説明

赤血球を白血球減少させる装置

【課題】本発明は体外血液処理に関する。
【解決方法】赤血球採取および濾過のための方法および装置を提供する。赤血球採取組立体は、赤血球分離および採取手順と同時に或いはそのすぐに白血球減少濾過を行うようになっている。このような手順は、分離済み赤血球を、保存溶液でフィルタから流出させた後および/またはこれに先立って希釈状態で濾過することを含む。かくして、保存溶液は、RBCが濾過される前、RBCと共に及び/またはBCが濾過された後に白血球減少フィルタに通される。赤血球採取/濾過/保存組立体は好ましくは、例えば遠心容器およびドナーから血液を取出すための血液取出し/戻し組立体を有する血液成分分離用使い捨て組立体に予め連結され、血液を遠心容器に通し、血液を諸成分に分離し、分離された赤血球成分を採取し、濾過するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願に対するクロスリファレンス]
本出願は2001年12月10日に出願された(本文と一致しない程度に全体的に参照することによりここに組み入れられる)米国特許出願第60/339653の優先権を請求するものである。
【0002】
本発明は一般に血液成分採取に特に有用な体外血液処理方法および装置に関し、より詳細には、本発明は、好ましくは血漿交換装置で採取された赤血球を白血球減少させる方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
1つの周知な種類の体外血液処理は、採取または治療の目的で血液をドナーまたは患者(以後、ドナーと称する)から取出し、血液成分分離装置(例えば、遠心式)に差し向け、種々の血液成分の種類(例えば、赤血球、白血球、血小板、血漿)に分離する血漿交換装置を必要とする。これらの血液成分の種類の1つまたはそれ以上またはすべてが採取され、および/または保存するか或いは患者へ戻す前に治療目的で処理され、残り種類がドナーまたは患者に単に戻される。1つのこのような装置は赤血球のような興味ある特定の成分を採取し、他の血液成分種類のすべてをドナーに戻す装置である。
【0004】
多数の要因が血漿交換装置の商業的実行可能性に影響することがある。1つの要因は血漿交換装置を準備し、作動するのに個人の必要とされる時間および/または専門技術に関する。例えば、オペレータが採取手順全体を完了するのに必要とする時間を短縮し、ならびにこれらの行動の複雑さを減少させることにより、生産性を高め、および/またはオペレータの過失の可能性を低下することができる。しかも、オペレータへの装置の依存性を減少させることにより、これらの装置のオペレータのための望まれる/必要とされる信用証明が低下してしまう。
【0005】
また、ドナー関連の要因は血漿交換装置の商業的実行可能性に影響を与え、これらのドナー関連の要因としては、例えば、ドナーの便利性およびドナーの快適さがある。例えば、ドナー/患者は、献血または治療手順にかかわる時間量が制限されている。その結果、採取または処理設備において血液成分を採取したり処理したりするために実際に費やされる時間量は重要な考慮事項である。これは、実際の採取手順がいくらか不快にするときには、ドナーの快適さにも関係している。何故なら、この手順全体にわたって少なくとも1つおよびときどき2つのアクセス針をドナーに配置するからである。
【0006】
また、性能関係の要因は血漿交換装置の商業的実行可能性に影響する。性能は、製品の品質に影響するか、或いは品質を向上させ、および/または処理時間の量を短縮し、かくしてオペレータの負担を軽減し且つドナーの便利性を高める血漿交換装置の採取能率に関して判断される。装置の採取能率は、もちろん様々な方法で、例えば、血漿交換装置を通る特定の血液成分の種類に次いで採取されたその種類の量により測定される。また、性能は、血漿交換装置が種々の血液成分の種類に及ぼす効果に基づいて評価されてもよい。例えば、血漿交換手順の結果、血液成分の種類に対する悪効果(例えば、血小板活性化の減少)を最小化することが望ましい。
【0007】
他の性能関係の要因は採取された血液成分の最終品質である。例えば、赤血球が採取すべき成分であるなら、かかる赤血球が白血球の除去により白血球減少されることが一般に望ましい。白血球は採取された血液成分の最終受納者に問題をもたらすことがある。白血球を含有する輸血製品は免疫反応およびウイルス病を誘発することがある。従来、採取された血液製品または成分から白血球を除去するのにフィルタが使用されていた。例えば、米国特許第5,954,971号は、採取に先立って希釈された血液成分を濾過するためのフィルタを血漿交換装置に使用していることを開示している。他の別の方法も使用されてきており、これらの方法は一般に濾過に先立って採取された成分の予備冷却および/または夜通しの保存のような特別な予備工程を指示している。他の別の従来の濾過工程は、赤血球フィルタを介して処理すべき血液成分の残り部分の実質的な回収のために重要と思われた濾過手順の終了時に排気または空気取扱い/再循環または迂回である。白血球減少のために使用されている他の技術は白血球フィルタを通して赤血球を活発に圧送する技術である。しかしながら、かかる活発圧送の結果、赤血球が損傷し、かくして採取された成分の最終品質に影響する。また、血漿交換分離と関連して赤血球濾過のための装置および方法が米国特許出願第09/672,519号(2000年9月27日出願、共通所有)並びに米国特許出願第09/714,390号(2000年11月16日出願、共通所有)2、3に開示されている(これらの開示は参照により十分に記載されているかのようにここに組み入れられる)。更に、血漿交換赤血球分離および採取についての背景がPCT出願第WO99/11305号(これも参照によりここに組み入れられる)で見られる。
【発明の概要】
【0008】
本発明は一般に体外血液処理に関する。(例えば、後の輸血のために或いは治療上の「不健康な」血液成分除去のために「健康な」血球または他の血液成分がドナーの血液から除去される血液成分採取についてであろうとも)好ましくは、本発明の種々の面の各々が血漿交換装置に組み入れられるので、本発明をこのような血漿交換装置に好適に関連して説明する。血漿交換は、しばしばドナーへの或る血液成分の戻しを伴う。しかしながら、本発明の或る面は、すべての献血された血液成分が保持される体外血液処理用途に適しており、かかる用途も本発明の範囲内のものとする。
【0009】
本発明の1つまたはそれ以上の面に使用し得る血漿交換装置は一般に少なくとも血液成分分離装置(例えば、膜式分離装置および/またはロータとチャンネルとの組合せのような回転可能な遠心要素)を備えており、この血液成分分離装置は血液をその血液成分の種類(例えば、赤血球、白血球、血小板および/または血漿)に分離するのに必要とされる機構および/または力を与える。1つの好適な実施例では、分離装置は使い捨て血液処理容器を受入れる遠心チャンネルを有している。代表的には、ドナーまたはおそらく患者(以後、一括してドナーと称する)が体外配管回路により血液処理容器と繋がれ、好ましくは、血液処理容器および体外配管回路は共同して閉鎖無菌装置を構成する。流体相互連結が確立されると、採取または治療のために少なくとも1種類の血液成分が血液から分離され、除去されるように、血液はドナーまたは患者から取出され、血液成分分離装置に差し向けられる。
【0010】
本発明の一面は白血球減少された赤血球を与えるように使用される体外血液処理装置に関しており、この装置は、一実施例では、血液処理容器に隣接して連結されている1つまたはそれ以上の可撓性配管路と、分離済み赤血球のような選択された分離済み血液成分種類を濾過するための濾過装置とを有している使い捨て組立体を備えている。濾過装置は、好ましくは血液処理容器と採取容器との間に配置されている。一実施例では、多数組の対応する第1および第2配管路および採取容器が設けられており、これらの組の各々は血液成分を別体の採取容器に選択的に採取するようになっているか、或いはドナーの戻すようになっている。このような構成の使用によれば、血液成分分離装置に対して信頼できる方法で容易に取付けることができるコンパクトな使い捨て組立体が生じる。
【0011】
本発明の他の面は血漿交換血液処理装置を使用する赤血球の体外分離および採取に関する。より詳細には、このような分離および採取のための方法は、血液成分分離装置の血液処理容器内の血液から高いヘマトクリット値の赤血球を分離し、分離された赤血球の少なくとも一部を血液処理容器に予め連結された配管路とは別の赤血球採取容器内に採取することを含む。かかる赤血球は単独で分離されて採取されてもよく、或いは血小板および/または血漿のような他の血液成分の前または後、或いは他の血液成分と同時に分離されて採取されてもよい。本発明によれば、採取容器への赤血球の最終採取の前に、赤血球は濾過装置を介して濾過される。この濾過は好ましくは全体の分離手順中に起こるが、採取手順の開始後すぐにその一部として開始することもできる。それにもかかわらず、分離手順は連続方法でもバッチ方法でもよく、いずれの場合にも、濾過は、処理容器からの分離済みの高いヘマトクリット値の赤血球の取出し時、またはその後すぐに、より好ましくは全体の分離工程と同時に或いはその後すぐに起こる。連続分離工程では、この赤血球濾過は、処理容器からの分離済み赤血球の連続的な分離および取出し中に連続的に行うことができる。これに関連して、語「後」は分離容器における後分離のみを意味しており、分離工程全体を濾過に先立って完了しなければならないことを意味していない。
【0012】
本発明の更なる面は採取すべき赤血球成分を濾過するための白血球減少フィルタを有する血漿交換用使い捨て組立体に関する。この面と関連して、本発明は血液を成分に分離するための分離容器と、内部通路を持つ流体流れカセットと、分離容器からの赤血球の取出し時またはその後すぐに、より好ましくは全体の分離工程と同時に或いはその後すぐに分離済み赤血球を濾過するための白血球減少フィルタとを備えている予備連結式使い捨て組立体を提供する。以上のように、副詞修飾語「後」は完了すべき全分離工程全体を必要とせずに後分離のみを意味するものである。
【0013】
本発明の更に他の面は白血球減少フィルタを有する予備連結式使い捨て組立体を使用するための方法に関する。この方法は一般に、ドナーの血液からの赤血球の分離後、短い時間内で分離済み赤血球をフィルタに押し通すことを含む。一実施例では、分離済み赤血球はフィルタに無抵抗的に押し通される。この方法の他の面は、フィルタを通って流れる前に、および/または濾過中の赤血球および/または白血球減少フィルタによる濾過完了後の赤血球と共に、添加剤または保存溶液を白血球減少フィルタを通してリンスするか或いは流す。
【0014】
他の面では、分離済み赤血球は血漿交換装置における分離後に存在するときに高いヘマトクリット値の状態で濾過されてもよい。ここでも、濾過は全体血漿交換方法中またはその後すぐに行ってもよい。以上のように、語句「分離後」は全体分離工程の完了を必要としない。かかる濾過前および/または中および/または後に添加剤/保存溶液を赤血球に添加してもよく、好ましくは添加する。かくして、添加剤/保存溶液は赤血球を濾過した後にフィルタを通して流されてもよい。一実施例では、添加剤/保存溶液はフィルタに押し通され、他の実施例では、添加剤/保存溶液はフィルタに重力供給され、更に他の実施例では、添加剤/保存溶液は別のポンプを介してフィルタを通して圧送されてもよい。保存溶液を加圧するための別の装置を使用してもよく、これらの方法は特に採取される赤血球に対する保存溶液の所望の比例的な流れをもたらすように弁および選択自由の流量計または流体検出器を有してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に使用することができる血漿交換装置の一実施例の概略図である。
