説明

貯湯式温水器および貯湯式温水器の制御方法

【課題】出湯すべき湯を大量に消費することなく、除霜処理の終了後に通常運転を再開したときに貯湯タンク内の湯の温度が低下する事態を回避する。
【解決手段】ヒートポンプユニット3と、貯湯タンク2と、循環ポンプ4と、ヒートポンプユニット3や循環ポンプ4の動作を制御すると共に空気熱交換器31に付着した霜を除去する除霜処理を実行する制御部6とを備え、貯湯タンク2は、取水用配管12および給湯用配管13を介して水熱交換器33に接続され、給水口21から貯留空間A内への水Wcの給水圧力によって貯留空間A内の湯Whを出湯口24から出湯可能に構成された貯湯式温水器1であって、取水用配管12に配設されて制御部6の制御に従って取水用配管12内の水Wcまたは湯Whを排水する排水弁5を備え、制御部6は、除霜処理の終了に際して排水弁5を制御して水Wcまたは湯Whを排水させる排水処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプユニットによって加温した湯を貯湯タンクに貯湯すると共に貯湯タンクに対する水の給水圧力によって貯湯タンク内の湯を出湯可能に構成された貯湯式温水器、およびその制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の貯湯式温水器として、特開2001−82802号公報にヒートポンプ式給湯器(以下、単に「給湯器」ともいう)が開示されている。この給湯器は、水(湯)を貯留する貯湯槽、水を加熱するヒートポンプサイクル、貯湯槽とヒートポンプサイクルとの間で水を循環させるための循環通路、循環通路を介して水を循環させるウォータポンプ、および給湯器の作動を制御する制御装置などを備えて構成されている。この給湯器では、ヒートポンプサイクルの室外熱交換器に霜が付着した際に除霜処理を実行する構成が採用されている。
【0003】
具体的には、上記公開公報において「第1実施例」として開示されている給湯器では、通常運転中に室外熱交換器の出口温度が規定温度まで低下したときに通常運転から除霜運転に切り替えられる構成が採用されている。この場合、除霜運転では、ウォータポンプを停止させると共に、ヒートポンプサイクルにおける膨張弁の弁開度を通常運転時より大きくする。この際には、ウォータポンプの停止によって水の循環が停止することにより、ヒートポンプサイクルにおける圧縮機から吐出されるホットガスが給湯用熱交換器において放出する熱エネルギー量(給湯用熱交換器におけるホットガスと水との熱交換量)が少なくなる。また、弁開度が大きくなることにより、膨張弁における減圧によるホットガスの温度低下も小さくなる。これにより、圧縮機から吐出されたホットガスが大きく温度低下することなく室外熱交換器まで到達する結果、室外熱交換器に付着している霜が除去される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−82802号公報(第3−5頁、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、従来の給湯器には、以下の問題点が存在する。すなわち、従来の給湯器では、除霜運転中にウォータポンプを停止させる構成が採用されている。この場合、この種の給湯器では、付着した霜を完全に除去するために数分から数十分の間に亘って除霜運転(除霜処理)を継続して実行する必要がある。したがって、除霜運転中にウォータポンプを停止させる構成の従来の給湯器では、除霜運転の開始以前に加熱されて、給湯用熱交換器内や、循環通路における湯用熱交換器よりも下流側の配管内(給湯用熱交換器において加熱した湯を貯湯槽に導入するための配管内)に滞留している高温の湯が除霜運転中に温度低下することとなる。このため、従来の給湯器では、除霜運転の完了後にウォータポンプを作動させたときに、給湯用熱交換器内や下流側の配管内に滞留していた低温の湯が貯湯槽内に導入される結果、貯湯槽内に貯湯されている高温の湯が、導入された低温の湯によって温度低下させられるという問題点がある。
【0006】
この場合、上記公開公報において「第2実施例」として開示されている給湯器では、除霜運転の開始初期において、ウォータポンプを逆回転させる構成が採用されている。具体的には、「第2実施例」の給湯器では、除霜運転の開始初期においてウォータポンプを逆回転させることで、貯湯槽内の湯を給湯用熱交換器に逆流させる。これにより、除霜運転の開始初期において給湯用熱交換器の温度が上昇する結果、高温のホットガスを短時間で室外熱交換器に到達させることができる。しかしながら、この「第2実施例」の給湯器においても、ウォータポンプの逆回転を停止させてから除霜運転を終了するまでの間において、給湯用熱交換器内や下流側の配管内に滞留している高温の湯が温度低下するため、除霜運転の完了後にウォータポンプを作動させたときに、給湯用熱交換器内や下流側の配管内に滞留していた低温の湯が貯湯槽内に導入される結果、貯湯槽内に貯湯されている高温の湯が、導入された低温の湯によって温度低下させられるという問題点がある。
【0007】
また、上記公開公報において「第3実施例」として開示されている給湯器では、除霜運転が行われている間、ウォータポンプを継続的に逆回転させる構成が採用されている。このような構成を採用することにより、上記の「第1実施例」の給湯器や、「第2実施例」の給湯器のように除霜運転中に給湯用熱交換器内や下流側の配管内の湯の温度が低下することがないため、除霜運転の終了後に低温の湯が貯湯槽内に導入される事態が回避される。しかしながら、この「第3実施例」の給湯器では、除霜運転が行われている間、貯湯槽内の高温の湯を継続的に逆流させるため、本来は、貯湯槽内に貯湯しておいて出湯口から出湯すべき高温の湯が、除霜運転を実行する都度、出湯以外の用途(除霜処理)によって大量に消費される(出湯可能な高温の湯の量が減少する)という問題が生じる。
【0008】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、出湯すべき高温の湯を大量に消費することなく、除霜処理の終了後に通常運転を再開したときに貯湯タンク内の湯の温度が低下する事態を回避し得る貯湯式温水器および貯湯式温水器の制御方法を提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成すべく請求項1記載の貯湯式温水器は、空気熱交換器、圧縮機、水熱交換器および膨張弁を有するヒートポンプユニットと、当該ヒートポンプユニットによって加温すべき水と当該ヒートポンプユニットによって当該水を加温して生成された湯とを貯留空間内に貯留可能に構成された貯湯タンクと、当該貯湯タンクから前記水熱交換器に前記水を供給すると共に当該水熱交換器から当該貯湯タンクに前記湯を導入する循環ポンプと、前記ヒートポンプユニットおよび前記循環ポンプの動作を制御すると共に前記空気熱交換器に付着した霜を除去する除霜処理を実行する制御部とを備え、前記貯湯タンクは、前記水を前記貯留空間内に導入するための給水口と、前記貯留空間内の前記水を取水させて前記水熱交換器に前記水を供給させるための取水口とが前記貯湯タンクにおける下方側に設けられて前記取水口が取水用配管を介して前記水熱交換器に接続されると共に、前記水熱交換器において加温された前記湯を前記貯留空間内に導入するための給湯口と、前記貯留空間内の前記湯を出湯するための出湯口とが前記貯湯タンクにおける上方側に設けられて前記給湯口が給湯用配管を介して水熱交換器に接続され、前記給水口から前記貯留空間内への前記水の給水圧力によって当該貯留空間内の前記湯を前記出湯口から出湯可能に構成されている貯湯式温水器であって、前記取水用配管に配設されて前記制御部の制御に従って当該取水用配管内の前記水または前記湯を排水する排水弁を備え、前記制御部は、前記除霜処理の終了に際して前記排水弁を制御して前記水または前記湯を排水させる排水処理を実行する。
【0010】
また、請求項2記載の貯湯式温水器は、請求項1記載の貯湯式温水器において、前記制御部は、前記除霜処理の終了に際して、当該除霜処理の終了時点から第1の規定時間が経過したとき、前記給湯用配管内の前記湯または前記水の温度が第1の規定温度よりも低温のとき、前記水熱交換器内の前記湯または前記水の温度が第2の規定温度よりも低温のとき、前記水熱交換器の温度が第3の規定温度よりも低温のとき、前記ヒートポンプユニット内の冷媒の温度が第4の規定温度よりも低温のとき、前記ヒートポンプユニットを収容する筐体内の温度が第5の規定温度よりも低温のとき、前記筐体の温度が第6の規定温度よりも低温のとき、および外気温度が第7の規定温度よりも低温のときの各条件のうちの予め規定された条件が満たされたときにだけ前記排水処理を実行する。
