説明

貯湯式給湯機

【課題】追い焚き運転を正常に行うことができる貯湯式給湯機を提供すること。
【解決手段】貯湯タンク3から高温水を出湯する出湯管32と、浴槽5と、浴槽5内の湯水と貯湯タンク3内の高温水とが熱交換する追い焚き熱交換器6と、出湯管32から分岐して形成され、追い焚き熱交換器6へ貯湯タンク3内の高温水を供給する追い焚き給湯管47と、貯湯タンク3内の高温水を追い焚き熱交換器6へ送る追い焚きポンプ7と、出湯管32から分岐して形成され、浴槽5へ高温水を供給する風呂給湯管34と、風呂給湯管34に配設された開閉弁83と、制御装置と、開閉弁83を開いて浴槽5へ湯張りを行うとともに、追い焚きポンプ7を駆動させることで、貯湯タンク3と追い焚き熱交換器6とを接続する回路のエア抜きを実施するエア抜き運転モードとを備えたことを特徴とする貯湯式給湯機。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽へ湯張りを行う機能が付いた貯湯式給湯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の貯湯式給湯機としては、電気ヒーターやヒートポンプユニットで加熱するものなど、さまざまなタイプのものがあるが、何れのタイプにおいても、浴槽に予め設定した温度と湯量の湯を自動的に注湯し、その後、浴槽の湯温を一定に保つ自動湯張り機能を有するものが多く普及している。
【0003】
また、近年は、合理化などを理由に、貯湯タンク内の湯水を追い焚き熱交換器に供給する追い焚き給湯管と、浴槽に湯水を供給する風呂給湯管とを、貯湯タンク内の高温水を最上部から供給する出湯管という共通の配管から分岐する構成が開示されている。
【0004】
しかしながら上記構成において、設置時などに、貯湯タンクと追い焚き熱交換器とを循環する高温側回路(追い焚き一次回路)の空気が抜け切れない場合、追い焚き運転を開始してしまうと、追い焚きポンプが空回りしてしまい、追い焚き運転ができないという課題があり、設置時の試運転時に電磁弁を開いて、浴槽へある一定時間湯張りを行うとともに、追い焚きポンプを駆動させてエア抜きをするようにしていた(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−242986号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の貯湯式給湯機において、設置時以外の点検修理後や断水などの理由により、貯湯タンクの上部に空気が入った状態のままで、追い焚きポンプが回転するとエアがみが発生し、追い焚きポンプは非自給式であるために、追い焚きポンプの中に水が流入することができず、追い焚き一次回路内を循環することができず追い焚きができないという課題を有していた。
【0007】
また、高温水が循環したとしても空気が抜け切れていなければ、循環流量が小さく熱交換能力が低くなってしまうという課題を有している。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、追い焚き運転を正常に行うことができる貯湯式給湯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記従来の課題を解決するために、本発明の貯湯式給湯機は、湯水を貯える貯湯タンクと、前記貯湯タンクから高温水を出湯する出湯管と、浴槽と、前記浴槽内の湯水と前記貯湯タンク内の高温水とが熱交換する追い焚き熱交換器と、前記出湯管から分岐して形成され、前記追い焚き熱交換器へ前記貯湯タンク内の高温水を供給する追い焚き給湯管と、前記貯湯タンク内の高温水を前記追い焚き熱交換器へ送る追い焚きポンプと、前記出湯管から分岐して形成され、前記浴槽へ高温水を供給する風呂給湯管と、前記風呂給湯管に配設された開閉弁と、制御装置と、前記開閉弁を開いて前記浴槽へ湯張りを行うとともに、前記追い焚きポンプを駆動させることで、前記貯湯タンクと前記追い焚き熱交換器とを接続
する回路のエア抜きを実施するエア抜き運転モードとを備えたことを特徴とするものである。
【0010】
