説明

超仕上げ加工方法および研削装置

【課題】加工時間を短縮することができる超仕上げ加工方法および超仕上げ加工を行う研削装置を提供する。
【解決手段】超仕上げ砥石11による超仕上げ加工において、被研削面12が円錐台の周面または円錐の周面である工作物Wを円錐台または円錐の軸回りに回転させ、研削面46が多角形である超仕上げ砥石を振動させかつ回転させながら回転する被研削面に押圧させ、超仕上げ砥石を被研削面に押圧させた状態で被研削面の回転中心側に設定された移動端と外方側に設定された移動端との間を往復移動させて研削を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超仕上げ加工方法および超仕上げ加工を行う研削装置に関する。
【背景技術】
【0002】
砥石に振動を与えながら工作物を研削する超仕上げ(加工)は、砥石の研削性を長時間維持することができ、鏡面仕上げが比較的容易なことから、従来、機械部品の仕上げの多くにに採用されている。
超仕上げは、研削対象面(被研削面)が平滑化すると脱落した砥粒が砥石を目詰まりさせ砥石表面の凹凸を微細にして鏡面加工を容易にするものであることから、砥石は、砥粒の結合強度が強くないものが使用される。そこで、研削時には、砥石の目詰まりに不要な脱落砥粒は、加工面に注がれる研削油または冷却水で除去される。
【0003】
超仕上げでは、砥石の研削面の面積が大きい場合、内方の脱落砥粒は除去され難く、残留する不要な砥粒が研削面の研削を行うために、適切な鏡面加工を行うことができない。そこで、研削面の見かけ面積が大きな砥石では、通常、研削面に窪み等を設けて実際の研削面積を小さくし、脱落する砥粒の発生を抑制することが行われる。このように、超仕上げでは、砥石が大きくても研削面を見かけほどには大きくすることができず、工作物の研削対象面が大きくなると、それに応じて加工時間が長くなるという問題がある。
この問題に対し、例えば球面ころの外周面の超仕上げにおける加工時間の短縮を図るために、砥石を球面ころの軸線と交差する方向に揺動させることが試みられている(特許文献1)。
【0004】
また、複数の研削対象面を有する工作物に対して、複数の砥石(研削砥石および超仕上げ砥石)を用意し、複数の砥石に待機および研削を繰り返させて研削の効率化を図る加工方法が提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】特開2007−168055号公報
【特許文献2】特開2003−94303号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1で試みられた方法は、研削対象面が球面でなければ工作物を回転させながら砥石を揺動させることができず、他の形状の工作物に適用することは困難である。また、特許文献2で提案された方法は、複数の研削対象面が所定の位置関係で存在することが必要であり、単一の研削対称面を有する工作物および複数の研削対象面の位置関係が所定の要件を満たしていない工作物に適用するのは困難である。
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、研削時間を短縮することができる超仕上げ加工方法および超仕上げ加工を行う研削装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明においては以下の技術的手段を講じた。
すなわち、本発明に係る超仕上げ加工方法は、被研削面が円錐台の周面または円錐の周面である工作物を前記円錐台または前記円錐の軸回りに回転させ、研削面が多角形である超仕上げ砥石を振動させかつ回転させながら回転する前記被研削面に押圧させ、前記超仕上げ砥石を前記被研削面に押圧させた状態で前記被研削面の回転中心側に設定された移動端と外方側に設定された移動端との間を往復移動させて研削を行う。
好ましくは、前記工作物の回転数を、前記超仕上げ砥石の往復移動における位置が前記被研削面の回転中心に近い程高くして研削を行う。
【0007】
より好ましくは、前記工作物の回転数、ならびに前記超仕上げ砥石の振動数、回転数、前記往復移動時の移動の速さおよび前記往復移動の回数のいずれかまたはいずれも異なる研削工程を複数組み合わせて研削を行う。
前記超仕上げ砥石の研削面の形状が正方形である場合、研削時間の短縮に効果的である。
本発明に係る研削装置は、被研削面が円錐台の周面または円錐の周面である工作物を保持して前記円錐台または前記円錐の軸回りに回転させるための工作物回転装置と、研削面が多角形である超仕上げ砥石を保持して回転させるための砥石回転装置と、前記超仕上げ砥石を振動させるための振動付与装置と、前記超仕上げ砥石を前記工作物の被研削面に沿って前記被研削面の内方の移動端と外方の移動端との間で移動させるための横移動装置と、を有する。
【0008】
前記工作物回転装置は、その回転数が前記被研削面に沿った前記超仕上げ砥石の移動に連動して増減可能に形成される。
前記超仕上げ砥石の研削面の形状が正方形である場合、研削時間の短縮に効果的である。
