説明

走査型光投影装置

【課題】部品点数を減らして、簡易な構造によって画像を表示することを可能にし、小型化を図ることができる走査型光投影装置を提供する。
【解決手段】光が出射される先端部を揺動可能として、光ファイバー16を支持する保持手段18と、前記光ファイバー16に接続された光源20と、前記光ファイバー16の前記先端部に磁力を作用させ、光ファイバー16を揺動駆動させる磁力発生手段14とを備え、前記光ファイバー16の先端部には、前記磁力発生手段14による磁力の作用を受けて光ファイバー16を移動させる磁性体が設けられ、前記磁力発生手段14を制御して前記光ファイバー16を走査移動させるとともに、前記光源20からの光の出射を制御して画像を表示する制御部25とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバーを用いた走査型光投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像表示装置として液晶プロジェクター装置が広く使用されている。液晶プロジェクター装置による画像表示方法には、光源から出射した光をハーフミラーによってRGB光に分波し、分波光をクロスプリズムにより合成して画像として投影する方法、RGB光をMEMSミラーにより反射し、スクリーン上でRGB光を走査して画像を表示するといった方法がある。また、画像表示方法として、複数の発光部を備えた回転発光体を回転させながら、発光部を所定のタイミングで点滅させることによって文字や図形を表示する装置(特許文献2参照)もある。
【特許文献1】特開2006−72251号公報
【特許文献2】特開2000−276083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、液晶プロジェクター装置の小型化が進み、携帯型の液晶プロジェクター装置についても検討されている。画像投影装置の小型化には、ハーフミラーやクロスプリズムを使用する方式とくらべてMEMSミラーを用いる方式が有利である。しかしながら、MEMSミラーを用いる方式では、ミラーの位置を正確に制御する必要があり、多数個のMEMSミラーを用いて光を走査する方式の場合は、部品点数が多くなり、各々のミラーの位置調節が難しいという問題がある。
【0004】
本発明は、これらの課題を解決すべくなされたものであり、クロスプリズムやMEMSミラーを用いることなく、より簡易な構造によって画像を表示することを可能にし、小型化を図ることができる走査型光投影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は次の構成を備える。
すなわち、光が出射される先端部を揺動可能として、光ファイバーを支持する保持手段と、前記光ファイバーに接続された光源と、前記光ファイバーの前記先端部に磁力を作用させ、光ファイバーを揺動駆動させる磁力発生手段とを備え、前記光ファイバーの先端部には、前記磁力発生手段による磁力の作用を受けて光ファイバーを移動させる磁性体が設けられ、前記磁力発生手段を制御して前記光ファイバーを走査移動させるとともに、前記光源からの光の出射を制御して画像を表示する制御部とを備えることを特徴とする。
なお、光ファイバーの先端部とは、光ファイバーの先端の一定の範囲を意味する。磁性体は、光ファイバーの先端側の一部分に設ける。
【0006】
また、前記光ファイバーは、先端部に芯線が露出して設けられ、前記磁性体として、前記芯線の外表面に磁性体金属層が被着形成されている形態として使用することができる。また、前記磁性体は、光ファイバーの被覆部の外面に磁性体金属ホルダが取り付けられて形成されている形態とすることもできる。
【0007】
また、前記磁力発生手段は、正方形の一つのコーナー部を挟む2辺の位置に、それぞれ一つの磁石を配置して形成され、前記磁石の磁力を制御する磁力制御部が設けられた構造とすることができる。
また、前記光ファイバーは、前記磁力発生手段による磁力が前記光ファイバーに作用していない状態において、前記磁石により挟まれる正方形のコーナー部とは対角位置にあるコーナー部に、出射面が位置するように前記保持手段によって保持されていることを特徴とする。
【0008】
また、前記磁力発生手段は、円形の支持リングに、周方向に均等間隔をあけて複数の磁石を配置して形成され、前記磁石の磁力を制御する磁力制御部が設けられていることを特徴とする。
