説明

超伝導体構成素子

超伝導体構成素子は、10より小さくない寸法比を持つ合金基板、該基板の上に横たわる順守層、該順守層は50nmより大きくない平均の粒子サイズを持つアモルファスまたはナノ結晶性であるセラミック材料からなる、および該順守層の上に横たわるIBADバッファ層を含むものと開示される。IBADバッファ層は2軸結晶テクスチャを持ち、そして蛍石タイプ材料、黄緑石タイプ材料、希土類Cタイプ材料、非立方体材料、および層構造化材料からなるグループからの材料で構成される。超伝導性層は、IBADバッファ層の上に横たわる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般に、超伝導性構成素子に関し、特に、第2世代の、高温超伝導体構成素子(2G HTS構成素子)に関係している。
【背景技術】
【0002】
超伝導体材料は、長い間、技術共同体によって知られてきており、理解されてきている。液体ヘリウムの使用(4.2K)を必要とする温度で超伝導特性を示す、低温(低Tc)超伝導体は、およそ1911年から知られてきた。しかしながら、酸化物ベースの高温(高Tc)超伝導体が発見されたのは、いくぶん最近である。1986年のあたりに、液体窒素の温度(77K)以上の温度で超伝導特性を持つ、最初の高温超伝導体(HTS)、すなわち、YBa2Cu3O7-x(YBCO)が発見され、それに続いて、過去15年にわたって Bi2Sr2Ca2Cu3010+y(BSCCO)、およびその他を含む追加的な材料が開発されてきた。高Tc超伝導体の開発は、液体ヘリウムに基づく比較的より高価な極低温インフラストラクチャーよりむしろ、液体窒素でこのような超伝導体を動作させるコストに一部依存して、このような材料を組み込む超伝導素子の可能な、経済的に意義のある開発をもたらして来た。
【0003】
可能性のある無数の応用のなかで、産業は、発電、送電、配電、および貯蔵を含む電力産業においてこのような材料の使用を開発することを求めてきた。この点に関して、銅ベースの商用電力要素の自然抵抗は、電力の損失において1年に何十億ドルにも達していると推定され、したがって、電力産業は、送電および配電電力ケーブルにおいて、発電機、変圧器、および無効電流阻止器等の電力要素において、高温超伝導体を利用することに大きな有効性を持つ。さらに、電力産業における高温超伝導体の他の利点は、従来技術に対する、電力処理能力の3割から10割の増加、電力設備の大きさ(すなわち、設置面積)の実質的な減少、環境に対する衝撃の減少、より大きな安全性、および増大した能力を含む。このような高温超伝導体の可能性のある利点が、きわめて競争力がある反面、高温超伝導体の製造、および商業化においては、数々の技術的挑戦が、大規模に存在しつづけている。
【0004】
高温超伝導体の商業化と関連する挑戦の中で、多くが種々の電力要素の形成に利用することのできる超伝導テープの製造の周りにある。第1世代超伝導性テープは、前述の BSCCO 高温超伝導体の使用を含む。この材料は一般に、分離したフィラメントの形で与えられ、これは代表的には、銀である貴金属のマトリックスの中に埋め込まれている。このような導体は、電力産業において実施されるに必要な延長された長さ(たとえば、キロメートルのオーダー)に形成されるが、材料および製造コストによって、このようなテープは、商業的に利用可能な製品を与えることができない。
【0005】
したがって、非常に多くの興味は、優秀な商業的実現可能性を持つ、いわゆる第2世代HTS テープで生み出されてきた。これらのテープは、代表的に、一般に機械的支持を与えるフレキシブル基板、該基板の上に横たわる少なくとも1つのバッファ層であって、該バッファ層は任意に複数の膜を含む、および該超伝導性層の上に横たわる、代表的には貴金属より形成される、電気的安定化層を含む層構造に依拠している。しかしながら、今日まで、このような第2世代テープの完全な商業化の前に数多くの工業的および製造上の挑戦が残っている。
【0006】
したがって、上記に鑑み、超伝導体の技術において、特に商業的に存続可能な超伝導性テープ、これを製造する方法、およびこのような超伝導性テープを利用した電力要素を提供するにおいて種々の必要が存在しつづけている。
【特許文献1】US2004/0023811A
【特許文献2】US2003/0019668A
【特許文献3】US2004/0248743A
【発明の開示】
【0007】
一つの側面によれば、超伝導体構成素子は、10以下でない寸法比を持つ基板、該基板の上に横たわる順守層、該順守層は50nmより大きくない均一なグレインサイズを持つアモルファスまたはナノ結晶性であるセラミック材料からなり、かつ、該順守層の上に横たわるIBADバッファ層を含んでなる。該IBADバッファ層は2軸結晶テクスチャを持ち、蛍石タイプ材料、黄緑石タイプ材料、希土類Cタイプ材料、非立方体構造化材料、および層構造化された材料からなるグループからの材料からなる。超伝導体層は、該IBADバッファ層の上に横たわる。
【0008】
