貯湯式給湯器
【課題】熱に弱い部品への熱影響を防止すると共に、貯湯タンクおよび外装ケースの様々な形状に対応し、さらに、断熱異常を正確に判断することができる貯湯式給湯機を提供する。
【解決手段】貯湯式給湯器は、貯湯タンク1を収納する外装ケース30を具備する貯水ユニットAと熱源ユニットBとを有し、貯湯タンク1の外側面の周囲の一部に真空断熱材21が設置され、これを除く外側面に断熱材20が設置されてなる。例えば、真空断熱材21は、水平断面がU字状の溝部材であって、円筒状の貯湯タンク1に当接する円弧状部と、角筒状の外装ケース30の内面に当接する一対の矩形状の板状部とを有し、断熱材20は、外装ケース30の両隅部に配置された断面略三角形部と、真空断熱材21の一対の板状部に挟まれた範囲とに配置されて断面略凹字状部とを有している。
【解決手段】貯湯式給湯器は、貯湯タンク1を収納する外装ケース30を具備する貯水ユニットAと熱源ユニットBとを有し、貯湯タンク1の外側面の周囲の一部に真空断熱材21が設置され、これを除く外側面に断熱材20が設置されてなる。例えば、真空断熱材21は、水平断面がU字状の溝部材であって、円筒状の貯湯タンク1に当接する円弧状部と、角筒状の外装ケース30の内面に当接する一対の矩形状の板状部とを有し、断熱材20は、外装ケース30の両隅部に配置された断面略三角形部と、真空断熱材21の一対の板状部に挟まれた範囲とに配置されて断面略凹字状部とを有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は貯湯式給湯器、特に、貯湯ユニットと熱源ユニットとを具備する貯湯式給湯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電気温水器やヒートポンプ式給湯器のような貯湯式給湯器に搭載される貯湯タンクは、内壁周囲に、熱伝導率の低い断熱材を巻くことによって熱漏洩を抑え、省エネルギー化が図られていた。
例えば、貯湯タンクを角筒状の外装ケースに収納して、貯湯タンクの外壁と外装ケースの内壁とが近接する範囲に、例えばプラスチックフィルムなどの袋に包み、その内部を真空排気して気密に密閉した断熱材(以下、「真空断熱材」と称す)を配置して、外装ケースの四隅には、略三角形柱のシート状断熱材を配置する貯湯タンクが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、貯湯タンクを断熱材でもって被覆し、該断熱材の断熱不良や破損等による断熱異常判断を行う断熱異常判断手段を備えた貯湯式給湯器が知られている(例えば、特許文献2、3参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−226965号公報(第6−7頁、図1)
【特許文献2】特開2007−132599号公報(第3−4頁、図2)
【特許文献3】特開2007−155154号公報(第4−5頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記特許文献1〜3に開示された発明では、以下のような問題があった。
(あ)部品設置や配管接続、制御に使用される温度センサの取り付け、交換のし易さ等、作業性及びメンテナンス性については考慮されていない。そのため、基盤等のように熱に弱い部品への熱影響を防止する考慮や、高温配管からの熱漏洩による熱ロスの防止を合わせて考慮した断熱構造は存在しなかった。
【0005】
(い)貯湯タンクの形状が円筒状で、外装ケースの形状は角筒状の場合のみを対象としているため、これらの形状が異なる場合における貯湯タンクの断熱構造が考慮されていなかった。
【0006】
(う)断熱不良や破損等による真空断熱材の断熱性能低下を検知する断熱異常検知手段が、貯湯タンクに設置されたセンサの検知温度の降下量から断熱異常を判断するものの、貯湯タンクの温度降下量が通常0.4℃/H程度と非常に小さいため、温度センサによる誤差の影響を受けやすいことや、貯湯量に変化が生じた場合に誤検知する恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述のような問題を解決するためになされたものであり、熱に弱い部品への熱影響を防止すると共に、貯湯タンクおよび外装ケースの様々な形状に対応し、さらに、断熱異常を正確に判断することができる貯湯式給湯器を提供するものである。
【0008】
本発明に係る貯湯式給湯器は、湯水を貯留する貯湯タンクおよび該貯湯タンクを収納する外装ケースを具備する貯水ユニットと、前記貯湯タンクから受け入れた湯水を加熱して前記貯湯タンクに戻す熱源ユニットと、を有する貯湯式給湯器において、
前記貯湯タンクの外側面の周方向の一部を除く範囲に真空断熱材が設置され、
前記貯湯タンクの外側面の前記一部の範囲に一般断熱材が設置されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る貯湯式給湯器は以上の構成であるから、外装ケースの形状、部品配置や配管接続等の作業性、メンテナンス性を考慮して、断熱性能の高い真空断熱材を効果的に用いることで、温度センサの交換等が容易にできるため、メンテナンス性が良く、かつ、基盤等の熱に弱い部品への熱影響の防止、配管からの放熱等の熱漏洩による熱ロスを防ぎ、省エネ性を高めることが可能となる。
また、真空断熱材の表裏に温度センサを設置して表裏の温度差を検知することによって、真空断熱材の経年劣化による断熱性能の低下、あるいは、施工、運搬時に生じた何らかの異常を判断する異常検知手段を備えることができるから、真空断熱材の断熱性能の低下を判断することが可能となる。よって、無駄な消費電力を抑えることができ、省エネ性の高い貯湯式給湯器を提供することができる。
なお、本発明において、一般断熱材とは便宜上、真空断熱材以外の他の断熱材を称呼したものであって、以下の説明においては単に「断熱材」と称呼している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[実施の形態1:貯湯式給湯器]
《機器構成》
図1および図2は本発明の実施の形態に係る貯湯式給湯器を説明するものであって、図1は機器構成を模式的に示す構成図、図2は制御部を説明するブロック図である。
まず、本発明の実施の形態に係る貯湯式給湯器の構成を、図1および図2に基づいて説明する。図1において、かかる貯湯式給湯器は貯湯ユニットAと熱源ユニットBとを有している。
【0011】
(貯湯ユニットA)
貯湯ユニットAは、貯湯タンク1と、一般給湯側混合弁2a(以下「混合弁2a」と略称する場合がある)と、風呂側混合弁2b(以下「混合弁2b」と略称する場合がある)と、減圧弁3と、電磁弁4と、制御部10と、断熱材20と、真空断熱材21と、センサ類(これについては後述する)と、によって構成されている。上記構成品は金属製の外装ケース30内に収納されている。
貯湯タンク1はステンレスなどの金属もしくは樹脂によって形成されている。そして、貯湯タンク1の外側には断熱材20が配置され、内部に貯蔵する高温の湯(以下、高温水と称す)を長時間に渡って保温することができる。
なお、混合弁2aおよび 混合弁2b(以下、これらをまとめて「混合弁2」と略称する場合がある)は、貯湯タンク1と外装ケース30に囲まれる角部などのスペースに収められている(図1では弁類を模式的に大きく描いている)。
【0012】
(熱源ユニットB)
熱源ユニットBの内部には、市水温度の水(以下、水もしくは低温水と略す)を目標の貯湯温度にまで昇温加熱する熱交換器などの加熱器(図示せず)が内蔵されている。熱源ユニットBは、例えばHFCやCO2などを冷媒としたヒートポンプであり、例えば、圧縮機と、水と冷媒との間で熱交換する水熱交換器(凝縮器)、外気と冷媒との間で熱交換する空気熱交換器(蒸発器)、膨張弁(キャピラリーチューブ等)などから構成されている(何れも図示しない)。また、ヒートポンプに換えて、加熱源を電気ヒータなどに置き換えても良いし、加熱源を貯湯タンク1に内蔵する構成としてもよい。
【0013】
(貯湯式給湯システム)
風呂側混合弁2bから給湯された給湯水は浴槽5に貯留される。また、一般給湯側混合弁2aから給湯された温水は、混合栓6において水源から供給される市水と混合され、混合栓6にはシャワーや蛇口などが接続されたりする(何れも図示しない)。
なお、以下の説明において、給湯温度の設定や浴槽5への給湯の開始又は停止操作などが可能なリモコン7と、混合栓6と、浴槽5と、減圧弁3と、貯湯式給湯器(貯湯ユニットAと熱源ユニットBとから構成される)と、を有する構成を貯湯式給湯システムと称す。なお、リモコン7は、風呂側と台所用など複数の場所にそれぞれ設置してもよい。
【0014】
(貯湯ユニットAの配管構成)
続いて、貯湯ユニットAの配管構成について説明する。図1において、水源から供給された市水温度の水は、貯湯タンク1と、混合弁2と、混合栓6と、に3分岐される。
貯湯タンク1の下部では市水の導入管と、熱源ユニットBに貯湯タンク1の下部の水を送水するための管が接続されている。貯湯タンク1の下部から送水された水は、熱源ユニットBにおいて目標温度にまで加熱昇温され、熱源ユニットBから貯湯タンク1の上部へと繋がる配管を経て貯湯タンク1の上部に戻される。
貯湯タンク1と熱源ユニットBとの間の水の循環は、熱源ユニットBに内蔵されるポンプ(図示せず)を動力として行われる。なお、かかるポンプは熱源ユニットBに内蔵させないで、貯湯ユニットAに内蔵する構成としてもよい。
【0015】
貯湯タンク1の上部には出湯用の配管が設けられており、貯湯タンク1から出た高温水は2分岐して一般給湯側混合弁2aおよび風呂側混合弁2bへと分配される。一方、水源からの水は減圧弁3を経て2分岐して一般給湯側混合弁2aおよび風呂側混合弁2bへと分配される。
そして、一般給湯側混合弁2aおよび風呂側混合弁2bのそれぞれにおいて、湯と水とが混合されて所定の温度の温水となってそれぞれ給湯される。
風呂5と風呂側混合弁2bとを接続する配管には、電磁弁4が設置され、電磁弁4の作動によって浴槽5に風呂側混合弁2bを経由して給湯された温水が溜まる構成となっている。また、一般給湯側では、一般給湯側混合弁2aから給湯された温水と、水源から減圧弁3を経由して送られた水と、が混合されて混合栓6から給湯される。
【0016】
なお、図1においては1台の混合栓6が記載されているが、本発明はこれに限定するものではなく、混合栓6を複数台にして、それぞれ異なる場所に配置し、それぞれに同一または異なる機器を接続してもよい。例えば、台所や洗面所に配置して蛇口を接続したり、浴室に配置してカラン兼シャワーなどを接続してもよい。
