説明

資料配布システム、サーバ、携帯端末、方法、および、プログラム

【課題】会議場の参加者の携帯端末に対して会議の資料を配布する資料配布システムを提供する。
【解決手段】資料配布システムのサーバ20は、会場内で参加者の携帯端末10が検出されると、携帯端末10の端末IDをメモリ24に蓄積し、資料配布時には、会議の資料に端末IDの一覧を添付した資料情報を生成して、参加予定者の携帯端末10に送信する。携帯端末10は、サーバ20から資料情報を受信すると、自端末の端末IDと資料情報に含まれる端末IDとを照合し、照合の結果が一致と判定されると、受信した資料情報を自端末のメモリ14に保存する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、資料配布システム、サーバ、携帯端末、方法、および、プログラムに関し、特に、会議の資料を会場で配布するために好適な資料配布システム、サーバ、携帯端末、方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大会場で会議やプレゼンスが行われるときには、大画面の表示装置に会議の資料が表示され、会議者はその画面を見ながら会議を行い、又は、講演者の説明を受ける。しかし、大画面であっても、参加者が多い会議やプレゼンスでは、遠くて細かな文字が読めない場合や、前の人に邪魔されて、画面自体が見えない場合などが多々見受けられた。
【0003】
特許文献1は、会議を行う際に、会議に必要な資料を配布する、資料の電子配布システムを記載している。該特許文献に記載の電子配布システムは、会議の主催者端末と、複数の参加者の携帯端末とを有する。主催者端末は、電子メールを利用して、会議固有のキーワードを含む会議の開催通知を携帯端末に送信する。主催者端末は、参加者のメールアドレスと、会議に必要な資料とを記憶装置内に格納している。携帯端末は、会議が行われる会場において、前記キーワードを含む資料要求メールを、LANを介して主催者端末に送信する。主催者端末は、送信された資料要求メールの送信元アドレス及びキーワードと、記憶されている携帯端末アドレス及びキーワードとをそれぞれ照合し、双方の一致が確認できると、資料を送信する。
【特許文献1】特開2002−7641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記公報に記載の電子配布システムでは、参加者が確定している会議の資料配布を前提としている。このため、主催者端末は、携帯端末に向けて予め会議のキーワードを含む電子メールを送信している。参加予定者が、別の用事で参加できなくとも、或いは、意図的に参加を中止しても、参加予定者の携帯端末には資料の配付が行われる。ここで、特に会議の参加予定者に制限を加えなかった場合などでは、実際に会議に参加しなかった参加予定者には、資料の配布を行わないことが好ましいことが多い。しかし、参加者の到着時に参加者個々に資料を送信すると、資料の送信処理が煩雑となる。また、参加者全員が会議場に入場した後や、資料の参照が必要になった時点で一斉に資料を送信すると、参加者の人数によっては通信速度が問題になり、送信処理が間に合わない事態も生じる。
【0005】
本発明は、参加予定者が参加できない場合には、その参加予定者には会議の資料の配付を行わず、実際の参加者にのみ限定して会議の資料が配布でき、また、多数の参加者があっても通信速度が配布の遅れを招かないように改良された資料配布システム、そのような資料配布システムに利用できる携帯端末、サーバ、並びに、これら端末やサーバで使用できる方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、携帯端末を有する会議の参加者に対して、会議の資料を配布するサーバを備える資料配布システムであって、
前記サーバは、参加が確定した参加者が保有する携帯端末の端末IDを含む情報を記憶装置に蓄積する参加者情報登録手段と、前記記憶装置に記憶された端末IDを会議の資料に添付した資料情報を生成する資料情報生成手段と、会議の参加予定者の携帯端末に向けて前記資料情報を送信する送信手段とを備え、
