説明

貫入装置用架台及び杭の貫入方法

【課題】斜杭の貫入を安価で安全に行うことができる貫入装置用架台、及び杭の貫入方法を提供する。
【解決手段】地盤に杭を貫入させる貫入装置を載置する貫入装置用架台1であって、略中央部に杭を通すための第1貫通孔12を有し、該第1貫通孔の一方の開口部を含む面、及び他方の開口部を含む面が平行でない第1床版10と、略中央部に杭を通すための第2貫通孔22を有し、該第2貫通孔の一方の開口部を含む面、及び他方の開口部を含む面が平行でない第2床版20と、を有し、第1貫通孔及び第2貫通孔が連通するように、第1床版上に第2床版を重ねたまま使用する貫入装置用架台及び、該架台を用いた杭の貫入方法とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、杭を地盤に貫入する際に用いる貫入装置を載置するための貫入装置用架台、及び該貫入装置用架台を用いた杭の貫入方法に関する。
【背景技術】
【0002】
土木、建築用の基礎部材として鋼管等からなる杭を地盤に貫入する場合がある。このような杭のうち、地面に対して垂直に貫入する杭を直杭といい、地面に対して傾斜した姿勢で貫入する杭を斜杭という。斜杭は直杭に比べて水平方向に加わる力に対して有効に機能し、杭頭部の水平方向の変位を小さくすることが可能である。そのため、今後、斜杭は耐震設計上、好適に用いられる傾向にある。
【0003】
上記のような斜杭を貫入する方法として、例えば特許文献1には、回転貫入装置の下に互い違いに重ねたクサビを配置し、その一方を撤去することで回転貫入装置を傾斜させて斜杭を貫入する方法が開示されている。また、特許文献2には、回転貫入装置の架台として伸縮式ジャッキを4台設置し、その伸縮量を調整することで回転貫入装置を傾斜させて斜杭を貫入する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−166239号公報
【特許文献2】特開2004−257044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に開示された技術では、クサビ形状の架台に関して、回転貫入施工時には1台しか使わないのに、回転貫入装置を傾けるためだけに2台用意することとなり、コスト面で課題がある。また、斜杭の傾斜角度を変更する際、その都度、形状の異なるクサビを用意する必要があることからも、コスト面で問題がある。さらに、互い違いに重ねた2台のクサビの一方を撤去する際、回転貫入装置とクレーンとの間に、重量物であるクサビを引抜くための重機を配置しなければならず、安全性の面で課題が多い。
【0006】
また、上記特許文献2に開示された技術では、伸縮式ジャッキが4台必要であり、架台の製作コスト面で課題がある。さらに、ジャッキを伸縮させるための油圧装置を別途用意する必要があり、施工コスト面で課題がある。
【0007】
そこで本発明は、上記問題に鑑み、斜杭の貫入を安価で安全に行うことができる貫入装置用架台、及び杭の貫入方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
以下、本発明について説明する。
【0009】
第1の本発明は、地盤に杭を貫入させる貫入装置を載置する貫入装置用架台であって、略中央部に杭を通すための第1貫通孔を有し、該第1貫通孔の一方の開口部を含む面、及び他方の開口部を含む面が平行でない第1床版と、略中央部に杭を通すための第2貫通孔を有し、該第2貫通孔の一方の開口部を含む面、及び他方の開口部を含む面が平行でない第2床版と、を有し、第1貫通孔及び第2貫通孔が連通するように、第1床版上に第2床版を重ねたまま使用する、貫入装置用架台により、前記課題を解決する。
【0010】
ここに、「第1床版上に第2床版を重ねたまま使用する」とは、第1床版上に第2床版を重ねた状態で、第2床版上に貫入装置を載置し、第1床版と第2床版とを重ねた状態を維持したまま、該貫入装置によって地盤に杭を貫入することを意味する。
【0011】
第1の本発明の貫入装置用架台において、第1床版の第2床版側の面、又は第2床版の第1床版側の面において、第1貫通孔又は第2貫通孔の開口部を囲む円上に複数の凸部を有し、第2床版の第1床版側の面、又は第1床版の第2床版側の面において、第2貫通孔又は第1貫通孔の開口部を囲む円上に、凸部と嵌合する凹部を複数有し、凸部と凹部とを嵌合する際の組合せが複数あり、凸部と凹部とを嵌合することによって、平面視における第2床版の第1床版に対する回転を係止することが好ましい。
【0012】
「第1床版の第2床版側の面、又は第2床版の第1床版側の面において、第1貫通孔又は第2貫通孔の開口部を囲む円上に複数の凸部を有し」とは、第1床版の第2床版側の面に複数の凸部を有する場合、該凸部が、第1床版の第2床版側の面において第1貫通孔の開口部を囲む円上に形成されており、第2床版の第1床版側の面に複数の凸部を有する場合、該凸部が、第2床版の第1床版側の面において第2貫通孔の開口部を囲む円上に形成されていることを意味する。また、「第2床版の第1床版側の面、又は第1床版の第2床版側の面において、第2貫通孔又は第1貫通孔の開口部を囲む円上に、凸部と嵌合する凹部を複数有し」とは、第1床版の第2床版側の面に複数の凸部を有する場合、該凸部と嵌合する凹部が、第2床版の第1床版側の面において第2貫通孔の開口部を囲む円上に形成されており、第2床版の第1床版側の面に複数の凸部を有する場合、該凸部と嵌合する凹部が、第1床版の第2床版側の面において第1貫通孔の開口部を囲む円上に形成されていることを意味する。さらに、「凸部と凹部とを嵌合する際の組合せが複数あり」とは、凸部及び凹部がそれぞれ複数あり、嵌合させる組合せを変えられることを意味する。なお、凹部の数は凸部の数以上であればよく、凹部の数と凸部の数とが一致している必要はない。かかる形態とすることによって、後に詳述するように、第2床版の上面(貫入装置を載置する面。以下、「貫入装置設置面」と表記することがある。)の水平面に対する傾斜角を任意の角度に調整することが容易になる。
