説明

走行具

【課題】 キックボードのように、立ったまま足を乗せて走行ができ、体重移動により走行具1を推進させたり、カーブさせたりできるようにする。
【解決手段】 一直線上に配置された3つの車輪11a、11b、11cと、これらの3つの車輪が回転自在に取り付けられるフレーム12a、12bと、フレームの前方に取り付けられた把持部13とを備え、中央に配設される車輪11bの径を、前後に配設される車輪11a、11bの径より大きくする。使用者19は、ステップ台14a及び14bに足を乗せ、把持部13のグリップ部16a及び16bを掴み、前後に体重をかけ、後ろの車輪11cと中央の車輪11bとが地面に接触し前の車輪11aが浮いた状態から、前の車輪11aと中央の車輪11bとが地面に接触し後ろの車輪11cが浮いた状態にすることによって、走行具1を進ませる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キックボードのように、立ったまま足を乗せて走行を楽しむ走行具に関する。
【背景技術】
【0002】
車輪の付いた走行具で、立ったまま足を乗せて走行を楽しむものとして、キックボードが知られている。キックボードは、ハンドルと踏み板と前後の車輪を有し、立ったまま一方の足を踏み板に乗せ、ハンドルを両手で握り、他方の足で地面を蹴って進み、速度が乗ったら両足を踏み板に乗せて、滑走を楽しむものである。また、このようなキックボードでは、重心移動や足をついての方向転換によって、方向を変えることができる。
【0003】
キックボードは、前後に並んだ車輪のため、バランスを取って乗る必要こそあるものの、簡単に乗れて、地面を勢い良く蹴ることでスピードを得られることから、遊びやアウトドアの一つとしての用途のほか、手軽な移動手段としても好まれている。
【0004】
また、特許文献1に示されるキックボードは、図8に示すように、第1ペダル部21、第2ペダル部22を含む車体、マフ31、軸柱32、ハンドル33、前輪34を含むハンドル部33により構成され、第1ペダル部21前端に接続片23を設け、後端下縁に後輪24を設け、使用者が滑行時に随時、随意に、重心位置を変えることができるようにしたものが提案されている。
【特許文献1】特許第3075985号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、従来のキックボードでは、立ったまま一方の足を踏み板に乗せ、他方の足で地面を蹴って進んでいる。これに対して、本願出願人は、地面を蹴って得られる推進力だけではなく、体重移動により推進力を得るようにしたものであ。また、カーブの際にも、体重移動により、使用者の思った方向にカーブできるものである。
【0006】
特許文献1に示されるものは、使用者が滑行時に随時、随意に、重心位置を変えることができるが、重心位置を変えるときに、第1ペダル21と第2ペダル22とに足を載せ替える必要があり、重心の移動を推進力に変えることは難しい。また、特許文献1に示されるものでは、中央の車輪が左右2列になっているため、体重移動だけでカーブすることは難しい。そのために、カーブするためにハンドルによって前輪を回転させるように構成されている。
【0007】
本発明は、上述の課題を鑑み、キックボードのように、立ったまま足を乗せて走行を楽しむもので、体重移動により走行具を推進させたり、前輪を回転させることなく走行具をカーブさせたりできるようにした走行具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、第1の発明は、一直線上に配置された3つの車輪と、3つの車輪が回転自在に取り付けられるフレームと、フレームの中央両側面に取り付けられたステップ台と、フレームの前方に上方向に取り付けられた把持部とを備え、3つの車輪のうち中央に配設される車輪の径を前後に配設される車輪の径より大きくしたことを特徴とする走行具である。
【0009】
第2の発明は、一直線上に配置された3つの車輪と、中央部が端部よりも地面に近い低位置に形成され、3つの車輪を中央部および前後端部に回転自在に取り付けるくの字型フレームと、フレームの中央両側面に取り付けられたステップ台と、フレームの前方に上方向に取り付けられた把持部とを備え、3つの車輪のうち中央部に配設される車輪の径は、前後端部に配設される車輪の径より大きいかまたは等しいことを特徴とする走行具である。