前記携帯端末は、前記サーバから資料情報を受信すると、自端末の端末IDと前記資料情報に含まれる端末IDとを照合する照合手段と、該照合手段による照合で一致と判定されると、前記受信した資料情報を自端末の記憶装置に保存する資料保存手段とを備える、ことを特徴とする資料配布システムを提供する。
【0007】
本発明は、また、通信システムを介し、携帯端末を有する会議の参加者に対して会議の資料を配布するサーバであって、
参加が確定した参加者が保有する携帯端末の端末IDを含む情報を記憶装置に記憶する参加者情報登録手段と、
前記記憶装置に記憶された端末IDと、会議場をセル内に含む基地局のIDとを会議の資料に添付した資料情報を生成する資料情報生成手段と、
前記通信システムを経由して、前記資料情報を会議の参加予定者の携帯端末に送信する資料送信手段と、を有することを特徴とするサーバを提供する。
【0008】
本発明は、更に、参加者の携帯端末の端末IDと会議の資料とを含む資料情報を配信するサーバから、通信システムを介して前記資料情報を受信する携帯端末であって、
前記サーバから資料情報を受信すると、自端末の端末IDと前記資料情報に含まれる端末IDとを照合する照合手段と、
前記照合手段による照合で、一致と判定されると前記受信した資料情報を自端末の記憶装置に保存し、不一致と判定されると前記資料情報を破棄する資料保存手段と、を有することを特徴とする携帯端末を提供する。
【0009】
本発明は、更に、携帯端末と、該携帯端末を有する会議の参加者に対し会議に必要な資料を配布するサーバとを用いて会議の資料を配布する方法であって、
前記サーバが、参加が確定した参加者が保有する携帯端末の端末IDを含む情報を記憶装置に記憶するステップと、
前記サーバが、所定のタイミングで前記記憶装置に記憶された端末IDを添付した資料情報を、参加予定者の携帯端末に向けて送信するステップと、
前記携帯端末が、前記サーバから資料情報を受信すると、自端末の端末IDと前記資料情報に含まれる端末IDとを照合するステップと、
前記携帯端末が、前記照合ステップの判定結果が一致であると、前記受信した資料情報を自端末の記憶装置に保存するステップと、有することを特徴とする方法を提供する。
【0010】
本発明は、更に、通信システムを介して会議の資料を配信するサーバを用いて、携帯端末を有する会議の参加者に対して前記資料を配布する方法であって、
前記サーバが、参加が確定した参加者が保有する携帯端末の端末IDを含む情報を記憶装置に記憶するステップと、
前記サーバが、会議の資料に、前記記憶装置に記憶された携帯端末の端末IDと、会議場をセル内に含む基地局のIDとを添付した資料情報を生成するステップと、
前記サーバが、前記通信システムを介して前記資料情報を会議の参加予定者の携帯端末に送信するステップと、を有することを特徴とする方法を提供する。
【0011】
本発明は、更に、CPUを備える携帯端末を用い、会議の資料と該資料を送信すべき携帯端末の端末IDとを含む資料情報を配信するサーバから、前記資料情報を受信する方法であって、
前記CPUが、前記サーバから資料情報を受信すると、自端末の端末IDと前記資料情報に含まれる端末IDとを照合するステップと、
前記CPUが、前記照合ステップで一致と判定されると、前記受信した資料情報を自端末の記憶装置に保存し、不一致と判定されると前記資料情報を破棄するステップと、を有することを特徴とする方法を提供する。
【0012】
本発明は、更に、通信システムを介し携帯端末を有する会議の参加者に対して、会議の資料を配布するサーバのためのプログラムであって、前記サーバに、
参加が確定した参加者が保有する携帯端末の端末IDを含む情報を記憶装置に記憶する処理と、
前記記憶装置に記憶された端末IDと、会議場をセル内に含む基地局のIDとを会議の資料に添付した資料情報を生成する処理と、
前記通信システムを介して、前記資料情報を会議の参加予定者の携帯端末に送信する処理と、を実行させることを特徴とするプログラムを提供する。
【0013】
本発明は、更に、会議の資料と該資料を送信すべき携帯端末の端末IDとを含む資料情報を配信するサーバから、前記資料情報を受信する携帯端末のためのプログラムであって、前記携帯端末のCPUに、
前記サーバから資料情報を受信すると、自端末の端末IDと前記資料情報に含まれる端末IDとを照合する処理と、
