説明

貯湯式電気温水器

【課題】本発明は、流入する水が上層の湯(高温水)と混合することを抑制することができ、かつ、流入する水を扁平箱形の貯湯タンクの底部にほぼ均一に広げることができる貯湯式電気温水器を提供する。
【解決手段】扁平箱形の貯湯タンクを備えた貯湯式電気温水器であって、前記貯湯タンクの第1の側面に設けられた給水部の給水口と、前記貯湯タンクの内部において、前記給水口を覆うようにして前記第1の側面に設けられた箱状のバッフルと、が設けられ、前記バッフルは、前記貯湯タンクの底部に対向する面が開口され、前記貯湯タンクの稜線部分には所定の曲率半径を有する曲面が設けられていること、を特徴とする貯湯式電気温水器が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯式電気温水器に関し、特に扁平箱形の貯湯タンクを備えた貯湯式電気温水器に関する。
【背景技術】
【0002】
高さ方向の寸法が小さいスペースに貯湯式電気温水器を設置するためには、貯湯タンクの厚みを薄くする必要がある。しかし、一般的な円筒形状のタンクと比較して、広い面を下にして設置をした薄型タンク(寝かせ置きの薄型タンク)は、タンク内に給水を行ってタンク外に湯を押し出す際に、給水された比較的低温の水が高温の湯に混ざって出湯されやすい。
そのため、タンクの底部に給水遮蔽具を設けて給水管から下向きに吐出した水をタンクの底部側に貯水する技術が提案されている(特許文献1を参照)。
【0003】
しかしながら、特許文献1に開示をされた技術では、給水と出湯とをタンクの上面側から行っているため、タンクの上面に給水管と排湯管とを設ける必要がある。そのため、貯湯式電気温水器の厚み方向寸法がその分大きくなり薄型化をするのが困難となる。
【0004】
一方、タンクの底部近くの周縁に開口した給水口に、内部にバッフル板を有する箱状のバッフル枠体を設けて、タンク内に流入させる水の流速を低下させる技術が提案されている(特許文献2を参照)。
【0005】
しかしながら、特許文献2に開示をされた技術では、円筒形状のタンク内部にバッフル板を有する箱状のバッフル枠体を設けるようにしている。そのため、円筒形状のタンク内においては、バッフル枠体からほぼ直進する流れと、円筒形状の周囲(壁面)に沿って回り込む流れが発生する。これにより、バッフル枠体から離れたところで、直進してきた流れと周囲(内壁)に沿って回りこんできた流れ同士が衝突し、湯水混合が促進されてしまうおそれがあった。
【特許文献1】特開2000−74492号公報
【特許文献2】実開平7−2845号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、流入する水が上層の湯(高温水)と混合することを抑制することができ、かつ、流入する水を扁平箱形の貯湯タンクの底部にほぼ均一に広げることができる貯湯式電気温水器を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、扁平箱形の貯湯タンクを備えた貯湯式電気温水器であって、前記貯湯タンクの第1の側面に設けられた給水部の給水口と、前記貯湯タンクの内部において、前記給水口を覆うようにして前記第1の側面に設けられた箱状のバッフルと、が設けられ、前記バッフルは、前記貯湯タンクの底部に対向する面が開口され、前記貯湯タンクの稜線部分には所定の曲率半径を有する曲面が設けられていること、を特徴とする貯湯式電気温水器が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、流入する水が上層の湯(高温水)と混合することを抑制することができ、かつ、流入する水を扁平箱形の貯湯タンクの底部にほぼ均一に広げることができる貯湯式電気温水器が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明をする。
【0010】
図1は、本発明の実施の形態に係る貯湯式電気温水器を説明するための模式斜視図である。
尚、図中の矢印は、水または湯の流れ方向を示している。
図1に示すように、貯湯式電気温水器1には、扁平箱形の貯湯タンク2、給水部3、出湯部4、ヒータ5、箱状のバッフル6が主に設けられている。
【0011】
