貴金属粘土を用いたリング状物成形方法及びその成形型
【課題】従来必須であった棒状に成形した貴金属粘土の両端を「繋げる」という作業を必要とすることなく、リング状物を成形することを可能としたリング状物成形方法及びその成形型を提供することを目的とする。
【解決手段】原料としての貴金属粘土を介在させて雄型6と雌型1とを密接嵌合させた後、雄型と雌型に形成された貫通孔から余分な貴金属粘土を除去し、或いは雄型6と雌型1に形成された貫通孔10,5に抜き型12を挿入して貴金属粘土の中心部分を打ち抜くことで余分な貴金属粘土を抜き出し、リング状成形体を得る貴金属粘土を用いたリング状物成形方法と、上面7に環状凸部8及び該環状凸部8の内側に環状凹部9と貫通孔10とが形成された雄型6と、下面2に円形凹部3及び該円形凹部3の内側に環状凹部4と貫通孔5とが形成され前記雄型6の上方から嵌合する雌型1と、上記貫通孔5,10の径長と一致する径長を有する円柱状の抜き型12とからなる貴金属粘土を用いたリング状物成形型を提供する。
【解決手段】原料としての貴金属粘土を介在させて雄型6と雌型1とを密接嵌合させた後、雄型と雌型に形成された貫通孔から余分な貴金属粘土を除去し、或いは雄型6と雌型1に形成された貫通孔10,5に抜き型12を挿入して貴金属粘土の中心部分を打ち抜くことで余分な貴金属粘土を抜き出し、リング状成形体を得る貴金属粘土を用いたリング状物成形方法と、上面7に環状凸部8及び該環状凸部8の内側に環状凹部9と貫通孔10とが形成された雄型6と、下面2に円形凹部3及び該円形凹部3の内側に環状凹部4と貫通孔5とが形成され前記雄型6の上方から嵌合する雌型1と、上記貫通孔5,10の径長と一致する径長を有する円柱状の抜き型12とからなる貴金属粘土を用いたリング状物成形型を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は貴金属粘土を用いたリング状物成形方法及びその成形型に関し、特には貴金属粘土、例えば純銀粘土,純金粘土,プラチナ粘土等を原料として成形する指輪その他のリング状物の成形において、貴金属粘土を介在させて型枠を密接嵌合させた後、抜き型等を用いてリング状に抜き加工することにより、従来必須であった棒状体の両端部を繋ぎ、或いは曲成してリング状に成形することなく、型枠にてリング状に成形することができ、熟練を要することなく、容易にリング状物を製造することができる成形方法と成形型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時手作りのシルバーアクセサリやゴールドアクセサリ等の貴金属粘土を原材料とした手作りのアクセサリがブームであり、各ショップのオリジナルやユーザー自らが本当に手作りをするキット等が人気となっている。従来、この貴金属粘土を用いて指輪等のリング状物を製作する際には、先ず貴金属粘土を板状,棒状もしくは塊状にした後、カッタナイフ等の器具を利用して所定の形状,輪郭に成形し、縮みを計算しながらリングサイズ棒に巻き付けてリング状に造形してから重なる部位を切断し、水で接着させるか切ったまま乾燥させ、繋ぎ目などを修正する。即ち、棒状に成形した貴金属粘土の両端部を繋げる作業が必須であった。また、切ったまま乾燥させたものは、乾燥した後に繋ぎ目に貴金属粘土を足して繋げて再度乾燥させる作業が必要である。
【0003】
そして、繋ぎ目の修正を終えてからリングの内側をスポンジヤスリ,棒ヤスリ等で修正し、横面を紙ヤスリで削った後、棒ヤスリを用いて再度の修正を行い、表面がきれいになった時点で彫りなどのデザインを加え、次にこれを順次乾燥処理,焼成処理,仕上げ処理することにより完成させる。
【0004】
特許文献1には、硬質台部材に貴金属粘土を充填させる成形凹部が形成され、この成形凹部の周縁に輪郭立壁が立設され、この輪郭立壁の上端が尖状縁に形成されている貴金属粘土用成形型と、帯状成形凹部の長さを、貴金属粘土の縮み代を計算に入れた指輪号数によって表示した目盛が設けられている貴金属粘土用指輪成形型が開示されている。
【特許文献1】特許第3515753号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記したように貴金属粘土をリングサイズ棒に巻き付けて指輪を造形する方法は、必ず棒状に成形した貴金属粘土の両端部をリング状に繋げなければならないので、繋ぎ目の修正に多くの手間と時間がかかる上、作業者に熟練した技術が要求され、かつ、繋ぎ目の存在によって指輪自体の強度面にも不安が残るという課題がある。特に精確な円形と均一な厚み,幅を持つ指輪を製作するには、作業者の技術力とともに大きな集中力が要求されるものであり、修正が多いケースでは素材のロスも多くなり、指輪を繋げた部位からひびが入りやすいという問題もある。
【0006】
また、貴金属粘土は金属の微粒子に主として澱粉質のバインダと水を加えて練り合わせたものであるため、造形後には乾燥させる作業が必須であるが、水分が蒸発した時点で収縮が始まる。前記リングサイズ棒を芯として貴金属粘土を巻き付けて繋げたリング状粘土は、芯を取るタイミングを誤ると、外側から乾燥する際に内側にまるまってしまい、「そり」が発生するという問題がある。
【0007】
特許文献1に記載された手段によっても、指輪号数によって表示した目盛が設けられている指輪成形型を利用しなければならないため、粘土をリング状に繋げるという作業が要求されることは避けられず、作業者の技倆によっては繋げる作業中に貴金属粘土の均一な厚みと幅が損なわれることがあるという難点がある。
【0008】
そこで本発明は上記従来の問題点に鑑みて、貴金属粘土の造形が容易であるとともに造形後の乾燥時にも「そり」が発生しにくく、従来のリング状成形体の繋ぎ目の修正にかかる多くの手間をなくすとともに作業時間が短縮され、更に熟練した作業者の技術力と集中力が要求されず、初心者でも容易に製作することができるリング状物成形方法及びその成形型を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するために、原料としての貴金属粘土を介在させて雄型と雌型とを密接嵌合させた後、雄型と雌型に形成された貫通孔から余分な貴金属粘土を除去し、或いは雄型と雌型に形成された貫通孔に抜き型を挿入して貴金属粘土の中心部分を打ち抜くことで余分な貴金属粘土を抜き出し、リング状成形体を得る貴金属粘土を用いたリング状物成形方法を基本として提供する。そして、雄型と雌型とに断面円弧状の環状凹部を形成し、該環状凹部の中に貴金属粘土を介在させて雄型と雌型とを密接嵌合させた手段、雄型と雌型とに断面矩形状の環状凹部を形成し、該環状凹部の中に貴金属粘土を介在させて雄型と雌型とを密接嵌合させた手段、雄型と雌型とに断面矩形状の環状凹部を形成し、該環状凹部の中に円筒体からなる入れ子と貴金属粘土を介在させて雄型と雌型とを密接嵌合させた手段を提供する。
【0010】
また、貫通孔を有する雄型に形成された断面円弧状の環状凹部と、貫通孔を有する雌型に形成された断面円弧状の環状凹部の中に原料としての貴金属粘土を介在させて雄型と雌型を密接嵌合させることにより、貴金属粘土を雄型と雌型の断面円弧状の環状凹部内に圧入し、雄型と雌型に形成された貫通孔から余分な貴金属粘土を除去し、或いは雄型と雌型に形成された貫通孔に抜き型を挿入して貴金属粘土の中心部分を打ち抜くことで余分な貴金属粘土を抜き出し、リング状成形体を得る手段を提供する。更に、貫通孔を有する雄型に形成された断面矩形状の環状凹部と、貫通孔を有する雌型に形成された断面矩形状の環状凹部の中に原料としての貴金属粘土を介在させて雄型と雌型を密接嵌合させることにより、貴金属粘土を雄型と雌型の断面矩形状の環状凹部内に圧入する手段、貫通孔を有する雄型に形成された断面矩形状の環状凹部内に円筒体でなる入れ子の一部を挿入し、該入れ子の内側に原料としての貴金属粘土を入れ、入れ子の残部を挿入する断面矩形状の環状凹部が形成されて貫通孔を有する雌型を密接嵌合させることにより、貴金属粘土を雄型と入れ子と雌型によって形成される空間部に圧入する手段を提供する。
【0011】
