説明

貯湯式給湯装置

【課題】 二つの貯湯タンクを備えるときは第1貯湯タンク側に高温の給湯用水を貯えるとともに、中温の給湯用水を積極的に給湯経路に出湯するように構成させることで、早期の湯切れの防止および加熱手段の運転効率の低下を防止することが可能な貯湯式給湯装置を実現する。
【解決手段】 第1貯湯タンク10内の上部貯湯温度が第2貯湯タンク11内の上部貯湯温度よりも低下したときは、第2貯湯タンク11内の高温の給湯用水を第1貯湯タンク10の最上部に圧送するように構成した。これにより、早期の湯切れの防止および運転効率の低下を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱手段により加熱された給湯用水を貯える二つの貯湯タンクを備える貯湯式給湯装置に関するものであり、特に、貯えられた給湯用水を熱交換させて暖房などの用途に出力したときに得られる中温の給湯用水の消費に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の貯湯式給湯装置として、給湯用水を内部に貯える貯湯タンクと、ヒートポンプサイクルからなり、高温冷媒と貯湯タンク内の給湯用水とを熱交換させて加熱する加熱手段と、貯湯タンク内に貯えられた給湯用水を一次側に流通させて二次側に流通する二次側流体を加熱する暖房用熱交換器と、加熱された二次側流体と被加熱流体もしくは加熱物と熱交換する暖房装置とを備えて、貯えられた給湯用水を給湯の用途の他に、この給湯用水を熱源として床暖房、浴室暖房などの暖房の用途に用いた貯湯式給湯装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、高温の給湯用水が貯えられる貯湯タンク内に追い焚き用熱交換器を設け、その追い焚き用熱交換器に浴槽内の浴水を流通させて浴水を追い焚きする浴水追い焚き装置を備え、貯えられた給湯用水を給湯の用途の他に、この給湯用水を熱源として浴水を追い焚きする用途に用いた貯湯式給湯装置が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開2003−194347号公報
【特許文献2】特開2003−194397号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1および特許文献2によれば、貯湯タンク内に貯えられた高温の給湯用水の熱エネルギーを暖房用熱交換器や追い焚き用熱交換器で熱交換させると、中温(例えば、20〜45℃程度)の給湯用水が貯湯タンク内に戻されることになる。この貯湯タンク内に戻された中温(例えば、20〜45℃程度)の給湯用水は再度給湯の用途に使用するには貯湯温度が低下している問題がある。
【0005】
しかも、中温(例えば、20〜45℃程度)の給湯用水が貯湯タンク内に多く貯められてくると、高温の給湯用水の層が貯湯タンク内の上方に移動して早期に湯切れを起こすことがある。因みに、加熱手段の電源に料金設定の安い深夜電力を用いる貯湯式給湯装置では、早期に湯切れが起きると、深夜時間帯以外の昼間時間帯に加熱手段が作動して沸き上げ運転が行われる。これにより、ランニングコストが高くなる。
【0006】
ところで、加熱手段として、例えば、ヒートポンプサイクルからなるヒートポンプ方式の加熱手段においては、給湯用水を目標貯湯温度(例えば、65〜90℃)まで沸き上げる場合、中温(例えば、20〜45℃程度)の給湯用水が貯湯タンク内に多く貯められてくると、加熱前の給湯用水の貯湯温度が高いほど高圧圧力が高くなることで運転効率(COP=加熱能力/消費電力)が低下する問題がある。
【0007】
また、貯湯タンクを二つに分けて給湯用水を貯えて、一方の貯湯タンク側を上述した熱交換器で出力させると、もう一方の貯湯タンク内に貯えられた高温の給湯用水が一方の中温の給湯用水で緩和されることで、高温の出湯が阻害されることがある。
【0008】
そこで、本発明の目的は、上記点を鑑みたものであり、二つの貯湯タンクを備えるときは第1貯湯タンク側に高温の給湯用水を貯えるとともに、中温の給湯用水を積極的に給湯経路に出湯するように構成させることで、早期の湯切れの防止および加熱手段の運転効率の低下を防止することが可能な貯湯式給湯装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記、目的を達成するために、請求項1ないし請求項9に記載の技術的手段を採用する。すなわち、請求項1に記載の発明では、給湯用水を内部に貯える第1貯湯タンク(10)と、最上部をその第1貯湯タンク(10)の最下部に連通し、給湯用水を内部に貯える第2貯湯タンク(11)と、この第2貯湯タンク(11)内に貯えられた低温の給湯用水を導いて高温冷媒と熱交換させて沸き上げて第1貯湯タンク(10)の最上部に圧送する加熱手段(20)と、第1貯湯タンク(10)内に貯えられた高温の給湯用水と被加熱流体とを熱交換して中温の給湯用水に変換する熱交換器(30、35)とを備える貯湯式給湯装置において、
熱交換器(30、35)の出力によって第1貯湯タンク(10)内の貯湯温度が低下したときは、第2貯湯タンク(11)内の高温の給湯用水と第1貯湯タンク(10)内の中温の給湯用水とを入れ替えるように構成したことを特徴としている。
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、熱交換器(30、35)により給湯用水が被加熱流体と熱交換されて貯湯温度の低いほぼ中温の給湯用水が第1貯湯タンク(10)内に戻されて増加するが、第2貯湯タンク(11)内の高温の給湯用水を第1貯湯タンク(10)側に入れ替えるように構成したことにより、第2貯湯タンク(11)内の高温の給湯用水を中温の給湯用水で緩和させることなく給湯の用途に用いることができる。
【0011】
これにより、早期の湯切れが防止されるとともに、低温の給湯用水を吸い込んで加熱させることができるので沸き上げ運転時における加熱手段(20)の運転効率の低下が防止できる。
【0012】
請求項2に記載の発明では、第1貯湯タンク(10)内の上部貯湯温度が第2貯湯タンク(11)内の上部貯湯温度よりも低下したときは、第2貯湯タンク(11)内の高温の給湯用水を第1貯湯タンク(10)の最上部に圧送するように構成したことを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、具体的には、相互のタンク(10、11)内の上部貯湯温度を監視することで、第2貯湯タンク(11)内の高温の給湯用水を中温の給湯用水で緩和させることなく給湯の用途に用いることができる。
【0014】
請求項3に記載の発明では、一方側に流入する高温の給湯用水と他方側に流入する中温の給湯用水とを混合させて所定温度の給湯用水に調節する第2給湯温度調節手段(17)と、一方側に流入する第2給湯温度調節手段(17)で調節された所定温度の給湯用水と他方側に流入する水道水とを混合させて所望する出湯温度に調節する第1給湯温度調節手段(18、18a)とが設けられ、
第2給湯温度調節手段(17)は、一方側に第1貯湯タンク(10)内の高温の給湯用水を流入させ、かつ他方側に第1もしくは第2貯湯タンク(10、11)内の中温の給湯用水を流入させるように構成したことを特徴としている。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、中温の給湯用水を給湯の用途に積極的に消費することができる。これにより、早期の湯切れが防止されるとともに、低温の給湯用水を吸い込んで加熱させることができるので沸き上げ運転時における加熱手段(20)の運転効率の低下が防止できる。
【0016】