好ましくは、前記工作物回転装置による回転の回転数、前記砥石回転装置による回転の回転数、前記振動付与装置による振動の振動数、ならびに前記横移動装置による前記超仕上げ砥石の移動速度および移動回数の各設定値を記憶する記憶部と、これらの各設定値のいずれかまたはいずれも異ならせた複数の研削条件で連続して研削を行うように前記工作物回転装置、前記砥石回転装置、前記振動付与装置および前記横移動装置を制御する制御部と、を有する制御装置を備える。
【0009】
ここでいう「複数の研削条件で連続して研削を行う」とは、異なる複数の研削条件による一連の研削処理を、例えば超仕上げ砥石を交換する等により中断することなく連続的に行うことをいう。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、研削時間を短縮することができる超仕上げ加工方法および超仕上げ加工を行う研削装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1は超仕上げを行うための研削装置1の主要部分の正面図、図2は研削装置1の側面図、図3は研削装置1における超仕上げ砥石11近傍の斜視図、図4は工作物(ワーク)Wの斜視図、図5は制御装置2の構成を示す図、図6は図1のA−A矢視方向からみた超仕上げ砥石11の動きを示す図である。
研削装置1が行う「超仕上げ」とは、工作物Wに超仕上げ砥石11を押しつけながら工作物Wまたは超仕上げ砥石11に振動を与えて工作物Wの被研削面12を仕上げることをいう。また、以下の説明において「横方向」とは図1における横方向(左右方向)をいい、「上下方向」とは図1における上下方向をいう。「上下方向」とは、研削装置1における垂直方向である。
【0012】
研削装置1は、砥石回転装置3、砥石押圧装置、砥石位置移動装置4、工作物回転装置5および制御装置2からなる。
砥石回転装置3は、超仕上げ砥石11を保持して回転させるためのものである。
砥石回転装置3は、超仕上げ砥石11を保持する砥石保持部13および砥石保持部13を回転させるための砥石回転用モータ14等からなる。
砥石回転用モータ14にはサーボモータが使用され、その回転は制御装置2により制御される。
【0013】
砥石押圧装置は、砥石保持部13に保持された超仕上げ砥石11を工作物Wに押圧させるための装置である。砥石押圧装置は、超仕上げ砥石11を工作物W側に向けて押圧するためのものである。砥石押圧装置は、押圧するための油圧を発生させるエアハイドロ機器へのエア流路に、それぞれが調整圧の異なる複数のエア圧調整弁が並列に接続されている。各エア圧調整弁はエア圧力源に接続され、それぞれのエア圧調整弁とエアハイドロ機器との間には、自動弁15が接続されている。超仕上げ砥石11が工作物Wを押圧する力は、自動弁15のいずれかを開とすることにより選択される。自動弁15の開閉は、制御装置2により行われる。
【0014】
砥石位置移動装置4は、横移動装置6、振動付与装置7、傾斜装置および上下移動装置8からなる。
横移動装置6は、超仕上げ砥石11を工作物Wの被研削面(研削対象面)12に沿って移動(トラバース)させるためのものである。横移動装置6は、横移動用ボールネジ、横移動用ボールネジの回転によって横移動用ボールネジの軸心方向に往復動する横移動スライダ、および横移動用ボールネジを回転させる横移動用モータ16を有する。横移動用ボールネジは、その軸心が略横方向に伸びるようにして配置されている。横移動装置6は傾斜装置に一体化されており、傾斜装置の傾斜動作に伴って傾斜する。
【0015】
横移動スライダは、振動付与装置7におけるフレーム17と固定的に一体化され、横移動用ボールネジの回転に応じて往復移動することにより、砥石回転装置3と一体化された振動付与装置7を横方向に往復移動させる。
横移動用モータ16にはサーボモータが使用され、その回転は制御装置2により制御される。
振動付与装置7は、支持胴部18、バランス用胴部19、2つの支持シャフト20,21、フレーム17、オシレーションリング22および振動用モータ23(図5参照)等からなる。
【0016】
支持胴部18は、砥石回転装置3を固定的に支持する。支持胴部18は、横移動用ボールネジの軸心と同一方向に貫通しその断面が同一の円形である2つの孔が、上下方向に間隔を有して設けられている。なお、横移動用ボールネジの軸心方向は、砥石回転装置3の回転軸24に直交する方向でもある。支持胴部18は、横方向の一方の側面における2つの孔の間に固着された、厚板で形成された振動伝達部25を有する。
バランス用胴部19は、支持胴部18の横に、支持胴部18と間隔をあけて配されている。バランス用胴部19は、正面視(図1)において支持胴部18と略同じ形状を有する。また、バランス用胴部19は、支持胴部18の2つの孔と同一断面形状であって、支持胴部18の2つの孔と同じ間隙を有して横移動用ボールネジの軸心方向に貫通する2つの孔を備える。バランス用胴部19は、砥石回転装置3を含めた支持胴部18と略同じ重量を有するように形成されている。バランス用胴部19は、支持胴部18側の側面における2つの孔の間に、厚板で形成された振動伝達部26を有する。なお、先に説明した支持胴部18における振動伝達部25は、バランス用胴部19を向く側面にバランス用胴部19の振動伝達部26に対向させて設けられている。
