説明

貸出処理機及びその操作制御方法

【課題】遊技客が不利益を被る事態を防止することを課題とする。
【解決手段】計数機能付きCRユニット10では、遊技客によって獲得された持ち玉が存在する場合に玉貸し操作を原則的に無効化する一方で、所定期間に玉貸し操作が複数回なされた場合などに玉貸し操作を有効化することで、遊技客の意図に反してプリペイドカードの残度数が使用される事態を防止するとともに、パチンコ玉を借り受けるという遊技客の意思が明確に確認された場合にだけ玉貸し操作を有効とすることができるようにしている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技媒体貸出操作に応答して遊技媒体の貸出し処理を行う貸出処理機及びその操作制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パチンコ遊技やパチスロ遊技を提供するパチンコ店等の遊技店では、島端等に配設される計数機での遊技媒体の計数を不要化する観点から、遊技結果として投出された賞遊技媒体を各遊技台に併設される玉計数機で計数し、その計数結果を持ち遊技媒体として記憶管理しておき、この持ち遊技媒体の範囲内で再貸出しを行う各台計数システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような各台計数システムにおいては、遊技用記録媒体に従前から関連付けられていた有価価値に加えて、玉計数機で計数された持ち遊技媒体が遊技用記録媒体に関連付けられることになる。
【0004】
【特許文献1】特開2007−229112号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術においては、遊技客が有価価値及び持ち遊技媒体を保有している場合に、有価価値を用いて遊技媒体を借り受けることを意図していないにもかかわらず、誤操作で有価価値を使用してしまうおそれがあった。
【0006】
すなわち、各台計数システムは、ホール業界において広範に普及しているとは言えず、遊技客に持ち遊技媒体の払出し手順があまり認知されていないため、遊技媒体の貸し出しを持ち遊技媒体の払出しと混同し、誤操作を行ってしまうケースが散見される。
【0007】
また、遊技客が持ち遊技媒体の払出し手順を認知していたとしても、遊技客がヘビーユーザであるほど、遊技台に付設された貸出操作部を操作して遊技媒体を補充する習慣が身に着いており、無意識に貸出操作部を操作してしまうケースもよく見受けられる。
【0008】
このように、遊技客が持ち遊技媒体を保有しているにもかかわらず、有価価値を使用して遊技媒体を借り受けると、遊技客にとって不利益となるケースが多い。
【0009】
なぜならば、遊技媒体を貸し出す際の遊技媒体の単価(売り単価)よりも景品交換を行う際の遊技媒体の単価(買い単価)を低く設定している遊技店が多く、このような場合に持ち遊技媒体ではなく有価価値を使用すれば、売り単価と買い単価の差額が無条件に損益となってしまうからである。
【0010】
以上のことから、遊技客の意図に反して有価価値が使用される事態をいかにして防止するかが重要な課題となっている。なお、この課題は、各台計数システムに限定して生ずる課題でなく、持ち遊技媒体が電子的に管理されていない既存の貸出処理機の場合でも同様に生じる課題である。
【0011】
そこで、本発明は、上述した従来技術による課題(問題点)を解消するためになされたものであり、遊技客が不利益を被ることを防止することができる貸出処理機及びその操作制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る貸出処理機は、遊技媒体貸出操作に応答して遊技媒体の貸出し処理を行う貸出処理機であって、遊技客によって獲得された獲得遊技媒体が存在する場合に、前記遊技媒体貸出操作を無効化する操作有効化/無効化手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る貸出処理機は、上記の発明において、前記獲得遊技媒体の計数を行う計数手段をさらに備え、前記操作有効化/無効化手段は、前記計数手段によって獲得遊技媒体が計数されていた場合に、前記遊技媒体貸出操作を無効化することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る貸出処理機は、上記の発明において、前記操作有効化/無効化手段は、前記遊技媒体貸出操作が所定期間内に複数回行われたならば、いずれかの遊技媒体貸出操作を有効化することを特徴とする。
【0015】