【0011】
さらに、請求項3記載の貯湯式温水器は、請求項2記載の貯湯式温水器において、前記制御部は、前記排水処理の実行中に、当該排水処理の開始時点から第2の規定時間が経過したとき、前記排水弁から排水している前記水または前記湯の温度が第8の規定温度まで温度上昇したとき、前記取水用配管内の前記水または前記湯の温度が第9の規定温度まで温度上昇したとき、前記水熱交換器内の前記湯または前記水の温度が第10の規定温度まで温度上昇したとき、前記水熱交換器の温度が第11の規定温度まで温度上昇したとき、前記冷媒の温度が第12の規定温度まで温度上昇したとき、前記筐体内の温度が第13の規定温度まで温度上昇したとき、前記筐体の温度が第14の規定温度まで温度上昇したとき、前記排水弁から第1の規定量の前記水または前記湯が排水されたとき、前記水熱交換器から前記取水用配管内に第2の規定量の前記水または前記湯が逆流したとき、前記給湯用配管から前記水熱交換器内に第3の規定量の前記水または前記湯が逆流したとき、および前記貯湯タンクから前記給湯用配管内に第4の規定量の前記水または前記湯が逆流したときの各条件のうちの予め規定された条件が満たされたときに前記排水処理を終了する。
【0012】
また、請求項4記載の貯湯式温水器は、請求項1記載の貯湯式温水器において、前記制御部は、前記除霜処理の終了に際して前記排水処理を直ちに開始すると共に、当該排水処理の実行中に、当該排水処理の開始時点から第2の規定時間が経過したとき、前記排水弁から排水している前記水または前記湯の温度が第8の規定温度まで温度上昇したとき、前記取水用配管内の前記水または前記湯の温度が第9の規定温度まで温度上昇したとき、前記水熱交換器内の前記湯または前記水の温度が第10の規定温度まで温度上昇したとき、前記水熱交換器の温度が第11の規定温度まで温度上昇したとき、前記冷媒の温度が第12の規定温度まで温度上昇したとき、前記筐体内の温度が第13の規定温度まで温度上昇したとき、前記筐体の温度が第14の規定温度まで温度上昇したとき、前記排水弁から第1の規定量の前記水または前記湯が排水されたとき、前記水熱交換器から前記取水用配管内に第2の規定量の前記水または前記湯が逆流したとき、前記給湯用配管から前記水熱交換器内に第3の規定量の前記水または前記湯が逆流したとき、および前記貯湯タンクから前記給湯用配管内に第4の規定量の前記水または前記湯が逆流したときの各条件のうちの予め規定された条件が満たされたときに前記排水処理を終了する。
【0013】
また、請求項5記載の貯湯式温水器の制御方法は、空気熱交換器、圧縮機、水熱交換器および膨張弁を有するヒートポンプユニットと、当該ヒートポンプユニットによって加温すべき水と当該ヒートポンプユニットによって当該水を加温して生成された湯とを貯留空間内に貯留可能に構成された貯湯タンクと、当該貯湯タンクから前記水熱交換器に前記水を供給すると共に当該水熱交換器から当該貯湯タンクに前記湯を導入する循環ポンプとを備え、前記貯湯タンクは、前記水を前記貯留空間内に導入するための給水口と、前記貯留空間内の前記水を取水させて前記水熱交換器に前記水を供給させるための取水口とが前記貯湯タンクにおける下方側に設けられて前記取水口が取水用配管を介して前記水熱交換器に接続されると共に、前記水熱交換器において加温された前記湯を前記貯留空間内に導入するための給湯口と、前記貯留空間内の前記湯を出湯するための出湯口とが前記貯湯タンクにおける上方側に設けられて前記給湯口が給湯用配管を介して水熱交換器に接続され、前記給水口から前記貯留空間内への前記水の給水圧力によって当該貯留空間内の前記湯を前記出湯口から出湯可能に構成されている貯湯式温水器の制御方法であって、前記空気熱交換器に付着した霜を除去する除霜処理の終了に際して、前記取水用配管に配設されて当該取水用配管内の前記水または前記湯を排水する排水弁を開放して当該水または当該湯を排水する排水処理を実行する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の貯湯式温水器、および請求項5記載の貯湯式温水器の制御方法によれば、空気熱交換器に付着した霜を除去する除霜処理の終了に際して、取水用配管に配設されている排水弁から取水用配管内の水または湯を排水する排水処理を実行することにより、除霜処理中に給湯用配管内や水熱交換器内において温度低下した湯が除霜処理の終了後(通常運転の再開時)に貯留空間内に導入される事態を回避することができるため、貯留空間内に貯湯している高温の湯が、除霜処理の終了後(通常運転の再開時)に導入される湯によって温度低下させられる事態を好適に回避することができる。また、例えば、除霜処理中に循環ポンプを継続的に逆回転させる構成の貯湯式温水器とは異なり、除霜処理の終了に際して水や湯等を排水弁から排水して貯留空間から湯を逆流させるだけのため、出湯口から出湯すべき高温の湯を出湯以外の用途で大量に消費する事態を回避することができる。
【0015】
また、請求項2記載の貯湯式温水器では、除霜処理の終了に際して、除霜処理の終了時点から第1の規定時間が経過したとき、給湯用配管内の湯または水の温度が第1の規定温度よりも低温のとき、水熱交換器内の湯または水の温度が第2の規定温度よりも低温のとき、水熱交換器の温度が第3の規定温度よりも低温のとき、ヒートポンプユニット内の冷媒の温度が第4の規定温度よりも低温のとき、ヒートポンプユニットを収容する筐体内の温度が第5の規定温度よりも低温のとき、筐体の温度が第6の規定温度よりも低温のとき、および外気温度が第7の規定温度よりも低温のときの各条件のうちの予め規定された条件が満たされたときにだけ排水処理を実行する。
【0016】
したがって、請求項2記載の貯湯式温水器によれば、除霜処理の終了後に通常運転を再開したときに水熱交換器や給湯用配管内の湯が貯留空間内に導入されても貯留空間内の高温の湯の温度低下を招くことがないときには、排水処理を不要とすることができるため、除霜処理の終了から通常運転の再開までに要する時間を短縮することができるだけでなく、出湯以外の用途で湯が消費される量(給湯用配管内や水熱交換器内の湯等を排水弁から排水する目的で消費される湯の量)を十分に抑制することができる。
【0017】
さらに、請求項3記載の貯湯式温水器では、上記の貯湯式温水器および貯湯式温水器の制御方法において、排水処理の実行中に、排水処理の開始時点から第2の規定時間が経過したとき、排水弁から排水している水または湯の温度が第8の規定温度まで温度上昇したとき、取水用配管内の水または湯の温度が第9の規定温度まで温度上昇したとき、水熱交換器内の湯または水の温度が第10の規定温度まで温度上昇したとき、水熱交換器の温度が第11の規定温度まで温度上昇したとき、冷媒の温度が第12の規定温度まで温度上昇したとき、筐体内の温度が第13の規定温度まで温度上昇したとき、筐体の温度が第14の規定温度まで温度上昇したとき、排水弁から第1の規定量の水または湯が排水されたとき、水熱交換器から取水用配管内に第2の規定量の水または湯が逆流したとき、給湯用配管から水熱交換器内に第3の規定量の水または湯が逆流したとき、および貯湯タンクから給湯用配管内に第4の規定量の水または湯が逆流したときの各条件のうちの予め規定された条件が満たされたときに排水処理を終了する。
【0018】
したがって、請求項3記載の貯湯式温水器によれば、例えば、排水弁からの水や湯の排水が開始された後に、手動で排水弁を閉じる構成の貯湯式温水器やその制御方法と比較して、給湯用配管内や水熱交換器内が高温の湯で満たされた時点を的確に捉えて排水処理を終了させることができるため、出湯以外の用途で消費される湯の量を十分に抑制することができると共に、低温の湯が給湯用配管内や水熱交換器内に残留して通常運転の再開時にこの低温の湯が貯留空間内の導入される事態を回避することができる。
【0019】
また、請求項4記載の貯湯式温水器では、除霜処理の終了に際して排水処理を直ちに開始すると共に、排水処理の実行中に、排水処理の開始時点から第2の規定時間が経過したとき、排水弁から排水している水または湯の温度が第8の規定温度まで温度上昇したとき、取水用配管内の水または湯の温度が第9の規定温度まで温度上昇したとき、水熱交換器内の湯または水の温度が第10の規定温度まで温度上昇したとき、水熱交換器の温度が第11の規定温度まで温度上昇したとき、冷媒の温度が第12の規定温度まで温度上昇したとき、筐体内の温度が第13の規定温度まで温度上昇したとき、筐体の温度が第14の規定温度まで温度上昇したとき、排水弁から第1の規定量の水または湯が排水されたとき、水熱交換器から取水用配管内に第2の規定量の水または湯が逆流したとき、給湯用配管から水熱交換器内に第3の規定量の水または湯が逆流したとき、および貯湯タンクから給湯用配管内に第4の規定量の水または湯が逆流したときの各条件のうちの予め規定された条件が満たされたときに排水処理を終了する。
