説明

販売促進システム、そのクーポン発行管理装置、プログラム

【課題】店舗で販売される商品の値引額を、その商品の販売状況に応じて適時適切な額に調整可能とする。
【解決手段】クーポン発行管理装置40は、各クーポン1のクーポン情報を登録させて格納・管理すると共に、POSシステムの上位装置20が格納・管理する売上情報や、クーポン発行装置50によるクーポン発行状況に基づいて、各クーポン1の発行数、実際の利用数等とその適用対象商品の売上数の情報を含むクーポン発行効果情報を生成して、例えば外部装置70等に表示させる。上記クーポン情報の登録も外部装置70等から行え、外部装置70(各商品のメーカ側端末等)のユーザは、表示されるクーポン発行効果情報を参照することで、クーポンの効果等を認識でき、次の時間帯等におけるクーポンの割引額等を、売上目標と利益の両面で適切な額となるように決定できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小売店やスーパーマーケット等の店舗における商品の割引販売に係る販売促進システム等に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、小売店やスーパーマーケット等の商品販売店舗における販売促進方法として、販売価格の値引き(割引き)が行われている。これは予め、特売を行う商品に対して任意の割引額(値引額)を定めて、通常時の販売価格(定価等;以下、通常価格というものとする)から割引額を減算した価格を特売時の販売価格とすることで、通常価格に対する割安感を出す事で、売上の向上を目指すものである。尚、一般的に特売の際には割引額ではなく割引率(例えば2割引等)を定める場合も多いが、この場合でも結局、通常価格と割引率とに応じて割引額が決まることになるので、実質的に割引額が定められるものと考えてよい。
【0003】
上記の販売促進方法では、値引額の決定は、過去の経験や、後述するメーカからの販売促進費などによって決められる事が多く、販売目標に対して、最適な価格決定が行われているとは言い難い。
【0004】
また、流通業界における商習慣として、値引き販売を行う際の原資(値引による損失)は、値引きの対象となる商品を製造しているメーカが、販売促進費等の名目によって負担する事が、多々行われているが、これをメーカ側の立場から見た場合、自社で負担している販売促進費が、どの様に運用(例えば1個当たりの値引額)されているのか、また値引きによりどの程度の売上向上が果たせたのか(値引きの効果)等を確認する事はできない。
【0005】
そのためメーカは、店舗の売上情報を有償で購入(流通店舗ではPOS情報を、特定商品のみ、他社の関連商品も含む等、その内容に応じた価格でメーカに販売しているのが一般的である)するなどして、それを統計的に解析する事で、売上げ効果の把握を行っているのが実情である。
【0006】
ここで、商品の割引販売をサポートするシステムとして、例えば特許文献1,2等に記載のシステムが知られている。
特許文献1の発明は、ある種の商品の購入価格を消費者自身に完全に委ねることを特徴としており、商品販売に先立って、販売する商品の数量と入札期限とを表示する段階と、ユーザが希望購入価格を入力する段階と、この希望購入価格のデータに基づき、価格数値の上位から一定の価格範囲で入札状況を表示する段階とを設ける。
【0007】
また、特許文献2の発明は、当日完売商品に対して従業員が売場に出かけて値引き内容を自分で判断しなくても、売上状況に基づいて自動的に表示価格を変更するシステムを実現するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−245288号公報
【特許文献2】特開2003−337982号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記従来の手法のうち、まず、予め値引額(値引き後の販売価格)を決定しておく手法では、予め設定した販売価格が、消費者に対して充分な割安感を与えられず、想定した販売数量を達成する事が出来ない場合や、反対に必要以上の値引きを行ってしまい、店舗やメーカの利益を不必要に低下させてしまう等の場合がある。
【0010】
また、一般的に、値引額は、過去の売上データや、経験などに基いて決定されるが、実際の販売においては、その時の気象条件や、競合製品・競合店舗によるキャンペーン等、さまざまな要因により、必ずしも期待通りの結果が得られないのが実情である。
【0011】
これに対して、上記特許文献2の手法では、リアルタイムの売上状況に基づいて自動的に表示価格を変更することができるが、これは売れ残りの極小化を図るものであり、売れ残り発生を防止するために必要以上の値引販売をしてしまう可能性があり、利益を低下させないことに関しては不十分である。また、特許文献2には、商品の製造元であるメーカ側が値引き額に応じた売上げ効果を容易に把握できるようにすることは開示されていない。
【0012】
本発明の課題は、店舗で販売される商品の値引額を、その商品の販売状況に応じて適時調整可能とするシステムであって、特に値引きの効果を明確に把握できるようにすることができ、それによって適切な値引額を設定できることが期待でき、あるいは適切な値引額を自動的に決定できる販売促進システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の販売促進システムは、任意の商品に対する割引クーポンを少なくとも割引額の情報を含むクーポン情報に基づいて発行するクーポン発行装置と、購入商品の決済を行う為の端末であって前記割引クーポンに応じた割引きを行ったうえで決済処理を行う決済端末と、該決済端末に接続される上位装置と、前記クーポン発行装置及び前記上位装置に接続されるクーポン発行管理装置を有する販売促進システムであって、前記決済端末は、前記決済処理結果を示す情報である売上情報を生成して前記上位装置へ送信する売上処理手段を有し、前記上位装置は、前記売上情報を蓄積する売上情報記憶手段と、各商品毎に予め決まっている基本情報である商品情報を予め記憶する商品情報記憶手段とを有し、前記クーポン発行管理装置は、各商品毎に1以上の前記クーポン情報と、該各クーポン情報の管理情報であって各割引クーポンの発行枚数を示す発行数と、各割引クーポンが前記決済端末で使用された回数を示す利用数が含まれる管理情報とから成るクーポン管理情報を記憶するクーポン管理情報記憶手段と、前記クーポン発行装置における割引クーポン発行状況に応じて前記発行数を更新する発行数更新手段と、前記売上情報に基づいて前記利用数を更新する利用数更新手段と、前記売上情報に基づいて各商品毎の売上数を求めて、前記商品情報と前記クーポン管理情報とに基づいて、各商品毎に、その商品に関して発行された1以上の割引クーポンに関する前記発行数、利用数、売上数と前記割引額の情報を含むクーポン発行効果情報を生成して表示させるクーポン発行効果情報生成手段と、前記クーポン情報を登録させる為の登録画面を表示して任意の内容の前記クーポン情報を新規登録させて、該クーポン情報を前記クーポン管理情報記憶手段に追加記憶するクーポン情報登録手段とを有する。
【0014】
上記表示されるクーポン発行効果情報をユーザが参照することで、ユーザは、例えば同一商品に関する各割引クーポンの割引額に応じた売上数や、売上数に対するクーポンの発行数/利用数等から、値引きの効果を明確に把握できるようになる。更に、これによって適切な値引額を判断できることが期待できる。クーポン情報登録手段によりこの値引額の新たなクーポン情報を設定する。
【0015】
また、例えば、前記クーポン発行効果情報生成手段は、任意の商品製造元メーカの外部
装置からネットワークを介して要求があった場合、該製造元メーカの商品に関する前記クーポン発行効果情報を生成して該外部装置に送信して表示させ、前記クーポン情報登録手段は、前記製造元メーカの外部装置に該製造元メーカの商品に関する前記クーポン情報を登録させる為の登録画面を表示させて任意のクーポン情報の登録を行わせ、該クーポン情報を前記クーポン管理情報記憶手段に追加記憶する。
【0016】
上記の通り、値引による損失は、値引き対象の商品の製造元メーカが負担するケースが少なくないが、本システムでは上記構成によりメーカ側が値引きによる売上げ効果を容易且つ適時(リアルタイムで)に把握できるようになる。そして、上記のように、適切な値引額を判断できることが期待できる。更に、適時、適切な値引額のクーポン情報を登録してクーポン発行させることができるようになる。
【0017】
また、例えば、前記クーポン発行管理装置は、予め各商品毎にその商品の比較対象となる商品を登録した比較対象商品記憶手段を更に有し、前記クーポン発行効果情報生成手段は、各商品毎に、前記クーポン発行効果情報に加えて更に前記比較対象商品に関する前記売上数の情報を含む比較情報を生成して表示させる。
【0018】
例えば他社の競合商品との比較を行うことで、例えば上記適切な値引額を判断するのに役立つ。
また、例えば、前記クーポン発行管理装置または前記外部装置は、前記各時間帯毎の前記売上数と該売上数に基づいて求められる各時間帯までの売上数累計値と、各時間帯毎の目標販売数と各時間帯までの目標販売数の累計値とに基づいて、次の時間帯におけるクーポン情報の割引額を決定するクーポン情報制御手段を更に有する。
【0019】
