説明

貫通穴の洗浄方法

【課題】貫通穴の内面に対する洗浄能力および洗浄効率の向上を共に図ることのできる貫通穴の洗浄方法を提供する。
【解決手段】外周に洗浄液を噴射するための噴射口10を設けたノズル7を用いて、貫通穴5の内面を洗浄する。具体的には、ノズル7を貫通穴5に挿入して、貫通穴5の両端をシールすることにより、ノズル7の外面と貫通穴の内面との間に、噴射口10から噴射した洗浄液の昇圧を可能とする昇圧空間25を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貫通穴の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、エンジンの製造工程においては、一通りの機械加工を終えたシリンダヘッドに対して、上記加工時に付着した切粉や切削油等を除去するための洗浄を施すのが一般的である。ここで、下記特許文献1には、シリンダヘッドの洗浄方法として、機械加工を施した後でエンジン組立て前のシリンダヘッドを、カムシャフト回転中心軸線が鉛直方向に延在するよう立設させた状態で洗浄を行う方法が記載されている。
【0003】
また、下記特許文献2には、シリンダブロックの洗浄方法として、内部洗浄装置に設けたノズルをシリンダブロック内に挿入し、ノズルを上下方向に移動させ、かつ回転させながら洗浄液を噴射することで、シリンダブロックの内面に対して直角となる向きに洗浄液を噴射し、当該内面を洗浄する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−75770号公報
【特許文献2】特開2009−203833号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、シリンダヘッドにおいては、上述のように一通りの機械加工を施したシリンダヘッド全体を洗浄した後に、例えばカムキャップなどの部品をサブアセンブリし、このサブアセンブリにより形成された穴(カムシャフトの軸受穴)の内面に研削等の仕上げ加工を施す場合がある。このような場合には、軸受面となる穴の内面に切粉が残留することによる焼付きの発生を防止するために、仕上げ加工を施した箇所に対して洗浄を再度行う必要が生じる。
【0006】
この場合、例えば上記特許文献2に記載の洗浄手段を利用して、図5に示すように、ノズル本体109の長手方向に直交する向きの噴射口110を設けたノズル107を対応する穴105(ここではカムシャフトの軸受穴)に挿入して、その内周面106を洗浄する方法が考えられる。
【0007】
しかしながら、この種の穴105の内周面106には、図5に示すように、軸受面への円滑な油の供給を図るための穴(油供給穴113)が開口していることが多く、また、油供給穴113が貫通していることも多い。そのために、同図に示すようなノズル107の噴射口110を油供給穴113に向けて洗浄液を噴射したとしても、洗浄液の液圧が十分に高まらずに、油供給穴113の内部に残った切粉を洗い流すことが難しい。
【0008】
例えばサブアセンブリした部品を組み外してから個々の部品ごとに洗浄を行えば、図5の洗浄形態よりも洗浄能力を高めることができ、また洗浄効率(洗浄時間)も短縮できるように思われる。しかしながら、本来、この洗浄工程の後にはエンジンの組立て工程が設けられているため、上述のように個々の部品ごとに洗浄を施したのでは、加工工程やエンジンの組立て工程とは別に洗浄工程を設ける必要が生じる。また、洗浄工程の前後でサブアセンブリした部品の組み外しと再サブアセンブリが必要となり、作業工数の増加を招く。
【0009】
もちろん、上記の問題はシリンダヘッドに限ったことではなく、他種の部品においてサブアセンブリ箇所となる貫通穴に加工を施し、然る後に加工面の洗浄を行う場合にも同様に起こり得る。
【0010】
以上の事情に鑑み、貫通穴の内面に対する洗浄能力および洗浄効率の向上を共に図ることのできる貫通穴の洗浄方法を提供することを、本発明により解決すべき技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題の解決は、本発明に係る貫通穴の洗浄方法により達成される。すなわち、この洗浄方法は、貫通穴の内面を洗浄するための方法であって、貫通穴に挿入可能なノズルの外周に洗浄液を噴射するための噴射口が設けられ、貫通穴にノズルを挿入して、貫通穴の両端をシールすることにより、ノズルの外面と貫通穴の内面との間に、噴射口から噴射した洗浄液の昇圧を可能とする昇圧空間を形成した点をもって特徴付けられる。