前記照合処理で一致と判定されると、前記受信した資料情報を自端末の記憶装置に保存し、不一致と判定されると前記資料情報を破棄する処理と、を実行させることを特徴とするプログラムを提供する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の資料配布システム、サーバ、携帯端末、方法、および、プログラムによると、サーバから、会議の資料と会議の実際の参加者の端末IDとを含む資料情報を送信することにより、携帯端末が資料の保存の可否を判断することが出来るので、全ての参加者が確定しなくとも、或る程度の人数の参加者が確定した時点で、参加予定者に資料情報を送信しておき、所定のタイミングで照合手段及び資料保存手段を動作させることにより、会議の実際の参加者にのみ限定して資料の配布が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明の例示的な実施形態について説明する。なお、理解を容易にするために、全図を通して同様な機能を有する要素には同じ符号を付して示す。図1は、本発明の第1の実施形態に係る資料配布システム示すブロック図である。資料配布システムは、複数の携帯端末(参加者端末)10と、Webサーバ20と、無線ネットワーク40とを有する。なお、図面上では、1つの携帯端末10のみが示されている。
【0016】
携帯端末10は、Webサーバ20との間で無線ネットワーク40を介して交信するためのアンテナ11、無線制御を行う無線部12、端末全体の動作を制御する制御部13、種々のデータ及びプログラムを記憶するメモリ14、ユーザの入退場を通知する非接触の近距離通信手段15とを有する。携帯端末10は、無線部12、アンテナ11及び無線ネットワーク40を介してWebサーバ20に接続し、Webサーバ20が送信する会議資料及び端末IDの一覧を含む資料情報を受信する。制御部13は、Webサーバ20から受信した資料情報から端末IDの一覧を読み出して自端末の端末IDと照合するID照合手段16、及び、ID照合手段16による照合結果で自端末の端末IDが端末IDの一覧に含まれると判定されると、つまりIDの一致が検出されると、受信した資料情報をメモリ14に保存する資料保存手段17とを有する。
【0017】
Webサーバ20は、通信部22と、制御部23と、メモリ24とを有する。制御部23は、Webサーバ20の全体を制御する処理部に加えて、参加者の情報をメモリ24内の参加者情報記憶部27に登録する参加者情報登録手段25と、メモリ24内の会議資料記憶部28に記憶された会議資料と参加者情報記憶部27に記憶された参加者IDとから資料情報を生成する資料情報生成手段26とを含む。これらは、メモリ24内に記憶されたプログラムによって構成される。メモリ24は、プログラムや処理中のデータなどを記憶するメモリ部分に加えて、参加予定者と実際に参加が検出された参加者とを登録する参加者情報記憶部27と、資料を予め登録しておく会議資料記憶部28とを含む。通信部22は、例えばインターネットを介して無線ネットワーク40に接続される。
【0018】
Webサーバ20の参加者情報登録手段25は、参加者の携帯端末が会議場内で検出され、その携帯端末の端末IDが入力されると、その端末IDを参加者情報記憶部27に蓄積する。資料情報生成手段26は、会議資料記憶部28に記憶された資料に、端末IDの一覧を添付して資料情報を生成する。その後、資料の参照が必要になる時点から一定時間前になると、通信部22を介して、参加予定者全員の携帯端末10に向けて送信する。携帯端末10のID照合手段16は、Webサーバ20から資料情報を受信し、資料の参照が必要になる時点まで、そのまま待機する。このタイミングは、予め資料情報のデータの一部分で指定する。
【0019】
携帯端末10は、資料情報で指定された所定のタイミングになると、メモリ14内に記憶された自端末の端末IDと、資料情報内に含まれる端末IDの一覧に記載されたIDとを照合し、自端末の端末IDが一覧に記載されているか否かを判定する。資料保存手段17は、ID照合手段16が照合の結果として端末IDの一致を検出すると、受信した資料情報をメモリ14内に保存する。照合の結果、端末IDの一致が検出されないと、資料情報をそのまま破棄する。これらID照合手段16および資料保存手段17による処理は、携帯端末10のユーザである参加者には通知することなく行われる。このため、端末保有者の意思とは無関係に、資料の保存及び破棄が可能になり、参加者が事前に確定していない会議についても、会議の参加者にのみ限定して資料が配布できる。