この様に、上記適切な値引額を、ユーザが判断するのではなく、自動的に決定することもでき、ユーザの手間が掛からないようにできる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の販売促進システムによれば、店舗で販売される商品の値引額を、その商品の販売状況に応じて適時調整可能とすることができ、特に値引きの効果を明確に把握できるようにすることができ、それによって適切な値引額を設定できることが期待できるようになる。あるいは適切な値引額を自動的に決定でき、ユーザの手間が掛からないようにできる。また、値引きの効果等をメーカ側で明確に把握できるようになる。また、商品の販売状況と値引効果に応じた適時の値引額の設定を、店舗側ではなく、商品のメーカ側が遠隔操作により行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本例の販売促進システム全体の概略構成図である。
【図2】図1に示すシステムの詳細構成図(実施例1の構成図)である。
【図3】図1、図2のシステムにおいて生成・記憶される各種情報の一例を示す図である。
【図4】実施例2の販売促進システムの詳細構成図である。
【図5】図4のクーポン情報制御部の機能ブロック図である。
【図6】(b)はクーポン情報制御部の処理フローチャート図、(a)はこの処理に係る各種データの一例である。
【図7】図6に示す一例に対して他の例を示すものである。
【図8】コンピュータ・ハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本例の販売促進システム全体の概略構成図である。
図示の例の販売促進システムは、POS端末10と上位装置20から成るPOSシステムと、POS端末10に接続されたクーポン利用装置30と、店舗内の各売場に設置されたクーポン発行装置50と、クーポン発行管理装置40等を有する。これらの各装置は、小売店やスーパーマーケット等の店舗内に設置されている。また、更に、外部装置70を有する構成としてもよい。この外部装置70(複数可)は、ネットワーク等を介して、クーポン発行管理装置40にアクセス可能となっている。各外部装置70は、例えば、この店舗で販売している各種商品の製造元である各メーカ側に設置されている、パソコン等のコンピュータ端末である。尚、POS端末10とクーポン利用装置30とで決済端末と呼ぶものとする。
【0023】
これら各装置のうち、本発明の特徴は主にクーポン発行管理装置40にある。クーポン発行管理装置40は、詳しくは後述するように、任意の割引き対象商品に関する任意のクーポン情報を登録させるクーポン登録機能等を有する。クーポン情報には割引額等の情報が含まれる。クーポン情報は基本的に何時でも変更可能である。つまり、適時、クーポンの割引額等の設定内容を変更できる。尚、これは同一商品に関して複数種類のクーポン情報を登録できる、ということもできる(後述するように、「クーポンの発行効果」を示す情報を生成する為に、クーポン情報を変更しても変更前のクーポン情報(及びその管理情報)を消去せずに残しておく為、結果的に、同一商品に関して複数種類のクーポン情報が登録されていることになる)。尚、勿論、複数種類登録されていても、任意のときに発行可能なクーポンはそのうちの1種類のみである(例えば時間等の条件による)。
【0024】
このクーポン情報によりクーポン発行装置50からクーポン発行させる。クーポン発行管理装置40は、更に、上記POSシステム等が生成・記憶する各種情報等に基づいて、後述するクーポン発行効果情報120を生成して表示等する機能を備える。このクーポン発行効果情報120は、クーポン発行管理装置40のディスプレイに表示させてもよいし、上記外部装置70に表示させてもよい。また、上記クーポン情報の登録を、Web機能等により外部装置70から行わせるようにしてもよい。つまり、遠隔操作によるクーポン情報登録を行えるようにしてもよい。
【0025】
ユーザは、上記クーポン発行効果情報120を参照することで、値引きの効果を明確に把握できるようになり、これにより適切な値引額を設定可能となる。ここで、適切な値引額とは、販売目標数と利益の両面で適切となる値引額であり、売上数を目標に達することだけを考えて値引額を多くし過ぎて利益が不当に減少することが無いようにするものである。
【0026】
POSシステムは、購入商品の決済(精算)を行う為に店舗内の各レジに設置された各POS端末10と、各POS端末10と通信線により接続され、販売情報の集計管理を行う上位装置20とで構成される。
【0027】
POS端末10には、クーポン情報を読取る為のクーポン利用装置30が接続され、上位装置20にはクーポン情報の登録と管理を行う為の上記クーポン発行管理装置40が接続されている。このクーポン発行管理装置40には、店舗内の各売場に設置されてその売
場の任意の割引き対象商品(複数可)に係るクーポン1の発行を行う為のクーポン発行装置50が通信線等で接続される。クーポン発行装置50は、上記クーポン発行管理装置40が管理するクーポン情報に基づいてクーポン1を発行する。
【0028】
このクーポン1によって、レジでの精算の際に、該当商品の割引き決済が行われることになる。すなわち、クーポン発行装置50から発行されるクーポン1のクーポン情報は、レジにおける購入商品の決済前に、クーポン利用装置30によって読取られる。このクーポン情報には、当該クーポン1による割引き対象商品の識別IDや割引額等の情報が含まれ、POS端末10は、クーポン利用装置30によって読取られたクーポン情報に基づいて、割引き対象商品の値段を割引額分値引きして決済する。
【0029】
また、POS端末10は、クーポン1が使用された割引き対象商品に限らず決済処理を行った全商品に関する各決済処理結果を示す情報(後述する販売情報80)を生成して、これを上位装置20に送信する。クーポン1が使用された割引き対象商品に関する販売情報80には、使用されたクーポン1の識別IDや割引額等の情報(クーポン利用情報というものとする)も含まれる。上位装置20は、この販売情報80を蓄積する(後述する売上情報90として蓄積される)。
【0030】
上記システム構成において、クーポン発行管理装置40は、POSシステムの上位装置20に記憶されている上記売上情報90や後述する商品情報100等を参照(取得)して、これらや他の各種情報(後述する)に基づいて「クーポンの発行効果」を示す情報(後述するクーポン発行効果情報120)等を生成して表示する機能部を有する。また、この「クーポン発行効果情報120」等は、上記のように、外部装置70が表示するようにしてもよい。
【0031】
上記「クーポン発行効果情報120」は、各割引き対象商品毎にそれぞれ生成されて表示される。外部装置70に表示する場合には、当該外部装置70のメーカの商品に関する情報120のみが表示される(但し、比較の為に、他メーカの関連商品の売上状況等が表示される場合はある)。
【0032】
クーポン発行管理装置40や外部装置70のユーザ(操作者)は、この「クーポン発行効果情報120」等の表示内容を参照することで、クーポン利用状況の把握、売上状況の把握、各クーポンの割引額に応じた売上数等に基づくクーポンの効果の分析、割引対象商品とその関連商品等との売上状況の比較によるクーポンの効果の分析等を、容易に行うことができるようになる。そして、ユーザは、表示内容に基づく上記把握/分析結果に基づいて、この情報120に係る割引き対象商品に対する新たな割引額(値引額)を決定・設定する。これは、上記の通り、適切な割引額が決定されることが期待できる。
【0033】
このように、商品の販売状況等に応じて、その商品の割引額を適時変更可能とすることができる。これは、値引きの効果を明確に把握できることから、値引き額が少なすぎたり逆に多すぎたりすることなく、適切な割引額を設定できることが期待できる。よって、消費者に対して充分な割安感を与えられず、想定した目標販売数を達成する事が出来ない事態や、その反対に必要以上の値引きを行ってしまい(割引額が大き過ぎる)、店舗やメーカの利益を不必要に低下させてしまう事態が生じる可能性を、非常に低くすることが可能となる。
【0034】
また、上記のように、例えば値引きの対象となる商品を製造しているメーカ側において、自己の端末(外部装置70)で上記表示内容を参照できるので、たとえば自社で負担している販売促進費が、どの様に運用(例えば1個当たりの値引額)されているのか、値引きによりどの程度の売上向上が果たせたのか(値引きの効果)等を確認する事ができる。更
に、メーカ側が、自社の値引き対象商品の割引額を、商品の販売状況等に応じて、リアルタイムで適時、遠隔操作により設定変更することができる。この場合も、適切な割引額を設定できることが期待できる。
【0035】
また、後述する実施例2の場合には、外部装置70等において、ユーザが判断する必要なく自動的に、適切な割引額を決定することができる。
図2に、上記図1に示すシステムの詳細な構成例を示す。これは実施例1の構成例である。実施例2の構成は図4に示し、後に説明する。また、図3には、このシステムにおいて生成・記憶される各種情報の一例を示す。
【0036】
図2において、まず、POS端末10は、決済(精算)した商品の売上処理を行うための売上処理部11を備える。すなわち、売上処理部11は、決済(精算)した各商品に係る販売情報80を生成して上位装置20の売上情報登録部23へ送信する処理を実行する。尚、決済(精算)処理は、売上処理部11が行っても良いし、POS端末10内の不図示の他の機能部が行っても良い。もしクーポン1が提示されてクーポン利用装置30がクーポン情報を読み取ってPOS端末10に送信した場合には、決済(精算)処理の際、このクーポン情報に基づいて、このクーポンによる割引き対象商品の決済(精算)金額を、割引価格=「通常価格−割引額」として決済を行う。
