説明

貫通孔規則配列フィルタ及びその製造方法

【課題】 フィルタ自体が構造強度を持ち、フィルタ部表面が平坦で貫通孔が規則的に高開孔率で形成されているので、濾過抵抗が小さく、浮遊微粒子を各々分離した状態で簡便且つ迅速に分級して捕集することができ、透過光での観察ができ、フィルタ部が導電性を有することで、種々の顕微鏡による粒子の観察の際に前処理を必要とせず、自動計測処理にも適した貫通孔規則配列フィルタを提供することを目的とする。また、高剛性で高開孔率で高品質の貫通孔規則配列フィルタを高い生産性で量産できる貫通孔規則配列フィルタの製造方法を提供することを目的とする
【解決手段】 本発明のハニカム膜フィルタは、平滑で高剛性の素材で形成され中央部に規則的に多数形成された貫通孔を備えるフィルタ部と、前記フィルタ部の外周側の少なくとも一面に形成された構造支持部と、を備える構成を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ自体が構造強度を持ち、大気中に浮遊する固体又は液体若しくは細菌やウィルス等の微粒子を容易に捕集し、捕集された微粒子の個々の形状や大きさ、微粒子の相対的な位置や距離を測定することができる、貫通孔規則配列フィルタ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、微粒子の捕集体としては、繊維の絡み合いにより微細孔を形成したガラス繊維フィルタ、石英繊維フィルタ、フッ素樹脂フィルタ等を用いている。しかし、これらのフィルタで微粒子を捕集する場合、フィルタ繊維の隙間に微粒子が入り込むため、微粒子を捕集したままで機器分析する際にフィルタ繊維と微粒子を分離して解析することが困難であり、またフィルタ繊維の狭い隙間で微粒子の凝集が促進されるため、微粒子同士の分離解析が困難になる等の課題を有していた。これらの課題を解決するために、本発明者等は鋭意研究した結果、「疎水性有機溶媒に溶解する高分子化合物により形成された、厚みが0.1〜20μmの多孔膜からなり、前記孔部の孔径が20μm以下で、前記多孔膜の開孔率が45〜75%であることを特徴とする浮遊微粒子捕集用フィルタ」の発明を完成し、特許出願を行った(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−152849号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら上記従来の技術においては、以下のような課題を有していた。
(1)(特許文献1)に開示の技術は、フィルタ自体の曲げ強度が弱く撓むので、支持体が必要であり、フィルタ組み立ての後工程が不可欠であるとともに、支持体があることで、微粒子の捕集の際の吸気速度が大きく低下する。また、孔径の小さいフィルタの製造が困難であるという課題を有していた。
(2)高分子化合物に孔径2μm以下の貫通孔をフィルタ全面に製造することは技術的に困難であるので、孔径のバラツキも大きくなり、配列も不規則になる。
(3)電子顕微鏡での観察には蒸着処理が必要であり、光学顕微鏡での観察では、フィルタの撓みにより視野全面に焦点を合わせることが困難で、3次元形状分析や画像解析でも大きな障害となるという課題を有していた。
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、フィルタ自体が構造強度を持ち、フィルタ部表面が平滑で貫通孔が規則的に高開孔率で形成されているので、濾過抵抗が小さく、浮遊微粒子を各々分離した状態で簡便且つ迅速に分級して捕集することができ、透過光での観察ができ、フィルタ部が導電性を有することで、種々の顕微鏡による粒子の観察の際に前処理を必要とせず、自動計測処理にも適した貫通孔規則配列フィルタを提供することを目的とする。また、高剛性で高開孔率で高品質の貫通孔規則配列フィルタを高い生産性で量産できる貫通孔規則配列フィルタの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記従来の課題を解決するために、本発明の貫通孔規則配列フィルタは、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の貫通孔規則配列フィルタは、平滑で高剛性の素材で形成され中央部に規則的に多数形成された貫通孔を備えるフィルタ部と、前記フィルタ部の外周側の少なくとも一面に形成された構造支持部と、を備える構成を有している。
この構成により、以下のような作用が得られる。
(1)フィルタ部が高剛性で、撓むことがなく、またその表面の平滑度が高いので、顕微鏡での観察の際に、全域にピントを合わせることができ、広視野で観察することができるので、微粒子の分布等を短時間で確認することができる。
(2)フィルタ部周囲に構造支持部が形成されているため、高開孔率であっても十分な構造強度を有し、フィルタ部を支持する支持体が必要ないので、サンプラーに直接フィルタを装着できる。
(4)貫通孔が規則的に形成されているため、微粒子を分級しやすく、繊維状フィルタのように繊維内に微粒子が入り込むことがないので、フィルタから微粒子を分離し易く、微粒子の形状や性質も変わることがないため、正確な分析が行える。
