説明

赤血球凝固を予防及び治療するために使用される組成物

哺乳動物赤血球凝集を阻害するための薬学的組成物が開示される。前記組成物は、有効量のダイコンソウの有機抽出物及び薬学的に許容される担体を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願への相互参照)
本出願は、2009年6月12日に出願された米国特許仮出願第61/186,709号、及び2009年6月17日に出願された米国特許仮出願第61/187,905号に対する優先権を主張し、それらの全内容は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
以下の記述は、読者の理解を補助するために提供される。提供される情報又は引用される参考文献のいずれも、本発明に対する先行技術であることを認めるものではない。
【0003】
赤血球(RBC)凝集は、広く研究されており、その重要性は、微小循環のレオロジーにおいて十分に定着している(Aleksander S et al.2005、E.Vicaut et al.1994、J.J.Durussel et al.1998)。微小循環血流障害に関与する3つの重大な要因は、増加したRBC凝集、増加した血漿粘度、及び低下した赤血球変形能である(S Chien et al.1987、G.Cicco et al.1999、V.Nagaprasad et al.1998)。生理学的条件下において、静止状態の又は緩徐に移動する血液中のRBCは、積み重ねたコインのように相互に付着し、凝集体の形成につながる可逆的細胞間接触を形成する。
【0004】
RBC凝集は、血液粘度を増加させ、それゆえに、微細血管、特に、細静脈を通る細胞の通過に影響を及ぼす(Mark J et al.2000、George Mchedlishvili et al.2002)。病理学的条件において、RBCは、不可逆的又は可逆性の低い凝集体を形成する可能性があり、これは、小動脈及び細静脈を塞ぐことができる。異常なRBC凝集は、糖尿病、マラリア、心不全、虚血性心疾患、脳卒中、脳低灌流、虚血肢、高血圧、血液学的障害、感覚消失、及びその他多くを含む、いくつかの疾患及び状態と関連することが見出されている(John A et al.1979、Amiram Eldor et al.2002、Patricia foresto et al.2000)。
【0005】
RBCの直径は、毛細血管の平均直径よりも大きく、したがって、RBCは、有蓋車様式で、1つずつ毛細血管を通過するために変形しなければならない。しかしながら、RBC凝集体は、毛細血管を通過することができない。よって、大規模なRBC凝集は、血液粘度を増加させ、かつ重要な器官及び全身の効率的な血液灌流を減少させることとなる。
【0006】
正常な血液中のRBC凝集は、適正な剪断力の存在下で可逆的過程である。しかしながら、病理学的RBC凝集は、急速かつ大規模に形成される。現在利用可能な治療上のアプローチ又は薬物は、症状の緩和を提供するか、あるいは状態の進行性悪化を遅らせることができるのみである。凝集したRBCの効果的な分離及びRBCのさらなる凝集の予防は、特に老年集団において、多くの重症疾患、例えば心臓発作、脳卒中、虚血性心疾患、心不全、高血圧、虚血肢、脳低灌流、及び創傷治癒の効果的な予防又は治療にさらに寄与するであろう微小循環を著しく改善するであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本開示は、とりわけ、RBC凝集を予防し、かつ様々な病理学的条件下で不規則に凝集した赤血球を、血液の粘度を減少させ、その後、身体の器官及び組織の微小循環を改善するであろう規則正しく十分に分散した形態に修復する方法に関する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一態様において、本発明は、RBC凝固の治療又は予防を、それを必要とする哺乳動物対象において行う方法に関し、哺乳動物対象に、有効量のダイコンソウの有機抽出物を投与することを含む。一実施形態において、有機抽出物は、エタノール抽出物である。別の実施形態において、有機抽出物は、メタノール抽出物である。一実施形態において、対象は、ヒトである。いくつかの実施形態において、RBC凝固は、糖尿病、マラリア、心不全、虚血性心疾患、脳卒中、脳低灌流、虚血肢、高血圧、血液学的障害、又は感覚消失に関連する。
【0009】
一実施形態において、ダイコンソウの抽出物は、経口投与される。一実施形態において、ダイコンソウの抽出物は、皮下注射、筋肉注射、又は静脈内注入によって投与される。一実施形態において、抽出物は、約0.01mg/kg/日〜約10000mg/kg/日の量で投与される。一実施形態において、有効量の抽出物は、抽出物及び薬学的に許容される担体を含む製剤の形態にある。
【0010】
別の態様において、本発明は、有効量のダイコンソウの有機抽出物及び薬学的に許容される担体を含む、哺乳動物対象のRBC凝固を阻害するための薬学的組成物を提供する。一実施形態において、有機抽出物は、エタノール抽出物である。別の実施形態において、有機抽出物は、メタノール抽出物である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、代表的な生血液細胞試料の一連の暗視野位相差顕微鏡画像である。パネル(a)は、眩暈、胸部圧迫、及び指の虚血を有する患者から得られた血液試料である。画像は、様々な長連銭を形成する、何十又は何百もの凝集した赤血球を示す。パネル(b)は、抽出物での治療の1週間後に同一の患者から得られた血液検体である。長連銭RBC凝集体は短縮され、50%超の赤血球が良好に分散していた。パネル(c)は、抽出物での治療の2週間後の同一の患者の血液試料である。赤血球の大部分は、良好に分散しており、連銭様のRBC凝集体はほとんど観察されなかった。
