬貨保管容器241の底面には、硬貨保管容器241内に収納保管される硬貨の重量を測定するための測定手段として、ロードセル261が設けられている。ロードセル261の構成の詳細については十分に知られていると思われるので、ここでの説明は省略する。
【0049】
他の硬貨保管容器242、243、並びに、紙幣保管容器221〜224についても、同様にロードセル261が設けられている。このような構成によって、各金種ごとに、収納保管されている貨幣の重量が測定されるようになっている。
【0050】
図7は、予備収納庫(予備ドロア)215の斜視図である。予備収納庫215には硬貨予備収納部251及び紙幣予備収納部252の他に、貨幣以外の有価証券類を投入することができる空スペース253が設けられている。
【0051】
図8は、第1の貨幣管理装置200Aの制御部225の構成を示すブロック図である。制御部225は、各種プログラム及びデータを格納したROM225d、プログラムのロード領域やプログラム実行時における作業領域となるRAM225e、各種プログラム及びデータを記憶したハードディスクドライブ225g、ROM225dまたはハードディスクドライブ225g内に格納されたプログラムを実行等して第1の貨幣管理装置200A全体を制御する制御部225c、を備えている。
【0052】
制御部225cは、各金種ごとに対応して設けられたロードセル261(重量測定手段)に接続されており、ロードセル261の出力値に基づいて、収納保管された貨幣の重量に対応する貨幣の金額を算出できるように構成されている。そして、ハードディスクドライブ225gが、制御部225cによって算出された貨幣の金額を記憶するように構成されている。
【0053】
IDカードリーダ228が読み取るID情報も、算出された貨幣の金額(入出金操作後の収納保管金額)と対応させた態様で、ハードディスクドライブ225gに記憶されるように構成されている。
【0054】
更に、キーボード式入力部226において、収納庫に対して入出金される貨幣の金額が入力されるように構成されており、制御部225cが、精査手段として、ロードセル261の出力値から算出された金額と、キーボード式入力部226で入力された金額と、を精査できるように構成されている。
【0055】
第1の貨幣管理装置200Aは、出納機100との間でデータ通信を行う通信インタフェース(通信IF)229を備えている。これにより、第1の貨幣管理装置200Aと出納機100とは、相互に通信可能となっている。これにより、第1の貨幣管理装置200Aは、インタフェース229を介して第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bの総在高を出納機100へ送信することができる。また、第2の貨幣管理装置200Bは、第2の貨幣管理装置200Bのインタフェース229を介して第2の貨幣管理装置200Bの在高を第1の貨幣管理装置200Aへ送信することができる。
【0056】
制御部225は、ロック制御手段として、各ドロア211〜215に設けられた開閉電磁ロック211m〜215mに接続されていて、各ドロア211〜215を、貨幣の入出金が可能な開状態と貨幣の入出金が不可能なロック状態との間で切替えることができるように構成されている。
【0057】
ドロア211〜215のロック状態の切替の条件として、使用者照合が採用されている。例えば、予め許可者として設定された使用者のID情報が、ハードディスクドライブ225gに記憶されていて、IDカードリーダ228が読み取ったID情報が制御部225cによって、許可者のID情報に対して照合される。照合の結果がYESである場合にのみ、即ち、IDカードリーダ228が読み取ったID情報が、予め許可者として設定された使用者のID情報に合致する場合にのみ、制御部225は、開閉電磁ロック211m〜215mを制御して、貨幣の収納/取出が可能な開状態とすることができる。
【0058】
別の切替の条件として、本実施の形態では、使用者照合に加えて、連携情報の照合も採用され得る。連携情報とは、例えば入出金操作ごとに設定される操作情報であり、通常は入出金の金種及び金額のデータであるが、入出金操作の手順に関するデータ(例えば、連携番号)を含むこともあり得る。連携情報の照合の具体的態様としては、例えば、予め許可操作として設定された連携情報が、出納機100から通信機能を利用して例えばRAM225eに転送記憶され、一方、使用者によって、連携情報に対応する4桁の連携番号が、キーボード式入力部226で入力され得る。そして、入力された4桁の連携番号の情報が、操作識別手段としての制御部225cによって、転送記憶された連携情報内の連携番号に対して照合され得る。この場合、照合の結果がYESである場合、即ち、入力された4桁の連携番号が、転送記憶された許可操作の連携情報内の連携番号に合致する場合にのみ、制御部225は、開閉電磁ロック211m〜215mを制御して、貨幣の入出金が可能な開状態とすることができる。このように、連携番号は、出納機100と貨幣管理装置200A、200Bとの間の貨幣の入出金処理において、出納機100と貨幣管理装置200A、200Bとの連携を図るために用いられる連携認証情報である。連携番号は、貨幣の入出金処理ごとに生成され、出納機100と貨幣管理装置200A、200Bとの間の貨幣の移動処理を特定又は認証するために用いられる。連携認証情報は、必ずしも番号である必要は無く、特定の文字または記号であってもよい。
【0059】
尚、この態様においては、入出金操作の具体的内容に即して、開閉電磁ロック211m〜215mを個別に制御することが可能である。具体的には、入出金対象である金種を収納するドロアのみを、開状態に切り替えることができる。更には、複数のドロアが同時には開状態にならないように、各ドロアを順に開状態に切り換えるという制御態様を採用することも可能である。
【0060】
一方、入出金操作ごとに連携番号の入力を必須とした場合、出納機100と貨幣管理装置200A、200Bとの間の入出金処理は、セキュリティ上および複数の処理の重複を回避するために好ましいと言える。しかし、出納機100と貨幣管理装置200A、200Bとが互いに接近して配置されている場合には、出納機100と貨幣管理装置200A、200Bとの間の貨幣の移動は、通常、即座に実行される。例えば、操作者は、出納機100から貨幣を取り出し、その後直に、貨幣管理装置200A、200Bへその貨幣を入れる。このため、連携番号の入力を省略してもセキュリティ上さほど問題にならず、かつ、複数の処理が重複することもない。むしろ、入出金操作ごとに毎回連携番号の入力をしなければならないとすれば、操作者にとって煩雑であり、操作性を損ねる可能性がある。
【0061】
従って、本実施形態による出納機100は、出納機100と貨幣管理装置200A、200Bとが互いに接近して配置されているような場合に連携番号の入力を省略できるように、連携番号の入力の要否を選択可能とする。操作者は、連携番号の要否のいずれかをキーボード式入力部16において選択することができる。
【0062】
さらに、本実施形態による貨幣管理装置200A、200Bは、タイマ230を備えている。タイマ230は、貨幣管理装置200A、200Bに収納されている少なくとも大束紙幣の保管期間を計時する。これにより、例えば、小束紙幣に比較して使用頻度の少ない大束紙幣の保管期間が所定期間(例えば、2週間)を過ぎた場合、あるいは、保管期間が所定期間に近づいた場合に、貨幣管理装置200A、200Bは、操作者に対して警告を表示することができる。