【0010】
第3の発明は、一直線上に配置された3つの車輪と、3つの車輪を回転自在に取り付けるフレームと、フレームの中央両側面に取り付けられたステップ台と、フレームの前方に上方向に取り付けられた把持部とを備え、フレームには、その前後端部にそれぞれ車輪の中心軸を上下に移動させるスリットが形成され、3つの車輪のうち中央部に配設される車輪の径は、前後端部に配設される車輪の径より大きいかまたは等しいように構成したことを特徴とする走行具である。
【0011】
好ましくは、把持部の先端は、U字形であることを特徴とする。また、好ましくは、把持部の先端は、T字形であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
第1の発明によれば、一直線上に配置された3つの車輪と、3つの車輪を回転自在に取り付けるフレームと、フレームの中央両側面に取り付けられたステップ台と、フレームの前方に上方向に取り付けられた把持部とを備え、3つの車輪のうち中央に配設される車輪の径を前後に配設される車輪の径より大きくするように構成したことにより、フレームの中央両側面に取り付けられたステップ台に足を乗せて、体重を前後に移動させることで、走行具を進ませることができる。
【0013】
具体的には、後ろの車輪と中央の車輪とが地面に接触し前の車輪が浮いた状態から、前の車輪と中央の車輪とが地面に接触し後ろの車輪が浮いた状態に体重を移動するときの推進力で、走行具を進ませることができる。また、3つの車輪が一直線上に並び、走行中は、中央の車輪のみが地面に接触している状態、前の車輪と中央の車輪が地面に接触している状態、又は、後ろの車輪と中央の車輪が地面に接触している状態となるため、体重を左右に移動させると、走行具を容易にカーブさせることができる。
【0014】
第2の発明によれば、一直線上に配置された3つの車輪と、中央部が端部よりも地面に近い低位置に形成され、3つの車輪を中央部および前後端部に回転自在に取り付けるくの字型フレームと、フレームの中央両側面に取り付けられたステップ台と、フレームの前方に上方向に取り付けられた把持部とを備え、3つの車輪のうち中央部に配設される車輪の径は、前後端部に配設される車輪の径より大きいかまたは等しいように構成したことにより、フレームの中央両側面に取り付けられたステップ台に足を乗せて、体重を前後に移動させることで、走行具を進ませることができる。
【0015】
具体的には、後ろの車輪と中央の車輪とが地面に接触し、前の車輪が浮いた状態から、前の車輪と中央の車輪とが地面に接触し、後ろの車輪が浮いた状態に体重を移動するときの推進力で、走行具を進ませることができる。また、3つの車輪が一直線上に並び、走行中は、中央の車輪のみが地面に接触している状態、前の車輪と中央の車輪が地面に接触している状態、又は、後ろの車輪と中央の車輪が地面に接触している状態となるため、体重を左右に移動させると、走行具を容易にカーブさせることができる。
【0016】
第3の発明によれば、一直線上に配置された3つの車輪と、3つの車輪を回転自在に取り付けるフレームと、フレームの中央両側面に取り付けられたステップ台と、フレームの前方に上方向に取り付けられた把持部とを備え、フレームは、その前後端部にそれぞれ車輪の中心軸を上下に移動させるスリットが形成され、3つの車輪のうち中央部に配設される車輪の径は、前後端部に配設される車輪の径より大きいかまたは等しいように構成したことにより、フレームの中央両側面に取り付けられたステップ台に足を乗せて、体重を前後に移動させることで、走行具を進ませることができる。
【0017】
また、本発明によれば、把持部は、U字形とすることで、把持部を前に押すように力を加えることができ、前方への推進力を得やすい。また、本発明によれば、把持部は、T字形とすることにより、車の速度が速くなったときには、走行を安定させやすい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
第1実施形態.