【発明を実施するための形態】
【0012】
様々な態様において、本発明は、RBC凝固及び異常なRBC凝集と関連する疾患を予防又は治療するための化合物、抽出物、並びに方法を提供する。本明細書に提供される化合物は、開示される方法において有用である薬学的組成物及び薬物に製剤化することができる。薬学的製剤及び薬物を調製する際の化合物及び抽出物の使用もまた提供される。
【0013】
本発明の実質的な理解を提供するために、本発明のある特定の態様、様式、実施形態、変形例、及び特徴が、様々な詳細の度合いで以下に説明されることを理解されたい。以下の用語は、文脈が別途明確に示さない限り、以下に説明されるように全体を通して使用される。
【0014】
本明細書で使用される、対象若しくは対象への作用物質又は薬物の「投与」は、対象に、その意図された機能を実行するための化合物を導入又は送達する任意の経路を含む。投与を、経口、経鼻、非経口(静脈内、筋肉内、腹腔内、若しくは皮下)、直腸、又は局所を含む、任意の好適な経路で実行することができる。投与には、自己投与及び他者による投与が含まれる。説明される症状の治療又は予防の様々な様式は、「実質的」を意味することが意図されており、これは、完全な治療又は予防のみならず、それに満たないものを含み、いくつかの生物学的若しくは医学的に関連する結果が達成される。
【0015】
本明細書で使用される、組成物の「効果的な量」若しくは「薬学的に効果的な量」若しくは「治療的に効果的な量」という用語は、所望の治療及び/又は予防効果を達成するのに十分な分量、例えば、治療される疾患に関連する症状の予防又は軽減をもたらす量である。対象に投与される本発明の組成物の量は、疾患の種類及び重症度、並びに個人の特徴、例えば総体的な健康、年齢、性別、体重、及び薬物に対する耐容性によって決まる。量は疾病の程度、重症度、及び種類によっても決まる。当業者は、これら及び他の要因によって、適切な用量を決定することができる。本発明の組成物を、1つ以上の追加の治療化合物との組み合わせで投与することもできる。
【0016】
本発明で使用される「OEGJ」という略語は、特別な指示がなければ、以下で説明される有機溶媒による植物ダイコンソウの抽出物を意味する。
【0017】
本明細書で使用される「対象」という用語は、哺乳動物、例えばヒトを指すが、動物、例えば、ペット(例えば、イヌ、ネコ等)、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ブタ、ウマ、等)、及び実験動物(例えば、サル、ラット、マウス、ウサギ、テンジクネズミ等)であってもよい。
【0018】
本明細書で使用される「治療する」若しくは「治療」若しくは「緩和」という用語は、治療処置及び予防又は防止措置の両方を指し、標的の病理学的状態又は障害を予防するか、あるいは遅らせる(軽減させる)ことが目的である。本発明の方法に従う治療薬を受けた後、対象が、特定の疾患若しくは状態の1つ以上の兆候及び症状の観察可能及び/又は測定可能な低下若しくは不在を示す場合に、対象は、疾患において成功裏に「治療される」という。
【0019】
本明細書で使用される、障害又は状態を「予防」若しくは「予防する」とは、統計サンプルにおいて、治療されていない対照試料と比較して、治療した試料の障害又は状態の発生を減少させるか、あるいは治療されていない対照試料と比較して、障害又は状態の1つ以上の症状の開始を遅延するか、あるいはその重症度を減少させる化合物を指す。
【0020】
本発明の組成物
いくつかの実施形態において、化合物は、ダイコンソウ、センカクソウ、キンミズヒキ(バラ科)、及びタイムモンゴリカスロン(Thymus mongolicus Ronn)(シソ科)の、植物全体、抽出物、例えば、有機抽出物である。特定のある実施形態において、本化合物は、ダイコンソウのメタノール/エタノール抽出物、又はその活性画分である。いくつかの実施形態において、本化合物は、ダイコンソウの抽出物の画分である。
【0021】
本発明は、ダイコンソウを含む多種多様の植物由来の作用物質及び/又は抽出物、並びに化合物、及びそのような化合物の誘導体を用いて、多種多様の疾患又は病状を治療又は予防する方法を提供する。いくつかの実施形態において、作用物質は、ダイコンソウの抽出物、例えば、有機抽出物である。特定の実施形態において、作用物質は、ダイコンソウのメタノール/エタノール抽出物、又はその活性画分である。
【0022】
ダイコンソウから有機抽出物を調製するための方法が提供される。本方法は、(a)C1〜C4アルコールから成る群から選択されるアルコールで、ダイコンソウの植物を抽出するステップを含む。このステップを、3〜6回、典型的には5回、室温で繰り返すことができる。ステップ(a)を実行する前に、植物原料を、粉末化するか、あるいは小片に切り分けることができる。C1−C4アルコールは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノール、n−ブタノール、イソ−ブタノール、及びter−ブタノールを含む。典型的には、アルコールは、抽出されるダイコンソウの量の質量の1〜10倍で添加される。