【0037】
販売情報80は、決済処理を行った各商品の決済内容を示す情報であり、例えば図3に一例を示すように、販売(精算)した商品の商品コード81、売上時刻(レジにおいて精算した時刻)82、当該商品コード81の商品の通常価格(定価等)である表示額83等の情報より成り、更にクーポン1が使用された場合には、このクーポン1の識別番号であるクーポンNo.85とその割引額84の情報が含まれる。“商品コード”は、各商品を特定するための識別IDであり、予め各商品毎に一意のユニークな番号等が割り当てられている。
【0038】
尚、商品コード81と表示額83は商品からバーコード等により取得した情報であり、クーポンNo.85と割引額84は、クーポン利用装置30のクーポン情報読取部31によってクーポン1から読み取った情報である。尚、表示額83は、上記の通り、定価に限らないものであり、例えばその商品の値札に示される金額を意味する。つまり、顧客がその商品の通常の値段(割引を行わない場合の値段)であると認識する金額を意味する。
【0039】
尚、クーポン1は、例えばICカード等にクーポン情報が書き込まれたもの、あるいは紙のクーポン券にバーコード等によりクーポン情報が印刷されたもの等である。これより、クーポン情報読取部31は、例えばICカード・リーダ装置、あるいはバーコードリーダ装置等である。何れにしても、クーポン情報読取部31は、クーポン1からクーポン情報を読み取ることになる。
【0040】
上記クーポン情報は、上記クーポンNo.と、割引額と、このクーポンの適用対象の商品の商品コード等の情報より成る。クーポン情報読取部31は、読み取ったクーポン情報をPOS端末10に送信する。POS端末10は、このクーポン情報に基づき割引き対象商品に関しては上記割引価格により決済処理を行う。そして、上記の通り、売上処理部11によって、この決済結果を示す上記販売情報80が売上情報登録部23に送信されることになる。
【0041】
上位装置20は、上記販売情報80を売上情報90として蓄積する。すなわち、上位装置20は、売上情報90を記憶する売上情報記憶部22を備えており、上記売上情報登録部23は、売上処理部11から送信された販売情報80を、売上情報記憶部22の売上情報90に追加記憶する。つまり、売上情報90とは販売情報80群を意味すると考えてよ
い。よって、売上情報90は、図3に示すように、販売情報80と同じデータ構成となっており、商品コード91、売上時刻92、表示額93、割引額94、クーポンNo.95から成る。売上情報90の各レコードが、それまでに受信した販売情報80に相当するものであり、図示の販売情報80も売上情報90の新規レコードとして登録されることになる。
【0042】
また、上記売上情報登録部23は、更に、上記販売情報80からクーポンNo.85を抽出して、これをクーポン発行管理装置40に渡すようにしてもよい。これにより、クーポン発行管理装置40は、後述するように、クーポン管理情報110の利用数115を更新する。尚、後述するように、利用数115の更新方法は、この例に限るものではない。
【0043】
また、上記の通り売上情報90は販売情報80の蓄積データであるのだから「販売情報=売上情報」(厳密には販売情報群=売上情報)と考えても良い。これより、売上処理部11は売上情報を生成・送信するものと見做しても良い。
【0044】
また、上位装置20は、更に、商品情報100を予め格納する商品情報記憶部21を有している。商品情報100は、各商品毎に予め決まっている基本情報であり、予め記憶しておくものであり、基本的にはその内容が変更されることはない。
【0045】
図3に示す例では、商品情報100は、各商品毎に、その商品コード101、商品名102、メーカ名103、表示額104等の情報が格納されるが、この例に限らず、例えば更に上記商品分類等の情報が加わっても良い。この例が示すように、商品情報100は、この商品情報100によって、どの商品がどのメーカ製であるのか等を判別できるので、例えば後述するように、各メーカ別のクーポン管理情報110の作成や外部装置70への表示情報生成の際に、商品情報100を参照する。詳しくは後述する。
【0046】
一方、クーポン発行管理装置40は、クーポン情報記憶部41、表示情報生成部42、クーポン情報登録部43、クーポン利用明細作成部44、操作者識別部45等を備える。
クーポン情報記憶部41には、各クーポンのクーポン管理情報110が格納される。クーポン管理情報110は、クーポンの内容(割引額等)を示す情報、すなわちクーポン自体の情報であるクーポン情報とその管理情報から成る。クーポン情報はユーザが任意に設定する。管理情報は、クーポンの発行/利用状況に応じてクーポン発行管理装置40が適時更新する。クーポン情報登録部43は、任意のユーザ(操作者)に所望のクーポン情報を入力させて、このクーポン情報をクーポン情報記憶部41に追加格納する。その際、この新規クーポン情報に対応する管理情報には初期値(例えば‘0’)を格納する。
【0047】
クーポン情報は、同一商品に対して複数種類登録可能である。同一商品に係るクーポンであっても種類が異なればクーポンNo.は異なる。各種クーポンは、それぞれ複数発行可能であり、同一種類のクーポンはクーポンNo.は同じである。
【0048】
図3に、クーポン管理情報110の具体例を示す。ここでは、クーポン管理情報110は、クーポンを各メーカ別に管理する情報であり、図示の例では「メーカ;A社」に係るクーポン管理情報110を示している。すなわち、A社の全てのクーポン適用商品に関するクーポンのクーポン情報とその管理情報がひとまとめで格納されている。
【0049】
クーポン管理情報110は、図3に示す例では、各クーポン毎に、そのクーポンの識別番号であるクーポンNo.111や当該クーポンの適用対象商品の商品コード112と、割引額113、発行数114、発行限度数115、発行期間116、利用数117等より成る。このうち、クーポンNo.111と商品コード112及び割引額113が、クーポン自体の情報であるクーポン情報であると見做してよく、ここでは発行限度数115と発行期
間116もクーポン情報に含まれるものとするが、この例に限らない。すなわち、発行数114、発行限度数115、発行期間116、及び利用数117を、管理情報と見做しても良い。
【0050】
クーポン発行装置50はこのクーポン情報をクーポン情報記憶部41から取得して例えば顧客のICカードに書き込む(クーポン発行する)ものである。発行する(例えばICカードに書き込む)クーポン情報としては、クーポンNo.111と商品コード112及び割引額113の情報であればよく、発行限度数115と発行期間116は必ずしも含まれている必要はない。
【0051】
一方、発行数114と利用数117は、クーポン情報の管理情報であり、両方とも新規クーポン情報登録時に初期値(=‘1’)が格納され、その後、クーポンの発行/利用状況を反映させる形で更新されていく。
【0052】
新規クーポンのクーポン情報を任意のユーザに登録させる際には、クーポン情報登録部43は、このユーザのコンピュータ端末の表示装置(例えばクーポン発行管理装置40の不図示の表示装置、あるいは外部装置70の表示装置71)に、不図示のクーポン情報登録画面を表示させて、ユーザに所望の商品コード(または商品名)、割引額、発行限度数、発行期間を入力させて、これらを新たなクーポン情報の商品コード112、割引額113、発行限度数115、発行期間116としてクーポン情報記憶部41に記憶する。更に、任意のクーポンNo.を割り当ててクーポンNo.111に登録する。クーポンNo.の割当て方法は、何でもよいが、重複しないようにユニークな識別番号となるように割り当てる。更に、発行数114と利用数117には初期値(=0)を登録する。尚、ユーザに商品名を入力させた場合には、商品情報100を参照して該当する商品コード101を取得して、これを商品コード112に登録する。
【0053】
尚、発行限度数115は、任意に決めてよいが、例えば、上述した販売促進費等に応じてまず発行限度数の総数を決めて、この総数を各時間帯に任意に配分する形で決めることが考えられる。販売促進費は、予め決まった上限等がある場合が多く、それ故に無制限にクーポンを発行すると、値引による損失が販売促進費を越えてしまう(予算オーバーする)可能性がある。これより、例えば上記のように発行限度数115を設定することで、決められた予算(販売促進費等)の枠内でクーポンを発行することができる。
【0054】
上記の通り、同一商品に対して複数種類のクーポン情報が登録可能であり、この場合、各クーポン種類毎にクーポンNo.111は異なる。例えば、図3に示すクーポン管理情報110の例では、商品コード‘0001’の商品(下位4桁のみ示すものとする。尚、クーポンNo.は下位2桁のみ示すものとする)に対して2種類のクーポン情報が登録されており、それぞれクーポンNo.111=‘01’、クーポンNo.111=‘04’となっている。また、上記の通り、各種クーポンはそれぞれ複数枚発行可能であり、図3に示す例では、クーポンNo.111=‘01’のクーポンは10枚発行されているが(発行数114=‘10)’、この10枚のクーポンは全てそのクーポンNo.111は‘1’となっている。
【0055】