また、前記光ファイバーは、前記磁力発生手段による磁力が前記光ファイバーに作用していない状態において、前記支持リングの中心位置に出射面が位置するように前記保持手段によって保持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る走査型光投影装置は、光ファイバーの先端部に磁性体を設け、磁力発生手段による磁力を光ファイバーに作用させることにより光ファイバーを揺動駆動し、光ファイバーからの投射光を走査して画像を表示する。したがって、画像を表示する機構の構成が簡素化され、部品点数を減らして投影装置の小型化を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る走査型光投影装置の実施の形態について、添付図面とともに説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、走査型光投影装置の第1の実施の形態の全体構成を示す。本実施形態の走査型光投影装置は、光ファイバーからの出射光を利用して画像を表示することを特徴とする。図1に示す走査型光投影装置は、円筒形に形成されたホルダ10の前端に取り付けられた投影レンズ12と、投影レンズ12の後方に配置された磁力発生手段14と、磁力発生手段14の後方に配置された光ファイバー16とを備える。
【0011】
光ファイバー16はコリメート機能を備えた光ファイバーとして形成され、先端側に芯線16aが露出し、被覆部16bが保持手段としての保持ステージ18に支持される。保持ステージ18は、芯線16aが磁力発生手段14に向けて延出するように光ファイバー16を支持するとともに、被覆部16bの基部を支持することによって、光ファイバー16の先端側を揺動可能としている。保持ステージ18に光ファイバー16を支持するには、保持ステージ18に光ファイバー16の配置位置に合わせてV溝を設け、V溝に沿って光ファイバー16を配置し、上から蓋をするようにして接着剤により光ファイバー16を固定支持すればよい。
【0012】
光ファイバー16には光源20が接続され、光源20から光ファイバー16の芯線16aに光を入射させることによって、光ファイバー16の先端から光が投射される。
投影レンズ12は、光ファイバー16から投射される光を拡大投影する作用をなすものであり、広角レンズ等が用いられる。ホルダ10に光ファイバー16をセットした状態において、光ファイバー16の芯線16aの先端位置が投影レンズ12の焦点位置(距離F)に位置するように設定する。
【0013】
本発明に係る光投影装置においては、磁力を光ファイバー16に作用させ、磁気的な吸引力を利用して光ファイバー16(先端側部分)を揺動駆動する。このため、芯線16aの外表面に、磁気作用を受ける磁性体として磁性体金属層を被着形成した光ファイバー16を使用する。
【0014】
図2に、芯線16aの外表面に磁性体金属層を形成する方法を示す。
図2(a)は、被覆部16bから芯線16aが延出した状態を示す。光ファイバー16の端面(光出射面16c)は、芯線16aの軸線方向に対して垂直となる面方向に対してわずかに傾斜する面に形成される。
図2(b)は、芯線16aの先端に磁性体金属層が付着しないように、芯線16aの先端をレジスト等からなるマスク19によって被覆した状態を示す。
【0015】
次いで、スパッタリングあるいはめっき等によって芯線16aの表面に磁性体金属層17を形成する(図2(c):断面図)。磁性体金属層17は、芯線16aの外表面の全面に被着するように設ける。磁性体金属層17には、ニッケル、鉄、コバルト、あるいはこれらの合金等からなる磁性材料が用いられる。
本実施形態において使用している光ファイバー16は、芯線16aの径0.125mm、被覆部16bの径0.25mmである。磁性体金属層17の厚さは、0.01mm程度である。
【0016】
図2(d)は、マスク19を除去し、芯線16aの外表面に磁性体金属層17が被着形成された光ファイバー16を示す。芯線16aの先端面には磁性体金属層17は付着していない。芯線16aの先端部分をマスクして磁性体金属層17を形成することによって、光ファイバー16の光出射およびコリメート機能が阻害されることはない。
【0017】
図3は、コリメート機能を備えていない光ファイバーについて、芯線の外表面に磁性体金属層を形成する方法を示す。
図3(a)は、芯線16aと被覆部16bを備える光ファイバー16を示す。図3(b)は、芯線16aの外表面に磁性体金属層17を形成した状態を示す(断面図)。図3(c)は、磁性体金属層17が外面に被着形成された芯線16aの端面に研磨加工を施し、芯線16aの端面を傾斜面に仕上げた状態を示す。
【0018】
芯線16aの露出部分の長さを調節する必要がある場合は、芯線16aの外表面を磁性体金属層17によって被覆した後、所定長さに合わせて芯線16aを切断した後、芯線16aの端面に研磨加工を施して、芯線16aの端面を傾斜面に加工すればよい。
こうして、芯線16aの出射面が露出し、芯線16aの外表面に磁性体金属層17が被着形成された光ファイバー16が得られる。
【0019】
図1において、磁力発生手段14は、磁気的な力を光ファイバー16に作用させて光ファイバー16を揺動駆動させるために設けたものである。磁力発生手段14として、本実施形態においては、直交する二方向(横位置と縦位置)にひとつずつ磁石を配置した。磁石は磁力制御部15に接続され、磁石のコイルに供給する電流を制御することによって磁石から発生する磁力が制御される。光ファイバー16の芯線16aの先端の位置を、磁石が配置されている位置と重複するように設定して、光ファイバー16に磁石による磁力が効果的に作用するようにする。
