超偏極方法、システムおよび組成物
本発明は、超偏極物質を提供する様々な方法およびシステム、並びにそのようにして提供される超偏極物質を提供する。更に、薬剤などの超偏極物質を最終使用者に遠隔の位置から提供する方法も提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2006年2月21日出願の米国仮特許出願第60/775,196号明細書および2006年5月23日出願の米国仮特許出願第60/802,699号明細書の優先権の利益を主張し、これらの開示は参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、様々な用途に好適な超偏極可能な物質の超偏極方法、システムおよび組成物に関する。特に、本発明は、磁気共鳴イメージング(「MRI」)および核磁気共鳴法(「NMR」)分析を容易にする超偏極方法、システムおよび組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
当該技術分野では、超偏極を提供する様々な方法が知られている。これらの方法の多くは、超偏極希ガスの提供に関する。例えば、超偏極希ガスの使用は、MRI又はNMR法における信号対雑音比(「SNR」)を劇的に増大させることができるため、MRI又はNMRの実施に有利となり得る。これによって、MRIおよびNMRを使用し目的の部位をかつてなかったように分析することが可能になる。
【0004】
現在まで、文献では複雑で高価な超偏極システムを提供することに重点が置かれてきた。これらのシステムは、それらが意図された目的には概ね満足であったが、このようなシステムはまだ当該技術分野における多くの問題を解決しない。例えば、これらのシステムの使用は、一般に、典型的には何十万ドル又はそれ以上の費用かかるこのような高価で複雑なシステムを持つ余裕のある施設および研究者だけに限られてきた。
【0005】
同様に、目的とする標的に超偏極を移動させる超偏極物質を提供することにかなりの努力がなされてきた。現在まで、これらの努力は、NMR分析用の溶媒としての超偏極キセノンに集中してきた。例えば、ナボン,G、ソン,Y.−Q.、ローム,T、アペルト,S、テイラー,R.E、およびパイン,A.(1996年)、サイエンス、271、1848(Navon,G., Song,Y.‐Q., Room,T., Appelt,S., Taylor,R.E., and Pines,A.,(1996).Science 271, 1848)では、超偏極キセノンガスを液化し、溶媒として使用した;幾つかの溶解種への偏極の移動が実証されたが、この文献の開示は参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる。類似の研究、「超偏極超臨界キセノンを使用する偏極移動」、ジェイソンC.リーウッズ、ブライアンT.サームおよびマークS.コンラディ、化学物理学レター327,359〜364頁(2000年)("Polarization Transfer using Hyperpolarized Supercritical Xenon," Jason C. Leawoods, Brian T. Saam, and Mark S. Conradi, Chem. Phys. Lett. 327, 359-364(2000))では、超臨界キセノン(P>5.83MPa、T>290K)を溶媒として使用し、幾つかの溶質への偏極の移動を達成した。
【0006】
しかし、溶解させるほとんどの目的の物質に非常に特殊な物理的条件が必要であるため、キセノンは溶媒として非常に不満足である。これらの条件は、実際のNMR/MRI検査の大部分に役立つものではない。従って、当該技術分野では、標準条件で使用するのに好適な超偏極物質を提供できる方法が必要とされている。
【0007】
米国特許第6,466,814号明細書には、まず高T1剤を偏極させた後、溶媒に溶解させる超偏極溶液の製造方法が記載されている。この方法には、偏極が薬剤のT1によって制限されるという欠点がある。従って、当該技術分野では、超偏極溶液を製造する新規な方法が非常に必要とされている。
【0008】
また、当該技術分野では、超偏極物質を得る費用を低減し、MRIおよびNMRを向上させるために超偏極物質を使用する実用性を増加させる超偏極システム、方法および組成物が非常に必要とされている。本発明は、本明細書に記載されるように、前記および他の問題に対する解決法を提供する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的および利点を記載し、これらは以下の説明から明らかになる。本発明の更なる利点は、記載される説明および特許請求の範囲に、並びに添付の図面から特に指摘される方法およびシステムによって実現および達成される。
【0010】
前記および他の利点を達成するために、並びに本発明の第1の態様に従って、超偏極物質の製造方法を提供する。本方法は、標準条件で液体又は非希ガスである第1の物質を準備する工程、第1の物質が超偏極状態になるまで第1の物質の核超偏極を増大させる工程、および、その後、必要に応じて、第1の物質から第2の物質又は他の物質に核超偏極を移動させる工程を含む。
【0011】
別の態様に従って、第1の物質はまた固体物質を含むことができる。第1の物質を第2の物質と混合し、NMR検査に使用するのに好適なおよび/又は生体内(in vivo)に注入するのに好適な標準条件で(i)溶液、(ii)サスペンション、(iii)エマルション、(iv)コロイド、又は(v)複合材料などの混合物を作り出してもよい。一実施形態に従って、完全に混合することにより第1の物質から第2の物質に核超偏極を移動させてもよい。例えば、第2の物質を第1の物質に溶解させてもよい。別の実施形態に従って、電磁結合により第1の物質から第2の物質に核超偏極を移動させてもよい。例えば、電磁パルス・シーケンスで電磁結合を提供してもよい。次いで、第1の物質を除去してもよく、又は所望の用途に応じてそれを保持してもよい。
【0012】
別の例として、第1の物質ではなく第2の物質をまず超偏極させてもよい。更に別の例として、第1の物質と第2の物質を一緒に混合した後、超偏極させてもよい。更に別の例として、3種類以上の物質(3、4、5、6種類又はそれより多くの物質など)の混合物を提供してもよく、ここで、混合物に入れる前にそれらの物質のうち1種類以上を超偏極させてもよい。別の例として、物質の一部を超偏極させた後、残りの物質と混合してもよい。更に、所望する場合、物質を全て同時に超偏極させてもよい。更に、所望する場合、本明細書に記載されるような物質を混合しながら超偏極させてもよい。
【0013】
別の態様に従って、第1の物質および/又は第2の物質は、生体外(in vitro)NMR分析に好適であってもよい。好ましくは、生体外NMR分析の目的では、第1の物質は、水、生理食塩水、重水、アセトン−d6、エタノール−d6、アセトニトリル−d3、蟻酸−d2、ベンゼン−d6、メタノール−d4、クロロホルム−d1、ニトロメタン−d3、酸化ジュウテリウム、ピリジン−d5、ジクロロメタン−d2、1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2、ジメチルホルムアミド−d7、テトラヒドロフラン−d8、ジメチルスルホキシド−d6、トルエン−d8、1,4−ジオキサン−d8、トリフルオロ酢酸−d1、およびこれらの組み合わせなどの、NMR検査に溶媒として一般に使用される物質の群から選択される。更に、第1の物質および/又は第2の物質のうち少なくとも1つは、生体内MRI検査に使用するのに好適な生理学的に許容される液体を含んでもよい。
【0014】
生体内MRIの目的では、第1の物質は、好ましくは、水、重水、およびFDAに認可された他の液体等の生体内溶液又はサスペンションの注入に一般に使用される物質の群から選択される。更に別の態様に従って、本方法は、更に、標的物質の近位にある部位および/又は標的物質自体の分析を実施する工程を含んでもよい。例えば、分析は、患者などの目的の部位の磁気共鳴画像の形成を含んでもよい。別の例として、分析は、1つ又は複数の標的などの生体外又は生体内試料のNMRスペクトルの分析を含んでもよい。
【0015】
本明細書では超偏極物質を製造するシステムも提供する。本システムは第1の物質を準備する手段(ここで、第1の物質は標準条件で液体、固体、又は非希ガスである)、第1の物質が超偏極状態になるまで第1の物質の核超偏極を増大させる手段、および第1の物質から第2の物質に超偏極を移動させる手段を具備する。
【0016】
本発明は、超偏極物質を含む固体表面を有する物体を提供する工程を含む、物質を超偏極させる方法も提供する。本方法は、更に、超偏極物質から、固体表面と接触する流体に超偏極を移動させる工程を含む。
【0017】
別の態様に従って、物体は形状が球状であってもよく、又は他の任意の好適な形状であってもよい。更に、固体表面は、とりわけ13C、15N、1H、2H、31P、19F、29Siおよびこれらの組み合わせを含む群から選択される、核を含有する物質を含んでもよい。一実施形態に従って、流体は液体であってもよい。例えば、液体は、水、重水、アセトン−d6、エタノール−d6、アセトニトリル−d3、蟻酸−d2、ベンゼン−d6、メタノール−d4、クロロホルム−d1、ニトロメタン−d3、酸化ジュウテリウム、ピリジン−d5、ジクロロメタン−d2、1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2、ジメチルホルムアミド−d7、テトラヒドロフラン−d8、ジメチルスルホキシド−d6、トルエン−d8、1,4−ジオキサン−d8、トリフルオロ酢酸−d1、およびこれらの組み合わせを含む、NMR検査に溶媒として一般に使用される群から選択されてもよい。別の態様に従って、流体は気体であってもよい。気体は、とりわけ、例えば、空気、窒素、二酸化炭素、キセノン、3He、およびこれらの組み合わせを含む、吸入療法の目的に一般に使用されるものから選択されてもよい。
【0018】
更に本発明に従って、超偏極を移動させる装置を提供する。本装置は、超偏極物質が上および/又は中に堆積した表面を具備する。装置は、更に、流体(例えば、液体又は気体)を前記表面と接触するように送る手段を具備する。本装置は、また、表面から流体に超偏極を移動させる手段も具備する。
【0019】
別の態様に従って、表面は複数の球状の物体又は他の任意の好適な形状の物体を含んでもよい。表面は、とりわけ13C、15N、1H、31P、19F、29Si、2Hおよびこれらの組み合わせを含む群から選択される核を含有する物質を含んでもよい。流体は、とりわけ水、生理食塩水、重水、アセトン−d6、エタノール−d6、アセトニトリル−d3、蟻酸−d2、ベンゼン−d6、メタノール−d4、クロロホルム−d1、ニトロメタン−d3、酸化ジュウテリウム、ピリジン−d5、ジクロロメタン−d2、1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2、ジメチルホルムアミド−d7、テトラヒドロフラン−d8、ジメチルスルホキシド−d6、トルエン−d8、1,4−ジオキサン−d8、トリフルオロ酢酸−d1、およびこれらの組み合わせなどの、NMR溶媒として一般に使用されるものなどの液体であってもよい。別の態様に従って、流体は、追加で又は代わりに、空気、窒素、二酸化炭素、キセノン、3He、およびこれらの組み合わせを含む、吸入療法の用途に一般に使用されるものなどの気体を含んでもよい。
【0020】
更に本発明に従って、超偏極物質の製造方法を提供する。本方法は、溶媒を準備する工程、溶媒を超偏極させる工程、および溶媒から標的物質に超偏極を移動させる工程を含む。
【0021】
別の態様に従って、溶媒を標的物質と混合し、とりわけ(i)溶液、(ii)サスペンション、(iii)エマルション、(iv)コロイド、および(v)複合材料を含む群から選択される混合物を作り出してもよい。所望する場合、本方法は更に、標的物質を超偏極させる工程を含んでもよい。例えば、混合することによって標的物質を超偏極させてもよい。例えば、標的物質を溶媒に溶解させてもよい。別の例として、電磁結合により超偏極を標的物質に移動させてもよい。例えば、電磁気パルス・シーケンスで電磁結合を提供し、電磁結合を使用して超偏極溶媒から標的に超偏極を移動させてもよい。
【0022】
別の態様に従って、溶媒と標的物質を混合した後、それらを超偏極させてもよい。所望する場合、溶媒および/又は標的物質をそれぞれ、一緒に混合される複数の構成物質で構成してもよい。混合前、混合中、又は混合後にこれらの構成物質を超偏極させてもよい。
【0023】
更に別の態様に従って、溶媒は、生体外NMR分析に好適な液体を含んでもよい。例えば、溶媒としては、水、重水、アセトン−d6、エタノール−d6、アセトニトリル−d3、蟻酸−d2、ベンゼン−d6、メタノール−d4、クロロホルム−d1、ニトロメタン−d3、酸化ジュウテリウム、ピリジン−d5、ジクロロメタン−d2、1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2、ジメチルホルムアミド−d7、テトラヒドロフラン−d8、ジメチルスルホキシド−d6、トルエン−d8、1,4−ジオキサン−d8、トリフルオロ酢酸−d1、およびこれらの組み合わせなどの、NMR検査に溶媒として一般に使用される物質が挙げられる。生体内MRIの目的では、液体は、好ましくは、本明細書に記載されるような生体内溶液および/又はサスペンションの注入に一般に使用される物質である。
【0024】
更に別の態様に従って、本方法は更に、標的物質の近位にある部位および/又は標的物質の分析を実施する工程を含んでもよい。例えば、分析は、患者などの目的の部位の磁気共鳴画像の形成を含んでもよい。別の例として、分析は、生体外又は生体内試料又は標的のNMRスペクトルの分析を含んでもよい。本発明は、また、超偏極物質を製造するシステムを提供する。本システムは、溶媒を提供する手段、溶媒を超偏極させる手段、および溶媒から標的物質に超偏極を移動させる手段を具備する。
【0025】
更に本発明に従って、溶媒を超偏極させる方法、並びに本方法に従って製造される超偏極溶媒を提供する。本方法に従って、(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極(parahydrogen induced polarization)、(iii)極限(brute force)環境を、最も好ましくは量子緩和スイッチ(quantum relaxation switch)と共に使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に溶媒の分子を暴露させることによる溶媒の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される方法により溶媒の分子を超偏極させる。
【0026】
別の態様に従って、溶媒は、生体外NMR分析に好適な液体を含んでもよい。別の例として、溶媒は、生体内MRI検査に使用するのに好適な生理学的に許容される液体を含んでもよい。例えば、溶媒としては、水、重水、アセトン−d6、エタノール−d6、アセトニトリル−d3、蟻酸−d2、ベンゼン−d6、メタノール−d4、クロロホルム−d1、ニトロメタン−d3、酸化ジュウテリウム、ピリジン−d5、ジクロロメタン−d2、1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2、ジメチルホルムアミド−d7、テトラヒドロフラン−d8、ジメチルスルホキシド−d6、トルエン−d8、1,4−ジオキサン−d8、トリフルオロ酢酸−d1、およびこれらの組み合わせなどの、NMR検査に溶媒として一般に使用される物質が挙げられる。
【0027】
更に別の態様に従って、本方法は、更に、超偏極させる前に溶媒を表面積の大きい構成にする工程を含んでもよい。例えば、超偏極させる前に、表面積の大きい基材上に溶媒を塗布することによって、溶媒を表面積の大きい構成にしてもよい。好ましくは、本方法は、以下に限定されないが、酸素基(oxygen groups)、酸化鉄、および不対電子基(unpaired electron groups)等の磁性不純物を表面積の大きい基材の表面から取り除く工程を含んでもよい。別の態様に従って、表面積の大きい基材は、また、好ましくは磁気的に不活性である。例として、表面積の大きい基材は、好ましくは、とりわけエアロゲル材料、シリコン・ビーズ(silicon beads)、ヒュームド・シリカ、カーボン・ナノ構造(carbon nanostructure)、シリコン・ナノファイバー(silicon nanofiber)、膨張化炭素(exfoliated carbon)、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される。
【0028】
本発明は、更に、基材を使用することなく溶媒を表面積の大きい構成にする工程を含んでもよい。例えば、液体に噴霧凍結すること(SFL)又は噴霧凝結(SC)法などの周知の方法を使用して溶媒を粉末化してもよい。
【0029】
更に別の態様に従って、本方法は、更に、溶媒を超偏極させる前に溶媒を冷却する工程を含む。一実施形態に従って、溶媒を超偏極させる前に、溶媒を約100K未満の温度に冷却する。より好ましくは、本方法は、溶媒を超偏極させる前に、溶媒を約80K、60K、40K、20K、10K、5K又は更には1K未満の温度に冷却する工程を含む。
【0030】
別の態様に従って、本方法は、溶媒の超偏極を促進するために溶媒を磁場に暴露させる工程を含んでもよい。一実施形態に従って、磁場の強度は約10mTより大きい。より好ましくは、磁場は、約0.5T、1.0T、1.5T、2.0T、3.0T、5.0T、7.0T、10.0T、15.0T、20.0T、又は更には25.0Tより大きい強度を有する。更に別の態様に従って、本方法はまた、好ましくは、溶媒の超偏極を促進するために溶媒をヘリウムに暴露させる工程を含む。更により好ましくは、ヘリウムは3Heを含む。一実施形態に従って、溶媒上に少なくとも1つの3Heの単分子層が形成するのに十分な量の3Heに溶媒を暴露させる。
【0031】
別の態様に従って、溶媒のかなりの部分が緩和して超偏極状態になることを可能にするのに十分な時間、溶媒を低温で磁場中に維持する。例えば、緩和を可能にするのに十分な時間は、数分から数時間、又は更には数日まで様々であり、適宜、任意の時間増分があってもよい。
【0032】
更に別の態様に従って、本方法は、更に、溶媒から3Heを排除するために溶媒を4Heに暴露させる工程を含む。所望する場合、本方法は、また、超偏極溶媒の温度を上昇させる工程を含んでもよい。好ましくは、約1.0ガウスより大きい強度を有する磁場の存在下で超偏極溶媒の温度を上昇させる。更により好ましくは、約1.0、1.5、3.0、7.0テスラ又は約10.0テスラ以上の強度を有する磁場の存在下で超偏極溶媒の温度を上昇させる。好ましくは、超偏極の実質的な損失を回避するのに十分な時間内で、溶媒の温度を上昇させる。所望する場合、溶媒の温度を室温に上昇させてもよい。所望する場合、超偏極溶媒を表面積の大きい基材から溶出させてもよい。
【0033】
更に別の態様に従って、本方法は、溶媒を微細な形態に転換することにより、溶媒を表面積の大きい構成にする工程を含んでもよい。例えば、溶媒を粉末に転換してもよい。例えば、溶媒を霧化および凍結することによって溶媒を粉末に転換してもよい。所望する場合、溶媒を低温で磁場中に、長時間維持してもよい。例えば、長時間は、約10分の1秒〜約1週間であってもよい。
【0034】
更に別の態様に従って、本方法は、更に、超偏極溶媒を容器に入れて第1の位置から第2の位置に移送する工程を含んでもよい。更に別の態様に従って、超偏極溶媒から試料又は分析される他の物質に超偏極を移動させてもよい。移送前、移送中、又は移送後に超偏極溶媒を、検体を含有する追加の無偏極溶媒と混合し、溶媒混合物を形成してもよい。次いで、得られた混合物を、分析される目的の部位に送達してもよい。例えば、目的の部位の磁気共鳴画像を生成してもよい。別の例として、検体又は検体の代謝生成物のNMRスペクトルを測定してもよい。
【0035】
別の例として、様々な溶液を超偏極させるシステムも提供する。第1のシステムでは、前述のように溶媒を偏極させた後、選択した検体をそれに溶解させる。第2のシステムでは、まず検体を無偏極溶媒に溶解させた後、得られた溶液を表面積の大きい構成にし、その後、超偏極させる。溶液を好適な基材上に塗布すること(plating)又は溶液を本明細書に記載されるように粉末化することによって、大きい表面積を達成することができる。
【0036】
本システムは、超偏極溶液を製造する手段を具備する。前述のように、これは、溶媒を超偏極させた後、それに検体を溶解させることを含んでもよい。溶媒を超偏極させる方法は、(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)極限環境を、最も好ましくは量子緩和スイッチと共に使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に溶媒の分子を暴露させることによる溶媒の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される方法を使用する工程を含んでもよい。好ましくは、また、溶媒から、溶媒に添加された検体に超偏極を移動させる。好ましくは、本システムはまた、超偏極溶液を第1の位置から第2の位置に移送する手段を具備する。
【0037】
別の例として、本方法は、まず検体を所望の溶媒と混合した後、得られた溶液を超偏極させる工程を含んでもよい。溶液を超偏極させる方法は、(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)極限環境を、最も好ましくは量子緩和スイッチと共に使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に溶媒の分子を暴露させることによる溶媒の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される方法を使用する工程を含んでもよい。好ましくは、本システムはまた、超偏極溶液を第1の位置から第2の位置に移送する手段を具備してもよい。
【0038】
更に本発明に従って、超偏極サスペンションの製造方法、並びに超偏極サスペンション自体を提供する。本方法は、超偏極物質を提供する工程、および超偏極物質を媒体に分散させて超偏極サスペンションを作り出す工程を含む。別の例として、媒体を超偏極させ、媒体に物質を分散させて超偏極サスペンションを作り出すことによって、超偏極サスペンションを提供してもよい。これは、媒体に添加された物質に超偏極を移動させる工程を含んでもよい。更に、非超偏極成分からサスペンションを製造し、その製造後にサスペンションを超偏極させることによって超偏極サスペンションを製造してもよい。また、3つ以上の成分で構成されるサスペンションを提供してもよく、ここで、サスペンションの成分の1つ以上は、それらを混合する前に超偏極される。
【0039】
別の態様に従って、(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)極限環境を、最も好ましくは量子緩和スイッチと共に使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に成分の分子を暴露させることによる成分の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される方法を使用して、サスペンションの1つ若しくは複数の超偏極成分又はサスペンション自体を超偏極させてもよい。更に別の態様に従って、超偏極成分の直径は、約1000μm未満であってもよい。より好ましくは、超偏極成分の直径は約100μm未満である。更により好ましくは、超偏極成分の直径は約10μm、5μm、又は1μm未満である。好ましくは、超偏極サスペンションを形成するために超偏極物質が分散される媒体は、生理学的に許容され得る媒体である。別の実施形態に従って、超偏極物質は、それ自体、生理学的に許容され得る物質である。
【0040】
更に別の態様に従って、本方法は、更に、磁場の存在下で物質を分散させる工程を含んでもよい。磁場は、1.0ガウスを越える磁場強度を有してもよい。更に別の態様に従って、媒体は(i)固体、(ii)液体、および(iii)気体を含む群から選択されてもよい。例えば、媒体は空気であってもよい。従って、所望する場合、本方法は、超偏極サスペンションを、患者の気道などの目的の部位に導入する工程を更に含んでもよい。
【0041】
更に別の態様に従って、超偏極物質を提供する手段、および超偏極物質を媒体に分散させて超偏極サスペンションを作り出す手段を含む、超偏極サスペンションを製造するシステムを提供する。また、媒体を超偏極させる手段、および物質を媒体に分散させて超偏極サスペンションを作り出す手段を提供してもよい。更に、サスペンションの製造後、サスペンションを超偏極させる手段を提供してもよい。また、3つ以上の成分で構成される超偏極サスペンションを製造する手段を提供してもよく、ここで、サスペンションの成分の1つ以上は、前記手段でそれらを混合する前に超偏極される。好ましくは、本システムは、更に、超偏極サスペンションを第1の位置から第2の位置に移送する手段を具備する。移送前、移送中、又は移送後に分散を行ってもよいことが分かる。
【0042】
更に本発明に従って、超偏極エマルションを製造する方法、並びに超偏極エマルション自体も提供する。本方法は、超偏極物質を提供する工程、および超偏極物質を媒体と混合し、超偏極エマルションを作り出す工程を含む。これは、超偏極物質から媒体に超偏極を移動させる工程を含んでもよい。或いは、本方法は、媒体を超偏極させる工程、および物質を媒体に混入して超偏極エマルションを作り出す工程を含んでもよい。更に、非超偏極成分からエマルションを製造し、その製造後にエマルションを超偏極させることによって超偏極エマルションを製造してもよい。また、3つ以上の成分で構成されるエマルションを提供してもよく、ここで、エマルションの成分の1つ以上は、それらを混合する前に超偏極される。
【0043】
別の態様に従って、(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)極限環境を、最も好ましくは量子緩和スイッチと共に使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核にエマルション又はその成分の分子を暴露させることによるエマルション又はその成分の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される方法を使用して、超偏極物質若しくはエマルションの他の成分又はエマルション自体を超偏極させてもよい。好ましくは、超偏極エマルションを形成するために超偏極物質と混合される媒体は、生理学的に許容される媒体である。別の実施形態に従って、超偏極物質は、それ自体、生理学的に許容される物質である。
【0044】
別の態様に従って、混合工程は、磁場の存在下で行われてもよい。好ましくは、混合工程は、少なくとも約1.0ガウスの強度を有する磁場で行われる。更に、混合工程は、超偏極物質および媒体が両方とも液体の形態である温度で行われてもよい。しかし、所望する場合、超偏極物質と媒体はどちらも、混合時に、固体、液体、又は気体の形態であってもよい。
【0045】
更に別の態様に従って、超偏極エマルションを製造するシステムを提供する。本システムは、超偏極物質を提供する手段、および超偏極物質を媒体と混合して超偏極エマルションを作り出す手段を具備する。これは、超偏極物質から媒体に超偏極を移動させる手段を具備してもよい。また、媒体を超偏極させる手段、およびその媒体と物質を混合して超偏極エマルションを作り出す手段を提供してもよい。更に、エマルションの製造後、エマルションを超偏極させる手段を提供してもよい。また、3つ以上の成分で構成される超偏極エマルションを製造する手段を提供してもよく、ここで、エマルションの成分の1つ以上は、前記手段でそれらの混合する前に超偏極される。所望する場合、本システムは、更に、超偏極懸エマルションを第1の位置から第2の位置に移送する手段を具備してもよい。移送前、移送中、又は移送後に混合を行ってもよいことが分かる。
【0046】