【0063】
タイマ230の計時は、次のように開始される。貨幣管理装置200A、200Bにおいて、大束紙幣を収納するドロアが設定されており、そのドロアに大束紙幣が収納される。大束紙幣が収納されると、精査時に、そのドロアに設けられたロードセル261が大束紙幣の収納を検知する。ロードセル261が大束紙幣の収納を検知したことをトリガーとして、タイマ230は計時を開始する。これにより、貨幣管理装置200A,200Bは、大束紙幣の保管期間を自動で計時することができる。
【0064】
ロードセル261は、図5に示す紙幣保管容器221〜224ごとに大束紙幣の収納を検知可能であることが好ましい。これにより、タイマ230は、紙幣保管容器221〜224ごとに保管期間を計時することができるからである。尚、図5では、各紙幣保管容器221〜224は、2つずつ大束紙幣を収納可能であるが、各紙幣保管容器221〜224が収納可能な大束紙幣の数は限定しない。従って、各紙幣保管容器221〜224は、1つずつ大束紙幣を収納してもよく、3つ以上の大束紙幣を収納可能にしてもよい。この場合、ロードセル261は紙幣保管容器221〜224ごとにその重量を測定し、タイマ230は、ロードセル261の測定単位(即ち、各紙幣保管容器221〜224ごと)に保管期間を計時する。従って、紙幣保管容器221〜224がそれぞれ複数の大束紙幣を収納している場合、制御部225cは、その複数の大束紙幣の中で最も長く収納されている大束紙幣の保管期間を管理することになる。
【0065】
代替的に、操作者が、大束紙幣を収納したときに入力部226を用いてタイマ230の計時を開始させてもよい。この場合、操作者が大束紙幣を特定する固有IDを入力すれば、貨幣管理装置200A、200Bは、ロードセル261の測定単位に関わらず、各大束紙幣ごとに保管期間を管理することができる。
【0066】
本実施形態では、出納機100と第1の貨幣管理装置200Aとが相互に通信可能であることを利用して、更に以下のような構成が採用されている。
【0067】
出納機100の制御部15は、通信機能を利用して第1の貨幣管理装置200Aの貨幣在高データを確認及び/又は精査するように構成されている。具体的には、出納機100の制御部15が、通信インタフェース19及び通信インタフェース229を介して、精査手段である第1の貨幣管理装置200Aの制御部225cを制御できるように構成されている。
【0068】
その他、各ドロア211〜215の開状態が所定時間以上継続している際に報知信号を出力する報知装置(アラーム装置)280が更に設けられている。例えば、操作者が第1の貨幣管理装置200Aから貨幣を取り出すためにドロア211〜215のいずれかを開状態にした後、その開状態が所定時間以上継続した場合、報知装置280が動作する。報知装置280を停止するためには、管理者が報知装置280のアラームを停止する必要がある。連携番号の入力が不要であると設定されている場合であっても、報知装置280は、同様に動作することが好ましい。
【0069】
また、貨幣管理装置200A、200Bと出納機100との連携動作において、出納機100に貨幣を入金している際に収納庫がフルになった場合、入金処理の途中であっても処理を中断し、収納庫の貨幣を貨幣管理装置200A、200Bに移すことができ、移し終えたら入金処理を再開することができる。また、出納機100から貨幣を出金している際に収納庫がエンプティになった場合、出金処理の途中であっても処理を中断し、貨幣管理装置200A、200Bに保管してある貨幣を出納機100に装填し、装填が終了したら出金処理を再開することができる。
【0070】
上述のように、入出金処理の途中に貨幣管理装置200A、200Bと出納機100との間で貨幣を移動させる場合、移動させる貨幣の金種と枚数、及び金額を互いの装置の間でデータを送受信し、正しく貨幣が移されたかどうかを確認する。
【0071】
次に、以上に説明した貨幣管理システム300の動作例について、フローチャートを参照しながら説明する。
【0072】
図9は、出納機100の側での入出金操作準備プロセスの一例のフローチャートである。まず、IDカードリーダ15bによって、出納機100の操作者のID情報が読み取られる(S11)。当該ID情報に基づいて、その操作者が、出納機100の操作許可者であるか否かが識別される(S12)。
【0073】
操作許可者であれば、出納機100の操作メニューが表示部15aに表示される(S13)。その表示を見ながら、操作者(操作許可者)は、キーボード式操作部16を用いて処理内容を入力する(S14)。ここで、連携取出/収納を選択する。また、本例では、セキュリティの一層の向上のために、暗証番号入力を求める(S15)。
【0074】
暗証番号の照合の後、操作者(操作許可者)は、キーボード式操作部16を用いて、入出金操作の詳細を入力する(S16)。具体的には、入出金対象の金種及び束数あるいは本数のデータが入力される。その後、操作者による入力完了キーの操作によって、入力完了が検知される(S17)。出納機100は、入力された入出金操作の詳細を含む操作情報としての連携情報(連携処理キューとも呼ばれる)を作成し、その連携情報に対して、連携情報の一部としての連携番号を発行する。出納機100は、当該連携番号と実際の入出金操作の詳細な内容との対応付けを含む連携情報をハードディスク15gに記憶する(S18)。それとともに、出納機100は、連携情報の入出金操作が貨幣管理装置200A、200Bにおける入出金操作を含むものである場合、担当者が貨幣管理装置200A、200Bの操作権限を有する限りにおいて、通信回線を介してオープン要求(後述)を送信する。これにより、貨幣管理装置200A、200Bは、操作入力画面を連携番号入力画面までスキップさせることができる。尚、出納機100は、連携情報を貨幣管理装置200A、200Bには送信せずに、レシート発行装置18により、レシート又は取引伝票に当該連携番号を含む印字を行い、そのレシート又は取引伝票を発行する(S19)。
【0075】
図10は、貨幣管理装置200A、200Bにおける入出金操作プロセスのフローチャートである。操作者は、親機である第1の貨幣管理装置200Aのみを操作する。第1の貨幣管理装置200Aは、操作者による操作に基づいて、子機である第2の貨幣管理装置200Bの動作を制御する。
【0076】
まず、IDカードリーダ228によって、第1の貨幣管理装置200Aの操作者のID情報が読み取られる(S21)。当該ID情報に基づいて、その操作者が、第1の貨幣管理装置200Aの操作許可者であるか否かが識別される(S22)。
【0077】
操作許可者であれば、貨幣管理装置200の操作メニューが表示部227に表示される(S23)。その表示を見ながら、操作者(操作許可者)は、キーボード式入力部226から処理内容を入力する(S24)。
【0078】
まず、出納機100との連携処理が選択される場合について先に説明する。
【0079】
連携処理が選択されると、本例では、セキュリティの一層の向上のために、暗証番号入力を求める(S25)。暗証番号の照合の後、操作者は、キーボード式操作部226から出納機100にて発行された連携番号を入力する(S26)。
【0080】
尚、連携番号は、出納機100において操作者のID情報が識別され且つ暗証番号が入