また、混合弁2は、サーボモータ等の駆動源により弁体を駆動する電動弁であり、弁体が動くことにより高温水と水の混合比率を調整して給湯温度を制御できる構造のものを示しているが、本発明はこれに限定するものではなく、弁体の型式やアクチュエータの型式は適宜選定することができ、さらには、利用者が直接調整するもの(手動)を排除するものではない。
【0017】
(流量センサ)
次に、貯湯ユニットAに設けられたセンサ類と制御部10について説明する。
混合弁2の出口側には、それぞれ給湯流量を計測する流量センサ11が設けられている。すなわち、流量センサ11とは、一般給湯側混合弁2aの出口側に設けられた流量センサ11aと、風呂側混合弁2bの出口に設けられた流量センサ11bとを指している。
【0018】
(温度センサ)
また、配管内を流れる湯水または水の温度を計測する温度センサ12が設けられている。すなわち、温度センサ12とは、混合弁2の水側入口に設けられた水温測定用の温度センサ12cと、混合弁2の高温水側入口に設けられた高温水温度測定用の温度センサ12dと、一般給湯側混合弁2aの出口側に設けられた給湯温度計測用の温度センサ12aと、風呂側混合弁2bの出口側に設けられた給湯温度計測用の温度センサ12bと、を指している。
なお、図1では温度センサ12dを貯湯タンク1の上部配管に設ける構成としているが、貯湯タンク1の上部の缶体表面や、貯湯タンク1の上部缶体内部の湯温を直接測定する構成としてもよい。
【0019】
さらに、貯湯タンク1には貯湯水温度測定用の温度センサ13が設けられている。すなわち、温度センサ13とは、貯湯タンク1の高さ方向に所定の間隔を設けて配置された、温度センサ13a、13b、13c、13d、13eを指している。したがって、温度センサ13の測定する温度情報から、貯湯タンク1に蓄熱される貯湯熱量を把握することが可能となる。
なお、温度センサ12、13の設置要領は限定するものではなく、配管や貯湯タンク1の表面にロー付け、溶接、ねじ固定、フォルダ固定するなどの方法や、水温を直接測るように配管や貯湯タンク1の内部に内没させるなど何れであってもよい。
【0020】
(制御部)
図2は、制御部10に接続されるセンサ類と、リモコン7と、熱源ユニットBと、弁類(混合弁2、電磁弁4)との接続構成を示すものである。図2において、制御部10と流量センサ11および温度センサ12、13などは通信ケーブルにより有線接続され、信号の授受が可能である。なお、制御部10と前記センサ類などの通信は、無線経由としてもよい。
制御部10は貯湯ユニットAに内蔵されており、温度センサ12、13や流量センサ11の測定を行う測定部(図示せず)と、測定結果に基づいて演算、比較、判定などの処理を行う演算部(図示せず)と、演算結果に基づき、弁類などを駆動するための駆動部(図示せず)と、熱源ユニットへの運転情報などを送受信する送受信部(図示せず)と、により構成されている。
また、演算部によって得られた結果や予め定められた関数などを計算する近似式やテーブルなどを記憶する記憶部(図示せず)も内蔵しており、必要に応じてこれらの記憶内容を参照、書き換えることが可能である。
【0021】
上記測定、演算、駆動などの処理はマイコンによって処理され、記憶部は半導体メモリーなどによって構成される。
また、制御部10には、マイコンによる処理結果をLEDやモニターなどにより表示したり、警告音などを出力したり、電話回線、LAN回線、無線などの通信手段(図示せず)により遠隔地へ情報を出力する出力部(図示せず)と、リモコンや基板上のスイッチ類からの操作入力、もしくは電話回線、LAN回線、無線などの通信手段(図示せず)からの通信データ情報を入力する入力部(図示せず)とがある。
なお、上記構成例では制御部10を貯湯ユニットAに内蔵する構成としたが、貯湯ユニットAにメイン制御部を設け、熱源ユニットB側に制御部の機能の一部を持つサブ制御部を設けて、メイン制御部とサブ制御部との間ではデータ通信を行うことにより連携処理を行う構成や、リモコン7にそれらの機能を持たせる構成や、これらの外部に制御部を別置する形態などとしてもよい。さらに、リモコン7は1台に限定するものではない。
【0022】
《貯湯動作説明》
加熱源である熱源ユニットBにおいて沸き上げられた高温水は、熱源ユニットBと貯湯ユニットAとを接続する配管を経て、貯湯タンク1の上部へ流入する。貯湯タンク1の下部からは流入体積分の低温水が排出されて、配管接続される熱源ユニットBへと戻る。
このように、熱源ユニットBと貯湯タンク1との間では循環回路が形成され、貯湯タンク1内の低温水は順次高温に沸き上げられて貯湯タンクに貯湯される。この貯湯運転は、通常電力料金が安価な夜間に行われるが、昼間に貯湯熱量が不足した場合には、昼間であっても運転を行うことで(追加沸き上げ)、湯切れを防ぐことが可能となる。
【0023】
《給湯動作説明》
貯湯タンク1の沸き上げ湯温はリモコン7によって予め設定することが可能であり、深夜時間帯に、熱源ユニットBのヒートポンプ熱源により貯湯タンク1の水温を目標沸き上げ湯温まで沸き上げる。また、一般給湯側の給湯温度と、浴槽の設定温度は、予めリモコン7によって設定することが可能である。なお、昼間時間帯に貯湯量が不足する場合には、熱源ユニットBを運転して貯湯タンク1に追加貯湯することも可能である。
【0024】
(一般給湯側への給湯動作)
混合栓6を開くと、制御部10は、一般給湯側の温度センサ12aによって検出される検出温度が、設定されている給湯温度となるように一般給湯側混合弁2aを制御し、貯湯タンク1の上部から給湯した高温水と水とを適温(例えば42℃)に混合する。
【0025】
(風呂給湯側への給湯動作)
浴槽5への給湯温度は、予めリモコン7で設定することが可能であり、浴槽5への給湯動作としては、湯張り動作、高温差し湯動作、足し湯動作、注水動作の4つのパターンがある。以下それぞれの給湯動作について説明する。
【0026】
(湯張り動作)
湯張りを行うためには、まずリモコン7で、湯張りスイッチを押す。これにより湯張りの指令が出力され、制御部10が、風呂側の温度センサ12bによって検出される検出温度が、設定されている浴槽湯温となるように風呂給湯側混合弁2bを制御するとともに、電磁弁4を開いて浴槽5への湯張りを開始する。
浴槽5への湯張り開始後、浴槽5側の流量センサ11bにより、積算流量をカウントし、リモコン7によってあらかじめ設定された浴槽湯量に到達するまで、湯張りを継続する。積算流量が設定された浴槽湯量に到達すると、電磁弁4を閉じて湯張りを完了する。
【0027】
(高温差し湯動作)
浴槽5内のお湯の温度が下がった時に高温差し湯を行うためには、リモコン7で、高温差し湯スイッチを押す。これにより高温差し湯の指令が出力され、制御部10が、浴槽側の温度センサ12bの検出温度が高温(例えば60℃)になるように風呂給湯側混合弁2bを制御するとともに、電磁弁4を開いて浴槽5への高温差し湯を開始する。
浴槽5への高温差し湯開始後、浴槽側の流量センサ11bにより、積算流量をカウントし、一定量(例えば20L)に到達すると、電磁弁9を閉じて高温差し湯を完了する。
【0028】
(足し湯動作)
浴槽5内のお湯の量が減った時に足し湯を行うためには、リモコン7で、足し湯スイッチを押す。これにより足し湯の指令が出力され、制御部10が、浴槽5側の温度センサ12bの検出温度がリモコン7で設定されている浴槽湯温となるように風呂給湯側混合弁2bを制御するとともに、電磁弁4を開いて浴槽5への足し湯を開始する。
浴槽5への足し湯開始後、浴槽側の流量センサ11bにより、積算流量をカウントし、一定量(例えば20L)に到達すると、電磁弁4を閉じて足し湯を完了する。
【0029】
(注水動作)
注水を行うためには、リモコン7で、注水スイッチを押す。これにより注水の指令が出力され、制御部10が、浴槽側の温度センサ12bの検出温度が市水温となるように風呂給湯側混合弁2bを制御するとともに、電磁弁4を開いて浴槽5への注水を開始する。
浴槽5への注水開始後、浴槽側の流量センサ11bにより、積算流量をカウントし、一定量(例えば20L)に到達すると、電磁弁4を閉じて注水を完了する。
【0030】
《断面矩形外装ケースにおける断熱材構成》
以下、本発明の特徴である断熱材について図に基づいて実施例を説明する。
図3〜図12は、本発明の実施の形態に係る貯湯式給湯器における貯湯ユニットAの断熱材構成を説明するものであって、図3は貯湯ユニットAの水平断面図、図4は貯湯ユニットAの垂直断面図、 図5は外装ケースが楕円形状である貯湯ユニットAの場合の配置例を示す水平断面図、 図6はその他の配置例を示す外側面図、 図7はその他の配置例を示す外側面図、 図8は貯湯ユニットAにおける配管用真空断熱材を示す断面図、 図9は貯湯ユニットAにおける配管用真空断熱材のその他の実施例を断面図、図10は貯湯ユニットAにおける配管用真空断熱材のその他の実施例を示す断面図、図11は貯湯ユニットAにおける曲がり配管用の配管用真空断熱材の実施例を示す断面図、図12は貯湯ユニットAにおける曲がり配管用の配管用真空断熱材の実施例を示す断面図、である。
なお、図1と同じ機器にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。また、図3〜図12において、それぞれ相当する機器には同じ符号を付しているため、形状が相異する機器であっても同じ符号が付されている。
【0031】
《実施例1》
図3および図4において、外装ケース30の内部には、ケース内壁に当接する断熱材20および真空断熱材21が配置され、貯湯タンク1は、断熱材20および真空断熱材21が包囲されて外装ケース30の略中央に位置している。なお、図3および図4では、混合弁2等の弁類の記載を省略している。
【0032】
真空断熱材21は水平断面がU字状の溝部材であって、水平断面が半円の円弧状部と、一対の矩形状の板状部とを有し、それぞれ略同じ厚さに形成されている。そして、前記円弧状部の内面が貯湯タンク1に当接し、前記板状部の外面が外装ケース30の内面に当接している。
一方、断熱材20とは、外装ケース30の隅部に配置され、真空断熱材21の円弧状部の外面に当接する水平断面が略三角形状である断熱材20aおよび断熱材20bと、真空断熱材21の板状部に挟まれて真空断熱材21の外面に当接する水平断面が略凹字状である断熱材20cと、を指している。
【0033】
すなわち、断熱材20a、20b、20cは、それぞれ貯湯タンク1および真空断熱材21の位置決め、保持の役目を果たす窪み部(曲面)が設けられている。また、真空断熱材21は、断熱材20a、20b、20cと、貯湯タンク1と、外装ケース30とに挟まれて位置決め固定される構成となっている。
【0034】
(断熱材)
貯湯タンク1の周囲に設ける断熱材20a、20b、20cは、柔軟性と圧縮性を有する公知の断熱材が使用可能であり、無機系、有機系のいずれの断熱材を使用することができ、また、異なる材料を組み合わせて使用することもできる。
