説明

走行状態検出装置

【課題】環境への悪影響を低減した走行の割合をより適切に算出することが可能な走行状態検出装置を提供する。
【解決手段】車両の負荷状態を検出する環境運転診断部21と、環境運転診断部21が検出した車両の負荷状態に基づいて、車両の全走行行程に対して、車両が所定の負荷状態で走行している割合を算出する環境運転採点部22とを備えた車載機10において、環境運転採点部22は、環境運転診断部21が検出した予め定められたシーンの走行行程を車両の全走行行程から除いて、車両が所定の負荷状態で走行している割合を算出する。これにより、例えば、走行速度が小さくなる渋滞路や、走行速度が大きくなる高速道路における走行を除外して、車両がエコ走行といった所定の負荷状態で走行している割合を算出して、環境への悪影響を低減したエコ走行のドライバーの努力の割合をより適切に算出することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行状態検出装置に関し、特に、車両の負荷状態を検出する走行状態検出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の負荷状態を検出することにより、車両の燃料消費量や有害物質の排出量を低減し、環境への悪影響を低減した走行(以下、エコ走行又はエコ運転と呼ぶことがある)を運転者に促す技術が提案されている。例えば、非特許文献1及び2では、車両のエコ走行の状態を検出し、一走行行程ごとのエコ走行の割合を表示させる技術が開示されている。この装置では、エコモードが選択されている場合に、運転者が急加速や急減速等の運転操作をした場合には、エコ走行の領域から外れ、エコ走行の状態ではないと認識し、運転者にエコ走行の領域でない旨の表示がなされる。これにより、車両の挙動に合わせて車両が実際にエコ走行を行なっているか否かが検出され、運転者への表示がなされる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】“ハイブリッドNewインサイト|楽しくエコドライブを実現する「エコアシスト」のすべて”、[online]、平成20年11月20日、本田技研工業株式会社、[平成21年2月2日検索]、インターネット<URL:http://www.honda.co.jp/INSIGHT/new/eco-drive/index.html>
【非特許文献2】梅谷さえ子、“ホンダが低燃費運転を支援するシステムを開発、「インサイト」に搭載”、[online]、平成20年11月20日、日経BP社、[平成21年2月2日検索]、インターネット<URL:http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20081120/161553>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、ドライバーにエコ走行を促し、実行してもらうためには、ドライバーのエコ運転の努力を正確に把握することが重要である。ところが、運転者がエコ走行を行うことが困難な場合がある。これらの走行状況では、ドライバーの努力とは裏腹にエコ運転ではないという表示を行うこととなり、ドライバーのエコ運転を継続する意識を失わせる原因ともなり得る。
【0005】
本発明は、このような実情に考慮してなされたものであり、その目的は、環境への悪影響を低減した走行の割合をより適切に算出することが可能な走行状態検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、車両の負荷状態を検出する負荷状態検出手段と、負荷状態検出手段が検出した車両の負荷状態に基づいて、車両の走行行程に対して、車両が所定の負荷状態で走行している区間の割合を算出する割合算出手段と、車両の走行シーンを検出するシーン検出手段と、を備え、割合算出手段は、シーン検出手段が検出した走行シーンが所定の走行シーンである区間を車両の走行行程から除いて、車両が所定の負荷状態で走行している区間の割合を算出する、走行状態検出装置である。
【0007】
この構成によれば、車両の負荷状態を検出する負荷状態検出手段と、負荷状態検出手段が検出した車両の負荷状態に基づいて、車両の走行行程に対して、車両が所定の負荷状態で走行している区間の割合を算出する割合算出手段とを備えた走行状態検出装置において、割合算出手段は、シーン検出手段が検出した走行シーンが所定の走行シーンである区間を車両の走行行程から除いて、車両が所定の負荷状態で走行している区間の割合を算出するため、例えば、走行速度が小さくなる渋滞路や、走行速度が大きくなる高速道路における走行を除外して、車両がエコ走行といった所定の負荷状態で走行している区間の割合を算出して、環境への悪影響を低減した走行の割合をより適切に算出することが可能となる。
【0008】