発行期間116は、そのクーポンを発行する時間帯を意味する。上記の通り、同一商品に対して複数種類のクーポンが登録されていても、任意のときに発行されるクーポンはそのときの時刻に応じてそのうちの1種類のクーポンのみである。すなわち、例えば、図3に示す例では、例えば商品コード‘0001’の商品に関しては、11時〜12時の時間帯にはクーポンNo.=01のクーポンが発行され、12時〜13時の時間帯にはクーポンNo.=04のクーポンが発行されることになる。
【0056】
発行限度数115は、そのクーポンの発行枚数の上限値であり、発行数114が発行限
度数115に達したならば、その後は現在時刻が発行期間116内であってもそのクーポンは発行されない。発行数114は、クーポン発行装置50によってそのクーポンが発行された回数であり、例えばクーポン発行装置50によってクーポン発行される毎に+1インクリメントされる。
【0057】
また、利用数117は、発行されたクーポンのうち実際に利用されたクーポンの枚数である。例えば、図3の例では、クーポンNo.=01のクーポンに関しては、10枚発行されているが、そのうち実際に利用された(レジで使用された)クーポンは1枚のみであることになる。例えば上記のように売上情報登録部23がクーポンNo.85を通知してくる毎に、クーポン管理情報110において該当するレコードの利用数117を+1インクリメントする。該当するレコードとは、そのクーポンNo.111がクーポンNo.85と同一であるレコードである。
【0058】
尚、この例に限らず、例えば定期的に売上情報90を参照して、そのクーポンNo.95により利用数を求めるようにしてもよい。例えば、クーポンNo.=01のクーポンに関しては、売上情報90においてクーポンNo.95=01であるレコードを全て検索して求め、この該当レコード数を利用数117として登録する。
【0059】
クーポン発行装置50は、上記クーポン管理情報110に基づいて、該当するクーポン情報をクーポン情報表示部51に表示する。これは、例えば、予め各クーポン発行装置50毎に、その発行装置50が取り扱うクーポン適用商品の商品コードが登録されており、この商品コードと現在時刻により、各メーカ別のクーポン管理情報110群から該当するクーポン管理情報110を取得して、例えばその商品名、表示額、割引額等を表示する。尚、商品名や表示額は商品情報100を参照すれば分かる。「該当するクーポン情報」とは、その商品コード112が上記クーポン適用商品の商品コードと同一であり、且つ現在時刻がその発行期間116内であるクーポン情報である。但し、上記のように発行数114が発行限度数115に達していた場合には、「該当するクーポン情報」であっても表示されない。
【0060】
クーポン情報表示部51は、例えばタッチパネル付ディスプレイであり、顧客が所望の商品名の表示位置をタッチすることで、その商品名の商品のクーポン発行が指定されたと見做して、クーポン出力部52がクーポン発行する。これは、例えば顧客が所持するICカードに、指定された商品のクーポン情報(クーポンNo.111、商品コード112、割引額113)を書き込む。勿論、既に述べた通り、この例に限るものではない。
【0061】
クーポン発行装置50は、発行したクーポンのクーポンNo.をクーポン発行管理装置40に通知する。これより、管理装置40は該当するクーポン管理情報110の発行数114を+1インクリメントする。勿論、この例に限らず、クーポン発行装置50が各クーポンの発行枚数をそのクーポンNo.に対応付けて記憶しておき、クーポン発行管理装置40が定期的にこの記憶情報を取得して発行数114を更新するようにしてもよい。
【0062】
上記クーポン情報登録部43による新規クーポン登録作業は、上記の通り、各外部装置70からネットワーク2を介して遠隔操作により行うことができる。ここで、外部装置70は、例えばその店舗で販売している商品であって特にクーポン適用対象の商品の製造元のメーカ側に設置されているコンピュータ装置である。外部装置70は例えばWebブラウザ機能を備え、クーポン発行管理装置40は例えばWebサーバ機能を備える。
【0063】
管理装置40は、例えば、各外部装置70のIPアドレスとメーカ名とを対応付けた情報やパスワード等を予め保持している。これより、任意の外部装置70がネットワーク2を介して管理装置40にアクセスしてくると、パスワード認証等を行うと共に、そのIP
アドレスによりアクセス元の外部装置70に対応するメーカ名を識別する。つまり、アクセス元のメーカを識別する。
【0064】
これより、クーポン情報登録部43は、アクセス元のメーカの商品についてのみ、そのクーポン情報の登録を許可する。例えば、商品情報100を参照することで、アクセス元のメーカの全ての商品の商品名を抽出して、この商品名一覧を表示部71に表示して任意の商品名を選択させることで、この選択された商品に関する新規クーポン情報の登録を、表示部71に表示させた上記クーポン情報登録画面上で行わせる。これは、クーポン発行効果情報120の生成処理についても同様であり、アクセス元のメーカの商品に関してのみ(但し比較対象商品は除く)、そのクーポン発行効果情報120を生成してアクセス元の外部装置70に表示させる。
【0065】
ここで、本手法では、この登録作業前に、外部装置70の操作者が適切な割引額等を判断できるようにする為の情報を生成して表示部71に表示させる。すなわち、表示情報生成部42が、例えば図3に示すクーポン発行効果情報120を生成して、これを表示部71に表示させる。このクーポン発行効果情報120の生成処理について、以下、図3を参照して詳細に説明する。
【0066】
クーポン発行効果情報120の生成には、商品情報100、売上情報90、メーカ別のクーポン管理情報110、及び比較対象登録情報130を用いる。尚、比較対象登録情報130は、予め例えばクーポン情報記憶部41(あるいはクーポン発行管理装置40が備える他の記憶部等)に記憶されている。
【0067】
まず、商品情報100を参照して、アクセス元のメーカの全ての商品を認識して、各商品毎にクーポン発行効果情報120を生成する。図3ではA社の外部装置70からアクセスがあったものとし、その各商品のうち“○○カレー”に関するクーポン発行効果情報120の生成例を示している。
【0068】
クーポン発行効果情報120は、対象商品に関する効果情報(対象商品の商品名(クーポン適用商品名121)とクーポン情報122と売上状況123とから成る情報)と、この対象商品に係る比較対象商品に関する情報(図示の比較情報124)とから成る。
【0069】
比較対象商品は、予め各商品毎に図示の比較対象登録情報130として登録されている。比較対象登録情報130は、任意の割引適用商品(対象商品)とこの商品の比較対象商品の商品コードからなる情報であり、先頭レコードが任意の商品、2番目以降の各レコードが比較対象商品の商品コードである。図示の例では商品コード=0001の商品(○○カレー)に対して、比較対象商品として商品コード=0002、0003の商品が登録されており、これにより図示の例のクーポン発行効果情報120は、比較情報124として、“◇◇カレー”と“△△カレー”の情報が示されることになる。尚、図では“○○カレー”に関する情報のみ示すが、他の割引適用商品についても同様に登録されている。
【0070】
上記「対象商品に関する効果情報」の生成方法としては、まず、商品情報100に基づき、クーポン適用商品名121には上記“○○カレー”が記述され、更にその表示額104=“¥250”が売上状況123の「表示額」に記述される。更に、“○○カレー”の商品コード101(=0001)を用いて売上情報90を検索して、各時間帯(発行期間)毎に該当するレコードの数を求め、この該当レコード数を各時間帯(発行期間)毎の売上数として売上状況123の「売上数」に記述する。該当するレコードとは、その商品コード91が上記商品コード101(=0001)と同一であるレコードであるが、上記の通り、求めるのは各時間帯(発行期間)毎の該当するレコードの数であり、例えば図示の発行期間が10:00〜11:00の時間帯に関しては、商品コード91が‘0001’のレコードの
うちその売上時刻92がこの時間帯内にあるレコードが1つも無かったものであり、その売上数は‘0’となっている。
【0071】
更に、上記“○○カレー”の商品コード101(=0001)を用いてクーポン管理情報110を検索して該当するレコードを抽出して、これら抽出レコードを例えば発行期間順にソートしたうえで、クーポン情報122として記述する。但し、図示の例ではクーポンNo.111及び商品コード112は記述せずに、それ以外の情報(割引額、発行数、発行限度数、利用数、発行期間)を記述しているが、この例に限らない。例えば、抽出レコード(クーポン管理情報110)の全データを、クーポン情報122として記述してもよい。
【0072】
以上で対象商品に関する効果情報が生成される。更に、上記比較情報124を生成する。図示の例では、比較情報124は、上記各比較対象商品毎に、その商品名と、上記売上状況123と同様の情報とから成る。売上状況123の情報の生成方法は、上記の通りである。
【0073】
尚、この例に限らず、例えば比較対象商品に関しても、上記「対象商品に関する効果情報」と同じ情報を生成してもよい。但し、この場合、比較対象商品のメーカにとっては他社にクーポン発行に関する各種情報が知られてしまうことになるので、図示の通り、表示額と売上数の情報のみとしている。
【0074】
表示情報生成部42は、上記のようにして生成したクーポン発行効果情報120を、ネットワーク2を介してアクセス元(ここではA社)の外部装置70へ送信して、その表示部71に表示させる。勿論、この例に限らず、クーポン発行管理装置40の不図示のディスプレイ等に表示してもよいが、ここでは外部装置70からアクセスがあった場合を例にして説明している。