扁平箱形の貯湯タンク2は、略直方体形状を呈しており、各主面同士が所定の曲率半径を有する曲面を介して連接されている。すなわち、各稜線部分には所定の曲率半径を有する曲面が設けられている。そのため、応力集中を緩和することができるので、上面と底部とに広い受圧面積を有する扁平箱形の貯湯タンク2であっても充分な耐圧性能を確保することができる。また、後述するように、流入する水の流れをこの曲面に沿わせることで、滑らかな方向変換を図ることもできる。尚、貯湯タンク2の平面形状は長方形に限定されるわけではなく、適宜変更することができる。例えば、平面形状を略正方形とすることができる。
【0012】
ここで、曲面の寸法を例示するものとすれば、例えば、厚み(高さ)寸法が100ミリメートル程度のタンクであれば、曲率半径を25ミリメートル程度とすることができる。ただし、曲率半径は、これに限定されるわけではなく、タンクの大きさや要求される耐圧性能、後述するバッフル6の寸法などにより適宜変更することができる。
【0013】
貯湯タンク2は、耐熱性、耐食性を有する材料から構成されるものとすることができる。そのようなものとしては、例えば、ステンレスなどのような金属材料、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等の合成樹脂材料、メッキなどの表面処理を施したもの、2種以上の材料を貼り合わせたものなどを例示することができる。ただし、これらに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0014】
給水部3は、貯湯タンク2の一方の側面(第1の側面)に設けられている。給水部3の給水口3aは、貯湯タンク2の側面に開口されており、給水口3aを介して外部から貯湯タンク2の内部に水を流入させることができるようになっている。
【0015】
給水口3aには、配管継手3bが接続されており、この配管継手3bにより配管3cが給水口3aと接続されている。配管3cは、銅管、ステンレス管、合成樹脂管などとすることができ、また、可撓性を有する管とすることもできる。ただし、これらに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0016】
出湯部4は、貯湯タンク2の給水部3が設けられた面と対向する側の面に設けるようにすることが好ましい。出湯部4を給水部3と対向する位置に設けるようにすれば、出湯部4を給水部3から充分に離隔させることができるので、貯湯タンク2内に流入した水がそのまま出湯部4から排出されることを抑制することができる。
【0017】
出湯部4の出湯口4aは、貯湯タンク2の側面(第3の側面)に開口されている。また、貯湯タンク2内には出湯管4bが設けられ、出湯管4bの一端が出湯口4aと接続されている。出湯管4bの他端は、貯湯タンク2内の上部において開口されており、この開口を介して、上層に貯められた湯(高温水)が外部に排出可能とされている。このように、貯湯タンク2内の上部において開口される出湯管4bを設けるようにすれば、実質的な出湯位置を貯湯タンク2内の上部に設けることになるので、貯湯タンク2の側面に設けられる出湯口4aよりも上方の湯まで無駄なく出湯させることができ、使用する湯量を増やすことができる。
【0018】
出湯管4bの開口位置は、出湯口4aよりも高い位置にあればよく、特に限定されるものではない。ただし、貯湯タンク2内の上部の湯を無駄なく有効利用することを考慮すれば、貯湯タンク2の上面内側より下方に10ミリメートル以下の位置に設けるようにすることが好ましい。
【0019】
貯湯タンク2の外側において、出湯口4aには、配管継手4cが接続されており、この配管継手4cにより配管4dが出湯口4aと接続されている。配管4dは、銅管、ステンレス管、合成樹脂管などとすることができ、また、可撓性を有する管とすることもできる。ただし、これらに限定されるわけではなく、適宜変更することができる。
【0020】
給水部3の配管3cは、例えば、水道管などと接続がされ、水を貯湯タンク2内に給水可能とされている。出湯部4の配管4dは、例えば、混合水栓などと接続がされ、湯を水栓などから吐出可能とされている。尚、水または湯の流水を制御するための図示しない開閉弁を配管3cまたは配管4dに適宜設けるようにすることができる。
【0021】
ヒータ5は、発熱部5a、フランジ部5b、接続端子5cを備えている。
発熱部5aは、貯湯タンク2の内部において、貯湯タンク2の底部に沿ってその近傍に水平に配設されている。発熱部5aをこのように配設するものとすれば、以下の理由により、加熱される水の水量を増加させることができる。
【0022】