力された結果として発行されたものであるので、他の実施の形態として、出納機100の
操作者が貨幣管理装置200の操作権限も有する者である場合には、ここで連携番号の入
力のみを要求し、ID情報及び暗証番号の上記入力要求は省略するようにできる。
【0081】
連携番号の入力に応じて、第1の貨幣管理装置200Aは、出納機100に問い合わせを行う。出納機100は、当該連携番号を用いて連携情報を検索し、当該連携番号に対応する連携情報の内容である取出/収納の詳細情報(取出/収納の対象である金種乃至金額のデータの他、ドロアの開閉手順のデータが含まれ得る)をピックアップして第1の貨幣管理装置200Aに送信する(S27)。第1の貨幣管理装置200Aは、その一部又は全部の情報を操作者の確認のために表示する(S28)。確認の後、操作者による入力完了キーの操作によって、取出/収納準備完了が検知される(S29)。
【0082】
その後、連携情報に含まれる取出/収納操作の詳細に基づいて貨幣の収納処理又は取出処理が行われる(S30)。キーボード式操作部226から当該処理が完了した旨の入力が行われると、当該連携情報が更新されてハードディスク225gに更新記憶される(S31)。そして、通信回線を介して当該連携情報が出納機100にも送信され、出納機100における当該連携情報が処理済として更新される。
【0083】
貨幣管理装置200A、200Bにおいて貨幣を取出/収納する詳細な動作については後述する。
【0084】
次に、貨幣管理装置200A(または200B)での単体処理、即ち、出納機100から予め受信する連携情報に基づかないローカル処理が選択される場合について説明する。第2の貨幣管理装置200Bのローカル処理は、第1の貨幣管理装置200Aのそれと同様であるので、以下、第1の貨幣管理装置200Aのローカル処理を説明し、第2の貨幣管理装置200Bのローカル処理の説明を省略する。
【0085】
単体処理が選択されると、本例では、セキュリティの一層の向上のために、暗証番号入力を求める(S125)。第1の貨幣管理装置200Aの単体処理は、出納機100から予め受信する連携情報に基づかない処理であって、当該処理に対応する連携情報が未作成の処理である。従って、出納機100から受信した連携情報に基づく連携処理の場合と異なり、ID情報及び暗証番号の入力要求は省略することができない。
【0086】
暗証番号の照合の後、操作者(操作許可者)は、キーボード式操作部226から、取出/収納操作の詳細を入力する(S126)。具体的には、取出/収納対象の金種及び束数あるいは本数のデータが入力される。その後、操作者による入力完了キーの操作によって、入力完了が検知される(S127)。
【0087】
第1の貨幣管理装置200Aは、入力された取出/収納操作の詳細を含む処理情報としてのローカル処理情報を作成し、そのローカル処理情報に対して、ローカル処理情報の一部としてのローカル処理番号を発行する。第1の貨幣管理装置200Aは、当該ローカル処理番号と実際の取出/収納操作の詳細な内容との対応付けを含むローカル処理情報をハードディスク225gに記憶する。それとともに、第1の貨幣管理装置200Aは、通信回線を介して当該ローカル処理情報を出納機100に送信する。この時に通信回線が切断された状態であった場合は、第1の貨幣管理装置200Aに当該ローカル処理情報を保持しておき、その後、通信回線が接続されたときに出納機100に送信する。第1の貨幣管理装置200Aでの単体処理に関するローカル処理情報の送信前には、出納機100は、当該単体処理に関する情報を何も持っていない状態であるので、単体処理に関するローカル処理情報は例外なく総て出納機100に送信する。
【0088】
その後、ローカル処理情報に含まれる取出/収納操作の詳細に基づいて貨幣の収納/取出が行われる(S128)。キーボード式操作部226から、当該処理が完了した旨の入力が行われると、当該ローカル処理情報が更新されてハードディスク225gに更新記憶される(S129)。それとともに、通信回線を介して当該ローカル処理情報が出納機100にも送信され、出納機100における当該ローカル処理情報が更新される。上記同様、この時に通信回線が切断された状態であった場合は、第1の貨幣管理装置200Aに当該ローカル処理情報を保持しておき、その後、通信回線が接続されたときに出納機100に送信する。尚、当該ローカル処理情報の作成時に当該ローカル処理情報を出納機100に送信できず未送信であった場合には、取出/収納操作の完了後に更新済みの当該ローカル処理情報のみを送信するようにしてもよい。
【0089】
尚、第2の貨幣管理装置200Bのローカル処理情報は、第1の貨幣管理装置200Aを介して出納機100へ送信される。
【0090】
図11は、本実施形態による貨幣管理システム及び貨幣管理方法による貨幣在高管理の全体像を模式的に表した説明図である。
【0091】
出納機100と貨幣管理装置200A、200Bとは、相互に通信可能に構成されているが、その通信回線は常時接続ではなく、随時、任意に接続を物理的に切断することができる。従って、貨幣管理装置200A、200は、店舗内の任意の場所へ移動して使用することができる。尚、貨幣管理装置200A、200は、単体での在高管理も可能である。
【0092】
本実施形態による貨幣管理システム及び貨幣管理方法においては、金融機関の店舗内の総ての在高管理は、出納機100によって行われる。出納機100が管理する貨幣在高には、在庫在高6、機械在高1、ポスト在高2、手持ち在高3が含まれる。
【0093】
在庫在高6とは、金融機関店舗内の本金庫内に収納されている貨幣の在高である。機械在高1とは、出納機100内に収納されている貨幣の在高である。ポスト在高2とは、出納機100のポスト、即ち、前述の現金外ボックス14に入金された小切手等の有価証券類や、破損又は汚損した紙幣である損券であって、出金が不可能な貨幣の在高である。手持ち在高3とは、資金移動のために一時的に本金庫又は出納機100から取り出される等して、人手による管理の下に置かれている貨幣の在高であるが、貨幣管理装置200A、200Bに収納されて移動可能な状態となっている貨幣の在高である貨幣管理装置在高4(4X,4Y)も手持ち在高の一部として管理される。貨幣管理装置在高4は、出納機100において手持ち在高3の一部4Xとして管理されるが、貨幣管理装置200A、200B自体においては、貨幣管理装置在高4Yとして管理されるものである。貨幣管理装置200A、200Bの貨幣管理装置在高4Yは、出納機100により第1の貨幣管理装置200Aに随時問い合わせられる。第1の貨幣管理装置200Aは、第2の貨幣管理装置200Bの貨幣在高も管理しているので、出納機100は、第1の貨幣管理装置200Aへ問い合わせることによって、貨幣管理装置200A、200Bの各貨幣在高を足した総在高を把握することができる。従って、貨幣管理装置在高4Xと貨幣管理装置在高4Yとは、出納機100と第1の貨幣管理装置200Aとの間で連携情報を送受信して双方の貨幣在高データを更新することにより一致させられる。
【0094】
連携情報は、出納機100の処理情報管理データベース400に記憶され、必要に応じて随時、更新される。この処理情報管理データベース400は、例えば、出納機100のハードディスクドライブ15gに記憶される。
【0095】