(5)貫通孔が規則的に形成されているため、高解像度カメラを用いた画像処理により微粒子の個数・粒径・形状等の自動計測処理等にも適用ができる。
(6)フィルタ部及び構造支持部に、半導体等の融点の高い導電性素材を用いた場合、燃焼プラントにおける排ガス中の微粒子の捕集にも適用することができる。また、半導体は酸・アルカリ・有機溶剤等の薬品に対する耐性が強いので、これらを用いて微粒子を溶解洗浄でき、フィルタを何回も再利用でき省資源性や経済性に優れる。
(7)フィルタ部を形成する素材に、半導体を用いた場合、電極等の回路を形成することが容易なので、微粒子捕集時のリアルタイム計測へも応用可能である。
(8)貫通孔が規則的に形成されているため、貫通孔間の距離が分かっていれば、顕微鏡での観察時にスケールとなり、微粒子の大まかな粒径を簡単に知ることができる。
【0007】
ここで、フィルタ部が形成される素材としては、半導体、ステンレス、アルミ等の金属、金属箔、セラミック、ガラス等が用いられるが、好ましくは半導体が用いられる。これは、LSI微細加工技術であるフォトリソグラフィー法を用いて貫通孔を形成することで、貫通孔の孔径を小さくかつ均一に、またいかなる配列パターンでも高精度かつ容易に作成できるためである。
【0008】
半導体ウェハのような素材に複数のフィルタを作成する場合、ダイシングを行い個々のフィルタに分けてもよく、又は切れ込み(切目)を入れることで使用時に分割できるようしてもよい。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の貫通孔規則配列フィルタであって、前記素材が導電性素材である構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる効果に加え以下の作用が得られる。
(1)フィルタ部が導電性を有するので、電子顕微鏡での観察の際にチャージアップが起こらず、蒸着処理なしで迅速に分析することができる。
【0010】
ここで、導電性素材としては、シリコンウェハ等の半導体やステンレス、金属箔が用いられるが、ガラス等の非導電性素材を導電性の膜で覆ったものを用いても良い。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の貫通孔規則配列フィルタであって、前記導電性素材がシリコンウェハであり、フィルタ部及び構造支持部が1枚のウェハに形成される構成を有している。
この構成により、請求項2で得られる作用に加え以下の作用が得られる。
(1)前面からフォトリソグラフィー法でフィルタ部を加工した後、背面からフィルタ部の底面までフォトリソグラフィー法で構造支持部以外を除去することで、一枚のウェハのみを用いてかつ単純な工程でフィルタ部及び構造支持部を容易に形成できる。
(2)フォトリソグラフィー法を用いることで、フィルタ部に孔径が小さくかつ均一な貫通孔を形成できるので、微粒子を正確に分級することができる。
(3)シリコンウェハには、電極等の回路を形成することが容易なので、微粒子捕集時のリアルタイム計測へも応用可能である。
(4)シリコンウェハとして、間にシリコン酸化膜の層が形成されているSOIウェハを用いた場合、シリコン酸化膜でエッチングが止まるため、フォトリソグラフィー法を用いて構造支持部及びフィルタ部を同時に形成することができ、生産性に優れる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は3に記載の貫通孔規則配列フィルタであって、前記フィルタ部の開孔率が20〜90%である構成を有している。
この構成により、請求項1又は3で得られる作用に加え以下の作用が得られる。
(1)フィルタ部の開孔率が20〜90%なので、濾過抵抗が低く、吸気速度が低下し難く、微粒子の捕集時にフィルタ部に負荷がかかり難く、貫通孔に微粒子が引っ掛かり難い。
(2)開孔率が高いため光の透過率も高く、光学顕微鏡観察において、透過光での観察ができるので、細菌分析が可能である。
【0013】
ここで、フィルタ部の開孔率としては20〜90%、好ましくは30〜90%、より好ましくは50〜90%が用いられる。フィルタ部の開孔率が50%より小さくなるにつれ、濾過抵抗が大きくなり、貫通孔に微粒子がひっかかったり目詰まりが生じたり、光学顕微鏡観察での透過光強度が不足する傾向にあり、30%以下でその傾向が大きく、20%以下でその傾向が著しいので好ましくない。また、フィルタ部の開孔率が90%より大きくなるに連れ、アスペクト比や膜厚にもよるがフィルタとしての構造強度が小さくなるため割れやすくなる傾向にあり好ましくない。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の貫通孔規則配列フィルタであって、前記フィルタ部に形成された前記貫通孔の孔径が30μm以下である構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え以下の作用が得られる。