発熱部5aにより加熱された水は貯湯タンク2内を上昇し、温度の低い(密度の大きい)水は貯湯タンク2内を下降して貯湯タンク2の底部に集まる。下降した水は、貯湯タンク2の底部に配設された発熱部5aにより加熱されて貯湯タンク2内を上昇する。このような対流を繰り返すことで、貯湯タンク2内の水が徐々に沸きあげられていく。
【0023】
この場合、対流は発熱部5aより上方で起こるため、発熱部5aより下方では、ほとんど温度上昇しない。よって発熱部5aをできるだけ貯湯タンク2の底部に近づけて水平に配設すると、発熱部5aの上方に存在する水の量を増加させることができ、加熱される水の水量を増加させることができる。
【0024】
フランジ部5bは、貯湯タンク2の側面に設けられた図示しない開口を覆うようにして設けられている。発熱部5aの一端は、フランジ部5bを貫通してその端面が貯湯タンク2の外部に設けられている。また、発熱部5aの端面には接続端子5cが設けられており、接続端子5cは、発熱部5aに設けられた発熱体5a1と電気的に接続されている。そして、発熱部5aに設けられた発熱体5a1は、貯湯タンク2内に位置する部分に設けられ、フランジ部5b、接続端子5cなどが不必要に加熱されることがないようになっている。発熱体5a1としては、例えば、ニクロム線に通電をすることで発熱をさせるようなジュール熱を利用するものを例示することができる。
【0025】
接続端子5cには、図示しない電源が電気的に接続され、発熱部5aに設けられた発熱体5a1に通電可能とされている。また、発熱体5a1への通電を制御するための図示しない制御手段を適宜設けるようにすることができる。そして、湯温を制御するための図示しない湯温センサや過昇温防止用のバイメタル式スイッチなどを設けるようにすることができる。また、貯湯タンク2の周囲を断熱材料などで覆うようにすることもできる。
【0026】
給水部3の給水口3a、出湯部4の出湯口4a、ヒータ5のフランジ部5bは、貯湯タンク2の側面の平面部分(各稜線部分に設けられた曲面を除いた部分)に設けられている。すなわち、給水部3、出湯部4、ヒータ5は、貯湯タンク2の側面の平面部分に設けられている。これらのものを貯湯タンク2側面の平面部分に設けることで、貯湯タンク2の薄型化を図りつつ、耐圧性を確保することができる。また、配設方向を揃えることで製造性をも向上させることができる。
【0027】
また、出湯口4aとヒータ5(フランジ部5b)とを、給水口3a(バッフル6)が設けられた面と対向する側の面に設けるものとすれば、限られたスペースを有効に活用することができ、また、貯湯タンク2の薄型化を図りつつ、耐圧性を確保することができる。また、配設方向を揃えることで製造性をも向上させることができる。
【0028】
また、後述するように、出湯口4aを給水口3a(バッフル6)が設けられた面と対向する側の面に設けるものとすれば、離間距離を長くとることができるので、流入した水は、対向面に到達する間に、さらに貯湯タンク2の底部全体に広がりやすくなり、対向面に到達するころには、十分に流速が落ちた流れとなる。よって、対向面に当たり跳ね返ることを抑制することができる。
【0029】
尚、必ずしもヒータ5を給水口3a(バッフル6)が設けられた面と対向する側の面に設ける必要はないが、前述したように、対向する側の面にヒータ5を設けた方が、スペース効率、製造性の観点からは好ましい。
【0030】
次に、バッフル6について説明をする。
図2は、貯湯タンク内への給水を説明するための模式図である。
図3は、本発明の実施の形態に係る貯湯式電気温水器の模式断面図である。
図4は、図3におけるA−A矢視断面である。
図5は、図4におけるB−B矢視断面図である。
尚、図中の矢印は、水の流れ方向を示している。また、図1において説明をしたものと同様の部分には同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0031】
図3、図4に示すように、バッフル6は、箱状を呈し、貯湯タンク2の内部において、給水口3aを覆うようにして貯湯タンク2の側面に設けられている。また、バッフル6の下面(貯湯タンク2の底部に対向する面)のみが開口されており、図2に示すように、給水口3aを介して流入した水を貯湯タンク2の底部に向けて吐出可能とされている。
【0032】
このようにバッフル6を箱状としているので、給水口3aを介して流入した水がバッフル6の両側に流出することを抑制しつつ、流入した水を貯湯タンク2の底部に向けて吐出させることができる。
