説明

超低周波水分センサ

【課題】 塊の内部の含水率の値を測定する装置を提供する。
【解決手段】 周波数発生器が、せいぜい約1キロヘルツの高さの周波数で、少なくとも1つのソース信号を発生させる。表面が塊と物理的に接触するように複数のプローブが配置され、塊を介してプローブ間に直流電流が流れない。一方のプローブが、ソースプローブとして周波数発生器と電気的に接続され、ソース信号を受け取り、ソース信号を前記塊の中に放射するように適合され、それにより、塊の含水率に少なくとも部分的に依存する特性を有する電界を形成する。もう一方のプローブが、受量プローブとして動作して、その電界をセンスし、ソース信号および塊の内部の含水率に少なくとも部分的に依存する出力特性を有する出力信号を生成する。その出力信号の出力特性に少なくとも部分的に基づ

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水分センシングの分野に関する。より具体的には、本発明は、ベールの形の綿繊維の含水率を決定することに関する。
【背景技術】
【0002】
綿繰り機または紡績工場で処理されるときの綿繊維の含水率は、監視および制御されることが好ましい。綿の内部の水分量は、綿が処理されるときの綿の様々な品質に大きな影響を及ぼす傾向がある。たとえば、綿繊維は、処理時に含水率が極端に低下すると、簡単に壊れがちである。そのような処理時には、綿繊維は、気流に沿って運ばれ、熱にさらされることが多いため、含水率が低下しやすく、そのようなことが発生しないように十分な配慮がなされないと、綿繊維の品質が簡単に劣化する可能性がある。
【0003】
そのような処理時には、綿繊維の水分読み取り値を取得することが望ましい場所が多くある。たとえば、水分センサは、空気で運ばれる繊維が綿繰り機内を流れるときの繊維の水分をキャプチャおよびセンスするために開発されてきた。水分読み取り値が取得されることが多い別の場所は、綿繰り工程の最後近くであり、これは、ベールの最終含水率を決定するためである。ベールの綿の含水率を測定する場所の1つは、綿繊維を、帯を掛けてベールプレスする(さらにオプションで包装する)前に、トランパでベールに整形する場所である。綿がベールにプレスされるための準備としてトランプされる間に、綿繊維に押し込んで水分を測定する水分センサが開発されてきた。
【0004】
前述の水分センサは、一般に、2つ以上の電極の間の電気抵抗を測定することによって機能する素子である。トランパ水分センサの場合、電極は一般に綿繊維の塊に打ち込まれ、綿の塊を介して電極間に電流が流れる。繊維の塊の含水率は、繊維の塊を貫通して電極間で測定される電気抵抗の1つまたは複数の特性との相関関係によって決定される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、最終ベール水分を決定する、そのようなトランパ水分センサに関連する問題が起こりがちである。たとえば、1つの問題として、トランパから出す前に、水分を回復させるために綿繊維に水を吹き付けると、綿繊維がもつれ、一部が電極内に残留する傾向がある。したがって、残留している繊維の塊が電極から除去されない限り、同じ繊維の塊が毎回読み取られることになり、水分読み取り値に少なくとも部分的な影響がある。
【0006】
したがって、必要とされるのは、綿のベールのような大きな塊に対して含水率読み取り値を取得することを可能にし、水分センサがその塊の材料によって詰まることがなく、読み取り値が、塊全体の含水率をよりよく表す傾向があるシステムである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述および他の必要性は、塊の内部で含水率の値を測定する装置によって満たされる。周波数発生器が、せいぜい約1キロヘルツの高さの周波数で、少なくとも1つのソース信号を発生させる。好ましくは、複数のプローブが、絶縁材料で覆われ、表面が塊と物理的に接触するように配置され、塊を介してプローブ間に電流が流れない。一方のプローブは、ソースプローブとして周波数発生器と電気的に接続され、ソース信号を受け取り、ソース信号を塊の中に放射するように適合され、それにより、塊の含水率に少なくとも部分的に影響される特性を有する電界を形成する。この電界パターンは、塊の大部分の中に広がることが好ましい。もう一方のプローブは、受量プローブとして動作して、その電界をセンスし、ソース信号および塊の内部の含水率に少なくとも部分的に依存する出力特性を有する出力信号を生成する。その出力信号の出力特性に少なくとも部分的に基づく、塊の含水率の値を生成する手段が提供される。
【0008】