(1)貫通孔の孔径が30μm以下であるので、クリーンルーム、病院、実験室等室内の粉塵や細菌、ウィルスの測定、屋外での粉塵測定等、用途に合わせて貫通孔の孔径を選択できる。
(2)孔径の違う当該フィルタを多段に重ねることで、試料の分級ができ、特定粒子の選択的捕集が容易に行える。
【0015】
ここで、フィルタ部の貫通孔の孔径として30μm以下、得られるものとして0.05〜30μmのものが用いられる。孔径が0.05〜30μmなので、ウィルスの捕集から大気汚染微粒子の捕集・観察まで幅広く利用することができる。例えば、クリーンルーム等の微粒子が少ない場所では0.1〜1μm、それ以外の場所では2〜10μmのものが好適に用いられる。また、微粒子の種類によって孔径を選ぶ場合は、花粉であれば5〜30μm、細菌であれば0.7〜5μm、ウィルスであれば0.05〜0.5μm、燃焼プラントにおける微粒子やディーゼル排気微粒子であれば0.1〜10μm等が挙げられる。
【0016】
請求項6に記載の発明は、請求項1、3、4の内いずれか1に記載の貫通孔規則配列フィルタであって前記フィルタ部の厚みが0.5〜10μmである構成を有している。
この構成により、請求項1、3、4で得られる作用に加え以下の作用が得られる。
(1)フィルタ部の厚みが0.5〜10μmであり、フィルタ部が構造強度を持つので、捕集サンプラーの吸気速度を大きくしてもフィルタ部の破損を防止できる。
(2)種々のアスペクト比に対応できるので、微小孔径及び大孔径のフィルタ作成時に加工方法に適したアスペクト比を選択できる。
【0017】
ここで、フィルタ部の厚みとして0.5〜10μm、好ましくは1〜6μmが用いられる。フィルタ部の厚みが1μmより小さくなるにつれ、フィルタ部の構造強度が小さくフィルタの取り付けや取り外しの際に破損し易く取扱い性に欠ける傾向があり、0.5μmより小さくなるにつれ、その傾向が著しいので好ましくない。但し、フィルタ部の面積や貫通孔の孔径を小さくする場合、シリコンウェハ等であれば剛性が確保でき0.5μmの厚みでも良い。また、フィルタ部の厚みが6μmより大きくなるにつれ、孔径とフィルタ部の厚みのアスペクト比が大きくなり濾過抵抗が増すとともに、貫通孔形成時に孔が貫通し難く、更に微粒子捕集時に微粒子が貫通孔に引っ掛かり易い傾向があり、10μmより大きいと、その傾向が著しいので好ましくない。
【0018】
請求項7に記載の発明は、請求項1又は3に記載の貫通孔規則配列フィルタであって、前記構造支持部の厚みが100μm以上である構成を有している。
この構成により、請求項1又は3で得られる作用に加え以下の作用が得られる。
(1)構造支持部の厚みが100μm以上に形成されるので、フィルタ自体が構造強度を有し、支持体を付けて使用するなどの工程なしでフィルタとして使用できる。
(2)フィルタ自体が構造強度を持つので、携帯サンプラーを用いた作業においてフィルタの取り付け、取り外しが容易で取扱い性に優れる。
【0019】
ここで、構造支持部の厚みとして100μm以上、好ましくは200〜2000μmが用いられる。フィルタ部の面積にもよるが、構造支持部の厚みが200μmより小さくなるにつれ、構造支持部の構造強度が小さくなる傾向があり、100μmより小さいと、その傾向が著しいため好ましくない。2000μmを越えると構造支持部とフィルタ部の段差が大きく、形成加工が煩雑となる傾向があるため好ましくない。
【0020】
請求項8に記載の発明は、請求項1、3、4、6の内いずれか1に記載の貫通孔規則配列フィルタであって、前記フィルタ部のアスペクト比が10以下である構成を有している。
この構成により、請求項1、3、4、6で得られる作用に加え以下の作用が得られる。
(1)アスペクト比が10以下であるので、濾過抵抗が小さく、吸気速度が低下し難い。
(2)アスペクト比が10以下であるので、製造時に貫通孔を形成し易い。
【0021】
ここで、フィルタ部のアスペクト比は10以下、好ましくは0.1〜10のものが用いられる。アスペクト比が10より大きくなるにつれて、濾過抵抗が大きくなる傾向にあるため好ましくない。また、アスペクト比が0.1より小さくなるにつれて、開孔率にもよるが、フィルタ部の剛性が小さくなり割れ易くなる傾向があると推測される。
【0022】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8の内いずれか1に記載の貫通孔規則配列フィルタの製造方法であって、表面が平滑で高剛性を持つ構造支持部形成素材に貫通孔を開け構造支持部を形成する構造支持部形成工程と、前記構造支持部形成素材に表面が平滑で高剛性を持つフィルタ部形成素材を接合する接合工程と、前記フィルタ部形成素材に多数の貫通孔を規則的に開けフィルタ部を形成するフィルタ部形成工程と、を備える構成を有している。
この構成により、以下の作用が得られる。
(1)工数が少ないので生産性に優れ、低原価で量産性に優れる。
【0023】
ここで、構造支持部形成工程及びフィルタ部形成工程としては、半導体であればドライエッチング等、金属であればエッチングやレーザー加工等が挙げられる。また、構造支持部が形成される素材としてガラス板を用いる場合、ガラス板の製造時に貫通孔を形成することで、構造支持部形成工程を省くこともできる。
