説明

貯湯式給湯装置

【課題】1台の循環ポンプで風呂の加熱や暖房、貯湯等の多種類の運転を可能にする。
【解決手段】ヒーポン循環回路14のヒーポン往き管9に前記ヒーポン循環ポンプ10を備え、このヒーポン循環ポンプ10の上流側には貯湯タンク2底部と連通するか、バイパス管11を介して貯湯タンク2上部と連通するかを切替える第1三方弁12を備え、更にヒーポン循環回路14のヒーポン戻り管13には、貯湯タンク2上部と連通するか、前記外熱交換器17を有し貯湯タンク2下部に接続した加熱管18と連通するかを切替える第2三方弁19を備え、貯湯タンク2の沸き上げと風呂、暖房を一つのヒーポン循環ポンプ10で可能としたので、暖房時の消費電力を低下することが出来、運転騒音も低下させることが出来、且つ安価に提供され、又タンクユニットのコンパクト化や重量の低減が図られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はヒートポンプ加熱式の貯湯式給湯及び風呂或いは暖房装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりこの種のものには、図2に示すように、給水管101と出湯管102が接続され湯水を貯湯する貯湯タンク103と、前記貯湯タンク103内の湯水を加熱するヒートポンプ式加熱手段104と、前記貯湯タンク103と前記ヒートポンプ式加熱手段104とを湯水が循環可能に接続するヒーポン循環回路と、前記ヒーポン循環回路に設けられ湯水を循環させるヒーポン循環ポンプ105と、前記ヒーポン循環回路に三方弁106を介して接続され前記ヒーポン循環回路をバイパスするバイパス管107と、前記バイパス管107途中に設けられ暖房用放熱器へ循環する循環水を加熱するための暖房用熱交換器108とを備え、前記ヒートポンプ式加熱手段104で加熱された温水を前記暖房用熱交換器108に循環させる構成とし、前記バイパス管107の前記暖房用熱交換器108の下流から分岐して前記貯湯タンク103の中間位置に連通する中間戻し管109を接続すると共に、前記貯湯タンク103の中間位置に中間出湯管110を接続し、貯湯運転時は前記三方弁106を前記ヒートポンプ式加熱手段104と前記貯湯タンク103とで循環するように切換え、暖房運転時は前記三方弁106を前記ヒートポンプ式加熱手段104と前記暖房用熱交換器108とで循環するように切換えるように構成し、前記バイパス管107途中、又は中間戻し管109に1次側暖房循環ポンプ111を設けることで、貯湯タンク103内の貯湯温水を暖房循環ポンプ111の駆動により暖房用熱交換器108に循環させることが可能となり、貯湯タンク103内の貯湯温水も暖房運転の熱源として用いることが可能となるものであった。(例えば、特許文献1参照)
【特許文献1】特開2006−10187号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところでこの従来のものでは、前記ヒートポンプ式加熱手段104を作動せずに貯湯タンク103内の温水のみで暖房を行うためには、ヒーポン循環ポンプ105と1次側暖房循環ポンプ111と2次側暖房循環ポンプ112の3台もの循環ポンプが必要であるため、暖房時の消費電力の増加や運転騒音の問題が有った。
また、タンクユニット内に3台の循環ポンプを収納しなければならないために、タンクユニットの大型化や重量増大の原因になっていた。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明はこの点に着目し上記欠点を解決する為、特にその構成を、給水管と出湯管が接続され湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯水を加熱するヒートポンプ式加熱手段と、前記貯湯タンクと前記ヒートポンプ式加熱手段とを湯水が循環可能に接続するヒーポン循環回路と、このヒーポン循環回路に設けられ湯水を循環させるヒーポン循環ポンプと、風呂や暖房用放熱器に接続して2次側循環回路を形成する外熱交換器と、この外熱交換器に貯湯タンクの湯水を循環させる1次側循環回路を備えた貯湯式給湯装置に於いて、前記ヒーポン循環回路のヒーポン往き管に前記ヒーポン循環ポンプを備え、このヒーポン循環ポンプの上流側には貯湯タンク底部と連通するか、バイパス管を介して貯湯タンク上部と連通するかを切替える第1三方弁を備え、更にヒーポン循環回路のヒーポン戻り管には、貯湯タンク上部と連通するか、前記外熱交換器を有し貯湯タンク下部に接続した加熱管と連通するかを切替える第2三方弁を備え、貯湯タンクの沸き上げと風呂、暖房を一つのヒーポン循環ポンプで可能としたものである。