【0017】
支持シャフト20,21は、1つが支持胴部18の上方の孔およびバランス用胴部19の上方の孔を貫通し、他の1つが支持胴部18の下方の孔およびバランス用胴部19の下方の孔を貫通する。支持シャフト20,21は、いずれもその両端でフレーム17に固定され、支持胴部18およびバランス用胴部19のそれぞれの孔内に設けられたエアベアリングを介して相対移動可能に支持胴部18およびバランス用胴部19を支持している。支持シャフト20,21の軸心方向は横移動用ボールネジの軸心方向と一致している。
フレーム17は、正面視(図1)において横長の長方形の枠であり、横移動スライダに固定されて横移動スライダの移動とともに略横方向に移動する。
【0018】
オシレーションリング22は略円柱形の形状を有し、振動用モータ23により円柱形の軸心からずれた回転軸Rc回りに回転する。オシレーションリング22は、その回転軸Rcが、支持シャフト20,21の軸心方向および砥石回転装置3の回転軸24のいずれにも直交する方向となるようにして、支持胴部18およびバランス用胴部19の間における2つの支持シャフト20,21の間に配置されている。
支持胴部18およびバランス用胴部19は、それぞれの振動伝達部25,26がオシレーションリング22に当接するように、いずれもオシレーションリング22側に付勢されている。この付勢は、バネにより行われる。
【0019】
振動用モータ23にはサーボモータが使用され、その回転は制御装置2により制御される。
傾斜装置は、横移動装置6と一体化されて、横移動装置6を、その水平位置(図1の細線による2点鎖線)に対して設定(入力)された角度だけ傾斜させる。傾斜装置は、2つの支持シャフト20,21が垂直方向に上下となった状態を維持しながら横移動装置6を傾斜するように横移動装置6を保持する。傾斜装置による横移動装置6の傾斜の程度は、制御装置2により制御される。横移動装置6の横移動スライダは振動付与装置7のフレーム17と一体化され、振動付与装置7の支持胴部18は砥石回転装置3と一体化されているので、傾斜装置は、その傾斜動作により砥石の回転軸24を傾斜させる。傾斜装置は、制御装置2に制御された傾斜用モータ27によりその傾斜角度が調整される。傾斜用モータ27には、サーボモータが使用される。
【0020】
上下移動装置8は、横移動装置6と一体化された傾斜装置を上下動(垂直方向往復動)させるためのものである。上下移動装置8は、上下移動用ボールネジ28、上下移動用ボールネジ28の回転によって上下移動用ボールネジ28の軸心方向を往復動する上下移動スライダ、および上下移動用ボールネジ28を回転させる上下移動用モータ29を有する。上下移動用ボールネジ28は、図1および図2においてその軸心が垂直方向となるようにして配置されている。上下移動用モータ29にはサーボモータが使用され、その回転は制御装置2により制御される。
【0021】
工作物回転装置5は、研削対象の工作物Wを保持して回転させるためのものである。工作物回転装置5は、工作物保持部30および工作物回転用モータ31等からなる。工作物保持部30は工作物Wを一体に固定する。工作物回転装置5は、その回転軸が、砥石回転装置3が横方向に移動するときの超仕上げ砥石11の研削面における回転中心点の軌跡の延長線と交わるように、配置されている。
なお、制御装置2には、横移動装置6の傾斜角度が零の場合に、工作物回転装置5の回転軸が超仕上げ砥石11の回転軸24と重なるときの横移動スライダ(砥石回転装置3)の横方向位置(以下「基準位置」という)が、標準位置の後に説明する「座標」として予め記憶されている。
【0022】
工作物保持部30が固定する工作物Wは、図1〜4を参照して、形状が円錐台である円錐台部32、および円錐台部32の下底面から突出する略円筒状のブシュ部33からなる。工作物Wは、円錐台部32の上底面が開口しており、開口部分からブシュ部33の空洞部分に連続し軸心方向に貫通する孔を備えている。円錐台部32における円錐台の周面が研削される被研削面12である。
工作物保持部30は、被研削面12を上にして工作物Wを固定する。
工作物回転用モータ31は、工作物保持部30をその軸心回りに回転させる。工作物回転用モータ31にはサーボモータが使用され、その回転は制御装置2により制御される。
【0023】
制御装置2は、制御部34、砥石回転管理部35、横移動管理部36、振動管理部37、傾斜管理部38、上下移動管理部39、工作物回転管理部40、押圧管理部41、入力部42、記憶部43、クロック44およびインタフェース45等からなる。
制御部34は、制御装置2全体の動作を制御する。
砥石回転管理部35、振動管理部37および工作物回転管理部40は、それぞれが制御部34が指示する回転速度で砥石回転用モータ14、振動用モータ23および工作物回転用モータ31が回転するように制御する。砥石回転管理部35、振動管理部37および工作物回転管理部40による指示は、インタフェース45を介して砥石回転用モータ14、振動用モータ23および工作物回転用モータ31のそれぞれの回転動作に変換される。また、砥石回転用モータ14、振動用モータ23および工作物回転用モータ31からの回転速度に関するエンコーダ出力は、これらの回転速度のフィードバック制御に使用される。