【0013】
本発明において、第2床版の「上面」とは、貫入装置用架台を使用する際に、第2床版の天に向く側の面を意味する。また、貫入装置用架台を使用する際に、第2床版の第1床版が備えられる側(地盤側)の面は、第2床版の「下面」と表記する場合がある。第1床版については、地盤側の面を「下面」と表記し、該下面と反対側(第2床版が備えられる側)の面を「上面」と表記することがある。さらに、第1床版及び第2床版において、上面と下面との間の面を「側面」と表記することがある。
【0014】
第1の本発明の貫入装置用架台において、第1床版の第2床版側の面、又は第2床版の第1床版側の面において、第1貫通孔又は第2貫通孔の開口部を囲む円上に複数の凸部を有し、第2床版の第1床版側の面、又は第1床版の第2床版側の面において、第2貫通孔又は第1貫通孔の開口部を囲む円形の溝を有するとともに、該溝上に凸部と嵌合する凹部を複数有し、凸部と凹部とを嵌合する際の組合せが複数あり、凸部と凹部とを嵌合することによって、平面視における第2床版の第1床版に対する回転を係止することも好ましい。かかる形態とすることによって、後に詳述するように、平面視において、第2床版を第1床版に対して回転させることが容易になり、貫入装置設置面の水平面に対する傾斜角を任意の角度に調整することが容易になる。
【0015】
第1の本発明の貫入装置用架台において、第1床版の第2床版側の面にある複数の凸部を、第1床版の第2床版側の面に形成された凹部に嵌めこまれた球体によって構成された半球状の凸部とすることができる。床版と別個の球体で凸部を構成することにより架台の製作、加工が容易となり、また凸部を(半)球体とすることで嵌合作業が容易になる。
【0016】
第1の本発明の貫入装置用架台において、第1床版が、第2床版側の面に、第1貫通孔の開口部を囲む円形の溝を有するとともに、第2床版が、第1床版側の面に、第2貫通孔の開口部を囲む円形の溝を有し、第1床版の溝及び第2床版の溝によって挟持される複数の球体と、平面視における第2床版の第1床版に対する回転を係止する係止手段と、を有することも好ましい。かかる形態とすることによっても、平面視において、第2床版を第1床版に対して回転させることが容易になり、貫入装置設置面の水平面に対する傾斜角を任意の角度に調整することが容易になる。
【0017】
第1の本発明の貫入装置用架台において、第1床版及び第2床版が、1つの円筒を該円筒の中心軸に対して傾斜した面で切断した形状であることが好ましい。かかる形態とすることによって、第1床版及び第2床版の作製が容易になる。
【0018】
第2の本発明は、上記第1の本発明の貫入装置用架台を設置する工程と、設置した貫入装置用架台上に貫入装置を載置する工程と、貫入装置によって杭を地盤に貫入する工程と、を有する杭の貫入方法により、前記課題を解決する。
【発明の効果】
【0019】
第1の本発明の貫入装置用架台によれば、対向した面が平行でない床版の重ね合せ方を変えることによって、1つの貫入装置用架台で任意の角度に傾斜した貫入装置設置面を形成することができるため、斜杭の貫入を安価で行える。また、上記したように、互い違いに重ねた2台のクサビの一方を撤去する方法の場合は安全面での対策が必要であったが、第1の本発明の貫入装置用架台によれば、貫入装置設置面を安全に任意の角度に傾斜させることが容易であり、斜杭の貫入を安全に行える。
【0020】
第2の本発明の杭の貫入方法によれば、第1の本発明の貫入装置用架台を用いることによって、安価で安全に斜杭の貫入を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】1つの実施形態にかかる本発明の貫入装置用架台を概略的に示す三面図である。
【図2】(a)は図1に示した第1床版の上面図、(b)は(a)に示したIIb−IIbでの断面図、(c)は図1に示した第2床版の下面図、(d)は(c)に示したIId−IIdでの断面図である。
【図3】図1に示した貫入装置用架台の使用例を概略的に示す側面図である。
【図4】(a)は他の実施形態にかかる第1床版の上面図、(b)は(a)に示したIVb−IVbでの断面図、(c)は他の実施形態にかかる第2床版の下面図、(d)は(c)に示したIVd−IVdでの断面図である。
【図5】(a)は他の実施形態にかかる第2床版の上面図、(b)は(a)に示したVb−Vbでの断面図である。
【図6】(a)は、他の実施形態にかかる第1床版の上面図、(b)は(a)に示したVIb−VIbでの断面図、(c)は他の実施形態にかかる第2床版の下面図、(d)は(c)に示したVId−VIdでの断面図である。