【0035】
次に、断熱材の種類の一例を示す。断熱材には無機系と有機系がある。
無機系は、施工性に優れ、断熱性能がよいなどの観点から繊維体が適用しやすい。無機系の例としては、グラスウール、グラスファイバー、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、ロックウール等、公知の材料を使用することができる。
一方、有機系としては、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、メラミン等の軟質フォームが使用できる。有機系であって、耐燃性の低い熱可塑性樹脂材料としては、発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレンなどがあり、貯湯タンク1の表面温度が比較的低い箇所に使用することができる。また、有機系であって、耐燃性の高い熱可塑性樹脂材料としては、発泡ポリフェニレンエーテル、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレンテレフタレート、発泡α−メチルスチレン、発泡パラメチルスチレン、発泡架橋ポリエチレンなどの公知の材料があり、貯湯タンク1の表面温度が比較的高い箇所に使用することができる。
【0036】
(真空断熱材)
真空断熱材21は、グラスファイバー等の材質の芯材をフィルム等で覆いその中を真空にした状態で密閉したものである。図3では、真空断熱材21は貯湯タンク1の周囲を囲むように曲線状に形成されたものと直線の板状に形成されたものを両方使用し配置しているが、曲線状と直線状の形状を併せ持った1ピースの真空断熱材を水平断面で見て、U字形状に形成したものであってもよい。
【0037】
図4において、弁類(混合弁2、電磁弁4)や貯湯タンク1からの高温水排水管や市水の供給配管等を省略しているが、これらは貯湯タンク1の上部もしくは下部と外装ケース30に囲まれる角部などのスペースに収められる(図1では弁類や配管等を模式的に大きく描いている)。
【0038】
(真空断熱材の効果)
次に、真空断熱材21を図3及び図4のように設置した効果について説明する。
図1に示すように、貯湯ユニットAでは外装ケース30内に断熱材20、真空断熱材21以外に、一般給湯側混合弁2a、風呂側混合弁2b、減圧弁3、および電磁弁4の弁類と、流量センサ11、温度センサ12、および温度センサ13dのセンサ類と、制御部10と、を収めている。
そのため、外装ケース30内の断熱構造を考える上で、作業性もしくはメンテナンスの面でこれらの収納スペースや設置箇所を考慮する必要がある。
【0039】
例えば、図3に示す真空断熱材21の配置例では、貯湯タンク1の外側面のうち略半分に真空断熱材21が配置されない範囲ができる。かかる真空断熱材21が配置されない範囲にサービスパネルを設け、貯湯タンク1と真空断熱材21の板状部と外装ケース30とによって囲まれた水平断面が略凹字状の空間(図3中の破線で囲まれた位置)に、配管や弁類、制御基板、センサ類等を設置することにより、製造時に組立が容易になることやメンテナンスの面で部品交換がし易いといった利点がある。
また、断熱性能向上や制御基板のような熱に弱い部品への影響防止のために、貯湯タンク1の外側面と断熱材20cとの間に真空断熱材を設置してもよい(真空断熱材を断面C字状、すなわち、一部を切り欠いた円筒状にすることに相当する)。
【0040】
《実施例2:断面楕円形外装ケースにおける断熱材構成》
図5は貯湯ユニットAにおける外装ケース30が楕円形状の場合の真空断熱材の配置例である。
水平断面が円形の貯湯タンク1の外面と楕円形の外装ケース30の内面との間には、対向する一対の空間間隔が広い部分が存在するから、かかる広い部分に、配管や弁類、制御基板、センサ類等を設置することができる。
そして、貯湯タンク1と外装ケース30外側面との空間間隔が狭い部分にはそれぞれ真空断熱材21aおよび真空断熱材21bを、広い部分のうち、貯湯タンク1外側面と断熱材20fとの間に真空断熱材21cを設置、貯湯タンク1外側面と断熱材20gとの間には真空断熱材は設置されていない。
【0041】
(真空断熱材の効果)
図5のように配置することにより、貯湯タンク1の外面と外装ケース30内面との空間間隔が広い部分のうち、真空断熱材21cが設置されている方の空間においては、貯湯タンク1からの放熱の影響を受けにくいため、熱に弱い制御基板等の部品を配置することができる。一方、真空断熱材が設置されていない方の空間では、真空断熱材以外の断熱材20gのみが配置されるため、断熱材20gの一部分だけを切り欠いて取出部を設けること等が容易となり、温度センサ13を設置しやすいといった利点がある。
【0042】
《実施例3:異種断熱材の積層構成》
図6は貯湯ユニットAにおける貯湯タンク1の外側面図である。図6では、図1に記載の弁類や貯湯タンク1からの高温水排水管や市水の供給配管等を省略しているが、これらは貯湯タンク1の上部もしくは下部と外装ケース30とによって囲まれる角部などのスペースに収められる(図1では弁類や配管等を模式的に大きく描いている)。
【0043】
図6の真空断熱材21の配置例では、貯湯タンク1と貯湯タンク1の高さ方向に設置された温度センサ13とを備えた貯湯式給湯器において、貯湯タンク1の周囲が複数の種類の断熱材によって包囲されている。
すなわち、貯湯タンク1の高さ方向において温度センサ13の設置部以外の位置に、円環状の真空断熱材21が設置され、温度センサ13の設置部には切欠部22を具備する円環状(水平断面が略C字状)の真空断熱材以外の断熱材20が設置されている。そして、切欠部22が、温度センサ13のための取出部22を形成している。
つまり、断熱材は異なった種類が貯湯タンク高さ方向に交互に層状をなして配置された断熱構造を呈している(図6(a))。
【0044】
(積層断熱材の効果)
真空断熱材21は、断熱対象領域に真空密封層を当てることにより、高い断熱効果を得るものであるため、一部分だけ穴を開けたり、切り欠いたりすることは不可能である。そのため、温度センサ13の設置箇所に真空断熱材を配置すると、温度センサ13を交換する場合、真空断熱材を取り外して作業を行わなければならなく、非常にメンテナンス性に欠ける。そこで、上記のように取出部22を具備する断熱材20を配置することにより、温度センサ13を交換する必要が生じた場合に、真空断熱材21を取り外す必要が無く、交換作業を容易に実施することができる。
【0045】
また、真空断熱材21を複数に分割して配置しているので、何らかの原因で真空断熱材21に破損等が生じても、真空断熱材21の断熱性能が下がるのはその箇所のみで、他の部分の断熱性能は下がらないため、その影響を最小限度に留める事ができる。
そして、仮に、真空断熱材21の一部に破損が生じた場合に、破損が生じた部分のみについて修復すれば良く、復旧の手間が軽減される。
【0046】
《実施例4:フィルム層構成》
図7は図6と同様であって、貯湯ユニットAにおける貯湯タンク1の外側面図である。
図7に示す真空断熱材の配置例においては、貯湯タンク1の外壁面に芯材40を設け、その芯材40をフィルム層41で覆い、貯湯タンク1の外壁面とフィルム層41によって囲まれる部分を真空密封することにより、貯湯タンク1の外壁面を利用した真空断熱構造となっている。
【0047】
(フィルム層の効果)
貯湯タンク1の外壁面を真空断熱構造の一部として利用することにより、真空断熱構造を構築するのに必要な材料を削減することができ、真空断熱構造にかかるコストを抑制することができる。
【0048】
《実施例5:断面C型の配管用真空断熱材》
図8は、貯湯ユニットAにおける配管用真空断熱材の断面図である。
図8に示す真空断熱材の配置例では、真空断熱材21における配管格納部が上下とも配管形状に沿った半円形になっているため、配管50の周囲を覆うように真空断熱材21を配置することが可能となっている。
配管50に対して上下から包み込むように2ピースの真空断熱材21を配置、それぞれの両端部については図8に示すように、端部Aは切り込みが入って開閉可能とし、端部Bは貼付手段(ファスナー、ボタンもしくはテープ等)51で貼付する部分とすることによって、真空断熱材21の着脱を可能としている。
【0049】
なお、貼付手段51は本実施の形態において例に挙げた方法に限定されず、同様の役割を果たすものであれば他の方法でも良い。
また、本発明における配管用の真空断熱材21は、貯湯タンク1の出口の給湯配管等、高温の湯が流れる配管に設けると、配管からの放熱を効果的に防ぐことが可能となり、結果的に省エネ効果を得ることができる。
【0050】
《実施例6:ジャバラ状の配管用真空断熱材》
図9および図10は配管用真空断熱材の一実施例を示すものであって、図9は水平断面図、図10は垂直断面図である。
図9および図10において、真空断熱層の有無が交互に成されていて、部分的に真空断熱材の構造を持ったジャバラ状の形状を成している。
例えば、図8に示すように配管口形状に沿って真空断熱材21を配置する場合、真空断熱材21を断面半円型に曲げなければならないが、本発明の配管用断熱材においては、ジャバラ状構造が屈曲することにより曲部を形成することが可能なため、容易に配管50の形状に沿って真空断熱材21を配置することが可能となる。なお、真空断熱材21のジャバラ状構造は配管口の周方向のみに限定されず、配管の長さ方向に形成しても良い(図10参照)。
【0051】
《実施例7:曲がり配管用の配管用真空断熱材》
図11および図12は曲がり配管用の配管用真空断熱材の一実施例であって、図11は垂直断面図、図12は垂直断面図である。
図11および図12において、真空断熱材21は、配管50の曲げ(R)形状に合わせて、全体が曲率Rを持った形状を成している。配設方法、貼付手段としては図8と同様である。このように曲率Rを持った真空断熱材21とすることにより、図12に示すような実際の配管接続状態(曲げの状態)に合わせて、真空断熱材21を配置することが可能となり、配管からの放熱を防ぐことができる。
なお、前記のような配管曲げ部の断熱に関しては、図10に示すような配管長さ方向にジャバラ状構造を持った真空断熱材を使用しても良い。
【0052】
《実施例8:断熱異常検知手段》
図13は、本発明の実施の形態に係る貯湯式給湯器に搭載された貯湯タンクにおける真空断熱材の断熱性能低下を判断する断熱異常検知手段の構成概略図である。
図13において、真空断熱材21の表裏両面にそれぞれ温度センサ14aおよび温度センサ14bを設け、それぞれが検知した検知温度Th1および検知温度Th2に基づいて断熱異常を検知する断熱異常検知手段60と、断熱異常検知手段60の検知結果を報知する通知手段61と、が設けられている。