【0024】
横移動管理部36および上下移動管理部39は、それぞれが制御部34の指示に基づいて横移動用モータ16および上下移動用モータ29の回転方向(正回転、逆回転)、回転速度および積算回転数を制御する。横移動管理部36および上下移動管理部39による指示は、インタフェース45を介して横移動用モータ16および上下移動用モータ29のそれぞれの回転動作に変換される。横移動用モータ16および上下移動用モータ29からの回転に関するエンコーダ出力は、これらの回転のフィードバック制御に使用される。
傾斜管理部38は、制御部34が指示する傾斜角度分の積算回転数だけ傾斜用モータ27を正回転または逆回転させる。傾斜用モータ27の回転は、エンコーダによりフィードバック制御に使用される。
【0025】
押圧管理部41は、複数のエア圧調整弁にそれぞれに個別に接続された自動弁15の開閉を制御する。
入力部42は、研削装置1の動作条件、例えば超仕上げ砥石11の回転速度(回転数)、超仕上げ砥石11の横移動速度および超仕上げ砥石11の振動数等を制御装置2に入力するためのものである。入力された各動作条件は、インタフェース45および制御部34を介して記憶部43に記憶される。
記憶部43は、研削装置1の各動作条件の記憶、ならびに制御部34、砥石回転管理部35、横移動管理部36、振動管理部37、傾斜管理部38、上下移動管理部39および工作物回転管理部40におけるテンポラリーデータの記憶等を行う。
【0026】
クロック44は、制御装置2が行う動作の時間管理を行うための基準時間を発信する。
インタフェース45は、砥石回転管理部35等から出力されたデータを、砥石回転用モータ14等を駆動するための電流の周波数等に変換する。また、入力装置からの入力データをデジタル化して制御部34に出力する。
制御部34、砥石回転管理部35、横移動管理部36、振動管理部37、傾斜管理部38、上下移動管理部39および工作物回転管理部40は、CPUおよび動作プログラムが記憶されたRAMで実現される。入力部42はキーボードまたはタッチパネル等により実現され、記憶部43はRAMおよびハードディスク等の外部記憶装置により実現される。クロック44はCPU等を動作させる内部クロックが使用され、インタフェース45はサーボモータを駆動するためのサーボアンプ、A/D変換器およびデジタルリレー等により実現される。
【0027】
次に、研削装置1による工作物Wの超仕上げ加工方法について説明する。
超仕上げ加工は、粗研削工程、中研削工程および仕上げ研削工程の3つの工程で構成される。
粗研削工程、中研削工程および仕上げ研削工程における超仕上げ砥石11の回転数(砥石回転用モータ14の回転数で決定される。以下「砥石回転数」という)、超仕上げ砥石11の振動数(振動用モータ23の回転数で決定される。以下「振動数」という)、超仕上げ砥石11の横方向移動速度(以下「トラバース速度」という)、超仕上げ砥石11の横方向移動回数(片道の回数である。以下「トラバース回数」という)、横方向の両移動端における超仕上げ砥石11のそれぞれの滞留(移動停止)時間(以下、内方の移動端におけるものを「内タリータイム」、外方の移動端におけるものを「外タリータイム」という)、工作物Wの基本回転数(工作物回転用モータ31の回転数で決定される。以下「基本回転数」という)および超仕上げ砥石11が工作物Wを押圧する力(以下「押圧力」という)は、超仕上げ加工前に、それぞれの工程で別々にその数値が入力部42を介して制御装置2に入力される。
【0028】
なお、研削装置1による超仕上げ加工では、3つの研削工程すべてにおいて、工作物Wの回転数は超仕上げ砥石11の横方向移動に伴って連続的に変更される。「基本回転速度」とは、超仕上げ砥石11が外方の移動端に位置するときの回転速度である。
また、各工程の押圧力は、採用する押圧力を得るように設定されたエア圧調整弁に接続された自動弁15を選択して制御装置2に入力することにより決定される。記憶部43には、例えば選択された自動弁15の番号が各工程ごとに記憶される。
超仕上げ砥石11の横方向移動距離(以下「トラバース距離」という)および傾斜装置により傾斜された横移動装置6の傾斜角度(以下「傾斜角度」という)は、工作物Wの被研削面12の形状(主に円錐台における母線の傾斜度合いが問題とされる)に基づいて決定された値が、超仕上げ加工前に制御装置2に入力される。例えば、図4に示される工作物Wでは、被研削面12の母線GEの長さに超仕上げ砥石11の研削面の形状を考慮してトラバース距離が決定され、母線GEと円錐台部32の下底面とがなす角度が傾斜角度とされる。
【0029】
超仕上げ砥石11の工作物Wに対する移動開始位置の設定は、振動装置による振幅が零の状態(オシレーションリング22の軸心と回転軸Rcとが垂直方向に並んだ状態)で、横移動装置6が傾斜角度まで傾斜され、作業者が横移動装置6および上下移動装置8を手動で操作して超仕上げ砥石11を移動開始位置(すなわち工作物Wの被研削面12における外方の移動端)に移動させ、この(横移動装置6および上下移動装置8における)位置を制御装置2に記憶させることにより行われる。