そして、環状凹部と該環状凹部に連通した貫通孔とが形成された雄型と、環状凹部と該環状凹部に連通した貫通孔とが形成された雌型とからなり、雄型と雌型を密接嵌合させることにより、雄型と雌型の環状凹部及び貫通孔が連通する貴金属粘土を用いたリング状物成形型を提供し、更に上記貫通孔と一致する径長を有する円柱状の抜き型を有して、雄型と雌型を密接嵌合させることにより、雄型と雌型の環状凹部及び貫通孔が連通する構成を提供する。また、上面に環状凸部及び該環状凸部の内側に断面円弧状の環状凹部と貫通孔とが形成された雄型と、下面に円形凹部及び該円形凹部の内側に断面円弧状の環状凹部と貫通孔とが形成されて前記雄型と密接嵌合する雌型とからなる構成、上面に環状凸部及び該環状凸部の内側に断面矩形状の環状凹部と貫通孔とが形成された雄型と、下面に円形凹部及び該円形凹部の内側に断面矩形状の環状凹部と貫通孔とが形成されて前記雄型と密接嵌合する雌型とからなる構成、上面に大径の環状凸部及び該環状凸部の内側に断面矩形状の環状凹部を介在して小径の環状凸部と貫通孔とが形成された雄型と、下面に円形凹部及び該円形凹部の内側に断面矩形状の環状凹部と貫通孔とが形成されて前記雄型と密接嵌合する雌型と、円筒体の外径長が雄型及び雌型の環状凹部内に嵌合可能な径長を有するとともに雄型と雌型に形成された貫通孔よりも大径の貫通孔が形成された入れ子とからなる構成を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる貴金属粘土を用いたリング状物成形方法及びその成形型によれば、指輪等の造形時に粘土をリング状に繋げる作業がないので、従来必須であった棒状に成形した貴金属粘土の両端部をリング状に繋げる作業がなく成形が正確、かつ、容易に行え、又繋ぎ目の修正等に必要な手間と時間がかからない上、作業者に熟練した技術が要求されず、初心者でもリング状成形体を容易に製作することができる。特に精確な円形と均一な厚み,幅を持つ指輪を製作することが可能であって、しかも従来のようにリング状成形体の繋げた部位から「ひび」が入ったり、乾燥する際に「そり」が発生する惧れが少なく、指輪自体の強度も高く維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下図面に基づいて本発明にかかる貴金属粘土を用いたリング状物成形方法及びその成形型の最良の実施形態を説明する。本発明にかかるリング状物は、リング状を呈していればよく、中空リング状の指輪のみならず、ハート型その他の変形を含む。また、閉ループ状(切れ目のないリング状)のみならず、開ループ状(切れ目を有するリング状)のものも含む。
【0014】
図1〜図8は本発明にかかる成形型の第1実施形態を示すものであり、指輪として甲丸リング30を製作するものである。図1は甲丸リング30の全体外観図、図2はその中央縦断面斜視図であり、甲丸リング30は図示のように、リングの外側面30aの断面形状が円弧状にふくらんでおり、内側面30bの断面形状が直線状の指輪である。図3は説明の便宜上、上下を反転させて表示した雌型1の斜視図であり、この雌型1は全体として中空リング状であり、下面2に大径の円形凹部3が形成され、該円形凹部3の内側に中空で小径の環状凹部4が形成されている。小径の環状凹部4は断面が円弧状であって略1/4の円弧に形成されていて、その径長は製作する指輪のサイズと一致している。5は断面円弧状の環状凹部4の内側に穿設された貫通孔である。
【0015】
図4は前記雌型1と対向して該雌型1が上方から嵌合する雄型6の斜視図である。この雄型6は全体として中空リング状であり、上面7に中空で大径の環状凸部8が形成され、該環状凸部8の内側に中空で小径の環状凹部9が形成されている。環状凸部8は前記雌型1の円形凹部3内に嵌合可能な大きさに形成されている。小径の環状凹部9は断面が円弧状であって略1/4の円弧に形成されていて、その径長は製作する指輪のサイズと一致している。10は環状凹部9の内側に穿設された貫通孔であり、該貫通孔10の径長は図3の貫通孔5の径長と一致している。11は嵌合させた雌型1と雄型6を取り外す際に棒状の部材を挿入するための切欠である。
【0016】
図5は円柱状の抜き型12の形状例を示しており、この抜き型12の径長は前記貫通孔10の底面部分の径長と一致している。上記雌型1,雄型6及び抜き型12を構成する素材は、強度、耐熱性、透明性を考慮して選択するとポリカーボネートが最適であり、又アクリルも適当であるとともに、ステンレスも使用可能である。
【0017】
かかる成形型を使用して、貴金属粘土として純銀粘土を用いて指輪等のリング状物を成形する方法を以下に説明する。純銀粘土とは微細な純銀の粉にバインダと水を加えて練り合わせた粘土状の金属素材であり、予め袋内に密閉されて保管されている。そこで先ず袋内から原料としての純銀粘土を取り出し、平板の上に置いてプラスチック等の板を用いて皺が生じないように丸め、更に上から軽く押して図6に示したように円盤状体13に仮成形すると後の作業が容易である。この円盤状の仮成形体は前記雄型6の環状凹部9内に進入可能な大きさになるように予め設定しておくとよい。なお、円盤状体13に仮成形することは必須ではなく、任意の塊状やリング状に仮成形した純銀粘土を使用することができる。
【0018】
次に上記により仮成形した円盤状体13を図4に示す雄型6の環状凹部9内に入れ、図3に示す雌型1を反転させて、該雌型1の円形凹部3を雄型6の環状凸部8に密接嵌合させて円盤状体13を環状凹部4,9内に圧入する。即ち、原料としての貴金属粘土を介在させて雄型6と雌型1とが密接嵌合した状態となる。次に貫通孔5,10内に図5に示す抜き型12を、貫通孔10側から押圧しながら挿入して円盤状体13の中心部分を打ち抜き、余分な純銀粘土を上方に押し出す。打ち抜いた純銀粘土は素早く回収して袋内に入れ、密閉保管して次回の利用に供する。また、予め雄型6と雌型1とを密接嵌合させておき、その状態で貫通孔5,10を通して純銀粘土を環状凹部4,9内に圧入するようにしてもよい。このように純銀粘土を環状凹部4,9内に圧入することによって、純銀粘土中の純銀のパウダーの密度が上がることとなり、完成したリング状成形物の硬度物性強度が上がり、熱伝導率が向上する。更に、抜き型12を使用することなく、貫通孔5,10から適宜の棒状部材或いは指を使用して余分な貴金属粘土を除去してリング状成形体を得るようにしてもよい。
【0019】
図7は雌型1,雄型6及び抜き型12の嵌合状態を示す分解斜視図である。図示したように雌型1の円弧状の環状凹部4と雄型6の円弧状の環状凹部9により構成される密閉領域内に円盤状体13がリング状に残存して指輪の成形が行われる。図8は雄型6の環状凹部9に円盤状体13を圧入或いは入れて、雄型6の環状凸部8を雌型1の円形凹部3内に嵌合した後、貫通孔10,5内にA方向から抜き型12を挿入して円盤状体13をリング状の成形体14に成形した状態を示す断面図であり、雌型1の円弧状の環状凹部4と雄型6の円弧状の環状凹部9により構成される密閉領域内に指輪等のリング状の成形体14が成形されている。
【0020】
次に切欠11に適宜の棒状の部材を挿入しててこの原理により雄型6,抜き型12と雌型1を取り外し、該雄型6内からリング状の成形体14を取り外すか、そのままの状態で自然乾燥又はドライヤーによる短時間の乾燥を行い、更に雄型6から成形体を取り外した後に、手操作によってリングの「けばたち」とか「バリ」を除去するとともに該リングの内側と外側をスポンジヤスリ,棒ヤスリ等で所定の修正を施し、横面を紙ヤスリで削った後、棒ヤスリを用いて再度の修正を行って表面を綺麗に仕上げてから彫りなどのデザインを加えて、図1,2に示す甲丸リング30として仕上げる。なお、甲丸リング30の形状は月型甲丸又は波型等の形状に仕上げることも自在である。また、仕様によって環状凹部4,9内に予め他の立体形状を刻設しておくこともできる。更に、完成した成形体に合成石を入れたりヘッドを付けることも可能である。
【0021】
次に成形体を乾燥処理,焼成処理,仕上げ処理することにより指輪を完成させる。焼成処理は三菱マテリアル製の純銀粘土PMC3を使用した場合は900℃,10分程度が好ましい。以下デザインに合わせて研磨して仕上げる。また、雄型6と雌型1のサイズは、リング状成形体のサイズが焼成によって縮む縮み代を考慮して定めるようにする。前記した純銀粘土PMC3を使用した場合、成形時に23号のリング状成形体が、乾燥によって20号となり、焼成(900℃,10分)で12号程度となる。
【0022】
上記第1実施形態では、貴金属粘土として純銀粘土を用いてリング状物を成形する方法を説明したが、純銀粘土に代えて純金粘土,プラチナ粘土等を原料として使用することもできる。
【0023】
