起歪体、ロードセル及び多点式秤
【課題】重量測定用の平板状の起歪体において、歪む位置を安定させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【解決手段】起歪体3Aは、固定部300と、可動部301と、接続部303とを備える。接続部303は、薄肉部303a,303bと、厚肉部303cとを備える。可動部301は、薄肉部303bと接続される薄肉接続可動部分308と、薄肉接続可動部分308から薄肉接続固定部分306に向かって延在する延在可動部分309とを有する。延在可動部分309のうち、その延在方向において薄肉部303aの固定部300側端と、薄肉部303bの可動部301側端との間に位置する部分に、被計量物の重量による荷重が加わる。
【解決手段】起歪体3Aは、固定部300と、可動部301と、接続部303とを備える。接続部303は、薄肉部303a,303bと、厚肉部303cとを備える。可動部301は、薄肉部303bと接続される薄肉接続可動部分308と、薄肉接続可動部分308から薄肉接続固定部分306に向かって延在する延在可動部分309とを有する。延在可動部分309のうち、その延在方向において薄肉部303aの固定部300側端と、薄肉部303bの可動部301側端との間に位置する部分に、被計量物の重量による荷重が加わる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被計量物の重量を測定するための平板状の起歪体、当該起歪体を備えるロードセル及び当該ロードセルを複数備える多点式秤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被計量物の重量を測定するための起歪体に関して様々な構造が提案されている。このような起歪体を有する秤においては、秤の薄型化を実現するため、特許文献1に開示されているように、平板状の起歪体が用いられることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表平5−505670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている平板状の起歪体では、歪みゲージが設けられた箇所以外の箇所においても歪むことがあるため、歪みゲージにおいて検出される歪み量と、荷重との関係が非線形となり、正しく荷重を測定することができない場合がある。特に、秤の組立て誤差により、荷重が加わる位置がばらつく場合には、歪みゲージが設けられた箇所以外の箇所で歪む傾向にあるため、正しく荷重を測定することができない。
【0005】
そこで、本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、重量測定用の平板状の起歪体において、歪む位置を安定させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、被計量物の重量を測定するための平板状の起歪体であって、外部と固定される第1厚肉部と、前記第1厚肉部に対して相対的に変位可能な第2厚肉部と、前記第1厚肉部と前記第2厚肉部とを接続する第1接続部とを備え、前記第1接続部は、前記第1厚肉部と接続される第1薄肉部と、前記第2厚肉部と接続される第2薄肉部と、前記第1及び第2薄肉部の間において、前記第1及び第2薄肉部のそれぞれと接続される第3厚肉部とを有し、前記第2厚肉部は、前記第2薄肉部と接続される第1部分と、前記第1接続部と対向するように前記第1部分から延在する第2部分とを有し、前記第2部分のうち、その延在方向において前記第1薄肉部の前記第1厚肉部側端と前記第2薄肉部の前記第2厚肉部側端との間に位置する部分に、前記被計量物の重量により荷重が加わる。
【0007】
また、請求項2に発明は、請求項1に記載の起歪体であって、前記起歪体の二つの主面の一方に第1開口部が形成されることにより、前記第1薄肉部が前記二つの主面の他方側に形成され、前記起歪体の前記二つの主面の一方に第2開口部が形成されることにより、前記第2薄肉部が前記二つの主面の他方側に形成される。
【0008】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の起歪体であって、前記第1厚肉部と前記第2厚肉部とを接続する第2接続部をさらに備え、前記第2接続部は、前記第1厚肉部と接続される第3薄肉部と、前記第1部分と接続される第4薄肉部と、前記第3及び第4薄肉部の間において、前記第3及び第4薄肉部のそれぞれと接続される第4厚肉部とを有し、前記第2部分は、前記第1及び第2接続部と対向するように前記第1部分から延在し、前記第1薄肉部及び前記第3薄肉部は、前記起歪体の主面に平行な、前記第2部分の延在方向に垂直な方向において、互いに対向しており、前記第2薄肉部及び前記第4薄肉部は、前記起歪体の主面に平行な、前記第2部分の延在方向に垂直な方向において、互いに対向している。
【0009】
また、請求項4の発明は、請求項3に記載の起歪体であって、前記起歪体の前記二つの主面の一方に第3開口部が形成されることにより、前記第3薄肉部が前記二つの主面の他方側に形成され、前記起歪体の前記二つの主面の一方に第4開口部が形成されることにより、前記第4薄肉部が前記二つの主面の他方側に形成される。
【0010】
また、請求項5の発明は、請求項4に記載の起歪体であって、前記第1及び第3薄肉部は、断面視において、前記起歪体の互いに異なる主面側に位置しており、前記第2及び第4薄肉部は、断面視において、前記起歪体の互いに異なる主面側に位置している。
【0011】
また、請求項6の発明は、ロードセルであって、請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載の起歪体と、前記起歪体に貼り付けられた歪みゲージとを備える。
【0012】
また、請求項7の発明は、多点式秤であって、請求項6に記載のロードセルを複数備え、複数の前記ロードセルからの出力信号に基づいて、前記被計量物の全体重量を求める重量算出部をさらに備える。
【発明の効果】
【0013】
請求項1乃至請求項7の発明によれば、第1及び第2薄肉部が歪みやすいことから、荷重が加わると、起歪体は第1及び第2薄肉部において歪むことになる。したがって、歪む位置が安定する。さらに、第2部分のうち、その延在方向において、第1薄肉部の第1厚肉部側端と第2薄肉部の第2厚肉部側端との間に位置する部分に荷重が加わるため、第1接続部はS字型に変形することができる。したがって、第2部分が、加わった荷重に応じて荷重方向に主に変位することができるため、被計量物を正しく測定することができる。
【0014】
特に、請求項2の発明によれば、第1及び第2開口部を形成することにより、第1及び第2薄肉部を容易に形成することができる。
【0015】
特に、請求項3の発明によれば、第1厚肉部及び第2厚肉部が、第1接続部だけでなく、第2接続部によっても接続されるため、第1厚肉部に対して、第2厚肉部を安定して荷重方向に相対的に変位させることができる。さらに、第2部分に印加できる荷重を大きくすることができ、測定重量の上限値を増加させることができる。
【0016】
特に、請求項4の発明によれば、第3及び第4開口部を形成することにより、第3及び第4薄肉部を容易に形成することができる。
【0017】
特に、請求項5の発明によれば、第2部分に荷重が印加されると、第1及び第2接続部が、ロバーバル機構における変形と同様の変形をする。したがって、第2部分がより安定して変位することができるため、被計量物を正しく測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る多点式秤を示す側面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る多点式秤を示す底面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るロードセルの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態の第1の構造例に係る起歪体を示す上面斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態の第1の構造例に係る起歪体を示す底面斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態の第1の構造例に係る起歪体が歪む様子を示す上面斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態の第1の構造例に係る起歪体が歪む様子を説明するための上面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る多点式秤と対比される多点式秤を示す側面図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る第1の構造例に係る起歪体を示す側面図である。
【図10】本発明の実施の形態の第2の構造例に係る起歪体を示す上面斜視図である。
【図11】本発明の実施の形態の第2の構造例に係る起歪体を示す底面斜視図である。
【図12】本発明の実施の形態の第2の構造例に係る起歪体が歪む様子を示す上面斜視図である。
【図13】本発明の実施の形態の第3の構造例に係る起歪体を示す上面斜視図である。
【図14】本発明の実施の形態の第3の構造例に係る起歪体を示す底面斜視図である。
【図15】本発明の実施の形態の第4の構造例に係る起歪体を示す上面斜視図である。
【図16】本発明の実施の形態の第4の構造例に係る起歪体を示す底面斜視図である。
【図17】本発明の実施の形態の第5の構造例に係る起歪体を示す上面斜視図である。
【図18】本発明の実施の形態の他の構造例に係る起歪体を示す上面図である。
【図19】本発明の実施の形態の他の構造例に係る起歪体を示す上面図である。
【図20】本発明の実施の形態の他の構造例に係る起歪体を示す上面図である。
【図21】本発明の実施の形態の他の構造例に係る起歪体を示す上面図である。
【図22】本発明の実施の形態の他の構造例に係る起歪体を示す上面図である。
【図23】本発明の実施の形態の起歪体の開口部の一例を示す側面図である。
【図24】本発明の実施の形態の起歪体の開口部の一例を示す側面図である。
【図25】本発明の実施の形態の起歪体の開口部の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は本発明の実施の形態に係る多点式秤100を示す側面図であって、図2は当該多点式秤100を示す底面図である。図2では、説明の便宜上、図1に示される筐体2の図示を省略して、筐体2の内部が理解できるようにしている。本実施の形態に係る多点式秤100は、例えば4点で測定された被計量物TGの部分重量を足し合わせて、当該被計量物TGの全体重量を求める。
【0020】
図1,2に示されるように、多点式秤100は、被計量物TGが載置される計量皿1と、当該計量皿1を支持する筐体2とを備えている。計量皿1は、例えば、一方向にやや長い平面視四角形の板状形状を成している。筐体2内には、計量皿1の底面の4隅に固定部材4によってそれぞれ固定された4つの平板状の起歪体3が収納されている。この4つの起歪体3は、被計量物TGの重量を測定するためのものであって、計量皿1に被計量物TGが載置されると、当該被計量物TGの重量に応じて歪むようになっている。4つの起歪体3の底面には、筐体2から露出するように4つの足部材5がそれぞれ取り付けられている。多点式秤100が設置された場合には、この4つの足部材5が多点式秤100を支持する。
【0021】
多点式秤100は、それぞれが被計量物TGの部分重量を検出する4つのロードセル10と、当該4つのロードセル10からの計量信号に基づいて、被計量物TGの全体重量を求める重量算出部8と、重量算出部で求めた被計量物TGの全体重量を表示する表示部(図示しない)とを備えている。4つのロードセル10及び重量算出部8は、上述の筐体2内に収納されている。
【0022】
図3は、各ロードセル10の構成を示す図である。図3に示されるように、各ロードセル10は、上述の起歪体3と、当該起歪体3に貼り付けられた4つの歪みゲージ6ca,6cb,6ta,6tbとを備えている。4つの歪みゲージ6ca,6cb,6ta,6tbは、ホイートストンブリッジ回路を構成している。歪みゲージ6ca,6tbの一方端は互いに接続されており、歪みゲージ6ta,6cbの一方端は互いに接続されている。そして、歪みゲージ6ca,6taの他方端は互いに接続されており、歪みゲージ6cb,6tbの他方端は互いに接続されている。歪みゲージ6ca,6cbのそれぞれは、被計量物TGが計量皿1に載置された際に、起歪体3において圧縮歪みが発生する箇所に貼り付けられる。一方で、歪みゲージ6ta,6tbのそれぞれは、被計量物TGが計量皿1に載置された際に、起歪体3において引っ張り歪みが発生する箇所に貼り付けられる。互いに接続された歪みゲージ6ca,6tbの一方端にはプラスの電圧が印加され、互いに接続された歪みゲージ6ta,6cbの一方端は接地される。そして、各ロードセル10からは、互いに接続された歪みゲージ6ca,6taの他方端での電圧と、互いに接続された歪みゲージ6cb,6tbの他方端での電圧とが、一対の計量信号として出力される。この一対の計量信号は、それを出力するロードセル10が検出した被計量物TGの部分重量を示している。
