説明

買い物支援システム、および、そのプログラム

【課題】目当ての商品の近くを通りかかったら報知して、目当ての商品が近くに存在することを知る。
【解決手段】電子棚札2Aと通信する第1の通信手段14と、購入したい商品情報を入力する入力手段10と、商品情報を記憶情報として記憶する記憶手段11と、報知手段13と、各手段を制御する第1の制御手段12とを具備した買い物支援端末1と、商品を陳列する棚に設置され、買い物支援端末1と通信する第2の通信手段20Aと、商品に関する商品情報を保持して制御する第2の制御手段21Aとを具備した電子棚札2Aとから構成され、買い物支援端末1が電子棚札2Aと通信して商品情報を読取り、商品情報と記憶情報とが一致した場合、報知手段13で報知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子棚札を用いて大型店舗などでの買い物を支援する買い物支援システム、および、そのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
買い物を支援するための買い物支援端末(システム)は、過去からいくつか考案されており、携帯端末に買い物情報を記憶させた後、バーコードリーダで購入品に関する情報を取得して、合計金額を表示するようなシステムが考案されている(例えば特許文献1を参照)。
【0003】
また一方で、店舗合理化のために、商品を陳列する棚に設置する値札の電子化が行なわれており、店舗内の値札を遠隔から書き換えるような電子棚札(価格情報を液晶のような書き換え可能な表示装置に表示し、その表示内容を遠隔から書き換えることができる値札)が考案され(例えば特許文献2を参照)、街の大型店舗にも配置されるようになってきた。
【特許文献1】特開2002−259683号公報
【特許文献2】特開平3−249003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のような買い物支援端末を用いたとしても、むしろスーパーマーケットのような中大型店舗では購入すべき商品の陳列場所を探し出すことに最も時間がかかることが多く、店舗内を迷いに迷った末、店員に聞いて陳列場所を知るといった無駄も多く、そのような課題を解決するには至っていない。
【0005】
また、行きつけの店舗であっても、陳列場所が定期的に変更されることもあるので、馴染みの客にとっても同様の悩みが付きまとう。さらに、全く初めて訪れた店舗では、客にとってこのような悩みは深刻である。また、店舗にとっても、商品を見つけられない客があきらめて帰ってしまうような自体も予想され、好ましいことではない。
【0006】
また、上記特許文献2のような電子棚札は主に店舗管理の合理化に用いられており、客に対してお目当ての商品が近くに存在するといったことを示すような、客にとって直接的な利便性を提供しているわけではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、前記の課題を解決するために、本発明の買い物支援システムにおいて、電子棚札と通信する第1の通信手段と、購入したい商品情報を入力する入力手段と、前記商品情報を記憶情報として記憶する記憶手段と、報知手段と、前記各手段を制御する第1の制御手段とを具備した買い物支援端末と、商品を陳列する棚に設置され、前記買い物支援端末と通信する第2の通信手段と、前記商品に関する商品情報を保持して制御する第2の制御手段とを具備した電子棚札と、から構成され、前記買い物支援端末が前記電子棚札と通信して前記商品情報を読取り、前記商品情報と前記記憶情報とが一致した場合、前記報知手段で報知するようにした。
【発明の効果】
【0008】
これにより、通信可能な距離(たとえば数十センチ〜数メートル以内)に存在する電子棚札と通信を行い、その電子棚札から商品に関する商品情報を取得して、あらかじめ記憶
手段に記憶されている記憶情報(ここでは買い物リストに相当する)と照合して、一致することが判明すれば、その場で報知手段から報知して、買い物リストに登録されている商品が身近に存在することを知らせることが出来るので、気づかずに商品のそばを通り過ぎてしまうことがなくなり、行きなれていないような店舗であっても、目的とする商品の存在に気がつき、効率良く買い物を済ませることが可能となる(ちなみに、接触でしか読み取れないバーコードでは上記のような動作をさせることは不可能である)。