図9〜図15は本発明にかかる成形型の第2実施形態を示すものであり、指輪として平打ちリング31を製作するものである。図9は平打ちリング31の全体外観図、図10はその中央縦断面斜視図であり、平打ちリング31は図示のようにリングの外側面31a及び内側面31bの断面形状が共に直線状であって、断面矩形状の指輪である。第2実施形態の基本的な構成は前記第1実施形態と同一であって、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。図11に示す雌型1の下面2に大径の円形凹部3が形成され、該円形凹部3の内側に小径の断面矩形状の環状凹部15が形成されている。小径の環状凹部15は断面が矩形状に形成されていて、その径長は製作する指輪のサイズと一致している。5は環状凹部15の内側に穿設された貫通孔である。
【0024】
図12は前記雌型1と対向して該雌型1が上方から嵌合する雄型6の斜視図であり、この雄型6の上面7には中空で大径の環状凸部8が形成され、該環状凸部8の内側に中空で小径の断面矩形状の環状凹部16が形成されている。環状凸部8は前記雌型1の円形凹部3内に嵌合可能な大きさに形成されている。小径の環状凹部16は断面が矩形状に形成されていて、その径長は図11の環状凹部15の大きさ、即ち製作する指輪のサイズと一致している。10は環状凹部16の内側に穿設された貫通孔であり、該貫通孔10の径長は図11の貫通孔5の径長と一致している。図13は円柱状の抜き型12の形状例を示しており、この抜き型12の径長は前記貫通孔10の底面部分の径長と一致している。
【0025】
かかる成形型を使用して指輪等の平打ちリング状物を成形するには、前記説明と同様に先ず原料としての純銀粘土を平板上で丸め、上から軽く押して図6に示す円盤状体13に仮成形すると後の作業が容易である。なお、円盤状体13に仮成形することは必須ではなく、任意の塊状やリング状に仮成形した純銀粘土を使用することができることも第1実施形態と同様である。次に仮成形した円盤状体13を雄型6の環状凹部16内に入れ、図11に示す雌型1を反転させて該雌型1の円形凹部3を雄型6の環状凸部8に密接嵌合して円盤状体13を環状凹部15,16内に圧入し、次に貫通孔10,5内に抜き型12を押圧しながら挿入して円盤状体13の中心部分を打ち抜くことでリング状成形体14aを得て、打ち抜いた純銀粘土は素早く回収して袋内に入れて密閉保管する。また、予め雄型6と雌型1とを密接嵌合させておき、その状態で貫通孔5,10を通して純銀粘土を環状凹部15,16内に圧入するようにしてもよいのは第1実施形態と同様である。更に、抜き型12を使用することなく、貫通孔5,10から適宜の棒状部材或いは指を使用して余分な貴金属粘土を除去してリング状成形体を得るようにしてもよいことも第1実施形態と同様である。
【0026】
図14は雌型1,雄型6及び抜き型12の嵌合状態を示す分解斜視図である。図示したように雄型6の断面矩形状の環状凹部16と雌型1の同様な環状凹部15により構成される密閉領域内に円盤状体13がリング状に残存して平打ちタイプの指輪の成形が行われる。図15は雄型6の環状凹部16内に円盤状体13を圧入或いは入れて、雄型6の環状凸部8を雌型1の円形凹部3内に嵌合した後、貫通孔10,5内にA方向から抜き型12を挿入して円盤状体13を平打ちリング状の成形体14aに成形した状態を示す断面図である。なお、成形後のヤスリを用いて修正,デザイン,乾燥処理,焼成処理,仕上げ処理する工程は前記第1実施形態の説明と同一である。
【0027】
図16〜図23は本発明にかかる成形型の第3実施形態を示しており、成形型として入れ子を利用して指輪として平打ちリング32を製作するものである。図16は平打ちリング32の全体外観図、図17はその中央縦断面斜視図であり、平打ちリング32は図示のようにリングの外側面32a及び内側面32bの断面形状が共に直線状であって、断面矩形状の指輪であるが、第2実施形態で製作する平打ちリング31に比べて、肉厚が薄いものである。基本的な構成は前記第1実施形態と同一であって、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。図18に示す雌型1の下面2に大径の円形凹部3が形成され、該円形凹部3の内側に小径の環状凹部17が形成されている。小径の環状凹部17は断面が矩形状に形成されている。5は環状凹部17の内側に穿設された貫通孔である。
【0028】
図19は上記雌型1と対向して該雌型1が上方から嵌合する雄型6の斜視図であり、この雄型6の上面7には中空で大径の環状凸部8が形成され、該環状凸部8の内側に所定の断面矩形状の環状凹部18を介在して小径の環状凸部19が形成されている。10は貫通孔であり、該貫通孔10の径長は図18の貫通孔5の径長と一致している。また、環状凸部8は前記雌型1の円形凹部3内に嵌合可能な大きさに形成されている。
【0029】
図20は入れ子20の形状例を示しており、この入れ子20は上部に形成された中空の円筒体21と、該円筒体21下部に連接された肉圧の中空の円筒体22とからなり、両円筒体21,22間に段部23が設けられている。中空の円筒体21,22の外径長は図19に示す雄型6の環状凹部18内に嵌合可能な大きさになっている。24は貫通孔であり、該貫通孔24の径長は雌型1の貫通孔5の径長よりも大径に形成されている。図21は円柱状の抜き型12の形状例を示しており、この抜き型12の径長は前記貫通孔10の径長と一致している。
【0030】
この入れ子20を使用するのは、製作しようとする平打ちリング32の断面の肉厚が薄く、幅が広いので、抜き型12で純銀粘土を打ち抜いた後に雌型1或いは雄型6の一方が外れにくく、成形体としての平打ちリング32が型くずれすることを防ぐためである。即ち、入れ子20が平打ちリング32の外面を囲繞して支持しているため、乾燥時までに型くずれすることがないのである。また、乾燥終了後に雌型1或いは雄型6の一方からの取り外しが容易となる。更に、幅寸法の異なる入れ子20を使用することにより、成形する平打ちリングの厚みを同一の雌型1と雄型6を使用して自在に変更することができる。入れ子20を使用して効果が高いのは、平打ちリング32の厚みが2mm以下程度であり、幅が5mm以上程度で、型から外すときに変形しやすいものである。
【0031】
かかる成形型を使用して指輪等のリング状物を成形するには、前記説明と同様に先ず原料としての純銀粘土を平板上で丸め、上から軽く押して図6に示す円盤状体13に仮成形すると後の作業が容易である。なお、円盤状体13に仮成形することは必須ではなく、任意の塊状やリング状に仮成形した純銀粘土を使用することができることも第1実施形態と同様である。次に図22に示したように雄型6の環状凹部18に円筒体21側から入れ子20を挿入し、この入れ子20の段部23を環状凸部19の上面に係合させる。よって、環状凸部19の上面は入れ子20の段部23に被覆され、僅かに成形するリング状の成形体14bの厚さ分のみ露出している。つぎにこの露出している環状凸部19の上面に前記仮成形した円盤状体13を載置し、雌型1を入れ子20の上方から雄型6に密接嵌合させて、円盤状体13を雄型6と入れ子20と雌型1によって形成される空間部に圧入する。また、予め雄型6,雌型1と入れ子20とを密接嵌合させておき、その状態で貫通孔5,10を通して純銀粘土を雄型6と入れ子20と雌型1によって形成される空間部に圧入するようにしてもよいのも第1実施形態と同様である。
【0032】