【図2】本発明に従って図1の装置に使用する体外配管回路、カセット組立体およびフィルタ/採取バッグ組立体を有する配管/バッグセットを示す図である。
【図3】図2のセットに示すものと同様なカセット組立体を示す図である。
【図4】図2のセットに示すものと同様なフィルタ/採取バッグ組立体を示す図である。
【図5】図2に示すもののような配管/バッグセットに有用な別のフィルタ/採取バッグ組立体を示す図である。
【図6】図2に示すもののような配管/バッグセットに有用な別のフィルタ/採取バッグ組立体を示す図である。
【図7】本発明による血漿交換装置の概略図である。
【図8】本発明による別の血漿交換装置の概略図である。
【図9】本発明による別の血漿交換装置の概略図である。
【図10】図1、図2および図3に示すもののような配管/バッグセットに使用し得る別のカセット組立体の部分等角投影図である。
【図11】別の血液処理容器/保存または添加剤溶液組立体を備えている以外、図2と同様な配管/バッグ組立体を示す図である。
【図12】別の保存または添加剤溶液組立体を備えている以外、図10と同様な配管/バッグ組立体を示す図である。
【図13】他の保存または添加剤溶液組立体を備えている以外、図10および図11と同様な装置を示す図である。
【図14】他の保存または添加剤溶液組立体および追加の塩水溶液組立体を備えている以外、図10と同様な更に他の装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明をその適切な特徴を示すのを助ける添付図面と関連して説明する。一般に、本発明の主な面は血液血漿交換装置に使用する副組立体またはその手順上および構造上の改良に関する。しかしながら、これらの改良のいくつかはいずれかの血液成分がドナーに直接戻されるようと戻されまいといずれにしても他の体外血液処理用途に適用可能であり、これらも本発明の範囲内である。
【0017】
本発明で使用するための好適な血液血漿交換装置2が図1に概略的に示されている。この装置2は好ましくは連続血液成分分離方法に対処している。一般に、血液全体がドナー4から抜取られ、実質的に連続して血液成分分離装置6に供給され、そこで血液は連続して種々の成分種類に分離され、これらの成分種類のうちの少なくとも1つまたはそれ以上が好ましくは連続して装置6に採取される。次いで、分離された血液成分のうちの1つまたはそれ以上が採取および輸血を介して他の人によるその後の使用に供されか、或いは採取されないでドナー4に戻される。或る分離血液成分の治療上の処理および即座に近い戻しもまた実行可能なさほど一般的でない別の用途である。また、治療上の処理のために、血液は後述のように患者のベッドのそばで患者へ戻すために本発明の原理を使用してろ過で成分に分離されてもよいこともわかるであろう。
【0018】
血液血漿交換装置2において、血液はドナー4から抜取られ、閉鎖無菌使い捨て装置を構成する対外配管回路10および一実施例では対外処理器を有している予備連結バッグ/配管装置8に通される。この装置8は好ましくは使い捨て可能であり、血液成分分離装置6に設けられるようになっている。分離装置6は好ましくは対外配管回路10とインターファース接続するためのポンプ/弁/センサ/組立体1000と、使い捨て血液処理容器352とインターファース接続するためのチャンネル組立体200とを備えている。
【0019】
チャンネル組立体200は、遠心分離により血液をその種々の成分に分離するのに必要とされる遠心力を与える回転可能な遠心ロー多組立体568と回転可能に相互連結されているチャンネルハウジング204を備えている。血液処理容器352はチャンネルハウジング204内に相互嵌合されている。かくして上記のように連結されると、血液を実質的に連続してドナー4から体外配管回路10を通して回転血液処理容器352に流入させることができる。血液処理容器352内の血液は連続的に種々の血液成分種類に分離され、これらの血液成分種類うちの少なくとも1種類が(例えば、血小板、血漿または赤血球)好ましくは連続的に血液処理容器352から取出される。採取または治療処理ために保持されていない血液成分(例えば、血小板および/または血漿)が好ましくは血液処理容器352から取出され、対外配管回路10を経てドナー4に戻される。なお、血液成分がドナーに戻されるか戻されないかいずれにしても、或いは戻されなくても、バッチ処理装置(全血液の非連続流入および/または分離された血液成分の非連続流出)または小規模のバッチ式または連続的RBC/血漿分離装置を含めて、種々の別の血漿交換装置(図示せず)もまた本発明を使用し得る。
【0020】
血液成分分離装置6の作動は好ましくはそれに含まれる1つまたはそれ以上の処理器により制御され、血液成分分離装置6は有利には常時増加しているPCユーザー設備(例えば、CDROM、モデム、オーディオ、ネットワークおよび他の可能設備)とのインターフェースを受入れるために複数の埋込みコンピュータ処理器を備えている。これに関連して、血漿交換装置2の作動の種々の面で血漿交換装置2のオペレータを補助するために、好ましくは、血液成分分離装置6は好ましくは相互作用トーチスクリーン664とのグラフィカルインターフェース660を備えている。
【0021】
ガンブロトリマ(商標名)装置およびトリマ(商標名)アクセル(商標名)装置(関連会社から本願の譲受人、コロラド、レークウッドのガンブロBCT社へ譲渡)のような好適な血漿交換装置の作動に関する更なる詳細が中でも例えばWO99/11305および米国特許第5,653,887号、第5,676,644号、第5,702,357号、第5,720,716号、第5,722,946号、第5,738,644号、第5,750,025号、第5,795,317号、第5,837,150号、第5,919,154号、第5,921,950号、第5,941,842号および第6,129,656号に見られる。これらの開示はまるで十分に記載されているようにここに組入れられる。例えば、バックスターCS3000(商標名)および/またはアミカス(商標名)および/またはオートフェレシスーC(登録商標)および/またはアルブクス装置、および/またはハエモネチックスMCS(商標名)またはMCS(商標名)+および/またはフレセニウスCOM.TEC(商標名)またはAS-104(商標名)および/または同様な装置のような複数の他の公知の血漿交換装置もまた有用である。
【0022】
使い捨て装置:対外配管回路。
【0023】
図2、図3および図4に示すように、予め連結された体外配管回路10が示されており、この体外配管回路10はカセット組立体110と、これと相互連結された複数の配管/採取組立体20、50、60、100、90、950、980とを有している。好ましくは、血液取出し/戻し配管組立体20がドナー4と配管回路10の残部との間の単一針式インターフェースをなしている(しかし、2針式構成(図示せず)を使用してもよい)。好ましくは、血液をドナーから取出したりドナーに戻したりするための少なくとも2つの管路22、24が組立体20に設けられている(図3参照)。この実施例はカセット組立体110を有しており、このカセット組立体110は、これにドナーを繋ぐ配管組立体20と、カセット組立体110と血液処理容器352との間のインターフェースをなす血液流入/血液成分配管副組立体60との間に連結されている。血液および成分を処理器352へおよびから搬送するための3つの管路62、64、68が図2および図3に示されている。この実施例では、凝固防止剤配管組立体50、血漿採取配管/バッグ組立体90、赤血球採取組立体950、ベントバッグ配管副組立体100および添加剤溶液組立体980もまたカセット組立体110と連結されている。わかるように、体外配管回路10および血液処理容器352は好ましくは組み合わせで一回使用のための閉鎖された予備殺菌済み使い捨て組立体を生じるように予め相互連結されている。
【0024】
以上に挙げた特許の開示は本発明で使用するための血漿交換装置の多くの更なる詳細を含んでいる。かかる詳細は、特に赤血球(以後、RBCと称する)採取方法および/または他のRBC方法に関する詳細のうちの幾つか以外はここでは繰返さない。他の血液成分分離および採取方法を、本開示の特徴に含まれるか或いは多少関連する種々の箇所で論じている。
【0025】
特定の例については、カセット組立体110のカセット115の一体RBC通路170と連結されている血液流入/血液成分配管組立体60のRBC流出配管路64が処理器352から出ている(図2および図3参照)。一体RBC通路170は第1および第2スパー170a、170bを有している。第1スパー170aはRBCをドナー4に戻すためにRBC戻し配管ループ172と連結されている。かかる目的で、RBC戻し配管ループ172は好ましくはカセット組立体110の血液戻し溜め部150の頂部に連結されている。第2スパー170bは、ここでは好ましいように、使用中、RBCを採取するためのRBC採取配管組立体950(例えば、図2、図3および図4参照)と連結されてもよい。RBC採取配管/バッグ組立体950は好ましくはスパー170bと連通しているRBC採取配管路951と、この管路951と連通している第2採取配管路952と、RBC白血球減少フィルタ960を有するRBC濾過服組立体と、RBC採取溜め部またはバッグ954と、空気除去バッグ962とを有している。バッグ954は配管路965によりフィルタ960に連結されている。管路965に任意のクランプ966(図4参照)を設けてもよい。空気除去バッグ962は任意のクランプ963(図4参照)を取付けていてもよい配管路961によりRBC採取バッグ954に取付けられている。RBC採取配管路/フィルタ/容器副組立体950は好ましくは使い捨て組立体8/10の予備連結部分である。
【0026】
別の配管セットフィルタ/採取バッグ組立体950aが図5に示されており、この組立体950aは、分岐配管路965aを通り連結部991のY形部を経てフィルタ960に連結された第2採取バッグ954aを有している。好ましくは、更なる空気バッグ962aが配管路961aを経て第2バッグ954aに連結されている。流れを所望のバッグに差し向けるのに摺動クランプ966a、966bが使用される。
【0027】
更にべつの実施例が図6に示されており、この実施例は、関連構成要素(例えば、空気バッグ962aなど)を有する第2採取バッグ954aと、バッグ954aと流入管路952との間に管路952a、965aをたて連結されている前記フィルタ960に加えて第2フィルタ960aとを有している組立体950bである。分岐コネクタすなわちY字形コネクタ991aにより、分岐管952aと、第1フィルタ960に通じる分岐管952bとの間に分割流れを生じる。また、摺動クランプ966a、966bを使用して流れをそれぞれのフィルタに差し向けてもよい。
【0028】
