質量流量コントローラのヒステリシス補償システムおよびその方法
デバイスの出力に応じてヒステリシスを特徴付ける方法が、第1の入力信号範囲にわたる入力信号をデバイスに適用すること(ステップ)を含み、その入力信号は、第1の入力信号範囲に依拠する第1の出力値範囲を伴う第1の出力を有するデバイスの機能を誘発する。その入力信号を第2の入力信号範囲にわたってそのデバイスにさらに適用し、その入力信号は、(i)第2の入力信号範囲および(ii)デバイスのヒステリシスに依拠する第2の出力値範囲を伴う第2の出力を有するようにデバイスの機能を誘発する。次いで、第1の出力値範囲および第2の出力値範囲にわたり、第2の入力信号範囲と第1の入力信号範囲との差を測定する。質量流量コントローラバルブおよび質量流量コントローラを動作させる方法も意図されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にヒステリシスを示すデバイスに関する。限定する目的ではないが、本発明はとりわけ、質量流量コントローラバルブのヒステリシスの特徴付けならびに補償方法およびそのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの質量流量コントローラ(MFC)は、流量センサを使用して、自らに流れるガスの流量を制御する。ある種類の流量センサはコントローラに流れるガスの実流量を測定し、(流量センサによって測定される)その実流量と、(ユーザが設定する)所望の流量との差に基づいてMFCバルブに制御信号が送られる。MFCバルブは、その制御信号を受け取り、流量を増やしまたは減らして実流量が所望の流量により厳密に等しくなるようにバルブを調節することができる。
【0003】
時として、急激に変化する流動状態を理由に、バルブに与える制御信号を迅速に変える必要がある。例えば、ガス圧力が急激に変化している期間中にバルブの変位量(displacement)を素早く調節し、またはMFCに流れるガスの流量を素早く変える必要があるときにバルブの変位量を調節する必要があり得る。バルブの変位量を素早く変えることが必要とされる期間中、流量を正確に調節するために必要なデータを流量センサが提供できないことがある。
【0004】
流動状態が急激に変化する期間中にバルブをより正確に調節するために、MFCフィードフォワードモード(feed-forward-mode)を実装することができる。フィードフォワードモード中、MFCの圧力センサからバルブに信号を発することができる。そのバルブは、ガスの流量を調節するために、その圧力センサの信号またはその信号の修正版を利用することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
図面に示す、本発明の例示的実施形態を以下に概説する。発明を実施するための形態の節の中で、これらのおよび他の実施形態についてより完全に記載する。ただし本発明を、この発明の概要、または発明を実施するための形態に記載する形式に限定する意図はないことを理解すべきである。特許請求の範囲に示す本発明の趣旨および範囲に含まれる多数の修正形態、等価物、および代替的構造があることを当業者なら理解することができる。
【0006】
本発明の一実施形態は、これだけに限定されないが質量流量コントローラバルブなどのデバイスにおけるヒステリシスを、デバイスの出力に応じて特徴付ける方法を含む。デバイスにおけるヒステリシスを特徴付ける1つの方法は、第1の入力信号範囲にわたる入力信号をそのデバイスに適用すること(ステップ)を含む。その入力信号はデバイスの機能を誘発し、そのデバイスの機能は、第1の入力信号範囲に依拠する第1の出力値範囲を伴う第1の出力を有する。この方法は、その後、その入力信号を第2の入力信号範囲にわたってそのデバイスに適用すること(ステップ)を含む。その入力信号はそのデバイスの機能を誘発し、そのデバイスの機能は、第2の出力値範囲を伴う第2の出力を有する。その第2の出力値範囲は、第2の入力信号範囲およびデバイスのヒステリシスに依拠する。最後に、第1の出力値範囲および第2の出力値範囲にわたり、第2の入力信号範囲と第1の入力信号範囲との差を測定する。
【0007】
本発明の別の実施形態は、質量流量コントローラバルブを動作させる方法を含む。質量流量コントローラバルブを動作させる1つの方法は、複数の電圧をバルブに逐次的に印加すること(ステップ)を含む。バルブに印加される複数の電圧は、質量流量コントローラにより1つまたは複数の所望の質量流量を得るためにバルブを調節するようになされる。その複数の電圧のうちの少なくとも1つは調節済み電圧(adjusted voltage)を含む。その調節済み電圧は、指定される上り傾斜電圧と、所望のガス流量を得るための少なくとも1つのヒステリシス調節電圧との合計からなる。
【0008】
本発明のさらに別の実施形態は、質量流量コントローラを含む。質量流量コントローラの一実施形態は、ガスの流動経路と、ヒステリシス制御バルブと、制御モジュールとを備える。その制御バルブは、ガスの流動経路に流れるガスの流量を制御するようになされる。一実施形態における制御モジュールは、最終制御信号(final control signal)を制御バルブに発するようになされる。制御バルブは、ガスが所望の質量流量でガスの流動経路に流れることができるように、バルブを調節する際に、その信号を利用するようになされる。さらに、バルブに送られる最終制御信号は、バルブが示す任意のヒステリシス効果を補償するようになされてよい。
【0009】
本明細書に、これらのおよび他の実施形態についてさらに詳細に記載する。
【0010】
添付図面と併せて解釈するとき、以下の発明を実施するための形態および添付の特許請求の範囲を参照することにより、本発明の様々な目的および利点ならびにより完全な理解が明らかになり、より容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の説明のための実施形態による、質量流量コントローラの一部分の機能ブロック図である。
【図2A】本発明の説明のための実施形態による、第1の入力信号範囲に対応する制御バルブの変位範囲の一例を示すグラフである。
【図2B】本発明の説明のための実施形態による、制御バルブの変位量に対応するガス流量の一例を示すグラフである。
【図3A】本発明の説明のための実施形態による、第1の入力信号範囲および第2の入力信号範囲に対応する制御バルブの変位量を示すグラフである。
【図3B】本発明の説明のための実施形態による、第1の入力信号範囲および第2の入力信号範囲に対応するガス流量を示すグラフである。
【図4】本発明の説明のための実施形態による、上り傾斜電圧の変化に応じたヒステリシス調節電圧を示すグラフである。
【図5】本発明の説明のための実施形態による、電圧に応じた流量を示すグラフである。
【図6】本発明の説明のための実施形態による、ヒステリシスを補償しながら質量流量コントローラを動作させる方法の応用例を示すグラフである。
【図7A】本発明の説明のための実施形態による、ヒステリシスを特徴付ける方法を含む流れ図である。
【図7B】本発明の説明のための実施形態による、質量流量コントローラを動作させる方法を含む流れ図である。
【図8】本発明の説明のための実施形態による、質量流量コントローラバルブに印加される一連の電圧を含むグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、適切な場合はいくつかの図の全体を通して同じまたは同様の要素を同一の参照番号を使って指示する図面を参照し、具体的には図1を参照すると、示されているのは、本発明の説明のための実施形態による、質量流量コントローラ(MFC)100の一部分の機能ブロック図である。図1に示す質量流量コントローラ100の一部分は、主流動経路102と、制御バルブ104と、制御モジュール106と、メモリデバイス103とを備える。
【0013】
これらのコンポーネントの図示の構成は論理上のものであり、実際のハードウェア図であることを意図するものではない。したがって実際の実装形態では、これらのコンポーネントを組み合わせ、またはさらに分けることができる。例えば一実施形態では、メモリデバイス103を制御モジュール106に含めることができる。さらに、本明細書に照らして、個々のコンポーネントの構造は当業者によく知られており、本明細書でさらに論じるようにハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはその組合せを含むことができる。
【0014】
