説明

貼付体貼付け器具

片面が粘着面(3)となっているシート状の貼付体(1)を体に貼り付けるための器具(10)において,貼付体を通す通過口(11)を備え,前記通過口の正面側下方を,貼付体の非粘着面を当てる当て部(12)とし,前記通過口の背面側上方を,貼付体の粘着面の端部を貼り付けて保持する保持部(13)とした。さらに,前記当て部を,正面側に向かって凸状に湾曲若しくは折曲させて形成した。構造が簡素であるため,低コストで製造することができ,販売価格を安くすることができる。また,貼り付け器具(10)全体がコンパクトであり,不使用時に大きな収納スペースを必要としない。従って,貼付薬を常用しない人にも気軽に入手してもらいやすい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,例えば湿布等の貼付体を患部に貼り付けるための器具に関する。
【背景技術】
【0002】
患部の痛みや炎症等の対症療法として,湿布等の貼付薬が広く利用されている。かかる貼付薬は,シート状の支持材の片面に経皮鎮痛消炎剤を含有した粘着剤の層が積層された構成となっており,この粘着剤層を保護するための剥離フィルムが,粘着剤層の表面に貼着されている。貼付薬を使用する際は,手指によって剥離フィルムを剥離した後,粘着剤層を皮膚に貼り付けるようになっている。
【0003】
貼付薬を皮膚に貼り付ける際は,粘着剤同士が接着しないように注意しながら,皮膚に慎重に接近させなければならないので,貼付薬の取り扱いに慣れていない人は,貼り付けに時間がかかったり,失敗したりすることが多い。例えば,剥離フィルムを剥離した後,粘着剤同士を接着させてしまい,あるいは粘着剤層に異物を付着させてしまい,粘着剤層の粘着力が弱まったり薬の効果自体が薄れてしまったりする失敗がある。また,所望の位置からずれたところに貼り付けてしまったり,使用前に貼付薬を冷却しておいても貼り付けたときには温くなっていたりすることがある。貼付薬を貼り易くするため,剥離フィルムの中央部に切れ目を形成したものもあるが,背中や腰等に貼り付けようとする場合は,自分で貼ることは極めて困難であり,他人の手を借りなければならない面倒がある。
【0004】
従来,貼付薬を背中等にも自分で貼れるようにするための種々の器具が提案されている。例えば,柄を取り付けた板状の部材に貼付薬を載せ,クリップで貼付薬を保持し,柄に取り付けたボタンによってクリップを操作して貼り付けるようにした器具が提案されている(例えば,特許文献1参照)。また,柄を取り付けたホルダーに複数のローラーを備え,ホルダーによって貼付薬を保持し,ローラーを回転させながら貼り付ける器具が提案されている(例えば,特許文献2参照)。さらに,2個のローラー間に貼付薬を挟んで保持し,剥離フィルムを剥がしながら貼り付けることができる器具が提案されている(例えば,特許文献3参照)。
[特許文献1]特開2003−230633号公報
[特許文献2]特開2002−369843号公報
[特許文献3]特開2003−70916号公報
【0005】
しかしながら,従来の貼り付け器具は構造が複雑であり,部品点数が多く,製造コストと販売価格が高くなる難点がある。また,器具全体が大きく,不使用時には相当の収納スペースが必要とされる。そのため,特に貼付薬を常用する必要が無い多くの人が,購入に抵抗を感じる懸念がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は,湿布等の貼付薬を,背中等の手が届き難い部位にも自分で簡単に貼り付けることができるようにする貼り付け器具を提供することにある。さらに,低コストで製造することができ,コンパクトな貼り付け器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために,本発明によれば,片面が粘着面となっているシート状の貼付体を体に貼り付けるための器具であって,貼付体を通す通過口を備え,前記通過口の正面側下方を,貼付体の非粘着面を当てる当て部とし,前記通過口の背面側上方を,貼付体の粘着面の端部を貼り付けて保持する保持部としたことを特徴とする,貼付体貼り付け器具が提供される。ここで,貼付体とは,例えば湿布等の貼付薬,絆創膏等である。かかる貼付体貼り付け器具にあっては,構造が簡素であるため,低コストで製造することができ,販売価格を安くすることができる。また,貼り付け器具全体がコンパクトであり,不使用時に大きな収納スペースを必要としない。従って,貼付薬を常用しない人にも気軽に入手してもらいやすい。