更に本発明に従って、超偏極コロイドを製造する方法、並びに超偏極コロイド自体を提供する。本方法は、超偏極物質を提供する工程、および超偏極物質を媒体と混合して超偏極コロイドを作り出す工程を含む。これは、超偏極物質から媒体に超偏極を移動させる工程を含んでもよい。或いは、本方法は、媒体を超偏極させる工程、および物質を媒体に混入させて超偏極コロイドを作り出す工程を含んでもよい。更に、非超偏極成分からコロイドを製造し、その製造後にコロイドを超偏極させることによって超偏極コロイドを製造してもよい。また、3つ以上の成分で構成されるコロイドを提供してもよく、ここで、コロイドの成分の1つ以上は、それらを混合する前に超偏極される。
【0047】
別の態様に従って、(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)極限環境を、最も好ましくは量子緩和スイッチと共に使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核にコロイド又はその成分の分子を暴露させることによるコロイド又はその成分の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される方法を使用して、超偏極物質若しくはコロイドの他の成分又はコロイド自体を超偏極させてもよい。好ましくは、超偏極コロイドを形成するために超偏極物質と混合される媒体は、生理学的に許容される媒体である。別の実施形態に従って、超偏極物質は、それ自体、生理学的に許容される物質である。
【0048】
別の態様に従って、混合工程は、少なくとも約1.0ガウスの強度を有するものなどの磁場の存在下で行われてもよい。更に、混合工程は、超偏極物質と媒体が両方とも液体の形態である温度で行われてもよい。しかし、所望する場合、超偏極物質と媒体はどちらも、混合時に、固体、液体、又は気体の形態であってもよい。
【0049】
更に別の態様に従って、超偏極コロイドを製造するシステムを提供する。本システムは、超偏極物質を提供する手段、および超偏極物質を媒体と混合して超偏極コロイドを作り出す手段を具備する。これは、超偏極物質から媒体に超偏極を移動させることを含んでもよい。媒体を超偏極させる手段、および物質を媒体と混合して超偏極コロイドを作り出す手段を提供してもよい。更に、コロイドの製造後、コロイドを超偏極させる手段を提供してもよい。また、3つ以上の成分で構成される超偏極コロイドを製造する手段を提供してもよく、ここで、コロイドの成分の1つ以上は、前記手段でそれらを混合する前に超偏極される。所望する場合、本システムは、更に、超偏極懸コロイドを第1の位置から第2の位置に移送する手段を具備してもよい。移送前、移送中、又は移送後に混合を行ってもよいことが分かる。
【0050】
更に本発明に従って、超偏極複合材料を製造する方法、並びに、本方法に従って製造される超偏極複合材料を提供する。本方法は、超偏極物質を提供する工程、および超偏極物質を媒体などの第2の物質と混合して超偏極複合材料を作り出す工程を含む。これは、超偏極物質から第2の物質に超偏極を移動させる工程を含んでもよい。或いは、本方法は、媒体を超偏極させる工程、および媒体に物質を混入させて超偏極複合材料を作り出す工程を含んでもよい。更に、非超偏極成分から複合材料を製造し、その製造後に複合材料を超偏極させることによって超偏極複合材料を製造してもよい。また、3つ以上の成分で構成される複合材料を提供してもよく、ここで、複合材料の成分の1つ以上は、それらを混合する前に超偏極される。
【0051】
別の態様に従って、(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)極限環境を、最も好ましくは量子緩和スイッチと共に使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に複合材料の成分を暴露させることによる複合材料の成分への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される方法を使用して、超偏極物質、複合材料の成分又は複合材料自体を超偏極させてもよい。好ましくは、超偏極複合材料を形成するために超偏極物質と混合される媒体は、生理学的に許容される媒体である。別の実施形態に従って、超偏極物質は、それ自体、生理学的に許容される物質である。
【0052】
別の例として、複合材料は、ポリマー外殻を有するものなどのカプセル化された物質を含んでもよく、テンタ・ゲル(TentaGel)などの物質を含んでもよい。別の例として、複合材料は、超偏極物質を収容する又は他の方法で超偏極物質を含むリポソームを含んでもよい。
【0053】
更に別の態様に従って、混合工程は、磁場の存在下で行われてもよい。好ましくは、磁場は、少なくとも約1.0ガウスの強度を有する。超偏極物質は、(i)固体物質、(ii)液体物質、(iii)気体物質およびこれらの組み合わせを含む群から選択されてもよい。媒体は、とりわけ、水および生理食塩水を含む群から選択されてもよい。所望する場合、空気、窒素、二酸化炭素、キセノン、および3He等の、吸入療法に一般に使用される気体を分散媒体として選択することもできる。
【0054】
更に別の態様に従って、超偏極複合材料を製造するシステムを提供する。本システムは、超偏極物質を提供する手段、および超偏極物質を媒体と混合して超偏極複合材料を作り出す手段を具備する。また、媒体を超偏極させる手段、および物質を媒体と混合して超偏極複合材料を作り出す手段を提供してもよい。更に、複合材料の製造後、複合材料を超偏極させる手段を提供してもよい。また、3つ以上の成分で構成される超偏極複合材料を製造する手段を提供してもよく、ここで、複合材料の成分の1つ以上は、前記手段でそれらを混合する前に超偏極される。所望する場合、本システムは、更に、超偏極懸複合材料を第1の位置から第2の位置に移送する手段を具備してもよい。移送前、移送中、又は移送後に混合を行ってもよいことが分かる。所望する場合、超偏極複合材料又はその成分は、例えば、(i)固体物質、(ii)液体物質、(iii)気体物質、およびこれらの組み合わせを含む群から選択されてもよい。
【0055】
更に本発明に従って、有益な薬剤(beneficial agent)を提供する。本発明の一実施形態に従って、有益な薬剤は、多孔質のカプセル化剤(encapsulating medium)によって取り囲まれた超偏極芯物質を含む。
【0056】
別の態様に従って、カプセル化剤の多孔度は、気体がカプセル化剤を通過して芯物質に到達することを実質的に可能にしてもよい。例えば、カプセル化剤の多孔度は、ヘリウムがカプセル化剤を通過することを実質的に可能にしてもよいが、また、ヘリウムより大きい気体分子がカプセル化剤を通過することを実質的に防止してもよい。
【0057】
更に別の態様に従って、超偏極芯物質は、比較的長いスピン−格子緩和時間を有してもよい。例えば、超偏極芯物質は、とりわけ、13C、15N、1H、2H、31P、19F、29Siおよびこれらの組み合わせなどの核を含有する物質を含んでもよい。
【0058】
更に別の態様に従って、カプセル化剤はポリマー材料を含んでもよい。ポリマー材料は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせを含む群から選択される物質を含んでもよい。好ましくは、カプセル化材料は、所望する場合、100K、10Kおよび1K未満の温度でその構造的一体性を実質的に維持するように調製および構成される。別の例として、カプセル化材料はまた超偏極物質を含んでもよい。
【0059】
別の実施形態に従って、カプセル化剤はリポソームなどの生物由来の媒体を含む。リポソームは、超偏極物質をその中又は上に含むように調製および構成されてもよい。また、本明細書に開示されている任意の好適な方法を使用してリポソームの材料自体を超偏極させてもよい。例えば、リポソームを超偏極液体(例えば、溶媒、溶液、サスペンション、エマルション、コロイド等)又は気体に暴露させてもよい。リポソームは、超偏極流体(例えば、液体)を吸収した後、目的の部位に送られてもよい。或いは、前記超偏極物質のいずれかによって発生した大きい双極子磁場(dipolar field)を使用し、リポソームバリアを通して偏極を移動させてもよい。リポソーム内、リポソーム上にある、又はリポソームを構成する超偏極物質を使用して、例えば、MRイメージング中の目的の腫瘍又は他の解剖学的構造の位置を正確に特定することができる、又は、それを適宜、NMR検査に使用してもよい。
【0060】
一実施形態に従って、リポソームに超偏極ピルビン酸塩(pyruvate)を提供する。NMR/MRI法を使用することによってピルビン酸塩を消費する代謝プロセスの存在の検出を可能にするため、リポソームを使用して、患者の一部分のなどの目的の部位の所望の位置に超偏極ピルビン酸塩を的確に送達することができる。
【0061】
別の態様に従って、超偏極芯物質は、標準条件で固体である物質を含んでもよい。例えば、超偏極芯物質は、標準条件で液体、気体、又は固体である物質を含んでもよい。所望する場合、生体内又は生体外検査に使用され得る、平均直径約0.001μm〜約100μmのカプセルの形態で有益な薬剤を提供してもよい。好ましくは、平均直径約0.001μm〜約10μmのカプセルの形態で有益な薬剤を提供する。
【0062】
別の態様に従って、有益な薬剤は、カプセル化剤の近位に配置された機能性要素を含んでもよく、機能性要素は、使用時に有益な結果が得られるように調製および構成される。芯物質は、ヘキサフルオロベンゼン、およびパーフルオロカーボン等を含む群から選択されてもよい。
【0063】
本発明は、また、カプセル化剤によって取り囲まれた超偏極芯物質を含む有益な薬剤を提供し、ここで、超偏極芯物質は、(i)液体物質、(ii)固体物質、(iii)固体物質を散在させた気体物質、(iv)液体物質を散在させた気体物質、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される物質を含む。
【0064】
別の態様に従って、カプセル化剤は多孔質であってもよい。カプセル化剤の多孔度は、気体がカプセル化剤を通過して芯物質に到達することを実質的に可能にしてもよい。例えば、カプセル化剤の多孔度は、ヘリウムがカプセル化剤を通過することを実質的に可能にしてもよく、所望する場合、ヘリウムより大きい気体分子がカプセル化剤を通過することを実質的に防止してもよい。
【0065】
更に別の態様に従って、超偏極芯物質は、比較的長いスピン−格子緩和時間を有してもよい。例えば、超偏極芯物質は、13C、15N、1H、2H、31P、19F、29Siおよびこれらの組み合わせなどの核を含有する物質から選択される物質を含んでもよい。所望する場合、カプセル化剤は、ポリマー材料を含んでもよい。ポリマー材料は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせを含む群から選択される物質を含んでもよい。好ましくは、カプセル化剤は、100K未満の温度でその構造的一体性を実質的に維持するように調製および構成される。より好ましくは、カプセル化剤は、10K未満の温度でその構造的一体性を実質的に維持するように調製および構成される。更により好ましくは、カプセル化剤は、1K未満の温度でその構造的一体性を実質的に維持するように調製および構成される。所望する場合、カプセル化材料は超偏極物質を含んでもよい。
【0066】
更に別の態様に従って、有益な薬剤は、生体内での使用が許容される物質で構成されてもよい。所望する場合、有益な薬剤を平均直径約0.001μm〜約100μmのカプセルの形態で提供してもよい。更により好ましくは、有益な薬剤を平均直径約0.001μm〜約10μmのカプセルの形態で提供してもよい。本明細書に記載の他の実施形態と同様に、有益な薬剤には更に、使用時に有益な結果が得られるように調製および構成されている機能性要素がカプセル化剤の近位に配置されていてもよい。例えば、芯物質は、ヘキサフルオロベンゼン、およびパーフルオロカーボン等を含む群から選択されてもよい。
【0067】
更に本発明に従って、超偏極物質を提供するためのキットを提供する。本キットは、少なくとも1つのカプセル化された物質を含む。カプセル化された物質は芯物質を含み、芯物質は比較的長いスピン−格子緩和時間を有する物質を含む。カプセル化された物質は更に、芯物質を取り囲むカプセル化剤を含む。キットはまた、カプセル化された物質の超偏極を促進するための使用説明書を含む。
【0068】
別の態様に従って、カプセル化剤は、本明細書に記載されるように多孔質であってもよい。芯物質は、13C、15N、1H、2H、31P、19F、29Siおよびこれらの組み合わせなどの核を含有する物質を含む群から選択される物質を含んでもよい。カプセル化剤は、また、本明細書に記載されるようなポリマー材料を含んでもよい。例えば、ポリマー材料は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせを含む群から選択される物質を含んでもよい。別の態様に従って、カプセル化剤は、100K、10K、および1K未満の温度などの低温でその構造的一体性を実質的に維持するように調製および構成されてもよい。更に、カプセル化剤は、とりわけ10mT、1T、および10Tを超える強度などの、様々な強度の磁場の存在下でその構造的一体性を実質的に維持するように調製および構成されてもよい。更に別の態様に従って、キットのカプセル化材料は、比較的長いスピン−格子緩和時間を有する物質を含んでもよい。芯物質は、標準条件で固体、液体および/又は気体である物質を含んでもよい。
【0069】
更に別の態様に従って、キットの使用説明書は、量子緩和スイッチを使用して、カプセル化された物質の超偏極を促進する方法を記載してもよい。別の例として、キットの使用説明書は、超偏極キャリヤから芯物質に超偏極を移動させることによって、カプセル化された物質の超偏極を促進する方法を記載してもよい。
【0070】
更に別の態様に従って、(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)極限環境を、最も好ましくは量子緩和スイッチと共に使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に芯物質の分子を暴露させることによる芯物質の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される方法を使用して、芯物質を超偏極させてもよい。
【0071】
更に本発明に従って、超偏極したカプセル化された物質を調製し、提供する方法を提供する。第1の態様に従って、本方法は、カプセル化された物質を提供する工程、超偏極キャリヤ又は超偏極促進剤(例えば、3He)を提供する工程、カプセル化された物質を超偏極キャリヤ又は促進剤に暴露させる工程、および超偏極キャリヤからカプセル化された物質に超偏極を移動させる工程、又は超偏極促進剤を使用して物質の超偏極を促進する工程を含む。
【0072】
別の態様に従って、(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)極限環境を、最も好ましくは量子緩和スイッチと共に使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に溶媒の分子を暴露させることによる溶媒の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される方法を使用して、超偏極キャリヤを超偏極させてもよい。
【0073】
更に別の態様に従って、カプセル化された物質は、本明細書に記載されるように超偏極キャリヤ又は超偏極促進剤の通過を可能にする多孔質の表面部分を有してもよい。多孔質の表面部分は、好ましくは、超偏極キャリヤ又は超偏極促進剤が多孔質の表面部分を通過して、カプセル化された物質の芯部分に入ることを可能にする。芯部分は、標準条件で固体、液体および/又は気体である物質を含んでもよい。カプセルの多孔質の表面部分は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせなどのポリマー材料を含んでもよい。
【0074】
別の態様に従って、超偏極キャリヤは、表面部分を通過して芯部分に至ってもよい。例えば、超偏極キャリヤは、気体の超偏極キセノンを含んでもよい。更に別の態様に従って、芯部分は、13C、15N、1H、31P、19F、29Siおよびこれらの組み合わせを含む群から選択される物質を含んでもよい。
【0075】
別の態様に従って、本方法は、更に、カプセル化された物質を冷却する工程を含んでもよい。好ましくは、カプセル化された物質は、約100K、10K、又は1K未満の温度に冷却される。追加で又は代わりに、本方法は、例えば、10mT、1T、および10Tを超える最大強度を有する磁場などの磁場に、カプセル化された物質を暴露させる工程を含んでもよい。
【0076】
本発明は、また、量子緩和スイッチの役割をする超偏極促進剤を使用して、超偏極したカプセル化された物質を調製し、提供する方法を提供する。本方法は、カプセル化された物質を提供する工程、および、量子緩和スイッチを使用して、カプセル化された物質の超偏極の超偏極を促進する工程を含む。
【0077】
別の態様に従って、カプセル化された物質を3Heに暴露させてもよい。好ましくは、カプセル化された物質は、3Heの通過を可能にする多孔質の表面部分を有する。更により好ましくは、多孔質の表面部分は、気体が多孔質の表面部分を通過してカプセル化された物質の芯部分に入ることを可能にする。芯部分は、標準条件で固体、液体および/又は気体である物質を含んでもよい。別の態様に従って、カプセルの多孔質の表面部分は、とりわけ、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせなどのポリマー材料を含んでもよい。一実施形態に従って、カプセル化剤の多孔度は、ヘリウムがカプセル化剤を通過することを実質的に可能にしてもよく、ヘリウムより大きい分子がカプセル化剤を通過することを実質的に防止してもよい。好ましくは、芯部分は、とりわけ、13C、15N、1H、2H、31P、19F、29Siおよびこれらの組み合わせを含む群から選択される核を含有する物質を含む。
【0078】
更に別の態様に従って、カプセル化された物質の超偏極を促進するために、カプセル化された物質を冷却してもよい、および/又は磁場中に維持してもよい。例えば、カプセル化された物質をとりわけ約100K、10K、又は1K未満の温度に冷却してもよい。別の例として、磁場は、とりわけ約10mT、1T、および10Tを超える最大強度を有してもよい。好ましくは、芯物質の少なくとも一部が緩和して超偏極状態になることを可能にするのに十分な時間、芯物質を低温で磁場中に維持する。
【0079】
別の態様に従って、芯物質を4Heに暴露させて芯物質から3Heを排除し、このようにして芯物質の超偏極を維持し、3Heを除去してもよい。一実施形態に従って、超偏極したカプセル化された物質を低温に、および/又は磁場中に長時間維持してもよい。このようにして超偏極物質を維持すると物質の貯蔵および/又は移送が容易になり、物質からの超偏極の損失が最小限になる。長時間は、例えば、約10分の1秒〜約1週間の任意の好適な時間であり、任意の好適な時間増分があってもよい。物質を最終用途のために別の位置に移送する場合、超偏極したカプセル化された物質を好適な容器に入れて第1の位置から第2の位置に、好ましくは低温で、磁場の存在下で移送してもよい。
【0080】
所望する場合、カプセル化された物質を低温で磁場中に長時間(約10分の1秒〜約1週間など)維持してもよい。カプセル化された超偏極物質を容器に入れて第1の位置から第2の位置に移送してもよい。超偏極の実質的な損失が回避されるように、カプセル化された超偏極物質を使用する前に、カプセル化された物質の温度をまず上昇させてもよい。次いで、カプセル化された超偏極物質を分析される目的の部位に導入してもよい。例えば、目的の部位の磁気共鳴画像を生成してもよい。別の例として、生体外又は生体内標的又は試料のNMRスペクトルを分析してもよい。
【0081】
更に別の態様に従って、使用するために、超偏極したカプセル化された物質の温度を上昇させてもよい。好ましくは、物質の超偏極の実質的な損失が最小限になるように、カプセル化された物質の温度を上昇させる。次いで、カプセル化された超偏極物質を分析される目的の部位に導入してもよい。所望する場合、目的の部位の磁気共鳴画像を生成してもよい。別の例として、超偏極物質を使用して、生体外又は生体内試料又は標的のNMRスペクトルを分析してもよい。
【0082】
更に本発明に従って、患者などの目的の部位の磁気共鳴画像を得る方法を提供する。本方法は、超偏極したカプセル化された物質を患者などの目的の部位に導入する工程、目的の部位に電磁エネルギーの1つ又は複数のパルスを送信し、超偏極したカプセル化された物質を励起させる工程、および超偏極したカプセル化された物質から受信した信号を使用して目的の部位の磁気共鳴画像を作り出す工程を含む。
【0083】
本発明は、また、NMR分光法を実施する方法を提供する。本方法は、超偏極したカプセル化された物質を目的の部位に導入する工程、目的の部位に電磁エネルギーの1つ又は複数のパルスを送信し、超偏極したカプセル化された物質を励起させる工程、および目的の部位からNMRスペクトルを受信する工程を含む。
【0084】
前述の概略的な説明と以下の詳細な説明は共に例示的なものであり、請求する本発明を更に説明することが意図されている。
【0085】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本発明の方法およびシステムを図示し、更に分かり易くするために記載されている。説明と共に図面は本発明の原理を説明するのに役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0086】
ここで、本発明の好ましい実施形態を詳細に参照するが、その実施例は添付の図面に示されている。本発明の方法および対応する工程を本システムの詳細な説明と共に記載する。
【0087】
MRIおよび/又はNMRの有効性を向上させるために、本明細書に示されるデバイス、方法、および組成物を使用してもよい。本発明のある一定の実施形態は、物質を最初に超偏極させた位置から離れた位置にいる最終使用者に超偏極物質を提供するのに特に適している。更に、本発明の他の実施形態は、必要に応じて、試料、物質、および患者の分析を容易にするカプセル化された超偏極物質を提供する。
【0088】
本発明の第1の実施形態に従って、超偏極物質の製造方法を提供する。本方法は、第1の物質を提供する工程、第1の物質が超偏極状態になるまで第1の物質の核超偏極を増大させる工程、および、第1の物質から第2の物質に核超偏極を移動させる工程を含む。
【0089】
限定の目的ではなく説明と例証の目的で、本発明に従って実施される例示的方法およびシステムの方法段階を示す概略図を図1に示し、参照符号100でその全体を示している。本発明による方法および/又はシステムの他の実施形態又はその態様を、記載されるように、図2〜図7に提供する。
【0090】
従って、図1に示されるように、例えば、超偏極プラットホーム110に送入される第1の物質112を提供する。第1の物質112が超偏極状態になるまで、第1の物質112の核超偏極を増大させる。
【0091】
核超偏極は、(N↑−N↓)/(N↑+N↓)と記載することができ、ここで、N↑は、核磁気モーメントが外部磁場の方向に平行に整列している物質の核の数を表し、N↓は、核磁気モーメントが外部磁場の方向に逆平行に整列している物質の核の数を表す。本明細書で使用する時、超偏極の用語は、集団からのMR信号が標準的な操作条件での信号よりも増強されるように、核スピンの1つの集団(ensemble)又は核スピンの複数の集団1組のスピン秩序の増加を指すことが意図されている。この増加は、人工的に達成されてもよい。標準的なNMR/MRI操作条件(T=300K、B=1〜10テスラ)では、N↑〜N↓および均一な(even)プロトンの全体的な偏極はまだかなり低く、約数ppmである。超偏極は、高いパーセンテージの核スピンを所定の方向に;典型的には、印加した磁場の方向に沿って人工的に整列させる行為を指す。NMR/MRIの信号対雑音比は、偏極Pの一次関数である:
S/N〜(Qf0texp/T1)1/2c(xyz)P
従って、スピンを(例えば)10%の値まで超偏極させることによって、信号対雑音比を標的核に応じて10,000倍以上増加させることができる。
【0092】
第1の物質112を超偏極させるため、超偏極プラットホーム110で様々な方法を使用することができる。対象の開示の文脈で、本明細書に記載されるようなこれらの方法を使用して、本明細書に記載される有用な超偏極組成物(例えば、溶媒、溶液、サスペンション、エマルション、コロイド、および複合材料等)のいずれか又はその1つ以上の成分を超偏極させることができるということが分かる。
【0093】
第1の実施例として、動的核偏極(「DNP」)を使用して第1の物質112(又は他の物質)を超偏極させてもよい。DNPは一般に、排他的ではないが典型的にはマイクロ波照射を使用する電子共鳴線の飽和による、電子スピンから近傍の核スピンへの偏極の移動を含む。特許文献中のDNPの例としては米国特許第6,008,644号明細書が挙げられ、この特許は参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる。本発明の実施形態の幾つかの文脈では、DNPを使用して溶媒および/又は生理学的に許容される流体を超偏極させることができる。その後、溶媒又は流体の超偏極を目的の検体に移動させる。
【0094】
第2の実施例として、核オーバーハウザー効果を使用して第1の物質112(又は他の物質)を超偏極させることができる。核オーバーハウザー効果は一般に、排他的ではないが典型的には第1組のスピンの核共鳴線の飽和による、1組の核スピンから別の組の近傍の核スピンへの核偏極の移動を含む。文献中の核オーバーハウザー効果の例は、シュリヒター、磁気共鳴の原理、第2版、シュプリンガー出版、ベルリン、1978年(Schlichter, Principles of Magnetic Resonance, 2nd ed. Springer Velas, Berlin, 1978)に記載されており、この文献は参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる。
【0095】
本発明の実施形態の幾つかの文脈では、溶媒および/又は生理学的に許容される流体の1組の核スピンが通常より高い偏極を有するようにすることによって、核オーバーハウザー効果を使用することができる。その後、溶媒および/又は生理学的に許容される流体のこの過剰な偏極を目的の検体に移動させてもよい。
【0096】
第3の実施例として、パラ水素誘起分極(「PHIP」)を使用して、第1の物質112(又は他の物質)を超偏極させることができる。PHIPは一般に、触媒を用いたp−H2での水素化とそれに続く目的の核へのスピン秩序の移動による偏極の移動を含む。特許文献中のPHIPの例としては、例えば、米国特許第6,574,495号明細書が挙げられ、この特許は参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる。本発明の実施形態の幾つかの文脈では、例えば、PHIPを使用して溶媒および/又は生理学的に許容される流体の核を超偏極させることによって、PHIPを使用することができる。その後、溶媒および/又は生理学的に許容される流体の核超偏極を目的の検体に移動させてもよい。
【0097】
第4の実施例として、好ましくは量子緩和スイッチ(quantum relaxation switch)(本明細書では「QRS」と称される)を使用する極限超偏極を使用して、第1の物質112(又は他の物質)を超偏極させることができる。当該技術分野の用語として、極限(brute force)は、超偏極される物質を極低温で高磁場条件に暴露させることを指す。「極限」環境中の物質は、自然に緩和して高い核偏極状態になる傾向がある。しかし、追加の機構を使用しない場合、超偏極を達成する時間は一般に長過ぎて実用に向かない。3Heなどの超偏極促進剤を使用することにより、3Heによって提供される量子緩和スイッチは、極限条件にある物質の緩和を促進し、物質中の超偏極を迅速に誘起する。次いで、4Heを使用して3Heを第1の物質112の表面から除去し、超偏極を過剰に損失することなくそれを室温に加温することが可能になる。特許文献中のQRSの例としては米国特許第6,651,459号明細書が挙げられ、この特許は参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる。本発明の実施形態の幾つかの文脈では、溶媒中の核を緩和させて高い核超偏極状態にすることによってQRSを使用することができる。その後、溶媒および/又は生理学的に許容される流体の超偏極を目的の検体の核に移動させることができる。
