説明

貴金属微粒子を含む医薬

筋萎縮性側索硬化症やアルツハイマー病などの神経変性疾患、慢性関節リウマチなどのリウマチ性疾患、心筋梗塞などの虚血性心疾患、ストレス性潰瘍、皮膚炎、動脈硬化症、及び高脂血症からなる群から選ばれる疾患の予防及び/又は治療のための医薬であって、白金などの貴金属又は貴金属を含む合金の微粒子(例えば白金コロイド)を有効成分として含む医薬。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は貴金属微粒子を含み、筋萎縮性側索硬化症などの神経変性疾患、リウマチ性疾患、虚血性心疾患、ストレス性潰瘍、皮膚炎、動脈硬化症、及び高脂血症の予防及び/又は治療のための医薬に関する。
【背景技術】
筋萎縮性側索硬化症(Amyotrophic lateral sclerosis:以下、本明細書中で「ALS」と略す場合がある)は大脳皮質から脊髄に至る上位運動ニューロンおよび脊髄から筋に至る下位運動ニューロンが選択的に障害される進行性神経変性疾患である。ALSの発症頻度は高く、我が国においても多数の患者がいる。臨床的には、筋萎縮と筋力低下が特徴的であり、病期が進行すると筋力低下のために言語障害、嚥下障害、呼吸障害などを生ずる。病勢の進展は比較的速く、人工呼吸器などを用いなければ多くは2〜4年で死亡に至る。しかし、ALSには根本的な治療法がないため、この疾患に関しては患者のケアを含めて社会的に大きな問題となっている。
ALSはその発症形態から孤発性と家族性に分かれる。家族性のALSには優性と劣性の遺伝性が知られている。近年、優性遺伝性のALS1型の原因遺伝子として活性酸素の代謝酵素であるCu/Zn Superoxide Dismutase(銅・亜鉛スーパーオキシドジスムターゼ;SOD1)が同定された。ALSの多くは孤発性であり、遺伝性のものは20%にも満たない。ALS1が全ALSに占める割合は2%以下であることから、ALS発症の分子機構解明と治療法の開発にはSOD1遺伝子以外のALS原因遺伝子の発見が待たれていたが、劣性遺伝形式をとるALS2型の原因遺伝子として新たにALS2CR6遺伝子が単離・同定されている。なお、ALSなどの神経変性疾患で活性酸素が発生するメカニズムに関しては、ミューテーション等で変異した蛋白が凝集して活性酸素の発生を引き起こす説が有力である(Current Topic in Medical Chemistry 1:507−517,2001)。
ALSに対しては、薬物療法を含めて根本的な治療法は未だ確立されていない。薬物としては、ALSの進行を遅らせる薬剤としてリルゾール(「リルテック」)が用いられており、このほか、筋弛緩薬、鎮痛剤、精神安定剤、睡眠剤、ビタミンB剤などが用いられているが、いずれも対症療法としての薬物療法にすぎない。
リウマチ性疾患は、結合組織の炎症、変性、あるいは代謝障害による種々の異常を特徴とする疾患であり、関節、筋肉、骨、靭帯などの運動器が障害されて痛みとこわばりを伴う疾患である。典型的なリウマチ性疾患は慢性関節リウマチであり、全身の結合組織に変化が起こる膠原病の全身性エリテマトーデス(SLE)や自己免疫疾患もリウマチ性疾患に含まれる。
慢性関節リウマチ(RA)に対しては根治療法がなく、経験的に対症療法が行われている。治療方法としては、薬物療法のほか、基礎療法(安静、患者教育、及び理学療法など)、手術療法などが行われているが、治療の原則は薬物療法である。薬物療法としては、RAによる滑膜炎を抑制して疼痛を軽減するためにアスピリン、インドメタシン、ジクロフェナクなどの非ステロイド性抗炎症剤(NSAID)が汎用されているが、重症例にはプレドニゾロンなどのステロイド剤が用いられる場合もある。また、RAの免疫異常を是正することにより骨破壊の進行を遅らせるために抗リウマチ剤が用いられている。抗リウマチ剤としては、例えば、金製剤(金リンゴ酸ナトリウムやオーラノフィンなど)やメトトレキセートなどの免疫抑制剤が用いられている。
心臓の冠動脈の粥状硬化などによって血管の狭窄又は閉塞が生じて冠血流が減少するために起こる心機能障害は、心筋に虚血状態をもたらすことから虚血性心疾患と呼ばれる。虚血性心疾患の代表的疾患は狭心症及び心筋梗塞である。心筋梗塞では、血栓から持続的な虚血が生じて心筋壊死を起こし、ときとして死に至る。より軽症で一過性の狭心症では、発作時に激しい胸痛がおきる。
狭心症の薬物療法には、亜硝酸アミル、ニトログリセリン、硝酸イソソルビドなどの亜硝酸剤、βブロッカー、カルシウム拮抗剤、ジピリダモールなどの冠拡張剤が用いられる。心筋梗塞に対しては、急性期に末梢血管拡張剤、ウロキナーゼなどの血栓溶解剤、ヘパリンナトリウムなどの血液凝固阻止剤、アスピリンやチクロピジンなどの抗血小板剤などが用いられる。しかしながら、特に心筋梗塞の急性期において心筋壊死を効果的に抑制できる薬剤は未だ提供されていない。