【0075】
外部装置70の操作者等は、このクーポン発行効果情報120の表示内容を参照することで、売上状況やクーポンの発行効果等を把握することができ、適切な新規クーポンの登録を行うことができる。これは、例えば、自社製品ならびに比較対象製品(競合他社製品等)の売上状況を把握し、自社製品の売れ行き状況に応じて、クーポン情報の設定内容を判断して新規クーポン情報登録操作を行う事となる。尚、入力部72は例えばキーボード、マウス等であり、操作者は入力部72を操作してクーポン情報の設定等を行う。
【0076】
例えば、その製品の売れ行きが期待(目標数)を下回る場合には、例えば未だクーポンを適用していない状態であればその製品に対するクーポンを発行させ、クーポン適用済みであればその製品に対するクーポンの割引額を多くするように設定すること等も考えられる。これにより新規発行されたクーポンによって商品の割安感が高まれば、消費者がクーポン1を取得して、それにより売上個数が増える事が期待できる。
【0077】
また、逆に売上状況が計画(目標数)以上の場合は、割引額が過剰であると判断し、クーポンの割引額を低く修正する事も可能である。
これらの例に限らず、クーポン発行効果情報120の表示内容を参照することで、様々な状況が把握可能となり、適切な内容のクーポン情報設定を行えるようになる。
【0078】
例えば、単に売上数の大小や他社製品の売上数との比較だけでなく、各クーポンが売上にどの程度貢献しているのか等を把握することができる。これは、例えば、割引額に対する売上数や、売上数に対する利用数等から、各クーポンの貢献度を把握することが可能となる。そして、単に売上数を増やせばよいというものではなく、利益も考えて、適切な割引額を設定することが可能となる。例えば図3に示す例のクーポン発行効果情報120を見れば、例えば発行期間が14時〜15時のものと15時〜16時のものとを比較すると
、割引額が¥20と¥25であるのに対して、売上数は22と23であり殆ど変わらないことが分かるので、利益を考慮して、新たに発行期間が16時〜17時のクーポンとして、その割引額を¥20に下げること等の判断を行うことができる。
【0079】
あるいは、図3に示す例のクーポン発行効果情報120において、例えば割引額が同じ(¥20)である2つのクーポンを比較すると、一方(12時〜13時)が利用数12に対して売上数が28でありクーポンの効果が低いのに対して、他方(14時〜15時)が利用数20に対して売上数が22でありクーポンの効果が高いことが分かる。また、一方(12時〜13時)はクーポンの効果が低いにも係らず売上数は多いこと等も分かる。これより、例えば、翌日の12時〜13時の時間帯に対するクーポンの割引額を、例えば¥15に下げてみることでその効果を図ること等が考えられる。12時〜13時の時間帯は、昼時であり、客数が多いことが考えられ、もし割引額を下げても売上数が変わらないならば、この時間帯の割引額は例えば¥15程度が適切であると推測することもできる。
【0080】
あるいは、比較対象商品に関する情報(比較情報124)も一緒に表示することで、クーポンの発行効果をより適切に把握可能となる。例えば、クーポンの発行効果が低いと考えられる(クーポンを発行しても、あるいは割引額を大きくしても、期待する売上数が得られない)場合でも、例えば悪天候等の何らかの要因によって店舗への来客数自体が少ない場合もあり得る。この様な場合であれば他社の競合製品等である比較対象商品の売上数も低いと考えられるので、これを参照することで、本当にクーポンの発行効果が低いのか否かを判断することができる。その逆に、クーポンの発行効果が高いと考えられる場合でも同様である。
【0081】
尚、上記操作者は、各メーカ側のユーザに限らず、例えば店舗の担当者等であってもよい。この場合、クーポン発行効果情報120は、クーポン発行管理装置40が備える不図示のディスプレイに表示される。また、クーポン情報登録部43も、上記クーポン情報登録画面をクーポン発行管理装置40のディスプレイに表示する。そして、管理装置40の操作者は、管理装置40が備える不図示のキーボード、マウス等を操作して、上記新規クーポン情報の設定を行う。尚、この場合、表示される情報は、上記外部装置70の場合のようにそのメーカの自社商品の情報に限定されるものではなく、その店舗で扱う全商品に関する情報が表示可能である。
【0082】
上記本システムによれば、外部装置70等の操作者は、クーポン発行効果情報120を参照することで、クーポンの発行効果を容易に把握可能となる(例えば各クーポンの割引額や発行数/利用数等と売上額との関係等に基づいて、そのクーポンが売上にどの程度貢献したのかを把握することが可能となる)。更に、売上数と利益の両面で適切と考えられる割引額を判断することが可能となる。例えば、商品の売上状況とクーポンの効果を比べながら、予定する販売数に対して最も効果的な割引額となる様に、適時調整を行う事が出来る。
【0083】
尚、新規クーポンの登録作業は、上述した通り、クーポン情報登録部43の機能により行うことができる。
また、尚、上記の通り、クーポンの発行数や利用数の情報(利用実績)は、クーポン管理情報110に反映されるので、例えばクーポン利用明細作成部44が、定期的に(例えば毎日、店舗閉店後や、毎週等)クーポン管理情報110を集計してクーポン利用明細73として外部装置70に通知するようにしてもよい。
【0084】
各メーカ側は、このクーポン利用明細73の情報に基いた販売促進費を店舗に支払う事が出来る。従来では、メーカ側は、店舗側での実際の割引額やクーポン発行数を知らされないまま販売促進費を店舗に支払うことも少なくなかったが、本手法によればこれらの集
計データがメーカ側に通知されるので、メーカ側としては客観的・明確なデータを知ることで納得して販売促進費を店舗に支払う事ができる。
【0085】
尚、上記目標数とは、例えば後述する実施例2で説明するような、各時間帯毎の目標販売数と各時間帯までの累計の目標販売数である。
以上説明したように、実施例1の販売促進システムによれば、
・商品の販売状況に応じた、自由且つ適切な値引額の調整を実現でき、
・クーポンの内容(特に値引額)を、実際の費用を負担するメーカ側のユーザがリアルタイムで決定・設定でき、
・メーカ側が負担する販売促進費( 店舗において適用された値引額 )の根拠を明確化できるという効果が得られる。
【0086】
次に、以下、実施例2について説明する。
上述した実施例1のシステムによれば、商品の販売状況に応じた適切な値引額の設定や、その効果把握などが可能となっている。
【0087】
しかしながら、この方法では、値引額等の決定は人の判断によって行う必要がある。ある店舗で利益を考えつつ目標とする売上げを達成するためには、一定期間毎にクーポンの発行効果を確認し、必要に応じて、値引額の増減調整を、人の判断によって行う必要がある。
【0088】
そのため、実施例2では、商品の販売目標に応じて最適な値引額を自動で調整できるシステムを提供する。
実施例2の販売促進システムの概略構成は、実施例1と同じく図1に示す構成であり、ここでは特に説明しない。
【0089】
実施例2の販売促進システムの詳細構成を図4に示す。
尚、図4に示す各構成要素において、図1に示すものと略同様のものには同一符号を付してあり、ここでの説明は省略する。図示の通り、図1に示す構成との違いは、外部装置70にクーポン情報制御部150が備えられている点である。尚、クーポン情報制御部150は、クーポン発行管理装置40に備えられていても良い。
【0090】
図5に、このクーポン情報制御部150の機能ブロック図を示す。
図示のクーポン情報制御部150は、目標販売数算出部151、販売実績数分析部152、判定部153、クーポン情報生成部154の各機能部を有する。
【0091】
また、図6(b)はクーポン情報制御部150(その判定部153)の処理フローチャート図、図6(a)はこの処理に係る各種データの一例である。
目標販売数算出部151には、販売傾向160の情報と、販売目標170の情報とが入力され、これらに基づいて例えば各時間帯(発行期間)毎の目標販売数とその累計数が算出される。
【0092】
販売傾向160は、当該外部装置70のメーカの製品であって、その店舗においてクーポン適用による販売促進の対象となる商品( あるいはその商品を含む関連商品全体)の過去の売上げ実績情報である。これは、例えばこの商品の過去の店舗の開店から閉店までの間の総売上数と、その間の各時間帯毎(例えば1時間当たり)の売上数との比率化情報などである。例えば、その商品の過去の任意の日の店舗での総売上数が100個であり、例えば11時〜12時の時間帯における売上数が15個であったならば、11時〜12時の時間帯の比率化情報は15%となっている。
【0093】
また、販売目標170は、上記各クーポン適用対象商品毎の例えば本日のトータルの(例えば一日分の)売上げ目標値(個数またはシェア)である。この目標値は、例えば操作者が判断して登録しておく。
【0094】