【0098】
第5の実施例として、予め超偏極した気体の超偏極核に第1の物質112又は他の物質の分子を暴露させることによって、第1の物質112又は他の物質の分子を超偏極させてもよい。これは、第1の物質を液化した超偏極129Xeに浸漬すること、又は気体の偏極キセノンを物質中に通気させることなどの様々な方法で実施することができる。特許文献中の気体からの核超偏極移動の例は、米国特許第6,426,058号明細書に見出すことができ、この特許は参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる。本発明の実施形態の幾つかの文脈で、溶媒および/又は生理学的に許容される流体を超偏極させることによってこれを使用することができる。その後、溶媒および/又は生理学的に許容される流体の核超偏極を目的の検体の核に移動させてもよい。
【0099】
本明細書に記載される時、「オーバーハウザー効果」は電子から核への偏極の移動であると考えられる。更に本明細書に記載される時、「核オーバーハウザー効果」は、移動が1つの核から別の核までであること以外、類似の現象である。それぞれの場合、偏極は1組のスピン(「オーバーハウザー効果」の場合は電子−核、「核オーバーハウザー効果」の場合は核−核)から移動する。この方法は、2組のスピン(即ち、(i)電子−核、又は(ii)核−核)が互いに対して運動しているかどうかによって、物質への高周波(「RF」)パルスの印加を使用しても、又は使用しなくてもよい。
【0100】
好ましくは、本発明の一実施形態に従って、DNPを実施するとき、電子は高偏極され、偏極される目的の核と密接している。これは、約3テスラなどの磁場の存在下にある時、低温(約1.6K以下など)を使用することによって、有利に達成され得る。DNPでは、電子スピンは、目的の核に対して静止している。このようなものとして、マイクロ波放射を使用して、電子共鳴線を飽和させてもよい。更に、DNPを実施するとき、マイクロ波で目的の核を照射し、偏極の移動を促進することも好ましい。
【0101】
より広く言えば、本明細書の教示を使用することによって、核オーバーハウザー効果も含む超偏極移動を促進するためにマイクロ波パルスを使用することを必要とせずに超偏極を第1の物質に移動させることが可能であるが、所望する場合、この目的にマイクロ波を使用することは、明確に本開示の範囲に入る。
【0102】
第1の物質112(又は他の物質)を超偏極させた後、それを様々な目的に使用してもよい。第1の物質112は、以下に詳細に記載される第2の物質を超偏極させるのに使用されてもよく、又は他の目的に使用されてもよい。第1の物質112は超偏極した形態で長時間、偏極された位置で貯蔵されてもよく、又は貯蔵するためおよび/又は更に使用するために第2の位置に移送されてもよい。所望する場合、第1の物質は、貯蔵および/又は移送するために液化又は凍結されてもよい。
【0103】
図1に更に示されるように、所望する場合、混合プラットホーム120を使用して、第1の物質112から第2の物質122に超偏極を移動させてもよい。偏極の移動を促進するのに適切な周波数と振幅のRFパルスの印加を可能にするため、混合プラットホームにマグネットおよびプローブ121を任意に具備してもよい。多くの方法で超偏極の移動を達成してもよい。
【0104】
異なる核種間で超偏極を移動させる幾つかの方法の有用性は、当該技術分野で十分に理解されており、ピエトラス,T.:磁気共鳴法における光偏極129Xe、磁気共鳴総説17、263〜337頁(2000年)(Pietras, T.:Optically Polarized 129Xe in Magnetic Resonance Techniques.Magn.Reson.Rev.17,263-337(2000))に記載されており、この文献の内容は、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる。これらの方法には:
1)交差分極
2)核オーバーハウザー効果
3)熱混合、および
4)ラーモア/ラビ周波数交差結合
がある。
【0105】
前記方法は、全て、異なるスピン間で偏極を移動させる方法に言及する。更に、物質間の十分な熱的、化学的、および/又は双極子接触を確実にすることによって、2つの物質の同様なスピン間の密接な結合を促進することができる。従って、混合プラットホームは、物質を適切な周波数と振幅のRFパルスに暴露させる装置を具備してもよく;又は、物質のRF励起を必要としない場合、混合装置は、物質間を密接させて超偏極移動を促進するように、2つの物質間の十分な熱的、化学的、および/又は双極子接触を確実にするのに適切な混合システム(例えば、機械的混合システム)を具備してもよいことが分かる。
【0106】
前記方法を全て使用して、第1の物質から第2の物質に核超偏極を移動させてもよい。有利には、第1および第2の物質の2組の核スピン間に十分な双極子結合がなければならない。
【0107】
交差分極
交差分極では、高周波パルスを使用して、双極子結合した異なるスピン間に相互スピン・フリップを誘起し、ここで、1組のスピンは、より高い核秩序状態にあるか、又はより高い核秩序状態になる。スピンが互いに静的な運動関係にあり(即ち、相互の回転速度が低い)、条件γ1Bs=γSB1を満足することが仮定される。
【0108】
次いで、高周波パルスを1組のスピンに印加し、その共鳴線を飽和させる。これは、目的の物質に高周波パルスを送達できるスペクトロメーターを使用することによって達成することができる。別の例として、装備されたほとんどのNMR/MRIマグネットは、既にこの能力を有するか、又はこのような能力を有するように容易にアップグレードすることができる。従って、この方法を使用して第1の物質から第2の物質に超偏極を移動させてもよく、又は、次の混合物を製造した後でそれらを超偏極させるか若しくは次の混合物を製造する前にそれらの1つ以上の構成成分を超偏極させることなどによって、本明細書に記載されるような超偏極(i)溶液、(ii)サスペンション、(iii)エマルション、又は(iv)複合材料を作り出してもよい。
【0109】
核オーバーハウザー効果:
前述の交差分極と対照的に、核オーバーハウザー効果は、双極子結合したスピン間の相互の「フリップ・フロップ」遷移によって進行する。物理的状況が、1組のスピンが他方に対して迅速に回転している状況(一緒に混合する2つの液体又は固体物体を流れ過ぎる1つの液体によってよく説明される状況)である場合、1組のスピンからの迅速に変化する双極子磁場が他方に遷移を引き起こし、異なる核間で超偏極を移動させるのに高周波パルスの照射は必要ではない。本明細書に具体的に示され用途では、例えば、超偏極物質112が第2の物質122と完全に混合することを確実にすることによって、この効果を促進することができる。
【0110】
スピンが互いに対して回転していない場合でも、超偏極核の共鳴線の飽和により、迅速に変化する双極子磁場を作り出すことができる。どちらの場合もこの方法を使用して、第1の物質から第2の物質に超偏極を移動させる、又は本明細書に具体的に示されるような超偏極(i)溶液、(ii)サスペンション、(iii)エマルション、又は(iv)複合材料を作り出すことができる。
【0111】
熱混合(Thermal Mixing):
熱混合は、通常、短時間、別々の核のゼーマン・エネルギーが重なるように外部磁場を迅速に低下させることによって、異なる核間で偏極を移動させる行為を指す。主な基準は、一般に、異なる核I、Sのゼーマン・エネルギーの蓄積(Zeeman energy reservoirs)E=γI,SBができるだけぴったり一致することである。
【0112】
この方法は、超偏極移動を達成するために高周波パルスの印加を必要としないという利点を有する。普通の熱混合の欠点は、通常、物質を混合し、短時間、非常に低い磁場に暴露させることを必要とすることである。T1は磁場の強関数(strong function)であることが多いため、これは、物質の少なくとも1つの偏極が著しく損失し、結果が悪くなることに繋がり得る。
【0113】
しかし、本明細書に開示される様々な用途では、同一の双極子結合した核を含有するように第1の物質と第2の物質を予め準備してもよい。例えば、溶媒などの物質の13Cスピンを、検体の13Cスピンと双極子結合させてもよい。この場合、十分な超偏極移動を達成するために、磁場を低下させることは必要ではない。溶媒および検体のスピンは、超偏極移動を達成するのに十分長い時間、互いに十分に双極子結合していなければならない。十分に結合する場合、超偏極を移動させる時間はかなり短くなり得る(例えば、約1E−4秒)。このようなものとして、本明細書に具体的に示されシステムおよび方法は、例えば、前述のように超偏極溶媒と検体の十分な混合を確実にすることによって、十分な結合を達成する。
【0114】
従って、熱混合を使用して第1の物質から第2の物質に超偏極を移動させる、又は、必要に応じて、とりわけ超偏極(i)溶液、(ii)サスペンション、(iii)エマルション、および/又は(iv)複合材料を作り出すことができる。
【0115】
ラーモア/ラビ周波数交差結合
γSBI=γIB0の条件で、スピンS、I間の結合を達成し得る。この方法は、単一のRF励起しか必要としないが、大きい磁場B0中で結合を実施する場合、BI傾斜磁場(tipping field)が非常に大きいことを必要とする。
【0116】
前述の各状況で、第1の物質から第2の物質に超偏極を移動させる時、以下の特性を有するのが望ましいことが分かる:
1)第1の物質の高い超偏極度。これは前述の方法のいずれかで達成されてもよい。好ましい実施形態に従って、これは、極限(「BF」)量子緩和スイッチ(「QRS」)を使用することによって達成される。
【0117】
2)第1の物質と第2の物質の十分な熱的および双極子接触。これは、第1の物質の核スピン間に十分な双極子接触を達成するように第1の物質と第2の物質を混合し、所望する場合、2つの物質の核間での十分な超偏極移動を確実にするために、必要に応じて電磁パルスの照射を使用することによって達成することができる。
【0118】
異なる物質の核スピン間での偏極移動
当該技術分野では、前記方法は全て、典型的には分子結合している核間で超偏極を移動させるのに使用される。しかし、異種間での、および異なる物理的状態での超偏極移動は十分に実証されてきた。例えば、異なる固体種間での超偏極の移動は、「有機半導体界面における核スピン偏極移動」、化学物理誌、119巻、19号、2003年11月15日、ルーカス・ゲーリングおよびカールA.ミカル("Nuclear spin polarization transfer across an organic-semiconductor interface," Journal of Chemical Physics Volume 119, Number 19 15 November 2003, Lucas Goehring and Carl A. Michal)に実証された。この出版物は参照により明確に組み込まれる。この参考文献では、InPなどの偏極可能な基材上に有機物質が被覆された。高周波パルスの印加によりInP中の31P核からの偏極は有機被覆層のスピンに移動し、被覆された層自体での超偏極移動はスピン拡散により進行した。
【0119】
同様に、溶媒のスピンと溶質のスピンとの間で核超偏極を移動させることができる。例えば、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる米国化学会誌、2001年、123、1010〜1011頁(J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 1010-1011)では、プロトン集団の核偏極は、溶媒と溶質の間でスピン拡散により伝播する。この特定の場合、核のゼーマン・エネルギー準位が同一であるため、電磁パルスの印加を必要としない。
【0120】
同様に、205巻、2,3号、化学物理学レター、1993年4月9日、「低磁場熱混合によるレーザー偏極した固体キセノンから13CO2への交差分極」、C.R.バウアーズ、H.W.ロング、T.ピエトラス、H.C.ゲーデおよびA.パインズ(Volume 205, number 2,3 Chemical Physics Letters, 9 April 1993 "Cross polarization from laser-polarized solid xenon to 13CO2 by low-field thermal mixing" C.R.Bowers, H.W.Long, T.Pietrass, H.C.Gaede and A.Pines)に、熱混合を使用した超偏極キセノンと異なるスピンとの間の偏極移動が実証された。この出版物もまた参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる。
【0121】
本明細書に更に具体的に示されるように、第1の物質112をプラットホーム120内の第2の物質122上を又は第2の物質122の中を通過させることによって完全な混合を達成し、第2の物質122の超偏極を可能にするのに十分な物理的接触を達成してもよい。例えば、図2を参照して後述するように、第1の物質112を、表面に超偏極物質を有する固体ビーズ212の形態で提供することができる。好適なビーズ又はこれらのビーズを製造するのに好適な材料の特定の例としては、例えば、シリコン・マイクロスフェア、カーボン・マイクロスフェア、カーボン・ナノチューブ、カーボン・ナノファイバー、テンタ・ゲル(商標)(TentaGelTM)(ラップ・ポリマー社、ドイツ、D72072チュービンゲン、エルンスト−シモン通り9番(Rapp Polymere GmbH, Ernst-Simon-Str.9, D72072 Tubingen, Germany))等のポリマー樹脂が挙げられる。テンタ・ゲル(TentaGel)樹脂は、低架橋ポリスチレン・マトリックスにポリエチレングリコール(PEG又はPOE)がグラフトされたものからなるグラフト共重合体である。PEGは、疎水性と親水性を有する「カメレオン・タイプ」のポリマーであるため、グラフト共重合体は改質された物理化学的特性を示す。
【0122】
主NMR/MRIマグネット150の外部磁場、および/又は移動デュワー300中の保持マグネット360から生じる保持磁場(holding field)の変化は必ずしも、検体中に高い超偏極を達成するのに最適な方法ではないが、超偏極移動のためにこのような方法を使用してもよいことが分かる。
【0123】
別の態様に従って、第1の物質および第2の物質のうち少なくとも1つは、好ましくは生体外又は生体内NMR分析に好適である。更に、第1の物質および第2の物質のうち少なくとも1つは、好ましくは、生体内MRI検査に使用するのに好適な許容される液体である。水、生理食塩水、重水、アセトン−d6、エタノール−d6、アセトニトリル−d3、蟻酸−d2、ベンゼン−d6、メタノール−d4、クロロホルム−d1、ニトロメタン−d3、酸化ジュウテリウム、ピリジン−d5、ジクロロメタン−d2、1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2、ジメチルホルムアミド−d7、テトラヒドロフラン−d8、ジメチルスルホキシド−d6、トルエン−d8、1,4−ジオキサン−d8、トリフルオロ酢酸−d1、およびこれらの組み合わせなどの液体物質を第1の物質112および/又は第2の物質114に使用してもよい。別の態様に従って、流体は、追加で又は代わりに、とりわけ空気、窒素、二酸化炭素、キセノン、3He、およびこれらの組み合わせを含む群から選択されるものなどの気体を含んでもよい。更に、13C、15N、1H、2H、31P、19F、29Siおよびこれらの組み合わせを含むものなどの固体物質を、第1の物質112および第2の物質122の1つ以上に使用してもよい。
【0124】
第1の物質112又は第2の物質122(又は他の物質)を超偏極させた後、所望する場合、物質を低温で磁場中に維持し、それが分析に使用され得る位置にそれを移送することなどにより、物質の超偏極を保存することが可能である。このようにして、第1の位置で超偏極物質112を作り出し、それを第2の位置に移送することが可能であり、そこで超偏極を第2の物質122に移動させてもよい。以下に詳細に記載される容器205などの好適な容器をこのような目的に使用してもよい。或いは、所望する場合、超偏極移動を第1の位置で行ってもよく、次いで、第2の物質を貯蔵しても、および/又は第2の位置に移送してもよい。更に、第2の物質を最終位置に移送することができ、そこで、第2の物質を例えば試料又は標的などの物質の分析に使用してもよい。有効な「移送」と超偏極の移動によって、資本的設備に投資した個々人が一般的な物質を超偏極させ、その後、超偏極物質を最終使用者に移送することが可能である。これによって、超偏極物質を使用することによって提供され得る優れた結果を利用するために、最終使用者が高価な設備に投資する必要がないという大きな利点が得られる。超偏極物質を移送することに関する態様を以下に詳細に記載する。
【0125】
図1に更に示されるように、標的物質の近位にある部位および/又は標的物質自体の分析を実施してもよい。例えば、分析は、市販のMRIスキャナ(例えば、GEシグマ(GE Sigma)1.5T又は3.0Tスキャナ)、又は、主マグネット150および関連する送信および受信コイル/アンテナ152および当該技術分野で既知の支援ハードウェア154を有するより高い磁場能力(例えば、7.0Tの主磁場強度)等を有する研究用のものなどの他のスキャナなどを使用して、患者などの目的の部位の磁気共鳴画像を形成することを含んでもよい。本明細書に開示されるような本発明の他の実施形態に従って、類似のハードウェア(例えば、トランスミッタに接続されたイメージング・コイル、およびスキャナに接続されたコンピュータ制御装置など)を使用してもよいことが分かる。別の例として、分析は、当該技術分野で既知の送信および/又は受信コイル(図示せず)を使用して、生体外又は生体内試料又は標的のNMRスペクトルを分析すること含んでもよい。マグネット150の記述は、一般に、それがMRI、NMR、又は他の分析のためのものであろうと、画像化される目的の部位に定常磁場を印加する大きいマグネットを指すことが分かる。
【0126】
MRイメージングの用途に使用されるとき、超偏極物質は従来のMR造影剤に優る多数の利点を有する。従来の造影剤は常磁性化合物を含有し、周囲組織の磁気環境に影響を及ぼすことによって機能する。多くの常磁性化合物は毒性の問題があるため、生体内の目的でこれらを使用することに対して厳しい制約がある。更に、従来の造影剤は、その効果を容易に制御できないため、「ウォッシュ・アウト」の問題を引き起こすことが多い。これによって画像中にアーチファクトが作り出されることになる。
【0127】
超偏極(「HP」)剤の偏極は時間の関数であるため、その「ウォッシュ・アウト」効果を容易に説明することができる。更に、超偏極剤の核超偏極は適切な電磁パルスを印加することによって非常に迅速に破壊され得、このようにして、どのような「ウォッシュ・アウト」効果もなくなる。更に、生体内で非常に低いバックグラウンドを有する核からHP剤を製造することができ、非常に高い達成可能な分解能が得られる。最後に、HP剤は、毒性の問題なしに繰り返し使用することを可能にする非毒性の物質から製造されてもよい。更に、本明細書に記載されるように、超偏極物質が代謝され得る物質を含む場合、それは代謝されて超偏極代謝産物になるため、このような物質のNMRスペクトル/MR画像を得ることが可能である。従来の造影剤は、代謝に関与しない。非超偏極物質を使用すると、MRI機器で代謝産物を検出するのに十分な信号が得られない。このようにして、本発明に従って製造される薬剤の使用により、代謝活性を直接定量化し得る。
【0128】
超偏極物質を製造するシステム100を図1に示す。システム100は、第1の物質112(混合物又はその成分などの任意の好適な方法で提供される、本明細書に記載されるような任意の好適な物質とすることができる)を提供する手段、第1の物質が超偏極状態になるまで第1の物質112の核偏極を増大させる手段110、および第1の物質112から第2の物質122に超偏極を移動させる手段120を提供する。
【0129】
限定の目的ではなく更に例証する目的で、本明細書に具体的に示され、図2に図示されるように、完全に混合することによって核超偏極を移動させるシステム200を提供する。図2を参照すると、システム200は、容器210などの、好ましくはそれぞれが超偏極物質を含む第1の物質212の複数の球212を含む第1の物質212を提供する手段を具備する。任意の好適な表面積の大きい構成で第1の物質212を提供してもよく、球状粒子床の幾何学的形態の記載は単に例示を意図したに過ぎないことが分かる。第1の物質212は、本明細書に具体的に示される任意の方法を使用して超偏極されてもよい。
【0130】
システム200は、更に、容器210を受け入れるように調製および構成され、保持マグネット250(球中の物質の超偏極の維持を助けるように粒子床210の周囲に磁気双極子などの保持磁場(magnetic holding field)を印加するための永久磁石、従来の電磁石、又は、高温又は低温超伝導物質(HTS/LTS物質)を含む巻線を有する磁石であってもよい)を有する当該技術分野で既知のデュワーなどの容器205を具備する。必要な場合、マグネット250のための冷媒および電力の供給源208を設けてもよい。
【0131】
弁230の動作により導管224と連通する流体供給源220で、流体の形態の第2の物質222の流れを床210上に送る。第2の物質222は、第1の物質212上を通り、2つの物質間に物理的接触を作り出し、超偏極の移動を可能にする気体又は液体として提供されてもよい。所望する場合、本明細書に記載されるように、RFパルスを印加して超偏極の移動を促進することを助けてもよい。次いで、超偏極した第2の物質222を更に導管224を通ってNMR試料管190又は患者(図示せず)に到達するように送ってもよく、本明細書に記載されるようにMRI/NMR分析を実施することができる。
【0132】
完全な混合により超偏極を移動させるために、他の様々な形態を提供することができる。例えば、粒子床は、例えば、ヒーター270で迅速に溶解され、第2の物質に分散され得る物質を含むことができる。排他的ではないが好ましくは、PTFEコーティングされたガラスなどの適度な非脱偏極(non depolarizing)物質から製造された一連の障害上に物質を流すことによって、更に物質を混合してもよい。
【0133】
別の例として、図3は、電磁結合を使用して超偏極を移送させるための例示的システム300を示す。この実施例では、凍結した超偏極物質312を溶解し、マグネット350によって提供される保持磁場を有する冷却された容器305内の容器320中の予め無偏極状態とした溶液322中に分散させるが、溶媒は第1の物質と化学的に同一である。偏極物質と無偏極物質の混合を促進するため、非脱偏極流動障害324を設けてもよい。任意に、マグネット350の磁場は、混合物に印加するのに適切な周波数と振幅の好適なRFパルスを提供するのに十分な均質性を有してもよい。所望する場合、ヒーター370は、凍結した物質312の溶解を促進するための熱を提供してもよい。圧力を加えることによって、混合溶液326を、RFパルスの印加に好適なマグネット150およびプローブ160(概念は前述の構成要素152、154に類似する)を有するシステムの穴に流入させる。典型的には超偏極核の共鳴線を励起させるように選択されたRFパルスを印加して、溶解した溶媒の核と検体のスピンとの間にスピン・フリップ遷移を引き起こす。理解されるように、システム300は生体内MRI検査に適するように構成されてもよい。
【0134】
更に本発明に従って、超偏極物質を製造する方法およびシステムを提供する。本方法は、溶媒を提供する工程、溶媒を超偏極させる工程、および溶媒から標的物質に超偏極を移動させる工程を含む。本システムは、方法の段階を実施するのに必要な構成要素を提供する。従って、超偏極溶媒も提供される。
【0135】
別の態様に従って、溶媒と標的物質を混合した後、それらを超偏極させてもよい。所望する場合、溶媒および/又は標的物質は、それぞれ、一緒に混合される複数の構成物質で構成されてもよい。これらの構成物質は、混合前、混合中、又は混合後に超偏極されてもよい。
【0136】
限定の目的ではなく例証の目的で、本明細書に具体的に示されるように、溶媒は、生体外NMR分析に好適な液体を含んでもよい。例えば、溶媒としては、水、重水、アセトン−d6、エタノール−d6、アセトニトリル−d3、蟻酸−d2、ベンゼン−d6、メタノール−d4、クロロホルム−d1、ニトロメタン−d3、酸化ジュウテリウム、ピリジン−d5、ジクロロメタン−d2、1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2、ジメチルホルムアミド−d7、テトラヒドロフラン−d8、ジメチルスルホキシド−d6、トルエン−d8、1,4−ジオキサン−d8、トリフルオロ酢酸−d1、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される物質が挙げられる。別の例として、溶媒としては、生体内MRI検査に使用するのに好適な生理学的に許容される液体が挙げられる。生理学的に許容される液体としては、水および生理食塩水等が挙げられる。
【0137】
例えば、(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)量子緩和スイッチを使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に溶媒の分子を暴露させることによる溶媒の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される方法により溶媒自体の分子を超偏極させてもよい。
【0138】
更に別の態様に従って、本方法は、更に、超偏極される前に溶媒を表面積の大きい構成にする工程を含んでもよい。これは、超偏極を達成するためにQRS法を実施するとき、特に有利になり得る。
【0139】
例えば、図4に示されるように、超偏極される前に、溶媒を表面積の大きい基材410上に塗布することによって、溶媒400を表面積の大きい構成にしてもよい。表面積の大きい基材410としては、例えば、とりわけ、エアロゲル材料、シリコン・ビーズ、ヒュームド・シリカ、カーボン・ナノ構造、シリコン・ナノファイバー、膨張化炭素、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0140】
表面積の大きい基材410は、好ましくは、物質を収容するように調製および構成された試料チャンバ420に配置される。方法の中でも3Heを使用する量子緩和スイッチを使用する本明細書に記載されるような極限法などの任意の好適な方法を使用して、溶媒を超偏極させてもよい。従って、マグネット150を使用して試料を高磁場に暴露させてもよく、試料チャンバ420を極低温(1.0K未満など)に維持し、極限環境を作り出してもよい。熱スイッチ421によって試料チャンバ420と冷凍機構の低温セクション(希釈冷凍機の混合チャンバ450など)の間に十分な熱的接触が提供される。3Heをチャンバに添加して試料の超偏極を促進してもよく、その後、4Heを添加して3Heを除去し、偏極を過度に損失することなく試料が加温されることを可能にしてもよい。入口キャピラリ430で溶媒および/又は他の流体をチャンバに送給してもよい。ドレン管435で流体をチャンバ420から排出してもよい。溶媒を超偏極させた後、熱スイッチ/ヒーター440を使用して、凍結した超偏極溶媒400を表面積の大きい基材410から融解させ、それを混合チャンバ450に送給してもよく、そこで超偏極溶媒を超偏極されなかった溶媒と混合し、送給してもよい。
【0141】
好ましくは、本方法およびシステムはまた、以下に限定されないが、酸素基、酸化鉄、および不対電子基等の磁性不純物を表面積の大きい基材410の表面から取り除く工程を提供する。別の態様に従って、表面積の大きい基材はまた、好ましくは磁気的に不活性である。
【0142】