制御バルブ104は、本出願の全体を通してデバイスと呼ぶことができる。さらに、制御バルブ104は、主流動経路102に流れるガスの流量を調節するようになされる。制御バルブ104の一実施形態は、圧電アクチュエータである。一実施形態における制御モジュール106は、制御バルブ104に最終制御信号108を与えるようになされる。最終制御信号108は、制御バルブ104が受け取る前に、デジタル信号プロセッサ(不図示)または他の信号修正機によって修正されてもよいことを理解すべきである。一部の実施形態では、制御モジュール106が、そのデジタル信号プロセッサまたは他の信号修正機を含むことができる。一実施形態における制御バルブ104は、バルブ104を調節し、主流動経路102を通るガス流量を調整するために最終制御信号108を利用するようになされる。
【0015】
制御モジュール106以外の機構により、最終制御信号108を生成することができると考えられる。例えば、最終制御信号108は、知られている信号レベルを提供するようになされる信号発生器(不図示)によって生成することができる。信号発生器は、質量流量コントローラバルブ104が示すヒステリシスを適切に特徴付けるために使用することができる。信号発生器を含む一実施形態では、または他の諸実施形態では、最終制御信号108を入力信号と呼ぶことができる。ある最終制御信号108は、電圧からなることができる。ただし、これだけに限定されないが、電流などの他の信号も最終制御信号108を構成することができる。
【0016】
一実施形態では、および図2Aに示すように、制御バルブ104に適用されるある入力信号は、第1の入力信号範囲211にわたって印加される制御信号電圧とすることができる。一実施形態の第1の入力信号範囲211は、連続的に上昇する制御信号電圧を含むことができる。第1の入力信号範囲211は、約0ボルトの第1の入力信号範囲の開始電圧217、および約68ボルトの第1の入力信号範囲の終止電圧を伴う、68ボルトの範囲からなることができる。第1の入力信号範囲の終止電圧は、第1の転換点(turning point)216と呼ぶこともできる。
【0017】
ある第1の入力信号範囲211は、電圧レベルにおける一連の段階的上昇をなして適用することができる。例えば、電圧を1ボルトの増加量単位で0ボルトから68ボルトまで印加することができる。知られている最大電圧のパーセンテージとして、段階的上昇をなして電圧を上げることも考えられ、その最大電圧は、MFCを通るガスの最大流量に対応する。例えば、電圧を1%または2%刻みで上昇させることができるが、より大きいまたはより小さい増加量も考えられる。さらに、開始電圧217および第1の転換点216が異なるものとして、より大きいまたはより小さい第1の入力信号範囲211も考えられる。ある方法では、第1の転換点216は、主流動経路102を通る最大ガス流量未満のガス流量をもたらすようになされる電圧からなる。
【0018】
これだけに限定されないが、制御信号電圧などの入力信号を制御バルブ104に適用することは、制御バルブ104に機能を実行させることができる。例えば、図2Aに示すように、この入力信号は、制御バルブの変位量の変化を引き起こすことなどのデバイスの機能を誘発することができる。当技術分野で知られている他の機能も考えられる。図2Aにさらに示すように、制御バルブの変位量は、制御信号電圧に実質的に比例することができる。
【0019】
一実施形態におけるバルブの変位量は、図2Bに示す第1の出力値範囲209を有する第1の出力と相関関係があってよい。例えば、バルブの変位量を増加させることは、ガスが流れる主流動経路102における流れ面積を広げることととしてよい。したがって、この広げられた流れ面積は、ガス流量を増やすことを可能にする。少なくとも1つの実施形態では、ガス流量は出力値を含むことができる。図2Bに示すのは、一実施形態における、増加する制御バルブの変位量とガス流量との間の関係である。一実施形態では、流量センサ(不図示)を使用することにより、制御バルブのそれぞれの変位量ごとにガス流量を測定する。図示するように、ある流量センサは、リットル毎分(lpm)単位でガス流量を測定することができるが、ガス流量の他の単位も考えられる。
【0020】
図2Bに見られるように、一実施形態のガス流量は、制御バルブの変位量がある変位閾値を下回る場合、ほぼ0lpmである。その閾値を上回ると、制御バルブの変位量が増加するにつれてガス流量も増加するが、ガスの流動力学特性を理由に線形には増加しない。したがって、図2Aおよび図2Bに見られるように、第1の入力信号範囲211にわたる制御信号電圧を印加することは、ガス流量の第1の出力を誘発することができる。
【0021】
図3Aに示すように、転換点316に到達した時点で、第2の入力信号範囲313にわたり制御信号電圧を印加することができる。一実施形態では、この第2の入力信号範囲313は連続的に低下する電圧とすることができる。第1の入力信号範囲311のように、第2の入力信号範囲313は、制御バルブ104に機能(これだけに限定されないが、制御バルブの変位量を調節することなど)を実行させることができる。図3Aに示すように、第2の入力信号範囲313にわたるバルブの変位量は、印加される電圧に概して比例することができる。しかし同じく図3Aに示すように、制御信号電圧が上昇し、転換点316に到達し、その後低下した後、第2の入力信号範囲313にわたる制御バルブの変位量は、同様の電圧の第1の入力信号範囲311にわたるバルブの変位量よりも大きい。
【0022】
一実施形態では、第2の入力信号範囲313は、転換点316からなる開始電圧を有することができ、その第2の入力信号範囲313は、第1の入力信号範囲の開始電圧317からなる終止電圧を有することができる。第1の入力信号範囲311と同様に、この第2の入力信号範囲313は制御バルブ104に印加される一連のステップ電圧を含むことができるが、第2の入力信号範囲313にわたるステップ電圧は減少的なステップ電圧からなることができる。一実施形態では、この減少的なステップ電圧は、増加的なステップ電圧に等しくてよい。そのため、増加的な電圧の範囲の間に1ボルトの刻みを適用した場合、減少的な電圧の範囲の間にも同様の刻みを適用することができる。
【0023】
制御バルブの変位量が、第2の入力信号範囲313に沿ってガス流量に相関する場合、第2の出力値範囲307を有する、ガス流量の第2の出力がもたらされる。図3Bに示すように、ヒステリシスが原因で、あるガス流量の第2の出力値範囲307は、同様の電圧の、ガス流量の第1の出力値範囲309よりも大きい。第1のガス流量出力範囲および第2のガス流量出力範囲の全体314にわたり、入力値間の差312を測定することができる。この差312は、ヒステリシス調節電圧と呼ぶこともできる。
【0024】
図4に示すように、入力信号範囲の差312は、第1の転換点316から閾値まで、制御信号電圧における絶対値の変化が増加するにつれて広がる。一実施形態では、第1の入力信号範囲311にわたって印加される一連のステップ電圧、印加される第1の入力信号範囲の電圧ごとの測定済みバルブ変位量、およびバルブの変位量ごとの対応する測定済みガス流量を、図1に示すメモリデバイス103に記憶する。さらに、第2の入力信号範囲313にわたって印加される一連の電圧、印加される第2の入力信号範囲の電圧ごとの測定済みバルブ変位量、およびバルブの変位量ごとの対応する測定済みガス流量も、メモリデバイス103に記憶する。
【0025】
一実施形態では、ガス流量などの所望の出力値を得るために入力電圧間の差312を求めることは、線形補間によって求められる。例えば、図5に示すように一連の増加的電圧および減少的電圧を制御バルブ104に印加し、それぞれの電圧ごとのガス流量を測定する。表1に値の例を示す。
【0026】
【表1】
上記の表を使用し、線形補間を実施して、上り傾斜の流量と実質的に等しい流量を得るために、第2の入力信号範囲513に沿って制御バルブ104に印加するための、おおよその下り傾斜電圧を求める。
【0027】
【表2】
【0028】
表2は、上り傾斜流量値ごとの、第1の入力信号範囲511と第2の入力信号範囲513との差512も示す。上記に示す上り傾斜電圧/下り傾斜電圧の差は、第1の電圧と呼ぶこともできる。同様に、第1の入力信号範囲および第2の入力信号範囲は、上り傾斜電圧の範囲および下り傾斜電圧の範囲とそれぞれ呼ぶことができる。また、表2に示す、転換点の上り傾斜電圧からの隔たりは、上り傾斜電圧の変化と呼ぶこともできる。ここでもやはり、上記の値について、第1の転換点516からの電圧の変化に応じた差512についてのグラフ表示を図4に示す。このようにして、増加的電圧および減少的電圧に沿って同様の流量を得るために適用する差512により、ヒステリシスが特徴付けられる。
【0029】