【0023】
方法は、(b)ステップ(a)から得られた抽出物を乾燥させて乾燥粉末とするステップ、並びに(c)ステップ(b)から得られた粉末を、C6アルカン、EtOAc、及びC1−C4アルコールから成る群から選択されるアルコールで順次抽出するステップをさらに含み得る。C6アルカンは、例えば、シクロヘキサン、n−ヘキサン、並びにネオ−ヘキサン等を含む、6個の炭素原子を有する環状及び非環状アルカンを含む。C1−C4アルコールは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノール、n−ブタノール、イソ−ブタノール、及びter−ブタノールを含む。使用する有機溶媒の量は、典型的には、さらに抽出される粉末又は小片の量の質量の1〜10倍である。
【0024】
上で列挙した方法は、抽出物を濾過して、その中の任意の不溶性粉末を除去することも含み得る。乾燥させるステップを、減圧下にて、室温より高い温度、例えば、50℃で、又は電気噴霧で完了することができる。
【0025】
OEGJを精製するために、方法は、粉末を、クロマトグラフィーカラムに適用するステップ、及びカラムをC1−C4アルコールから成る群から選択されるアルコールの漸増する濃度を有する水溶液で溶出するステップをさらに含み得る。例えば、Sephadex又は逆相カラムを使用することができる。使用されるアルコールは、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソ−プロパノール、n−ブタノール、イソ−ブタノール、及びter−ブタノールから成る群から選択される、任意の1つであり得る。
【0026】
NMR分析によって、OEGJは、典型的には、主に、ゲミンA、B、C、D、E、及びFを含むタンニン、並びに2−ヒドロキシオレアノール酸、2−ヒドロキシウルソル酸、2,19−ジヒドロキシウルソル酸、2−α,19−α−ジヒドロキシ−3−オキソ−12−ウルスエン−28−オイック酸、ウルソル酸、ピメリン酸、マスリニン酸、オイスカフ酸、トルメント酸、トルメント酸の28−β−D−グルコシドを含むトリテルペンを含有することが見出される。
【0027】
一実施形態において、本発明の抽出物、画分、及び化合物は、粗植物原料から、水及び/又は有機溶媒の水を用いて、抽出によって得られ、以下の段階を含む:
1.全体を、処理、例えば浸漬/浸出、超音波、又はマイクロ波に供することによる、水及び/又は有機溶媒の植物原料への添加による抽出、
2.石油エーテル、ヘキサン、又はクロロホルム型の溶媒を用いた、抽出段階前又は後の脱脂、
3.任意で、酢酸エチル又はエチルエーテル型の有機溶媒によって回収される抽出物のさらなる抽出、
4.任意で、得られた粗抽出物の濃縮、及び、所望の場合、その凍結乾燥。
【0028】
一態様によると、達成され得る濃縮を考慮して、粗抽出物を、クロマトグラフィーによって精製段階に供することができる。一実施形態において、遠心分配クロマトグラフィ(CPC)が使用される。この技法は、とりわけ、A.P.FOUCAULT,Ed.,Centrifugal Partition Chromatography,Chromatographic Science Series,Marcel Dekker Inc.,1995,68又はW.D.CONWAY,Ed.,Countercurrent Chromatography apparatus theory and applications,VCH Publishers Inc.,1990によって説明される。CPCは、2つ以上の溶媒又は溶液の混合物によって調製される、2つの非混和性の液相間の溶質の分配に基づいている。2つの相のうちの1つは、遠心力によって静止した状態で保持される。選択される溶媒、それらの比率、及び流量は、CPCカラム内の静止相の安定性、及び実際の圧力の両方に密接に依存する。
【0029】
したがって、当業者は、所望の精製された抽出物の性質に応じて、最も適切な溶媒又は溶媒を選択する。これらの異なる抽出物、すなわち、粗抽出物又は濃縮抽出物も、本発明の範囲内に収まる。さらなる分離段階の遂行は、1つ以上の化合物が富化されたこれらの抽出物の単離を可能にする。これらの分離は、求められる分離に好適である比率に従って、適切な溶媒の混合物を用いることによって、粗抽出物から濃縮された画分、又は粗抽出物自体において実行することができる。
【0030】
赤血球凝固並びに関連障害を治療及び予防するための方法
病理学的RBC凝固は、高い頻度で、加齢、高カロリー食生活、及び心脳血管疾患に伴う、危険性が高く、致命的である可能性がある症状である。病理学的RBC凝固は、3〜10個以上の赤血球の凝集から開始する。凝集したRBCクラスターが大き過ぎて毛細血管を通過できない時、それは、酸素の障害性送達、又は脳塞栓、心臓発作、肺塞栓、及び末梢動脈塞栓を引き起こし得る血管の閉塞さえももたらす。これが身体の極めて重要な領域で起こると、重度の機能低下を引き起こし得るか、あるいは生死にさえ関わり得る。
【0031】
現在利用可能な血液希釈剤、例えば ワルファリンは、凝固因子の合成を阻害することによって作用し、そのようにして、凝血の形成を予防する。しかしながら、これらの血液希釈剤は、RBC凝集に影響を及ぼさない。RBC凝集体による微小血管閉塞は、糖尿病性網膜症、下肢静脈血栓症、慢性静脈不全、網膜静脈閉塞、四肢末端虚血、及びマクログロブリン血症を含むいくつかの状態において報告されている。凝集体は、連銭の形態をとり、それは小血管を閉塞するのに十分に大きな大きさであり得る。凝集における原因因子は、特定の疾患実体に依存する。ヘパリン、ワルファリン、プレドニゾン、及び血管拡張剤でのRBC凝集に誘発される閉塞の治療は、いかなる緩和も提供しない。したがって、病理学的RBC凝集を予防及び治療する薬物への多大な要求が存在する。