この場合、割合算出手段が車両の走行行程から除く区間の走行シーンとは、道路形状及び走行状態の少なくともいずれか1つによって特定されるものであることが好適である。
【0009】
この構成によれば、割合算出手段が車両の走行行程から除く区間の走行シーンとは、道路形状及び走行状態の少なくともいずれか1つによって特定されるものであるため、道路形状によりエコ走行を行なうことが困難な区間や、走行状態によりエコ走行を行なうことが困難な区間を除外して、車両が低燃費で走行している区間の割合を算出して、環境への悪影響を低減した走行の割合をより適切に算出することが可能となる。
【0010】
この場合、道路形状は、勾配、路幅、曲率の少なくともいずれか1つによって特定されるものであることが好適である。
【0011】
この構成によれば、道路形状は、勾配、路幅、曲率の少なくともいずれか1つによって特定されるものであるため、エコ走行を行なうことが困難であるか否かを適切に判定することができる。
【0012】
この場合、割合算出手段は、道路形状の勾配が所定の勾配値以上である場合、道路形状の路幅が所定の路幅が所定値以下である場合、道路形状の前記曲率が所定値以上である場合の少なくともいずれか1つである区間を車両の走行行程から除くことが好適である。
【0013】
この構成によれば、割合算出手段は、道路形状の勾配が所定の勾配値以上である場合、道路形状の路幅が所定の路幅が所定値以下である場合、道路形状の前記曲率が所定値以上である場合の少なくともいずれか1つである区間を車両の走行行程から除くため、環境への悪影響を低減した走行の割合をより適切に算出することが可能となる。
【0014】
一方、走行状態は、車両の走行地点の渋滞度によって特定されるものであることが好適である。
【0015】
この構成によれば、走行状態は、車両の走行地点の渋滞度によって特定されるものであるため、エコ走行を行なうことが困難であるか否かを適切に判定することができる。
【0016】
また、走行状態は、車両の走行速度によって特定されるものであり、割合算出手段は、シーン検出手段が検出した車両の走行速度が、第1閾値以下である区間、及び第1閾値より大きい第2閾値以上である区間を車両の走行行程から除くことが好適である。
【0017】
この構成によれば、割合算出手段は、シーン検出手段が検出した車両の走行速度が、第1閾値以下である区間、及び第1閾値より大きい第2閾値以上である区間を車両の走行行程から除くため、環境への悪影響を低減した走行の割合をより適切に算出することが可能となる。
【0018】
一方、車両が走行する走行環境を検出する走行環境検出手段をさらに備え、割合算出手段は、走行環境検出手段が検出した車両の走行環境が予め定められた走行環境である区間を車両の走行行程から除いて、車両が所定の負荷状態で走行している区間の割合を算出することが好適である。
【0019】
この構成によれば、割合算出手段は、走行環境検出手段が検出した車両の走行環境が予め定められた走行環境である区間を車両の走行行程から除いて、車両が所定の負荷状態で走行している割合を算出するため、例えば、上り坂等のアクセル踏み込み量の増加が予想され、エコ走行が困難である区間を除いて、環境への悪影響を低減した走行の割合をより適切に算出することが可能となる。
【0020】
あるいは、車両の運転操作状態を検出する運転操作状態検出手段をさらに備え、割合算出手段は、運転操作状態検出手段が検出した車両の運転操作状態が予め定められた運転操作状態である区間を車両の走行行程から除いて、車両が所定の負荷状態で走行している区間の割合を算出することが好適である。
【0021】
この構成によれば、割合算出手段は、運転操作状態検出手段が検出した車両の運転操作状態が予め定められた運転操作状態である区間を車両の走行行程から除いて、車両が所定の負荷状態で走行している割合を算出するため、例えば、加速時等においてアクセル踏み込み量が増加し、エコ走行が困難である区間を除いて、環境への悪影響を低減した走行の割合をより適切に算出することが可能となる。
【0022】
さらに、割合算出手段は、車両の走行行程に対して、車両の運転者ごとに設定した負荷状態で車両が走行している区間の割合を算出することが好適である。
【0023】
この構成によれば、車両の走行行程に対して、車両の運転者ごとに設定した負荷状態で車両が走行している区間の割合を算出するため、例えば、運転者の運転操作技術の相違に応じて、環境への悪影響を低減した走行の割合を算出することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の走行状態検出装置によれば、環境への悪影響を低減した走行の割合をより適切に算出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係わる走行状態検出装置の一実施態様の構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した走行状態検出装置の環境運転診断部におけるエコランプの点灯状況を診断する手順を示すフロー図である。