このようにして、本発明の水分センサは、塊のごく小さな表面部分ではなく、その塊をよりよく表す水分読み取り値を提供する。さらに、本発明のプローブは、測定対象の塊を物理的に貫くことを必要としないので、従来の電極において繊維が引っかかって残留することに関連する問題が軽減または解消される。たとえば、繊維が残留する問題が軽減されるため、同じ繊維の塊が毎回の水分読み取り値に影響することがなくなり、プローブについては、従来の電極ほどの定期的なメンテナンスおよびクリーニングは不要になる。
【0009】
様々な好ましい実施形態では、塊は綿のベールであり、これは少なくとも帯を掛けられているか、包装されている場合がある。本装置は、綿繰り機の出口(たとえば、綿ベールプレス機の出口)、または紡績工場の入口(たとえば、資材置き場、または他の何らかの場所)に配置されることが好ましい。プローブは、それらの上または下を塊が進むローラとして形成されることが好ましい。プローブの表面は、非導電性であることが好ましい。いくつかの実施形態では、プローブは、塊の共通の面の表面上に配置される。出力信号を用いて含水率の値を生成する前に、好ましくは増幅器が出力信号を受信してフィルタリングおよび増幅し、好ましくはアナログデジタル変換器が出力信号を受信してデジタイズする。出力信号の出力特性は、好ましくは、出力信号の振幅であり、好ましくは、出力信号の振幅と含水率との間に実験的相関がある。
【0010】
いくつかの実施形態では、周波数ソースは、複数のソース信号を発生させ、最低周波数を有する第1のソース信号が含水率の値の決定に用いられ、より高い周波数を有する少なくとも1つの第2のソース信号が交絡変数の識別に用いられる。周波数が約600ヘルツである単一のソース信号だけを用いることが好ましい。いくつかの実施形態における信号ソースは、約40ボルトの出力電位を有し、別の実施形態では約10ボルトである。塊の含水率の値を所望の間隔でサンプリングする手段が提供されることが好ましい。所望の間隔は、一定の幅で繰り返される間隔であることが好ましい。様々な実施形態では、所望の間隔は、時間間隔と、塊に沿う距離間隔とのうちの少なくとも一方である。所望の間隔でサンプリングされた含水率の値から塊の含水率分布図を作成する手段が提供されることが好ましい。
【0011】
本発明の別の態様によれば、綿のベールの内部の含水率の値を測定する装置が記載される。周波数発生器が、約600ヘルツの周波数でソース信号を発生させる。2つで一組のプローブが、綿のベールに物理的に接触する。これらのプローブは、綿のベールプレス機を出た綿のベールがその上または下を進むローラとして配置される。それによって、これらのプローブは、綿のベールの共通の面の表面と接触し、綿のベールを介してプローブ間に直流電流が流れない。2つのプローブの組の一方のプローブは、ソースプローブとして周波数発生器と電気的に接続され、ソース信号を受け取り、ソース信号を塊の中に放射して、塊の含水率に少なくとも部分的に依存する特性を有する電界を形成する。2つのプローブの組のもう一方のプローブは、受量プローブとして動作して、その電界をセンスし、ソース信号および綿のベールの内部の含水率に少なくとも部分的に依存する振幅を有する出力信号を生成する。
【0012】
増幅器がソース信号を受信して増幅し、アナログデジタル変換器がソース信号を受信してデジタイズする。出力信号の振幅に少なくとも部分的に基づく、綿のベールの含水率の値を生成する手段が提供される。綿のベールの長さに沿う、複数の所望の一定距離間隔で、綿のベールの含水率の値をサンプリングする手段がさらに提供される。所望の間隔でサンプリングされた含水率の値から綿のベールの含水率分布図を作成する手段が用いられる。
【0013】
本発明のさらに別の態様によれば、綿のベールの内部の含水率の値を測定する方法が記載される。約600ヘルツの周波数で、周波数発生器からソース信号を発生させる。綿のベールを、2つで一組のプローブと物理的に接触させ、プローブを、綿のベールプレス機を出た綿のベールが沿って進むローラとして配置する。それによって、これらのプローブは、綿のベールの共通の面の表面と接触し、綿のベールを介してプローブ間に電流が流れない。2つのプローブの組の一方のプローブは、ソースプローブとして周波数発生器と電気的に接続され、ソース信号を受け取り、ソース信号を塊の中に放射して、塊の含水率に少なくとも部分的に依存する特性を有する電界を形成する。
【0014】
2つのプローブの組のもう一方のプローブは、受量プローブとして動作して、その電界をセンスし、ソース信号および綿のベールの内部の含水率に少なくとも部分的に依存する振幅を有する出力信号を生成する。その出力信号を、増幅器で受信して増幅し、アナログデジタル変換器で受信してデジタイズする。出力信号の振幅に少なくとも部分的に基づく、綿のベールの含水率の値が生成される。綿のベールの含水率の値を、綿のベールの長さに沿う、複数の所望の一定距離間隔でサンプリングし、所望の間隔でサンプリングされた含水率の値から綿のベールの含水率分布図を作成する。