顧客との間で入出金を行う場合には、機械在高又は手持ち在高に含まれる貨幣を用いて入出金を行う。また、顧客から小切手等の有価証券類が入金された場合や、入金された貨幣の中に損券が含まれていた場合は、それらはポスト入金されてポスト在高として管理されるが、その後、それらの有価証券類や損券が出納機100のポストから回収されると、そのポスト在高は手持ち在高の一部として管理される。
【0096】
出納機100に収納されている貨幣が不足したり入り切らなくなったりしたときは、本金庫から貨幣を取り出して出納機100に補充したり、出納機100から貨幣を回収して本金庫に収納したりする。その資金移動の際には、当該資金は一時的に手持ち在高として管理される。
【0097】
貨幣管理装置200A、200Bに収納されている貨幣が不足したり入り切らなくなったときは、本金庫から貨幣を取り出して貨幣管理装置200A、200Bに補充したり、手持ち在高の中から貨幣を貨幣管理装置200A、200Bに装填したり、貨幣管理装置200A、200Bから貨幣を回収して本金庫に収納したり、あるいは、手元に置いて手持ち在高として管理したりする。
【0098】
総ての資金移動は、上述のように出納機100によって在高管理が行われるが、特に、貨幣管理装置200A、200Bにおける貨幣の収納及び取出を含む入出金操作が行われる場合には、連携番号が付された連携情報が出納機100において作成される。貨幣管理装置200A、200Bの取出/収納操作の実行前に当該連携情報が出納機100から第1の貨幣管理装置200Aへ送信され、かつ、その取出/収納操作の実行後にも当該連携情報の更新情報が第1の貨幣管理装置200Aから出納機100へ送り返されて、出納機100と第1の貨幣管理装置200Aとにおける当該連携情報の整合が図られ、正確な在高管理が維持される。
【0099】
[大束紙幣の管理]
以上のような貨幣管理システム300において、大束紙幣の管理は、以下のように実行される。第1の実施形態では、貨幣管理装置200Aは、単体で大束紙幣の管理を行う。
【0100】
図12は、第1の実施形態による貨幣管理装置200Aにおける大束紙幣の管理動作を示すフロー図である。ここでは、貨幣管理装置200Aのドロア211〜214が小束紙幣または大束紙幣を収納するものとする。
【0101】
図10に示すステップS30またはS128において、操作者が1万円の大束紙幣をドロア211〜214のいずれかに収納する(S300)。例えば、操作者はドロア212に大束紙幣を収納するものとする。操作者がドロアを閉じると、ロードセル261がドロア212の重量を測定することによって、大束紙幣がドロア212に収納されたことを検知する(S310)。ロードセル261は、紙幣保管容器221〜224ごとにその重量を測定することができるように構成されており、どの紙幣保管容器に大束紙幣が収納されたかを検知することができる。例えば、操作者は、紙幣保管容器222に大束紙幣を収納するものとする。
【0102】
ロードセル261による大束紙幣の収納の検知に応じて、制御部225cは、タイマ230に計時を開始させる(S320)。タイマ230は、大束紙幣が収納された時点(操作日時)から現時点までの保管期間を紙幣保管容器221〜224ごとに計時することができるように構成されている。
【0103】
タイマ230において計時されている保管期間は、貨幣管理装置200Aの表示部227に表示させる(S330)。本実施形態では、表示部227は、保管期間を紙幣保管容器221〜224ごとに表示させる。これにより、操作者および管理者は、大束紙幣の保管期間を確認することができる。金融機関において大束紙幣の保管期間の上限を示す上限期間が規定されている場合、操作者は、表示部227で保管期間を確認し、保管期間が上限期間を超過する前に大束紙幣を使用する。これにより、大束紙幣の保管期間の管理が容易になり、操作者または管理者の作業負担が軽減する。
【0104】
また、操作者は、貨幣管理装置200Aに収納されている大束紙幣の中で、保管期間が上限期間を超過している大束紙幣を容易に把握することができる。
【0105】
保管期間が上限期間を超過した場合(S340のYES)、例えば、ドロア212の紙幣保管容器222内の大束紙幣の保管期間が上限期間を超過した場合、操作者は、ドロア212の紙幣保管容器222内の大束紙幣を貨幣管理装置200Aから取り出す。操作者は、その大束紙幣の帯封を一旦開封し、紙幣数を計測し直し、さらに、それらの紙幣を再度帯封で結束する。そして、操作者は、帯封を巻き直した大束紙幣を同一ドロア212内の同一紙幣保管容器222へ再度収納する(S360)。タイマ230は大束紙幣が操作者によって紙幣保管容器222から取出されたとき、あるいは、紙幣保管容器222へ再度収納されたときに、その紙幣保管容器222の保管期間をリセットすればよい(S370)。その後、ステップS310へ戻る。
【0106】
この場合、ステップS300、S340およびS360は、操作者によって実行されるが、その他のステップは、貨幣管理装置200Aが自動で実行することができる。
【0107】
図13は、第1の実施形態による貨幣管理装置200Aにおける大束紙幣の他の管理動作を示すフロー図である。貨幣管理装置200Aの記憶部225d、225eまたは225gは、保管期間の上限を示す上限期間を記憶しているものとする。図12に示すステップS310〜S330の実行後、貨幣管理装置200Aの制御部225cが、保管期間と上限期間とを比較する(S340)。そして、保管期間が上限期間を超過した場合(S340のYES)、貨幣管理装置200Aの制御部225cは、表示部227に保管期間が上限期間を過ぎたことを示す警告を表示する(S350)。例えば、表示部227は、「ドロア212内の紙幣保管容器221の大束紙幣の保管期間が2週間を過ぎました」とのメッセージを表示する。これにより、操作者または管理者は、貨幣管理装置200Aに収納されている大束紙幣の中で、保管期間が上限期間を超過している大束紙幣を容易に把握することができる。この場合、操作者は、保管期間が上限期間を超過している大束紙幣の帯封を巻き直し、その大束紙幣を同一ドロア212内の同一紙幣保管容器222へ再度収納する(S360)。タイマ230は大束紙幣が操作者によって紙幣保管容器222から取出されたとき、あるいは、紙幣保管容器222へ再度収納されたときに、その紙幣保管容器222の保管期間をリセットすればよい(S370)。その後、ステップS310へ戻る。
【0108】
この場合、ステップS300およびS360は、操作者によって実行されるが、その他のステップは、貨幣管理装置200Aが自動で実行することができる。即ち、貨幣管理装置200Aは、保管期間が上限期間を超過している大束紙幣を操作者に対して通知することができる。
【0109】
図14は、第1の実施形態による貨幣管理装置200Aにおける大束紙幣のさらに他の管理動作を示すフロー図である。貨幣管理装置200Aの記憶部225d、225eまたは225gは、上限期間と共に、該上限期間よりも所定期間(例えば、2日)だけ短い注意期間を記憶している。
【0110】