請求項4に記載の発明では、第1貯湯タンク(10)には、高温の給湯用水を取り出す高温取り出し配管(12)と、第1もしくは第2貯湯タンク(10)には、中温の給湯用水を取り出す中温取り出し配管(13)とが設けられ、第2給湯温度調節手段(17)は、一方側が高温取り出し配管(12)に接続され、かつ他方側が前記中温取り出し配管(13)に接続されていることを特徴としている。
【0017】
請求項4に記載の発明によれば、具体的には、熱交換器(30、35)により熱交換された湯温の低いほぼ中温の給湯用水を中温取り出し配管(13)から取り出して第2給湯温度調節手段(17)の他方側に接続させることにより、中温の給湯用水を給湯の用途に積極的に消費することができるので、早期の湯切れが防止されるとともに、沸き上げ運転時における加熱手段(20)の運転効率の低下が防止できる。
【0018】
請求項5に記載の発明では、中温取り出し配管(13)は、少なくとも二つ以上の複数個設けられ、そのうちのいずれか一つの中温の給湯用水を選択して第2給湯温度調節手段(17)の他方側に流通するように構成したことを特徴としている。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、中温の給湯用水が貯えられる部位は、第1、第2貯湯タンク(10、11)の垂直方向に一様でないため複数個の中温取り出し配管(13)が設けられることにより、的確にかつ積極的に中温の給湯用水を積極的に取り出すことができる。
【0020】
請求項6に記載の発明では、熱交換器(30、35)は、第1貯湯タンク(10)内の給湯用水と浴槽内の浴水とを熱交換する追い焚き用熱交換器(35)であることを特徴としている。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、浴水の追い焚きにより熱交換器(30、35)で熱交換された給湯用水はほぼ浴水温程度の中温の給湯用水であるため、この中温の給湯用水を給湯の用途に取り出すように構成されることで好適である。これにより、早期の湯切れが防止されるとともに、沸き上げ運転時における加熱手段(20)の運転効率の低下が防止できる。
【0022】
請求項7に記載の発明では、追い焚き用熱交換器(35)は、第1貯湯タンク(10)内の高温の給湯用水が貯えられる部位に配設され、その高温の給湯用水と内部に流通する浴槽内の浴水との両者で熱交換するように構成されることを特徴としている。
【0023】
請求項7に記載の発明によれば、例えば、スパイラル状に形成させた追い焚き用熱交換器(35)を第1貯湯タンク(10)内に配設することで、浴水との熱交換により第1貯湯タンク(10)内にほぼ中温の給湯用水が貯えられるが、この中温の給湯用水を給湯の用途に取り出すように構成されることで好適である。これにより、早期の湯切れが防止されるとともに、沸き上げ運転時における加熱手段(20)の運転効率の低下が防止できる。
【0024】
請求項8に記載の発明では、熱交換器(30)は、一次側と二次側とが対向流となるように構成され、第1貯湯タンク(10)内の給湯用水を一次側に流通させて二次側に流通する二次側流体を加熱する熱交換器であり、加熱された二次側流体と被加熱流体もしくは被加熱物のいずれか一方とが熱交換する暖房装置(60、70)を具備することを特徴としている。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、暖房装置(60、70)と組み合わせることで、熱交換器(30)で熱交換された給湯用水がほぼ中温の給湯用水であるため、この中温の給湯用水を給湯の用途に取り出すように構成されることで好適である。これにより、早期の湯切れが防止されるとともに、沸き上げ運転時における加熱手段(20)の運転効率の低下が防止できる。
【0026】
請求項9に記載の発明では、加熱手段(20)は、冷媒の高圧側圧力が臨界圧力以上となる超臨界ヒートポンプであり、臨界圧力以上に昇圧された冷媒により貯湯タンク(10、11)内の給湯用水を加熱することを特徴としている。
【0027】
請求項9に記載の発明によれば、超臨界ヒートポンプサイクルにおいては、給湯用水を目標温度(例えば、65〜90℃)まで加熱する場合、加熱前の給湯用水の湯温が低いほど、高圧圧力が低くなることでサイクル効率(COP=加熱能力/消費電力)が向上する。従って、低温の給湯用水を超臨界ヒートポンプサイクルにて加熱することにより、サイクル効率が向上し、省動力運転を行なうことができる。
【0028】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態の具体的手段との対応関係を示すものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態による貯湯式給湯装置を図1に基づいて説明する。図1は本発明を適用させた貯湯式給湯装置の全体構成を示す模式図である。本実施形態の貯湯式給湯装置は、第1および第2貯湯タンク10、11内に貯えられた給湯用水を台所、洗面所、浴室などへの給湯機能に用いるとともに、貯えられた高温の給湯用水を熱源として、二次側流体を加熱させて暖房機能に用いている。
【0030】
まず、給湯機能は、図1に示すように、給湯用水を内部に貯える二つの第1、第2貯湯タンク10、11と、第2貯湯タンク11内の最下部(低温)の給湯用水を第1貯湯タンク10内の最上部に送る流体加熱用流路21と、この流体加熱用流路21を流れる給湯用水を加熱する加熱手段であるヒートポンプユニット20と、第2貯湯タンク11側に水道水を導水する給水用配管16と、第1、第2貯湯タンク10、11内の給湯用水を導出する高温取り出し配管12、中温取り出し配管13、給湯用配管14、15と、本給湯システムの作動を制御する制御装置(給湯制御部41、熱源制御部42)とから構成されている。
【0031】
そして、暖房機能は、第1貯湯タンク10内の給湯用水が流通する第1流通部30aと二次側流体が流通する第2流通部30bとを隣接して設け、かつ給湯用水と二次側流体とが対向流となるように構成され、両者間で熱交換を行なう熱交換器である暖房用熱交換器30と、第1貯湯タンク10内の給湯用水を第1流通部30aに流通させて熱交換された給湯用水を第1貯湯タンク10内に戻すための一次側循環回路31と、第2流通部30bに二次側流体を流通させるための二次側循環回路32と、暖房装置である床暖房ユニット60、暖房ユニット70と、一次側循環回路31および二次側循環回路32を制御する制御装置(給湯制御部41)から構成されている。
【0032】
次に、給湯機能を構成する構成部品についてより具体的に説明すると、本実施形態の第1、第2貯湯タンク10、11は、二つの縦長形状のタンクを直列に連結したものであり、第1貯湯タンク10の最下部10cと第2貯湯タンク11の最上部11cとが連通用配管19で接続されている。
【0033】
貯湯タンク10、11は、耐食性に優れた金属製(例えば、ステンレス製)の容器で形成され、外周部に図示しない断熱材が配設され、高温の給湯用水を長時間に渡って保温できるようになっている。また、第2貯湯タンク11側の底面には導入口11bが設けられ、この導入口11bに給水経路である給水用配管16が接続されている。
【0034】
そして、給水用配管16には、給水温度を検出する給水サーミスタ51が設けられており、給水用配管16内の温度情報を後述する給湯制御部41に出力するようになっている。また、給水用配管16には、導入口11bに導入される水道水の水圧を所定圧となるように調節するとともに、断水などにおける湯の逆流を防止する図示しない減圧逆止弁が設けられている。
【0035】
さらに、給水用配管16の下流端は、導入口11bの他に後述する第1給湯温度調節手段である給湯用混合弁18の一方の入口側に繋がれ、貯湯タンク10、11および給湯用混合弁18に水道水を導入するようにしている。