【0009】
この結果、店舗にとっても、客からの質問に答える手間もなくなり、また商品を見つけることが出来ずに諦めて帰ってしまうような客を減らすことも出来るので、経営貢献が期待できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
第1の発明は、買い物支援端末において、電子棚札と通信する第1の通信手段と、購入したい商品情報を入力する入力手段と、前記商品情報を記憶情報として記憶する記憶手段と、報知手段と、前記各手段を制御する第1の制御手段とを具備した買い物支援端末と、商品を陳列する棚に設置され、前記買い物支援端末と通信する第2の通信手段と、前記商品に関する商品情報を保持して制御する第2の制御手段とを具備した電子棚札と、から構成され、前記買い物支援端末が前記電子棚札と通信して前記商品情報を読取り、前記商品情報と前記記憶情報とが一致した場合、前記報知手段で報知するようにした。
【0011】
これにより、通信可能な距離(たとえば数十センチ〜数メートル以内)に存在する電子棚札と通信を行い、その電子棚札から商品に関する情報を取得して、あらかじめ記憶手段に記憶されている情報(買い物リスト)と照合して、一致することが判明すれば、その場で報知手段から報知して、買い物リストに登録されている商品が身近に存在することを知らせることが出来るので、気づかずに商品のそばを通り過ぎてしまうことがなくなり、行きなれていないような店舗であっても効率良く買い物を済ませることが可能となる。店舗にとっても、客からの質問に答える手間もなくなり、また商品を見つけることが出来ずに諦めて帰ってしまうような客を減らすことも出来るので、経営貢献が期待できる。
【0012】
第2の発明は、特に第1の発明の買い物支援システムにおいて、前記第1の通信手段が中距離通信手段(たとえば数十センチ〜数メートルまで通信可能)と、近距離通信手段(数センチ以下で通信可能)とを具備し、前記中距離通信手段で前記電子棚札から前記商品情報を得られ、前記商品情報と、前記記憶手段に記憶された記憶情報とが一致した場合には、前記報知手段から報知した後に、前記近距離通信手段で前記電子棚札からの商品情報が得られ、前記商品情報と、前記記憶手段に記憶されている記憶情報とが一致した場合に、前記記憶手段に記憶されている記憶情報を消去するようにした。
【0013】
これにより、電子棚札を買い物支援端末の数センチ以内に近づけることで、購入する動作(例えば手持ちの買い物かごに入れる)によって記憶手段から該当する記憶情報を消去する(買い物リストから消し去る)ことが出来るので、すでに購入した商品のおいてある電子棚札に再度反応して報知することがなくなり、より効率的に買い物を行なうことが出来る。
【0014】
第3の発明は、特に第1の発明の買い物支援システムにおいて、前記第1の通信手段が電界強度測定手段を具備して受信したときの電界強度を測定し、中距離通信を示す、前記電界強度が第一の閾値以下であったときに、前記電子棚札から通信して得た前記商品情報と、前記記憶手段に記憶された記憶情報とが一致した場合には、前記報知手段から報知した後に、近距離通信を示す、前記電界強度が第二の閾値以上(第一の閾値<第二の閾値)となったときに前記電子棚札と通信して得た商品情報と、前記記憶手段に記憶されている記憶情報とが一致した場合に、前記記憶手段に記憶されている記憶情報を消去するように
した。
【0015】
これにより、電子棚札を買い物支援端末の数センチ以内に近づけることで、購入する動作(例えば手持ちの買い物かごに入れる)によって記憶手段から該当する記憶情報を消去する(買い物リストから消し去る)ことが出来るので、すでに購入した商品のおいてある電子棚札に再度反応して報知することがなくなり、より効率的に買い物を行なうことが出来る。また、中距離通信手段と近距離通信手段とを切り替えて通信を行わなくても、受信した電界強度を測定するだけで短時間で判断できる。
【0016】