【図3】エコランプの点灯判定条件と消灯判定条件とを示した表である。
【図4】図1に示した走行状態検出装置の環境運転採点部及び運転アドバイス部における動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0027】
図1に示す本実施形態の車載機10は、車両に搭載されて、車両の走行状態を検出するためのものである。図1に示すように、車載機10は、制御装置20、表示装置30、記録装置40及び通信装置50を備える。
【0028】
制御装置20は、車両情報60の入力に基づき、車両がエコ運転の状態にあるか否かを診断するためのものである。制御装置20は、環境運転診断部21、環境運転採点部22及び運転アドバイス部23を有する。
【0029】
環境運転診断部21は、車両情報60から即時にエコ運転の状態を数値化するためのものである。ここで、車両情報60は、具体的には、車速センサから検出される車速パルス信号の積算値(走行距離)、エコ走行の状態にあることを示すエコランプの点灯状態(エコランプステータス)、車速センサから検出される車速、並びにオートマティックトランスミッションがDレンジ、パワーモード及びスポーツモードのいずれの状態にあるかについての情報等である。あるいは、車両情報60は、車両の走行距離に対する燃料消費量についての情報であっても良い。
【0030】
環境運転採点部22は、環境運転診断部21の診断結果に基づいて、当該エコ運転の度合を採点するためのものである。運転アドバイス部23は、環境運転診断部21の診断結果に基づいて、運転者にエコ運転に関する状態を伝達するためのものである。
【0031】
表示装置30は、制御装置20から出力される診断結果等の各種情報を表示するためのものである。記録装置40は、制御装置20から出力される診断結果等の各種情報を記録するためのものである。通信装置50は、各種情報をセンター70と送受信するためのものである。センター70は、運転者ごとのエコ運転に関するデータを管理する会員管理機能部71を備えている。
【0032】
以下、本実施形態の車載機10の動作について説明する。図2に示すように、環境運転診断部21は、所定の間隔をおいて繰返し実行されるエコランプ点灯判定タイミング毎に、車両情報60として、エコランプステータス、車速、Dレンジ信号、パワーモード信号、及びスポーツモード信号、あるいは車両の走行距離に対する燃料消費量等を検出する(S11)。
【0033】
環境運転診断部21は、図3に示すようなエコランプの点灯及び消灯の判定条件に基づき、エコランプの点灯条件が成立した場合を「1:エコランプ点灯」と判定し、エコランプの消灯条件が成立した場合を「0:エコランプ消灯」と判定する(S12)。図3に示すように、環境運転診断部21は、車両のオートマティックトランスミッションがDレンジにあるときは「1:エコランプ点灯」と判定し、車両のオートマティックトランスミッションがパワーモード又はスポーツモードにあるときは「0:エコランプ消灯」と判定する。
【0034】
また、環境運転診断部21は、車速SP1が110km/h≧SP1≧4km/hであるときは「1:エコランプ点灯」と判定し、車速SP1がSP1≧112km/h又はSP1≦2km/hであるときは「0:エコランプ消灯」と判定する。これらの、110km/h、112km/hといった閾値は、車両が高速道路を走行しエコ走行が困難であることを想定したものであり、例えば、104km/h〜120km/hの範囲に定めることができる。また、2km/h、4km/hといった閾値は、車両が渋滞路等を走行しエコ走行が困難であることを想定したものであり、例えば、1km/h〜10km/hの範囲に定めることができる。
【0035】
あるいは、環境運転診断部21は、車両の走行距離に対する燃料消費量が所定の値以下であるときは「1:エコランプ点灯」と判定し、車両の走行距離に対する燃料消費量が所定の値を超えているときは「0:エコランプ消灯」と判定することができる。
【0036】
環境運転診断部21は、「1:エコランプ点灯」と判定した場合、エコランプ点灯走行判定タイミング毎に、「エコランプ点灯走行距離累計」に加算する(S13)。また、環境運転診断部21は、「0:エコランプ消灯」の条件として該当した項目については、運転方向の改善ポイントとして抽出し、運転アドバイス部23に情報として提供する。さらに、環境運転診断部21は、「0:エコランプ消灯」と判定した場合、エコランプ点灯走行判定タイミング毎に、エコランプの点灯が診断可能であった走行距離である「エコランプ診断走行距離累計」から除外する。これらの処理により、環境運転診断部21は、エコ運転の状態を数値化する。すなわち、環境運転診断部21は、エコ運転の状態を数値化する基準として、基準となる車両情報60と、除外条件となる車両情報60とを組み合わせる。