【0012】
このように、本発明では、ノズルの外面と貫通穴の内面との間に、噴射口から噴射された洗浄液の昇圧を可能とする昇圧空間を形成するようにしたので、噴射口から噴射された洗浄液の液圧を昇圧空間内で高めて、内面を漏れなく洗浄することができる。また、昇圧空間内で洗浄液の液圧が高められるので、例えば内面に開口する油供給穴の如き細孔が貫通穴の内面に形成される場合、噴射口の位置が細孔の開口位置に一致していなくても、昇圧空間内で高圧化された洗浄液を細孔の内部にまで送り込むことができる。これにより、細孔内に存在する切粉等のゴミを高圧化された洗浄液で確実に洗い流すことができる。また、本発明によれば、ノズルを貫通穴に挿入するだけで、洗浄液の昇圧空間を形成することができる。よって、簡素な設備で貫通穴の内部に噴射した洗浄液の洗浄力(洗浄圧)を高めて、高品質の洗浄作業を実施することができる。
【0013】
また、貫通穴の内面が複数の部品をサブアセンブリすることで形成される場合に、上記昇圧空間は、サブアセンブリされた状態の貫通穴にノズルを挿入して貫通穴の両端をシールすることで形成される。言い換えると、ノズルおよびサブアセンブリに係る複数の部品のみで昇圧空間が構成される。そのため、サブアセンブリに係る貫通穴の内面を洗浄する場合であっても、ノズルを貫通穴に挿入するだけで、別途の部品や治具を用いることなく洗浄液の昇圧空間を形成することができる。よって、簡素な設備で貫通穴の内部に噴射した洗浄液の洗浄力(洗浄圧)を高めて、高品質の洗浄作業を実施することができる。また、貫通穴の内面を形成する複数の部品をサブアセンブリした状態で洗浄を行うので、貫通穴の内面に仕上げ加工を施した後、サブアセンブリした部品を一旦組外し、洗浄後に組み直す手間が省ける。よって、作業工数の増加を招くことなく貫通穴を洗浄することができる。
【0014】
また、本発明に係る洗浄方法においては、ノズルに、貫通穴の両端をシール可能なシール部を設け、かつ、シール部と、サブアセンブリにより貫通穴を形成する複数の部品との間に、ノズルの挿入により昇圧空間を形成可能な大きさの隙間を形成してもよい。
【0015】
本発明は、ノズルを貫通穴に挿入して、貫通穴の両端をシールすることによりノズルの外面と貫通穴の内面との間に洗浄液の昇圧空間を形成することを特徴とするものであり、昇圧空間内における洗浄液の高圧化を狙いとする点に鑑みれば、貫通穴の両端は隙間なく完全に密閉されていることが好ましいようにも思えわれる。しかしながら、洗浄対象となるサブアセンブリ部品がシリンダヘッドやカムキャップの如き量産品で、かつ貫通穴の内面やその周囲の面(貫通穴が開口する端面)などに仕上げ加工が施されている場合、圧入等によりノズルをサブアセンブリ部品に当接させることは好ましくない。せっかく仕上げた面に傷が付くおそれがあるためである。よって、このような場合には、ノズルに、貫通穴の両端をシールするシール部を設けると共に、シール部と、サブアセンブリにより貫通穴を形成する複数の部品との間に、ノズルの挿入により昇圧空間を形成可能な大きさの隙間を形成するのがよい。昇圧空間を形成可能な程度の隙間をシール部とサブアセンブリに係る各部品との間に設けることで、ノズルの噴射口から噴射された洗浄液を昇圧可能としつつも、ノズルやノズルに設けたシール部がサブアセンブリに係る各部品と接触するのを可及的に回避して、上記各部品が傷付く事態を防止することが可能となる。
【発明の効果】
【0016】
以上のように、本発明に係る洗浄方法によれば、貫通穴の内面に対する洗浄能力を高めると共に、洗浄効率を高めることができる。また、洗浄効率を高めることにより、作業工数の削減にもつながるので、結果的に製造コストの低減化にも寄与し得る。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る洗浄方法の一実施形態を示す断面図であって、ノズルを貫通穴に挿入する前の状態を示す要部断面図である。