【0032】
一態様において、本開示は、不規則に凝集した赤血球を、血液の粘度を減少させ、その後、全身の微小循環を改善する、規則正しく離散した形態に修復することができるダイコンソウの有機抽出物に関する。異常なRBC凝集は、不規則な凝集構造の形成につながり得る、それは細胞関連因子(減少した膜シアル酸レベル)によってのみならず細胞外因子によっても誘発される場合もある。増加したRBC凝集は、いくつかの病理学的状態で観察されている。例えば、グリコホリンの低下したシアリル化に起因する増加したRBC凝集は、血管疾患の発生及び微小循環機能障害において重要な因子であり得る。したがって、本開示は、対象に、有効量のOEGJを投与することによる、哺乳動物対象の血管疾患の治療又は予防のための方法を提供する。
【0033】
一実施形態において、凝集したRBCに対する本発明の組成物の脱凝集効果は、血液粘度を減少させ、身体の微小循環及び効率的な血液灌流を実質的に改善する。一実施形態において、抽出物は、RBC凝集を予防し、それが次いで、心臓発作、脳卒中(脳発作)、高血圧、大脳皮質血管虚血、及び四肢虚血等の障害性微小循環関連疾患を予防する。一実施形態において、抽出物の脱凝集効果は、効率的な血液灌流を高め、かつ疾患の治療において微小循環を改善する。したがって、本発明は、血液凝固障害、例えば心筋梗塞、脳卒中、末梢動脈疾患による四肢の喪失、又は肺塞栓を予防するために、凝血の形成を阻害することを目的とした抗凝固及び抗血栓治療を提供する。
【0034】
一実施形態において、本発明の植物、抽出物、活性画分、及び/又は化合物を、血管拡張薬、例えば、ベンシクラン、シンナリジン、シチコリン、シクランデレート、シクロニケート、エブマモニン、フェノキセジル、フルナリジン、イブジラスト、イフェンプロジル、ロメリジン、ナフロール、ニカメート、ノセルゴリン、ニモジピン、パパベリン、ペンチフィリン、ノフェドリン、ビンカミン、ビンポセチン、ビキジル、ペントキシフィリン、プロスタサイクリン派生物(プロスタグランジンE1及びプロスタグランジンI2等)、エンドセリン受容体遮断薬(ボセンタン等)、ジルチアゼム、ニコランジル、並びにニトログリセリンとの併用治療の一環として投与することができる。
【0035】
一実施形態において、本発明の植物、抽出物、活性画分、及び/若しくは化合物を、別の抗凝固剤、血栓溶解薬、又は血圧降下薬との併用治療の一環として投与することができる。抗凝固剤の例として、ヘパリン(ヘパリンナトリウム、ヘパリンカリウム、ダルテパリンナトリウム、ダルテパリンカルシウム、ヘパリンカルシウム、パマパリンナトリウム、レビパリンナトリウム、及びダナパロイドナトリウム等)、ワルファリン、エノキサパリン、アルガトロバン、バトロキソビン、並びにクエン酸ナトリウムが挙げられる。抗血小板薬の例として、塩酸チクロピジン、ジピリダモール、シロスタゾール、イコサペント酸エチル、塩酸サルポグレラート、塩酸ジラゼプ、トラピジル、非ステロイド抗炎症薬(アスピリン等)、ベラプロストナトリウム、イロプロスト、及びインドブフェンが挙げられる。血栓溶解薬の例として、ウロキナーゼ、組織型プラスミノーゲン活性化因子(アルテプラーゼ、チソキナーゼ、ナテプラーゼ、パミテプラーゼ、モンテプラーゼ、及びレテプラーゼ等)、並びにナサルプラーゼが挙げられる。抗高血圧薬の例として、アンジオテンシン変換酵素阻害剤(カプトプリル、アラセプリル、リシノプリル、イミダプリル、キナプリル、テモカプリル、デラプリル、ベナゼプリル、シラザプリル、トランドラプリル、エナラプリル、セロナプリル、ホシノプリル、イマダプリル、モベルトプリル、ペリンドプリル、ラミプリル、スピラプリル、及びランドラプリル等)、アンジオテンシンII拮抗剤(ロサルタン、カンデサルタン、バルサルタン、エプロサルタン、及びイルベサルタン等)、カルシウムチャネル遮断薬(アラニジピン、エホニジピン、ニカルジピン、バミジピン、ベニジピン、マニジピン、シルニジピン、ニソルジピン、ニトレンジピン、ニフェジピン、ニルバジピン、フェロジピン、アムロジピン、ジルチアゼム、ベプリジル、クレンチアゼム、フェンジリン、ガロパミル、ミベフラジル、プレニルアミン、セモチアジル、テロジリン、ベラパミル、シルニジピン、エルゴジピン、イスラジピン、ラシジピン、レルカニジピンジピン、ニモジピン、シンナリジン、フルナリジン、リドフラジン、ロメリジン、ベンシクラン、エタフェノン、及びペルヘキシリン等)、β−アドレナリン受容体遮断薬(プロプラノロール、ピンドロール、インデノロール、カルテオロール、ブニトロロール、アテノロール、アセブトロール、メトプロロール、チモロール、ニプラジロール、ペンブトロール、ナドロール、チリソロール、カルベジロール、ビソプロロール、ベタキソロール、セリプロロール、ボピンドロール、ベバントロール、ラベタロール、アルプレノロール、アモスラロール、アロチノロール、ベフノロール、ブクモロール、ブフェトロール、ブフラロール、ブプランドロール、ブチルジン、ブトフィロロール、カラゾロール、セタモロール、クロラノロール、ジレバロール、エパノロール、レボブノロール、メピンドロール、メチプラノロール、モプロロール、ナドキソロール、ネビボロール、オクスプレノロール、プラクトロール、プロネタロール、ソタロール、スフィナロール、タリンドロール、テトラロール、トリプロロール、キシベノロール、及びエスモロール)、α−受容体遮断薬(アモスラロール、プラゾシン、テラゾシン、ドキサゾシン、ブナゾシン、ウラピジル、フェントラミン、アロチノロール、ダピプラゾール、フェンスピリド、インドラミン、ラベタロール、ナホトピジル、ニセルゴリン、タムスロシン、トラゾリン、トリマゾシン、及びヨヒンビン等)、交感神経阻害剤(クロニジン、グアンファシン、グアナベンズ、メチルドーパ、及びレセルピン等)、ヒドララジン、トドララジン、ブドララジン、並びにカドララジンが挙げられる。