図1に示す実施例は連結された一対の添加剤溶液バッグ970を有しているが、図2および図3の別の実施例は、後で更に詳細に述べるように、好ましくは無菌塩水溶液または添加剤血漿または添加剤保存溶液のような添加剤流体を例えばバッグ装置950内の採取製品に取付けて供給するための添加剤流体配管組立体980を有している。図2および図3に示すように、添加剤流体組立体980は内部添加剤流体通路140cと流体連通状態でカセット110に取付けられている少なくとも1つの添加剤流体流入配管路982を有しており、前記内部添加剤流体通路140cはカセット110および内部添加剤流体通路140dに連結されている添加剤流体配管ループ142に連結されている。2つの更なる内部通路またはスパー144c、144dおよび配管145、146も図2および図3の別の実施例に示されている。これらの通路140c、140d、144c、144dおよび配管ループ/配管142、145、146は図示のように、好ましくは以上で参照した米国特許の多くに記載の血小板通路に構造上類似しているが、同様に他の形態をとってもよい。実際、図2および図3の実施例の別の内部通路144d、145は、図示のように、その中の、またはそれを通るいずれの流体の流れをも許容しないように遮断されてもよい。なお、この実施例では、これらの通路に流出配管路が連結されていないが、これらの流れチャンネルは当業界で理解されているように血小板または他の血液成分の採取管路と対応することができ、以下に図10について述べる血小板採取組立体と関連して別の用途を参照せよ。図2および図3の実施例についての場合、多くの面で構造上同様であるが、その構成要素を血小板組立体構成要素とは対照的に添加剤流体要素と称する。血小板組立体または添加剤流体組立体と関連して適用することができる他の構成要素にもこの別の命名手法を使用し、例えば、以後、(当業界で説明されている)血小板または添加剤流体流入ポンプを添加剤溶液ポンプと称する。なお、1つの更なる相違点はコネクタ979を経て配管路951、952への配管コネクタ146の連結である。
【0029】
添加剤流体組立体980は更に好ましくは、夫々のスパイク985a、985bを持つ(図示のように)1つまたはそれ以上のスパイク組立体984a、984bと、関連バリア層地986a、986bと、図示のようにY字形コネクタ989を経て配管路982に連結し得る配管連結管路988a、988bとを有している。なお、前記装置のうちのたった1つまたは1つ以上が必要であることもあり、例えば、恐らく、1つより多い溶液バッグの場合でも、1つの無菌バリア装置を使用してもよい。1つまたはそれ以上の摺動クランプ990および/またはレベル感知または流体検出装置995が設けられてもよい。
【0030】
更に、カセット組立体110は第1一体型添加剤流体通路140cおよび第2一体添加剤流体通路140dを相互連結するポンプ係合用添加剤流体流入配管ループ142を有している。第2一体型添加剤流体通路140dは第1および第2スパー144c、144dを有している。第2添加剤流体通路140dの第2スパー144c(図2および図3)はフィルタ960、次いでバッグ954に最終的に供給するためのRBC流出管路952を通して添加剤流体を供給するために添加剤流体配管146と連結されている。カセット部材115はまた貫通する窓部118を構成する一体フレームコーナ116を有している。フレームコーナ116は、例えば、コネクタ145および添加剤溶液配管146を有する配管セグメントを血漿交換装置6における弁/クランプ部材と最終係合可能に窓部118内で所定の隔てられた関係で受入れて配向させるための窓部118のアクセス開口部を有している。このような弁/クランプは、作動されると、例えば、ループ146を通る流れを制御する。
【0031】
カセット115の介在位置において、血液流入/血液成分配管組立体60の血漿配管68(図2および図3参照)がカセット組立体110の第1一体血漿通路160a(図3参照)と連結している(なお、これは血漿採取副組立体であるが、血小板のような他の成分はここでは或いは同様な構成では別に採取される)。更に、カセット組立体110は第1一体血漿通路160aおよび第2一体血漿通路160bを相互連結するポンプ係合用血漿配管ループ162を有している。第2一体血漿通路160bは第1および第2スパー164a、164bを有している。第1スパー164aは配管路92を経て血漿採取配管組立体90に連結されている。この血漿採取配管組立体90は、使用中、血漿を採取するのに用いられてもよく、血漿採取配管92および血漿採取バッグ94を有している。血漿採取配管92には、摺動クランプ96(図2参照)が設けられてもよい。第2一体血漿通路160bの第2スパー164bは血漿をドナー/患者4に戻すために血漿戻し配管ループ166に連結されている。かかる目的で、血漿戻し配管ループ166はカセット組立体110の血液戻し溜め部150の頂部に連結されている。わかるように、一括的に戻り血液成分と称する未採取血液成分のうちの、1種類以上、例えば、血漿および/または血小板は、使用中、周期的に溜め部150に溜められ、およぶ/または溜め部150から取出される。ここでも、カセット組立体110の窓部118内のフレームを通して弁/クランプアクセスが行われて血漿採取配管92および血漿戻し配管ループ166をこれらを通る流れの制御のための所定の隔てられた関係に保持する。
【0032】
配管組立体20、50、60、90、100、950、950a、950bおよび/または980およびカセット組立体110のほとんどの部分が、好ましくは、例えば、ポリ塩化ビニル(PVC)配管路を含めて、使用中、中の血液/血液成分の視覚観察および監視を許容し得るプラスチック成分から製造されている。中でも、RBC採取配管路952、965のためのおよび/またはRBC保存溶液スパイク組立体980のための実証済み無菌ドッキング(すなわち、配管路の2つの部片の直接連結)のために、所望に応じて、薄壁のPVC配管を用いてもよいことは注意すべきである。本発明の一面と一致して、すべての配管路は全使い捨て組立体の殺菌前に予め連結されて装置の最大の無菌性が維持されるようにする。なお、フィルタ/採取バッグ副組立体950を含む配管回路の要素すべての予備連結の非常に望ましい利点は無菌ドッキングが後で必要でないように、完全な予備組立ておよび予備組立て後のその殺菌を伴う。かくして、無菌ドッキングのコストおよび危険性が除去される。変更例として、中でも、実証済み無菌ドッキングRBC採取配管路952および/または965用に、壁のより厚いPVC配管を用いてもよい。
【0033】
述べたように、図2の実施例におけるカセット組立体110は、使用中、血液成分分離装置6のポンプ/弁/センサ組立体1000に設けられ、作動的にインターフェースしてもよい。使い捨て組立体8/10の負荷および血液成分分離装置6との使い捨て組立体8/10の相互作用を含む血漿交換装置構成の更なる詳細が中でも以上に挙げた特許に見られ、ここでは徹底的には繰返さない。
【0034】
体外配管回路および血液成分分離装置の作動
血漿交換方法の始動する種々の他の作動は好ましくは中でも以上に挙げた特許に記載のように行われる。しかしながら、一般に、ここでは図7、図8および図9の概略図を特定的に参照して、並びに図1ないし図5を連続参照して、或る基本特徴を説明する。濾過およびRBC採取は、使用した添加剤溶液組立体および特定の処理器を除いて、図11、図12および図13の変更実施例の場合とほぼ同じである。
【0035】
例えば、血液取出しサブモード中、全血液がドナー4から血液取出し/戻し配管組立体20の配管路22の中へ通され、次いで血液成分分離装置6へ搬送される(一般に図7を参照)。装置6では、血液は好ましくはループ132を経て圧送されて(図3参照)、カセット組立体110および血液流入/血液成分配管組立体60の管路62を経て(図7に鎖線で概略的に示す)処理器352に流される。次いで、好ましくは容器352における実質的に連続した基部において分離処理が起こり、すなわち、血液が実質的に連続して流れ、連続的に分離され、分離された成分として連続的に流れる。容器352における分離処理後(分離は連続的に起こる)、未採取の血液成分が処理器352からカセット110へおよびそれを通ってカセット110の溜め部150(図2および図3参照)の中へ移送され、次いで所定レベルまで溜め部150に蓄えられ、この所定レベルでは、血液成分分離装置6は、単一針式作動において、(連続装置では必要でないが)、血液取出しサブモードを休止し、血液戻しサブモードを開始し、これらの未採取および/または処理済み成分はドナー4に戻される。このように、これらの溜められた成分は血液取出し/戻し配管組立体20の血液戻し配管路24の中へ移送され、ドナー4に戻される。単一針式血液戻しモード中、溜め部150における蓄えられた戻し血液成分が所定レベルまで取出されると、血液成分分離装置6は血液戻しサブモードを自動的に終了する。これは好ましくは、自動的に血液戻しサブモードを再開始するか、或いは継続するのに役立つ。次いで、血液取出しサブモードと血液戻しサブモードとの間のサイクルは所定量のRBCまたは他の採取血液成分が得られるまで継続する。別の2針方式では、当業界で知られているように、血液がドナー4から連続的に取出され、血液成分がドナー4に連続的に戻される。なお、例えば、ポンプの制御を含めて、このような作動の詳細な機構はここでは詳細に図示したり説明したりしなく、特に図7および図8の概略図に示さない。
【0036】
また、或る成分を同時に或いは各成分ごとに連続して採取してもよい。一例では、RBCの採取に先立って、血小板を採取してもよく、他方、これらのいずれかと同時に血漿を採取してもよい。この特定例を図10ないし図13に示す実施例について説明する。図1ないし図3および図7、図8および図9に示す主な例では、たった2つの成分、すなわち、RBCがRBC副組立体950に、血漿(または血小板)が他の採取組立体90に採取されるものと示されている。十分な量の一成分または他の成分が採取されると、十分な量のすべての成分が採取されるまで、このような成分の更に分離された部分が好ましくは任意の他の未採取成分と共にドナーに戻される。更にわかるように、RBCのみを、ドナーに戻される血漿を含めてすべての他の成分と共に採取することができる。
【0037】
図2および図3を特定的に参照すると、普通の作動では、全血液がドナー4から針/血液取出し配管組立体20、カセット組立体110および血液流入配管路62を通って処理器352に移る。次いで、全血液は容器352において分離される。図示していないが、ここで血小板(または血漿)の流れが分離され、採取組立体(図示していないが、図11、図12、図13および図14参照)に採取されか、或いは最終的にドナーに戻すために溜め部150に差し向けられる。同様に、分離された血漿(または血小板)も容器352で分離され、血漿(または血小板)配管組立体90および管路92における採取のために(管路68およびループ162を経て)カセット110を通って流れるか、或いは溜め部150に差し向けられる。更に、(可能性としていくらかの白血球を含めて)赤血球が容器352で分離され、容器352から好ましくは押し出されてRBC流出配管路64およびカセット組立体110に通され、戻しモードでは溜め部150に流入される。好適な変更例では、後述するRBC採取手順中、分離されたRBCは採取のために配管路951、952を通してRBC採取配管/バッグ/フィルタ組立体950に送出される。RBC採取プロトコルは好ましくはここに記載のようにRBC採取バッグ954と列をなしてその前に予備連結済み白血球減少フィルタ960を使用するRBC濾過方法を含む。この手順を以下に更に説明する。
【0038】
血液をその成分に分離するための血漿処理の更なる詳細は中でも以上で挙げた特許に見られ、ここでは実質的に繰返さない。しかしながら、別の分離機構が存在するが、遠心分離が好適な分離方法であり、好ましくは、例えば、装置6において遠心ロータ組立体578により回転されるチャンネル組立体200(図1参照)によって行われることは注意すべきである。チャンネル組立体200は好ましくは配管回路10の使い捨て血液処理容器352を受入れるチャンネルハウジング204を有している(図1および図2参照)。
【0039】
血漿交換プロトコル
前記装置2を利用してドナー4に対する血漿交換手順を行うための1つの好適なプロトコルを以下に要約する。初めに、オペレータが使い捨てプラスチック組立体8を血液成分分離装置6に装填する。このプロトコルに従って、オペレータは種々のバッグ{例えば、採取バッグ954(使用されるなら、94);図7参照、以下に更に説明する}を血液成分分離装置6の夫々のフック(例えば、図7のフック996を参照)に吊るす。1つのバッグを使用する場合、オペレータは次いでカセット組立体110を装置6における遠心ロータ組立体568に設けられている場合のチャンネルハウジング204内の装置6および/または血液処理容器352に装填する。