また、本発明に係る貸出処理機は、上記の発明において、前記操作有効化/無効化手段は、前記遊技媒体貸出操作が行われてから該貸出操作の確認操作がさらに行われたならば、当該遊技媒体貸出操作を有効化することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る貸出処理機は、上記の発明において、前記操作有効化/無効化手段は、前記獲得遊技媒体の数量が所定値以下である場合に、前記遊技媒体貸出操作を有効化することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係る貸出処理機に適用する操作制御方法は、遊技媒体貸出操作に応答して遊技媒体の貸出し処理を行う貸出処理機に適用する操作制御方法であって、遊技客によって獲得された獲得遊技媒体が存在する場合に、前記遊技媒体貸出操作を無効化する操作有効化/無効化工程を含んだことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、遊技客によって獲得された獲得遊技媒体が存在する場合に、遊技媒体貸出操作を無効化するように構成したので、遊技客の意図に反して遊技用記録媒体の価値高が使用される事態を防止することができ、遊技客が不利益を被る事態を防止することが可能になるという効果を奏する。
【0019】
また、本発明によれば、獲得遊技媒体の計数を行い、獲得遊技媒体を計数していた場合に、遊技媒体貸出操作を無効化するように構成したので、獲得遊技媒体(持ち遊技媒体)を正確に管理しながら遊技媒体貸出操作の有効化/無効化を行うことが可能になるという効果を奏する。
【0020】
また、本発明によれば、遊技媒体貸出操作が所定期間内に複数回行われたならば、いずれかの遊技媒体貸出操作を有効化するように構成したので、遊技媒体を借り受けるという遊技客の意思が明確に確認された場合にだけ遊技媒体貸出操作を有効とすることができ、遊技客が不利益を被ることを防止するとともに、遊技客の貸出サービスに係る利便性を損なうことも防止することが可能になるという効果を奏する。
【0021】
また、本発明によれば、遊技媒体貸出操作が行われてから該貸出操作の確認操作がさらに行われたならば、当該遊技媒体貸出操作を有効化するように構成したので、遊技媒体を借り受けるという遊技客の意思が明確に確認された場合にだけ遊技媒体貸出操作を有効とすることができ、遊技客が不利益を被ることを防止するとともに、遊技客の貸出サービスに係る利便性を損なうことも防止することが可能になるという効果を奏する。
【0022】
また、本発明によれば、獲得遊技媒体の数量が所定値以下である場合に、遊技媒体貸出操作を有効化するように構成したので、たとえば所定金額相当の持ち遊技媒体数分だけは景品交換するために残しておこうという遊技客の意図に合わせて玉貸し操作の有効/無効を切り替えることができ、遊技客の貸出サービスに係る利便性を飛躍的に向上させることが可能になるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る貸出処理機及びその操作制御方法の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下では、本発明をパチンコ遊技に適用する場合について説明することとする。
【実施例1】
【0024】
まず、本実施例に係る貸出処理機の概念について説明する。実施例1に係る貸出処理機は、パチンコ店に配設されたパチンコ機20に併設され、パチンコ機20に設けられた玉貸しボタンの押下操作に応答して玉貸し処理を行うカード処理ユニット(以下、CRユニットと言う)であり、併設のパチンコ機20での遊技結果として得られたパチンコ玉を計数する計数機能を有する。
【0025】
この計数機能付きCRユニット10では、パチンコ機20の上皿および下皿における貯留容量を超えたパチンコ玉をCRユニット10下部に設けられた計数部15に投入させてその投入玉数を計数し、該計数結果を持ち玉(獲得玉)として累積記憶しておき、遊技客が離席を意図してプリペイドカードの返却操作を行った場合に、累積記憶した持ち玉をCRユニット10に接続される上位装置に通知するとともに、当該持ち玉をプリペイドカードに関連付けている。
【0026】
ここで、本実施例に係るCRユニット10は、遊技客によって獲得された持ち玉が存在する場合に玉貸し操作を原則的に無効化する点にその特徴がある。
【0027】
すなわち、持ち玉が存在する状況下においては、あえてプリペイドカードの残度数を用いてパチンコ玉を借り受ける必要性が少ないため、玉貸し操作が行われたからといって直ちに玉貸し処理を行ったのでは、遊技客の意図に反してプリペイドカードの残度数が使用される事態を招いてしまうことから、図1に示すように、かかる状況下では玉貸し操作を無効化することを基本としている。
