説明

貯湯式電気温水器

【課題】本発明は、扁平箱形の貯湯タンクの側面に水抜き栓を配設する場合であっても、水抜きの際に貯湯タンク内に残る水の量を少なくすることができる貯湯式電気温水器を提供する。
【解決手段】扁平箱形の貯湯タンクを備えた貯湯式電気温水器であって、前記貯湯タンクの側面には、給水部と、出湯部と、水抜き部と、が設けられ、前記水抜き部は、前記貯湯タンクの内部において、前記貯湯タンクの底部近傍に開口する第1の開口部と、前記貯湯タンクの外部において、前記第1の開口部よりも下方の位置に開口する第2の開口部と、を有し、前記第1の開口部と前記第2の開口部とが連通可能とされていること、を特徴とする貯湯式電気温水器が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯式電気温水器に関し、特に扁平箱形の貯湯タンクを備えた貯湯式電気温水器に関する。
【背景技術】
【0002】
高さ方向の寸法が小さいスペースに貯湯式電気温水器を設置するためには、貯湯タンクの厚みを薄くする必要がある。そのため、一般的な円筒形状の貯湯タンクと比較して、広い面を下にして設置をする扁平箱形の貯湯タンク(寝かせ置きの扁平箱形貯湯タンク)が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
ここで、貯湯式電気温水器を長期間使用する場合、貯湯タンク内が水垢などで汚れることがあるので、定期的に水抜きを行い、給水と排水とを繰り返し、貯湯タンク内を掃除する必要がある。また、貯湯タンク内の水が凍結するおそれがあるときにも、破損防止のために貯湯タンク内の水抜きをする必要がある。そのため、貯湯タンクには水抜きを行うための水抜き栓が設けられる場合がある。そして、一般的には、貯湯タンク内の水を完全に抜くことができるように、水抜き栓は貯湯タンクの底面に配設される(例えば、特許文献2を参照)。しかしながら、貯湯タンクの底面に水抜き栓を配設するようにすれば、貯湯式電気温水器の厚み方向寸法がその分大きくなり薄型化をするのが困難となる。
【0004】
一方、耐圧を確保するため、扁平箱形の貯湯タンクの稜線部分は曲面で構成されている(特許文献1の図2を参照)。そのため、貯湯タンクの側面に水抜き栓を配設する場合には、製造性や取り付け強度を考慮して、曲面部分を避けて平面部分に水抜き栓を配設するようにすることが好ましい。しかしながら、平面部分に水抜き栓を配設するようにすれば、水抜き栓の配設位置が高くなるので、水抜きの際に貯湯タンク内に残る水の量がその分多くなるという新たな問題が生じる。
【特許文献1】特開2000−74492号公報
【特許文献2】実開昭48−54143号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、扁平箱形の貯湯タンクの側面に水抜き栓を配設する場合であっても、水抜きの際に貯湯タンク内に残る水の量を少なくすることができる貯湯式電気温水器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、扁平箱形の貯湯タンクを備えた貯湯式電気温水器であって、前記貯湯タンクの側面には、給水部と、出湯部と、水抜き部と、が設けられ、前記水抜き部は、前記貯湯タンクの内部において、前記貯湯タンクの底部近傍に開口する第1の開口部と、前記貯湯タンクの外部において、前記第1の開口部よりも下方の位置に開口する第2の開口部と、を有し、前記第1の開口部と前記第2の開口部とが連通可能とされていること、を特徴とする貯湯式電気温水器が提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、扁平箱形の貯湯タンクの側面に水抜き栓を配設する場合であっても、水抜きの際に貯湯タンク内に残る水の量を少なくすることができる貯湯式電気温水器が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明をする。
【0009】
図1は、本発明の実施の形態に係る貯湯式電気温水器を説明するための模式斜視図である。
尚、図中の矢印は、水または湯の流れ方向を示している。
図1に示すように、貯湯式電気温水器1には、扁平箱形の貯湯タンク2、給水部3、出湯部4、加熱手段5、水抜き部6が主に設けられている。
【0010】