【図7】図1に示した貫入装置用架台を用いた杭の貫入方法を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の上記した作用及び利得は、次に説明する発明を実施するための形態から明らかにされる。以下、本発明を図面に示す実施形態に基づき説明する。ただし、本発明はこれら実施形態に限定されるものではない。
【0023】
1.貫入装置用架台
本発明の貫入装置用架台は、地盤に杭を貫入させることができる貫入装置を載置するための台である。また、本発明の貫入装置用架台は、第1床版と該第1床版上に重ねられる第2床版とを有している。さらに、本発明の貫入装置用架台は、第1床版上に第2床版を重ねた状態で、第2床版上に貫入装置を載置し、第1床版と第2床版とを重ねた状態を維持したまま使用する。第1床版は、貫入装置によって地盤に貫入される杭を通すための貫通孔(第1貫通孔)を略中央部に有している。第1床版において、第1貫通孔の一方の開口部を含む面と他方の開口部を含む面とは平行でない。第2床版も、貫入装置によって地盤に貫入される杭を通すための貫通孔(第2貫通孔)を略中央部に有している。第2床版において、第2貫通孔の一方の開口部を含む面と他方の開口部を含む面とは平行でない。本発明の貫入装置用架台は、第1床版と第2床版とを重ねる際、第1床版の第1貫通孔及び第2床版の第2貫通孔が連通し、貫入装置によって貫入する杭が、第1貫通孔及び第2貫通孔を通るようにする。
【0024】
図1は、このような本発明の貫入装置用架台のうち、一つの実施形態にかかる貫入装置用架台1を概略的に示す三面図である。図1(a)は平面図であり、図1(b)は正面図であり、図1(c)は側面図である。なお、図1では、外観視できない構成について、一部を破線で示している(以下のその他の図についても同じ。)。また、図1では、図面が煩雑になるのを防ぐため、繰り返しとなる符号を一部省略している(以下のその他の図についても同じ。)。図2(a)は、図1に示した第1床版10の上面図、図2(b)は、図2(a)に示したIIb−IIbでの断面図と、図2(c)は、図1に示した第2床版20の下面図、図2(d)は、図2(c)に示したIId−IIdでの断面図である。図3は、図1に示した貫入装置用架台1の使用例を概略的に示す側面図である。以下、図1〜3を参照しつつ、貫入装置用架台1について説明する。
【0025】
貫入装置用架台1は、第1床版10と第2床版20とを備えている。
【0026】
第1床版10は、略中央部に杭を通すための第1貫通孔12を有している。また、第1床版10は、第1貫通孔12の一方の開口部を含む面と他方の開口部を含む面とが平行でないように形成されている。すなわち、貫入装置用架台1を水平面に設置した際、第1床版10の上面及び下面は、水平面に対する傾斜角が異なっている。具体的には、貫入装置用架台1を水平な地面に設置した際、第1床版10の下面は略水平となり、上面は水平面に対して所定の角度で傾斜している。よって、該傾斜方向に平行な鉛直断面において、第1床版10は、一方の端部が最も厚くなっており、該端部から他方の端部に向かって厚さが徐々に薄くなっている(図2参照)。
【0027】
第2床版20は、略中央部に杭を通すための第2貫通孔22を有している。また、第2床版20は、第1床版10の上面と下面とを逆さまにした外観を有している。すなわち、第2床版20は、第2貫通孔22の一方の開口部を含む面と他方の開口部を含む面とが平行でないように形成されており、貫入装置用架台1を水平面に設置した際、第2床版20の上面及び下面は、水平面に対する傾斜角が異なっている。図1に示した姿勢では、第2床版20の上面は略水平となり、下面は水平面に対して所定の角度で傾斜しており、該傾斜方向に平行な鉛直断面において、第2床版20は、一方の端部が最も厚くなっており、該端部から他方の端部に向かって厚さが徐々に薄くなっている(図2参照)。
【0028】
上述したように、第1床版10及び第2床版20は上面と下面とを逆さまにした外観を有しており、鉛直断面において、一方の端部から他方の端部に向かって厚さが変化している。よって、図1に示したように、第1床版10の最も厚い部分と第2床版20の最も薄い部分とが重なるようにして、貫入装置用架台1を水平な地面に設置した場合は、貫入装置設置面24は略水平となる。そして、この姿勢から、第1床版10又は第2床版20を平面視において回転させることにより、水平面に対する貫入装置設置面24の傾斜角を任意の角度に調整することができる。すなわち、図1に示したように第1床版10の最も厚い部分と第2床版20の最も薄い部分とが重なるようにして貫入装置用架台1を水平な地面に設置した場合、貫入装置設置面24の水平面に対する傾斜角が最小(0度)となり、図3に示すように、第1床版10の最も厚い部分と第2床版20の最も厚い部分とを重ねた場合、貫入装置設置面24の水平面に対する傾斜角が最大となる。
【0029】
貫入装置設置面24の水平面に対する傾斜角の最大値は特に限定されないが、設計上要求される角度は最大15度程度と考えられる。例えば、貫入装置設置面24の水平面に対する傾斜角の最大値を15度とする場合、第1床版10及び第2床版20は上面と下面とを逆さまにした外観を有しているため、第1床版10の下面に対する上面の傾斜角を7.5度にするとともに、第2床版20の上面に対する下面の傾斜角を7.5度にすれば良い。ただし、本発明の貫入装置用架台は、第1床版及び第2床版の外観が同じである必要はなく、第1床版の下面に対する上面の傾斜角及び第2床版の上面に対する下面の傾斜角を同一にする必要もない。