【0036】
一方、第1貯湯タンク10の最上部には導出口10bが設けられ、この導出口10bには第1貯湯タンク10内に貯えられた給湯用水のうち、高温の給湯用水を導出するための給湯経路である高温取り出し配管12が接続されている。
【0037】
なお、この高温取り出し配管12の経路途中には空気逃がし弁58が配設された排出配管12aを接続しており、貯湯タンク10、11内の圧力が所定圧以上に上昇した場合には、貯湯タンク10、11内の給湯用水を外部に排出して、貯湯タンク10、11等にダメージを与えないようになっている。
【0038】
さらに、第2貯湯タンク11の上方には導出口11dが設けられ、この導出口11dには第2貯湯タンク11内に貯えられた給湯用水のうち、中温の給湯用水を導出するための給湯経路である中温取り出し配管13が接続されている。
【0039】
そして、高温取り出し配管12と中温取り出し配管13との合流点には第2給湯温度調節手段である高中温水混合弁17が設けられ、その高中温水混合弁17の下流側には混合湯経路である給湯用配管14、15が接続され、給湯用配管14、15の中途に第1給湯温度調節手段である給湯用混合弁18が設けられている。
【0040】
また、給湯用配管14、15には、導出される給湯用水の湯温を検出する出湯サーミスタ52、53、および給湯用配管15内を導出する給湯用水の流量情報を検出する流量カウンタ54が設けられ、出湯サーミスタ52、53、および流量カウンタ54により検出された温度情報および流量情報を後述する給湯制御部41に出力するようになっている。
【0041】
また、給湯用配管15の下流端は台所、洗面、浴室などに配置された図示しない給湯水栓、シャワー水栓などに通じており、それらの給湯水栓、シャワー水栓が開弁したときに、使用者が設定した設定温度に調節された給湯用水が出湯される。なお、流量カウンタ54が給湯用配管15内の給湯用水の流れを検出したときは、給湯水栓、シャワー水栓等のいずれかで給湯用水が使用されていることである。
【0042】
高中温水混合弁17は、給湯用配管14、つまり、給湯用混合弁18に導出する給湯用水の湯温を調節する温度調節弁であり、高温取り出し配管12側、中温取り出し配管13側の開口面積比を調節することで、高温取り出し配管12から取り出した高温の給湯用水と、中温取り出し配管13から取り出した中温の給湯用水との混合比を調節するようにしている。
【0043】
また、同じように、給湯用混合弁18は、給湯用配管15に導出する給湯用水の湯温を調節する温度調節弁であり、給湯用配管14側、給水用配管16側の開口面積比を調節することで、高中温水混合弁17で調節された給湯用水と給水用配管16から導水される水道水との混合比を調節するようにしている。つまり、ここで、使用者が設定した設定温度となるように温度調節されている。
【0044】
そして、これらの混合弁17、18は、後述する給湯制御部41に電気的に接続されており、上記出湯サーミスタ52、53、給水サーミスタ51および後述する貯湯サーミスタ55a、55bにより検出される温度情報に基づいて制御される。因みに、高中温水混合弁17は、貯湯サーミスタ55b(中温取り出し配管13の近傍)により検出された給湯用水の湯温が所定温度(例えば、30℃)未満のときに、高温取り出し配管12から取り出した高温の給湯用水を給湯用配管14に導出するように制御される。
【0045】
ただし、このときの高中温水混合弁17は、温度調節されない状態で給湯用配管14側に導出するように制御される。一方、貯湯サーミスタ55b(中温取り出し配管13の近傍)により検出された給湯用水の湯温が所定温度(例えば、30℃)以上のときに、中温取り出し配管13から取り出した中温の給湯用水、もしくは中温取り出し配管13から取り出した中温の給湯用水と高温取り出し配管12から取り出した高温の給湯用水との両方を給湯用配管14側に導出するように制御される。
【0046】
具体的には、給湯用配管14側に導出する給湯用水の湯温が所定温度(例えば、設定温度+5℃程度)となるように温度調節されて、中温の給湯用水を積極的に取り出すようにしている。なお、これらの混合弁17、18は出湯サーミスタ52、53により検出される温度情報に基づいてフィードバック制御を行うように制御される。
【0047】
また、これらの貯湯タンク10、11の外壁面には、給湯用水の貯湯量、もしくは貯湯温度を検出するための水温センサである複数(本例では、10箇所)の貯湯サーミスタ55a、55bが縦方向(タンクの高さ方向)にほぼ等間隔に配置され、貯湯タンク10、11内に満たされた給湯用水の各水位レベルでの温度情報を後述する給湯制御部41に出力するようにしている。
【0048】
従って、給湯制御部41は、複数の貯湯サーミスタ55a、55bからの温度情報に基づいて、第1貯湯タンク10内上方の沸き上げられた湯温と、貯湯タンク10,11内下方の沸き上げられる前の低温の給湯用水との境界位置を検出することができるとともに、各水位レベルでの給湯用水の湯温が検出できる。
【0049】
なお、複数の貯湯サーミスタ55a、55bのうち、第1貯湯タンク10内の最上部に設けられた貯湯サーミスタ55aは高温の給湯用水を出湯する出湯温度を検出する機能を有している。
【0050】
ここで、本発明の要部となる構成について説明する。本実施形態では、第1貯湯タンク10と第2貯湯タンク11とを連通する連通用配管19の中途に、流れ方向を切り換える切換弁25が設けられている。
【0051】
この切換弁25は、第1貯湯タンク10内の上部貯湯温度が第2貯湯タンク11内の上部貯湯温度よりも低下したときに、第2貯湯タンク11内に貯えられた高温の給湯用水を第1貯湯タンク10内の最上部に導入することで、第1貯湯タンク10内の上部に第2貯湯タンク11内の高温の給湯用水と入れ替えるように構成している。
【0052】
より具体的には、切換弁25の縦方向の一方が第2貯湯タンク11の最上部11cに連通するように接続され、縦方向の他方が第1貯湯タンク10の最下部10cに連通するように接続され、横方向の一方が第2貯湯タンク11内の上方の導入口11eに連通するように接続され、横方向の他方が第1貯湯タンク10内の最上部の導入口10fに連通するように接続されている。
【0053】
なお、図中に示す22は、第1貯湯タンク10内の中温の給湯用水を第2貯湯タンク11内に導くための第1導入管であり、図中に示す23は第2貯湯タンク11内の高温の給湯用水を第1貯湯タンク10内の最上部10fに導くための第2導入管である。
【0054】
さらに、図中に示す24は第3循環ポンプであって、切換弁25が循環状態に切り換わったときに作動するポンプである。さらに、図中に示す26は逆止弁であって、第1貯湯タンク10内の高温の給湯用水が対流で切換弁25側に流通するのを防止する弁である。
【0055】
そして、切換弁25および第3循環ポンプ24は、後述する給湯制御部41に電気的に接続されており、上述した貯湯サーミスタ55a、55bにより検出される温度情報に基づいて制御される。因みに、この切換弁25は、第1貯湯タンク10内の上方の貯湯温度が第2貯湯タンク11内の上方の貯湯温度よりも低下したときに、循環状態になるように制御され、図中に示すように、通常状態では第1貯湯タンク10の最下部10cと第2貯湯タンク11の最上部11cとが連通している。
【0056】
そして、循環状態のときは、第1貯湯タンク10の最下部10cと第2貯湯タンク11内の上方の導入口11eとが連通し、かつ第1貯湯タンク10内の最上部の導入口10fと第2貯湯タンク11の最上部11cとが連通するように流れ方向が切り換えられる。
【0057】