【0036】
薬学的組成物の製剤化及び用量
本発明の様々な実施形態において、本発明の作用物質(抽出物、画分、及び化合物)の効果を決定し、かつその投与が対象の罹患した疾患又は病状の治療に適応されるかを決定するために、好適な生体外又は生体内アッセイを実行する。
【0037】
典型的には、治療的又は予防的効果を達成するのに十分な本発明の組成物の有効量は、体重1キログラム当たり、1日約0.000001mgから、体重1キログラム当たり、1日約10,000mgに及ぶ。好適には、用量範囲は、体重1キログラム当たり、1日約0.01mgから、体重1キログラム当たり、1日2,000mgである。例示的な治療計画は、1日に1回、1週間に1回、1ヶ月に1回の投与を必要とする。作用物質は、通常、複数回投与される。単一投与間の間隔は、毎日、毎週、毎月、又は毎年であり得る。あるいは、作用物質を、徐放性製剤として投与することができ、この場合、より頻度の少ない投与が必要とされる。用量及び頻度は、作用物質の対象における半減期によって変わる。投与の用量及び頻度は、治療が予防的であるか、あるいは治療的であるかによって変わり得る。予防的用途において、比較的低用量が、比較的低頻度の間隔で、長期間にわたって投与される。一部の対象は、生涯にわたって治療を受け続ける。治療用途において、疾病の進行が低下又は終了するまで、好ましくは、対象が疾病の症状の部分的若しくは完全な改善を示すまで、比較的高用量が比較的短い間隔で必要とされることもある。その後、患者を、予防的療法で投与することができる。
【0038】
毒性。好適には、本明細書に記載の作用物質の有効量(例えば、用量)は、対象に実質的な毒性を引き起こすことなく、治療上の利益を提供する。本明細書に記載の作用物質の毒性を、細胞培養又は実験動物における標準の薬学的手順によって、例えば、LD50(母集団の50%に対して致死的である用量)又はLD100(母集団の100%に対して致死的である用量)を決定することによって決定することができる。毒性と治療効果との間の用量比は、治療指数である。これらの細胞培養アッセイ及び動物研究から得られたデータを、ヒトにおける使用に有毒ではない用量範囲を製剤化する時に用いることができる。本明細書に記載の作用物質の用量は、好適には、わずかな毒性しか有さないか、あるいは毒性を有さない有効用量を含む様々な血中濃度内にある。用量を、採用される剤形及び利用される投与経路によって、この範囲内で変えることができる。対象の状態を考慮して、的確な製剤、投与経路、及び用量を、個々の医師が選択することができる。例えば、Fingl et al.,In:The Pharmacological Basis of Therapeutics,Ch.1(1975)を参照されたい。
【0039】
本発明の方法に従って、作用物質を、投与に好適な薬学的組成物の中に組み込むことができる。いくつかの実施形態において、薬学的組成物は、対象への投与に好適な形態の、ダイコンソウの精製された、あるいは実質的に精製された抽出物、及び薬学的に許容される担体を含み得る。他の実施形態において、薬学的組成物は、投与される特定の組成物によって部分的に決定され、かつ組成物を投与するのに使用される特定の方法によって同様に決定される、薬学的に許容される担体を含み得る。したがって、組成物を投与するのに好適な広範囲な種類の薬学的組成物の製剤が存在する(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Co.,Easton,PA 18th ed.,1990を参照のこと)。薬学的組成物は、概して、無菌組成物、実質的に等張な組成物として、かつ全ての米国食品医薬品局の適正製造基準(GMP)に則って製剤化される。
【0040】
「薬学的に許容される」、「生理学的に許容できる」という用語、及びその文法的変形は、それらが組成物、担体、希釈剤、及び試薬を指す時、交換可能に用いられ、物質が、組成物の投与を禁止するであろう程度に望ましくない生理学的作用を生じることなく、対象に、又は対象上に、投与することができることを表す。例えば、「薬学的に許容される賦形剤」は、概して、安全であり、非毒性であり、かつ望ましい薬学的組成物を調製する時に有用である賦形剤を意味し、家畜への使用、並びにヒトへの薬学的使用に許容される賦形剤を含む。そのような賦形剤は、固体、液体、半固体、又はエアロゾル組成物の場合、ガス状であり得る。当業者であれば、本発明の特定の薬物及び組成物の投与の適切なタイミング、順序、及び用量を判断することは困難ではないであろう。
【0041】
そのような担体又は希釈剤の好適な例には、水、生理食塩水、リンガー溶液、デキストロース溶液、及び5%ヒト血清アルブミンが挙げられるが、それらに限定されない。リポソーム及び固定油等の非水媒介物も使用することができる。薬学的活性物質におけるそのような媒体及び化合物の使用は、当技術分野で周知である。任意の従来の媒体又は化合物が作用物質と適合しない場合を除き、組成物におけるその使用が企図される。補足的な活性化合物も、組成物の中に組み込むことができる。