このようにしてヒステリシスを特徴付けることは、バルブ104に印加する電圧がヒステリシスを補償することができるように、質量流量コントローラを動作させる方法を可能にする。図6から図8に示すのは、質量流量コントローラバルブ104を動作させる1つの方法である。質量流量コントローラバルブ104を動作させる1つの方法は、複数の電圧をバルブ104に逐次的に印加すること(ステップ)を含む。例えば、図6に示すように、第1の転換点616、第2の転換点626、および現在の電圧636を連続してバルブ104に印加することができ、それぞれの電圧は、質量流量コントローラ100により所望の質量流量を得るために、バルブ104を調節するようになされる。
【0030】
バルブ104に印加される複数の電圧のうちの1つの少なくとも一部分は、調節された最終制御信号108としても知られる調節済み電圧を含む。調節済み電圧の一例を、第2の転換点626の電圧により図6に示す。例えば、68Vにおける9lpmの流量に対応する第1の転換点616に到達した時点で、制御モジュール106が、6lpmの流量信号からなる、(図1に示す)要求される制御信号182を受け取る。第2の転換点626は、第2の転換点の上り傾斜電圧631(図1に示す上り傾斜制御信号184としても知られる)と、第2の転換点のヒステリシス調節電圧633(図1に示すヒステリシス調節信号としても知られる)との合計からなる調節済み電圧とすることができる。一実施形態では、上り傾斜電圧631は、所望の質量流量に対応する第1の入力信号範囲611に沿った電圧を含む。上り傾斜電圧631は上記の表1の線形補間によって得られ、その表1は、6lpmの所望の流量を得るために、第1の入力信号範囲611に沿って61.5Vの電圧をバルブに印加しなければならないことを示す。線形補間以外の他の近似式も考えられる。
【0031】
上り傾斜電圧631を得た時点で、前の転換点の上り傾斜電圧から、上り傾斜電圧631、61.5Vを減算することにより、第2の転換点電圧変化635(第2の電圧差としても知られる)を得ることができる。図6では、前の転換点は第1の転換点616である。第1の転換点は印加される電圧の中に調節電圧を含まないので、第1の転換点の上り傾斜電圧は第1の転換点の電圧、すなわち68Vに等しい。そのため、68Vから61.5Vを減算し、6.5Vの第2の転換点電圧変化635が得られる。6.5Vの電圧変化635を得た時点で、表2の線形補間(または他の近似式)を使用することにより、約4.7Vの第2の転換点の調節電圧633(ヒステリシス調節電圧としても知られる)が得られる。第2の転換点の電圧は第1の転換点の電圧よりも低いので、このヒステリシス調節電圧は−4.7Vの負電圧からなる。61.5Vのフィードフォワード電圧と、約−4.7Vのヒステリシス調節電圧とを合計することは、56.8Vの調節済み電圧を与える。したがって、約6lpmの所望の質量流量を得るために、68Vの第1の転換点に到達した後、バルブに56.8V印加すべきである。
【0032】
現在の電圧636の値を求めるために、同様の方法を使用する。例えば、6lpmの質量流量を得るために56.8Vの電圧を印加したすぐ後に、7.4lpmの質量流量が望まれる。第2の転換点の電圧626を得る際に先に示したように、現在の上り傾斜電圧648をまず得なければならない。表1の線形補間が、現在の上り傾斜電圧648について約64.6Vの出力をもたらす。ここで、前の転換点の上り傾斜電圧から現在の上り傾斜電圧への電圧の差である現在の電圧の変化650は、64.6V−61.5Vであり、3.1Vに等しい。表2の線形補間を使用することは、3.1Vの現在の電圧の変化650が、約3.1Vの現在のヒステリシス調節電圧に対応することを示す。64.6Vの上り傾斜電圧に、−4.7Vの第1の転換点のヒステリシス調節電圧および反対の3.1Vの現在のヒステリシス調節電圧を合計することは、−1.6Vの合計補償電圧、および63Vの調節された現在の電圧636をもたらす。このようにして、先行する転換点ごとの各ヒステリシス調節電圧および要求される現在の電圧を考慮に入れることにより、将来の調節済み電圧が計算される。各転換点の電圧値およびヒステリシス調節電圧値は、メモリデバイスに順番に記憶される。その後、上記の計算を実行するために、これらの値はデジタルプロセッサ、またはソフトウェア、ハードウェア、もしくはファームウェアを実装する他の機構によってアクセス可能とすることができる。
【0033】
質量流量コントローラバルブ104の動作中、様々な転換点の電圧値616、626、電圧変化値635、650、および対応するヒステリシス調節値を、メモリデバイス103および後続の全ての調節済み電圧の計算から除去し、または解放する。例えば、現在の電圧が(i)低下しており、(ii)2番目に直近に印加されかつ解放されていない以前の電圧以下であるとき、バルブに印加した直近の2つの電圧および対応するヒステリシス調節電圧をメモリデバイス103から除去する。例えば、図8に示すのは、ある期間にわたってバルブに連続的に印加される一連の電圧についての表現である。図示のように、バルブに印加される最初の5個の電圧は、それぞれ0V、次いで40V、次いで20V、次いで30V、次いで10Vである。この電圧が30Vから10Vに低下するとき、現在の電圧は、20Vである2番目に直近に印加されかつ解放されていない以前の電圧よりも小さくなる。したがって、メモリデバイスは、直近に印加した2つの以前の電圧(30Vと20V)および対応するヒステリシス調節電圧を後続の全ての調節済み電圧の計算から除去する。
【0034】
同様に、現在の電圧が(i)上昇しており、(ii)2番目に直近に印加されかつ解放されていない以前に印加した電圧以上であるとき、メモリデバイス103から解放されるのは、2つの直近に印加されかつ解放されていない以前の電圧である。図8に示す例では、電圧が10Vから50Vに上昇するとき、電圧は40Vの目盛りを通過する。30Vおよび20Vの転換点は解放したので、この時点で、2番目に直近に印加されかつ解放されていない電圧は、印加した2番目の電圧すなわち40Vである。したがって、現在の電圧が2番目の40Vよりも大きいので、10Vおよび40Vの転換点ならびに対応するヒステリシス調節電圧を後続の全ての計算から除去する。
【0035】
さらに、現在の電圧がゼロ電圧を含むとき、全ての電圧をメモリデバイスから解放することができる。加えて、上記の1つまたは複数の動作方法を実施することにより、所望の質量流量の2パーセントの範囲内の実流量でMFC100に流れるようにガスを適合させることができる。
【0036】
上記に記載した本発明の諸実施形態を、図7Aおよび図7Bにおいてさらに提供する。図7Aは、デバイスの出力に応じてヒステリシスを特徴付ける方法についての表現である。705で、この方法の一実施形態は、第1の入力信号範囲(例えば入力信号範囲211、311、511)にわたる入力信号を適用すること(ステップ)を含むように示される。図7Aに示すように、ある入力信号は、第1の出力値範囲(例えば第1の出力値範囲209、309)を伴う第1の出力(ガス流量など)を有するデバイスの機能(これだけに限定されないが、制御バルブの変位など)を誘発することができる。一実施形態は、第1の入力信号範囲211、311、511に依拠する第1の出力値範囲209、309を含むことができる。
【0037】
715で、その入力信号を第2の入力信号範囲(例えば図3Aおよび図5に示す第2の入力範囲313、513)にわたってそのデバイスに適用する。その入力信号は、第2の出力値範囲(例えば第2の出力値範囲307)を伴う第2の出力をデバイスが有する状態で、そのデバイスが自らの機能を実行することを誘発する。ある方法における第2の出力値範囲307は、(i)第2の入力信号範囲313、513、および(ii)デバイスのヒステリシスに依拠する。最後に725で、第1の出力値範囲および第2の出力値範囲にわたり、第2の入力信号範囲313、513と、第1の入力信号範囲211、311、511との差(例えば差312、512)を測定する。
【0038】
図7Bは、質量流量コントローラバルブ104を動作させる方法についての表現である。755で、ある方法は複数の電圧を質量流量コントローラバルブ104に逐次的に印加すること(ステップ)を含む。765で、その複数の電圧のうちの少なくとも1つが、質量流量コントローラ100により1つまたは複数の所望の質量流量を得るために、バルブ104を調節するようになされることが見られる。さらに775で、その複数の電圧のうちの少なくとも1つが、(i)指定される上り傾斜電圧と、(ii)所望のガス流量を得るための少なくとも1つのヒステリシス調節電圧との合計からなる調節済み電圧を含む。
【0039】