【0015】
本発明のさらなる利点は、詳細説明を図面と併せて参照することにより、明らかになる。図面は、詳細をより明確に示すために正確な縮尺ではなく、同様な参照符号は同様な要素を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図面には、本発明の好ましい実施形態によるシステム10が示されている。システム10は、塊14の内部の含水率を決定するよう動作することが好ましい。塊14は、繊維の束であることが好ましく、通常は綿繰り機の出口に配置されるようなベールプレス機12で整形されることが一般的である、綿のベール14であることが最も好ましい。システム10は、綿のベール14が包装されていてもいなくても、帯が掛けられていてもいなくても、綿のベール14がどの方向を向いていても、綿のベール14の含水率を決定するように構成されることが好ましい。しかしながら、システム10は、綿のベールではない塊14の含水率を決定するよう動作可能であることも理解されたい。
【0017】
システム10は、複数のプローブ16を用いて、塊14の内部の含水率に少なくとも部分的に依存する、塊14の特性をセンスすることが好ましい。最も好ましい実施形態では、プローブ16は、塊14を載せて移送するコンベヤトラック18の中に配置される。たとえば、プローブ16は、一実施形態では、ベールプレス機12を出た綿のベール14が沿って移動するローラトラック18のローラ16として構成される。したがって、プローブ16は、塊14に対する顕著な度合いの貫通を行わないことが好ましい。
【0018】
プローブ16は、それらのうちの少なくとも1つの表面が塊14と物理的に接触しているように配置されることが最も好ましいが、直接の電気的接触は不要である。したがって、塊14と物理的に接触するプローブ16の表面を形成する材料は導電性であっても非導電性であってもよいが、いずれの場合も、一方のプローブ16aから塊14を介してもう一方のプローブ16bに直流電流が流れないことが好ましい。プローブ16の内部部分は、後で詳述するように、導電性材料で形成されることが好ましい。
【0019】
プローブ16がローラ16として形成される実施形態では、塊14がトラック18に沿って移動する際に、プローブ16の外部表面が回転する。したがって、そのような実施形態では、塊14が移動するのに伴って塊14の下でローラ16が回転するにつれ、プローブ16の外部表面のほぼすべてが、いずれかの時点で、塊14との物理的接触を繰り返す。そのような構成では、ローラ16は、最初のうちは、ゴム皮膜、塗装、陽極酸化、または粉体塗装のような非導電性表面で形成されていることが可能である。しかしながら、使用し続けるにしたがって、そのような非導電性被膜は摩耗しがちであり、プローブ16の導電性部分が露出して、塊14と接触するようになる可能性がある。これが容認可能であれば、塊14と接触するプローブ16の外部表面は導電性である必要がなく、非導電性表面は、耐腐食性などの点で有利である傾向があることを理解されたい。
【0020】
プローブ16は、塊14の単一面のみの表面と接触することが好ましい。言い換えると、プローブ16は、綿のベール14がトラック18に沿って進む際に、綿のベール14の1つの側面のみと接触するように配置されることが好ましい。しかしながら、代替実施形態では、塊14の形状または他の要因に応じて、プローブ16のうちの1つ以上が、塊14の隣接する側面、対向する側面、または他のそのような側面に接して配置されてもよい。
【0021】
プローブ16は、2つあることが最も好ましい。しかしながら、様々な実施形態では多数のプローブ16を用いることが可能であり、追加のプローブ16は、図に示されたように同じトラック18の構成で配置されることが可能であり、また、塊14の他の面の表面と接触するように配置されることも可能である。そのような追加プローブ16は、最初の2つのプローブ16を有する同じシステム10の一部として動作するよう構成されることも、追加システムの一部として動作するよう構成されることも可能である。プローブ16は、プローブ16を取り付けることが可能なトラック18など、すべての構造物から電気的に絶縁されていることが最も好ましい。
【0022】
一実施形態では、プローブ16は、プローブ16が接続されるリード20との電気的接触を間欠的に行うように構成される。これは、たとえば、1つまたは複数の導電性素子をプローブ16の端部に配置し、綿のベール14がトラック18に沿って移動するのに伴ってローラ16が綿のベール14の下で回転する間、導電性素子が回転して導電性ピックアップを通過する際に、導電性素子が導電性ピックアップと間欠的に電気的接触を行うことにより達成可能である。もちろん、他の方法による間欠的な電気的接触も、本発明の範囲内で想定される。