そして、第3循環ポンプ24を作動することで、第1貯湯タンク10内の中温の給湯用水が第2貯湯タンク11内の上方に圧送され、第2貯湯タンク11内の上方に貯えられた高温の給湯用水が第1タンク10内の最上部10fに圧送される。
【0058】
これにより、第2貯湯タンク11内の高温の給湯用水と第1貯湯タンク10内の中温の給湯用水とが入れ替わることになる。従って、第1貯湯タンク10内の上方には高温の給湯用水が貯められることになる。
【0059】
次に、第1、第2貯湯タンク10,11内の給湯用水を加熱するヒートポンプユニット20は、例えば、炭酸ガスを冷媒として使用することにより、高圧側の冷媒圧力が冷媒の臨界圧力以上となる超臨界ヒートポンプサイクルを使用している。
【0060】
このヒートポンプサイクルは、周知のように図示しない圧縮機、加熱用熱交換器、膨張弁、蒸発器、およびアキュムレータ等の冷凍サイクル機能部品より構成されている。因みに、圧縮機(図示しない)は、内蔵する電動モータ(図示しない)によって駆動され、アキュムレータより吸引した気相冷媒を臨界圧力以上まで圧縮して吐出する。
【0061】
加熱用熱交換器(図示しない)は、冷媒と給湯用水とを熱交換するもので、例えば、冷媒が流れる冷媒通路(図示しない)と給湯用水が流れる加熱用流体通路(図示しない)とが二重管構造に設けられ、かつ冷媒の流れ方向と給湯用水の流れ方向とが対向するように構成された対向流式の加熱用熱交換器(図示しない)である。
【0062】
膨張弁(図示しない)は、加熱用熱交換器(図示しない)から流出する冷媒を減圧して蒸発器(図示しない)に供給する。蒸発器(図示しない)は、膨張弁(図示しない)で減圧された冷媒を大気との熱交換によって蒸発させる。アキュムレータ(図示しない)は、蒸発器より流出する冷媒を気液分離して、気相冷媒のみ圧縮機に吸引させるとともに、サイクル中の余剰冷媒を蓄えている。
【0063】
また、加熱用熱交換器(図示しない)の加熱用流体通路(図示しない)は、上述した流体加熱用流路21を介して第1、第2貯湯タンク10、11に接続され、図示しない電動ポンプが作動することで、第1、第2貯湯タンク10、11内の給湯用水が循環する。
【0064】
なお、流体加熱用流路21の上流端が第2貯湯タンク11の底部11aに接続され、流体加熱用流路21の下流端が第1貯湯タンク10の上部10aに接続されている。これにより、加熱用熱交換器(図示せず)で冷媒との熱交換により加熱された給湯用水が第1貯湯タンク10の上部10aへ送り込まれるため、第1貯湯タンク10の上部側から第2貯湯タンク11の下部側へ向かって順次給湯用水に蓄熱されていく。
【0065】
なお、ヒートポンプユニット20は後述する熱源制御部42からの制御信号により作動されるとともに、作動状態を熱源制御部42に出力するようになっている。また、これらの動力源として交流電力を用い、主に料金設定の最も安い深夜時間帯における深夜電力を用いて、貯湯タンク10、11内の給湯用水を沸き上げる蓄熱運転を行なっているが、昼間時間帯においても給湯用水の湯温が低下してくると沸き上げ運転を行なうよう制御される。因みに、超臨界ヒートポンプサイクルによれば、一般的なヒートポンプサイクルよりも高温(例えば、85〜90℃)の給湯用水を内部に貯えることができる。
【0066】
次に、暖房機能を構成する構成部品について説明する、まず、一次側循環回路31は、第1貯湯タンク10内の高温の給湯用水を暖房用熱交換器30の第1流通部30aに流通させ、暖房用熱交換器30で熱交換されたほぼ中温(例えば、20〜45℃程度)の給湯用水を第1貯湯タンク10内に戻すための循環回路であり、往き管33、戻し管34、および第1循環ポンプ38から構成されている。
【0067】
往き管33は、上流端が第1貯湯タンク10の上方部10eに接続され、下流端が第1流通部30aに接続されている。戻し管34は、上流端が第1流通部30aに接続され、下流端が第2貯湯タンク11の中温取り出し配管13の導出口11d近傍に接続されている。第1循環ポンプ38は、戻し管34の中途に配置されており、第1貯湯タンク10内の給湯用水を第1流通部30aに流通させるポンプである。
【0068】
そして、後述する熱交換後サーミスタ56により検出された温度情報に基づいて回転数が制御されるように後述する給湯制御部41に電気的に接続されている。因みに、第1循環ポンプ38は、二次側流体の熱交換後の湯温が所定温度となるように回転数を制御するようにしている。
【0069】
暖房用熱交換器30は、第1流通部30aの上流端が往き管33に下流端が戻し管34に接続され、一方の第2流通部30bの上流端が往き管36に、下流端が戻し管37に接続されている。従って、暖房用熱交換器30は、図1に矢印で示すように、第1流通部30aを上から下へ向かって流れる高温の給湯用水の流れ方向と、第2流通部30bを下から上へ向かって流れる二次側流体の流れ方向とが対向する対向流式の熱交換器である。
【0070】
二次側循環回路32は、暖房用熱交換器30で熱交換された二次側流体を床暖房ユニット60、暖房ユニット70に流通させる循環回路であり、往き管36、戻し管37、バイパス通路32a、第2循環ポンプ39、および熱交換後サーミスタ56などから構成されている。
【0071】
往き管36は暖房用熱交換器30で熱交換された二次側流体を床暖房ユニット60、暖房ユニット70に導くための往き側回路であり、戻し管37は、床暖房ユニット60、暖房ユニット70で熱交換された二次側流体を第2流通部30bに戻すための戻り側回路であり、バイパス通路32aは、後述する熱動弁62、開閉弁73がすべて閉弁したときに床暖房ユニット60、暖房ユニット70を迂回するバイパス回路である。
【0072】
第2循環ポンプ39は、二次側流体を第2流通部30bから床暖房ユニット60、暖房ユニット70に流通させる圧送手段であり、床暖房ユニット60、および暖房ユニット70の使用台数に基づいて、後述する給湯制御部41により回転数が制御される。
【0073】
そして、熱交換後サーミスタ56は、第2流通部30bを流通する二次側流体の湯温を検出するセンサであり、熱交換後サーミスタ56により検出された温度情報を後述する給湯制御部41に出力するようになっている。
【0074】
床暖房ユニット60は、例えば、洗面室や台所などの床に設置し、床パネル61内の配管61aに二次側流体を流通させて被加熱物である床パネル61を暖める暖房装置であり、配管61aに流通する二次側流体を開閉する熱動弁62、床パネル61の出口側水温を検出する水温センサ(図示せず)および水温センサにより検出された出口側水温に基づいて熱動弁62を制御する床暖制御部(図示せず)から構成されている。なお、本実施形態では、床暖房ユニット60を1台のみ設置したが、二つ以上の複数個それぞれが暖房用熱交換器30に対して並列に設けても良い。
【0075】
暖房ユニット70は、例えば、浴室内や洗面室内の被加熱流体である室内の空気を吸い込んで放熱器71で加熱させて、温風を吹き出して室内を暖房する暖房装置であり、放熱器71、送風機72、放熱器71に流通する二次側流体を開閉する開閉弁73、吸い込み温度を検出する吸い込み温度センサ(図示せず)、および吸い込み温度センサにより検出された吸い込み温度に基づいて送風機72および開閉弁73を制御する暖房制御部(図示せず)などから構成されている。なお、本実施形態では暖房ユニット70を1台のみ設置したが、二つ以上の複数個それぞれが暖房用熱交換器30に対して並列に設けても良い。
【0076】