第4の発明は、特に第1〜第3のいずれかの発明の買い物支援システムにおいて、前記買い物支援端末が入力手段として無線ICタグリーダ、あるいは、バーコードリーダを具備して、前記入力手段から読み込んだ商品情報を、前記記憶手段に記憶情報として記憶させることを可能とした。
【0017】
これにより、例えば、無線ICタグリーダ、または、バーコードリーダを用いて、買い物に行く前に自宅などにおいて、買い足したい商品に添付されている無線ICタグ、あるいはバーコードを、買い物支援端末に近づけて、商品情報(例えばIDコード)を読取り、それを記憶手段に記憶させる(すなわち買い物リストに加える)といったことが可能となる。すなわち、例えば、買い物前などに、補充したい商品が手元にあれば、その商品に添付された無線ICタグ、あるいはバーコードから商品情報を読み取ることによって、キーボードなどでID情報を打ち込まなくても、商品情報を覚えさせることが出来るので、入力の簡略化を図ることが期待できる。
【0018】
第5の発明は、特に第1〜第4のいずれかの発明の買い物支援システムにおいて、電子棚札が価格を含む情報(価格情報)を記憶する価格情報記憶手段を具備し、前記価格情報を書き換えるための電子棚札書き換え端末が、入出力手段と、第3の制御手段と、第3の通信手段を具備し、さらに前記第3の通信手段が遠距離通信手段(たとえば数十メートルでも通信可能)を具備して、前記遠距離通信手段を用いて前記価格情報を書き換えるようにした。
【0019】
これにより、例えば電子棚札と、電子棚札書き換え端末がお互いに数十メートル離れているような場合でも、従来通り遠隔から書き換え可能となるので、これまで述べてきた客への利便性も同時に実現した買い物支援システムを提供できる。
【0020】
第6の発明は、特に第1〜5の発明の買い物支援端末において、少なくともひとつをコンピュータに実行させるためのプログラムであり、CPU、RAM、ROM、記憶装置、I/Oなどを備えた電気情報機器、コンピュータ等のハードリソースを協働させて本発明の少なくとも一部をプログラムとして容易に実現することができる。また記録媒体に記録あるいは、通信回線を用いてプログラム配信することにより、プログラム配布が他の手段に比べて極めて簡単に実現できる。
【0021】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて一実施形態について詳細に説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態の買い物支援システムの構成一例を示す図である。
【0023】
構成要素としては、買い物支援端末1と、電子棚札2A、2Bである。また、電子棚札2A、2Bに保持される商品情報(例えば固有IDコード)の形式と、後述する他の媒体(無線ICタグ、あるいは、バーコード)に含まれている商品情報の形式とは、基本的に
同一であることを前提としている。
【0024】
買い物支援端末1には、入力手段10と、記憶手段11と、第1の制御手段12と、報知手段13と、第1の通信手段14とを具備している。
【0025】
電子棚札2A、2Bは、いずれも第2の通信手段20A、20Bと、第2の制御手段21A、21Bとを具備しており、第2の制御手段21A、21Bには、商品に関する商品情報(たとえば固有IDコード)が保持されている。この商品情報は、商品固有のバーコードと同一のものであっても構わないし、場合によっては店舗ごとに独自のコードであってもかまわない。
【0026】
いずれにしても、この商品情報は煩雑に書き換えるものではなく、棚に陳列されるべき商品を示す情報であり、この商品情報自身に価格に関する情報を直接的に含むわけではない。一方、この商品情報とは別に存在する価格に関する情報(価格情報)は煩雑に書き換えられることになるが、これらについての説明は実施の形態2で説明する。
【0027】
さらに、電子棚札として機能するためには、上記以外の構成要素も含まれているが、これについては実施の形態2で説明することとして、ここでは直接関係のある第2の通信手段20A、20Bと、第2の制御手段21A、21Bとを用いて説明していく。
【0028】
入力手段10は、キーボード、あるいは、無線ICタグリーダ、あるいは、バーコードリーダ、(あるいは通信手段であっても構わない)であって、買い物リストとして記憶手段12に記憶させたい商品に関する情報を入力して(あるいは読み取って)、買い物支援端末1に記憶させることができる。
