説明

資源回収装置、土壌からの資源の採取方法および土壌掘削用オーガ

【課題】 表土からのガス/液体資源の回収装置、およびその採取方法を提供する。
【解決手段】 資源回収装置が、所望の表面に配置される捕獲コンテナを含み、その所望の表面と捕獲コンテナの内部との間に捕獲容積部を画定する。1つ以上の掘削装置が捕獲容積部内に配置されて、その表面の少なくとも一つの穴から土を掘削する。掘削装置内に配置されたヒータが掘削した土を加熱して、掘削した土から1つ以上の化合物を放出させる。捕獲コンテナは、掘削した土から放出された気体/液体の化合物を捕獲するように構成される。土壌からの資源の採取方法が、捕獲容積部を画定する捕獲コンテナで所望の表面を覆うことを含む。オーガにより、その所望の表面の穴から捕獲容積部へと土が掘削される。オーガが掘削した土を加熱し、それにより1つ以上の化合物を捕獲容積部へと放出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、資源回収に関する。さらに具体的には、本発明は、表土からのガス資源および液体資源の回収に関する。
【背景技術】
【0002】
表土は硬い岩を覆う軟質の不均一の物質の層である。これは粉塵、土、破砕岩石や、その他の関連物質を含み、地球、月、一部の小惑星、およびその他の惑星に存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
月などの場所で使用し、かつ/または、地球への帰還のために使用する燃料やその他の資源の、月への輸送により、資源を運ぶ宇宙船や、資源の貯蔵および取扱いに十分に取り組む任務一般に、重量や複雑さが加わる。より迅速な任務を可能にする、すなわち、通常、輸送される燃料もしくはその他の資源の代わりに任務時により多くの機器を輸送することができるように、オンサイトで使用するために、例えば月などの表土の表面からガス資源および/または液体資源を採取するための装置および方法が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明の一態様では、資源回収装置が、捕獲コンテナを含み、所望の表面と捕獲コンテナ内部との間に捕獲容積部を画定する。1つ以上の掘削装置が捕獲コンテナ内に配置されて、所望の表面の少なくとも一つの穴から土を掘削する。ヒータが、掘削装置を加熱するようにその装置内部に配置され、それにより掘削した土を加熱して1つ以上の化合物を掘削した土から放出させる。捕獲コンテナは、掘削した土から放出された気体もしくは液体の化合物を捕獲するように構成される。
【0005】
本発明の別の態様では、土壌からの資源の採取方法が、捕獲コンテナで所望の表面を覆うことを含み、捕獲コンテナは、その所望の表面と捕獲コンテナ内部との間に捕獲容積部を画定する。オーガ(auger)により、その所望の表面の穴から捕獲容積部へと土が掘削される。オーガは、掘削した土を加熱するのに利用され、それにより1つ以上の化合物を捕獲容積部へと放出させる。
【0006】
さらに本発明の別の態様では、土壌掘削用のオーガが、中心ロッドと、その中心ロッドから延在する一つ以上のフィンと、を含む。オーガを加熱するように、中心ロッドのロッドチャネル内にヒータが配置され、それにより土を加熱する。
【0007】
これらおよびその他の利点および特徴が図面とともに以下の記載からより明らかとなるであろう。
【0008】
本発明と見なされる対象は、明細書の末尾にある請求項に特定して指摘されるとともに明確にクレームされる。本発明の上記のおよびその他の特徴、利点は、添付の図面とともに以下の詳細な説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例の資源回収装置の概略図。
【図2】資源回収装置用のオーガの実施例の概略図。
【図3】資源回収装置用のオーガの別の実施例の概略図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示すのは、実施例の資源回収装置10である。装置10は、地球、月、小惑星、もしくはその他の惑星などの所望の表土の表面12に配置される。捕獲コンテナ14が資源を採取する表面12の上に配置されて、表面12と捕獲コンテナ14内部との間に捕獲容積部30を画定する。一部の実施例では、捕獲コンテナ14は、その捕獲コンテナ14の可撓性、あるいは、シールなどのその他の手段のいずれかを介して表面12に適合されて、捕獲コンテナ14の内部16からの回収資源の漏出を抑制する。