流量を調節するためにバルブの変位量を変えるのとは対照的に、ガス圧力の変化を補償する目的でバルブの変位量を変えるために同様の方法を適用することができる。バルブの変位量を調節することは、変化する圧力および変化する流量の両方を補償するために行うことができることも考えられる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にヒステリシスを示すデバイスに関する。限定する目的ではないが、本発明はとりわけ、質量流量コントローラバルブのヒステリシスの特徴付けならびに補償方法およびそのシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの質量流量コントローラ(MFC)は、流量センサを使用して、自らに流れるガスの流量を制御する。ある種類の流量センサはコントローラに流れるガスの実流量を測定し、(流量センサによって測定される)その実流量と、(ユーザが設定する)所望の流量との差に基づいてMFCバルブに制御信号が送られる。MFCバルブは、その制御信号を受け取り、流量を増やしまたは減らして実流量が所望の流量により厳密に等しくなるようにバルブを調節することができる。
【0003】
時として、急激に変化する流動状態を理由に、バルブに与える制御信号を迅速に変える必要がある。例えば、ガス圧力が急激に変化している期間中にバルブの変位量(displacement)を素早く調節し、またはMFCに流れるガスの流量を素早く変える必要があるときにバルブの変位量を調節する必要があり得る。バルブの変位量を素早く変えることが必要とされる期間中、流量を正確に調節するために必要なデータを流量センサが提供できないことがある。
【0004】
流動状態が急激に変化する期間中にバルブをより正確に調節するために、MFCフィードフォワードモード(feed-forward-mode)を実装することができる。フィードフォワードモード中、MFCの圧力センサからバルブに信号を発することができる。そのバルブは、ガスの流量を調節するために、その圧力センサの信号またはその信号の修正版を利用することができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
図面に示す、本発明の例示的実施形態を以下に概説する。発明を実施するための形態の節の中で、これらのおよび他の実施形態についてより完全に記載する。ただし本発明を、この発明の概要、または発明を実施するための形態に記載する形式に限定する意図はないことを理解すべきである。特許請求の範囲に示す本発明の趣旨および範囲に含まれる多数の修正形態、等価物、および代替的構造があることを当業者なら理解することができる。
【0006】
本発明の一実施形態は、これだけに限定されないが質量流量コントローラバルブなどのデバイスにおけるヒステリシスを、デバイスの出力に応じて特徴付ける方法を含む。デバイスにおけるヒステリシスを特徴付ける1つの方法は、第1の入力信号範囲にわたる入力信号をそのデバイスに適用すること(ステップ)を含む。その入力信号はデバイスの機能を誘発し、そのデバイスの機能は、第1の入力信号範囲に依拠する第1の出力値範囲を伴う第1の出力を有する。この方法は、その後、その入力信号を第2の入力信号範囲にわたってそのデバイスに適用すること(ステップ)を含む。その入力信号はそのデバイスの機能を誘発し、そのデバイスの機能は、第2の出力値範囲を伴う第2の出力を有する。その第2の出力値範囲は、第2の入力信号範囲およびデバイスのヒステリシスに依拠する。最後に、第1の出力値範囲および第2の出力値範囲にわたり、第2の入力信号範囲と第1の入力信号範囲との差を測定する。
【0007】
本発明の別の実施形態は、質量流量コントローラバルブを動作させる方法を含む。質量流量コントローラバルブを動作させる1つの方法は、複数の電圧をバルブに逐次的に印加すること(ステップ)を含む。バルブに印加される複数の電圧は、質量流量コントローラにより1つまたは複数の所望の質量流量を得るためにバルブを調節するようになされる。その複数の電圧のうちの少なくとも1つは調節済み電圧(adjusted voltage)を含む。その調節済み電圧は、指定される上り傾斜電圧と、所望のガス流量を得るための少なくとも1つのヒステリシス調節電圧との合計からなる。
【0008】
本発明のさらに別の実施形態は、質量流量コントローラを含む。質量流量コントローラの一実施形態は、ガスの流動経路と、ヒステリシス制御バルブと、制御モジュールとを備える。その制御バルブは、ガスの流動経路に流れるガスの流量を制御するようになされる。一実施形態における制御モジュールは、最終制御信号(final control signal)を制御バルブに発するようになされる。制御バルブは、ガスが所望の質量流量でガスの流動経路に流れることができるように、バルブを調節する際に、その信号を利用するようになされる。さらに、バルブに送られる最終制御信号は、バルブが示す任意のヒステリシス効果を補償するようになされてよい。
【0009】
本明細書に、これらのおよび他の実施形態についてさらに詳細に記載する。
【0010】
添付図面と併せて解釈するとき、以下の発明を実施するための形態および添付の特許請求の範囲を参照することにより、本発明の様々な目的および利点ならびにより完全な理解が明らかになり、より容易に理解される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の説明のための実施形態による、質量流量コントローラの一部分の機能ブロック図である。
【図2A】本発明の説明のための実施形態による、第1の入力信号範囲に対応する制御バルブの変位範囲の一例を示すグラフである。
【図2B】本発明の説明のための実施形態による、制御バルブの変位量に対応するガス流量の一例を示すグラフである。
【図3A】本発明の説明のための実施形態による、第1の入力信号範囲および第2の入力信号範囲に対応する制御バルブの変位量を示すグラフである。
【図3B】本発明の説明のための実施形態による、第1の入力信号範囲および第2の入力信号範囲に対応するガス流量を示すグラフである。
【図4】本発明の説明のための実施形態による、上り傾斜電圧の変化に応じたヒステリシス調節電圧を示すグラフである。
【図5】本発明の説明のための実施形態による、電圧に応じた流量を示すグラフである。
【図6】本発明の説明のための実施形態による、ヒステリシスを補償しながら質量流量コントローラを動作させる方法の応用例を示すグラフである。
【図7A】本発明の説明のための実施形態による、ヒステリシスを特徴付ける方法を含む流れ図である。
【図7B】本発明の説明のための実施形態による、質量流量コントローラを動作させる方法を含む流れ図である。
【図8】本発明の説明のための実施形態による、質量流量コントローラバルブに印加される一連の電圧を含むグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に、適切な場合はいくつかの図の全体を通して同じまたは同様の要素を同一の参照番号を使って指示する図面を参照し、具体的には図1を参照すると、示されているのは、本発明の説明のための実施形態による、質量流量コントローラ(MFC)100の一部分の機能ブロック図である。図1に示す質量流量コントローラ100の一部分は、主流動経路102と、制御バルブ104と、制御モジュール106と、メモリデバイス103とを備える。
【0013】
これらのコンポーネントの図示の構成は論理上のものであり、実際のハードウェア図であることを意図するものではない。したがって実際の実装形態では、これらのコンポーネントを組み合わせ、またはさらに分けることができる。例えば一実施形態では、メモリデバイス103を制御モジュール106に含めることができる。さらに、本明細書に照らして、個々のコンポーネントの構造は当業者によく知られており、本明細書でさらに論じるようにハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはその組合せを含むことができる。
【0014】
制御バルブ104は、本出願の全体を通してデバイスと呼ぶことができる。さらに、制御バルブ104は、主流動経路102に流れるガスの流量を調節するようになされる。制御バルブ104の一実施形態は、圧電アクチュエータである。一実施形態における制御モジュール106は、制御バルブ104に最終制御信号108を与えるようになされる。最終制御信号108は、制御バルブ104が受け取る前に、デジタル信号プロセッサ(不図示)または他の信号修正機によって修正されてもよいことを理解すべきである。一部の実施形態では、制御モジュール106が、そのデジタル信号プロセッサまたは他の信号修正機を含むことができる。一実施形態における制御バルブ104は、バルブ104を調節し、主流動経路102を通るガス流量を調整するために最終制御信号108を利用するようになされる。
【0015】
制御モジュール106以外の機構により、最終制御信号108を生成することができると考えられる。例えば、最終制御信号108は、知られている信号レベルを提供するようになされる信号発生器(不図示)によって生成することができる。信号発生器は、質量流量コントローラバルブ104が示すヒステリシスを適切に特徴付けるために使用することができる。信号発生器を含む一実施形態では、または他の諸実施形態では、最終制御信号108を入力信号と呼ぶことができる。ある最終制御信号108は、電圧からなることができる。ただし、これだけに限定されないが、電流などの他の信号も最終制御信号108を構成することができる。