扁平箱形の貯湯タンク2は、略直方体形状を呈しており、各主面同士が所定の曲率半径を有する曲面を介して連接されている。すなわち、各稜線部分には所定の曲率半径を有する曲面が設けられている。そのため、応力集中を緩和することができるので、上面と底部とに広い受圧面積を有する扁平箱形の貯湯タンク2であっても充分な耐圧性能を確保することができる。尚、貯湯タンク2の平面形状は略長方形に限定されるわけではなく、適宜変更することができる。例えば、平面形状を略正方形、略円形など任意の形状とすることができる。ただし、平面形状を略長方形、略正方形などとすれば少ない設置スペースで多くの貯湯量を確保することができる。
【0011】
ここで、曲面の寸法を例示するものとすれば、例えば、厚み(高さ)寸法が100ミリメートル程度の貯湯タンク2であれば、曲率半径を25ミリメートル程度とすることができる。ただし、曲率半径は、これに限定されるわけではなく、貯湯タンク2の大きさや要求される耐圧性能などにより適宜変更することができる。
【0012】
貯湯タンク2は、耐熱性、耐食性を有する材料から構成されるものとすることができる。そのようなものとしては、例えば、ステンレスなどのような金属材料、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等の合成樹脂材料、メッキなどの表面処理を施したもの、2種以上の材料を貼り合わせたものなどを例示することができる。ただし、これらに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0013】
給水部3は、貯湯タンク2の一方の側面に設けられている。給水部3の給水口3aは、貯湯タンク2の側面に開口されており、給水口3aを介して外部から貯湯タンク2の内部に水を流入させることができるようになっている。
【0014】
給水口3aには、配管継手3bが接続されており、この配管継手3bには配管3cが接続されている。配管3cは、銅管、ステンレス管、合成樹脂管などとすることができ、また、可撓性を有する管とすることもできる。ただし、これらに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0015】
出湯部4は、貯湯タンク2の給水部3が設けられた面と対向する側の面に設けるようにすることが好ましい。出湯部4を給水部3と対向する位置に設けるようにすれば、出湯部4を給水部3から充分に離隔させることができるので、貯湯タンク2内に流入した水がそのまま出湯部4から排出されることを抑制することができる。
【0016】
出湯部4の出湯口4aは、貯湯タンク2の側面に開口されている。また、貯湯タンク2内には出湯管4bが設けられ、出湯管4bの一端が出湯口4aと接続されている。出湯管4bの他端は、貯湯タンク2内の上部において開口されており、この開口を介して、上層に貯められた湯(高温水)が外部に排出可能とされている。このように、貯湯タンク2内の上部において開口される出湯管4bを設けるようにすれば、実質的な出湯位置を貯湯タンク2の上方に設けることになるので、貯湯タンク2の側面に設けられるタンク出湯口4aよりも上方の湯まで無駄なく出湯させることができ、使用する湯量を増やすことができる。また、安定して使用することができる湯量を増やすことができることにもなる。
【0017】
出湯管4bの開口位置は、出湯口4aよりも高い位置にあればよく、特に限定されるものではない。ただし、貯湯タンク内の上方の湯を無駄なく有効利用することなどを考慮すれば、貯湯タンク2の上面内側より下方に10ミリメートル以下の位置に設けるようにすることが好ましい。
【0018】
貯湯タンク2の外部において、出湯口4aには、配管継手4cが接続されており、この配管継手4cには配管4dが接続されている。配管4dは、銅管、ステンレス管、合成樹脂管などとすることができ、また、可撓性を有する管とすることもできる。ただし、これらに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0019】
給水部3の配管3cは、例えば、水道管などと接続がされ、水を貯湯タンク2内に給水可能とされている。出湯部4の配管4dは、例えば、混合水栓などと接続がされ、湯を水栓などから吐出可能とされている。尚、水または湯の流水を制御するための図示しない開閉弁を配管3cまたは配管4dに適宜設けるようにすることができる。
【0020】
加熱手段5は、発熱部5a、フランジ部5b、接続端子5cを備えている。
発熱部5aは、貯湯タンク2の内部において、貯湯タンク2の底部に沿ってその近傍に水平に配設されている。発熱部5aをこのように配設するものとすれば、以下の理由により、加熱される水の水量を増加させることができる。