【0020】
参加者の携帯端末10の検出は、例えば、所定場所に設けた検出器によって行ってもよく、或いは、会場内に参加者の受付場所を設けてもよい。検出器は、例えば赤外線などを利用した非接触の近距離通信によって行ってもよい。
【0021】
図2は、本発明の第2の実施形態の資料配布システムの構成を示している。本実施形態の資料配布システムは、Webサーバ20が図1の通信部22に代えて無線通信を行う無線部22を備えること、資料配布システムがFeliCa通信手段を有する入退場ゲート30を備えること、携帯端末である携帯端末10がFeliCa(15a)を有すること、及び、携帯端末10の制御部13が、メモリ14内の会議資料を削除する資料削除手段を有することにおいて、図1の資料配布システムと異なっている。なお、FeliCaは、ソニーの登録商標である。
【0022】
図2において、入退場ゲート30は、Webサーバ20との間で無線ネットワーク40を介して通信するアンテナ31、無線制御を行う無線部32、ゲート全体の動作を制御する制御部33、データ及びプログラムを記憶する記憶部34、及び、ユーザの入退場の情報を受信する非接触の近距離通信手段を構成するFeliCa(35)とを有する。入退場ゲート30は、FeliCa(35)を介して、携帯電話端末10のFeliCa(15a)から受信する端末IDを、記憶部34に一旦格納し、次いで、入退場ゲート30の無線部32、アンテナ31及び無線ネットワーク40を介して、Webサーバ20に通知する機能を有する。
【0023】
図3は、図2の資料配布システムにおいて、参加者が入退場ゲート30を通過して、会議場に入場する際に、入退場ゲート30で実行される処理を示すフローチャートである。入退場ゲート30のコンピュータは、参加者が入退場ゲート30を通過して会議場に入場すると(ステップS301)、FeliCa(35)とFeliCa(15a)の間の通信を介して、携帯電話端末10の端末IDを含む情報を携帯電話端末10から抽出する(ステップS302)。次いで、携帯電話端末10の端末IDを記憶部34に記憶する。また、入退場ゲート30のFeliCa(35)から携帯電話端末10のFeliCa(15a)に、資料をダウンロードするためのURLを通知する(ステップS303)。入退場ゲート30の記憶部34に保存された参加者の端末IDは、入退場ゲート30の制御部33、無線部32、アンテナ31、及び、無線ネットワーク40を介して、Webサーバ20に送信され、参加者情報記憶部27に蓄積される(ステップS304)。
【0024】
図4は、資料の配信及びそのダウンロードの際の処理を示すフローチャートである。会議開始前になると、Webサーバ20は、会議資料記憶部28に記憶された資料を、参加予定者全員の携帯電話端末10に向けてPUSH配信する(ステップS401)。資料を送信する際には、会議場が含まれるセルの基地局に向けてメールが配信されるよう、予めWebサーバ20に設定されている。また送信される資料には、配信した基地局のセルIDと、入退場ゲート30で読み出された端末IDの一覧とが添付されている。
【0025】
端末IDの一覧情報は、ユーザが閲覧することはできない。携帯電話端末10の制御部13は、携帯電話端末10のアンテナ11及び無線部12を経由して資料情報を受信し、所定のタイミングを確認すると、資料情報内に含まれた端末IDの一覧を読み込む。次いで、自身の端末IDがその端末IDの一覧に存在するか否かを判定する(ステップS402)。端末IDの一覧に自身の端末IDが含まれると判定すると、つまり、端末IDの一致を検出すると、メモリ14に配信された資料情報を保存する(ステップS403)。端末IDの一致が検出されないと、配信された資料情報は、携帯電話端末10のメモリ14には保存されず、そのまま破棄される(ステップS404)。
【0026】