【0024】
接合工程としては、構造支持部形成素材とフィルタ部形成素材を、接合できる方法であれば特に限定はしないが、ガラスと半導体であれば、接着剤を用いる以外に、例えば陽極接合(加熱しながら電圧をかけ、共有結合させる)等が挙げられる。
【0025】
尚、フィルタ部形成工程は、接合工程の前後どちらであっても良い。
【0026】
フィルタ部の径としては、1〜100mmが採用される。1〜100mmであるので、濾紙等の規格と同じ径にすることで、それらの代替えとして用いることができる。1mmより小さくなるにつれ、充分な吸気速度が得られなくなる傾向があり好ましくない。また、100mmより大きくなるにつれ、フィルタ部の強度、剛性が下がる傾向があり好ましくない。
【0027】
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至8に記載の貫通孔規則配列フィルタの製造方法であって、表面が平滑で高剛性の素材の一面にフィルタ部を形成するための多数の凹部を規則的に開けフィルタ部を形成するフィルタ部形成工程と、次いで他面から前記フィルタ部形成工程の前記凹部が貫通孔となるまで凹部を開け構造支持部を形成する構造支持部形成工程と、を備える構成を有している。
この構成により、請求項9で得られる作用に加え以下の作用が得られる。
(1)1つの素材からフィルタ部及び構造支持部を形成できると共に、工数が少ないので、製造管理を容易に行うことができ、大量生産にも向いている。
(2)素材としてシリコンウェハを用いた場合、フォトリソグラフィー法を用いることで、フィルタ部及び構造支持部を容易に形成できるとともに、フィルタ部には孔径が小さくかつ均一な貫通孔が得られる。
【0028】
尚、フィルタ部形成工程は、構造支持部形成工程の前後どちらであっても良い。
【0029】
請求項11に記載の発明は、請求項3に記載の貫通孔規則配列フィルタの製造方法であって、シリコンウェハがSOIウェハであり、SOIウェハの一面に構造支持部を形成するためのエッチングパターン及び他面にフィルタ部を形成するための規則的な多数の貫通孔のエッチングパターンをマークするエッチングパターン形成工程と、前記貫通工パターン形成工程でマークされた箇所にシリコン酸化膜まで凹部をディープエッチングし構造支持部及びフィルタ部を形成するエッチング工程と、前期シリコン酸化膜を除去する除去工程と、を備える構成を有している。
この構成により、請求項9又は10で得られる作用に加え以下の作用が得られる。
(1)SOIウェハには、2層のシリコン層の間にシリコン酸化膜の層があるため、構造支持部及びフィルタ部の形成の際、シリコン酸化膜でエッチングが止まるので、構造支持部及びフィルタ部を同時に形成することができ、フィルタ製造の工程が少なく生産性に優れる。
(2)フォトリソグラフィー法により貫通孔のパターンニングをすることで、孔径が小さくかつ均一な貫通孔を有するフィルタ部を形成することができるので、微粒子を正確に分級することができる。
【発明の効果】
【0030】
以上のように、本発明の貫通孔規則配列フィルタによれば、以下のような有利な効果が得られる。
請求項1によれば、
(1)フィルタ部が高剛性で、撓むことがなく、またその表面の平滑度が高いので、顕微鏡での観察の際に、全域にピントを合わせることができ、広視野で観察することができるので、微粒子の分布等を短時間で確認することができる貫通孔規則配列フィルタを提供することができる。
(2)フィルタ自体に構造支持部が形成されているため、高開孔率であっても十分な構造強度を有し、フィルタ部を支持する支持体が必要ないので、サンプラーに直接フィルタを装着できる貫通孔規則配列フィルタを提供することができる。
(3)貫通孔が規則的に形成されているため、微粒子を分級しやすく、繊維状フィルタのように繊維内に微粒子が入り込むことがないので、フィルタから微粒子を分離し易く、微粒子の形状や性質も変わることがないため、正確な分析が行える貫通孔規則配列フィルタを提供することができる。
(4)貫通孔が規則的に形成されているため、高解像度カメラを用いた画像処理により微粒子の個数・粒径・形状等の自動計測処理等にも適用ができる貫通孔規則配列フィルタを提供することができる。
(5)フィルタ部及び構造支持部に、半導体等の融点の高い導電性素材を用いた場合、燃焼プロセスにおける排ガス中の微粒子の捕集にも適用することができる。また、半導体は酸・アルカリ・有機溶剤等の薬品に対する耐性が強いので、これらを用いて微粒子を溶解洗浄でき、フィルタを何回も再利用でき省資源性や経済性に優れる貫通孔規則配列フィルタを提供することができる。
(6)フィルタ部を形成する素材に、半導体を用いた場合、電極等の回路を形成することが容易なので、微粒子捕集時のリアルタイム計測へも応用可能である貫通孔規則配列フィルタを提供することができる。
(7)貫通孔が規則的に形成されているため、貫通孔間の距離が分かっていれば、顕微鏡での観察時にスケールとなり、微粒子の大まかな粒径を簡単に知ることができる貫通孔規則配列フィルタを提供することができる。