【0020】
したがって、請求項4記載の貯湯式温水器によれば、例えば、排水弁からの水や湯の排水が開始された後に、手動で排水弁を閉じる構成の貯湯式温水器やその制御方法と比較して、給湯用配管内や水熱交換器内が高温の湯で満たされた時点を的確に捉えて排水処理を終了させることができるため、出湯以外の用途で消費される湯の量を十分に抑制することができると共に、低温の湯が給湯用配管内や水熱交換器内に残留して通常運転の再開時にこの低温の湯が貯留空間内の導入される事態を回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態に係る貯湯式温水器1の構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る貯湯式温水器1の動作について説明するためのタイムチャートである。
【図3】本発明の他の実施の形態に係る貯湯式温水器1Aの構成を示す構成図である。
【図4】本発明の他の実施の形態に係る貯湯式温水器1Aの動作について説明するためのタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明に係る貯湯式温水器および貯湯式温水器の制御方法の実施の形態について説明する。
【0023】
図1に示す貯湯式温水器1は、貯湯タンク2、ヒートポンプユニット3、循環ポンプ4、排水弁5、制御部6および温度センサ7a,7bを備え、ヒートポンプユニット3が水Wc(冷水)を加温して生成した湯Wh(温水)を貯湯タンク2内に貯湯しておき、この湯Whを任意のタイミングで所要量だけ出湯する構成が採用されている。貯湯タンク2は、タンク本体20、タンク本体20を覆うようにして配設された断熱材(図示せず)、およびタンク本体20と断熱材と覆うケーシング(図示せず)を備えている。タンク本体20は、一例として、ステンレススチール等の金属材料で、円筒形に形成されて、水Wcおよび湯Whを貯留可能な貯留空間Aが設けられている(「水と湯とを貯留空間内に貯留可能に構成され」との構成の一例)。
【0024】
この場合、タンク本体20の底板20a(タンク本体20の底部)には、給水用配管11を介して上水道等の給水源からの水Wc(「ヒートポンプユニットによって加温すべき水」の一例)を貯留空間A内に導入するための給水口21と、取水用配管12を介して貯留空間A内の水Wcを取水してヒートポンプユニット3に供給するための取水口22とが設けられている(「給水口と取水口とがタンク本体における下方側に設けられ」との構成の一例)。これにより、この貯湯タンク2では、タンク本体20の給水口21から貯留空間Aにおける下方側に水Wcが導入されることとなる。なお、この貯湯式温水器1では、給水源からの水Wcの給水圧力を減圧する減圧弁(図示せず)が上記の給水用配管11に配設され、この減圧弁によって減圧された水Wcが給水口21から貯留空間A内に導入される構成が採用されている。
【0025】
また、タンク本体20の天板20b(タンク本体20の天部)には、給湯用配管13を介してヒートポンプユニット3によって加温された湯Whを貯留空間A内に導入するための給湯口23と、出湯用配管14を介して貯留空間A内の湯Whを出湯するための出湯口24とが設けられている(「給湯口と出湯口とがタンク本体における上方側に設けられ」との構成の一例)。これにより、この貯湯タンク2では、タンク本体20の給湯口23から貯留空間Aにおける上方側に湯Whが導入されることとなる。
【0026】
ヒートポンプユニット3は、空気熱交換器31、圧縮機32、水熱交換器33および膨張弁34を備え、これらが冷媒配管35a〜35dを介して直列的に接続されると共に、図示しない筐体(ケーシング)に収容された状態で屋外に設置されている。なお、ヒートポンプユニット3の詳細な構成については公知のため、その図示および説明を省略する。この場合、ヒートポンプユニット3の水熱交換器33は、取水用配管12を介して貯湯タンク2のタンク本体20における下方側(この例では、底板20a)に接続されると共に、給湯用配管13を介してタンク本体20における上方側(この例では、天板20b)に接続されている。循環ポンプ4は、一例として、ヒートポンプユニット3における水熱交換器33の上流側(取水用配管12)に取り付けられている。この循環ポンプ4は、制御部6からの制御信号S3に従い、取水口22から貯留空間A内の水Wcを取水して水熱交換器33に供給すると共に、水熱交換器33によって加温された湯Whを貯留空間Aに導入させる。
【0027】
排水弁5は、一例として三方弁で構成されて、取水用配管12におけるヒートポンプユニット3(水熱交換器33)と循環ポンプ4との間に配設されている。具体的には、この貯湯式温水器1では、一例として、取水用配管12における循環ポンプ4側がaポートに接続され、取水用配管12における水熱交換器33側がcポートに接続されると共に、bポートが排出口5aとして機能するように取水用配管12に排水弁5が取り付けられている。この排水弁5は、通常運転時や貯湯式温水器1の主電源がオフのときには、上記のaポートおよびcポートを相互に連通させることで貯湯タンク2から水熱交換器33への水Wcの流動を許容すると共に、後述するように、制御部6からの制御信号S4に従ってcポートおよびbポートに相互に連通させることで、排水弁5と水熱交換器33との間の取水用配管12内の水Wc(または湯Wh)や水熱交換器33内の水Wc(または湯Wh)などを排出口5aから排水する。なお、排水弁5からの水Wc(または、湯Wh)の排水については、後に詳細に説明する。
【0028】
制御部6は、貯湯式温水器1を総括的に制御する。具体的には、制御部6は、ヒートポンプユニット3および循環ポンプ4の動作を制御すると共に水熱交換器33に付着した霜を除去する除霜処理を実行する。より具体的には、制御部6は、空気熱交換器31に取り付けられた図示しないファンを制御して外気を空気熱交換器31に向けて送風させると共に、圧縮機32に対して制御信号S1を出力することにより、ヒートポンプユニット3内において冷媒(一例として二酸化炭素)を循環させ、かつ、膨張弁34に制御信号S2を出力することにより、膨張弁34を所望の開弁率で開弁させる。また、制御部6は、予め規定された条件を満たしたときに、ヒートポンプユニット3における空気熱交換器31に付着した霜を除去する除霜処理を実行する。さらに、制御部6は、除霜処理の終了に際して、後述する条件が満たされたときに、排水弁5に制御信号S4を出力することにより、排出口5aから水Wc(または、湯Wh)を排水させる。
【0029】
温度センサ7aは、給湯用配管13における水熱交換器33の近傍に取り付けられて、水熱交換器33の出口近傍の湯Wh(または、水Wc)の温度(「給湯用配管内の湯または水の温度」の一例)を検出してセンサ信号Saを制御部6に出力する。この場合、給湯用配管13内の湯Whまたは水Wcの温度を検出するための温度センサ7aについては、給湯用配管13における水熱交換器33寄りの端部から貯湯タンク2(給湯口23)寄りの端部までの間の任意の位置に取り付ける構成を採用することができる。また、温度センサ7bは、取水用配管12における水熱交換器33の近傍に取り付けられて、水熱交換器33の入口近傍の水Wc(または、湯Wh)の温度(「取水用配管内の水または湯の温度」の一例)を検出してセンサ信号Sbを制御部6に出力する。この場合、取水用配管12内の水Wcまたは湯Whの温度を検出するための温度センサ7bについては、取水用配管12における水熱交換器33寄りの端部から排水弁5の接続部までの間の任意の位置に取り付ける構成を採用することができる。
【0030】
この貯湯式温水器1の使用に際しては、貯湯タンク2、ヒートポンプユニット3および循環ポンプ4等の設置や、給水用配管11、取水用配管12、給湯用配管13および出湯用配管14の配管が完了した状態において、給水用配管11を介して給水口21から貯湯タンク2内に水Wcを導入する。この際には、貯湯タンク2の貯留空間A内が水Wcで満たされると共に、取水用配管12内、給湯用配管13内および出湯用配管14内にも水Wcが満たされた状態となる。したがって、貯湯タンク2の貯留空間A内などが水Wcや湯Whで満たされた状態においては、貯留空間A内などに減圧弁によって減圧された上水道設備からの水圧が加わった状態(加圧された状態)となる。なお、水Wcの導入時における貯留空間A内や各配管11〜14内のエア抜き処理については、その説明を省略する。
【0031】
