説明

販売処理装置、プログラム、および販売処理システム

【課題】 割引対象とする商品の設定を迅速化すること。
【解決手段】 一実施形態の販売処理装置は複数の商品に対応する商品情報を表示する表示手段と、表示された商品情報の中から割引対象とする商品の商品情報を選択する対象選択手段と、表示された商品情報の中から割引非対象とする商品の商品情報を選択する非対象選択手段と、対象選択手段によって選択された各商品情報で示される商品を一括して割引対象に設定すると共に非対象選択手段によって選択された各商品情報で示される商品を一括して割引非対象に設定する設定手段と、客の購入商品の合計代金に対する割引を指示する指示手段と、割引が指示されたとき各購入商品のうち割引対象に設定された商品の売価を割引く割引手段と、各購入商品を割引手段によって割引かれた後の売価を用いて算出される合計代金にて販売処理する販売処理手段とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、各種商品を販売処理する販売処理装置、プログラム、および販売処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、各種店舗においては取引された商品やサービスの精算にPOS(Point Of Sales)端末やECR(Electric Cash Register)等の販売処理装置が使用されている。
【0003】
この種の装置の多くは、バーコードスキャナ、キーボード、あるいはタッチパネルの操作等により1取引において指定された客の購入商品の代金を、入力あるいは予め設定された割引率で割引く機能を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−24941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
店舗によっては、割引きの対象商品をメニューマスタ等に予め定めておき、操作者によって割引きが指示されたときに購入商品のうちの上記対象商品については割引きを実施し、非対象商品については割引きを実施しないよう販売処理装置を設定しておく場合がある。
【0006】
このような場合、どの商品を割引対象とするかを販売処理装置に設定する作業が必要になるが、従来は、メニューマスタに記述された各商品に関するレコードを一つずつ読み出して同レコードを編集し、割引きの可否を設定していた。そのため、割引対象の設定業務に多くの時間が費やされ、非効率であった。
【0007】
このような事情から、割引対象とする商品の設定を迅速化すべく何らかの手段を講じる必要があった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記のような課題を解決するために、一実施形態における販売処理装置は、複数の商品のそれぞれに対応する商品情報を表示する表示手段と、この表示手段に表示された商品情報の中から割引対象とする1又は複数の商品の商品情報を操作者の操作に従って選択する対象選択手段と、表示手段に表示された商品情報の中から割引非対象とする1又は複数の商品の商品情報を操作者の操作に従って選択する非対象選択手段と、対象選択手段によって選択された各商品情報で示される商品を一括して割引対象に設定するとともに、非対象選択手段によって選択された各商品情報で示される商品を一括して割引非対象に設定する設定手段と、1取引における客の購入商品の合計代金に対する割引を指示する指示手段と、この指示手段によって割引が指示されたとき、各購入商品のうち、設定手段によって割引対象に設定された商品の売価を割引く割引手段と、各購入商品を、割引手段によって割引かれた後の売価を用いて算出されるこれら各購入商品の合計代金にて販売処理する販売処理手段と、を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】一実施形態におけるPOS端末の要部構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態におけるメニューマスタのデータ構造例を示す模式図
【図3】同実施形態における取引バッファのデータ構造例を示す模式図。
【図4】同実施形態における設定処理のフローチャート。