【0008】
さらに,前記当て部を,正面側に向かって凸状に湾曲若しくは折曲させて形成することが好ましい。この場合,粘着剤層を広げた状態で保持でき,互いに接着することを防止できる。また,貼付薬を皮膚に押し当てやすい。前記貼付体は貼付薬であっても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば,背中等の手が届き難い部位にも,貼付薬を自分で簡単に貼り付けることができる。また,本発明の貼付体貼り付け器具は構造が簡素であり,低コストで製造することができ,販売価格を安くすることができる。さらに,簡素でコンパクトな構成であるため,不使用時に小さなスペースに収納でき,邪魔にならず,貼付薬を常用しない人も気軽に入手しやすい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
[図1]貼付薬の斜視図である。
[図2]貼付薬の断面図である。
[図3]本実施の形態にかかる貼り付け器具の正面図である。
[図4]本実施の形態にかかる貼り付け器具の背面図である。
[図5]本実施の形態にかかる貼り付け器具の左側面図である。
[図6]本実施の形態にかかる貼り付け器具の右側面図である。
[図7]本実施の形態にかかる貼り付け器具の平面図である。
[図8]本実施の形態にかかる貼り付け器具の底面図である。
[図9]貼り付け器具の通過口に貼付薬を通過させ,貼付薬から剥離フィルムを半分剥がす様子を示す説明図である。
[図10]貼付薬から剥離フィルムを半分剥がして,貼り付け器具に保持させた状態を示す斜視図である。
[図11]貼付薬を貼り付け器具に保持させ,貼付薬から剥離フィルムを全部剥がした状態を示す斜視図である。
[図12]貼付薬を背中に貼る様子を示す説明図である。
[図13]通過口の形状を変更した貼り付け器具の正面図である。
[図14]別の実施の形態にかかる貼り付け器具の斜視図である。
[図15]別の実施の形態にかかる貼り付け器具の正面図である。
[図16]別の実施の形態にかかる貼り付け器具の背面図である。
[図17]別の実施の形態にかかる貼り付け器具の左側面図である。
[図18]別の実施の形態にかかる貼り付け器具の右側面図である。
[図19]別の実施の形態にかかる貼り付け器具の平面図である。
[図20]別の実施の形態にかかる貼り付け器具の底面図である。
[図21]図15に示す貼り付け器具のA−A線による縦断面図である。
[図22]貼り付け器具の通過口に貼付薬を通過させ,貼付薬から剥離フィルムを半分剥がした状態を示す縦断面図である。
[図23]貼付薬を貼り付け器具に保持させ,貼付薬から剥離フィルムを全部剥がした状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0011】
1 貼付薬
2 支持体
3 粘着面
5 剥離フィルム
10 貼り付け器具
11 通過口
12 当て部
13 保持部
15 被粘着部材
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下,本発明の好ましい実施の形態を説明する。図1に示すように,貼付体としての貼付薬1は,略長方形状をなすシート状の支持材2の片面に粘着面3が形成された湿布薬である。図2に示すように,支持材2の片面には,経皮鎮痛消炎剤を含有した粘着剤層4が積層されており,この粘着剤層4の表面が粘着面3となっている。粘着面3には,粘着剤層4を保護するための剥離フィルム5が貼着されている。図1に示すように,剥離フィルム5の中央部には,剥離フィルム5を2枚に分割する切れ目部6が形成されている。支持材2は,関節等に貼っても動作を妨げないような伸縮性のある布状体によって形成されている。