【0029】
記憶手段11には、買い物リストとして記憶すべき商品に関する情報を記憶させておくものである。
【0030】
第1の制御手段12は、買い物支援端末1の全体制御を行なっており、一連の動作の処理を中心的に行っている。
【0031】
第1の通信手段14は、中距離通信手段14A(たとえば数十センチ〜数メートルまで通信可能)と、短距離通信手段14B(数センチ以下で通信可能)とを具備しており、電子棚札2A、2Bとの通信距離を変更することが出来る。もちろん、ここで書いた通信距離は単なる一例であって、これに限るものではない。この通信距離を変更する手段・構成については後ほど説明する。
【0032】
電子棚札2Aは買い物支援端末1から中距離(例えば数十センチ〜数メートル)離れた位置に存在しており、買い物支援端末1を買い物客が手に持って商品棚札の近くを通りかかったような位置に存在していることを想定している。
【0033】
一方、電子棚札2Bは、買い物客が意図的に買い物支援端末1を電子棚札2Bに近づけているような状況で、買い物支援端末1の近距離(たとえば数センチ以下)に存在していることを想定している。
【0034】
なお、電子棚札2A、2Bは、全く同一の構成であり、買い物支援端末1との位置関係(距離)が異なるだけであり、説明する上で便宜上2つに分けて記述しているが、まったく同一の筐体であって、ある時点では2Aの位置(中距離)にあって、次の時点では2Bの位置(近距離)にあるというでもかまわない。
【0035】
次に、買い物支援端末1の使用方法について詳しく述べる。
【0036】
まず、使用者は入力手段10から購入したい商品の情報を入力して使用する。入力手段として無線ICタグリーダ、あるいは、バーコードリーダを想定している。これにより商品ごとに固有な情報は、商品に添付されている無線ICタグ、あるいは、バーコードから入力することができる。
【0037】
あるいは、バーコードが記入された店舗の商品カタログ(ちらし広告)や、無線ICタグが埋め込まれた店舗の商品カタログ(ちらし広告)などから読み取って、入力するといったことも考えられ、このような場合であれば、固有IDコードは標準化されたようなものでなく、店舗固有の独自な固有IDコードあっても構わない。
【0038】
もちろん、入力手段10が無線ICタグリーダ、あるいはバーコードリーダではなくて、単なるキーボードのようなものであって、使用者がちらしなどのカタログを見ながら、底に記載された固有IDコードを手で打ち込むといったことでもかまわない。
【0039】
ただし、前述のような、無線ICタグリーダ、あるいは、バーコードリーダであれば、いちいち固有IDコードのような長い文字列、数値列を手で打ち込むことなしに、商品の情報の入力処理を簡単に、効率よく進めることが期待できる。
【0040】
以上のようにして、買い物支援端末1の記憶手段11に順々に購入したい商品の情報を順次入力していくことになる。
【0041】
次に、この買い物支援端末1を携帯して店舗内を歩くと、買い物支援端末1は中距離通信手段14Aを用いて陳列棚に設置されている電子棚札2Aと中距離通信を行い、第2の制御手段21Aに保持されている商品情報(例えば固有IDコード)を取得して、第1の制御手段12が、この読み取った商品情報と、記憶手段11に記憶してある記憶情報とを比較して、両者が一致すれば報知手段13から報知(例えば音声ガイド、液晶表示による商品名の報知、商品迄の距離の報知など)を行ない、使用者は購入希望の商品が近くに存在していることを察知して、その商品を手に取るということになる。
【0042】
すなわち、該当する商品棚の近く(数十センチ〜数メートル)の範囲を通りかかった時に、報知されるので、該当商品が近くにあることを知るということになる。
【0043】
次に使用者が購入を終えた時点で、買い物支援端末1の短距離通信手段14Bを、電子棚札2Bの直近(たとえば数センチ以下)に接近させ、電子棚札2Bの商品情報を読取り、第1の制御手段12によって、記憶手段11に記憶されている、その商品に関する情報を消去、もしくは、無効化する。これにより、既に購入済商品として取り扱われることになり、再度その商品棚の近くを通っても報知されないようになる。