他の側面によれば、超伝導体構成素子は、100以下でない寸法比を持つ基板、該基板の上に横たわる順守層、該順守層は、Al2O3、Y2O3、MgO、ZrO2、SiO2、B2O3、Sc2O3、Cr2O3、ReZrO、Re2O3、ここでReは少なくとも一つの希土類元素(ScおよびYを含む)からなる、およびその組み合わせからなるグループから選択された、50nmより大きくない平均の粒子サイズを持つアモルファス材料またはナノ結晶性材料からなり、さらに、該順守層の上に横たわるIBADバッファ層を含んでなり、該IBADバッファ層は2軸結晶テクスチャを持ち、蛍石タイプ材料、黄緑石タイプ材料、希土類Cタイプ材料、非立方体構造化材料、および層構造化材料からなるグループからの材料からなる。超伝導体層は、該IBADバッファ層の上に横たわる。
【0009】
他の側面によれば、超伝導体構成素子の製造方法は、10以下でない寸法比を持つ基板を準備すること、該基板の上に横たわる順守層を300℃を超えない温度で堆積すること、ここで、該順守層は50nmより大きくない平均の粒子サイズを持つアモルファスまたはナノ結晶性であるものである、を含んでなる。さらに、イオンビーム補助堆積によりIBADバッファ層が上記順守層の上に横たわるように堆積され、該IBADバッファ層は2軸結晶テクスチャを持ち、蛍石タイプの材料、黄緑石タイプの材料、希土類Cタイプの材料、非立方体構造化された材料、および層構造化された材料から成るグループからの材料からなる。超伝導体層は、該IBADバッファ層の上に横たわるように堆積される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
図1を参照して、本発明の1実施形態による超伝導性物品の一般化された層構造が、描かれている。超伝導性物品1は、基板10、基板10の上に横たわる順守層11、順守層11の上に横たわるバッファ層12、超伝導層14、および代表的には、たとえば銅等の非貴金属よりなる安定化層18を含む。
【0011】
基板10は、一般に金属ベースのものであり、代表的には少なくとも2つ金属元素の合金よりなる。特に、適切な基板材料は、公知の、Inconel(登録商標)グループの合金のようなニッケルベースの金属合金を含む。Inconel(登録商標)合金は、膨張率、引っ張り強度、降伏強度、および伸張を含む、所望のクリープ、化学的および機械的特性を持つ。これらの金属は、一般に、代表的にリールツーリールテープを利用する超伝導性テープの製造に特に適した、糸巻き状のテープの形態で商業的に利用可能である。
【0012】
基板10は、代表的に高い寸法比を持つテープ状の形状を有する。例えば、テープの幅は一般におよそ0.4−10cmのオーダーであり、テープの長さは、代表的に、少なくとも約100mあり、もっとも代表的には、約500mより大きい。実際、本発明の実施形態は、1kmまたはそれ以上のオーダーの長さを有する基板10を含む超伝導性テープを与える。したがって、基板は、かなり高い、10より小さくない、約102より小さくない、あるいはさらに、約103より小さくない、寸法比を持つことができる。ある実施形態は、より長く、104、およびそれより高い寸法比を持つ。ここで使用されるように、用語“寸法比”は、基板またはテープの長さの、次に長い寸法、すなわち、基板またはテープの幅、に対する比を示すために用いられる。
【0013】
1つの実施形態において、基板は、超伝導性テープの構成層の続いて起こる堆積のために好ましい表面特性を持つように処理される。例えば、該基板は、所望の平坦性および表面粗さにまで軽く研磨される。該基板は、従来技術において理解されているように、公知のRABiTS (roll assisted biaxially textured substrate ) 技術によるように、2軸テクスチャ処理を行うことができるが、ここでの実施形態は、代表的に、上記した商業的に利用可能なニッケルベーステープのような、テクスチャしていない多結晶基板を利用している。
【0014】
ここでの実施形態の特別の展開によれば、順守層11は基板10とバッファ層12の間に横たわるように設けられる。順守層11に関する追加の詳細は下で与えられる。
【0015】
バッファ層12に戻って、該バッファ層は単一層であってもよいが、より共通には、複数の膜からなる。より代表的には、該バッファ層は、一般に、膜の平面内および平面外の両方において、結晶軸に沿って配向された結晶テクスチャをもつよう、2軸テクスチャされた膜を含む。このような2軸テクスチャリングは、IBADによって遂行することができる。技術において理解されているように、IBADはイオンビームアシスティドデポジション(イオンビーム補助堆積)の略称であり、優秀な超伝導特性のための望ましい結晶学的方位を持つ超伝導性層の順次の形成のために、適切にテクスチャされたバッファ層を形成するために有利に利用される。2軸テクスチャされた膜は、平面内および平面外の両方の結晶テクスチャを持ち、最表面上の、結晶学的平面内および平面外の、グレインツーグレインミスオリエンテーション(モザイク拡散)が、およそ20度、15度、10度、あるいは5度より小さい、のような、およそ30度より小さい、ものであるが、しかし、一般に、典型的におよそ1度よりより大きい、有限である、多結晶材料であると定義される。2軸テクスチャの度合は、粒子の平面内および平面外オリエンテーションの分布を、X線回折によって決定されるように特定することによって、記述することができる。平面外(Δθ)および平面内(Δφ)反射のロッキングカーブの半値全幅(FWHM)を、決定することができる。そのため、2軸テクスチャの度合いを、与えられたサンプルにつき、ΔφあるいはΔθの範囲を特定することによって、定義することができる。