【0030】
貫入装置用架台1を用いて杭を地盤に貫入する際、該杭は、第1床版10の第1貫通孔12と第2床版20の第2貫通孔22とが連通してなる貫通孔2を通して貫入される。このとき、第1床版10又は第2床版20を平面視において回転させることにより、第1貫通孔12の中心軸の方向と第2貫通孔22の中心軸の方向とがずれる。そのため、少なくとも第1貫通孔12は、貫通孔2を通す予定の杭の最大径(幅)より太く形成しておく必要がある。貫入装置設置面24に対して垂直に第2貫通孔22を形成することにより、貫通孔2を通す予定の杭の中心軸と第2貫通孔22の中心軸とを重ねることはできるが、該杭の中心軸と第1貫通孔12の中心軸とはずれる、すなわち、第1貫通孔12の中心軸に対して斜めに杭が通されるためである。
【0031】
上述したようにして貫入装置設置面24を任意の角度で傾斜させることによって、貫入装置設置面24に貫入装置を載置し、任意の角度で斜杭を地盤に貫入できる。貫入装置用架台1によれば、上記のように平行でない2面を持った床版10、20の重ね合せ方を変える、すなわち、第1床版10又は第2床版20を平面視において回転させることによって、1つの貫入装置用架台1で任意の角度に傾斜した貫入装置設置面24を形成することができる。そのため、架台の作製費用を抑えることができ、斜杭の貫入を安価で行える。また、貫入装置用架台1は、貫入装置設置面24を安全に任意の角度に傾斜させることが容易であり、安全面でも優れている。
【0032】
上記のように第1床版10又は第2床版20を回転させ、その回転後の第1床版10及び第2床版20の位置関係を維持するために、貫入装置用架台1が備えている機構について、以下に説明する。
【0033】
第1床版10の上面には、第1貫通孔12の開口部の周りに2つの凸部15、15が形成されている。凸部15、15は、第1床版10の上面に形成された凹部13、13に嵌めこまれた球体5、5が第1床版10の上面から略半分突出していることによって構成された半球状の凸部である。また、第2床版20の下面には、第2貫通孔22の開口部を囲むように複数の凹部23、23、…が形成されている。当該凸部15、15、を凹部23、23、…のいずれかに嵌合させることによって、平面視における第2床版20の第1床版10に対する回転を係止することができる。
【0034】
第1床版10又は第2床版20を回転させた場合、回転前に空間3、3を形成していた凹部13、13及び凹部23、23とは異なる組み合わせの凹部13、13及び凹部23、23によって、また空間3、3が形成され、第1床版10又は第2床版20の回転の前後において空間3、3には球体5、5が配置される。このように、第1床版10又は第2床版20の回転の前後において、凸部15、15(球体5、5)及び凹部23、23によって、平面視における第2床版20の第1床版10に対する回転が係止され、第1床版10及び第2床版20の位置関係を維持することができる。
【0035】
上述したように、第1床版10又は第2床版20を回転させたとき、第1貫通孔12の中心軸の方向と第2貫通孔22の中心軸の方向とはずれる。このずれを最小限に抑えるという観点からは、図2(a)に示したように凸部15、15が、第1床版10の上面側において、第1貫通孔12の開口部を含む面と第1貫通孔12の中心軸との交点を中心とした円(一点鎖線)16上に形成されているとともに、図2(c)に示したように凹部23、23、…が、第2床版20の下面側において、第2貫通孔22の開口部を含む面と第2貫通孔22の中心軸との交点を中心とした円(一点鎖線)26上に形成されていることが好ましい。円16及び円26の直径は同一である。
【0036】
また、第1床版10又は第2床版20を回転させたとき、平面視における第1床版10に対する第2床版20の回転角と、貫入装置設置面24の傾斜角とは必ずしも正比例しない。例えば、第1床版10及び第2床版20が、1つの円筒を該円筒の中心軸に対して傾斜した面で切断した形状とした場合(図1参照)、第1床版10の上面及び第2床版20の下面は楕円となる。そのため、第1床版10又は第2床版20を回転させたとき、平面視における第1床版10に対する第2床版20の回転角と、貫入装置設置面24の傾斜角とは正比例しない。これに伴い、貫入装置設置面24の傾斜角を等間隔の段階で調整可能にしようとすると、凹部23、23、…は、円26上において不等間隔で設けられることになる。
【0037】
貫入装置用架台1は、第1床版10及び第2床版20の間において、凸部15、15と8つの凹部23、23、…のうち任意の2つの凹部23、23とを嵌合させることによって、貫入装置設置面24の傾斜角を5段階(貫入装置用架台1を水平面に設置した際に、貫入装置設置面24が水平となる場合を含む。)で調整することができる。ただし、本発明の貫入装置用架台において、第2床版の下面に形成される凹部の数は特に限定されない。第2床版の下面に形成される凹部の数を増やせば、貫入装置設置面の傾斜角をより多段階で調整することができる。