【0044】
また、電子棚札の商品情報は数字、あるいは英数字のような固有IDコードとして説明してきたが、必ずしもこの限りではなく、商品名そのものであっても構わないし、メーカ名、型番などが含まれていても構わない。
【0045】
さらに、ここまで述べてきたような買い物支援端末1の機能そのものを携帯電話に組み込むといったことも考えられる。また、買い物支援端末1で説明したがそれに限らないし、通信ネットワークを使って記憶手段11をサーバに設けてもよい。買い物支援端末1を買い物かご等に設けて、買い物支援カゴにするといった応用も考えられ、同様の効果が得られる。
【0046】
次に、第1の通信手段14が行なっている通信距離変更の仕組み、すなわち、中距離通信手段14A(たとえば数十センチ〜数メートルまで通信可能)と、短距離通信手段14B(数センチ以下で通信可能)との通信距離を変更する仕組みについて、図2を用いて説明する。
【0047】
図2は、買い物支援端末1の第1の通信手段14と、電子棚札2の第2の通信手段の内部構成の一例を示しており、第1の通信手段14は、アンテナの信号を減衰させる減衰手段140と、第1の送信手段141と、第1の受信手段142と、第1の通信制御手段143とを具備している。
【0048】
減衰手段140は第1の通信制御手段143から制御されて、少なくとも以下の3段階に減衰率を変更することが出来る。
第1段階:減衰無。遠距離通信(例えば通信距離数十メートル)が行なえる。
第2段階:減衰中。中距離通信(例えば通信距離数十センチ〜数メートル)が行なえる。第3段階:減衰強。近距離通信(例えば通信距離数センチ以下)が行なえる。
【0049】
これらの通信距離の切り替えを行なって、電子棚札(2A、あるいは、2B)との距離を検知して、その距離に応じた動作をさせることが可能となる。すなわち、第2段階(中距離)で通信できないが第3段階(近距離)であれば通信できるのであれば近距離であることがわかり、第1段階(遠距離)では通信できないが第2段階(中距離)であれば通信できるのであれば中距離であることが容易に判定できる。
【0050】
さらに第1段階(遠距離)で通信できるのであれば、遠距離であることがわかるが、この第1段階(遠距離)の通信用途については後述する。なお、蛇足ではあるが、長距離で通信できるということは、近距離通信、中距離通信は当然ながら可能である。
【0051】
ここまでの説明では、減衰手段によって通信距離を制御する方法について述べてきたが、これに限らず、受信した電界強度から通信相手との距離を想定して同様の効果を得ることもできる。
【0052】
この場合は、第1の通信手段14に電界強度測定手段(図示せず)を設けて、第2の通信手段20から送られてくる信号の電界強度を測定して、複数の閾値を設けておいて、ある段階(第一の閾値)を越えたら中距離、さらに次の段階(第二の閾値)を越えたら近距離というように、段階的に距離を推定するということが考えられる。
【0053】
また、購入する商品の個数については特に言及してこなかったが、複数個の同じ商品を購入したい場合は、記憶情報として複数個記憶させておく、あるいは、個数情報と共に記憶させておくといったことも考えられる。このように記憶した記憶情報を消去する時にも、例えば一定時間おきに、その個数分の近距離通信を行なって該当する商品情報を(その個数分)取得しないと、記憶情報を完全に消去できないといった方法も考えられる。
【0054】
(実施の形態2)
さて、電子棚札の情報書き換えには、赤外線が用いられることがあるが、電波(例えば小電力無線通信)を用いて電子棚札の書き換えを行なうことは、その遠距離通信による伝達距離だけではなく、電波ゆえに生じる回り込み効果により影になった位置の電子棚札とも通信可能であり、一箇所に配置された電子棚札切替え装置から、店中の電子棚札の情報を書き換えられるという効果が見込めるので好ましい。
【0055】
そのためには、ここまで述べてきた近距離通信、中距離通信だけでは、大きな店舗に分散して配置されている多数の電子棚札に対して、遠隔からその情報(主に価格情報)を書
き換えるといったことはできないので、遠隔からも書き換えできるようにするため、数十メートル以上でも通信可能な遠距離通信が好ましい。