なお、この超仕上げ砥石11の位置(厳密には「超仕上げ砥石11の研削面の回転中心点の位置」)の記憶は、制御装置2において横移動用ボールネジが伸びる方向(横移動装置6が傾斜したときも含め「横方向」という)および上下移動用ボールネジ28の軸心の方向(以下、「上下方向」という)の2次元平面における座標として行われる。したがって、横方向座標軸は、横移動装置6が傾斜されずに傾斜角度が零の場合には水平方向になり、横移動装置6が傾斜された場合には、水平方向に対して傾斜角度分傾斜した方向になる(図4参照)。横移動管理部36は横移動スライダの移動距離等(横移動用ボールネジの積算回転数等)を管理するので、このように横方向座標軸の方向を傾斜角度に連動させる方が、管理が容易だからである。
【0030】
内方の移動端の位置は、次のようにして決定される。すなわち、傾斜角度が零のときの傾斜装置による揺動中心(図1にはオシレーションリング22の回転中心Rcと一致する場合が記載)から超仕上げ砥石11の研削面までの垂直方向における距離D1と、実際に研削加工を行うときの傾斜角度とから、横移動装置6が傾斜したときに超仕上げ砥石11の研削面における回転中心が工作物回転装置5における回転中心からずれる距離D2を求める。この距離D2は、
2=D1×tan(傾斜角度) …(1)
から求められる。この距離D2と記憶部43に記憶された基準位置とから、横移動装置6が傾斜したときに研削面の回転中心が工作物回転装置5における回転中心に重なる位置(座標)を修正し、この位置と記憶するトラバース距離および外方の移動端の位置とから内方の移動端の位置が算出される。なお、超仕上げ砥石11の研削面の回転中心が工作物回転装置5における回転中心と一致するときの位置の算出を予め行っておき、外方の移動端の位置が設定されたときに内方の移動端の位置を算出することもできる。
【0031】
表1に超仕上げ加工条件の1例を示す。
【0032】
【表1】

【0033】
表1に示される超仕上げ加工条件は、図4に示される工作物Wの研削に関するものである。工作物Wの被研削面12は、外径が175mm、内径が52mmおよび被研削面12の母線の下底面に対する傾斜角度が11度である。使用される超仕上げ砥石11は、研削面が25mm×25mmの正方形である。この超仕上げ砥石11は株式会社ミズホのDD4000K−VESであり、研削時にはクーラントオイルも使用される。
表1における「振幅」は、オシレーションリング22の断面の幾何学的中心と回転中心との距離により決定され、この距離が大きなオシレーションリング22を使用すれば振幅は増加し、その逆であれば振幅は減少する。押圧力は、各エア圧調整弁の調整圧力と超仕上げ砥石11の研削面の面積等とから算出されるものである。
【0034】
トラバース距離(mm)は、
トラバース距離=(175−52)÷2÷cos(11度)−25+α …(2)
から決定される。ここでαは、手動で外方の移動端を決定する際に、研削面の中心を、被研削面12の外方端縁よりも外方に誤設定したときにも、超仕上げ砥石11を被研削面12内方端縁にまで移動させられるように、幾何学的に算出された移動距離に加算した増分(2.35mm)である。
研削装置1は、超仕上げ加工前に、傾斜装置により横移動装置6が水平状態から傾斜角度にまで傾斜され、超仕上げ砥石11が横移動装置6により外方の移動端にまで移動される。このとき、超仕上げ砥石11は工作物Wに接してなく、間隔をあけてその上方に位置する。
【0035】
粗研削工程、中研削工程および仕上げ研削工程は、表1に示される各条件が異なるものの、研削装置1の動作はいずれの工程も同じように行われる。
粗研削は次のようにして行われる。
加工開始スイッチ等により加工開始が制御装置2に指示されると、工作物回転装置5は、基本回転数(300rpm)で工作物Wの回転を開始する。また、砥石回転装置3も設定された砥石回転数(3000rpm)で超仕上げ砥石11の回転を開始する。工作物Wの回転方向と超仕上げ砥石11の回転方向とは、図5に示されるように同一である。
【0036】
振動付与装置7は、設定された振動数(1500fpm)で砥石回転装置3を振動させる。
振動付与装置7による砥石回転装置3の振動(オシレーション)は、砥石回転装置3を固定する支持胴部18の振動伝達部25に接するオシレーションリング22の周面が、その回転軸Rcが幾何学的中心からずれているために回転軸Rcからの距離が周期的に変化することにより発生する。支持胴部18はバランス用胴部19側に向けて常に付勢されているので、振動における支持胴部18がバランス用胴部19から離れる方向への移動はオシレーションリング22により、支持胴部18がバランス用胴部19に近づく方向への移動は付勢力により行われ、超仕上げ砥石11の研削面の振動が発生する。
【0037】
押圧管理部41は、粗研削工程について選択された自動弁15を開とし、超仕上げ砥石11の研削面が選択された押圧力(4.4kg/cm2)で被研削面12を押圧可能な状態にする。