【0016】
一実施形態では、および図2Aに示すように、制御バルブ104に適用されるある入力信号は、第1の入力信号範囲211にわたって印加される制御信号電圧とすることができる。一実施形態の第1の入力信号範囲211は、連続的に上昇する制御信号電圧を含むことができる。第1の入力信号範囲211は、約0ボルトの第1の入力信号範囲の開始電圧217、および約68ボルトの第1の入力信号範囲の終止電圧を伴う、68ボルトの範囲からなることができる。第1の入力信号範囲の終止電圧は、第1の転換点(turning point)216と呼ぶこともできる。
【0017】
ある第1の入力信号範囲211は、電圧レベルにおける一連の段階的上昇をなして適用することができる。例えば、電圧を1ボルトの増加量単位で0ボルトから68ボルトまで印加することができる。知られている最大電圧のパーセンテージとして、段階的上昇をなして電圧を上げることも考えられ、その最大電圧は、MFCを通るガスの最大流量に対応する。例えば、電圧を1%または2%刻みで上昇させることができるが、より大きいまたはより小さい増加量も考えられる。さらに、開始電圧217および第1の転換点216が異なるものとして、より大きいまたはより小さい第1の入力信号範囲211も考えられる。ある方法では、第1の転換点216は、主流動経路102を通る最大ガス流量未満のガス流量をもたらすようになされる電圧からなる。
【0018】
これだけに限定されないが、制御信号電圧などの入力信号を制御バルブ104に適用することは、制御バルブ104に機能を実行させることができる。例えば、図2Aに示すように、この入力信号は、制御バルブの変位量の変化を引き起こすことなどのデバイスの機能を誘発することができる。当技術分野で知られている他の機能も考えられる。図2Aにさらに示すように、制御バルブの変位量は、制御信号電圧に実質的に比例することができる。
【0019】
一実施形態におけるバルブの変位量は、図2Bに示す第1の出力値範囲209を有する第1の出力と相関関係があってよい。例えば、バルブの変位量を増加させることは、ガスが流れる主流動経路102における流れ面積を広げることととしてよい。したがって、この広げられた流れ面積は、ガス流量を増やすことを可能にする。少なくとも1つの実施形態では、ガス流量は出力値を含むことができる。図2Bに示すのは、一実施形態における、増加する制御バルブの変位量とガス流量との間の関係である。一実施形態では、流量センサ(不図示)を使用することにより、制御バルブのそれぞれの変位量ごとにガス流量を測定する。図示するように、ある流量センサは、リットル毎分(lpm)単位でガス流量を測定することができるが、ガス流量の他の単位も考えられる。
【0020】
図2Bに見られるように、一実施形態のガス流量は、制御バルブの変位量がある変位閾値を下回る場合、ほぼ0lpmである。その閾値を上回ると、制御バルブの変位量が増加するにつれてガス流量も増加するが、ガスの流動力学特性を理由に線形には増加しない。したがって、図2Aおよび図2Bに見られるように、第1の入力信号範囲211にわたる制御信号電圧を印加することは、ガス流量の第1の出力を誘発することができる。
【0021】
図3Aに示すように、転換点316に到達した時点で、第2の入力信号範囲313にわたり制御信号電圧を印加することができる。一実施形態では、この第2の入力信号範囲313は連続的に低下する電圧とすることができる。第1の入力信号範囲311のように、第2の入力信号範囲313は、制御バルブ104に機能(これだけに限定されないが、制御バルブの変位量を調節することなど)を実行させることができる。図3Aに示すように、第2の入力信号範囲313にわたるバルブの変位量は、印加される電圧に概して比例することができる。しかし同じく図3Aに示すように、制御信号電圧が上昇し、転換点316に到達し、その後低下した後、第2の入力信号範囲313にわたる制御バルブの変位量は、同様の電圧の第1の入力信号範囲311にわたるバルブの変位量よりも大きい。
【0022】
一実施形態では、第2の入力信号範囲313は、転換点316からなる開始電圧を有することができ、その第2の入力信号範囲313は、第1の入力信号範囲の開始電圧317からなる終止電圧を有することができる。第1の入力信号範囲311と同様に、この第2の入力信号範囲313は制御バルブ104に印加される一連のステップ電圧を含むことができるが、第2の入力信号範囲313にわたるステップ電圧は減少的なステップ電圧からなることができる。一実施形態では、この減少的なステップ電圧は、増加的なステップ電圧に等しくてよい。そのため、増加的な電圧の範囲の間に1ボルトの刻みを適用した場合、減少的な電圧の範囲の間にも同様の刻みを適用することができる。
【0023】
制御バルブの変位量が、第2の入力信号範囲313に沿ってガス流量に相関する場合、第2の出力値範囲307を有する、ガス流量の第2の出力がもたらされる。図3Bに示すように、ヒステリシスが原因で、あるガス流量の第2の出力値範囲307は、同様の電圧の、ガス流量の第1の出力値範囲309よりも大きい。第1のガス流量出力範囲および第2のガス流量出力範囲の全体314にわたり、入力値間の差312を測定することができる。この差312は、ヒステリシス調節電圧と呼ぶこともできる。
【0024】
図4に示すように、入力信号範囲の差312は、第1の転換点316から閾値まで、制御信号電圧における絶対値の変化が増加するにつれて広がる。一実施形態では、第1の入力信号範囲311にわたって印加される一連のステップ電圧、印加される第1の入力信号範囲の電圧ごとの測定済みバルブ変位量、およびバルブの変位量ごとの対応する測定済みガス流量を、図1に示すメモリデバイス103に記憶する。さらに、第2の入力信号範囲313にわたって印加される一連の電圧、印加される第2の入力信号範囲の電圧ごとの測定済みバルブ変位量、およびバルブの変位量ごとの対応する測定済みガス流量も、メモリデバイス103に記憶する。
【0025】
一実施形態では、ガス流量などの所望の出力値を得るために入力電圧間の差312を求めることは、線形補間によって求められる。例えば、図5に示すように一連の増加的電圧および減少的電圧を制御バルブ104に印加し、それぞれの電圧ごとのガス流量を測定する。表1に値の例を示す。
【0026】
【表1】
上記の表を使用し、線形補間を実施して、上り傾斜の流量と実質的に等しい流量を得るために、第2の入力信号範囲513に沿って制御バルブ104に印加するための、おおよその下り傾斜電圧を求める。
【0027】
【表2】
【0028】
表2は、上り傾斜流量値ごとの、第1の入力信号範囲511と第2の入力信号範囲513との差512も示す。上記に示す上り傾斜電圧/下り傾斜電圧の差は、第1の電圧と呼ぶこともできる。同様に、第1の入力信号範囲および第2の入力信号範囲は、上り傾斜電圧の範囲および下り傾斜電圧の範囲とそれぞれ呼ぶことができる。また、表2に示す、転換点の上り傾斜電圧からの隔たりは、上り傾斜電圧の変化と呼ぶこともできる。ここでもやはり、上記の値について、第1の転換点516からの電圧の変化に応じた差512についてのグラフ表示を図4に示す。このようにして、増加的電圧および減少的電圧に沿って同様の流量を得るために適用する差512により、ヒステリシスが特徴付けられる。
【0029】
このようにしてヒステリシスを特徴付けることは、バルブ104に印加する電圧がヒステリシスを補償することができるように、質量流量コントローラを動作させる方法を可能にする。図6から図8に示すのは、質量流量コントローラバルブ104を動作させる1つの方法である。質量流量コントローラバルブ104を動作させる1つの方法は、複数の電圧をバルブ104に逐次的に印加すること(ステップ)を含む。例えば、図6に示すように、第1の転換点616、第2の転換点626、および現在の電圧636を連続してバルブ104に印加することができ、それぞれの電圧は、質量流量コントローラ100により所望の質量流量を得るために、バルブ104を調節するようになされる。
【0030】