次に貫通孔10,5内に図23の矢印A方向から抜き型12を押圧しながら挿入して円盤状体13の中心部分を打ち抜くことで図23に示すようにリング状成形体14bを得ることができる。即ち、図23に示すように入れ子20の貫通孔24の径長は、雌型1,雄型6の貫通孔5,10の径長よりも大径に形成されているため、該入れ子20,抜き型12,雌型1と雄型6間に構成される密閉領域内に円盤状体13がリング状に残存して、平打ちタイプの指輪の成形が行われる。また、抜き型12を使用することなく、貫通孔5,10から適宜の棒状部材或いは指を使用して余分な貴金属粘土を除去してリング状成形体を得るようにしてもよいことも第1実施形態と同様である。なお、成形後のヤスリを用いて修正,デザイン,乾燥処理,焼成処理,仕上げ処理する工程は前記実施形態1と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、指輪等の造形時に粘土をリング状に繋げる作業がなく、従来必須であった棒状に成形した貴金属粘土の両端部をリング状に繋げる作業がなく成形が正確、かつ、容易に行える。また、抜き型を用いてリング状に抜き加工するため、成形したリング状成形体に「けばたち」とか「バリ」の発生も少ない。そのため、「バリ」取り及び繋ぎ目の修正等に多くの手間と時間がかからない上、作業者に熟練した技術が要求されないので、初心者でもリング状成形体を容易に製作することが可能であり、精確な円形と均一な厚み,幅を持つ指輪を製作することができるので、甲丸リング、平打ちリング、月型甲丸等の指輪の外、リングブレスレット、ネックレスやペンダントのトップ製作に利用することができる。使用する貴金属粘土も説明に例示した純銀粘土の外に、金属粉又は合金粉の一種又は複数を含有する金属粘土組成物が使用可能であり、例えば、純金粘土,プラチナ粘土,純銀+パラジウム粘土,純銀含粘土等を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる甲丸リングの全体外観図。
【図2】図1の中央縦断面斜視図。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる成形型の雌型の形状例を示す斜視図。
【図4】第1実施形態の雄型の形状例を示す斜視図。
【図5】第1実施形態の抜き型の形状例を示す斜視図。
【図6】貴金属粘土を仮成形した円盤状体を示す斜視図。
【図7】第1実施形態の成形型の分解斜視図。
【図8】第1実施形態のリング状成形体の製作時における成形型の断面図。
【図9】本発明の第2実施形態にかかる平打ちリングの全体外観図。
【図10】図9の中央縦断面斜視図。
【図11】本発明の第2実施形態にかかる成形型の雌型の形状例を示す斜視図。
【図12】第2実施形態の雄型の形状例を示す斜視図。
【図13】第2実施形態の抜き型の形状例を示す斜視図。
【図14】第2実施形態の成形型の分解斜視図。
【図15】第2実施形態のリング状成形体の制作時における成形型の断面図。
【図16】本発明の第3実施形態にかかる平打ちリングの全体外観図。
【図17】図16の中央縦断面斜視図。
【図18】本発明の第3実施形態にかかる成形型の雌型の形状例を示す斜視図。
【図19】第3実施形態の雄型の形状例を示す斜視図。
【図20】第3実施形態の入れ子の形状例を示す斜視図。
【図21】第3実施形態の抜き型の形状例を示す斜視図。
【図22】第3実施形態の成形型の分解斜視図。
【図23】第3実施形態のリング状成形体の制作時における成形型の断面図。
【符号の説明】
【0035】
1…雌型
3…円形凹部
4,9,15,16,17,18…環状凹部
5,10,24…貫通孔
6…雄型
8,19…環状凸部
11…切欠
12…抜き型
13…円盤状体
14,14a,14b…成形体
30…甲丸リング
31,32…平打ちリング
【技術分野】
【0001】
本発明は貴金属粘土を用いたリング状物成形方法及びその成形型に関し、特には貴金属粘土、例えば純銀粘土,純金粘土,プラチナ粘土等を原料として成形する指輪その他のリング状物の成形において、貴金属粘土を介在させて型枠を密接嵌合させた後、抜き型等を用いてリング状に抜き加工することにより、従来必須であった棒状体の両端部を繋ぎ、或いは曲成してリング状に成形することなく、型枠にてリング状に成形することができ、熟練を要することなく、容易にリング状物を製造することができる成形方法と成形型に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近時手作りのシルバーアクセサリやゴールドアクセサリ等の貴金属粘土を原材料とした手作りのアクセサリがブームであり、各ショップのオリジナルやユーザー自らが本当に手作りをするキット等が人気となっている。従来、この貴金属粘土を用いて指輪等のリング状物を製作する際には、先ず貴金属粘土を板状,棒状もしくは塊状にした後、カッタナイフ等の器具を利用して所定の形状,輪郭に成形し、縮みを計算しながらリングサイズ棒に巻き付けてリング状に造形してから重なる部位を切断し、水で接着させるか切ったまま乾燥させ、繋ぎ目などを修正する。即ち、棒状に成形した貴金属粘土の両端部を繋げる作業が必須であった。また、切ったまま乾燥させたものは、乾燥した後に繋ぎ目に貴金属粘土を足して繋げて再度乾燥させる作業が必要である。
【0003】
そして、繋ぎ目の修正を終えてからリングの内側をスポンジヤスリ,棒ヤスリ等で修正し、横面を紙ヤスリで削った後、棒ヤスリを用いて再度の修正を行い、表面がきれいになった時点で彫りなどのデザインを加え、次にこれを順次乾燥処理,焼成処理,仕上げ処理することにより完成させる。
【0004】
特許文献1には、硬質台部材に貴金属粘土を充填させる成形凹部が形成され、この成形凹部の周縁に輪郭立壁が立設され、この輪郭立壁の上端が尖状縁に形成されている貴金属粘土用成形型と、帯状成形凹部の長さを、貴金属粘土の縮み代を計算に入れた指輪号数によって表示した目盛が設けられている貴金属粘土用指輪成形型が開示されている。
【特許文献1】特許第3515753号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記したように貴金属粘土をリングサイズ棒に巻き付けて指輪を造形する方法は、必ず棒状に成形した貴金属粘土の両端部をリング状に繋げなければならないので、繋ぎ目の修正に多くの手間と時間がかかる上、作業者に熟練した技術が要求され、かつ、繋ぎ目の存在によって指輪自体の強度面にも不安が残るという課題がある。特に精確な円形と均一な厚み,幅を持つ指輪を製作するには、作業者の技術力とともに大きな集中力が要求されるものであり、修正が多いケースでは素材のロスも多くなり、指輪を繋げた部位からひびが入りやすいという問題もある。
【0006】
また、貴金属粘土は金属の微粒子に主として澱粉質のバインダと水を加えて練り合わせたものであるため、造形後には乾燥させる作業が必須であるが、水分が蒸発した時点で収縮が始まる。前記リングサイズ棒を芯として貴金属粘土を巻き付けて繋げたリング状粘土は、芯を取るタイミングを誤ると、外側から乾燥する際に内側にまるまってしまい、「そり」が発生するという問題がある。
【0007】
特許文献1に記載された手段によっても、指輪号数によって表示した目盛が設けられている指輪成形型を利用しなければならないため、粘土をリング状に繋げるという作業が要求されることは避けられず、作業者の技倆によっては繋げる作業中に貴金属粘土の均一な厚みと幅が損なわれることがあるという難点がある。
【0008】
そこで本発明は上記従来の問題点に鑑みて、貴金属粘土の造形が容易であるとともに造形後の乾燥時にも「そり」が発生しにくく、従来のリング状成形体の繋ぎ目の修正にかかる多くの手間をなくすとともに作業時間が短縮され、更に熟練した作業者の技術力と集中力が要求されず、初心者でも容易に製作することができるリング状物成形方法及びその成形型を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記目的を達成するために、原料としての貴金属粘土を介在させて雄型と雌型とを密接嵌合させた後、雄型と雌型に形成された貫通孔から余分な貴金属粘土を除去し、或いは雄型と雌型に形成された貫通孔に抜き型を挿入して貴金属粘土の中心部分を打ち抜くことで余分な貴金属粘土を抜き出し、リング状成形体を得る貴金属粘土を用いたリング状物成形方法を基本として提供する。そして、雄型と雌型とに断面円弧状の環状凹部を形成し、該環状凹部の中に貴金属粘土を介在させて雄型と雌型とを密接嵌合させた手段、雄型と雌型とに断面矩形状の環状凹部を形成し、該環状凹部の中に貴金属粘土を介在させて雄型と雌型とを密接嵌合させた手段、雄型と雌型とに断面矩形状の環状凹部を形成し、該環状凹部の中に円筒体からなる入れ子と貴金属粘土を介在させて雄型と雌型とを密接嵌合させた手段を提供する。
【0010】