目標販売数算出部151は、販売傾向160と販売目標170とを入力して、これらに基づいて各時間帯毎の目標販売数と各時間帯までの目標販売数の累計値を求める。例えばその日のトータル売上げ目標値(販売目標170)が200個であった場合には、例えば上記11時〜12時の時間帯に関しては200×0.15=30を、この時間帯の目標販売数として算出する。更に、算出した目標販売数を、それまでの累計値(最初の時間帯からこの時間帯の直前の時間帯までの目標販売数の累計値)に加算することで、この時間帯までの累計値を算出する。この様にして、例えば図6(a)に示す目標販売数を算出する。つまり、各時間帯当たりの目標販売数P1(tn)とその時間帯までの目標販売数の累計値P2(tn)とを算出する((P2(tn)=P2(tn−1)+P1(tn))。
【0095】
尚、上記tnのnは、各時間帯に対応する整数等であり、図示の例では例えば最初の時間帯である10時〜11時の時間帯はn=1とし、それ以降の時間帯は順次n=2,3,4、・・・等とする(例えば11時〜12時の時間帯はn=2とする)。
【0096】
また、販売実績数分析部152は、例えば定期的に(例えば各時間帯の最後の時刻になったら)クーポン発行管理装置40から売上げ状況情報を取得して、各時間帯毎の売上数やその累積値の集計を行う。これは、例えば図6(a)に示す販売実績数のデータを生成するものである。つまり、各時間帯当たりの販売実績数R1(tn)、その時間帯までの販売実績数の累計数R2(tn)を求めるものである(R2(tn)=R2(tn−1)+R1(tn))。
【0097】
上記売上げ状況情報は、例えば実施例1のクーポン発行効果情報120等であってよく、表示情報生成部42に任意の商品コードを通知して生成させればよい。図3に示すように、クーポン発行効果情報120の売上状況123のデータを参照すれば、各時間帯毎の売上数(=販売実績数R1(tn))は分かるので、これらを累積加算して各時間帯までの累積値R2(tn)を求めることができる。
【0098】
尚、本手法では、クーポン発行効果情報120の各種データのうち、割引額、発行期間、売上状況123のデータがあればよいので、表示情報生成部42はこれらの必要な情報のみを生成するようにしてもよい。また、現在の時間帯のみの情報のみであってもよい。例えば現時刻が12時〜13時の時間帯の最後(12時59分)であったならば、この12時〜13時の時間帯の割引額、売上状況123のデータを取得して、これに基づいて判定部153が後述するように次の時間帯(ここでは13時〜14時)における割引額を決定する。
【0099】
判定部153は、上記目標販売数算出部151と販売実績数分析部152の処理結果に基づいて、上記の通り、現在の時間帯nの次の時間帯n+1における割引額を決定する。これは、まず、現在の時間帯nにおける目標販売数と売上数との差分を求め、更にこれらの累積値の差分を求める。つまり、例えば図6(a)に示す時間当たりの差分D1(tn)、累積値の差分D2(tn)を求める。この算出式は、D1(tn)=R1(tn)−P1(tn)、D2(tn)=R2(tn)−P2(tn)となる。例えば、現在の時間帯n=2の場合(つまり、11時〜12時の場合)、図示の例ではP1(t2)=5、P2(t2)=10、R1(t2)=3、R2(t2)=5であるので、D1(t2)=R1(t2)−P1(t2)=3−5=−2となり、D2(t2)=R2(t2)−P2(t2)=5−10=−5となる。
【0100】
そして、判定部153は、上記求めた差分等の値を用いて、図6(b)に示す判定フローによって割引額を決定する。すなわち、クーポンの割引額を増やすべきか、減らす( ク
ーポン発行を停止する場合も含む )べきか、あるいは現状を継続すべきかの判断が行われる。
【0101】
図6(b)に示すフローの処理では、まず、D2(tn)>0であるか否かを判定し(ステップS1)、D2(tn)>0であった場合、すなわち累積値に関して実績値が目標値を上回った場合には(ステップS1,YES)、ステップS2の処理に進む。一方、D2(tn)≦0であった場合、すなわち累積値に関して実績値が目標値以下であった場合には(ステップS1,NO)、ステップS3の処理に進む。
【0102】
ステップS2とS3の処理内容は同じであり、D1(tn)>0であるか否かを判定するものである。そして、まず、ステップS2に関して、D1(tn)>0であった場合、すなわち現在の時間帯nにおける実績値が目標値を上回った場合には(ステップS2,YES)、“割引額を減らす”ものと判定して次の時間帯(n+1)における割引額を決定する(ステップS6)。割引額をどの程度減らすのかは、例えば予め操作者が決めて登録しておけばよく、例えば仮に¥5減らすものと設定されていたならば、例えば仮に現在の時間帯nにおける割引額が¥20であったならば、次の時間帯(n+1)における割引額は¥15に決定される。また、仮に、現在の時間帯nにおける割引額が¥5であったならば、次の時間帯(n+1)においてはクーポン発行を停止する。
【0103】
一方、ステップS2において、D1(tn)≦0であった場合、すなわち現在の時間帯nにおける実績値が目標値以下であった場合には(ステップS2,NO)、ステップS4の処理に進む。ステップS4では、「R1(tn)≧P1(t(n+1))」であるか否かを判定する。もし、「R1(tn)≧P1(t(n+1))」であった場合、すなわち現在の時間帯nにおける販売実績数が、次の時間帯(n+1)における時間帯当たりの目標販売数以上であった場合には(ステップS4,YES)、ステップS6と同様に割引額を減らすものと判定して次の時間帯(n+1)における割引額を決定する(ステップS7)。一方、「R1(tn)<P1(t(n+1))」であった場合、すなわち現在の時間帯nにおける販売実績数が、次の時間帯(n+1)における時間帯当たりの目標販売数未満であった場合には(ステップS4,NO)、“現状維持”と判定する(ステップS8)。すなわち、次の時間帯(n+1)における割引額は、現在の時間帯nにおける割引額と同じとする。
【0104】
次に、ステップS3に関しては、上記ステップS2と同じ判定処理を行うものであり、その判定結果がYESの場合にはステップS5へ進み、NOの場合には“割引額を増やす”ものと判定して次の時間帯(n+1)における割引額を決定する(ステップS11)。これは上記ステップS6と同様に予め例えば¥5増やすものと決めておき、割引額を決定する。
【0105】
ステップS5は、上記ステップS4と同じ判定処理を行うものであり、その判定結果がYESの場合には“現状維持”と判定し(ステップS9)、NOの場合には“割引額を増やす”ものと判定して、次の時間帯(n+1)における割引額を決定する(ステップS10)。尚、ステップS9は上記ステップS8と同じ処理であってよく、ステップS10も上記ステップS11と同じ処理であってよい。
【0106】
上記判定処理をまとめると、以下の通りとなる。
(1)累計の販売実績数と時間帯当たりの販売実績数の両方が目標値を超えている場合には“割引額を減らす”ものと判定し、累計の販売実績数は目標値を超えているが時間当たりの販売実績数は目標値以下の場合には、以下の処理により判定する。
【0107】
すなわち、現在の時間帯当たりの販売実績数が、次の時間帯当たりの目標販売数以上である場合には、“割引額を減らす”と判定する。この場合、“現状維持”にすると、次の
時間帯における販売実績数が時間帯当たりの目標販売数以上となる可能性があるが、既に累積の実績数が目標値を超えていることから、累積実績数が大きくなり過ぎる懸念があるので、“割引額を減らす”ことで累積実績数が適切な値(目標値近く)となるように調整する。
【0108】
一方、現在の時間帯当たりの販売実績数が、次の時間帯当たりの目標販売数未満である場合には、“現状維持”と判定する。この場合、次の時間帯における販売実績数が時間帯当たりの目標販売数以下となる可能性が高いが、既に累積の実績数が目標値を超えていることから、結果的に累積実績数が適切な値(目標値近く)となることが期待できるし、利益を考えると少なくともこの状況で“割引額を増やす”必要性はないからである(利益を考えると、基本的に、割引額はあまり増やしたくない)。
(2)累計の販売実績数と時間帯当たりの販売実績数の両方が目標値以下の場合には“割引額を増やす”ものと判定し、累計の販売実績数は目標値以下であるが時間帯当たりの販売実績数は目標値を超えている場合には、以下の処理により判定する。
【0109】
すなわち、現在の時間帯当たりの販売実績数が、次の時間帯当たりの目標販売数以上である場合には、“現状維持”と判定する。この場合には、特に割引額を増やさなくても次の時間帯において目標値以上となって累積値を目標値に近づけることが期待できるからである。一方、現在の時間帯当たりの販売実績数が、次の時間帯当たりの目標販売数未満である場合には、“割引額を増やす”と判定する。この場合には、現状維持では次の時間帯においても目標値に達しない可能性が高く、累積値が目標値から遠ざかってしまう可能性があるので、割引額を増やすことで販売数を増やし、以って累積値を目標値に近づけるようにする必要があるからである。
【0110】
以上説明したように、本手法では、現在の時間帯における販売実績数とその累計値、次の時間帯当たりの目標販売数(将来)の3つの要素から、最適な割引額の判断を行う事が可能となる。
【0111】
以上説明したようにして判定部153は次の時間帯(n+1)における割引額を決定して、これをクーポン情報生成部154へ通知する。これより、クーポン情報生成部154は、ネットワーク2を介してクーポン発行管理装置40にアクセスして上記決定した割引額の情報を含む新規クーポン情報と送信してクーポン情報記憶部41に登録させる。この新規クーポン情報の内容は、上記実施例1においてクーポン情報登録部43が操作者に入力させる内容と同じであってよく、上記決定した割引額の他に、この割引対象の商品の商品コード、発行限度数、発行期間等の情報から成るものである。このうち、商品コードは当然分かるし、発行期間は「時間帯(n+1)」に対応する期間であるが、発行限度数は例えば操作者が予め各時間帯毎の設定を行っておく必要がある。