バルブ104に印加される複数の電圧のうちの1つの少なくとも一部分は、調節された最終制御信号108としても知られる調節済み電圧を含む。調節済み電圧の一例を、第2の転換点626の電圧により図6に示す。例えば、68Vにおける9lpmの流量に対応する第1の転換点616に到達した時点で、制御モジュール106が、6lpmの流量信号からなる、(図1に示す)要求される制御信号182を受け取る。第2の転換点626は、第2の転換点の上り傾斜電圧631(図1に示す上り傾斜制御信号184としても知られる)と、第2の転換点のヒステリシス調節電圧633(図1に示すヒステリシス調節信号としても知られる)との合計からなる調節済み電圧とすることができる。一実施形態では、上り傾斜電圧631は、所望の質量流量に対応する第1の入力信号範囲611に沿った電圧を含む。上り傾斜電圧631は上記の表1の線形補間によって得られ、その表1は、6lpmの所望の流量を得るために、第1の入力信号範囲611に沿って61.5Vの電圧をバルブに印加しなければならないことを示す。線形補間以外の他の近似式も考えられる。
【0031】
上り傾斜電圧631を得た時点で、前の転換点の上り傾斜電圧から、上り傾斜電圧631、61.5Vを減算することにより、第2の転換点電圧変化635(第2の電圧差としても知られる)を得ることができる。図6では、前の転換点は第1の転換点616である。第1の転換点は印加される電圧の中に調節電圧を含まないので、第1の転換点の上り傾斜電圧は第1の転換点の電圧、すなわち68Vに等しい。そのため、68Vから61.5Vを減算し、6.5Vの第2の転換点電圧変化635が得られる。6.5Vの電圧変化635を得た時点で、表2の線形補間(または他の近似式)を使用することにより、約4.7Vの第2の転換点の調節電圧633(ヒステリシス調節電圧としても知られる)が得られる。第2の転換点の電圧は第1の転換点の電圧よりも低いので、このヒステリシス調節電圧は−4.7Vの負電圧からなる。61.5Vのフィードフォワード電圧と、約−4.7Vのヒステリシス調節電圧とを合計することは、56.8Vの調節済み電圧を与える。したがって、約6lpmの所望の質量流量を得るために、68Vの第1の転換点に到達した後、バルブに56.8V印加すべきである。
【0032】
現在の電圧636の値を求めるために、同様の方法を使用する。例えば、6lpmの質量流量を得るために56.8Vの電圧を印加したすぐ後に、7.4lpmの質量流量が望まれる。第2の転換点の電圧626を得る際に先に示したように、現在の上り傾斜電圧648をまず得なければならない。表1の線形補間が、現在の上り傾斜電圧648について約64.6Vの出力をもたらす。ここで、前の転換点の上り傾斜電圧から現在の上り傾斜電圧への電圧の差である現在の電圧の変化650は、64.6V−61.5Vであり、3.1Vに等しい。表2の線形補間を使用することは、3.1Vの現在の電圧の変化650が、約3.1Vの現在のヒステリシス調節電圧に対応することを示す。64.6Vの上り傾斜電圧に、−4.7Vの第1の転換点のヒステリシス調節電圧および反対の3.1Vの現在のヒステリシス調節電圧を合計することは、−1.6Vの合計補償電圧、および63Vの調節された現在の電圧636をもたらす。このようにして、先行する転換点ごとの各ヒステリシス調節電圧および要求される現在の電圧を考慮に入れることにより、将来の調節済み電圧が計算される。各転換点の電圧値およびヒステリシス調節電圧値は、メモリデバイスに順番に記憶される。その後、上記の計算を実行するために、これらの値はデジタルプロセッサ、またはソフトウェア、ハードウェア、もしくはファームウェアを実装する他の機構によってアクセス可能とすることができる。
【0033】
質量流量コントローラバルブ104の動作中、様々な転換点の電圧値616、626、電圧変化値635、650、および対応するヒステリシス調節値を、メモリデバイス103および後続の全ての調節済み電圧の計算から除去し、または解放する。例えば、現在の電圧が(i)低下しており、(ii)2番目に直近に印加されかつ解放されていない以前の電圧以下であるとき、バルブに印加した直近の2つの電圧および対応するヒステリシス調節電圧をメモリデバイス103から除去する。例えば、図8に示すのは、ある期間にわたってバルブに連続的に印加される一連の電圧についての表現である。図示のように、バルブに印加される最初の5個の電圧は、それぞれ0V、次いで40V、次いで20V、次いで30V、次いで10Vである。この電圧が30Vから10Vに低下するとき、現在の電圧は、20Vである2番目に直近に印加されかつ解放されていない以前の電圧よりも小さくなる。したがって、メモリデバイスは、直近に印加した2つの以前の電圧(30Vと20V)および対応するヒステリシス調節電圧を後続の全ての調節済み電圧の計算から除去する。
【0034】
同様に、現在の電圧が(i)上昇しており、(ii)2番目に直近に印加されかつ解放されていない以前に印加した電圧以上であるとき、メモリデバイス103から解放されるのは、2つの直近に印加されかつ解放されていない以前の電圧である。図8に示す例では、電圧が10Vから50Vに上昇するとき、電圧は40Vの目盛りを通過する。30Vおよび20Vの転換点は解放したので、この時点で、2番目に直近に印加されかつ解放されていない電圧は、印加した2番目の電圧すなわち40Vである。したがって、現在の電圧が2番目の40Vよりも大きいので、10Vおよび40Vの転換点ならびに対応するヒステリシス調節電圧を後続の全ての計算から除去する。
【0035】
さらに、現在の電圧がゼロ電圧を含むとき、全ての電圧をメモリデバイスから解放することができる。加えて、上記の1つまたは複数の動作方法を実施することにより、所望の質量流量の2パーセントの範囲内の実流量でMFC100に流れるようにガスを適合させることができる。
【0036】
上記に記載した本発明の諸実施形態を、図7Aおよび図7Bにおいてさらに提供する。図7Aは、デバイスの出力に応じてヒステリシスを特徴付ける方法についての表現である。705で、この方法の一実施形態は、第1の入力信号範囲(例えば入力信号範囲211、311、511)にわたる入力信号を適用すること(ステップ)を含むように示される。図7Aに示すように、ある入力信号は、第1の出力値範囲(例えば第1の出力値範囲209、309)を伴う第1の出力(ガス流量など)を有するデバイスの機能(これだけに限定されないが、制御バルブの変位など)を誘発することができる。一実施形態は、第1の入力信号範囲211、311、511に依拠する第1の出力値範囲209、309を含むことができる。
【0037】
715で、その入力信号を第2の入力信号範囲(例えば図3Aおよび図5に示す第2の入力範囲313、513)にわたってそのデバイスに適用する。その入力信号は、第2の出力値範囲(例えば第2の出力値範囲307)を伴う第2の出力をデバイスが有する状態で、そのデバイスが自らの機能を実行することを誘発する。ある方法における第2の出力値範囲307は、(i)第2の入力信号範囲313、513、および(ii)デバイスのヒステリシスに依拠する。最後に725で、第1の出力値範囲および第2の出力値範囲にわたり、第2の入力信号範囲313、513と、第1の入力信号範囲211、311、511との差(例えば差312、512)を測定する。
【0038】
図7Bは、質量流量コントローラバルブ104を動作させる方法についての表現である。755で、ある方法は複数の電圧を質量流量コントローラバルブ104に逐次的に印加すること(ステップ)を含む。765で、その複数の電圧のうちの少なくとも1つが、質量流量コントローラ100により1つまたは複数の所望の質量流量を得るために、バルブ104を調節するようになされることが見られる。さらに775で、その複数の電圧のうちの少なくとも1つが、(i)指定される上り傾斜電圧と、(ii)所望のガス流量を得るための少なくとも1つのヒステリシス調節電圧との合計からなる調節済み電圧を含む。
【0039】
流量を調節するためにバルブの変位量を変えるのとは対照的に、ガス圧力の変化を補償する目的でバルブの変位量を変えるために同様の方法を適用することができる。バルブの変位量を調節することは、変化する圧力および変化する流量の両方を補償するために行うことができることも考えられる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスの出力に応じてヒステリシスを特徴付ける方法であって、
第1の入力信号範囲にわたる入力信号をデバイスに適用すること(ステップ)であって、前記入力信号は、前記第1の入力信号範囲に依拠する第1の出力値範囲を伴う第1の出力を有するデバイスの機能を誘発する、適用すること(ステップ)と、
前記入力信号を第2の入力信号範囲にわたって前記デバイスに適用すること(ステップ)であって、前記入力信号は、(i)前記第2の入力信号範囲および(ii)デバイスのヒステリシスに依拠する第2の出力値範囲を伴う第2の出力を有する前記デバイスの機能を誘発する、適用すること(ステップ)と、
前記第1の出力値範囲および前記第2の出力値範囲にわたり、前記第2の入力信号範囲と前記第1の入力信号範囲との差を測定すること(ステップ)と
を含む、方法。
【請求項2】
前記デバイスには質量流量コントローラバルブが含まれ、
前記入力信号には電圧が含まれ、
前記第1の入力信号範囲には、連続的に上昇する電圧の範囲が含まれ、