【0011】
例えば、オーガ(auger)、スパイク、ロッド、インパクタ、もしくはその他の掘削装置などの、1つ以上の掘削装置18が捕獲コンテナ14内部に配置される。単一の掘削装置18のみを図1に示すが、捕獲コンテナ14への資源回収率を向上させるために例えば2,3,4個、もしくはそれ以上の数の掘削装置18を用いてもよいことを理解されたい。掘削装置18は、表面12に穴20をあけ、穴20から表面12へと掘削した土22を引き込むように利用される。図2を参照すると、一例の掘削装置18(オーガ)がロッド24を含み、一部の実施例ではオーガ18の中心軸26に沿って配置される。ロッド24は、実質的に中空の管状の構造である。一つ以上のフィン28がロッド24から外側に延在しており、一部の実施例ではロッド24の周りにらせん状に配置される。図3に示すように、フィン28は実質的に中空状、すなわちロッドチャネル34に連結されたフィンチャネル32を有する。ヒータ36がロッドチャネル34および/またはフィンチャネル32内に配置される。ヒータ36は、例えば、放射性同位体ヒータ(radioisotope heater)もしくは電気ヒータである。ヒータ36は、作動時に、オーガ18のロッド24および/またはフィン28を加熱する。次いでこれによりオーガ18によって掘削された土22を加熱する。ヒータ36をオーガ内に挿入するように示すが、ヒータ36は任意のその他の掘削装置18内にも同様に挿入されることを理解されたい。
【0012】
再び図1を参照すると、掘削した土22の加熱により、その掘削した土22中の所望の資源および/または化合物が、気体および/または液体の形で捕獲コンテナ14へと放出される。掘削装置18を介しての土22の加熱を補うように、一つ以上のエネルギーエミッタ38が、土22を更に加熱するように捕獲コンテナ14内に配置される。エミッタ38は、例えばマイクロ波エミッタもしくは集中(concentrated)太陽エネルギーエミッタである。必要に応じてその後の処理のために、回収装置40により捕獲コンテナ14から資源が除去される。回収装置40は、例えば、コールドプレート、スチル(still)、ターボポンプ、もしくはその他の回収装置40でもよい。さらに、一部の実施例では、装置10は例えばカート42などの移動可能な構造体上に配置されて、一箇所での資源の回収が完了したときに、更なる資源の回収のために装置10は第2の地点へと容易に移動することができる。
【0013】
限られた数の実施例のみに関して本発明を詳述したが、本発明はこうした開示の実施例に限定されないことが容易に理解できるであろう。むしろ本発明は、本明細書中に記載された任意の変形例、変更、置換、もしくは同等の配置だけでなく、本発明の真意およびその範囲に応じた任意の変形例、変更、置換、もしくは同等の配置を含むように変更しうる。さらに、本発明の種々の実施例について記載したが、当然のことながら、本発明の態様は記載の実施例の一部だけを含んでもよい。したがって、本発明は上述の記載に限定されるものではなく、付記の特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0014】
10…資源回収装置
12…表土表面
14…捕獲コンテナ
18…掘削装置、オーガ
20…穴
22…掘削した土
24…ロッド
26…中心軸
28…フィン
30…捕獲容積部
32…フィンチャネル
34…ロッドチャネル
36…ヒータ
38…エネルギーエミッタ
40…回収装置
42…カート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
捕獲コンテナであって、表面と該捕獲コンテナの内部との間に捕獲容積部を画定する捕獲コンテナと、
前記捕獲コンテナ内に配置されるとともに、前記表面の少なくとも一つの穴から土を掘削するように構成された、1つ以上の掘削装置と、
前記掘削装置内に配置されて該掘削装置を加熱するように構成され、それにより前記掘削した土を加熱して、該掘削した土から1つ以上の化合物を放出させるヒータと、
を備え、
前記捕獲コンテナが、前記掘削した土から放出された気体もしくは液体の化合物を捕獲するように構成された、資源回収装置。
【請求項2】
前記1つ以上の掘削装置が、1つ以上のオーガであることを特徴とする請求項1に記載の資源回収装置。