更に別の態様に従って、本方法は、溶媒を微細な形態に転換することによって溶媒を表面積の大きい構成にする工程を含んでもよい。例えば、図5に示されているように、溶媒500を粉末590に転換してもよい。例えば、噴霧チャンバ530内で噴霧操作を実施し、その後、溶媒500を凍結して溶媒粉末590にしてもよい。例えば、入口導管515を通して溶媒を導入し、冷却された雰囲気520(例えば、液体窒素などの低温流体の浴560によって提供される)中でノズル510から溶媒500を噴霧518に霧化することによって、溶媒500を粉末590に転換してもよい。例えば、試料体積を短時間、単純に加熱することによって冷却された雰囲気を後で除去し、微粉化された粉末590を超偏極する準備が整った状態にしてもよい。従って、とりわけ、噴霧凍結液体(SFL)技法又は噴霧凝結(SC)技法などの方法を使用して溶媒を粉末化してもよい。溶媒500を凍結して溶媒粉末590の形態にした後、超偏極する前にそれを凍結状態で貯蔵してもよい。
【0143】
所望する場合、粉末590を、標準条件で固体である物質から形成して提供してもよい。既知の任意の方法(例えば、粉砕、アトリション・ミル、およびプラズマ・スパッタリング法等)を使用して、この固体物質を粉末状に転換してもよい。固体物質は、超偏極され得る任意の物質を含んでもよく、好ましくは、13C、15N、1H、31P、19F、29Siおよびこれらの組み合わせを含む群から選択される物質を含む。次いで、本明細書に開示されるように固体粉末状物質590を超偏極させてもよい。
【0144】
所望する場合、本明細書に記載のいずれかの方法を使用して粉末590を超偏極させてもよい。好ましくは、量子緩和スイッチを使用して溶媒粉末590を超偏極させる。例えば、QRS法を使用する場合、熱スイッチを使用して希釈冷凍機550の混合チャンバなどの低温冷凍機の低温部分への十分な熱接触を促進することにより、チャンバを冷却してもよい。3Heおよび4Heをチャンバ530に導入し、マグネット150を使用して粉末590の超偏極を促進してもよい。別の例として、異なる装置でQRS又は本明細書に記載されるような他の方法を使用して、粉末を超偏極させてもよい。溶媒500を超偏極させた後、図4の実施形態のように、ヒーター540を使用して、凍結した超偏極粉末590を融解させ、それをドレン管535で混合プラットホーム(図5には図示せず)に送給し、そこで超偏極溶媒500を超偏極されなかった溶媒と混合し、送給してもよい。
【0145】
特にQRS法を実施するとき、溶媒を噴霧および凍結するか否かに関わらず、好ましくは、溶媒を超偏極させる前に溶媒を冷却する。一実施形態に従って、溶媒を超偏極させる前に、溶媒を約100K未満の温度に冷却する。より好ましくは、本方法は、溶媒を超偏極させる前に、溶媒を約80K、60K、40K、20K、10K、5K又は更には1K未満の温度に冷却する工程を含む。一般に、物質を冷却すると、それらを超偏極するのが容易になる。特に、所与の磁場中での核偏極は、双曲線正接関数P=tanh(uB/kBT)である。
式中、u=核の磁気回転比
B=印加された磁場
KB=ボルツマン定数
T=温度
これから、一般に、温度が低いほど、所与の磁場中で達成され得る偏極の程度が高くなることが分かる。
【0146】
本方法は、溶媒を磁場に暴露させる工程を含んでもよい。特にQRS法を使用するとき、これを使用して溶媒の超偏極を促進することができる。更に、近傍の核スピンに偏極を移動させる前に電子スピンを偏極させるために、DNPには磁場の印加が必要である。ここでDNPの文脈における典型的な磁場強度は、約1T〜約3Tである。電子スピンの偏極はこれらの値で(約1.6kの温度で)飽和するため、一般に、それより大きい磁場を必要としない。当業者に更に理解されるように、超偏極気体の製造には小さい磁場(例えば、数百ガウス)も使用される。
【0147】
前述のように、磁場の増加に伴って極限/QRS環境中での超偏極が増大する。B/T値が十分に高いと、その関係は線形になり、超偏極およそB/Tとなる。一実施形態に従って、磁場の強度は約10mTより大きい。より好ましくは、磁場は、約0.5T、1.0T、1.5T、2.0T、3.0T、5.0T、7.0T、10.0T、15.0T、20.0T、又は更には25.0Tより大きい強度を有する。
【0148】
QRS法を実施する時、次に溶媒を3Heに暴露させ、溶媒の超偏極を促進する。好ましくは、溶媒上に少なくとも1つの3Heの単分子層が形成するのに十分な量の3Heに溶媒を暴露させる。これは、例えば、米国特許第6,651,459号明細書の教示に従って実施することができる。この参考文献は凍結した気体を超偏極させることを開示しているが、本特許出願の発明者らは、ここで、この方法が凍結した液体並びに他の固体物質に適用可能であることが分かった。重要なことには、偏極させる物質が大きい表面積を有する形態にされることが非常に望ましい。物質が気体であるとき、これは簡単明瞭であるが、物質が液体又は固体であるとき、これはより困難である。液体の場合、好ましい実施形態は、例えば、前述のように、まず液体をサブミクロン・サイズの液滴に霧化させることによって液体を超偏極させてもよい。液滴を迅速に固化させて粉末を形成してもよい。第2の実施形態として、表面張力を使用して液体をシリカ・エアロゲルなどの基材の表面に付着させることができる。基材の孔の中の過剰な液体を乾燥させ、孔が大部分空になり液体が5μm未満の厚さのストランド状に層を形成するようにしてもよい。これより厚い層はQRSプロセス中に迅速に偏極しないことが予測できる。
【0149】
固体の場合、好ましくは、粉末中の粒子の典型的な直径が約5μm未満になるまで固体を粉末化させる。これよりも実質的に大きい粒子は、QRSプロセス中に迅速に偏極しないことが予測できる。
【0150】
QRSプロセスは、低温で、および好ましくは高磁場の領域での操作を必要とする。更に、3Heおよび4Heを超偏極される物質に適量、且つプロセスの適切な工程で導入することを可能にし得るキャピラリー管などの構造要素を設けてもよい。キャピラリー管は試料領域への熱負荷を最小限にするように注意深く構成されなければならないことが分かる。
【0151】
QRSの場合、次いで、溶媒のかなりの部分が緩和して超偏極状態になることを可能にするのに十分な時間、溶媒を低温で磁場中に維持する。同様に、DNPプロセスでは、超偏極の量は、時間の増加に伴って改善するが、その時、超偏極される物質にマイクロ波を照射する。例えば、QRSを使用する場合、緩和を可能にするのに十分な時間は、数時間、又は更には数日間まで様々であり、適宜、任意の時間増分があってもよい。更に、QRS法を使用するとき、凍結した超偏極溶媒を更に4Heに暴露させ、溶媒から3Heを排除する。
【0152】
当業者に更に理解されるように、溶媒を処理することに加えて、検体を溶媒に溶解させて溶液を作製し、本明細書に記載されるようにそれを粉末化させることも可能である。また、本発明に従って、この粉末を超偏極状態にすることもできる。このようなものとして、本発明に従って、本明細書に記載されるような、超偏極溶液並びに超偏極サスペンション、エマルション、コロイド、および複合材料又はこれらの成分を製造する目的で任意の液体および/又は溶液を粉末化することが可能である。
【0153】
それをどのようにして超偏極させたかに関わらず、溶媒は超偏極すると長時間貯蔵され得る状態になる。超偏極の維持は、超偏極溶液を磁場中および/又は低温に、例えば、保持磁場を維持できる本明細書に記載されるようなデュワー容器(例えば、305)内に貯蔵することによって容易になる。一般に、超偏極物質の貯蔵および/又は移送の目的では、少なくとも1Gを超える磁場の印加、および低温環境の維持が好ましい。
【0154】
更に、凍結されて、実質的に安定な超偏極状態になると、溶媒は容器(例えば、本明細書に記載されるような305、605)に入れて第1の位置から第2の位置に移送されてもよい。超偏極溶媒は第2の位置で使用されてもよく、又は第2の位置で貯蔵されてもよい。例えば、凍結した超偏極溶媒は、最終使用者が購入するために注文し、その後、第3の位置の最終使用者に送給されるまで、在庫に保管されてもよい。超偏極物質を貯蔵する、および超偏極物質を貯蔵場所および/又は最終使用者に移送するこれらの教示は、物質がどのようにして超偏極状態にされるかに関わらず、本明細書に記載の全ての超偏極物質に適用されることが分かる。
【0155】
超偏極物質を貯蔵および/又は移送するために、様々な容器のいずれかを使用してもよい。理解されるように、図6は、超偏極物質を貯蔵するおよび/又は顧客の場所に移送するためのこのような例示的な容器605を構成し得る方法、およびNMR又はMRI検査を容易にするために超偏極物質にアクセスし得る方法を示す。図6に示されるように、安定化された超偏極物質600を貯蔵および移送するために、例えば、真空断熱されたデュワーを含む貯蔵容器605を提供してもよい。図から、デュワーの設計は、超偏極物質を低温に維持すると同時に十分な磁場中に維持することを可能にし、その目的は、移送/貯蔵中、できるだけ長時間、物質の超偏極の維持を可能にすることであるということが分かる。
【0156】
好ましくは、容器605は、物質600を環境から隔離するための密封されたチャンバ620、可搬式冷凍機および/又は液体低温流体(例えば、液体LN2等)の浴などの低温を維持するための第1の手段630、および物質600の周囲に磁場を維持するための手段(例えば、マグネット)640を具備する。
【0157】
液体ヘリウム、液体水素、液体ネオン、液体窒素、液体アルゴン、液体酸素、および液体二酸化炭素等の様々な低温流体を使用して低温を維持してもよい。追加で又は代わりに、移動可能な冷凍機を使用して、試料領域で4Kの低さの温度を維持することができる。このような軽量の冷凍機の設計および構造は、当該技術分野で周知であり、市販されている。更に、低温で非常に高い比熱を有する物質を低温維持装置内に装填し、貯蔵/移送中、超偏極物質を冷却された状態に維持してもよい。
【0158】
低温と磁場を使用することの他に、核偏極の寿命を延ばす様々な方法が文献に記載されてきた。例えば、一重項状態の方がスピン集団の標準T1よりも長い−10倍長いこともある−寿命を有することが多いことが知られている。カラヴェッタおよびレヴィット、化学物理学誌122、2145059(2005年)(Caravetta and Levitt, Journal of Chemical Physics 122, 2145059(2005))に記載されているように、双極子結合した1/2スピン系の一重項状態への核偏極をロードするようにパルス・シーケンスを作成することができる。一重項状態自体はNMRを使用して検出することはできないが、得られるスピン秩序は、他のRFパルスを印加することによって一定の時間後に再現することができる。このようなものとして、核偏極の寿命を延ばすための当該技術分野で既知の前記および他の方法を、本明細書に記載される本発明の方法およびシステムのいずれかと一緒に使用してもよい。
【0159】
マグネット640は、永久磁石であっても、又は、超伝導および/又は「通常の」非超伝導ワイヤから製造されたソレノイド形状であってもよい。所望する場合、内部に収容される物質にRFパルスを効率的に印加することを可能にするため、標準より高い均質性を有するようにマグネット640を形成することができる。巻線として使用される多くの超伝導物質は、超伝導状態への遷移を可能にするように従来の伝導性物質と一体化され、それによって、特定の温度とバックグラウンド磁場が両方とも超伝導状態を可能にするほど十分低い場合、電子は、超伝導物質が所与の電流密度を伝えることができる点で、超伝導物質を通って流れ始めることが分かる。使用しやすいように、試料領域の外側の漏洩磁場(stray field)の形成が最小限になるようにソレノイド又は永久磁石の形状を作ることもできる。
【0160】
試料領域の磁場は、核間で上から下の状態への又はその逆の遷移を引き起こす事象ができるだけ起こらないようにするのに、特にゼーマン遷移を最小限にするのに十分でなければならない。更に、任意に、磁気遮蔽を使用し、1つ又は複数の超偏極物質に脱偏極放射線(depolarizing radiation)が当たることを最小限にしてもよい。例えば、核がその偏極を損失する事象を防止するためのシールドとしてミューメタルなどの物質を使用することは本発明の範囲に入る。ミューメタルは、非常に高い透磁率を有するニッケル−鉄合金(ニッケル75%、鉄15%、プラス銅およびモリブデン)である。高い透磁率のため、ミューメタルは、他の方法で減衰させることができない静磁場又は低周波数磁場を遮蔽するのに非常に有効である。
【0161】
更に、使用するために後で液化され得る超偏極物質を提供する場合、導管650の通路に物質600を配置してもよい。導管は、投入端652および物質の流れを受け入れるための投入弁656、並びに、物質と超偏極物質600の混合物を使用する最終位置に送るための放出弁658を有する放出端654を具備する。別の方法では、超偏極物質を使用するために、導管650を使用して容器610内に超偏極物質を「流して」もよい。導管650は、テフロン(Teflon)(登録商標)又はポリエチレンなどのできるだけ非脱偏極性の物質から製造されていなければならない。弁656、658も好ましくは非脱偏極物質から製造される。
【0162】
顧客などの使用者がNMR検査の実施を希望するとき、使用者はまず、好ましくは、試料領域内のものと同一の溶媒および目的の検体から溶液を作製する。使用者は通常より少量の溶媒を使用するが、それは、残部が試料領域に収容される凍結した超偏極溶媒からなるためである。次に、使用者は、試料出口管の端部を、投入端652を密封する弁656の開放端に取り付ける。使用者は、NMR試料管(例えば、本明細書に記載の190)への入口管を、排出端654を密封する弁658の開放端に取り付ける。例えば、シリンジ又は他の圧力源(例えば、圧縮ガス等)、又は、更には容器605内で試料を加熱することによる圧力を使用することによって試料に僅かな圧力を加えることにより、弁656を開放することにより、使用者の試料は試料領域を通って流れる。ヒーター670を使用して、試料領域の偏極溶媒を融解させる。僅かな圧力を使用してそれらを混合領域(直径が狭くなった小さい体積など)を通らせ、それによって無偏極溶媒と偏極溶媒が完全に混合されることにより、2つの溶媒は一緒に混合される。これによって、混合物の全体的な超偏極が増大し、その後、シリンジから継続的に圧力を加えることによって、混合物をNMR領域に入れる。
【0163】
米国特許第5,642,625号明細書は、低温で超偏極キセノンの寿命を延ばすために低温を使用することを記載している。米国特許第7,066,319号明細書は、磁場を印加することによって超偏極気体の移送を容易にするための移送デュアーを記載している。米国特許第6,807,810号明細書は、漏洩RF磁場を遮断することによって移送される超偏極気体の偏極損失を最小限にする方法を記載している。米国特許第5,612,103号明細書は、超偏極気体の移送中又は貯蔵中の偏極損失を最小限にする特殊なコーティングの使用を記載している。これらの特許はそれぞれ、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる。
【0164】
米国特許第6,466,814号明細書(「’814特許」)には、高T1剤をまず偏極させた後、溶媒に溶解させる超偏極溶液の製造方法が記載されている。この特許も参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる。この方法には多数の欠点がある。
【0165】
第1の例として、’814特許では、薬剤のT1によって超偏極は制限される。本明細書に開示されるある一定の実施形態のように溶媒をまず超偏極させることによって、ある一定の溶媒で得られるより長いT1を使用し、製造され得る生成物の全体的な超偏極を増大させることができる。
【0166】
第2の例として、’814特許の方法は、超偏極される物質を低温に暴露させることを必要とする方法を記載している。本明細書に開示される本発明の様々な態様では、媒体を超偏極させ、その媒体を室温に加温し、室温で媒体に検体を混合し、NMR分析、MRイメージングのため混合物を送ること、および/又は媒体から検体に超偏極を移動させることが可能である。検体の代わりに媒体を凍結させることによって、とりわけ、細胞又は破裂し得る他の生物器官などの、凍結により損傷又は破壊され得る物質を分析することが可能である。更に、’814特許はDNPおよび極限法(低温、高磁場、長時間)による検体の超偏極を教示しているが、量子緩和スイッチを極限環境と組み合わせて使用することを教示していない。
【0167】
更に、’814に記載の方法は、検体又は標的物質を偏極させるが、本明細書に開示される方法は溶媒を偏極させた後、偏極を検体に移動させる。この手法は、固化された形態と液体の形態の両方で非常に長いT1を有する溶媒の選択を可能にするという点で、超偏極物質の移送に大きな利点がある。
【0168】
更に、典型的なNMR/MRI検査の溶媒は、典型的には、目的の検体よりずっと多くのスピンを有する。溶媒を偏極させることによって、検体への移動に大きい偏極スピン集団が使用可能になる。この移動を使用して、NMR/MRI操作を実施し得る時間を延ばすことができる。適切な条件で、この方法を使用して、目的の検体の核への超偏極の部位選択的な移動を可能にすることもできる。
【0169】
更に、本明細書に記載されるように、QRS法はトリチル基の使用を必要とせず、また拡張性がある。また、本明細書に記載されるようにまず溶媒を超偏極させた後、検体に超偏極を移動させることによって、超偏極溶液をNMRマグネットなどの最終位置に、又は患者などの目的の部位に最小限の偏極損失で移動させることが可能であるという点で、更なる利点が提供される。
【0170】
別の例として、多くの超偏極溶媒にアクセスし易くすることによって、一方の物質から他方に偏極を移動させるためにRFパルスを使用する必要性を回避することが可能である。例えば、超偏極液体キセノン中に配置された物質を使用し、RFパルスを使用して偏極を移動させることは可能であるが、容易に達成されず、NMRデータにアーチファクトが生じ得、それを説明する必要がある。対照的に、本明細書に開示される実施形態の幾つかに従って、溶質の核と同一の核を有する超偏極溶媒を提供することによって、RFパルスを必要としない又は最終データ中に望ましくないアーチファクトを作り出さないスピン拡散による溶媒から溶質への超偏極移動を達成してもよい。このようなものとして、本発明はまた、スピン拡散による偏極の移動を促進するように、キセノンの他に、好ましくは溶媒と同じ又は実質的に同じ物質である核を含有する無偏極物質に超偏極を移動させるのに使用され得る超偏極溶媒を提供する。
【0171】
しかし、本明細書に記載されるように、様々な文脈で超偏極され、第2の物質を超偏極させるのに使用され得る第1の物質として、キセノンを本発明に従って使用してもよいことが分かる。例えば、キセノンを超偏極キャリヤとして使用し、本明細書の他の箇所に記載されるように多孔質のカプセル化層を有するカプセル化された薬剤の芯部分の超偏極を助けてもよい。より一般的には、第2の物質を超偏極させるのに使用され得る第1の超偏極物質としてキセノンを使用してもよく、第2の物質はまた、検査に使用するため、又は他の理由で別の位置に移送される。
【0172】
前記特許に記載されている方法では全て、例えば、超偏極物質を加温した後、それを移送容器から流すだけで、超偏極物質の送給を達成することができる。対照的に、超偏極溶媒の使用には、溶媒の超偏極が顧客の場所までの移動に耐えることだけでなく、HP溶媒の融解が試料領域並びに顧客のNMRマグネットへの無偏極溶媒の投入と相関することが必要である。更に、顧客の検体への超偏極の効率的な移動を確実にするには、顧客の元の溶液と融解した偏極溶媒ができるだけ迅速且つ完全に混合されることが必要である。これがない場合、超偏極は大きく減少し得る。このようなものとして、超偏極溶媒を移送し、NMR/MRI検査を実施する準備が整ったときに無偏極溶液と融解した偏極溶媒の完全な混合を達成できる容器が非常に必要とされている。
【0173】
所望する場合、移送容器を使用して、米国特許第6,466,814号明細書に記載のものと異なる方法で製造された予め混合された溶液を移送できることが分かる。この場合、溶液全体が目的の場所に移送される。NMR/MRI検査の実施が所望されるとき、溶液を加温し、NMRマグネットの試料領域に(生体外NMRの目的では)、又は、生体内に、例えば、患者に(生体内MRIの目的では)導入してもよい。
【0174】
超偏極溶媒が使用される位置に移送された後、超偏極溶媒を分析される試料などの物質と混合してもよい。研究所、病院、大学、画像診断クリニック(imaging clinics)、薬品開発研究室、および契約NMR研究施設等を含む様々な最終使用者のいずれかが可能である。様々な方法でこれを実施することができる。例えば、凍結した液体の場合、超偏極溶媒を液体の形態の追加の無偏極溶媒と混合し、前記に詳述したような溶媒混合物を形成してもよい。無偏極溶媒の中に目的の検体が既に溶解していてもよい。或いは、検体が偏極溶媒と無偏極溶媒の混合物に溶解するように、検体を有する容器に無偏極溶媒と偏極溶媒の混合物を送ってもよく;次いで、得られた溶液および/又はサスペンション、コロイド、エマルション等を分析のためにNMRマグネットに送ってもよい。或いは、無偏極溶液を偏極溶媒に添加しなくてもよく、偏極溶媒を加温し、目的の検体を有する容器に送り、次いで、得られた溶液および/又はサスペンション、コロイド、エマルション等を分析のためにNMRマグネットに送ってもよい。このようなものとして、前述の容器605の導管650を使用して、凍結した超偏極物質600上に無偏極物質の流れを送給し、それによって超偏極物質を含有する混合物を作り出すことができ、次いで、それを生体内MRI又は生体外NMR分析に使用することができる。
【0175】
分析のために超偏極溶媒を使用する時、一般に、使用され得るように物質の温度を上昇させることが望ましい。好ましくは、約1.0ガウスより大きい強度を有する磁場の存在下で超偏極溶媒の温度を上昇させる。本方法のこの態様の一実施形態の良い例は、好ましくは磁場を提供する手段640を具備する容器605を使用することによって実証することができる。別の例として、超偏極溶媒の移送に使用される容器を磁場中に配置し、本発明のこの実施形態を容易にしてもよい。
【0176】
更により好ましくは、約1.0、1.5、3.0、7.0テスラ又は更には約10.0テスラより大きい強度を有する磁場の存在下で、超偏極溶媒の温度を上昇させる。好ましくは、超偏極の実質的な損失を回避するのに十分な時間内で溶媒の温度を上昇させる。所望する場合、溶媒の温度を室温に上昇させてもよい。溶液を最初に凍結し、高温の基材上で超偏極させた場合、所望する場合、超偏極溶媒を表面積の大きい基材から溶出させてもよい。別の例として、本明細書に記載されるように溶液を噴霧凍結により凍結させる場合、凍結した粒子を単に融解させてもよい。一般的には、高い磁場の存在下で超偏極溶媒の温度を上昇させる方が、一般に弱い磁場(他の変数は全て一定のままである)よりも超偏極がよく維持される。
【0177】
別の例として、超偏極溶媒を提供した後、それを標的物質と混合し、とりわけ(i)溶液、(ii)サスペンション、(iii)エマルション、(iv)コロイド、および(v)複合材料などの混合物を作り出してもよい。これらは、とりわけ、水又は生理食塩水中のピルビン酸塩から製造された溶液、本明細書に記載されるような複合材料から製造されたサスペンション、水/生理食塩水又は別の生理学的に許容される流体中に直接懸濁された超偏極ヘキサフルオロベンゼン又は他のハロゲン、空気又は吸入療法の目的の別の気体中の固体粒子のサスペンションとすることができる。エマルションは、プロポフォール(Propofol)又はディプリバン(Diprivan)、又は典型的には生体内で使用するのに好適な他のエマルションから製造されてもよい。コロイドは、コロイド状銀又はケラチン・タンパク質、又はTc−99mイオウ等であってもよい。複合材料は、カプセル化されたデカフルオロブタンガス等の2相のカプセル化された薬剤であってもよい。
【0178】
標的物質を超偏極溶液と混合した時、所望する場合、超偏極を標的物質に移動させることが可能である。第1の例として、前述のように完全に混合することにより標的物質を超偏極させてもよい。更に、前述のように電磁結合により標的物質を超偏極させてもよい。
【0179】
従って、超偏極溶媒を使用して、標的物質を超偏極させ、その分析を容易にしてもよい。このようにして、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,466,814号明細書に記載されているものなどの従来技術の方法とは対照的に、本発明の溶媒は、超偏極粒子を非超偏極溶媒中に導入して超偏極溶液を提供するのとは対照的に、偏極された後、分析される物質を超偏極させるのに使用される。このようなものとして、本発明の超偏極溶媒を使用して、NMR分光法を使用して又はMRイメージングにより分析される物質の分析を容易にすることが可能である。超偏極溶媒を使用して、分析される物質の分析を非常に速くすることができる、又は、以前は濃度が低過ぎてNMRプロトコルで検出できなかった試料の検査の実施を容易にすることができる。更に、溶媒(比較的長いT1緩和時間を有するように選択することができる)の超偏極を保つことによって、様々な物質で超偏極の利点を使用することが可能である。
【0180】
更に本発明に従って、超偏極サスペンションを製造するシステムおよび方法、並びに超偏極サスペンション自体を提供する。
【0181】
更に本発明に従って、超偏極サスペンションを製造する方法、並びに超偏極サスペンション自体を提供する。本方法は、超偏極物質を提供する工程、および超偏極物質を媒体に分散させて超偏極サスペンションを作り出す工程を含む。別の例として、媒体を超偏極させ、物質をその媒体に分散させて超偏極サスペンションを作り出すことによって、超偏極サスペンションを提供してもよい。更に、非超偏極成分からサスペンションを製造し、その製造後にサスペンションを超偏極させることによって超偏極サスペンションを製造してもよい。また、3つ以上の成分で構成されるサスペンションを提供してもよく、ここで、サスペンションの成分の1つ以上は、それらを混合する前に超偏極される。
【0182】
(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)量子緩和スイッチを使用する超偏極、および(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に物質の分子を暴露させることによる物質の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせなどの本明細書に開示されるいずれかの方法を使用して、サスペンションの製造に使用される超偏極物質を超偏極させてもよい。
【0183】
サスペンションの製造に使用される超偏極物質は、好ましくは、平均直径約1000μm未満の粒子の形態で提供される。より好ましくは、超偏極物質の直径は、約100μm未満である。更により好ましくは、超偏極物質の直径は約10μm、5μm、又は1μm未満である。好ましくは、媒体は、前述のような生理学的に許容され得る媒体である。
【0184】
好ましくは、磁場の存在下で超偏極物質を媒体に分散させ、サスペンションを作り出す。磁場は、1.0ガウスを越える磁場強度を有してもよい。更に別の態様に従って、媒体は(i)固体、(ii)液体、および(iii)気体を含む群から選択されてもよい。例えば、媒体は空気であってもよい。従って、所望する場合、本方法は、超偏極サスペンションを、患者の気道などの目的の部位に導入する工程を更に含んでもよい。懸濁され得る物質としては、例えば、とりわけ、粉末状ダニゾール、粉末状インスリン、および他の粉末状APIおよび/又は賦形剤が挙げられる。
【0185】
好ましくは、本システムは、更に、前記の超偏極溶媒と同様に、容器605に類似の容器などの超偏極サスペンションを第1の位置から第2の位置に移送する手段を具備する。このようなものとして、超偏極物質が最初に超偏極される位置と同じ位置、又は、製造施設又は病院若しくはクリニックなどの最終使用者の位置などの異なる位置で超偏極サスペンションを製造し得ることが分かる。
【0186】
更に本発明に従って、超偏極エマルションの製造方法、並びに超偏極エマルション自体を提供する。本方法は、超偏極物質を提供する工程、および超偏極物質を媒体と混合して超偏極エマルションを作り出す工程を含む。或いは、本方法は、媒体を超偏極させる工程、およびその媒体に物質を混合して超偏極エマルションを作り出す工程を含んでもよい。更に、非超偏極成分からエマルションを製造し、その製造後にエマルションを超偏極させることによって超偏極エマルションを製造してもよい。また、3つ以上の成分で構成されるエマルションを提供してもよく、ここで、エマルションの成分の1つ以上は、それらを混合する前に超偏極される。
【0187】