これによって、追い焚き熱交換器側へ引っ張りやすい状態となり、追い焚き給湯管内に湯水を満たすことができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、追い焚き運転を正常に行うことができる貯湯式給湯機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1における貯湯式給湯機の構成図
【発明を実施するための形態】
【0013】
第1の発明の貯湯式給湯機は、湯水を貯える貯湯タンクと、前記貯湯タンクから高温水を出湯する出湯管と、浴槽と、前記浴槽内の湯水と前記貯湯タンク内の高温水とが熱交換する追い焚き熱交換器と、前記出湯管から分岐して形成され、前記追い焚き熱交換器へ前記貯湯タンク内の高温水を供給する追い焚き給湯管と、前記貯湯タンク内の高温水を前記追い焚き熱交換器へ送る追い焚きポンプと、前記出湯管から分岐して形成され、前記浴槽へ高温水を供給する風呂給湯管と、前記風呂給湯管に配設された開閉弁と、制御装置と、前記開閉弁を開いて前記浴槽へ湯張りを行うとともに、前記追い焚きポンプを駆動させることで、前記貯湯タンクと前記追い焚き熱交換器とを接続する回路のエア抜きを実施するエア抜き運転モードとを備えたことを特徴とする貯湯式給湯機である。
【0014】
これによって、追い焚き熱交換器側へ引っ張りやすい状態となり、追い焚き給湯管内に湯水を満たすことができる。
【0015】
第2の発明の貯湯式給湯機は、特に第1の発明において、リモコン装置を備え、前記リモコン装置に設けた操作ボタンを押すことで、前記エア抜き運転を開始することを特徴とするものである。
【0016】
これによって、断水によって貯湯タンク上部に空気が溜まるなど、機器自体で判断できない時に、リモコン装置に設けた独立操作ボタンにて、使用者の手動操作で追い焚きポンプのエア抜き駆動をさせることができる。
【0017】
第3の発明の貯湯式給湯機は、特に第2の発明において、前記操作ボタンを複数回押すことで、前記エア抜き運転を開始することを特徴とするものである。
【0018】
これによって、追い焚きポンプのエア抜き駆動を、リモコン装置の操作ボタンの多重押しで運転させることで、子供のいたずらなどで容易に駆動しないようにすることができる。
【0019】
第4の発明の貯湯式給湯機は、特に第1〜第3のいずれかの発明において、リモコン装置を備え、前記貯湯タンク内の温度を検出する複数個の残湯温度検出手段を備え、最上部の残湯温度検出手段で検出する温度が所定値以上の場合で、かつ、前記追い焚きポンプの駆動時には、その旨を前記リモコン装置にて報知することを特徴とするものである。
【0020】
このように、リモコン装置に表示し、高温注意喚起することで、浴槽へ高温水を供給してしまうことを防ぐことができる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
(実施の形態1)
図1は、本実施の形態における風呂追い焚き機能の付いた貯湯式給湯機の構成図である。
【0023】
図1において、本実施の形態の貯湯式給湯機は、タンクユニット1とヒートポンプユニット2を備えており、タンクユニット1内に配設している貯湯タンク3内に貯える高温水を、ヒートポンプユニット2にて生成している。なお、本実施の形態では加熱手段としてヒートポンプを用いているが、これに限定されることなく、例えば、タンク内に電気ヒーターを内設して加熱する形態であっても問題はない。また、実線矢印は流体の流れる方向を示している。
【0024】
次に、ヒートポンプユニット2の構成について説明する。ヒートポンプユニット2は、水冷媒熱交換器24、圧縮機25、蒸発器26、膨張弁27を冷媒配管により順次環状に接続して構成されており、冷媒には二酸化炭素を使用しているため、高圧側が臨界圧力を超えるので、水冷媒熱交換器24を流通する水に熱を奪われて温度が低下しても凝縮することがなく、水冷媒熱交換器で冷媒と水との間で温度差を形成しやすくなり、高温の湯が得られ、かつ熱交換効率を高くすることができる。
【0025】