【0040】
体外配管回路10および血液処理容器352が前記のように装填された状態で、針/配管組立体20のアクセス針をドナー4に挿入することによってドナー4を体外配管回路10と流体連結する(例えば、図7参照)。また、中でも、以上で挙げた特許のうちの1つ以上に記載のように、好ましくは、ドナー4からの血液について、凝固防止剤配管組立体50(図2参照)を始動し、血液取出し/戻し配管組立体20を始動する。また、好ましくは同じ前記特許に記載の方法のような方法に従って、血漿交換手順のために血液処理容器352を始動する。一実施例では、血液が血液処理容器352に初めに導入されると言う点で血液プライムを使用する。始動手順中、ならびに血漿交換手順の残りの部分全体にわたって、血液は連続的に容器352に流され、血液成分種類が好ましくは連続的に互いから分離され、血液成分種類に基づいて、これらの種類の1つ以上が好ましくは連続的に血液処理容器352から取出される。好ましくは、始動以降、血漿交換手順中いつも、血液の流れが血液処理容器352に連続的に供給され、少なくとも1種類の分離された成分が連続的に取出される。
【0041】
種々の成分の分離および採取を行ってもよいが、RBCは本発明では最も興味ある成分であり、かくして、分離および採取プロトコルは採取および濾過を説明する場合には継続する。また、わかるように、RBCは他のすべての成分がドナーに戻される場合に採取される唯一の成分である。
【0042】
好適な血液血漿交換装置2は、少なくとも赤血球(RBC)および血漿の分離を含めて、血液処理中、複数の血液成分の同時分離に対処しているが、中でも、必要に応じて、血小板(直接には示していない)の分離および採取に対処してもよい。また、このような分離された血液成分は対応する保存溜め部(図11ないし図13)に即座に或いは夫々の血液戻しサブモード中にドナー4に戻された後少し遅れて(或いは2針構成では実質的に絶えず)選択的に採取される。これに関して、血漿(および/または血小板)のような1種より多い血液成分を採取しようとする一解決法では、赤血球の採取とは別の時間の間に、血液血漿交換装置2を使用して血漿(および/または所望の分離済み血小板)を採取してもよい。また、これらの成分は同時に採取してもよい。なお、RBCの前に他の成分を採取する場合、任意の他成分段階中に分離されたRBCを濾過せずにドナーに戻してもよい。好ましくは、本実施例では、採取されたRBCのみが濾過される(しかし、特定のドナー/患者についての治療用の濾過を行ってもよい)。
【0043】
いずれの場合も、RBC採取手順は好ましくは血液採取装置6により得られる制御信号を介して制御される。このようなRBC採取手順は構成段階および採取段階を含む。このような構成段階中、血液血漿交換装置2は、(好適な実施例におけるように)、RBC採取段階中、採取のためにRBCが通る血液処理容器352および体外配管回路10の部分に所定のヘマトクリット値を設定するように自動的に調整されてもよい。RBC採取のための望ましいヘマトクリット値は約70と約90との間であり、或いは95+までであり、好ましくは約80に設定される。語「高ヘマトクリット値」はこのような範囲を言い、且つ分離容器352を去る分離済みRBCを指すこと意図している。異なる(一般的に低い)採取ヘマトクリット値への保存溶液での希釈を以下に述べる。更に、血液成分装置6は、構成段階中、所望のマトクリット値が分離装置において設定されるまで、戻し配管ループ172を通って流れる分離済みRBCの流れをドナー4に戻すためにRBC配管路64を通して血液戻し溜め部150の中へ差し向けてもよい。次いで、血液分離装置6はドナー4に戻すための血漿および血小板(ここで分離されれば)の差し向けを選択的に制御する。
【0044】
分離されたRBCについて所望の充填ファクタおよび/またはヘマトクリット値を設定するために、血液成分分離装置6からの制御信号を介して遠心ロータ組立体568(図1参照)の作動速度を選択的に設定し、ポンプ組立体(ここでは詳細に示さず且つ説明しない)の速度を制御する容器352への血液流入流量を血液分離装置6により選択的に制御する。より詳細には、遠心ロータ−組立体568の回転数の増大および/または流入流量の減少は充填ファクタおよび/またはヘマトクリット値を減少する傾向があり、他方、回転数の減少および/または流量の増大は充填ファクタおよび/またはヘマトクリット値を増大する傾向がある。わかるように、容器352への血液流入流量は所望の充填ファクタまたはヘマトクリット値により効果的に制限し得る。
【0045】
所望の凝固防止剤(AC)比を設定するために、血液成分分離装置6は凝固防止剤を血液流入流れに所定の流量で導入するように適切な制御信号を凝固防止剤ポンプに送る。関連的に、血液処理容器352に対する凝固防止剤入り血液の流入流量をドナー4に対する所定の最大の許容可能な凝固防止剤注入流量(ACIR)により制限し得ることは注意すべきである。当業者にはわかるように、所定のACIRはドナーの特定の基準で(例えば、ドナー4の特定の全血液量を考慮して)設定される。血液処理容器352からの所望の全未採取血漿流量を設定するために、血液採取装置6は血漿(および血小板)ポンプ組立体に適切な制御信号を送る。これは分離されたRBCにおけるヘマトクリット値を増大するのにも役立つ。
【0046】
一好適実施例では、分離されたRBCについての所望の高いヘマトクリット値は約75と約85との間であり、好ましくは焼く80であるが、もっと高いヘマトクリット値も同様に有効である。ほぼ40位の低い、或いはほぼ95位の高いヘマトクリット値を有することはさほど好適ではない。好適な遠心ロータ組立体568が約10インチの規定ロータ直径をもたらす場合、および前記のように、血液処理容器352を利用する場合、一好適実施例では、準備および赤血球採取段階中、チャンネルハウジング204を代表的には約3000rpmの回転速度で駆動して所望のRBCヘマトクリット値を達成することができることが確認された。対応して、ループ132を通して容器352への圧送により得られる血液流入流量は好ましくは約65ml/分に設定される。所望のヘマトクリット値はRBC採取段階を開始する前に容器352の約2の全血液量を容器352に通すことによって確実に安定化することができる。
【0047】
RBC採取段階を開始するために、血液成分分離装置6は血液処理容器352から取出された高いヘマトクリット値の分離済みRBCの連続流出流を寒露64を経て配管路951、952をとおしてRBC採取装置950の中へ、および管路965を経てフィルタ960を通して採取容器954の中へ差し向ける。
【0048】
わかるように、好適な実施例では、分離されたRBCは好ましくは採取のために容器352から圧送されないが、その代わりに、容器352への血液流入流れの圧力によって容器352から体外配管回路10を通して流される。流入血液はカセット110のループ132を経て容器352の中へ圧送される。分離されたRBCは押されるが、好ましくは容器352からは圧送されない。それにより、採取RBCに対するトラウマは最小化される。
【0049】
RBC採取段階中、容器352への流入流れはドナー4に対する前述の最大の許容可能なACIRにより制限されそうである。所望の流入流量もまた論述したように所望の重点ファクタおよび/またはヘマトクリット値を維持するのに必要なことによって制限されることがある。これに関して、準備段階に対して、RBC採取段階中、すべてではないが、凝固防止剤がドナー4に戻されているので、流入流量はわずかに上方に調整されることはわかるであろう。すなわち、ACのわずかな部分がRBC溜め部954に高いヘマトクリット値のRBCとともに採取される少量の血漿とともに残留する。
【0050】
本発明によれば、比較的高いヘマトクリット値のRBCは必要に応じて希釈され、次いでRBCが分離されるやいなや、或いは容器352内で分離された後すぐに濾過されてもよい。変更例として、RBCは高いヘマトクリット値の状態で希釈されずに濾過されてもよい。好ましくは、語「高いヘマトクリット値」は分離容器352から出現するときの分離されたRBCの状態を指している。ここで説明する場合の実質的に連続した遠心分離方法では、RBCの新しく分離された流れは実質的に連続した容器352から流出してまず配管路64を通り、カセット組立体110へおよびこれを通り、次いで管路951、952(ここでは、必要に応じて保存溶液を希釈することによって合流される)を通ってフィルタ960へ流れ、次いで管路965を通ってバッグ954へ流れる。好ましくは、これらの新しく分離されたRBCは容器352からフィルタ960を通って採取バッグ954(またはバッグ954a、図5および図6参照)の中へ連続的に流れている。かくして、前記実施例では、白血球/白血球濾過が始まり、全体連続分離方法と同時に、或いは採取に先立って、全体連続分離方法中に継続される。この更なる説明は以後に更に詳細に述べる。
【0051】
なお、語「新たに分離された」は装置6および処理容器352のような機械的分離装置における、またはそこから現れたときの新たに分離された血液成分を説明しようとするものである。また、この語は容器352からのような機械的分離装置から取出し後、合理的な長さの時間の間の同じ分離された成分の状態を含む。かくして、一般的なこととして、「新たに分離された」は特に少なくとも全体分離手順の長さの間に存在する時の成分の状態に関しているが、好ましくはそれを越える合理的な期間に及ぶ。かくして、例えば、第1の合理的な期間は、濾過が実質的に連続して行われる2時間以上まで(おそらく、それを越える)継続する血漿交換手順全体を含む。ここで使用する2つの更なる語は、つまり、「最近取出された」および「後すぐに」は同様な識別を有する。「最近取出された」はここでは、主に、ドナーから取出された血液であって、取出されて機械的分離装置で処理されたばかりの血液、または取出されて装置6のような装置における分離処理に先立って非長くない時間、保存状態に保たれた血液に対して言うものである。同様に、「後すぐに」は同様にこれらの事情の両方に対して、ならびに、例えば、分離された血液成分が分離容器から取出されるとき、例えば、(連続モードでもバッチモードでもいずれしても)分離後すぐ、に対して使用する。
【0052】
いずれの場合にも、ドナー4および装置6の観点から、所望量の赤血球の分離、濾過および採取工程に引き続き、血液分離装置6は次いでいずれの更なるRBCの流れをもループ172、溜め部150および戻し寒露24を経てドナー4に戻すように制御信号をRBC差向け組立体に送る。更に、ここでは血漿遠心分離による更なる血液処理を望まないなら、リンスバック手順を完了する。更に、最小の所望量のRBCを濾過/採取組立体950に差向けたら、濾過完了後、赤血球採取溜め部954(および/または副組立体950全体)を体外配管回路10から連結解除する。これとともに或いは別々にフィルタ960を取外すか、或いは取付けたままにし、カセット110および他の残りのバッグまたは管とともに処分してもよい。しかしながら、本発明によれば、RBCの濾過中および/または濾過後、保存溶液が配管路952におけるRBCの流れ、フィルタ960、最終的に赤血球溜め部またはバッグ954に添加される。好ましくは、スパイク985を介しての1つまたはそれ以上の保存溶液バッグ970(図1および図7参照)へのスパイク連結を使用する。この方法を以下に更に説明する。このような保存溶液または添加剤溶液は有利には約1ないし6℃の温度で約42日間までRBCを保存し易くする。これに関して、許容可能な保存溶液としては、カルフォルニアのコビナにあるメドセップ社から入手でき、米国で添加剤溶液3(AS-3)と一般に称されている保存溶液、および/またはフランスのツアコーニングにあるマコファーマから入手できるヨーロッパでSAG−Mと一般に称する保存溶液が挙げられる。保存に先立って所望の保存溶液と交換することができる後述の濾過工程前、後または中、塩水を使用することも可能である。変更例として、塩水は、後に図14を参照してより詳細に説明するように、フィルタ960を通ってカセット組立体110へ流れるように使用することができる。