【図5】同実施形態における設定画面の一例を示す模式図。
【図6】同実施形態における確認用のポップアップを示す模式図。
【図7】同実施形態における商品販売処理のフローチャート。
【図8】同実施形態における小計割引処理のフローチャート。
【図9】変形例における販売処理システムの構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態について図面を参照しながら説明する。
本実施形態では、販売処理装置の一例として、メニュー品目を提供する飲食店にて使用されるPOS端末を例示する。なお、以下の説明において使用する「メニュー品目」は、「商品」の概念に含まれるものとする。
【0011】
[POS端末]
図1は、本実施形態におけるPOS端末1の要部構成を示すブロック図である。
POS端末1は、制御の中枢として機能するCPU(Central Processing Unit)10を備えている。このCPU10には、メモリ11、通信I/F(Interface)12、キーボードコントローラ13、ディスプレイコントローラ14,15、カードR/Wコントローラ16、およびプリンタコントローラ17等が、アドレスバスやデータバス等で構成されるバスライン18を介して接続されている。
【0012】
さらに、通信I/F12に店舗内のLAN(Local Area Network)回線等の通信回線21が接続され、キーボードコントローラ13にキーボード22が接続され、ディスプレイコントローラ14に店員側ディスプレイ23が接続され、ディスプレイコントローラ15に客側ディスプレイ24が接続され、カードR/Wコントローラ16にカードR/W25が接続され、プリンタコントローラ17にレシートプリンタ26が接続されている。
【0013】
メモリ11は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)で構成され、CPU10が実行するコンピュータプログラムや各種固定値等の固定的データ、メニューマスタ30、および取引バッファ31等を記憶している。
【0014】
通信I/F12は、通信回線21を介して通信接続されたサーバ等の各種機器との間でデータを送受信する。
【0015】
キーボード22は、販売処理の開始の指示を入力するPLUキー、小計指示を入力する小計キー、数値入力用のテンキー、販売処理の締め指示を入力するための締めキー、および1取引として指定されたメニュー品目の合計代金(小計額)に対する割引きを指示する小計割引キー22a等で構成されており、押下されたキーに応じた信号を出力する。キーボードコントローラ13は、キーボード22から出力される信号を取り込んでCPU10に出力する。
【0016】
店員側ディスプレイ23は、例えば表示面が店員の立ち位置側に向けられたLCD(Liquid Crystal Display)と、このLCDの表示面上に設けられたタッチパネルとで構成される。ディスプレイコントローラ14は、CPU10からの指令に応じて店員側ディスプレイ23を制御し、メニュー品目の販売処理用の画面や後述の設定画面40(図5参照)等を表示させる。また、ディスプレイコントローラ14は、タッチパネルが接触操作された際に出力する信号に基づき、LCDに表示されたボタン等の画面部品の操作を検知し、CPU10に通知する。
【0017】
客側ディスプレイ24は、例えば表示面が会計を受ける客の立ち位置側に向けられたLEDディスプレイである。ディスプレイコントローラ15は、客側ディスプレイ24を制御し、客が飲食したメニュー品目の合計代金や釣銭額等を表示させる。
【0018】
カードR/W25は、例えば客が所持するポイントカードに対してポイント数等の情報を読み書きしたり、クレジットカードから情報を読み出したりする磁気タイプあるいはICタイプのカードリーダライタである。カードR/Wコントローラ16は、カードR/W25によるカードへの情報書き込みを制御するとともに、カードR/W25がカードから読み取った情報をCPU10に出力する。
【0019】
レシートプリンタ26は、例えば感熱紙であるレシート用紙に各種の情報を印刷するサーマルプリンタである。プリンタコントローラ17は、レシートプリンタ26の動作を制御して客が購入した商品等の名称や売価、合計代金、釣銭額等が印刷されたレシートを発行させる。
