説明

赤外線除去フィルタ認識装置

【課題】赤外線除去フィルタの形状(外形)の認識(識別)が確実にできる赤外線除去フィルタ認識装置を提供すること。
【解決手段】本発明の赤外線除去フィルタ認識装置において、保持板11と赤外線除去フィルタ7が赤外光を含んでいる光源20aの照明光によって照明されるようになっているため、赤外線除去フィルタ7外に位置する保持板11(間隔T部分)は赤外光がカットされず、照明光の減少が無く、また、赤外線除去フィルタ7の位置では赤外光を吸収して、照明光が減少し、このため、赤外線除去フィルタ7と保持板11との間のコントラストの差が大きくなって、カメラ18による赤外線除去フィルタ7の外形の認識(識別)が確実になると共に、画像処理部への外形情報入力の確実(明瞭な情報)なものが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カメラモジュールの組立装置に使用され、ケースへの赤外線除去フィルムの組込用に適用される赤外線除去フィルタ認識装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の赤外線除去フィルタの組込装置を説明する前に、ここで、赤外線除去フィルタが使用される一例として、図1に示すカメラモジュール(例えば、特許文献1参照)の構成を説明すると、筒状の保持部材1は、段差を持って形成された筒状のケース2と、このケース2の前面に螺合されたキャップ3とで構成されている。
【0003】
ケース2の前方部には、レンズ4がキャップ3によって取り付けられると共に、ケース2の後方部には、撮像素子5を支持した絶縁基板6が接着によって取り付けられ、また、レンズ4と撮像素子5との間のケース2内には、赤外線除去フィルム7が接着等によって取り付けられて、カメラモジュールが構成されている(例えば、参考文献1参照)。
【0004】
このような構成を有するカメラモジュールの組立装置にあっては、ケース2への赤外線除去フィルム7の組込装置が使用されるが、従来の赤外線除去フィルム7の組込装置は、ここでは図示しないが、複数の赤外線除去フィルム7が保持板(図示せず)に格子状に貼着されたものを用意し、吸着手段によって赤外線除去フィルタ7が保持板から1つずつ剥がされて、吸着手段によって赤外線除去フィルタ7がケース2まで搬送され、且つケース2内に挿入されるようになっている。
【0005】
即ち、従来の赤外線除去フィルム7の組込装置は、吸着手段が保持板上に一定の間隔(格子状)に配置された赤外線除去フィルタに沿って一定間隔で変位して、赤外線除去フィルタを順次吸着、搬送、挿入するようになっている。
【0006】
しかし近年、カメラモジュールの小型化の要求によって、ケース2や赤外線除去フィルタ7も小型にする必要があるが、ケース2や赤外線除去フィルタ7が小型化されると、赤外線除去フィルム7の組込装置において、赤外線除去フィルタ7をケース2内に組込する際に精度の良いものが要求される。
【0007】
そこで、赤外線除去フィルタ7の組込精度を上げるために、カメラを用いて赤外線除去フィルタ7の形状を画像認識することによって、赤外線除去フィルタ7の組込精度を良くする方法が考えられる。
【0008】
このように、カメラを用いて部品の画像認識するものとしては、従来、電子部品装着装置(例えば、特許文献2参照)に開示されているものが存在するが、この構成(ここでは図示せず)は、X,Y,Z方向に移動可能な部品吸着手段によって保持された部品が下方から白色光の照明手段によって照明されると共に、照明された移動途上にある部品が上方からCCDカメラによって撮影されて、部品の形状が画像認識され、これによって、部品が画像認識で補正された位置に搬送されるようになっている。
【特許文献1】特開2006−270569号公報
【特許文献2】特開平5−6911号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、このような電子部品装着装置に見られる画像認識構成を赤外線除去フィルタの形状認識装置に適用した場合、保持板上に貼着された赤外線除去フィルタ7が白色光の照明手段によって保持板の下面側から照明されるため、赤外線除去フィルタ7、及び赤外線除去フィルタ7間に位置する保持板は、白色となって、CCDカメラによる赤外線除去フィルタ7の外形の認識(識別)ができないという問題がある。