【0042】
本発明の薬学的組成物を、その意図された投与経路に適合するように製剤化する。本発明の組成物を、非経口、局所、静脈内、経口、皮下、動脈内、皮内、経皮、直腸、頭蓋内、腹腔内、鼻腔内、筋肉内経路によって、又は吸入剤として、投与することができる。作用物質を、任意で、様々な疾病を治療する時に、少なくとも部分的に効果的である他の作用物質との併用で投与することができる。
【0043】
非経口、皮内、又は皮下適用に使用される溶液又は懸濁液は、以下の成分を含むことができる:無菌希釈剤、例えば注入用の水、食塩溶液、固定油、ポリエチレングリコロール、グリセリン、ポリピレングリコロール、又は他の合成溶媒;抗菌化合物、例えばベンジルアルコール又はメチルパラベン;抗酸化剤、例えばアスコルビン酸又は亜硫酸水素ナトリウム;キレート化化合物、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA);緩衝剤、例えば酢酸、クエン酸、又はリン酸;及び張性の調整のための化合物、例えば塩化ナトリウム又はデキストロース。pHを、塩酸又は水酸化ナトリウム等の酸又は塩基で調整することができる。非経口調製物を、ガラス又はプラスチック製のアンプル、使い捨て注射器、又は反復投与バイアルに封入することができる。
【0044】
注入使用に好適な薬学的組成物は、無菌水溶液(水溶性である場合)又は分散物、及び注入可能な無菌溶液又は分散物の即座の調製のための無菌粉末を含む。静脈内投与において、好適な担体は、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(BASF,Parsippany,N.J.)、又はリン酸緩衝食塩水(PBS)を含む。全ての場合において、組成物は無菌でなくてはならず、容易に注射針を通過する程度に流動性であるべきである。これは、製造及び保存条件下で安定し、かつ細菌及び菌類等の微生物の汚染作用に対して保護されなければならない。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体ポリエチレングリコール等)、並びにその好適な混合物を含有する、溶媒又は分散媒体であり得る。適切な流動性を、例えば、レシチン等のコーティングの使用によって、分散の際の必要とされる粒径の維持によって、及び界面活性剤の使用によって維持することができる。微生物の作用の防止を、様々な抗菌及び抗真菌化合物、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、アスコルビン酸、チメロサール等によって達成することができる。多くの場合、組成物中に、等張化合物、例えば、糖類、マンニトール、ソルビトール等の多価アルコール類、塩化ナトリウムを含むことが好ましい。吸収を遅延する化合物、例えば、モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチンを組成物中に含むことによって、注入可能な組成物の持続的吸収をもたらすことができる。
【0045】
注入可能な無菌溶液を、必要に応じて、上に列挙される成分の1つ又は組み合わせを有する適切な溶媒に、必要量の作用物質を組み込むことによって調製することができ、濾過滅菌が続く。概して、分散物は、結合剤を、塩基性分散媒体及び上に列挙されるものからの所要の他の成分を含有する無菌媒介物へ組み込むことによって調製される。注入可能な無菌溶液の調製のための無菌粉末の場合、調製方法は、活性成分と、先に無菌濾過されたその溶液からの任意の追加の望ましい成分との粉末をもたらす、真空乾燥及びフリーズドライである。本発明の作用物質は、活性成分の持続放出又はパルス放出を可能にするような様式で製剤化することができる、蓄積注射又は埋め込み調製物の形態で投与することができる。
【0046】
経口組成物は、概して、不活性希釈剤又は可食性担体を含む。これらを、ゼラチンカプセルに封入することができるか、あるいは錠剤に圧縮することができる。経口治療投与のために、結合剤を、賦形剤とともに組み込み、錠剤、トローチ、又はカプセルの形態で使用することができる。経口組成物を、マウスウォッシュとして使用するために、液体担体を用いて調製することもでき、液体担体中の化合物は、経口で適用され、すすいで吐かれるか、あるいは飲み込まれる。薬学的に適合性のある結合化合物、及び/又は補助物質を、組成物の一部として含むことができる。錠剤、丸剤、カプセル、トローチ等は、以下の成分のうちのいずれかの成分、又は同様の性質の化合物を含有することができる:結合剤、例えば微結晶性セルロース、トラガカントゴム、若しくはゼラチン;賦形剤、例えばデンプン若しくはラクトース;崩壊化合物、例えばアルギン酸、プリモゲル、若しくはトウモロコシデンプン;滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム若しくはステロテス;流動促進剤、例えばコロイド状二酸化ケイ素;甘味化合物、例えばスクロース若しくはサッカリン;又は風味化合物、例えばペパーミント、サルチル酸メチル、若しくはオレンジ香味料。
【0047】