【0037】
以下、環境運転採点部22及び運転アドバイス部23における情報を出力するための動作について説明する。図4に示すように、環境運転診断部21は、エコランプ点灯判定タイミングごとに、「エコランプ点灯走行距離累計」と、エコランプの点灯が診断可能であった走行距離である「エコランプ診断走行距離累計」とを出力する(S14)。
【0038】
環境運転採点部22は、出力された「エコランプ点灯走行距離累計」と「エコランプ診断走行距離累計」とを比較し、「エコランプ診断走行距離累計」に対する「エコランプ点灯走行距離累計」の割合を算出し、採点を行なう(S15)。
【0039】
運転アドバイス部23は、停車ごとの環境運転診断部21による診断結果を比較し、前回の診断結果に対し、特定の閾値を超えた場合(S16)、例えば、前回の診断結果に対する今回の診断結果の変化量が大きい場合は、アドバイスを生成する(S17)。例えば、運転アドバイス部23は、前回の「エコランプ点灯走行距離累計」に対して今回の「エコランプ点灯走行距離累計」が10〜50%以上少ない場合や、前回の「エコランプ診断走行距離累計」に対して今回の「エコランプ診断走行距離累計」が10〜50%以上多い場合は、運転者にエコ走行を促すアドバイスを生成する。運転アドバイス部23により生成されたアドバイスは、停車時にテキストデータとして表示装置30に表示され、運転者に対し具体的な運転方法を提供する(S18)。
【0040】
表示装置30は、制御装置20から出力された診断結果及び採点結果等の情報を即時に運転者に提供する(S19)。環境運転採点部22の採点結果はメータ値として変換され、運転者の視認性と認識性を向上させる。診断結果及び採点結果等の情報は即時に運転者に提供されることにより、運転者がエコ運転の状態を認識可能となる。また、診断結果に関する情報は、車両の走行中に常に蓄積及び平均化し、運転者に診断結果として通知することで、運転者が走行開始時からのエコ運転の状態を認識可能となる。さらに、診断に用いられた車両情報からエコ運転の状態に影響のあった項目を抽出し、運転者に通知することで、運転者がエコ運転の向上に必要な操作を認識可能となる。
【0041】
記録装置40は、制御部20の出力情報及びセンター70から受信した情報を記録し、当該情報を適宜、表示装置30を用いて運転者に提供する(S21)。センター70から受信した情報には、運転者ごとの過去の採点結果の記録や、当該記録に基づいて作成された具体的な運転方法のアドバイス等が含まれる。
【0042】
通信装置50は、記録装置40に記録された情報の送信と、センター70からの情報の受信を行なう(S21)。
【0043】
センター70の会員管理機能部71は、運転者ごとに診断結果及び採点結果等のデータを蓄積し、運転者にエコ運転を行うモチベーション維持のためのコンテンツを提供する(S22)。当該コンテンツとしては、採点結果のポイント化や当該ポイントに応じたステータス設定等が可能である。すなわち、診断結果及び抽出された項目は、車載機10あるいはセンター70に蓄積及びデータベース化され、運転者が任意に確認することで、総合的なエコ運転の傾向を運転者が把握することができる。
【0044】
本実施形態によれば、車両の負荷状態を検出する環境運転診断部21と、環境運転診断部21が検出した車両の負荷状態に基づいて、車両の全走行行程に対して、車両が所定の負荷状態で走行している割合を算出する環境運転採点部22とを備えた車載機10において、環境運転採点部22は、環境運転診断部21が検出した予め定められたシーンの走行行程を車両の全走行行程から除いて、車両が所定の負荷状態で走行している割合を算出するため、例えば、走行速度が小さくなる渋滞路や、走行速度が大きくなる高速道路における走行を除外して、車両がエコ走行といった所定の負荷状態で走行している割合を算出して、環境への悪影響を低減したエコ走行のドライバーの努力の割合をより適切に算出することが可能となる。
【0045】
特に本実施形態によれば、環境運転診断部21は、負荷状態として車両の走行距離に対する燃料消費量を検出し、環境運転採点部22は、車両の全走行行程に対して、車両の走行距離に対する燃料消費量が所定の値以下の状態で走行している割合を算出するため、例えば、走行速度が小さくなる渋滞路や、走行速度が大きくなる高速道路における走行を除外して、車両が低燃費で走行している割合を算出して、環境への悪影響を低減したエコ走行の割合をより適切に算出することが可能となる。
【0046】
あるいは本実施形態によれば、環境運転診断部21は、負荷状態として車両の変速機が最も燃料消費の少ない設定とされているか否かを検出し、環境運転採点部22は、車両の全走行行程に対して、車両の変速機が最も燃料消費の少ない設定で走行している割合を算出するため、例えば、走行速度が小さくなる渋滞路や、走行速度が大きくなる高速道路における走行を除外して、車両が最も燃費が低くなるオートマティックトランスミッションのDレンジで走行している割合を算出して、環境への悪影響を低減したエコ走行の割合をより適切に算出することが可能となる。