また、ストレス性潰瘍、皮膚炎、動脈硬化症、及び高脂血症についても種々の医薬の適用が試みられているが、満足すべき治療効果を達成できる医薬はほとんど提供されておらず、新たな薬剤の開発が望まれている。
一方、白金コロイドが活性酸素の一種である過酸化水素を分解することが知られている(特開平10−68008号公報、0040段落)。しかしながら、この公報には、ALSなどの神経変性疾患、リウマチ性疾患、虚血性心疾患、ストレス性潰瘍、皮膚炎、動脈硬化症、又は高脂血症の治療及び/又は予防における白金コロイドの有効性を示したものではない。
【発明の開示】
本発明の課題は、ALSやアルツハイマー病などの神経変性疾患、慢性関節リウマチなどのリウマチ性疾患、心筋梗塞などの虚血性心疾患、ストレス性潰瘍、皮膚炎、動脈硬化症、及び高脂血症の予防及び/又は治療のための医薬を提供することにある。本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、白金コロイドなどの金属コロイドを投与することにより、上記の各疾患の予防及び/又は治療を行うことができることを見出した。本発明は上記の知見を基にして完成されたものである。
すなわち、本発明により、神経変性疾患、リウマチ性疾患、虚血性心疾患、ストレス性潰瘍、皮膚炎、動脈硬化症、及び高脂血症からなる群から選ばれる疾患の予防及び/又は治療のための医薬であって、貴金属又は貴金属を含む合金の微粒子を有効成分として含む医薬が提供される。
上記の発明の好ましい態様によれば、神経変性疾患が筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、又はパーキンソン病である上記の医薬;及び神経変性疾患が筋萎縮性側索硬化症である上記の医薬;リウマチ性疾患が慢性関節リウマチである上記の医薬;虚血性心疾患が急性期の心筋梗塞である上記の医薬;ストレス性潰瘍がストレス性胃潰瘍又はストレス性十二指腸潰瘍である上記の医薬が提供される。
また、上記の発明のさらに好ましい態様によれば、貴金属がルテニウム、ロジウム、パラジウム、及び白金からなる群から選ばれる1種又は2種以上の貴金属である上記の医薬;貴金属が白金である上記の医薬;貴金属の微粒子が平均粒径10nm以下の白金コロイドである上記の医薬が提供される。
別の観点からは、神経変性疾患、リウマチ性疾患、虚血性心疾患、ストレス性潰瘍、皮膚炎、動脈硬化症、及び高脂血症からなる群から選ばれる疾患の予防及び/又は治療方法であって、貴金属の微粒子をヒトを含む哺乳類動物に投与する工程を含む方法が提供される。また、上記の医薬の製造のための貴金属の微粒子の使用も本発明により提供される。
【図面の簡単な説明】
第1図は、筋萎縮性側索硬化症のモデルマウスに本発明の医薬を投与し、マウスの運動量を赤外線センサーで測定した結果を示した図である。○は正常マウス、■は本発明の医薬投与群(0.5μg/kg)、●は医薬非投与群(病態マウス)の結果を示す。
第2図は、例4における浮腫率に対する本発明の医薬の効果を示した図である。○は対照群(生理食塩水投与群)、●は本発明の医薬の投与群(5μmol/kg/day)の結果を示す。
第3図は、例4における骨破壊に対する本発明の医薬の効果を示した図である。
第4図は、例7においてUVA(20J/cm)照射10日目のマウスの耳介の様子を示した写真である。左側は陽性対照の結果を示し、右側は本発明の医薬を塗布したマウスの結果を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
本発明の医薬は神経変性疾患、リウマチ性疾患、虚血性心疾患、ストレス性潰瘍、皮膚炎、動脈硬化症、及び高脂血症からなる群から選ばれる疾患の予防及び/又は治療のための医薬であって、貴金属の微粒子を有効成分として含むことを特徴としている。貴金属の種類は特に限定されず、金、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジム、又は白金のいずれを用いてもよいが、好ましい貴金属はルテニウム、ロジウム、パラジウム、又は白金である。貴金属の微粒子は2種以上の貴金属を含んでいてもよい。また、少なくとも1種の貴金属を含む合金の微粒子、あるいは1種又は2種以上の貴金属の微粒子と貴金属以外の1種又は2種以上の金属の微粒子を含む混合物を用いることもできる。例えば、金及び白金からなる合金などを用いてもよい。これらのうち好ましいのは白金又は白金を含む合金であり、特に好ましいのは白金である。
貴金属の微粒子としては、比表面積が大きく、表面反応性に優れたコロイド状態を形成可能な微粒子が好ましい。微粒子の粒径は特に限定されないが、50nm以下の平均粒径を有する微粒子を用いることができ、好ましくは平均粒径が20nm以下、さらに好ましくは平均粒径が10nm以下、特に好ましくは平均粒径が1〜6nm程度の微粒子を用いることができる。さらに細かな微粒子を用いることも可能である。