【0023】
本実施の形態に係る起歪体3においては、荷重印加の際の歪む位置が安定するようになっている。以下、このような起歪体3の各種構造例について説明する。なお、起歪体3の平面視における外形は、一方向に長い長方形、あるいは、略長方形となっている。以下の説明では、当該外形の長辺及び短辺に沿った方向をそれぞれX軸方向及びY軸方向とする。また、起歪体3の厚み方向をZ方向とし、起歪体3の底面からその上面に向かう方向を+Z方向、起歪体3の上面からその底面に向かう方向を−Z方向とする。
【0024】
<起歪体の第1の構造例>
図4,5は、第1の構造例に係る起歪体3(以下、「起歪体3A」と呼ぶ)を示す斜視図である。図4は起歪体3Aの上面斜視図であって、図5は起歪体3Aの底面斜視図である。図4,5に示されるように、起歪体3Aは、平面視において、一方向にやや長い長方形の板状部材であり、互いに対向する二つの主面(上面311a及び底面311b)を有する。図に示すように、起歪体3Aは、第1厚肉部300と、第1厚肉部300に対して相対的に変位可能な第2厚肉部301と、それぞれが第1厚肉部300と第2厚肉部301とを接続する第1接続部303及び第2接続部304とを備える。第1厚肉部300は計量皿1に固定されるので、以下、「固定部300」と呼び、第2厚肉部301は固定部300に対して相対的に稼動するので、以下、「可動部301」と呼ぶ。
【0025】
第1接続部303は、起歪体3Aの周端部における一方の長辺部分を成し、薄肉部303a,303b及び厚肉部303cを有する。また、第2接続部304は、起歪体3Aの周端部における他方の長辺部分を成し、薄肉部304a,304b及び厚肉部304cを有する。
【0026】
薄肉部303aは、固定部300と接続されている。薄肉部303bは、可動部301と接続されている。起歪体3Aの底面311bに対して、第1接続部303の−Y側端から+Y側端まで達する、断面弧状の開口部305a,305bが形成されることにより、薄肉部303a,303bが上面311a側(+Z側)にそれぞれ形成されている。厚肉部303cは、薄肉部303aと薄肉部303bとの間において、薄肉部303a,303bのそれぞれと接続されている。
【0027】
薄肉部304aは、固定部300と接続されている。薄肉部304bは、可動部301と接続されている。起歪体3Aの底面311bに対して、第2接続部304の−Y側端から+Y側端まで達する、断面弧状の開口部305c,305dが形成されることにより、薄肉部304a,304bが上面311a側(+Z側)にそれぞれ形成されている。厚肉部304cは、薄肉部304aと薄肉部304bとの間において、薄肉部304a,304bのそれぞれと接続されている。
【0028】
固定部300は、薄肉部303a及び薄肉部304aのそれぞれに接続される薄肉接続固定部分306と、薄肉接続固定部分306から後述する薄肉接続可動部分308に向かって延在する2つの延在固定部分307とを有する。薄肉接続固定部分306は、起歪体3Aの周端部における一方の短辺部分を成している。薄肉部303a及び薄肉部304aは、薄肉接続固定部分306のY軸方向の両端部にそれぞれ接続されている。起歪体3Aの一方の延在固定部分307は、第1接続部303よりも+Y側に、第1接続部303に沿って設けられている。起歪体3Aの他方の延在固定部分307は、第2接続部304よりも−Y側に、第2接続部304に沿って設けられている。
【0029】
可動部301は、薄肉部303b及び薄肉部304bのそれぞれに接続される薄肉接続可動部分308と、薄肉接続可動部分308から薄肉接続固定部分306に向かって延在する延在可動部分309とを有する。薄肉部303b及び薄肉部304bは、薄肉接続可動部分308のY軸方向の両端部にそれぞれ接続されている。起歪体3Aに係る延在可動部分309は、2つの延在固定部分307の間に位置している。延在可動部分309は、−Y側の延在固定部分307を介して第1接続部303と対向するとともに、+Y側の延在固定部分307を介して第2接続部304と対向している。
【0030】
上述した薄肉部303a及び薄肉部304aは、起歪体3Aの上面311a(底面311b)に平行な、延在可動部分309の延在方向(X方向)に垂直な方向(Y方向)において互いに対向している。同様に、薄肉部303b及び薄肉部304bは、起歪体3Aの上面311a(底面311b)に平行な、延在可動部分309の延在方向(X方向)に垂直な方向(Y方向)において互いに対向している。
【0031】
起歪体3Aにおいては、延在可動部分309の一部を、被計量物TGの重量により荷重が加わる荷重印加部310としている。具体的には、延在可動部分309のうち、その延在方向(X方向)において、薄肉部303aの薄肉接続固定部分306側端と薄肉部303bの薄肉接続可動部分308側端との間に位置する部分を荷重印加部310としている。換言すれば、延在可動部分309のうち、X方向において薄肉部304aの薄肉接続固定部分306側端と薄肉部304bの薄肉接続可動部分308側端との間に位置する部分を荷重印加部310としている。なお、図4,5においては、荷重印加部310は、ハッチングで示されており、後述の図においても同様である。
【0032】
起歪体3Aにおいては、薄肉部303a,303b,304a,304bは、固定部300、可動部301、及び、厚肉部303c,304cに対して十分に薄く形成されている。したがって、計量皿1に被計量物TGが搭載されると、薄肉部303a,303b,304a,304bは歪むが、固定部300、可動部301、及び、厚肉部303c,304cは、ほとんど歪むことがない。よって、起歪体3Aを用いて被計量物TGを計量する際には、固定部300、可動部301、及び、厚肉部303c,304cは剛体とみなすことができる。
【0033】
荷重印加部310の底面311bには、足部材5が取り付けられる。荷重印加部310において足部材5が取り付けられる範囲及び位置は、荷重印加部310の範囲内であればどのようなものであってもよい。固定部300は、2つの延在固定部分のそれぞれの上面311aに取り付けられた固定部材4によって計量皿1に固定される。固定部300において固定部材4が取り付けられる範囲及び位置は、これに限ったものではなく、固定部300の範囲内であればどのようなものであってもよい。
【0034】
図6は、荷重印加部310に+Z方向の荷重が加わった際に起歪体3Aが歪む様子を示す上面斜視図であり、図7は、その上面図である。以上のような構造を有する起歪体3Aにおいては、被計量物TGが計量皿1に載置されると、被計量物TGの重量によって固定部300が−Z方向に沈み、足部材5が取り付けられた荷重印加部310には+Z方向に荷重が加わるようになる。そして、荷重印加部310に+Z方向に荷重が加わると、薄肉部303a,303b,304a,304bが歪んで、可動部301が、固定部300に対して、主に+Z方向(荷重方向)に相対的に変位する。
【0035】
図7には、平面視において、薄肉部303b,304bのそれぞれを通る二点鎖線の直線Aと、薄肉部303a,304aのそれぞれを通る二点差線の直線Bとが示されている。荷重印加部310が+Z方向への荷重を受けると、荷重印加部310が、直線Aを回動軸として図7に示される矢印aの方向に回動しようとする結果、図6に示されるように、薄肉部303b,304bは、上面311aから見ると凸となるように歪む。また、荷重印加部310が+Z方向への荷重を受けると、荷重印加部310が、直線Bを回動軸として図7に示される矢印bの方向に回動しようとする結果、図6に示されるように、薄肉部303a,304aは、上面311aから見ると凹となるように歪む。
【0036】
荷重印加部310に+Z方向の荷重が加わると、薄肉部303b,304bの上面311aには引っ張り応力が大きく発生することから、これらの箇所に歪みゲージ6ta,6tbが貼り付けられる。また、荷重印加部310に+Z方向の荷重が加わると、薄肉部303a,304aの上面311aには圧縮応力が大きく発生することから、これらの箇所に歪みゲージ6ca,6cbが貼り付けられる。
【0037】
以上のように、荷重印加部310が+Z方向への荷重を受けると、薄肉部303b,304bが凸、薄肉部303a,304aが凹となるように歪むことによって、第1及び第2接続部303,304のそれぞれはS字状に歪むことになる。第1及び第2接続部303,304がS字状に歪むと、可動部301が、X方向(水平方向)において固定部300の薄肉接続固定部分306に多少近づく動作を行うものの、固定部300に対してほぼ+Z方向(荷重方向)に相対的に変位する。
【0038】
本実施の形態に係る多点式秤100が備える4つの起歪体3A(図2)は、それらの長手方向が計量皿1の長手方向と一致し、かつそれらの向きが同じになるように、計量皿1の底面の4隅に取り付けられる。ここで、仮に、2つの起歪体3Aの向きが互いに異なる場合には、荷重印加部310が+Z方向への荷重を受ける際に、水平方向に関し、一方の起歪体3Aにおいて可動部301が薄肉接続固定部分306に近づく方向と、他の起歪体3Aにおいて可動部301が薄肉接続固定部分306に近づく方向とが互いに異なるようになる。そのため、両方の起歪体3Aにおいて、可動部301が、+Z方向に正しく変位できなくなる。そうならないようにするため、本実施の形態に係る多点式秤100においては、4つの起歪体3Aは、それらの向きが同じになるように、計量皿1の底面の4隅に取り付けられている。
【0039】
以上のように、本例に係る起歪体3Aにおいては、薄肉部303a,303b,304a,304bが歪みやすいことから、起歪体3Aは薄肉部303a,303b,304a,304bにおいて歪むことになる。したがって、歪む位置が安定する。よって、薄肉部303a,303b,304a,304bにそれぞれ貼り付けられた歪みゲージ6ca,6ta,6cb,6tbが検出する歪み量と、被計量物TGの重量による荷重との間に線形関係が成り立つようになるため、被計量物TGの重量を正しく測定することができる。さらに、延在可動部分309のうち、薄肉部303aの薄肉接続固定部分306側端と、薄肉部303bの薄肉接続可動部分308側端との間に位置する部分に荷重が加わるため、第1接続部303はS字型に変形することができる。同様に、第2接続部304はS字型に変形することができる。したがって、延在可動部分309が、加わった荷重に応じて荷重方向に主に変位することができるため、被計量物TGを正しく測定することができる。
【0040】
また、可動部301及び固定部300が、第1接続部303だけでなく、第2接続部304によっても接続されるため、固定部300に対して、可動部301を安定して荷重方向に相対的に変位させることができる。さらに、延在可動部分309に印加できる荷重を大きくすることができ、起歪体3Aで検出可能な重量の上限値を増加させることができる。その結果、本例に係る起歪体3Aを使用する多点式秤100においては、測定可能な被計量物TGの重量の上限値が増加する。
【0041】
なお、本例に係る起歪体3Aでは、荷重印加部310は、薄肉部303a(薄肉部304a)と薄肉部303b(薄肉部304b)との間に位置することから、起歪体3Aの長手方向(X方向)において中心付近に位置しやすくなる。これにより、荷重印加部310に取り付けられる足部材5も起歪体3AのX方向において中心付近に位置することになる。その結果、被計量物TGが計量皿1の端部に載置されても、被計量物TGの重量を正しく測定できるようになることがある。以下、図8を用いてこのことを説明する。
【0042】
図8は、本例に係る多点式秤100と対比される多点式秤(以下、「対比対象多点式秤101」と呼ぶ)を示す図である。対比対象多点式秤101では、足部材5が、起歪体7の長手方向における端部に設けられている。この対比対象多点式秤101においても、4つの起歪体7は、それらの向きが同じになるように、計量皿1の底面の4隅に取り付けられている。このような対比対象多点式秤101においては、計量皿1の長手方向に設けられた二つの起歪体7のうち、一方の起歪体7の足部材5は、図1に示される足部材5の位置よりも計量皿1の端部側に配置され、他方の起歪体7の足部材5は、図1に示される足部材5の位置よりも計量皿1の中心側に配置されることになる。以下、簡単のため、当該二つの起歪体7のうち、足部材5が計量皿1のより端部側に配置される起歪体7を「起歪体7A」とし、足部材5が計量皿1のより中心側に配置される起歪体7を「起歪体7B」とする。