【0053】
保存添加剤溶液は、管路982を経て、好ましくはスパイク連結部985を介して配管回路10に予め連結することができるか、或いは別体であって、後で配管回路10に選択的に連結し得る別個の保存溶液バッグ970に収容されてもよく、好ましくは収容される。別の実施例では、このような選択的相互連結は、無菌連結装置(図示せず)を利用する例(図示していない方法)として配管路982に対する無菌ドッキングを介して行われてもよい。例として、このような保存溶液容器970に配管路982を連結する1つのこのような無菌連結装置はニュージャージーのサマーセットにあるテルモメディカルコーポにより商品名「TSCD」または「SCD(商標名)312」で販売されている装置である。前記変更例では、選択的相互連結は無菌バリアフィルタ/スパイク組立体980を利用して設定される。このような無菌バリアフィルタ/スパイク組立体980の使用により、閉鎖装置のメンテナンスを容易にし、それにより細菌汚染を効果的に回避する。例として、このような組立体980における機械的無菌バリアフィルタ986(図7)または986aまたは986bは0.2ミクロンの孔を有する多孔性膜を備えている。この場合、配管ループ142を通る圧送により、溶液が配管982と、保存溶液をRBC管路952およびフィルタ装置950に導入するための連結配管路146とを通って選択的に流れる。
【0054】
RBCの品質の維持を確保するために、採取RBCバッグ954および血液処理中に使用される保存溶液および凝固防止剤は適合性であるべきである。例えば、採取RBC溜め部954はメドセップ社により販売されているもののような標準PVCDEHP溜め部(すなわち、ポリ塩化ビニルージエチレンヘキシルフタレート)であってもよい。変更例として、他のPVC溜め部を用いてもよい。このような溜め部はカルフォルニアのコマースにあるモアフレックスにより商品名「シトリフレックスーB6(CITRIFLEX―B6)で販売されている可塑剤を利用してもよい。更に、前記赤血球採取手順と関連して利用される凝固防止剤はクエン酸デキストローズー式A(ACD-A)であってもよい。
【0055】
それにもかかわらず、前記のような本発明の実施例によれば、保存溶液を後で流してもよく、および/または管路951、952内を流れている分離済み赤血球の流れに添加してもよく、また保存溶液はこれらの赤血球と共にフィルタ960を通って流れ、このフィルタ960は好ましくは分離済み赤血球から満足すべき量の白血球を除去する。より詳細には、<5x10白血球/ユニット(例えば、役250ml)の白血球数を設定して発熱性非溶血輸血反応のいずれの可能性を減少するために白血球減少濾過が望まれる。しかも、かかる濾過はより望ましくは1x10白血球/ユニットの白血球数を達成してHLA(すなわち、人の白血球A)感作および/または他の深刻な副作用のいずれの恐れをも減少させる。また、研究の結果、保存中、赤血球の機能的品質を向上させる点、および多数の輸血を受ける患者におけるアロイミュ二ゼーションの発生を減少させる点における、予備保存白血球減少のための確実な効果が示され、これらの効果は濾過製品中でよりゆっくり低下する赤血球内ATPおよび/または細胞外カリウムレベルのような代謝反応において有利である。おそらく、より重要なのは、中でも、輸血伝染病、特にサイトメガロウイルス(CMV)および/またはHIVの減少である。
【0056】
従って、赤血球採取容器954は、一実施例では、高いヘマトクリット値(好ましくは70と90との間および80にほぼ等しいヘマトクリット値)の新しく分離された赤血球が単独或いは添加剤溶液と共に好ましくはフィルタ960に押し通らされて最終RBC採取バッグに入れられるように、赤血球フィルタ960からrbcおよび添加剤溶液を受入れる。かかる押込み濾過を図7、図8および図9に示してあり、以下に更に説明する。赤血球フィルタ960/採取バッグ副組立体950は、好ましくは本発明の教示により図1、図2および図3に示すように(無菌ドッキングのコストおよび危険性を回避するために)使い捨て組立体10の一部として配管回路8に予め連結されるか、或いはマサセッチュセッツ、マーロボーロにあるヘマスア社により製造されている商品名「r\LS」で市販されているもの、またはアサヒコーポ社および/またはバックスター社から販売されている「セパセル」および/またはニューヨーク、グレンコーブにあるポールコーポ社から販売されている「RC100」および「BPF4」などのような特殊の新しいキットまたは市販フィルタ/バッグキットを使用して予め存在する使い捨て装置に付設されて後製造式連結可能な使い捨て組立体を構成してもよい。いずれの場合でも、赤血球フィルタ/バッグ副組立体は好ましくは図示のように配管路951および/または952を介して配管回路8に(前または後)連結される。
【0057】
主に図2、図3および図4を参照して説明すると、血漿交換方法から新しく分離されて採取されるRBCの濾過の手順は以下のごとくである。これらの新しく分離されたRBCは好適な濾過工程中、添加剤溶液または保存溶液が後で添加される希釈されていない高ヘマトクリット値(ほぼ80のヘマトクリット値)状態にあるか、連結部979において管路952内のRBCの流れに添加される添加剤溶液との混合状態で濾過される。しかも、保存溶液をいずれのRBCに先立ってフィルタ960に通してもよいし(これによれば、濾過能率が高まる)、また前述のように、必要に応じてバッグ954内の採取RBCに添加すべきRBCの白血球減少後にフィルタに通してもよい。好適な実施例では、たとえ添加剤溶液または保存溶液が初めにフィルタを通って流れる場合でも、採取のためにフィルタ960の中に残っているいずれのRBCをも移動させるためにRBC濾過後に十分な量の溶液を流すのは好ましい。
【0058】
好適な実質的に連続した分離および採取工程と同時に(すなわち、高ヘマトクリット値のRBCを他の成分から分離し、ドナーの戻さずに容器352から押出してカセット110に入れるやいなや)、或いは望むなら、所望の最大量の他の血液成分を採取した後すぐに、RBC採取/濾過装置950を作動してRBCを濾過する。この採取工程はループ172を通る分岐流れを止め且つ管路952を通り管路952およびフィルタ960への流れを許容するように装置6のクランプ/弁を切り替えることによって行われる。
【0059】
いずれの場合にも、分離容器352からバッグ954への連続採取と同時に、或いは任意の他の非RBC採取工程の完了後すぐに、RBCを好ましくは固有圧力押込み(非活性圧送)によりフィルタ960へ流される。このように、採取バッグ954は、連続的に流れるRBCを容器352からフィルタ960を通って採取バッグ954の中へ上方に移動されるように分離容器352およびフィルタ960の両方の上方の高さに吊るしてもよい(図4ないし図8参照)。この一実施例を図7に示してあり、この場合、採取バッグ954は公知のような装置6のフック996から吊るされている。配管路965がそこから下方に垂下しており、フィルタ960に連結されているものとして示されており、フィルタ960の頂部から次の配管路952が延びていて、最終的には下方に管路951を経てカセット110につながっている。
【0060】
バッグ954からのいずれの空気も、または流入RBCとバッグ954との間に捕獲された空気が最終的に配管路連結部961を通して空気除去バッグ962へ除去される。この空気は流入RBCの流れに先立って空気除去バッグ963に排気されるか、或いは流入RBCの流れにより排気される。またわかるように、分離工程に先立って、血漿交換装置の戻しポンプ(図示せず)を初めに作動することによって空気を排出することもできる。またわかるように、空気の除去を、例えば、疎水性ベントおよび/またはバイパス管路を含めて、他の公知の(ここではあまり望ましくないが)方法によって達成してもよい。本発明によれば、血漿交換分離工程中、RBCを予め冷却したり予め保存したりすることなしに装置6において直接、RBCの濾過を行うことが望ましい。このような場合、これらの手順は従来の中間の分離/採取工程、冷却工程および保存工程なしに4℃で夜通し行われる。
【0061】
次いで、これらの実施例のいずれでも、濾過の完了後、或いは濾過中および/または濾過前でも、つまり、同時に行う採取および濾過において、或いは任意の他の成分採取工程後すぐの濾過および採取において、保存溶液がフィルタへ流されてこれを通り、および/またはRBCに添加される。また、これはフィルタ960による高いヘマトクリット値のRBCの濾過の前および/または濾過中および/または濾過の完了後に行ってもよいが、或る量の追加の添加剤溶液または保存溶液がフィルタの容積に入れ代わっていずれの残留RBCをもフィルタから回収することが好ましい。詳細には、保存溶液バッグ970が図1、図7、図8および図9に示すように(予備連結により或いはスパイクまたは無菌溶接により)連結されており、クランプ990を開放して(任意のこのような必要に応じた流れ止め部材を使用しているなら、図2および図3参照)保存溶液を配管路982に導入し、配管路142を経てループ146を通し、コネクタ979を経て配管路952に圧送する。かくして、保存溶液はバッグ970からフィルタ960を通って採取バッグ954の中へ圧送される。採取中に圧送されれば、この溶液は濾過に先立って計量され、管路952内の高いヘマトクリット値のRBCと混合されてこれを希釈する。ループ142を通る圧送により混合率を制御することができる。しかしながら、濾過を助成しおよび/またはRBCを追い出したり、フィルタに捕獲された量のRBCをフィルタから移動させたりするために、未希釈のRBCのすべてが濾過される前および/または後にも保存溶液を圧送してもよい。このような保存溶液による追い出しは(上記のように)予備濾過RBCの流れの中への計量流入後に使用してもよい。また、RBC濾過装置950を作動する際の工程すべてを全体の血漿交換成分分離手順中に行ってもよく、かくして、予め必要であると思われる4℃の夜通しの手順のような冷却された遅延環境にさらす必要がない。
【0062】
保存溶液添加工程の一例を図7、図8および図9に示してある。なお、他の成分採取工程はここでは示さない(すなわち、他の成分(例えば、血漿および/または血小板)のための同時採取工程を使用するか連続採取工程を使用するかはここでは示さしたり説明したりしない。図7、図8および図9には、採取バッグ954が上方フック996に取付けられており、空気バッグ962が他のフック998に吊るされていることが示されている(なお、空気バッグ962はフックから吊るされるに及ばないこともあるが、後述のように、この方法における他の工程後に空気を空気バッグに流し込むことができる)。図7および図8に示すように連結して吊るした場合、保存溶液が配管路982を通り、無菌バリア986を通り、ポンプループ142、連結管路146、952を通り、次いでフィルタ960を通り、最終的に採取バッグ954の中へ下方に流れることができるように、保存溶液バッグ970を更に他のフック997に吊るすことができる。図7および図8では下方向に、図9では上方向にフィルタ960に入る保存溶液およびRBCの流れを示しているが、フィルタ960への流れは横方向を含めて、いずれの所望方向であることもでき、横方向に限定されない。重力に抗したこの流れは、RBCがフィルタに押し通されるので、可能である。