【0020】
[データ構造]
メニューマスタ30および取引バッファ31について説明する。
図2は、メニューマスタ30のデータ構造例を示す模式図である。メニューマスタ30は、当該店舗にて提供される各メニュー品目の詳細データを示す複数のレコードによって構成されている。各レコードは、メニューコード、メニュー品目の名称、メニュー品目の売価、および割引フラグF等で構成されている。割引フラグFは、小計割引キー22aによって指示される割引きの対象/非対象を示すものであり、「0」(非対象)または「1」(対象)のいずれかにセットされる。
【0021】
図3は、取引バッファ31のデータ構造例を示す模式図である。取引バッファ31は、会計を受ける客に提供されたメニュー品目の詳細データを表すレコードによって構成されている。
【0022】
[設定処理]
小計割引キー22aによって指示される割引きの対象/非対象を設定する設定処理について説明する。
キーボード22の操作や店員側ディスプレイ23への接触操作により、上記割引きの対象/非対象の設定が指示されると、CPU10がメモリ11に記憶された設定処理用のプログラムを実行し、図4のフローチャートに沿って動作する。
【0023】
この処理において、先ずCPU10は、ディスプレイコントローラ14に店員側ディスプレイ23を制御させ、図5に示すような設定画面40を表示させる(ステップS101)。そして、CPU10は、設定画面40に対する操作を受け付け、受け付けた操作に従って予め定められた処理を行いつつ(ステップS102)、設定終了の指示を待つ(ステップS103のNo)。
【0024】
設定画面40は、対象外メニューエリア41、対象メニューエリア42、頁切替ボタン43,44,45,46、移動ボタン47,48、一括対象ボタン49、直前訂正ボタン50、および終了ボタン51等の画面部品を有している。これら各画面部品は、いずれも店員側ディスプレイ23への接触によって操作可能なGUIである。
【0025】
対象外メニューエリア41は、上記割引の非対象メニュー品目のメニューコードおよび同コードに対応するメニュー品目の名称からなるメニュー情報を配置するための表示エリアであり、対象メニューエリア42は、上記割引の対象メニュー品目のメニュー情報を配置するための表示エリアである。店員側ディスプレイ23に設定画面40が表示された当初においては、メニューマスタ30中の割引フラグFが「0」に設定されたレコードに含まれるメニューコードおよび名称からなるメニュー情報がメニューコードの昇順で対象外メニューエリア41にリスト形式で配置され、メニューマスタ30中の割引フラグFが「1」に設定されたレコードに含まれるメニューコードおよび名称からなるメニュー情報がメニューコードの昇順で対象メニューエリア42にリスト形式で配置される。
【0026】
一度に表示しきれない数のメニュー情報が対象外メニューエリア41に配置されている場合には、それらメニュー情報が複数の頁に分割され、このように分割されたうちの1頁が同エリア41に表示される。対象メニューエリア42についても同様である。
対象外メニューエリア41に配置されたメニュー情報が複数の頁に分割された状態で頁切替ボタン43,44が操作されると、同エリア41に表示中のメニュー情報が頁単位で切り換わる。ただし、先頭頁が表示中であるときには切替ボタン43が操作不可となり、最終頁が表示中であるときには切替ボタン44が操作不可となる。
同様に、対象メニューエリア42に配置されたメニュー情報が複数の頁に分割された状態で頁切替ボタン45,46が操作されると、同エリア42に表示中のメニュー情報が頁単位で切り換わる。ただし、先頭頁が表示中であるときには切替ボタン45が操作不可となり、最終頁が表示中であるときには切替ボタン46が操作不可となる。
【0027】
操作者が店員側ディスプレイ23への接触操作やキーボード22の操作により、各メニューエリア41,42からメニュー情報を指定すると、指定されたメニュー情報が選択状態となり、その表示色が変更される。このとき複数のメニュー情報が指定されたならば、それら全てが同時に選択状態となる。なお、一度選択状態となったメニュー情報が店員側ディスプレイ23への接触操作やキーボード22の操作により再度指定されると、そのメニュー情報の選択状態が解除される。