【0031】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)フィルタ部が導電性を有するので、電子顕微鏡での観察の際にチャージアップが起こらず、蒸着処理なしで迅速に分析することができる貫通孔規則配列フィルタを提供することができる。
【0032】
請求項3に記載の発明によれば、請求項2の効果に加え、
(1)一面からフォトリソグラフィー法でフィルタ部を加工した後、他面からフォトリソグラフィー法で構造支持部以外を除去することで、一枚のウェハのみを用いてかつ単純な工程でフィルタ部及び構造支持部を容易に形成できる貫通孔規則配列フィルタを提供することができる。
(2)フォトリソグラフィー法を用いることで、フィルタ部に孔径が小さくかつ均一な貫通孔が得られるので、微粒子を正確に分級することができる貫通孔規則配列フィルタを提供することができる。
(3)シリコンウェハには、電極等の回路を形成することが容易なので、微粒子捕集時のリアルタイム計測へも応用可能な貫通孔規則配列フィルタを提供することができる。
(4)シリコンウェハとして、ウェハの間にシリコン酸化膜の層が形成されているSOIウェハを用いた場合、シリコン酸化膜でエッチングが止まるため、構造支持部及びフィルタ部を同時に形成することができ、生産性に優れた貫通孔規則配列フィルタを提供することができる。
【0033】
請求項4に記載の発明によれば、請求項1又は3の効果に加え、
(1)フィルタ部の開孔率が20〜90%なので、濾過抵抗が低く、吸気速度が低下し難く、微粒子の捕集時にフィルタに負荷がかかり難く、貫通孔に微粒子が引っ掛かり難い貫通孔規則配列フィルタを提供することができる。
(2)開孔率が高いため光の透過率も高く、光学顕微鏡観察において、透過光での観察ができるので、細菌分析が可能である貫通孔規則配列フィルタを提供することができる。
【0034】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1の効果に加え、
(1)貫通孔の孔径が30μm以下であるので、クリーンルーム、病院、実験室等室内の粉塵測定、屋外での粉塵測定等、用途に合わせて貫通孔の孔径を選択できる貫通孔規則配列フィルタを提供することができる。
(2)孔径の違うフィルタを多段に重ねることで、試料の分級ができ、粒度分布や特定粒子の選択的捕集が容易に行える貫通孔規則配列フィルタを提供することができる。
【0035】
請求項6に記載の発明によれば、請求項1、3、4の効果に加え、
(1)フィルタ部の厚みが0.5〜10μmであり、フィルタ部が構造強度を持つので、捕集サンプラーの吸気速度を大きくしてもフィルタ部が撓んだり、破損することがない貫通孔規則配列フィルタを提供することができる。
(2)種々のアスペクト比に対応できるので、微小孔径及び大孔径フィルタ作成時に加工方法に適したアスペクト比を選択できる貫通孔規則配列フィルタを提供することができる。
【0036】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1又は3の効果に加え、
(1)構造支持部の厚みが300μm以上に形成されるので、フィルタ本体が構造強度を有し、支持体を付けて使用するなどの工程なしでフィルタとして使用できる貫通孔規則配列フィルタを提供することができる。
(2)フィルタ自体が構造強度を持つので、携帯サンプラーを用いた作業においてフィルタの取り付け、取り外しが容易で取扱い性に優れる貫通孔規則配列フィルタを提供することができる。
【0037】
請求項8に記載の発明によれば、請求項1、3、4、6の効果に加え、
(1)アスペクト比が10以下であるので、濾過抵抗が小さく、吸気速度が低下し難い貫通孔規則配列フィルタを提供することができる。
(2)アスペクト比が10以下であるので、製造時に貫通孔を形成し易い貫通孔規則配列フィルタを提供することができる。
【0038】
請求項9に記載の発明によれば、
(1)高剛性で高開孔率で高品質の貫通孔規則配列フィルタを少ない工数で高い生産性で量産できる貫通孔規則配列フィルタの製造方法を提供することができる。
【0039】
請求項10に記載の発明によれば、請求項9の効果に加え、
(1)1枚の素材から単純な工程でフィルタ部及び構造支持部を容易に形成できると共に、程が少ないので、製造管理を容易に行うことができる貫通孔規則配列フィルタの製造方法を提供することができる。
(2)素材としてシリコンウェハを用いた場合、フォトリソグラフィー法を用いることで、フィルタ部に孔径が小さくかつ均一な貫通孔が得られるので、微粒子を正確に分級することができる貫通孔規則配列フィルタの製造方法を提供することができる。
【0040】
請求項11に記載の発明によれば、請求項9又は10の効果と同じ効果をえることができる。
(1)SOIウェハには、2層のシリコン層の間にシリコン酸化膜の層があるため、構造支持部及びフィルタ部の形成の際、シリコン酸化膜でエッチングが止まるので、構造支持部及びフィルタ部を同時に形成することができ、フィルタ製造の工程が少なく生産性に優れる貫通孔規則配列フィルタの製造方法を提供することができる。