限定の目的ではなく例証の目的で、本明細書に具体的に示されるように、超偏極物質を提供し、その後、超偏極物質を媒体と混合して超偏極エマルションを作り出す。(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)量子緩和スイッチを使用する超偏極、および(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に物質の分子を暴露させることによる物質の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される方法を使用して、超偏極物質を超偏極させてもよい。好ましくは、媒体は、生理学的に許容され得る媒体である。
【0188】
超偏極物質と媒体の混合は、好ましくは、少なくとも約1.0ガウスの強度を有する磁場の存在下で行われる。更に、混合工程は、好ましくは超偏極物質と媒体が両方とも液体の形態である温度で行われる。しかし、所望する場合、超偏極物質と媒体はどちらも、混合時に、固体、液体、又は気体の形態であってもよい。エマルションは、例えば、プロポフォール(Propofol)又はディプリバン(Diprivan)、又は典型的には生体内で使用するのに好適な他のエマルションから製造されてもよい。前述の溶液を使用して混合物を作り出すのに使用され、且つ超偏極物質を移送する様々な機器を本発明のこの態様の実施に使用してもよい。
【0189】
更に本発明に従って、超偏極コロイドを製造する方法、並びに超偏極コロイド自体を提供する。本方法は、超偏極物質を提供する工程、および超偏極物質を媒体と混合して超偏極コロイドを作り出す工程を含む。或いは、本方法は、媒体を超偏極させる工程、および物質をその媒体に混入させて超偏極コロイドを作り出す工程を含んでもよい。更に、非超偏極成分からコロイドを製造し、その製造後にコロイドを超偏極させることによって超偏極コロイドを製造してもよい。また、3つ以上の成分で構成されるコロイドを提供してもよく、ここで、コロイドの成分の1つ以上は、それらを混合する前に超偏極される。
【0190】
限定の目的ではなく例証の目的で、本明細書に具体的に示されるように、まず超偏極物質を提供し、それを媒体と混合して超偏極コロイドを作り出す。理解されるように、コロイドは、一般に、連続的な気体、液体又は固体の媒体に分散された約1×10-7〜5×10-5cmの範囲の線形の寸法を有する粒子の系を含み、その特性は大きい比表面積に依存する。粒子は、タンパク質、又は、固体、液体、若しくは気体の凝集体のような大分子とすることができる。粒子は一般にいつまでも分散されたままである。例としては、とりわけ、コロイド状銀又はケラチン・タンパク質、又はTc−99mイオウが挙げられる。
【0191】
本明細書に記載される方法のいずれかを使用して、超偏極物質を超偏極させてもよい。更に、媒体は、好ましくは、生理学的に許容され得る媒体である。
【0192】
別の態様に従って、混合工程は、少なくとも約1.0ガウスの強度を有するものなどの磁場の存在下で行われてもよい。更に別の態様に従って、超偏極コロイドを製造するシステムを提供する。本システムは、超偏極物質を提供する手段、および超偏極物質を媒体と混合して超偏極コロイドを作り出す手段を含む。所望する場合、本システムは、更に、本明細書に記載されるように、超偏極懸コロイドを第1の位置から第2の位置に移送する手段を具備してもよい。前述の溶液を使用して混合物を作り出すのに使用され、且つ超偏極物質を移送する様々な機器を、本発明のこの態様を実施するのに使用してもよい。
【0193】
更に本発明に従って、超偏極複合材料を製造する方法およびシステム、並びに、本方法に従って製造される超偏極複合材料を提供する。本方法は、超偏極物質を提供する工程、および超偏極物質を媒体と混合して超偏極複合材料を作り出す工程を含む。或いは、本方法は、媒体を超偏極させる工程、および物質を媒体に混入させて超偏極複合材料を作り出す工程を含んでもよい。更に、非超偏極成分から複合材料を製造し、その製造後に複合材料を超偏極させることによって超偏極複合材料を製造してもよい。また、3つ以上の成分で構成される複合材料を提供してもよく、ここで、複合材料の成分の1つ以上は、それらを混合する前に超偏極される。本システムは、本方法の各態様を実施するための手段を具備する。同様に、前述の溶液を使用して混合物を作り出すのに使用され、且つ超偏極物質を移送する様々な機器を、本発明のこの態様を実施するのに使用してもよい。
【0194】
例えば、超偏極物質を提供し、超偏極物質を媒体と混合して超偏極複合材料を作り出すことによって超偏極複合材料を製造してもよい。本明細書に記載する方法のいずれかを使用して超偏極物質を製造してもよい。好ましくは、媒体は、生理学的に許容される媒体である。
【0195】
更に別の態様に従って、混合工程は、磁場の存在下で行われてもよい。好ましくは、磁場は、少なくとも約1.0ガウスの強度を有する。超偏極物質は、(i)固体物質、(ii)液体物質、(iii)気体物質およびこれらの組み合わせを含む群から選択されてもよい。媒体は、とりわけ水および生理食塩水などの、超偏極複合材料を形成するのに好適な任意の媒体であってもよい。
【0196】
更に本発明に従って、有益な薬剤を提供する。有益な薬剤は、多孔質のカプセル化剤で取り囲まれた超偏極芯物質を含む。
【0197】
限定の目的ではなく例証の目的で、本明細書に具体的に示され、図7(A)〜図7(F)に図示されるように、カプセル化層又は媒体710と芯部分720を有する有益な薬剤700を調製する方法およびシステムを提供する。
【0198】
カプセル化剤710の多孔度は、気体がカプセル化剤を通過して芯物質720に到達することを実質的に可能にしてもよい。例えば、カプセル化剤710の多孔度は、ヘリウムがカプセル化剤を通過することを実質的に可能にしてもよいが、また、ヘリウムより大きい気体分子がカプセル化剤を通過することを防止してもよい。3Heおよび4Heは芯720に入りそれを超偏極させることを助け得るため、QRSなどの方法を使用して芯物質を超偏極させるとき、これは特に有用となり得る。3Heは、冷却前又は冷却後に気体又は液体の形態でカプセル化材料を通過し得る。超流体4Heは、物質が冷却および超偏極され、従って液体の形態だけになった後、最も有利に使用される。
【0199】
更に別の態様に従って、超偏極芯物質は、比較的長いスピン−格子緩和時間を有してもよい。例えば、超偏極芯物質は、とりわけ、13C、15N、1H、2H、31P、19F、29Siおよびこれらの組み合わせを含む群から選択される核を含有する物質を含んでもよい。
【0200】
更に別の態様に従って、カプセル化剤はポリマー材料を含んでもよい。ポリマー材料としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせを含む群から選択される物質が挙げられる。好ましくは、カプセル化剤は、所望する場合、100K、10Kおよび1K未満の温度でその構造的一体性を実質的に維持するように調製および構成される。別の例として、カプセル化材料はまた超偏極物質を含んでもよい。
【0201】
別の態様に従って、超偏極芯物質は、標準条件で固体である物質を含んでもよい。本明細書で使用する時、「標準条件」の用語は、室温(華氏約60〜約80度)および大気圧(約1気圧)の条件を意味することが意図されている。
【0202】
超偏極芯物質は、標準条件で液体、気体、又は固体である物質を含んでもよい。所望する場合、平均直径約0.001μm〜約100μmのカプセルの形態で有益な薬剤を提供してもよい。好ましくは、平均直径約0.001μm〜約10μmのカプセルの形態で有益な薬剤を提供する。特に有利なサイズ範囲は、カプセルが小さい生体内毛細管(数μm以下)を通過することを可能にするサイズ範囲であり、これによって、血液脳関門を通過して又は他の任意の種類の組織に浸透することが速くなる。
【0203】
非排他的な例として、多孔質の微粒子内にカプセル化されたデカフルオロブタンガスは、現在、超音波イメージング・プロトコルにおけるように使用するための高次(advanced)FDA試験中である。本明細書の教示に従って、デカフルオロブタンの19FスピンをHP剤として使用してもよい。類似の配置のハロゲンの中で19Fスピンは比較的長居T1緩和時間を有することが分かっており、19Fは生体内で非常に低い自然バックグラウンドを有する。
【0204】
別の態様に従って、有益な薬剤は、カプセル化剤の近位に配置された機能性要素を含んでもよく、機能性要素は、使用時に有益な結果が得られるように調製および構成されている。機能性要素は、とりわけ、タンパク質、mRNA、遺伝子プローブ、又は、生物活性に優先的に結び付けられる若しくは他の方法で生物活性を見つけ出す他の任意の物質、およびこれらの組み合わせを含む群から選択されてもよい。必要に応じて、超偏極前、超偏極中、又は超偏極後に有益な薬剤に機能性要素を添加してもよい。
【0205】
従って、理解されるように、図7(F)に示されるように、有益な薬剤700の表面に機能性要素のコーティング770を提供してもよい。機能性要素を外殻710の表面に直接配置してもよく、又は、好適な表面処理によって有益な薬剤700の表面に付着させてもよい。
【0206】
複合材料と有益な薬剤700の別の例は、超偏極物質を含有するリポソームである。その特有の性質のため、リポソームを薬物送達に使用してもよい。リポソームは、溶解した親水性溶質が脂質を容易に通過できないように、疎水性の膜の内側に水溶液の部位を封入する。疎水性化学物質を膜に溶解させることができ、このようにして、リポソームは疎水性分子と親水性分子の両方を運ぶことができる。分子を作用部位に送達するために、脂質二重層は細胞膜などの他の二重層と融合し、このようにしてリポソームの内容物を送達することができる。(通常は膜を通って拡散することができない)DNA又は薬物の溶液中でリポソームを作製することによって、それらを脂質二重層を通過して(無差別に)送達することができる。
【0207】
リポソームはまた、癌を標的にする固有の能力を有する。健常なヒトの全ての血管の内皮壁は、密着結合で一緒に結合している内皮細胞によって封入されている。これらの密着結合は、血液中のあらゆる大粒子が血管から漏出することを防止する。腫瘍血管は、細胞間に同レベルの密封を含まず、診断上漏れ易い。この能力は向上した浸透性および保持効果として知られている。典型的には400nm未満のある一定のサイズのリポソームは、血液から腫瘍部位に迅速に入ることができるが、健常な組織血管系の内皮壁によって血流中に維持される。
【0208】
理解されるように、超偏極物質を送達するためのビヒクルとしてリポソームを使用することができる。例えば、超偏極物質(例えば、本明細書に記載されるような超偏極溶媒又は他の混合物又は物質)をリポソームに組み込んでもよく、又はリポソームの材料自体を超偏極させてもよい。これらのリポソームを患者の一部分などの目的の部位に注入してもよい。リポソームは特定の解剖学的構造を見つけ出し、リポソームの内容物が代謝され得る細胞に超偏極物質を有効に送達する。従って、例えば、リポソームによって癌細胞に送達される超偏極ピルビン酸塩の代謝の代謝産物をNMR/MR法を使用して検出し、腫瘍の存在を決定することができる。最後に、ピルビン酸塩からの超偏極が代謝産物に移動する。
【0209】
更に、2つの物質が直接物理的に接触していないときでも、バリアを通して第1の物質から第2の物質に超偏極を移動させることが可能である。特に、2つの物質のうち少なくとも1つが高い「遠方双極子磁場」又は「DDF」を有する場合、所望する場合、本発明に従って、この現象を利用してバリア(例えば、リポソーム本体又はカプセル化材料)を越えてリポソーム又はカプセル化された物質などの物体の内容物を超偏極させてもよい。
【0210】
このようにして、本発明に従って、有益な薬剤を、とりわけ溶液、サスペンション、エマルション、コロイド、又は複合材料などの超偏極混合物の形態で患者などの目的の部位に投与することが可能である。混合物中の核スピン遷移を励起させるように選択された周波数の放射線に混合物を暴露させてもよい。次に、混合物からの磁気共鳴信号を検出することが可能である。理解されるように、任意に、画像、動的流れデータ、拡散データ、灌流データ、生理学的データ、代謝データ、又は、検出された信号からの他の任意の好適なデータを生成すること、および、このような物質を第1の位置から第2の位置に移送することが可能である。
【0211】
このようにして、生体内静脈内送達されるとき、例えば、機能性要素(又は本明細書に記載されるようなリポソーム)の層770は、腫瘍等の画像化することが望ましい組織に付着する傾向がある。これは目的の部位から強いMR信号を得ることを容易にし、このようにして、大きい感度で目的の組織の場所を決定的に突き止めることを容易にする。
【0212】
別の例として、本発明は、また、カプセル化剤によって取り囲まれた超偏極芯物質を含む有益な薬剤を提供し、ここで、超偏極芯物質は、(i)液体物質、(ii)固体物質、(iii)固体物質を散在させた気体物質、(iv)液体物質を散在させた気体物質、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される物質を含む。カプセル化剤は、本発明のこの態様に従って、多孔質である必要はない。前述のカプセル化された媒体の他の態様は、本発明のこの実施形態にも同様に適用可能である。従って、孔なしでカプセル化剤を閉鎖してもよく、例えば、DNPを使用することによって芯物質を超偏極させてもよい。
【0213】
更に本発明に従って、超偏極物質を提供するためのキットを提供する。
【0214】
限定の目的ではなく例証の目的で、本明細書に具体的に示されるように、キットは、前記の物質700に類似する少なくとも1つのカプセル化された物質を含む。カプセル化された物質は芯物質720を含み、芯物質720は、本明細書に記載されるような比較的長いスピン−格子緩和時間を有する物質を含む。カプセル化された物質は、更に、芯物質を取り囲むカプセル化剤710を含む。キットはまた、カプセル化された物質の超偏極を促進するための使用説明書を含む。
【0215】
キットの使用説明書は、好ましくは、カプセル化された物質の超偏極を促進する方法を記載する。例えば、使用説明書は、量子緩和スイッチを使用して芯物質を超偏極させるための手引きを提供してもよい。別の例として、キットの使用説明書は、超偏極キャリヤから芯物質に超偏極を移動させることによって、カプセル化された物質の超偏極を促進する方法を記載してもよい。更に別の態様に従って、(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)量子緩和スイッチを使用する超偏極、および(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に芯物質の分子を暴露させることによる芯物質の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される方法を使用して、芯物質を超偏極させてもよい。
【0216】
更に本発明に従って、超偏極したカプセル化された物質を調製し、提供する方法を提供する。
【0217】
限定の目的ではなく例証の目的で、本明細書に具体的に示されるように、第1の態様に従って、本方法は、カプセル化された物質を提供する工程、カプセル化された物質を超偏極キャリヤ(および/又は、QRSの文脈では、超偏極を促進するが、必ずしも超偏極キャリヤ自体ではない3Heなどの超偏極促進剤)に暴露させる工程、超偏極キャリヤを超偏極させる工程、および超偏極キャリヤからカプセル化された物質に超偏極を移動させる工程を含む。
【0218】
(i)動的核偏極、(ii)光ポンピング、(iii)パラ水素誘起分極、(iv)量子緩和スイッチを使用する超偏極、(v)予め超偏極した気体の超偏極核に超偏極キャリヤの分子を暴露させることによる超偏極キャリヤの分子への超偏極の移動、(vi)核オーバーハウザー効果、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される方法を使用して、超偏極キャリヤを超偏極させてもよい。
【0219】
カプセル化された物質は、本明細書に記載されるように超偏極キャリヤの通過を可能にする多孔質の表面部分を含んでもよい。このようなものとして、超偏極キャリヤは、表面部分を通過して芯部分に到達し得る。例えば、超偏極キャリヤは、気体の超偏極キセノンを含んでもよい。更に別の態様に従って、芯部分は、13C、15N、1H、31P、19F、29Siおよびこれらの組み合わせを含む群から選択される核を含有する物質を含んでもよい。
【0220】
超偏極の誘導および/又は維持を助けるために、カプセル化された物質を冷却してもよい、および/又は磁場にさらしてもよい。好ましくは、カプセル化された物質は、約100K、10K、又は1K未満の温度に冷却される。磁場は、例えば、10mT、1T、又は10Tを超える最大強度を有してもよい。
【0221】
所望する場合、カプセル化された物質を低温で磁場中に長時間(約10分の1秒〜約1週間など)維持してもよい。本明細書に記載されるように、カプセル化された超偏極物質を容器に入れて第1の位置から第2の位置に移送してもよい。カプセル化された超偏極物質を使用する前に、超偏極の実質的な損失が回避されるように、カプセル化された物質の温度をまず上昇させてもよい。次いで、カプセル化された超偏極物質を分析される目的の部位に導入してもよい。例えば、目的の部位の磁気共鳴画像を生成してもよい。別の例として、生体外又は生体内試料のNMRスペクトルを分析してもよい。
【0222】
カプセル化された物質を使用することの利点は、超偏極芯が、最小限の超偏極損失で生体内の所望の部位に送達され得ることであるということが分かる。特に、酸素又は他の脱偏極要素を通過させないカプセル化剤を使用することによって、カプセル化された物質の超偏極をできるだけ長く延ばしてもよい。生体内での使用が既に認可されているカプセル化材料が市販されている。
【0223】
好ましい実施形態に従って、QRSを使用し、カプセル化された物質を超偏極させる。従って、カプセル化された物質を、気体(例えば、129Xe又は他のもの)などの予め超偏極させた異なる物質の代わりに3Heに暴露させる。好ましくは、本明細書に具体的に示され、図7(A)〜図7(F)に図示されるように、カプセル化された物質700は、3Heの通過を可能にする多孔質の外殻部分710を有する。しかし、カプセルは、超偏極され得る表面部分を有してもよく、別々の芯部分を提供する必要がないことが分かる。しかし、表面部分はそれにもかかわらず、前述のように、気体が表面部分を通過して、カプセル化された物質の芯部分に入ることを可能にしてもよい。
【0224】
カプセルおよび/又はカプセル化された物質を超偏極させるために、図7(C)に示されるように、例えば、有益な薬剤700を収容するチャンバ730から他の全ての気体を排出することによって、超偏極される構造上に少なくとも1つの3Heの単分子層が形成される。一実施形態に従って、その後、薬剤720は凍結してポリマー外殻710から離れるように収縮し、図7(D)に示されるような間隙740を残してもよい。層710は、好ましくは、液体3Heを透過させることができ、薬剤720の周囲に3Heの層が形成することを可能にする。3Heは薬剤720の核を緩和させ、超偏極状態を促進する。次いで、薬剤720を高磁場に低温で、核超偏極が起こるのに十分な時間、暴露させる。
【0225】
図7(F)に示されるように、3Heを物質から排除するために、薬剤700を4Heに暴露させ、このようにして物質の超偏極を維持し、3Heを除去してもよい。一実施形態に従って、超偏極物質を低温および/又は磁場中に、長時間維持してもよい。このようにして超偏極物質を維持すると、物質の貯蔵および/又は移送が容易になり、かなりの時間、本明細書に記載されるように物質からの超偏極の損失が最小限になる。所望する場合、本明細書に記載されるように、超偏極したカプセル化された物質/カプセルの温度を上昇させて使用してもよい。好ましくは、物質の超偏極の実質的な損失が最小限になるように、カプセル化された物質/カプセルの温度を上昇させる。
【0226】
前述し、図面に示したように、本発明の組成物、方法およびシステムは、新規で有用な形態の超偏極物質を提供し、並びに、超偏極物質の製造と、最終使用者への超偏極物質の送給を容易にすることが分かる。
【0227】
当業者には、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、本発明のデバイスおよび方法および組成物に様々な修正および変更をなし得ることが明らかである。例えば、本明細書に開示されるいずれかの溶液、サスペンション、エマルション、コロイド、又は複合材料等のいずれかの成分を超偏極させてもよいことが分かる。別の例として、このような混合物の複数の成分を超偏極させてもよい。更に、いずれかのこのような物質を、少なくとも:(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)極限環境を、最も好ましくは量子緩和スイッチと共に使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に様々な物質から構成された粒子の分子を暴露させることによる様々な物質から構成された粒子の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせで、超偏極させてもよいことが更に分かる。
【0228】
本明細書に記載されるように、超偏極を誘導する前又は誘導した後、本明細書に開示されている様々な混合物の成分の混合を行ってもよい。このようにして、本発明は、添付の請求項およびその同等物の範囲に入る修正および変更を含むことが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0229】
【図1】本発明に従って製造された第1のシステムの概略図である。
【図2】本発明に従って製造された第2のシステムの概略図である。
【図3】本発明に従って製造された第3のシステムの概略図である。
【図4】本発明に従って製造された第4のシステムの概略図である。
【図5】本発明に従って製造された第5のシステムの概略図である。
【図6】本発明に従って製造された第6のシステムの概略図である。
【図7A】本発明に従って製造された有益な薬剤を製造する方法およびプロセスの概略図である。
【図7B】本発明に従って製造された有益な薬剤を製造する方法およびプロセスの概略図である。
【図7C】本発明に従って製造された有益な薬剤を製造する方法およびプロセスの概略図である。
【図7D】本発明に従って製造された有益な薬剤を製造する方法およびプロセスの概略図である。
【図7E】本発明に従って製造された有益な薬剤を製造する方法およびプロセスの概略図である。
【図7F】本発明に従って製造された有益な薬剤を製造する方法およびプロセスの概略図である。
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2006年2月21日出願の米国仮特許出願第60/775,196号明細書および2006年5月23日出願の米国仮特許出願第60/802,699号明細書の優先権の利益を主張し、これらの開示は参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、様々な用途に好適な超偏極可能な物質の超偏極方法、システムおよび組成物に関する。特に、本発明は、磁気共鳴イメージング(「MRI」)および核磁気共鳴法(「NMR」)分析を容易にする超偏極方法、システムおよび組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
当該技術分野では、超偏極を提供する様々な方法が知られている。これらの方法の多くは、超偏極希ガスの提供に関する。例えば、超偏極希ガスの使用は、MRI又はNMR法における信号対雑音比(「SNR」)を劇的に増大させることができるため、MRI又はNMRの実施に有利となり得る。これによって、MRIおよびNMRを使用し目的の部位をかつてなかったように分析することが可能になる。
【0004】
現在まで、文献では複雑で高価な超偏極システムを提供することに重点が置かれてきた。これらのシステムは、それらが意図された目的には概ね満足であったが、このようなシステムはまだ当該技術分野における多くの問題を解決しない。例えば、これらのシステムの使用は、一般に、典型的には何十万ドル又はそれ以上の費用かかるこのような高価で複雑なシステムを持つ余裕のある施設および研究者だけに限られてきた。
【0005】
同様に、目的とする標的に超偏極を移動させる超偏極物質を提供することにかなりの努力がなされてきた。現在まで、これらの努力は、NMR分析用の溶媒としての超偏極キセノンに集中してきた。例えば、ナボン,G、ソン,Y.−Q.、ローム,T、アペルト,S、テイラー,R.E、およびパイン,A.(1996年)、サイエンス、271、1848(Navon,G., Song,Y.‐Q., Room,T., Appelt,S., Taylor,R.E., and Pines,A.,(1996).Science 271, 1848)では、超偏極キセノンガスを液化し、溶媒として使用した;幾つかの溶解種への偏極の移動が実証されたが、この文献の開示は参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる。類似の研究、「超偏極超臨界キセノンを使用する偏極移動」、ジェイソンC.リーウッズ、ブライアンT.サームおよびマークS.コンラディ、化学物理学レター327,359〜364頁(2000年)("Polarization Transfer using Hyperpolarized Supercritical Xenon," Jason C. Leawoods, Brian T. Saam, and Mark S. Conradi, Chem. Phys. Lett. 327, 359-364(2000))では、超臨界キセノン(P>5.83MPa、T>290K)を溶媒として使用し、幾つかの溶質への偏極の移動を達成した。
【0006】
しかし、溶解させるほとんどの目的の物質に非常に特殊な物理的条件が必要であるため、キセノンは溶媒として非常に不満足である。これらの条件は、実際のNMR/MRI検査の大部分に役立つものではない。従って、当該技術分野では、標準条件で使用するのに好適な超偏極物質を提供できる方法が必要とされている。
【0007】
米国特許第6,466,814号明細書には、まず高T1剤を偏極させた後、溶媒に溶解させる超偏極溶液の製造方法が記載されている。この方法には、偏極が薬剤のT1によって制限されるという欠点がある。従って、当該技術分野では、超偏極溶液を製造する新規な方法が非常に必要とされている。
【0008】
また、当該技術分野では、超偏極物質を得る費用を低減し、MRIおよびNMRを向上させるために超偏極物質を使用する実用性を増加させる超偏極システム、方法および組成物が非常に必要とされている。本発明は、本明細書に記載されるように、前記および他の問題に対する解決法を提供する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の目的および利点を記載し、これらは以下の説明から明らかになる。本発明の更なる利点は、記載される説明および特許請求の範囲に、並びに添付の図面から特に指摘される方法およびシステムによって実現および達成される。
【0010】
前記および他の利点を達成するために、並びに本発明の第1の態様に従って、超偏極物質の製造方法を提供する。本方法は、標準条件で液体又は非希ガスである第1の物質を準備する工程、第1の物質が超偏極状態になるまで第1の物質の核超偏極を増大させる工程、および、その後、必要に応じて、第1の物質から第2の物質又は他の物質に核超偏極を移動させる工程を含む。
【0011】
別の態様に従って、第1の物質はまた固体物質を含むことができる。第1の物質を第2の物質と混合し、NMR検査に使用するのに好適なおよび/又は生体内(in vivo)に注入するのに好適な標準条件で(i)溶液、(ii)サスペンション、(iii)エマルション、(iv)コロイド、又は(v)複合材料などの混合物を作り出してもよい。一実施形態に従って、完全に混合することにより第1の物質から第2の物質に核超偏極を移動させてもよい。例えば、第2の物質を第1の物質に溶解させてもよい。別の実施形態に従って、電磁結合により第1の物質から第2の物質に核超偏極を移動させてもよい。例えば、電磁パルス・シーケンスで電磁結合を提供してもよい。次いで、第1の物質を除去してもよく、又は所望の用途に応じてそれを保持してもよい。
【0012】