また、貫通孔を有する雄型に形成された断面円弧状の環状凹部と、貫通孔を有する雌型に形成された断面円弧状の環状凹部の中に原料としての貴金属粘土を介在させて雄型と雌型を密接嵌合させることにより、貴金属粘土を雄型と雌型の断面円弧状の環状凹部内に圧入し、雄型と雌型に形成された貫通孔から余分な貴金属粘土を除去し、或いは雄型と雌型に形成された貫通孔に抜き型を挿入して貴金属粘土の中心部分を打ち抜くことで余分な貴金属粘土を抜き出し、リング状成形体を得る手段を提供する。更に、貫通孔を有する雄型に形成された断面矩形状の環状凹部と、貫通孔を有する雌型に形成された断面矩形状の環状凹部の中に原料としての貴金属粘土を介在させて雄型と雌型を密接嵌合させることにより、貴金属粘土を雄型と雌型の断面矩形状の環状凹部内に圧入する手段、貫通孔を有する雄型に形成された断面矩形状の環状凹部内に円筒体でなる入れ子の一部を挿入し、該入れ子の内側に原料としての貴金属粘土を入れ、入れ子の残部を挿入する断面矩形状の環状凹部が形成されて貫通孔を有する雌型を密接嵌合させることにより、貴金属粘土を雄型と入れ子と雌型によって形成される空間部に圧入する手段を提供する。
【0011】
そして、環状凹部と該環状凹部に連通した貫通孔とが形成された雄型と、環状凹部と該環状凹部に連通した貫通孔とが形成された雌型とからなり、雄型と雌型を密接嵌合させることにより、雄型と雌型の環状凹部及び貫通孔が連通する貴金属粘土を用いたリング状物成形型を提供し、更に上記貫通孔と一致する径長を有する円柱状の抜き型を有して、雄型と雌型を密接嵌合させることにより、雄型と雌型の環状凹部及び貫通孔が連通する構成を提供する。また、上面に環状凸部及び該環状凸部の内側に断面円弧状の環状凹部と貫通孔とが形成された雄型と、下面に円形凹部及び該円形凹部の内側に断面円弧状の環状凹部と貫通孔とが形成されて前記雄型と密接嵌合する雌型とからなる構成、上面に環状凸部及び該環状凸部の内側に断面矩形状の環状凹部と貫通孔とが形成された雄型と、下面に円形凹部及び該円形凹部の内側に断面矩形状の環状凹部と貫通孔とが形成されて前記雄型と密接嵌合する雌型とからなる構成、上面に大径の環状凸部及び該環状凸部の内側に断面矩形状の環状凹部を介在して小径の環状凸部と貫通孔とが形成された雄型と、下面に円形凹部及び該円形凹部の内側に断面矩形状の環状凹部と貫通孔とが形成されて前記雄型と密接嵌合する雌型と、円筒体の外径長が雄型及び雌型の環状凹部内に嵌合可能な径長を有するとともに雄型と雌型に形成された貫通孔よりも大径の貫通孔が形成された入れ子とからなる構成を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明にかかる貴金属粘土を用いたリング状物成形方法及びその成形型によれば、指輪等の造形時に粘土をリング状に繋げる作業がないので、従来必須であった棒状に成形した貴金属粘土の両端部をリング状に繋げる作業がなく成形が正確、かつ、容易に行え、又繋ぎ目の修正等に必要な手間と時間がかからない上、作業者に熟練した技術が要求されず、初心者でもリング状成形体を容易に製作することができる。特に精確な円形と均一な厚み,幅を持つ指輪を製作することが可能であって、しかも従来のようにリング状成形体の繋げた部位から「ひび」が入ったり、乾燥する際に「そり」が発生する惧れが少なく、指輪自体の強度も高く維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下図面に基づいて本発明にかかる貴金属粘土を用いたリング状物成形方法及びその成形型の最良の実施形態を説明する。本発明にかかるリング状物は、リング状を呈していればよく、中空リング状の指輪のみならず、ハート型その他の変形を含む。また、閉ループ状(切れ目のないリング状)のみならず、開ループ状(切れ目を有するリング状)のものも含む。
【0014】
図1〜図8は本発明にかかる成形型の第1実施形態を示すものであり、指輪として甲丸リング30を製作するものである。図1は甲丸リング30の全体外観図、図2はその中央縦断面斜視図であり、甲丸リング30は図示のように、リングの外側面30aの断面形状が円弧状にふくらんでおり、内側面30bの断面形状が直線状の指輪である。図3は説明の便宜上、上下を反転させて表示した雌型1の斜視図であり、この雌型1は全体として中空リング状であり、下面2に大径の円形凹部3が形成され、該円形凹部3の内側に中空で小径の環状凹部4が形成されている。小径の環状凹部4は断面が円弧状であって略1/4の円弧に形成されていて、その径長は製作する指輪のサイズと一致している。5は断面円弧状の環状凹部4の内側に穿設された貫通孔である。
【0015】
図4は前記雌型1と対向して該雌型1が上方から嵌合する雄型6の斜視図である。この雄型6は全体として中空リング状であり、上面7に中空で大径の環状凸部8が形成され、該環状凸部8の内側に中空で小径の環状凹部9が形成されている。環状凸部8は前記雌型1の円形凹部3内に嵌合可能な大きさに形成されている。小径の環状凹部9は断面が円弧状であって略1/4の円弧に形成されていて、その径長は製作する指輪のサイズと一致している。10は環状凹部9の内側に穿設された貫通孔であり、該貫通孔10の径長は図3の貫通孔5の径長と一致している。11は嵌合させた雌型1と雄型6を取り外す際に棒状の部材を挿入するための切欠である。
【0016】
図5は円柱状の抜き型12の形状例を示しており、この抜き型12の径長は前記貫通孔10の底面部分の径長と一致している。上記雌型1,雄型6及び抜き型12を構成する素材は、強度、耐熱性、透明性を考慮して選択するとポリカーボネートが最適であり、又アクリルも適当であるとともに、ステンレスも使用可能である。
【0017】
かかる成形型を使用して、貴金属粘土として純銀粘土を用いて指輪等のリング状物を成形する方法を以下に説明する。純銀粘土とは微細な純銀の粉にバインダと水を加えて練り合わせた粘土状の金属素材であり、予め袋内に密閉されて保管されている。そこで先ず袋内から原料としての純銀粘土を取り出し、平板の上に置いてプラスチック等の板を用いて皺が生じないように丸め、更に上から軽く押して図6に示したように円盤状体13に仮成形すると後の作業が容易である。この円盤状の仮成形体は前記雄型6の環状凹部9内に進入可能な大きさになるように予め設定しておくとよい。なお、円盤状体13に仮成形することは必須ではなく、任意の塊状やリング状に仮成形した純銀粘土を使用することができる。
【0018】
次に上記により仮成形した円盤状体13を図4に示す雄型6の環状凹部9内に入れ、図3に示す雌型1を反転させて、該雌型1の円形凹部3を雄型6の環状凸部8に密接嵌合させて円盤状体13を環状凹部4,9内に圧入する。即ち、原料としての貴金属粘土を介在させて雄型6と雌型1とが密接嵌合した状態となる。次に貫通孔5,10内に図5に示す抜き型12を、貫通孔10側から押圧しながら挿入して円盤状体13の中心部分を打ち抜き、余分な純銀粘土を上方に押し出す。打ち抜いた純銀粘土は素早く回収して袋内に入れ、密閉保管して次回の利用に供する。また、予め雄型6と雌型1とを密接嵌合させておき、その状態で貫通孔5,10を通して純銀粘土を環状凹部4,9内に圧入するようにしてもよい。このように純銀粘土を環状凹部4,9内に圧入することによって、純銀粘土中の純銀のパウダーの密度が上がることとなり、完成したリング状成形物の硬度物性強度が上がり、熱伝導率が向上する。更に、抜き型12を使用することなく、貫通孔5,10から適宜の棒状部材或いは指を使用して余分な貴金属粘土を除去してリング状成形体を得るようにしてもよい。
【0019】
図7は雌型1,雄型6及び抜き型12の嵌合状態を示す分解斜視図である。図示したように雌型1の円弧状の環状凹部4と雄型6の円弧状の環状凹部9により構成される密閉領域内に円盤状体13がリング状に残存して指輪の成形が行われる。図8は雄型6の環状凹部9に円盤状体13を圧入或いは入れて、雄型6の環状凸部8を雌型1の円形凹部3内に嵌合した後、貫通孔10,5内にA方向から抜き型12を挿入して円盤状体13をリング状の成形体14に成形した状態を示す断面図であり、雌型1の円弧状の環状凹部4と雄型6の円弧状の環状凹部9により構成される密閉領域内に指輪等のリング状の成形体14が成形されている。
【0020】
次に切欠11に適宜の棒状の部材を挿入しててこの原理により雄型6,抜き型12と雌型1を取り外し、該雄型6内からリング状の成形体14を取り外すか、そのままの状態で自然乾燥又はドライヤーによる短時間の乾燥を行い、更に雄型6から成形体を取り外した後に、手操作によってリングの「けばたち」とか「バリ」を除去するとともに該リングの内側と外側をスポンジヤスリ,棒ヤスリ等で所定の修正を施し、横面を紙ヤスリで削った後、棒ヤスリを用いて再度の修正を行って表面を綺麗に仕上げてから彫りなどのデザインを加えて、図1,2に示す甲丸リング30として仕上げる。なお、甲丸リング30の形状は月型甲丸又は波型等の形状に仕上げることも自在である。また、仕様によって環状凹部4,9内に予め他の立体形状を刻設しておくこともできる。更に、完成した成形体に合成石を入れたりヘッドを付けることも可能である。