貴金属微粒子の製造方法は種々知られており(例えば、特公昭57−43125号公報、特公昭59−120249号公報、及び特開平9−225317号公報、特開平10−176207号公報、特開2001−79382号公報、特開2001−122723号公報など)、当業者はこれらの方法を参照することによって微粒子を容易に調製することができる。例えば、貴金属微粒子の製造方法として、沈殿法又は金属塩還元反応法と呼ばれる化学的方法、あるいは燃焼法と呼ばれる物理的方法などを利用できる。本発明の医薬の有効成分としては、いずれの方法で調製された微粒子を用いてもよいが、製造の容易性と品質面から金属塩還元反応法で調製された微粒子を用いることが好ましい。
金属塩還元反応法では、例えば、水溶性若しくは有機溶媒可溶性の貴金属塩又は貴金属錯体の水溶液又は有機溶媒溶液を調製し、この溶液に水溶性高分子を加えた後、溶液のpHを9〜11に調節し、不活性雰囲気下で加熱還流することにより還元して金属微粒子を得ることができる。貴金属の水溶性又は有機溶媒可溶性の塩の種類は特に限定されないが、例えば、酢酸塩、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、スルホン酸塩、又はリン酸塩などを用いることができ、これらの錯体を用いてもよい。
金属塩還元反応法に用いる水溶性高分子の種類は特に限定されないが、例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、シクロデキストリン、アミノペクチン、又はメチルセルロースなどを用いることができ、これらを2種以上組み合わせて用いてもよい。好ましくはポリビニルピロリドンを用いることができ、より好ましくはポリ(1−ビニル−2−ピロリドン)を用いることができる。また、水溶性高分子に替えて、あるいは水溶性高分子とともに各種の界面活性剤、例えばアニオン性、ノニオン性、又は脂溶性等の界面活性剤を使用することも可能である。還元をアルコールを用いて行う際には、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、n−アミルアルコール、又はエチレングリコールなどが用いられる。もっとも、貴金属微粒子の調製方法は上記に説明した方法に限定されることはない。
本発明の医薬は、神経変性疾患、リウマチ性疾患、虚血性心疾患、ストレス性潰瘍、皮膚炎、動脈硬化症、及び高脂血症からなる群から選ばれる疾患の予防及び/又は治療に用いることができる。
神経変性疾患としては、例えば、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病などを例示することができるが、これらに限定されることはない。本発明の医薬の好ましい適用対象は筋萎縮性側索硬化症である。
リウマチ性疾患としては、例えば、慢性関節リウマチ、若年性関節リウマチ、エリテマトーデス(円板状ループス、全身性エリテマトーデス、薬剤関連ループスなど)、強皮症、広汎性筋膜症、多発性筋炎、壊死性血管炎およびその他の血管症、シェーグレン症候群、オーバーラップ症候群などの広汎性結合組織異常、脊髄炎を伴う関節炎、変性関節疾患(骨関節症、変形性関節症)、感染病原体に伴う関節炎、リウマチ症状を伴う代謝性及び内分泌性疾患、新生物(腫瘍)、神経・血管異常、骨及び軟骨疾患、関節外疾患、関節症状のある種々の疾患などを例示すことができるが(Decker J.L.et al.,Arth.Rheum.,26(8),1983)、これらに限定されることはない。本発明の医薬の好ましい適用対象は慢性関節リウマチである。
本明細書において用いられる虚血性心疾患の用語は少なくとも狭心症及び心筋梗塞を包含しており、それぞれ種々の病型を包含する。例えば、狭心症には労作性狭心症及び自発性狭心症などがあり(海老原ら編,「狭心症とβ遮断薬−臨床薬理と臨床応用−」,臨床医学研究教会,1989)、労作性狭心症と不安定狭心症に分類される場合もある(American Health Association)。心筋梗塞では、一般的に冠動脈の大きな分枝に閉塞が起き、その灌流域に広範囲な壊死が生じる。虚血性心疾患は、労作性狭心症、心筋梗塞症(急性及び陳旧性を含む)、中間型、及び無痛性虚血性心疾患(無症状性及び慢性心筋障害を含む)に分類されることもある(安部ら編,「狭心症」,金原出版,1985)。さらに、心筋梗塞の治療として行われるPTCA(Percutaneous Transluminal Coronary Angioplasty)におけるバルーン又はカテーテル処置の後に血管再狭窄又は再閉塞が高率に生じることが知られているが、これらの処置により起こる血管再狭窄又は再閉塞を伴う心疾患も虚血性心疾患に含まれる。本明細書において用いられる虚血性心疾患の用語はこれらの疾患をすべて包含するように最も広義に解釈しなければならず、いかなる意味においても限定的に解釈してはならない。