すなわち、沸き上げ完了時に、検知温度Th1および検知温度Th2が検出した検知温度Th1および検知温度Th2について、両者の温度差「ΔT=Th1−Th2」がある所定の値より小さくなった場合に断熱異常検知手段60により、断熱異常と検知する構成となっている。
【0053】
例えば、外気温Ta=7℃の冬季条件下においては、Th1=80℃だとすると、Th2=15℃程度となり、ΔT=Th1−Th2=80−15=65[℃]となるため、断熱状態が正常であれば、温度差ΔTの値は大きい。
【0054】
しかし、何らかの原因で真空断熱材21の断熱性能が低下すると、貯湯タンク1内の湯水が保温されなくなり、真空断熱材21の内外面の温度差が少なくなり、上記温度差(ΔT)は次第に小さくなる。そして、温度差(ΔT)が所定の値より小さくなった場合に断熱異常と判断し、検知することができる。
【0055】
なお、断熱異常検知手段60は制御部10と共通としてもよいし、通知手段61はリモコン7に設置して表示するようにしてもよいし、サービスセンターなどに設置して通報するようにしてもよい。
【0056】
上記のように断熱異常検知手段60を備えることにより、断熱性能の低下、あるいは、施工、運搬時に生じた真空断熱材21の何らかの異常を検知することができる。
なお、貯湯タンク1の残湯量を検知するために、貯湯タンク1の表面温度を検知する温度センサを備えているときには、この温度センサの検知温度を併用してもよい。その場合、コストを抑えて異常を検知することができる。
【0057】
また、断熱異常検知手段60により検知した異常を、通知手段61により報知されることによって、その情報に基づいて、利用者あるいは管理者は真空断熱材21の断熱性能向上のために、断熱材交換等を実施できる。したがって、消費電力の増大、供給される湯水の温度低下等の不具合を早期に発見して、これを改善して使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上のように、本発明に係る貯湯式給湯器は、メンテナンス性および省エネ性に優れるから、各種貯湯式給湯器として広く利用することができる。また、熱源ユニットは温熱に代えて冷熱を供給するものに読み替えることができるから、本発明に係る貯湯式給湯器は、高温媒体あるいは低温媒体を貯蔵する各種タンク(液体タンクやスラリータンク)を有する各種機器や各種蓄熱システムとして広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態1に係る貯湯式給湯器の機器構成を模式的に示す構成図。
【図2】本発明の実施の形態1に係る貯湯式給湯器の制御部を説明するブロック図。
【図3】図1に示す貯湯式給湯器における貯湯ユニットAを説明する水平断面図。
【図4】図1に示す貯湯式給湯器における貯湯ユニットAを説明する垂直断面図。
【図5】図1に示す貯湯ユニットAの実施例2を示す水平断面図。
【図6】図1に示す貯湯ユニットAの実施例3を示す外側面図。
【図7】図1に示す貯湯ユニットAの実施例4を示す外側面図。
【図8】図1に示す貯湯ユニットAの実施例5(配管用真空断熱材)を示す断面図。
【図9】図1に示す貯湯ユニットAの実施例6(配管用真空断熱材)を示す断面図。
【図10】図1に示す貯湯ユニットAの実施例6(配管用真空断熱材)を示す断面図。
【図11】図1に示す貯湯ユニットAの実施例7(曲がり配管用)を示す断面図。
【図12】図1に示す貯湯ユニットAの実施例7(曲がり配管用)を示す断面図。
【図13】図1に示す貯湯式給湯器に搭載された断熱異常検知手段の構成概略図。
【符号の説明】
【0060】
1:貯湯タンク、2a:一般給湯側混合弁、2b:風呂給湯側混合弁、3:減圧弁、4:電磁弁、5:浴槽、6:混合栓、7:リモコン、10:制御部、11:流量センサ、12:温度センサ、13: 温度センサ、14:温度センサ、20:断熱材、21:真空断熱材、30:外装ケース、40:芯材、41:フィルム、50:配管、51:貼付手段、60:断熱異常検知手段、61:通知手段、A:貯湯ユニット、B:熱源ユニット。
【技術分野】
【0001】
本発明は貯湯式給湯器、特に、貯湯ユニットと熱源ユニットとを具備する貯湯式給湯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電気温水器やヒートポンプ式給湯器のような貯湯式給湯器に搭載される貯湯タンクは、内壁周囲に、熱伝導率の低い断熱材を巻くことによって熱漏洩を抑え、省エネルギー化が図られていた。
例えば、貯湯タンクを角筒状の外装ケースに収納して、貯湯タンクの外壁と外装ケースの内壁とが近接する範囲に、例えばプラスチックフィルムなどの袋に包み、その内部を真空排気して気密に密閉した断熱材(以下、「真空断熱材」と称す)を配置して、外装ケースの四隅には、略三角形柱のシート状断熱材を配置する貯湯タンクが知られている(例えば、特許文献1参照)。
また、貯湯タンクを断熱材でもって被覆し、該断熱材の断熱不良や破損等による断熱異常判断を行う断熱異常判断手段を備えた貯湯式給湯器が知られている(例えば、特許文献2、3参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−226965号公報(第6−7頁、図1)
【特許文献2】特開2007−132599号公報(第3−4頁、図2)
【特許文献3】特開2007−155154号公報(第4−5頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前記特許文献1〜3に開示された発明では、以下のような問題があった。
(あ)部品設置や配管接続、制御に使用される温度センサの取り付け、交換のし易さ等、作業性及びメンテナンス性については考慮されていない。そのため、基盤等のように熱に弱い部品への熱影響を防止する考慮や、高温配管からの熱漏洩による熱ロスの防止を合わせて考慮した断熱構造は存在しなかった。
【0005】
(い)貯湯タンクの形状が円筒状で、外装ケースの形状は角筒状の場合のみを対象としているため、これらの形状が異なる場合における貯湯タンクの断熱構造が考慮されていなかった。
【0006】
(う)断熱不良や破損等による真空断熱材の断熱性能低下を検知する断熱異常検知手段が、貯湯タンクに設置されたセンサの検知温度の降下量から断熱異常を判断するものの、貯湯タンクの温度降下量が通常0.4℃/H程度と非常に小さいため、温度センサによる誤差の影響を受けやすいことや、貯湯量に変化が生じた場合に誤検知する恐れがあった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述のような問題を解決するためになされたものであり、熱に弱い部品への熱影響を防止すると共に、貯湯タンクおよび外装ケースの様々な形状に対応し、さらに、断熱異常を正確に判断することができる貯湯式給湯器を提供するものである。
【0008】
本発明に係る貯湯式給湯器は、湯水を貯留する貯湯タンクおよび該貯湯タンクを収納する外装ケースを具備する貯水ユニットと、前記貯湯タンクから受け入れた湯水を加熱して前記貯湯タンクに戻す熱源ユニットと、を有する貯湯式給湯器において、
前記貯湯タンクの外側面の周方向の一部を除く範囲に真空断熱材が設置され、
前記貯湯タンクの外側面の前記一部の範囲に一般断熱材が設置されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る貯湯式給湯器は以上の構成であるから、外装ケースの形状、部品配置や配管接続等の作業性、メンテナンス性を考慮して、断熱性能の高い真空断熱材を効果的に用いることで、温度センサの交換等が容易にできるため、メンテナンス性が良く、かつ、基盤等の熱に弱い部品への熱影響の防止、配管からの放熱等の熱漏洩による熱ロスを防ぎ、省エネ性を高めることが可能となる。
また、真空断熱材の表裏に温度センサを設置して表裏の温度差を検知することによって、真空断熱材の経年劣化による断熱性能の低下、あるいは、施工、運搬時に生じた何らかの異常を判断する異常検知手段を備えることができるから、真空断熱材の断熱性能の低下を判断することが可能となる。よって、無駄な消費電力を抑えることができ、省エネ性の高い貯湯式給湯器を提供することができる。
なお、本発明において、一般断熱材とは便宜上、真空断熱材以外の他の断熱材を称呼したものであって、以下の説明においては単に「断熱材」と称呼している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
[実施の形態1:貯湯式給湯器]
《機器構成》
図1および図2は本発明の実施の形態に係る貯湯式給湯器を説明するものであって、図1は機器構成を模式的に示す構成図、図2は制御部を説明するブロック図である。
まず、本発明の実施の形態に係る貯湯式給湯器の構成を、図1および図2に基づいて説明する。図1において、かかる貯湯式給湯器は貯湯ユニットAと熱源ユニットBとを有している。
【0011】
(貯湯ユニットA)
貯湯ユニットAは、貯湯タンク1と、一般給湯側混合弁2a(以下「混合弁2a」と略称する場合がある)と、風呂側混合弁2b(以下「混合弁2b」と略称する場合がある)と、減圧弁3と、電磁弁4と、制御部10と、断熱材20と、真空断熱材21と、センサ類(これについては後述する)と、によって構成されている。上記構成品は金属製の外装ケース30内に収納されている。
貯湯タンク1はステンレスなどの金属もしくは樹脂によって形成されている。そして、貯湯タンク1の外側には断熱材20が配置され、内部に貯蔵する高温の湯(以下、高温水と称す)を長時間に渡って保温することができる。
なお、混合弁2aおよび 混合弁2b(以下、これらをまとめて「混合弁2」と略称する場合がある)は、貯湯タンク1と外装ケース30に囲まれる角部などのスペースに収められている(図1では弁類を模式的に大きく描いている)。
【0012】
(熱源ユニットB)
熱源ユニットBの内部には、市水温度の水(以下、水もしくは低温水と略す)を目標の貯湯温度にまで昇温加熱する熱交換器などの加熱器(図示せず)が内蔵されている。熱源ユニットBは、例えばHFCやCO2などを冷媒としたヒートポンプであり、例えば、圧縮機と、水と冷媒との間で熱交換する水熱交換器(凝縮器)、外気と冷媒との間で熱交換する空気熱交換器(蒸発器)、膨張弁(キャピラリーチューブ等)などから構成されている(何れも図示しない)。また、ヒートポンプに換えて、加熱源を電気ヒータなどに置き換えても良いし、加熱源を貯湯タンク1に内蔵する構成としてもよい。
【0013】
(貯湯式給湯システム)
風呂側混合弁2bから給湯された給湯水は浴槽5に貯留される。また、一般給湯側混合弁2aから給湯された温水は、混合栓6において水源から供給される市水と混合され、混合栓6にはシャワーや蛇口などが接続されたりする(何れも図示しない)。