【0038】
また、図1〜図3には、第1床版10及び第2床版20がそれぞれ半球状の凹部13、13及び半球状の凹部23、23、…を有しており、凹部13、13及び8つの凹部23、23、…のうち任意の2つの凹部23、23によって球体5、5を包み込む球状の空間3、3が形成される形態を例示したが、本発明の貫入装置用架台は、かかる形態に限定されない。凹部13、13及び凹部23、23、…の形状は、球体5、5を挟持して、平面視における第2床版20の第1床版10に対する回転を係止できる形態であれば、特に限定されない。例えば、凹部13、13及び凹部23、23、…は、それぞれ多面体の凹部であってもよい。また、凹部13、13及び凹部23、23によって球体5、5を完全に包み込めなくてもよい。すなわち、第1床版10及び第2床版20を重ねた際に、第1床版10と第2床版20との間に球体5、5が介在することによって第1床版10と第2床版20との間に間隙が形成されるような形態であってもよい。
【0039】
また、図1〜図3には、凹部13、13及び球体5、5によって第1床版10の上面に凸部15、15が形成され、第2床版20の下面に該凸部15、15と嵌合する凹部23、23、…が設けられている形態を例示して説明したが、本発明の貫入装置用架台は上記形態に限定されない。すなわち、第2床版の第1床版に対する回転を係止するための凸部は、第1床版及び第2床版と別に設けられたものではなく、第1床版の上面又は第2床版の下面に一体化して設けられたものであってもよい。当該凸部が第2床版の下面に設けられる場合は、当該凸部に嵌合する凹部が第1床版の上面に設けられる。
【0040】
また、図1〜図3に示した形態のように、凸部15、15が円16上において円16の中心を通る線上に並んで配置されているような場合、すなわち、どの凸部15とどの凹部23とを嵌合させても凹部23に対する凸部15の挿入角度が同じである場合は、凸部15、15の形状は特に限定されず、半球でなくてもよい。
【0041】
また、本発明の貫入装置用架台において、平面視における第1床版又は第2床版の回転前後の第1床版及び第2床版の位置関係を維持するための機構は、上記機構に限定されない。当該機構のその他の例について、図4〜図6を参照しつつ説明する。
【0042】
図4は、他の実施形態にかかる貫入装置用架台の第1床版10a及び第2床版20aを概略的に示す図である。図4(a)は、第1床版10aの上面図、図4(b)は、図4(a)に示したIVb−IVbでの断面図、図4(c)は、第2床版20aの下面図、図4(d)は、図4(c)に示したIVd−IVdでの断面図である。図5は、さらに他の実施形態にかかる貫入装置用架台の第2床版20bを概略的に示す図である。図5(a)は、第2床版20bの上面図、図5(b)は、図5(a)に示したVb−Vbでの断面図である。図6は、さらに他の実施形態にかかる貫入装置用架台の第1床版10c及び第2床版20cを概略的に示す図である。図6(a)は、第1床版10cの上面図、図6(b)は、図6(a)に示したVIb−VIbでの断面図、図6(c)は、第2床版20cの下面図、図6(d)は、図6(c)に示したVId−VIdでの断面図である。図4〜図6において、図1〜図3と同様の構成のものには同符号を付しており、適宜説明を省略する。
【0043】
図4に示した形態の貫入装置用架台は、図4(a)に示したように、第1床版10aの上面において、第1貫通孔12を囲む円上に複数の凹部13a、13a、…が形成され、該凹部13a、13a、…に球体5a、5a、…が嵌めこまれて凸部15a、15a、…が形成されている。また、図4(b)に示したように、第2床版20aの下面において、第2貫通孔22を囲む円上に凸部15a、15a、…と同数の凹部23a、23a、…が形成されている。そして、第1床版10a及び第2床版20aを重ねて、凸部15a、15a、…と凹部23a、23a、…とを嵌合させることによって、平面視における第2床版20aの第1床版10aに対する回転を係止することができる。なお、凸部15a、15a、…は円16上に形成されることが好ましく、凹部23a、23a、…は円26上に形成されることが好ましい。上述したように、第1床版10a又は第2床版20aを回転させたとき、第1貫通孔12の中心軸の方向と第2貫通孔22の中心軸の方向とのずれを最小限に抑えるためである。
【0044】
図4に示した形態の貫入装置用架台においても、第1床版10a及び第2床版20aを重ねて第1床版10a又は第2床版20aを回転させた場合、回転前に球体5a、5a、…を包む空間を形成していた凹部13a、13a、…及び凹部23a、23a、…とは異なる組み合わせの凹部13a、13a、…及び凹部23a、23a、…によって、また球体5a、5a、…を包む空間が形成され、第1床版10a又は第2床版20aの回転の前後において、凹部13a、13a、…及び凹部23a、23a、…によって形成される空間内に球体5a、5a、…が配置される。このようにして、第1床版10a又は第2床版20aの回転の前後において、凹部23a、23a、及び凸部15a、15a(球体5a、5a、…)によって、平面視における第2床版20aの第1床版10aに対する回転が係止され、第1床版10a及び第2床版20aの位置関係を維持することができる。
【0045】