【0021】
次に成形体を乾燥処理,焼成処理,仕上げ処理することにより指輪を完成させる。焼成処理は三菱マテリアル製の純銀粘土PMC3を使用した場合は900℃,10分程度が好ましい。以下デザインに合わせて研磨して仕上げる。また、雄型6と雌型1のサイズは、リング状成形体のサイズが焼成によって縮む縮み代を考慮して定めるようにする。前記した純銀粘土PMC3を使用した場合、成形時に23号のリング状成形体が、乾燥によって20号となり、焼成(900℃,10分)で12号程度となる。
【0022】
上記第1実施形態では、貴金属粘土として純銀粘土を用いてリング状物を成形する方法を説明したが、純銀粘土に代えて純金粘土,プラチナ粘土等を原料として使用することもできる。
【0023】
図9〜図15は本発明にかかる成形型の第2実施形態を示すものであり、指輪として平打ちリング31を製作するものである。図9は平打ちリング31の全体外観図、図10はその中央縦断面斜視図であり、平打ちリング31は図示のようにリングの外側面31a及び内側面31bの断面形状が共に直線状であって、断面矩形状の指輪である。第2実施形態の基本的な構成は前記第1実施形態と同一であって、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。図11に示す雌型1の下面2に大径の円形凹部3が形成され、該円形凹部3の内側に小径の断面矩形状の環状凹部15が形成されている。小径の環状凹部15は断面が矩形状に形成されていて、その径長は製作する指輪のサイズと一致している。5は環状凹部15の内側に穿設された貫通孔である。
【0024】
図12は前記雌型1と対向して該雌型1が上方から嵌合する雄型6の斜視図であり、この雄型6の上面7には中空で大径の環状凸部8が形成され、該環状凸部8の内側に中空で小径の断面矩形状の環状凹部16が形成されている。環状凸部8は前記雌型1の円形凹部3内に嵌合可能な大きさに形成されている。小径の環状凹部16は断面が矩形状に形成されていて、その径長は図11の環状凹部15の大きさ、即ち製作する指輪のサイズと一致している。10は環状凹部16の内側に穿設された貫通孔であり、該貫通孔10の径長は図11の貫通孔5の径長と一致している。図13は円柱状の抜き型12の形状例を示しており、この抜き型12の径長は前記貫通孔10の底面部分の径長と一致している。
【0025】
かかる成形型を使用して指輪等の平打ちリング状物を成形するには、前記説明と同様に先ず原料としての純銀粘土を平板上で丸め、上から軽く押して図6に示す円盤状体13に仮成形すると後の作業が容易である。なお、円盤状体13に仮成形することは必須ではなく、任意の塊状やリング状に仮成形した純銀粘土を使用することができることも第1実施形態と同様である。次に仮成形した円盤状体13を雄型6の環状凹部16内に入れ、図11に示す雌型1を反転させて該雌型1の円形凹部3を雄型6の環状凸部8に密接嵌合して円盤状体13を環状凹部15,16内に圧入し、次に貫通孔10,5内に抜き型12を押圧しながら挿入して円盤状体13の中心部分を打ち抜くことでリング状成形体14aを得て、打ち抜いた純銀粘土は素早く回収して袋内に入れて密閉保管する。また、予め雄型6と雌型1とを密接嵌合させておき、その状態で貫通孔5,10を通して純銀粘土を環状凹部15,16内に圧入するようにしてもよいのは第1実施形態と同様である。更に、抜き型12を使用することなく、貫通孔5,10から適宜の棒状部材或いは指を使用して余分な貴金属粘土を除去してリング状成形体を得るようにしてもよいことも第1実施形態と同様である。
【0026】
図14は雌型1,雄型6及び抜き型12の嵌合状態を示す分解斜視図である。図示したように雄型6の断面矩形状の環状凹部16と雌型1の同様な環状凹部15により構成される密閉領域内に円盤状体13がリング状に残存して平打ちタイプの指輪の成形が行われる。図15は雄型6の環状凹部16内に円盤状体13を圧入或いは入れて、雄型6の環状凸部8を雌型1の円形凹部3内に嵌合した後、貫通孔10,5内にA方向から抜き型12を挿入して円盤状体13を平打ちリング状の成形体14aに成形した状態を示す断面図である。なお、成形後のヤスリを用いて修正,デザイン,乾燥処理,焼成処理,仕上げ処理する工程は前記第1実施形態の説明と同一である。
【0027】
図16〜図23は本発明にかかる成形型の第3実施形態を示しており、成形型として入れ子を利用して指輪として平打ちリング32を製作するものである。図16は平打ちリング32の全体外観図、図17はその中央縦断面斜視図であり、平打ちリング32は図示のようにリングの外側面32a及び内側面32bの断面形状が共に直線状であって、断面矩形状の指輪であるが、第2実施形態で製作する平打ちリング31に比べて、肉厚が薄いものである。基本的な構成は前記第1実施形態と同一であって、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。図18に示す雌型1の下面2に大径の円形凹部3が形成され、該円形凹部3の内側に小径の環状凹部17が形成されている。小径の環状凹部17は断面が矩形状に形成されている。5は環状凹部17の内側に穿設された貫通孔である。
【0028】
図19は上記雌型1と対向して該雌型1が上方から嵌合する雄型6の斜視図であり、この雄型6の上面7には中空で大径の環状凸部8が形成され、該環状凸部8の内側に所定の断面矩形状の環状凹部18を介在して小径の環状凸部19が形成されている。10は貫通孔であり、該貫通孔10の径長は図18の貫通孔5の径長と一致している。また、環状凸部8は前記雌型1の円形凹部3内に嵌合可能な大きさに形成されている。
【0029】
図20は入れ子20の形状例を示しており、この入れ子20は上部に形成された中空の円筒体21と、該円筒体21下部に連接された肉圧の中空の円筒体22とからなり、両円筒体21,22間に段部23が設けられている。中空の円筒体21,22の外径長は図19に示す雄型6の環状凹部18内に嵌合可能な大きさになっている。24は貫通孔であり、該貫通孔24の径長は雌型1の貫通孔5の径長よりも大径に形成されている。図21は円柱状の抜き型12の形状例を示しており、この抜き型12の径長は前記貫通孔10の径長と一致している。
【0030】
この入れ子20を使用するのは、製作しようとする平打ちリング32の断面の肉厚が薄く、幅が広いので、抜き型12で純銀粘土を打ち抜いた後に雌型1或いは雄型6の一方が外れにくく、成形体としての平打ちリング32が型くずれすることを防ぐためである。即ち、入れ子20が平打ちリング32の外面を囲繞して支持しているため、乾燥時までに型くずれすることがないのである。また、乾燥終了後に雌型1或いは雄型6の一方からの取り外しが容易となる。更に、幅寸法の異なる入れ子20を使用することにより、成形する平打ちリングの厚みを同一の雌型1と雄型6を使用して自在に変更することができる。入れ子20を使用して効果が高いのは、平打ちリング32の厚みが2mm以下程度であり、幅が5mm以上程度で、型から外すときに変形しやすいものである。
【0031】
かかる成形型を使用して指輪等のリング状物を成形するには、前記説明と同様に先ず原料としての純銀粘土を平板上で丸め、上から軽く押して図6に示す円盤状体13に仮成形すると後の作業が容易である。なお、円盤状体13に仮成形することは必須ではなく、任意の塊状やリング状に仮成形した純銀粘土を使用することができることも第1実施形態と同様である。次に図22に示したように雄型6の環状凹部18に円筒体21側から入れ子20を挿入し、この入れ子20の段部23を環状凸部19の上面に係合させる。よって、環状凸部19の上面は入れ子20の段部23に被覆され、僅かに成形するリング状の成形体14bの厚さ分のみ露出している。つぎにこの露出している環状凸部19の上面に前記仮成形した円盤状体13を載置し、雌型1を入れ子20の上方から雄型6に密接嵌合させて、円盤状体13を雄型6と入れ子20と雌型1によって形成される空間部に圧入する。また、予め雄型6,雌型1と入れ子20とを密接嵌合させておき、その状態で貫通孔5,10を通して純銀粘土を雄型6と入れ子20と雌型1によって形成される空間部に圧入するようにしてもよいのも第1実施形態と同様である。