【0028】
したがって、実施例1に係るCRユニット10によれば、遊技客の意図に反してプリペイドカードの残度数が使用される事態を防止し、もって遊技客が不利益を被る事態を防止することが可能になる。
【0029】
また、本実施例に係るCRユニット10では、図1に示すように、遊技客が持ち玉を保有している場合でも条件付きで玉貸し操作を有効化する点にも付加的な特徴がある。
【0030】
すなわち、持ち玉保有時にパチンコ玉を借り受けたいというニーズは少ないながらも存在し、遊技客が持ち玉を保有しているからといって一概に玉貸し操作を禁止していたのでは遊技客の貸出サービスに係る利便性を損なってしまう。
【0031】
このため、CRユニット10では、所定期間内に玉貸し操作が複数回にわたってなされたり、また、玉貸し操作後に確認操作がなされた場合など、プリペイドカードの残度数を使ってパチンコ玉を借り受けるという遊技客の意思が明確に確認された場合には、玉貸し操作を有効化することとしている。
【0032】
この結果、実施例1に係るCRユニット10によれば、パチンコ玉を借り受けるという遊技客の意思が明確に確認された場合にだけ玉貸し操作を有効とすることができ、遊技客が不利益を被ることを防止するとともに、遊技客の貸出サービスに係る利便性を損なうことも防止することが可能になる。
【0033】
続いて、本実施例に係るCRユニットの構成を説明する。図2は、図1に示したCRユニットの外観を示した正面図である。なお、この図2には、CRユニット10が併設されたパチンコ機20を破線で示している。
【0034】
図2に示すように、CRユニット10は、係員の呼び出し時などに点灯する状態表示部101と、玉貸しのための各種紙幣を受け付ける紙幣挿入部102と、持ち玉の払出し(返却)要求を受け付ける持玉返却ボタン103と、液晶パネルやディスプレイなどの表示デバイス上で操作入力を受け付けることができる表示可能かつ入力可能なタッチパネル104と、持ち玉を払い出すノズルを備えた持ち玉払出部105と、プリペイドカード等のカード類の受付/返却を行うカード挿入部106と、持ち玉(獲得玉)を計数する計数部15と、持ち玉(獲得玉)を貯留する玉貯留部107とを有する。
【0035】
また、パチンコ機20には、パチンコ遊技に使用するパチンコ玉を貯留する上皿210と、上皿210の許容容量を超えて溢れたパチンコ玉を貯留する下皿220とが設けられており、この上皿210には、プリペイドカードの残度数等を表示する7SEG表示部211と、玉貸し要求を受け付ける玉貸しボタン212と、プリペイドカードの返却要求を受け付ける返却ボタン213とがさらに設けられている。なお、本実施例では、玉貸しボタン212及び返却ボタン213をパチンコ機20に設けることとしたが、必ずしもパチンコ機20側に設ける必要はなく、CRユニット10に設けることとしてもよい。
【0036】
パチンコ玉を借り受ける際には、遊技客がパチンコ機20側の玉貸しボタン212を押下操作すると、玉貸し操作信号がCRユニット10に転送されてCRユニット10側で玉貸し操作が受け付けられる。このとき、持ち玉が存在しない場合や一定の条件を満たした場合には、CRユニット10からパチンコ機20に玉投出指示が行われて貸し玉が上皿210に投出されることになる。
【0037】
また、持ち玉が計数される際には、パチンコ機20の下皿220から獲得玉を玉貯留部107に投入すると、その投入玉が計数部15に誘導されて獲得玉の数量が計数される。そして、遊技者が持玉返却ボタン103を押下すると、後述する記憶部17によって持ち玉(獲得玉)として記憶管理されている玉数の範囲内であれば、持ち玉が持ち玉払出部105経由でパチンコ機20の上皿210に投出される。
【0038】
図3は、図2に示したCRユニットの内部構成を示す機能ブロック図である。なお、実際のCRユニット10では、図示した機能部以外の機能部(例えば、ビルバリユニットなど)を有するが、図3では、実施例1に係るCRユニット10の特徴点を説明するために必要な構成要素のみを抜粋している。
【0039】
図3に示すように、このCRユニット10は、操作部11と、表示部12と、通信I/F部13aと、遊技機用通信I/F部13bと、カード処理部14と、計数部15と、持ち玉払出し制御部16と、記憶部17と、制御部18とを有する。
【0040】
操作部11は、図2に示した持玉返却ボタン103やタッチパネル104などの各種ボタン群の総称であり、表示部12は、図2に示した状態表示部101やタッチパネル104などの総称である。
【0041】
通信I/F部13aは、プリペイドカードの残度数や持ち玉数を統括管理する上位装置やCRユニット10を遊技島単位に束ねる島コントローラなどの他の装置の間で各種通信の制御を行うインターフェースである。