【0023】
一方のプローブ16aは、導電性リード20aによって、周波数発生器22に電気的に接続される。周波数発生器22は、少なくとも1つのソース信号を発生させることが好ましく、それらのソース信号のすべてが、せいぜい約1キロヘルツの高さである周波数で作成されることが好ましい。最も好ましい実施形態では、単一ソース信号だけが作成され、その単一ソース信号が、約600ヘルツの周波数で作成される。そのような、約1キロヘルツ未満の超低周波は、それらより高い周波数より好ましく、それは、それらが、より高い周波数では存在しうる、損傷を与える(または他の危険性を有する)放射線を放出しないからであり、さらに、そのような低周波が、本明細書に記載の用途に好適であることがわかっているからである。さらに、そのような超低周波の信号は、後で詳述するように、比較的安定で比較的予測可能な、含水率との相関関係を有することがわかっている。
【0024】
ソースプローブ16aは、塊14に電流をまったく通すことなく、塊14の内部にソース信号を放射することが好ましい。塊14の内部に放射されたソース信号は、少なくとも一部が塊14の内部に位置する電界を形成する。塊14の様々な特性(たとえば、含水率)が、ソース信号によって塊14の内部に形成された電界の様々な特性に影響を及ぼそうとする。もう一方のプローブ16bは、塊14の内部の含水率による影響を受ける特性のような、電界の特性をセンスする受量プローブ16bとして構成されることが好ましい。受量プローブ16bは、導電性リード20bを通って受量器28に伝導されることが好ましい出力信号を生成する。
【0025】
受量器28は、最も好ましくは、受量プローブ16bから受け取った出力信号をブーストおよびフィルタリングする増幅器24を含む。好ましくは、受量器28はさらに、アナログの(かつ、好ましくは増幅された)出力信号を解析用デジタル信号に変換するアナログデジタル変換器26を含む。しかしながら、本明細書に記載の出力信号のすべての操作および検査は、アナログ領域で実施されてもよく、デジタル領域で実施されることは必須ではないことを理解されたい。しかしながら、現代では、コンピュータの、同時にどこにでも存在するという性質が、デジタル信号をより作業しやすいものにする傾向がある。
【0026】
一実施形態では、周波数発生器22および受量器28は、パーソナルコンピュータに内蔵されるSOUND BLASTERタイプのサウンドカードのようなデータ収集モジュール30の一部である。そのような構成では、サウンドカード30は、周波数発生器22および受量器28が同時に動作可能であるように(同時動作は、本発明の好ましい実施形態である)、全二重サウンドカード30であることが好ましい。別の実施形態では、データ収集モジュール30は、埋め込みマイクロコンピュータを有するカスタムデジタル信号プロセッサの一部である。
【0027】
出力信号は、解析のためにコントローラ38に送られることが好ましい。様々な実施形態では、コントローラは、データ収集モジュール30が配置されるパーソナルコンピュータで動作するプログラムのように、ソフトウェアの形で埋め込まれることが好ましい。代替として、本明細書に記載の装置を、専用ハードウェアの形で実施することも可能である。
【0028】
出力信号は、水分決定ルーチン32を用いるなどして、塊14の含水率の値を決定するために用いられることが好ましい。好ましい実施形態では、これは、出力信号の1つまたは複数の特性を、既知の独立変数を有するシステムからあらかじめセンスされている出力信号特性のテーブルと比較することによって行われる。たとえば、そのようなテーブルを計算するために、様々な既知の周波数の入力信号を発生させ、既知の含水率(および、場合によって他の既知の特性)を有する塊14の中に電界を形成する。入力信号と含水率との様々な組み合わせによって生成された出力信号の様々な特性をセンスし、それらの生成に用いられた周波数および含水率と関連させてテーブルにまとめる。
【0029】
次に、このテーブルを用いて、塊14の含水率を、次のように決定する。既知の周波数でソース信号を発生させ、ソースプローブ16aを用いて塊14の内部に電界を形成する。この時点で、塊14の含水率は不明である。受量プローブ16bを用いて電界をセンスし、出力信号を前述のように処理する。次に、出力信号の所望の特性を、同じ周波数のソース信号についてテーブルにリストされた、対応する特性と比較する。テーブルにある含水率のデータを補間または回帰して、不明の塊14の含水率の値を決定する。最も好ましい実施形態では、塊14の含水率の値を決定するために用いられる、出力信号の特性は、出力信号のピークツーピーク振幅である。