デバイスの機能を誘発することには、質量流量コントローラバルブの変位量の変化を誘発することが含まれ、
前記第2の入力信号範囲には、連続的に低下する電圧の範囲が含まれ、
前記第1の出力および前記第2の出力にはガス流量が含まれ、
前記第2の入力信号範囲と前記第1の入力信号範囲との差を測定すること(ステップ)は、複数のガス流量について、複数の第2の入力信号値から複数の第1の入力信号値を減算することにより、複数のヒステリシス調節電圧を造り出すこと(ステップ)を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記質量流量コントローラバルブには、圧電アクチュエータが含まれる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記連続的に上昇する電圧の範囲は、
0ボルトの開始電圧と、
電圧における一連の段階的上昇と、
第1の転換点からなる終止電圧と
を含み、
前記連続的に低下する電圧の範囲は、
前記第1の転換点からなる開始電圧と、
電圧における一連の段階的低下と、
0ボルトからなる終止電圧と
を含み、
前記複数のガス流量は、最大ガス流量未満である、
請求項2に記載の方法。
【請求項5】
複数のヒステリシス調節電圧を造り出すこと(ステップ)は、
1つまたは複数の所望の流量を決定すること(ステップ)と、
前記1つまたは複数の所望の流量に対応する1つまたは複数の上り傾斜電圧を得るために、第1の近似式を使用すること(ステップ)と、
前記1つまたは複数の上り傾斜電圧と、以前印加した上り傾斜電圧との差を求めること(ステップ)と、
前記1つまたは複数の上り傾斜電圧と、前記以前印加した上り傾斜電圧との差に対応する電圧を得るために、第2の近似式を使用すること(ステップ)と
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記連続的に上昇する電圧の範囲は、質量流量コントローラにより前記ガス流量を連続的に増加させるようになされ、
前記連続的に低下する電圧の範囲は、質量流量コントローラにより前記ガス流量を連続的に減少させるようになされ、
前記バルブの変位量を測定すること(ステップ)と、
前記バルブの変位量にガス流量を相関させること(ステップ)と
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のヒステリシス調節電圧、および前記第1の転換点からの関連する電圧の変化をメモリデバイスに記憶すること(ステップ)をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
質量流量コントローラバルブを動作させる方法であって、
複数の電圧を前記質量流量コントローラバルブに逐次的に印加すること(ステップ)を含み、
前記複数の電圧は、質量流量コントローラにより1つまたは複数の所望の質量流量を得るために前記バルブを調節するようになされ、
前記複数の電圧のうちの少なくとも1つは調節済み電圧を含み、前記調節済み電圧は、(i)指定される上り傾斜電圧と、(ii)所望のガス流量を得るための少なくとも1つのヒステリシス調節電圧との合計からなる、方法。
【請求項9】
前記印加する複数の電圧および前記少なくとも1つのヒステリシス調節電圧のそれぞれの値をメモリデバイスに記憶すること(ステップ)と、
前記質量流量コントローラバルブに現在の電圧を印加すること(ステップ)と、
前記現在の電圧が(i)上昇しており、(ii)前記複数の電圧のうちの2番目に直近に印加されかつ解放されていない以前の電圧以上であるとき、前記複数の電圧の2つの直近に印加した電圧を前記メモリデバイスから解放すること(ステップ)と、
前記現在の電圧が(i)低下しており、(ii)前記複数の電圧の前記2番目に直近に印加されかつ解放されていない以前の電圧以下であるとき、前記複数の電圧の2つの直近に印加した電圧を前記メモリデバイスから解放すること(ステップ)と
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記指定される上り傾斜電圧は、第1の出力値範囲に沿って所望の質量流量をもたらすようになされる電圧を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つのヒステリシス調節電圧は、
第1の上り傾斜終止電圧未満の複数の上り傾斜電圧について、下り傾斜電圧の範囲と上り傾斜電圧の範囲との間の複数の第1の電圧差を測定し、
複数の第1の上り傾斜電圧の変化のうちの1つに、前記測定した複数の第1の電圧差のそれぞれを相関させ、
所望の流量を入力し、
前記所望の流量に相関する第2の上り傾斜電圧を得るために、第1の近似式を使用し、
前記第2の上り傾斜電圧と第1の上り傾斜終止電圧との間の第2の電圧差を求め、
前記第2の電圧に相関するヒステリシス調節電圧を得るために、第2の近似式を使用する
ことによって得られる、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのヒステリシス調節電圧を得るために、ファームウェア、ソフトウェア、およびハードウェアのうちの少なくとも1つを実装すること(ステップ)をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の近似式と前記第2の近似式とが同じである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記現在の電圧が0であるとき、全ての終止方向電圧(final direction voltage)を前記メモリデバイスから解放すること(ステップ)をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
1つまたは複数のヒステリシス調節電圧は、負電圧を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記質量流量コントローラから、実際のガス流量を有するガスを放出すること(ステップ)であって、前記実際の質量流量は前記所望の質量流量の2パーセントの範囲内にある、放出すること(ステップ)をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項17】
指定されるフィードフォワード電圧は、(i)前記質量流量コントローラにより前記ガスの前記流量を変えること、および(ii)変化するガス圧力の下、前記質量流量コントローラにより前記ガスの前記流量を維持することのうちの少なくとも1つのために印加される、
請求項8に記載の方法。
【請求項18】
ガスの流動経路と、
前記ガスの流動経路に流れるガスの流量を制御するようになされるヒステリシス制御バルブと、
前記制御バルブに信号を発するようになされる制御モジュールであって、前記信号は(i)ガスが所望の質量流量で前記ガスの流動経路に流れることができるように前記制御バルブを調節し、(ii)バルブのヒステリシスを補償するように構成される、制御モジュールと
を備える、質量流量コントローラ。
【請求項19】
前記制御信号には、要求される制御信号電圧および補償電圧が含まれる、請求項18に記載の質量流量コントローラ。
【請求項20】
前記制御モジュールは、デジタルコントローラおよびメモリデバイスのうちの少なくとも1つを含む、請求項18に記載の質量流量コントローラ。
【請求項21】
前記信号には電圧が含まれ、
前記制御モジュールは、少なくとも1つのヒステリシス調節電圧を実装する公式を利用するようにさらになされる、
請求項18に記載の質量流量コントローラ。
【請求項1】
デバイスの出力に応じてヒステリシスを特徴付ける方法であって、
第1の入力信号範囲にわたる入力信号をデバイスに適用すること(ステップ)であって、前記入力信号は、前記第1の入力信号範囲に依拠する第1の出力値範囲を伴う第1の出力を有するデバイスの機能を誘発する、適用すること(ステップ)と、
前記入力信号を第2の入力信号範囲にわたって前記デバイスに適用すること(ステップ)であって、前記入力信号は、(i)前記第2の入力信号範囲および(ii)デバイスのヒステリシスに依拠する第2の出力値範囲を伴う第2の出力を有する前記デバイスの機能を誘発する、適用すること(ステップ)と、
前記第1の出力値範囲および前記第2の出力値範囲にわたり、前記第2の入力信号範囲と前記第1の入力信号範囲との差を測定すること(ステップ)と
を含む、方法。
【請求項2】
前記デバイスには質量流量コントローラバルブが含まれ、
前記入力信号には電圧が含まれ、
前記第1の入力信号範囲には、連続的に上昇する電圧の範囲が含まれ、
デバイスの機能を誘発することには、質量流量コントローラバルブの変位量の変化を誘発することが含まれ、
前記第2の入力信号範囲には、連続的に低下する電圧の範囲が含まれ、