ストレス性潰瘍には消化性潰瘍が包含され、より具体的には胃潰瘍及び十二指腸潰瘍が含まれる。消化性潰瘍の第一次病因としてストレスが外因性の病因となることが知られており、ストレスが主たる病因となっている潰瘍に対して本発明の医薬を適用することができる。本発明の医薬は、原因となるストレスが明確である場合のほか、その存在が疑われる場合にも適用することが可能である。
皮膚炎には、例えば、毒性化学物質や光への接触により引き起こされる接触皮膚炎(一時刺激性接触皮膚炎、アレルギー性接触皮膚炎、光毒性接触皮膚炎、及び光アレルギー性接触皮膚炎など、大城戸編、皮膚科治療ハンドブック、南山堂、1989)のほか、湿疹群(急性湿疹及び慢性湿疹など)、アトピー性皮膚炎(新生児ないし乳児期、幼児期ないし学童期、及び成人期におけるアトピー性皮膚炎など)、脂漏性皮膚炎、自家感作性皮膚炎、薬疹などが包含される。本発明の医薬は全身投与のほか、皮膚炎の部位への局所投与も可能である。
動脈硬化症は、動脈壁の改築、硬化、及び機能低下を示す限局性の動脈病変の総称であり、中膜硬化、細動脈硬化、及び粥状(アテローム)硬化などの病態を含む。本発明の医薬の提供対象となる動脈硬化症はこれらのいずれでもよく、動脈の部位も特に限定されず、例えば冠状動脈、能動脈、腎動脈、及び四肢動脈などのいずれであってもよい。また、本発明の医薬の適用対象は、動脈硬化の病変の初期における血管内皮細胞の泡沫細胞化、泡沫細胞の細胞壊死、及びアテローム硬化巣への脂質堆積などのいずれの病変期における動脈硬化であってもよい。本発明の医薬の提供対象は、完成された動脈硬化以外に、動脈硬化の形成に至る過程の病変も含めて、最も広義に解釈する必要がある。また、本発明の医薬は血中脂質低下作用を有しており、高脂血症の予防及び/又は治療に用いることができる。
本明細書において、「予防及び/又は治療」の用語は上記の疾患の発症の予防、及び発症後の上記疾患の治療のほか、上記疾患の進行の抑制、上記疾患の改善又は軽減、上記疾患の再発予防などを含めて最も広義に解釈しなければならず、いかなる意味においても限定的に解釈してはならない。
本発明の医薬の投与経路は特に限定されず、経口投与又は非経口投与のいずれの投与経路を選択してもよい。本発明の医薬としては、上記に説明した方法により調製されたコロイド状態の貴金属分散物又は乾燥状態の貴金属微粒子をそのまま用いてもよい。水中又は有機溶媒中、あるいは水と有機溶媒の混合物中に調製された金属微粒子はコロイド状態で存在しているが、このコロイド状態の貴金属分散物を本発明の医薬としてそのまま用いることができる。また、貴金属微粒子が会合してクラスターを形成した水性の懸濁剤を本発明の医薬として用いてもよい。さらに、溶媒を除去することが望ましい場合には、加熱などの操作により溶媒を除去して乾燥状態の微粒子を得ることができるが、その操作により得られた乾燥微粒子を本発明の医薬として用いてもよい。清涼飲料水として白金微粒子を含む水(例えば「白金玄水」、アイノベックス株式会社)や、急性胃腸炎又は慢性胃腸カタルの治療剤として白金・パラジウムコロイド製剤(「内服用パプラール」、株式会社東洋厚生製薬所)などを本発明の医薬として用いることもできる。
また、本発明の医薬は、当業者に周知の方法によって製造可能な経口用あるいは非経口用の医薬組成物として投与することができる。経口投与に適する医薬用組成物としては、例えば、錠剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、液剤、及びシロップ剤等を挙げることができ、非経口投与に適する医薬組成物としては、例えば、注射剤、点滴剤、坐剤、吸入剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、軟膏剤、クリーム剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、及び貼付剤等を挙げることができる。上記の医薬組成物は有効成分である貴金属微粒子とともに1種又は2種以上の製剤用添加物を用いて製造することができる。製剤用添加物としては、例えば、賦形剤、崩壊剤ないし崩壊補助剤、結合剤、滑沢剤、コーティング剤、色素、希釈剤、基剤、溶解剤ないし溶解補助剤、等張化剤、pH調節剤、安定化剤、噴射剤、及び粘着剤等を挙げることができるが、これらは医薬用組成物の形態に応じて当業者が適宜選択可能である。
本発明の医薬の投与量は特に限定されず、疾患の種類、予防又は治療の目的、患者の年齢、体重、症状などに応じて適宜選択可能であるが、例えば、経口投与の場合には成人一日あたり貴金属微粒子重量として0.001〜1,000mg程度の範囲で用いることができる。