【図2】本発明に係る貫通穴を形成するサブアセンブリにより貫通穴を形成するシリンダヘッドとカムキャップの正面図である。
【図3】本発明に係る洗浄方法の一実施形態を示す断面図であって、ノズルを貫通穴に挿入した状態を示す要部断面図である。
【図4】図3に示す貫通穴および内面用ノズルの周辺を拡大した要部断面図である。
【図5】他の洗浄方法の一例を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る洗浄方法の一実施形態を図面に基づき説明する。なお、この実施形態では、シリンダヘッドにカムキャップをサブアセンブリすることで形成される貫通穴としてのカム穴の内周面を洗浄する場合を例にとって以下説明する。なお、説明の便宜上、以下の実施形態では、ノズル(内面用ノズル)の貫通穴への挿入方向を上下方向とて説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係る洗浄装置1の要部断面図を示している。この洗浄装置1は、図2に示すシリンダヘッド2の外面に設けられた複数のねじ穴3の内部を洗浄するための通常のノズル(図示は省略)と、シリンダヘッド2にカムキャップ4をサブアセンブリして形成される貫通穴5(カム穴)の内周面6を洗浄するための内面用ノズル7をベースプレート8に取り付けてなるもので、ベースプレート8と一体に設けたシリンダ(図示は省略)を駆動させることにより、ベースプレート8に取り付けた内面用ノズル7が昇降するようになっている。
【0020】
内面用ノズル7は、ベースプレート8に垂下させた状態で取り付けられるノズル本体9と、ノズル本体9の外周に開口して形成される洗浄液の噴射口10と、噴射口10の軸方向先端側に配設され、貫通穴5の一端(下端)をシールする第1シール部11と、噴射口10の軸方向基端側(ベースプレート8側)に配設され、貫通穴5の他端(上端)をシールする第2シール部12とを具備する。この実施形態では、内面用ノズル7を貫通穴5に挿入して、その両端をシールした状態で、貫通穴5の内周面6に開口した2本の油供給穴13と径方向に対向する位置にそれぞれ噴射口10が配設されている。各噴射口10はノズル本体9の内部に形成された導管14を介してベースプレート8側に設けられたポンプ(図示は省略)に接続されており、ポンプの駆動により、所定圧力の洗浄液(水など)が導管14を介して各噴射口10から噴射されるようになっている。
【0021】
なお、この図示例では、油供給穴13は、シリンダヘッド2とカムキャップ4の合わせ面15,16にそれぞれ溝状に形成されており(図1では、油供給穴13のうち、カムキャップ4側の溝部分が示されている。)、図2に示すように、シリンダヘッド2にカムキャップ4をサブアセンブリすることにより両端を開口した穴状に形成される。もちろん、油供給穴13は、シリンダヘッド2とカムキャップ4の何れか一方のみに形成されるものでもよい。
【0022】
貫通穴5の下端をシールする第1シール部11は、この実施形態では略筒状をなし、内面用ノズル7の貫通穴5への挿入時、図3に示すように、第1シール部11の外周面17と貫通穴5の内周面6との間をシールするようになっている。また、この実施形態では、外径一定の外周面17の下端側(ノズル先端側)に、第1シール部11を貫通穴5に案内するためのテーパ面18が設けられると共に、第1シール部11が、ノズル本体9の先端に規制部材19をボルト締めすることにより軸方向の移動を規制されている。さらに、第1シール部11とノズル本体9との間には、ノズル本体9に対する第1シール部11の水平移動を許容するための径方向隙間20が形成されている。以上の構成より、第1シール部11はいわゆるフローティング機構として機能し、テーパ面18とシリンダヘッド2(又はカムキャップ4)とが当接した際、当接状態を解消する向き(径方向)に移動して貫通穴5に挿入できるようになっている。
【0023】
貫通穴5の上端をシールする第2シール部12は、この実施形態では環状プレートをなすものであって、例えばねじ嵌合によりノズル本体9に固定される。そして、内面用ノズル7の貫通穴5への挿入時、図3に示すように、第2シール部12は、その下端面21と貫通穴5の上端が開口する上端面22との間をシールするようになっている。