【0030】
コントローラ38は、間隔をおいて出力信号をサンプリングすることが可能なように、何らかのタイプの間隔シーケンサ34を含むことが好ましい。この間隔は、好ましくは、一定の間隔であって、塊14がプローブ16間を通過する際の塊14の長さに対応する時間間隔または距離間隔の少なくともいずれかである。サンプリング間隔を形成する1つの方法については、回転するプローブ16に対する間欠的接触を利用することに関して、既に説明した。そのような機械的方法は、コントローラ38内に構築される論理的方法によって増強可能または置換可能であること、ならびに、そのようなもののすべての組み合わせおよび方法が本発明の範囲内で想定されることを理解されたい。
【0031】
そのような間隔シーケンシングが利用可能であれば、システム10はさらに、塊14の水分分布図を作成する水分分布図作成器36を含むことが好ましい。言い換えると、システム10は、塊14の水分読み取り値を1つだけ取得する代わりに、塊14の複数の水分読み取り値を取得することが好ましく、その複数の水分読み取り値を用いて塊14の水分分布図を作成することが最も好ましい。水分分布図は、塊14の内部の(たとえば、塊14の長さ方向の)様々な場所における含水率の値のトレンドチャートを有する、塊14のグラフィカルな描写のような情報を含むことが好ましい。代替として、含水率分布図は、塊14がプローブ16と物理的に接触したままであるか、時間の経過に対してプローブ16との物理的接触を繰り返す場合に、塊14の内部の含水率分布が時間とともにどのように変化するかを表す。
【0032】
これは、綿を扱う業者が、ベールを買い付けてから売るまでの含水率の変化を調べるのに役立つであろう。また、織物工場が、ベールを買い付けて倉庫に収容するときや、加工のためにベールを倉庫から紡績工場に持っていくときに含水率を調べるのにも役立つであろう。このように、本発明によって企図されるように作成可能な水分分布図については多様な実施形態がある。
【0033】
含水率の値は、それらが単一の値であれ、水分分布図における複数の含水率の値であれ、接続40を介してコントローラ38から出力42に送られることが好ましい。出力42は、様々な実施形態において多様な形態をとることが可能であり、限定ではなく例として、データ記憶装置、ディスプレイ、アラームシステム、インターロック、リモートコンピューティング装置などのような形態をとることが可能である。前述した他のデータのすべて、または任意のいかなる部分も、含水率の値とともに出力42に送ることも可能であることを理解されたい。
【0034】
このように、本明細書に記載のシステム10は、塊14の内部の含水率を決定するように動作することが可能である。センスされる水分は、水の水分であることが最も好ましい。しかしながら、代替実施形態では、センスされる水分は、アルコールや、様々な不純物(様々な濃度の塩や他のミネラルなど)を含む水のような、任意の液体である。そのような様々な液体のうちの異なる複数の種類の液体が同じ塊14の内部に共存している場合でも、それらをセンスして記録することが可能であるように、そのような様々な液体の相関関係のテーブルまたはアルゴリズムをまとめることが可能である。
【0035】
いくつかの実施形態では、周波数発生器22は、複数のソース信号を発生させる。しかしながら、そのような実施形態のすべてにおいて、発生する基本ソース信号の周波数は、約1キロヘルツ未満である。さらに、そのような実施形態のすべてにおいて、最低周波数を有するソース信号が、塊14の内部の含水率を決定するために用いられるソース信号であり、より高い周波数を有する他のソース信号は、データ内部の交絡変数を減らすために用いられることが好ましい。
【0036】
ソース信号は、約10ボルトから約40ボルトの間の電位で形成されることが好ましい。しかしながら、この電位は、様々な要因(たとえば、プローブの表面積、プローブ間の距離、塊14の質量、塊14の組成など)に依存する。塊14が標準的な寸法の綿のベールであり、ソース信号の周波数が約600ヘルツであり、プローブ16が、直径約2インチ、長さ約3フィートのローラとして構成され、せいぜい約0.5インチの間隔をおいて配置されている場合、40ボルトの電位は、データ収集モジュール30としてサウンドカードを使用する場合には十分良好に動作する。しかしながら、埋め込みコントローラを使用するのであれば、約10ボルトの電位が良好に動作する。
【0037】