(2)フォトリソグラフィー法により貫通孔のパターンニングをすることで、孔径が小さくかつ均一な貫通孔を有するフィルタ部を形成することができるので、微粒子を正確に分級することができる貫通孔規則配列フィルタの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】実施の形態1の貫通孔規則配列フィルタの断面模式図
【図2】実施の形態1の製造方法で製造された貫通孔規則配列フィルタのウェハの要部平面写真
【図3】貫通孔規則配列フィルタのフィルタ部の貫通孔パターン図
【図4】実施例1のP2における貫通孔の拡大写真
【図5】フィルタ部の開孔率と濾過抵抗の関係図
【図6】貫通孔の孔径と濾過抵抗の関係図
【図7】実施例1の貫通孔規則配列フィルタで捕集した微粒子の光学顕微鏡(反射光)における観察写真
【図8】実施例1の貫通孔規則配列フィルタで捕集した微粒子の光学顕微鏡(透過光)における観察写真
【図9】実施例2の貫通孔規則配列フィルタで捕集した微粒子の光学顕微鏡における微粒子の広視野観察写真
【図10】実施例2の貫通孔規則配列フィルタで捕集した微粒子の蒸着処理をしていない状態での走査型電子顕微鏡における観察写真
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明を実施するための最良の形態を、図面を参照しながら説明する。
なお、本発明はこの実施の形態に限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1の貫通孔規則配列フィルタの断面模式図である。
1は実施の形態1の貫通孔規則配列フィルタ、2は貫通孔を規則的に配列した略方形のフィルタ部、3はSOIウェハのシリコン層にフィルタ部2が形成されたフィルタ部形成層、4は貫通孔規則配列フィルタ1の構造支持部、5はSOIウェハのシリコン層に構造支持部4が形成された構造支持部形成層、6はフィルタ部2と構造支持部4との間に挟まれたシリコン酸化膜、7はフィルタ部に規則的に形成された貫通孔、8は構造支持部形成層5に形成された排出用の凹部である。
【0043】
以上のように構成された本実施の形態1の貫通孔規則配列フィルタについて、以下にその製造方法を説明する。
貫通孔規則配列フィルタ1の素材として、高剛性で表面の平滑度が0.1μmのSOIウェハを準備する。SOIウェハのフィルタ部形成層3の厚みd1=5μm、構造支持部形成層5の厚みd2=400μmである。SOIウェハの表面にフォトリソグラフィー法を用い、フィルタ部形成層3に塗布したレジストに、6mm×6mmの範囲に中心間距離2μm、孔径1μmの貫通孔7の配列パターンを形成し、エッチングにより、パターンに合わせた凹部をシリコン酸化層6まで形成する。形成された孔径は1.46〜1.73μmで開孔率は48〜68%となる。構造支持部形成層5においても、フィルタ部形成層3と同様にして、ディープエッチングにより9mm径の凹部(排出孔)8をシリコン酸化層6まで形成する。エッチングはシリコン酸化膜6で止まるため、シリコン酸化膜6のみフッ化アンモニウム溶液等で剥離して、貫通孔規則配列フィルタ1を製造する。
図2は、実施の形態1の製造方法で製造された貫通孔規則配列フィルタのウェハの要部平面写真であるが、図2のように、SOIウェハに多数形成された貫通孔規則配列フィルタの周囲に切目3aを入れることで、使用時に手で割って、そのままサンプラーへ装着できるようしても良い。
【0044】
以上のように、本実施の形態1における貫通孔規則配列フィルタは構成されているので、以下のような作用が得られる。
(1)表面平滑度が0.1μmのSOIウェハを素材としてもちいるので、フィルタ表面が平滑で撓み等がなく、顕微鏡での観察の際に、全域にピントを合わせることができるので、広視野で観察することができ、微粒子の分布等を短時間で確認することができる。
(2)フィルタ本体に構造支持部があるため、高開孔率であっても十分な構造強度を有するので、支持体を付けることなく使用できる。
(3)フォトグラフィー法を用いて、貫通孔が同径で規則的に形成されているため、微粒子を分級しやすく、繊維状フィルタのように繊維内に微粒子が入り込むことがないので、微粒子の形状や性質が変わることがなく、正確な分析が行える。また、高解像度カメラによる微粒子の自動計測処理等にも容易に適用ができる。
(4)シリコンであるため融点が高く、燃焼プラントにおける排ガス中の微粒子の捕集にも適用することができ、更に、使用後は薬液等で洗浄して再利用することができる。
(5)孔径が小さいので、細菌やウィルスの分級にも適用でき、院内感染の原因究明等にも用いることができる。
(6)フィルタ部の開孔率が高いので、濾過抵抗が低く、吸気速度が殆ど低下せず、吸気によるフィルタ部への負荷が小さく、孔径より小さい粒径の微粒子が引っ掛かったり、目詰まりが生じ難いので、微粒子を長時間捕集することができる。
(7)フィルタ本体が導電性に優れるので、電極等の回路を形成することが容易であるので、微粒子捕集時のリアルタイム計測へも応用可能である。