【0043】
以上のような対比対象多点式秤101においては、計量皿1における起歪体7B側の端部に、被計量物TGが載置されると、当該端部が、起歪体7Bの足部材5を支点にして下降する方向に回動してしまう。その結果、もう一方の起歪体7Aの足部材5が浮いてしまい、被計量物TGの重量を正しく測定することができなくなる。
【0044】
それに対して、本実施の形態に係る多点式秤100が備える足部材5は、上述の図1に示されるように、起歪体7Bの足部材5よりも、計量皿1の端側に配置されることから、被計量物TGが計量皿1の端部に載置される際に、起歪体3Aの足部材5が浮いてしまうのを抑制することができる。したがって、被計量物TGの重量を正しく測定することができる。
【0045】
なお、以上の起歪体3Aにおいては、薄肉部303a,303bを形成する代わりに、図9に示すように、第1接続部303に対して、その−Y側端から+Y側端まで貫通する開口穴315a,315bを形成することにより、互いに対向する二つの薄肉部303aa、及び、互いに対向する二つの薄肉部303abを形成しても良い。しかし、この場合には、起歪体3AのZ方向の厚さが薄くなればなるほど、形成すべき開口穴315a,315bが小さくなる。径の小さいドリルを用いて小さい開口穴315a,315bを形成しようとすると、径の小さいドリルが折れてしまうことがある。つまり、起歪体3のZ方向の厚さが薄いと、開口穴315a,315bを形成して、薄肉部303aa,303abを形成することが困難となる。それに対し、図4,5の開口部305a,305bは、径の小さいドリルを用いなくても形成することができ、開口穴315a,315bよりも形成するのが容易であり、その寸法の調整も容易である。したがって、起歪体3Aにおいては、開口穴315a,315bよりも開口部305a,305bを形成して薄肉部303a,303bを形成することが好ましい。第2接続部304についても同様である。
【0046】
<起歪体の第2の構造例>
図10,11は、第2の構造例に係る起歪体3(以下、「起歪体3B」と呼ぶ)を示す斜視図である。図10は起歪体3Bの上面斜視図であって、図11は起歪体3Bの底面斜視図である。起歪体3Bは、上述の起歪体3Aと形状が同じである。そして、起歪体3Bは、起歪体3Aにおいて、固定部300を可動部として機能させ、可動部301を固定部として機能させたものとなっている。起歪体3Bにおいては、固定部300、薄肉接続固定部分306及び延在固定部分307を、「可動部300B」、「薄肉接続可動部分306B」及び「延在可動部分307B」とそれぞれ呼ぶ。また、起歪体3Bにおいては、可動部301、薄肉接続可動部分308及び延在可動部分309を、「固定部301B」、「薄肉接続固定部分308B」及び「延在固定部分309B」とそれぞれ呼ぶ。なお、図10,11においては、起歪体3Bのうち、上述の起歪体3Aと同じ部分に対して同じ符号を付している。
【0047】
起歪体3Bにおいては、−Y側の延在可動部分307Bのうち、その延在方向(X方向)において、薄肉部303aの薄肉接続可動部分306B側端と、薄肉部303bの薄肉接続固定部分308B側端との間に位置する部分を荷重印加部310(以下、「荷重印加部310Ba」と呼ぶ)としている。そして、+Y側の延在可動部分307Bのうち、その延在方向(X方向)において、薄肉部304aの薄肉接続可動部分306B側端と、薄肉部304bの薄肉接続固定部分308B側端との間に位置する部分を荷重印加部310(以下、「荷重印加部310Bb」と呼ぶ)としている。
【0048】
荷重印加部310Ba,Bbのそれぞれの底面311bには、足部材5が取り付けられる。固定部301Bは、延在固定部分309Bの上面311aに取り付けられた固定部材4によって計量皿1に固定される。固定部301Bにおいて固定部材4が取り付けられる範囲及び位置は、これに限ったものではなく、固定部301Bの範囲内であればどのようなものであってもよい。
【0049】
図12は、荷重印加部310Ba,310Bbに+Z方向の荷重が加わった際に起歪体3Bが歪む様子を示す上面斜視図である。以上のような構造を有する起歪体3Bにおいて、荷重印加部310Ba,310Bbが+Z方向への荷重を受けると、上面311aから見て、薄肉部303a,304aが凸、薄肉部303b,304bが凹となるように歪むことによって、第1及び第2接続部303,304のそれぞれはS字状に歪むことになる。
【0050】
荷重印加部310Ba,310Bbに+Z方向の荷重が加わると、薄肉部303a,304aの上面311aには引っ張り応力が大きく発生することから、これらの箇所に歪みゲージ6ta,6tbが貼り付けられる。また、荷重印加部310Ba,310Bbに+Z方向の荷重が加わると、薄肉部303b,304bの上面311aには圧縮応力が大きく発生することから、これらの箇所に歪みゲージ6ca,6cbが貼り付けられる。
【0051】
このように、本例に係る起歪体3Bでは、上述の起歪体3Aと同様の構造を有していることから、起歪体3Aと同様の効果を生じる。
【0052】
<起歪体の第3の構造例>
図13,14は、第3の構造例に係る起歪体3(以下、「起歪体3C」と呼ぶ)を示す斜視図である。図13は起歪体3Cの上面斜視図であって、図14は起歪体3Cの底面斜視図である。本変形例に係る起歪体3Cは、上述の起歪体3Aにおいて、延在固定部分307の形状と、延在可動部分309の形状とを変形したものである。起歪体3Cにおいては、延在固定部分307及び延在可動部分309を「延在固定部分307C」及び「延在可動部分309C」とそれぞれ呼ぶ。
【0053】
起歪体3Cに係る延在固定部分307Cは、第1及び第2接続部303,304のそれぞれに沿って設けられている。そして、起歪体3Cに係る延在可動部分309Cは、第1及び第2接続部303,304のそれぞれに沿って設けられている。延在固定部分307C及び延在可動部分309Cは、互いに同じ形状を有し、X方向において互いに対向している。
【0054】
起歪体3Cにおいては、延在可動部分309Cのうち、その延在方向(X方向)において、薄肉部303a(薄肉部304a)の薄肉接続固定部分306側端と、薄肉部303b(薄肉部304b)の薄肉接続可動部分308側端との間に位置する部分を荷重印加部310(以下、「荷重印加部310C」と呼ぶ)としている。
【0055】
以上のような構造を有する起歪体3Cにおいて、荷重印加部310Cが+Z方向への荷重を受けると、起歪体3Aと同様に、上面311aから見て、薄肉部303b,304bが凸、薄肉部303a,304aが凹となるように歪むことによって、第1及び第2接続部303,304のそれぞれはS字状に歪むことになる。
【0056】
このように、本例に係る起歪体3Cでは、上述の起歪体3Aと同様の構造を有していることから、起歪体3Aと同様の効果を生じる。なお、起歪体3Cは、起歪体3Aのように、固定部300及び可動部301のそれぞれが、X方向において、薄肉部303a(薄肉部304a)の薄肉接続固定部分306側端と、薄肉部303b(薄肉部304b)の薄肉接続可動部分308側端との間に位置する部分を有することから、固定部300を可動部として機能させるとともに、可動部301を固定部として機能させてもよい。
【0057】
<起歪体の第4の構造例>
図15,16は、第4の構造例に係る起歪体3(以下、「起歪体3D」と呼ぶ)を示す斜視図である。図15は起歪体3Dの上面斜視図であって、図16は起歪体3Dの底面斜視図である。本変形例に係る起歪体3Dは、上述の起歪体3Aにおいて、延在固定部分307を削除し、延在可動部分309の形状を変形したものである。起歪体3Dにおいては、延在可動部分309を「延在可動部分309D」と呼ぶ。
【0058】
起歪体3Dに係る延在可動部分309Dは、薄肉接続可動部分308から薄肉接続固定部分306に向かって、第1及び第2接続部303,304と対向するように延在している。
【0059】
起歪体3Dにおいては、延在可動部分309Dのうち、その延在方向(X方向)において、薄肉部303a(薄肉部304a)の薄肉接続固定部分306側端と、薄肉部303b(薄肉部304b)の薄肉接続可動部分308側端との間に位置する部分を荷重印加部310(以下、「荷重印加部310D」と呼ぶ)としている。
【0060】
以上のような構造を有する起歪体3Dにおいて、荷重印加部310Dが+Z方向への荷重を受けると、起歪体3Aと同様に、上面311aから見て、薄肉部303b,304bが凸、薄肉部303a,304aが凹となるように歪むことによって、第1及び第2接続部303,304のそれぞれはS字状に歪むことになる。
【0061】
このように、本例に係る起歪体3Dでは、上述の起歪体3Aと同様の構造を有していることから、起歪体3Aと同様の効果を生じる。
【0062】
<起歪体の第5の構造例>
図17は、第5の構造例に係る起歪体3(以下、「起歪体3E」と呼ぶ)を示す上面斜視図である。図17においては、起歪体3Eのうち、上述の起歪体3Aと同じ部分に対して同じ符号を付している。
【0063】
本変形例に係る起歪体3Eは、起歪体3Aにおいて、第2接続部304の形状を変更したものである。起歪体3Aの第2接続部304では、開口部305c,305dが底面311bに設けられていたが、起歪体3Eの第2接続部304では、開口部305c,305dが上面311aに設けられている。第2接続部304では、第2接続部304の−Y側端から+Y側端まで貫通する、断面弧状の開口部305c,305dが上面311aに形成されることにより、薄肉部304a,304bが底面311b側(−Z側)にそれぞれ形成されている。
【0064】
以上のような構造を有する起歪体3Eにおいて、荷重印加部310が+Z方向への荷重を受けると、起歪体3Aと同様に、上面311aから見て、薄肉部303b,304bが凸、薄肉部303a,304aが凹となるように歪むことによって、第1及び第2接続部303,304のそれぞれはS字状に歪むことになる。つまり、下面311bから見て、薄肉部304bが凹、薄肉部304aが凸となるように歪む。したがって、歪みゲージ6cb,6tbが起歪体3Eの下面311bに貼り付けられる場合には、引っ張り応力が大きく発生する薄肉部304aの下面311bに、歪みゲージ6tbが貼り付けられ、圧縮応力が大きく発生する薄肉部304bの下面311bに、歪みゲージ6cbが貼り付けられる。
【0065】
このように、本例に係る起歪体3Eでは、上述の起歪体3Aと同様の構造を有していることから、起歪体3Aと同様の効果を生じる。さらに、本例に係る起歪体3Eでは、延在可動部分309に荷重が印加されて、第1及び第2接続部303,304のそれぞれがS字型に歪むと、第1接続部303と第2接続部304とが成す外形が、起歪体3Aの側面(Y方向)から見て、略平行四辺形となる。そして、延在可動部分309に荷重が印加されると、第1及び第2接続部303,304がロバーバル機構における変形と同様の変形をする。そのため、延在可動部分309がより安定して変位することができ、被計量物TGの重量をより正しく測定することができる。
【0066】
なお、本例に係る起歪体3Eは、薄肉部303a,303bは上面311a側(+Z側)にそれぞれ形成され、薄肉部304a,304bは底面311b側(−Z側)にそれぞれ形成されるとした。しかし、これに限ったものではなく、例えば、薄肉部304a,304bは上面311a側(+Z側)にそれぞれ形成され、かつ、薄肉部303a,303bは底面311b側(−Z側)にそれぞれ形成されるものであってもよい。
【0067】
なお、以上においては、起歪体3Aをもとに本例を説明したが、が、起歪体3B〜3Dにおいても本例と同様の構成を採用することによって、被計量物TGの重量をより正しく測定することができる。
【0068】
<固定延在部、可動延在部、荷重印加部の変形例>
以上において説明された延在固定部分307、延在可動部分309の代わりに、図18〜20に示される延在固定部分307及び延在可動部分309を起歪体3に設けてもよい。以下、図18〜20に示される延在固定部分307及び延在可動部分309について説明する。
【0069】