次いで、貯湯式温水器1の主電源を投入する。この際に、排水弁5は、aポートおよびcポートが相互に連通させられて、貯湯タンク2から水熱交換器33への水Wcの流動を許容する状態となっている。また、制御部6は、圧縮機32に対して制御信号S1を出力することによってヒートポンプユニット3内における冷媒の循環を開始させると共に、膨張弁34に対して制御信号S2を出力することにより、所定の開弁率で膨張弁34を開弁させる。これにより、空気熱交換器31において外気と熱交換して温度上昇させられて、圧縮機32において圧縮された高温の冷媒が水熱交換器33に導入される。この際には、水熱交換器33内において冷媒と水Wcとが熱交換する結果、水熱交換器33内の水Wcが加温されて湯Whが生成される。
【0032】
一方、図2に示すように、制御部6は、主電源が投入されてヒートポンプユニット3を稼働させた時点t0から所定時間が経過した時点t1において、循環ポンプ4に対して制御信号S3を出力することにより、貯湯タンク2から水熱交換器33への水Wcの供給を開始させる。この際には、貯湯タンク2における貯留空間A内の低温の水Wcが取水口22から取水されて水熱交換器33内に供給されるのに伴い、水熱交換器33において冷媒と熱交換して高温となった湯Whが給湯用配管13を介して貯湯タンク2の給湯口23から貯留空間A内に導入される。したがって、同図に示すように、温度センサ7aによって検出される温度(水熱交換器33の出口温度)が水Wcの温度(この例では、「Low」)から湯Whの温度(この例では、「Hi」)に変化する。
【0033】
また、貯留空間A内に導入された湯Whは、ヒートポンプユニット3(水熱交換器33)による加熱に伴って膨張したことで貯留空間A内に貯水されている水Wcよりも比重が小さくなっている。したがって、貯留空間A内に導入された高温の湯Whは、貯留空間Aにおける天板20b寄り(貯留空間Aにおける上方寄り)に貯湯される。この後、ヒートポンプユニット3による水Wcの加熱、および循環ポンプ4によるヒートポンプユニット3(水熱交換器33)への水Wcの供給を継続して実行することにより、貯留空間A内に貯水されている水Wcの量が徐々に減少して、ヒートポンプユニット3(水熱交換器33)によって加温された高温の湯Whの貯留空間A内への貯湯量が徐々に増加する。これにより、貯留空間A内に十分な量の湯Whが貯湯される。
【0034】
また、貯湯された湯Whを出湯する際には、一例として、出湯用配管14の下流側に設けられた図示しない開閉弁を開放操作する。この場合、前述したように、貯留空間A内には、給水用配管11を介して水圧が加えられた状態(加圧された状態)となっている。したがって、出湯用配管14の先の開閉弁が開放操作されたときには、給水用配管11を介して加えられている水圧によって、貯留空間Aにおける上方側に貯湯されている湯Whが出湯口24から出湯用配管14に出湯される(「給水口から貯留空間内への水の給水圧力によって貯留空間内の湯を出湯口から出湯可能に構成されている」との構成の例)。
【0035】
また、貯留空間A内の湯Whが出湯されて貯留空間A内における湯Whの量が減少するのに伴い、給水用配管11を介して給水口21から貯留空間A内に水Wcが導入されて貯留空間A内における水Wcの量が増加する。次いで、この水Wcは、ヒートポンプユニット3(水熱交換器33)によって加温されて湯Whとして貯留空間A内に導入されて貯湯される。
【0036】
一方、冷寒期や、ヒートポンプユニット3を高負荷状態で長時間に亘って連続運転したときには、空気熱交換器31に霜が付着することがある。また、空気熱交換器31に霜が付着した状態においては、空気熱交換器31において外気の熱を好適に吸熱する(外気と冷媒との間において好適に熱交換する)のが困難となって、圧縮機32から水熱交換器33に高温の冷媒を供給するのが困難となる。したがって、この貯湯式温水器1では、一例として、空気熱交換器31を通過する前の外気の温度と、空気熱交換器31を通過した外気の温度との温度差が規定温度を下回ったときに、空気熱交換器31に霜が付着したとして、制御部6が除霜処理を実行する。
【0037】
具体的には、この貯湯式温水器1では、図2に示すように、上記の温度差が規定温度を下回った時点t2において、制御部6が循環ポンプ4に対して制御信号S3を出力することにより、ヒートポンプユニット3(水熱交換器33)への水Wcの供給を停止させる。また、制御部6は、一例として、膨張弁34に対して制御信号S2を出力することにより、湯Whの生成(通常運転時)よりも大きな開弁率で膨張弁34を開弁させる。これにより、圧縮機32において圧縮された高温の冷媒が水熱交換器33および膨張弁34を通過して空気熱交換器31に供給される結果、空気熱交換器31に付着している霜が溶かされて除去される。なお、「除霜処理」は、上記の処理に限定されるものではなく、ヒートポンプユニット3内において冷媒を逆流させる処理や、除霜を目的としてヒートポンプユニット3を停止させる処理などの各種の処理がこれに含まれる。
【0038】
この場合、「除霜処理」として、上記の各処理のいずれを実行したとしても、除霜処理の開始時点(この例では、図2に示す時点t2)において循環ポンプ4が停止させられていることで、給湯用配管13内の湯Whの温度(この例では、温度センサ7aによって検出される「出口温度」)が徐々に低下する。また、除霜処理の開始時点(時点t2)から、通常運転状態とは相違する運転状態(除霜運転状態)でヒートポンプユニット3が運転させられる(または、ヒートポンプユニット3が停止させられる)ことで、水熱交換器33内の湯Wh(給湯用配管13寄り)の温度も低下する。したがって、このような状態において「除霜処理」を終了して、直ちに循環ポンプ4を稼働させたときには、給湯用配管13内や水熱交換器33内において温度低下した湯Wh(以下、高温の湯Whと区別するために、「湯Wm」ともいう)が貯留空間A内に導入される事態を招くこととなる。
【0039】
したがって、この貯湯式温水器1では、除霜処理の終了時点において(「除霜処理の終了に際して」とのタイミングの一例:この例では、図2に示す時点t3)、制御部6が、まず、温度センサ7aからのセンサ信号Saに基づき、給湯用配管13内の湯Wmの温度(「給湯用配管内の湯または水の温度」の一例)が規定温度Ta(「第1の規定温度」の一例:一例として、40℃)を下回っているか否かを判別する。この際に、温度センサ7aによる検出温度、すなわち、給湯用配管13における水熱交換器33の近傍の湯Wmの温度が規定温度Taを下回っていない状態においては、循環ポンプ4を作動させて、その湯Wmが貯留空間A内に導入されたとしても、貯留空間A内の高温の湯Whが、導入された湯Wmによって大きく温度低下させられることがない。したがって、制御部6は、温度センサ7aによる検出温度が規定温度Taを下回っていないときには、ヒートポンプユニット3および循環ポンプ4を直ちに通常運転させる。
【0040】
一方、温度センサ7aによる検出温度が規定温度Taを下回っている状態においては、循環ポンプ4を作動させて、その湯Wmが貯留空間A内に導入されたときに、貯留空間A内の高温の湯Whが、導入された低温の湯Wmによって大きく温度低下させられることとなる。したがって、制御部6は、温度センサ7aによる検出温度が規定温度Taを下回っているときには、循環ポンプ4を停止させた状態を維持しつつ、排水弁5に対して制御信号S4を出力してcポートおよびbポート(排出口5a)を相互に連通させる。
【0041】
この場合、前述したように、貯留空間A内には、給水用配管11を介して水圧が加えられた状態(加圧された状態)となっている。したがって、排水弁5のcポートおよびbポートが相互に連通させられたときには、給水用配管11を介して加えられている水圧によって、貯留空間Aにおける上方側に貯湯されている湯Whが給湯口23から給湯用配管13を通過して水熱交換器33内に逆流する。これにより、水熱交換器33内および給湯用配管13内が高温の湯Whで満たされた状態となる。また、貯留空間Aから給湯用配管13を通過して水熱交換器33内に高温の湯Whが逆流することにより、除霜処理中に給湯用配管13内や水熱交換器33内で温度低下した湯Wmが取水用配管12内に逆流し、これにより、取水用配管12における排水弁5の配設部位よりも下流側位置している水Wcが排水弁5の排出口5a(bポート)から排水され、これに続いて、取水用配管12内に逆流した低温の湯Wmが排水弁5の排出口5a(bポート)から排水される。
【0042】