【0028】
このようにして対象外メニューエリア41から1または複数のメニュー情報が選択された状態で移動ボタン47が操作されると、当該選択されたメニュー情報が対象メニューエリア42に移動する。ただし、対象外メニューエリア41から1つもメニュー情報が選択されていない場合には、移動ボタン47が操作不可となる。
同様に、対象メニューエリア42から1または複数のメニュー情報が選択された状態で移動ボタン48が操作されると、当該選択されたメニュー情報が対象外メニューエリア41に移動する。ただし、対象メニューエリア42から1つもメニュー情報が選択されていない場合には、移動ボタン48が操作不可となる。
【0029】
また、各メニューエリア41,42からメニュー情報が移動されたとき、移動元のエリアでは移動されたメニュー情報の中で最もメニューコードが大きいもの直後に配置されたメニュー情報が同エリアの先頭に表示される。ただし、上記最もメニューコードが大きいメニュー情報の直後にメニュー情報が存在しない場合には、上記最もメニューコードが大きいメニュー情報の直前に配置されたメニュー情報が同エリアの先頭に表示される。さらに、移動元のエリアに残ったメニュー情報が1頁分以下であるならば、全てのメニュー情報が同エリアの先頭から順に表示される。
一方、移動先のエリアには、移動されたメニュー情報のうちメニューコードが最も小さいものが同エリアの先頭に表示される。
移動後には、各メニュー情報の選択状態が解除される。
【0030】
対象メニューエリア42に少なくとも1つのメニュー情報が配置された状態で一括対象外ボタン49が操作されると、同エリア42に配置された全てのメニュー情報が対象外メニューエリア41に移動する。ただし、対象メニューエリア42に1つもメニュー情報が配置されていない場合には、一括対象外ボタン49が操作不可となる。
【0031】
直前訂正ボタン50が操作されると、各メニューエリア41,42へのメニュー情報の配置状態が、当該設定画面40が表示された当初の状態に戻される。
終了ボタン51が操作されると、設定終了の指示が入力される。
【0032】
操作者は、このような機能が割り付けられた各画面部品を操作して、小計割引キー22aによって指示される割引きの対象としたくないメニュー情報を対象外メニューエリア41に、同割引の対象としたいメニュー情報を対象メニューエリア42に配置し、設定を反映したいときには終了ボタン51を操作する。このとき(ステップS103のYes)、CPU10は、ディスプレイコントローラ14に店員側ディスプレイ23を制御させ、図6に示すような確認用のポップアップ60を設定画面40上に表示させる(ステップS104)。図示したようにポップアップ60は、OKボタン61およびキャンセルボタン62を有している。さらに、これらボタン61,62の上方に設定反映の是非を問うメッセージが表されている。各ボタン61,62は、いずれも店員側ディスプレイ23への接触によって操作可能なGUIである。
【0033】
このようなポップアップ60を表示させた後、各ボタン61,62のいずれかが操作されると、CPU10は、操作されたボタンの種別を判定する(ステップS105)。OKボタン61が操作されている場合(ステップS105の「OK」)、CPU10は、各メニューエリア41,42へのメニュー情報の配置にて示される設定をメニューマスタ30に反映する(ステップS106)。具体的には、対象外メニューエリア41に配置された各メニュー情報に含まれるメニューコードで特定されるメニューマスタ30中のレコードの割引フラグFを「0」にセットし、対象メニューエリア42に配置された各メニュー情報に含まれるメニューコードで特定されるメニューマスタ30中のレコードの割引フラグFを「1」にセットする。このように設定を反映した後、CPU10は、当該設定処理を終了する。
【0034】
一方、キャンセルボタン62が操作されている場合(ステップS105の「キャンセル」)、CPU10は、ステップS102に戻って再び設定画面40に対する操作を受け付ける。
【0035】
このように、本実施形態における設定処理では、操作者の操作によって指定されるメニュー情報を各メニューエリア41,42に配置することで、それぞれ割引対象/割引非対象とする1または複数のメニュー品目が選択される。