【0021】
発熱部5aにより加熱された水は貯湯タンク2内を上昇し、相対的に温度の低い(密度の大きい)水は貯湯タンク2内を下降して貯湯タンク2の底部に集まる。下降した水は、貯湯タンク2の底部に配設された発熱部5aにより加熱されて貯湯タンク2内を上昇する。このような対流を繰り返すことで、貯湯タンク2内の水が徐々に沸きあげられていく。
【0022】
この場合、対流は発熱部5aより上方で起こるため、発熱部5aより下方は、ほとんど温度上昇しない。よって発熱部5aをできるだけ貯湯タンク2の底部に近づけて水平に配設すると、発熱部5aの上方に存在する水の量を増加させることができ、加熱される水の水量を増加させることができる。
【0023】
フランジ部5bは、貯湯タンク2の側面に設けられた図示しない開口を覆うようにして設けられている。発熱部5aの一端は、フランジ部5bを貫通してその端面が貯湯タンク2の外部に設けられている。また、発熱部5aの端面には接続端子5cが設けられており、接続端子5cは、発熱部5aに設けられた発熱体5a1と電気的に接続されている。そして、発熱部5aに設けられた発熱体5a1は、貯湯タンク2内に位置する部分に設けられ、フランジ部5b、接続端子5cなどが不必要に加熱されることがないようになっている。発熱体5a1としては、例えば、ニクロム線に通電をすることで発熱をさせるようなジュール熱を利用するものを例示することができる。
【0024】
尚、加熱手段5は、ジュール熱を利用するものに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。例えば、中空のパイプ状部材の中を加熱された熱媒体が循環するようなものであってもよい。
【0025】
接続端子5cには、図示しない電源が電気的に接続され、発熱部5aに設けられた発熱体5a1に通電可能とされている。また、発熱体5a1への通電を制御するための図示しない制御手段を適宜設けるようにすることができる。そして、湯温を制御するための図示しない湯温センサや過昇温防止用のバイメタル式スイッチなどを設けるようにすることができる。また、貯湯タンク2の周囲を断熱材料などで覆うようにすることもできる。
【0026】
水抜き部6は、貯湯タンク2の側面に設けられている。水抜き部6の接続口6aは、貯湯タンク2の側面に開口されており、接続口6aを介して貯湯タンク2の内部から外部に水を流出(水抜き)させることができるようになっている。
【0027】
貯湯タンク2の外部において、接続口6aには、開閉バルブ6bが接続されており、開閉バルブ6bには配管6cが接続されている。開閉バルブ6bは、例えば、電磁弁や手動開閉弁などとすることができる。また、配管6cは、銅管、ステンレス管、合成樹脂管などとすることができ、可撓性を有する管とすることもできる。ただし、これらに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0028】
貯湯タンク2の内部において、接続口6aには、吸い出し管6dの一端が接続されている。吸い出し管6dの他端は、貯湯タンク2内の底部近傍において開口されており、この開口を介して、底部にたまった水垢などを水とともに排水可能とされている。
【0029】
吸い出し管6dの開口位置は、接続口6aよりも低い位置にあればよく、特に限定されるものではない。ただし、水抜きの際に貯湯タンク2の内部に残る水の量をなるべく少なくするためには、貯湯タンク2の底部内壁になるべく近い位置に開口しているようにすることが好ましい。
【0030】
配管6cの開口位置は、吸い出し管6dの開口位置よりも下方になるようにされている。配管6cの開口位置と吸い出し管6dの開口位置とをこのようにすれば、サイフォンの原理により貯湯タンク2内の水を外部に排出させることができる。
尚、サイフォンの原理により水を排出させるためには、貯湯タンク2内に空気が流入できるように、貯湯タンク2内と外気(大気)とを連通させる必要がある。この場合、例えば、出湯部4の配管4dの先(例えば、水栓の吐水口など)が外気(大気)に開放されている場合には、貯湯タンク2内と外気(大気)とが連通されているため、図示しない水栓の吐水口などより空気を貯湯タンク2内に流入させることができる。そのため、貯湯タンク2内で空気と水の置換を起こすことができるので、サイフォンの原理により水を排出させることができる。また、出湯部4の配管4dの先が外気(大気)に開放されていない場合には、例えば、後述する吸気部8(図5を参照)を設けることで貯湯タンク2内と外気(大気)とを連通させることができる。