【0033】
ここで、バッフル6の両側に流出する水は、バッフル6が設けられた面と略垂直な方向の水の流れを乱して乱流を生じさせる要因となる。そして、乱流が発生すると流入した水と上層の湯とが混合されるので、湯温が低下するなどの要因となる。また、流入する水の流速を速くすれば流入する水の量が増加し、バッフル6の両側に流出する水の量が増加するので、湯水混合が促進されてしまう。
【0034】
特許文献2に開示をされた技術においては、円筒形状のタンク内に、内部にバッフル板を有する箱状のバッフル枠体を設けるようにしている。そのため、円筒形状のタンク内においては、バッフル枠体からほぼ直進する流れと、円筒形状の周囲(壁面)に沿って回り込む流れが発生する。これにより、バッフル枠体から離れたところで、直進してきた流れと周囲(内壁)に沿って回りこんできた流れ同士が衝突し、湯水混合が促進されてしまうおそれがあった。
【0035】
これに対して本実施の形態によれば、箱形の貯湯タンク2の側面にバッフル6を設けることで、バッフル6の両側に貯湯タンク2の直線状の内壁面(側面)を存在させるようにしているので、貯湯タンク2の直線上の内壁面(側面)によりバッフル6の両側に流出する水の流れをバッフル6が設けられた面と略垂直な方向の流れに合流させることができる。これにより、貯湯タンク2の底部でほぼ一方向に沿った流れを形成することができ、流れ同士の衝突を抑制し、湯水混合を抑制することができる。
【0036】
また、貯湯タンク2の各稜線部分には所定の曲率半径を有する曲面が設けられているので、バッフル6の両側に流出する水の流れをこの曲面に沿わせることで、滑らかな方向変換を図ることができる。
【0037】
そのため、流入する水の流速をある程度速くすることで、バッフル6の両側に向かう水が増加したとしても、乱流の発生を抑制しつつバッフル6が設けられた面と略垂直な方向の水の流れに合流させることができる。
【0038】
その結果、乱流の発生を抑制しつつ流入する水の流速をある程度速くすることができるので、底部の面積が比較的広い扁平箱形の貯湯タンク2であっても流入した水を底部全体にほぼ均一に広げることができる。
【0039】
貯湯タンク2の平面形状が長方形である場合には、その短辺側の側面にバッフル6を設けるようにすることが好ましい。短辺側の側面にバッフル6を設けるようにすれば、短辺側から長辺に沿った水の流れを形成させることができる。この場合、流入した水は、長い距離を長い時間をかけて貯湯タンク2の底部に広がっていくため層流を形成させやすく、さらに乱流の発生を抑制することができる。また、対向する面間の距離が長いので、流入した水は、対向面に到達する間に、さらに貯湯タンク2の底部全体に広がりやすくなり、対向面に到達するころには、十分に流速が落ちた流れとなる。よって、対向面に当たり跳ね返ることを抑制することができる。
【0040】
また、図4、図5に示すように、給水口3aの断面積7a、バッフル6の水平方向断面積7b、底部流路の面積7cを徐々に増加させるようにすれば、層流を形成させやすくなる。
【0041】
また、図3に示すように、バッフル6の開口部の幅寸法(内寸)W1を、貯湯タンク2の内幅寸法(内寸)W2の半分以上とすることが好ましい。すなわち、バッフル6が設けられた貯湯タンク2の側面の幅方向であって、バッフル6の開口部の幅寸法(内寸)W1は、バッフル6が設けられた側面の内幅寸法W2の半分以上とすることが好ましい。
【0042】
前述したように、バッフル6の両側に流出する水の流れは、貯湯タンク2の曲面に沿って流れることで跳ね返りが抑制されつつ滑らかにその流れ方向を換える。この際、幅寸法W1と幅寸法W2とを前述のようにすれば、バッフル6の両側に流出する水の流れが十分に形成される前に、流れ方向の変換を行うことができる。その結果、層流を形成させやすく、さらに乱流の発生を抑制することができる。
【0043】
図6は、バッフル6の開口部近傍を説明するための模式部分断面図である。
尚、図中の矢印は、水の流れ方向を示している。また、図1において説明をしたものと同様の部分には同じ符号を付し、その説明は省略する。
貯湯タンク2の各稜線部分には所定の曲率半径Rを有する曲面が設けられているので、図6に示すように、バッフル6の開口部の直下にも曲面が設けられていることになる。そのため、バッフル6の開口部から吐出される水の流れをこの曲面に沿わせることで、滑らかな方向変換を図ることができる。その結果、乱流の発生を抑制しつつ流入した水を貯湯タンク2の底部全体にほぼ均一に広げることができる。