図12に示すステップS310〜S330の実行後、貨幣管理装置200Aの制御部225cは、保管期間と注意期間とを比較する(S341)。そして、保管期間が注意期間を超過した場合(S341のYES)、貨幣管理装置200Aの制御部225cは、表示部227に保管期間が注意期間を過ぎたことを示す警告を表示する(S351)。例えば、表示部227は、「ドロア212内の紙幣保管容器221の大束紙幣の保管期間が12日を過ぎました」とのメッセージを表示する。これにより、操作者または管理者は、貨幣管理装置200Aに収納されている大束紙幣の中で、上限期間に接近している大束紙幣を容易に把握することができる。この場合、保管期間はまだ上限期間を超過していないので、操作者は、大束紙幣の帯封を巻き直す必要はない。操作者は、保管期間が上限期間に接近している大束紙幣を優先的に使用することによって、無駄な大束紙幣の帯封の巻き直しを省略することができる。
【0111】
その後、貨幣管理装置200Aは、図13のステップS330〜S370を実行し、上限期間を用いて大束紙幣を管理する。管理期間が上限期間を超過した場合、操作者は、保管期間が上限期間を超過した大束紙幣の帯封を巻き直し、その大束紙幣を同一ドロア212内の同一紙幣保管容器222へ再度収納する(S360)。タイマ230は大束紙幣が操作者によって紙幣保管容器222から取出されたとき、あるいは、紙幣保管容器222へ再度収納されたときに、その紙幣保管容器222の保管期間をリセットすればよい(S370)。その後、ステップS310へ戻る。
【0112】
図14に示す運用により、貨幣管理装置200Aは、保管期間を2段階に分けて管理することができる。即ち、貨幣管理装置200Aは、まず注意期間を用いて保管期間を管理し、保管期間が注意期間を超過した後に、上限期間を用いて保管期間を管理する。これにより、操作者は、上限期間に接近しているがまだ上限期間を超過していない大束紙幣を優先的に使用することができるとともに、保管期間が上限期間を超過した場合には、操作者は、その大束紙幣の帯封を直ちに巻き直すことができる。このように運用することによって、操作者の管理負担および作業負担を軽減し、かつ、大束紙幣を厳正かつ容易に管理することが可能になる。
【0113】
図15は、貨幣管理装置200Aの表示部227に表示される残り期間の管理画面である。図12〜図14では、貨幣管理装置200Aの表示部227は、大束紙幣の保管期間を表示し、保管期間が注意期間または上限期間を超過したときに警告を表示する。
【0114】
一方、図15に示す管理画面では、上限期間までの残り期間をドロアごとおよび紙幣保管容器ごとに示している。残り期間は、上限期間から保管期間を引き算することによって得られる。制御部225cは、記憶部225d、225eまたは225gに格納された上限期間からタイマ230で計測されている保管期間を減算することによって残り期間を演算する。
【0115】
また、タイマ230は、紙幣保管容器221〜226ごとに保管期間を計時し、表示部227は、保管期間の長い順番(古い順番)に紙幣保管容器221〜226およびそれに対応する残り期間を表示する。
【0116】
例えば、図15に示す管理画面では、ドロア212の紙幣保管容器221に収納されている大束紙幣の残り期間は、上限期間まで2日であることを示している。ドロア212の紙幣保管容器222に収納されている大束紙幣の残り期間は、上限期間まで4日であることを示している。ドロア212の紙幣保管容器223に収納されている大束紙幣の残り期間は、上限期間まで5日であることを示している。ドロア212の紙幣保管容器224に収納されている大束紙幣の残り期間は、上限期間まで7日であることを示している。
【0117】
残り期間がゼロになったときに、保管期限が上限期限を超過する。そのときには、表示部227は、保管期間が上限期間を超過したことを示す警告を表示する。
【0118】
このように、残り期間を表示することによって、操作者は、上限期間を意識することなく、大束紙幣の保管期間を管理することができる。また、保管期間の長い順番(古い順番)に紙幣保管容器221〜226およびそれに対応する残り期間を表示することによって、操作者は、どのドロア内のどの紙幣保管容器の大束紙幣を優先的に使用すべきかを容易に把握することができる。その結果、操作者の管理負担および作業負担を軽減し、かつ、大束紙幣を厳正かつ容易に管理することが可能になる。
【0119】
尚、残り期間の表示は、特に限定しない。例えば、残り期間の表示は、日数(例えば、「残り1日」)で表示してもよく、週数(例えば、「残り1週間」)で表示してもよい。さらに、残り期間の表示は、時間も含めた残りの日数および時間(例えば、「残り2日と10時間」)で表示してもよい。
【0120】
本実施形態では、大束紙幣の保管期間を管理したが、小束紙幣についても保管期間を同様に管理してよい。さらに、貨幣管理装置200Aは、1万円の大束紙幣だけでなく、5千円、2千円、千円の各大束紙幣または各小束紙幣についても保管期間を同様に管理してよい。貨幣管理装置200Bも貨幣管理装置200Aと同様に単体で貨幣の保管期間を管理してよい。
【0121】
ステップS360において、貨幣管理装置200Aへ大束紙幣を再度収納するときには、二者承認を行ってもよい。二者承認は、大束紙幣が所定枚数(例えば、1000枚)の紙幣を含むことを複数のテラーまたは管理者で確認し、紙幣の抜取り等の不正がないことを承認することである。
【0122】
図16は、二者承認における貨幣管理装置200Aの動作を示すフロー図である。或る大束紙幣の保管期間が上限期間を超過した場合(S340のYES)に、操作者は、カードリーダ228に自己のIDカードを通す。これにより、カードリーダ228は操作者のID情報を読み取り(S610)、制御部225cは、カードリーダ228で読み取ったID情報と記憶部225d、225eまたは225gに記憶された操作許可者のID情報とを比較する(S612)。カードリーダ228で読み取ったID情報が記憶部225d、225eまたは225gに記憶されているいずれかのID情報と一致する場合(S612のYES)、貨幣管理装置200Aは、操作者が大束紙幣を取出すことができるようにドロア211〜214のいずれかを解錠する(S614)。
【0123】
一方、カードリーダ228で読み取ったID情報が記憶部225d、225eまたは225gに記憶されているいずれかのID情報と一致しない場合(S612のNO)、貨幣管理装置200Aは、大束紙幣の取出しを禁止し、ドロア211〜214を施錠したままとする(S616)。この場合、表示部227は、その操作者が操作許可者でないことを通知する(S618)。
【0124】
操作者は、保管期間が上限期間を超過した大束紙幣を取り出し、その大束紙幣の帯封を開封後、紙幣の枚数を計測する。そして、操作者は、再度、それらの紙幣を帯封で巻き直して新しい大束紙幣を再度作成する。このとき、不正がないように、複数の操作者(テラーまたは管理者)が紙幣数の計測および新しい大束紙幣の作成を確認する(S620)。
【0125】
新しい大束紙幣を再度収納庫へ収納する際には、複数の操作者が、カードリーダ228にID情報を通す。カードリーダ228は複数の操作者のID情報を読み取る(S622)。制御部225cは、カードリーダ228によって読み取った複数の操作者のID情報と記憶部225d、225eまたは225gに記憶された操作許可者のID情報とを比較する(S624)。そして、記憶部225d、225eまたは225gに記憶された操作許可者のID情報の中に、カードリーダ228によって読み取った複数のテラーまたは管理者のID情報と一致するID情報がある場合に(S624のYES)、貨幣管理装置200Aは、大束紙幣をドロア211〜214のいずれかへ収納することを許可する(S626)。