【0016】
第2世代(2G)高温超伝導体の技術において、IBAD 膜には、一般に、進展的なテクスチャ展開膜および核形成テクスチャ展開膜の2つのタイプの材料のうちの1つを採用してきた。核形成テクスチャ展開膜は、最近の多くの興味を生み出して来た;選択される典型的な材料は、米国特許6,190,752で定義し、記述されているように、岩塩あるいは岩塩のような IBAD 膜である。このような材料は一般に等方性であって、かつ立方結晶構造あるいは立方結晶構造超格子またはバックボーンを持っている。選択される典型的な岩塩材料は、マグネシウム酸化物である。このような核形成展開膜は、速く、かつ、あるいは50から200オングストロームのような、50から500オングストロームのオーダーの比較的低い層厚に堆積される。岩塩材料のような核形成テクスチャ膜は多数の利点を持っているが、本発明のある実施形態は、特に進展的なテクスチャ展開膜に限定される。
【0017】
進展的なテクスチャ展開膜もまたIBADにより堆積されうるが、しかし、核形成テクスチャ展開膜と違って、典型的には、所望の低いモザイク拡散を持つ許容可能な2軸テクスチャを展開するために、かなりの厚みを必要とする。従って、進展的なテクスチャ展開膜は、一般に、150nmあるいはさらに200nmよりも大きいような、100nmよりも大きい厚みを持ち、核形成テクスチャ展開膜よりも厚い。実施形態は、300あるいは400 nmあるいはそれより大きいようなより厚い層厚を持っていてもよい。特定の実施形態は、500から700 nmのオーダーでの進展的テクスチャ展開膜を持つことができる。さらに、ある特定のタイプの進展的テクスチャ展開膜は一般に、上述した岩塩核形成テクスチャ展開膜と異なり、非等方性、かつ非立方体である。特定の材料は、例えば、Al2O3、Y2O3、MgO、ZrO2、SiO2、B2O3、Sc2O3、Cr2O3、ReZrOおよびRe2O3 、ここで、Reは少なくとも1つの希土類元素(ScおよびYを含む)からなる、およびそれらの組み合わせを含む。進展的テクスチャ展開膜のカテゴリに入る特定のクラスの材料は、ZrO2(一般に、立方体形状で、十分に安定化されている)やCeO2などの蛍石タイプの材料、特定の例がEu2Zr2O7およびGd2Zr2O7である,化学式RE2Zr2O7を持つ、ここで、REはLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luからなるグループから選ばれた希土類元素である、黄緑石タイプの材料、Y2O3のような希土類Cタイプの材料、特に正方晶の金紅石材料(TiO2のような)を含む正方結晶構造材料のような非立方体構造化材料、変形ペロブスカイト材料、およびK2NiF4構造化材料(La2CuOを含む)、およびNd2CuO4構造化材料を含む層構造材料を含む。ジルコニアの特別のケースにおいて、典型的にジルコニアは、立方体構造にあるように安定せられる。種々の安定化剤を利用できるが、イットリアは共通の安定化剤であり、イットリア安定化ジルコニアは、ときどき略称YSZで称呼される。
【0018】
技術の状態の文脈において、IBADによって形成される進展的テクスチャ展開膜は、第2世代HTS導体において使用されてきた。特に興味深いのは、米国特許5,872,080が、IBAD YSZ を基板の上に横たわるよう堆積した構造を記述していることである。米国特許5,872,080は、基板とYSZ層の間にそれらの間の結合を改善するために中間接着層を介在させてもよく、その中間の層は、Al2O3、CeO2、Y2O3、MgO あるいは多結晶YSZのような材料からなり、Al2O3が望ましい材料である、と述べている。記述されるように、中間の接着層は、一般にAlを含む合金基板の自己酸化によって、あるいは約400℃より大きい温度での高温スパッタ又はレーザ堆積によって堆積せられる。
【0019】
本発明者らは、高温超伝導物品の機械的な構造安定性が、超伝導テープの機械的な損失にさらに抵抗する従順な性質を持つ中間層の含蓄によって大いに改善されうることを認識した。この順守層は弾性的であり、それにより、膜処理の間にかかるストレスを和らげ、金属基板に対する接着の要求を低減し、層間剥離を妨げることができる。この点に関し、それぞれ大規模な層間剥離および局所的な層間剥離を示し、基板とIBADバッファ膜の間の界面での不具合を顕著に示している、図2と3を参照されたい。
【0020】