【請求項3】
前記1つ以上のオーガが、
中心ロッドと、
前記中心ロッドから延在した1つ以上のフィンと、
を備え、
前記ヒータが、前記中心ロッドのロッドチャネル内に配置されることを特徴する請求項2に記載の資源回収装置。
【請求項4】
前記一つ以上のフィンが、前記ロッドチャネルに接続された1つ以上のフィンチャネルを含むことを特徴とする請求項3に記載の資源回収装置。
【請求項5】
前記1つ以上の掘削装置が、1つ以上の、スパイク、ロッドもしくはインパクタであることを特徴とする請求項1に記載の資源回収装置。
【請求項6】
前記ヒータが、放射性同位体ヒータもしくは電気ヒータであることを特徴とする請求項1に記載の資源回収装置。
【請求項7】
前記捕獲コンテナから前記化合物を除去するための回収装置をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の資源回収装置。
【請求項8】
前記回収装置が、コールドプレート、スチル、もしくはターボポンプのうちの一つであることを特徴とする請求項7に記載の資源回収装置。
【請求項9】
前記化合物が、液状もしくはガス状であることを特徴とする請求項1に記載の資源回収装置。
【請求項10】
前記表面が、表土を備えることを特徴とする請求項1に記載の資源回収装置。
【請求項11】
前記資源回収装置が、移動可能なカートに固定されることを特徴とする請求項1に記載の資源回収装置。
【請求項12】
捕獲コンテナであって所望の表面と該捕獲コンテナの内部との間に捕獲容積部を画定する捕獲コンテナで、前記所望の表面を覆い、
オーガにより、前記所望の表面の穴から前記捕獲容積部へと土を掘削し、
前記オーガにより前記掘削した土を加熱し、それにより1つ以上の化合物を前記捕獲容積部へと放出させることを備えた、土壌からの資源の採取方法。
【請求項13】
前記オーガが、
中心ロッドと、
前記中心ロッドから延在した1つ以上のフィンと、
前記中心ロッドのロッドチャネル内に配置され、それにより前記掘削した土を加熱するヒータと、
を備えることを特徴とする請求項12に記載の土壌からの資源の採取方法。
【請求項14】
前記1つ以上のフィンが、前記ロッドチャネルに接続された一つ以上のフィンチャネルを含むことを特徴とする請求項13に記載の土壌からの資源の採取方法。
【請求項15】
前記ヒータが、放射性同位体ヒータもしくは電気ヒータであることを特徴とする請求項12に記載の土壌からの資源の採取方法。
【請求項16】
回収装置により、前記捕獲容積部から前記化合物を除去することを更に備えることを特徴とする請求項12に記載の土壌からの資源の採取方法。
【請求項17】
前記回収装置が、コールドプレート、スチル、もしくはターボポンプのうちの一つであることを特徴とする請求項16に記載の土壌からの資源の採取方法。
【請求項18】
前記化合物が、液状もしくはガス状であることを特徴とする請求項12に記載の土壌からの資源の採取方法。
【請求項19】
土壌掘削用のオーガであって、
中心ロッドと、
前記中心ロッドから延在した1つ以上のフィンと、
前記中心ロッドのロッドチャネル内に配置されて前記オーガを加熱し、それにより掘削した土を加熱するヒータと、
を備えた土壌掘削用オーガ。
【請求項20】
前記1つ以上のフィンが、前記ロッドチャネルに接続された一つ以上のフィンチャネルを含むことを特徴とする請求項19に記載の土壌掘削用オーガ。
【請求項21】
前記ヒータが、放射性同位体ヒータもしくは電気ヒータであることを特徴とする請求項19に記載の土壌掘削用オーガ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−132302(P2012−132302A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−273966(P2011−273966)
【出願日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【出願人】(500107762)ハミルトン・サンドストランド・コーポレイション (165)
【氏名又は名称原語表記】HAMILTON SUNDSTRAND CORPORATION
【住所又は居所原語表記】One Hamilton Road, Windsor Locks, CT 06096−1010, U.S.A.
【Fターム(参考)】