また、比較的安価でかつ安定な二酸化炭素を冷媒に使用しているので、製品コストを抑えるとともに、信頼性を向上させることができる。また、二酸化炭素はオゾン破壊係数がゼロであり、地球温暖化係数も代替冷媒HFC−407Cの約1700分の1と非常に小さいため、地球環境に優しい製品を提供できる。
【0026】
また、ヒートポンプユニット2において、圧縮機25で冷媒が圧縮され、圧縮機25から吐出された冷媒が水冷媒熱交換器24で放熱し、膨張弁27で減圧されたあと、蒸発器26で空気から熱を吸収し、ガス状態で再び圧縮機25に吸入される。なお、圧縮機の能力制御および膨張弁27の開度制御は、圧縮機25の吐出側に設けたサーミスタ(図示せず)で検出される吐出冷媒の温度が予め設定された温度を維持するように制御される。
【0027】
また、貯湯タンク3内の湯水は、水ポンプ28が作動することで、水冷媒熱交換器24に流入し、冷媒と熱交換を行う。そして水冷媒熱交換器24の出口と貯湯タンク3との間には三方弁43が設けられており、水冷媒熱交換器24から出る温水を貯湯タンク3の上部へ戻すか、下部へ戻すかを切り替えている。
【0028】
その結果、水冷媒熱交換器24から出る温水の温度が所定温度以上の場合には、貯湯タンク3の上部側へ戻るように三方弁43が切り替わり、上部沸き上げ配管44を経て貯湯タンク3の上部へ戻り、積層状態で貯湯タンク3の上部に高温の湯が貯えられる。また、水冷媒熱交換器24から出る温水の温度が所定温度未満の場合には、貯湯タンク3の下部側へ戻るように三方弁43が切り替わり、下部沸き上げ配管45を経て貯湯タンク3の下部へ戻る。
【0029】
次に、タンクユニット1の構成について説明する。タンクユニット1には前述した通り貯湯タンク3を有しており、貯湯タンク3の底部には給水源から低温水を供給するための給水配管31が接続されており、常時給水圧がタンク内に掛かっている状態となっている。
【0030】
また、貯湯タンク3の上方部には貯湯タンク内の高温水を出湯するための出湯管32が
接続されており、給湯端末や浴槽へ高温水を供給可能に構成している。
【0031】
また、どれくらいの湯が残っているかを検出する複数の残湯温度検出手段である温度センサ46a〜eが貯湯タンク3の上下に設けられており、貯湯タンク3内の温水の温度を検出している。なお、本実施の形態では残湯温度検出手段は上下に5つ設けているが、残湯温度検出手段の個数はこれに限定されることなく、例えば、4つや3つであっても問題ない。
【0032】
次に、給湯端末へ湯が供給される給湯回路について説明する。
【0033】
本実施の形態における給湯回路は、給水配管31から分岐した端末給水配管33と、出湯管32とを電動式混合弁4にて接続し、所望の温度の湯が生成可能に構成されている。
【0034】
そして電動式混合弁4の下流側に設けた温度センサ41で検出される温度が、台所や浴室に設けられたリモコン装置で設定した温度となるように、電動式混合弁4の混合比が変更される。そして、所望の温度に混合された湯水は、給湯端末42へ供給される。
【0035】
次に、浴槽5への湯張り回路および追い焚き回路について説明する。
【0036】
本実施の形態では、浴槽5内の湯水と、貯湯タンク3内の高温水とが追い焚き熱交換器6にて熱交換し、浴槽内の湯水を追い焚きする追い焚き機能を有している。そのため、追い焚き熱交換器6の高温側回路(追い焚き一次回路)へは、出湯管32から分岐した追い焚き給湯管47を経て、貯湯タンク3内の高温水が供給されるように構成されており、熱交換した後の温水は追い焚き出湯管48を経て貯湯タンク3の下方部へ戻すように構成されている。
【0037】
このとき、追い焚き出湯管48は、逆止弁49を介して下部沸き上げ配管45へ接続され、貯湯タンク3の下方部へ戻すように構成されている。
【0038】
また、追い焚き熱交換器6の低温側回路(追い焚き二次回路)は、風呂ポンプ65が駆動することによって、浴槽5内の湯水が供給されるように構成されており、熱交換した後の浴槽水を、再度浴槽5へ戻すように構成されている。
【0039】
また、高温側回路(追い焚き一次回路)においては、追い焚きポンプ7および追い焚き熱交換器6の下流側に高温側出口温度検出手段である温度センサ71が配設されており、追い焚きポンプ7が駆動することによって貯湯タンク3内の高温水が、追い焚き熱交換器6へ搬送される。