【0063】
変更例として、図8に示す実施例では、フィルタ960が装置6において実質的に固定された位置に設置されていることが示されている。この実施例では、フィルタ960の開始を助けるために流れが下方向に留まる。フィルタ960を適所に保持するクリップまたは他の保持装置901が示されている。バッグ954内のRBC以外の成分を採取した或いは同時に採取する更なる工程および/または保存溶液をフィルタ960およびバッグ954に添加するに先立って、溶液をRBCの流れの中へ同時に圧送し、および/またはフィルタ960による濾過を完了した変更例が容易ではないが別々に図示されているが、好ましくは保存溶液の流れの制御がループ142に係合する装置6におけるポンプにより行われる。
【0064】
図9に示す実施例は装置8に取付けられずにバッグ954から吊り下がっているフィルタ960を示している。この実施例によれば、保存溶液およびRBCの両方をフィルタ960へおよびこのフィルタを通って上方向に流すことができる。
【0065】
いずれの場合にも、濾過および/または添加剤溶液での追い出しのすべてが完了すると、採取バッグ954を装置8の残部から分離することができる。このような分離に先立って選択自在なクランプ966を閉じることができる。分離は、フィルタまたはフィルタの下方の管路952の上方で配管路965をRFシールし、次いで中でも、米国特許第5,345,070号および第5,529,218号に従って配管路のRFシールされた部分に沿って分離することによって行ってもよい。配管路を閉じ、次いでRBC採取装置950を使い捨て組立体8の残部から分離するのに他の周知の方法を使用することもできる。例えばフィルタ960の下方にこのような分離後に残っているRBC採取装置950が図4および/または図5または図6に概略的に示されている(以下を参照)。
【0066】
図4に関しては、配管路965は周知のようにサンプルセグメントを得るためにシールされているセグメント化配管路であってもよい。また、わかるように、血液結紮の目的および他の選択自在の目的で所望のサンプルを得るために配管路965に加えて或いは配管路965に代わって配管路961がセグメント化されもよい。
【0067】
図5に示すような選択自在2採取バッグ組立体950aまたは図6に示すような組立体95bの使用は前記方法とあまり異ならない。フィルタ960(960a)を通り分岐管路965a、965bの各々を通っての各バッグ954または954aへの圧力押し込みを使用して両採取バッグ954、954aを同時に或いは一度に一方を充填することができる(その際、クランプ(966aまたは966b)のような流れ止め部材を使用してバッグ954、954aのうち、まず一方、次いで他方への流れを一杯になるまで選択的に拘束することができる)。2重製品を2つのバッグのうちのたった一方に採取することもでき、次いでその量の半分を他方のバッグに後で移送することができる。しかしながら、所望の2重製品が濾過され、それに従って採取されると、製品の添加並びに保存溶液の添加および/または新しい工程につて例えば手動クランプ966a、966bによる制御を行うことが好ましい。まず、2つのバッグ954、954aが重量で或いは他の手段でほぼ等しい採取量を有するようにすることが好ましい。一方のバッグからの過剰量を、例えば、隣接配管路965、965aまたは965bを通って流れるようにして手による圧縮で他方のバッグの中へ押入れる。その場合、フィルタ960を通る保存溶液の流出または追い出し中、(クランプ966aまたは966bを使用して)まず一方の配管路965a、965bを、次いで他方の配管路を締付けることにより既知量の保存溶液を夫々のバッグ954a、954bに供給することが望ましい。単一バッグ採取方法の場合と同様に、2つの採取バッグから夫々の空気バッグ962、962aへの空気の除去が起こる。なお、第1変更例(ここでは図5)は両バッグ954、954a用のRBCを処理するための単一フィルタ960のみを含む。しかしながら、変更例として、このフィルタとともに第2フィルタ960a(図6)を使用してもよい。図6に示すように、分離されたRBCを配管路952およびスパー952bを通して第1フィルタ960に通し、第1採取バッグ954に、このバッグが一杯になるまで流入させることができ、或いは管952からの流れと同時に分割するか或いは分岐して別の第2配管スパー952aおよびフィルタ960aを通して第2バッグ954aに採取することができる。2重RBC製品濾過についての他の変更例も明らかであろう。
【0068】
予め連結された使い捨て組立体および高ヘマトクリット値の赤血球採取および濾過のための前記手順を利用して幾つかの利点を実現することができる。このような利点としては、最終RBC製品量およびヘマトクリット値の一貫性;多数の構成単位の血液製品を一人のドナーから採取し、一人に受容者に移送する場合、受容者のエックスポーシャが減少すること;望むなら、2重構成単位の赤血球の採取を含めてRBC採取および濾過に必要な時間の短縮;および細菌汚染および白血球汚染の恐れの減少が挙げられる。
【0069】
過去において、保存溶液(例えば、AS-3またはSAG-M)がRBCの流れの中へ計量流入され、および/またはRBC濾過完了後に流出された状態でのこの高いヘマトクリット値が効力を発するようには思えない種々の理由があった。これらの理由としては、高いヘマトクリット値がフィルタ960に押し込まれて、その結果、赤血球が損傷すると言う予期された圧力問題;押し込み圧力下でのこの高いヘマトクリット値における以前は知られていない白血球消耗レベル;およびフィルタ960を通る保存溶液(例えば、AS-3またはSAG-M)によるWBCの明らかにありそうな「洗い落とし」または「流出」がある。また、赤血球溶血も考えられる潜在的な問題であった。
【0070】
最初に成功の見込みがありそうと思われたが、可能な高いヘマトクリット値の保存溶液の希釈/押し込み濾過の可能性について試験することが考えられ、決定された。結果は多くのネガティブな予想を解消すべきである。例えば、フィルタを通って流れる希釈RBC製品は、特にこの流れの高い圧力押し込みで使用される場合に連続流れに対して有利であるフィルタ前後の(未希釈RBCに対する)圧力降下を減少させる。未希釈の製品は希釈済み製品より長い濾過時間を要するが、希釈済みまたは未希釈の製品を濾過することにより、後採取濾過と比較して全体の処理時間を短縮することはわかる。全体のRBC分離/採取工程中にすぐに高いヘマトクリット値の或いは希釈済みの押し込み濾過を行うことによって、その結果得られるRBC製品ユニットは更に処理することなしに装置からすっかり保存する用意ができている。バッグをほとんど使用しなく、かくして、多少の取り扱い要件がある。その場合、他の手順を行うのにオペレータの時間が自由になる。添加剤溶液の圧送添加の場合、更なる人の介入および/または試験の必要なしに装置の制御および計量により、添加剤溶液が添加されたRBC製品の最終ヘマトクリット値および回収率(計算および/または重量)を容易に得ることができるように、溶液の添加量をより密に制御することができると言う点で、品質管理が同様に簡単化し得る。
【0071】
RBCの採取および濾過のー方法を以上で説明したが、他の方法も同様に明らかであろう。例えば、図7および図8は血液成分分離装置6に対して各フィルタ960を設置する別の位置を示している。更にわかるように、フィルタを装置6における別の位置に設けてもよい。詳細には、フック999から吊るしブラケット900が吊り下がっている。ブラケット900は装置6における使用全体にわたってフィルタ960を所望配向に保持するのに使用し得る1つまたはそれ以上の締付け部材901を有してもよい。図示のように、例えば、ほぼ下方の流れ配向はおそらく例えば初めの始動の際に好ましいとわかる。
【0072】
フィルタは図9に示すようにバッグ954から吊り下がってもよい。これはほぼ上方の流れ配向をもたらす。また、所望のフィルタの位置に応じて側方および他の流れ配向を使用することもできる。
【0073】
多くの更なる別の要素および/または実施例が利用可能である。例えば、図10に示すように、(必要とされないが図1ないし図9の実施例により提示したように)添加剤溶液配管路982および連結管路146を有するループ142をカセット110の内側で流れ管路に一体に連結してもよいが、これらの要素をカセットなしで或いはカセット110に取付けて或いはそのそばを延びるように装置に付設してもよい。図10に示すように、(添加剤溶液源(図示せず)に連結されるようになっている)配管路982をカセット110まで延ばし、例えば、1つまたはそれ以上のコネクタ1001、1002を使用しておそらく図示のようにしてカセット110に連結してもよい。主として、ここでは、好ましくは、ポンプにより装置6に関連されることができるループ142を構成するように、また同様にクランプ/弁(図示せず)により装置6に関連されることができる連結部材136を構成するように、連結部が形成される。特に、これらの部材はすべて図示のような適所に保持される或る長さの配管から構成されてもよい。また、これらの部材はカセット110および他の配管要素と共に製造することができ、或いはこれらの要素に後製造で付設してもよい。
【0074】
更に、図10には、他の配管ループ142aおよび他の延長管部分145a、146aが示されている。図2および図3に同様なチャンネルにより提示/図示したようにカセット110の内部流れチャンネルに連結されて配置されたこれらの追加要素は別の追加機能性を表そうとするものであり、その際、装置6から生じる好ましくは2重ヘッダ型の単一蠕動性圧送装置が配管路142、142aの両方に同時に従事して所望に応じてかかるループのいずれかまたは両方を通して流体を圧送し得る。
【0075】
以下により十分に説明するように、かかる配管ループをループ162と関連された血漿ポンプに関しても使用することができる。
【0076】
図10に関しては、単一の弁/クランプ部材(図示せず)を部材146,146aに関係するように使用して適切なときにこれらの部材の各々を通る流れを同時に止めたり許容したりすることができる。
【0077】
このような構成の1つの可能な用途としては、容器352から血小板を採取し、これらの血小板を配管と142aを経て且つ配管延長部145aを通って血小板採取容器/バッグ(図示せず)へ圧送することを挙げることができる。この場合、装置6の弁/クランプ部材(図示せず)は、血小板がドナーに戻されなく、添加剤溶液が管路146を通って流れないように、このときに延長管146、146aを締付けて遮断する。かくして、この実施例では、RBCは血小板採取完了後に流出されて添加される添加剤溶液で希釈されることなしに同時に採取されか、或いはRBCは血小板採取完了後まで採取されない。いずれの場合にも、管路146を通して添加剤溶液を流すことを決めたら、装置6の弁/クランプ部材をこの管路に対して開放し(それにより、この実施例では、ドナーに戻すために管路146aを通る血小板の流れの開放と、血小板の採取を停止するために管路145aの閉鎖を同時に行う)、またループ142、142aに関連するポンプを作動して添加剤溶液を源から管路982、ループ142および管路951、952への連結用の延長部146を通して流すことができる(図2および図3参照)。別の弁/締付けおよび/または圧送計画を同様に使用することができる。例えば、延長部材146、146aおよび/または145aうちの1つまたはそれ以上のために別体の弁を使用することができ、かくして流れのより個々の制御およびおそらく計量を見込むことができる(例えば、管路145a、146aを通る流れとは別個の管路142を通る添加剤溶液の周期的または脈動的流れを望み/行うことができる)。また、付属装置(図示せず)における別個の追加の添加剤溶液ポンプを図10および図13に示す2重ヘッダ概念とは別個に使用することができる。なお、変更例として、活性ポンプ以外の他の装置を、これが所望の保存溶液の流れを確立するかぎり使用してもよく、望ましい最終の採取ヘマトクリット値を生じるようにRBCに対して保存溶液の比例した流れに対処するために弁および/または流量計の備えがなされている。なお、この最終ヘマトクリット値は、末端ユーザの所望に応じて、40ほどに低くてもよく或いはもっと低くてもよい。