【発明の効果】
【0005】
この発明によれば、貯湯運転や風呂、暖房運転で使用する循環ポンプを1台で兼用したことにより、暖房時の消費電力を低下することが出来、運転騒音も低下させることが出来、且つ安価に提供され、又タンクユニットのコンパクト化や重量の低減が図られ、しかも暖房と貯湯動作を同時に行うことも出来ると言う効果を有するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
次にこの発明の一実施形態の貯湯式給湯装置を図面に基づき説明する。
1は湯水を貯湯する貯湯タンク2等を収納する貯湯タンクユニット、3は貯湯タンク2内の湯水を加熱する加熱手段としてのヒートポンプ式加熱手段で、内部には圧縮機4と凝縮器としての冷媒−水熱交換器5と電子膨張弁6と強制空冷式の蒸発器7とで構成され、このヒートポンプ式加熱手段3には冷媒として二酸化炭素が用いられて超臨界ヒートポンプサイクルを構成しているものである。また、前記圧縮機4や電子膨張弁6等によりヒートポンプサイクルを駆動制御するヒーポン制御部8を設けている。
【0007】
9は前記貯湯タンク2の底部と冷媒−水熱交換器5を接続するヒーポン往き管で、ヒーポン循環ポンプ10が取り付けられ、このヒーポン循環ポンプ10と前記貯湯タンク2の間の上流側には、冷媒−水熱交換器5と貯湯タンク2底部とを連通するか、バイパス管11を介して貯湯タンク2上部と連通するかを切替える第1三方弁12が備えられている。
【0008】
13は前記ヒーポン往き管9と共にヒーポン循環回路14を構成するヒーポン戻り管で、端部には冷媒−水熱交換器5を通過後の湯水を連通管15を介して貯湯タンク2上部に戻すか、風呂や暖房放熱器(図示せず)が接続した2次側循環回路16と熱交換する外熱交換器17を有した加熱管18を介して貯湯タンク2下部に戻すかを切替える第2三方弁19が備えられている。
【0009】
前記外熱交換器17には、貯湯タンク2に貯湯された温水が循環したり、或いはヒートポンプ式加熱手段3で加熱されたばかりの温水を循環させ、2次側循環回路16と熱交換させて温度低下した温水を、加熱管18の一端が接続した貯湯タンク2下部に戻すもので、この外熱交換器17と加熱管18とで1次側循環回路20を構成するものであり、ここで2次側循環回路16は風呂の循環回路を構成し、途中には風呂循環ポンプ21を有しているものである。
【0010】
22は貯湯タンク2底部に接続された給水管で、出湯された分の給水を給水圧で補水するものであり、23は貯湯タンク2上部に接続し出湯を行う出湯管で、途中には給水管22から分岐した給水バイパス管24が接続し、設定された出湯温度になるように温水と給水とを混合するミキシング弁25が設けられている。
【0011】
26は貯湯タンク2の各高さ毎に取り付けられた温度センサ27からの湯温状態によって、沸き上げ開始や完了、残湯量や沸き増し等を各部品を駆動させて制御する制御部で、更にミキシング弁25等も制御して出湯制御も行うものである。
【0012】
次にこの発明一実施形態の作動について説明するが、先ず、貯湯タンク2内にヒートポンプ式加熱手段3で加熱された高温水を貯湯する貯湯運転について説明する。
制御部26は深夜時刻になると電力単価が安価な深夜時間帯内で朝の所定時刻までに沸き上がるように貯湯運転を開始し、第1三方弁12を貯湯タンク2底部側をヒートポンプ式加熱手段3と連通させると共に、第2三方弁19を貯湯タンク2上部と連通状態に切替えて、ヒーポン循環ポンプ10を駆動させて貯湯タンク2底部の低温水(給水)を、ヒートポンプ式加熱手段3の冷媒−水熱交換器5に流入させ、ここで高温に加熱された高温水を貯湯タンク2上部から順次貯湯して行き、最終的には貯湯タンク2内を全て高温水とすることで沸き上げが完了するものである。
【0013】