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
例1
アリール冷却管と三方コックを接続した100ml二口ナス底フラスコにポリ(1−ビニル−2−ピロリドン)(和光純薬株式会社製,0.1467g)を入れ、蒸留水23mlで溶解した。この溶液を10分間撹拌した後、塩化白金酸(HPtCl・6HO、和光純薬株式会社製)を蒸留水に溶解した1.66×10−2M溶液(2ml)を加えてさらに30分間撹拌した。反応系内を窒素置換し、特級エタノール25mlを加えて窒素雰囲気下を保ちながら100℃で2時間還流した。反応液のUVを測定し、白金イオンピークの消失と、金属固体特有の散乱によるピークの飽和を確認し、還元反応を終了した。有機溶媒を減圧留去して白金微粒子(平均粒径数2.4±0.7nm)を含む白金コロイド水を調製した。以下の実施例において、この白金コロイド水をPVP−Ptと表示する。同様にして、ポリ(1−ビニル−2−ピロリドン)に替えてポリアクリル酸ナトリウム(アルドリッチ社製、Ptに対して単位ユニットとして125倍)を用いて平均粒径2.0±0.4nmの白金コロイド水を調製した。以下の実施例において、この白金コロイド水をPAA−Ptと表示する。
例2
6〜8週齢のB6SJL−TgN(SODIG93A)GUrマウス(筋萎縮性側索硬化症のモデルマウス)に0.66μM、0.066μM、又は6.6nMの上記白金コロイド水(PVP−Pt)を自由に与えて飼育した。16週あたりから、通常の水で飼育した対照群のマウスでは筋萎縮性側索硬化症の典型的な症状が発現し、後ろ足が動かなくなり、前足で這うだけになった。一方、白金コロイド水を投与したマウスでは、投与量依存的に上記の症状の改善が認められた。6.6nM投与群のマウスでは、歩行時の後ろ足によたつきなどの異常が認められたが、歩行自体は可能であった。0.066μM投与群のマウスでは、後ろ足に震えが認められたが、かなり早く立ち上がれる状態であり、0.66μM投与群のマウスでは症状の発現が認められず、正常マウスと同様の歩行能力を有していた。
例3
3週齢及び7週齢のB6SJL−TgN(SODIG93A)GUrマウスに0.5μMの上記白金コロイド水(PVP−Pt、用量は白金投与量)を投与し、赤外線センサーを用いてマウスの受信の移動回数を測定した。移動回数が少ないことは筋萎縮性側索硬化症の発症により運動量が低下したことを意味している。白金コロイド水の替わりに水を投与したB6SJL−TgN(SODIG93A)GUrマウスを比較群(病態マウス)とし、正常マウスとの比較を行った。7週齢マウスを用いた実験についての結果を第1図に示す。本発明の医薬を投与した群では、筋萎縮性側索硬化症の発症による運動量低下が有意に抑制されていた。
例4
ラット(日本チャールス・リバー、LEW/CrJ系、100〜130g、7週齢)を5日間の検疫期間及びその後8日間の馴化期間の後に実験に使用した。動物は室温20〜26℃、湿度40〜70%、明暗各12時間の条件で固形飼料(CRF−1、オリエンタル酵母工業株式会社)で自由摂餌により飼育した。起炎用試薬(Mycobacteriumbutyricum、Difco)を流動パラフィンで1.0mg/0.1mLの濃度となるように懸濁し、エーテル麻酔下で27G注射針(マント針)を取り付けたポリプロピレン製ディスポーザブル注射筒を用いて左側後肢足蹠皮内に投与した。起炎用試薬は薬剤投与開始日の薬剤投与前に0.1mL/匹となるように投与した。
本発明の医薬として上記の白金コロイド水(PAA−Pt)を25G注射針を取り付けたポリプロピレン製ディスポーザブル注射筒を用いて尾静脈内に投与した。投与回数は一日一回とし、投与開始日を投与1日として投与期間は20日とした。投与量は0.05μmol/kg、0.5μmol/kg、及び5μmol/kgとした。対照として生理食塩水を同様に尾静脈内に投与した。
動物は各群10匹とし、投与1,2,4,7,9,11,14,16,及び18日の薬剤投与前、並びに剖検日にマウス・ラット後肢足蹠浮腫容積測定装置(TK−101CMP、有限会社ユニコム)を用いて両側後肢足蹠容積の測定を行った。投与1日及び各測定日の足蹠容積から、以下の式を用いて浮腫率を算出した。浮腫率(Δ%)=(各測定日の足蹠容積(mL)−投与1日の足蹠容積(mL))÷投与1日の足蹠容積(mL)×100
剖検日にエーテル麻酔かで腹大動脈から放血致死させた後、両後肢を大腿骨中央部で切断して20%中性緩衝ホルマリンで固定した。固定後、軟X線撮影装置(SOFROM SRO−505C、株式会社ソフロン)で軟X線写真を撮影した。骨破壊は、透写機上に照らされた軟X線フィルムを観察して、破壊の程度についてスコア化した。スコア化は、踵骨、足根骨、中足骨、及び脛骨について以下の判定基準により判定し、4部位の合計スコアを求めた。