【0036】
[商品販売処理]
次に、商品(メニュー品目)の販売処理について説明する。
客が当該店舗にて飲食したメニュー品目の代金を精算する際、POS端末1の操作者である店員は、例えばキーボード22に設けられたPLUキーを操作して販売処理の開始の指示を入力する。このときCPU10がメモリ11に記憶された商品販売処理用のプログラムを実行し、図7のフローチャートに沿って動作する。
【0037】
この処理において、先ずCPU10は、当該客に提供されたメニュー品目の詳細データの登録を受け付けつつ(ステップS201)、小計指示の入力を待つ(ステップS202のNo)。このとき、操作者がキーボード22の操作あるいは店員側ディスプレイ23に表示されたプリセットキーの接触操作等によって客に提供されたメニュー品目を指定すると、CPU10は、当該メニュー品目の詳細データをメニューマスタ30から読み出して取引バッファ31に記述する。ただし、客の注文を受けるハンディターミナルや客の注文を記憶管理するオーダステーションなどと通信して、当該客に提供されたメニュー品目が特定され、そのメニュー品目の詳細データが取引バッファ31に記憶されるようにしてもよい。
【0038】
やがて当該客に提供された全てのメニュー品目の詳細データが取引バッファ31に記述され、操作者がキーボード22に設けられた小計キーを操作すると、小計指示が入力される(ステップS202のYes)。このときCPU10は、取引バッファ31に記述された各詳細データの売価を合計して合計代金(小計額)を算出し、ディスプレイコントローラ14,15に各ディスプレイ23,24を制御させて当該合計代金を表示させる(ステップS203)。
【0039】
その後、CPU10は、キーボード22や店員側ディスプレイ23に対する各種操作を受け付ける(ステップS204)。ここで何らかの操作を受け付けると、CPU10は、当該操作が小計割引指示の入力、すなわち小計割引キー22aの操作であるかを判定する(ステップS205)。小計割引キー22aの操作であるならば(ステップS205のYes)、CPU10は、図8の説明にて後述する小計割引処理を実行し(ステップS206)、ステップS204に戻って再び各種操作を受け付ける。一方、小計割引キー22aの操作でない場合(ステップS205のNo)、CPU10は、当該指示が締め指示の入力、すなわちキーボード22に設けられた締めキーの操作であるかを判定する(ステップS207)。締めキーの操作でない場合(ステップS207のNo)、CPU10は、受け付けた操作に応じた処理を実行し(ステップS208)、ステップS204に戻って再び各種操作を受け付ける。
【0040】
一方、締めキーの操作である場合(ステップS207のYes)、CPU10は、締め処理を実行する(ステップS209)。この締め処理において、CPU10は、例えば現金での支払いであるならば、客からの預り金額の入力を受け付け、キーボード22の操作により入力された預り金額と取引バッファ31に記述された各詳細データに含まれる売価の合計代金との差額を算出し、算出した差額を釣銭額として店員側ディスプレイ23および客側ディスプレイ24に表示させる。また、カードR/W25にポイントカードが挿入されているならば、上記合計代金に基づき当該取引における付与ポイントを算出し、カードR/Wコントローラ16にカードR/W25を駆動させて当該付与ポイントをポイントカードに書き込ませる。
【0041】
このような締め処理を実行した後、CPU10は、プリンタコントローラ17にレシートプリンタ26を駆動させ、取引バッファ31に記述された詳細データ等や合計代金、預り金額、釣銭額等が印刷されたレシートを発行させる(ステップS210)。以上で当該販売処理が終了する。
【0042】
[小計割引処理]
上記ステップS208における小計割引処理について説明する。
この小計割引処理において、CPU10は、図8のフローチャートに沿って動作する。