【0042】
遊技機用通信I/F部13bは、当該CRユニット10に併設されるパチンコ機20との間で各種通信(例えば、玉貸し要求や玉投出指示などの)の制御を行うインターフェースである。
【0043】
カード処理部14は、カード挿入口106から挿入された各種カードを取り扱う処理部である。具体的には、プリペイドカードや会員カードなどの各種カードに記録された情報を読み込んだり、また、これらのカードに情報を書き込んだりする。
【0044】
計数部15は、ペアのパチンコ機20の下皿220から投入された獲得玉を計数する処理部であり、図示しない持ち玉を計数する計数センサを内在する。具体的には、この計数センサが玉貯留部107から導入した獲得玉の通過経路の近傍に設けられており、かかる通過経路に赤外線等の発光及びその反射光の受光を併せて行うことで獲得玉の通過を検知し、これらの通過数を後述する持ち玉更新部18aにカウントアップさせる。
【0045】
持ち玉払出し制御部16は、持ち玉の投出制御を行う処理部である。具体的には、後述する持ち玉更新部18aから払出し数を含む玉払出し指示が行われると、当該払出し数分のパチンコ玉を持ち玉払出部105を介してパチンコ機20の上皿210に投出する。
【0046】
記憶部17は、制御部18による各種処理に必要なデータおよびプログラムを記憶する不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、例えば、持ち玉数を示す持ち玉データ17aを併せて記憶する。
【0047】
制御部18は、CRユニット10を全体制御する制御部であり、持ち玉更新部18aと、操作有効化/無効化部18bと、残度数管理部18cと、玉貸し処理部18dとを有する。実際には、これらの機能部に対応するプログラムを図示しないROMや不揮発性メモリに記憶しておき、これらのプログラムをCPUにロードして実行し、持ち玉更新部18a、操作有効化/無効化部18b、残度数管理部18c及び玉貸し処理部18dにそれぞれ対応するプロセスを実行させることになる。
【0048】
持ち玉更新部18aは、持ち玉の加算更新または減算更新を行う処理部である。具体的には、計数部15からの計数センサ出力が得られた場合に、そのセンサ出力をカウントアップし、記憶部17に持ち玉データ17aとして記憶された持ち玉数にカウントアップした値を加算する更新を行う。また、持玉返却ボタン103の押下操作を受け付けた場合に、記憶部17に持ち玉データ17aとして記憶された持ち玉数から払出し玉数を減算する更新を行うとともに、当該払出し玉数分のパチンコ玉を払い出すように持ち玉払出し制御部16に指示する。なお、加算更新時または減算更新時には、記憶部17内に記憶された持ち玉数をタッチパネル104に表示させる処理も併せて行う。
【0049】
操作有効化/無効化部18bは、玉貸し操作を有効化または無効化する処理部である。具体的は、遊技客がプリペイド残度数及び持ち玉の両方を保有している場合には、パチンコ機20に付設された玉貸しボタン212の押下操作(玉貸し操作)を受け付けたとしても当該玉貸し操作を原則的に無効化する。なお、当然のことながら、遊技客がプリペイド残度数しか保有していない場合には、無条件に玉貸し操作を有効化することは言うまでもない。
【0050】
その一方、操作有効化/無効化部18bは、遊技客がプリペイド残度数及び持ち玉の両方を保有している場合でも、記憶部17に持ち玉データ17aとして記憶された持ち玉数が所定値以下であり、かつ1回目の玉貸し操作から所定期間(例えば、5秒間など)内に再度玉貸し操作が行われた場合には、1回目もしくは2回目いずれかの玉貸し操作を例外的に有効化する。
【0051】
このように持ち玉数が所定値以下である場合に玉貸し操作を有効化することとしたのは、遊技客が所定の箱数、言い換えれば所定金額相当の玉数分だけは遊技台に打ち込まずに残して景品交換しようと考え、持ち玉数が景品交換するために残しておきたい玉数に到達した場合には、持ち玉を使用せず、あえてプリペイド残度数を使用するケースもある。
【0052】
持ち玉を不使用とする閾値(景品交換するために残しておきたい持ち玉の数量)は、5千円相当の玉数(4円/1玉のレートであれば、1250個)や1万円相当の玉数(同、2500個)など切りの良い数値を上位装置から予め設定しておいてもよいし、また、タッチパネル104などのデバイスを通じて任意の数値(例えば、2千個)を任意のタイミングで受け付けるようにしてもよい。
【0053】
さらに、所定期間内に玉貸し操作を2度押下させることとしたのは、持ち玉を使用せず、あえてプリペイド残度数を使用してパチンコ玉を借り受けるという遊技客の意思を明確に確認するためである。