【0020】
続いて、本実施形態の走査型光投影装置において光ファイバーを揺動駆動させる作用について説明する。
図4は、図1において、光ファイバー16の端面側(投影レンズ12を配置した側)から光ファイバー16と磁力発生手段14の配置を見た状態を示す。本実施形態における磁力発生手段14は、正面方向から見て、横位置と縦位置に一つずつ磁石14a、14bを配置したものである。磁石14a、14bは正方形領域のコーナー部を挟む2辺に配置される(L形配置)。
【0021】
図4(a)は、光ファイバー16が基準位置にある状態、すなわち磁石14a、14bから光ファイバー16に磁界を作用させない状態における光ファイバー16の位置を示す(黒丸印)。この基準状態においては、光ファイバー16(端面位置)は、磁石14a、14bの配置位置を2辺とする正方形領域の、磁石14a、14bによって形成されるコーナー部とは対角位置にあるコーナー部に位置する。この基準位置は、磁石14a、14bから光ファイバー16に作用させる磁力をOFFにすると、光ファイバー16が復帰する復元位置である。
【0022】
図4(b)は、横置きの磁石14aによる磁力を100%とし、縦置きの磁石14bの磁力を0%とした状態である。この場合は、光ファイバー16は横方向(x方向)には吸引されず、縦方向(y方向)にのみ吸引され、横置きの磁石14aにもっとも接近した位置bに移動する。すなわち、光ファイバー16は磁石14a、14bによって画成される正方形領域の右辺上を移動し、横置きの磁石14aに最も近接した位置に移動する。
図4(c)は、横置きの磁石14aの磁力を0%とし、縦置きの磁石14bの磁力を100%とした場合である。この場合は、正方形領域の下辺上を移動して縦置きの磁石14bにもっとも近接した位置cに光ファイバー16が移動する。
【0023】
図4(d)は、横置きの磁石14aと縦置きの磁石14bの磁力をともに100%とした場合である。この場合は、正方形領域の左上のコーナー部に最も近接した位置dに光ファイバー16が移動する。
図4(e)は、横置きの磁石14aと縦置きの磁石14bの磁力をともに50%とした場合である。この場合は、正方形領域の中央位置eに光ファイバー16が移動する。
図4(f)は、横置きの磁石14aの磁力を70%とし、縦置きの磁石14bの磁力を80%とした場合である。この場合は、基準位置aから横方向に80%、縦方向に70%の位置に光ファイバー16が移動する。
【0024】
図4に示す磁石14a、14bの作用は、磁石14a、14bによる磁力を制御すること、たとえばコイルに通電する電流を制御することによって、光ファイバー16の先端の位置を、磁石14a、14bによって画成される正方形領域の任意の位置に移動させることができることを示している。すなわち、光ファイバー16は、芯線16aの外表面に磁性体金属層17を被着形成し、磁石14a、14bによる磁力の作用を受けられるように形成することにより、磁石14a、14bによる磁力(吸引力)を利用して、光ファイバー16の揺動領域内の任意の位置に移動させることができる。
【0025】
図5(a)は、正方形領域の光ファイバー16の揺動領域内において、磁石14a、14bによって光ファイバー16に作用させる磁力を制御することにより、光ファイバー16の端面位置を走査させる例を示す。光ファイバー16を各段ごとに、左位置から右位置に移動させることによって、光ファイバー16の端面が揺動領域の全域をカバーするように走査させることができる。
【0026】
図6は、図1に示す走査型光投影装置において、磁力制御部15により磁力発生手段14を制御することによって光ファイバー16が揺動駆動される状態を示している。本実施形態においては、横置きの磁石14aと縦置きの磁石14bによる磁力を制御することによって、光ファイバー16の先端側を湾曲させるようにして光ファイバー16を揺動駆動する。光ファイバー16の先端側を湾曲させるように揺動させた際に、光ファイバー16が磁力発生手段14に接触して損傷しないように揺動位置を規制する位置規制部を設けることも有効である。
【0027】
制御部25は、磁力制御部15を制御することにより、磁力発生手段14によって光ファイバー16を走査させるように駆動するとともに、光源20から光ファイバー16に入射させる光のタイミングを、光ファイバー16の走査タイミングと合わせて制御することによって、スクリーンに文字、図形等の画像を表示するように制御する。光ファイバー16から出射された光は投影レンズ12を介してスクリーン上にスポット光として達するから、このスポット光を画素として画像が表示される。図5(b)は、光ファイバー16によるスポットを1画素として文字を表示した例を示す。
【0028】
磁力制御部15により、磁石14a、14bから光ファイバー16に作用させる磁力を高速で制御することにより、光ファイバー16からの出射光は高速でスクリーン上を走査し、スクリーンに画像が表示される。