次に、給湯制御部41は、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵のROM(図示せず)には、予め設定された制御プログラムが設けられており、各サーミスタ51〜53、55a、55b、56からの温度情報、各流量カウンタ54からの流量情報および図示しない操作盤に設けられた操作スイッチからの操作信号等に基づいて、高温取り出し配管12、中温取り出し配管13、給湯用配管14、15、一次側循環回路31、および二次側循環回路32内の各種アクチュエータ類を制御するように構成されている。
【0077】
また、熱源制御部42は、給湯制御部41と同じように、マイクロコンピュータを主体として構成され、内蔵のROM(図示せず)には、予め設定された制御プログラムが設けられており、図示しない各種サーミスタからの温度情報などに基づいてヒートポンプユニット20内のアクチュエータ類を制御する。この熱源制御部42では、加熱用熱交換器(図示しない)で加熱された給湯用水の湯温を一定温度に保つために、加熱後の給湯用水の温度を検出する貯湯サーミスタ(最上部)55aの検出温度に基づいて電動ポンプ(図示しない)の回転数制御を行っている。
【0078】
なお、本実施形態では、中温の給湯用水を取り出すための中温取り出し配管12を第2貯湯タンク11に一つ設けたが、これに限らず、図2に示すように、複数の中温取り出し管13を第2貯湯タンク11の垂直方向に設けるとともに、そのうちのいずれか一つを選択するための切替弁59を設けても良い。
【0079】
これによれば、第2貯湯タンク11内に貯えられる給湯用水のうち、中温の給湯用水を容易に検出でき、かつ取り出すことができる。さらに、中温取り出し配管12を第2貯湯タンク11のみに設けたが、これに限らず、図2に示すように、第1貯湯タンク10の下方部に設けても良い。
【0080】
次に、以上の構成による貯湯式給湯装置の作動について説明する。まず、図示しない電源スイッチがオンされると、例えば、深夜時間帯に達すると、熱源制御部42によりヒートポンプユニット20内のヒートポンプサイクル部品(図示しない)と電動ポンプ(図示しない)などのアクチュエータ類を制御させて第1、第2貯湯タンク10、11内の給湯用水を加熱して高温(例えば85℃)の給湯用水が貯えられる。
【0081】
そして、第1、第2貯湯タンク10、11内に貯えられた給湯用水が台所、洗面所、浴室などへ給湯の用途に供されるとともに、貯えられた高温の給湯用水を熱源として、二次側流体を加熱させて床暖ユニット60、暖房ユニット70により暖房の用途に供されるものである。
【0082】
そこで、床暖ユニット60もしくは暖房ユニット70を運転したときの装置の作動について説明する。床暖ユニット60は、図示しない運転スイッチを操作すると熱動弁62が開弁され、第2循環ポンプ39が運転する。これにより、配管61aに二次側流体が流通する。
【0083】
なお、暖房ユニット70は、図示しない運転スイッチを操作すると、開閉弁73が開弁され、放熱器71に二次側流体が流通され、その後に送風機72が作動して放熱器71で室内空気が加熱される。そして、二次側流体が流通すると、第1循環ポンプ38が運転されて第1貯湯タンク10内の高温の給湯用水が第1流通部30aに流通され、第1流通部30aで二次側流体と熱交換された給湯用水が第1貯湯タンク内10に戻される。
【0084】
ここで、第1循環ポンプ38および第2循環ポンプ39は、熱交換後サーミスタ56により検出された二次側流体の湯温が所定温度となるように回転数を制御される。これにより、一次側循環回路31内に流通する流量が設定されるとともに、二次側循環回路32内を流通する二次側流体の流量が設定される。
【0085】
因みに、熱交換後サーミスタ56により検出された二次側流体の湯温の所定温度は、床暖ユニット60と暖房ユニット70では異なるように設定され、例えば、床暖ユニット60が運転しているときは、約60℃程度、暖房ユニット70のみが運転しているときは約80℃程度にしてある。これは、床暖房に最適となる温度帯の湯温を超えないようにしてある。
【0086】
これにより、第2流通部30bを流通する二次側流体により暖房用熱交換器30で熱交換されたほぼ中温の給湯用水が第1貯湯タンク10内に戻されることになる。また、暖房用熱交換器30の出力により第1貯湯タンク10内の貯湯温度が低下してくる。このように、中温の給湯用水が第1貯湯タンク10内に多く貯められてくると、高温の給湯用水の層が第1貯湯タンク10内の上方に移動して早期に湯切れを起こすことになったり、湯上り運転のときに加熱前の給湯用水の貯湯温度が高いほど高圧圧力が高くなることで運転効率が低下する問題がある。
【0087】
そこで、本実施形態では、第1貯湯タンク10内の上方の貯湯温度が第2貯湯タンク11内の上方の貯湯温度よりも低下したときは、切換弁25の流れ方向が循環状態に切り換えられて、第3循環ポンプ24が作動するように制御されることで、第1貯湯タンク10内の中温の給湯用水が第2貯湯タンク11内の上方に圧送され、第2貯湯タンク11内の上方に貯えられた高温の給湯用水が第1タンク10内の最上部10fに圧送される。
【0088】
これにより、第1タンク10内の上方に常に高温の給湯用水が貯められることになることで早期に湯切れを起こすことはない。ところで、連通用配管19を介して第1貯湯タンク10と連通している第2貯湯タンク11内の高温の給湯用水は、上述した入れ替えをしないときは、第1貯湯タンク10内の中温の給湯用水によって第2貯湯タンク11側の高温の給湯用水が緩和されることになるので中温の給湯用水が多くなるのを防止できる。
【0089】
さらに、本実施形態では、給湯の用途のときに第2貯湯タンク11内に戻されたほぼ中温の給湯用水を中温取り出し配管13から取り出すように制御している。具体的には、図示しない給湯水栓もしくはシャワー水栓を開いて、流量カウンタ54により流量情報が給湯制御部41に出力されると、高中温水混合弁17および給湯用混合弁18が制御されて給湯用水の温度調節を行なう。
【0090】
より具体的には、高中温水混合弁17において、貯湯サーミスタ55a、55bにより検出された第1、第2貯湯タンク10、11内の貯湯温度が所定温度(例えば、30℃)以上のときは、中温取り出し配管13から取り出される中温の蓄熱用流体、もしくは中温取り出し配管13から取り出される中温の給湯用水と高温取り出し配管12から取り出される高温の給湯用水との両方から混合させて所定温度(例えば、設定温度+5℃程度)以上の湯温の給湯用水を給湯用配管14に流通するように制御される。
【0091】
これにより、中温の給湯用水が給湯用配管14に多く流通されることで第2貯湯タンク11内の下方には給水用配管16から低温の水道水が導水される。なお、例えば、ヒートポンプユニット20の沸き上げ直後や床暖ユニット60もしくは暖房ユニット70を運転させないときは、貯湯サーミスタ55a、55bにより検出された第1、第2貯湯タンク10、11内の給湯用水の湯温が所定温度(例えば、30℃)未満のときがある。このときは、高温取り出し配管12から取り出される高温の給湯用水をそのまま給湯用配管14に流通するように制御される。
【0092】
そして、給湯用混合弁18において、給水サーミスタ51および出湯サーミスタ52、53により検出された温度情報に基づいて、高中温水混合弁17で温度調節された給湯用水と給水用配管16からの水道水を混合させて設定温度に調節された給湯用水を出湯するものである。
【0093】
なお、給湯用配管15から給湯用水を出湯する給湯のときに、中温の給湯用水の消費が少ないときは、貯湯タンク10、11内の中温の給湯用水は時間経過とともに、その給湯用水の比重差により上方に高温、下方に低温および上方と下方との間に中間層(中温)が形成される。
【0094】