まず、図18に示される起歪体3(以下、「起歪体3F」と呼ぶ)について説明する。この起歪体3Fに係る延在固定部分307(以下、「延在固定部分307F」と呼ぶ)は、終端延在固定部分307Fa,307Fbと、中間延在固定部分307Fcとを有する。中間延在固定部分307Fcは、薄肉接続固定部分306と接続されており、第1及び第2接続部303,304の間に位置している。終端延在固定部分307Faは、中間延在固定部分307Fcと接続されており、第1接続部303よりも+Y側に、第1接続部303に沿って設けられている。終端延在固定部分307Fbは、中間延在固定部分307Fcと接続されており、第2接続部304よりも−Y側に、第2接続部304に沿って設けられている。終端延在固定部分307Fa,307Fbのそれぞれでは、−X側の部分のY方向の幅が、+X側の部分のY方向の幅よりも広くなっている。
【0070】
起歪体3Fに係る延在可動部分309(以下、「延在可動部分309F」と呼ぶ)は、終端延在固定部分307Fa,307Fbの間に位置している。延在可動部分309Fでは、+X側の部分のY方向の幅が、−X側の部分のY方向の幅よりも広くなっている。延在可動部分309Fにおける、Y方向の幅が狭い−X側の部分は、終端延在固定部分307Faにおける、Y方向の幅が広い−X側の部分と、終端延在固定部分307Fbにおける、Y方向の幅が広い−X側の部分との間に位置する。そして、延在可動部分309Fにおける、Y方向の幅が広い+X側の部分は、終端延在固定部分307Faにおける、Y方向の幅が狭い+X側の部分と、終端固定部分307Fbにおける、Y方向の幅が狭い+X側の部分との間に位置する。
【0071】
起歪体3Fにおいては、延在可動部分309Fのうち、その延在方向(X方向)において、薄肉部303a(薄肉部304a)の薄肉接続固定部分306側端と、薄肉部303b(薄肉部304b)の薄肉接続可動部分308側端との間に位置する部分を荷重印加部310(以下、「荷重印加部310F1」と呼ぶ)としている。図18においては、この荷重印加部310F1が斜線ハッチングで示されている。
【0072】
このような起歪体3Fにおいても、上述の起歪体3Aと同様の構造を有していることから、起歪体3Aと同様の効果を生じる。なお、起歪体3Fは、起歪体3Aのように、固定部300及び可動部301のそれぞれが、X方向において、薄肉部303a(薄肉部304a)の薄肉接続固定部分306側端と、薄肉部303b(薄肉部304b)の薄肉接続可動部分308側端との間に位置する部分を有することから、固定部300を可動部として機能させるとともに、可動部301を固定部として機能させてもよい。このときの荷重印加部310(以下、「荷重印加部310F2」と呼ぶ)が、図18において砂地ハッチングで示されている。
【0073】
次に、図19に示される起歪体3(以下、「起歪体3G」と呼ぶ)について説明する。この起歪体3Gに係る延在固定部分307(以下、「延在固定部分307G」と呼ぶ)は、終端延在固定部分307Ga,307Gbと、中間延在固定部分307Gcとを有する。中間延在固定部分307Gcは、薄肉接続固定部分306と接続されており、第1及び第2接続部303,304の間に設けられている。終端延在固定部分307Gaは、中間延在固定部分307Gcと接続されており、第1接続部303よりも+Y側に、第1接続部303に沿って設けられている。終端延在固定部分307Gbは、中間延在固定部分307Gcと接続されており、第2接続部304よりも−Y側に、第2接続部304に沿って設けられている。
【0074】
起歪体3Gに係る延在可動部分309(以下、「延在可動部分309G」と呼ぶ)は、終端延在可動部分309Gaと、中間延在可動部分309Gbとを有する。Y方向の幅に関し、終端延在可動部分309Gaは、中間延在可動部分309Gbよりも狭くなっている。中間延在可動部分309Gbは、薄肉接続可動部分308と接続されており、第1及び第2接続部303,304の間に設けられている。終端延在可動部分309Gaは、中間延在可動部分309Gbと接続されており、終端延在固定部分307Ga,307Gbの間に設けられている。
【0075】
起歪体3Gにおいては、延在可動部分309Gのうち、その延在方向(X方向)において、薄肉部303a(薄肉部304a)の薄肉接続固定部分306側端と、薄肉部303b(薄肉部304b)の薄肉接続可動部分308側端との間に位置する部分を荷重印加部310(以下、「荷重印加部310G1」と呼ぶ)としている。図19においては、この荷重印加部310G1が斜線ハッチングで示されている。
【0076】
このような起歪体3Gにおいても、上述の起歪体3Aと同様の構造を有していることから、起歪体3Aと同様の効果を生じる。なお、起歪体3Gは、起歪体3Aのように、固定部300及び可動部301のそれぞれが、X方向において、薄肉部303a(薄肉部304a)の薄肉接続固定部分306側端と、薄肉部303b(薄肉部304b)の薄肉接続可動部分308側端との間に位置する部分を有することから、固定部300を可動部として機能させるとともに、可動部301を固定部として機能させてもよい。このときの荷重印加部310(以下、「荷重印加部310G2」と呼ぶ)が、図19において砂地ハッチングで示されている。
【0077】
次に、図20に示される起歪体3(以下、「起歪体3H」と呼ぶ)について説明する。起歪体3Hに係る延在固定部分307(以下、「延在固定部分307H」と呼ぶ)は、図13,14に示される延在固定部分307Cを、Y方向に短くしたものであり、起歪体3Hに係る延在可動部分309(以下、「延在可動部分309H」と呼ぶ)は、図13,14に示される起歪体3Cの延在可動部分309Cを、Y方向に長くしたものである。
【0078】
起歪体3Hにおいては、延在可動部分309Hのうち、その延在方向(X方向)において、薄肉部303a(薄肉部304a)の薄肉接続固定部分306側端と、薄肉部303b(薄肉部304b)の薄肉接続可動部分308側端との間に位置する部分を荷重印加部310(以下、「荷重印加部310H1」と呼ぶ)としている。図20においては、この荷重印加部310H1が斜線ハッチングで示されている。
【0079】
このような起歪体3Hにおいても、上述の起歪体3Aと同様の構造を有していることから、起歪体3Aと同様の効果を生じる。なお、起歪体3Hは、起歪体3Aのように、固定部300及び可動部301のそれぞれが、X方向において、薄肉部303a(薄肉部304a)の薄肉接続固定部分306側端と、薄肉部303b(薄肉部304b)の薄肉接続可動部分308側端との間に位置する部分を有することから、固定部300を可動部として機能させるとともに、可動部301を固定部として機能させてもよい。このときの荷重印加部310(以下、「荷重印加部310H2」と呼ぶ)が、図20において砂地ハッチングで示されている。
【0080】
<起歪体の外形の変形例>
以上の起歪体3の外形は、平面視において、一方向にやや長い長方形であるものとして説明した。しかし、起歪体3の外形は、第1及び第2接続部303,304のそれぞれの歪みにほとんど影響を与えないことから、これに限ったものではない。例えば、起歪体3の外形は、平面視において、短辺が外に向けて湾曲する略長方形であっても良い。あるいは、起歪体3の外形は、平面視において、一方向にやや長い六角形であっても良い。
【0081】
図21に示される起歪体3Iは、起歪体3Aにおいて、その外形を、長方形から、短辺が外に向けて湾曲する略長方形に置き換えたものである。このような起歪体3Iにおいても、上述の起歪体3Aと同様の構造を有していることから、起歪体3Aと同様の効果を生じる。なお、同様に、起歪体3B〜3Hにおいて、その外形を、長方形から当該略長方形に置き換えたものは、それぞれ、起歪体3B〜3Hと同様の効果を生じる。
【0082】
図22に示される起歪体3Jは、起歪体3Aにおいて、その外形を、長方形から、一方向にやや長い六角形に置き換えたものである。このような起歪体3Jにおいても、上述の起歪体3Aと同様の構造を有していることから、起歪体3Aと同様の効果を生じる。なお、同様に、起歪体3B〜3Hにおいて、その外形を、長方形から当該六角形に置き換えたものは、それぞれ、起歪体3B〜3Hと同様の効果を生じる。
【0083】
<開口部の変形例>
以上の起歪体3では、断面弧状の開口部305a〜305dを形成したが、その断面形状は、第1及び第2接続部303,304のそれぞれの歪みにほとんど影響を与えないことから、これに限ったものではない。例えば、起歪体3において、断面弧状の開口部305a〜305dの代わりに、図23に示されるように断面等脚台形状の開口部405a〜405dが形成されてもよい。あるいは、図24に示されるように断面長方形状の開口部505a〜505dが形成されても良い。
【0084】
また、計量皿1に被計量物TGが搭載される際に、厚肉部303c,304cがほとんど歪まないのであれば、図25に示されるように、厚肉部303c,304cに開口部605a,605bがそれぞれ形成されても良い。
【0085】
<その他の変形例>
以上においては、固定部300、つまり、第1厚肉部に固定部材4を取り付けているが、当該第1厚肉部には足部材5を取り付けても良く、可動部301、つまり、第2厚肉部に足部材5を取り付けているが、当該第2厚肉部には固定部材4を取り付けても良い。
【符号の説明】
【0086】
3,3A〜3I 起歪体
6ca,6cb,6ta,6tb 歪みゲージ
10 ロードセル
100 多点式秤
300,301B 固定部
301,300B 可動部
303 第1接続部
303a,303b,304a,304b 薄肉部
303c,304c 厚肉部
304 第2接続部
305a〜305d,405a〜405d,505a〜505d 開口部
306B,308 薄肉接続可動部分
307B,309,309C,309D,309F〜309H 延在可動部分
310,310Ba,310Bb,310C,310D,310F1,310F2,310G1,310G2,310H1,310H2 荷重印加部
311a 上面
311b 底面
【技術分野】
【0001】
本発明は、被計量物の重量を測定するための平板状の起歪体、当該起歪体を備えるロードセル及び当該ロードセルを複数備える多点式秤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、被計量物の重量を測定するための起歪体に関して様々な構造が提案されている。このような起歪体を有する秤においては、秤の薄型化を実現するため、特許文献1に開示されているように、平板状の起歪体が用いられることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表平5−505670号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている平板状の起歪体では、歪みゲージが設けられた箇所以外の箇所においても歪むことがあるため、歪みゲージにおいて検出される歪み量と、荷重との関係が非線形となり、正しく荷重を測定することができない場合がある。特に、秤の組立て誤差により、荷重が加わる位置がばらつく場合には、歪みゲージが設けられた箇所以外の箇所で歪む傾向にあるため、正しく荷重を測定することができない。
【0005】
そこで、本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、重量測定用の平板状の起歪体において、歪む位置を安定させることが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1の発明は、被計量物の重量を測定するための平板状の起歪体であって、外部と固定される第1厚肉部と、前記第1厚肉部に対して相対的に変位可能な第2厚肉部と、前記第1厚肉部と前記第2厚肉部とを接続する第1接続部とを備え、前記第1接続部は、前記第1厚肉部と接続される第1薄肉部と、前記第2厚肉部と接続される第2薄肉部と、前記第1及び第2薄肉部の間において、前記第1及び第2薄肉部のそれぞれと接続される第3厚肉部とを有し、前記第2厚肉部は、前記第2薄肉部と接続される第1部分と、前記第1接続部と対向するように前記第1部分から延在する第2部分とを有し、前記第2部分のうち、その延在方向において前記第1薄肉部の前記第1厚肉部側端と前記第2薄肉部の前記第2厚肉部側端との間に位置する部分に、前記被計量物の重量により荷重が加わる。
【0007】
また、請求項2に発明は、請求項1に記載の起歪体であって、前記起歪体の二つの主面の一方に第1開口部が形成されることにより、前記第1薄肉部が前記二つの主面の他方側に形成され、前記起歪体の前記二つの主面の一方に第2開口部が形成されることにより、前記第2薄肉部が前記二つの主面の他方側に形成される。
【0008】