端末IDの一致の判定までは、会議に不参加のユーザの携帯端末10にも資料が配信されている。このため、資料情報が携帯電話端末10のメモリ14に保存されるまでは、ユーザが認識できる処理が行われないようにする。また、会議場への到着時間が遅れるなどして、資料をPUSH配信後の処理で入手できなかった場合には、入退場ゲート30の通過時に先に受信した、資料をダウンロードするためのURLを経由して、PULL方式で資料を入手する。図5に、この場合の携帯電話端末10における処理を示す。
【0027】
図5において、携帯電話端末10が、受信したURLに基づいて、資料が保存されているWebサーバ20に接続すると(ステップS501)、Webサーバ20は、基地局のセルIDと入退場ゲートで読み出された端末IDの一覧とが含まれている資料情報を配信する(ステップS502)。携帯電話端末10の制御部13は、アンテナ11、及び、無線部12を介して資料情報を受信すると、資料情報に設定された端末IDの一覧を読み込み、自身の端末IDが、一覧に含まれる端末IDの1つと一致するか否かを確認する(ステップS503)。次いで、端末IDの一覧に自身の端末IDが存在すると判定すると、メモリ14に資料を保存する(ステップS504)。端末IDが存在しないと判定すると、携帯電話端末10の表示装置上に、資料入手不可通知を表示し、資料を破棄する(ステップS505)。
【0028】
図6は、参加者が会場を退出する際の処理を示すフローチャートである。参加者は、会議場からの退出時に入退場ゲート30を通過する。参加者が、入退場ゲート30に設置されているFeliCa(35)に携帯電話端末10のFeliCa(15a)をかざすと(ステップS601)、入退場ゲート30のFeliCa(35)から携帯電話端末10のFeliCa(15a)に向けて、資料とダウンロード用URLの削除通知が送信される。(ステップS602)。携帯電話端末10の制御部13は、FeliCa(15a)を介して削除通知を受け取ると、メモリ14に保存されている資料情報及びダウンロード用URLを削除する(ステップS603)。入退場ゲート30は、入場用FeliCaと退場用FeliCaとを別に設けてもよく、或いは、1つのFeliCaを共用してもよい。この場合には、記憶部34内に当該参加者の入場が記録されていれば退場と判定し、メモリ14内に当該参加者の入場が記録されていなければ入場と判定する。もし不正を働き、退場時に入退場ゲート30を通過しなかった場合であっても、会議場から遠くに離れることで、自動的に資料情報を削除することができる。図7は、この場合の処理を示す。
【0029】
ユーザが会議場から退出し、携帯電話端末10の在圏情報が更新されたことを無線部12が感知すると、更新された基地局のセルIDが制御部13に通知される(ステップS701)。制御部13は、メモリ14に保存されている資料情報に設定されている基地局のセルIDを読み出し、そのセルIDと無線部12から通知された新たなセルIDと不一致であると判定すると(ステップS702)、資料情報及びダウンロード用URLを削除する(ステップS703)。
【0030】
第2の実施形態では、入退場時にFeliCaを利用して入退場者のチェックを行い、会場内にいる参加者にのみ、携帯電話端末を介して資料を配信する構成を採用する。このため、各参加者は、他の参加者に邪魔をされず、資料の細かな部分も確認することができる。また、会議場への入場者の端末IDの一覧を資料情報に含ませることで、参加者の退場時には、端末IDの一覧もその携帯電話端末10から自動的に削除できる。これにより、会議参加者の秘密保持が可能になる。さらに、資料を配信する基地局のセルIDを資料情報に含ませることで、携帯電話端末10の在圏情報が更新されると、自動的にその資料情報が削除できる。また、基地局のセルIDと携帯電話端末の在圏情報とが一致すると、制御部13が、携帯電話端末10をマナーモードに設定する。これによって、会議場では、全ての携帯電話端末がマナーモードに設定され、着信音などによる会議の妨害が防止できる。
【0031】
上記実施形態の変形例では、会議場で資料を配布する際に、参加者の携帯電話端末を自動的にマナーモードに設定させることも出来る。本構成は、例えば、配信される資料情報に、基地局のセルIDと携帯電話端末の在圏情報のセルIDとが一致する場合にのみ、マナーモードに設定変更する処理を行う指示を、携帯電話端末10に与えることで可能となる。図8及び図9は、この場合の携帯電話端末10の処理を示すフローチャートである。