図4に示した形態の貫入装置用架台は、第1床版10aの上面において、凸部15a、15a、…が円16上に等間隔に形成されるとともに、第2床版20aの下面において、凹部23a、23a、…が円26上に等間隔に形成されていることが好ましい。かかる形態とすることによって、第1床版10a又は第2床版20aを回転させたとき、全ての凸部15a、15a、…を凹部23a、23a、…に嵌合させることが容易になる。ただし、かかる形態の場合、貫入装置設置面24の傾斜角の調整は等間隔にならない。上述したように、平面視における第1床版10aに対する第2床版20aの回転角と、貫入装置設置面24の傾斜角とは必ずしも正比例しないためである。
【0046】
図4に示した形態において、凸部15a、15a、…の数及び凹部23a、23a、…の数は特に限定されない。凹部23a、23a、…の数、若しくは凸部15a、15a、…の数及び凹部23a、23a、…の数を増やせば、貫入装置設置面24の傾斜角をより多段階で調整することができる。
【0047】
また、図4に示した形態において、凹部13a、13a及び凹部23a、23a、…の形状は、球体5a、5a、…を挟持して、平面視における第2床版20の第1床版10に対する回転を係止できる形態であれば、特に限定されない。例えば、凹部13a、13a及び凹部23a、23a、…は、それぞれ多面体の凹部であってもよい。また、凹部13a、13a及び凹部23a、23aによって球体5a、5a、…を完全に包み込めなくてもよい。すなわち、第1床版10a及び第2床版20aを重ねた際に、第1床版10aと第2床版20aとの間に球体5a、5aが介在することによって第1床版10aと第2床版20aとの間に間隙が形成されるような形態であってもよい。
【0048】
また、図4には、凹部13a、13a、…及び球体5a、5a、…によって第1床版10の上面に凸部15a、15a、…が形成され、第2床版20aの下面に該凸部15a、15a、…と嵌合する凹部23a、23a、…が設けられている形態を例示して説明したが、本発明の貫入装置用架台は上記形態に限定されない。すなわち、第2床版の第1床版に対する回転を係止するための凸部は、第1床版及び第2床版と別に設けられたものではなく、第1床版の上面又は第2床版の下面に一体化して設けられたものであってもよい。当該凸部が第2床版の下面に設けられる場合は、当該凸部に嵌合する凹部が第1床版の上面に設けられる。
【0049】
なお、図4に示した形態のように、凹部23aをどの凸部15aに嵌合させるかによって、凹部23aに対する凸部15aの挿入角度が異なる場合は、凸部15a、15a、…及び凹部23a、23a、…の形状は半球又は略半球の多面体であることが好ましい。
【0050】
図5に示した第2床版20bは、上記第1床版10又は上記第1床版10aと組み合わせて用いることができる。以下、第1床版を第1床版10とした場合について主に説明する。
【0051】
第2床版20bは、下面に、第2貫通孔22の開口部を囲む円形の溝21bを有するとともに、該溝21b上に複数の凹部23b、23b、…を有する。溝21bは、円26に沿って設けられることが好ましい。上述したように、第1床版10又は第2床版20bを回転させたとき、第1貫通孔12の中心軸の方向と第2貫通孔22の中心軸の方向とのずれを最小限に抑えるためである。
【0052】
第1床版10の凸部15、15と第2床版20bの凹部23b、23b、…とを嵌合させることによって、平面視における第2床版20bの第1床版10に対する回転を係止することができる。なお、凹部23b、23b、…の形状及び間隔などについては、上記凹部23、23、…と同様とする。すなわち、凹部23b、23b、…の形状は特に限定されず、凹部23b、23b、…の間隔は不等間隔であることが好ましい。
【0053】
溝21bを設けることによって、第1床版10に対して第2床版20bを回転させる際、第2床版20bを持ち上げる量を減らすことができる。貫入装置用架台1の場合は、第1床版10に対して第2床版20を回転させる際、球体5、5が第2床版20の凹部23、23、…から完全に外れる高さまで第2床版2を持ち上げなければ、第2床版20を回転させられない。一方、溝21aを設けることによって、第1床版10に対して第2床版20aを回転させる際、溝21aの深さ分だけ、第2床版20aを持ち上げる量を減らすことができる。よって、平面視において、第2床版20aを第1床版10に対して回転させることが容易になり、貫入装置設置面24の水平面に対する傾斜を任意の角度に調整することがより容易になる。
【0054】
溝21bの断面(円26に垂直な方向の断面)形状は特に限定されないが、凸部15の形状に対応した形状であることが好ましい。
【0055】
なお、第1床版10aと第2床版20bとを組み合わせる場合は、凹部23b、23b、…の形状及び間隔などについては、凹部23a、23a、…と同様とする。すなわち、凹部23b、23b、…の形状は半球又は略半球の多面体であることが好ましく、凹部23b、23b、…の間隔は等間隔であることが好ましい。
【0056】