以上の第1実施形態による貯湯式給湯装置によれば、暖房用熱交換器30により給湯用水が被加熱流体と熱交換されて貯湯温度の低いほぼ中温の給湯用水が第1貯湯タンク10内に戻されて増加するが、第2貯湯タンク11内の高温の給湯用水を第1貯湯タンク10の最上部に圧送するように構成したことにより、第2貯湯タンク11内の高温の給湯用水を第1貯湯タンク10側の中温の給湯用水で緩和させることなく給湯の用途に用いることができる。
【0095】
また、第1貯湯タンク10側の早期の湯切れが防止されるとともに、低温の給湯用水を吸い込んで加熱させることができるので沸き上げ運転時におけるヒートポンプユニット20の運転効率の低下が防止できる。
【0096】
また、高温の給湯用水と中温の給湯用水とを混合させて所定温度の給湯用水に調節する高中温水混合弁17を設けて、一方側に第1貯湯タンク10内の高温の給湯用水を流入させ、かつ他方側に第1もしくは第2貯湯タンク10、11内の中温の給湯用水を流入させるように構成したことにより、中温の給湯用水を給湯の用途に積極的に消費することができる。
【0097】
これにより、早期の湯切れが防止されるとともに、低温の給湯用水を吸い込んで加熱させることができるので沸き上げ運転時におけるヒートポンプユニット20の運転効率の低下が防止できる。
【0098】
より、具体的には、高温の給湯用水を取り出す高温取り出し配管12と、第1もしくは第2貯湯タンク10には、中温の給湯用水を取り出す中温取り出し配管13とを設け、高中温水混合弁17は、一方側が高温取り出し配管12に接続され、かつ他方側が中温取り出し配管13に接続されていることにより、暖房用熱交換器30により熱交換された湯温の低いほぼ中温の給湯用水を中温取り出し配管13から取り出して高中温水混合弁17の他方側に接続させることにより、中温の給湯用水を給湯の用途に積極的に消費することができる。
【0099】
また、中温取り出し配管13は、少なくとも二つ以上の複数個設けられ、そのうちのいずれか一つの中温の給湯用水を選択して高中温水混合弁17の他方側に流通するように構成したことにより、中温の給湯用水が貯えられる部位は、第1、第2貯湯タンク10、11の垂直方向に一様でないため複数個の中温取り出し配管13が設けられることにより、的確にかつ積極的に中温の給湯用水を積極的に取り出すことができる。
【0100】
また、ヒートポンプユニット20は、冷媒の高圧側圧力が臨界圧力以上となる超臨界ヒートポンプであり、臨界圧力以上に昇圧された冷媒により第1、第2貯湯タンク10、11内の給湯用水を加熱することにより、超臨界ヒートポンプサイクルにおいては、給湯用水を目標温度(例えば、65〜90℃)まで加熱する場合、加熱前の給湯用水の湯温が低いほど、高圧圧力が低くなることでサイクル効率(COP=加熱能力/消費電力)が向上する。従って、低温の給湯用水を超臨界ヒートポンプサイクルにて加熱することにより、サイクル効率が向上し、省動力運転を行なうことができる。
【0101】
(第2実施形態)
以上の第1実施形態では、第1、第2貯湯タンク10、11内に貯えられた給湯用水を台所、洗面所、浴室などへ給湯機能に用いるとともに、貯えられた高温の給湯用水を熱源として、二次側流体を加熱させて暖房機能に用いたが、これに限らず、暖房機能の他に浴水を追い焚きする機能に用いても良い。
【0102】
本実施形態では、第1、第2貯湯タンク10、11内に貯えられた給湯用水を台所、洗面所、浴室などへ給湯機能に用いるとともに、貯えられた高温の給湯用水およびこれを熱源として、浴槽へのお湯張りおよびお湯張りされた浴水を追い焚きする機能を有するものである。図3は本実施形態における貯湯式給湯装置の全体構成を示す模式図である。なお、ここで、第1実施形態と同じ構成のものは同一の符号で示すとともにその構成の説明は省略する。
【0103】
本実施形態の貯湯式給湯装置は、図3に示すように、給湯機能の構成に浴槽へのお湯張りをする構成部品と、浴槽内の浴水を追い焚きする機能の構成部品を設けたものである。まず、お湯張り機能における構成部品について説明する。
【0104】
このお湯張り機能は給湯用配管14a、15aを介して給湯用水と水道水とを混合させて浴槽へ出湯するものであり、お湯張りを含めて差し湯およびたし湯することができるようにしている。具体的には、給湯用配管14から分岐した給湯用配管14a、15aを浴水循環回路81に設けられた分岐点82aに接続している。
【0105】
そして、給湯用配管14aの下流端と給水用配管16の合流部位において第1給湯温度調節手段であるお湯張り用混合弁18aが設けられ、そのお湯張り用混合弁18aの出口側に給湯用配管15aが接続されている。そして、その給湯用配管15aには、上流側から順に、お湯張り用給湯サーミスタ53a、お湯張り用開閉弁57、お湯張り用流量カウンタ54a、逆止弁80が設けられている。
【0106】
お湯張り用混合弁18aは、上述した給湯用混合弁18と同じように、給湯用配管15aに出湯させる給湯用水の湯温を調節する温度調節弁であり、それぞれの開口面積比を調節することで、高中温水混合弁17で温度調節された給湯用水と給水用配管16から導水される水道水との混合比を調節して設定温度に調節するように制御される。
【0107】
さらに、お湯張り用混合弁18aは、後述する給湯制御部41に電気的に接続されており、上述した給水サーミスタ51、出湯サーミスタ52、およびお湯張り用給湯サーミスタ53aにより検出される給湯用水の温度情報に基づいて制御される。
【0108】
また、お湯張り用開閉弁57は、後述する給湯制御部41により制御され、給湯用配管15aに流れる混合湯を開閉する電磁弁である。お湯張り用流量カウンタ54aは給湯用配管15a内に流れる混合湯流量を検出するものであり、このお湯張り用流量カウンタ54aにより検出された流量情報を後述する給湯制御部41に出力するようにしている。そして、逆止弁80は浴水循環回路81内の浴水が給湯用配管15a内に流通させないための弁である。
【0109】
なお、お湯張り用開閉弁57を開弁させて浴槽にお湯張り、差し湯、たし湯をするときは、後述する開閉弁86も開弁するように制御されるとともに、水圧スイッチ85により検出された水位レベルが所定レベルに達したときに、お湯張り用開閉弁57および開閉弁86が閉弁されて設定流量の混合湯が浴槽内にお湯張りされることになる。また、差し湯、たし湯は、お湯張り用流量カウンタ54aにより検出された流量情報に基づいて所定の流量の混合湯が出湯されるように制御される。
【0110】
次に、追い焚き機能の構成部品について説明する。浴水循環回路81は、浴槽内の浴水を熱交換器である追い焚き用熱交換器35に流通させる循環回路であり、追い焚き用熱交換器35、往き管82、戻り管83、およびバイパス管84から構成されている。
【0111】
また、往き管82には、上流側から順に、水圧スイッチ85、開閉弁86、第3循環ポンプ87、浴水温サーミスタ88、流水スイッチ89、および追い焚き三方弁90が設けられている。また、戻り管83には、下流側に追い焚きサーミスタ91が設けられている。
【0112】
本実施形態の追い焚き用熱交換器35は、例えば、パイプからなりスパイラル状に形成した配管で熱交換器を構成し、第1貯湯タンク10内の上方に配設したものである。これによれば、第1貯湯タンク10内の高温の給湯用水と浴水とが熱交換されるものである。また、水圧スイッチ85は、浴槽内にお湯張りされた浴水の湯量、言い換えれば浴槽内の水位レベルを求めるための水圧を検出するセンサである。
【0113】
開閉弁86は浴水循環回路81を開閉する電磁弁であり、第3循環ポンプ87は浴槽内の浴水を追い焚き用熱交換器35に圧送する電動ポンプである。浴水温サーミスタ88は、往き管82を流通する浴水の湯温を検出する水温センサである。
【0114】