別の例として、第1の物質ではなく第2の物質をまず超偏極させてもよい。更に別の例として、第1の物質と第2の物質を一緒に混合した後、超偏極させてもよい。更に別の例として、3種類以上の物質(3、4、5、6種類又はそれより多くの物質など)の混合物を提供してもよく、ここで、混合物に入れる前にそれらの物質のうち1種類以上を超偏極させてもよい。別の例として、物質の一部を超偏極させた後、残りの物質と混合してもよい。更に、所望する場合、物質を全て同時に超偏極させてもよい。更に、所望する場合、本明細書に記載されるような物質を混合しながら超偏極させてもよい。
【0013】
別の態様に従って、第1の物質および/又は第2の物質は、生体外(in vitro)NMR分析に好適であってもよい。好ましくは、生体外NMR分析の目的では、第1の物質は、水、生理食塩水、重水、アセトン−d6、エタノール−d6、アセトニトリル−d3、蟻酸−d2、ベンゼン−d6、メタノール−d4、クロロホルム−d1、ニトロメタン−d3、酸化ジュウテリウム、ピリジン−d5、ジクロロメタン−d2、1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2、ジメチルホルムアミド−d7、テトラヒドロフラン−d8、ジメチルスルホキシド−d6、トルエン−d8、1,4−ジオキサン−d8、トリフルオロ酢酸−d1、およびこれらの組み合わせなどの、NMR検査に溶媒として一般に使用される物質の群から選択される。更に、第1の物質および/又は第2の物質のうち少なくとも1つは、生体内MRI検査に使用するのに好適な生理学的に許容される液体を含んでもよい。
【0014】
生体内MRIの目的では、第1の物質は、好ましくは、水、重水、およびFDAに認可された他の液体等の生体内溶液又はサスペンションの注入に一般に使用される物質の群から選択される。更に別の態様に従って、本方法は、更に、標的物質の近位にある部位および/又は標的物質自体の分析を実施する工程を含んでもよい。例えば、分析は、患者などの目的の部位の磁気共鳴画像の形成を含んでもよい。別の例として、分析は、1つ又は複数の標的などの生体外又は生体内試料のNMRスペクトルの分析を含んでもよい。
【0015】
本明細書では超偏極物質を製造するシステムも提供する。本システムは第1の物質を準備する手段(ここで、第1の物質は標準条件で液体、固体、又は非希ガスである)、第1の物質が超偏極状態になるまで第1の物質の核超偏極を増大させる手段、および第1の物質から第2の物質に超偏極を移動させる手段を具備する。
【0016】
本発明は、超偏極物質を含む固体表面を有する物体を提供する工程を含む、物質を超偏極させる方法も提供する。本方法は、更に、超偏極物質から、固体表面と接触する流体に超偏極を移動させる工程を含む。
【0017】
別の態様に従って、物体は形状が球状であってもよく、又は他の任意の好適な形状であってもよい。更に、固体表面は、とりわけ13C、15N、1H、2H、31P、19F、29Siおよびこれらの組み合わせを含む群から選択される、核を含有する物質を含んでもよい。一実施形態に従って、流体は液体であってもよい。例えば、液体は、水、重水、アセトン−d6、エタノール−d6、アセトニトリル−d3、蟻酸−d2、ベンゼン−d6、メタノール−d4、クロロホルム−d1、ニトロメタン−d3、酸化ジュウテリウム、ピリジン−d5、ジクロロメタン−d2、1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2、ジメチルホルムアミド−d7、テトラヒドロフラン−d8、ジメチルスルホキシド−d6、トルエン−d8、1,4−ジオキサン−d8、トリフルオロ酢酸−d1、およびこれらの組み合わせを含む、NMR検査に溶媒として一般に使用される群から選択されてもよい。別の態様に従って、流体は気体であってもよい。気体は、とりわけ、例えば、空気、窒素、二酸化炭素、キセノン、3He、およびこれらの組み合わせを含む、吸入療法の目的に一般に使用されるものから選択されてもよい。
【0018】
更に本発明に従って、超偏極を移動させる装置を提供する。本装置は、超偏極物質が上および/又は中に堆積した表面を具備する。装置は、更に、流体(例えば、液体又は気体)を前記表面と接触するように送る手段を具備する。本装置は、また、表面から流体に超偏極を移動させる手段も具備する。
【0019】
別の態様に従って、表面は複数の球状の物体又は他の任意の好適な形状の物体を含んでもよい。表面は、とりわけ13C、15N、1H、31P、19F、29Si、2Hおよびこれらの組み合わせを含む群から選択される核を含有する物質を含んでもよい。流体は、とりわけ水、生理食塩水、重水、アセトン−d6、エタノール−d6、アセトニトリル−d3、蟻酸−d2、ベンゼン−d6、メタノール−d4、クロロホルム−d1、ニトロメタン−d3、酸化ジュウテリウム、ピリジン−d5、ジクロロメタン−d2、1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2、ジメチルホルムアミド−d7、テトラヒドロフラン−d8、ジメチルスルホキシド−d6、トルエン−d8、1,4−ジオキサン−d8、トリフルオロ酢酸−d1、およびこれらの組み合わせなどの、NMR溶媒として一般に使用されるものなどの液体であってもよい。別の態様に従って、流体は、追加で又は代わりに、空気、窒素、二酸化炭素、キセノン、3He、およびこれらの組み合わせを含む、吸入療法の用途に一般に使用されるものなどの気体を含んでもよい。
【0020】
更に本発明に従って、超偏極物質の製造方法を提供する。本方法は、溶媒を準備する工程、溶媒を超偏極させる工程、および溶媒から標的物質に超偏極を移動させる工程を含む。
【0021】
別の態様に従って、溶媒を標的物質と混合し、とりわけ(i)溶液、(ii)サスペンション、(iii)エマルション、(iv)コロイド、および(v)複合材料を含む群から選択される混合物を作り出してもよい。所望する場合、本方法は更に、標的物質を超偏極させる工程を含んでもよい。例えば、混合することによって標的物質を超偏極させてもよい。例えば、標的物質を溶媒に溶解させてもよい。別の例として、電磁結合により超偏極を標的物質に移動させてもよい。例えば、電磁気パルス・シーケンスで電磁結合を提供し、電磁結合を使用して超偏極溶媒から標的に超偏極を移動させてもよい。
【0022】
別の態様に従って、溶媒と標的物質を混合した後、それらを超偏極させてもよい。所望する場合、溶媒および/又は標的物質をそれぞれ、一緒に混合される複数の構成物質で構成してもよい。混合前、混合中、又は混合後にこれらの構成物質を超偏極させてもよい。
【0023】
更に別の態様に従って、溶媒は、生体外NMR分析に好適な液体を含んでもよい。例えば、溶媒としては、水、重水、アセトン−d6、エタノール−d6、アセトニトリル−d3、蟻酸−d2、ベンゼン−d6、メタノール−d4、クロロホルム−d1、ニトロメタン−d3、酸化ジュウテリウム、ピリジン−d5、ジクロロメタン−d2、1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2、ジメチルホルムアミド−d7、テトラヒドロフラン−d8、ジメチルスルホキシド−d6、トルエン−d8、1,4−ジオキサン−d8、トリフルオロ酢酸−d1、およびこれらの組み合わせなどの、NMR検査に溶媒として一般に使用される物質が挙げられる。生体内MRIの目的では、液体は、好ましくは、本明細書に記載されるような生体内溶液および/又はサスペンションの注入に一般に使用される物質である。
【0024】
更に別の態様に従って、本方法は更に、標的物質の近位にある部位および/又は標的物質の分析を実施する工程を含んでもよい。例えば、分析は、患者などの目的の部位の磁気共鳴画像の形成を含んでもよい。別の例として、分析は、生体外又は生体内試料又は標的のNMRスペクトルの分析を含んでもよい。本発明は、また、超偏極物質を製造するシステムを提供する。本システムは、溶媒を提供する手段、溶媒を超偏極させる手段、および溶媒から標的物質に超偏極を移動させる手段を具備する。
【0025】
更に本発明に従って、溶媒を超偏極させる方法、並びに本方法に従って製造される超偏極溶媒を提供する。本方法に従って、(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極(parahydrogen induced polarization)、(iii)極限(brute force)環境を、最も好ましくは量子緩和スイッチ(quantum relaxation switch)と共に使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に溶媒の分子を暴露させることによる溶媒の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される方法により溶媒の分子を超偏極させる。
【0026】
別の態様に従って、溶媒は、生体外NMR分析に好適な液体を含んでもよい。別の例として、溶媒は、生体内MRI検査に使用するのに好適な生理学的に許容される液体を含んでもよい。例えば、溶媒としては、水、重水、アセトン−d6、エタノール−d6、アセトニトリル−d3、蟻酸−d2、ベンゼン−d6、メタノール−d4、クロロホルム−d1、ニトロメタン−d3、酸化ジュウテリウム、ピリジン−d5、ジクロロメタン−d2、1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2、ジメチルホルムアミド−d7、テトラヒドロフラン−d8、ジメチルスルホキシド−d6、トルエン−d8、1,4−ジオキサン−d8、トリフルオロ酢酸−d1、およびこれらの組み合わせなどの、NMR検査に溶媒として一般に使用される物質が挙げられる。
【0027】
更に別の態様に従って、本方法は、更に、超偏極させる前に溶媒を表面積の大きい構成にする工程を含んでもよい。例えば、超偏極させる前に、表面積の大きい基材上に溶媒を塗布することによって、溶媒を表面積の大きい構成にしてもよい。好ましくは、本方法は、以下に限定されないが、酸素基(oxygen groups)、酸化鉄、および不対電子基(unpaired electron groups)等の磁性不純物を表面積の大きい基材の表面から取り除く工程を含んでもよい。別の態様に従って、表面積の大きい基材は、また、好ましくは磁気的に不活性である。例として、表面積の大きい基材は、好ましくは、とりわけエアロゲル材料、シリコン・ビーズ(silicon beads)、ヒュームド・シリカ、カーボン・ナノ構造(carbon nanostructure)、シリコン・ナノファイバー(silicon nanofiber)、膨張化炭素(exfoliated carbon)、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される。
【0028】
本発明は、更に、基材を使用することなく溶媒を表面積の大きい構成にする工程を含んでもよい。例えば、液体に噴霧凍結すること(SFL)又は噴霧凝結(SC)法などの周知の方法を使用して溶媒を粉末化してもよい。
【0029】
更に別の態様に従って、本方法は、更に、溶媒を超偏極させる前に溶媒を冷却する工程を含む。一実施形態に従って、溶媒を超偏極させる前に、溶媒を約100K未満の温度に冷却する。より好ましくは、本方法は、溶媒を超偏極させる前に、溶媒を約80K、60K、40K、20K、10K、5K又は更には1K未満の温度に冷却する工程を含む。
【0030】
別の態様に従って、本方法は、溶媒の超偏極を促進するために溶媒を磁場に暴露させる工程を含んでもよい。一実施形態に従って、磁場の強度は約10mTより大きい。より好ましくは、磁場は、約0.5T、1.0T、1.5T、2.0T、3.0T、5.0T、7.0T、10.0T、15.0T、20.0T、又は更には25.0Tより大きい強度を有する。更に別の態様に従って、本方法はまた、好ましくは、溶媒の超偏極を促進するために溶媒をヘリウムに暴露させる工程を含む。更により好ましくは、ヘリウムは3Heを含む。一実施形態に従って、溶媒上に少なくとも1つの3Heの単分子層が形成するのに十分な量の3Heに溶媒を暴露させる。
【0031】
別の態様に従って、溶媒のかなりの部分が緩和して超偏極状態になることを可能にするのに十分な時間、溶媒を低温で磁場中に維持する。例えば、緩和を可能にするのに十分な時間は、数分から数時間、又は更には数日まで様々であり、適宜、任意の時間増分があってもよい。
【0032】
更に別の態様に従って、本方法は、更に、溶媒から3Heを排除するために溶媒を4Heに暴露させる工程を含む。所望する場合、本方法は、また、超偏極溶媒の温度を上昇させる工程を含んでもよい。好ましくは、約1.0ガウスより大きい強度を有する磁場の存在下で超偏極溶媒の温度を上昇させる。更により好ましくは、約1.0、1.5、3.0、7.0テスラ又は約10.0テスラ以上の強度を有する磁場の存在下で超偏極溶媒の温度を上昇させる。好ましくは、超偏極の実質的な損失を回避するのに十分な時間内で、溶媒の温度を上昇させる。所望する場合、溶媒の温度を室温に上昇させてもよい。所望する場合、超偏極溶媒を表面積の大きい基材から溶出させてもよい。
【0033】
更に別の態様に従って、本方法は、溶媒を微細な形態に転換することにより、溶媒を表面積の大きい構成にする工程を含んでもよい。例えば、溶媒を粉末に転換してもよい。例えば、溶媒を霧化および凍結することによって溶媒を粉末に転換してもよい。所望する場合、溶媒を低温で磁場中に、長時間維持してもよい。例えば、長時間は、約10分の1秒〜約1週間であってもよい。
【0034】
更に別の態様に従って、本方法は、更に、超偏極溶媒を容器に入れて第1の位置から第2の位置に移送する工程を含んでもよい。更に別の態様に従って、超偏極溶媒から試料又は分析される他の物質に超偏極を移動させてもよい。移送前、移送中、又は移送後に超偏極溶媒を、検体を含有する追加の無偏極溶媒と混合し、溶媒混合物を形成してもよい。次いで、得られた混合物を、分析される目的の部位に送達してもよい。例えば、目的の部位の磁気共鳴画像を生成してもよい。別の例として、検体又は検体の代謝生成物のNMRスペクトルを測定してもよい。
【0035】
別の例として、様々な溶液を超偏極させるシステムも提供する。第1のシステムでは、前述のように溶媒を偏極させた後、選択した検体をそれに溶解させる。第2のシステムでは、まず検体を無偏極溶媒に溶解させた後、得られた溶液を表面積の大きい構成にし、その後、超偏極させる。溶液を好適な基材上に塗布すること(plating)又は溶液を本明細書に記載されるように粉末化することによって、大きい表面積を達成することができる。
【0036】
本システムは、超偏極溶液を製造する手段を具備する。前述のように、これは、溶媒を超偏極させた後、それに検体を溶解させることを含んでもよい。溶媒を超偏極させる方法は、(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)極限環境を、最も好ましくは量子緩和スイッチと共に使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に溶媒の分子を暴露させることによる溶媒の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される方法を使用する工程を含んでもよい。好ましくは、また、溶媒から、溶媒に添加された検体に超偏極を移動させる。好ましくは、本システムはまた、超偏極溶液を第1の位置から第2の位置に移送する手段を具備する。
【0037】
別の例として、本方法は、まず検体を所望の溶媒と混合した後、得られた溶液を超偏極させる工程を含んでもよい。溶液を超偏極させる方法は、(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)極限環境を、最も好ましくは量子緩和スイッチと共に使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に溶媒の分子を暴露させることによる溶媒の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される方法を使用する工程を含んでもよい。好ましくは、本システムはまた、超偏極溶液を第1の位置から第2の位置に移送する手段を具備してもよい。
【0038】
更に本発明に従って、超偏極サスペンションの製造方法、並びに超偏極サスペンション自体を提供する。本方法は、超偏極物質を提供する工程、および超偏極物質を媒体に分散させて超偏極サスペンションを作り出す工程を含む。別の例として、媒体を超偏極させ、媒体に物質を分散させて超偏極サスペンションを作り出すことによって、超偏極サスペンションを提供してもよい。これは、媒体に添加された物質に超偏極を移動させる工程を含んでもよい。更に、非超偏極成分からサスペンションを製造し、その製造後にサスペンションを超偏極させることによって超偏極サスペンションを製造してもよい。また、3つ以上の成分で構成されるサスペンションを提供してもよく、ここで、サスペンションの成分の1つ以上は、それらを混合する前に超偏極される。
【0039】
別の態様に従って、(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)極限環境を、最も好ましくは量子緩和スイッチと共に使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に成分の分子を暴露させることによる成分の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される方法を使用して、サスペンションの1つ若しくは複数の超偏極成分又はサスペンション自体を超偏極させてもよい。更に別の態様に従って、超偏極成分の直径は、約1000μm未満であってもよい。より好ましくは、超偏極成分の直径は約100μm未満である。更により好ましくは、超偏極成分の直径は約10μm、5μm、又は1μm未満である。好ましくは、超偏極サスペンションを形成するために超偏極物質が分散される媒体は、生理学的に許容され得る媒体である。別の実施形態に従って、超偏極物質は、それ自体、生理学的に許容され得る物質である。
【0040】
更に別の態様に従って、本方法は、更に、磁場の存在下で物質を分散させる工程を含んでもよい。磁場は、1.0ガウスを越える磁場強度を有してもよい。更に別の態様に従って、媒体は(i)固体、(ii)液体、および(iii)気体を含む群から選択されてもよい。例えば、媒体は空気であってもよい。従って、所望する場合、本方法は、超偏極サスペンションを、患者の気道などの目的の部位に導入する工程を更に含んでもよい。
【0041】
更に別の態様に従って、超偏極物質を提供する手段、および超偏極物質を媒体に分散させて超偏極サスペンションを作り出す手段を含む、超偏極サスペンションを製造するシステムを提供する。また、媒体を超偏極させる手段、および物質を媒体に分散させて超偏極サスペンションを作り出す手段を提供してもよい。更に、サスペンションの製造後、サスペンションを超偏極させる手段を提供してもよい。また、3つ以上の成分で構成される超偏極サスペンションを製造する手段を提供してもよく、ここで、サスペンションの成分の1つ以上は、前記手段でそれらを混合する前に超偏極される。好ましくは、本システムは、更に、超偏極サスペンションを第1の位置から第2の位置に移送する手段を具備する。移送前、移送中、又は移送後に分散を行ってもよいことが分かる。
【0042】
更に本発明に従って、超偏極エマルションを製造する方法、並びに超偏極エマルション自体も提供する。本方法は、超偏極物質を提供する工程、および超偏極物質を媒体と混合し、超偏極エマルションを作り出す工程を含む。これは、超偏極物質から媒体に超偏極を移動させる工程を含んでもよい。或いは、本方法は、媒体を超偏極させる工程、および物質を媒体に混入して超偏極エマルションを作り出す工程を含んでもよい。更に、非超偏極成分からエマルションを製造し、その製造後にエマルションを超偏極させることによって超偏極エマルションを製造してもよい。また、3つ以上の成分で構成されるエマルションを提供してもよく、ここで、エマルションの成分の1つ以上は、それらを混合する前に超偏極される。
【0043】
別の態様に従って、(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)極限環境を、最も好ましくは量子緩和スイッチと共に使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核にエマルション又はその成分の分子を暴露させることによるエマルション又はその成分の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される方法を使用して、超偏極物質若しくはエマルションの他の成分又はエマルション自体を超偏極させてもよい。好ましくは、超偏極エマルションを形成するために超偏極物質と混合される媒体は、生理学的に許容される媒体である。別の実施形態に従って、超偏極物質は、それ自体、生理学的に許容される物質である。
【0044】
別の態様に従って、混合工程は、磁場の存在下で行われてもよい。好ましくは、混合工程は、少なくとも約1.0ガウスの強度を有する磁場で行われる。更に、混合工程は、超偏極物質および媒体が両方とも液体の形態である温度で行われてもよい。しかし、所望する場合、超偏極物質と媒体はどちらも、混合時に、固体、液体、又は気体の形態であってもよい。
【0045】
更に別の態様に従って、超偏極エマルションを製造するシステムを提供する。本システムは、超偏極物質を提供する手段、および超偏極物質を媒体と混合して超偏極エマルションを作り出す手段を具備する。これは、超偏極物質から媒体に超偏極を移動させる手段を具備してもよい。また、媒体を超偏極させる手段、およびその媒体と物質を混合して超偏極エマルションを作り出す手段を提供してもよい。更に、エマルションの製造後、エマルションを超偏極させる手段を提供してもよい。また、3つ以上の成分で構成される超偏極エマルションを製造する手段を提供してもよく、ここで、エマルションの成分の1つ以上は、前記手段でそれらの混合する前に超偏極される。所望する場合、本システムは、更に、超偏極懸エマルションを第1の位置から第2の位置に移送する手段を具備してもよい。移送前、移送中、又は移送後に混合を行ってもよいことが分かる。
【0046】
更に本発明に従って、超偏極コロイドを製造する方法、並びに超偏極コロイド自体を提供する。本方法は、超偏極物質を提供する工程、および超偏極物質を媒体と混合して超偏極コロイドを作り出す工程を含む。これは、超偏極物質から媒体に超偏極を移動させる工程を含んでもよい。或いは、本方法は、媒体を超偏極させる工程、および物質を媒体に混入させて超偏極コロイドを作り出す工程を含んでもよい。更に、非超偏極成分からコロイドを製造し、その製造後にコロイドを超偏極させることによって超偏極コロイドを製造してもよい。また、3つ以上の成分で構成されるコロイドを提供してもよく、ここで、コロイドの成分の1つ以上は、それらを混合する前に超偏極される。
【0047】
別の態様に従って、(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)極限環境を、最も好ましくは量子緩和スイッチと共に使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核にコロイド又はその成分の分子を暴露させることによるコロイド又はその成分の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される方法を使用して、超偏極物質若しくはコロイドの他の成分又はコロイド自体を超偏極させてもよい。好ましくは、超偏極コロイドを形成するために超偏極物質と混合される媒体は、生理学的に許容される媒体である。別の実施形態に従って、超偏極物質は、それ自体、生理学的に許容される物質である。
【0048】
別の態様に従って、混合工程は、少なくとも約1.0ガウスの強度を有するものなどの磁場の存在下で行われてもよい。更に、混合工程は、超偏極物質と媒体が両方とも液体の形態である温度で行われてもよい。しかし、所望する場合、超偏極物質と媒体はどちらも、混合時に、固体、液体、又は気体の形態であってもよい。
【0049】
更に別の態様に従って、超偏極コロイドを製造するシステムを提供する。本システムは、超偏極物質を提供する手段、および超偏極物質を媒体と混合して超偏極コロイドを作り出す手段を具備する。これは、超偏極物質から媒体に超偏極を移動させることを含んでもよい。媒体を超偏極させる手段、および物質を媒体と混合して超偏極コロイドを作り出す手段を提供してもよい。更に、コロイドの製造後、コロイドを超偏極させる手段を提供してもよい。また、3つ以上の成分で構成される超偏極コロイドを製造する手段を提供してもよく、ここで、コロイドの成分の1つ以上は、前記手段でそれらを混合する前に超偏極される。所望する場合、本システムは、更に、超偏極懸コロイドを第1の位置から第2の位置に移送する手段を具備してもよい。移送前、移送中、又は移送後に混合を行ってもよいことが分かる。
【0050】
更に本発明に従って、超偏極複合材料を製造する方法、並びに、本方法に従って製造される超偏極複合材料を提供する。本方法は、超偏極物質を提供する工程、および超偏極物質を媒体などの第2の物質と混合して超偏極複合材料を作り出す工程を含む。これは、超偏極物質から第2の物質に超偏極を移動させる工程を含んでもよい。或いは、本方法は、媒体を超偏極させる工程、および媒体に物質を混入させて超偏極複合材料を作り出す工程を含んでもよい。更に、非超偏極成分から複合材料を製造し、その製造後に複合材料を超偏極させることによって超偏極複合材料を製造してもよい。また、3つ以上の成分で構成される複合材料を提供してもよく、ここで、複合材料の成分の1つ以上は、それらを混合する前に超偏極される。
【0051】
別の態様に従って、(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)極限環境を、最も好ましくは量子緩和スイッチと共に使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に複合材料の成分を暴露させることによる複合材料の成分への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される方法を使用して、超偏極物質、複合材料の成分又は複合材料自体を超偏極させてもよい。好ましくは、超偏極複合材料を形成するために超偏極物質と混合される媒体は、生理学的に許容される媒体である。別の実施形態に従って、超偏極物質は、それ自体、生理学的に許容される物質である。
【0052】
別の例として、複合材料は、ポリマー外殻を有するものなどのカプセル化された物質を含んでもよく、テンタ・ゲル(TentaGel)などの物質を含んでもよい。別の例として、複合材料は、超偏極物質を収容する又は他の方法で超偏極物質を含むリポソームを含んでもよい。
【0053】
更に別の態様に従って、混合工程は、磁場の存在下で行われてもよい。好ましくは、磁場は、少なくとも約1.0ガウスの強度を有する。超偏極物質は、(i)固体物質、(ii)液体物質、(iii)気体物質およびこれらの組み合わせを含む群から選択されてもよい。媒体は、とりわけ、水および生理食塩水を含む群から選択されてもよい。所望する場合、空気、窒素、二酸化炭素、キセノン、および3He等の、吸入療法に一般に使用される気体を分散媒体として選択することもできる。
【0054】
更に別の態様に従って、超偏極複合材料を製造するシステムを提供する。本システムは、超偏極物質を提供する手段、および超偏極物質を媒体と混合して超偏極複合材料を作り出す手段を具備する。また、媒体を超偏極させる手段、および物質を媒体と混合して超偏極複合材料を作り出す手段を提供してもよい。更に、複合材料の製造後、複合材料を超偏極させる手段を提供してもよい。また、3つ以上の成分で構成される超偏極複合材料を製造する手段を提供してもよく、ここで、複合材料の成分の1つ以上は、前記手段でそれらを混合する前に超偏極される。所望する場合、本システムは、更に、超偏極懸複合材料を第1の位置から第2の位置に移送する手段を具備してもよい。移送前、移送中、又は移送後に混合を行ってもよいことが分かる。所望する場合、超偏極複合材料又はその成分は、例えば、(i)固体物質、(ii)液体物質、(iii)気体物質、およびこれらの組み合わせを含む群から選択されてもよい。
【0055】
更に本発明に従って、有益な薬剤(beneficial agent)を提供する。本発明の一実施形態に従って、有益な薬剤は、多孔質のカプセル化剤(encapsulating medium)によって取り囲まれた超偏極芯物質を含む。