骨破壊スコア
0:正常
1:軽度の骨破壊、密度低下
2:中等度の骨破壊、密度低下
3:強度骨破壊及び変形
第2図には浮腫率に対する本発明の医薬の効果を示した。また、第3図には骨破壊への本発明の医薬の効果を示した。本発明の医薬が浮腫及び骨破壊に対して優れた治療効果を有していることが明らかである。病理所見では、患部への炎症細胞の浸潤は薬剤投与群と対照群との間に差を認めなかったが、浮腫、膿瘍、骨破壊等の組織破壊像においては薬剤投与群は対照群に比べて顕著な改善が認められた。
例5
ウサギ(北山レベス株式会社、Kb1:JW(SPF)系、2.00〜2.80kg、12週齢)を5日間の検疫及び2日間以上の馴化期間を設けて体重測定と一般状態の観察を行い、一般状態及び体重推移に異常の認められない動物を実験に使用した。動物は室温20〜26℃、湿度40〜70%、明暗各12時間の条件で固形飼料(RC4、オリエンタル酵母工業株式会社)を1日100gの割合で給餌して飼育した。
13〜16週齢のウサギにペントバルビタールナトリウムを耳介静脈から30mg/mL/kgで投与して麻酔した後、背位に固定した。気管に気管カニューレを挿入後、人工呼吸器(NEW ENGLAND INSTRUMENTS INC.,141A)に接続し(設定条件:40〜60回/分、20〜30mL/回、麻酔状況により範囲内で調整)、呼吸を維持した。血圧は大腿動脈に挿入した動脈カニューレに連絡した圧トランスデューサー(TP−300T、日本光電工業株式会社)を介して歪圧力用アンプ(AP−601G、日本光電工業株式会社)および血圧測定ユニット(AP−611G、日本光電工業株式会社)に誘導し、レコーダー(WT−645G、日本光電工業株式会社)上に記録した。心電図(第2誘導)は針電極より生体電気用アンプ(AB−621G、日本光電工業株式会社)に誘導し、レコーダー(WT−645G、日本光電工業株式会社)上に記録した。
処置を施したウサギの左第四肋骨と第五肋骨の間を切開して開胸した。心のう膜を切開後、心臓を胸廓外に露出させ、左冠状動脈枝(LCA)を針付き縫合糸(3/8円形丸針、日本商事株式会社)を用いて結紮し、30分間閉鎖(虚血)した。閉鎖30分後に結紮していた縫合糸をほどき(縫合糸はLCAを即時に結紮できるようにそのまま胸腔内に残す)、血管を開放(再灌流)した。その60分後に閉胸し、動物を飼育室内に戻した。
開放約48時間後にペントバルビタールで上記と同様に麻酔後、動物を総頸動脈から放血致死させた。開胸して心臓を摘出し、心臓を生理食塩液で洗浄した。洗浄した心臓のLCAを結紮し、大動脈の切開口より0.5%エバンスブルー1〜1.5mL程度にて灌流染色した。染色後、心臓を左心室のみにし、心筋を心基部に平行に心突部より5mm間隔でスライスした後(各個体について6スライス)、1%TTCリン酸緩衝液の入ったビーカーに入れ、37℃に設定した恒温槽中で10分間加温した。加温後、スライスされた心筋を写真撮影し、非虚血領域(エバンスブルー染色領域:A)、虚血部非梗塞領域(エバンスブルー非染色領域中TTC染色領域:B)および梗塞領域(エバンスブルー非染色領域中TTC非染色領域:C)に切り分け、それぞれの重量を測定した。測定した重量から全左心室重量(A+B+Cの6スライス分の合計)に対する虚血領域重量(B+Cの6スライス分の合計)の割合および虚血領域重量に対する梗塞領域重量(Cの6スライス分の合計)の割合を算出した。1%TTCリン酸緩衝液の調製は、リン酸緩衝錠を注射用水に溶解したリン酸緩衝液にてTTCが1w/v%となるように溶解した。0.5%エバンスブルーの調製は、エバンスブルーを注射用水にて0.5w/v%となるように溶解した。
PAA−Ptは生理食塩水で希釈して静脈内に投与した。再灌流5分前から薬剤を大腿静脈から単回投与し(0.5μg/kg)、引き続き再灌流終了時まで持続投与した(0.5μg/kg/hr)。投与液量は単回投与では0.1mL/kgとし、持続投与では1mL/kg/hrとした。また、再灌流終了後24時間後に再度薬剤を単回投与した。対照として生理食塩液を上記薬剤投与群と同様に単回投与及び持続投与した(投与液量は単回投与について0.1mL/kg、持続投与について1mL/kg/hr)。結果を表1に示す。表1の結果から、本発明の医薬が心筋虚血再灌流障害モデルにおける梗塞領域及び虚血領域を有意に減少させていることが明らかであり、特に5μmol/kg投与群では極めて顕著な作用が認められた。

例6
ラット(日本チャールス・リバー、Crj:CD(SD)IGS系、140〜210g、雄6週齢)を5日間の検疫期間及びその後2日間の馴化期間の後に実験に使用した。動物は室温20〜26℃、湿度40〜70%、明暗各12時間の条件で固形飼料(CRF−1、オリエンタル酵母工業株式会社)で自由摂餌により飼育した。本発明の医薬として上記の白金コロイド水(PAA−Pt)を25G注射針を取り付けたポリプロピレン製ディスポーザブル注射筒を用いて1日1回尾静脈内(2mL/kg)又は経口的(5mL/kg)に投与した。対照として生理食塩水を同様に尾静脈内に投与した。