また、図2に示すように、貯留空間Aから高温の湯Whが逆流させられるのに伴い、温度センサ7aによる検出温度が湯Wmの温度(規定温度Taよりも低い温度)から貯留空間A内に貯湯されていた高温の湯Whの温度(この例では、「Hi」)になると共に、温度センサ7bによる検出温度が水Wcの温度から、湯Wmの温度および湯Whの温度まで徐々に上昇する。この場合、温度センサ7bの検出温度が規定温度Tb(「第9の規定温度」の一例:一例として、湯Whの温度である「Hi」)まで上昇した状態においては、給湯用配管13内および水熱交換器33内が高温の湯Whで満たされたこととなる。
【0043】
したがって、制御部6は、温度センサ7bからのセンサ信号Sbに基づき、取水用配管12内の水Wcまたは湯Wm,Whの温度が規定温度Tbまで温度上昇した時点t4において(排水処理の開始直後に温度センサ7bからのセンサ信号Sbに基づいて特定される水Wcの温度よりも高温の「第8の規定温度」の湯Wm,Whが水熱交換器33から取水用配管12に逆流したとき:「取水用配管内の水または湯の温度が第9の規定温度まで温度上昇したとき」との条件が満たされた時点の一例)、排水弁5に対して制御信号S4を出力してcポートおよびaポートを相互に連通させる(bポート(排出口5a)を閉塞する)。これにより、排出口5a(bポート)から水Wcや湯Wm,Whを排水する排水処理が終了する。
【0044】
また、制御部6は、排水弁5に対する制御信号S4の出力(排水処理の終了)と共に、圧縮機32および膨張弁34に対して制御信号S1,S2を出力して通常運転を再開させる。また、ヒートポンプユニット3の通常運転の再開から所定時間が経過した時点t5において、制御部6は、循環ポンプ4に制御信号S3を出力してヒートポンプユニット3(水熱交換器33)に対する水Wcの供給を再開させる。この際には、水熱交換器33内に水Wcが供給されるのに伴い、排水弁5における排出口5a(bポート)からの排水によって水熱交換器33内や給湯用配管13内に逆流して滞留していた高温の湯Whが給湯口23から貯留空間A内に導入され、続いて、通常運転状態のヒートポンプユニット3(水熱交換器33)によって加温された高温の湯Whが給湯用配管13を介して貯留空間A内に導入される。
【0045】
このように、この貯湯式温水器1、および貯湯式温水器1の制御方法によれば、空気熱交換器31に付着した霜を除去する除霜処理の終了に際して、取水用配管12に配設されている排水弁5から、取水用配管12における排水弁5の配設部位よりも下流側に位置している水Wc、および給湯用配管13内や水熱交換器33内で温度低下した湯Wmを排水する排水処理を実行することにより、除霜処理中に給湯用配管13内や水熱交換器33内において温度低下した湯Wmが除霜処理の終了後(通常運転の再開時)に貯留空間A内に導入される事態を回避することができるため、貯留空間A内に貯湯している高温の湯Wmが、除霜処理の終了後(通常運転の再開時)に導入される湯Whによって温度低下させられる事態を好適に回避することができる。また、例えば、除霜処理中に循環ポンプを継続的に逆回転させる構成の貯湯式温水器とは異なり、除霜処理の終了に際して水Wcや湯Wm等を排水弁5から排水して貯留空間Aから湯Whを逆流させるだけのため、出湯口24から出湯すべき高温の湯Whを出湯以外の用途で大量に消費する事態を回避することができる。
【0046】
また、この貯湯式温水器1、および貯湯式温水器1の制御方法によれば、除霜処理の終了に際して、給湯用配管13内の湯Wmまたは水Wcの温度が規定温度Taよりも低温のときとの条件が満たされているときにだけ排水処理を実行することにより、除霜処理の終了後に通常運転を再開したときに水熱交換器33や給湯用配管13内の湯Wmが貯留空間A内に導入されても貯留空間A内の高温の湯Whの温度低下を招くことがないときには、排水処理を不要とすることができるため、除霜処理の終了から通常運転の再開までに要する時間を短縮することができるだけでなく、出湯以外の用途で湯Whが消費される量(給湯用配管13内や水熱交換器33内の湯Wm等を排水弁5から排水する目的で消費される湯Whの量)を十分に抑制することができる。
【0047】
さらに、この貯湯式温水器1、および貯湯式温水器1の制御方法によれば、取水用配管12内の水Wcまたは湯Whの温度が第9の規定温度まで温度上昇したときとの条件が満たされたときに排水処理を終了することにより、例えば、排水弁5からの水Wcや湯Wmの排水が開始された後に、手動で排水弁5のaポートおよびcポートを連通させる(bポート(排出口5a)を手動で閉塞する)構成の貯湯式温水器やその制御方法と比較して、給湯用配管13内や水熱交換器33内が高温の湯Whで満たされた時点を的確に捉えて排水処理を終了させることができるため、出湯以外の用途で消費される湯Whの量を十分に抑制することができると共に、低温の湯Wmが給湯用配管13内や水熱交換器33内に残留して通常運転の再開時にこの低温の湯Wmが貯留空間A内の導入される事態を回避することができる。
【0048】
なお、三方弁によって構成した排水弁5を備えた貯湯式温水器1を例に挙げて説明したが、この排水弁5に代えて、取水用配管12に設けた排水口を開閉する二方弁を「排水弁」として配設する構成を採用することもできる(図示せず)。この場合、二方弁によって構成した「排水弁」を備えた貯湯式温水器では、排水処理に際して「排水弁」を解放したときに、取水用配管12における「排水弁」の配設部位よりも下流側(水熱交換器33側)の水Wcや水熱交換器33内等の湯Wm,Whだけでなく、取水用配管12における「排水弁」の配設部位よりも上流側(貯湯タンク2側)の水Wcや貯湯タンク2内の水Wcも、この「排水弁」から排水される。しかしながら、「排水弁」と貯湯タンク2との間に循環ポンプ4を配設することで、停止状態の循環ポンプ4が抵抗となって、取水用配管12における「排水弁」の配設部位よりも上流側(貯湯タンク2側)の水Wcが「排水弁」から排水される量は極く少量となる。また、仮に、取水用配管12における「排水弁」の配設部位よりも上流側の水Wcの排水量がある程度大量となっても、この水Wcは、給水用配管11を介して貯湯タンク2内に貯水されているだけで、ヒートポンプユニット3による加熱処理が行われていないため、この水Wcが「排水弁」から排水されることで消失するエネルギー量は十分に少量となる。
【0049】
また、除霜処理の終了に際して、給湯用配管13内の湯Whまたは水Wcの温度(この例では、給湯用配管13における水熱交換器33寄りに配設された温度センサ7aによる検出温度)が規定温度Taよりも低温のときとの条件が満たされているときにだけ排水処理を開始する構成の貯湯式温水器1、および貯湯式温水器1の制御方法について説明したが、排水処理の開始条件は、上記の例に限定されない。例えば、除霜処理の終了に際して、除霜処理の終了時点から「第1の規定時間」が経過したときに排水処理を開始する構成および方法を採用することができる。このような構成および方法を採用することにより、湯Wh,Wmおよび水Wc等の温度を検出するための温度センサ(貯湯式温水器1における温度センサ7a)が不要となるため、既存の貯湯式温水器を利用して、前述した貯湯式温水器1と同様の効果を奏することが可能な貯湯式温水器を安価に製作することができる。
【0050】
また、除霜処理の終了に際して、水熱交換器33内の湯Whまたは水Wcの温度が「第2の規定温度」よりも低温のときに排水処理を開始する構成および方法を採用することができる。このような構成を採用する場合には、上記の温度センサ7aを水熱交換器33内に配設すればよい。このような構成および方法を採用することにより、給湯用配管13に配設された温度センサ7aによって検出した温度に基づいて排水処理の実行の要否を判別する構成の貯湯式温水器1と比較して、除霜運転によって温度低下した水熱交換器33内の湯Wmの温度を一層正確に検出することができる結果、排水処理を実行すべきか否か(排水弁5から排水すべきか、排水することなく貯留空間A内に導入しても構わないか)を好適に判別することができる。
【0051】
さらに、除霜処理の終了に際して、水熱交換器33の温度が「第3の規定温度」よりも低温のとき排水処理を開始する構成および方法を採用することができる。このような構成を採用する場合には、上記の温度センサ7aに代えて、水熱交換器33自体の温度を検出する温度センサを配設すればよい。このような構成および方法を採用することにより、給湯用配管13に配設された温度センサ7aによって検出した温度に基づいて排水処理の実行の要否を判別する構成の貯湯式温水器1と比較して、除霜運転によって温度低下した水熱交換器33内の湯Wmの温度を一層正確に検出することができる結果、排水処理を実行すべきか否か(排水弁5から排水すべきか、排水することなく貯留空間A内に導入しても構わないか)を好適に判別することができる。