また、請求項3の発明は、請求項1または請求項2に記載の起歪体であって、前記第1厚肉部と前記第2厚肉部とを接続する第2接続部をさらに備え、前記第2接続部は、前記第1厚肉部と接続される第3薄肉部と、前記第1部分と接続される第4薄肉部と、前記第3及び第4薄肉部の間において、前記第3及び第4薄肉部のそれぞれと接続される第4厚肉部とを有し、前記第2部分は、前記第1及び第2接続部と対向するように前記第1部分から延在し、前記第1薄肉部及び前記第3薄肉部は、前記起歪体の主面に平行な、前記第2部分の延在方向に垂直な方向において、互いに対向しており、前記第2薄肉部及び前記第4薄肉部は、前記起歪体の主面に平行な、前記第2部分の延在方向に垂直な方向において、互いに対向している。
【0009】
また、請求項4の発明は、請求項3に記載の起歪体であって、前記起歪体の前記二つの主面の一方に第3開口部が形成されることにより、前記第3薄肉部が前記二つの主面の他方側に形成され、前記起歪体の前記二つの主面の一方に第4開口部が形成されることにより、前記第4薄肉部が前記二つの主面の他方側に形成される。
【0010】
また、請求項5の発明は、請求項4に記載の起歪体であって、前記第1及び第3薄肉部は、断面視において、前記起歪体の互いに異なる主面側に位置しており、前記第2及び第4薄肉部は、断面視において、前記起歪体の互いに異なる主面側に位置している。
【0011】
また、請求項6の発明は、ロードセルであって、請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載の起歪体と、前記起歪体に貼り付けられた歪みゲージとを備える。
【0012】
また、請求項7の発明は、多点式秤であって、請求項6に記載のロードセルを複数備え、複数の前記ロードセルからの出力信号に基づいて、前記被計量物の全体重量を求める重量算出部をさらに備える。
【発明の効果】
【0013】
請求項1乃至請求項7の発明によれば、第1及び第2薄肉部が歪みやすいことから、荷重が加わると、起歪体は第1及び第2薄肉部において歪むことになる。したがって、歪む位置が安定する。さらに、第2部分のうち、その延在方向において、第1薄肉部の第1厚肉部側端と第2薄肉部の第2厚肉部側端との間に位置する部分に荷重が加わるため、第1接続部はS字型に変形することができる。したがって、第2部分が、加わった荷重に応じて荷重方向に主に変位することができるため、被計量物を正しく測定することができる。
【0014】
特に、請求項2の発明によれば、第1及び第2開口部を形成することにより、第1及び第2薄肉部を容易に形成することができる。
【0015】
特に、請求項3の発明によれば、第1厚肉部及び第2厚肉部が、第1接続部だけでなく、第2接続部によっても接続されるため、第1厚肉部に対して、第2厚肉部を安定して荷重方向に相対的に変位させることができる。さらに、第2部分に印加できる荷重を大きくすることができ、測定重量の上限値を増加させることができる。
【0016】
特に、請求項4の発明によれば、第3及び第4開口部を形成することにより、第3及び第4薄肉部を容易に形成することができる。
【0017】
特に、請求項5の発明によれば、第2部分に荷重が印加されると、第1及び第2接続部が、ロバーバル機構における変形と同様の変形をする。したがって、第2部分がより安定して変位することができるため、被計量物を正しく測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る多点式秤を示す側面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る多点式秤を示す底面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るロードセルの構成を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態の第1の構造例に係る起歪体を示す上面斜視図である。
【図5】本発明の実施の形態の第1の構造例に係る起歪体を示す底面斜視図である。
【図6】本発明の実施の形態の第1の構造例に係る起歪体が歪む様子を示す上面斜視図である。
【図7】本発明の実施の形態の第1の構造例に係る起歪体が歪む様子を説明するための上面図である。
【図8】本発明の実施の形態に係る多点式秤と対比される多点式秤を示す側面図である。
【図9】本発明の実施の形態に係る第1の構造例に係る起歪体を示す側面図である。
【図10】本発明の実施の形態の第2の構造例に係る起歪体を示す上面斜視図である。
【図11】本発明の実施の形態の第2の構造例に係る起歪体を示す底面斜視図である。
【図12】本発明の実施の形態の第2の構造例に係る起歪体が歪む様子を示す上面斜視図である。
【図13】本発明の実施の形態の第3の構造例に係る起歪体を示す上面斜視図である。
【図14】本発明の実施の形態の第3の構造例に係る起歪体を示す底面斜視図である。
【図15】本発明の実施の形態の第4の構造例に係る起歪体を示す上面斜視図である。
【図16】本発明の実施の形態の第4の構造例に係る起歪体を示す底面斜視図である。
【図17】本発明の実施の形態の第5の構造例に係る起歪体を示す上面斜視図である。
【図18】本発明の実施の形態の他の構造例に係る起歪体を示す上面図である。
【図19】本発明の実施の形態の他の構造例に係る起歪体を示す上面図である。
【図20】本発明の実施の形態の他の構造例に係る起歪体を示す上面図である。
【図21】本発明の実施の形態の他の構造例に係る起歪体を示す上面図である。
【図22】本発明の実施の形態の他の構造例に係る起歪体を示す上面図である。
【図23】本発明の実施の形態の起歪体の開口部の一例を示す側面図である。
【図24】本発明の実施の形態の起歪体の開口部の一例を示す側面図である。
【図25】本発明の実施の形態の起歪体の開口部の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は本発明の実施の形態に係る多点式秤100を示す側面図であって、図2は当該多点式秤100を示す底面図である。図2では、説明の便宜上、図1に示される筐体2の図示を省略して、筐体2の内部が理解できるようにしている。本実施の形態に係る多点式秤100は、例えば4点で測定された被計量物TGの部分重量を足し合わせて、当該被計量物TGの全体重量を求める。
【0020】
図1,2に示されるように、多点式秤100は、被計量物TGが載置される計量皿1と、当該計量皿1を支持する筐体2とを備えている。計量皿1は、例えば、一方向にやや長い平面視四角形の板状形状を成している。筐体2内には、計量皿1の底面の4隅に固定部材4によってそれぞれ固定された4つの平板状の起歪体3が収納されている。この4つの起歪体3は、被計量物TGの重量を測定するためのものであって、計量皿1に被計量物TGが載置されると、当該被計量物TGの重量に応じて歪むようになっている。4つの起歪体3の底面には、筐体2から露出するように4つの足部材5がそれぞれ取り付けられている。多点式秤100が設置された場合には、この4つの足部材5が多点式秤100を支持する。
【0021】
多点式秤100は、それぞれが被計量物TGの部分重量を検出する4つのロードセル10と、当該4つのロードセル10からの計量信号に基づいて、被計量物TGの全体重量を求める重量算出部8と、重量算出部で求めた被計量物TGの全体重量を表示する表示部(図示しない)とを備えている。4つのロードセル10及び重量算出部8は、上述の筐体2内に収納されている。
【0022】
図3は、各ロードセル10の構成を示す図である。図3に示されるように、各ロードセル10は、上述の起歪体3と、当該起歪体3に貼り付けられた4つの歪みゲージ6ca,6cb,6ta,6tbとを備えている。4つの歪みゲージ6ca,6cb,6ta,6tbは、ホイートストンブリッジ回路を構成している。歪みゲージ6ca,6tbの一方端は互いに接続されており、歪みゲージ6ta,6cbの一方端は互いに接続されている。そして、歪みゲージ6ca,6taの他方端は互いに接続されており、歪みゲージ6cb,6tbの他方端は互いに接続されている。歪みゲージ6ca,6cbのそれぞれは、被計量物TGが計量皿1に載置された際に、起歪体3において圧縮歪みが発生する箇所に貼り付けられる。一方で、歪みゲージ6ta,6tbのそれぞれは、被計量物TGが計量皿1に載置された際に、起歪体3において引っ張り歪みが発生する箇所に貼り付けられる。互いに接続された歪みゲージ6ca,6tbの一方端にはプラスの電圧が印加され、互いに接続された歪みゲージ6ta,6cbの一方端は接地される。そして、各ロードセル10からは、互いに接続された歪みゲージ6ca,6taの他方端での電圧と、互いに接続された歪みゲージ6cb,6tbの他方端での電圧とが、一対の計量信号として出力される。この一対の計量信号は、それを出力するロードセル10が検出した被計量物TGの部分重量を示している。
【0023】
本実施の形態に係る起歪体3においては、荷重印加の際の歪む位置が安定するようになっている。以下、このような起歪体3の各種構造例について説明する。なお、起歪体3の平面視における外形は、一方向に長い長方形、あるいは、略長方形となっている。以下の説明では、当該外形の長辺及び短辺に沿った方向をそれぞれX軸方向及びY軸方向とする。また、起歪体3の厚み方向をZ方向とし、起歪体3の底面からその上面に向かう方向を+Z方向、起歪体3の上面からその底面に向かう方向を−Z方向とする。
【0024】
<起歪体の第1の構造例>
図4,5は、第1の構造例に係る起歪体3(以下、「起歪体3A」と呼ぶ)を示す斜視図である。図4は起歪体3Aの上面斜視図であって、図5は起歪体3Aの底面斜視図である。図4,5に示されるように、起歪体3Aは、平面視において、一方向にやや長い長方形の板状部材であり、互いに対向する二つの主面(上面311a及び底面311b)を有する。図に示すように、起歪体3Aは、第1厚肉部300と、第1厚肉部300に対して相対的に変位可能な第2厚肉部301と、それぞれが第1厚肉部300と第2厚肉部301とを接続する第1接続部303及び第2接続部304とを備える。第1厚肉部300は計量皿1に固定されるので、以下、「固定部300」と呼び、第2厚肉部301は固定部300に対して相対的に稼動するので、以下、「可動部301」と呼ぶ。
【0025】
第1接続部303は、起歪体3Aの周端部における一方の長辺部分を成し、薄肉部303a,303b及び厚肉部303cを有する。また、第2接続部304は、起歪体3Aの周端部における他方の長辺部分を成し、薄肉部304a,304b及び厚肉部304cを有する。
【0026】
薄肉部303aは、固定部300と接続されている。薄肉部303bは、可動部301と接続されている。起歪体3Aの底面311bに対して、第1接続部303の−Y側端から+Y側端まで達する、断面弧状の開口部305a,305bが形成されることにより、薄肉部303a,303bが上面311a側(+Z側)にそれぞれ形成されている。厚肉部303cは、薄肉部303aと薄肉部303bとの間において、薄肉部303a,303bのそれぞれと接続されている。
【0027】
薄肉部304aは、固定部300と接続されている。薄肉部304bは、可動部301と接続されている。起歪体3Aの底面311bに対して、第2接続部304の−Y側端から+Y側端まで達する、断面弧状の開口部305c,305dが形成されることにより、薄肉部304a,304bが上面311a側(+Z側)にそれぞれ形成されている。厚肉部304cは、薄肉部304aと薄肉部304bとの間において、薄肉部304a,304bのそれぞれと接続されている。
【0028】
固定部300は、薄肉部303a及び薄肉部304aのそれぞれに接続される薄肉接続固定部分306と、薄肉接続固定部分306から後述する薄肉接続可動部分308に向かって延在する2つの延在固定部分307とを有する。薄肉接続固定部分306は、起歪体3Aの周端部における一方の短辺部分を成している。薄肉部303a及び薄肉部304aは、薄肉接続固定部分306のY軸方向の両端部にそれぞれ接続されている。起歪体3Aの一方の延在固定部分307は、第1接続部303よりも+Y側に、第1接続部303に沿って設けられている。起歪体3Aの他方の延在固定部分307は、第2接続部304よりも−Y側に、第2接続部304に沿って設けられている。
【0029】
可動部301は、薄肉部303b及び薄肉部304bのそれぞれに接続される薄肉接続可動部分308と、薄肉接続可動部分308から薄肉接続固定部分306に向かって延在する延在可動部分309とを有する。薄肉部303b及び薄肉部304bは、薄肉接続可動部分308のY軸方向の両端部にそれぞれ接続されている。起歪体3Aに係る延在可動部分309は、2つの延在固定部分307の間に位置している。延在可動部分309は、−Y側の延在固定部分307を介して第1接続部303と対向するとともに、+Y側の延在固定部分307を介して第2接続部304と対向している。
【0030】