本発明の好ましい実施形態についての先述の説明は、例示および説明を目的として提示されたものであり、網羅的であることを意図されたものではなく、本発明を、開示された形態そのものに限定することを意図されたものでもない。上述の教示に照らして、明らかな修正形態または変更形態が可能である。これらの実施形態は、本発明の原理とその実践的応用の最良の例を提供すること、ならびに、それによって、当業者が、本発明を、想定される個々の用途に適するように、様々な実施形態で、様々な修正を加えて利用することを可能にすることのために、選択および記載されている。そのような修正形態および変形形態のすべては、それらが、公正に、合法的に、かつ公平に与えられる幅に従って解釈される場合には、添付の特許請求項によって決定される本発明の範囲内にある。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の好ましい実施形態による装置の機能ブロック図である。
【符号の説明】
【0039】
12 ベールプレス機
14 塊
22 周波数発生器
24 増幅器
26 アナログデジタル変換器
28 受量器
30 データ収集モジュール
32 水分決定
34 間隔シーケンサ
36 水分分布図作成器
38 コントローラ
42 出力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塊の内部の含水率の値を測定する装置であって、
せいぜい約1キロヘルツの高さの基本周波数で、少なくとも1つのソース信号を発生させるように適合された周波数発生器と、
表面が前記塊と物理的に接触するように配置された複数のプローブとを備え、前記塊を介して前記プローブ間に電流が流れず、
前記プローブの一方が、ソースプローブとして前記周波数発生器と電気的に接続され、前記ソース信号を受け取り、前記ソース信号を前記塊の中に放射するように適合され、それにより、前記塊の前記含水率に少なくとも部分的に依存する特性を有する電界を形成し、
前記プローブのもう一方が、受量プローブとして動作して、前記電界をセンスし、前記ソース信号および前記塊の内部の前記含水率に少なくとも部分的に依存する出力特性を有する出力信号を生成し、
前記出力信号の前記出力特性に少なくとも部分的に基づく、前記塊の前記含水率の値を生成する手段を備える、装置。
【請求項2】
前記塊が綿のベールである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記塊が、帯を掛けられ、包装された、綿のベールである、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記装置が、綿のベールプレス機の出口と、紡績工場の入口とのいずれかに配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記プローブが、前記塊が接して移動するローラとして形成される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記プローブの前記表面が非導電性である、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記プローブが、前記塊の共通の面の表面上に配置される、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記出力信号を用いて前記含水率の値を生成する前に、前記出力信号を受信し、前記出力信号を増幅およびフィルタリングする、増幅器をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記出力信号を用いて前記含水率の値を生成する前に、前記出力信号を受信し、前記出力信号をデジタイズする、アナログデジタル変換器をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記出力信号の前記出力特性が前記出力信号の振幅であり、前記出力信号の前記振幅と前記含水率との間に実験的相関がある、請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記周波数ソースが、複数のソース信号を発生させ、最低周波数を有する第1のソース信号が前記含水率の値の決定に用いられ、より高い周波数を有する少なくとも1つの第2のソース信号が交絡変数の識別に用いられる、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記信号ソースが約10ボルトから約40ボルトの出力電位を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