前記第1の出力および前記第2の出力にはガス流量が含まれ、
前記第2の入力信号範囲と前記第1の入力信号範囲との差を測定すること(ステップ)は、複数のガス流量について、複数の第2の入力信号値から複数の第1の入力信号値を減算することにより、複数のヒステリシス調節電圧を造り出すこと(ステップ)を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記質量流量コントローラバルブには、圧電アクチュエータが含まれる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記連続的に上昇する電圧の範囲は、
0ボルトの開始電圧と、
電圧における一連の段階的上昇と、
第1の転換点からなる終止電圧と
を含み、
前記連続的に低下する電圧の範囲は、
前記第1の転換点からなる開始電圧と、
電圧における一連の段階的低下と、
0ボルトからなる終止電圧と
を含み、
前記複数のガス流量は、最大ガス流量未満である、
請求項2に記載の方法。
【請求項5】
複数のヒステリシス調節電圧を造り出すこと(ステップ)は、
1つまたは複数の所望の流量を決定すること(ステップ)と、
前記1つまたは複数の所望の流量に対応する1つまたは複数の上り傾斜電圧を得るために、第1の近似式を使用すること(ステップ)と、
前記1つまたは複数の上り傾斜電圧と、以前印加した上り傾斜電圧との差を求めること(ステップ)と、
前記1つまたは複数の上り傾斜電圧と、前記以前印加した上り傾斜電圧との差に対応する電圧を得るために、第2の近似式を使用すること(ステップ)と
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記連続的に上昇する電圧の範囲は、質量流量コントローラにより前記ガス流量を連続的に増加させるようになされ、
前記連続的に低下する電圧の範囲は、質量流量コントローラにより前記ガス流量を連続的に減少させるようになされ、
前記バルブの変位量を測定すること(ステップ)と、
前記バルブの変位量にガス流量を相関させること(ステップ)と
をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記複数のヒステリシス調節電圧、および前記第1の転換点からの関連する電圧の変化をメモリデバイスに記憶すること(ステップ)をさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
質量流量コントローラバルブを動作させる方法であって、
複数の電圧を前記質量流量コントローラバルブに逐次的に印加すること(ステップ)を含み、
前記複数の電圧は、質量流量コントローラにより1つまたは複数の所望の質量流量を得るために前記バルブを調節するようになされ、
前記複数の電圧のうちの少なくとも1つは調節済み電圧を含み、前記調節済み電圧は、(i)指定される上り傾斜電圧と、(ii)所望のガス流量を得るための少なくとも1つのヒステリシス調節電圧との合計からなる、方法。
【請求項9】
前記印加する複数の電圧および前記少なくとも1つのヒステリシス調節電圧のそれぞれの値をメモリデバイスに記憶すること(ステップ)と、
前記質量流量コントローラバルブに現在の電圧を印加すること(ステップ)と、
前記現在の電圧が(i)上昇しており、(ii)前記複数の電圧のうちの2番目に直近に印加されかつ解放されていない以前の電圧以上であるとき、前記複数の電圧の2つの直近に印加した電圧を前記メモリデバイスから解放すること(ステップ)と、
前記現在の電圧が(i)低下しており、(ii)前記複数の電圧の前記2番目に直近に印加されかつ解放されていない以前の電圧以下であるとき、前記複数の電圧の2つの直近に印加した電圧を前記メモリデバイスから解放すること(ステップ)と
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記指定される上り傾斜電圧は、第1の出力値範囲に沿って所望の質量流量をもたらすようになされる電圧を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つのヒステリシス調節電圧は、
第1の上り傾斜終止電圧未満の複数の上り傾斜電圧について、下り傾斜電圧の範囲と上り傾斜電圧の範囲との間の複数の第1の電圧差を測定し、
複数の第1の上り傾斜電圧の変化のうちの1つに、前記測定した複数の第1の電圧差のそれぞれを相関させ、
所望の流量を入力し、
前記所望の流量に相関する第2の上り傾斜電圧を得るために、第1の近似式を使用し、
前記第2の上り傾斜電圧と第1の上り傾斜終止電圧との間の第2の電圧差を求め、
前記第2の電圧に相関するヒステリシス調節電圧を得るために、第2の近似式を使用する
ことによって得られる、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのヒステリシス調節電圧を得るために、ファームウェア、ソフトウェア、およびハードウェアのうちの少なくとも1つを実装すること(ステップ)をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の近似式と前記第2の近似式とが同じである、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記現在の電圧が0であるとき、全ての終止方向電圧(final direction voltage)を前記メモリデバイスから解放すること(ステップ)をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
1つまたは複数のヒステリシス調節電圧は、負電圧を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
前記質量流量コントローラから、実際のガス流量を有するガスを放出すること(ステップ)であって、前記実際の質量流量は前記所望の質量流量の2パーセントの範囲内にある、放出すること(ステップ)をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項17】
指定されるフィードフォワード電圧は、(i)前記質量流量コントローラにより前記ガスの前記流量を変えること、および(ii)変化するガス圧力の下、前記質量流量コントローラにより前記ガスの前記流量を維持することのうちの少なくとも1つのために印加される、
請求項8に記載の方法。
【請求項18】
ガスの流動経路と、
前記ガスの流動経路に流れるガスの流量を制御するようになされるヒステリシス制御バルブと、
前記制御バルブに信号を発するようになされる制御モジュールであって、前記信号は(i)ガスが所望の質量流量で前記ガスの流動経路に流れることができるように前記制御バルブを調節し、(ii)バルブのヒステリシスを補償するように構成される、制御モジュールと
を備える、質量流量コントローラ。
【請求項19】
前記制御信号には、要求される制御信号電圧および補償電圧が含まれる、請求項18に記載の質量流量コントローラ。
【請求項20】
前記制御モジュールは、デジタルコントローラおよびメモリデバイスのうちの少なくとも1つを含む、請求項18に記載の質量流量コントローラ。
【請求項21】
前記信号には電圧が含まれ、
前記制御モジュールは、少なくとも1つのヒステリシス調節電圧を実装する公式を利用するようにさらになされる、
請求項18に記載の質量流量コントローラ。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【公表番号】特表2012−515958(P2012−515958A)
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546441(P2011−546441)
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/021493
【国際公開番号】WO2010/085482
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000005083)日立金属株式会社 (2,051)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月20日(2010.1.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/021493
【国際公開番号】WO2010/085482
【国際公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【出願人】(000005083)日立金属株式会社 (2,051)
【Fターム(参考)】
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