【0044】
また、バッフル6の開口部の端部(内壁)からバッフル6が設けられた貯湯タンク2の側面(第1の側面)に対して略垂直な側面(第2の側面)までの寸法L1(図3を参照)は、開口部の開口端から貯湯タンク2の底部までの内壁に沿った流路の寸法L2(貯湯タンク2の内壁に沿った長さ)以下とすることが好ましい。
【0045】
前述したように、バッフル6の両側に流出する水の流れは、貯湯タンク2の曲面に沿って流れることで跳ね返りが抑制されつつ滑らかにその流れ方向を換える。この際、寸法L1と寸法L2とを前述のようにすれば、バッフル6の両側に流出する水の流れが十分に形成される前に、流れ方向の変換をすることができる。その結果、層流を形成させやすく、さらに乱流の発生を抑制することができる。
【0046】
図7は、バッフル6の垂直方向断面を説明するための模式部分断面図である。
尚、図中の矢印は、水の流れ方向を示している。また、図1において説明をしたものと同様の部分には同じ符号を付し、その説明は省略する。
図7に示すように、バッフル6の厚み方向寸法(内寸)hを、貯湯タンク2の曲面の曲率半径R以下とすることが好ましい。すなわち、バッフル6の開口部が、開口部の直下に設けられた曲面の曲率半径Rの中心位置(曲率中心O)よりも内側に位置しているようにすることが好ましい。
【0047】
そのようにすれば、給水口3aを介して流入させた水が、重力によって貯湯タンク2の底部に落ち込んでしまう前に、勢いよく衝突壁6aに当てることができる。そのため、流入した水をバッフル6内に十分に広げることができる。その結果、バッフル6の開口部全面から均一に水が吐出され、さらに均一な水の流れが形成されることになる。
【0048】
また、バッフル6の開口部の厚み方向位置が、曲面の曲率中心Oよりも内側にあるので、バッフル6の開口部から吐出させた水を曲面に確実に沿わせることができる。そのため、さらに跳ね返りが抑制され、滑らかにその流れ方向を換えることができる。
【0049】
また、バッフル6の両側に流出する水も、貯湯タンク2の側面側に設けられた曲面に確実に沿わせることができる。そのため、バッフル6の両側に流出する水もさらに跳ね返りが抑制され、滑らかにその流れ方向を換えることができる。
【0050】
以上説明したように、本発明によれば、流入する水の流れの乱れを抑制しつつ流入する水を扁平箱形の貯湯タンク2の底部にほぼ均一に広げることができる。また、流入する水の流れの乱れを抑制することができるので、流入する水が上層の湯(高温水)と混合することを抑制することができる。その結果、押し出し性(貯湯タンク2の内部の湯(高温水)を、流入した水と混合させずに高温のまま押し出す性能)を向上させることができる。
【0051】
次に、貯湯式電気温水器1の作用について説明をする。
給水部3の給水口3aを介して貯湯タンク2内に流入した水は、バッフル6の衝突壁6aに当たり、バッフル6内に広がる。そして、バッフル6内に広がった水は、貯湯タンク2の底部に向けてバッフル6の開口部全面から均一に吐出される。この際、バッフル6が箱状とされているので、バッフル6の両側に流出する水が抑制されつつ、貯湯タンク2の底部に向けて吐出される。
【0052】
吐出された水は、貯湯タンク2の底部側に設けられた曲面に沿って流れることで跳ね返りが抑制されつつ滑らかにその流れ方向をバッフル6が設けられた面と略垂直な方向に換える。この際、バッフル6の両側に流出する水も、貯湯タンク2の側面側に設けられた曲面に沿って流れることで跳ね返りが抑制されつつ滑らかにその流れ方向をバッフル6が設けられた面と略垂直な方向に換える。
【0053】
そして、これらの流れが合流し、扁平箱形の貯湯タンク2の底部にほぼ均一に広がって行く。この時、水の流れはほぼ層流となるので、水の流れの乱れが抑制されて上層の湯(高温水)との混合が抑制される。
【0054】
一方、ヒータ5の発熱部5aにより加熱された水は貯湯タンク2内を上昇し、温度の低い(密度の大きい)水は貯湯タンク2内を下降して貯湯タンク2の底部に集まる。下降した水は、貯湯タンク2の底部に配設されたヒータ5の発熱部5aにより加熱されて貯湯タンク2内を上昇する。このような対流を繰り返すことで、貯湯タンク2内の水が徐々に沸きあげられていく。
【0055】
そして、貯湯タンク2内に水を流入させることで押し上げられた上層の湯(高温水)は、出湯管4bの開口から出湯口4aを介して外部に出湯される。
