説明

起動装置

【課題】簡単な構成で安価に、遠隔からのコンピュータの起動を可能とする起動装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、コンピュータ(12)に入力信号を入力するための入力装置(20、22)の入力信号を変換した第1転送信号を入力信号に復元しコンピュータ(12)に出力する第1変換部(14)と、復元された入力信号に起動信号が含まれる場合コンピュータ(12)を起動する電源接続部(10)と、を具備する起動装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、起動装置に関し、特に入力装置から入力した入力信号に起動信号が含まれる場合コンピュータの電源を投入する起動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータの起動は起動スイッチを機械的に操作して行うため、コンピュータが設置された場所で行うことが一般的である。そこで、コンピュータの起動を遠隔操作で投入するための技術が開示されている。特許文献1には、データ通信網を使用し遠隔端末装置からホストマシンを起動する技術が開示されている。特許文献2には、公衆回線網を用い遠隔端末装置からホストコンピュータを起動する技術が開示されている。特許文献3には、周辺機器との接続ケーブルを用い周辺機器の信号によりコンピュータの起動を行う技術が開示されている。
【特許文献1】特開平8−190526号公報
【特許文献2】特開平10−224494号公報
【特許文献3】特開2001−134346号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、特許文献1および特許文献2に記載の技術においては、遠隔地に端末コンピュータが必要であり、高価なシステムとなる。例えば、特許文献3に記載の技術においては、周辺機器とコンピュータとの接続に用いられるケーブルを用いているため、ケーブルを長くすることは困難である。よって、遠隔操作は難しい。また、ケーブルが高価なものとなる。
【0004】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、簡単な構成で安価に、遠隔からのコンピュータの起動を可能とする起動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、入力装置の入力信号を変換した第1転送信号を前記入力信号に復元しコンピュータに出力する第1変換部と、復元された前記入力信号に起動信号が含まれる場合、前記コンピュータを起動する電源接続部と、を具備することを特徴とする起動装置である。本発明によれば、端末コンピュータが必要なく簡単な構成で安価に、遠隔からのコンピュータの起動を可能となる。
【0006】
上記構成において、前記電源接続部は、前記コンピュータのオートリスタート機能を用い前記コンピュータを起動する構成とすることができる。この構成によれば、簡単にコンピュータを起動することができる。
【0007】
上記構成において、前記電源接続部は前記コンピュータと電源との間に接続され、前記コンピュータへの電源供給を一定時間遮断し、再び投入することにより、前記コンピュータを起動する構成とすることができる。この構成によればオートリスタート機能を用い、コンピュータを起動することができる。
【0008】
上記構成において、複数の前記入力装置の前記第1転送信号のうち少なくとも1つを複数の前記コンピュータのうち少なくとも1つに対応する前記第1変換部に接続するスイッチ部を具備する構成とすることができる。この構成によれば、1つの入力装置から複数のコンピュータを起動することができる。
【0009】
上記構成において、前記入力信号を前記第1転送信号に変換する第2変換部を具備する構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記第1変換部は、表示部に画像を表示するためコンピュータから出力される画像信号を第2転送信号に変換し第2変換部に出力し、前記第2変換部は、前記第2転送信号を前記画像信号に復元し前記表示部に出力する構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、前記入力装置は、キーボードおよびマウスの少なくとも一方である構成とすることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、簡単な構成で安価に、遠隔からのコンピュータの起動を可能とする起動装置を提供することを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を用い本発明の実施例を説明する。
【実施例1】
【0014】
実施例1においては、コンピュータ(例えばサーバ)がオートリスタート機能を有している。オートリスタート機能とは、停電等の電源障害から復電した際、コンピュータが自動的に起動する機能である。つまり、コンピュータのAC(交流)電源が遮断された後、AC電源が復旧すると、自動的にコンピュータが起動する機能である。図1は実施例1に係る起動装置を含むシステムのブロック図である。コンピュータ12、表示部18、キーボード20、マウス22、起動装置11、電源24、ケーブル28が図示されている。起動装置11は第1変換部14、第2変換部16および電源接続部10を有する。