【0032】
図8を参照する。携帯電話端末10の制御部13は、Webサーバ20から、携帯電話端末10のアンテナ11、及び、無線部12を介して資料情報を入手する(ステップS801)。制御部13は、受信した資料情報内の設定情報を読み出す(ステップS802)。資料情報入手時には、資料情報に設定された基地局のセルIDと携帯電話端末10の在圏情報のセルIDとが一致するため、制御部13は、携帯電話端末10のモード設定を、待受けモードから、マナーモードに変更する(ステップS803)。
【0033】
図9を参照する。参加者が会議場から他の場所に移動すると、無線部12は、携帯電話端末10の在圏情報が更新されたことを感知し、更新された基地局のセルIDを制御部13に通知する(ステップS901)。制御部13は、メモリ14に保存されている資料情報に設定されている基地局のセルIDを読み出し、無線部12から通知された新たなセルIDと不一致であるか否かを判定する(ステップS902)。制御部13は、不一致であると判定すると、マナーモードを解除して、待ち受けモードに設定する(ステップS903)。
【0034】
上記実施形態では、会議の主催者側は、入退場ゲート30に設置されたFeliCa(35)を用いて端末IDを取得することにより、資料のダウンロード対象となる携帯電話端末を、参加者が実際に保持する携帯電話端末に制限できる。このため、主催者側の参加者の把握に要する労力が軽減できる。
【0035】
また、資料情報に、入退場ゲート30で得られた携帯電話端末のID一覧と、基地局のセルIDとを設定することにより、資料の配布が必要な携帯電話端末10に限定して、資料を確実に配信できる。
【0036】
また、携帯電話端末10が資料情報を受信した際に、制御部13は、ユーザによる処理を要しないで、自身の端末IDと、資料に設定されている端末IDの一覧とを照合して、資料を保存するか否かを判定する。このため、真に資料が必要なユーザのみに制限した資料の配布が可能になり、ユーザが不正に資料を取得する事態を回避できる。
【0037】
また、携帯電話端末10が、FeliCaを利用して入退場ゲート30との間で通信を行うので、ユーザは単に自身の端末のFelica(15a)を入退場ゲート30のFelica(35)にかざすのみで、資料情報の配信が受けられる。このため、参加者登録に必要な主催者の手間を省くことが出来る。
【0038】
また、参加者が、入退場ゲート30を通過せずに退場をしても、資料情報に設定された基地局のセルIDと、携帯電話端末の在圏情報にある基地局のセルIDとが一致しないと、自動的に資料が削除される。このため、資料が不正に持ち出されることが防止できる。
【0039】
また、参加者が携帯電話端末10をマナーモードに設定しなくとも、資料情報に設定された基地局のセルIDと携帯電話端末の在圏情報にある基地局のセルIDとが一致すると、携帯電話端末10が自動的にマナーモードに設定される。このため、会議を妨害する着信音の発生などが防止でき、会議中の静粛が保たれる。この場合、資料情報に設定された基地局のセルIDと携帯電話端末の在圏情報に含まれる基地局のセルIDとが一致しない旨が検出されると、自動的にマナーモードが解除される。このため、会議場を退出した後のユーザの手間が省かれる。
【0040】
なお、第2の実施形態では、携帯電話端末10と入退場ゲート30との間で、FeliCaを利用した通信を行う例を挙げたが、本発明はこの構成には限定されず、他の近距離通信手段も使用可能である。また、サーバの機能手段の少なくとも一部を、携帯電話端末などの携帯端末を用いて実現してもよい。
【0041】
以上、本発明をその好適な実施態様に基づいて説明したが、本発明の資料配布システム、サーバ、携帯端末、方法、および、プログラムは、上記実施態様の構成にのみ限定されるものではなく、上記実施態様の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る資料配布システムのブロック図。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る資料配布システムのブロック図。
【図3】図2の資料配布システムにおける入退場ゲートの処理を示すフローチャート。