特定の特徴によれば、順守層の柔軟性を増やすために、本発明の実施形態は、75nmあるいは50nmより大きくないような、およそ100nmより大きくない平均の結晶粒子サイズによって特徴づけられる微小構造を持つ、アモルファスまたはナノ結晶性の順守層11を利用する。実際、実施形態は、30nm、20nm、あるいは10nmより大きくない平均の結晶グレインサイズを持っていてよい。実施形態は、粒子の表面又は境界領域がゆがめられ、あるいは緩められており、かつ、粒子の結晶構造領域よりもより弾性的であり、該粒子の結晶領域はより硬く、ストレスで割れやすい、という概念に基づいている。 アモルファス膜は、この概念の極点であり、バルク結晶性を持っていない。実際、ある実施形態によれば、順守層11は、アモルファスであり、実質的に、定義された結晶グレインを持たない。通常、このような順守層の密度は、より大きい結晶粒子(例えば、1ミクロン平均粒子サイズより大きい)を持つ同じ材料の密度よりも小さく、アモルファス、あるいはナノ結晶層は、細かく分配された微細孔のかたちの孔内容を持つものであり、これにより、従順な/弾性特性に寄与するものである。
【0021】
本発明者らは、技術の状態による接着層は、機械的な完全性を改善するが、一方、さらなる改善は、取り扱うストレス(例えば、テープを細く切り裂くことから生じる)、及びHTS導体の構成層における誘導されるストレス及びストレイン(例えば、形成技術、CTE不整合、または微細構造ストレインによる)を吸収するように、機械的な順守を与える微小構造を利用することによって、持たれ得ることを発見した。この点に関し、ここに記述された順守層の使用は、進展的テクスチャ展開膜、特に上記のような実質的な厚みを持つ進展的テクスチャ展開膜の文脈において特に有利であるであろうことが発見された。さらに、ここに記述された順守層の利用は、一般にかなり厚い安定化層を含む完成されたHTS伝導体の文脈において特に有益である。この点に関し、第2世代のHTS伝導体の大規模な取り扱い及びフィールドテストは安定化層で完結し、まだ安定化層を持っていない、評価のみの限定された長さの伝導体より、層間剥離するずっと大きい傾向をもつ。任意の特定の理論によって限定されることは望まないが、順守層は技術の接着層と比較して、減少した密度、および/または、増加された多孔性を持ち、これによりHTS導体の基板とその上に横たわる構成層との間の従順特徴を与えるもの、と信じられる。
【0022】
結晶構造のおよびアモルファスの材料が、岩塩膜(特にMgO を含む)のようなIBAD膜の核形成展開の文脈で利用されてきたが、このような層は一般に、IBAD核形成展開膜の成長の間に起こる望ましくない鋳型効果を防止するために含蓄されて来た。ここでの実施形態による進展するテクスチャ展開膜において、アモルファスあるいはナノ結晶順守層は、形では類似であるが、機能およびその上に横たわるIBADテクスチャ膜に関しての両方において、IBAD MgOタイプ処理におけるアモルファスまたは結晶構造シード層と異なっている。順守層は、抗層間剥離目的で作用し、また、上に横たわるIBADテクスチャ膜は、岩塩あるいは岩塩のような材料ではなく、蛍石タイプ材料、 黄緑石タイプ材料、希土類Cタイプ材料、非立方体構造化材料、および層構造化材料で構成されている。 おそらく付随する比較的大きい厚みのIBAD進展テクスチャ展開膜により、上記のような順守層の使用は、進展的テクスチャ展開膜の文脈において特定の重要性を持つ。
【0023】
典型的に、順守層11は、10℃から100℃の範囲内のような、約100℃よりも大きくない、室温でのスパッタ堆積や蒸着やレーザ堆積のような、物理的気相成長により堆積され得る。順守層の柔軟性及び強度に影響を与える、柱状構造成長及び過剰な多孔性(上記した多孔性を越える)を妨げるために、イオンビーム照射のような、エネルギー源を持つ任意の照射が、多孔性を低減し、また柱状構造を破壊するために用いられる。
【0024】
金属基板上への順守層の堆積の例が以下のように記述される。堆積は、IBAD YSZ あるいは Ga2Zr2O7 のためと同じIBAD室で行うことができる。このIBADコーティングシステムは、真空を開かないでターゲットを変えることのできるターゲットセットアップを備えている。反応性イオンビームスパッタリングにより、磨かれた金属テープ上に順守層アルミナを堆積するよう、Alターゲットが用いられる。60cmのRFイオン源が、1200eVのイオンエネルギーと900mAのイオン電流でAlターゲットを照射するために使われる。純粋なArがイオン源を通して流され、O2がテープ基板の近くに供給される。テープは、堆積エリアのテープホルダの周りのらせん巻き取りを通って、100m/hの速度で1つのスプールから他のスプールまで移動される。テープホルダは水冷式である。結果として生じるアルミナの順守層は、〜70nmの厚さのアモルファスである。
【0025】