【0010】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、赤外線除去フィルタの形状(外形)の認識(識別)が確実にできる赤外線除去フィルタ認識装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の赤外線除去フィルタ認識装置は、透光性の保持板上に所定間隔をなして搭載された複数の赤外線除去フィルタと、赤外線除去フィルタの形状を撮影可能で、保持板の赤外線除去フィルタが搭載された第1面側に配置されたカメラと、保持板の赤外線除去フィルタが搭載されていない第2面側に配置され、第2面側からカメラに向かって照明する光源とを備え、光源の照明光が赤外光を含んでいることを特徴としている。
【0012】
このように構成した本発明は、保持板と赤外線除去フィルタが赤外光を含んでいる光源の照明光によって照明されるようになっているため、赤外線除去フィルタ外に位置する保持板(間隔T部分)は赤外光がカットされず、照明光の減少が無く、また、赤外線除去フィルタの位置では赤外光を吸収して、照明光が減少し、このため、赤外線除去フィルタと保持板との間のコントラストの差が大きくなって、カメラによる赤外線除去フィルタの外形の認識(識別)が確実になると共に、画像処理部への外形情報入力の確実(明瞭な情報)なものが得られる。
【0013】
また、このように画像処理部への外形情報入力が確実(明瞭な情報)になると、小型化された赤外線除去フィルタをケース内に組込する際、画像処理部への外形情報入力を基準に吸着手段の位置を補正するような場合に、その補正が正確に行えて、ケース内への赤外線除去フィルタの位置の正確なものが得られる。
【0014】
また、本発明の赤外線除去フィルタ認識装置は、上記発明において、カメラが白黒カメラであると共に、光源が可視光と赤外光を含む赤色LEDであることを特徴としている。
【0015】
このように構成した本発明は、白黒カメラ、及び赤色LEDを使用することによって、認識装置を安価にすることができる。
【0016】
また、本発明の赤外線除去フィルタ認識装置は、上記発明において、光源が赤外線光源であると共に、カメラが赤外光を認識可能なカメラであることを特徴としている。
【0017】
このように構成した本発明は、赤外光の認識可能なカメラを使用することによって、赤外線除去フィルタ外に位置する保持板(間隔T部分)を通る赤外光と、赤外線除去フィルタによる赤外光除去との区分を認識(識別)できるため、赤外線認識カメラによる赤外線除去フィルタの外形の認識(識別)が確実になると共に、画像処理部への外形情報入力の確実(明瞭な情報)なものが得られる。
【0018】
また、本発明の赤外線除去フィルタ認識装置は、上記発明において、複数の赤外線除去フィルタが保持板に格子状に配列されると共に、光源が複数のLEDを集約したLEDアレイであることを特徴としている。
【0019】
このように構成した本発明は、格子状に配列した赤外線除去フィルタとLEDアレイの存在によって、多数の赤外線除去フィルタがLEDアレイによって照明できて、安価な認識装置が提供できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の赤外線除去フィルタ認識装置は、保持板と赤外線除去フィルタが赤外光を含んでいる光源の照明光によって照明されるようになっているため、赤外線除去フィルタ外に位置する保持板(間隔T部分)は赤外光がカットされず、照明光の減少が無く、また、赤外線除去フィルタの位置では赤外光を吸収して、照明光が減少し、このため、赤外線除去フィルタと保持板との間のコントラストの差が大きくなって、カメラによる赤外線除去フィルタの外形の認識(識別)が確実になると共に、画像処理部への外形情報入力の確実(明瞭な情報)なものが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1はカメラモジュールの要部断面図、図2は本発明の赤外線除去フィルタ認識装置の概要を示す平面図、図3は本発明の赤外線除去フィルタ認識装置の概要を示す一部断面側面図、図4は本発明の赤外線除去フィルタ認識装置の要部の拡大断面図、図5は本発明の赤外線除去フィルタ認識装置に使用される赤外線除去フィルタの配列を示す拡大平面図である。
【0022】
本発明の赤外線除去フィルタ認識装置が使用されるカメラモジュールは、図1に示す通りであり、このカメラモジュールの構成は、先に記述した通りであるので、ここではその説明を省略する。
【0023】
次に、このような構成を有するカメラモジュールの組立装置にあっては、ケース2への赤外線除去フィルム7の組込用に適用される赤外線除去フィルタ認識装置が使用されるが、次に、本発明の赤外線除去フィルタ認識装置の構成を図2〜図5に基づいて説明する。
【0024】
先ず、図2〜図5に示すように、フィルム等からなる透光性の保持板11と、この保持板11の一面側(上面側)である第1面側11aに、所定の間隔Tを持って格子状に貼着(搭載)された赤外線除去フィルタ7とが用意され、しかる後、これ等の個々の赤外線除去フィルタ7の良否が両面側から顕微鏡によって検査される。