上述した薄肉部303a及び薄肉部304aは、起歪体3Aの上面311a(底面311b)に平行な、延在可動部分309の延在方向(X方向)に垂直な方向(Y方向)において互いに対向している。同様に、薄肉部303b及び薄肉部304bは、起歪体3Aの上面311a(底面311b)に平行な、延在可動部分309の延在方向(X方向)に垂直な方向(Y方向)において互いに対向している。
【0031】
起歪体3Aにおいては、延在可動部分309の一部を、被計量物TGの重量により荷重が加わる荷重印加部310としている。具体的には、延在可動部分309のうち、その延在方向(X方向)において、薄肉部303aの薄肉接続固定部分306側端と薄肉部303bの薄肉接続可動部分308側端との間に位置する部分を荷重印加部310としている。換言すれば、延在可動部分309のうち、X方向において薄肉部304aの薄肉接続固定部分306側端と薄肉部304bの薄肉接続可動部分308側端との間に位置する部分を荷重印加部310としている。なお、図4,5においては、荷重印加部310は、ハッチングで示されており、後述の図においても同様である。
【0032】
起歪体3Aにおいては、薄肉部303a,303b,304a,304bは、固定部300、可動部301、及び、厚肉部303c,304cに対して十分に薄く形成されている。したがって、計量皿1に被計量物TGが搭載されると、薄肉部303a,303b,304a,304bは歪むが、固定部300、可動部301、及び、厚肉部303c,304cは、ほとんど歪むことがない。よって、起歪体3Aを用いて被計量物TGを計量する際には、固定部300、可動部301、及び、厚肉部303c,304cは剛体とみなすことができる。
【0033】
荷重印加部310の底面311bには、足部材5が取り付けられる。荷重印加部310において足部材5が取り付けられる範囲及び位置は、荷重印加部310の範囲内であればどのようなものであってもよい。固定部300は、2つの延在固定部分のそれぞれの上面311aに取り付けられた固定部材4によって計量皿1に固定される。固定部300において固定部材4が取り付けられる範囲及び位置は、これに限ったものではなく、固定部300の範囲内であればどのようなものであってもよい。
【0034】
図6は、荷重印加部310に+Z方向の荷重が加わった際に起歪体3Aが歪む様子を示す上面斜視図であり、図7は、その上面図である。以上のような構造を有する起歪体3Aにおいては、被計量物TGが計量皿1に載置されると、被計量物TGの重量によって固定部300が−Z方向に沈み、足部材5が取り付けられた荷重印加部310には+Z方向に荷重が加わるようになる。そして、荷重印加部310に+Z方向に荷重が加わると、薄肉部303a,303b,304a,304bが歪んで、可動部301が、固定部300に対して、主に+Z方向(荷重方向)に相対的に変位する。
【0035】
図7には、平面視において、薄肉部303b,304bのそれぞれを通る二点鎖線の直線Aと、薄肉部303a,304aのそれぞれを通る二点差線の直線Bとが示されている。荷重印加部310が+Z方向への荷重を受けると、荷重印加部310が、直線Aを回動軸として図7に示される矢印aの方向に回動しようとする結果、図6に示されるように、薄肉部303b,304bは、上面311aから見ると凸となるように歪む。また、荷重印加部310が+Z方向への荷重を受けると、荷重印加部310が、直線Bを回動軸として図7に示される矢印bの方向に回動しようとする結果、図6に示されるように、薄肉部303a,304aは、上面311aから見ると凹となるように歪む。
【0036】
荷重印加部310に+Z方向の荷重が加わると、薄肉部303b,304bの上面311aには引っ張り応力が大きく発生することから、これらの箇所に歪みゲージ6ta,6tbが貼り付けられる。また、荷重印加部310に+Z方向の荷重が加わると、薄肉部303a,304aの上面311aには圧縮応力が大きく発生することから、これらの箇所に歪みゲージ6ca,6cbが貼り付けられる。
【0037】
以上のように、荷重印加部310が+Z方向への荷重を受けると、薄肉部303b,304bが凸、薄肉部303a,304aが凹となるように歪むことによって、第1及び第2接続部303,304のそれぞれはS字状に歪むことになる。第1及び第2接続部303,304がS字状に歪むと、可動部301が、X方向(水平方向)において固定部300の薄肉接続固定部分306に多少近づく動作を行うものの、固定部300に対してほぼ+Z方向(荷重方向)に相対的に変位する。
【0038】
本実施の形態に係る多点式秤100が備える4つの起歪体3A(図2)は、それらの長手方向が計量皿1の長手方向と一致し、かつそれらの向きが同じになるように、計量皿1の底面の4隅に取り付けられる。ここで、仮に、2つの起歪体3Aの向きが互いに異なる場合には、荷重印加部310が+Z方向への荷重を受ける際に、水平方向に関し、一方の起歪体3Aにおいて可動部301が薄肉接続固定部分306に近づく方向と、他の起歪体3Aにおいて可動部301が薄肉接続固定部分306に近づく方向とが互いに異なるようになる。そのため、両方の起歪体3Aにおいて、可動部301が、+Z方向に正しく変位できなくなる。そうならないようにするため、本実施の形態に係る多点式秤100においては、4つの起歪体3Aは、それらの向きが同じになるように、計量皿1の底面の4隅に取り付けられている。
【0039】
以上のように、本例に係る起歪体3Aにおいては、薄肉部303a,303b,304a,304bが歪みやすいことから、起歪体3Aは薄肉部303a,303b,304a,304bにおいて歪むことになる。したがって、歪む位置が安定する。よって、薄肉部303a,303b,304a,304bにそれぞれ貼り付けられた歪みゲージ6ca,6ta,6cb,6tbが検出する歪み量と、被計量物TGの重量による荷重との間に線形関係が成り立つようになるため、被計量物TGの重量を正しく測定することができる。さらに、延在可動部分309のうち、薄肉部303aの薄肉接続固定部分306側端と、薄肉部303bの薄肉接続可動部分308側端との間に位置する部分に荷重が加わるため、第1接続部303はS字型に変形することができる。同様に、第2接続部304はS字型に変形することができる。したがって、延在可動部分309が、加わった荷重に応じて荷重方向に主に変位することができるため、被計量物TGを正しく測定することができる。
【0040】
また、可動部301及び固定部300が、第1接続部303だけでなく、第2接続部304によっても接続されるため、固定部300に対して、可動部301を安定して荷重方向に相対的に変位させることができる。さらに、延在可動部分309に印加できる荷重を大きくすることができ、起歪体3Aで検出可能な重量の上限値を増加させることができる。その結果、本例に係る起歪体3Aを使用する多点式秤100においては、測定可能な被計量物TGの重量の上限値が増加する。
【0041】
なお、本例に係る起歪体3Aでは、荷重印加部310は、薄肉部303a(薄肉部304a)と薄肉部303b(薄肉部304b)との間に位置することから、起歪体3Aの長手方向(X方向)において中心付近に位置しやすくなる。これにより、荷重印加部310に取り付けられる足部材5も起歪体3AのX方向において中心付近に位置することになる。その結果、被計量物TGが計量皿1の端部に載置されても、被計量物TGの重量を正しく測定できるようになることがある。以下、図8を用いてこのことを説明する。
【0042】
図8は、本例に係る多点式秤100と対比される多点式秤(以下、「対比対象多点式秤101」と呼ぶ)を示す図である。対比対象多点式秤101では、足部材5が、起歪体7の長手方向における端部に設けられている。この対比対象多点式秤101においても、4つの起歪体7は、それらの向きが同じになるように、計量皿1の底面の4隅に取り付けられている。このような対比対象多点式秤101においては、計量皿1の長手方向に設けられた二つの起歪体7のうち、一方の起歪体7の足部材5は、図1に示される足部材5の位置よりも計量皿1の端部側に配置され、他方の起歪体7の足部材5は、図1に示される足部材5の位置よりも計量皿1の中心側に配置されることになる。以下、簡単のため、当該二つの起歪体7のうち、足部材5が計量皿1のより端部側に配置される起歪体7を「起歪体7A」とし、足部材5が計量皿1のより中心側に配置される起歪体7を「起歪体7B」とする。
【0043】
以上のような対比対象多点式秤101においては、計量皿1における起歪体7B側の端部に、被計量物TGが載置されると、当該端部が、起歪体7Bの足部材5を支点にして下降する方向に回動してしまう。その結果、もう一方の起歪体7Aの足部材5が浮いてしまい、被計量物TGの重量を正しく測定することができなくなる。
【0044】
それに対して、本実施の形態に係る多点式秤100が備える足部材5は、上述の図1に示されるように、起歪体7Bの足部材5よりも、計量皿1の端側に配置されることから、被計量物TGが計量皿1の端部に載置される際に、起歪体3Aの足部材5が浮いてしまうのを抑制することができる。したがって、被計量物TGの重量を正しく測定することができる。
【0045】
なお、以上の起歪体3Aにおいては、薄肉部303a,303bを形成する代わりに、図9に示すように、第1接続部303に対して、その−Y側端から+Y側端まで貫通する開口穴315a,315bを形成することにより、互いに対向する二つの薄肉部303aa、及び、互いに対向する二つの薄肉部303abを形成しても良い。しかし、この場合には、起歪体3AのZ方向の厚さが薄くなればなるほど、形成すべき開口穴315a,315bが小さくなる。径の小さいドリルを用いて小さい開口穴315a,315bを形成しようとすると、径の小さいドリルが折れてしまうことがある。つまり、起歪体3のZ方向の厚さが薄いと、開口穴315a,315bを形成して、薄肉部303aa,303abを形成することが困難となる。それに対し、図4,5の開口部305a,305bは、径の小さいドリルを用いなくても形成することができ、開口穴315a,315bよりも形成するのが容易であり、その寸法の調整も容易である。したがって、起歪体3Aにおいては、開口穴315a,315bよりも開口部305a,305bを形成して薄肉部303a,303bを形成することが好ましい。第2接続部304についても同様である。
【0046】
<起歪体の第2の構造例>
図10,11は、第2の構造例に係る起歪体3(以下、「起歪体3B」と呼ぶ)を示す斜視図である。図10は起歪体3Bの上面斜視図であって、図11は起歪体3Bの底面斜視図である。起歪体3Bは、上述の起歪体3Aと形状が同じである。そして、起歪体3Bは、起歪体3Aにおいて、固定部300を可動部として機能させ、可動部301を固定部として機能させたものとなっている。起歪体3Bにおいては、固定部300、薄肉接続固定部分306及び延在固定部分307を、「可動部300B」、「薄肉接続可動部分306B」及び「延在可動部分307B」とそれぞれ呼ぶ。また、起歪体3Bにおいては、可動部301、薄肉接続可動部分308及び延在可動部分309を、「固定部301B」、「薄肉接続固定部分308B」及び「延在固定部分309B」とそれぞれ呼ぶ。なお、図10,11においては、起歪体3Bのうち、上述の起歪体3Aと同じ部分に対して同じ符号を付している。
【0047】
起歪体3Bにおいては、−Y側の延在可動部分307Bのうち、その延在方向(X方向)において、薄肉部303aの薄肉接続可動部分306B側端と、薄肉部303bの薄肉接続固定部分308B側端との間に位置する部分を荷重印加部310(以下、「荷重印加部310Ba」と呼ぶ)としている。そして、+Y側の延在可動部分307Bのうち、その延在方向(X方向)において、薄肉部304aの薄肉接続可動部分306B側端と、薄肉部304bの薄肉接続固定部分308B側端との間に位置する部分を荷重印加部310(以下、「荷重印加部310Bb」と呼ぶ)としている。
【0048】
荷重印加部310Ba,Bbのそれぞれの底面311bには、足部材5が取り付けられる。固定部301Bは、延在固定部分309Bの上面311aに取り付けられた固定部材4によって計量皿1に固定される。固定部301Bにおいて固定部材4が取り付けられる範囲及び位置は、これに限ったものではなく、固定部301Bの範囲内であればどのようなものであってもよい。
【0049】
図12は、荷重印加部310Ba,310Bbに+Z方向の荷重が加わった際に起歪体3Bが歪む様子を示す上面斜視図である。以上のような構造を有する起歪体3Bにおいて、荷重印加部310Ba,310Bbが+Z方向への荷重を受けると、上面311aから見て、薄肉部303a,304aが凸、薄肉部303b,304bが凹となるように歪むことによって、第1及び第2接続部303,304のそれぞれはS字状に歪むことになる。