【0013】
図3〜図8に示すように,本実施の形態にかかる貼り付け器具10は,上下の短辺10a,10aと左右の長辺10b,10bを有する略長方形の板状部材からなり,貼付薬1を貼り付け器具10の正面側から背面側に通す通過口11が設けられている。通過口11は,細長い略長方形のスリット状の形状をなし,左右の長辺10b,10bに囲まれた内側の位置に,貼り付け器具10の中心部よりも上方に開口している。図示の例では,上部の短辺10aに近い位置に,短辺10aと略平行に設けられている。図3に示すように,貼り付け器具10の正面側において,通過口11の下方の面は,貼付薬1の非粘着面である支持材2の表面を当てる当て部12となっている。また,図4に示すように,貼り付け器具10の背面側において,通過口11の上方は,剥離フィルム5を剥離した粘着面3の端部を貼り付けて保持する保持部13となっている。
【0014】
貼り付け器具10の材質としては,例えば合成樹脂等が使用される。また,貼り付け器具10は,透光性のある材質で形成することが好ましい。この場合,貼付薬1を貼り付け器具10に保持させるときや,貼付薬1を患部に貼り付けるときに,貼付薬1の状態を確認しやすい。従って,接着剤層3同士が接着したりして貼付薬1が絡んだり,皺が寄ったりする失敗を防止できる。
【0015】
図5及び図6に示すように,貼り付け器具10は側方から見て略W字状に若干湾曲した形状をしている。通過口11の下方の縁から貼り付け器具10の中央部は,貼り付け器具10の中央部に向かうほど正面側に向かって傾斜し,貼り付け器具10の中央部から下縁部は,ほぼ平坦となっている。即ち,当て部12は,正面側に向かって凸状に折曲させた曲面となっている。また,通過口11の上方の縁から上方に向かうほど正面側に向かって傾斜し,通過口11の上方の縁と貼り付け器具10の上縁との中間部から,貼り付け器具10の上縁までは,上方に向かうほど背面側に向かって傾斜するように形成されている。
【0016】
図4に示すように,保持部13の表面には,被粘着部材15が積層されている。粘着面3の端部は,被粘着部材15の表面に貼り付けるようになっている。この被粘着部材15の表面は,粘着面3を粘着させて保持することができ,かつ,貼付薬1を軽い力で引っ張ることで粘着面3を損傷したり汚したりすることなく簡単に外せるような材質で形成されている。被粘着部材15の材質は,例えば,コルク,フェルト等が好ましい。
【0017】
なお,貼り付け器具10の製造方法の一例を説明すると,プラスチックの長方形の薄い平板に通過口11を切り取って形成し,加熱して略W字状に湾曲させ,被粘着部材15を保持部13に貼り付けて完成する。このように,貼り付け器具10は簡単に短時間で製造でき,大量生産が可能である。また,貼り付け器具10の材料はプラスチックの平板1枚と被粘着部材15のみであり,部品点数が少ない。従って,低コストで製造することができ,販売価格を安くすることができる。貼り付け器具10の大きさは,貼付薬1より一回り大きく貼付薬1を載せることができる程度であれば良く,コンパクトであり,不使用時に大きな収納スペースを必要としない。このように,貼り付け器具10は安価でコンパクトであるため,貼付薬を常用しない人にも気軽に購入してもらうことができる。
【0018】
次に,以上のように構成された貼り付け器具10を用いて貼付薬1を患部に貼り付ける方法について説明する。先ず,貼り付け器具10の通過口11に,貼付薬1を通過させ,一端を貼り付け器具10の正面側に,他端を貼り付け器具10の背面側に出す。このとき,貼付薬1は,当て部12側に支持材2を向け,保持部13側に剥離フィルム5を向けた状態で通過させる。そして,図9に示すように,背面側に出した貼付薬1の粘着面3から,切れ目部6に沿って剥離フィルム5の半分を剥がし,図10に示すように,保持部13の被粘着部材15に粘着面3の端部を貼り付ける。正面側においては,支持材2を当て部12に当てて支持する。こうして,貼り付け器具10によって貼付薬1を保持する。このように,貼付薬1の保持は極めて簡単に行うことができる。