【0024】
さらに、この実施形態では、内面用ノズル7を貫通穴5に挿入した際、図4に示すように、第1シール部11の外周面17と貫通穴5の内周面6との間に、径方向のクリアランス23が形成されると共に、第2シール部12の下端面21と貫通穴5の上端が開口する上端面22との間に、軸方向のクリアランス24が形成されるようになっている。これらクリアランス23,24の幅寸法は、例えば、内面用ノズル7を貫通穴5に挿入して貫通穴5の両端をシールした際、昇圧空間25を形成可能な大きさに設定される。なお、この場合、第1シール部11、第2シール部12により貫通穴5の両端はシールされるが、昇圧空間25内における洗浄液の昇圧が可能であれば、ある程度の洗浄液の漏れ出しは許容しても差し支えない。
【0025】
以下、上記構成の洗浄装置1を用いた洗浄方法の一例を説明する。
【0026】
まず図1に示すように、洗浄対象となるワーク(シリンダヘッド2、カムキャップ4)の上方に配置した洗浄装置1の内面用ノズル7と、図示しない複数の通常のノズル(ノズル先端から洗浄液が噴射される)とをベースプレート8と共に下降させ、上記通常のノズルをシリンダヘッド2の外面に形成された複数のねじ穴3に挿入すると共に、内面用ノズル7を、シリンダヘッド2とカムキャップ4とのサブアセンブリにより形成される貫通穴5(図2を参照)に挿入する。そして、内面用ノズル7に設けた第1シール部11および第2シール部12により貫通穴5の両端をシールすることで、内面用ノズル7の外面と貫通穴5の内周面6との間に、噴射口10から噴射された洗浄液の昇圧を可能とする昇圧空間25を形成する(何れも図3を参照)。
【0027】
このように、洗浄装置1に設けた内面用ノズル7の外面と貫通穴5の内周面6との間に、噴射口10から噴射された洗浄液の昇圧を可能とする昇圧空間25を形成するようにしたので、噴射口10から噴射された洗浄液の液圧を昇圧空間25内で高めて、内周面6を漏れなく洗浄することができる。また、昇圧空間25内で洗浄液の液圧が高められることにより、高圧化された洗浄液を内周面6に開口する油供給穴13の内部に送り込むことができる。これにより、油供給穴13内に存在する切粉等のゴミを高圧化された洗浄液で確実に洗い流すことができる。また、シリンダヘッド2にカムキャップ4をサブアセンブリした状態の貫通穴5に内面用ノズル7を挿入して、貫通穴5の両端を第1および第2シール部11,12でシールすることにより昇圧空間25を形成するようにしたので、内面用ノズル7を貫通穴5に挿入するだけの単純な作業で昇圧空間25を形成することができる。よって、図1に示す洗浄装置1の如き簡素な設備で貫通穴5の内部に噴射供給した洗浄液の洗浄力(液圧)を高めて、高品質の洗浄作業を実施することができる。また、シリンダヘッド2にカムキャップ4をサブアセンブリした状態で洗浄作業を行うので、貫通穴5の洗浄のために、カムキャップ4をシリンダヘッド2から一旦組外して、洗浄後に組み直す手間が省ける。よって、貫通穴5を洗浄することによる作業工数を増加することなく高品質の洗浄を実施することができる。
【0028】
また、この実施形態では、外径一定の外周面17の下端側(ノズル先端側)に、第1シール部11の下端に、第1シール部11を貫通穴5に案内するためのテーパ面18を設けると共に、第1シール部11とノズル本体9との間に所定の径方向隙間20を形成するようにした。これにより、第1シール部11はいわゆるフローティング機構として機能し、例えば、製品ごとの寸法のばらつきにより、サブアセンブリにより形成される貫通穴5の位置が内面用ノズル7と水平方向にずれた場合であっても、テーパ面18とシリンダヘッド2(又はカムキャップ4)とが当接した際、当接状態を解消する向きに第1シール部11がノズル本体9に対して径方向に移動する。これにより、貫通穴5の下端を確実にシールすることができる。また、第1シール部11と貫通穴5(を形成するシリンダヘッド2ないしカムキャップ4)とのカジリ等を回避することができる。
【0029】