一実施形態において、作用物質は、インプラント及びマイクロカプセル化送達系を含む放出制御製剤等の、身体からの迅速な除去に対して作用物質を保護する担体とともに調製される。生分解性、生体適合性ポリマー、例えばエチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸を使用することができる。そのような製剤の調製のための方法は、当業者には明らかであろう。また、物質は、Alza Corporation and Nova Pharmaceuticals,Incから商業的に得ることもできる。リポソーム懸濁液(ウイルス抗原に対するモノクローナル抗体を有する感染細胞を標的とするリポソームを含む)を、薬学的に許容される担体として使用することもできる。これらを、当業者に既知の方法、例えば、米国特許第4,522,811号に記載の方法に従って調製することができる。
【0048】
実施例
本技術は、以下の実施例によってさらに例証されるが、それらは、いかなる点においても限定するものとして解釈されるべきではない。
【0049】
実施例1RBC凝集を予防及び治療するための活性組成物の調製
この実施例は、RBCが凝集するのを予防し、かつすでに凝集したRBCを良好に分散した細胞集団に分離する活性組成物の特定及び調製を記載する。これらの作用を示す植物構成要素をスクリーニングして、化合物の組成物を特定するために、生物アッセイに導かれる戦略を使用した。スクリーニング過程の間、RBCを凝集から効果的に防止し、かつRBC凝集体を良好に分散した細胞に実質的に分離する、ダイコンソウ変種から単離した一つの活性画分を特定した。
【0050】
手短に言うと、成熟したダイコンソウを、7月に黄山から収集して乾燥させた。乾燥させた植物を小片に切り分け、室温で6日間、75%エタノール(10倍の容積)で浸出させた。抽出物を電気噴霧し、茶色の粉末を得た。
【0051】
実施例2ヒト対象におけるRBC凝集の治療
この実施例において、我々は、臨床設定において、患者の同意を得て、RBC凝集を有する患者への抽出物の治療効果を試験した。患者は、58才で、眩暈及び胸部圧迫、並びにチアノーゼの突然発症及び指の痛みを有した。患者は、糖尿病歴、レイノー現象、又は寒冷不耐性を有さなかった。身体検査は、患者の指遠位のチアノーゼを露呈した。患者の末梢血塗抹標本の顕微鏡検査は、各鎖又は塊において10〜100個のRBCから成る長い連銭鎖の形態で、重症のRBC凝集を露呈した(図1A)。患者は、頭痛、胸部圧迫、眩暈、指の冷えを感じ、伝統的な血液希釈治療に応答しなかった。
【0052】
次に、第1の患者の完全な同意を得て、患者を実施例1の抽出物で2週間治療した(経口で、3グラム/日)。治療の1週間後、各鎖において10〜100個のRBCから成る赤血球の長鎖を有する連銭形成の代わりに、凝集体は、多くの十分に分散した赤血球を有する各凝集体において2〜10個の赤血球の連銭の短鎖のみから成った(図1B)。さらに、2週間の抽出物での患者の治療は、RBC凝集体を完全に分散させ、ほぼ全ての赤血球は、RBC凝集体がほとんど観察されることなく、良好に分離した(図1C)。2週間の抽出物での治療は、患者の虚血症状、例えば眩暈、頭痛、及び胸部圧迫の迅速な緩和につながり、彼の指には、色彩及び温かさが戻った。すなわち、RBC凝集の減少は、彼の四肢末端への改善された血液灌流並びに著しく改善された症状で示されるように、減少した血液粘度、並びに増加した効率的な血液灌流及び患者の全ての器官及び組織への酸素化をもたらした。
【0053】
他の3名の男性患者(55〜65才)は、眩暈、胸部圧迫、虚血肢、及び血液高粘度を報告した。暗視野位相差顕微鏡でのそれらの末梢血塗抹標本の検査において、彼らは、RBC凝集の著しい程度を露呈した(表1)。次に、彼らの完全な同意を得て、彼らを、同一のプロトコル(3g/日で2週間)に従って治療した。第1の患者と同様の治療効果が達成された。連銭RBC凝集体は、治療の1週間後に著しく短縮し、抽出物での治療の2週間後には、赤血球は、さらに良好に分散し、赤血球凝集はほとんど観察されなかった(表1)。患者の症状の迅速な緩和における発症機序は、恐らく、実質的に減少したRBC凝集の結果としての血液の減少した粘度による。顕著な連銭形成での異常なRBC凝集は、恐らく、患者の指虚血、眩暈、及び胸部圧迫に寄与した。
【0054】
これらの結果は、実施例1の活性抽出物での患者の治療が、患者の血液のRBC凝集を著しく減少させたことを示す。結果として、血液高粘度は低下し、効率的な血液灌流及びRBCの酸素担持能力を増加させるさらなる助けとなるであろう。低下した血液粘度及び十分に分散したRBCは、毛細血管を横切ることができるRBCの総数を増加させるであろう。我々は、RBC凝集が、低い剪断速度で血液の粘度を増加させ、かつそのような増加した粘度が、流動停滞及び血栓症傾向を強化するであろうと考えている。
【0055】
したがって、OEGJは、多くの微小循環関連疾患又は状態、例えば脳低灌流若しくは虚血、虚血性心疾患、肺塞栓、静脈塞栓症、末梢虚血、心不全、四肢虚血(レイノー現象)、糖尿病性神経障害、及び慢性皮膚潰瘍形成を治療するのに非常に有用であることが見出される。よって、この抽出物は、上述の多種多様の微小循環関連疾患の治療に有用である。
【表1】

【0056】
ある特定の実施形態が例証され、かつ説明されが、以下の特許請求の範囲に定義されるように、当技術分野の通常の技術に従って、その広範な態様において、本技術から逸脱することなく、その中で変更及び改変を行うことができることを理解すべきである。
【0057】