【0112】
尚、この例に限らず、例えば判定部153が決定した次の時間帯(n+1)における割引額を表示して、これによりユーザが実施例1と同様に手動操作により新規クーポン情報を登録するようにしてもよい。
【0113】
図7は、図6に示す一例に対して他の例を示すものである。
図7の例では、判定部153による判定処理は、図7(b)に示すように図6(b)と同じであり、ここでは特に説明しない。
【0114】
本例では、目標販売数算出部151における処理内容が、上述した一例とは異なるものである。すなわち、売上げ目標(目標販売数)を、店舗における関連商品に対する販売占有率で定義した場合の実施例である。
【0115】
この場合、図5に示す販売傾向160の情報は、例えば図7(a)に示す予想販売数(全体)となる。この予想販売数(全体)は、対象商品だけでなくこの対象商品の関連商品(他社の競合商品)を含めた全体の予想販売数であり、予め過去の全体の販売実績数等に基づいて設定しておく。これは、操作者等が任意に決めてもよいし、あるいは過去の全体の販売実績数の平均値を算出するものであってもよい。例えば図3の例では、対象商品“○○カレー”とその競合商品である“◇◇カレー”及び“△△カレー”の全ての販売実績数の合計となる。
【0116】
また、この例では、図5に示す販売目標170は、全体に対する対象商品の目標とするシェア(%)であり(各時間帯毎のシェア;上記販売占有率)、例えば操作者等が任意に決めて設定しておく。
【0117】
そして、目標販売数算出部151は、販売傾向160と販売目標170とに基づいて、対象商品の目標販売数を算出する。例えば、上記予想販売数(全体)における各時間帯毎の値にシェアを乗算することで、対象商品の各時間帯毎の目標販売数を算出し、更に求めた各時間帯毎の目標販売数を順次加算して累積値を求める。あるいは、各時間帯までの累積値に関するシェアも、予め設定しておいて、これにより算出するようにしてもよい。
【0118】
図7(a)に示す例では、例えば10時〜11時と、11時〜12時の時間帯に関してはシェアは60%に設定されており、図示の通り、予想販売数(全体)は5個と10個であるので、5×0.6=3と10×0.6=6が、これらの各時間帯における時間帯当たりの目標販売数P1(tn)となっている。また、これより、例えば11時〜12時の時間帯までの目標販売数の累計値P2(tn)は、3+6=9となっている。
【0119】
尚、図示の比率(%1(tn)、%2(tn))は、上記販売占有率(シェア)ではない。上記販売占有率(シェア)の具体例はここでは示していない。図示の比率(%1(tn)、%2(tn))は、予想販売数(全体)に対する販売実績数の割合(シェア)である。例えば、11時〜12時の時間帯に関しては、全体が10と15であるのに対して実績数は4と6であるので、何れもシェアは40%になっている。図示の比率(%1(tn)、%2(tn))は、図6(b)や図7(b)に示す各判定式において、「差分」を用いる判定方法の代わりに、予想販売数(全体)に対する販売実績数の割合(シェア)を用いて判定する手法も考えられることを示しているものである。但し、ここでは特に具体的な判定方法は示さない。
【0120】
上記目標販売数の算出方法以外は、上記図6で説明したものと略同様であるので、ここでは説明しない。
図8は、上記クーポン発行管理装置40や上位装置20や外部装置70のハードウェア構成図である。これらクーポン発行管理装置40や上位装置20や外部装置70は、パソコンやサーバ装置等のような汎用のコンピュータであってよく、図8には一般的なコンピュータのハードウェア構成を示すが、この例に限るものではない。
【0121】
図8に示すコンピュータ200は、CPU201、メモリ202、入力部203、出力部204、記憶部205、記録媒体駆動部206、及びネットワーク接続部207を有し、これらがバス208に接続された構成となっている。
【0122】
CPU201は、当該コンピュータ200全体を制御する中央処理装置である。
メモリ202は、任意の処理実行の際に、記憶部205(あるいは可搬型記録媒体209)に記憶されているプログラムあるいはデータを一時的に格納するRAM等のメモリである。CPU201は、メモリ202に読み出したプログラム/データを用いて、各種処理を実行する。
【0123】
出力部204は例えばディスプレイ等であり、入力部203は、例えば、キーボード、マウス等である。出力部204には例えば上記発行効果情報120や不図示のクーポン情報登録画面等が表示される。ユーザは、入力部203を操作して、例えばクーポン情報登録画面上で所望のクーポン情報の登録作業を行う。
【0124】
ネットワーク接続部207は、インターネット等のネットワークに接続して、他の情報処理装置との通信(コマンド/データ送受信等)を行う為の構成である。
記憶部205は、例えばハードディスク等であり、図2や図4や図5に示す各種機能部の処理機能、あるいは図6(a)等に示すフローチャートの処理を、CPU201により実現させる為のアプリケーションプログラムが格納されている。また、図3に示す各種データも、記憶部205に記憶される。
【0125】
CPU201は、上記記憶部205に格納されている各種プログラムを読み出し・実行することにより、上述した図2や図4や図5に示す各種機能部の処理機能、あるいは図6(a)等に示すフローチャートの処理を実現する。
【0126】
すなわち、当該コンピュータ200がクーポン発行管理装置40である場合には、記憶部205には、クーポン情報記憶部41、表示情報生成部42、クーポン情報登録部43、クーポン利用明細作成部44、操作者識別部45の各機能部の上述した処理機能を、CPU201により実現させる為のアプリケーションプログラムが格納されている。CPU201は、このアプリケーションプログラムを読出し・実行することにより、上記符号41〜45の各種処理機能を実現する。また、記憶部205には、クーポン管理情報110が記憶され、更に生成した発行効果情報120も記憶されてもよい。
【0127】
当該コンピュータ200が上位装置20である場合には、記憶部205には、売上情報登録部23の上述した処理機能を、CPU201により実現させる為のアプリケーションプログラムが格納されている。CPU201は、このアプリケーションプログラムを読出し・実行することにより、上記売上情報登録部23の処理機能を実現する。また、記憶部205には、売上情報90、商品情報100が格納される。
【0128】
当該コンピュータ200が上位装置20である場合には、記憶部205には、クーポン情報制御部150の上述した処理機能を、CPU201により実現させる為のアプリケーションプログラムが格納されている。CPU201は、このアプリケーションプログラムを読出し・実行することにより、上記クーポン情報制御部150の処理機能(その判定部153による図6(b)、図7(b)に示すフローチャートの処理を含む)を実現する。
【0129】
また、特に図示しないが、POS端末10、クーポン発行装置50、クーポン利用装置30は、少なくともCPU/MPUやメモリ等の記憶部を有しており、この記憶部には、売上処理部11、またはクーポン情報表示部51とクーポン出力部52、あるいはクーポン情報読取部31の上述した処理機能をCPU/MPUにより実現させる為のアプリケーションプログラムが格納されている。CPU/MPUは、このアプリケーションプログラムを読出し・実行することにより、これら各種処理機能を実現する。
【0130】
あるいは、上記記憶部205に格納される各種プログラム/データは、可搬型記録媒体209に記憶されているものであってもよい。この場合、可搬型記録媒体209に記憶されているプログラム/データは、記録媒体駆動部206によって読み出される。可搬型記録媒体209とは、例えば、FD(フレキシブル・ディスク)209a、CD−ROM209b、その他、DVD、光磁気ディスク等である。
【0131】
あるいは、また、上記プログラム/データは、ネットワーク接続部207により接続し
ているネットワークを介して、他の装置内に記憶されているものをダウンロードするものであってもよい。あるいは、更に、インターネットを介して、外部の他の装置内に記憶されているものをダウンロードするものであってもよい。
【0132】
また、本発明は、上記本発明の各種処理をコンピュータ上で実現するプログラムを記録した可搬型記憶媒体として構成できるだけでなく、当該プログラム自体として構成することもできる。
【符号の説明】
【0133】
1 クーポン
2 ネットワーク
10 POS端末
11 売上処理部
20 上位装置
21 商品情報記憶部
22 売上情報記憶部
23 売上情報登録部
30 クーポン利用装置
31 クーポン情報読取部
40 クーポン発行管理装置
41 クーポン情報記憶部
42 表示情報生成部
43 クーポン情報登録部
44 クーポン利用明細作成部
45 操作者識別部
50 クーポン発行装置
51 クーポン情報表示部
52 クーポン出力部
70 外部装置
71 表示部
72 入力部
73 クーポン利用明細
80 販売情報
81 商品コード
82 売上時刻
83 表示額
84 割引額
85 クーポンNo.
90 売上情報
91 商品コード
92 売上時刻
93 表示額
94 割引額
95 クーポンNo.