【0056】
この遠距離通信として用いるのが、実施形態1の中で説明してきた第1段階(減衰なし)での通信である。以下、図3を用いて、電子棚札2Cの価格に関する情報(価格情報)を書き換えるための電子棚札書き換え端末3の動作について説明する。
【0057】
電子棚札書き換え端末3は、入出力手段30と、第3の制御手段32と、第3の通信手段34とを具備し、第3の通信手段34は遠距離通信手段34Cを具備し、遠距離通信(たとえば数十メートル)で、電子棚札2Cと通信する。
【0058】
入出力手段30は、キーボード、マウス、ディスプレイを含むものを想定している。電子棚札2Cは、これまで説明してきたとおり、第2の通信手段20Cと、第2の制御手段21Cを具備しているが、電子棚札として動作させるためには、これらに加えて、価格情報記憶手段22と、価格情報表示手段23とを具備している必要がある。
【0059】
図2に、商品情報表示手段23の表示一例を図示したが、固定表示部分(ここでは通常価格、本日の価格、**牛乳 1000ml)と、可変表示部分(ここでは250、198)に分かれており、この可変表示部分を電子棚札書き換え端末3が遠隔から書き換えることになる。
【0060】
次に、一連の書き換え動作を説明する。
【0061】
価格を変更したい場合には、操作者が入出力手段30を操作して、該当商品の固有IDコードを指定して、その商品の価格情報(通常価格、本日の価格)を書き換えるように指示する。第3の通信手段34の遠隔通信手段34Cから、固有IDコードと、その商品の価格情報とが送信される。
【0062】
遠隔通信手段34Cは、例えば数十メートルの距離でも通信することができるので、電子棚札書き換え端末3と、該当する電子棚札2Cとの距離が例えば数十メートル離れていても、価格情報を書き換えることが可能となる。
【0063】
この価格情報を受けた電子棚札2Cは、自分の保持する固有IDコートと比較して、一致することを確認し、価格情報を価格情報記憶手段22に記憶、この価格情報は価格情報表示手段23に表示され、電子棚札の表示価格(通常価格、本日の価格)に反映されることになる。
【0064】
このように、電子棚札の情報書き換えに長距離通信が可能な電波(例えば小電力無線通信)を用いることにより、一箇所に配置された電子棚札切替え装置から、店中の電子棚札の情報を一斉に書き換えられる。
【0065】
加えて、近距離通信、中距離通信、遠距離通信を用途(買い物支援端末1、あるいは、電子棚札書き換え端末3)に応じて使い分けることによって、電子棚札20A、20B、20Cはすべて同一の構成ながら使用可能であるので、すでに配置済みの電子棚札に対しても、電子棚札はそのままにしておいて、買い物支援端末1、あるいは、電子棚札書き換え端末3といった端末側を交換あるいは改造するだけで対応可能となるので、コスト的にも工数的にも有利になる。
【0066】
本発明は電子棚札システム自身に関するものではないので、あえて簡略化した説明にしてあるが、実際の電子棚札システムではもっと複雑な構成になっている。
【0067】
なお、本実施の形態で説明した手段、動作については、CPU(またはマイコン)、RAM、ROM、記憶・記録装置、I/Oなどを備えた電気・情報機器、コンピュータ、サーバ等のハードリソースを協働させるプログラムの形態で実施してもよい。プログラムの形態であれば、磁気メディアや光メディアなどの記録媒体に記録、もしくはインターネットなどの通信回線を用いて配信することで新しい機能の配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上のように、本発明にかかる買い物支援システム、および、そのプログラムは、予め登録しておいた商品の情報(買い物リスト)に応じて、見知らぬ店舗内でも目的とする商品の近くを通りかかると報知されるので、商品の前を通り過ぎてしまうようなこともなく、効率良く買い物を済ませることが出来るような環境を買い物客に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施の形態1の買い物支援端末の構成一例を示す図
【図2】本発明の実施の形態1の第1、および、第2の通信手段の構成一例を示す図