【0025】
即ち、赤外線除去フィルタ7は、保持板11の第1面側11aに貼着された状態で、保持板11に貼着されていない側と、貼着されている側の双方が検査されて、損傷等があって不合格となった貼着されていない側では、赤外線除去フィルタ7上に、また、損傷等があって不合格となった貼着されている側では、貼着面(第1面側11a)と反対側(第2面側11b)の保持板11上に、油性インク等によってバッドマーク(不良記号)Mが記載される。
【0026】
また、図2〜図4に示すように、本発明の赤外線除去フィルタ認識装置は、設置台12に取り付けられた第1の支持部材13を有し、この第1の支持部材13には、矢印X方向に可動する第1の可動体14が取り付けられると共に、第1の可動体14には、赤外線除去フィルタ7を上方にした状態で、保持板11が保持されている。
【0027】
前記設置台12には、第2の支持部材15が取り付けられ、この第2の支持部材15には、矢印Y方向に可動する第2の可動体16が移動可能に取り付けられると共に、この第2の可動体16には、矢印Z方向に可動する第3の可動体17が移動可能に取り付けられて、これ等の第1,第2,第3の可動体14,16,17によって、ロボットが構成されている。
【0028】
また、第2の可動体16には、カラー、或いは白黒のCCDカメラ18が取り付けられ、第3の可動体17には、ノズル19aを有する吸着手段19が取り付けられ、カメラ18によって赤外線除去フィルム7の形状(外形)が上方から撮影可能になると共に、吸着手段19によって赤外線除去フィルム7が上方側に剥がし可能になっている。
【0029】
更に、第1の可動体14の下部には、照明光が赤外光を含む赤色の光源20aとこの光源20aの光を拡散する拡散部材20bとからなる照明手段20が配置され、この照明手段20によって、赤外線除去フィルタ7が貼着されていない保持板11の第2面側11bからカメラ18に向かって照明するようになると共に、照明手段20は、矢印Y1方向に移動可能に取り付けられた照明可動体21に保持されている。
【0030】
なお、この実施形態における光源20aは、複数のLEDが集約された赤色のLEDアレイで示している。
【0031】
更に又、設置台12上には、これを横切るようにコンベア等からなる搬送手段22が設置され、この搬送手段22によって、カメラモジュールのケース2を保持した搬送体23が矢印X方向に搬送されるようになっている。
【0032】
次に、本発明の赤外線除去フィルタ認識装置の動作を説明すると、先ず、第1の可動体14には、赤外線除去フィルタ7を貼着した保持板11が取り付けられると共に、可視光と赤外光を含む赤色LEDからなる光源20a(照明手段20)によって、保持板11の第2面側11bが第1の可動体14の孔14aを通して照明される。
【0033】
すると、保持板11を通った照明光は、間隔Tと赤外線除去フィルタ7を通ってカメラ18に向かって放出され、そして、赤外線除去フィルタ7を照明する照明光は、赤外光を含んでおり、この赤外光を含んだ照明光が赤外線除去フィルタ7を通ると、赤外線除去フィルタ7によって赤外光が吸収されて、照明光が減少し、また、赤外線除去フィルタ7外に位置する保持板11(間隔T部分)は赤外光がカットされず、従って、照明光の減少が無く、このため、赤外線除去フィルタ7と保持板11との間のコントラストの差が大きくなる。
【0034】
このように、赤外線除去フィルタ7と保持板11との間のコントラストの差が大きな照明光がカメラ18に向かって放出された状態で、カメラ18によって赤外線除去フィルタ7の形状(外形)と間隔Tが撮影されるようになると共に、バッドマークMが存在する場合は、バッドマークMも撮影されるようになる。
【0035】
また、カメラ18によって撮影を行うための赤外線除去フィルタ7の選択は、第1の可動体14の矢印X方向の移動と、第2の可動体16の矢印Y方向の移動と、照明手段20を可動する照明可動体21の矢印Y1方向の移動とによって行われるようになっている。
【0036】
そして、カメラ18によって撮影された形状情報は、画像処理部(図示せず)に入力、処理されて、吸着手段20は、バッドマークMがある赤外線除去フィルタ7をスキップし、次の、バッドマークMのない赤外線除去フィルタ7を吸着する。
【0037】
このように、赤外線除去フィルタ7と保持板11との間のコントラストの差が大きくなると、カメラ18による赤外線除去フィルタ7の外形の認識(識別)が確実になると共に、画像処理部への外形情報入力の確実(明瞭な情報)なものが得られる。
【0038】