【0019】
なお,貼り付け器具10に貼付薬1を保持させる際は,当て部12を上面にして貼り付け器具10を持ち,貼付薬1の当て部12に載せた部分の表面(剥離フィルム5の表面)と,貼り付け器具10の背面とを,片手の指で挟んで押さえるように持ち,他方の手指によって,貼付薬1の通過口11の背面側に出した部分から剥離フィルム5を静かに剥がし,貼付薬1の端部が広がった状態で下に垂れるようにし,垂らした貼付薬1の端部を支持材2側に指を当てて持ち上げ,保持部13の被粘着部材15に粘着面3を貼るようにすると良い。このようにすると,粘着面3同士が接着して絡み合ったり,皺が寄ったりすることを防止できる。特に,支持材2が伸縮性に富んだ材質であると,絡み合ったり皺が寄ったりする失敗が起こりやすいが,そのような失敗を効果的に防止できる。また,粘着面3に指を接触させないようにすれば,粘着力が弱まることを防止できる。
【0020】
貼り付け器具10に貼付薬1を保持させたら,次に,図11に示すように,貼付薬1の当て部12側の粘着面3から剥離フィルム5の半分を剥がして,貼付薬1の粘着面3から総ての剥離フィルム5を剥がす。このとき,手指が粘着面3に触れないように,貼り付け器具10を片手で背面側から持ち,他方の手指によって剥離フィルム5を静かに剥がすことが好ましい。このようにすると,貼付薬1が絡んだり,皺が寄ったりすることを防止できる。また,粘着面3に指が接触して粘着力が弱まることを防止できる。
【0021】
こうして,粘着面3を露出させた状態で貼付薬1を保持したら,次に,貼付薬1及び貼り付け器具10を,患部に正面側を向けた状態で近接させ,正面側に広げた粘着面3を患部の皮膚に粘着させる。このとき,貼り付け器具10は通過口11側を上にして,貼付薬1を当て部12に沿って広げた状態を維持して皮膚に近接させると,粘着面3同士が接着して絡み合ったり,皺が寄ったりすることを防止できる。粘着面3を患部に粘着させたら,当て部12を皮膚に向かって押し当てながら,貼り付け器具10を皮膚に沿って滑らせるように移動させる。すると,貼付薬1の皮膚に押し当てられた部分に引っ張られて,保持部13の被粘着部材15から粘着面3の端部が外れ,通過口11を通過して,当て部12と皮膚の間に挟まれて,当て部12の曲面によって皮膚に確実に押し当てられる。こうして,貼付薬1全体が皮膚に貼り付けられる。このように,貼付薬1の貼り付けを極めて簡単に行うことができる。
【0022】
例えば,貼付薬1を背中等に貼る場合は,図12に示すように,貼り付け器具10を片手で持ち,腕を背中側に曲げて,通過口11側を上にして貼付薬1を背中に当て,貼り付け器具10を背中に沿って上昇させるようにすれば良い。貼り付け器具10は背面側に指を当てて持つようにすれば,手指が貼付薬1に接触せず,粘着力が弱まることを防止できる。なお,患部の場所によって貼り付け器具10の持ち方を適宜変えれば,腕を無理に曲げることなく,簡単に貼ることができる。例えば,図12に示すように貼り付け器具10の下部を持つほか,貼り付け器具10の左側又は右側を持つようにしても良い。
【0023】
かかる貼り付け器具10によれば,貼付薬1が絡んだり皺が寄ったりすることを防止して,貼付薬1を簡単に確実に貼り付けることができる。背中等の手が届き難い部位にも,貼付薬1を自分で簡単に貼り付けることができる。また,本発明の貼り付け器具10は構造が簡素であり,製造コストと販売価格を安くすることができる。さらに,不使用時に小さなスペースに収納でき,邪魔にならず,貼付薬1を常用しない人も気軽に入手しやすい。また,コンパクトであるため,貼付薬1を商品として販売する際に,貼付薬1の付録や景品等として,貼り付け器具10を貼付薬1の包装箱内に入れたり,配布したりすることもでき,便利で顧客に喜ばれる。
【0024】