【0056】
別の態様に従って、カプセル化剤の多孔度は、気体がカプセル化剤を通過して芯物質に到達することを実質的に可能にしてもよい。例えば、カプセル化剤の多孔度は、ヘリウムがカプセル化剤を通過することを実質的に可能にしてもよいが、また、ヘリウムより大きい気体分子がカプセル化剤を通過することを実質的に防止してもよい。
【0057】
更に別の態様に従って、超偏極芯物質は、比較的長いスピン−格子緩和時間を有してもよい。例えば、超偏極芯物質は、とりわけ、13C、15N、1H、2H、31P、19F、29Siおよびこれらの組み合わせなどの核を含有する物質を含んでもよい。
【0058】
更に別の態様に従って、カプセル化剤はポリマー材料を含んでもよい。ポリマー材料は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせを含む群から選択される物質を含んでもよい。好ましくは、カプセル化材料は、所望する場合、100K、10Kおよび1K未満の温度でその構造的一体性を実質的に維持するように調製および構成される。別の例として、カプセル化材料はまた超偏極物質を含んでもよい。
【0059】
別の実施形態に従って、カプセル化剤はリポソームなどの生物由来の媒体を含む。リポソームは、超偏極物質をその中又は上に含むように調製および構成されてもよい。また、本明細書に開示されている任意の好適な方法を使用してリポソームの材料自体を超偏極させてもよい。例えば、リポソームを超偏極液体(例えば、溶媒、溶液、サスペンション、エマルション、コロイド等)又は気体に暴露させてもよい。リポソームは、超偏極流体(例えば、液体)を吸収した後、目的の部位に送られてもよい。或いは、前記超偏極物質のいずれかによって発生した大きい双極子磁場(dipolar field)を使用し、リポソームバリアを通して偏極を移動させてもよい。リポソーム内、リポソーム上にある、又はリポソームを構成する超偏極物質を使用して、例えば、MRイメージング中の目的の腫瘍又は他の解剖学的構造の位置を正確に特定することができる、又は、それを適宜、NMR検査に使用してもよい。
【0060】
一実施形態に従って、リポソームに超偏極ピルビン酸塩(pyruvate)を提供する。NMR/MRI法を使用することによってピルビン酸塩を消費する代謝プロセスの存在の検出を可能にするため、リポソームを使用して、患者の一部分のなどの目的の部位の所望の位置に超偏極ピルビン酸塩を的確に送達することができる。
【0061】
別の態様に従って、超偏極芯物質は、標準条件で固体である物質を含んでもよい。例えば、超偏極芯物質は、標準条件で液体、気体、又は固体である物質を含んでもよい。所望する場合、生体内又は生体外検査に使用され得る、平均直径約0.001μm〜約100μmのカプセルの形態で有益な薬剤を提供してもよい。好ましくは、平均直径約0.001μm〜約10μmのカプセルの形態で有益な薬剤を提供する。
【0062】
別の態様に従って、有益な薬剤は、カプセル化剤の近位に配置された機能性要素を含んでもよく、機能性要素は、使用時に有益な結果が得られるように調製および構成される。芯物質は、ヘキサフルオロベンゼン、およびパーフルオロカーボン等を含む群から選択されてもよい。
【0063】
本発明は、また、カプセル化剤によって取り囲まれた超偏極芯物質を含む有益な薬剤を提供し、ここで、超偏極芯物質は、(i)液体物質、(ii)固体物質、(iii)固体物質を散在させた気体物質、(iv)液体物質を散在させた気体物質、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される物質を含む。
【0064】
別の態様に従って、カプセル化剤は多孔質であってもよい。カプセル化剤の多孔度は、気体がカプセル化剤を通過して芯物質に到達することを実質的に可能にしてもよい。例えば、カプセル化剤の多孔度は、ヘリウムがカプセル化剤を通過することを実質的に可能にしてもよく、所望する場合、ヘリウムより大きい気体分子がカプセル化剤を通過することを実質的に防止してもよい。
【0065】
更に別の態様に従って、超偏極芯物質は、比較的長いスピン−格子緩和時間を有してもよい。例えば、超偏極芯物質は、13C、15N、1H、2H、31P、19F、29Siおよびこれらの組み合わせなどの核を含有する物質から選択される物質を含んでもよい。所望する場合、カプセル化剤は、ポリマー材料を含んでもよい。ポリマー材料は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせを含む群から選択される物質を含んでもよい。好ましくは、カプセル化剤は、100K未満の温度でその構造的一体性を実質的に維持するように調製および構成される。より好ましくは、カプセル化剤は、10K未満の温度でその構造的一体性を実質的に維持するように調製および構成される。更により好ましくは、カプセル化剤は、1K未満の温度でその構造的一体性を実質的に維持するように調製および構成される。所望する場合、カプセル化材料は超偏極物質を含んでもよい。
【0066】
更に別の態様に従って、有益な薬剤は、生体内での使用が許容される物質で構成されてもよい。所望する場合、有益な薬剤を平均直径約0.001μm〜約100μmのカプセルの形態で提供してもよい。更により好ましくは、有益な薬剤を平均直径約0.001μm〜約10μmのカプセルの形態で提供してもよい。本明細書に記載の他の実施形態と同様に、有益な薬剤には更に、使用時に有益な結果が得られるように調製および構成されている機能性要素がカプセル化剤の近位に配置されていてもよい。例えば、芯物質は、ヘキサフルオロベンゼン、およびパーフルオロカーボン等を含む群から選択されてもよい。
【0067】
更に本発明に従って、超偏極物質を提供するためのキットを提供する。本キットは、少なくとも1つのカプセル化された物質を含む。カプセル化された物質は芯物質を含み、芯物質は比較的長いスピン−格子緩和時間を有する物質を含む。カプセル化された物質は更に、芯物質を取り囲むカプセル化剤を含む。キットはまた、カプセル化された物質の超偏極を促進するための使用説明書を含む。
【0068】
別の態様に従って、カプセル化剤は、本明細書に記載されるように多孔質であってもよい。芯物質は、13C、15N、1H、2H、31P、19F、29Siおよびこれらの組み合わせなどの核を含有する物質を含む群から選択される物質を含んでもよい。カプセル化剤は、また、本明細書に記載されるようなポリマー材料を含んでもよい。例えば、ポリマー材料は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせを含む群から選択される物質を含んでもよい。別の態様に従って、カプセル化剤は、100K、10K、および1K未満の温度などの低温でその構造的一体性を実質的に維持するように調製および構成されてもよい。更に、カプセル化剤は、とりわけ10mT、1T、および10Tを超える強度などの、様々な強度の磁場の存在下でその構造的一体性を実質的に維持するように調製および構成されてもよい。更に別の態様に従って、キットのカプセル化材料は、比較的長いスピン−格子緩和時間を有する物質を含んでもよい。芯物質は、標準条件で固体、液体および/又は気体である物質を含んでもよい。
【0069】
更に別の態様に従って、キットの使用説明書は、量子緩和スイッチを使用して、カプセル化された物質の超偏極を促進する方法を記載してもよい。別の例として、キットの使用説明書は、超偏極キャリヤから芯物質に超偏極を移動させることによって、カプセル化された物質の超偏極を促進する方法を記載してもよい。
【0070】
更に別の態様に従って、(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)極限環境を、最も好ましくは量子緩和スイッチと共に使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に芯物質の分子を暴露させることによる芯物質の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される方法を使用して、芯物質を超偏極させてもよい。
【0071】
更に本発明に従って、超偏極したカプセル化された物質を調製し、提供する方法を提供する。第1の態様に従って、本方法は、カプセル化された物質を提供する工程、超偏極キャリヤ又は超偏極促進剤(例えば、3He)を提供する工程、カプセル化された物質を超偏極キャリヤ又は促進剤に暴露させる工程、および超偏極キャリヤからカプセル化された物質に超偏極を移動させる工程、又は超偏極促進剤を使用して物質の超偏極を促進する工程を含む。
【0072】
別の態様に従って、(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)極限環境を、最も好ましくは量子緩和スイッチと共に使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に溶媒の分子を暴露させることによる溶媒の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される方法を使用して、超偏極キャリヤを超偏極させてもよい。
【0073】
更に別の態様に従って、カプセル化された物質は、本明細書に記載されるように超偏極キャリヤ又は超偏極促進剤の通過を可能にする多孔質の表面部分を有してもよい。多孔質の表面部分は、好ましくは、超偏極キャリヤ又は超偏極促進剤が多孔質の表面部分を通過して、カプセル化された物質の芯部分に入ることを可能にする。芯部分は、標準条件で固体、液体および/又は気体である物質を含んでもよい。カプセルの多孔質の表面部分は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせなどのポリマー材料を含んでもよい。
【0074】
別の態様に従って、超偏極キャリヤは、表面部分を通過して芯部分に至ってもよい。例えば、超偏極キャリヤは、気体の超偏極キセノンを含んでもよい。更に別の態様に従って、芯部分は、13C、15N、1H、31P、19F、29Siおよびこれらの組み合わせを含む群から選択される物質を含んでもよい。
【0075】
別の態様に従って、本方法は、更に、カプセル化された物質を冷却する工程を含んでもよい。好ましくは、カプセル化された物質は、約100K、10K、又は1K未満の温度に冷却される。追加で又は代わりに、本方法は、例えば、10mT、1T、および10Tを超える最大強度を有する磁場などの磁場に、カプセル化された物質を暴露させる工程を含んでもよい。
【0076】
本発明は、また、量子緩和スイッチの役割をする超偏極促進剤を使用して、超偏極したカプセル化された物質を調製し、提供する方法を提供する。本方法は、カプセル化された物質を提供する工程、および、量子緩和スイッチを使用して、カプセル化された物質の超偏極の超偏極を促進する工程を含む。
【0077】
別の態様に従って、カプセル化された物質を3Heに暴露させてもよい。好ましくは、カプセル化された物質は、3Heの通過を可能にする多孔質の表面部分を有する。更により好ましくは、多孔質の表面部分は、気体が多孔質の表面部分を通過してカプセル化された物質の芯部分に入ることを可能にする。芯部分は、標準条件で固体、液体および/又は気体である物質を含んでもよい。別の態様に従って、カプセルの多孔質の表面部分は、とりわけ、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせなどのポリマー材料を含んでもよい。一実施形態に従って、カプセル化剤の多孔度は、ヘリウムがカプセル化剤を通過することを実質的に可能にしてもよく、ヘリウムより大きい分子がカプセル化剤を通過することを実質的に防止してもよい。好ましくは、芯部分は、とりわけ、13C、15N、1H、2H、31P、19F、29Siおよびこれらの組み合わせを含む群から選択される核を含有する物質を含む。
【0078】
更に別の態様に従って、カプセル化された物質の超偏極を促進するために、カプセル化された物質を冷却してもよい、および/又は磁場中に維持してもよい。例えば、カプセル化された物質をとりわけ約100K、10K、又は1K未満の温度に冷却してもよい。別の例として、磁場は、とりわけ約10mT、1T、および10Tを超える最大強度を有してもよい。好ましくは、芯物質の少なくとも一部が緩和して超偏極状態になることを可能にするのに十分な時間、芯物質を低温で磁場中に維持する。
【0079】
別の態様に従って、芯物質を4Heに暴露させて芯物質から3Heを排除し、このようにして芯物質の超偏極を維持し、3Heを除去してもよい。一実施形態に従って、超偏極したカプセル化された物質を低温に、および/又は磁場中に長時間維持してもよい。このようにして超偏極物質を維持すると物質の貯蔵および/又は移送が容易になり、物質からの超偏極の損失が最小限になる。長時間は、例えば、約10分の1秒〜約1週間の任意の好適な時間であり、任意の好適な時間増分があってもよい。物質を最終用途のために別の位置に移送する場合、超偏極したカプセル化された物質を好適な容器に入れて第1の位置から第2の位置に、好ましくは低温で、磁場の存在下で移送してもよい。
【0080】
所望する場合、カプセル化された物質を低温で磁場中に長時間(約10分の1秒〜約1週間など)維持してもよい。カプセル化された超偏極物質を容器に入れて第1の位置から第2の位置に移送してもよい。超偏極の実質的な損失が回避されるように、カプセル化された超偏極物質を使用する前に、カプセル化された物質の温度をまず上昇させてもよい。次いで、カプセル化された超偏極物質を分析される目的の部位に導入してもよい。例えば、目的の部位の磁気共鳴画像を生成してもよい。別の例として、生体外又は生体内標的又は試料のNMRスペクトルを分析してもよい。
【0081】
更に別の態様に従って、使用するために、超偏極したカプセル化された物質の温度を上昇させてもよい。好ましくは、物質の超偏極の実質的な損失が最小限になるように、カプセル化された物質の温度を上昇させる。次いで、カプセル化された超偏極物質を分析される目的の部位に導入してもよい。所望する場合、目的の部位の磁気共鳴画像を生成してもよい。別の例として、超偏極物質を使用して、生体外又は生体内試料又は標的のNMRスペクトルを分析してもよい。
【0082】
更に本発明に従って、患者などの目的の部位の磁気共鳴画像を得る方法を提供する。本方法は、超偏極したカプセル化された物質を患者などの目的の部位に導入する工程、目的の部位に電磁エネルギーの1つ又は複数のパルスを送信し、超偏極したカプセル化された物質を励起させる工程、および超偏極したカプセル化された物質から受信した信号を使用して目的の部位の磁気共鳴画像を作り出す工程を含む。
【0083】
本発明は、また、NMR分光法を実施する方法を提供する。本方法は、超偏極したカプセル化された物質を目的の部位に導入する工程、目的の部位に電磁エネルギーの1つ又は複数のパルスを送信し、超偏極したカプセル化された物質を励起させる工程、および目的の部位からNMRスペクトルを受信する工程を含む。
【0084】
前述の概略的な説明と以下の詳細な説明は共に例示的なものであり、請求する本発明を更に説明することが意図されている。
【0085】
本明細書に組み込まれ、その一部を構成する添付の図面は、本発明の方法およびシステムを図示し、更に分かり易くするために記載されている。説明と共に図面は本発明の原理を説明するのに役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0086】
ここで、本発明の好ましい実施形態を詳細に参照するが、その実施例は添付の図面に示されている。本発明の方法および対応する工程を本システムの詳細な説明と共に記載する。
【0087】
MRIおよび/又はNMRの有効性を向上させるために、本明細書に示されるデバイス、方法、および組成物を使用してもよい。本発明のある一定の実施形態は、物質を最初に超偏極させた位置から離れた位置にいる最終使用者に超偏極物質を提供するのに特に適している。更に、本発明の他の実施形態は、必要に応じて、試料、物質、および患者の分析を容易にするカプセル化された超偏極物質を提供する。
【0088】
本発明の第1の実施形態に従って、超偏極物質の製造方法を提供する。本方法は、第1の物質を提供する工程、第1の物質が超偏極状態になるまで第1の物質の核超偏極を増大させる工程、および、第1の物質から第2の物質に核超偏極を移動させる工程を含む。
【0089】
限定の目的ではなく説明と例証の目的で、本発明に従って実施される例示的方法およびシステムの方法段階を示す概略図を図1に示し、参照符号100でその全体を示している。本発明による方法および/又はシステムの他の実施形態又はその態様を、記載されるように、図2〜図7に提供する。
【0090】
従って、図1に示されるように、例えば、超偏極プラットホーム110に送入される第1の物質112を提供する。第1の物質112が超偏極状態になるまで、第1の物質112の核超偏極を増大させる。
【0091】
核超偏極は、(N↑−N↓)/(N↑+N↓)と記載することができ、ここで、N↑は、核磁気モーメントが外部磁場の方向に平行に整列している物質の核の数を表し、N↓は、核磁気モーメントが外部磁場の方向に逆平行に整列している物質の核の数を表す。本明細書で使用する時、超偏極の用語は、集団からのMR信号が標準的な操作条件での信号よりも増強されるように、核スピンの1つの集団(ensemble)又は核スピンの複数の集団1組のスピン秩序の増加を指すことが意図されている。この増加は、人工的に達成されてもよい。標準的なNMR/MRI操作条件(T=300K、B=1〜10テスラ)では、N↑〜N↓および均一な(even)プロトンの全体的な偏極はまだかなり低く、約数ppmである。超偏極は、高いパーセンテージの核スピンを所定の方向に;典型的には、印加した磁場の方向に沿って人工的に整列させる行為を指す。NMR/MRIの信号対雑音比は、偏極Pの一次関数である:
S/N〜(Qf0texp/T1)1/2c(xyz)P
従って、スピンを(例えば)10%の値まで超偏極させることによって、信号対雑音比を標的核に応じて10,000倍以上増加させることができる。
【0092】
第1の物質112を超偏極させるため、超偏極プラットホーム110で様々な方法を使用することができる。対象の開示の文脈で、本明細書に記載されるようなこれらの方法を使用して、本明細書に記載される有用な超偏極組成物(例えば、溶媒、溶液、サスペンション、エマルション、コロイド、および複合材料等)のいずれか又はその1つ以上の成分を超偏極させることができるということが分かる。
【0093】
第1の実施例として、動的核偏極(「DNP」)を使用して第1の物質112(又は他の物質)を超偏極させてもよい。DNPは一般に、排他的ではないが典型的にはマイクロ波照射を使用する電子共鳴線の飽和による、電子スピンから近傍の核スピンへの偏極の移動を含む。特許文献中のDNPの例としては米国特許第6,008,644号明細書が挙げられ、この特許は参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる。本発明の実施形態の幾つかの文脈では、DNPを使用して溶媒および/又は生理学的に許容される流体を超偏極させることができる。その後、溶媒又は流体の超偏極を目的の検体に移動させる。
【0094】
第2の実施例として、核オーバーハウザー効果を使用して第1の物質112(又は他の物質)を超偏極させることができる。核オーバーハウザー効果は一般に、排他的ではないが典型的には第1組のスピンの核共鳴線の飽和による、1組の核スピンから別の組の近傍の核スピンへの核偏極の移動を含む。文献中の核オーバーハウザー効果の例は、シュリヒター、磁気共鳴の原理、第2版、シュプリンガー出版、ベルリン、1978年(Schlichter, Principles of Magnetic Resonance, 2nd ed. Springer Velas, Berlin, 1978)に記載されており、この文献は参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる。
【0095】
本発明の実施形態の幾つかの文脈では、溶媒および/又は生理学的に許容される流体の1組の核スピンが通常より高い偏極を有するようにすることによって、核オーバーハウザー効果を使用することができる。その後、溶媒および/又は生理学的に許容される流体のこの過剰な偏極を目的の検体に移動させてもよい。
【0096】
第3の実施例として、パラ水素誘起分極(「PHIP」)を使用して、第1の物質112(又は他の物質)を超偏極させることができる。PHIPは一般に、触媒を用いたp−H2での水素化とそれに続く目的の核へのスピン秩序の移動による偏極の移動を含む。特許文献中のPHIPの例としては、例えば、米国特許第6,574,495号明細書が挙げられ、この特許は参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる。本発明の実施形態の幾つかの文脈では、例えば、PHIPを使用して溶媒および/又は生理学的に許容される流体の核を超偏極させることによって、PHIPを使用することができる。その後、溶媒および/又は生理学的に許容される流体の核超偏極を目的の検体に移動させてもよい。
【0097】
第4の実施例として、好ましくは量子緩和スイッチ(quantum relaxation switch)(本明細書では「QRS」と称される)を使用する極限超偏極を使用して、第1の物質112(又は他の物質)を超偏極させることができる。当該技術分野の用語として、極限(brute force)は、超偏極される物質を極低温で高磁場条件に暴露させることを指す。「極限」環境中の物質は、自然に緩和して高い核偏極状態になる傾向がある。しかし、追加の機構を使用しない場合、超偏極を達成する時間は一般に長過ぎて実用に向かない。3Heなどの超偏極促進剤を使用することにより、3Heによって提供される量子緩和スイッチは、極限条件にある物質の緩和を促進し、物質中の超偏極を迅速に誘起する。次いで、4Heを使用して3Heを第1の物質112の表面から除去し、超偏極を過剰に損失することなくそれを室温に加温することが可能になる。特許文献中のQRSの例としては米国特許第6,651,459号明細書が挙げられ、この特許は参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる。本発明の実施形態の幾つかの文脈では、溶媒中の核を緩和させて高い核超偏極状態にすることによってQRSを使用することができる。その後、溶媒および/又は生理学的に許容される流体の超偏極を目的の検体の核に移動させることができる。
【0098】
第5の実施例として、予め超偏極した気体の超偏極核に第1の物質112又は他の物質の分子を暴露させることによって、第1の物質112又は他の物質の分子を超偏極させてもよい。これは、第1の物質を液化した超偏極129Xeに浸漬すること、又は気体の偏極キセノンを物質中に通気させることなどの様々な方法で実施することができる。特許文献中の気体からの核超偏極移動の例は、米国特許第6,426,058号明細書に見出すことができ、この特許は参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる。本発明の実施形態の幾つかの文脈で、溶媒および/又は生理学的に許容される流体を超偏極させることによってこれを使用することができる。その後、溶媒および/又は生理学的に許容される流体の核超偏極を目的の検体の核に移動させてもよい。
【0099】
本明細書に記載される時、「オーバーハウザー効果」は電子から核への偏極の移動であると考えられる。更に本明細書に記載される時、「核オーバーハウザー効果」は、移動が1つの核から別の核までであること以外、類似の現象である。それぞれの場合、偏極は1組のスピン(「オーバーハウザー効果」の場合は電子−核、「核オーバーハウザー効果」の場合は核−核)から移動する。この方法は、2組のスピン(即ち、(i)電子−核、又は(ii)核−核)が互いに対して運動しているかどうかによって、物質への高周波(「RF」)パルスの印加を使用しても、又は使用しなくてもよい。
【0100】
好ましくは、本発明の一実施形態に従って、DNPを実施するとき、電子は高偏極され、偏極される目的の核と密接している。これは、約3テスラなどの磁場の存在下にある時、低温(約1.6K以下など)を使用することによって、有利に達成され得る。DNPでは、電子スピンは、目的の核に対して静止している。このようなものとして、マイクロ波放射を使用して、電子共鳴線を飽和させてもよい。更に、DNPを実施するとき、マイクロ波で目的の核を照射し、偏極の移動を促進することも好ましい。
【0101】
より広く言えば、本明細書の教示を使用することによって、核オーバーハウザー効果も含む超偏極移動を促進するためにマイクロ波パルスを使用することを必要とせずに超偏極を第1の物質に移動させることが可能であるが、所望する場合、この目的にマイクロ波を使用することは、明確に本開示の範囲に入る。
【0102】
第1の物質112(又は他の物質)を超偏極させた後、それを様々な目的に使用してもよい。第1の物質112は、以下に詳細に記載される第2の物質を超偏極させるのに使用されてもよく、又は他の目的に使用されてもよい。第1の物質112は超偏極した形態で長時間、偏極された位置で貯蔵されてもよく、又は貯蔵するためおよび/又は更に使用するために第2の位置に移送されてもよい。所望する場合、第1の物質は、貯蔵および/又は移送するために液化又は凍結されてもよい。
【0103】
図1に更に示されるように、所望する場合、混合プラットホーム120を使用して、第1の物質112から第2の物質122に超偏極を移動させてもよい。偏極の移動を促進するのに適切な周波数と振幅のRFパルスの印加を可能にするため、混合プラットホームにマグネットおよびプローブ121を任意に具備してもよい。多くの方法で超偏極の移動を達成してもよい。
【0104】
異なる核種間で超偏極を移動させる幾つかの方法の有用性は、当該技術分野で十分に理解されており、ピエトラス,T.:磁気共鳴法における光偏極129Xe、磁気共鳴総説17、263〜337頁(2000年)(Pietras, T.:Optically Polarized 129Xe in Magnetic Resonance Techniques.Magn.Reson.Rev.17,263-337(2000))に記載されており、この文献の内容は、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる。これらの方法には:
1)交差分極
2)核オーバーハウザー効果
3)熱混合、および
4)ラーモア/ラビ周波数交差結合
がある。
【0105】
前記方法は、全て、異なるスピン間で偏極を移動させる方法に言及する。更に、物質間の十分な熱的、化学的、および/又は双極子接触を確実にすることによって、2つの物質の同様なスピン間の密接な結合を促進することができる。従って、混合プラットホームは、物質を適切な周波数と振幅のRFパルスに暴露させる装置を具備してもよく;又は、物質のRF励起を必要としない場合、混合装置は、物質間を密接させて超偏極移動を促進するように、2つの物質間の十分な熱的、化学的、および/又は双極子接触を確実にするのに適切な混合システム(例えば、機械的混合システム)を具備してもよいことが分かる。
【0106】
前記方法を全て使用して、第1の物質から第2の物質に核超偏極を移動させてもよい。有利には、第1および第2の物質の2組の核スピン間に十分な双極子結合がなければならない。
【0107】
交差分極
交差分極では、高周波パルスを使用して、双極子結合した異なるスピン間に相互スピン・フリップを誘起し、ここで、1組のスピンは、より高い核秩序状態にあるか、又はより高い核秩序状態になる。スピンが互いに静的な運動関係にあり(即ち、相互の回転速度が低い)、条件γ1Bs=γSB1を満足することが仮定される。
【0108】
次いで、高周波パルスを1組のスピンに印加し、その共鳴線を飽和させる。これは、目的の物質に高周波パルスを送達できるスペクトロメーターを使用することによって達成することができる。別の例として、装備されたほとんどのNMR/MRIマグネットは、既にこの能力を有するか、又はこのような能力を有するように容易にアップグレードすることができる。従って、この方法を使用して第1の物質から第2の物質に超偏極を移動させてもよく、又は、次の混合物を製造した後でそれらを超偏極させるか若しくは次の混合物を製造する前にそれらの1つ以上の構成成分を超偏極させることなどによって、本明細書に記載されるような超偏極(i)溶液、(ii)サスペンション、(iii)エマルション、又は(iv)複合材料を作り出してもよい。