(8)1つのSOIウェハから多数の該フィルタを形成することができ生産性に優れる。
【0045】
尚、貫通孔規則配列フィルタの製造方法としてSOIウェハを用いても良いが、構造支持部4を形成するための高剛性のある表面が平滑な素材Aと、フィルタ部2を形成する高剛性のある表面が平滑な素材Bと、を準備し、素材Aにフィルタ部2よりも大きい貫通孔を形成し構造支持部4を作り、貫通孔の形成された素材Aに素材Bを接合させ、素材Bの素材Aに貫通孔が形成された箇所と同じ位置に、規則配列した貫通孔7を開けフィルタ部2を形成することで、貫通孔規則配列フィルタを製造してもよい。
接合する素材Bに厚みがあり、貫通孔7の形成が困難な場合は、フィルタ部2の貫通孔7を形成する前に、導電性素材を研削し厚みを調整してもよい。
【実施例】
【0046】
以下、本発明を実験例により具体的に説明する。尚、本発明はこれらの実験例に限定されるものではない。
(実施例1)
図3に、貫通孔規則配列フィルタのフィルタ形成部の孔配置図を示す。
貫通孔の孔径をD、隣り合う貫通孔の中心間距離をP、隣り合う貫通孔の距離をQとしたとき、フィルタ部形成層の膜厚が4.3μm、構造支持部形成層の膜厚が440μmのSOIウェハに、フィルタのパターンP1〜P4の4種類の貫通孔規則配列フィルタを製造した。
表1にパターンP1〜P4の詳細を示す。
【0047】
【表1】

@0001
【0048】
表1に示すハニカム構造の各パターンP1〜P4において、試料を1つのパターンにつき12個ずつ製造した。次いで、フィルタ部の貫通孔の孔径及び開孔率とろ過抵抗の関係を調べた。調べた試料の数は、P1を3枚、P2を4枚、P3を4枚、P4を3枚とした。その結果を表2に示す。また、図4に実施例1のP2における貫通孔の拡大写真を、図5にフィルタ部の開孔率と濾過抵抗の関係図を、図6に貫通孔の孔径と濾過抵抗の関係図を示す。
尚、開孔率は、(数1)により算出した。
開孔率(%)= (90.6 × D2) / P2 (数1)
【0049】
【表2】

@0003
【0050】
表2より、貫通孔の孔径はウェハ表面での測定値で目的の孔径より1μm程度大きいが、孔内部は0.5μmほど小さかった。これは、貫通孔を形成するエッチングの際、ウェハ表面から徐々に貫通孔を形成するため、表面が一番エッチングの影響を受け易く、孔径が大きくなったものと考えられる。
図4より、貫通孔の内壁には連続的に凹凸があること確認された。これは、貫通孔の孔径が小さいので、エッチング処理がゆっくり進んでいるためである。そのため、フィルタ部のアスペクト比が大きいと、フィルタ部表面の孔径と貫通孔内の孔径の差が大きくなる、又はエッチングが進まず貫通孔が形成できない等の不具合が生じると推測される。
図5より、開孔率約50%を境に濾過抵抗が小さくなることが分かった。この結果から、貫通孔規則配列フィルタの開孔率は50%以上であることが好ましいことが確認された。
図6より、P4はP3に比べ貫通孔の孔径が小さいにもかかわらず濾過抵抗が小さかった。このことから、貫通孔の大きさは濾過抵抗に影響しないことが分かった。よって、フィルタ部の厚みが5μm以下であれば、濾過抵抗にアスペクト比の影響は少なく、開孔率の影響が大きいことが分かった。
【0051】
実施例1の貫通孔規則配列フィルタを用いて捕集した微粒子を光学顕微鏡で観察した結果について説明する。ハニカム孔の間隔は4μmである。
図7は光を反射させた際の光学顕微鏡写真(倍率:2500倍)であり、図8は光を透過させた際の光学顕微鏡写真(倍率:2500倍)である。
【0052】
図7及び図8より、貫通孔規則配列フィルタの表面全体にピントが合っていることから、フィルタ全面は平滑であることが分かった。また、開孔率も十分に大きく、反射光・透過光を選ばず観察することが可能であることが分かった。透過光による観察ができるので、細菌類を生きたまま観察することが可能であると考えられる。また、フィルタ部の貫通孔が規則配列しているため、貫通孔間の距離が分かっていれば光学顕微鏡で見ただけで、その場で捕集物の大きさが分かるので応用性に優れていると言える。
【0053】
(実施例2)
SOIウェハがフィルタ部形成層の膜厚が5μm、構造支持部形成層の膜厚が400μmであって、フィルタのパターンをP5及びP6である以外は、実施例1と同様にした。
表3にパターンP5及びP6を示す。
【0054】
【表3】

@0004
【0055】
次に、実施例2の貫通孔規則配列フィルタを用いてクリーンルームで捕集した微粒子を、光学顕微鏡により広視野(倍率:450倍)で観察した写真を図9に示す。
【0056】
図9より、フィルタ部の表面が平滑なので、広視野においても全域にピントが合った状態で観察できることが分かった。このことから、目的の微粒子等がある場合、広視野観察で目的の微粒子等を見つけた後に、倍率を上げて観察するということができ、顕微鏡による分析の迅速化を図ることができると考えられる。また、広視野像を高解像度カメラで撮影すれば、貫通孔が規則配列であるので、画像処理により一度で大量の粒子の個数・粒径・形状等を自動計測できると考えられる。