【0126】
一方、記憶部225d、225eまたは225gに記憶された操作許可者のID情報の中に、カードリーダ228によって読み取った複数のテラーまたは管理者のID情報と一致するID情報がない場合に(S624のNO)、制御部225cは、大束紙幣をドロア211〜214へ収納することを禁止する(S628)。そして、表示部227は、複数の操作者のいずれかが操作許可者でないことを通知する(S630)。その後、図12から図14に示すステップ370を実行する。
【0127】
このように、貨幣管理装置200Aは、大束紙幣を収納する際に、二者承認を行うように構成してもよい。勿論、三者以上の承認を義務づけても差し支えない。
【0128】
(第2の実施形態)
第2の実施形態では、親子関係を有する第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bが貨幣管理システムとして大束紙幣の管理を行う。第2の実施形態では、親機としての第1の貨幣管理装置200Aは、小束紙幣および大束紙幣の両方を収納し、子機としての第2の貨幣管理装置200Bは、大束紙幣のみを収納するものとする。ただし、第1の貨幣管理装置200Aおよび第2の貨幣管理装置200Bは、ともに同じ構成を有する。
【0129】
図17は、第2の実施形態による貨幣管理システム300における大束紙幣の管理動作を示すフロー図である。
【0130】
第1の貨幣管理装置200Aは、タイマ(第1のタイマ)230を備え、大束紙幣が第1の貨幣管理装置200Aのドロア211〜214のいずれかに収納された時点からの第1の保管期間を計時する。表示部227は、第1の保管期間、または、上限期間から第1の保管期間を引いた第1の残り期間を表示する。親機としての第1の貨幣管理装置200Aにおける大束紙幣の管理は、第1の実施形態における大束紙幣の管理と同様である。従って、ここでは、子機としての第2の貨幣管理装置200Bにおける大束紙幣の管理に関して詳細に説明する。
【0131】
図10に示すステップS30またはS128において、操作者が1万円の大束紙幣を第2の貨幣管理装置200Bのドロア(第2の収納庫)211〜214のいずれかに収納する(S400)。例えば、操作者は第2の貨幣管理装置200Bのドロア212に大束紙幣を収納するものとする。操作者がドロアを閉じると、ロードセル261がドロア212の重量を測定することによって、大束紙幣がドロア212に収納されたことを検知する(S410)。例えば、操作者は、紙幣保管容器222に大束紙幣を収納するものとする。
【0132】
ロードセル261による大束紙幣の収納の検知に応じて、制御部225cは、タイマ(第2のタイマ)230に計時を開始させる(S420)。
【0133】
そして、第2の貨幣管理装置200Bの送信部229は、タイマ230において計時されている第2の保管期間を第1の貨幣管理装置200Aへ送信する(S430)。第1の貨幣管理装置200Aは、第1の貨幣管理装置200Aの表示部227に、第1の貨幣管理装置200Aに収納されている大束紙幣の第1の保管期間を表示させると共に、第2の貨幣管理装置200Bから受信した第2の保管期間をも表示させる(S440)。これにより、操作者は、親機としての第1の貨幣管理装置200Aの表示部227を確認するだけで、第1および第2の貨幣管理装置200A、220Bに格納されている大束紙幣の保管期間(第1および第2の保管期間)を知ることができる。即ち、第2の実施形態による貨幣管理システム300は、複数の貨幣管理装置200A、200Bに収納されている大束紙幣の保管期間を、親機としての第1の貨幣管理装置200Aにおいて一括管理することができる。
【0134】
第1の保管期間または第2の保管期間のいずれかが上限期限を超過した場合(S450のYES)、例えば、第2の貨幣管理装置200Bのドロア212の紙幣保管容器222内における大束紙幣の保管期間が上限期間を超過した場合、操作者は、第2の貨幣管理装置200B内のドロア212の紙幣保管容器222から大束紙幣を取り出す。操作者は、その大束紙幣の帯封を一旦開封し、紙幣数を計測し直し、さらに、それらの紙幣を再度帯封で結束する。そして、操作者は、帯封を巻き直した大束紙幣を同一ドロア212内の同一紙幣保管容器222へ再度収納する(S460)。
【0135】
第2の貨幣管理装置200Bのタイマ230は、大束紙幣が操作者によって紙幣保管容器222から取出されたとき、あるいは、紙幣保管容器222へ再度収納されたときに、その紙幣保管容器222の保管期間をリセットすればよい(S470)。その後、ステップS410へ戻る。この場合、ステップS400、S450およびS460は、操作者によって実行されるが、その他のステップは、貨幣管理装置200Aが自動で実行することができる。
【0136】
図18は、第2の実施形態による貨幣管理システム300における大束紙幣の他の管理動作を示すフロー図である。第1の貨幣管理装置200Aの記憶部225d、225eまたは225gは、第1および第2の保管期間の上限を示す上限期間を記憶しているものとする。上限期間は、第1および第2の保管期間に共通であってもよく、それぞれに対して異なる期間であってもよい。
【0137】
この場合、図17に示すステップS400〜S440の実行後、親機である第1の貨幣管理装置200Aの制御部225cが、第1および第2の保管期間と上限期間とを比較する(S450)。そして、第1または第2の保管期間が上限期間を超過した場合(S450のYES)、第1の貨幣管理装置200Aの制御部225cは、表示部227に第1または第2の保管期間が上限期間を過ぎたことを示す警告を表示する(S455)。例えば、表示部227は、「第2の貨幣管理装置200Bのドロア212内の紙幣保管容器221の大束紙幣の保管期間が2週間を過ぎました」とのメッセージを表示する。これにより、操作者または管理者は、第2の貨幣管理装置200Bに収納されている大束紙幣の中で、保管期間が上限期間を超過している大束紙幣を容易に把握することができる。この場合、操作者は、保管期間が上限期間を超過している大束紙幣の帯封を巻き直し、その大束紙幣を同一ドロア212内の同一紙幣保管容器222へ再度収納する(S460)。タイマ230は大束紙幣が操作者によって紙幣保管容器222から取出されたとき、あるいは、紙幣保管容器222へ再度収納されたときに、その紙幣保管容器222の保管期間をリセットすればよい(S470)。その後、ステップS410へ戻る。
【0138】
この場合、ステップS400およびS460は、操作者によって実行されるが、その他のステップは、第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bが自動で実行することができる。第1の貨幣管理装置200Aは、保管期間が上限期間を超過している大束紙幣を操作者に対して通知することができる。
【0139】
図19は、第2の実施形態による貨幣管理システム300における大束紙幣のさらに他の管理動作を示すフロー図である。第1の貨幣管理装置200Aの記憶部225d、225eまたは225gは、上限期間と共に、該上限期間よりも所定期間(例えば、2日)だけ短い注意期間を記憶している。
【0140】