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1実施形態の走行具を示すものである。本発明の第1実施形態の走行具1は、図1に示すように、一直線上に配設された3つの車輪11a、11b、11cと、フレーム12a及び12bと、把持部13と、ステップ台14a及び14bとからなる。
【0019】
図1において、2本のフレーム12a及び12bが平行に対向して配置され、このフレーム12a及び12bの間に、3つの車輪11a、11b、11cが回転自在に配設される。3つの車輪11a、11b、11cのうち、中央の車輪11bは、前後の各車輪11a、11cより大きな径となっている。フレーム12a及び12bの前方には、把持部13が取り付けられる。把持部13は、先端がU字形になっており、その端部に、それぞれグリップ部16a及び16bが形成される。なお、グリップ部16a及び16bは図1に示すように少し前に傾く程度に形成すると操作が容易になる。フレーム12a及び12bの中央両側面に、足を載せるためのステップ台14a及び14bが取り付けられる。このステップ台14a及び14bは、車輪11bの中心軸18よりも少し下方に取り付けると走行時の安定性が増す。
【0020】
このように、本発明の第1実施形態の走行具1においては、3つの車輪の11a、11b、11cのうち、中央の車輪11bの径が、前後の車輪11a及び11cに比べて大きくなっている。したがって、3つの車輪11a、11b、11cが同時に地面に接することはなく、図2(A)に示すように、後ろの車輪11cと中央の車輪11bとが地面に接触し、前の車輪11aが浮いた状態となるか、図2(B)に示すように、中央の車輪11bが地面に接触し、前の車輪11aと後ろの車輪11cが浮いた状態となるか、又は、図2(C)に示すように、前の車輪11aと中央の車輪11bとが地面に接触し、後ろの車輪11cが浮いた状態となる。ステップ台14a及び14bは、フレーム12a及び12bの側面に、中央の車輪11bの中心軸に対応する部分に取り付けられる。このため、ステップ台14a及び14bに足を乗せたまま、図2(A)に示したように後ろの車輪11cと中央の車輪11bとが地面に接触した状態から、図2(C)に示したように前の車輪11aと中央の車輪11bとが地面に接触し、後ろの車輪11cが浮いた状態に体重を移動することによって、走行具1を前方に進めることができる。また、ペダルに片足を乗せ、把持部13を握り、前の車輪11aと中央の車輪11bあるいは中央の車輪11bと後ろの車輪11cを地面に接地させた状態で、もう片方の足で地面を蹴ることで前に進むこともできる。この場合、既に現存しているキックボード等に比べ、車輪の径が大きくとれる為アスファルトやコンクリートの地面以外での使用も可能となる。
【0021】
図3は、本発明の第1実施形態の走行具1を使用するときの様子を示すものである。図3に示すように、使用者19は、ステップ台14a及び14bに足を乗せ、把持部13のグリップ部16a及び16bを掴む。そして、一度、後ろ側に体重をかけ、図2(A)に示すように、前の車輪11aを浮かせた状態とする。
【0022】
使用者19は、この状態から、体重を前側にかけ、図2(B)を経由して、図2(C)に示すように、前の車輪11aと中央の車輪11bとを地面に接触させる。このときの体重移動により、走行具1は前方に進む。このとき、把持部13を前に押すようにすると、推進力が増す。
【0023】
走行具1が前に進んだら、再び、後ろ側に体重をかけ、前の車輪11aを浮かせ、この状態から、体重を前側にかけ、前の車輪11aを地面に接触させ、体重移動により、走行具1を前方に進ませる。以下、同様に、走行具1をスイングさせるように動かし、このとき体重を前に移動させていくことにより、走行具1を前に進めることができる。
【0024】
また、本発明の第1実施形態の走行具1では、中央の車輪11bで走行しているときに体重を左右に移動させると、走行具1をカーブさせることができる。
【0025】
また、前進とは反対に、走行具1をスイングさせ、把持部13を引くようにして、体重を後ろに移動させていけば、走行具1を後退させることも可能である。
【0026】
第2実施形態.
図4は、本発明の第2実施形態を示すものである。図4に示す第2実施形態では、フレーム12a及び12bをくの字形として、車輪11a、11b、11cのうち中央の車輪11bを、前後の車輪11a及び11cに比べて、下に位置させるようにしている。このとき、中央の車輪11bは、図4(A)に示すように、前後の車輪11a及び11cの径と同じであってもよく、また図4(B)に示すように、前後の車輪11a及び11cの径よりも大きくてもよい。このように、中央部を端部よりも地面に近い低位置に形成されたくの字型フレームを用いて、3つの車輪をくの字型フレームの中央部および前後端部に回転自在に取り付けると、前述の第1実施形態と同様に、図5(A)に示したように、後ろの車輪11cと中央の車輪11bとが地面に接触し、前の車輪11aが浮いた状態と、図5(C)に示したように、前の車輪11aと中央の車輪11bとが地面に接触し、後ろの車輪11cが浮いた状態とになり、走行具1をスイングさせるように動かし、体重を移動さることにより、走行具1を進ませることができる。他の構成については、前述の第1実施形態と同様であり、その説明を省略する。
【0027】
第3実施形態.