光源20から光ファイバー16に入射させる入射光が単色であれば、スクリーンには単色画像が表示され、カラー光を入射させることによって、スクリーンにカラー画像を表示させることができる。光ファイバー16にカラー光を入射させる方法としては、ファイバ型カプラあるいは導波路型カプラを使用してRGB光を合成し、合成光を光ファイバー16に入射させればよい。
【0029】
また、光ファイバー16を単芯ではなく、RGB用の3芯の光ファイバーとし、各々の光ファイバーにRGB光の光源を接続してカラー表示させることも可能である。この場合は、各々の光ファイバーにRGB光を接続し、各々のRGB光の光源を別個に制御すればよい。
【0030】
(第2の実施の形態)
図7は、走査型光投影装置の第2の実施の形態の構成を示す。本実施形態の走査型光投影装置は、光ファイバー16と、光ファイバー16を基準状態において水平に支持するファイバホルダ18aと、光ファイバー16に接続される光源20aと、光ファイバー16に磁力を作用させて光ファイバー16を揺動駆動する磁力発生手段30とを備える。
【0031】
光ファイバー16に磁力を作用させて光ファイバー16を揺動駆動させるため、光ファイバー16の先端に磁性体として、円筒状に形成した磁性体金属ホルダ17aを接着固定する。本実施形態においては、光ファイバー16の被覆部16bを覆うように磁性体金属ホルダ17aを取り付けている。磁性体金属ホルダ17aを使用するかわりに、被覆部16bから芯線16aを延出させ、芯線16aの外表面に磁性体金属層を被着させるようにしてもよい。
【0032】
本実施形態においては、光ファイバー16に磁力を作用させる磁力発生手段30を、円形の支持リング32に沿って、周方向に均等間隔に8個の磁石31a〜31hを配置する構成とし、支持リング32の中心位置に、基準状態において光ファイバー16の先端が位置するように光ファイバー16を配置する。
各々の磁石31a〜31hの磁力は、磁力制御部15aにより、磁石31a〜31hのコイルへの通電を制御する等によって制御される。
【0033】
図8は、本実施形態において、磁力発生手段30により光ファイバー16を駆動(移動)させる例を示す。
図8(e)は、磁力発生手段30に設けられた磁石31a〜31hのいずれからも磁力を発生させていない状態、すなわち光ファイバー16に磁力が作用していない基準状態であり、この状態において光ファイバー16は支持リング32の中心に位置する。
図8(a)は、磁石31hのみから光ファイバー16に磁力を作用させた状態であり、光ファイバー16が磁石31hの近傍に移動した状態を示す。
【0034】
図8(b)は、磁石31aから磁力を作用させた状態であり、このときは光ファイバー16は、磁石31aにより吸引されて磁石31aの近傍に移動する。図8(c)は、磁石31b、図8(d)は磁石31g、図8(f)は磁石31c、図8(g)は磁石31f、図8(h)は磁石31e、図8(i)は磁石31dからそれぞれ磁力を作用させた場合であり、各々の磁石による磁力によって光ファイバー16がそれぞれ移動する。
【0035】
図8に示すように、本実施形態においても、磁力制御部15aにより、磁力発生手段30に設けた磁石31a〜31hの磁力を制御することによって、光ファイバー16の先端部を揺動駆動させることができ、光ファイバー16から出射される光をスクリーン面内において周期的に走査させることができる。
【0036】
図9は、本実施形態において光ファイバー16が揺動駆動される状態を示したものである。磁力制御部15aにより磁力発生手段30に設けられた磁石の磁力が制御され、光ファイバー16の先端に設けた磁性体金属ホルダ17aに作用する力(吸引力)が制御されて光ファイバー16が揺動駆動される。
制御部25aにより、光ファイバー16の先端を走査するように磁力制御部15aを制御し、光ファイバー16の走査タイミングに合わせて光源20aから光ファイバー16に入射させる光を制御することによって、投影レンズ12を介してスクリーンに画像を表示させることができる。
【0037】
なお、上記実施形態においては、磁力発生手段30を円形の支持リング32に磁石を配置して形成したが、正方形の枠体状に形成した支持体に磁石を配置して磁力発生手段を形成し、基準状態において、磁力発生手段の中心に光ファイバーの出射面が位置するように構成することもできる。また、第1の実施の形態において、L形配置の磁石14a、14bに対向して、他の磁石をL形配置とし、磁力発生手段が全体として正方形の辺配置となるようにしてもよい。
また、光ファイバーの出射位置を位置決めする際に、一つの磁力発生手段によらずに複数の磁力発生手段を、たとえば光ファイバーの軸線方向に並置し、複数の磁力発生手段の作用を利用することによって、光ファイバーの揺動駆動をより安定させることが可能である。
【0038】
本発明に係る走査型光投影装置は、光ファイバーを磁力を用いて揺動駆動する方法によって光ファイバーからの投射光をスクリーン上において走査させ、画像を表示する構造としたから、MEMSを使用して画像を表示する場合等とくらべて部品点数を減らすことができ、また、実際に使用する光ファイバーは微小部品であって、容易に装置の小型化を図ることができる。また、本発明装置においては、動作時には光ファイバーが揺動駆動されるのみであるから動作時の振動、騒音が抑えられる。