【図4】図2の資料配布システムにおける携帯電話端末の処理を示すフローチャート。
【図5】図2の資料配布システムにおける携帯電話端末の処理を示すフローチャート。
【図6】図2の資料配布システムにおける処理を示すフローチャート。
【図7】図2の資料配布システムにおける携帯電話端末の処理を示すフローチャート。
【図8】第2の実施形態の変形例に係る資料配布システムにおける携帯電話端末の処理を示すフローチャート。
【図9】第2の実施形態の変形例に係る資料配布システムにおける携帯電話端末の処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0043】
10:携帯端末(携帯電話端末)
11:アンテナ
12:無線部
13:制御部
14:メモリ
15:近距離通信手段
15a:FeliCa
16:ID照合手段
17:資料保存手段
18:資料削除手段
20:Webサーバ
21:アンテナ
22:通信手段(無線部)
23:制御部
24:メモリ
25:参加者情報登録手段
26:資料情報生成手段
27:参加者情報記憶部
28:会議資料記憶部
30:入退場ゲート
31:アンテナ
32:無線部
33:制御部
34:記憶部
35:FeliCa
40:ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末を有する会議の参加者に対して、会議の資料を配布するサーバを備える資料配布システムであって、
前記サーバは、参加が確定した参加者が保有する携帯端末の端末IDを含む情報を記憶装置に蓄積する参加者情報登録手段と、前記記憶装置に記憶された端末IDを会議の資料に添付した資料情報を生成する資料情報生成手段と、会議の参加予定者の携帯端末に向けて前記資料情報を送信する送信手段とを備え、
前記携帯端末は、前記サーバから資料情報を受信すると、自端末の端末IDと前記資料情報に含まれる端末IDとを照合する照合手段と、該照合手段による照合で一致と判定されると、前記受信した資料情報を自端末の記憶装置に保存する資料保存手段とを備える、ことを特徴とする資料配布システム。
【請求項2】
前記資料情報生成手段は、会議場をセル内に有する無線通信システムの基地局のIDを前記資料情報に添付する、請求項1に記載の資料配布システム。
【請求項3】
前記携帯端末の端末IDを検出する非接触の近距離通信手段を含む端末検出手段を更に有し、該端末検出手段は、前記無線通信システムを介して前記検出した端末IDを前記サーバに向けて送信する、請求項2に記載の資料配布システム。
【請求項4】
前記資料保存手段は、前記照合の結果で不一致と判定されると、前記受信した資料情報を保存せずに破棄する、請求項2又は3に記載の資料配布システム。
【請求項5】
前記サーバは、前記基地局のIDで指定された基地局を経由して資料情報を配信する、請求項2〜4の何れか一に記載の資料配布システム。
【請求項6】
前記携帯端末は、会議場からの退場に際して行われる近距離非接触通信手段による通信に応答して、前記自端末の記憶装置に記憶された資料情報を削除する資料削除手段を更に有する、請求項2〜5の何れか一に記載の資料配布システム。
【請求項7】
前記携帯端末は、前記資料情報に設定された基地局のセルIDと、前記携帯端末の在圏情報で示される基地局のセルIDとが一致しないことを検出すると、前記自端末の記憶装置に記憶された資料情報を削除する資料削除手段を更に有する、請求項2〜5の何れか一に記載の資料配布システム。
【請求項8】
前記携帯端末は、前記資料情報に設定された基地局のセルIDと前記携帯端末の在圏情報で示される基地局のセルIDとが一致すると、前記携帯端末をマナーモードに設定するモード設定手段を更に有する、請求項2〜7の何れか一に記載の資料配布システム。
【請求項9】
前記モード設定手段は、前記資料情報に設定された基地局のセルIDと前記携帯端末の在圏情報で示される基地局のセルIDとが一致しないと、前記マナーモードを解除する、請求項8に記載の資料配布システム。
【請求項10】
通信システムを介し、携帯端末を有する会議の参加者に対して会議の資料を配布するサーバであって、
参加が確定した参加者が保有する携帯端末の端末IDを含む情報を記憶装置に記憶する参加者情報登録手段と、