【0054】
例えば、図4に示すように、遊技客が持ち玉を不使用とする数値を2000個と設定していたとした時、その遊技客の持ち玉が2000個よりも大きい場合には、玉貸しボタン212の押下操作が行われたとしても完全に無効化される一方で、遊技客の持ち玉が2000個以下である場合には、玉貸しボタン212が2度押しされることを条件にその玉貸し操作が有効化されることになる。
【0055】
残度数管理部18cは、プリペイドカードの残度数の加算または減算を上位装置に依頼する処理部である。具体的には、玉貸しボタン212の押下操作(玉貸し操作)を受け付け、さらに操作有効化/無効化部18bによって玉貸し操作が有効とされて初めてプリペイド残度数の減算依頼を上位装置に行う。なお、紙幣の価値付け依頼(加算依頼)は、既存のものと同様に特に制限なく、紙幣挿入部102への紙幣の挿入に応答して行われる。
【0056】
玉貸し処理部18dは、残度数管理部18cによってプリペイド残度数が減算された場合に、パチンコ機20に玉投出指示を行う処理部である。具体的には、遊技機用通信I/F部13bとパチンコ機20内の通信I/F部(図示せず)との両者の間でCRユニット10による1度の玉投出指示で所定数(例えば、25個=100円)のパチンコ玉をパチンコ機20が投出するという規定が設定されており、挿入中のプリペイドカードの残度数から貸出単位金額相当の度数が減算されると、当該度数に相当する回数の玉投出指示をパチンコ機20に行い、パチンコ機20に貸出単位金額分のパチンコ玉(この例では、5度数分の125個)を投出させる。
【0057】
次に、本実施例に係るCRユニットの処理の流れを説明する。図5は、実施例1に係る操作有効化/無効化処理の手順を示すフローチャートである。
【0058】
同図に示すように、パチンコ機20の玉貸しボタン212が押下操作されると(ステップS501肯定)、操作有効化/無効化部18bは、残度数管理部18cにプリペイドカードの残度数の問合せを行って遊技客がプリペイド残度数を保有しているか否かを判定する(ステップS502)。
【0059】
このとき、遊技客がプリペイド残度数を保有している場合(ステップS502肯定)には、操作有効化/無効化部18bは、記憶部17内の持ち玉データ17aを参照して、遊技客が持ち玉を保有しているか否かをさらに判定する(ステップS503)。なお、遊技客がプリペイド残度数を保有していない場合(ステップS502否定)には、当然ながら玉貸し操作は無効化される(ステップS507)。
【0060】
そして、遊技客がプリペイド残度数しか保有していない場合(ステップS503否定)には、そもそも玉貸し操作を無効化する必要性がなく、残度数管理部18cは、挿入中のプリペイドカードの残度数を減算するように上位装置に依頼する(ステップS504)。
【0061】
その後、上位装置から減算完了応答が得られると、玉貸し処理部18dは、パチンコ機20に玉投出指示を行い(ステップS505)、パチンコ機20から貸し玉を上皿210に投出させ、処理を終了する。なお、プリペイド残度数が貸出単位金額相当の度数に満たない場合(残高不足の場合)には、残存する残度数分を払出す。例えば、貸出単位が5度数でカードに残存する度数が3度数であれば、3度数分を払出す。
【0062】
ここで、遊技客がプリペイド残度数および持ち玉の両方を保有している場合(ステップS503肯定)には、操作有効化/無効化部18bは、当該持ち玉の数量が所定値(例えば、2000個)より多くある場合は(ステップS506肯定)、当該玉貸し操作を無効化し(ステップS507)、処理を終了する。
【0063】
さらに、持ち玉の数量が所定値(例えば、2000個)以下であっても所定期間(例えば、5秒間)内に玉貸しボタン212の再操作を受け付けなければ(ステップS506否定かつステップS508否定)、当該玉貸し操作を無効化し(ステップS507)、処理を終了する。
【0064】
一方、持ち玉の数量が所定値(例えば、2000個)以下であり、かつ所定期間(例えば、5秒間)内に玉貸しボタン212の再操作を受け付けたならば(ステップS506否定かつステップS508肯定)、操作有効化/無効化部18bによって当該玉貸し処理が有効化される。
【0065】
その後、残度数管理部18cは、挿入中のプリペイドカードの残度数を減算するように上位装置に依頼し(ステップS504)、上位装置から減算完了応答が得られると、玉貸し処理部18dは、パチンコ機20に玉投出指示を行い(ステップS505)、パチンコ機20から貸し玉を上皿210に投出させ、処理を終了する。
【0066】