図6に示した第1床版10cは、上面に、第1貫通孔12の開口部を囲む円形の溝11cを有している。また、第2床版20cは、下面に、第2貫通孔22の開口部を囲む円形の溝21cを有している。さらに、図6に示した形態の貫入装置用架台は、第1床版10cの溝11c及び第2床版20cの溝21cによって挟持される複数の球体5c、5c、…を有しており、第1床版10c又は第2床版20cを無段階で回転させることができる。なお、溝11cは円16に沿って設けられることが好ましく、溝21cは円26に沿って設けられることが好ましい。上述したように、第1床版10c又は第2床版20cを回転させたとき、第1貫通孔12の中心軸の方向と第2貫通孔22の中心軸の方向とのずれを最小限に抑えるためである。
【0057】
また、図6に示したような形態の貫入装置用架台は、第1床版10c又は第2床版20cを回転させた後、その状態を維持するため、平面視における第2床版20cの第1床版10cに対する回転を係止する係止手段(不図示)が必要となる。当該係止手段は特に限定されない。例えば、第1床版10c及び第2床版20cの側面に、第1床版10c及び第2床版20cの相対的位置及び姿勢を固定する部材を設けることなどが考えられる。
【0058】
また、図6に示したような形態の貫入装置用架台は、第1床版10c又は第2床版20cを無段階で回転させることが可能であるため、どの程度回転させたときに、貫入装置設置面の角度が何度になるかという目印を設けることが好ましい。当該目印は特に限定されない。例えば、第1床版10c及び第2床版20cの側面にそれぞれ目盛りを刻むことが考えられる。第1床版10bのどの目盛りと第2床版20bのどの目盛りとが合わさったときに、貫入装置設置面の角度が何度になるかということを容易に把握することができるようになるからである。なお、第1床版10c及び第2床版20cの側面同士は、回転させることによって面一にならない場合があるので、当該目盛りは第1床版10cの上面の端部にまで設けることが好ましい。
【0059】
これまでの本発明の説明(図1〜図6)では、第1床版及び第2床版が、1つの円筒を該円筒の中心軸に対して傾斜した面で切断した形状である例について説明した。かかる形態の場合、第1床版及び第2床版を作製することが容易になる。また、第1床版又は第2床版を回転させたときに第1床版の側面と第2床版の側面とのずれが小さくなるため、出っ張る部分が小さくなり、使用し易い。ただし、本発明の貫入装置用架台は上記形態に限定されない。例えば、中心軸に対して垂直な断面が楕円や多角形であるような筒状体を、中心軸に対して傾斜した面で切断した形状であってもよい。また、第1床版及び第2床版が同じ形状でなくても良い。
【0060】
また、これまでの本発明の説明では、第1床版の下面が第1床版の側面に対して垂直であり、第2床版の上面が第2床版の側面に対して垂直である形態を例示して説明したが、本発明の貫入装置用架台は上記形態に限定されない。すなわち、上面及び下面がどちらも側面に対して垂直でない形態であってもよい。
【0061】
さらに、これまでの本発明の説明では、2つの床版を重ねてなる貫入装置用架台について説明したが、本発明の貫入装置用架台はかかる形態に限定されない。床版を3つ以上重ねて、上記した機構によって少なくともいずれかの床版を平面視において回転させられるものとしてもよい。
【0062】
2.杭の貫入方法
本発明の杭の貫入方法は、上記本発明の貫入装置用架台を設置する工程と、設置した貫入装置用架台上に貫入装置を載置する工程と、該貫入装置によって杭を地盤に貫入する工程とを有する。以下、貫入装置用架台1を用いて鋼管杭30を貫入する場合を例にして、図7を参照しつつ、本発明の杭の貫入方法について説明する。図7は、貫入装置用架台1を用いた鋼管杭30の貫入方法を説明する模式図である。
【0063】
まず、貫入装置用架台1を、地盤50上に設置する。このとき、あらかじめ貫入装置設置面24の傾斜角度を調整し、貫入装置設置面24の傾斜の向きが所定の方向になるように、貫入装置用架台1を地盤50上に設置することが好ましい。貫入装置設置面24の傾斜の向きは、第1床版10の上面の傾斜の向きとは必ずしも一致しない。そのため、貫入装置設置面24の傾斜の向きを所定の方向に向ける場合の第1床版10の向きを考慮して、貫入装置用架台1を設置する。なお、貫入装置用架台1を地盤50に固定する方法は、鋼管杭30を貫入する際に貫入装置用架台1の位置がずれないような方法であれば、特に限定されない。
【0064】
次に、貫入装置設置面24に貫入装置40を載置する。このとき、貫入装置40を貫入装置設置面24に固定する方法は、鋼管杭30を貫入する際に貫入装置40の位置がずれないような方法であれば、特に限定されない。
【0065】
上記のようにして貫入装置設置面24を任意の角度で傾斜させ、かつ貫入装置設置面24に貫入装置40を載置した後、貫入装置40によって鋼管杭30を地盤50に貫入する。鋼管杭30を地盤50に貫入させる方法は特に限定されないが、例えば鋼管杭30を回転させながら地盤50に貫入する工法が好ましい。この工法は鋼管31の先端に2枚の半円形の鋼板32を交差状に取り付けて先端翼とし、回転によって推進力を得て地盤50に貫入するものである。この工法で施工された鋼管杭を先端翼付き回転貫入鋼管杭と呼ぶ。先端翼付き回転貫入鋼管杭は騒音や振動を抑えられることや、大きな支持力を得られることが特徴である。
【0066】
鋼管杭30を回転貫入で施工するにあたっては、貫入装置40として回転貫入装置を用いる。なお、回転貫入装置は、貫入する杭径に応じて3点式杭打ち機や全周回転機などがある。ここでの説明は全周回転機について行うが、それに限定されるものではない。