【0031】
給水部3の給水口3a、出湯部4の出湯口4a、加熱手段5のフランジ部5b、水抜き部6の接続口6aは、貯湯タンク2の側面の平面部(各稜線部分に設けられた曲面部を除いた部分)に設けられている。すなわち、給水部3、出湯部4、加熱手段5、水抜き部6は、貯湯タンク2の側面の平面部に設けられている。これらのものを貯湯タンク2の側面の平面部に設けることで、貯湯タンク2の薄型化を図りつつ、耐圧性を確保することができる。また、配設方向を揃えることで製造性をも向上させることができる。
【0032】
尚、加熱手段5は、必ずしも貯湯タンク2に設ける必要はなく、例えば、外部に設けられた加熱手段で加熱した高温水を給水口3aを介して貯湯タンク2内に供給するようなものであってもよい。
【0033】
また、図2に示すように、貯湯タンク2の外部において、加熱手段15の発熱部15aを貯湯タンク2の底面に当接させるようにして、貯湯タンク2の底面を介して熱を貯湯タンク2内の水に伝えるようにしてもよい。この場合、貯湯タンク2は、耐熱性および熱伝導性の良い金属で構成されることが好ましい。尚、図2において、図1で説明をしたものと同様の部分には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0034】
次に、水抜き部6についてさらに説明をする。
図3は、比較例に係る水抜き部を備えた貯湯式電気温水器を説明するための模式断面図である。
図4は、本実施の形態に係る水抜き部を備えた貯湯式電気温水器を説明するための模式断面図である。
尚、図1において説明をしたものと同様の部分には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0035】
図3に示すように、貯湯式電気温水器10には、水抜き部60が備えられている。水抜き部60は、貯湯タンク2の側面に設けられている。水抜き部60の接続口60aは、貯湯タンク2の側面に開口されており、接続口60aを介して貯湯タンク2の内部から外部に水を流出(水抜き)させることができるようになっている。貯湯タンク2の外部において、接続口60aには、開閉バルブ6bが接続されており、開閉バルブ6bには配管60cが接続されている。
【0036】
貯湯タンク2の内部において、接続口60aには、吸い出し管60dの一端が接続されている。吸い出し管60dは貯湯タンク2内を水平方向に伸び、その端部が貯湯タンク2内に開口されている。そして、この開口を介して貯湯タンク2内にたまった水を流出(水抜き)させることができるようになっている。
【0037】
このように比較例に係る貯湯式電気温水器10は、貯湯タンク2の側面に水抜き部60を備えているので、貯湯タンク2の底面に備える場合と比べて貯湯式電気温水器10の厚み方向寸法を小さくすることができる。
【0038】
しかしながら、図3に示すように、貯湯タンク2内の水位が吸い出し管60dの開口位置よりも高い場合(例えば、7aの場合)には排水が可能であるが、吸い出し管60dの開口位置よりも低い場合(例えば、7bの場合)には排水をすることができない。そのため、水抜きの際に貯湯タンク2内に残ってしまう水の量H1が多くなる。また、底部にたまった水垢などを排出できないおそれもある。
【0039】
これに対し、図4に示すように、本実施の形態に係る水抜き部6の吸い出し管6dは、貯湯タンク2内の底部近傍において開口されており、この開口を介して貯湯タンク2内にたまった水を流出(水抜き)させることができるようになっている。また、配管6cの開口位置が吸い出し管6dの開口位置よりも下方となるようにされている。そのため、サイフォンの原理を利用することができ、貯湯タンク2内の水位が吸い出し管6dの開口位置と同じ高さとなるまで排水を行うことができる。その結果、水抜きの際に貯湯タンク2内に残ってしまう水の量H2を大幅に少なくすることができる。また、底部にたまった水垢なども排出しやすくなる。そして、貯湯タンク2の側面に水抜き部6を備えているので、貯湯タンク2の底面に備える場合と比べて貯湯式電気温水器1の厚み方向寸法を小さくすることができる。
【0040】
そのため、貯湯式電気温水器1の美観を損ねず、簡単な構造で、十分な水抜きをすることができるができる。また、耐圧性能、衛生性、安全性の面で優れた貯湯式電気温水器1ともなる。
【0041】
次に、貯湯式電気温水器1の作用について説明をする。
給水部3の給水口3aを介して貯湯タンク2内に流入した水は、温度が低く密度が大きいため貯湯タンク2内を下降して貯湯タンク2の底部に集まる。