上述してきたように、本実施例に係るCRユニット10によれば、遊技客によって獲得された持ち玉が存在する場合に玉貸し操作を原則的に無効化するように構成したので、遊技客の意図に反してプリペイドカードの残度数が使用される事態を防止することができ、遊技客が不利益を被る事態を防止することが可能になる。
【0067】
また、本実施例に係るCRユニット10によれば、玉貸し操作が所定期間内に複数回行われたならば、いずれかの玉貸し操作を有効化するように構成したので、パチンコ玉を借り受けるという遊技客の意思が明確に確認された場合にだけ玉貸し操作を有効とすることができ、遊技客が不利益を被ることを防止するとともに、遊技客の貸出サービスに係る利便性を損なうことも防止することが可能になる。
【0068】
さらに、本実施例に係るCRユニット10によれば、持ち玉数が所定値以下である場合に、玉貸し操作を有効化するように構成したので、たとえば所定金額相当の玉数分だけは景品交換するために残しておこうという遊技客の意図に合わせて玉貸し操作の有効/無効を切り替えることができ、遊技客の貸出サービスに係る利便性を飛躍的に向上させることが可能になる。
【実施例2】
【0069】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、本発明に含まれる他の実施例を説明する。
【0070】
(1)確認操作
例えば、上記の実施例1では、所定期間内における玉貸しボタン212の2度押しを玉貸し操作の有効化の条件としたが、必ずしも玉貸しボタン212の2度押しを条件とする必要はなく、他の条件を用いてもかまわない。
【0071】
一例を挙げれば、図6に示すように、玉貸しボタン212が押下されると、CRユニット10のタッチパネル104にプリペイド残度数を用いた玉貸し処理を行う旨の確認画面を表示させ、かかる確認画面において確認操作が行われて初めて玉貸し操作を有効化するようにしてもよい。
【0072】
これによって、玉貸しボタン212の2度押しの場合と同様に、パチンコ玉を借り受けるという遊技客の意思が明確に確認された場合にだけ玉貸し操作を有効とすることができ、遊技客が不利益を被ることを防止するとともに、遊技客の貸出サービスに係る利便性を損なうことも防止することが可能になる。
【0073】
(2)持玉返却ボタンへの代用
また、上記の実施例1では、玉貸し操作を原則的に無効化する処理について説明したが、さらに利便性を発展させる観点から、玉貸し操作が行われた際に持ち玉が存在すれば、かかる状況下のみ玉貸しボタン212の意味付けを持玉返却ボタン103に代えて持ち玉を払い出すようにしてもかまわない。また、この時、プリペイド残度数がゼロである場合にのみ玉貸しボタン212の意味付けを変化させることで、少ないながらも遊技客が玉の借り受けを意図して玉貸し操作を行った場合に遊技客の意図に反することをなくすことができる。
【0074】
さらに、玉貸しボタン212を持玉返却ボタン103に代用させるに際して、持ち玉の端数、たとえば特殊景品に交換しきれない端数となる玉数分だけを払い出させるようにすることで、端数の持ち玉を遊技に使用させることができ、端数の持ち玉を遊技客が希望しない景品に交換させることを防止することが可能になる。
【0075】
(3)時期的条件の追加
さらに、上記の実施例1では、図4に示す条件を画一的に適用することとしたが、時間帯等によって玉貸し操作の有効化/無効化の条件を変化させてもよい。
【0076】
例えば、閉店間際等には、プリペイド残度数を貨幣に精算する精算機を利用する遊技客が列をなすことも考えられるため、プリペイド残度数を持ち玉に集約させる観点から、閉店間際等の所定の時間帯(例えば、23時閉店の遊技店であれば、22時から23時の時間帯)については持ち玉が存在したとしても玉貸し操作を有効化するようにしてもよい。
【0077】
これによって、プリペイド残度数を持ち玉に集約して景品交換を行わせることができ、プリペイド残度数の精算および持ち玉の景品交換の両方を行う場合よりも迅速に退店させることが可能になる。
【0078】
(4)その他
例えば、本発明では、玉貸しボタンにLEDを内蔵することによって発光機能を持たせておき、玉貸し操作を有効化する場合には玉貸しボタン内蔵のLEDを点灯させ、また、玉貸し操作を無効化する場合には玉貸しボタン内蔵のLEDを消灯させることで、操作の有効化/無効化を報知することもできる。
【0079】
また、上記の実施例1では、各台計数機をCRユニット内下部に設ける例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各台計数機がCRユニットと別体に設けられ、CRユニットと通信可能に接続されている各台計数システムにも本発明を同様に適用することができる。
【0080】