【0040】
そして、浴槽5のアダプタ51とタンクユニット1とは、接続部60a〜60dにおいて、戻り接続管61および往き接続管62で接続される。また、戻り接続管61および往き接続管62の接続口から追い焚き熱交換器6までは、それぞれ戻り配管63および往き配管64で接続されており、浴槽5、戻り接続管61、戻り配管63、追い焚き熱交換器6、往き配管64、往き接続管62が順次接続されて追い焚き回路が構成されている。
【0041】
また、貯湯タンク3から浴槽5への湯水の供給を行う湯張り回路は、出湯管32から分岐した風呂給湯管34と、給水配管31から分岐した風呂給水配管35とを電動式混合弁8にて接続し、所望の温度の湯が生成可能に構成されている。
【0042】
そして電動式混合弁8の下流側に設けた温度センサ81で検出される温度が、台所や浴室に設けられたリモコン装置で設定した温度となるように、電動式混合弁8の混合比が変
更される。そして、所望の温度に混合された湯水は、浴槽5へ供給される。
【0043】
また、湯張り回路には、流量センサ82が設けられており、浴槽5へ供給される湯水の量が計測される。さらに、二方向の電磁弁83が設けられており、湯張り開始時には、電磁弁83が開くと同時に、浴槽5への湯水の供給が開始される。
【0044】
そして電磁弁83が開いた後には、戻り配管63および往き配管64の二方向から浴槽5へと湯張りが行われる。また、汚水の逆流を防ぐための逆止手段84が設けられている。
【0045】
また、戻り配管63には、浴槽5内の湯水を循環させるための搬送手段である風呂ポンプ65、浴槽5内の水位を検出する水位センサ66、浴槽5内の湯水の温度を検出する浴槽温度検出手段である温度センサ67が設けられており、風呂ポンプ65が駆動することにより、浴槽5内の湯水が戻り配管63に吸い込まれ、追い焚き熱交換器6を経て、往き配管64へ流れ込み、再度浴槽5へ戻される。
【0046】
また、風呂ポンプ65と追い焚き熱交換器6の間には、浴槽5内に湯水があるかどうかを検出する湯水検出手段であるフロースイッチ68が設けられており、オンすることで水の流れを検知可能に構成されている。つまり、フロースイッチ68がオンしたときには浴槽5内には湯水があると判断し、フロースイッチ68がオフの時には浴槽5内には湯水がないと判断される。
【0047】
また、浴室には貯湯式給湯機の操作を行うことができる操作手段であり、浴槽5内の湯水の保温温度を設定する温度設定手段であるリモコン装置9が設置され、リモコン装置9を操作して、湯水の温度設定や風呂への湯張り、また設置工事後の試運転操作等を行う。リモコン装置9には情報を表示する表示部91および操作を行う操作部92を有している。
【0048】
また、リモコン装置9からの指示を受け取り、各制御機器に命令する制御装置(図示せず)も有している。そして制御装置は、マイコンおよびその電子制御部品で構成され、タンクユニット1を構成する機器(風呂ポンプ65や追い焚きポンプ7など)に命令を送っている。
【0049】
さらに、追い焚き熱交換器6で加熱された後の浴槽水の温度を検出する追い焚き出湯温度検出手段である温度センサ69が設けられている。この温度センサ69は浴槽5へ送る湯水の温度を検出しており、温度センサ69で検出される温度が上限温度を超えないように追い焚きポンプ7が制御される。
【0050】
これは温度センサ69では、浴槽5へ直接供給される湯水の温度を検出することができるため、浴槽5へ上限温度以上の高温水を供給することがないようにして、入浴者の火傷を防止することができる。
【0051】
次に、設置工事後の試運転について説明する。
【0052】
設置業者が設置工事後に、貯湯式給湯機への電源を入りにすると、リモコン装置9の表示部91には試運転を促す表示が表示される。なお、本実施の形態では浴室に設置されたリモコン装置9のみを使用して試運転を行う説明をするが、これに限定されることはなく、台所に設けたその他のリモコン装置(図示せず)を使用して試運転をしても、台所と浴室の両方のリモコン装置を使用して試運転をしても本発明の主旨が変更されるものではない。