検体を投与し、30分後に拘束用ステンレス製ケージ(4.5×4.5×18cm、10連)に入れ、23℃±1の水槽中に胸部剣状突起まで浸した。水浸拘束7時間後に頸椎脱臼によりラットを安楽死させ、胃を摘出した。摘出した胃は、内部に生理食塩液を10mL充填し、さらにそれを1%ホルマリンに浸して翌日まで固定した。固定後、大弯に沿って切開し、生理食塩液中で軽く洗浄後、潰瘍の長さを測定した。短径/長径のうち長径を計測し、総和をその個体の値とした。
潰瘍の長径は各群毎に平均値±標準誤差(mm)を算出した。有意差検定は、投与経路毎に媒体群とPAA−Pt群間で比較し、F検定後、等分散の場合はStudentのt検定を、不等分散の場合はAspin−Welchのt検定を行った。なお、有意水準は5%未満を有意とし、5%未満(P<0.05)と1%未満(P<0.01)とに分けて表示した。拘束3時間において生理食塩水投与群の潰瘍の直径(平均値)は19.86mm(標準偏差8.41mm)であり、PAA−Pt投与群の潰瘍の直径(平均値)は7.27mm(標準偏差2.57mm、p=0.00566353)であった。また、拘束7時間において生理食塩水投与群の潰瘍の直径(平均値)は43.88mm(標準偏差11.96mm)であり、PAA−Pt投与群の潰瘍の直径(平均値)は19.84mm(標準偏差7.50mm、p=0.00191338)であった。
例7
BALB/c系マウスを各群4匹として用い、ニューキノロン系合成抗菌薬のロメフロキサシン(LFLX、光感作を引き起こすことが知られている)を用いて光感作による皮膚炎に対する本発明の医薬の作用を検討した(Tokura,Y.et al.J.Immunol.,160,pp.3719−3728,1998;Watanabe,H.,et al.,J.Biol.Chem.,279,pp.1676−1683,2004)。LFLX2mg/0.2ml(i.p.)を投与したマウスにUVA(12J/cm)を腹部剃毛部に照射して光感作を行った。2%のカルボキシビニルポリマーを含む水溶液に1mMのPAA−Ptを加えてゲル軟膏を調製し、感作の翌日から5日目(5日目は光照射後に塗布)まで0.3g/earを耳介両側に塗布した。陽性対照には2%(w/w)カブロキシビニルポリマーのみを塗布した。5日目に2mg/0.2mlのLFLXを服空内(i.p.)投与し、UVA(20J/cm)を両耳介に照射した。非感作群については5日目に2mg/0.2ml(i.p.)のLFLX投与とUVA(20J/cm)照射のみを行った。その結果、照射24時間後(6日目)の白金コロイド塗布群において有意に陽性対照群と比べて耳介腫脹は弱かった。またUVA(20J/cm)照射10日目の発赤を観察したところ、白金コロイド塗布群において明らかに耳介の紅斑、腫脹は軽快していた(図4)。

例8
BALB/c系マウスを各群4〜6匹として用い、試験開始日及びその翌日に1%TCSA(3,3’,4’,5−テトラクロロサリチルアニリド、オリーブオイル−アセトン(1:4)混合物中)をマウスの背部剃毛部に100μl塗布し、塗布部にUVA(16J/cm)を照射して光感作を行った(Suzuki,K.et al.,J.Dermatol.Sci.,23,pp.138−144,2000)。感作の翌日から5日目(5日目は光照射後に塗布)まで0.3g/earを耳介両側に塗布して耳介にハプテン塗布した。陽性対照には2%(w/w)カブロキシビニルポリマーのみを塗布した。5日目にマウスの両耳たぶに40μlの0.1%TCSAを塗布し、40センチの距離からUVA(16J/cm)を照射した。非感作群については5日目に40μlの0.1%TCSAの塗布とUVA(16J/cm)の照射のみを行った。照射の24時間後に耳の厚さを測定した。その結果、白金コロイド塗布群において、光接触皮膚炎反応は陽性対照群と比べて弱かった。

例9
Kb1:JW系ウサギ(SPF、雄、体重1.80〜2.70kg、北山ラベス株式会社)を5日間の検疫期間、その後9日間の馴化期間を設けて飼育し、この間に体重測定を3回および一般状態の観察を毎日行った。飼料としては固型飼料(RC4、オリエンタル酵母工業株式会社)を用いた。その後、0.5%コレステロール飼料(0.5%コレステロール、3%ピーナッツオイル、3%ココナッツオイル含有飼料)にて14日間馴化させた。総コレステロール値が良好に上昇した動物を選別し、群分け日の体重と総コレステロール値の平均がほぼ等しくなるように、1群10匹の4群に群分けした。動物は室温20〜26℃、湿度40〜70%、明暗各12時間(照明:午前6時〜午後6時)、換気回数12回/時(フィルターにより除菌した新鮮空気)に維持された飼育室で飼育する。動物は、アルミニウム製ケージ(W:350×D:580×H:350mm、自動洗浄および自動給水装置付)を用いて個別飼育した。給餌量は、全期間100g/匹/1日とした。飲料水は水道水を自動給水装置を用いて自由に摂取させた。