流水スイッチ89は、追い焚き三方弁90側の方向に浴水および後述する給湯用水が流通しているか否かを検出するための流水センサである。追い焚き三方弁90は、浴水を追い焚き用熱交換器35に流通させるか、追い焚き用熱交換器35を迂回するバイパス管84のいずれか一方に流通方向を切り換えるための切換弁である。追い焚きサーミスタ91は、戻り管93を流通する浴水の湯温を検出する水温センサであり、浴槽内に戻される浴水温度である。
【0115】
なお、水圧スイッチ85、流水スイッチ89、浴水温サーミスタ88および追い焚きサーミスタ91は、それぞれの容積情報、流水情報および温度情報を後述する給湯制御部41に出力するようにされ、開閉弁86、第3循環ポンプ87および追い焚き三方弁90は後述する給湯制御部41により制御される。
【0116】
また、お湯張り後に浴槽内の浴水の温度を検出するときは、追い焚き三方弁90をバイパス管84側に流れ方向を切り換えるとともに、第3循環ポンプ87を作動させることで、浴槽内の浴水が往き管82、バイパス管84、戻り管83、浴槽内の順に循環されて浴水温サーミスタ88により浴水の湯温を検出するようにしている。
【0117】
また、追い焚きするときは、追い焚き三方弁90の流れ方向を追い焚き用熱交換器35側に切り換えることで、浴槽内の浴水が往き管82、追い焚き用熱交換器35、戻り管83、浴槽内の順に循環されて、浴水温サーミスタ88により検出された浴水の湯温が所定温度になるまで循環させるように制御される。
【0118】
次に、以上の構成による貯湯式給湯装置の浴水を追い焚きする作動について説明する。追い焚きスイッチ(図示せず)を操作しておくと、所定時間毎に浴水温度を検出して、その浴水温度が追い焚き設定温度に未達であれば浴水を加熱するように作動する。つまり、給湯制御部41により、所定時間後に追い焚き三方弁90、開閉弁86、第3循環ポンプ87が作動して浴槽内の浴水を往き管82、バイパス管84、戻り管83の順に循環させる。
【0119】
このときに、浴水温サーミスタ88により浴水温を検出する。検出された浴水温が追い焚き設定温度以下であると、追い焚き三方弁90の流れ方向を追い焚き用熱交換器35側に切り換えて浴水を追い焚き用熱交換器35に流通させる。
【0120】
これにより、浴水が給湯用水熱エネルギーを受けて加熱される。そして、浴水温が設定温度に達すると、追い焚き三方弁90の流れ方向がバイパス管84側に切り換えられるとともに、開閉弁86が閉弁、第3循環ポンプ87が停止する。これにより、浴水が追い焚き設定温度を維持するように保温されるものである。
【0121】
この浴水の追い焚きにより、第1貯湯タンク10内に浴水温と同程度のほぼ中温の給湯用水が貯えられることになるが、第1実施形態と同じように、第1貯湯タンク10内の上方の貯湯温度が第2貯湯タンク11内の上方の貯湯温度よりも低下したときは、切換弁25の流れ方向が循環状態に切り換えられて、第3循環ポンプ24が作動するように制御されることで、第1貯湯タンク10内の中温の給湯用水が第2貯湯タンク11内の上方に圧送され、第2貯湯タンク11内の上方に貯えられた高温の給湯用水が第1タンク10内の最上部10fに圧送される。
【0122】
これにより、第1タンク10内の上方に常に高温の給湯用水が貯められることになる。そして、給湯のときに、貯えられた中温の給湯用水を中温取り出し配管13から積極的に取り出すことで、第2貯湯タンク11内の下方部には給水用配管16から低温の水道水が導水される。これにより、沸き上げ運転のときに中温の給湯用水を吸い込むことはない。
【0123】
また、本実施形態では、浴槽へお湯張りを行なうことで第1、第2貯湯タンク10、11内に貯えられた中温の給湯用水を積極的にも消費できる。因みに、浴槽内に給湯用水をお湯張りするときの作動について説明する。
【0124】
お湯張りスイッチ(図示せず)を操作することにより、給湯制御部41により、お湯張り用開閉弁57、開閉弁86を開弁させる。これにより、給湯用配管15aの上流端の水栓が開弁されたことになるため、流量カウンタ54aにより流量情報が給湯制御部41に出力されると、高中温水混合弁17および追い焚き用用混合弁18aが制御されて給湯用水の温度調節を行なう。
【0125】
具体的には、第1実施形態と同様に、高中温水混合弁17において、貯湯サーミスタ55a、55bにより検出された第1、第2貯湯タンク10、11内の貯湯温度が所定温度(例えば、30℃)以上のときは、中温取り出し配管13から取り出される中温の蓄熱用流体、もしくは中温取り出し配管13から取り出される中温の給湯用水と高温取り出し配管12から取り出される高温の給湯用水との両方から混合させて所定温度(例えば、設定温度+5℃程度)以上の湯温の給湯用水を給湯用配管14,14aに流通するように制御される。
【0126】
これにより、中温の給湯用水が給湯用配管14,14aに多く流通されることで第2貯湯タンク11内の下方部には給水用配管16から低温の水道水が導水される。次に、追い焚き用混合弁18aにおいて、給水サーミスタ51および出湯サーミスタ52、53aにより検出された温度情報に基づいて、高中温水混合弁17で温度調節された給湯用水と給水用配管16からの水道水を混合させて追い焚き設定温度に調節された給湯用水を出湯するものである。
【0127】
以上の第2実施形態の貯湯式給湯装置によれば、追い焚き用熱交換器35により浴水を追い焚きすることで、熱交換された湯温の低いほぼ中温の給湯用水が第1貯湯タンク10内に貯められるが、第2貯湯タンク11内の高温の給湯用水を第1貯湯タンク10の最上部に圧送するように構成したことにより、第2貯湯タンク11内の高温の給湯用水を第1貯湯タンク10側の中温の給湯用水で緩和させることなく給湯の用途に用いることができる。
【0128】
また、第1貯湯タンク10側の早期の湯切れが防止されるとともに、低温の給湯用水を吸い込んで加熱させることができるので沸き上げ運転時におけるヒートポンプユニット20の運転効率の低下が防止できる。
【0129】
さらに、給湯およびお湯張りにおいて中温の給湯用水を積極的に消費することで第1実施形態と同様に早期の湯切れが防止されるとともに、低温の給湯用水を吸い込んで加熱させることができるので沸き上げ運転時におけるヒートポンプユニット20の運転効率の低下が防止できる。
【0130】
なお、本実施形態では、追い焚き用熱交換器35を第1貯湯タンク10内に配設させたが、これに限らず、第1実施形態の暖房用熱交換器30のように、第1、第2貯湯タンク10、11の外部に設置して、第2流通部30bに浴水を流通するように構成しても良い。
【0131】
(第3実施形態)
以上の実施形態では、第1、第2貯湯タンク10、11とを連通する連通用配管19、流れ方向を切り換える切換弁25、この切換弁25に接続する第1導入管22、第2導入管23、および第3循環ポンプ24を設けて、第1貯湯タンク10内の上部貯湯温度が第2貯湯タンク11内の上部貯湯温度よりも低下したときに、第1貯湯タンク10内の上部に第2貯湯タンク11内の高温の給湯用水と入れ替えるように、切換弁25と第3循環ポンプ24とを制御するようにしたが、これに限らず、ヒートポンプユニット20内に設けられた電動ポンプ(図示せず)を用いるように構成しても良い。
【0132】
具体的には、図4に示すように、流体加熱用流路21の吸入側の中途と連通用配管19の中途に切換弁25を設けている。より具体的には、切換弁25が、通常状態およびヒートポンプユニット20の沸き上げ運転のときに、第1貯湯タンク10の最下部10cと第2貯湯タンクの最上部11cとが連通し、かつ第2貯湯タンク11の底部11aとヒートポンプユニット20の入口側とが連通するように配設されるとともに、循環状態のときに、第2貯湯タンクの最上部11cとヒートポンプユニット20の入口側とが連通するように配設している。
【0133】