【0042】
一方、加熱手段5の発熱部5aにより加熱された水は貯湯タンク2内を上昇し、相対的に温度の低い(密度の大きい)水は貯湯タンク2内を下降して貯湯タンク2の底部に集まる。そして、下降した水は、貯湯タンク2の底部に配設された加熱手段5の発熱部5aにより加熱されて貯湯タンク2内を再度上昇する。このような対流を繰り返すことで、貯湯タンク2内の水が徐々に沸きあげられていく。
【0043】
そして、貯湯タンク2内に水を流入させると、温度の低い(密度の大きい)水は貯湯タンク2内を下降して貯湯タンク2の底部に広がり、貯湯タンク2の底部に流入した水により押し上げられた上層の湯(高温水)は、出湯管4bの開口から出湯口4aを介して外部に出湯される。
【0044】
ここで、貯湯式電気温水器1を長期間使用していると、貯湯タンク2内が水垢などで汚れることがあり、定期的に水抜きを行い、給水と排水とを繰り返し、貯湯タンク内を掃除する必要がある。また、貯湯タンク2内の水が凍結するおそれがあるときにも、破損防止のために貯湯タンク2内の水抜きをする必要がある。
【0045】
次に、水抜きについて説明をする。
水抜きを行う際には、まず、貯湯タンク2内に水を供給し、少なくとも貯湯タンク2内の水位が水抜き部6の流路の一番高い部分よりも高くなるようにする。
次に、開閉バルブ6bを開けて貯湯タンク2内の水を排水させる。この際、サイフォンの原理により、貯湯タンク2内の水位が吸い出し管6dの開口位置と同じ高さとなるまで排水(水抜き)を行うことができる。
【0046】
そして、貯湯タンク2内に適宜水を供給することで貯湯タンク2内を掃除することもできる。
【0047】
水抜きや清掃が終わった後は、開閉バルブ6bを閉じれば、前述の水の加熱と出湯を行わせることができるようになる。
【0048】
図5は、本発明の他の実施の形態に係る貯湯式電気温水器を説明するための模式断面図である。
尚、図1において説明をしたものと同様の部分には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0049】
図5に示すように、貯湯式電気温水器1aには、吸気部8が設けられている。
吸気部8は、貯湯タンク2の側面に設けられている。吸気部8の接続口8aは、貯湯タンク2の側面に開口されており、接続口8aを介して貯湯タンク2の内部と外部(外気)とが連通可能とされている。
【0050】
貯湯タンク2の外部において、接続口8aには接続管8cが接続され、接続管8cには開閉バルブ8bが接続されている。そして、開閉バルブ8bには吸気管8dが接続されている。開閉バルブ8bは、例えば、手動開閉弁や電磁弁などとすることができる。また、接続管8c、吸気管8dは、銅管、ステンレス管、合成樹脂管などとすることができる。ただし、これらに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0051】
吸気管8dの端部は開口されており、その開口位置は貯湯タンク2の最高水位よりも高い位置とされている。そのため、貯湯タンク2内の水や湯が吸気管8dの開口から漏れ出すことがない。
【0052】
前述したように、水抜きに際しては、開閉バルブ6bを開けて貯湯タンク2内の水を流出させる。この際、開閉バルブ8bを開けて貯湯タンク2の内部と外部(外気)とを連通させるようにする。そして、水抜きや清掃が終わった後は、開閉バルブ6b、開閉バルブ8bを閉じれば、前述の水の加熱と出湯を行わせることができるようになる。尚、開閉バルブ6b、開閉バルブ8bは操作者が操作することで開閉させることもできるが、例えば、開閉バルブ6bの開閉にともなって開閉バルブ8bが自動的に開閉されるようにすることもできる。
【0053】
本実施の形態においては、水抜きに際して貯湯タンク2の内部と外部(外気)とを連通させることができる。
【0054】
前述したようにサイフォンの原理により水を排出させるためには、貯湯タンク2内に空気が流入できるように、貯湯タンク2内と外気(大気)とを連通させる必要がある。
この場合、例えば、出湯部4の接続先に図示しない開閉弁が設けられ、その開閉弁が通常は「閉」となっているような「先止め構造」の使用形態であれば、貯湯タンク2内と外気(大気)とを常時連通させることができない。
本実施の形態においては、そのような場合であっても、吸気部8の開閉バルブ8bを開くことで貯湯タンク2内と外気(大気)とを連通させることができるので、連続的で円滑な水抜きを行うことができる。