なお、以下の説明において、給湯温度の設定や浴槽5への給湯の開始又は停止操作などが可能なリモコン7と、混合栓6と、浴槽5と、減圧弁3と、貯湯式給湯器(貯湯ユニットAと熱源ユニットBとから構成される)と、を有する構成を貯湯式給湯システムと称す。なお、リモコン7は、風呂側と台所用など複数の場所にそれぞれ設置してもよい。
【0014】
(貯湯ユニットAの配管構成)
続いて、貯湯ユニットAの配管構成について説明する。図1において、水源から供給された市水温度の水は、貯湯タンク1と、混合弁2と、混合栓6と、に3分岐される。
貯湯タンク1の下部では市水の導入管と、熱源ユニットBに貯湯タンク1の下部の水を送水するための管が接続されている。貯湯タンク1の下部から送水された水は、熱源ユニットBにおいて目標温度にまで加熱昇温され、熱源ユニットBから貯湯タンク1の上部へと繋がる配管を経て貯湯タンク1の上部に戻される。
貯湯タンク1と熱源ユニットBとの間の水の循環は、熱源ユニットBに内蔵されるポンプ(図示せず)を動力として行われる。なお、かかるポンプは熱源ユニットBに内蔵させないで、貯湯ユニットAに内蔵する構成としてもよい。
【0015】
貯湯タンク1の上部には出湯用の配管が設けられており、貯湯タンク1から出た高温水は2分岐して一般給湯側混合弁2aおよび風呂側混合弁2bへと分配される。一方、水源からの水は減圧弁3を経て2分岐して一般給湯側混合弁2aおよび風呂側混合弁2bへと分配される。
そして、一般給湯側混合弁2aおよび風呂側混合弁2bのそれぞれにおいて、湯と水とが混合されて所定の温度の温水となってそれぞれ給湯される。
風呂5と風呂側混合弁2bとを接続する配管には、電磁弁4が設置され、電磁弁4の作動によって浴槽5に風呂側混合弁2bを経由して給湯された温水が溜まる構成となっている。また、一般給湯側では、一般給湯側混合弁2aから給湯された温水と、水源から減圧弁3を経由して送られた水と、が混合されて混合栓6から給湯される。
【0016】
なお、図1においては1台の混合栓6が記載されているが、本発明はこれに限定するものではなく、混合栓6を複数台にして、それぞれ異なる場所に配置し、それぞれに同一または異なる機器を接続してもよい。例えば、台所や洗面所に配置して蛇口を接続したり、浴室に配置してカラン兼シャワーなどを接続してもよい。
また、混合弁2は、サーボモータ等の駆動源により弁体を駆動する電動弁であり、弁体が動くことにより高温水と水の混合比率を調整して給湯温度を制御できる構造のものを示しているが、本発明はこれに限定するものではなく、弁体の型式やアクチュエータの型式は適宜選定することができ、さらには、利用者が直接調整するもの(手動)を排除するものではない。
【0017】
(流量センサ)
次に、貯湯ユニットAに設けられたセンサ類と制御部10について説明する。
混合弁2の出口側には、それぞれ給湯流量を計測する流量センサ11が設けられている。すなわち、流量センサ11とは、一般給湯側混合弁2aの出口側に設けられた流量センサ11aと、風呂側混合弁2bの出口に設けられた流量センサ11bとを指している。
【0018】
(温度センサ)
また、配管内を流れる湯水または水の温度を計測する温度センサ12が設けられている。すなわち、温度センサ12とは、混合弁2の水側入口に設けられた水温測定用の温度センサ12cと、混合弁2の高温水側入口に設けられた高温水温度測定用の温度センサ12dと、一般給湯側混合弁2aの出口側に設けられた給湯温度計測用の温度センサ12aと、風呂側混合弁2bの出口側に設けられた給湯温度計測用の温度センサ12bと、を指している。
なお、図1では温度センサ12dを貯湯タンク1の上部配管に設ける構成としているが、貯湯タンク1の上部の缶体表面や、貯湯タンク1の上部缶体内部の湯温を直接測定する構成としてもよい。
【0019】
さらに、貯湯タンク1には貯湯水温度測定用の温度センサ13が設けられている。すなわち、温度センサ13とは、貯湯タンク1の高さ方向に所定の間隔を設けて配置された、温度センサ13a、13b、13c、13d、13eを指している。したがって、温度センサ13の測定する温度情報から、貯湯タンク1に蓄熱される貯湯熱量を把握することが可能となる。
なお、温度センサ12、13の設置要領は限定するものではなく、配管や貯湯タンク1の表面にロー付け、溶接、ねじ固定、フォルダ固定するなどの方法や、水温を直接測るように配管や貯湯タンク1の内部に内没させるなど何れであってもよい。
【0020】
(制御部)
図2は、制御部10に接続されるセンサ類と、リモコン7と、熱源ユニットBと、弁類(混合弁2、電磁弁4)との接続構成を示すものである。図2において、制御部10と流量センサ11および温度センサ12、13などは通信ケーブルにより有線接続され、信号の授受が可能である。なお、制御部10と前記センサ類などの通信は、無線経由としてもよい。
制御部10は貯湯ユニットAに内蔵されており、温度センサ12、13や流量センサ11の測定を行う測定部(図示せず)と、測定結果に基づいて演算、比較、判定などの処理を行う演算部(図示せず)と、演算結果に基づき、弁類などを駆動するための駆動部(図示せず)と、熱源ユニットへの運転情報などを送受信する送受信部(図示せず)と、により構成されている。
また、演算部によって得られた結果や予め定められた関数などを計算する近似式やテーブルなどを記憶する記憶部(図示せず)も内蔵しており、必要に応じてこれらの記憶内容を参照、書き換えることが可能である。
【0021】
上記測定、演算、駆動などの処理はマイコンによって処理され、記憶部は半導体メモリーなどによって構成される。
また、制御部10には、マイコンによる処理結果をLEDやモニターなどにより表示したり、警告音などを出力したり、電話回線、LAN回線、無線などの通信手段(図示せず)により遠隔地へ情報を出力する出力部(図示せず)と、リモコンや基板上のスイッチ類からの操作入力、もしくは電話回線、LAN回線、無線などの通信手段(図示せず)からの通信データ情報を入力する入力部(図示せず)とがある。
なお、上記構成例では制御部10を貯湯ユニットAに内蔵する構成としたが、貯湯ユニットAにメイン制御部を設け、熱源ユニットB側に制御部の機能の一部を持つサブ制御部を設けて、メイン制御部とサブ制御部との間ではデータ通信を行うことにより連携処理を行う構成や、リモコン7にそれらの機能を持たせる構成や、これらの外部に制御部を別置する形態などとしてもよい。さらに、リモコン7は1台に限定するものではない。
【0022】
《貯湯動作説明》
加熱源である熱源ユニットBにおいて沸き上げられた高温水は、熱源ユニットBと貯湯ユニットAとを接続する配管を経て、貯湯タンク1の上部へ流入する。貯湯タンク1の下部からは流入体積分の低温水が排出されて、配管接続される熱源ユニットBへと戻る。
このように、熱源ユニットBと貯湯タンク1との間では循環回路が形成され、貯湯タンク1内の低温水は順次高温に沸き上げられて貯湯タンクに貯湯される。この貯湯運転は、通常電力料金が安価な夜間に行われるが、昼間に貯湯熱量が不足した場合には、昼間であっても運転を行うことで(追加沸き上げ)、湯切れを防ぐことが可能となる。
【0023】
《給湯動作説明》
貯湯タンク1の沸き上げ湯温はリモコン7によって予め設定することが可能であり、深夜時間帯に、熱源ユニットBのヒートポンプ熱源により貯湯タンク1の水温を目標沸き上げ湯温まで沸き上げる。また、一般給湯側の給湯温度と、浴槽の設定温度は、予めリモコン7によって設定することが可能である。なお、昼間時間帯に貯湯量が不足する場合には、熱源ユニットBを運転して貯湯タンク1に追加貯湯することも可能である。
【0024】
(一般給湯側への給湯動作)
混合栓6を開くと、制御部10は、一般給湯側の温度センサ12aによって検出される検出温度が、設定されている給湯温度となるように一般給湯側混合弁2aを制御し、貯湯タンク1の上部から給湯した高温水と水とを適温(例えば42℃)に混合する。
【0025】
(風呂給湯側への給湯動作)
浴槽5への給湯温度は、予めリモコン7で設定することが可能であり、浴槽5への給湯動作としては、湯張り動作、高温差し湯動作、足し湯動作、注水動作の4つのパターンがある。以下それぞれの給湯動作について説明する。
【0026】
(湯張り動作)
湯張りを行うためには、まずリモコン7で、湯張りスイッチを押す。これにより湯張りの指令が出力され、制御部10が、風呂側の温度センサ12bによって検出される検出温度が、設定されている浴槽湯温となるように風呂給湯側混合弁2bを制御するとともに、電磁弁4を開いて浴槽5への湯張りを開始する。
浴槽5への湯張り開始後、浴槽5側の流量センサ11bにより、積算流量をカウントし、リモコン7によってあらかじめ設定された浴槽湯量に到達するまで、湯張りを継続する。積算流量が設定された浴槽湯量に到達すると、電磁弁4を閉じて湯張りを完了する。
【0027】
(高温差し湯動作)
浴槽5内のお湯の温度が下がった時に高温差し湯を行うためには、リモコン7で、高温差し湯スイッチを押す。これにより高温差し湯の指令が出力され、制御部10が、浴槽側の温度センサ12bの検出温度が高温(例えば60℃)になるように風呂給湯側混合弁2bを制御するとともに、電磁弁4を開いて浴槽5への高温差し湯を開始する。
浴槽5への高温差し湯開始後、浴槽側の流量センサ11bにより、積算流量をカウントし、一定量(例えば20L)に到達すると、電磁弁9を閉じて高温差し湯を完了する。
【0028】
(足し湯動作)
浴槽5内のお湯の量が減った時に足し湯を行うためには、リモコン7で、足し湯スイッチを押す。これにより足し湯の指令が出力され、制御部10が、浴槽5側の温度センサ12bの検出温度がリモコン7で設定されている浴槽湯温となるように風呂給湯側混合弁2bを制御するとともに、電磁弁4を開いて浴槽5への足し湯を開始する。
浴槽5への足し湯開始後、浴槽側の流量センサ11bにより、積算流量をカウントし、一定量(例えば20L)に到達すると、電磁弁4を閉じて足し湯を完了する。
【0029】
(注水動作)
注水を行うためには、リモコン7で、注水スイッチを押す。これにより注水の指令が出力され、制御部10が、浴槽側の温度センサ12bの検出温度が市水温となるように風呂給湯側混合弁2bを制御するとともに、電磁弁4を開いて浴槽5への注水を開始する。
浴槽5への注水開始後、浴槽側の流量センサ11bにより、積算流量をカウントし、一定量(例えば20L)に到達すると、電磁弁4を閉じて注水を完了する。
【0030】
《断面矩形外装ケースにおける断熱材構成》
以下、本発明の特徴である断熱材について図に基づいて実施例を説明する。