バッファ層はIBAD膜に加えて、付加的な膜を含むことができ、このようなものはときどきバッファスタックと呼ばれる。バッファ層は、IBAD膜と基板の少なくとも1つと直接接触し、IBAD膜と基板の間に置かれるように与えられたバリア膜を含むことができる。この点に関し、バリア膜は有利に、イットリアのような酸化物で形成することができ、基板をIBAD膜から隔離するよう機能する。バリア膜はまた、シリコン窒化物のような非酸化物で形成することができる。バリア膜の堆積のための適当な技術は、化学的気相成長、及びスパッタリングを含む物理的気相成長を含む。バリア障壁膜の典型的な層厚は約100−200オングストロームの範囲内にあってよい。あるいは、前記した順守層がバリア機能を持つ場合は、バリア膜は排除できる。さらに、バッファ層はまた、IBAD膜の上に形成された、1つ又はそれ以上のエピタキシャル成長膜を含むことができる。この文脈において、このようなエピタキシャル成長膜はIBAD層のテクスチャを改善するために効果的であり、そして原則的にはIBAD層のために利用されたのと同じ材料よりなることが望ましい。
【0026】
あるIBAD膜および/またはエピタキシャル膜を利用する実施形態においては、IBAD材料と超伝導性層の材料の間の格子不整合が存在し得る。したがって、バッファ層はさらにIBAD膜とエピタキシャル膜(もし存在すれば)の上に横たわるもう1つのバッファ膜を含み、これは特に超伝導性層とIBAD膜および/またはエピタキシャル膜との間の格子定数の不整合を減らすために含まれる。このバッファ膜は、CeO2、Gd2O3、LaYO3、ルテニウム酸ストロンチウム、マンガン酸ランタン、および一般に、ペロブスカイト構造化セラミック材料のような材料で形成することができる。バッファ膜は種々の物理的気相成長技術によって堆積することができる。
【0027】
超伝導性層14は一般に高温超伝導体(HTS)層の形をとる。HTS材料は、典型的に液体窒素の温度、77K以上で超伝導性特性を示す高温超伝導材料のいずれから選択される。このような材料は、例えば、YBa2Cu3O7-x,Bi2Sr2Ca2Cu3O10+y,Tl2Ba2Ca2Cu3O10+y,および、HgBa2Ca2Cu3O8+yを含むことができる。材料のひとつのクラスは、REBa2Cu3O7-x、ここでREは希土類元素である、を含む。前述した、一般にYBCOとも述べられるYBa2Cu3O7-xが有利に利用できる。超伝導性層14は、厚膜、及び薄膜形成技術を含む種々の技術のいずれか1つにより形成できる。望ましくは、パルスレーザ堆積(PLD)のような薄膜物理気相成長技術を高堆積レートのために用いることができ、あるいは化学的気相成長技術を、より低コストの、かつより大きい表面領域の処理のために用いることができる。典型的に、超伝導性層は、超伝導性層14と関連して望ましい定格電流を得るために、およそ1からおよそ30ミクロンのオーダーの、最も典型的には、およそ2からおよそ10ミクロンのような、およそ2からおよそ20ミクロンの厚さを持つ。
【0028】
安定化層16は一般に、低い抵抗の接合部を提供するために、かつ実使用における超伝導体のバーンアウトの防止を助ける電気的な安定化のために含まれる。さらに安定化層16は、冷却が失敗した、あるいは臨界電流密度を超え、超伝導性層が超伝導状態から移動して抵抗性になる場合に、超伝導体に沿っての電荷の継続的な流れを助ける。1つの実施形態において、安定化層は、該安定化層の膜と超伝導性層14との間の望まれない相互作用を防ぐために超伝導性層14に直接接触する貴金属膜と、該貴金属膜上に横たわる、電流搬送能力のための非貴金属膜(例えば、銅あるいはアルミニウム)とを含む。典型的な貴金属は、金、銀、プラチナ、及びパラジウムを含む。銀がそのコストと一般的な入手しやすさのために典型的に使われる。貴金属膜は、典型的に安定化層16から超伝導性層14へ成分の望まれない拡散を妨げるために十分厚くされるが、一般に、コストの理由(原材料及び処理コスト)により薄くされる。貴金属膜の典型的な層厚は、0.5からおよそ5.0ミクロンのような、およそ0.1からおよそ10.0ミクロンの範囲内にある。DCマグネトロンスパッタリングのような物理的気相成長を含む、種々の技術が、貴金属の堆積のために用いられ得る。
【0029】
あるいは、非貴金属の膜が超伝導性層14に直接接触していれば、貴金属膜は安定化層内に含まれていなくてもよい。このアプローチは、安定化層16と超伝導性層14の間の望まれない相互作用を妨げるために非貴金属膜が低温技術により堆積された場合にうまく働くことが示されて来た。
【0030】
安定化層16は、厳しい環境条件および超伝導性クェンチに対する安定性を向上するために保護/シャント層として機能する。該層は一般に密度が高く、熱的に、かつ電気的に伝導性であって、そして超伝導層の失敗の場合に電流をバイパスさせる機能をする。それは、はんだやフラックスのような中間接着剤を用いて、前もって形成された銅ストライプを超伝導性テープ上にラミネートする等の、種々の厚膜、および薄膜形成技術のいずれか1つによって形成することができる。他の技術は、物理気相成長、典型的には、無電解メッキのような湿式化学処理ばかりでなく、蒸着またはスパッタリング、及び電解メッキに焦点を置く。
【0031】
超伝導テープの特定の構造から離れて、図4および図5は商業上の電力要素、すなわち電力ケーブルにおける、超伝導性導体の実装を図示している。図4は、プラスチックあるいはスチール導管よりなり得る地下導管40を通って延びるいくつかの電力ケーブル42を図示している。図4は、明確性のために地面41をも示している。示されるように、いくつかの電力ケーブルは導管40の中を走っている。