【0078】
図11の添加剤/保存溶液装置は重力供給型である。図11の実施例では、図2の実施例と共通の組立体または回路用に同様な数字を使用している。図11のスパイクまたは針984cは図3について説明したような方法により添加剤/保存溶液容器と取付けされるようになっている。添加剤/保存溶液をフィルタ流入管路952cにおけるRBC製品と合流するように流入管路988とコネクタ979cとを通して供給する。また、この添加剤/保存溶液は前記のようにフィルタに残留するいずれのRBCとも入れ代わるように濾過後に供給することができる。濾過されたRBCおよび使用したいずれの保存溶液も管路965cを通してバッグ954に採取される。図11の実施例では、RBCは高いヘマトクリット値の状態で濾過されることはわかる。また、望むなら血漿または血小板のような他の成分を必要に応じて装置のバッグまたは容器に採取することもできる。図11の実施例は、添加剤/保存溶液を重力排出することができるので、添加剤/保存溶液の添加のために圧送を必要とせず、その結果、全体構造がより簡単化される。
【0079】
図12は図11に記載の血液処理容器を使用する以外は図2のものと同様な装置に所望量の添加剤/保存溶液を供給する更なるオプションを示している。
【0080】
図12の実施例では、保存/添加剤溶液がスパイク984を通して管路988dに供給される。流体検出器または流量計992が添加剤/保存溶液の添加を監視して所望量がRBCに添加されるようにしている。保存/添加剤溶液は管路988dからループ142を通って管路146a、952に圧送され、かくしてフィルタ960に通される。また、添加剤/保存溶液がフィルタからのRBCと入れ代わるように採取後にフィルタ960を通って流れてもよいことはわかる。また、RBCは高いヘマトクリット値の状態で濾過されるが、装置を希釈濾過モード用にすることもできることはわかる。図12の使い捨て装置によれば、必要に応じて血漿または血小板のような追加の成分を装置990のバッグまたは容器に採取することもできる。
【0081】
図13には、添加剤/保存溶液を供給するための追加の別な実施例が示されている。血液処理容器352aおよび選択自由な追加の成分採取装置990も示されている。この実施例では、血漿ポンプは図10について以上で説明したように2重ヘッダポンプである。保存/添加剤溶液をスパイク984eおよび(選択自由な流体検出器/流量計992を有する)管路988e、配管ループ162a、管路146b、コネクタ979cを通してフィルタ流入管路952に供給してもよい。図11および図12の実施例におけるように、添加剤/保存溶液は希釈済みまたは未希釈の製品を濾過するために適切なときに供給してもよい。また、或る量の添加剤/保存溶液が採取終了時でフィルタにおける残留RBCと入れ代わることが好ましい。
【0082】
まお、望むなら、血漿採取のために配管ループ162および配管ループ162aとともに2重ヘッダポンプを使用してもよい。図10について以上で説明したような2重ポンプループ用の弁オプションならびに取付けオプションを使用してもよい。また、追加の弁を必要に応じて窓部118に設けることができる。他の変更例は追加の配管のための既存の弁の使用、または手動クランプの使用を含む。この実施例では、保存/添加剤溶液は図10で説明したようにカセット110に取付けられた配管を通って流れることができ、或いは必要に応じてカセット110におけるチャンネルを通って流れることができる。
【0083】
図14は、スパイク984fを通して供給される保存溶液がポンプを必要とすることなしに重力排液により管路988gを通って採取バッグ954へ流れると言う点で図11と同様な実施例である。しかしながら、この実施例では、図14でわかるように、保存溶液はすでに濾過されたRBCと混合するために採取バッグに直接供給される。追加のスパイク984gまたは塩水バッグが設けられている。塩水は配管988f、コネクタ979dを通って配管965へ流れる。次いで、ドナーの戻すためにこの塩水を使用してフィルやおよび952cのような配管の容積に入れ代ってカセット装置110に戻る。この実施例では、保存溶液および塩水バッグをRBC採取組立体950に予め連結することができるか、或いは無菌バリアフィルタを持つスパイク(図示せず)または前記の他の方法を使用してかかるバッグを無菌状で連結することができることはわかる。
【0084】
オペレータが血漿交換装置2による血漿交換手順に使用されるプロトコルの種々の工程を行うのを助けるために、血漿交換装置2は好ましくは図1に全体的に示すようなコンピュータグラフィカルインターフェース660を有している。このグラフィカルインターフェース660は好ましくは「トーチスクリーン」を有するコンピュータディスプレー664を有しているが、他の適切な入力装置(例えば、キーボード)を単独で或いはトーチスクリーンとの組合せで利用してもよい。グラフィカルインターフェース660は多数の利点をもたらすが、好ましくは少なくともオペレータが血漿交換および/または濾過手順の少なくとも幾つかの工程をいかに成し遂げるか、或いは成し遂げたときの画像を与えることによってオペレータを助け得る。
【0085】
例えば、ディスプレースクリーンは必要に応じて前記濾過手順を成し遂げるのに完了すべきである工程を知らせるために多数の画像をオペレータに次々に表示する。より詳細には、初めにおよび/または保存溶液希釈および/または流出の場合の使用中、夫々のRBCおよび溶液バッグ954および/または970を装置6に吊るすときを、および/または如何に吊るすかをオペレータに画像で知らせるために画像がスクリーンに示される(例えば、図7および図8参照)。また、濾過工程を開始するように、および/または濾過工程が同時に或いはRBC採取中に適切に始まったことを視覚的に確実にするように、クランプを開閉するときをオペレータに命令するために1つまたはそれ以上の画像を与えてもよい。また、スパイク組立体980を保存溶液容器970に連結するとき、および/またはフィルタ960を通るRBCの流れ後/または中に、クランプを開放するか或いは壊れやすいコネクタ(含まれていれば)を破壊してフィルタ960を通る保存溶液の流れを開始し且ついずれの残留RBCをも流出させるときをオペレータに命令するために1つまたはそれ以上の画像を使用してもよい。また、RBC採取バッグ954およびRBC保存組立体950の残りの要素を使い捨て組立体8/10および/または装置6から分離したり取外したりし得るようにRBC採取バッグ954に通じる管路965をシールすべきときをオペレータに命令するために1つまたはそれ以上の画像を使用してもよい。同様の画像により、濾過および流出/空気取扱い手順を完了した後、RBC採取バッグ954を空気バッグ962および装置の残部から隔離するように空気管961をシールするときを命令することができる。
【0086】
なお、現在説明している装置の更なる利点としては、空気の取扱う方がある。より詳細には、本発明によれば、ベントおよび従来の赤血球フィルタのバイパス方法および/または装置の従来の必要性が除去される。しかも、本発明は、この利点を、歴史的には濾過装置の内側に捕獲されてきたRBCの回収の低減なしにおよび/またはおそらくその回収を高めて果たすことが可能である。
【0087】
この利点を果たすのに本発明が使用する手段は、RBCをフィルタに通して濾過することを終了した後のフィルタ960を通る保存溶液の流れを与えることによるものである。その場合、保存溶液はフィルタからそこに捕獲されたRBCを洗浄し、次いで採取バッグに入れることができる。従来の装置はフィルタに存在するいずれのRBCも押し出すのを助けるのにベントまたはバイパス装置に依存していた。なお、好ましくないか或いは必要とされないが、それでもベントまたはバイパスを現在の押込み濾過方法について、および/または濾過後の保存溶液の流れについておよび/またはこれに代わって、使用することができる。かくして、かかるベントまたはバイパスは、空気、または空気と流体との組合せでフィルタ960をパージしたい場合に前記装置にとって選択自由な特徴である。
【0088】
いずれの場合にも、ベントまたはバイパスの必要性の除去により、装置への過剰空気の故意でない許容量のような他の従来の難点を減じる。本装置内の余分な空気は本発明におけるフィルタを通る血液または保存溶液の流れを止めたり減速したりしない。この場合、余分な空気は採取バッグ954に捕獲され、かくして全体方法の終了時に空気バッグ962へ除去される(空気はバッグの位置決めまたは搾り出しなどにより除去される)。また、好適な実施例ではベントもバイパスも必要とされないので、かかるベントの作動についての故障は重要でない。というのは、好適な次の保存溶液の流れがベントまたはバイパスの予め望んだ使用なしにフィルタからRBCを回収するからである。その結果、フィルタを容器352および/または採取バッグ954の上方または下方で複数の択一の垂直配置のうちのいずれかで配置してもよい。本発明の作動はこのような択一の設置により妨げられるものではない。しかしながら、前述のようにRBCまたは添加剤溶液をフィルタから追い出すのに空気を使用することもできることはわかる。
【0089】
本発明はバイパスの必要性を除去しているが、白血球減少を終了するか或いは望んでいない場合にフィルタ960を迂回するようにバイパスを体外配管回路に設けることができることはわかる。同様に、フィルタを有する装置の部品における圧力発生を防止するために選択自由な圧力除去弁または弁を付設することができることはわかる。
【0090】
しかしながら、使用すべき保存溶液の量は使用する配管路の相対長さおよび装置に入る空気に応じて変更してもよい。例えば、100mlの保存溶液を採取バッグ954内の最終製品RBCと混合したい場合、好ましくは100mlより多い或る量の保存溶液を装置に供給して配管の長さおよびフィルタの容積を補償する。溶液の量は100mlが採取バッグ954に入り、追加の量がカセット110と採取バッグ954との間で配管路およびフィルタに残るように選択されてもよい。
【0091】
なお、RBCの濾過中の保存溶液の希釈および/または濾過完了後の流出はここで挟持する主な変更例である。しかしながら、バッグ954の中への保存溶液の流れを他のときに、例えば、高いヘマトクリット値RBCまたは希釈済みRBCの押込み濾過を開始するに先立って開始することが可能である。また、最終量のRBCをフィルタ960から取り出すのを助けるには、脈動および/または断続的な流れも望ましい。更なる変更例は、好ましくはないが、流体(空気、血漿、塩水または添加剤溶液)の逆行の流れを使用することを含み、いずれの捕獲成分をも流出させてカセット110に戻し、次いでおそらくドナー4に戻すことができるように、採取バッグ954の取外し後、この追加の流体をフィルタを通して逆方法に流す。
【0092】