そして、図中に示す27、28は、第2貯湯タンク11の底部11aと第1貯湯タンク10の最下部10cとを連通するバイパス配管27であり、そのバイパス配管27を開閉する開閉弁28が設けられている。この開閉弁28は、通常状態およびヒートポンプユニット20の沸き上げ運転のときに閉弁し、循環状態のときに開弁するように制御される。なお、ヒートポンプユニット20内に設けられた電動ポンプ(図示せず)も循環状態のとき、および沸き揚げ運転のときに作動する。
【0134】
これにより、第1貯湯タンク10内の上部貯湯温度が第2貯湯タンク11内の上部貯湯温度よりも低下したときの循環状態のときは、第2貯湯タンク11内の高温の給湯用水が、第2貯湯タンク11の最上部11c→連通用配管19→切換弁25→流体加熱用流路21の吸入側→ヒートポンプユニット20→第1貯湯タンク10の上部10aの順に圧送される。
【0135】
一方、第1貯湯タンク10内の中温の給湯用水が、第1貯湯タンク10の最下部10c→バイパス配管27→第2貯湯タンク11の底部11aの順に圧送される。従って、以上の第1、第2実施形態と同じように第1タンク10内の上方に常に高温の給湯用水が貯められることになることで早期に湯切れを起こすことはない。さらに、ヒートポンプユニット20の電動ポンプを用いることで第3循環ポンプ24を設ける必要はない。
【0136】
(他の実施形態)
以上の実施形態では、本発明を第1実施形態では給湯機能と暖房機能との組み合わせ、第2実施形態では、給湯機能とお湯張りおよび追い焚き機能との組み合わせた貯湯式給湯装置に適用させたが、給湯機能と暖房機能とお湯張りおよび追い焚き機能とを組み合わせた貯湯式給湯装置に適用させても良い。また、暖房機能を温風器で構成したが、これらの他に浴室乾燥器、衣類乾燥器にも適用できる。
【0137】
さらに、冷媒に二酸化炭素を用いたヒートポンプユニット20を熱源装置として説明したが、これに限らず、フロン、代替フロンなどの冷媒を用いる一般的なヒートポンプサイクルでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明の第1実施形態における貯湯式給湯器の全体構成を示す模式図である。
【図2】本発明の第1実施形態の変形例における貯湯式給湯器の全体構成を示す模式図である。
【図3】本発明の第2実施形態における貯湯式給湯器の全体構成を示す模式図である。
【図4】本発明の第3実施形態における貯湯式給湯器の全体構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0139】
10…第1貯湯タンク
11…第2貯湯タンク
12…高温取り出し配管
13…中温取り出し配管
17…高中温水混合弁(第2給湯温度調節手段)
18…給湯用混合弁(第1給湯温度調節手段)
18a…追い焚き用混合弁(第1給湯温度調節手段)
20…ヒートポンプユニット(加熱手段)
30…暖房用熱交換器(熱交換器)
35…追い焚き用熱交換器(熱交換器)
60…床暖房ユニット(暖房装置)
70…暖房ユニット(暖房装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯用水を内部に貯える第1貯湯タンク(10)と、
最上部を前記第1貯湯タンク(10)の最下部に連通し、給湯用水を内部に貯える第2貯湯タンク(11)と、
前記第2貯湯タンク(11)内に貯えられた低温の給湯用水を導いて高温冷媒と熱交換させて沸き上げて前記第1貯湯タンク(10)の最上部に圧送する加熱手段(20)と、
前記第1貯湯タンク(10)内に貯えられた高温の給湯用水と被加熱流体とを熱交換して中温の給湯用水に変換する熱交換器(30、35)とを備える貯湯式給湯装置において、
前記熱交換器(30、35)の出力によって前記第1貯湯タンク(10)内の貯湯温度が低下したときは、前記第2貯湯タンク(11)内の高温の給湯用水と前記第1貯湯タンク(10)内の中温の給湯用水とを入れ替えるように構成したことを特徴とする貯湯式給湯装置。
【請求項2】
前記第1貯湯タンク(10)内の上部貯湯温度が前記第2貯湯タンク(11)内の上部貯湯温度よりも低下したときは、前記第2貯湯タンク(11)内の高温の給湯用水を前記第1貯湯タンク(10)の最上部に圧送するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項3】
一方側に流入する高温の給湯用水と他方側に流入する中温の給湯用水とを混合させて所定温度の給湯用水に調節する第2給湯温度調節手段(17)と、
一方側に流入する前記第2給湯温度調節手段(17)で調節された所定温度の給湯用水と他方側に流入する水道水とを混合させて所望する出湯温度に調節する第1給湯温度調節手段(18、18a)とが設けられ、
前記第2給湯温度調節手段(17)は、一方側に前記第1貯湯タンク(10)内の高温の給湯用水を流入させ、かつ他方側に前記第1もしくは第2貯湯タンク(10、11)内の中温の給湯用水を流入させるように構成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項4】
前記第1貯湯タンク(10)には、高温の給湯用水を取り出す高温取り出し配管(12)と、前記第1もしくは第2貯湯タンク(10)には、中温の給湯用水を取り出す中温取り出し配管(13)とが設けられ、
前記第2給湯温度調節手段(17)は、一方側が前記高温取り出し配管(12)に接続され、かつ他方側が前記中温取り出し配管(13)に接続されていることを特徴とする請求項3に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項5】
前記中温取り出し配管(13)は、少なくとも二つ以上の複数個設けられ、そのうちのいずれか一つの中温の給湯用水を選択して前記第2給湯温度調節手段(17)の他方側に流通するように構成したことを特徴とする請求項4に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項6】
前記熱交換器(30、35)は、前記第1貯湯タンク(10)内の給湯用水と浴槽内の浴水とを熱交換する追い焚き用熱交換器(35)であることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項7】
前記追い焚き用熱交換器(35)は、前記第1貯湯タンク(10)内の高温の給湯用水が貯えられる部位に配設され、その高温の給湯用水と内部に流通する浴槽内の浴水との両者で熱交換するように構成されることを特徴とする請求項6に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項8】
前記熱交換器(30)は、一次側と二次側とが対向流となるように構成され、前記第1貯湯タンク(10)内の給湯用水を一次側に流通させて二次側に流通する二次側流体を加熱する熱交換器であり、加熱された二次側流体と被加熱流体もしくは被加熱物のいずれか一方とが熱交換する暖房装置(60、70)を具備することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載の貯湯式給湯装置。
【請求項9】
前記加熱手段(20)は、冷媒の高圧側圧力が臨界圧力以上となる超臨界ヒートポンプであり、前記臨界圧力以上に昇圧された冷媒により前記第1、第2貯湯タンク(10、11)内の給湯用水を加熱することを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載の貯湯式給湯装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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