上下移動装置8は、横移動装置6を、超仕上げ砥石11の研削面が工作物Wの被研削面12に接する位置にまで下降させる。この後、いずれも設定された押圧力、砥石回転数、振動振幅(1.5mm)、振動数および工作物Wの基本回転数で粗研削加工が開始される。
【0038】
超仕上げ砥石11は、外タリータイム(0.2sec.)の間は外方の移動端に留まり、続いて工作物Wの内方に向けて設定されたトラバース速度(60mm/sec.)で移動する(図5)。工作物回転管理部40は、移動する超仕上げ砥石11の位置に応じて工作物Wの回転数を増加させる。工作物Wの回転数は、超仕上げ砥石11の研削面の回転中心の位置する場所における工作物Wの周速が略一定となるように制御される。具体的には、工作物回転数nは、次に示される(3)式によって制御部34にて演算されて工作物回転管理部40により変更される(図4参照)。
【0039】
工作物回転数n=(L0×N)÷(L0−L) …(3)
(3)式におけるL0は外方の移動端の座標のおける横方向成分、Nは基本回転数、Lはトラバース距離である。超仕上げ砥石11は、設定された砥石回転数で回転しながら内方の移動端に向けて移動する。この間、工作物Wは次第にその回転数を増加させ、被研削面12が外方縁から内方縁に向けて徐々に研削される。また、超仕上げ砥石11は、このとき回転する工作物Wの径方向に移動するといえる。
超仕上げ砥石11は、トラバース距離を移動して内方の移動端に達するとその移動を停止する。超仕上げ砥石11は、内方の移動端において内タリータイム(0.3sec.)が経過すると、外方の移動端に向けてトラバース速度で移動し始める。工作物回転装置5により回転される工作物Wの回転数は、超仕上げ砥石11が外方の移動端に近づくにしたがい、(3)式により求められる工作物回転数nに連続的に減少する。
【0040】
超仕上げ砥石11が、制御装置2に記憶されたトラバース回数である片道6回(往復3回)往復動すると、粗研削工程が終了する。
粗研削工程における外方の移動端での滞留、横方向移動(トラバース)、トラバース速度および内方の移動端での滞留は、制御部34の指示により横移動管理部36が横移動用モータ16の回転を制御することにより行われる。また、工作物回転装置5の回転数は、制御部34の指示により工作物回転管理部40が工作物回転用モータ31の回転を制御することにより行われる。
【0041】
超仕上げ砥石11が最後の横方向の移動を行い、外方の移動端に達して粗研削工程が終了すると同時に中研削工程が開始される。工作物Wの回転数は工作物回転管理部40により中研削における基本回転数に変更され、振動数、押圧力および砥石回転数も制御部34等によって中研削における設定値に変更される。超仕上げ砥石11は、外方の移動端で外タリータイム(0.2sec.)の間滞留して研削を行った後、設定されたトラバース速度(60mm/sec.)で内方の移動端に向け移動を開始する。この移動の間、工作物回転数nは、(3)式により算出された回転数に連続的に変更される。超仕上げ砥石11の内方の移動端での滞留、外方の移動端に向けての移動等は、粗研削工程におけるものと同様に行われる。
【0042】
中研削工程から仕上げ研削工程へは、粗研削工程から中研削工程への移行と同様に連続的に移行する。仕上げ研削工程に移行と同時に、工作物Wの基本回転数、振動数、押圧力および砥石回転数が制御装置2により変更される。仕上げ研削工程においても、研削条件が異なるのみで、研削装置1は粗研削工程および中研削工程と同様の動作を行う。
仕上げ研削工程において、超仕上げ砥石11が最後の横方向の移動を終了して内方の移動端に達すると、上下移動装置8は横移動装置6を上昇させ、超仕上げ加工が終了する。
このように、研削装置1は研削加工を行うための諸条件を事前に制御装置2に記憶させておき、粗研削工程、中研削工程および仕上げ研削工程の3つの工程を、それぞれ別々に記憶した諸条件に基づいて実施することができる。そして、研削装置1は、それぞれの研削条件が異なる粗研削工程、中研削工程および仕上げ研削工程という複数の工程からなる超仕上げ加工を、超仕上げ砥石11を付け替えることなく行うことができることにより、超仕上げ加工を自動で行うことができる。研削装置1は、超仕上げ加工をさらに多くの研削工程に分割する場合にも、一連の研削工程の自動化が可能である。
【0043】
上に説明した超仕上げ加工は、粗研削工程、中研削工程および仕上げ研削工程の3つの工程に分割され、これらの何れの工程でも、(a)研削面が正方形の超仕上げ砥石11を、(b)回転させながら振動させ、(c)研削面の位置に応じて工作物Wの回転数を変更させて、研削が行われる。
次に、これら(a)〜(c)の手段による、図4に示される工作物W(自動車の連続可変変速機におけるプーリー)の被研削面12の平均粗さRaを0.01とする研削加工への時間短縮等の効果を説明する。
【0044】