図17に示すステップS400〜S440の実行後、第1の貨幣管理装置200Aの制御部225cは、第1および第2の保管期間と注意期間とを比較する(S451)。そして、第1または第2の保管期間のいずれかが注意期間を超過した場合(S451のYES)、第1の貨幣管理装置200Aの制御部225cは、第1の貨幣管理装置200Aの表示部227に第1または第2の保管期間が注意期間を過ぎたことを示す警告を表示する(S461)。例えば、表示部227は、「第2の貨幣管理装置200Bのドロア212内の紙幣保管容器221における大束紙幣の保管期間が12日を過ぎました」とのメッセージを表示する。これにより、操作者または管理者は、第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bに収納されている大束紙幣の中で、上限期間に接近している大束紙幣を容易に把握することができる。この場合、保管期間はまだ上限期間を超過していないので、操作者は、大束紙幣の帯封を巻き直す必要はない。操作者は、保管期間が上限期間に接近している大束紙幣を優先的に使用することによって、無駄な大束紙幣の帯封の巻き直しを省略することができる。
【0141】
その後、第1の貨幣管理装置200Aは、図18のステップS440〜S455を実行し、上限期間を用いて大束紙幣を管理する。第1または第2の保管期間が上限期間を超過した場合、操作者は、保管期間が上限期間を超過した大束紙幣の帯封を巻き直し、その大束紙幣を同一ドロア212内の同一紙幣保管容器222へ再度収納する(S460)。タイマ230は大束紙幣が操作者によって紙幣保管容器222から取出されたとき、あるいは、紙幣保管容器222へ再度収納されたときに、その紙幣保管容器222の保管期間をリセットすればよい(S470)。その後、ステップS410へ戻る。
【0142】
図19に示す運用により、貨幣管理システム300は、第1および第2の保管期間を2段階に分けて管理することができる。即ち、第1の貨幣管理装置200Aは、まず注意期間を用いて第1および第2の保管期間を管理し、第1または第2の保管期間が注意期間を超過した後に、上限期間を用いて第1および第2の保管期間を管理する。これにより、操作者は、上限期間に接近しているがまだ上限期間を超過していない大束紙幣を優先的に使用することができるとともに、第1または第2の保管期間が上限期間を超過した場合には、操作者は、その大束紙幣の帯封を直ちに巻き直すことができる。このように運用することによって、操作者の管理負担および作業負担を軽減し、かつ、大束紙幣を厳正かつ容易に管理することが可能になる。
【0143】
尚、貨幣管理システム300は、保管期間に代えて、残り期間を用いて大束紙幣を管理してもよい。この場合、上記ステップS430において、第2の貨幣管理装置200Bは、第2の貨幣管理装置200Bに収納されている大束紙幣の第2の残り期間を第1の貨幣管理装置200Aに送信する。ステップS440において、第1の貨幣管理装置200Aは、第1の貨幣管理装置200Aの表示部227に、第1の貨幣管理装置200Aに収納されている大束紙幣の第1の残り期間を表示させると共に、第2の貨幣管理装置200Bから受信した第2の残り期間をも表示させる。これにより、貨幣管理システム300は、複数の貨幣管理装置200A、200Bに収納されている大束紙幣の残り期間を、親機としての第1の貨幣管理装置200Aにおいて一括管理することができる。
【0144】
図20は、第1の貨幣管理装置200Aの表示部227に表示される第2の残り期間の管理画面である。ここでは、第2の貨幣管理装置200Bに収納された大束紙幣の残り期間(第2の残り期間)のみを表示しているが、第1の貨幣管理装置200Aに収納された大束紙幣の残り期間(第1の残り期間)も表示してよい。この場合、第1および第2の残り期間はそれぞれ第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bごとに表示される。また、ここでは、第1の貨幣管理装置200A表示部227は、保管期間の長い順番(古い順番)に第2の貨幣管理装置200Bの紙幣保管容器221〜226およびそれに対応する残り期間を表示する。
【0145】
例えば、図20に示す管理画面では、ドロア211の紙幣保管容器221に収納されている大束紙幣の残り期間は、上限期間まで1日であることを示している。ドロア212の紙幣保管容器222に収納されている大束紙幣の残り期間は、上限期間まで2日であることを示している。ドロア211の紙幣保管容器224に収納されている大束紙幣の残り期間は、上限期間まで3日であることを示している。ドロア213の紙幣保管容器225に収納されている大束紙幣の残り期間は、上限期間まで4日であることを示している。尚、図15に示すように、或るドロア内において、大束紙幣の保管期間の長い順番にその大束紙幣を収納する紙幣保管容器を表示してもよく、図20に示すように、全てのドロアを対象として、大束紙幣の保管期間の長い順番にその大束紙幣を収納する紙幣保管容器を表示してもよい。
【0146】
第1または第2の残り期間がゼロになったときに、保管期限が上限期限を超過する。そのときには、第1の貨幣管理装置200Aの表示部227は、保管期間が上限期間を超過したこと、あるいは、残り期間がゼロになったことを示す警告を表示する。
【0147】
このように、残り期間を表示することによって、操作者は、上限期間を意識することなく、大束紙幣の保管期間を管理することができる。また、保管期間の長い順番(古い順番)に紙幣保管容器221〜226およびそれに対応する残り期間を表示することによって、操作者は、どのドロアのどの紙幣保管容器の大束紙幣を優先的に使用すべきかを容易に把握することができる。その結果、操作者の管理負担および作業負担を軽減し、かつ、大束紙幣を厳正かつ容易に管理することが可能になる。
【0148】
第2の実施形態では、大束紙幣の保管期間を管理したが、小束紙幣についても保管期間を同様に管理してよい。さらに、貨幣管理装置200Aは、1万円の大束紙幣だけでなく、5千円、2千円、千円の各大束紙幣または各小束紙幣についても保管期間を同様に管理してよい。貨幣管理装置200Bも貨幣管理装置200Aと同様に単体で貨幣の保管期間を管理してよい。
【0149】
また、第2の実施形態による貨幣管理システム300において大束紙幣の収納時に二者承認を実行してもよい。この場合、図17〜図19におけるステップS460において、図16に示すステップS610〜S630を実行すればよい。
【0150】
第2の実施形態による貨幣管理システム300は、複数の貨幣管理装置200A、200Bに収納されている大束紙幣の保管期間を、親機としての第1の貨幣管理装置200Aにおいて一括管理することができる。従って、操作者は、第1の貨幣管理装置200Aを確認することによって第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bの大束紙幣の保管期間を管理できる。その結果、操作者の管理負担および作業負担をさらに軽減し、かつ、大束紙幣を厳正かつ容易に管理することが可能になる。また、第2の実施形態は、第1の実施形態と同様の効果をさらに得ることができる。
【0151】
通常業務において、第1または第2の貨幣管理装置200A、200Bから大束紙幣を取出す場合、タイマ230は、対応する紙幣保管容器の保管期間をリセットする。第1または第2の貨幣管理装置200A、200Bに大束紙幣を収納する場合、タイマ230は、対応する紙幣保管容器の保管期間の計時を開始する。このとき、親機としての第1の貨幣管理装置200Aから優先して大束紙幣を取出し、あるいは、第1の貨幣管理装置200Aへ優先して大束紙幣を収納する。代替的に、第1および第2の貨幣管理装置200A,200Bのいずれから大束紙幣を取出すかは、操作者が任意に選択してもよい。