さらに、この実施形態では、内面用ノズル7を貫通穴5に挿入した状態で、第1シール部11の外周面17と貫通穴5の内周面6との間に径方向のクリアランス23が形成されると共に、第2シール部12の下端面21と貫通穴5の上端が開口する上端面22との間に、軸方向のクリアランス24が形成されるようにし、かつ、これらクリアランス23,24の幅寸法を、洗浄液の昇圧空間25を形成可能な大きさに設定した。上記の如きクリアランス23,24を介して貫通穴5の両端をシールするようにすれば、部品ごとに寸法のばらつきがあったとしても、噴射口10から噴射された洗浄液の液圧を昇圧空間25内で上昇させつつ、内面用ノズル7や双方のシール部11,12がシリンダヘッド2やカムキャップ4の仕上げ加工面となる内周面6や上端面22と接触する事態を可及的に回避することができる。よって、これらの面6,22が洗浄作業により傷付く事態を防止することができる。
【0030】
以上、本発明に係る洗浄方法およびこの方法に用いられる洗浄装置の一実施形態を説明したが、これら洗浄方法および洗浄装置は、上記例示の形態に限定されることなく任意の形態を採ることができる。
【0031】
例えば、第1シール部11に関し、必ずしもフローティング機構(テーパ面18,径方向隙間20)を設ける必要はない。第2シール部12に関しても同様に、貫通穴5の内周面6上方との間をシールするように構成してもよい。
【0032】
また、第1シール部11と内周面6との径方向のクリアランス23、第2シール部12と上端面22との軸方向のクリアランス24の大きさについても、貫通穴5の寸法精度の如何によっては、昇圧空間25内が高圧化された洗浄液で満たされた状態において当該洗浄液が漏れ出さない程度の大きさに設定することも可能である。また、貫通穴5を構成する各サブアセンブリ部品と各シール部11,12との接触が問題ないような場合であれば、例えば第1シール部11を貫通穴5の内周面6に圧入することによりシールすることも可能である。
【0033】
また、本発明に係る洗浄方法および洗浄装置1は、上記実施形態に例示のサブアセンブリ部品(シリンダヘッド2とカムキャップ4)以外の部品に対しても適用可能である。例えばシリンダブロックにクランクケース等をサブアセンブリして形成される貫通穴(クランクシャフト用の軸受穴)の内周面を洗浄する場合にも、本発明を好適に使用できる。もちろん、1部品中に形成される貫通穴に対しても本発明に係る洗浄方法を適用することができる。あるいは、軸受穴以外の用途に用いられる貫通穴に対しても本発明に係る洗浄方法を適用することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 洗浄装置
2 シリンダヘッド
3 ねじ穴
4 カムキャップ
5 貫通穴
6 内周面
7 内面用ノズル
8 ベースプレート
9 ノズル本体
10 噴射口
11 第1シール部
12 第2シール部
13 油供給穴
14 導管
15 合わせ面(シリンダヘッド側)
16 合わせ面(カムキャップ側)
17 外周面
18 テーパ面
19 規制部材
20 径方向隙間
21 下端面
22 上端面
23,24 クリアランス
25 昇圧空間
105 (貫通)穴
106 内周面
107 ノズル
109 ノズル本体
110 噴射口
113 油供給穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通穴の内面を洗浄するための方法であって、
前記貫通穴に挿入可能なノズルの外周に洗浄液を噴射するための噴射口が設けられ、
前記貫通穴に前記ノズルを挿入して、前記貫通穴の両端をシールすることにより、前記ノズルの外面と前記貫通穴の内面との間に、前記噴射口から噴射した洗浄液の昇圧を可能とする昇圧空間を形成した、貫通穴の洗浄方法。
【請求項2】
前記貫通穴の内面は、複数の部品をサブアセンブリすることで形成されたものである請求項1に記載の貫通穴の洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−179509(P2012−179509A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42404(P2011−42404)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(000002967)ダイハツ工業株式会社 (2,560)
【Fターム(参考)】