図6は、本発明の第3実施形態を示すものである。前述の第1実施形態では、把持部13の先端をU字形にしているが、この第3実施形態では、把持部13の先端をT字形としている。図6(A)は、図1に示した第1実施形態の走行具1の把持部13をT字形としたものである。図6(B)は、図4に示した第2実施形態の走行具1の把持部13をT字形としたものである。
【0028】
第4実施形態.
図7は、本発明の第4実施形態を示すものである。図4および図5に示す前述の第2実施形態では、フレーム12a及び12bをくの字形として、前後の車輪11a及び11cが中央の車輪11bよりも高い位置になるようにしている。本発明の第4実施形態では、フレーム12a及び12bは直線状に形成されるが、フレームの前後端部にそれぞれ車輪の中心軸を上下に移動させるスリットを形成することによって、前後の車輪11a及び11cを中央の車輪11bよりも高い位置になるようにしている。車輪の中心軸18はスリット17中で上下に動くように設定すれば、前後の車輪11a及び11cの高さを調整できる。図示していないが、前後の車輪11a及び11cの高さをスリット17で調整した後は、前後の車輪11a及び11cの高さが変化しないように、車輪の中心軸18をフレーム12に固定する。このような固定技術は周知の技術であるので詳細な説明は省略する。なお、3つの車輪のうち中央部に配設される車輪の径は、前後端部に配設される車輪の径より大きくてもよくまたは等しくてもよい。
【0029】
本発明が適用された走行具1では、前後の体重移動が推進力を生むため、把持部13の形状は重要である。前方に進むときには、把持部13を押すように力を加えるため、把持部13をU字形にすると使いやすい。また、車の速度が速くなってきたときには、T字形の把持部13の方が走行を安定させやすい。把持部13の形状は、使用者19の楽しみ方や、使用環境に応じて、選ぶことができる。
【0030】
本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、キックボードのように、立ったまま足を乗せて走行を楽しむ走行具として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施形態の走行具の斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態の走行具の動作説明図である。
【図3】本発明の第1実施形態の走行具に乗るときの説明図である。
【図4】本発明の第2実施形態の走行具の斜視図である。
【図5】本発明の第2実施形態の走行具の動作説明図である。
【図6】本発明の第3実施形態の走行具の斜視図である。
【図7】本発明の第4実施形態の走行具の側面図である。
【図8】従来の走行具の斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
1 走行具
11a,11b,11c 車輪
12a,12b フレーム
13 把持部
14a,14b ステップ台
16a,16b グリップ部
17 スリット
18 車輪の中心軸


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一直線に配置された3つの車輪と、
前記3つの車輪を回転自在に取り付けるフレームと、
前記フレームの中央両側面に取り付けられたステップ台と、
前記フレームの前方に上方向に取り付けられた把持部と
を備え、
前記3つの車輪のうち中央に配設される車輪の径を、前後に配設される車輪の径より大きくしたことを特徴とする走行具。
【請求項2】
一直線上に配置された3つの車輪と、
中央部が端部よりも地面に近い低位置に形成され、前記3つの車輪を中央部および前後端部に回転自在に取り付けるくの字型フレームと、
前記フレームの中央両側面に取り付けられたステップ台と、
前記フレームの前方に上方向に取り付けられた把持部と
を備え、
前記3つの車輪のうち中央部に配設される車輪の径は、前後端部に配設される車輪の径より大きいかまたは等しいことを特徴とする走行具。
【請求項3】
一直線上に配置された3つの車輪と、
前記3つの車輪を回転自在に取り付けるフレームと、
前記フレームの中央両側面に取り付けられたステップ台と、
前記フレームの前方に上方向に取り付けられた把持部と
を備え、
前記フレームには、その前後端部にそれぞれ車輪の中心軸を上下に移動させるスリットが形成され、
前記3つの車輪のうち中央部に配設される車輪の径は、前後端部に配設される車輪の径より大きいかまたは等しいことを特徴とする走行具。
【請求項4】
前記把持部の先端は、U字形であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の走行具。
【請求項5】
前記把持部の先端は、T字形であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の走行具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−228904(P2008−228904A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−70961(P2007−70961)
【出願日】平成19年3月19日(2007.3.19)
【出願人】(507089573)
【Fターム(参考)】