【0053】
そして、試運転の内容には、貯湯タンク3内に湯水が満水になっていることの確認を促すステップ、日付および時刻の設定を行うステップ、契約電力会社の設定を行うステップ、ヒートポンプユニットの空気抜きを行ったかの確認を促すステップなどが設けられており、表示部91に表示されるステップに従って設置業者が操作して試運転を行う。このように、貯湯式給湯機の運転時に不具合が起こらないように、設置業者が予め試運転をすることによって、不具合がないことを確かめている。
【0054】
そして、この試運転の内容に追い焚き給湯管47および追い焚き出湯管48で構成される追い焚き一次回路からの空気抜きのステップを組み込んでいる。このようなステップを組み込むことによって、試運転時に確実に追い焚き一次回路からの空気抜きを行うことができ、ユーザーが追い焚き運転をしたときに不具合が起こらないようにしている。
【0055】
以上のように構成された貯湯式給湯機の追い焚き1次回路の空気抜きについて説明する。
【0056】
図1に示すように、本実施の形態では合理化などで、追い焚き給湯管47と風呂給湯管34を、タンク3の最上部に配置された出湯管32という共通の配管から分岐して形成した構成となっている。
【0057】
そのため前記、設置時以外で点検修理や断水などにより、貯湯タンク3上部に空気が入った状態のままで追い焚きポンプ7が回転するとエアがみが発生し、追い焚きポンプ7は非自給式であるために、追い焚きポンプ7の中に水が流入することができず、追い焚き一次回路内を循環することができず追い焚きができない状態になる。
【0058】
また、給湯を行ってタンク上部の空気がなくなっても、本実施の形態では、逆止弁49を設けているため、貯湯タンク3の下方部側から給水配管31の水が追い焚き出湯管48内に流入せず、空気抜きが行われない。
【0059】
そこでまず、修理点検時などで電源を切って停電になり復帰すると、試運転時と同じように自動的に空気抜きをするようにしている。動作としては停電から30分以上経過して停電復帰すると空気が溜まったと判断して、1分間自動的に浴槽5にお湯張りをしながら、追い焚き一次回路からの空気抜き動作をするようにしている。
【0060】
次に、追い焚き一次回路からの空気抜き時の動作について説明する。
【0061】
本実施の形態では、浴槽5への湯張り運転は、電磁弁83の開閉によって行われている。よって浴槽5への湯張り運転は電磁弁83を開いて、浴槽5へ湯張り運転が行われる。この時の湯張り運転時には、出湯管32には貯湯タンク3から浴槽5への湯水の流れが発生する。
【0062】
しかしながら、出湯管32から浴槽5への湯水の流れが発生しても、追い焚き熱交換器6側へ湯水が流入しにくい状況になっている。
【0063】
そこで、浴槽5への湯張りと同時に、追い焚きポンプ7の駆動も開始し、追い焚き熱交換器6側へ出湯管32から出湯している湯水を呼び込んでいる。この時、湯張り運転も同時に行っているので、出湯管32には湯水の流れが発生しており、追い焚き熱交換器6側へ湯水が流入しやすくなっている。
【0064】
その結果、追い焚き熱交換器6側へ出湯管32からの湯水が流入し、追い焚き給湯管4
7および追い焚き出湯管48内に介在していた空気が、浴槽5への湯張りに伴い外部に排出される。
【0065】
このように、追い焚きポンプ7の駆動を行うことによって、追い焚き給湯管47および追い焚き出湯管48内部にある空気を抜くことができ、その後、使用者が追い焚き運転を行っても、不具合が生じることなく、正常に追い焚き運転を行うことができる。
【0066】
また、断水によって貯湯タンク3上部に空気が溜まるなど機器で判断できない時には、リモコン装置9に設けた独立操作ボタン92で、使用者の手動操作で追い焚きポンプ7のエア抜き駆動するようにしている。このように使用者が手動操作することで確実に追い焚き一次回路からの空気抜きをすることができる。
【0067】
また、別の実施の形態では、リモコン装置9の操作ボタン92の多重押しで追い焚きポンプ7のエア抜き駆動運転をするようにして、子供のいたずらなどで容易に駆動しないようにしている。