PAA−Ptは生理食塩水で希釈して注射針(23G、テルモ株式会社)を取り付けたポリプロピレン製ディスポーザブル注射筒(テルモ株式会社)を用いて耳介静脈内に1日1回投与した。投与期間は70日間(10週間)とした。コレステロール負荷前、投与開始前、投与4週、7週、及び10週後に、前日から約18時間絶食させ、耳介動脈から採血管(テルモ株式会社、VP−AS054)に約4mL採血し、冷却遠心機(CF 8DL、日立工機株式会社)にて遠心分離(約4℃、3000rpm、15分間)した血清について、総コレステロール(TC、COD・POD法)、トリグリセライド(TG、GPO・HDAOS法)、HDL−C(直接法)、及び過酸化脂質(LPO、八木別法)について測定した。
投与期間終了翌日に、ペントバルビタールナトリウム(ネンブタール注射液、大日本製薬株式会社)麻酔下で開腹し、腹大動脈から放血致死させた後、開胸し、剖検所見を記録した。その後、大動脈(大動脈起始部から腸骨動脈)を摘出し、10%中性緩衝ホルマリンで固定後、oil Red o染色した。染色後の大動脈はデジタルカメラ(Finepix S1 Pro、富士写真フィルム株式会社)を用いて撮影し、画像解析による全大動脈面積に対する赤染部位の割合を算出した。得られた数値は、各群で平均値±標準偏差を算出した。有意差検定は、媒体群と各投与群間で行い、危険率5%未満を有意とした検定法はBartlettの検定後、等分散の場合はDunnett検定を、不等分散の場合はSteel検定を用いた。生理食塩水投与群では動脈硬化損傷域(%)の平均値は45.5%(p=13.5)であった。白金コロイド投与群では、動脈硬化損傷域(%)の平均値は0.005μmol/kg投与群において18.7%(p=6.7)、0.05μmol/kg投与群において19.8%(p=4.0)、及び0.5μmol/kg投与群において19.2%(p=4.1)であった。
【産業上の利用可能性】
本発明の医薬は、筋萎縮性側索硬化症やアルツハイマー病などの神経変性疾患、慢性関節リウマチなどのリウマチ性疾患、心筋梗塞などの虚血性心疾患、ストレス性潰瘍、皮膚炎、動脈硬化症、及び高脂血症の予防及び/又は治療のための医薬として有用である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
神経変性疾患、リウマチ性疾患、虚血性心疾患、ストレス性潰瘍、皮膚炎、動脈硬化症、及び高脂血症からなる群から選ばれる疾患の予防及び/又は治療のための医薬であって、貴金属又は貴金属を含む合金の微粒子を有効成分として含む医薬。
【請求項2】
該疾患が神経変性疾患である請求の範囲第1項に記載の医薬。
【請求項3】
該神経変性疾患が筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、又はパーキンソン病である請求の範囲第2項に記載の医薬。
【請求項4】
該疾患がリウマチ性疾患である請求の範囲第1項に記載の医薬。
【請求項5】
該リウマチ性疾患が慢性関節リウマチである請求の範囲第4項に記載の医薬。
【請求項6】
該疾患が虚血性心疾患である請求の範囲第1項に記載の医薬。
【請求項7】
該虚血性心疾患が急性期の心筋梗塞である請求の範囲第6項に記載の医薬。
【請求項8】
該疾患がストレス性潰瘍である請求の範囲第1項に記載の医薬。
【請求項9】
該ストレス性潰瘍がストレス性胃潰瘍又はストレス性十二指腸潰瘍である請求の範囲第8項に記載の医薬。
【請求項10】
該疾患が皮膚炎である請求の範囲第1項に記載の医薬。
【請求項11】
該疾患が動脈硬化症である請求の範囲第1項に記載の医薬。
【請求項12】
該貴金属がルテニウム、ロジウム、及び白金からなる群から選ばれる1種又は2種以上の貴金属である請求の範囲第1項ないし第11項に記載の医薬。
【請求項13】
該貴金属が白金である請求の範囲第1項ないし第11項に記載の医薬。
【請求項14】
該貴金属の微粒子が平均粒径10nm以下の白金コロイドである請求の範囲第1項ないし第13項に記載の医薬。

【国際公開番号】WO2004/073723
【国際公開日】平成16年9月2日(2004.9.2)
【発行日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502744(P2005−502744)
【国際出願番号】PCT/JP2004/001825
【国際出願日】平成16年2月18日(2004.2.18)
【出願人】(503304234)株式会社シーテック (6)
【Fターム(参考)】