図3〜図12は、本発明の実施の形態に係る貯湯式給湯器における貯湯ユニットAの断熱材構成を説明するものであって、図3は貯湯ユニットAの水平断面図、図4は貯湯ユニットAの垂直断面図、 図5は外装ケースが楕円形状である貯湯ユニットAの場合の配置例を示す水平断面図、 図6はその他の配置例を示す外側面図、 図7はその他の配置例を示す外側面図、 図8は貯湯ユニットAにおける配管用真空断熱材を示す断面図、 図9は貯湯ユニットAにおける配管用真空断熱材のその他の実施例を断面図、図10は貯湯ユニットAにおける配管用真空断熱材のその他の実施例を示す断面図、図11は貯湯ユニットAにおける曲がり配管用の配管用真空断熱材の実施例を示す断面図、図12は貯湯ユニットAにおける曲がり配管用の配管用真空断熱材の実施例を示す断面図、である。
なお、図1と同じ機器にはこれと同じ符号を付し、一部の説明を省略する。また、図3〜図12において、それぞれ相当する機器には同じ符号を付しているため、形状が相異する機器であっても同じ符号が付されている。
【0031】
《実施例1》
図3および図4において、外装ケース30の内部には、ケース内壁に当接する断熱材20および真空断熱材21が配置され、貯湯タンク1は、断熱材20および真空断熱材21が包囲されて外装ケース30の略中央に位置している。なお、図3および図4では、混合弁2等の弁類の記載を省略している。
【0032】
真空断熱材21は水平断面がU字状の溝部材であって、水平断面が半円の円弧状部と、一対の矩形状の板状部とを有し、それぞれ略同じ厚さに形成されている。そして、前記円弧状部の内面が貯湯タンク1に当接し、前記板状部の外面が外装ケース30の内面に当接している。
一方、断熱材20とは、外装ケース30の隅部に配置され、真空断熱材21の円弧状部の外面に当接する水平断面が略三角形状である断熱材20aおよび断熱材20bと、真空断熱材21の板状部に挟まれて真空断熱材21の外面に当接する水平断面が略凹字状である断熱材20cと、を指している。
【0033】
すなわち、断熱材20a、20b、20cは、それぞれ貯湯タンク1および真空断熱材21の位置決め、保持の役目を果たす窪み部(曲面)が設けられている。また、真空断熱材21は、断熱材20a、20b、20cと、貯湯タンク1と、外装ケース30とに挟まれて位置決め固定される構成となっている。
【0034】
(断熱材)
貯湯タンク1の周囲に設ける断熱材20a、20b、20cは、柔軟性と圧縮性を有する公知の断熱材が使用可能であり、無機系、有機系のいずれの断熱材を使用することができ、また、異なる材料を組み合わせて使用することもできる。
【0035】
次に、断熱材の種類の一例を示す。断熱材には無機系と有機系がある。
無機系は、施工性に優れ、断熱性能がよいなどの観点から繊維体が適用しやすい。無機系の例としては、グラスウール、グラスファイバー、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維、シリカ繊維、ロックウール等、公知の材料を使用することができる。
一方、有機系としては、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、メラミン等の軟質フォームが使用できる。有機系であって、耐燃性の低い熱可塑性樹脂材料としては、発泡ポリスチレン、発泡ポリエチレンなどがあり、貯湯タンク1の表面温度が比較的低い箇所に使用することができる。また、有機系であって、耐燃性の高い熱可塑性樹脂材料としては、発泡ポリフェニレンエーテル、発泡ポリプロピレン、発泡ポリエチレンテレフタレート、発泡α−メチルスチレン、発泡パラメチルスチレン、発泡架橋ポリエチレンなどの公知の材料があり、貯湯タンク1の表面温度が比較的高い箇所に使用することができる。
【0036】
(真空断熱材)
真空断熱材21は、グラスファイバー等の材質の芯材をフィルム等で覆いその中を真空にした状態で密閉したものである。図3では、真空断熱材21は貯湯タンク1の周囲を囲むように曲線状に形成されたものと直線の板状に形成されたものを両方使用し配置しているが、曲線状と直線状の形状を併せ持った1ピースの真空断熱材を水平断面で見て、U字形状に形成したものであってもよい。
【0037】
図4において、弁類(混合弁2、電磁弁4)や貯湯タンク1からの高温水排水管や市水の供給配管等を省略しているが、これらは貯湯タンク1の上部もしくは下部と外装ケース30に囲まれる角部などのスペースに収められる(図1では弁類や配管等を模式的に大きく描いている)。
【0038】
(真空断熱材の効果)
次に、真空断熱材21を図3及び図4のように設置した効果について説明する。
図1に示すように、貯湯ユニットAでは外装ケース30内に断熱材20、真空断熱材21以外に、一般給湯側混合弁2a、風呂側混合弁2b、減圧弁3、および電磁弁4の弁類と、流量センサ11、温度センサ12、および温度センサ13dのセンサ類と、制御部10と、を収めている。
そのため、外装ケース30内の断熱構造を考える上で、作業性もしくはメンテナンスの面でこれらの収納スペースや設置箇所を考慮する必要がある。
【0039】
例えば、図3に示す真空断熱材21の配置例では、貯湯タンク1の外側面のうち略半分に真空断熱材21が配置されない範囲ができる。かかる真空断熱材21が配置されない範囲にサービスパネルを設け、貯湯タンク1と真空断熱材21の板状部と外装ケース30とによって囲まれた水平断面が略凹字状の空間(図3中の破線で囲まれた位置)に、配管や弁類、制御基板、センサ類等を設置することにより、製造時に組立が容易になることやメンテナンスの面で部品交換がし易いといった利点がある。
また、断熱性能向上や制御基板のような熱に弱い部品への影響防止のために、貯湯タンク1の外側面と断熱材20cとの間に真空断熱材を設置してもよい(真空断熱材を断面C字状、すなわち、一部を切り欠いた円筒状にすることに相当する)。
【0040】
《実施例2:断面楕円形外装ケースにおける断熱材構成》
図5は貯湯ユニットAにおける外装ケース30が楕円形状の場合の真空断熱材の配置例である。
水平断面が円形の貯湯タンク1の外面と楕円形の外装ケース30の内面との間には、対向する一対の空間間隔が広い部分が存在するから、かかる広い部分に、配管や弁類、制御基板、センサ類等を設置することができる。
そして、貯湯タンク1と外装ケース30外側面との空間間隔が狭い部分にはそれぞれ真空断熱材21aおよび真空断熱材21bを、広い部分のうち、貯湯タンク1外側面と断熱材20fとの間に真空断熱材21cを設置、貯湯タンク1外側面と断熱材20gとの間には真空断熱材は設置されていない。
【0041】
(真空断熱材の効果)
図5のように配置することにより、貯湯タンク1の外面と外装ケース30内面との空間間隔が広い部分のうち、真空断熱材21cが設置されている方の空間においては、貯湯タンク1からの放熱の影響を受けにくいため、熱に弱い制御基板等の部品を配置することができる。一方、真空断熱材が設置されていない方の空間では、真空断熱材以外の断熱材20gのみが配置されるため、断熱材20gの一部分だけを切り欠いて取出部を設けること等が容易となり、温度センサ13を設置しやすいといった利点がある。
【0042】
《実施例3:異種断熱材の積層構成》
図6は貯湯ユニットAにおける貯湯タンク1の外側面図である。図6では、図1に記載の弁類や貯湯タンク1からの高温水排水管や市水の供給配管等を省略しているが、これらは貯湯タンク1の上部もしくは下部と外装ケース30とによって囲まれる角部などのスペースに収められる(図1では弁類や配管等を模式的に大きく描いている)。
【0043】
図6の真空断熱材21の配置例では、貯湯タンク1と貯湯タンク1の高さ方向に設置された温度センサ13とを備えた貯湯式給湯器において、貯湯タンク1の周囲が複数の種類の断熱材によって包囲されている。
すなわち、貯湯タンク1の高さ方向において温度センサ13の設置部以外の位置に、円環状の真空断熱材21が設置され、温度センサ13の設置部には切欠部22を具備する円環状(水平断面が略C字状)の真空断熱材以外の断熱材20が設置されている。そして、切欠部22が、温度センサ13のための取出部22を形成している。
つまり、断熱材は異なった種類が貯湯タンク高さ方向に交互に層状をなして配置された断熱構造を呈している(図6(a))。
【0044】
(積層断熱材の効果)
真空断熱材21は、断熱対象領域に真空密封層を当てることにより、高い断熱効果を得るものであるため、一部分だけ穴を開けたり、切り欠いたりすることは不可能である。そのため、温度センサ13の設置箇所に真空断熱材を配置すると、温度センサ13を交換する場合、真空断熱材を取り外して作業を行わなければならなく、非常にメンテナンス性に欠ける。そこで、上記のように取出部22を具備する断熱材20を配置することにより、温度センサ13を交換する必要が生じた場合に、真空断熱材21を取り外す必要が無く、交換作業を容易に実施することができる。
【0045】
また、真空断熱材21を複数に分割して配置しているので、何らかの原因で真空断熱材21に破損等が生じても、真空断熱材21の断熱性能が下がるのはその箇所のみで、他の部分の断熱性能は下がらないため、その影響を最小限度に留める事ができる。
そして、仮に、真空断熱材21の一部に破損が生じた場合に、破損が生じた部分のみについて修復すれば良く、復旧の手間が軽減される。
【0046】
《実施例4:フィルム層構成》
図7は図6と同様であって、貯湯ユニットAにおける貯湯タンク1の外側面図である。
図7に示す真空断熱材の配置例においては、貯湯タンク1の外壁面に芯材40を設け、その芯材40をフィルム層41で覆い、貯湯タンク1の外壁面とフィルム層41によって囲まれる部分を真空密封することにより、貯湯タンク1の外壁面を利用した真空断熱構造となっている。
【0047】
(フィルム層の効果)
貯湯タンク1の外壁面を真空断熱構造の一部として利用することにより、真空断熱構造を構築するのに必要な材料を削減することができ、真空断熱構造にかかるコストを抑制することができる。
【0048】
《実施例5:断面C型の配管用真空断熱材》
図8は、貯湯ユニットAにおける配管用真空断熱材の断面図である。
図8に示す真空断熱材の配置例では、真空断熱材21における配管格納部が上下とも配管形状に沿った半円形になっているため、配管50の周囲を覆うように真空断熱材21を配置することが可能となっている。
配管50に対して上下から包み込むように2ピースの真空断熱材21を配置、それぞれの両端部については図8に示すように、端部Aは切り込みが入って開閉可能とし、端部Bは貼付手段(ファスナー、ボタンもしくはテープ等)51で貼付する部分とすることによって、真空断熱材21の着脱を可能としている。
【0049】
なお、貼付手段51は本実施の形態において例に挙げた方法に限定されず、同様の役割を果たすものであれば他の方法でも良い。