【0056】
以上、本発明の実施の形態について説明をした。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。
前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。
【0057】
例えば、貯湯式電気温水器1が備える各要素の形状、材質などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態に係る貯湯式電気温水器を説明するための模式斜視図である。
【図2】貯湯タンク内への給水を説明するための模式図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る貯湯式電気温水器の模式断面図である。
【図4】図3におけるA−A矢視断面である。
【図5】図4におけるB−B矢視断面図である。
【図6】バッフルの開口部近傍を説明するための模式部分断面図である。
【図7】バッフルの垂直方向断面を説明するための模式部分断面図である。
【符号の説明】
【0059】
1 貯湯式電気温水器、2 貯湯タンク、3 給水部、3a 給水口、4 出湯部、4a 出湯口、4b 出湯管、5 ヒータ、5a 発熱部、6 バッフル、6a 衝突壁、7a 給水口の断面積、7b バッフルの水平方向断面積、7c 底部流路の面積、h バッフルの厚み方向寸法(内寸)、O 曲率中心、R 曲率半径、W1 開口部の幅寸法(内寸)、W2 貯湯タンクの幅寸法(内寸)、L1 寸法、L2 寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
扁平箱形の貯湯タンクを備えた貯湯式電気温水器であって、
前記貯湯タンクの第1の側面に設けられた給水部の給水口と、
前記貯湯タンクの内部において、前記給水口を覆うようにして前記第1の側面に設けられた箱状のバッフルと、が設けられ、
前記バッフルは、前記貯湯タンクの底部に対向する面が開口され、
前記貯湯タンクの稜線部分には所定の曲率半径を有する曲面が設けられていること、を特徴とする貯湯式電気温水器。
【請求項2】
前記貯湯タンクは、その平面形状が長方形を呈しており、
前記第1の側面は、前記長方形の短辺側であること、を特徴とする請求項1記載の貯湯式電気温水器。
【請求項3】
前記バッフルの開口部は、前記開口部の直下に設けられた前記曲面の曲率半径の中心位置よりも前記第1の側面の側に位置していること、を特徴とする請求項1または2に記載の貯湯式電気温水器。
【請求項4】
前記第1の側面の幅方向にみて、
前記開口部の幅寸法は、前記第1の側面の内幅寸法の半分以上とされたこと、を特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の貯湯式電気温水器。
【請求項5】
前記第1の側面に対して略垂直な第2の側面から前記開口部の端部までの寸法は、前記開口部の開口端から前記貯湯タンクの底部までの内壁に沿った流路の寸法以下であること、を特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の貯湯式電気温水器。
【請求項6】
前記第1の側面とは異なる前記貯湯タンクの第3の側面に設けられた出湯口と、
前記貯湯タンクの内部に設けられ、一端が前記出湯口と接続された出湯管と、
をさらに備え、
前記出湯管の他端は、前記貯湯タンク内の上部において開口されていること、を特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の貯湯式電気温水器。
【請求項7】
前記貯湯タンクの内部において、前記貯湯タンクの底部に沿って水平に配設されたヒータをさらに備えたこと、を特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の貯湯式電気温水器。
【請求項8】
前記第3の側面は、前記第1の側面と対向すること、を特徴とする請求項6記載の貯湯式電気温水器。
【請求項9】
前記ヒータは、前記第1の側面と対向する側面に設けられたフランジ部を有すること、を特徴とする請求項7記載の貯湯式電気温水器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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