【0032】
図5を見て、電力ケーブルの特定の構造が図示されている。超伝導性電力ケーブルを超伝導性の状態に維持するように冷却を与えるために、液体窒素がLN2 管44を通って、電力ケーブルを通って供給される。1つあるいは複数のHTS 導体46が、管44をカバーするように設けられている。従来のテープは、一般に管44上にらせん状の態様で置かれるが、本発明の実施形態による導体は、曲がっている必要はないが、しかし他の実施形態においては、電力ケーブルの縦軸に平行に線形に延びていることができる。さらなる素子は、銅シールド48、素子の誘電分離のための誘電テープ50、第2のHTS テープ52、複数の芯出しワイヤ56を持つ銅シールド54、第2の大きいLN2管58、極低温状態を維持するのを助けるために設けられた熱絶縁60、スキッドワイヤ64および外装包み66を含む、機械的支持のための波形のスティールパイプ62を含む。
【0033】
図6は、その周りに1次巻線72および2次巻線74が設けられた中央コア76を有する電力変圧器を、模式的に図示している。図6は、性質上、模式的であり、該技術においてよく理解されているように、変圧器の実際の幾何学的形状は変更し得るものである。しかしながら、該変圧器は、少なくとも基本的な1次巻線、および2次巻線を有する。この点に関して、図6に示される実施形態では、1次巻線は、2次巻線74より多くの数のコイルをもっており、入力する電力信号の電圧を下げる下降変圧器を表している。逆に、1次巻線に、2次巻線より少ない数のコイルを与えると、電圧の昇圧を与える。この点に関して、代表的に、昇圧変圧器は、長い距離にわたる電力損失を低減するために電圧を高電圧に増大するよう、送電サブステーションにおいて利用され、他方、降圧変圧器は、電力の後段ステージでのエンドユーザへの配電のために配電サブステーションに集積される。1次巻線と、2次巻線の少なくとも1つ、および好ましくは両方は、先の記述による超伝導性導体よりなる。
【0034】
図7を見て、発電機の模式的図解が与えられる。該発電機は、技術において知られているように、タービンにより駆動されるローター86を含む。ローター86は、高強度の電磁石を含み、これらは、電力の発生のための所要の電磁界を形成するローターコイル87よりなる。該電磁界の発生は、ステーター88において電力を生じ、これは、すくなくとも1つの導電性のステーター巻線89よりなる。特定の特徴によれば、ローターコイル87および/またはステーター巻線89は、上記した実施形態による超伝導性導体よりなる。ステーター巻線において用いられる低損失超伝導体は、一般に、ヒステリシス損失を実質的に低減する。
【0035】
図8を見て、電力グリッドの基本的模式図が与えられる。基本的に、電力グリッド110は、代表的に複数の発電機を収容する電力プラント90を含む。該電力プラント90は、送電サブステーション94に電気的に接続されており、かつ、代表的に共通に位置している。送電サブステーションは、一般に、昇圧電力変圧器のバンクを含み、これらは、発生された電力の電圧を、昇圧するために利用される。代表的に、電力は、数千ボルトのオーダーでの電圧レベルで発生され、該送電サブステーションは、電圧が、ライン損失を低減するために、10万から100万ボルトのオーダーであるように、昇圧する。代表的な送電距離は、50から1,000マイルであり、電力は、それらの距離を、送電ケーブル96により運ばれる。電力送電ケーブル96は、複数の電力サブステーション98(図8では1つのみが示される。)にルート付けされている。電力サブステーションは、一般に、送電レベル電圧を、比較的高い値から、代表的には、約1万ボルトより小さい配電電圧に降圧するよう、降圧電力変圧器のバンクを収容する。複数のさらなる電力サブステーションは、また、エンドユーザへの局所的な電力配電のために局所的とされたエリア内でグリッド状の態様で配置することができる。しかしながら、簡単のために、単一の電力サブステーションのみが示され、下流の電力サブステーションが、直列に設けられてもよい。配電レベル電力は、そののち、電力配電ケーブル100に沿って、商業的エンドユーザばかりでなく、住民エンドユーザをも含むエンドユーザ102にまで送電される。個々の変圧器は、個人の、またはグループのエンドユーザのために、局所的に設けられてもよい。ある特定の特徴によれば、電力プラント90内に設けられた複数の発電機、変圧器および送電サブステーション、電力送信ケーブル、電力サブステーションに設けられた変圧器、および電力配電ケーブルのうちの少なくとも1つは、本記述による超伝導性テープを含む。
【0036】