本開示は、本出願で記載される特定の実施形態に関して限定されるものではない。当業者には明らかとなるように、その精神及び範囲を逸脱することなく、多くの改変及び変形を行うことができる。本明細書に列挙される方法及び装置に加えて、本開示の範囲内にある機能的に同等の方法及び装置は、前述の記述から、当業者には明らかとなるであろう。そのような改変及び変形は、添付の特許請求の範囲の範囲内に収まることが意図される。本開示は、添付の特許請求の範囲が権利付与される均等物の全範囲とともに、そのような特許請求の範囲の条項によってのみ限定される。本開示は、特定の方法、試薬、化合物、組成物、又は生物系に限定されず、これらは、言うまでもなく、変化し得ることを理解されたい。本明細書で使用される専門用語は、特定の実施形態を説明するためだけであり、限定されることを意図したものではないことも理解されたい。
【0058】
加えて、本開示の特徴又は態様が、マーカッシュ群に関して説明される場合、当業者は、本開示は、それにより、マーカッシュ群の任意の個々の成員又は成員の下位群に関しても説明されることを認識する。
【0059】
当業者によって理解されるように、ありとあらゆる目的のために、特に書面での記述を提供することに関して、本明細書に開示される全ての範囲は、ありとあらゆる考えられる部分的な範囲、及びその部分的な範囲の組み合わせも包含する。任意の列記された範囲を、同一の範囲が、少なくとも同等の1/2、1/3、1/4、1/5、1/10等に分割されることを十分に説明及び可能にするものとして、容易に認識することができる。非限定的な例として、本明細書で議論される各範囲は、下1/3、中1/3、上1/3等に容易に分割することができる。また、当業者によって理解されるように、「最高」、「少なくとも」、「を上回る」、「未満」等の全ての表現は、列挙される数を含み、上で論じられる部分的な範囲に実質的に分割することができる範囲を指す。最後に、当業者によって理解されるように、範囲は、各々の個々の成員を含む。したがって、例えば、1〜3単位を有する群は、1、2、又は3単位を有する群を指す。同様に、1〜5単位を有する群は、1、2、3、4、又は5単位を有する群を指す、などである。
【0060】
様々な態様及び実施形態が本明細書に開示されたが、他の態様及び実施形態は、当業者には明らかとなろう。本明細書に開示される様々な態様及び実施形態は、例証のためであり、以下の特許請求の範囲によって示される真の範囲及び精神をもって、限定することを意図しない。

参考文献
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【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤血球(RBC)凝固の治療又は予防を必要とする哺乳動物対象の赤血球凝固を治療又は予防する方法であって、前記哺乳動物対象に、有効量のダイコンソウの有機抽出物を投与することを含む、方法。
【請求項2】
前記有機抽出物が、エタノール抽出物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記有機抽出物が、メタノール抽出物である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記RBC凝固が、糖尿病、マラリア、心不全、虚血性心疾患、脳卒中、脳低灌流、虚血肢、高血圧、血液学的障害、又は感覚消失に関連する、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記対象がヒトである、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ダイコンソウの前記抽出物が経口で投与される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
ダイコンソウの前記抽出物が、皮下注射、筋肉注射、又は静脈内注入によって投与される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記抽出物が、0.01mg/kg/日〜10000mg/kg/日の量で投与される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記有効量の前記抽出物が、前記抽出物と薬学的に許容される担体とを含む製剤の形態にある、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
哺乳動物対象の赤血球凝集を阻害するための薬学的組成物であって、有効量のダイコンソウの有機抽出物と薬学的に許容される担体とを含む、組成物。
【請求項11】
前記有機抽出物が、エタノール抽出物である、請求項10の組成物。
【請求項12】
前記有機抽出物が、メタノール抽出物である、請求項10の組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2012−529485(P2012−529485A)
【公表日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514550(P2012−514550)
【出願日】平成22年6月11日(2010.6.11)
【国際出願番号】PCT/IB2010/001415
【国際公開番号】WO2010/143061
【国際公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【出願人】(511300536)ジェネレックス ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】