【0055】
図6は、貯湯式電気温水器の配設形態を例示するための模式斜視図である。
図6に示すように、洗面ユニット20は、カウンター21と、カウンター21の上面に設けられた手洗いや洗顔をするための洗面ボウル22、水栓金具23と、カウンター21の内部に配設された本実施の形態に係る貯湯式電気温水器1、1aと、カウンター21の後方端近傍から立設するようにして設けられた鏡24などを主に備えている。
【0056】
本実施の形態に係る貯湯式電気温水器1、1aは、扁平箱形の貯湯タンク2を備え、その側面に給水部3、出湯部4、加熱手段5、水抜き部6、吸気部8を設けるようにしているため、厚みの薄い貯湯式電気温水器とすることができる。そのため、図6に示すように、厚み方向の寸法が小さいスペース(例えば、カウンター21の内部)にも収納することができる。その結果、美観にすぐれた洗面ユニット20とすることができる。
【0057】
また、貯湯タンク2の側面に設けられた水抜き部6、吸気部8を用いることで簡単に水抜きを行うことができる。そのため、貯湯タンク2を簡単に清掃することができるので、美観に加え、衛生面に優れた洗面ユニット20とすることができる。また、厚みの薄い貯湯式電気温水器1、1aであるため収納性に優れ、外部に露出する部分を無くすこともできるので、人体との干渉を無くすことができ、安全面に優れた洗面ユニット20とすることができる。
【0058】
以上、本発明の実施の形態について説明をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【0059】
例えば、貯湯式電気温水器1、1aが備える各要素の形状、材質などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施の形態に係る貯湯式電気温水器を説明するための模式斜視図である。
【図2】加熱手段の他の形態を例示するための模式断面図である。
【図3】比較例に係る水抜き部を備えた貯湯式電気温水器を説明するための模式断面図である。
【図4】本実施の形態に係る水抜き部を備えた貯湯式電気温水器を説明するための模式断面図である。
【図5】本発明の他の実施の形態に係る貯湯式電気温水器を説明するための模式断面図である。
【図6】貯湯式電気温水器の配設形態を例示するための模式斜視図である。
【符号の説明】
【0061】
1 貯湯式電気温水器、2 貯湯タンク、3 給水部、3a 給水口、4 出湯部、4a 出湯口、4b 出湯管、5 加熱手段、5a 発熱部、6 水抜き部、6a 接続口、6b 開閉バルブ、6c 配管、6d 吸い出し管、8 吸気部、8a 接続口、8b 開閉バルブ、8c 接続管、8d 吸気管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平箱形の貯湯タンクを備えた貯湯式電気温水器であって、
前記貯湯タンクの側面には、給水部と、出湯部と、水抜き部と、が設けられ、
前記水抜き部は、
前記貯湯タンクの内部において、前記貯湯タンクの底部近傍に開口する第1の開口部と、
前記貯湯タンクの外部において、前記第1の開口部よりも下方の位置に開口する第2の開口部と、
を有し、
前記第1の開口部と前記第2の開口部とが連通可能とされていること、を特徴とする貯湯式電気温水器。
【請求項2】
前記第1の開口部と前記第2の開口部とが開閉バルブにより連通可能とされていること、を特徴とする請求項1記載の貯湯式電気温水器。
【請求項3】
前記貯湯タンクの前記側面は、稜線部分に設けられた曲面部と、前記曲面部に連接する平面部と、を有し、
前記給水部と、前記出湯部と、前記水抜き部と、は、前記平面部に設けられたこと、を特徴とする請求項1または2に記載の貯湯式電気温水器。
【請求項4】
前記貯湯タンクの側面には、吸気部が設けられ、
前記吸気部は、前記貯湯タンクの外部において、前記貯湯タンクの最高水位よりも高い位置に開口部を有すること、を特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の貯湯式電気温水器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−36396(P2009−36396A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−198746(P2007−198746)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】