【0068】
また、複数個ある残湯温度検出手段のうち、最上部の残湯温度検出手段である温度センサ46aで検出する温度が、所定温度以上検出している場合で、浴槽5にお湯を張りながら追い焚きポンプ7を駆動させてエア抜き運転をしようとするとリモコン装置9に浴槽に熱いお湯が入ることを表示し、高温注意喚起するようにしている。
【0069】
これは、温度センサ46aで検出する温度が高温であった場合には、追い焚きポンプ7を駆動させることによって、高温水を追い焚き熱交換器6へ送ってしまうことになる。その結果、追い焚き二次回路を流れている(戻り配管63を流れている)湯水と、貯湯タンク3から供給される高温水とで熱交換をしてしまい、浴槽5へは熱交換した高温の湯が供給されることになる。
【0070】
そのため、温度センサ46aが所定温度以上の高温時には、リモコン装置9に浴槽に熱いお湯が入ることを表示し、高温注意喚起して、安全性を考慮した貯湯式給湯機を提供することができる。
【0071】
以上のように、本発明は、貯湯式給湯機の試運転時に、追い焚き一次回路からの空気抜きを確実に行い、使用者が追い焚き運転を行った時には正常に追い焚き運転を行うことができるものである。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明に係る貯湯式給湯機は、ヒートポンプサイクルと給湯サイクルが一体に構成された一体型ヒートポンプ式給湯機、別体に構成された分離型ヒートポンプ式給湯機、給湯用熱交換器で加熱したお湯をそのまま出湯できる直接出湯型ヒートポンプ式給湯機などの各種ヒートポンプ給湯機に適用できる。
【符号の説明】
【0073】
3 貯湯タンク
5 浴槽
6 追い焚き熱交換器
7 追い焚きポンプ
9 リモコン装置
32 出湯管
34 風呂給湯管
46a〜46e 残湯温度検出手段
47 追い焚き給湯管
83 電磁弁(開閉弁)
92 操作ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯える貯湯タンクと、前記貯湯タンクから高温水を出湯する出湯管と、浴槽と、前記浴槽内の湯水と前記貯湯タンク内の高温水とが熱交換する追い焚き熱交換器と、前記出湯管から分岐して形成され、前記追い焚き熱交換器へ前記貯湯タンク内の高温水を供給する追い焚き給湯管と、前記貯湯タンク内の高温水を前記追い焚き熱交換器へ送る追い焚きポンプと、前記出湯管から分岐して形成され、前記浴槽へ高温水を供給する風呂給湯管と、前記風呂給湯管に配設された開閉弁と、制御装置と、前記開閉弁を開いて前記浴槽へ湯張りを行うとともに、前記追い焚きポンプを駆動させることで、前記貯湯タンクと前記追い焚き熱交換器とを接続する回路のエア抜きを実施するエア抜き運転モードとを備えたことを特徴とする貯湯式給湯機。
【請求項2】
リモコン装置を備え、前記リモコン装置に設けた操作ボタンを押すことで、前記エア抜き運転を開始することを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯機。
【請求項3】
前記操作ボタンを複数回押すことで、前記エア抜き運転を開始することを特徴とする請求項2に記載の貯湯式給湯機。
【請求項4】
リモコン装置を備え、前記貯湯タンク内の温度を検出する複数個の残湯温度検出手段を備え、最上部の残湯温度検出手段で検出する温度が所定値以上の場合で、かつ、前記追い焚きポンプの駆動時には、その旨を前記リモコン装置にて報知することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の貯湯式給湯機。

【図1】
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【公開番号】特開2012−132580(P2012−132580A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−282785(P2010−282785)
【出願日】平成22年12月20日(2010.12.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】