また、投影する画像をそれほど大きくする必要がない場合には、本発明に係る光ファイバーを用いた光投影装置によって十分に画像を表示することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】走査型光投影装置の第1の実施の形態の概略構成を示す説明図である。
【図2】芯線の外表面に磁性体金属層を被着形成する方法を示す説明図である。
【図3】芯線の外表面に磁性体金属層を被着形成する他の方法を示す説明図である。
【図4】第1の実施の形態において光ファイバーが移動する状態を示す説明図である。
【図5】光ファイバーによる走査方法(a)と、光ファイバーによって表示する例(b)を示す説明図である。
【図6】第1の実施の形態において光ファイバーが揺動駆動される状態を示す説明図である。
【図7】走査型光投影装置の第2の実施の形態の概略構成を示す説明図である。
【図8】第2の実施の形態において光ファイバーが移動する状態を示す説明図である。
【図9】第2の実施の形態において光ファイバーが揺動駆動される状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0040】
10 ホルダ
12 投影レンズ
14 磁力発生手段
14a、14b 磁石
15、15a 磁力制御部
16 光ファイバー
16a 芯線
16b 被覆部
16c 光出射面
17 磁性体金属層
17a 磁性体金属ホルダ
18 保持ステージ
18a ファイバホルダ
20、20a 光源
25、25a 制御部
30 磁力発生手段
31a〜31h 磁石
32 支持リング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光が出射される先端部を揺動可能として、光ファイバーを支持する保持手段と、
前記光ファイバーに接続された光源と、
前記光ファイバーの前記先端部に磁力を作用させ、光ファイバーを揺動駆動させる磁力発生手段とを備え、
前記光ファイバーの先端部には、前記磁力発生手段による磁力の作用を受けて光ファイバーを移動させる磁性体が設けられ、
前記磁力発生手段を制御して前記光ファイバーを走査移動させるとともに、前記光源からの光の出射を制御して画像を表示する制御部とを備えることを特徴とする走査型光投影装置。
【請求項2】
前記光ファイバーは、先端部に芯線が露出して設けられ、
前記磁性体として、前記芯線の外表面に磁性体金属層が被着形成されていることを特徴とする請求項1記載の走査型光投影装置。
【請求項3】
前記磁性体は、光ファイバーの被覆部の外面に磁性体金属ホルダが取り付けられて形成されていることを特徴とする請求項1記載の走査型光投影装置。
【請求項4】
前記磁力発生手段は、正方形の一つのコーナー部を挟む2辺の位置に、それぞれ一つの磁石を配置して形成され、
前記磁石の磁力を制御する磁力制御部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の走査型光投影装置。
【請求項5】
前記光ファイバーは、前記磁力発生手段による磁力が前記光ファイバーに作用していない状態において、
前記磁石により挟まれる正方形のコーナー部とは対角位置にあるコーナー部に、出射面が位置するように前記保持手段によって保持されていることを特徴とする請求項4記載の走査型光投影装置。
【請求項6】
前記磁力発生手段は、円形の支持リングに、周方向に均等間隔をあけて複数の磁石を配置して形成され、
前記磁石の磁力を制御する磁力制御部が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の走査型光投影装置。
【請求項7】
前記光ファイバーは、前記磁力発生手段による磁力が前記光ファイバーに作用していない状態において、
前記支持リングの中心位置に出射面が位置するように前記保持手段によって保持されていることを特徴とする請求項6記載の走査型光投影装置。
【請求項8】
前記光ファイバーは、単芯の光ファイバーとして形成され、
前記制御部は、前記光源から前記光ファイバーにRGB光の合成光を入射させるように制御することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記載の走査型光投影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−8948(P2010−8948A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−171419(P2008−171419)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000190688)新光電気工業株式会社 (1,516)
【Fターム(参考)】