また、本発明における配管用の真空断熱材21は、貯湯タンク1の出口の給湯配管等、高温の湯が流れる配管に設けると、配管からの放熱を効果的に防ぐことが可能となり、結果的に省エネ効果を得ることができる。
【0050】
《実施例6:ジャバラ状の配管用真空断熱材》
図9および図10は配管用真空断熱材の一実施例を示すものであって、図9は水平断面図、図10は垂直断面図である。
図9および図10において、真空断熱層の有無が交互に成されていて、部分的に真空断熱材の構造を持ったジャバラ状の形状を成している。
例えば、図8に示すように配管口形状に沿って真空断熱材21を配置する場合、真空断熱材21を断面半円型に曲げなければならないが、本発明の配管用断熱材においては、ジャバラ状構造が屈曲することにより曲部を形成することが可能なため、容易に配管50の形状に沿って真空断熱材21を配置することが可能となる。なお、真空断熱材21のジャバラ状構造は配管口の周方向のみに限定されず、配管の長さ方向に形成しても良い(図10参照)。
【0051】
《実施例7:曲がり配管用の配管用真空断熱材》
図11および図12は曲がり配管用の配管用真空断熱材の一実施例であって、図11は垂直断面図、図12は垂直断面図である。
図11および図12において、真空断熱材21は、配管50の曲げ(R)形状に合わせて、全体が曲率Rを持った形状を成している。配設方法、貼付手段としては図8と同様である。このように曲率Rを持った真空断熱材21とすることにより、図12に示すような実際の配管接続状態(曲げの状態)に合わせて、真空断熱材21を配置することが可能となり、配管からの放熱を防ぐことができる。
なお、前記のような配管曲げ部の断熱に関しては、図10に示すような配管長さ方向にジャバラ状構造を持った真空断熱材を使用しても良い。
【0052】
《実施例8:断熱異常検知手段》
図13は、本発明の実施の形態に係る貯湯式給湯器に搭載された貯湯タンクにおける真空断熱材の断熱性能低下を判断する断熱異常検知手段の構成概略図である。
図13において、真空断熱材21の表裏両面にそれぞれ温度センサ14aおよび温度センサ14bを設け、それぞれが検知した検知温度Th1および検知温度Th2に基づいて断熱異常を検知する断熱異常検知手段60と、断熱異常検知手段60の検知結果を報知する通知手段61と、が設けられている。
すなわち、沸き上げ完了時に、検知温度Th1および検知温度Th2が検出した検知温度Th1および検知温度Th2について、両者の温度差「ΔT=Th1−Th2」がある所定の値より小さくなった場合に断熱異常検知手段60により、断熱異常と検知する構成となっている。
【0053】
例えば、外気温Ta=7℃の冬季条件下においては、Th1=80℃だとすると、Th2=15℃程度となり、ΔT=Th1−Th2=80−15=65[℃]となるため、断熱状態が正常であれば、温度差ΔTの値は大きい。
【0054】
しかし、何らかの原因で真空断熱材21の断熱性能が低下すると、貯湯タンク1内の湯水が保温されなくなり、真空断熱材21の内外面の温度差が少なくなり、上記温度差(ΔT)は次第に小さくなる。そして、温度差(ΔT)が所定の値より小さくなった場合に断熱異常と判断し、検知することができる。
【0055】
なお、断熱異常検知手段60は制御部10と共通としてもよいし、通知手段61はリモコン7に設置して表示するようにしてもよいし、サービスセンターなどに設置して通報するようにしてもよい。
【0056】
上記のように断熱異常検知手段60を備えることにより、断熱性能の低下、あるいは、施工、運搬時に生じた真空断熱材21の何らかの異常を検知することができる。
なお、貯湯タンク1の残湯量を検知するために、貯湯タンク1の表面温度を検知する温度センサを備えているときには、この温度センサの検知温度を併用してもよい。その場合、コストを抑えて異常を検知することができる。
【0057】
また、断熱異常検知手段60により検知した異常を、通知手段61により報知されることによって、その情報に基づいて、利用者あるいは管理者は真空断熱材21の断熱性能向上のために、断熱材交換等を実施できる。したがって、消費電力の増大、供給される湯水の温度低下等の不具合を早期に発見して、これを改善して使用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上のように、本発明に係る貯湯式給湯器は、メンテナンス性および省エネ性に優れるから、各種貯湯式給湯器として広く利用することができる。また、熱源ユニットは温熱に代えて冷熱を供給するものに読み替えることができるから、本発明に係る貯湯式給湯器は、高温媒体あるいは低温媒体を貯蔵する各種タンク(液体タンクやスラリータンク)を有する各種機器や各種蓄熱システムとして広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態1に係る貯湯式給湯器の機器構成を模式的に示す構成図。
【図2】本発明の実施の形態1に係る貯湯式給湯器の制御部を説明するブロック図。
【図3】図1に示す貯湯式給湯器における貯湯ユニットAを説明する水平断面図。
【図4】図1に示す貯湯式給湯器における貯湯ユニットAを説明する垂直断面図。
【図5】図1に示す貯湯ユニットAの実施例2を示す水平断面図。
【図6】図1に示す貯湯ユニットAの実施例3を示す外側面図。
【図7】図1に示す貯湯ユニットAの実施例4を示す外側面図。
【図8】図1に示す貯湯ユニットAの実施例5(配管用真空断熱材)を示す断面図。
【図9】図1に示す貯湯ユニットAの実施例6(配管用真空断熱材)を示す断面図。
【図10】図1に示す貯湯ユニットAの実施例6(配管用真空断熱材)を示す断面図。
【図11】図1に示す貯湯ユニットAの実施例7(曲がり配管用)を示す断面図。
【図12】図1に示す貯湯ユニットAの実施例7(曲がり配管用)を示す断面図。
【図13】図1に示す貯湯式給湯器に搭載された断熱異常検知手段の構成概略図。
【符号の説明】
【0060】
1:貯湯タンク、2a:一般給湯側混合弁、2b:風呂給湯側混合弁、3:減圧弁、4:電磁弁、5:浴槽、6:混合栓、7:リモコン、10:制御部、11:流量センサ、12:温度センサ、13: 温度センサ、14:温度センサ、20:断熱材、21:真空断熱材、30:外装ケース、40:芯材、41:フィルム、50:配管、51:貼付手段、60:断熱異常検知手段、61:通知手段、A:貯湯ユニット、B:熱源ユニット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯留する貯湯タンクおよび該貯湯タンクを収納する外装ケースを具備する貯水ユニットと、前記貯湯タンクから受け入れた湯水を加熱して前記貯湯タンクに戻す熱源ユニットと、を有する貯湯式給湯器において、
前記貯湯タンクの外側面の周方向の一部を除く範囲に真空断熱材が設置され、
前記貯湯タンクの外側面の前記一部の範囲に一般断熱材が設置されてなることを特徴とする貯湯式給湯器。
【請求項2】
前記貯湯タンクが円筒状で、且つ、前記外装ケースが角筒状であって、
前記真空断熱材は、前記貯湯タンクの外側面形状に合わせた断面円弧状の曲面部分と、前記外装ケースの内側面形状に合わせた平板弧状の一対の平板部分と、が水平断面略U字状に一体的に成形されてなることを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯器。
【請求項3】
前記貯湯タンクが円筒状で、且つ、前記外装ケースが角筒状であって、
前記真空断熱材は、それぞれ別個に形成された、前記貯湯タンクの外側面形状に合わせて断面円弧状に成形された曲面部分と、前記外装ケースの内側面形状に合わせて平板弧状に成形された一対の平板部分と、から水平断面略U字状に構成されてなることを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯器。
【請求項4】
前記貯湯タンクの両端面に真空断熱材が配置され、
該真空断熱材は平面視において略U字状であって、前記水平断面略U字状の真空断熱材に挟まれてなることを特徴とする請求項2または3記載の貯湯式給湯器。
【請求項5】
前記貯湯タンクが円筒状で、且つ、前記外装ケースが水平断面楕円の筒状であって、
前記貯湯タンクの外側面の一部であって、前記外装ケースの水平断面楕円の焦点を結ぶ線を含む一方の範囲に一般断熱材が設置され、
前記貯湯タンクの外側面の前記一般断熱材が設置された範囲を除く範囲に、真空断熱材が設置されてなることを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯器。
【請求項6】
前記真空断熱材は、それぞれ別個に形成された、前記貯湯タンクの外側面形状に合わせて断面円弧状に成形された複数の曲面部分から水平断面略C字状に構成されてなることを特徴とする請求項5記載の貯湯式給湯器。
【請求項7】
前記真空断熱材は、前記貯湯タンクの外側面形状に合わせて、水平断面略C字状に一体成形されてなることを特徴とする請求項5記載の貯湯式給湯器。
【請求項8】
湯水を貯留する貯湯タンクおよび該貯湯タンクを収納する外装ケースを具備する貯水ユニットと、前記貯湯タンクから受け入れた湯水を加熱して前記貯湯タンクに戻す熱源ユニットと、を有する貯湯式給湯器において、
前記貯湯タンクの外側面に円環状の真空断熱材および円環状の一般断熱材が設置され、
前記一般断熱材が設置された貯湯タンクの外側面に、温度センサが設置されてなることを特徴とする貯湯式給湯器。
【請求項9】
前記真空断熱材および前記一般断熱材がそれぞれ複数であって、前記貯湯タンクの高さ方向で交互に設置されてなることを特徴とする請求項8記載の貯湯式給湯器。
【請求項10】
前記一般断熱材が、シート状、バルク状、または形体の何れかの形状を有することを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の貯湯式給湯器。
【請求項11】
湯水を貯留する貯湯タンクおよび該貯湯タンクを収納する外装ケースを具備する貯水ユニットと、前記貯湯タンクから受け入れた湯水を加熱して前記貯湯タンクに戻す熱源ユニットと、を有する貯湯式給湯器において、
前記貯湯タンクの外側面に芯材部を設け、
該芯材部の外側にフィルム層を備え、
該フィルム層と前記貯湯タンク外側面の間を真空にしたことを特徴とする貯湯式給湯器。
【請求項12】
前記熱源ユニットが、冷媒を圧縮する圧縮機と、該圧縮機によって圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器と、該凝縮器によって凝縮された冷媒を断熱膨張する膨張弁と、該膨張弁において断熱膨張した冷媒を蒸発させる蒸発器と、前記圧縮機、前記凝縮器、前記膨張弁、前記蒸発器および前記圧縮機を接続した配管と、を有することを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の貯湯式給湯器。