超仕上げ砥石の研削面の形状の効果を調べるために、研削面が25mm×25mmの正方形の超仕上げ砥石11に換えてこれと略同じ面積を有し研削面が円形の超仕上げ砥石を使用し、表1におけるトラバース回数を種々変更して超仕上げ加工を行った。その結果、研削面が正方形の超仕上げ砥石11と同等の被研削面12の平均粗さRaを0.01とするために必要な研削時間(内、外タリータイムを含む超仕上げ砥石が被研削面12を研削する時間)は、研削面が円形の超仕上げ砥石では、研削時間が正方形の超仕上げ砥石11の研削時間に比べ、約1.5〜2倍必要であることが判明した。研削面の形状が正五角形、正六角形の超仕上げ砥石を用いた研削加工でも、研削面が円形の超仕上げ砥石の場合に比べ、短時間で同様の表面粗さの研削加工を行うことができた。被研削面12の平均粗さRaを0.01とするのに必要な研削時間は、正六角形よりも正五角形の方が短く、正五角形よりも正方形の方が短い結果となった。このことから、研削面の面積が同一の場合、端縁の総長さが長い程より短時間で研削が終了するものと推測される。研削加工は、超仕上げ砥石の研削面の形状を円形とするよりも多角形とする方が、より短い研削時間で終了することができる。
【0045】
図7は被研削面と研削面との関係を示す図である。超仕上げ砥石の研削面の形状が円形よりも多角形の方が研削の効率が良いのは、図6および図7を参照して、工作物Wの被研削面12のように被研削面46が回転する円錐台または円錐の周面である場合、平面である研削面47による研削は、微少時間では被研削面12の母線GEまたは母線GEの一部に対して行われる。超仕上げ砥石11は回転しているため、多角形である研削面46は、被研削面12の母線GEとの接触長さ(研削の寄与する長さ)が、例えば研削面46が正方形では1辺の長さから対角線の長さまで回転によって変化する。また、研削面46の輪郭線が被研削面12の母線GEと交わる角度は、超仕上げ砥石11の回転に伴い変化する。
【0046】
そして、超仕上げ砥石11の回転に伴って、研削面46と被研削面12との接触長さが変化すること、および研削面46の輪郭線が被研削面12の母線GEと交わる角度が変化すること、のいずれかまたはいずれもが、研削時間の短縮化に寄与しているものと推測される。このことは、研削面46の形状が、円形よりも正六角形の方が、正六角形よりも正五角形の方が、および正五角形よりも正方形の方が研削時間が短くなることと符合する。
また、平面である研削面47による研削が、被研削面12の母線GEまたは母線GEの一部に対して行われるため、研削面の平滑度に悪影響を及ぼす不要な脱落砥粒が研削油または冷却水で除去され易いことも、検索時間の短縮に寄与する。
【0047】
超仕上げ砥石11の回転の有無による研削時間への影響については、表1に示される諸条件のうち超仕上げ砥石11の回転を停止して研削加工を行い、超仕上げ砥石11を回転させた場合と比較した。その結果、平均粗さRaを0.01とするために要する研削時間は、超仕上げ砥石11を回転させた場合は、超仕上げ砥石11を回転させなかった場合に比べて、検索時間を50〜30%に短縮することができた。
回転する工作物Wの径方向に移動する超仕上げ砥石11の研削面の位置に応じて工作物Wの回転数を変更させることは、研削時間の短縮化のほかに、被研削面12の表面粗さの均質化にも効果的である。被研削面12における超仕上げ砥石11の研削面が現に接して研削する部分の回転半径は、超仕上げ砥石11が移動することにより変化し、工作物Wの回転数が一定の場合、超仕上げ砥石11の移動とともに、研削面と被研削面12との相対的な速度(周速度)も変化する。そして、例えば、超仕上げ砥石11が外方の移動端にあるときに研削後の表面粗さにとって最適な工作物Wの回転数を設定すると、超仕上げ砥石11が内方の移動端に向け移動するにつれて、研削後の表面粗さにとって適切な研削条件(工作物回転数)から乖離したものとなる。そのため、回転する工作物Wの径方向における研削の程度を一定以上とするためには、全体の研削時間を増加させる必要がある。
【0048】
また、超仕上げ加工は、超仕上げ砥石11からの砥粒の脱落および砥粒の破砕を利用するものであり、一方で、径方向における研削面と被研削面12との相対的な速度が変化すると、砥粒の脱落および破砕の程度が変化する。そのため、表面粗さを極力低下させなければならない鏡面加工では、研削加工後の表面粗さの程度が径方向で異なるおそれがある。このような懸念は、工作物Wの被研削面12が大きくなるほど増加する。したがって、被研削面12が大きな工作物Wを鏡面加工のために研削する場合に、被研削面12の現に研削される部分の周速が大きく変化しないように超仕上げ砥石の位置に応じて工作物Wの回転を変化させることは、研削の質の確保および被研削面12の仕上げ程度の均質化にとって極めて効果的である。
【0049】
上述の実施形態においては、工作物Wの回転数を超仕上げ砥石11の研削面の回転中心が接する被研削面12の周速が一定となるように変更したが、周速を基準とせず、被研削面12の回転半径の増減に応じて任意に工作物Wの回転数を低下もしくは増加させても、周速基準の回転数変更と同質の効果を得ることができる。工作物Wの回転数を連続的に変化させるのではなく、超仕上げ砥石11が一定の距離移動するごとに、ステップ状に回転数を変化させてもよい。