前記記憶装置に記憶された端末IDと、会議場をセル内に含む基地局のIDとを会議の資料に添付した資料情報を生成する資料情報生成手段と、
前記通信システムを経由して、前記資料情報を会議の参加予定者の携帯端末に送信する資料送信手段と、を有することを特徴とするサーバ。
【請求項11】
参加者の携帯端末の端末IDと会議の資料とを含む資料情報を配信するサーバから、通信システムを介して前記資料情報を受信する携帯端末であって、
前記サーバから資料情報を受信すると、自端末の端末IDと前記資料情報に含まれる端末IDとを照合する照合手段と、
前記照合手段による照合で、一致と判定されると前記受信した資料情報を自端末の記憶装置に保存し、不一致と判定されると前記資料情報を破棄する資料保存手段と、を有することを特徴とする携帯端末。
【請求項12】
携帯端末と、該携帯端末を有する会議の参加者に対し会議に必要な資料を配布するサーバとを用いて会議の資料を配布する方法であって、
前記サーバが、参加が確定した参加者が保有する携帯端末の端末IDを含む情報を記憶装置に記憶するステップと、
前記サーバが、所定のタイミングで前記記憶装置に記憶された端末IDを添付した資料情報を、参加予定者の携帯端末に向けて送信するステップと、
前記携帯端末が、前記サーバから資料情報を受信すると、自端末の端末IDと前記資料情報に含まれる端末IDとを照合するステップと、
前記携帯端末が、前記照合ステップの判定結果が一致であると、前記受信した資料情報を自端末の記憶装置に保存するステップと、有することを特徴とする方法。
【請求項13】
通信システムを介して会議の資料を配信するサーバを用いて、携帯端末を有する会議の参加者に対して前記資料を配布する方法であって、
前記サーバが、参加が確定した参加者が保有する携帯端末の端末IDを含む情報を記憶装置に記憶するステップと、
前記サーバが、会議の資料に、前記記憶装置に記憶された携帯端末の端末IDと、会議場をセル内に含む基地局のIDとを添付した資料情報を生成するステップと、
前記サーバが、前記通信システムを介して前記資料情報を会議の参加予定者の携帯端末に送信するステップと、を有することを特徴とする方法。
【請求項14】
CPUを備える携帯端末を用い、会議の資料と該資料を送信すべき携帯端末の端末IDとを含む資料情報を配信するサーバから、前記資料情報を受信する方法であって、
前記CPUが、前記サーバから資料情報を受信すると、自端末の端末IDと前記資料情報に含まれる端末IDとを照合するステップと、
前記CPUが、前記照合ステップで一致と判定されると、前記受信した資料情報を自端末の記憶装置に保存し、不一致と判定されると前記資料情報を破棄するステップと、を有することを特徴とする方法。
【請求項15】
通信システムを介し携帯端末を有する会議の参加者に対して、会議の資料を配布するサーバのためのプログラムであって、前記サーバに、
参加が確定した参加者が保有する携帯端末の端末IDを含む情報を記憶装置に記憶する処理と、
前記記憶装置に記憶された端末IDと、会議場をセル内に含む基地局のIDとを会議の資料に添付した資料情報を生成する処理と、
前記通信システムを介して、前記資料情報を会議の参加予定者の携帯端末に送信する処理と、を実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項16】
会議の資料と該資料を送信すべき携帯端末の端末IDとを含む資料情報を配信するサーバから、前記資料情報を受信する携帯端末のためのプログラムであって、前記携帯端末のCPUに、
前記サーバから資料情報を受信すると、自端末の端末IDと前記資料情報に含まれる端末IDとを照合する処理と、
前記照合処理で一致と判定されると、前記受信した資料情報を自端末の記憶装置に保存し、不一致と判定されると前記資料情報を破棄する処理と、を実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−175842(P2009−175842A)
【公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−11398(P2008−11398)
【出願日】平成20年1月22日(2008.1.22)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】