すなわち、先ずCPU10は、取引バッファ31からレコードを1つ読み出してその割引フラグFを参照し(ステップS301)、その値が「0」「1」のいずれであるかを判定する(ステップS302)。参照した割引フラグFの値が「1」である場合(ステップS302の「F=1」)、CPU10は、当該レコードに対応するメニュー品目の売価を所定の割引率で割引く(ステップS303)。上記割引率は、例えば予めメモリ11に設定されているものである。なお、売価の割引は、取引バッファ31に当該メニュー品目の割引額を示すレコードを追加することで行われてもよいし、当該メニュー品目のレコードの売価から割引額を減じて得られる金額にて、同レコード中の売価を更新することで行われてもよい。
【0043】
このように売価が割引かれた後、あるいはステップS302にて割引フラグFが「0」であった場合(ステップS302の「F=0」)、CPU10は、取引バッファ31の全てのレコードを読み出し終えたか否かを判定する(ステップS304)。全てのレコードを読み出し終えていない場合(ステップS304のNo)、ステップS301に戻り、未読み出しのレコードを1つ読み出してステップS302,S303の処理を行う。
【0044】
一方、全てのレコードを読み出し終えている場合(ステップS304のYes)、CPU10は、取引バッファ31に記述された各レコードに基づき合計代金を再計算し、その金額を各ディスプレイ23,24に表示させる(ステップS305)。このとき算出・表示される合計代金は、上記割引きが反映された金額となる。
【0045】
以上で小計割引処理が完了する。この処理を経ると、当該小計割引処理にて割引かれた後の売価を用いて算出される各メニュー品目の合計代金を用いてステップS209の締め処理が実行される。
【0046】
以上説明したように、本実施形態におけるPOS端末1は、複数のメニュー品目のそれぞれに対応するメニュー情報が表された設定画面40を店員側ディスプレイ23に表示し、この設定画面40に表されたメニュー情報の中から割引対象とする1または複数のメニュー品目のメニュー情報を操作者の操作に従って選択し、選択された各メニュー情報に対応するメニュー品目を一括して小計割引の対象に設定する。そして、会計時に1取引において客に提供されたメニュー品目の合計代金に対する割引が指示されると、当該各メニュー品目のうち割引対象に設定されたメニュー品目の売価を割引き、割引かれた後の売価を用いて算出される当該各メニュー品目の合計代金にてこれらメニュー品目を販売処理する。このような構成であれば、複数のメニュー品目を小計割引の対象に設定する際に、いちいちメニューマスタ30から各メニュー品目のレコードを1つずつ読み出して編集する必要がないので、設定処理が極めて簡単になる。
【0047】
また、POS端末1は、設定画面40に表されたメニュー情報の中から割引非対象とする1または複数のメニュー品目のメニュー情報を操作者の操作に従って選択し、選択された各メニュー情報に対応するメニュー品目を一括して小計割引の非対象に設定する。このような構成であれば、割引対象の設定処理と同様に、割引非対象のメニュー品目の設定処理が極めて簡単になる。
【0048】
なお、具体的には、設定画面40が有する対象外メニューエリア41および対象メニューエリア42のいずれかにメニュー情報を配置することで、割引対象および割引非対象のメニュー品目が選択される。このように視覚的に分かり易い方法でメニュー品目が選択されれば、設定処理のさらなる迅速化が期待できる。
【0049】
また、設定画面40が表示された当初においては、メニューマスタ30の割引フラグFに従い前回の設定処理にて設定された割引対象のメニュー品目のメニュー情報が対象メニューエリア42に表示され、前回の設定処理にて設定された割引非対象のメニュー品目のメニュー情報が対象外メニューエリア41に表示される。このような構成であれば、現在の設定状態を容易に把握できるし、現在の設定状態からの設定変更が容易となる。
【0050】
また、設定画面40は、対象メニューエリア42に配置されたメニュー情報を一括して対象外メニューエリア41に移動させる一括対象外ボタン49を有している。このボタン49を用いれば、全てのメニュー品目を割引非対象として選択する作業が極めて容易になる。
【0051】
[変形例]
上記実施形態にて開示した構成は、種々変形実施可能である。具体的な変形例としては、例えば次のようなものがある。
【0052】