【0052】
また、除霜処理の終了に際して、ヒートポンプユニット3内の冷媒の温度が「第4の規定温度」よりも低温のときに排水処理を開始する構成および方法を採用することができる。このような構成を採用する場合には、上記の温度センサ7aに代えてヒートポンプユニット3における冷媒の温度を検出する温度センサを例えば冷媒配管35b内に配設するか、または、ヒートポンプユニット3の運転状態を検出するための既存の温度センサを利用すればよい。この場合、既存の温度センサを用いて冷媒の温度を検出することにより、水熱交換器33内の湯Whまたは水Wcの温度を間接的に検出する構成および方法を採用することで、湯Wh,Wmや水Wc用の各配管、および冷媒用の各配管に手を加えることなく、水熱交換器33内の湯Wh,Wmまたは水Wcの温度を間接的に検出することができるため、既存の貯湯式温水器を利用して、前述した貯湯式温水器1と同様の効果を奏することが可能な貯湯式温水器を安価に製作することができる。
【0053】
さらに、除霜処理の終了に際して、ヒートポンプユニット3を収容する筐体(図示せず)内の温度が「第5の規定温度」よりも低温のときに排水処理を開始する構成および方法を採用することができる。このような構成を採用する場合には、上記の温度センサ7aに代えて、ヒートポンプユニット3を収容する筐体内の温度を検出する温度センサを筐体内に配設すればよい。このような構成および方法を採用することにより、湯Wh,Wmや水Wc用の各配管、および冷媒用の各配管に手を加えることなく、水熱交換器33内の湯Wh,Wmまたは水Wcの温度を間接的に検出することができるため、既存の貯湯式温水器を利用して、前述した貯湯式温水器1と同様の効果を奏することが可能な貯湯式温水器を安価に製作することができる。
【0054】
また、除霜処理の終了に際して、ヒートポンプユニット3の筐体(図示せず)の温度が「第6の規定温度」よりも低温のときに排水処理を開始する構成および方法を採用することができる。このような構成を採用する場合には、上記の温度センサ7aに代えて、ヒートポンプユニット3を収容する筐体自体の温度を検出する温度センサを配設すればよい。このような構成および方法を採用することにより、湯Wh,Wmや水Wc用の各配管、および冷媒用の各配管に手を加えることなく、水熱交換器33内の湯Wh,Wmまたは水Wcの温度を間接的に検出することができるため、既存の貯湯式温水器を利用して、前述した貯湯式温水器1と同様の効果を奏することが可能な貯湯式温水器を安価に製作することができる。
【0055】
さらに、除霜処理の終了に際して、外気温度が「第7の規定温度」よりも低温のときに排水処理を開始する構成および方法を採用することができる。このような構成を採用する場合には、上記の温度センサ7aに代えて外気温を検出する温度センサを配設すればよい。このような構成および方法を採用することにより、湯Wh,Wmや水Wc用の各配管、および冷媒用の各配管に手を加えることなく、水熱交換器33内の湯Wh,Wmまたは水Wcの温度を間接的に検出することができるため、既存の貯湯式温水器を利用して、前述した貯湯式温水器1と同様の効果を奏することが可能な貯湯式温水器を安価に製作することができる。
【0056】
また、排水処理の実行中に、取水用配管12内の水Wcまたは湯Whの温度(この例では、取水用配管12における水熱交換器33寄りに配設された温度センサ7bによる検出温度)が規定温度Tbまで温度上昇したときとの条件が満たされたときに排水処理を終了する構成の貯湯式温水器1、および貯湯式温水器1の制御方法について説明したが、排水処理の終了条件は、上記の例に限定されない。例えば、排水処理の実行中に、排水処理の開始時点から「第2の規定時間」が経過したときに排水処理を終了する構成および制御方法を採用することができる。このような構成および方法を採用することにより、湯Wh,Wmおよび水Wc等の温度を検出するための温度センサ(貯湯式温水器1における温度センサ7a)が不要となるため、既存の貯湯式温水器を利用して、前述した貯湯式温水器1と同様の効果を奏することが可能な貯湯式温水器を安価に製作することができる。
【0057】
また、排水処理の実行中に、排水弁5から排水している水Wcまたは湯Whの温度が「第8の規定温度」まで温度上昇したとき(排水処理の開始直後に排水弁から排水した水の温度よりも高温の第8の規定温度の水または湯が排水弁から排水されたとき)に排水処理を終了する構成および制御方法を採用することができる。このような構成を採用する場合には、上記の温度センサ7bを排水弁5の排出口5a(bポート)、または排出口5aに接続した排水管(図示せず)に配設すればよい。この場合、「排水弁」として排水弁5のような三法弁を採用することで、排水処理時に「排水弁」よりも下流側の水Wcや湯Wm,Whだけが排水されるように(「排水弁」よりも上流側の水Wcが排水されないように)構成することにより、排水処理によって水熱交換器33内に湯Whが逆流したか否かを確実に検出することができる結果、排水処理を終了すべきか否かを好適に判別することができる。
【0058】
さらに、排水処理の実行中に、水熱交換器33内の湯Whまたは水Wcの温度が「第10の規定温度」まで温度上昇したとき(排水処理の開始直後における水熱交換器内の湯または水の温度よりも高温の第10の規定温度の湯または水が水熱交換器内に逆流したとき)に排水処理を終了する構成および制御方法を採用することができる。このような構成を採用する場合には、上記の温度センサ7bを水熱交換器33内に配設すればよい。このような構成および方法を採用することにより、取水用配管12に配設された温度センサ7bによって検出した温度に基づいて排水処理の終了タイミングを判別する構成の貯湯式温水器1と比較して、排水処理によって水熱交換器33内に湯Whが逆流したか否かを確実に検出することができる結果、排水処理を終了すべきか否かを好適に判別することができる。
【0059】
また、排水処理の実行中に、水熱交換器33の温度が「第11の規定温度」まで温度上昇したときに排水処理を終了する構成および制御方法を採用することができる。このような構成を採用する場合には、上記の温度センサ7bに代えて、水熱交換器33自体の温度を検出する温度センサを配設すればよい。このような構成および方法を採用することにより、取水用配管12に配設された温度センサ7bによって検出した温度に基づいて排水処理の終了タイミングを判別する構成の貯湯式温水器1と比較して、排水処理によって水熱交換器33内に湯Whが逆流したか否かを確実に検出することができる結果、排水処理を終了すべきか否かを好適に判別することができる。
【0060】
さらに、排水処理の実行中に、冷媒の温度が「第12の規定温度」まで温度上昇したときに排水処理を終了する構成および制御方法を採用することができる。このような構成を採用する場合には、上記の温度センサ7bに代えてヒートポンプユニット3における冷媒の温度を検出する温度センサを例えば冷媒配管35b内に配設するか、または、ヒートポンプユニット3の運転状態を検出するための既存の温度センサを利用すればよい。この場合、既存の温度センサを用いて冷媒の温度を検出することにより、水熱交換器33内の湯Whまたは水Wcの温度を間接的に検出する構成および方法を採用することで、湯Wh,Wmや水Wc用の各配管、および冷媒用の各配管に手を加えることなく、水熱交換器33内の湯Wh,Wmまたは水Wcの温度を間接的に検出することができるため、既存の貯湯式温水器を利用して、前述した貯湯式温水器1と同様の効果を奏することが可能な貯湯式温水器を安価に製作することができる。
【0061】
また、排水処理の実行中に、ヒートポンプユニット3を収容する筐体(図示せず)内の温度が「第13の規定温度」まで温度上昇したときに排水処理を終了する構成および制御方法を採用することができる。このような構成を採用する場合には、上記の温度センサ7bに代えて、ヒートポンプユニット3を収容する筐体内の温度を検出する温度センサを筐体内に配設すればよい。このような構成および方法を採用することにより、取水用配管12に配設された温度センサ7bによって検出した温度に基づいて排水処理の終了タイミングを判別する構成の貯湯式温水器1とは異なり、湯Wh,Wmや水Wc用の各配管、および冷媒用の各配管に手を加えることなく、排水処理によって水熱交換器33内に湯Whが逆流したか否かを間接的に検出することができる結果、既存の貯湯式温水器を利用して、前述した貯湯式温水器1と同様の効果を奏することが可能な貯湯式温水器を安価に製作することができる。
【0062】