また近年、カメラモジュールの小型化が求められて、ケース2や赤外線除去フィルタ7が小さくなった場合、赤外線除去フィルタ7をケース2内に組込する際、赤外線除去フィルタ7に対する吸着手段19の吸着位置の正確なものが要求されるが、上述のように、カメラ18による赤外線除去フィルタ7の外形の認識(識別)が確実になると、画像処理部への外形情報入力が確実(明瞭な情報)になるため、例えば、外形情報を基準に吸着手段19の位置を補正するような場合において、その補正が正確に行えて、赤外線除去フィルタ7に対する吸着手段19の吸着位置の正確なものが得られる。
【0039】
このようにして、赤外線除去フィルタ7の認識(識別)後、第3の可動体17の矢印Z方向の移動によって、赤外線除去フィルタ7への吸着手段19の移動が行われた後、次に、第3の可動体17の移動に伴って、吸着手段19によって赤外線除去フィルタ7が保持板11から剥がされる。
【0040】
そして、赤外線除去フィルタ7を吸着した吸着手段19は、第2の可動体16の矢印Y方向の移動によって、ケース2を配置した搬送体23の位置まで運ばれた後、第3の可動体17の矢印Z方向の移動によって、赤外線除去フィルタ7が吸着手段19によってケース2内に組み込まれ、このようにして、赤外線除去フィルタ7の認識と組込が行われるようになっている。
【0041】
なお、カメラ18は、赤外光を認識可能なカメラを使用しても良く、この場合、光源20aを赤外線光源とし、赤外線除去フィルタ7外に位置する保持板11(間隔T部分)を通る赤外光と、赤外線除去フィルタ7による赤外光除去との区分を認識できるため、赤外線認識カメラによる赤外光除去フィルタ7の外形の認識(識別)が確実になると共に、画像処理部への外形情報入力の確実(明瞭な情報)なものが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】カメラモジュールの要部断面図である。
【図2】本発明の赤外線除去フィルタ認識装置の概要を示す平面図である。
【図3】本発明の赤外線除去フィルタ認識装置の概要を示す一部断面側面図である。
【図4】本発明の赤外線除去フィルタ認識装置の要部の拡大断面図である。
【図5】本発明の赤外線除去フィルタ認識装置に使用される赤外線除去フィルタの配列を示す拡大平面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 保持部材
2 ケース
3 キャップ
4 レンズ
5 撮像素子
6 絶縁基板
7 赤外線除去フィルタ
11 保持板
11a 第1面側
11b 第2面側
12 設置台
13 第1の支持部材
14 第1の可動体
14a 孔
15 第2の支持部材
16 第2の可動体
17 第3の可動体
18 カメラ
19 吸着手段
19a ノズル
20 照明手段
20a 光源
20b 拡散部材
21 照明可動体
22 搬送手段
23 搬送体
M バッドマーク
T 間隔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性の保持板上に所定間隔をなして搭載された複数の赤外線除去フィルタと、前記赤外線除去フィルタの形状を撮影可能で、前記保持板の前記赤外線除去フィルタが搭載された第1面側に配置されたカメラと、前記保持板の前記赤外線除去フィルタが搭載されていない第2面側に配置され、前記第2面側から前記カメラに向かって照明する光源とを備え、前記光源の照明光が赤外光を含んでいることを特徴とする赤外線除去フィルタ認識装置。
【請求項2】
前記カメラが白黒カメラであると共に、前記光源が可視光と赤外光を含む赤色LEDであることを特徴とする請求項1記載の赤外線除去フィルタ認識装置。
【請求項3】
前記光源が赤外線光源であると共に、前記カメラが赤外光を認識可能なカメラであることを特徴とする請求項1記載の赤外線除去フィルタ認識装置。
【請求項4】
複数の前記赤外線除去フィルタが前記保持板に格子状に配列されると共に、前記光源が複数のLEDを集約したLEDアレイであることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の赤外線除去フィルタ認識装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−165349(P2008−165349A)
【公開日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−352010(P2006−352010)
【出願日】平成18年12月27日(2006.12.27)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】