(1)上記実施形態では、販売処理装置の一例として飲食店にて使用されるPOS端末1を例示した。しかしながら、割引対象および割引非対象を設定するための構成を、カード決済に特化したカード決済端末や、客の操作によって販売処理が完結されるセルフチェックアウト端末等の他の販売処理装置に適用してもよい。さらに同構成を小売店にて使用されるPOS端末等の販売処理装置に適用してもよい。
【0053】
(2)上記実施形態では、CPU10がメモリ11に記憶されたプログラムを実行することにより、POS端末1の動作が実現されるとした。しかしながら、これに限らずプログラムを所定のネットワークからPOS端末1にダウンロードしてもよいし、同様の機能を記録媒体に記憶させたものをPOS端末1にインストールしてもよい。記録媒体としては、CD−ROM等を利用でき、かつPOS端末1が読み取り可能な記録媒体であれば、その形態は何れの形態であってもよい。また、このように予めインストールやダウンロードにより得る機能はPOS端末1内部のOS等と協働してその機能を実現させるものであってもよい。
【0054】
(3)また、POS端末1で実行されるとした処理の一部を、POS端末1に通信接続されたサーバ装置に実行させてもよい。
このようにしてシステムを構築する場合、例えばクラウドコンピューティングを利用できる。より具体的には、SaaS(software as a service)と称されるソフトウェア提供形態が適する。
【0055】
図9はクラウドシステムを利用する販売処理システムの構成図である。
この販売処理システム100は、クラウド101、複数の端末装置102および複数の通信ネットワーク103、および互いに通信接続された複数のサーバ装置104を有する。なお、端末装置102、通信ネットワーク103、およびサーバ装置104は、それぞれ1つのみでもよい。
【0056】
端末装置102は、通信ネットワーク103を介してクラウド101と通信可能である。端末装置102としては、上記実施形態にて説明したPOS端末1や、デスクトップタイプやノートブックタイプなどの種々のコンピュータ、携帯電話装置、携帯情報端末(PDA)、あるいはスマートフォンなどを適宜に利用できる。
【0057】
通信ネットワーク103としては、インターネット、プライベートネットワーク、次世代ネットワーク(NGN)、あるいはモバイルネットワークなどを適宜に利用できる。
【0058】
このような構成の販売処理システム100において、上記実施形態でPOS端末1が実行するとした処理やPOS端末1が備えるとした構成の少なくとも一部をサーバ装置104に実現させ、残りの処理や構成を端末装置102に実現させる。なお、複数のサーバ装置104にて処理を分担させてもよい。
【0059】
例えば、上記実施形態においてPOS端末1が備えるとしたメニューマスタ30や取引バッファ31に相当する構成、POS端末1が実行するとした設定処理(ステップS101〜S106)、小計割引処理(ステップS206等)の少なくとも一つをサーバ装置104に実現させる。そして、端末装置102には、上記実施形態にて開示した構成のうち、サーバ装置104に実現させる構成を除いたものを実現させる。
なお、このようにサーバ装置104に一部の処理や構成を実現させるならば、端末装置102とサーバ装置104の間で適宜必要なデータを送受信させればよい。
【0060】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0061】
1…POS端末、10…CPU、11…メモリ、22…キーボード、22a…小計割引キー、23…店員側ディスプレイ、30…メニューマスタ、31…取引バッファ、40…設定画面、41…対象外メニューエリア、42…対象メニューエリア、43,44…頁切替ボタン、47,48…移動ボタン、49…一括対象外ボタン、50…直前訂正ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の商品のそれぞれに対応する商品情報を表示する表示手段と、
この表示手段に表示された商品情報の中から割引対象とする1又は複数の商品の商品情報を操作者の操作に従って選択する対象選択手段と、
前記表示手段に表示された商品情報の中から割引非対象とする1又は複数の商品の商品情報を操作者の操作に従って選択する非対象選択手段と、
前記対象選択手段によって選択された各商品情報で示される商品を一括して割引対象に設定するとともに、前記非対象選択手段によって選択された各商品情報で示される商品を一括して割引非対象に設定する設定手段と、