【0050】
荷重印加部310Ba,310Bbに+Z方向の荷重が加わると、薄肉部303a,304aの上面311aには引っ張り応力が大きく発生することから、これらの箇所に歪みゲージ6ta,6tbが貼り付けられる。また、荷重印加部310Ba,310Bbに+Z方向の荷重が加わると、薄肉部303b,304bの上面311aには圧縮応力が大きく発生することから、これらの箇所に歪みゲージ6ca,6cbが貼り付けられる。
【0051】
このように、本例に係る起歪体3Bでは、上述の起歪体3Aと同様の構造を有していることから、起歪体3Aと同様の効果を生じる。
【0052】
<起歪体の第3の構造例>
図13,14は、第3の構造例に係る起歪体3(以下、「起歪体3C」と呼ぶ)を示す斜視図である。図13は起歪体3Cの上面斜視図であって、図14は起歪体3Cの底面斜視図である。本変形例に係る起歪体3Cは、上述の起歪体3Aにおいて、延在固定部分307の形状と、延在可動部分309の形状とを変形したものである。起歪体3Cにおいては、延在固定部分307及び延在可動部分309を「延在固定部分307C」及び「延在可動部分309C」とそれぞれ呼ぶ。
【0053】
起歪体3Cに係る延在固定部分307Cは、第1及び第2接続部303,304のそれぞれに沿って設けられている。そして、起歪体3Cに係る延在可動部分309Cは、第1及び第2接続部303,304のそれぞれに沿って設けられている。延在固定部分307C及び延在可動部分309Cは、互いに同じ形状を有し、X方向において互いに対向している。
【0054】
起歪体3Cにおいては、延在可動部分309Cのうち、その延在方向(X方向)において、薄肉部303a(薄肉部304a)の薄肉接続固定部分306側端と、薄肉部303b(薄肉部304b)の薄肉接続可動部分308側端との間に位置する部分を荷重印加部310(以下、「荷重印加部310C」と呼ぶ)としている。
【0055】
以上のような構造を有する起歪体3Cにおいて、荷重印加部310Cが+Z方向への荷重を受けると、起歪体3Aと同様に、上面311aから見て、薄肉部303b,304bが凸、薄肉部303a,304aが凹となるように歪むことによって、第1及び第2接続部303,304のそれぞれはS字状に歪むことになる。
【0056】
このように、本例に係る起歪体3Cでは、上述の起歪体3Aと同様の構造を有していることから、起歪体3Aと同様の効果を生じる。なお、起歪体3Cは、起歪体3Aのように、固定部300及び可動部301のそれぞれが、X方向において、薄肉部303a(薄肉部304a)の薄肉接続固定部分306側端と、薄肉部303b(薄肉部304b)の薄肉接続可動部分308側端との間に位置する部分を有することから、固定部300を可動部として機能させるとともに、可動部301を固定部として機能させてもよい。
【0057】
<起歪体の第4の構造例>
図15,16は、第4の構造例に係る起歪体3(以下、「起歪体3D」と呼ぶ)を示す斜視図である。図15は起歪体3Dの上面斜視図であって、図16は起歪体3Dの底面斜視図である。本変形例に係る起歪体3Dは、上述の起歪体3Aにおいて、延在固定部分307を削除し、延在可動部分309の形状を変形したものである。起歪体3Dにおいては、延在可動部分309を「延在可動部分309D」と呼ぶ。
【0058】
起歪体3Dに係る延在可動部分309Dは、薄肉接続可動部分308から薄肉接続固定部分306に向かって、第1及び第2接続部303,304と対向するように延在している。
【0059】
起歪体3Dにおいては、延在可動部分309Dのうち、その延在方向(X方向)において、薄肉部303a(薄肉部304a)の薄肉接続固定部分306側端と、薄肉部303b(薄肉部304b)の薄肉接続可動部分308側端との間に位置する部分を荷重印加部310(以下、「荷重印加部310D」と呼ぶ)としている。
【0060】
以上のような構造を有する起歪体3Dにおいて、荷重印加部310Dが+Z方向への荷重を受けると、起歪体3Aと同様に、上面311aから見て、薄肉部303b,304bが凸、薄肉部303a,304aが凹となるように歪むことによって、第1及び第2接続部303,304のそれぞれはS字状に歪むことになる。
【0061】
このように、本例に係る起歪体3Dでは、上述の起歪体3Aと同様の構造を有していることから、起歪体3Aと同様の効果を生じる。
【0062】
<起歪体の第5の構造例>
図17は、第5の構造例に係る起歪体3(以下、「起歪体3E」と呼ぶ)を示す上面斜視図である。図17においては、起歪体3Eのうち、上述の起歪体3Aと同じ部分に対して同じ符号を付している。
【0063】
本変形例に係る起歪体3Eは、起歪体3Aにおいて、第2接続部304の形状を変更したものである。起歪体3Aの第2接続部304では、開口部305c,305dが底面311bに設けられていたが、起歪体3Eの第2接続部304では、開口部305c,305dが上面311aに設けられている。第2接続部304では、第2接続部304の−Y側端から+Y側端まで貫通する、断面弧状の開口部305c,305dが上面311aに形成されることにより、薄肉部304a,304bが底面311b側(−Z側)にそれぞれ形成されている。
【0064】
以上のような構造を有する起歪体3Eにおいて、荷重印加部310が+Z方向への荷重を受けると、起歪体3Aと同様に、上面311aから見て、薄肉部303b,304bが凸、薄肉部303a,304aが凹となるように歪むことによって、第1及び第2接続部303,304のそれぞれはS字状に歪むことになる。つまり、下面311bから見て、薄肉部304bが凹、薄肉部304aが凸となるように歪む。したがって、歪みゲージ6cb,6tbが起歪体3Eの下面311bに貼り付けられる場合には、引っ張り応力が大きく発生する薄肉部304aの下面311bに、歪みゲージ6tbが貼り付けられ、圧縮応力が大きく発生する薄肉部304bの下面311bに、歪みゲージ6cbが貼り付けられる。
【0065】
このように、本例に係る起歪体3Eでは、上述の起歪体3Aと同様の構造を有していることから、起歪体3Aと同様の効果を生じる。さらに、本例に係る起歪体3Eでは、延在可動部分309に荷重が印加されて、第1及び第2接続部303,304のそれぞれがS字型に歪むと、第1接続部303と第2接続部304とが成す外形が、起歪体3Aの側面(Y方向)から見て、略平行四辺形となる。そして、延在可動部分309に荷重が印加されると、第1及び第2接続部303,304がロバーバル機構における変形と同様の変形をする。そのため、延在可動部分309がより安定して変位することができ、被計量物TGの重量をより正しく測定することができる。
【0066】
なお、本例に係る起歪体3Eは、薄肉部303a,303bは上面311a側(+Z側)にそれぞれ形成され、薄肉部304a,304bは底面311b側(−Z側)にそれぞれ形成されるとした。しかし、これに限ったものではなく、例えば、薄肉部304a,304bは上面311a側(+Z側)にそれぞれ形成され、かつ、薄肉部303a,303bは底面311b側(−Z側)にそれぞれ形成されるものであってもよい。
【0067】
なお、以上においては、起歪体3Aをもとに本例を説明したが、が、起歪体3B〜3Dにおいても本例と同様の構成を採用することによって、被計量物TGの重量をより正しく測定することができる。
【0068】
<固定延在部、可動延在部、荷重印加部の変形例>
以上において説明された延在固定部分307、延在可動部分309の代わりに、図18〜20に示される延在固定部分307及び延在可動部分309を起歪体3に設けてもよい。以下、図18〜20に示される延在固定部分307及び延在可動部分309について説明する。
【0069】
まず、図18に示される起歪体3(以下、「起歪体3F」と呼ぶ)について説明する。この起歪体3Fに係る延在固定部分307(以下、「延在固定部分307F」と呼ぶ)は、終端延在固定部分307Fa,307Fbと、中間延在固定部分307Fcとを有する。中間延在固定部分307Fcは、薄肉接続固定部分306と接続されており、第1及び第2接続部303,304の間に位置している。終端延在固定部分307Faは、中間延在固定部分307Fcと接続されており、第1接続部303よりも+Y側に、第1接続部303に沿って設けられている。終端延在固定部分307Fbは、中間延在固定部分307Fcと接続されており、第2接続部304よりも−Y側に、第2接続部304に沿って設けられている。終端延在固定部分307Fa,307Fbのそれぞれでは、−X側の部分のY方向の幅が、+X側の部分のY方向の幅よりも広くなっている。
【0070】
起歪体3Fに係る延在可動部分309(以下、「延在可動部分309F」と呼ぶ)は、終端延在固定部分307Fa,307Fbの間に位置している。延在可動部分309Fでは、+X側の部分のY方向の幅が、−X側の部分のY方向の幅よりも広くなっている。延在可動部分309Fにおける、Y方向の幅が狭い−X側の部分は、終端延在固定部分307Faにおける、Y方向の幅が広い−X側の部分と、終端延在固定部分307Fbにおける、Y方向の幅が広い−X側の部分との間に位置する。そして、延在可動部分309Fにおける、Y方向の幅が広い+X側の部分は、終端延在固定部分307Faにおける、Y方向の幅が狭い+X側の部分と、終端固定部分307Fbにおける、Y方向の幅が狭い+X側の部分との間に位置する。
【0071】
起歪体3Fにおいては、延在可動部分309Fのうち、その延在方向(X方向)において、薄肉部303a(薄肉部304a)の薄肉接続固定部分306側端と、薄肉部303b(薄肉部304b)の薄肉接続可動部分308側端との間に位置する部分を荷重印加部310(以下、「荷重印加部310F1」と呼ぶ)としている。図18においては、この荷重印加部310F1が斜線ハッチングで示されている。
【0072】
このような起歪体3Fにおいても、上述の起歪体3Aと同様の構造を有していることから、起歪体3Aと同様の効果を生じる。なお、起歪体3Fは、起歪体3Aのように、固定部300及び可動部301のそれぞれが、X方向において、薄肉部303a(薄肉部304a)の薄肉接続固定部分306側端と、薄肉部303b(薄肉部304b)の薄肉接続可動部分308側端との間に位置する部分を有することから、固定部300を可動部として機能させるとともに、可動部301を固定部として機能させてもよい。このときの荷重印加部310(以下、「荷重印加部310F2」と呼ぶ)が、図18において砂地ハッチングで示されている。
【0073】
次に、図19に示される起歪体3(以下、「起歪体3G」と呼ぶ)について説明する。この起歪体3Gに係る延在固定部分307(以下、「延在固定部分307G」と呼ぶ)は、終端延在固定部分307Ga,307Gbと、中間延在固定部分307Gcとを有する。中間延在固定部分307Gcは、薄肉接続固定部分306と接続されており、第1及び第2接続部303,304の間に設けられている。終端延在固定部分307Gaは、中間延在固定部分307Gcと接続されており、第1接続部303よりも+Y側に、第1接続部303に沿って設けられている。終端延在固定部分307Gbは、中間延在固定部分307Gcと接続されており、第2接続部304よりも−Y側に、第2接続部304に沿って設けられている。
【0074】
起歪体3Gに係る延在可動部分309(以下、「延在可動部分309G」と呼ぶ)は、終端延在可動部分309Gaと、中間延在可動部分309Gbとを有する。Y方向の幅に関し、終端延在可動部分309Gaは、中間延在可動部分309Gbよりも狭くなっている。中間延在可動部分309Gbは、薄肉接続可動部分308と接続されており、第1及び第2接続部303,304の間に設けられている。終端延在可動部分309Gaは、中間延在可動部分309Gbと接続されており、終端延在固定部分307Ga,307Gbの間に設けられている。
【0075】
起歪体3Gにおいては、延在可動部分309Gのうち、その延在方向(X方向)において、薄肉部303a(薄肉部304a)の薄肉接続固定部分306側端と、薄肉部303b(薄肉部304b)の薄肉接続可動部分308側端との間に位置する部分を荷重印加部310(以下、「荷重印加部310G1」と呼ぶ)としている。図19においては、この荷重印加部310G1が斜線ハッチングで示されている。
【0076】
このような起歪体3Gにおいても、上述の起歪体3Aと同様の構造を有していることから、起歪体3Aと同様の効果を生じる。なお、起歪体3Gは、起歪体3Aのように、固定部300及び可動部301のそれぞれが、X方向において、薄肉部303a(薄肉部304a)の薄肉接続固定部分306側端と、薄肉部303b(薄肉部304b)の薄肉接続可動部分308側端との間に位置する部分を有することから、固定部300を可動部として機能させるとともに、可動部301を固定部として機能させてもよい。このときの荷重印加部310(以下、「荷重印加部310G2」と呼ぶ)が、図19において砂地ハッチングで示されている。