さらに、排水処理の実行中に、ヒートポンプユニット3の筐体(図示せず)の温度が「第14の規定温度」まで温度上昇したときに排水処理を終了する構成および制御方法を採用することができる。このような構成を採用する場合には、上記の温度センサ7bに代えて、ヒートポンプユニット3を収容する筐体自体の温度を検出する温度センサを配設すればよい。このような構成および方法を採用することにより、取水用配管12に配設された温度センサ7bによって検出した温度に基づいて排水処理の終了タイミングを判別する構成の貯湯式温水器1とは異なり、湯Wh,Wmや水Wc用の各配管、および冷媒用の各配管に手を加えることなく、排水処理によって水熱交換器33内に湯Whが逆流したか否かを間接的に検出することができる結果、既存の貯湯式温水器を利用して、前述した貯湯式温水器1と同様の効果を奏することが可能な貯湯式温水器を安価に製作することができる。
【0063】
また、排水処理の実行中に、排水弁5から「第1の規定量」の水Wcまたは湯Whが排水されたときに排水処理を終了する構成および制御方法を採用することができる。このような構成を採用する場合には、上記の温度センサ7bに代えて、流量センサを排水弁5の排出口5a(bポート)に配設すればよい。この場合、「排水弁」として排水弁5のような三法弁を採用することで、排水処理時に「排水弁」よりも下流側の水Wcや湯Wm,Whだけが排水されるように(「排水弁」よりも上流側の水Wcが排水されないように)構成することにより、貯留空間A内に導入されるべきではない低温の湯Wmや水Wcのすべてを排水弁5から確実に排水することができる。
【0064】
さらに、排水処理の実行中に、水熱交換器33から取水用配管12内に「第2の規定量」の水Wcまたは湯Whが逆流したときに排水処理を終了する構成および制御方法を採用することができる。このような構成を採用する場合には、上記の温度センサ7bに代えて、水熱交換器33と排水弁5との間の任意の位置に流量センサを配設すればよい。このような構成を採用することにより、貯留空間A内に導入されるべきではない低温の湯Wmや水Wcのすべてを排水弁5から確実に排水することができる。なお、「三法弁で構成した排水弁」を採用した場合には、上記の「第1の規定量」と「第2の規定量」とが同量となり、「二法弁で構成した排水弁」を採用した場合には、取水用配管12における「排水弁」の配設部位よりも上流側の水Wcが「排水弁」から排水される分だけ、上記の「第2の規定量」が「第1の規定量」よりも少量となる。
【0065】
また、排水処理の実行中に、給湯用配管13から水熱交換器33内に「第3の規定量」の水Wcまたは湯Whが逆流したときに排水処理を終了する構成および制御方法を採用することができる。このような構成を採用する場合には、上記の温度センサ7bに代えて、給湯用配管13における水熱交換器33寄りに流量センサを配設すればよい。このような構成を採用することにより、貯留空間A内に導入されるべきではない低温の湯Wmや水Wcのすべてを排水弁5から確実に排水することができる。
【0066】
さらに、排水処理の実行中に、貯湯タンク2から給湯用配管13内に「第4の規定量」の水Wcまたは湯Whが逆流したときに排水処理を終了する構成および制御方法を採用することができる。このような構成を採用する場合には、上記の温度センサ7bに代えて、給湯用配管13における貯湯タンク2(タンク本体20の給湯口23)寄りに流量センサを配設すればよい。このような構成を採用することにより、貯留空間A内に導入されるべきではない低温の湯Wmや水Wcのすべてを排水弁5から確実に排水することができる。
【0067】
さらに、除霜処理の終了に際して、予め規定された条件を満たしているときにだけ排水処理を実行する構成の貯湯式温水器1、およびその制御方法について説明したが、「貯湯式温水器」および「貯湯式温水器の制御方法」はこれに限定されない。具体的には、図3に示す貯湯式温水器1Aは、前述した貯湯式温水器1における温度センサ7a,7bに代えて、ヒートポンプユニット33における冷媒の温度を検出する温度センサ8を備えている。なお、この貯湯式温水器1Aにおいて前述した貯湯式温水器1と同様の構成要素については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0068】
この貯湯式温水器1Aでは、除霜処理の終了に際して直ちに排水処理が開始される。具体的には、この貯湯式温水器1Aでは、図4に示すように、除霜処理が終了した時点t3において、排水処理を直ちに開始して、循環ポンプ4を停止させた状態を維持しつつ、排水弁5に対して制御信号S4を出力してcポートおよびbポート(排出口5a)を相互に連通させる。この際には、前述した貯湯式温水器1と同様にして、給水用配管11を介して加えられている水圧によって、貯留空間Aにおける上方側に貯湯されている湯Whが給湯口23から給湯用配管13を通過して水熱交換器33内に逆流する。これにより、水熱交換器33内および給湯用配管13内が高温の湯Whで満たされた状態となる。また、貯留空間Aから給湯用配管13を通過して水熱交換器33内に高温の湯Whが逆流することにより、除霜処理中に給湯用配管13内や水熱交換器33内で温度低下した湯Wmは、取水用配管12を通過して排水弁5の排出口5a(bポート)から排水される。
【0069】
この場合、除霜処理としての除霜運転中のヒートポンプユニット3においては、図4に示すように、除霜運転を開始した時点t2から除霜運転を終了する時点t3まで冷媒の温度が徐々に低下する。また、排水弁5からの水Wcおよび湯Wmの排水に伴って水熱交換器33内が高温の湯Whで満たされた状態においては、水熱交換器33における冷媒と湯Whとの熱交換量が減少する結果、ヒートポンプユニット3内の冷媒の温度が徐々に上昇する。したがって、この貯湯式温水器1Aでは、制御部6が温度センサ8からのセンサ信号Stに基づき、冷媒の温度が規定温度Tt(「第12の規定温度」の一例)まで上昇した時点t4において(「冷媒の温度が第12の規定温度まで温度上昇したとき」との条件が満たされた時点の一例)、排水弁5に対して制御信号S4を出力してcポートおよびaポートを相互に連通させる(bポート(排出口5a)を閉塞する)。これにより、排出口5a(bポート)からの水Wcや湯Wm、Whの排水処理が終了する。
【0070】
また、制御部6は、排水弁5に対する制御信号S4の出力(排水処理の終了)と共に、圧縮機32および膨張弁34に対して制御信号S1,S2を出力して通常運転を再開させる。また、ヒートポンプユニット3の通常運転の再開から所定時間が経過した時点t5において、制御部6は、循環ポンプ4に制御信号S3を出力してヒートポンプユニット3(水熱交換器33)に対する水Wcの供給を再開させる。この際には、水熱交換器33内に水Wcが供給されるのに伴い、排水弁5における排出口5a(bポート)からの排水によって水熱交換器33内や給湯用配管13内に逆流して滞留していた高温の湯Whが給湯口23から貯留空間A内に導入され、続いて、通常運転状態のヒートポンプユニット3(水熱交換器33)によって加温された高温の湯Whが給湯用配管13を介して貯留空間A内に導入される。
【0071】
このように、この貯湯式温水器1A、および貯湯式温水器1Aの制御方法によれば、空気熱交換器31に付着した霜を除去する除霜処理の終了に際して、取水用配管12に配設されている排水弁5から取水用配管12内の水Wcまたは湯Whを排水する排水処理を実行することにより、上記の貯湯式温水器1、および貯湯式温水器1の制御方法と同様にして、除霜処理中に給湯用配管13内や水熱交換器33内において温度低下した湯Wmが除霜処理の終了後(通常運転の再開時)に貯留空間A内に導入される事態を回避することができるため、貯留空間A内に貯湯している高温の湯Wmが、除霜処理の終了後(通常運転の再開時)に導入される湯Whによって温度低下させられる事態を好適に回避することができる。また、例えば、除霜処理中に循環ポンプを継続的に逆回転させる構成の貯湯式温水器とは異なり、除霜処理の終了に際して水Wcや湯Wm等を排水弁5から排水して貯留空間Aから湯Whを逆流させるだけのため、出湯口24から出湯すべき高温の湯Whを出湯以外の用途で大量に消費する事態を回避することができる。
【0072】
また、この貯湯式温水器1、および貯湯式温水器1の制御方法によれば、除霜処理の終了に際して排水処理を直ちに開始すると共に、冷媒の温度が第12の規定温度まで温度上昇したときとの条件が満たされたときに排水処理を終了することにより、例えば、排水弁5からの水Wcや湯Wmの排水が開始された後に、手動で排水弁5のaポートおよびcポートを連通させる(bポート(排出口5a)を手動で閉塞する)構成の貯湯式温水器やその制御方法と比較して、給湯用配管13内や水熱交換器33内が高温の湯Whで満たされた時点を的確に捉えて排水処理を終了させることができるため、出湯以外の用途で消費される湯Whの量を十分に抑制することができると共に、低温の湯Wmが給湯用配管13内や水熱交換器33内に残留して通常運転の再開時にこの低温の湯Wmが貯留空間A内の導入される事態を回避することができる。