100 商品情報
101 商品コード
102 商品名
103 メーカ名
104 表示額
110 クーポン情報
111 クーポンNo.
112 商品コード
113 割引額
114 発行数
115 発行限度数
116 発行期間
117 利用数
120 クーポン発行効果情報
121 クーポン適用商品名
122 クーポン情報
123 売上状況
130 比較対象登録情報
150 クーポン情報制御部
151 目標販売数算出部
152 販売実績数分析部
153 判定部
154 クーポン情報生成部
160 販売傾向
170 販売目標
200 コンピュータ
201 CPU
202 メモリ
203 入力部
204 出力部
205 記憶部
206 記録媒体駆動部
207 ネットワーク接続部
208 バス
209 可搬型記録媒体
209a FD(フレキシブル・ディスク)
209b CD−ROM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の商品に対する割引クーポンを少なくとも割引額の情報を含むクーポン情報に基づいて発行するクーポン発行装置と、購入商品の決済を行う為の端末であって前記割引クーポンに応じた割引きを行ったうえで決済処理を行う決済端末と、該決済端末に接続される上位装置と、前記クーポン発行装置及び前記上位装置に接続されるクーポン発行管理装置を有する販売促進システムであって、
前記決済端末は、前記決済処理結果を示す情報である売上情報を生成して前記上位装置へ送信する売上処理手段を有し、
前記上位装置は、前記売上情報を蓄積する売上情報記憶手段と、各商品毎に予め決まっている基本情報である商品情報を予め記憶する商品情報記憶手段とを有し、
前記クーポン発行管理装置は、
各商品毎に1以上の前記クーポン情報と、該各クーポン情報の管理情報であって各割引クーポンの発行枚数を示す発行数と、各割引クーポンが前記決済端末で使用された回数を示す利用数が含まれる管理情報とから成るクーポン管理情報を記憶するクーポン管理情報記憶手段と、
前記クーポン発行装置における割引クーポン発行状況に応じて前記発行数を更新する発行数更新手段と、
前記売上情報に基づいて前記利用数を更新する利用数更新手段と、
前記売上情報に基づいて各商品毎の売上数を求めて、前記商品情報と前記クーポン管理情報とに基づいて、各商品毎に、その商品に関して発行された1以上の割引クーポンに関する前記発行数、利用数、売上数と前記割引額の情報を含むクーポン発行効果情報を生成して表示させるクーポン発行効果情報生成手段と、
前記クーポン情報を登録させる為の登録画面を表示して任意の内容の前記クーポン情報を新規登録させて、該クーポン情報を前記クーポン管理情報記憶手段に追加記憶するクーポン情報登録手段と、
を有することを特徴とする販売促進システム。
【請求項2】
前記クーポン発行管理装置は、予め各商品毎にその商品の比較対象となる商品を登録した比較対象商品記憶手段を更に有し、
前記クーポン発行効果情報生成手段は、各商品毎に、前記クーポン発行効果情報に加えて更に前記比較対象商品に関する前記売上数の情報を含む比較情報を生成して表示させることを特徴とする請求項1記載の販売促進システム。
【請求項3】
前記クーポン管理情報は同一商品に対して各時間帯毎に対応して登録され、前記クーポン発行装置は現在時刻に応じて該当するクーポン情報に基づく割引クーポン発行を行い、前記発行数、利用数、売上数、割引額は、前記各時間帯毎の発行数、利用数、売上数、割引額であることを特徴とする請求項1または2記載の販売促進システム。
【請求項4】
前記クーポン発行効果情報生成手段は、任意の商品製造元メーカの外部装置からネットワークを介して要求があった場合、該製造元メーカの商品に関する前記クーポン発行効果情報を生成して該外部装置に送信して表示させ、
前記クーポン情報登録手段は、前記製造元メーカの外部装置に該製造元メーカの商品に関する前記クーポン情報を登録させる為の登録画面を表示させて任意のクーポン情報の登録を行わせ、該クーポン情報を前記クーポン管理情報記憶手段に追加記憶することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の販売促進システム。
【請求項5】
前記クーポン発行管理装置は、前記各時間帯毎の前記売上数と該売上数に基づいて求められる各時間帯までの売上数累計値と、各時間帯毎の目標販売数と各時間帯までの目標販売数の累計値とに基づいて、次の時間帯におけるクーポン情報の割引額を決定するクーポ
ン情報制御手段を更に有することを特徴とする請求項3記載の販売促進システム。
【請求項6】
前記外部装置は、前記各時間帯毎の前記売上数と該売上数に基づいて求められる各時間帯までの売上数累計値と、各時間帯毎の目標販売数と各時間帯までの目標販売数の累計値とに基づいて、次の時間帯におけるクーポン情報の割引額を決定するクーポン情報制御手段を更に有することを特徴とする請求項4記載の販売促進システム。
【請求項7】
前記クーポン情報制御手段は、前記売上数累計値と目標販売数累計値との差分による判定、現在の時間帯に関する前記売上数と前記目標販売数との差分による判定、更に必要に応じて現在の時間帯に関する前記売上数が次の時間帯に関する前記目標販売数以上であるか否かの判定を行い、これら判定結果と現在の時間帯に関するクーポン情報の割引額とに基づいて、次の時間帯における割引額を現在の時間帯における割引額よりも所定額減らすか所定額増やすか同じとするか否かを判定することで、前記次の時間帯に対するクーポン情報の割引額を決定することを特徴とする請求項5または6記載の販売促進システム。
【請求項8】
任意の商品に対する割引クーポンを少なくとも割引額の情報を含むクーポン情報に基づいて発行するクーポン発行装置と、購入商品の決済を行う為の端末であって前記割引クーポンに応じた割引きを行ったうえで決済処理を行う決済端末と、該決済端末に接続される上位装置と、前記クーポン発行装置及び前記上位装置に接続されるクーポン発行管理装置を有する販売促進システムにおける前記クーポン発行管理装置であって、
各商品毎に1以上の前記クーポン情報と、該各クーポン情報の管理情報であって各割引クーポンの発行枚数を示す発行数と、各割引クーポンが前記決済端末で使用された回数を示す利用数が含まれる管理情報とから成るクーポン管理情報を記憶するクーポン管理情報記憶手段と、
前記クーポン発行装置における割引クーポン発行状況に応じて前記発行数を更新する発行数更新手段と、
前記上位装置に蓄積される、前記決済端末による前記決済処理結果を示す情報である売上情報に基づいて、前記利用数を更新する利用数更新手段と、
前記売上情報に基づいて各商品毎の売上数を求めて、更に、前記上位装置に予め記憶されている商品情報と前記クーポン管理情報とに基づいて、各商品毎に、その商品に関して発行された1以上の割引クーポンに関する前記発行数、利用数、売上数と前記割引額の情報を含むクーポン発行効果情報を生成して表示させるクーポン発行効果情報生成手段と、
前記クーポン情報を登録させる為の登録画面を表示して任意の内容の前記クーポン情報を新規登録させて、該クーポン情報を前記クーポン管理情報記憶手段に追加記憶するクーポン情報登録手段と、
を有することを特徴とする販売促進システムのクーポン発行管理装置。
【請求項9】
任意の商品に対する割引クーポンを少なくとも割引額の情報を含むクーポン情報に基づいて発行するクーポン発行装置と、購入商品の決済を行う為の端末であって前記割引クーポンに応じた割引きを行ったうえで決済処理を行う決済端末と、該決済端末に接続される上位装置と、前記クーポン発行装置及び前記上位装置に接続されるクーポン発行管理装置を有する販売促進システムにおける前記クーポン発行管理装置のコンピュータを、
各商品毎に1以上の前記クーポン情報と、該各クーポン情報の管理情報であって各割引クーポンの発行枚数を示す発行数と、各割引クーポンが前記決済端末で使用された回数を示す利用数が含まれる管理情報とから成るクーポン管理情報を記憶するクーポン管理情報記憶手段と、
前記クーポン発行装置における割引クーポン発行状況に応じて前記発行数を更新する発行数更新手段と、
前記上位装置に蓄積される、前記決済端末による前記決済処理結果を示す情報である売上情報に基づいて、前記利用数を更新する利用数更新手段と、
前記売上情報に基づいて各商品毎の売上数を求めて、更に、前記上位装置に予め記憶されている商品情報と前記クーポン管理情報とに基づいて、各商品毎に、その商品に関して発行された1以上の割引クーポンに関する前記発行数、利用数、売上数と前記割引額の情報を含むクーポン発行効果情報を生成して表示させるクーポン発行効果情報生成手段と、
前記クーポン情報を登録させる為の登録画面を表示して任意の内容の前記クーポン情報を新規登録させて、該クーポン情報を前記クーポン管理情報記憶手段に追加記憶するクーポン情報登録手段、
として機能させる為のプログラム。

【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−218483(P2010−218483A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−67306(P2009−67306)
【出願日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【出願人】(000005234)富士電機ホールディングス株式会社 (3,146)
【出願人】(509080288)株式会社レイヤーズ・コンサルティング (1)
【Fターム(参考)】