【0032】
次に貫通孔10,5内に図23の矢印A方向から抜き型12を押圧しながら挿入して円盤状体13の中心部分を打ち抜くことで図23に示すようにリング状成形体14bを得ることができる。即ち、図23に示すように入れ子20の貫通孔24の径長は、雌型1,雄型6の貫通孔5,10の径長よりも大径に形成されているため、該入れ子20,抜き型12,雌型1と雄型6間に構成される密閉領域内に円盤状体13がリング状に残存して、平打ちタイプの指輪の成形が行われる。また、抜き型12を使用することなく、貫通孔5,10から適宜の棒状部材或いは指を使用して余分な貴金属粘土を除去してリング状成形体を得るようにしてもよいことも第1実施形態と同様である。なお、成形後のヤスリを用いて修正,デザイン,乾燥処理,焼成処理,仕上げ処理する工程は前記実施形態1と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、指輪等の造形時に粘土をリング状に繋げる作業がなく、従来必須であった棒状に成形した貴金属粘土の両端部をリング状に繋げる作業がなく成形が正確、かつ、容易に行える。また、抜き型を用いてリング状に抜き加工するため、成形したリング状成形体に「けばたち」とか「バリ」の発生も少ない。そのため、「バリ」取り及び繋ぎ目の修正等に多くの手間と時間がかからない上、作業者に熟練した技術が要求されないので、初心者でもリング状成形体を容易に製作することが可能であり、精確な円形と均一な厚み,幅を持つ指輪を製作することができるので、甲丸リング、平打ちリング、月型甲丸等の指輪の外、リングブレスレット、ネックレスやペンダントのトップ製作に利用することができる。使用する貴金属粘土も説明に例示した純銀粘土の外に、金属粉又は合金粉の一種又は複数を含有する金属粘土組成物が使用可能であり、例えば、純金粘土,プラチナ粘土,純銀+パラジウム粘土,純銀含粘土等を用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の第1実施形態にかかる甲丸リングの全体外観図。
【図2】図1の中央縦断面斜視図。
【図3】本発明の第1実施形態にかかる成形型の雌型の形状例を示す斜視図。
【図4】第1実施形態の雄型の形状例を示す斜視図。
【図5】第1実施形態の抜き型の形状例を示す斜視図。
【図6】貴金属粘土を仮成形した円盤状体を示す斜視図。
【図7】第1実施形態の成形型の分解斜視図。
【図8】第1実施形態のリング状成形体の製作時における成形型の断面図。
【図9】本発明の第2実施形態にかかる平打ちリングの全体外観図。
【図10】図9の中央縦断面斜視図。
【図11】本発明の第2実施形態にかかる成形型の雌型の形状例を示す斜視図。
【図12】第2実施形態の雄型の形状例を示す斜視図。
【図13】第2実施形態の抜き型の形状例を示す斜視図。
【図14】第2実施形態の成形型の分解斜視図。
【図15】第2実施形態のリング状成形体の制作時における成形型の断面図。
【図16】本発明の第3実施形態にかかる平打ちリングの全体外観図。
【図17】図16の中央縦断面斜視図。
【図18】本発明の第3実施形態にかかる成形型の雌型の形状例を示す斜視図。
【図19】第3実施形態の雄型の形状例を示す斜視図。
【図20】第3実施形態の入れ子の形状例を示す斜視図。
【図21】第3実施形態の抜き型の形状例を示す斜視図。
【図22】第3実施形態の成形型の分解斜視図。
【図23】第3実施形態のリング状成形体の制作時における成形型の断面図。
【符号の説明】
【0035】
1…雌型
3…円形凹部
4,9,15,16,17,18…環状凹部
5,10,24…貫通孔
6…雄型
8,19…環状凸部
11…切欠
12…抜き型
13…円盤状体
14,14a,14b…成形体
30…甲丸リング
31,32…平打ちリング
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料としての貴金属粘土を介在させて雄型と雌型とを密接嵌合させた後、雄型と雌型に形成された貫通孔から余分な貴金属粘土を除去し、リング状成形体を得ることを特徴とする貴金属粘土を用いたリング状物成形方法。
【請求項2】
原料としての貴金属粘土を介在させて雄型と雌型とを密接嵌合させた後、雄型と雌型に形成された貫通孔に抜き型を挿入して貴金属粘土の中心部分を打ち抜くことで余分な貴金属粘土を抜き出し、リング状成形体を得ることを特徴とする貴金属粘土を用いたリング状物成形方法。
【請求項3】
雄型と雌型とに断面円弧状の環状凹部を形成し、該環状凹部の中に貴金属粘土を介在させて雄型と雌型とを密接嵌合させた請求項1又は2記載の貴金属粘土を用いたリング状物成形方法。
【請求項4】
雄型と雌型とに断面矩形状の環状凹部を形成し、該環状凹部の中に貴金属粘土を介在させて雄型と雌型とを密接嵌合させた請求項1又は2記載の貴金属粘土を用いたリング状物成形方法。
【請求項5】
雄型と雌型とに断面矩形状の環状凹部を形成し、該環状凹部の中に円筒体からなる入れ子と貴金属粘土を介在させて雄型と雌型とを密接嵌合させた請求項1又は2記載の貴金属粘土を用いたリング状物成形方法。
【請求項6】
貫通孔を有する雄型に形成された断面円弧状の環状凹部と、貫通孔を有する雌型に形成された断面円弧状の環状凹部の中に原料としての貴金属粘土を介在させて雄型と雌型を密接嵌合させることにより、貴金属粘土を雄型と雌型の断面円弧状の環状凹部内に圧入し、雄型と雌型に形成された貫通孔から余分な貴金属粘土を除去し、リング状成形体を得ることを特徴とする貴金属粘土を用いたリング状物成形方法。
【請求項7】
貫通孔を有する雄型に形成された断面円弧状の環状凹部と、貫通孔を有する雌型に形成された断面円弧状の環状凹部の中に原料としての貴金属粘土を介在させて雄型と雌型を密接嵌合させることにより、貴金属粘土を雄型と雌型の断面円弧状の環状凹部内に圧入し、雄型と雌型に形成された貫通孔に抜き型を挿入して貴金属粘土の中心部分を打ち抜くことで余分な貴金属粘土を抜き出し、リング状成形体を得ることを特徴とする貴金属粘土を用いたリング状物成形方法。
【請求項8】
貫通孔を有する雄型に形成された断面矩形状の環状凹部と、貫通孔を有する雌型に形成された断面矩形状の環状凹部の中に原料としての貴金属粘土を介在させて雄型と雌型を密接嵌合させることにより、貴金属粘土を雄型と雌型の断面矩形状の環状凹部内に圧入し、雄型と雌型に形成された貫通孔から余分な貴金属粘土を除去し、リング状成形体を得ることを特徴とする貴金属粘土を用いたリング状物成形方法。
【請求項9】
貫通孔を有する雄型に形成された断面矩形状の環状凹部と、貫通孔を有する雌型に形成された断面矩形状の環状凹部の中に原料としての貴金属粘土を介在させて雄型と雌型を密接嵌合させることにより、貴金属粘土を雄型と雌型の断面矩形状の環状凹部内に圧入し、雄型と雌型に形成された貫通孔に抜き型を挿入して貴金属粘土の中心部分を打ち抜くことで余分な貴金属粘土を抜き出し、リング状成形体を得ることを特徴とする貴金属粘土を用いたリング状物成形方法。
【請求項10】
貫通孔を有する雄型に形成された断面矩形状の環状凹部内に円筒体でなる入れ子の一部を挿入し、該入れ子の内側に原料としての貴金属粘土を入れ、入れ子の残部を挿入する断面矩形状の環状凹部が形成されて貫通孔を有する雌型を密接嵌合させることにより、貴金属粘土を雄型と入れ子と雌型によって形成される空間部に圧入し、雄型と雌型に形成された貫通孔から余分な貴金属粘土を除去し、リング状成形体を得ることを特徴とする貴金属粘土を用いたリング状物成形方法。
【請求項11】
貫通孔を有する雄型に形成された断面矩形状の環状凹部内に円筒体でなる入れ子の一部を挿入し、該入れ子の内側に原料としての貴金属粘土を入れ、入れ子の残部を挿入する断面矩形状の環状凹部が形成されて貫通孔を有する雌型を密接嵌合させることにより、貴金属粘土を雄型と入れ子と雌型によって形成される空間部に圧入し、雄型と雌型に形成された貫通孔に抜き型を挿入して貴金属粘土の中心部分を打ち抜くことで余分な貴金属粘土を抜き出し、リング状成形体を得ることを特徴とする貴金属粘土を用いたリング状物成形方法。
【請求項12】
環状凹部と該環状凹部に連通した貫通孔とが形成された雄型と、環状凹部と該環状凹部に連通した貫通孔とが形成された雌型とからなり、雄型と雌型を密接嵌合させることにより、雄型と雌型の環状凹部及び貫通孔が連通することを特徴とする貴金属粘土を用いたリング状物成形型。