【0073】
この場合、貯湯式温水器1Aにおける排水処理の終了条件については、冷媒の温度が「第12の規定温度」まで温度上昇したときとの条件に限定されるものではなく、貯湯式温水器1について例示した各種終了条件のうちのいずれかが満たされたときに排水処理を終了する構成および制御方法を採用することができる。
【0074】
また、「除霜処理の終了に際して」とのタイミングの一例として「除霜処理の終了時点において」とのタイミングにおいて予め規定された条件が満たされているときに(または、直ちに)排水処理を開始する構成および制御方法を例に挙げて説明したが、「除霜処理の終了に際して」とは、「除霜処理の終了直前(一例として、除霜処理の終了数秒前)において」や、「除霜処理の終了直後(一例として、除霜処理の終了後数秒後)において」がこれに含まれる。さらに、予め規定された終了条件が満たされたときに制御部6が排水弁5を制御して排水処理を終了する構成の貯湯式温水器1,1Aを例に挙げて説明したが、排水処理の開始後に、手動で排水弁5を閉じて排水処理を終了する構成を採用することもできる。
【符号の説明】
【0075】
1,1A 貯湯式温水器
2 貯湯タンク
3 ヒートポンプユニット
4 循環ポンプ
5 排水弁
5a 排出口
6 制御部
7a,7b,8 温度センサ
11 給水用配管
12 取水用配管
13 給湯用配管
14 出湯用配管
20 タンク本体
21 給水口
22 取水口
23 給湯口
24 出湯口
31 空気熱交換器
32 圧縮機
33 水熱交換器
34 膨張弁
35a〜35d 冷媒配管
A 貯留空間
S1〜S4 制御信号
Sa,Sb,St センサ信号
Ta,Tb,Tt 規定温度
Wc 水
Wh 湯

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気熱交換器、圧縮機、水熱交換器および膨張弁を有するヒートポンプユニットと、当該ヒートポンプユニットによって加温すべき水と当該ヒートポンプユニットによって当該水を加温して生成された湯とを貯留空間内に貯留可能に構成された貯湯タンクと、当該貯湯タンクから前記水熱交換器に前記水を供給すると共に当該水熱交換器から当該貯湯タンクに前記湯を導入する循環ポンプと、前記ヒートポンプユニットおよび前記循環ポンプの動作を制御すると共に前記空気熱交換器に付着した霜を除去する除霜処理を実行する制御部とを備え、前記貯湯タンクは、前記水を前記貯留空間内に導入するための給水口と、前記貯留空間内の前記水を取水させて前記水熱交換器に前記水を供給させるための取水口とが前記貯湯タンクにおける下方側に設けられて前記取水口が取水用配管を介して前記水熱交換器に接続されると共に、前記水熱交換器において加温された前記湯を前記貯留空間内に導入するための給湯口と、前記貯留空間内の前記湯を出湯するための出湯口とが前記貯湯タンクにおける上方側に設けられて前記給湯口が給湯用配管を介して水熱交換器に接続され、前記給水口から前記貯留空間内への前記水の給水圧力によって当該貯留空間内の前記湯を前記出湯口から出湯可能に構成されている貯湯式温水器であって、
前記取水用配管に配設されて前記制御部の制御に従って当該取水用配管内の前記水または前記湯を排水する排水弁を備え、
前記制御部は、前記除霜処理の終了に際して前記排水弁を制御して前記水または前記湯を排水させる排水処理を実行する貯湯式温水器。
【請求項2】
前記制御部は、前記除霜処理の終了に際して、当該除霜処理の終了時点から第1の規定時間が経過したとき、前記給湯用配管内の前記湯または前記水の温度が第1の規定温度よりも低温のとき、前記水熱交換器内の前記湯または前記水の温度が第2の規定温度よりも低温のとき、前記水熱交換器の温度が第3の規定温度よりも低温のとき、前記ヒートポンプユニット内の冷媒の温度が第4の規定温度よりも低温のとき、前記ヒートポンプユニットを収容する筐体内の温度が第5の規定温度よりも低温のとき、前記筐体の温度が第6の規定温度よりも低温のとき、および外気温度が第7の規定温度よりも低温のときの各条件のうちの予め規定された条件が満たされたときにだけ前記排水処理を実行する請求項1記載の貯湯式温水器。
【請求項3】
前記制御部は、前記排水処理の実行中に、当該排水処理の開始時点から第2の規定時間が経過したとき、前記排水弁から排水している前記水または前記湯の温度が第8の規定温度まで温度上昇したとき、前記取水用配管内の前記水または前記湯の温度が第9の規定温度まで温度上昇したとき、前記水熱交換器内の前記湯または前記水の温度が第10の規定温度まで温度上昇したとき、前記水熱交換器の温度が第11の規定温度まで温度上昇したとき、前記冷媒の温度が第12の規定温度まで温度上昇したとき、前記筐体内の温度が第13の規定温度まで温度上昇したとき、前記筐体の温度が第14の規定温度まで温度上昇したとき、前記排水弁から第1の規定量の前記水または前記湯が排水されたとき、前記水熱交換器から前記取水用配管内に第2の規定量の前記水または前記湯が逆流したとき、前記給湯用配管から前記水熱交換器内に第3の規定量の前記水または前記湯が逆流したとき、および前記貯湯タンクから前記給湯用配管内に第4の規定量の前記水または前記湯が逆流したときの各条件のうちの予め規定された条件が満たされたときに前記排水処理を終了する請求項2記載の貯湯式温水器。
【請求項4】
前記制御部は、前記除霜処理の終了に際して前記排水処理を直ちに開始すると共に、当該排水処理の実行中に、当該排水処理の開始時点から第2の規定時間が経過したとき、前記排水弁から排水している前記水または前記湯の温度が第8の規定温度まで温度上昇したとき、前記取水用配管内の前記水または前記湯の温度が第9の規定温度まで温度上昇したとき、前記水熱交換器内の前記湯または前記水の温度が第10の規定温度まで温度上昇したとき、前記水熱交換器の温度が第11の規定温度まで温度上昇したとき、前記冷媒の温度が第12の規定温度まで温度上昇したとき、前記筐体内の温度が第13の規定温度まで温度上昇したとき、前記筐体の温度が第14の規定温度まで温度上昇したとき、前記排水弁から第1の規定量の前記水または前記湯が排水されたとき、前記水熱交換器から前記取水用配管内に第2の規定量の前記水または前記湯が逆流したとき、前記給湯用配管から前記水熱交換器内に第3の規定量の前記水または前記湯が逆流したとき、および前記貯湯タンクから前記給湯用配管内に第4の規定量の前記水または前記湯が逆流したときの各条件のうちの予め規定された条件が満たされたときに前記排水処理を終了する請求項1記載の貯湯式温水器。
【請求項5】
空気熱交換器、圧縮機、水熱交換器および膨張弁を有するヒートポンプユニットと、当該ヒートポンプユニットによって加温すべき水と当該ヒートポンプユニットによって当該水を加温して生成された湯とを貯留空間内に貯留可能に構成された貯湯タンクと、当該貯湯タンクから前記水熱交換器に前記水を供給すると共に当該水熱交換器から当該貯湯タンクに前記湯を導入する循環ポンプとを備え、前記貯湯タンクは、前記水を前記貯留空間内に導入するための給水口と、前記貯留空間内の前記水を取水させて前記水熱交換器に前記水を供給させるための取水口とが前記貯湯タンクにおける下方側に設けられて前記取水口が取水用配管を介して前記水熱交換器に接続されると共に、前記水熱交換器において加温された前記湯を前記貯留空間内に導入するための給湯口と、前記貯留空間内の前記湯を出湯するための出湯口とが前記貯湯タンクにおける上方側に設けられて前記給湯口が給湯用配管を介して水熱交換器に接続され、前記給水口から前記貯留空間内への前記水の給水圧力によって当該貯留空間内の前記湯を前記出湯口から出湯可能に構成されている貯湯式温水器の制御方法であって、
前記空気熱交換器に付着した霜を除去する除霜処理の終了に際して、前記取水用配管に配設されて当該取水用配管内の前記水または前記湯を排水する排水弁を開放して当該水または当該湯を排水する排水処理を実行する貯湯式温水器の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−37190(P2012−37190A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−179918(P2010−179918)
【出願日】平成22年8月11日(2010.8.11)
【出願人】(000103921)オリオン機械株式会社 (450)
【Fターム(参考)】