以上,本発明の好適な実施の形態の一例を示したが,本発明はここで説明した形態に限定されない。例えば,貼付体は,実施の形態に示した湿布の貼付薬1の他,種々の外用剤の貼付薬や,絆創膏等であっても良い。本実施の形態では,剥離フィルム5に一本の切れ目部6が形成されているものとしたが,剥離フィルム5に切れ目部6が形成されていないものであっても良く,また,剥離フィルム5の複数箇所に切れ目部6が形成されているものであっても良い。
【0025】
貼り付け器具10の材質は合成樹脂に限定されず,種々の材質を使用可能である。また,本実施の形態では,貼り付け器具10の製造方法の一例として,通過口11を切り取り,加熱して当て部12を湾曲させる方法を説明したが,製造方法はかかるものに限定されない。例えば,貼り付け器具10の型を制作し,型によって樹脂を射出成形するようにしても良い。この場合も,貼り付け器具10を簡単に短時間で製造でき,大量生産が可能であり,販売価格を安くすることができる。
【0026】
本実施の形態では,貼り付け器具10は正面側から見たとき略長方形の板状であることとしたが,かかる形状に限定されず,例えば,正方形,その他の多角形,楕円形等であっても良い。また,本実施の形態では,貼り付け器具10は側方から見たとき略W字状の湾曲を有することとしたが,かかる形状に限定されず,例えば,平板状であっても良い。また,貼り付け器具10を貼付薬1の包装箱内に付録として入れる場合は,貼り付け器具10の形状を平板に近くすれば,さらにコンパクトになり,包装箱内で邪魔にならない。
【0027】
本実施の形態では,通過口11は略長方形としたが,かかる形状に限定されない。また,通過口11は左右の長辺10b,10bに囲まれた内側の位置に開口させることとしたが,かかる形態に限定されない。例えば,図13に示すように,通過口11の正面側から見て右側となる端部は,正面側から見て右側の長辺10bを2分割するように開口させ,通過口11の正面側から見て左側となる端部は,左側の長辺10bよりも内側に開口させるようにして,通過口11の下方と上方が左側の長辺10bと通過口11の左側の端部との間を介して一体的に繋がるように形成しても良い。
【0028】
本実施の形態では,貼り付け器具10に貼付薬1を保持させる方法の一例として,通過口11に貼付薬1を通過させた後,背面側の部分から剥離フィルム5の半分を剥がし,保持部13に粘着面3の端部を貼り付けて保持する方法を説明したが,貼り付け器具10に貼付薬1を保持させる方法は,かかるものに限定されない。例えば,剥離フィルム5の一部又は全部を剥がした後に貼付薬1を通過口11に通過させ,保持部13に粘着面3の端部を貼り付けて保持するようにしても良い。
【0029】
次に,本発明の別の実施の形態を説明する。図14〜図20に示す貼り付け器具20は,合成樹脂製の柔軟性のある薄板を略半円柱形状に成形したものであり,図21に示すように,貼り付け器具20の内部は空洞になっている。貼り付け器具20の外面は,正面側が円柱面20aになっており,背面側は平面20bになっている。図14に示すように,円柱面20aにおいて,円柱面20aと平面20bとの間の辺20cに近い位置に,スリット状の通過口11が辺20cと平行な向きに設けられている。また,通過口11の正面側(外側)下方において,通過口11の下縁から円柱面20aの中間部は,当て部12となっている。即ち,当て部12は,正面側に向かって凸状に湾曲させた曲面となっている。
【0030】
図16に示すように,平面20bの上部は,辺20cに沿って切断されており,さらに,辺20cに沿って切断した箇所の左右両側において,辺20cと垂直な向きに切断されており,長方形の舌状部21が形成されている。この舌状部21は,下部で折り曲げられて貼り付け器具20の内側の空洞内に倒されており,舌状部21の上辺は円柱面20aに形成された通過口11の下方に位置している。舌状部21が切断された部分には,舌状部21の大きさの開口22が開口している。図21に示すように,通過口11の背面側(空洞側)上方において,円柱面20aの裏側が保持部13となっており,被粘着部材15が貼り付けられている。