周波数が約600ヘルツである単一のソース信号だけが用いられる、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記塊の前記含水率の値を所望の間隔でサンプリングする手段をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記所望の間隔が、一定の幅で繰り返される間隔である、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記所望の間隔が時間間隔である、請求項14に記載の装置。
【請求項17】
前記所望の間隔が、前記塊に沿う距離間隔である、請求項14に記載の装置。
【請求項18】
前記所望の間隔でサンプリングされた前記含水率の値から前記塊の含水率分布図を作成する手段をさらに備える、請求項14に記載の装置。
【請求項19】
綿のベールの内部の含水率の値を測定する装置であって、
約1キロヘルツ未満の周波数でソース信号を発生させる周波数発生器と、
前記綿のベールと物理的に接触する、2つで一組のプローブとを備え、前記プローブが、綿のベールプレス機を出た前記綿のベールが接して進むローラとして配置され、それによって、前記プローブが前記綿のベールの共通の面の表面と接触し、前記綿のベールを介して前記プローブ間に電流が流れず、
2つのプローブの前記組の一方のプローブが、ソースプローブとして前記周波数発生器と電気的に接続され、前記ソース信号を受け取り、前記ソース信号を前記塊の中に放射して、前記塊の含水率に少なくとも部分的に依存する特性を有する電界を形成し、
2つのプローブの前記組のもう一方のプローブが、受量プローブとして動作して、前記電界をセンスし、前記ソース信号および前記綿のベールの内部の前記含水率に少なくとも部分的に依存する振幅を有する出力信号を生成し、
前記ソース信号を受信し、前記ソース信号を増幅およびフィルタリングする増幅器と、
前記ソース信号を受信し、前記ソース信号をデジタイズするアナログデジタル変換器と、
前記出力信号の前記振幅に少なくとも部分的に基づく、前記綿のベールの含水率の値を生成する手段と、
前記綿のベールの長さに沿う、複数の所望の一定距離間隔で、前記綿のベールの前記含水率の値をサンプリングする手段と、
前記所望の間隔でサンプリングされた前記含水率の値から前記綿のベールの含水率分布図を作成する手段とを備える、装置。
【請求項20】
綿のベールの内部の含水率の値を測定する方法であって、
約600ヘルツの周波数で、周波数発生器からソース信号を発生させるステップと、
前記綿のベールを、2つで一組のプローブと物理的に接触させるステップとを含み、前記プローブが、綿のベールプレス機を出た前記綿のベールが沿って進むローラとして配置され、それによって、前記プローブが前記綿のベールの共通の面の表面と接触し、前記綿のベールを介して前記プローブ間に電流が流れず、
2つのプローブの前記組の一方のプローブを、前記ソース信号を受け取るソースプローブとして前記周波数発生器に電気的に接続するステップと、
前記ソース信号を前記塊の中に放射して、前記塊の含水率に少なくとも部分的に依存する特性を有する電界を形成するステップと、
2つのプローブの前記組のもう一方のプローブを、受量プローブとして動作させ、前記電界をセンスし、前記ソース信号および前記綿のベールの内部の前記含水率に少なくとも部分的に依存する振幅を有する出力信号を生成するステップと、
増幅器により、前記出力信号を受信し、前記出力信号を増幅およびフィルタリングするステップと、
アナログデジタル変換器により、前記出力信号を受信し、前記出力信号をデジタイズするステップと、
前記出力信号の前記振幅に少なくとも部分的に基づく、前記綿のベールの含水率の値を生成するステップと、
前記綿のベールの長さに沿う、複数の所望の一定距離間隔で、前記綿のベールの前記含水率の値をサンプリングするステップと、
前記所望の間隔でサンプリングされた前記含水率の値から前記綿のベールの含水率分布図を作成するステップとを含む、方法。

【図1】
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【公表番号】特表2008−534913(P2008−534913A)
【公表日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548923(P2007−548923)
【出願日】平成17年10月4日(2005.10.4)
【国際出願番号】PCT/IB2005/053263
【国際公開番号】WO2006/072839
【国際公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【出願人】(503169552)ウステル・テヒノロジーズ・アクチエンゲゼルシヤフト (37)
【Fターム(参考)】