【0067】
次に回転貫入装置40の把持装置で鋼管杭30(鋼管31)を掴み、把持装置ごと鋼管杭30を回転させつつ地盤50に貫入する。回転貫入装置40のストローク一杯まで押し込んだら、一旦、鋼管杭30を把持状態から開放して、回転貫入装置40を初期位置まで戻した後、再び鋼管杭30を掴み直す。このサイクルを繰り返すことで、鋼管杭30を徐々に地盤50に貫入させていく。鋼管杭30の上端が掴み位置に近づいてきたら、鋼管杭30の貫入作業を一旦終え、鋼管杭30に新たな杭を縦継ぎして、上記サイクルを繰り返す。
【0068】
このように、本発明の杭の貫入方法によれば、1つの貫入装置用架台を用いて任意の角度で斜杭を貫入できるため、斜杭の貫入を安価で行える。また、上記したように、互い違いに重ねた2台のクサビの一方を撤去する従来の方法の場合は安全面での対策が必要であったが、本発明の杭の貫入方法によれば、貫入装置設置面を安全に任意の角度に傾斜させることが容易であり、斜杭の貫入を安全に行える。
【0069】
なお、本発明に用いることができる杭は特に限定されず、上記のような鋼管杭の他、コンクリート杭なども用いることができる。
【0070】
以上、現時点において実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う貫入装置用架台及び杭の貫入方法も本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【符号の説明】
【0071】
1 貫入装置用架台
2 貫通孔
3 空間
5、5a、5c 球体
10、10a、10b、10c 第1床版
11c 溝
12 第1貫通孔
13、13a 凹部
15、15a 凸部
20、20a、20b、20c 第2床版
21b、21c 溝
22 第2貫通孔
23、23a、23b 凹部
24 貫入装置設置面24
30 鋼管杭
31 鋼管
32 先端翼
40 貫入装置
50 地盤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地盤に杭を貫入させる貫入装置を載置する貫入装置用架台であって、
略中央部に前記杭を通すための第1貫通孔を有し、該第1貫通孔の一方の開口部を含む面、及び他方の開口部を含む面が平行でない第1床版と、
略中央部に前記杭を通すための第2貫通孔を有し、該第2貫通孔の一方の開口部を含む面、及び他方の開口部を含む面が平行でない第2床版と、を有し、
前記第1貫通孔及び前記第2貫通孔が連通するように、前記第1床版上に前記第2床版を重ねたまま使用する、貫入装置用架台。
【請求項2】
前記第1床版の前記第2床版側の面、又は前記第2床版の前記第1床版側の面において、前記第1貫通孔又は前記第2貫通孔の開口部を囲む円上に複数の凸部を有し、
前記第2床版の前記第1床版側の面、又は前記第1床版の前記第2床版側の面において、前記第2貫通孔又は前記第1貫通孔の開口部を囲む円上に、前記凸部と嵌合する凹部を複数有し、
前記凸部と前記凹部とを嵌合する際の組合せが複数あり、
前記凸部と前記凹部とを嵌合することによって、平面視における前記第2床版の前記第1床版に対する回転を係止する、請求項1に記載の貫入装置用架台。
【請求項3】
前記第1床版の前記第2床版側の面、又は前記第2床版の前記第1床版側の面において、前記第1貫通孔又は前記第2貫通孔の開口部を囲む円上に複数の凸部を有し、
前記第2床版の前記第1床版側の面、又は前記第1床版の前記第2床版側の面において、前記第1貫通孔又は前記第2貫通孔の開口部を囲む円形の溝を有するとともに、該溝上に前記凸部と嵌合する凹部を複数有し、
前記凸部と前記凹部とを嵌合する際の組合せが複数あり、
前記凸部と前記凹部とを嵌合することによって、平面視における前記第2床版の前記第1床版に対する回転を係止する、請求項1に記載の貫入装置用架台。
【請求項4】
前記凸部が、前記第1床版の前記第2床版側の面に形成された凹部に嵌めこまれた球体によって構成された半球状の凸部である、請求項2又は3に記載の貫入装置用架台。
【請求項5】
前記第1床版が、前記第2床版側の面に、前記第1貫通孔の開口部を囲む円形の溝を有するとともに、前記第2床版が、前記第1床版側の面に、前記第2貫通孔の開口部を囲む円形の溝を有し、
前記第1床版の前記溝及び前記第2床版の前記溝によって挟持される複数の球体と、
平面視における前記第2床版の前記第1床版に対する回転を係止する係止手段と、
を有する、請求項1に記載の貫入装置用架台。
【請求項6】
前記第1床版及び前記第2床版が、1つの円筒を該円筒の中心軸に対して傾斜した面で切断した形状である、請求項1〜5のいずれかに記載の貫入装置用架台。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の貫入装置用架台を設置する工程と、
設置した前記貫入装置用架台上に貫入装置を載置する工程と、
前記貫入装置によって杭を地盤に貫入する工程と、
を有する杭の貫入方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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