【0031】
なお,通過口11の下縁と舌状部21の上辺の間に隙間を設けず,当て部12から平面20bに連続する面を形成しても良い。例えば,開口22から舌状部21を完全に切り外して開口させ,通過口11の下縁と開口22の下縁とに接続する板状部材を備え,当て部12,板状部材,平面20bを連続させるように形成しても良い。
【0032】
貼り付け器具20に貼付薬1を保持させる際は,先ず,通過口11に貼付薬1を通過させ,当て部12と舌状部21に載せるようにして保持し,図22に示すように,舌状部21に載せた側の貼付薬1の粘着面3から剥離フィルム5の半分を剥がす。このようにすると,貼付薬1の舌状部21に載せた部分が広がった状態で保持され,絡んだり皺が寄ったりすることを防止できる。次に,図23に示すように,貼付薬1の剥離フィルム5を剥がした部分を持ち上げて,保持部13の被粘着部材15に粘着面3の端部を貼り付けて,貼付薬1の当て部12側の部分から剥離フィルム5の半分を剥がす。
【0033】
こうして,粘着面3を露出させた状態で貼付薬1を保持したら,次に,貼付薬1及び貼り付け器具20を,患部に正面側を向けた状態で近接させ,正面側に広げた粘着面3を患部の皮膚に粘着させる。このとき,貼り付け器具20は通過口11側を上にして,貼付薬1を当て部12に沿って広げた状態を維持して皮膚に近接させると,粘着面3同士が接着して絡み合ったり,皺が寄ったりすることを防止できる。粘着面3を患部に粘着させたら,当て部12を皮膚に向かって押し当てながら,貼り付け器具20を皮膚に沿って滑らせるように移動させる。すると,貼付薬1の皮膚に押し当てられた部分に引っ張られて,保持部13の被粘着部材15から粘着面3の端部が外れ,通過口11を通過して,当て部12と皮膚の間に挟まれて,当て部12の曲面によって皮膚に確実に押し当てられる。こうして,貼付薬1全体が皮膚に貼り付けられる。
【0034】
このように,かかる貼り付け器具20によっても,貼付薬1が絡んだり皺が寄ったりすることを防止して,貼付薬1を簡単に確実に貼り付けることができる。背中等の手が届き難い部位にも,貼付薬1を自分で簡単に貼り付けることができる。また,貼り付け器具20は構造が簡素であり,製造コストと販売価格を安くすることができる。さらに,不使用時に小さなスペースに収納でき,邪魔にならず,貼付薬1を常用しない人も気軽に入手しやすい。また,コンパクトであるため,貼付薬1を商品として販売する際に,貼付薬1の付録や景品等として配布したりしても良い。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】

【図19】

【図20】

【図21】

【図22】

【図23】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
片面が粘着面となっているシート状の貼付体を体に貼り付けるための器具であって,
貼付体を通す通過口を備え,
前記通過口の正面側下方を,貼付体の非粘着面を当てる当て部とし,
前記通過口の背面側上方を,貼付体の粘着面の端部を貼り付けて保持する保持部としたことを特徴とする,貼付体貼り付け器具。
【請求項2】
前記当て部を,正面側に向かって凸状に湾曲若しくは折曲させて形成したことを特徴とする,請求項1に記載の貼付体貼り付け器具。
【請求項3】
前記貼付体は貼付薬であることを特徴とする,請求項1に記載の貼付体貼り付け器具。

【国際公開番号】WO2005/046784
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【発行日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−515486(P2005−515486)
【国際出願番号】PCT/JP2004/017010
【国際出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【出願人】(503152196)有限会社サンハイム (1)
【Fターム(参考)】