また、上記の実施例1では、本発明をパチンコ遊技に適用する例を説明したが、パチスロ遊技を対象としてさらに含めた場合又はパチスロ遊技のみを対象とした場合にも本発明を同様に適用することができる。なお、ここでは、パチンコ店に本発明を適用する例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、ゲームセンタ等の遊技施設にも同様に適用することができる。
【0081】
さらに、上記の実施例1では、本発明を各台計数システムに適用する実施例を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、島端計数機を有する遊技場にも本発明を同様に適用することができる。なお、この場合、ホールコンピュータ等の上位装置で管理されるアウト(遊技台への打込み数)およびセーフ(遊技台からの払出し数)からパチンコ機の出玉を推定し、出玉が存在する場合に玉貸し操作を無効化すればよい。
【0082】
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともでき、あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0083】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0084】
以上のように、本発明に係る貸出処理機及びその操作制御方法は、遊技客が不利益を被る事態を防止することに適している。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】実施例1に係るCRユニットの特徴を説明するための概念図である。
【図2】図1に示したCRユニットの外観を示した正面図である。
【図3】図2に示したCRユニットの内部構成を示す機能ブロック図である。
【図4】操作有効化/無効化部の処理内容を説明するための説明図である。
【図5】実施例1に係る操作有効化/無効化処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】確認画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0086】
10 CRユニット
11 操作部
12 表示部
13a 通信I/F部
13b 遊技機用通信I/F部
14 カード処理部
15 計数部
16 持ち玉払出し制御部
17 記憶部
18 制御部
18a 持ち玉更新部
18b 操作有効化/無効化部
18c 残度数管理部
18d 玉貸し処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技媒体貸出操作に応答して遊技媒体の貸出し処理を行う貸出処理機であって、
遊技客によって獲得された獲得遊技媒体が存在する場合に、前記遊技媒体貸出操作を無効化する操作有効化/無効化手段
を備えたことを特徴とする貸出処理機。
【請求項2】
前記獲得遊技媒体の計数を行う計数手段をさらに備え、
前記操作有効化/無効化手段は、
前記計数手段によって獲得遊技媒体が計数されていた場合に、前記遊技媒体貸出操作を無効化することを特徴とする請求項1に記載の貸出処理機。
【請求項3】
前記操作有効化/無効化手段は、
前記遊技媒体貸出操作が所定期間内に複数回行われたならば、いずれかの遊技媒体貸出操作を有効化することを特徴とする請求項1または2に記載の貸出処理機。
【請求項4】
前記操作有効化/無効化手段は、
前記遊技媒体貸出操作が行われてから該貸出操作の確認操作がさらに行われたならば、当該遊技媒体貸出操作を有効化することを特徴とする請求項1または2に記載の貸出処理機。
【請求項5】
前記操作有効化/無効化手段は、
前記獲得遊技媒体の数量が所定値以下である場合に、前記遊技媒体貸出操作を有効化することを特徴とする請求項1または2に記載の貸出処理機。
【請求項6】
遊技媒体貸出操作に応答して遊技媒体の貸出し処理を行う貸出処理機に適用する操作制御方法であって、
遊技客によって獲得された獲得遊技媒体が存在する場合に、前記遊技媒体貸出操作を無効化する操作有効化/無効化工程
を含んだことを特徴とする操作制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2009−291522(P2009−291522A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−150458(P2008−150458)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【出願人】(000001432)グローリー株式会社 (1,344)
【Fターム(参考)】