【0077】
次に、図20に示される起歪体3(以下、「起歪体3H」と呼ぶ)について説明する。起歪体3Hに係る延在固定部分307(以下、「延在固定部分307H」と呼ぶ)は、図13,14に示される延在固定部分307Cを、Y方向に短くしたものであり、起歪体3Hに係る延在可動部分309(以下、「延在可動部分309H」と呼ぶ)は、図13,14に示される起歪体3Cの延在可動部分309Cを、Y方向に長くしたものである。
【0078】
起歪体3Hにおいては、延在可動部分309Hのうち、その延在方向(X方向)において、薄肉部303a(薄肉部304a)の薄肉接続固定部分306側端と、薄肉部303b(薄肉部304b)の薄肉接続可動部分308側端との間に位置する部分を荷重印加部310(以下、「荷重印加部310H1」と呼ぶ)としている。図20においては、この荷重印加部310H1が斜線ハッチングで示されている。
【0079】
このような起歪体3Hにおいても、上述の起歪体3Aと同様の構造を有していることから、起歪体3Aと同様の効果を生じる。なお、起歪体3Hは、起歪体3Aのように、固定部300及び可動部301のそれぞれが、X方向において、薄肉部303a(薄肉部304a)の薄肉接続固定部分306側端と、薄肉部303b(薄肉部304b)の薄肉接続可動部分308側端との間に位置する部分を有することから、固定部300を可動部として機能させるとともに、可動部301を固定部として機能させてもよい。このときの荷重印加部310(以下、「荷重印加部310H2」と呼ぶ)が、図20において砂地ハッチングで示されている。
【0080】
<起歪体の外形の変形例>
以上の起歪体3の外形は、平面視において、一方向にやや長い長方形であるものとして説明した。しかし、起歪体3の外形は、第1及び第2接続部303,304のそれぞれの歪みにほとんど影響を与えないことから、これに限ったものではない。例えば、起歪体3の外形は、平面視において、短辺が外に向けて湾曲する略長方形であっても良い。あるいは、起歪体3の外形は、平面視において、一方向にやや長い六角形であっても良い。
【0081】
図21に示される起歪体3Iは、起歪体3Aにおいて、その外形を、長方形から、短辺が外に向けて湾曲する略長方形に置き換えたものである。このような起歪体3Iにおいても、上述の起歪体3Aと同様の構造を有していることから、起歪体3Aと同様の効果を生じる。なお、同様に、起歪体3B〜3Hにおいて、その外形を、長方形から当該略長方形に置き換えたものは、それぞれ、起歪体3B〜3Hと同様の効果を生じる。
【0082】
図22に示される起歪体3Jは、起歪体3Aにおいて、その外形を、長方形から、一方向にやや長い六角形に置き換えたものである。このような起歪体3Jにおいても、上述の起歪体3Aと同様の構造を有していることから、起歪体3Aと同様の効果を生じる。なお、同様に、起歪体3B〜3Hにおいて、その外形を、長方形から当該六角形に置き換えたものは、それぞれ、起歪体3B〜3Hと同様の効果を生じる。
【0083】
<開口部の変形例>
以上の起歪体3では、断面弧状の開口部305a〜305dを形成したが、その断面形状は、第1及び第2接続部303,304のそれぞれの歪みにほとんど影響を与えないことから、これに限ったものではない。例えば、起歪体3において、断面弧状の開口部305a〜305dの代わりに、図23に示されるように断面等脚台形状の開口部405a〜405dが形成されてもよい。あるいは、図24に示されるように断面長方形状の開口部505a〜505dが形成されても良い。
【0084】
また、計量皿1に被計量物TGが搭載される際に、厚肉部303c,304cがほとんど歪まないのであれば、図25に示されるように、厚肉部303c,304cに開口部605a,605bがそれぞれ形成されても良い。
【0085】
<その他の変形例>
以上においては、固定部300、つまり、第1厚肉部に固定部材4を取り付けているが、当該第1厚肉部には足部材5を取り付けても良く、可動部301、つまり、第2厚肉部に足部材5を取り付けているが、当該第2厚肉部には固定部材4を取り付けても良い。
【符号の説明】
【0086】
3,3A〜3I 起歪体
6ca,6cb,6ta,6tb 歪みゲージ
10 ロードセル
100 多点式秤
300,301B 固定部
301,300B 可動部
303 第1接続部
303a,303b,304a,304b 薄肉部
303c,304c 厚肉部
304 第2接続部
305a〜305d,405a〜405d,505a〜505d 開口部
306B,308 薄肉接続可動部分
307B,309,309C,309D,309F〜309H 延在可動部分
310,310Ba,310Bb,310C,310D,310F1,310F2,310G1,310G2,310H1,310H2 荷重印加部
311a 上面
311b 底面
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被計量物の重量を測定するための平板状の起歪体であって、
外部と固定される第1厚肉部と、
前記第1厚肉部に対して相対的に変位可能な第2厚肉部と、
前記第1厚肉部と前記第2厚肉部とを接続する第1接続部と
を備え、
前記第1接続部は、
前記第1厚肉部と接続される第1薄肉部と、
前記第2厚肉部と接続される第2薄肉部と、
前記第1及び第2薄肉部の間において、前記第1及び第2薄肉部のそれぞれと接続される第3厚肉部と
を有し、
前記第2厚肉部は、
前記第2薄肉部と接続される第1部分と、
前記第1接続部と対向するように前記第1部分から延在する第2部分と
を有し、
前記第2部分のうち、その延在方向において前記第1薄肉部の前記第1厚肉部側端と前記第2薄肉部の前記第2厚肉部側端との間に位置する部分に、前記被計量物の重量により荷重が加わる、起歪体。
【請求項2】
請求項1に記載の起歪体であって、
前記起歪体の二つの主面の一方に第1開口部が形成されることにより、前記第1薄肉部が前記二つの主面の他方側に形成され、
前記起歪体の前記二つの主面の一方に第2開口部が形成されることにより、前記第2薄肉部が前記二つの主面の他方側に形成される、起歪体。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の起歪体であって、
前記第1厚肉部と前記第2厚肉部とを接続する第2接続部をさらに備え、
前記第2接続部は、
前記第1厚肉部と接続される第3薄肉部と、
前記第1部分と接続される第4薄肉部と、
前記第3及び第4薄肉部の間において、前記第3及び第4薄肉部のそれぞれと接続される第4厚肉部と
を有し、
前記第2部分は、前記第1及び第2接続部と対向するように前記第1部分から延在し、
前記第1薄肉部及び前記第3薄肉部は、前記起歪体の主面に平行な、前記第2部分の延在方向に垂直な方向において、互いに対向しており、
前記第2薄肉部及び前記第4薄肉部は、前記起歪体の主面に平行な、前記第2部分の延在方向に垂直な方向において、互いに対向している、起歪体。
【請求項4】
請求項3に記載の起歪体であって、
前記起歪体の前記二つの主面の一方に第3開口部が形成されることにより、前記第3薄肉部が前記二つの主面の他方側に形成され、
前記起歪体の前記二つの主面の一方に第4開口部が形成されることにより、前記第4薄肉部が前記二つの主面の他方側に形成される、起歪体。
【請求項5】
請求項4に記載の起歪体であって、
前記第1及び第3薄肉部は、断面視において、前記起歪体の互いに異なる主面側に位置しており、
前記第2及び第4薄肉部は、断面視において、前記起歪体の互いに異なる主面側に位置している、起歪体。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載の起歪体と、
前記起歪体に貼り付けられた歪みゲージと
を備える、ロードセル。
【請求項7】
請求項6に記載のロードセルを複数備え、
複数の前記ロードセルからの出力信号に基づいて、前記被計量物の全体重量を求める重量算出部をさらに備える、多点式秤。
【請求項1】
被計量物の重量を測定するための平板状の起歪体であって、
外部と固定される第1厚肉部と、
前記第1厚肉部に対して相対的に変位可能な第2厚肉部と、
前記第1厚肉部と前記第2厚肉部とを接続する第1接続部と
を備え、
前記第1接続部は、
前記第1厚肉部と接続される第1薄肉部と、
前記第2厚肉部と接続される第2薄肉部と、
前記第1及び第2薄肉部の間において、前記第1及び第2薄肉部のそれぞれと接続される第3厚肉部と
を有し、
前記第2厚肉部は、
前記第2薄肉部と接続される第1部分と、
前記第1接続部と対向するように前記第1部分から延在する第2部分と
を有し、
前記第2部分のうち、その延在方向において前記第1薄肉部の前記第1厚肉部側端と前記第2薄肉部の前記第2厚肉部側端との間に位置する部分に、前記被計量物の重量により荷重が加わる、起歪体。
【請求項2】
請求項1に記載の起歪体であって、
前記起歪体の二つの主面の一方に第1開口部が形成されることにより、前記第1薄肉部が前記二つの主面の他方側に形成され、
前記起歪体の前記二つの主面の一方に第2開口部が形成されることにより、前記第2薄肉部が前記二つの主面の他方側に形成される、起歪体。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の起歪体であって、
前記第1厚肉部と前記第2厚肉部とを接続する第2接続部をさらに備え、
前記第2接続部は、
前記第1厚肉部と接続される第3薄肉部と、
前記第1部分と接続される第4薄肉部と、
前記第3及び第4薄肉部の間において、前記第3及び第4薄肉部のそれぞれと接続される第4厚肉部と
を有し、
前記第2部分は、前記第1及び第2接続部と対向するように前記第1部分から延在し、
前記第1薄肉部及び前記第3薄肉部は、前記起歪体の主面に平行な、前記第2部分の延在方向に垂直な方向において、互いに対向しており、
前記第2薄肉部及び前記第4薄肉部は、前記起歪体の主面に平行な、前記第2部分の延在方向に垂直な方向において、互いに対向している、起歪体。
【請求項4】
請求項3に記載の起歪体であって、
前記起歪体の前記二つの主面の一方に第3開口部が形成されることにより、前記第3薄肉部が前記二つの主面の他方側に形成され、
前記起歪体の前記二つの主面の一方に第4開口部が形成されることにより、前記第4薄肉部が前記二つの主面の他方側に形成される、起歪体。
【請求項5】
請求項4に記載の起歪体であって、
前記第1及び第3薄肉部は、断面視において、前記起歪体の互いに異なる主面側に位置しており、
前記第2及び第4薄肉部は、断面視において、前記起歪体の互いに異なる主面側に位置している、起歪体。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一つに記載の起歪体と、
前記起歪体に貼り付けられた歪みゲージと
を備える、ロードセル。
【請求項7】
請求項6に記載のロードセルを複数備え、
複数の前記ロードセルからの出力信号に基づいて、前記被計量物の全体重量を求める重量算出部をさらに備える、多点式秤。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図2】
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【図9】
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【図13】
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【図15】
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【図20】
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【図22】
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【図24】
【図25】
【公開番号】特開2011−191126(P2011−191126A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−56101(P2010−56101)
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月12日(2010.3.12)
【出願人】(000147833)株式会社イシダ (859)
【Fターム(参考)】
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