【0047】
また、本実施形態によれば、環境運転採点部22は、環境運転診断部21が検出した車両の走行速度が、エコ走行が困難である渋滞路等の2km/h以下である走行行程、及びエコ走行が困難である高速道路等の112km/h以上である走行行程を車両の全走行行程から除くため、環境への悪影響を低減したエコ走行の割合をより適切に算出することが可能となる。
【0048】
以下、本実施形態の車載機10において、診断内容をさらに高度化した態様について説明する。エコ運転の診断に必要な情報をさらに追加することで、運転者の走行状況に合わせた具体的な運転操作方法を伝達し、エコ運転の達成度の向上を図ることが可能となる。
【0049】
本実施形態では、車両情報60として、車両が走行する走行環境に関する情報を追加することで、診断内容を高度化することが可能である。例えば、車両が走行する道路形状の中の勾配、路幅及び曲率に関する情報を車両情報60として環境運転診断部21に入力することにより、上り坂でのアクセル踏み込み量の増加、路幅が狭い道路での走行速度の減少と加減速の増加、及び曲率が大きい道路(ヘアピンカーブ等)での走行速度の減少と加減速の増加によってエコ運転が実質的に困難であることを考慮し、環境運転診断部21は、勾配が所定の勾配値以上である区間、路幅が所定の路幅が所定値以下である区間、曲率が所定値以上である区間において「0:エコランプ消灯」と判定し、エコランプ点灯走行判定タイミング毎に、エコランプの点灯が診断可能であった走行距離である「エコランプ診断走行距離累計」から除外するものとできる。道路形状による運転操作への影響は大きいため、これにより、運転者の操作と診断結果との相関が図られ、運転者の運転感覚との親和性が向上する。なお、これらの道路形状に関する情報は、車載カメラにて検出しても良いし、ナビゲーションシステムにより検出しても良い。
【0050】
なお、走行環境には、道路形状の他、気象条件、車両の走行地点における渋滞度等の交通流等の要因を含めることができる。渋滞度を検出するためには、例えば、プローブ情報に基づきセンター70から配信された情報をベースとして、車両が渋滞路を走行している場合には、環境運転診断部21は、「0:エコランプ消灯」と判定し、エコランプ点灯走行判定タイミング毎に、エコランプの点灯が診断可能であった走行距離である「エコランプ診断走行距離累計」から除外するものとできる。
【0051】
また、本実施形態では、車両情報60として、車両の運転操作状態に関する情報を追加することで、診断内容を高度化することが可能である。車両が加速する際のアクセルワーク等の運転操作に関する情報を車両情報60として環境運転診断部21に入力することにより、加速時でのアクセル踏み込み量の増加を考慮し、環境運転診断部21は「0:エコランプ消灯」と判定し、エコランプ点灯走行判定タイミング毎に、エコランプの点灯が診断可能であった走行距離である「エコランプ診断走行距離累計」から除外するものとできる。このため、環境運転診断部21は、アクセルワーク等の運転操作を診断し、運転アドバイス部23は結果として理想的な加速操作を運転者に伝達することが可能となる。運転者にとっては、燃費特性に影響の大きい運転操作や運転状況が特定され、詳細に診断されることで、エコ運転を行うための運転操作と燃費との関係が明確となる。
【0052】
あるいは、本実施形態では、運転者の運転操作技術の違いから、運転者ごとに診断内容の表現方法を変えて診断内容を提供することが可能である。例えば、減速時のエンジンブレーキの利用等はそのタイミング及び実行時間によるエコ運転の効果への影響が大きいため、表示部30は、通常のエコ運転の操作が一定レベルに達した運転者に対してのみ、当該診断内容を提供するものとできる。このような方法を実施することで、エコ運転の操作を運転者の運転操作技術のレベルに合わせて変化させ、運転者を飽きさせることなく、エコ運転を行うモチベーションを維持する効果を得ることが可能となる。
【0053】
車両の装備品は運転者のエコ運転を支援するものであり、運転者自らがエコ運転を意識し、運転操作として実行しないと効果が低いという課題がある。上述したエコランプを例とすると、走行中にエコランプの点灯状態を維持することで燃費改善が図れるが、運転者の過剰なアクセルワークによりエコランプの消灯回数が増加するとエコ運転の効果が現れにくい。また、意識的な運転操作を実行することで通常の運転と比較して、平均的に10%の燃費改善が見込まれており、効果的なエコ運転のためには運転者の意識的な行動が不可欠である。また、従来は、運転者特有の具体的なエコ運転の操作方法を伝える手段が無く、運転者自身がどのような行動をとれば良いか理解できていないという問題がある。
【0054】