【0152】
通常業務において、第1または第2の貨幣管理装置200A、200Bから小束紙幣を取出す場合、操作者は、親機としての第1の貨幣管理装置200A内の小束紙幣を優先的に使用する。第1の貨幣管理装置200Aに収納されている小束紙幣の数が不足している場合、第1の貨幣管理装置200Aは、子機としての第2の貨幣管理装置200Bから大束紙幣の取り出しを可能にする。操作者は、第2の貨幣管理装置200Bから大束紙幣を取り出し、その帯封を開封し、小束紙幣として用いる。第2の貨幣管理装置200Bから大束紙幣が取出された場合、タイマ230は、対応する紙幣保管容器の保管期間をリセットする。また、このとき余った小束紙幣は、第1の貨幣管理装置200Aへ収納される。
【0153】
第1および第2の貨幣管理装置200A、200Bのいずれから小束紙幣を取出すかは、第1の貨幣管理装置200Aが小束紙幣の収納数に基づいて自動で決定してもよい。代替的に、第1および第2の貨幣管理装置200A,200Bのいずれから小束紙幣を取出すかは、操作者が任意に選択してもよい。
【0154】
第2の実施形態において、第1および第2の保管期間、第1および第2の残り期間および警告は、親機としての第1の貨幣管理装置200Aの表示部227に表示された。しかし、これらの表示は、出納機100の表示部15aに表示させてもよい。
【0155】
第1および第2の実施形態において、表示部227に表示される管理期間、残り期間、警告等は、締上げ時に表示させてもよい。この場合、第1の貨幣管理装置200Aは、貨幣管理装置200A、200Bに収納されている大束紙幣の金種および数のほかに、管理期間または残り期間を確認する。そして、管理期間が上限期間を超過している場合、あるいは、残り期間がゼロになっている場合、貨幣管理装置200A、200Bは、図12〜図14あるいは図16〜図19に示すいずれかのフローを実行すればよい。
【符号の説明】
【0156】
100 出納機
200A〜200C 貨幣管理装置
300、301 貨幣管理システム
11 紙幣処理装置
P1 束紙幣処理部
P2 バラ紙幣処理部
12 バラ硬貨処理装置
13 包装硬貨処理装置
14 現金外ボックス
15 制御部
15a 表示部
15b IDカードリーダ
15c 制御部
15d ROM
15e RAM
15f フレキシブルディスクドライブ
15g ハードディスクドライブ
16 キーボード式入力部
18 外部プリンタ
19 通信インタフェース(通信IF)
211〜214 収納ドロア
215 予備収納庫
211m〜215m 開閉電磁ロック
221〜224 紙幣保管容器
241〜243 硬貨保管容器
261 ロードセル
225 制御部
225d ROM
225e RAM
225g ハードディスクドライブ
225c 制御部
226 キーボード式入力部
227 表示部
228 IDカードリーダ
229 通信インタフェース(通信IF)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金融機関の店舗内に設置され、貨幣を入金または出金することが可能な貨幣管理装置であって、
貨幣を収納する収納庫と、
貨幣が前記収納庫に収納された時点からの保管期間を計時するタイマと、
前記保管期間、または、前記保管期間の上限を示す上限期間から前記保管期間を引いた残り期間を表示する表示部とを備えた貨幣管理装置。
【請求項2】
前記保管期間の上限を示す上限期間を記憶する記憶部と、
前記保管期間と前記上限期間とを比較する制御部とをさらに備え、
前記表示部は、前記保管期間が前記上限期間を超過したときに、前記保管期間が前記上限期間を過ぎたこと、あるいは、前記残り期間がゼロになったことを示す警告を表示することを特徴とする請求項1に記載の貨幣管理装置。
【請求項3】
前記保管期間の上限を示す上限期間よりも所定期間だけ短い注意期間を記憶する記憶部と、
前記保管期間と前記注意期間とを比較する制御部とをさらに備え、
前記表示部は、前記保管期間が前記注意期間を超過したときに、前記保管期間が前記注意期間を過ぎたことを示す警告を表示することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の貨幣管理装置。
【請求項4】
前記収納庫に収納された貨幣の量を測定し、該収納庫に貨幣が収納されたことを検知する測定部をさらに備え、
前記タイマは、前記測定部が前記収納庫に貨幣が収納されたことを検知したときに前記保管期間の計時を開始することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の貨幣管理装置。
【請求項5】
前記収納庫は、1束100枚の束紙幣を10束ごとに束ねた大束紙幣を収納し、
前記表示部は、少なくとも前記大束紙幣の前記保管期間または前記残り期間を表示することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の貨幣管理装置。
【請求項6】
複数の前記収納庫が設けられており、
前記タイマは、各前記収納庫ごとに前記保管期間を計時し、
前記表示部は、前記保管期間の長い順番に複数の前記収納庫および前記保管期間または前記残り期間を表示することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の貨幣管理装置。
【請求項7】
当該貨幣管理装置の操作許可者のID情報を読み取るカードリーダをさらに備え、
前記収納庫は、1束100枚の束紙幣を10束ごとに束ねた大束紙幣を収納し、
前記記憶部は、当該貨幣管理装置の操作許可者のID情報を記憶し、
或る大束紙幣の前記保管期間が前記上限期間を超過した場合に、前記カードリーダは、該大束紙幣の帯封を巻き直して作成された新しい大束紙幣を再度前記収納庫へ収納する複数の操作者のID情報を読み取り、
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記操作許可者のID情報の中に、前記カードリーダによって読み取った前記複数の操作者のID情報がある場合に、前記大束紙幣を前記収納庫へ収納することを許可することを特徴とする請求項2から請求項6のいずれかに記載の貨幣管理装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記記憶部に記憶された前記操作許可者のID情報の中に、前記カードリーダによって読み取った前記複数の操作者のID情報のいずれかが無い場合に、前記大束紙幣を前記収納庫へ収納することを許可せず、
前記表示部は、前記カードリーダによって読み取った前記複数の操作者のいずれかが前記操作許可者でないことを通知することを特徴とする請求項7に記載の貨幣管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−248023(P2012−248023A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119588(P2011−119588)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】