【0057】
実施例2の貫通孔規則配列フィルタを用いて捕集した微粒子を、蒸着処理をせずに走査型電子顕微鏡で観察した写真を図10に示す。
【0058】
図10より、蒸着処理をしなくてもチャージアップが起こらず、微粒子を十分に確認することができ、全域にピントが合うことが分かった。このことから、走査型電子顕微鏡の場合においても、分析の迅速化を図ることができると言える。また、貫通孔が規則的に配列しているので、画像処理でフィルタ孔を除去して微粒子のみを抽出することが容易にでき、微粒子の自動計測に適する。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、フィルタ自体が構造強度を持ち、フィルタ部表面が平滑で貫通孔が規則的に高開孔率で形成されているので、濾過抵抗が小さく、浮遊微粒子を各々分離した状態で簡便且つ迅速に分級して捕集することができ、透過光での観察ができ、フィルタ部が導電性を有することで、種々の顕微鏡による粒子の観察の際に前処理を必要とせず、自動計測処理にも適した貫通孔規則配列フィルタを提供することができる。また、高剛性で高開孔率で高品質の貫通孔規則配列フィルタを高い生産性で量産できる貫通孔規則配列フィルタの製造方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 実施の形態1における貫通孔規則配列フィルタ
2 フィルタ部
3 フィルタ部形成層
3a 切目
4 構造支持部
5 構造支持部形成層
6 シリコン酸化膜
7 貫通孔
8 凹部
A 貫通孔中心

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平滑で高剛性の素材で形成され中央部に規則的に多数形成された貫通孔を備えるフィルタ部と、前記フィルタ部の外周側の少なくとも一面に形成された構造支持部と、を備えることを特徴とする貫通孔規則配列フィルタ。
【請求項2】
前記素材が導電性素材であることを特徴とする請求項1に記載の貫通孔規則配列フィルタ。
【請求項3】
前記導電性素材がシリコンウェハであり、フィルタ部及び構造支持部が1枚のウェハに形成されることを特徴とする請求項2に記載の貫通孔規則配列フィルタ。
【請求項4】
前記フィルタ部の開孔率が20〜90%であることを特徴とする請求項1又は3記載の貫通孔規則配列フィルタ。
【請求項5】
前記貫通孔の孔径が30μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の貫通孔規則配列フィルタ。
【請求項6】
前記フィルタ部の厚みが0.5〜10μmであることを特徴とする請求項1、3、4の内いずれか1に記載の貫通孔規則配列フィルタ。
【請求項7】
前記構造支持部の厚みが100μm以上であることを特徴とする請求項1又は3に記載の貫通孔規則配列フィルタ。
【請求項8】
前記フィルタ部のアスペクト比が10以下であることを特徴とする請求項1、3、4、6の内いずれか1に記載の貫通孔規則配列フィルタ。
【請求項9】
請求項1乃至8の内いずれか1に記載の貫通孔規則配列フィルタの製造方法であって、表面が平滑で高剛性を持つ構造支持部形成素材に貫通孔を開け構造支持部を形成する構造支持部形成工程と、前記構造支持部形成素材に表面が平滑で高剛性を持つフィルタ部形成素材を接合する接合工程と、前記フィルタ部形成素材に多数の貫通孔を規則的に開けフィルタ部を形成するフィルタ部形成工程と、を備えることを特徴とする貫通孔規則配列フィルタの製造方法。
【請求項10】
請求項1乃至8の内いずれか1に記載の貫通孔規則配列フィルタの製造方法であって、表面が平滑で高剛性の素材の一面にフィルタ部を形成するための多数の凹部を規則的に開けフィルタ部を形成するフィルタ部形成工程と、次いで他面から前記フィルタ部形成工程の前記凹部が貫通孔となるまで凹部を開け構造支持部を形成する構造支持部形成工程と、を備えることを特徴とする貫通孔規則配列フィルタの製造方法。
【請求項11】
請求項3に記載の貫通孔規則配列フィルタの製造方法であって、シリコンウェハがSOIウェハであり、SOIウェハの一面に構造支持部を形成するためのエッチングパターン及び他面にフィルタ部を形成するための規則的な多数の貫通孔のエッチングパターンをマークするエッチングパターン形成工程と、前記貫通工パターン形成工程でマークされた箇所にシリコン酸化膜まで凹部をディープエッチングし構造支持部及びフィルタ部を形成するエッチング工程と、前期シリコン酸化膜を除去する除去工程と、を備えることを特徴とする貫通孔規則配列フィルタの方法。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−76027(P2012−76027A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224274(P2010−224274)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(802000031)財団法人北九州産業学術推進機構 (187)
【Fターム(参考)】