以上で紹介した他の変更例は別の体外血液処理装置の使用を含む。幾つかの成分をドナーに戻すことを含むここで記載のような連続流れ式血漿交換装置が好ましいが、ここではバッチ流れ式および非戻し式装置も使用可能である。例えば、バッチモード処理器は或る量の全体血液を取入れ、 (例えば、遠心ボールにおいて) 血液を諸成分に分離し、次いで分離された成分を採取バッグに通すか或いはドナーに戻す。それでも、本発明の濾過方法はほぼ同じようにして予知可能に作用し、従って、分離されたRBCが分離機構から流されるときにかなり高いヘマトクリット値の状態で存在し、その時点では、これらの高いヘマトクリット値の分離済みRBCを保存溶液配管路との合流点まで流し、そこから直接またはその後すぐにフィルタ960に送ってこれに通し、最終的に採取バッグ954に採取することができる。連続性は低減される(或いは実質的に除去される)が、分離および採取全体中或いはその後すぐに行う押込み濾過の原理は同じままである。なお、フィルタ960を通る流れがいずれかの時点または複数の時点で止まっても、これはフィルタに入るいずれの空気も空気バッグ962に最終捕獲により取り扱われる場合には問題であるとは思われない。
【0093】
また、より小さい規模の濾過および採取装置も有用である予想される。例えば、(遠心型であろうと、膜型であろうと、他の種類であろうといずれにしても)種々の分離装置がRBCおよび血漿を分離するように設計されており(残部は通常RBC製品に残る)、これらの装置は小規模機構化をとることができる。それにもかかわらず、本発明はこの装置ではそれにより分離されたRBCを高いおよび/または希釈済みヘマトクリット値で新たに押込み濾過してもよいと言う点で同様に有用である。分離/採取工程全体中、或いはその後すぐにこのようなRBCを押込み濾過する原理は同様に同じままである。かくして、連続モードであろうがバッチモードであろうが、高いマトクリット値のRBCまたは希釈済みに新たに分離されたRBCを先の処理後すぐに分離装置からフィルタ960に押し流し、フィルタ960を通して採取バッグ954に流すことができる。
【0094】
本発明の前記説明は例示および説明の目的で行ったものである。更に、この説明は本発明をここに開示した形態に限定しようとするものではない。従って、上記開示および関連業界の技能および知識に見合った変形例および変更例が本発明の範囲内である。更に、以上で説明した実施例は本発明を実施するものとわかる最良の態様を説明するものであり、当業者がかかる実施例または他の実施例および本発明の特定の適用により必要とされる種々の変更例に利用することができるものである。添付の請求項は従来技術により許容される程度までの変更実施例を含むものと解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
血液を少なくとも1つの高いヘマトクリット値の赤血球成分に分離して前記高いヘマトクリット値の赤血球成分を採取し且つ白血球減少するための血漿交換装置用の使い捨て組立体であって、
ドナー/患者から血液を取出すための血液取出し組立体と、
前記血液取出し組立体に連結されており、且つドナー/患者から受入れられた血液を高いヘマトクリット値の赤血球を含む血液成分に分離するための分離装置と共同の血液処理容器と、
前記血液処理容器に連結された赤血球採取組立体とを備えており、この赤血球採取組立体は、
前記血液処理容器から高いヘマトクリット値の赤血球を受入れるように配置された白血球減少フィルタと、
前記白血球減少フィルタに連結された赤血球採取容器とを備えており、
かくして、赤血球採取組立体は、前記高いヘマトクリット値の赤血球を前記白血球減少フィルタに押し通し、前記高いヘマトクリット値の赤血球を前記白血球減少フィルタに押し通した後に前記高いヘマトクリット値の赤血球を前記採取容器に採取するようになっている使い捨て組立体。
【請求項2】
前記採取容器は、更に前記白血球減少フィルタへ高いヘマトクリット値の赤血球の押し通しの完了後、溶液を前記白血球減少フィルタを通して流し、前記高いヘマトクリット値の赤血球との混合のために前記溶液を前記保存容器に採取するようになっている請求項1に記載の使い捨て組立体。
【請求項3】
前記溶液は、保存溶液である請求項2に記載の使い捨て組立体。
【請求項4】
前記溶液は、塩水である請求項2に記載の使い捨て組立体。
【請求項5】
前記溶液は、前記白血球減少フィルタへの前記高いヘマトクリット値の赤血球の押し通し中、前記白血球減少フィルタを通って流れ、それにより前記溶液を前記高いヘマトクリット値の赤血球と混合し、前記溶液および前記高いヘマトクリット値の赤血球を前記赤血球採取容器に採取する請求項2に記載の使い捨て組立体。
【請求項6】
保存溶液容器と、
前記保存溶液容器と前記赤血球採取容器との間に連結されている第1配管路と、
保存溶液を前記第1配管路を通して前記赤血球採取容器に送るために前記第1配管路を開放するための、前記第1配管路に設けられたクランプとを更に備えている請求項1に記載の使い捨て組立体。
【請求項7】
前記赤血球採取容器に連結されていて、保存溶液容器に選択的に連結可能である第1配管路と、
保存溶液を通すように前記第1配管路を前記保存溶液容器に連結するための、前記第1配管路に設けられたスパイクコネクタとを更に備えている請求項1に記載の使い捨て組立体。
【請求項8】
前記赤血球採取容器に連結されていて、保存溶液容器に選択的に連結可能である第1配管路を更に備えており、
前記第1配管路には、前記第1配管路を、保存溶液を圧送するようになっているポンプと関連させるためのポンプループが形成されている請求項1に記載の使い捨て組立体。
【請求項9】
前記赤血球採取容器に連結されて前記赤血球採取容器から空気を受入れるための空気除去バッグを更に備えている請求項1に記載の使い捨て組立体。
【請求項10】
前記赤血球採取容器は、第1赤血球採取容器であり、前記赤血球採取組立体は、前記白血球減少フィルタに連結され且つ前記白血球減少フィルタの後に配置されている第2赤血球採取容器を更に備えており、前記使い捨て組立体は、更に、高いヘマトクリット値の赤血球を前記分離装置から前記白血球減少フィルタに通し、且つこれを通して前記第1および第2赤血球採取容器に同時に通すようになっている請求項1に記載の使い捨て組立体。
【請求項11】
前記赤血球採取容器は、第1赤血球採取容器であり、前記赤血球採取組立体は、前記白血球減少フィルタに連結され且つ前記白血球減少フィルタの後に配置されている第2赤血球採取容器を更に備えており、前記使い捨て組立体は、更に、高いヘマトクリット値の赤血球を前記分離装置から前記白血球減少フィルタに通し、且つこれを通してまず前記第1および第2赤血球採取容器のうちの一方に、次いで前記第1および第2赤血球採取容器のうちの他方に通すようになっている請求項1に記載の使い捨て組立体。
【請求項12】
前記赤血球採取容器は、第1赤血球採取容器であり、前記赤血球採取組立体は、第2赤血球採取容器および第2白血球減少フィルタを備えており、前記第2白血球減少フィルタは、前記第2赤血球採取容器と連通して配置されており、前記使い捨て組立体は、更に、高いヘマトクリット値の赤血球を前記分離装置から前記第1および第2白血球減少フィルタに同時に通し、かくして前記第1および第2赤血球採取容器に同時に通すようになっている請求項1に記載の使い捨て組立体。
【請求項13】
前記赤血球採取容器は、第1赤血球採取容器であり、前記赤血球採取組立体は、第2赤血球採取容器および第2白血球減少フィルタを備えており、前記第2白血球減少フィルタは、前記第2赤血球採取容器と連通して配置されており、前記使い捨て組立体は、更に、高いヘマトクリット値の赤血球を前記分離装置から前記第1白血球減少フィルタに通してまず前記第1赤血球採取容器に、次いで前記第2白血球減少フィルタに通して前記第2赤血球採取溜め部に入れるようになっている請求項1に記載の使い捨て組立体。
【請求項14】
血小板を採取しようとするときに、前記カセット組立体に連結されて、分離された血小板を受入れるための血小板採取バッグを備えている請求項1に記載の使い捨て組立体。
【請求項15】
血漿を採取しようときに前記カセット組立体に連結される血漿採取バッグを備えている請求項1に記載の使い捨て組立体。
【請求項16】
前記血液取出し組立体と、前記流入組立体と、前記処理容器と、前記赤血球採取組立体との間でそれらに連結されているカセット組立体を備えており、前記カセット組立体は血液および血液成分を通すための一体の流体通路を備えている請求項1に記載の使い捨て組立体。
【請求項17】
血液を少なくとも1つの高いヘマトクリット値の赤血球成分に分離し、この高いヘマトクリット値の赤血球成分を採取し且つ白血球減少させるための使い捨て組立体であって、
ドナー/患者から血液を受入れるための血液取出し組立体と、
前記血液取出し組立体に連結されていて、受入れられた血液の流入流れを通す流入組立体と、
受入れられた血液の流入流れを受入れるために前記流入組立体に連結されていて、ドナー/患者から受入れられた血液を高いヘマトクリット値の赤血球を含む血液成分に分離するための分離装置と共同の血液処理容器と、
前記血液処理容器に連結されている赤血球採取組立体とを備えており、この赤血球採取組立体は、
前記血液処理容器から高いヘマトクリット値の赤血球を受入れるように配置されている白血球減少フィルタと、
前記白血球減少フィルタに連結されている赤血球採取容器とを備えており、
それにより、前記高いヘマトクリット値の赤血球は前記血液処理容器への受入れられた血液の流入流れにより前記血液処理容器から前記白血球減少フィルタを通して押出されるようになっている使い捨て組立体。
【請求項18】
前記血液取出し組立体と、前記流入組立体と、前記処理容器と、前記赤血球採取組立体との間でそれらに連結されているカセット組立体を備えており、前記カセット組立体は血液および血液成分を通すための一体の流体通路を備えている請求項17に記載の使い捨て組立体。
【請求項19】
前記流入組立体は更に、
前記カセット組立体および前記血液処理容器に連結されている流入管路を備えており、
前記カセット組立体は更に、
流入ポンプと協働するようになっている流入配管ループと、
前記流入配管ループおよび前記流入配管路に連結されている一体の流体通路とを備えており、それにより受入れられた血液は前記流入ポンプの圧送作用下で前記流入配管ループ、カセットおよび流入管路を通って流れて分離された赤血球を血液処理容器から前記白血球減少フィルタを通して押出すようになっている請求項18に記載の使い捨て組立体。
【請求項20】
カセットに設けられ、保存溶液を前記白血球減少フィルタを通して圧送するためのポンプと協働するようになっている配管ループを更に備えている請求項19に記載の使い捨て組立体。
【請求項21】
前記流入組立体は更に、
前記血液処理容器に連結されている流入配管路を備えており、
前記使い捨て組立体は更に、
流入ポンプと協働するようになっている流入配管路を備えており、それにより、受入れられた血液は前記流入ポンプの圧送作用下で前記流入配管ループおよび流入管路を通って流れて分離された赤血球を血液処理容器から前記白血球減少フィルタを通して押出すようになっている請求項18に記載の使い捨て組立体。
【請求項22】
保存溶液を前記白血球減少フィルタを通して圧送するためのポンプと協働するようになっている溶液廃刊ループを更に備えている請求項18に記載の使い捨て組立体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−268917(P2009−268917A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−188093(P2009−188093)
【出願日】平成21年8月14日(2009.8.14)
【分割の表示】特願2003−550836(P2003−550836)の分割
【原出願日】平成14年12月10日(2002.12.10)
【出願人】(507114521)カリディアンビーシーティー、インコーポレーテッド (39)
【氏名又は名称原語表記】CaridianBCT, Inc.
【住所又は居所原語表記】10811 West Collins Avenue, Lakewood, Colorado 80215, U.S.A.
【Fターム(参考)】