次にこの貯湯された高温水を出湯する場合には、給湯栓等を開栓することで、出湯管23からの高温水がミキシング弁25で、給水バイパス管24からの給水と希望する設定温度になるようにミキシングされて、適宜出湯されて使用されるものである。
【0014】
次に貯湯タンク2に貯湯された温水を利用しての2次側循環回路16の加熱について説明すれば、第1三方弁12をバイパス管11とヒーポン循環ポンプ10とが連通するように切替えて、貯湯タンク2上部から高温水を取り出せるようにすると共に、第2三方弁19を加熱管18側の連通に切替えて、ヒーポン循環ポンプ10及び風呂循環ポンプ21を駆動することで、貯湯タンク2上部からの高温水をヒーポン循環ポンプ10によって、外熱交換器17に流通させ風呂循環ポンプ21により循環してくる浴槽水を加熱して、風呂を沸き上げたり追い焚きを行うもので、外熱交換器17で温度低下した温水は加熱管18を介して貯湯タンク2下部に戻され順次この循環を繰り返すものである。
【0015】
次にヒートポンプ式加熱手段3で加熱された高温水を、そのまま2次側循環回路16の加熱に使用する時下加熱について説明すれば、第1三方弁12を貯湯タンク2底部側をヒートポンプ式加熱手段3と連通させると共に、第2三方弁19を加熱管18側の連通に切替えて、ヒーポン循環ポンプ10及びヒートポンプ式加熱手段3及び風呂循環ポンプ21を駆動することで、貯湯タンク2底部の低温水をヒートポンプ式加熱手段3の冷媒−水熱交換器5で加熱してそのまま外熱交換器17に供給して、2次側循環回路16の風呂を沸き上げたり追い焚きをするものであり、外熱交換器17で温度低下した温水は加熱管18を介して貯湯タンク2下部に戻され再び循環するもので、折角貯湯した貯湯タンク2内の高温水を使用することなく、或いは貯湯した高温水がなくなった場合でも、2次側循環回路16の加熱が行われ、極めて使用勝手が良く安心して使用出来るものである。
【0016】
このように極めて簡単な構成によりヒーポン循環ポンプ10を、貯湯タンク2の沸き上げ用と2次側循環回路16の加熱用とに兼用して使用することが出来、ポンプは1台で済み安価に提供可能であり、又消費電力及び運転騒音も低減され、更にタンクユニットのコンパクト化や重量の低減が図られるものである。
【0017】
尚、この何一実施形態では、2次側循環回路16には風呂を接続したが、これに限定されることなく、暖房用放熱器を接続して暖房回路としても同様な効果を得ることが出来るものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】この発明の一実施形態を示す貯湯式給湯装置の概略構成図。
【図2】従来例の概略構成図。
【符号の説明】
【0019】
2 貯湯タンク
3 ヒートポンプ式加熱手段
9 ヒーポン往き管
10 ヒーポン循環ポンプ
11 バイパス管
12 第1三方弁
14 ヒーポン循環回路
16 2次側循環回路
17 外熱交換器
19 第2三方弁
20 1次側循環回路
22 給水管
23 出湯管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給水管と出湯管が接続され湯水を貯湯する貯湯タンクと、前記貯湯タンク内の湯水を加熱するヒートポンプ式加熱手段と、前記貯湯タンクと前記ヒートポンプ式加熱手段とを湯水が循環可能に接続するヒーポン循環回路と、このヒーポン循環回路に設けられ湯水を循環させるヒーポン循環ポンプと、風呂や暖房用放熱器に接続して2次側循環回路を形成する外熱交換器と、この外熱交換器に貯湯タンクの湯水を循環させる1次側循環回路を備えた貯湯式給湯装置に於いて、前記ヒーポン循環回路のヒーポン往き管に前記ヒーポン循環ポンプを備え、このヒーポン循環ポンプの上流側には貯湯タンク底部と連通するか、バイパス管を介して貯湯タンク上部と連通するかを切替える第1三方弁を備え、更にヒーポン循環回路のヒーポン戻り管には、貯湯タンク上部と連通するか、前記外熱交換器を有し貯湯タンク下部に接続した加熱管と連通するかを切替える第2三方弁を備え、貯湯タンクの沸き上げと風呂、暖房を一つのヒーポン循環ポンプで可能とした事を特徴とする貯湯式給湯装置。

【図1】
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【図2】
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