【0015】
キーボード20およびマウス22は、コンピュータ12に入力信号を入力するための入力装置である。表示部18は、コンピュータ12の出力する画像信号に基づき画像を表示する。第1変換部16は、入力信号を変換した第1転送信号を再度入力信号に復元し前記コンピュータに出力する。また、コンピュータ12の出力した画像信号を第2転送信号に変換し第2変換部に出力する。第2変換部は、キーボード20やマウス22が出力した入力信号を第1転送信号に変換する。また、第2転送信号を再度画像信号に変換し表示部18に出力する。ケーブル28は第1変換部14と第2変換部16とを接続し、第1転送信号および第2転送信号を伝送する。電源接続部10はコンピュータ12と電源24との間に接続されており、第1変換部14の指示によりコンピュータ12と電源24とを遮断または接続する。このような構成により、キーボード20、マウス22および表示部18を用い遠距離からのコンピュータ12の操作が可能となる。
【0016】
図2は、電源接続部10の回路図である。AC100Vのコンセントのアース端子G、AC1およびAC2は、コンピュータ側コネクタ40を介しコンピュータ12のアース端子G、AC1およびAC2に接続される。AC1のラインにはスイッチa34、スイッチb36が設けられている。スイッチa34およびスイッチb36が接続、遮断することにより、コンピュータ12に供給される電源が接続、遮断する。スイッチa34とスイッチb36と2系統設けられているのは、一方が破損したときの予備のためである。AC1とAC2の間にはネオン管38が設けられている。ネオン管38は、コンピュータ12に電源が供給されると発光する。AC1およびAC2はヒューズ32、AC/DCコンバータ30を介しDC(直流)5Vに変換される。DC5Vは第1変換部14の電源および以下の回路の電源として供給される。
【0017】
第1変換部14の出力VaおよびVbは第1変換部側コネクタ52を介し入力される。VaおよびVbは比較器50に入力する。比較器50は例えばRS−485レシーバであり、Va−Vbが正になればハイレベルを、負になればローレベルを出力する。比較器50の出力は駆動トランジスタ48のベースに入力する。駆動トランジスタ48は、比較器50の出力がハイレベルのときコイルA44およびコイルB46に電流を流す。コイルA44およびコイルB46はそれぞれスイッチa34およびスイッチb36を駆動する。よって、Va−Vbが正となり、比較器50の出力がハイレベルとなるとコイルA44およびB46に電流が流れ、スイッチa34およびb36がオンし、コンピュータ12にAC電源が接続される。一方、Va−Vbが負となると、スイッチa34およびb36がオフし、AC電源は遮断される。
【0018】
図3は、起動装置11のタイミングチャートである。コンピュータ12が停止状態のとき、Va−Vbは0.2V以上であり、電源接続部10はコンピュータ12にAC電力を供給している。時間t1において、第1変換部14が起動信号を検知する。すなわち、第1転送信号を復元した入力信号に起動信号が含まれている。起動信号としては、例えばキーボード20のShift+Alt+P、O、Nに対応する信号を用いている。第1変換部14は電源接続部10にVa−Vbが−0.2V以下となるように信号を出力する。電源接続部10は図2を用い説明したように、コンピュータ12のAC電力を遮断する。時間t2において、第1変換部14は、Va−Vbが0.2V以上となるように信号を出力する。電源接続部10は図2を用い説明したように、コンピュータ12のAC電力を復帰する。コンピュータ12はオートリスタート機能により起動する。時間t1とt2との差は例えば数秒とすることができる。
【0019】
実施例1によれば、第2変換部16は、キーボード20やマウス22等から出力された入力信号を遠距離伝送が可能な第1転送信号に変換する。第1変換部14は第1転送信号を入力信号に復元し、コンピュータ12に出力する。入力信号に起動信号が含まれる場合、電源接続部10はコンピュータ12を起動させる。ケーブル28として例えばCat5ケーブルのようなLAN(Local Area Network)用ケーブルとし、第1転送信号がLAN用ケーブルを伝送する信号とする。これにより、特許文献1および特許文献2のような端末装置が不要となる。また、特許文献3のような長距離伝送が難しい周辺機器用のケーブル(例えばUSB(Universal Serial Bus)ケーブル)を用いないため、遠距離からのコンピュータ12の起動が可能となる。また、複数の入力装置を用いコンピュータ12を操作する場合も1本のケーブル28を用いるため安価となる。
【0020】