エコ運転の効果を上げていくためには、運転者にエコ運転を継続してもらうことが重要である。そのためには、エコ運転の指標となる定量的なデータを提示し、自らの運転によるエコ運転の効果、及び運転方法の改善の推移を認識させることでエコ運転に対する意識を高める必要がある。
【0055】
車両の運転操作は運転者自らが実行するものである。車両側でエコ運転を行うように制御することは可能であるが、緊急時や交通流の影響によりエコ運転を行うことができない状況も発生するため、最終的な運転操作は運転者に委ねられている。また、エコ運転は車両の挙動を抑制したり、状況によりエコ運転と通常の運転とを切り替えたりする必要があり、運転の負担が比較的に大きい。このため、運転者の心理的なストレスも含め、運転者のエコ運転を継続するモチベーションの維持が困難である。
【0056】
しかしながら、本実施形態では、運転者がエコ運転の状態を認識することで、運転者の意識をエコ運転に向けることができる。また、本実施形態では、運転者に適合した具体的なエコ運転の改善点を示すことで運転者が操作方法を把握できる。さらに、本実施形態では、運転者にエコ運転の実績を示すことで、運転時のエコ運転に対する意識を喚起し、エコ運転を継続するモチベーションの維持を促進することができる。
【0057】
尚、本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0058】
10…車載機、20…制御装置、21…環境運転診断部、22…環境運転採点部、23…運転アドバイス部、30…表示装置、40…記録装置、50…通信装置、60…車両情報、70…センター、71…会員管理機能部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の負荷状態を検出する負荷状態検出手段と、
前記負荷状態検出手段が検出した前記車両の前記負荷状態に基づいて、前記車両の走行行程に対して、前記車両が所定の前記負荷状態で走行している区間の割合を算出する割合算出手段と、
前記車両の走行シーンを検出するシーン検出手段と、
を備え、
前記割合算出手段は、前記シーン検出手段が検出した前記走行シーンが所定の走行シーンである区間を前記車両の走行行程から除いて、前記車両が所定の前記負荷状態で走行している区間の割合を算出する、走行状態検出装置。
【請求項2】
前記割合算出手段が前記車両の走行行程から除く区間の前記走行シーンとは、道路形状及び走行状態の少なくともいずれか1つによって特定されるものである、請求項1に記載の走行状態検出装置。
【請求項3】
前記道路形状は、勾配、路幅、曲率の少なくともいずれか1つによって特定されるものである、請求項2に記載の走行状態検出装置。
【請求項4】
前記割合算出手段は、前記道路形状の前記勾配が所定の勾配値以上である場合、前記道路形状の前記路幅が所定の路幅が所定値以下である場合、前記道路形状の前記曲率が所定値以上である場合の少なくともいずれか1つである区間を前記車両の走行行程から除く、請求項3に記載の走行状態検出装置。
【請求項5】
前記走行状態は、前記車両の走行地点の渋滞度によって特定されるものである、請求項2に記載の走行状態検出装置。
【請求項6】
前記走行状態は、前記車両の走行速度によって特定されるものであり、
前記割合算出手段は、前記シーン検出手段が検出した前記車両の走行速度が、第1閾値以下である区間、及び前記第1閾値より大きい第2閾値以上である区間を前記車両の走行行程から除く、請求項1〜3のいずれか1項に記載の走行状態検出装置。
【請求項7】
前記車両が走行する走行環境を検出する走行環境検出手段をさらに備え、
前記割合算出手段は、前記走行環境検出手段が検出した前記車両の走行環境が予め定められた走行環境である区間を前記車両の走行行程から除いて、前記車両が所定の前記負荷状態で走行している区間の割合を算出する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の走行状態検出装置。
【請求項8】
前記車両の運転操作状態を検出する運転操作状態検出手段をさらに備え、
前記割合算出手段は、前記運転操作状態検出手段が検出した前記車両の運転操作状態が予め定められた運転操作状態である区間を前記車両の走行行程から除いて、前記車両が所定の前記負荷状態で走行している区間の割合を算出する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の走行状態検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−203240(P2010−203240A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−46707(P2009−46707)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】