【請求項13】
環状凹部と該環状凹部に連通した貫通孔とが形成された雄型と、環状凹部と該環状凹部に連通した貫通孔とが形成された雌型と、上記貫通孔と一致する径長を有する円柱状の抜き型からなり、雄型と雌型を密接嵌合させることにより、雄型と雌型の環状凹部及び貫通孔が連通することを特徴とする貴金属粘土を用いたリング状物成形型。
【請求項14】
上面に環状凸部及び該環状凸部の内側に断面円弧状の環状凹部と貫通孔とが形成された雄型と、下面に円形凹部及び該円形凹部の内側に断面円弧状の環状凹部と貫通孔とが形成されて前記雄型と密接嵌合する雌型とからなる請求項12又は13記載の貴金属粘土を用いたリング状物成形型。
【請求項15】
上面に環状凸部及び該環状凸部の内側に断面矩形状の環状凹部と貫通孔とが形成された雄型と、下面に円形凹部及び該円形凹部の内側に断面矩形状の環状凹部と貫通孔とが形成されて前記雄型と密接嵌合する雌型とからなる請求項12又は13記載の貴金属粘土を用いたリング状物成形型。
【請求項16】
上面に大径の環状凸部及び該環状凸部の内側に断面矩形状の環状凹部を介在して小径の環状凸部と貫通孔とが形成された雄型と、下面に円形凹部及び該円形凹部の内側に断面矩形状の環状凹部と貫通孔とが形成されて前記雄型と密接嵌合する雌型と、円筒体の外径長が雄型及び雌型の環状凹部内に嵌合可能な径長を有するとともに雄型と雌型に形成された貫通孔よりも大径の貫通孔が形成された入れ子とからなる請求項12又は13記載の貴金属粘土を用いたリング状物成形型。
【請求項1】
原料としての貴金属粘土を介在させて雄型と雌型とを密接嵌合させた後、雄型と雌型に形成された貫通孔から余分な貴金属粘土を除去し、リング状成形体を得ることを特徴とする貴金属粘土を用いたリング状物成形方法。
【請求項2】
原料としての貴金属粘土を介在させて雄型と雌型とを密接嵌合させた後、雄型と雌型に形成された貫通孔に抜き型を挿入して貴金属粘土の中心部分を打ち抜くことで余分な貴金属粘土を抜き出し、リング状成形体を得ることを特徴とする貴金属粘土を用いたリング状物成形方法。
【請求項3】
雄型と雌型とに断面円弧状の環状凹部を形成し、該環状凹部の中に貴金属粘土を介在させて雄型と雌型とを密接嵌合させた請求項1又は2記載の貴金属粘土を用いたリング状物成形方法。
【請求項4】
雄型と雌型とに断面矩形状の環状凹部を形成し、該環状凹部の中に貴金属粘土を介在させて雄型と雌型とを密接嵌合させた請求項1又は2記載の貴金属粘土を用いたリング状物成形方法。
【請求項5】
雄型と雌型とに断面矩形状の環状凹部を形成し、該環状凹部の中に円筒体からなる入れ子と貴金属粘土を介在させて雄型と雌型とを密接嵌合させた請求項1又は2記載の貴金属粘土を用いたリング状物成形方法。
【請求項6】
貫通孔を有する雄型に形成された断面円弧状の環状凹部と、貫通孔を有する雌型に形成された断面円弧状の環状凹部の中に原料としての貴金属粘土を介在させて雄型と雌型を密接嵌合させることにより、貴金属粘土を雄型と雌型の断面円弧状の環状凹部内に圧入し、雄型と雌型に形成された貫通孔から余分な貴金属粘土を除去し、リング状成形体を得ることを特徴とする貴金属粘土を用いたリング状物成形方法。
【請求項7】
貫通孔を有する雄型に形成された断面円弧状の環状凹部と、貫通孔を有する雌型に形成された断面円弧状の環状凹部の中に原料としての貴金属粘土を介在させて雄型と雌型を密接嵌合させることにより、貴金属粘土を雄型と雌型の断面円弧状の環状凹部内に圧入し、雄型と雌型に形成された貫通孔に抜き型を挿入して貴金属粘土の中心部分を打ち抜くことで余分な貴金属粘土を抜き出し、リング状成形体を得ることを特徴とする貴金属粘土を用いたリング状物成形方法。
【請求項8】
貫通孔を有する雄型に形成された断面矩形状の環状凹部と、貫通孔を有する雌型に形成された断面矩形状の環状凹部の中に原料としての貴金属粘土を介在させて雄型と雌型を密接嵌合させることにより、貴金属粘土を雄型と雌型の断面矩形状の環状凹部内に圧入し、雄型と雌型に形成された貫通孔から余分な貴金属粘土を除去し、リング状成形体を得ることを特徴とする貴金属粘土を用いたリング状物成形方法。
【請求項9】
貫通孔を有する雄型に形成された断面矩形状の環状凹部と、貫通孔を有する雌型に形成された断面矩形状の環状凹部の中に原料としての貴金属粘土を介在させて雄型と雌型を密接嵌合させることにより、貴金属粘土を雄型と雌型の断面矩形状の環状凹部内に圧入し、雄型と雌型に形成された貫通孔に抜き型を挿入して貴金属粘土の中心部分を打ち抜くことで余分な貴金属粘土を抜き出し、リング状成形体を得ることを特徴とする貴金属粘土を用いたリング状物成形方法。
【請求項10】
貫通孔を有する雄型に形成された断面矩形状の環状凹部内に円筒体でなる入れ子の一部を挿入し、該入れ子の内側に原料としての貴金属粘土を入れ、入れ子の残部を挿入する断面矩形状の環状凹部が形成されて貫通孔を有する雌型を密接嵌合させることにより、貴金属粘土を雄型と入れ子と雌型によって形成される空間部に圧入し、雄型と雌型に形成された貫通孔から余分な貴金属粘土を除去し、リング状成形体を得ることを特徴とする貴金属粘土を用いたリング状物成形方法。
【請求項11】
貫通孔を有する雄型に形成された断面矩形状の環状凹部内に円筒体でなる入れ子の一部を挿入し、該入れ子の内側に原料としての貴金属粘土を入れ、入れ子の残部を挿入する断面矩形状の環状凹部が形成されて貫通孔を有する雌型を密接嵌合させることにより、貴金属粘土を雄型と入れ子と雌型によって形成される空間部に圧入し、雄型と雌型に形成された貫通孔に抜き型を挿入して貴金属粘土の中心部分を打ち抜くことで余分な貴金属粘土を抜き出し、リング状成形体を得ることを特徴とする貴金属粘土を用いたリング状物成形方法。
【請求項12】
環状凹部と該環状凹部に連通した貫通孔とが形成された雄型と、環状凹部と該環状凹部に連通した貫通孔とが形成された雌型とからなり、雄型と雌型を密接嵌合させることにより、雄型と雌型の環状凹部及び貫通孔が連通することを特徴とする貴金属粘土を用いたリング状物成形型。
【請求項13】
環状凹部と該環状凹部に連通した貫通孔とが形成された雄型と、環状凹部と該環状凹部に連通した貫通孔とが形成された雌型と、上記貫通孔と一致する径長を有する円柱状の抜き型からなり、雄型と雌型を密接嵌合させることにより、雄型と雌型の環状凹部及び貫通孔が連通することを特徴とする貴金属粘土を用いたリング状物成形型。
【請求項14】
上面に環状凸部及び該環状凸部の内側に断面円弧状の環状凹部と貫通孔とが形成された雄型と、下面に円形凹部及び該円形凹部の内側に断面円弧状の環状凹部と貫通孔とが形成されて前記雄型と密接嵌合する雌型とからなる請求項12又は13記載の貴金属粘土を用いたリング状物成形型。
【請求項15】
上面に環状凸部及び該環状凸部の内側に断面矩形状の環状凹部と貫通孔とが形成された雄型と、下面に円形凹部及び該円形凹部の内側に断面矩形状の環状凹部と貫通孔とが形成されて前記雄型と密接嵌合する雌型とからなる請求項12又は13記載の貴金属粘土を用いたリング状物成形型。
【請求項16】
上面に大径の環状凸部及び該環状凸部の内側に断面矩形状の環状凹部を介在して小径の環状凸部と貫通孔とが形成された雄型と、下面に円形凹部及び該円形凹部の内側に断面矩形状の環状凹部と貫通孔とが形成されて前記雄型と密接嵌合する雌型と、円筒体の外径長が雄型及び雌型の環状凹部内に嵌合可能な径長を有するとともに雄型と雌型に形成された貫通孔よりも大径の貫通孔が形成された入れ子とからなる請求項12又は13記載の貴金属粘土を用いたリング状物成形型。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【公開番号】特開2007−61113(P2007−61113A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−247000(P2005−247000)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(505326092)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(505326092)
【Fターム(参考)】
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