また、電源接続部10は、コンピュータ12のオートリスタート機能を用いコンピュータ12を起動する。第1転送信号はケーブル28を伝送する。電源接続部10はコンピュータ12と電源24との間に接続され、コンピュータ12への電源供給を一定時間遮断し、再び投入することにより、コンピュータ12を起動している。電源接続部10はコンピュータ12の起動スイッチを投入することによりコンピュータ12を起動することもできる。しかしながら、この場合は起動スイッチを電気的に投入するため、リレースイッチ等を設置することが必要となる。実施例1のように、オートリスタート機能を用いることによりコンピュータのハードを変更することなく、簡単にコンピュータを遠隔から起動することができる。
【0021】
さらに、第1変換部14は、表示部18に画像を表示するためコンピュータ12から出力される画像信号を第2転送信号に変換し第2変換部16に出力する。第2変換部16は、第2転送信号を画像信号に復元し表示部18に出力する。このように、ケーブル28は画像信号も伝送させることができる。
【0022】
入力装置を、キーボード20およびマウス22の少なくとも一方とすることにより、キーボード20やマウス22の操作により簡単に起動信号を出力することができる。例えば、入力装置として、キーボード20やマウス22以外の押釦等を設けることもできる。しかしながら、押釦等のキーボード20やマウス22以外の入力装置を用いた場合は、キーボード20およびマウス22に加え押釦等の装置が必要となる。
【実施例2】
【0023】
実施例2はスイッチ部を有する例である。図4は実施例2に係る起動装置を含むシステムのブロック図である。実施例1の図1に対し、起動装置11は、スイッチ部26を有する。スイッチ部26は複数のキーボード20およびマウス22の第1転送信号のうち少なくとも1つを複数のコンピュータのうち少なくとも1つに対応する第1変換部14に接続する。第2変換部16はキーボード20やマウス22からの入力信号を第1転送信号に変換するとともに、スイッチ部26にどのコンピュータ12に接続させるかの情報をスイッチ部26に出力する。その他の構成は実施例1と同じであり説明を省略する。
【0024】
実施例2によれば、1つの入力装置から複数のコンピュータを操作することが可能である。また、1つの入力装置から複数のコンピュータを起動することができる。
【0025】
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は実施例1に起動装置を含むシステムのブロック図である。
【図2】図2は電源接続部の回路図である。
【図3】図3は起動装置のタイミングチャートである。
【図4】図4は実施例2に係る起動装置を含むシステムのブロック図である。
【符号の説明】
【0027】
10 電源接続部
11 起動装置
12 コンピュータ
14 第1変換部
16 第2変換部
18 表示部
20 キーボード
22 マウス
24 電源
26 スイッチ部
28 ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力装置の入力信号を変換した第1転送信号を前記入力信号に復元しコンピュータに出力する第1変換部と、
復元された前記入力信号に起動信号が含まれる場合、前記コンピュータを起動する電源接続部と、を具備することを特徴とする起動装置。
【請求項2】
前記電源接続部は、前記コンピュータのオートリスタート機能を用い前記コンピュータを起動することを特徴とする請求項1記載の起動装置。
【請求項3】
前記電源接続部は前記コンピュータと電源との間に接続され、前記コンピュータへの電源供給を一定時間遮断し、再び投入することにより、前記コンピュータを起動することを特徴とする請求項2記載の起動装置。
【請求項4】
複数の前記入力装置の前記第1転送信号のうち少なくとも1つを複数の前記コンピュータのうち少なくとも1つに対応する前記第1変換部に接続するスイッチ部を具備することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載の起動装置。
【請求項5】
前記入力信号を前記第1転送信号に変換する第2変換部を具備することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載の起動装置。
【請求項6】
前記第1変換部は、表示部に画像を表示するためコンピュータから出力される画像信号を第2転送信号に変換し第2変換部に出力し、
前記第2変換部は、前記第2転送信号を前記画像信号に復元し前記表示部に出力することを特徴とする請求項5記載の起動装置。
【請求項7】
前記入力装置は、キーボードおよびマウスの少なくとも一方であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項記載の起動装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−90746(P2008−90746A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−273283(P2006−273283)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【出願人】(501398606)富士通コンポーネント株式会社 (848)
【Fターム(参考)】