1取引における客の購入商品の合計代金に対する割引を指示する指示手段と、
この指示手段によって割引が指示されたとき、前記各購入商品のうち、前記設定手段によって割引対象に設定された商品の売価を割引く割引手段と、
前記各購入商品を、前記割引手段によって割引かれた後の売価を用いて算出されるこれら各購入商品の合計代金にて販売処理する販売処理手段と、
を備えていることを特徴とする販売処理装置。
【請求項2】
前記表示手段は、割引対象の商品の商品情報を複数配置可能な第1エリア、及び、割引非対象の商品の商品情報を複数配置可能な第2エリアを表示し、
前記対象選択手段は、操作者の操作によって指定される商品情報を前記第1エリアに配置することで割引対象とする商品の商品情報を選択し、
前記非対象選択手段は、操作者の操作によって指定される商品情報を前記第2エリアに配置することで割引非対象とする商品の商品情報を選択し、
前記設定手段は、前記第1エリアに配置された1又は複数の商品情報で示される商品を一括して割引対象に設定するとともに、前記第2エリアに配置された1又は複数の商品情報で示される商品を一括して割引非対象に設定することを特徴とする請求項1に記載の販売処理装置。
【請求項3】
前記表示手段に前記第1エリア及び第2エリアが表示された当初において、前記第1エリアには前記設定手段によって前回設定された割引対象の商品の商品情報が配置され、前記第2エリアには前記設定手段によって前回設定された割引非対象の商品の商品情報が配置されることを特徴とする請求項2に記載の販売処理装置。
【請求項4】
前記表示手段は、前記第2エリアに配置された商品情報を一括して前記第1エリアに移動させる画面部品をさらに表示することを特徴とする請求項2又は3に記載の販売処理装置。
【請求項5】
表示手段および操作手段とともに使用されるコンピュータに、
複数の商品のそれぞれに対応する商品情報を前記表示手段に表示させる表示制御機能と、
前記表示手段に表示された商品情報の中から割引対象とする1又は複数の商品の商品情報を前記操作手段の操作に従って選択する対象選択機能と、
この対象選択機能によって選択された各商品情報で示される商品を一括して割引対象に設定する設定機能と、
1取引における客の購入商品の合計代金に対する割引が指示されたとき、前記各購入商品のうち、前記設定機能によって割引対象に設定された商品の売価を割引く割引機能と、
前記各購入商品を、前記割引機能によって割引かれた後の売価を用いて算出されるこれら各購入商品の合計代金にて販売処理する販売処理機能と、
を実現させるためのプログラム。
【請求項6】
販売処理装置と、少なくとも1つのサーバとを有する販売処理システムであって、
複数の商品のそれぞれに対応する商品情報を表示する表示手段と、
この表示手段に表示された商品情報の中から割引対象とする1又は複数の商品の商品情報を操作者の操作に従って選択する対象選択手段と、
この対象選択手段によって選択された各商品情報で示される商品を一括して割引対象に設定する設定手段と、
1取引における客の購入商品の合計代金に対する割引を指示する指示手段と、
この指示手段によって割引が指示されたとき、前記各購入商品のうち、前記設定手段によって割引対象に設定された商品の売価を割引く割引手段と、
前記各購入商品を、前記割引手段によって割引かれた後の売価を用いて算出されるこれら各購入商品の合計代金にて販売処理する販売処理手段と、
を備え、
これら各手段のうち前記設定手段及び前記割引手段のうちの少なくとも一方を前記サーバが備え、前記設定手段及び前記割引手段のうち前記サーバが備えないものと、前記表示手段、前記対象選択手段、前記指示手段、及び前記販売処理手段とを前記販売処理装置が備えていることを特徴とする販売処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−203574(P2012−203574A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66548(P2011−66548)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】