〜0.05mmの厚さ、250mの長さを持つテープの形のハステロイC合金基板が1〜5nmRaの表面荒さに研磨され、そして、〜70nmのアモルファスのアルミナが、室温での真空チャンバにおけるAl金属ターゲットの反応性イオンビームスパッタリングによって金属合金基板上に堆積された。堆積の間に、テープは、送り出しスプールから、大きい堆積エリアを十分利用するよう、らせん巻き取りのかたちで堆積ゾーンを通って、巻き取りスプールに移動する。Alターゲットは、そののちYSZターゲットに変えられ、そして〜1000nmの鋭くテクスチャされたYSZがアモルファスアルミナのコートがされた基板上にイオンビーム補助堆積(IBAD)によって堆積される。〜20nmの厚さのCeO2の格子整合層が、高温でのスパッタ又はPLD法により2軸テクスチャされたYSZ上にエピタキシャル成長され、1〜3ミクロンのYBCO超伝導膜は、MOCVDによりCeO2の上に堆積される。そののち、テープはDCスパッタリングによりおよそ2〜3ミクロンの銀で覆われ、そののちテープは、該テープの両側上に、安定化剤としてのおよそ20ミクロンのCuがコートされる。
【0037】
発明は、特定の実施形態との関連で図示され、記述されてきたが、示された詳細に限定されることが意図されているものではなく、種々の修正および置き換えが、本発明の範囲からどのようにも離れることなくなされることができる。例えば、付加的な、あるいは等価な置き換えを設けることができ、かつ、付加的な、あるいは等価な製造ステップを用いることができる。そのように、ここに開示された発明の更なる修正と等価物は、日常の実験以上の何をも用いることなく当業者の心に起こり得るものであり、すべてのそのような修正および等価物は、以下の請求項で定義される発明の範囲内にあるものと信じられる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】図1は、本発明の実施形態の製造に用いられる超伝導性アセンブリの一般化された層構造を図示する。
【図2】図2および3は、それぞれ、HTS伝導体の大規模な、および局部的な層間剥離状態を図示する。
【図3】図2および3は、それぞれ、HTS伝導体の大規模な、および局部的な層間剥離状態を図示する。
【図4】図4および5は、本発明の実施形態による伝導体を組み込んだ電力ケーブルを図示する。
【図5】図4および5は、本発明の実施形態による伝導体を組み込んだ電力ケーブルを図示する。
【図6】図6は、一実施形態による電力変圧器の模式図を示す。
【図7】図7は、本発明の他の実施形態による回転機を図示する。
【図8】図8は、本発明の一実施形態による電力グリッドの一般的な模式図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
10より小さくない寸法比を持つ合金基板;
該基板の上に横たわる順守層、該順守層は50nmより大きくない平均の粒子サイズを持つアモルファスまたはナノ結晶性であるセラミック材料からなる;
該順守層の上に横たわるIBADバッファ層、該IBADバッファ層は2軸結晶テクスチャを持ち、蛍石タイプ材料、黄緑石タイプ材料、希土類Cタイプ材料、非立方体構造化材料、および層構造化材料からなるグループからの材料からなる;および
該IBADバッファ層の上に横たわる超伝導体層、
からなる超伝導体構成素子。
【請求項2】
請求項1の超伝導体構成素子において、上記順守層は40nmより大きくない平均の粒子サイズを持つ。
【請求項3】
請求項1の超伝導体構成素子において、上記順守層は30nmより大きくない平均の粒子サイズを持つ。
【請求項4】
請求項1の超伝導体構成素子において、上記順守層は20nmより大きくない平均の粒子サイズを持つ。
【請求項5】
請求項1の超伝導体構成素子において、上記順守層はテクスチャ化されていない。
【請求項6】
請求項1の超伝導体構成素子において、IBADバッファ層が、十分に安定化されたZrO2、CeO2のグループからの蛍石タイプ材料からなる。
【請求項7】
請求項1の超伝導体構成素子において、上記IBADバッファ層は化学式RE2Zr2O7を持つ黄緑石タイプからなる、ここでREはLa、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luからなるグループから選択される希土類元素である。
【請求項8】
請求項1の超伝導体構成素子において、上記IBADバッファ層は希土類Cタイプ材料からなる。
【請求項9】
請求項8の超伝導体構成素子において、上記IBADバッファ層はY2O3からなる。
【請求項10】
請求項1の超伝導体構成素子において、上記IBADバッファ層は正方晶構造を持つ非立方体構造化材料からなる。
【請求項11】
請求項10の超伝導体構成素子において、上記IBADバッファ層は正方晶の金紅石材料からなる。
【請求項12】
請求項11の超伝導体構成素子において、上記正方晶の金紅石材料はTiO2である。
【請求項13】
請求項1の超伝導体構成素子において、上記IBADバッファ層は層構造化材料からなる。
【請求項14】
請求項13の超伝導体構成素子において、上記層構造化材料はK2NiF4構造を持つ材料からなる。
【請求項15】
請求項14の超伝導体構成素子において、上記層構造化材料はLa2CuO4とK2NiF4からなるグループから選択される。
【請求項16】
請求項13の超伝導体構成素子において、上記IBADバッファ層はNd2CuO4を持つ材料からなる。
【請求項17】