【請求項13】
前記熱源ユニットは、冷媒として二酸化炭素を用い、前記圧縮機によって高圧側では臨界圧を越える状態で運転する冷媒回路を備えたことを特徴とする請求項12に記載の貯湯式給湯器。
【請求項14】
前記貯湯タンクに接続され、高温の湯水を輸送する接続配管の周囲を覆うように配管用真空断熱材が配置され、該配管用真空断熱材の端部は貼付手段により貼付されてなることを特徴とする請求項1乃至13の何れかに記載の貯湯式給湯器。
【請求項15】
前記配管用真空断熱材がジャバラ状の構造を備え、該ジャバラ状構造が屈曲することにより曲部形状を持った真空断熱材を形成することを特徴とする請求項14に記載の貯湯式給湯器。
【請求項16】
前記配管用真空断熱材の前記ジャバラ状構造は、真空断熱層の有無が交互に成されていて、部分的に真空断熱材の構造を形成することを特徴とする請求項15に記載の貯湯式給湯器。
【請求項17】
前記配管用真空断熱材は、前記接続配管の曲げ形状に合わせた曲率を備えたことを特徴とする請求項14に記載の貯湯式給湯器。
【請求項18】
前記貯湯タンクに配置された真空断熱材の表裏両面に、それぞれ温度センサが設置されてなることを特徴とする請求項1乃至17の何れかに記載の貯湯式給湯器。
【請求項19】
前記真空断熱材の断熱性能低下を判断する断熱異常検知手段を備えてなることを特徴とする請求項18記載の貯湯式給湯器。
【請求項20】
前記断熱異常検知手段は、前記貯湯タンクの湯水を所定の温度に沸き上げ完了した時において、前記真空断熱材の表面に設置された温度センサの検出する温度と、前記真空断熱材の裏面に設置された温度センサの検出する温度との差が、所定の許容範囲外になった場合に異常と検知することを特徴とする請求項19記載の貯湯式給湯器。
【請求項21】
前記断熱異常検知手段が前記真空断熱材の異常を検知したことを報知する通知手段を備えたことを特徴とする請求項19または20記載の貯湯式給湯器。
【請求項22】
前記接続配管に配置された配管用真空断熱材の表裏両面に、それぞれ配管用温度センサが設置されてなることを特徴とする請求項14乃至17の何れかに記載の貯湯式給湯器。
【請求項23】
前記配管用真空断熱材の断熱性能低下を判断する断熱異常検知手段を備えてなることを特徴とする請求項22記載の貯湯式給湯器。
【請求項24】
前記断熱異常検知手段は、前記貯湯タンクの湯水を所定の温度に沸き上げ完了した時において、前記配管用真空断熱材の表面に設置された温度センサの検出する温度と、前記配管用真空断熱材の裏面に設置された温度センサの検出する温度との差が、所定の許容範囲外になった場合に異常と検知することを特徴とする請求項23に記載の貯湯式給湯器。
【請求項25】
前記断熱異常検知手段が前記真空断熱材の異常を検知したことを報知する通知手段を備えたことを特徴とする請求項13または24記載の貯湯式給湯器。
【請求項1】
湯水を貯留する貯湯タンクおよび該貯湯タンクを収納する外装ケースを具備する貯水ユニットと、前記貯湯タンクから受け入れた湯水を加熱して前記貯湯タンクに戻す熱源ユニットと、を有する貯湯式給湯器において、
前記貯湯タンクの外側面の周方向の一部を除く範囲に真空断熱材が設置され、
前記貯湯タンクの外側面の前記一部の範囲に一般断熱材が設置されてなることを特徴とする貯湯式給湯器。
【請求項2】
前記貯湯タンクが円筒状で、且つ、前記外装ケースが角筒状であって、
前記真空断熱材は、前記貯湯タンクの外側面形状に合わせた断面円弧状の曲面部分と、前記外装ケースの内側面形状に合わせた平板弧状の一対の平板部分と、が水平断面略U字状に一体的に成形されてなることを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯器。
【請求項3】
前記貯湯タンクが円筒状で、且つ、前記外装ケースが角筒状であって、
前記真空断熱材は、それぞれ別個に形成された、前記貯湯タンクの外側面形状に合わせて断面円弧状に成形された曲面部分と、前記外装ケースの内側面形状に合わせて平板弧状に成形された一対の平板部分と、から水平断面略U字状に構成されてなることを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯器。
【請求項4】
前記貯湯タンクの両端面に真空断熱材が配置され、
該真空断熱材は平面視において略U字状であって、前記水平断面略U字状の真空断熱材に挟まれてなることを特徴とする請求項2または3記載の貯湯式給湯器。
【請求項5】
前記貯湯タンクが円筒状で、且つ、前記外装ケースが水平断面楕円の筒状であって、
前記貯湯タンクの外側面の一部であって、前記外装ケースの水平断面楕円の焦点を結ぶ線を含む一方の範囲に一般断熱材が設置され、
前記貯湯タンクの外側面の前記一般断熱材が設置された範囲を除く範囲に、真空断熱材が設置されてなることを特徴とする請求項1記載の貯湯式給湯器。
【請求項6】
前記真空断熱材は、それぞれ別個に形成された、前記貯湯タンクの外側面形状に合わせて断面円弧状に成形された複数の曲面部分から水平断面略C字状に構成されてなることを特徴とする請求項5記載の貯湯式給湯器。
【請求項7】
前記真空断熱材は、前記貯湯タンクの外側面形状に合わせて、水平断面略C字状に一体成形されてなることを特徴とする請求項5記載の貯湯式給湯器。
【請求項8】
湯水を貯留する貯湯タンクおよび該貯湯タンクを収納する外装ケースを具備する貯水ユニットと、前記貯湯タンクから受け入れた湯水を加熱して前記貯湯タンクに戻す熱源ユニットと、を有する貯湯式給湯器において、
前記貯湯タンクの外側面に円環状の真空断熱材および円環状の一般断熱材が設置され、
前記一般断熱材が設置された貯湯タンクの外側面に、温度センサが設置されてなることを特徴とする貯湯式給湯器。
【請求項9】
前記真空断熱材および前記一般断熱材がそれぞれ複数であって、前記貯湯タンクの高さ方向で交互に設置されてなることを特徴とする請求項8記載の貯湯式給湯器。
【請求項10】
前記一般断熱材が、シート状、バルク状、または形体の何れかの形状を有することを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の貯湯式給湯器。
【請求項11】
湯水を貯留する貯湯タンクおよび該貯湯タンクを収納する外装ケースを具備する貯水ユニットと、前記貯湯タンクから受け入れた湯水を加熱して前記貯湯タンクに戻す熱源ユニットと、を有する貯湯式給湯器において、
前記貯湯タンクの外側面に芯材部を設け、
該芯材部の外側にフィルム層を備え、
該フィルム層と前記貯湯タンク外側面の間を真空にしたことを特徴とする貯湯式給湯器。
【請求項12】
前記熱源ユニットが、冷媒を圧縮する圧縮機と、該圧縮機によって圧縮された冷媒を凝縮する凝縮器と、該凝縮器によって凝縮された冷媒を断熱膨張する膨張弁と、該膨張弁において断熱膨張した冷媒を蒸発させる蒸発器と、前記圧縮機、前記凝縮器、前記膨張弁、前記蒸発器および前記圧縮機を接続した配管と、を有することを特徴とする請求項1乃至11の何れかに記載の貯湯式給湯器。
【請求項13】
前記熱源ユニットは、冷媒として二酸化炭素を用い、前記圧縮機によって高圧側では臨界圧を越える状態で運転する冷媒回路を備えたことを特徴とする請求項12に記載の貯湯式給湯器。
【請求項14】
前記貯湯タンクに接続され、高温の湯水を輸送する接続配管の周囲を覆うように配管用真空断熱材が配置され、該配管用真空断熱材の端部は貼付手段により貼付されてなることを特徴とする請求項1乃至13の何れかに記載の貯湯式給湯器。
【請求項15】
前記配管用真空断熱材がジャバラ状の構造を備え、該ジャバラ状構造が屈曲することにより曲部形状を持った真空断熱材を形成することを特徴とする請求項14に記載の貯湯式給湯器。
【請求項16】
前記配管用真空断熱材の前記ジャバラ状構造は、真空断熱層の有無が交互に成されていて、部分的に真空断熱材の構造を形成することを特徴とする請求項15に記載の貯湯式給湯器。
【請求項17】
前記配管用真空断熱材は、前記接続配管の曲げ形状に合わせた曲率を備えたことを特徴とする請求項14に記載の貯湯式給湯器。
【請求項18】
前記貯湯タンクに配置された真空断熱材の表裏両面に、それぞれ温度センサが設置されてなることを特徴とする請求項1乃至17の何れかに記載の貯湯式給湯器。
【請求項19】
前記真空断熱材の断熱性能低下を判断する断熱異常検知手段を備えてなることを特徴とする請求項18記載の貯湯式給湯器。
【請求項20】
前記断熱異常検知手段は、前記貯湯タンクの湯水を所定の温度に沸き上げ完了した時において、前記真空断熱材の表面に設置された温度センサの検出する温度と、前記真空断熱材の裏面に設置された温度センサの検出する温度との差が、所定の許容範囲外になった場合に異常と検知することを特徴とする請求項19記載の貯湯式給湯器。
【請求項21】
前記断熱異常検知手段が前記真空断熱材の異常を検知したことを報知する通知手段を備えたことを特徴とする請求項19または20記載の貯湯式給湯器。
【請求項22】
前記接続配管に配置された配管用真空断熱材の表裏両面に、それぞれ配管用温度センサが設置されてなることを特徴とする請求項14乃至17の何れかに記載の貯湯式給湯器。
【請求項23】
前記配管用真空断熱材の断熱性能低下を判断する断熱異常検知手段を備えてなることを特徴とする請求項22記載の貯湯式給湯器。
【請求項24】
前記断熱異常検知手段は、前記貯湯タンクの湯水を所定の温度に沸き上げ完了した時において、前記配管用真空断熱材の表面に設置された温度センサの検出する温度と、前記配管用真空断熱材の裏面に設置された温度センサの検出する温度との差が、所定の許容範囲外になった場合に異常と検知することを特徴とする請求項23に記載の貯湯式給湯器。
【請求項25】
前記断熱異常検知手段が前記真空断熱材の異常を検知したことを報知する通知手段を備えたことを特徴とする請求項13または24記載の貯湯式給湯器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2009−250530(P2009−250530A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−99085(P2008−99085)
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月7日(2008.4.7)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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