また、上述の実施形態では、工作物Wの回転数を超仕上げ砥石11の移動に伴って変更したが、工作物Wの回転数を、粗研削工程、中研削工程および仕上げ研削工程の間、それぞれについて設定された値で一定としてもよい。そのようにしても、研削面が多角形の超仕上げ砥石11を使用すること(a)による上記効果、および振動する超仕上げ砥石11を回転させながら研削すること(b)による上記効果は、これらを単独で採用する場合および併用する場合のいずれも、研削時間の短縮は、これらを採用しない場合に比べて顕著である。
【0050】
なお、超仕上げ砥石11の研削面の形状は、正多角形である必要はなく、種々の長方形または五角形等であってもよい。
研削装置1を使用する超仕上げ加工では、最後の仕上げ研削工程において、超仕上げ砥石11を回転させないで研削してもよい。超仕上げ砥石11の材質等と工作物Wの材質等とを考慮すると、仕上げ研削工程では、超仕上げ砥石11を回転させない方が仕上げの質を向上させることができる場合があるからである。
その他、研削装置1、および研削装置1の各構成または全体の構造、形状、寸法、個数、材質などは、本発明の趣旨に沿って適宜変更することができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、超仕上げ加工方法および超仕上げ加工を行う研削装置に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は超仕上げを行うための研削装置の主要部分の正面図である。
【図2】図2は研削装置の側面図である。
【図3】図3は研削装置における超仕上げ砥石近傍の斜視図である。
【図4】図4は工作物の斜視図である。
【図5】図5は制御装置の構成を示す図である。
【図6】図6は図1のA−A矢視方向からみた超仕上げ砥石の動きを示す図である。
【図7】図7は被研削面と研削面との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0053】
1 研削装置
2 制御装置
3 砥石回転装置
5 工作物回転装置
6 横移動装置
7 振動付与装置
11 超仕上げ砥石
12 被研削面
34 制御部
43 記憶部
46 研削面
W 工作物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被研削面が円錐台の周面または円錐の周面である工作物を前記円錐台または前記円錐の軸回りに回転させ、
研削面が多角形である超仕上げ砥石を振動させかつ回転させながら回転する前記被研削面に押圧させ、
前記超仕上げ砥石を前記被研削面に押圧させた状態で前記被研削面の回転中心側に設定された移動端と外方側に設定された移動端との間を往復移動させて研削を行う
ことを特徴とする超仕上げ加工方法。
【請求項2】
前記工作物の回転数を、前記超仕上げ砥石の往復移動における位置が前記被研削面の回転中心に近い程高くして研削を行う
請求項1に記載の超仕上げ加工方法。
【請求項3】
前記工作物の回転数、ならびに前記超仕上げ砥石の振動数、回転数、前記往復移動時の移動の速さおよび前記往復移動の回数のいずれかまたはいずれも異なる研削工程を複数組み合わせて研削を行う
請求項1または請求項2に記載の超仕上げ加工方法。
【請求項4】
前記超仕上げ砥石の研削面の形状が正方形である
請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の超仕上げ加工方法。
【請求項5】
被研削面が円錐台の周面または円錐の周面である工作物を保持して前記円錐台または前記円錐の軸回りに回転させるための工作物回転装置と、
研削面が多角形である超仕上げ砥石を保持して回転させるための砥石回転装置と、
前記超仕上げ砥石を振動させるための振動付与装置と、
前記超仕上げ砥石を前記工作物の被研削面に沿って前記被研削面の内方の移動端と外方の移動端との間で移動させるための横移動装置と、を有する
ことを特徴とする研削装置。
【請求項6】
前記工作物回転装置は、
その回転数が前記被研削面に沿った前記超仕上げ砥石の移動に連動して増減可能に形成された
請求項5に記載の研削装置。
【請求項7】
前記超仕上げ砥石の研削面の形状が正方形である
請求項5または請求項6に記載の研削装置。
【請求項8】
前記工作物回転装置による回転の回転数、前記砥石回転装置による回転の回転数、前記振動付与装置による振動の振動数、ならびに前記横移動装置による前記超仕上げ砥石の移動速度および移動回数の各設定値を記憶する記憶部と、
これらの各設定値のいずれかまたはいずれも異ならせた複数の研削条件で連続して研削を行うように前記工作物回転装置、前記砥石回転装置、前記振動付与装置および前記横移動装置を制御する制御部と、を有する制御装置を備えた
請求項5ないし請求項7のいずれか1項に記載の研削装置。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−190097(P2009−190097A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−31013(P2008−31013)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(596066024)西部自動機器株式会社 (11)
【Fターム(参考)】