【図3】本発明の実施の形態2の書き換えるための電子棚札書き換え端末の構成一例を示す図
【符号の説明】
【0070】
1 買い物支援端末
2A 電子棚札(買い物支援端末から数十センチ〜数メートルに存在)
2B 電子棚札(買い物支援端末から数センチに存在)
2C 電子棚札(買い物支援端末から数十メートルに存在)
3 電子棚札書き換え端末
10 入力手段
11 記憶手段
12 第1の制御手段
13 報知手段
14 第1の通信手段
14A 中距離通信手段
14B 近距離通信手段
20 第2の通信手段
21 第2の制御手段(固有IDコードを保持)
22 価格情報記憶手段
23 価格情報表示手段
30 入出力手段
32 第3の制御手段
34 第3の通信手段
34C 遠距離通信手段
140 減衰手段
141 第1の送信手段
142 第1の受信手段
143 第1の通信制御手段
210 第2の送信手段
211 第2の受信手段
212 第2の通信制御手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子棚札と通信する第1の通信手段と、購入したい商品情報を入力する入力手段と、前記商品情報を記憶情報として記憶する記憶手段と、報知手段と、前記各手段を制御する第1の制御手段とを具備した買い物支援端末と、
商品を陳列する棚に設置され、前記買い物支援端末と通信する第2の通信手段と、前記商品に関する商品情報を保持して制御する第2の制御手段とを具備した電子棚札と、から構成され、
前記買い物支援端末が前記電子棚札と通信して前記商品情報を読取り、前記商品情報と前記記憶情報とが一致した場合、前記報知手段で報知する買い物支援システム。
【請求項2】
前記第1の通信手段が、中距離通信手段(たとえば数十センチ〜数メートルまで通信可能)と、近距離通信手段(数センチ以下で通信可能)とを具備し、前記中距離通信手段で前記電子棚札と通信して得た前記商品情報と、前記記憶手段に記憶された記憶情報とが一致した場合には、前記報知手段から報知した後に、前記近距離通信手段で前記電子棚札と通信して得た商品情報と、前記記憶手段に記憶されている記憶情報とが一致した場合に、前記記憶手段に記憶されている記憶情報を消去する請求項1記載の買い物支援システム。
【請求項3】
前記第1の通信手段が電界強度測定手段を具備して受信したときの電界強度を測定し、中距離通信を示す、前記電界強度が第一の閾値以下であったときに、前記電子棚札から通信して得た前記商品情報と、前記記憶手段に記憶された記憶情報とが一致した場合には、前記報知手段から報知した後に、近距離通信を示す、前記電界強度が第二の閾値以上(第一の閾値<第二の閾値)となったときに、前記電子棚札と通信して得た商品情報と、前記記憶手段に記憶されている記憶情報とが一致した場合に、前記記憶手段に記憶されている記憶情報を消去する請求項1記載の買い物支援システム。
【請求項4】
前記買い物支援端末が入力手段として無線ICタグリーダ、あるいは、バーコードリーダを具備して、前記入力手段から読み込んだ商品情報を、前記記憶手段に記憶情報として記憶させることを可能とした請求項1〜3いずれか記載の買い物支援システム。
【請求項5】
電子棚札が商品の価格を含む価格情報を記憶する価格情報記憶手段を具備し、前記価格情報を書き換えるための電子棚札書き換え端末が、入出力手段と、第3の制御手段と、第3の通信手段を具備し、さらに前記第3の通信手段が遠距離通信手段(たとえば数十メートルでも通信可能)を具備して、前記遠距離通信手段を用いて前記価格情報を書き換える請求項1〜4のいずれか1項記載の買い物支援システム。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか記載の買い物支援システムにおいて少なくともひとつをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−128397(P2007−128397A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−321958(P2005−321958)
【出願日】平成17年11月7日(2005.11.7)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】