請求項16の超伝導体構成素子において、上記Nd2CuO4構造材料はNd2CuO4からなる。
【請求項18】
請求項1の超伝導体構成素子において、上記IBADバッファ層はおよそ100nmよりも小さくない厚さを持つ。
【請求項19】
請求項1の超伝導体構成素子において、上記IBADバッファ層はおよそ150nmよりも小さくない厚さを持つ。
【請求項20】
請求項1の超伝導体構成素子において、上記IBADバッファ層はおよそ200nmよりも小さくない厚さを持つ。
【請求項21】
請求項1の超伝導体構成素子において、上記順守層がAl2O3、Y2O3、MgO、ZrO2、SiO2、B2O3、Sc2O3、Cr2O3、ReZrO、Re2O3、ここでReは少なくとも1つの希土類元素(Sc とYを含む)からなる、およびその組み合わせからなるグループから選択された材料からなる。
【請求項22】
請求項21の超伝導体構成素子において、上記順守層はAl2O3からなり、該Al2O3は主にアモルファスである。
【請求項23】
請求項21の超伝導体構成素子において、上記順守層は安定化ZrO2からなり、該安定化ZrO2は、ほとんど20nmより大きくない平均の粒子サイズを持つナノ結晶性イットリア安定化ZrO2よりなる。
【請求項24】
請求項23の超伝導体構成素子において、上記平均の粒子サイズは10nmより大きくない。
【請求項25】
請求項1の超伝導体構成素子において、さらに上記超伝導体層の上に横たわる安定化層を備え、該安定化層は伝導性の金属からなる。
【請求項26】
請求項1の超伝導体構成素子において、物品は、動力変圧器であり、該動力変圧器は、少なくとも一次巻線と二次巻線を備え、該一次巻線と二次巻線の少なくとも一つが、超伝導性テープの巻きコイルからなり、該超伝導性テープは、上記基板、上記順守層、上記IBADバッファ層、および上記超伝導体層からなる。
【請求項27】
請求項1の超伝導体構成素子において、物品は、回転機械であり、該回転機械は、少なくとも1つの巻線を備え、該少なくとも1つの巻線は、上記基板、上記順守層、上記IBADバッファ層、および上記超伝導体層からなる超伝導性テープからなる。
【請求項28】
請求項1の超伝導体構成素子において、構成素子は、電力ケーブルであり、該電力ケーブルは、複数の伝導体を含み、各伝導体は、上記基板、上記順守層、上記IBADバッファ層、および上記超伝導体層からなる。
【請求項29】
100よりも小さくない寸法比率を持つ合金基板;
該基板の上に横たわる順守層、該順守層は、Al2O3、Y2O3、MgO、ZrO2、SiO2、B2O3、Sc2O3、Cr2O3、ReZrO、Re2O3、ここでReは少なくとも一つの希土類元素(ScおよびYを含む)からなる、およびその組み合わせからなるグループから選択された、50nmより大きくない平均の粒子サイズを持つアモルファス材料またはナノ結晶性セラミック材料からなる;
該該順守層の上に横たわるIBADバッファ層、該IBADバッファ層は、蛍石タイプ材料、黄緑石タイプ材料、希土類Cタイプ材料、非立方体構造化材料、および層構造化材料からなるグループからの材料からなる;および
該IBADバッファ層の上に横たわる超伝導体層、
からなる超伝導体構成素子。
【請求項30】
請求項29の超伝導体構成素子において、上記IBADバッファ層は、イットリア安定化ZrO2およびGd2Zr2O7からなるグループから選択される。
【請求項31】
10よりも小さくない寸法比率を持つ合金基板を提供すること;
該基板の上に横たわる順守層を300℃よりも高くない温度で堆積すること、該順守層は50nmより大きくない平均の粒子サイズを持つアモルファスまたはナノ結晶性である;
該順守層の上に横たわるIBADバッファ層をイオンビーム補助堆積により堆積すること、該IBADバッファ層は2軸結晶テクスチャを持ち、蛍石タイプ材料、黄緑石タイプ材料、希土類Cタイプ材料、非立方体構造化材料、および層構造化材料からなるグループからの材料からなる;および
該IBADバッファ層の上に横たわる超伝導体層を堆積すること、
からなる超伝導体構成素子を製造する方法。
【請求項32】
請求項31の方法において、上記順守層は100℃よりも高くない温度で堆積される。
【請求項33】
請求項31の方法において、上記順守層はおよそ室温で堆積される。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−507357(P2009−507357A)
【公表日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−530172(P2008−530172)
【出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【国際出願番号】PCT/US2006/034726
【国際公開番号】WO2007/030546
【国際公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【出願人】(505448796)スーパーパワー インコーポレイテッド (18)
【Fターム(参考)】