【0109】
核オーバーハウザー効果:
前述の交差分極と対照的に、核オーバーハウザー効果は、双極子結合したスピン間の相互の「フリップ・フロップ」遷移によって進行する。物理的状況が、1組のスピンが他方に対して迅速に回転している状況(一緒に混合する2つの液体又は固体物体を流れ過ぎる1つの液体によってよく説明される状況)である場合、1組のスピンからの迅速に変化する双極子磁場が他方に遷移を引き起こし、異なる核間で超偏極を移動させるのに高周波パルスの照射は必要ではない。本明細書に具体的に示され用途では、例えば、超偏極物質112が第2の物質122と完全に混合することを確実にすることによって、この効果を促進することができる。
【0110】
スピンが互いに対して回転していない場合でも、超偏極核の共鳴線の飽和により、迅速に変化する双極子磁場を作り出すことができる。どちらの場合もこの方法を使用して、第1の物質から第2の物質に超偏極を移動させる、又は本明細書に具体的に示されるような超偏極(i)溶液、(ii)サスペンション、(iii)エマルション、又は(iv)複合材料を作り出すことができる。
【0111】
熱混合(Thermal Mixing):
熱混合は、通常、短時間、別々の核のゼーマン・エネルギーが重なるように外部磁場を迅速に低下させることによって、異なる核間で偏極を移動させる行為を指す。主な基準は、一般に、異なる核I、Sのゼーマン・エネルギーの蓄積(Zeeman energy reservoirs)E=γI,SBができるだけぴったり一致することである。
【0112】
この方法は、超偏極移動を達成するために高周波パルスの印加を必要としないという利点を有する。普通の熱混合の欠点は、通常、物質を混合し、短時間、非常に低い磁場に暴露させることを必要とすることである。T1は磁場の強関数(strong function)であることが多いため、これは、物質の少なくとも1つの偏極が著しく損失し、結果が悪くなることに繋がり得る。
【0113】
しかし、本明細書に開示される様々な用途では、同一の双極子結合した核を含有するように第1の物質と第2の物質を予め準備してもよい。例えば、溶媒などの物質の13Cスピンを、検体の13Cスピンと双極子結合させてもよい。この場合、十分な超偏極移動を達成するために、磁場を低下させることは必要ではない。溶媒および検体のスピンは、超偏極移動を達成するのに十分長い時間、互いに十分に双極子結合していなければならない。十分に結合する場合、超偏極を移動させる時間はかなり短くなり得る(例えば、約1E−4秒)。このようなものとして、本明細書に具体的に示されシステムおよび方法は、例えば、前述のように超偏極溶媒と検体の十分な混合を確実にすることによって、十分な結合を達成する。
【0114】
従って、熱混合を使用して第1の物質から第2の物質に超偏極を移動させる、又は、必要に応じて、とりわけ超偏極(i)溶液、(ii)サスペンション、(iii)エマルション、および/又は(iv)複合材料を作り出すことができる。
【0115】
ラーモア/ラビ周波数交差結合
γSBI=γIB0の条件で、スピンS、I間の結合を達成し得る。この方法は、単一のRF励起しか必要としないが、大きい磁場B0中で結合を実施する場合、BI傾斜磁場(tipping field)が非常に大きいことを必要とする。
【0116】
前述の各状況で、第1の物質から第2の物質に超偏極を移動させる時、以下の特性を有するのが望ましいことが分かる:
1)第1の物質の高い超偏極度。これは前述の方法のいずれかで達成されてもよい。好ましい実施形態に従って、これは、極限(「BF」)量子緩和スイッチ(「QRS」)を使用することによって達成される。
【0117】
2)第1の物質と第2の物質の十分な熱的および双極子接触。これは、第1の物質の核スピン間に十分な双極子接触を達成するように第1の物質と第2の物質を混合し、所望する場合、2つの物質の核間での十分な超偏極移動を確実にするために、必要に応じて電磁パルスの照射を使用することによって達成することができる。
【0118】
異なる物質の核スピン間での偏極移動
当該技術分野では、前記方法は全て、典型的には分子結合している核間で超偏極を移動させるのに使用される。しかし、異種間での、および異なる物理的状態での超偏極移動は十分に実証されてきた。例えば、異なる固体種間での超偏極の移動は、「有機半導体界面における核スピン偏極移動」、化学物理誌、119巻、19号、2003年11月15日、ルーカス・ゲーリングおよびカールA.ミカル("Nuclear spin polarization transfer across an organic-semiconductor interface," Journal of Chemical Physics Volume 119, Number 19 15 November 2003, Lucas Goehring and Carl A. Michal)に実証された。この出版物は参照により明確に組み込まれる。この参考文献では、InPなどの偏極可能な基材上に有機物質が被覆された。高周波パルスの印加によりInP中の31P核からの偏極は有機被覆層のスピンに移動し、被覆された層自体での超偏極移動はスピン拡散により進行した。
【0119】
同様に、溶媒のスピンと溶質のスピンとの間で核超偏極を移動させることができる。例えば、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる米国化学会誌、2001年、123、1010〜1011頁(J. Am. Chem. Soc. 2001, 123, 1010-1011)では、プロトン集団の核偏極は、溶媒と溶質の間でスピン拡散により伝播する。この特定の場合、核のゼーマン・エネルギー準位が同一であるため、電磁パルスの印加を必要としない。
【0120】
同様に、205巻、2,3号、化学物理学レター、1993年4月9日、「低磁場熱混合によるレーザー偏極した固体キセノンから13CO2への交差分極」、C.R.バウアーズ、H.W.ロング、T.ピエトラス、H.C.ゲーデおよびA.パインズ(Volume 205, number 2,3 Chemical Physics Letters, 9 April 1993 "Cross polarization from laser-polarized solid xenon to 13CO2 by low-field thermal mixing" C.R.Bowers, H.W.Long, T.Pietrass, H.C.Gaede and A.Pines)に、熱混合を使用した超偏極キセノンと異なるスピンとの間の偏極移動が実証された。この出版物もまた参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる。
【0121】
本明細書に更に具体的に示されるように、第1の物質112をプラットホーム120内の第2の物質122上を又は第2の物質122の中を通過させることによって完全な混合を達成し、第2の物質122の超偏極を可能にするのに十分な物理的接触を達成してもよい。例えば、図2を参照して後述するように、第1の物質112を、表面に超偏極物質を有する固体ビーズ212の形態で提供することができる。好適なビーズ又はこれらのビーズを製造するのに好適な材料の特定の例としては、例えば、シリコン・マイクロスフェア、カーボン・マイクロスフェア、カーボン・ナノチューブ、カーボン・ナノファイバー、テンタ・ゲル(商標)(TentaGelTM)(ラップ・ポリマー社、ドイツ、D72072チュービンゲン、エルンスト−シモン通り9番(Rapp Polymere GmbH, Ernst-Simon-Str.9, D72072 Tubingen, Germany))等のポリマー樹脂が挙げられる。テンタ・ゲル(TentaGel)樹脂は、低架橋ポリスチレン・マトリックスにポリエチレングリコール(PEG又はPOE)がグラフトされたものからなるグラフト共重合体である。PEGは、疎水性と親水性を有する「カメレオン・タイプ」のポリマーであるため、グラフト共重合体は改質された物理化学的特性を示す。
【0122】
主NMR/MRIマグネット150の外部磁場、および/又は移動デュワー300中の保持マグネット360から生じる保持磁場(holding field)の変化は必ずしも、検体中に高い超偏極を達成するのに最適な方法ではないが、超偏極移動のためにこのような方法を使用してもよいことが分かる。
【0123】
別の態様に従って、第1の物質および第2の物質のうち少なくとも1つは、好ましくは生体外又は生体内NMR分析に好適である。更に、第1の物質および第2の物質のうち少なくとも1つは、好ましくは、生体内MRI検査に使用するのに好適な許容される液体である。水、生理食塩水、重水、アセトン−d6、エタノール−d6、アセトニトリル−d3、蟻酸−d2、ベンゼン−d6、メタノール−d4、クロロホルム−d1、ニトロメタン−d3、酸化ジュウテリウム、ピリジン−d5、ジクロロメタン−d2、1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2、ジメチルホルムアミド−d7、テトラヒドロフラン−d8、ジメチルスルホキシド−d6、トルエン−d8、1,4−ジオキサン−d8、トリフルオロ酢酸−d1、およびこれらの組み合わせなどの液体物質を第1の物質112および/又は第2の物質114に使用してもよい。別の態様に従って、流体は、追加で又は代わりに、とりわけ空気、窒素、二酸化炭素、キセノン、3He、およびこれらの組み合わせを含む群から選択されるものなどの気体を含んでもよい。更に、13C、15N、1H、2H、31P、19F、29Siおよびこれらの組み合わせを含むものなどの固体物質を、第1の物質112および第2の物質122の1つ以上に使用してもよい。
【0124】
第1の物質112又は第2の物質122(又は他の物質)を超偏極させた後、所望する場合、物質を低温で磁場中に維持し、それが分析に使用され得る位置にそれを移送することなどにより、物質の超偏極を保存することが可能である。このようにして、第1の位置で超偏極物質112を作り出し、それを第2の位置に移送することが可能であり、そこで超偏極を第2の物質122に移動させてもよい。以下に詳細に記載される容器205などの好適な容器をこのような目的に使用してもよい。或いは、所望する場合、超偏極移動を第1の位置で行ってもよく、次いで、第2の物質を貯蔵しても、および/又は第2の位置に移送してもよい。更に、第2の物質を最終位置に移送することができ、そこで、第2の物質を例えば試料又は標的などの物質の分析に使用してもよい。有効な「移送」と超偏極の移動によって、資本的設備に投資した個々人が一般的な物質を超偏極させ、その後、超偏極物質を最終使用者に移送することが可能である。これによって、超偏極物質を使用することによって提供され得る優れた結果を利用するために、最終使用者が高価な設備に投資する必要がないという大きな利点が得られる。超偏極物質を移送することに関する態様を以下に詳細に記載する。
【0125】
図1に更に示されるように、標的物質の近位にある部位および/又は標的物質自体の分析を実施してもよい。例えば、分析は、市販のMRIスキャナ(例えば、GEシグマ(GE Sigma)1.5T又は3.0Tスキャナ)、又は、主マグネット150および関連する送信および受信コイル/アンテナ152および当該技術分野で既知の支援ハードウェア154を有するより高い磁場能力(例えば、7.0Tの主磁場強度)等を有する研究用のものなどの他のスキャナなどを使用して、患者などの目的の部位の磁気共鳴画像を形成することを含んでもよい。本明細書に開示されるような本発明の他の実施形態に従って、類似のハードウェア(例えば、トランスミッタに接続されたイメージング・コイル、およびスキャナに接続されたコンピュータ制御装置など)を使用してもよいことが分かる。別の例として、分析は、当該技術分野で既知の送信および/又は受信コイル(図示せず)を使用して、生体外又は生体内試料又は標的のNMRスペクトルを分析すること含んでもよい。マグネット150の記述は、一般に、それがMRI、NMR、又は他の分析のためのものであろうと、画像化される目的の部位に定常磁場を印加する大きいマグネットを指すことが分かる。
【0126】
MRイメージングの用途に使用されるとき、超偏極物質は従来のMR造影剤に優る多数の利点を有する。従来の造影剤は常磁性化合物を含有し、周囲組織の磁気環境に影響を及ぼすことによって機能する。多くの常磁性化合物は毒性の問題があるため、生体内の目的でこれらを使用することに対して厳しい制約がある。更に、従来の造影剤は、その効果を容易に制御できないため、「ウォッシュ・アウト」の問題を引き起こすことが多い。これによって画像中にアーチファクトが作り出されることになる。
【0127】
超偏極(「HP」)剤の偏極は時間の関数であるため、その「ウォッシュ・アウト」効果を容易に説明することができる。更に、超偏極剤の核超偏極は適切な電磁パルスを印加することによって非常に迅速に破壊され得、このようにして、どのような「ウォッシュ・アウト」効果もなくなる。更に、生体内で非常に低いバックグラウンドを有する核からHP剤を製造することができ、非常に高い達成可能な分解能が得られる。最後に、HP剤は、毒性の問題なしに繰り返し使用することを可能にする非毒性の物質から製造されてもよい。更に、本明細書に記載されるように、超偏極物質が代謝され得る物質を含む場合、それは代謝されて超偏極代謝産物になるため、このような物質のNMRスペクトル/MR画像を得ることが可能である。従来の造影剤は、代謝に関与しない。非超偏極物質を使用すると、MRI機器で代謝産物を検出するのに十分な信号が得られない。このようにして、本発明に従って製造される薬剤の使用により、代謝活性を直接定量化し得る。
【0128】
超偏極物質を製造するシステム100を図1に示す。システム100は、第1の物質112(混合物又はその成分などの任意の好適な方法で提供される、本明細書に記載されるような任意の好適な物質とすることができる)を提供する手段、第1の物質が超偏極状態になるまで第1の物質112の核偏極を増大させる手段110、および第1の物質112から第2の物質122に超偏極を移動させる手段120を提供する。
【0129】
限定の目的ではなく更に例証する目的で、本明細書に具体的に示され、図2に図示されるように、完全に混合することによって核超偏極を移動させるシステム200を提供する。図2を参照すると、システム200は、容器210などの、好ましくはそれぞれが超偏極物質を含む第1の物質212の複数の球212を含む第1の物質212を提供する手段を具備する。任意の好適な表面積の大きい構成で第1の物質212を提供してもよく、球状粒子床の幾何学的形態の記載は単に例示を意図したに過ぎないことが分かる。第1の物質212は、本明細書に具体的に示される任意の方法を使用して超偏極されてもよい。
【0130】
システム200は、更に、容器210を受け入れるように調製および構成され、保持マグネット250(球中の物質の超偏極の維持を助けるように粒子床210の周囲に磁気双極子などの保持磁場(magnetic holding field)を印加するための永久磁石、従来の電磁石、又は、高温又は低温超伝導物質(HTS/LTS物質)を含む巻線を有する磁石であってもよい)を有する当該技術分野で既知のデュワーなどの容器205を具備する。必要な場合、マグネット250のための冷媒および電力の供給源208を設けてもよい。
【0131】
弁230の動作により導管224と連通する流体供給源220で、流体の形態の第2の物質222の流れを床210上に送る。第2の物質222は、第1の物質212上を通り、2つの物質間に物理的接触を作り出し、超偏極の移動を可能にする気体又は液体として提供されてもよい。所望する場合、本明細書に記載されるように、RFパルスを印加して超偏極の移動を促進することを助けてもよい。次いで、超偏極した第2の物質222を更に導管224を通ってNMR試料管190又は患者(図示せず)に到達するように送ってもよく、本明細書に記載されるようにMRI/NMR分析を実施することができる。
【0132】
完全な混合により超偏極を移動させるために、他の様々な形態を提供することができる。例えば、粒子床は、例えば、ヒーター270で迅速に溶解され、第2の物質に分散され得る物質を含むことができる。排他的ではないが好ましくは、PTFEコーティングされたガラスなどの適度な非脱偏極(non depolarizing)物質から製造された一連の障害上に物質を流すことによって、更に物質を混合してもよい。
【0133】
別の例として、図3は、電磁結合を使用して超偏極を移送させるための例示的システム300を示す。この実施例では、凍結した超偏極物質312を溶解し、マグネット350によって提供される保持磁場を有する冷却された容器305内の容器320中の予め無偏極状態とした溶液322中に分散させるが、溶媒は第1の物質と化学的に同一である。偏極物質と無偏極物質の混合を促進するため、非脱偏極流動障害324を設けてもよい。任意に、マグネット350の磁場は、混合物に印加するのに適切な周波数と振幅の好適なRFパルスを提供するのに十分な均質性を有してもよい。所望する場合、ヒーター370は、凍結した物質312の溶解を促進するための熱を提供してもよい。圧力を加えることによって、混合溶液326を、RFパルスの印加に好適なマグネット150およびプローブ160(概念は前述の構成要素152、154に類似する)を有するシステムの穴に流入させる。典型的には超偏極核の共鳴線を励起させるように選択されたRFパルスを印加して、溶解した溶媒の核と検体のスピンとの間にスピン・フリップ遷移を引き起こす。理解されるように、システム300は生体内MRI検査に適するように構成されてもよい。
【0134】
更に本発明に従って、超偏極物質を製造する方法およびシステムを提供する。本方法は、溶媒を提供する工程、溶媒を超偏極させる工程、および溶媒から標的物質に超偏極を移動させる工程を含む。本システムは、方法の段階を実施するのに必要な構成要素を提供する。従って、超偏極溶媒も提供される。
【0135】
別の態様に従って、溶媒と標的物質を混合した後、それらを超偏極させてもよい。所望する場合、溶媒および/又は標的物質は、それぞれ、一緒に混合される複数の構成物質で構成されてもよい。これらの構成物質は、混合前、混合中、又は混合後に超偏極されてもよい。
【0136】
限定の目的ではなく例証の目的で、本明細書に具体的に示されるように、溶媒は、生体外NMR分析に好適な液体を含んでもよい。例えば、溶媒としては、水、重水、アセトン−d6、エタノール−d6、アセトニトリル−d3、蟻酸−d2、ベンゼン−d6、メタノール−d4、クロロホルム−d1、ニトロメタン−d3、酸化ジュウテリウム、ピリジン−d5、ジクロロメタン−d2、1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2、ジメチルホルムアミド−d7、テトラヒドロフラン−d8、ジメチルスルホキシド−d6、トルエン−d8、1,4−ジオキサン−d8、トリフルオロ酢酸−d1、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される物質が挙げられる。別の例として、溶媒としては、生体内MRI検査に使用するのに好適な生理学的に許容される液体が挙げられる。生理学的に許容される液体としては、水および生理食塩水等が挙げられる。
【0137】
例えば、(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)量子緩和スイッチを使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に溶媒の分子を暴露させることによる溶媒の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される方法により溶媒自体の分子を超偏極させてもよい。
【0138】
更に別の態様に従って、本方法は、更に、超偏極される前に溶媒を表面積の大きい構成にする工程を含んでもよい。これは、超偏極を達成するためにQRS法を実施するとき、特に有利になり得る。
【0139】
例えば、図4に示されるように、超偏極される前に、溶媒を表面積の大きい基材410上に塗布することによって、溶媒400を表面積の大きい構成にしてもよい。表面積の大きい基材410としては、例えば、とりわけ、エアロゲル材料、シリコン・ビーズ、ヒュームド・シリカ、カーボン・ナノ構造、シリコン・ナノファイバー、膨張化炭素、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0140】
表面積の大きい基材410は、好ましくは、物質を収容するように調製および構成された試料チャンバ420に配置される。方法の中でも3Heを使用する量子緩和スイッチを使用する本明細書に記載されるような極限法などの任意の好適な方法を使用して、溶媒を超偏極させてもよい。従って、マグネット150を使用して試料を高磁場に暴露させてもよく、試料チャンバ420を極低温(1.0K未満など)に維持し、極限環境を作り出してもよい。熱スイッチ421によって試料チャンバ420と冷凍機構の低温セクション(希釈冷凍機の混合チャンバ450など)の間に十分な熱的接触が提供される。3Heをチャンバに添加して試料の超偏極を促進してもよく、その後、4Heを添加して3Heを除去し、偏極を過度に損失することなく試料が加温されることを可能にしてもよい。入口キャピラリ430で溶媒および/又は他の流体をチャンバに送給してもよい。ドレン管435で流体をチャンバ420から排出してもよい。溶媒を超偏極させた後、熱スイッチ/ヒーター440を使用して、凍結した超偏極溶媒400を表面積の大きい基材410から融解させ、それを混合チャンバ450に送給してもよく、そこで超偏極溶媒を超偏極されなかった溶媒と混合し、送給してもよい。
【0141】
好ましくは、本方法およびシステムはまた、以下に限定されないが、酸素基、酸化鉄、および不対電子基等の磁性不純物を表面積の大きい基材410の表面から取り除く工程を提供する。別の態様に従って、表面積の大きい基材はまた、好ましくは磁気的に不活性である。
【0142】
更に別の態様に従って、本方法は、溶媒を微細な形態に転換することによって溶媒を表面積の大きい構成にする工程を含んでもよい。例えば、図5に示されているように、溶媒500を粉末590に転換してもよい。例えば、噴霧チャンバ530内で噴霧操作を実施し、その後、溶媒500を凍結して溶媒粉末590にしてもよい。例えば、入口導管515を通して溶媒を導入し、冷却された雰囲気520(例えば、液体窒素などの低温流体の浴560によって提供される)中でノズル510から溶媒500を噴霧518に霧化することによって、溶媒500を粉末590に転換してもよい。例えば、試料体積を短時間、単純に加熱することによって冷却された雰囲気を後で除去し、微粉化された粉末590を超偏極する準備が整った状態にしてもよい。従って、とりわけ、噴霧凍結液体(SFL)技法又は噴霧凝結(SC)技法などの方法を使用して溶媒を粉末化してもよい。溶媒500を凍結して溶媒粉末590の形態にした後、超偏極する前にそれを凍結状態で貯蔵してもよい。
【0143】
所望する場合、粉末590を、標準条件で固体である物質から形成して提供してもよい。既知の任意の方法(例えば、粉砕、アトリション・ミル、およびプラズマ・スパッタリング法等)を使用して、この固体物質を粉末状に転換してもよい。固体物質は、超偏極され得る任意の物質を含んでもよく、好ましくは、13C、15N、1H、31P、19F、29Siおよびこれらの組み合わせを含む群から選択される物質を含む。次いで、本明細書に開示されるように固体粉末状物質590を超偏極させてもよい。
【0144】
所望する場合、本明細書に記載のいずれかの方法を使用して粉末590を超偏極させてもよい。好ましくは、量子緩和スイッチを使用して溶媒粉末590を超偏極させる。例えば、QRS法を使用する場合、熱スイッチを使用して希釈冷凍機550の混合チャンバなどの低温冷凍機の低温部分への十分な熱接触を促進することにより、チャンバを冷却してもよい。3Heおよび4Heをチャンバ530に導入し、マグネット150を使用して粉末590の超偏極を促進してもよい。別の例として、異なる装置でQRS又は本明細書に記載されるような他の方法を使用して、粉末を超偏極させてもよい。溶媒500を超偏極させた後、図4の実施形態のように、ヒーター540を使用して、凍結した超偏極粉末590を融解させ、それをドレン管535で混合プラットホーム(図5には図示せず)に送給し、そこで超偏極溶媒500を超偏極されなかった溶媒と混合し、送給してもよい。
【0145】
特にQRS法を実施するとき、溶媒を噴霧および凍結するか否かに関わらず、好ましくは、溶媒を超偏極させる前に溶媒を冷却する。一実施形態に従って、溶媒を超偏極させる前に、溶媒を約100K未満の温度に冷却する。より好ましくは、本方法は、溶媒を超偏極させる前に、溶媒を約80K、60K、40K、20K、10K、5K又は更には1K未満の温度に冷却する工程を含む。一般に、物質を冷却すると、それらを超偏極するのが容易になる。特に、所与の磁場中での核偏極は、双曲線正接関数P=tanh(uB/kBT)である。
式中、u=核の磁気回転比
B=印加された磁場
KB=ボルツマン定数
T=温度
これから、一般に、温度が低いほど、所与の磁場中で達成され得る偏極の程度が高くなることが分かる。
【0146】
本方法は、溶媒を磁場に暴露させる工程を含んでもよい。特にQRS法を使用するとき、これを使用して溶媒の超偏極を促進することができる。更に、近傍の核スピンに偏極を移動させる前に電子スピンを偏極させるために、DNPには磁場の印加が必要である。ここでDNPの文脈における典型的な磁場強度は、約1T〜約3Tである。電子スピンの偏極はこれらの値で(約1.6kの温度で)飽和するため、一般に、それより大きい磁場を必要としない。当業者に更に理解されるように、超偏極気体の製造には小さい磁場(例えば、数百ガウス)も使用される。
【0147】
前述のように、磁場の増加に伴って極限/QRS環境中での超偏極が増大する。B/T値が十分に高いと、その関係は線形になり、超偏極およそB/Tとなる。一実施形態に従って、磁場の強度は約10mTより大きい。より好ましくは、磁場は、約0.5T、1.0T、1.5T、2.0T、3.0T、5.0T、7.0T、10.0T、15.0T、20.0T、又は更には25.0Tより大きい強度を有する。
【0148】
QRS法を実施する時、次に溶媒を3Heに暴露させ、溶媒の超偏極を促進する。好ましくは、溶媒上に少なくとも1つの3Heの単分子層が形成するのに十分な量の3Heに溶媒を暴露させる。これは、例えば、米国特許第6,651,459号明細書の教示に従って実施することができる。この参考文献は凍結した気体を超偏極させることを開示しているが、本特許出願の発明者らは、ここで、この方法が凍結した液体並びに他の固体物質に適用可能であることが分かった。重要なことには、偏極させる物質が大きい表面積を有する形態にされることが非常に望ましい。物質が気体であるとき、これは簡単明瞭であるが、物質が液体又は固体であるとき、これはより困難である。液体の場合、好ましい実施形態は、例えば、前述のように、まず液体をサブミクロン・サイズの液滴に霧化させることによって液体を超偏極させてもよい。液滴を迅速に固化させて粉末を形成してもよい。第2の実施形態として、表面張力を使用して液体をシリカ・エアロゲルなどの基材の表面に付着させることができる。基材の孔の中の過剰な液体を乾燥させ、孔が大部分空になり液体が5μm未満の厚さのストランド状に層を形成するようにしてもよい。これより厚い層はQRSプロセス中に迅速に偏極しないことが予測できる。
【0149】
固体の場合、好ましくは、粉末中の粒子の典型的な直径が約5μm未満になるまで固体を粉末化させる。これよりも実質的に大きい粒子は、QRSプロセス中に迅速に偏極しないことが予測できる。
【0150】
QRSプロセスは、低温で、および好ましくは高磁場の領域での操作を必要とする。更に、3Heおよび4Heを超偏極される物質に適量、且つプロセスの適切な工程で導入することを可能にし得るキャピラリー管などの構造要素を設けてもよい。キャピラリー管は試料領域への熱負荷を最小限にするように注意深く構成されなければならないことが分かる。
【0151】
QRSの場合、次いで、溶媒のかなりの部分が緩和して超偏極状態になることを可能にするのに十分な時間、溶媒を低温で磁場中に維持する。同様に、DNPプロセスでは、超偏極の量は、時間の増加に伴って改善するが、その時、超偏極される物質にマイクロ波を照射する。例えば、QRSを使用する場合、緩和を可能にするのに十分な時間は、数時間、又は更には数日間まで様々であり、適宜、任意の時間増分があってもよい。更に、QRS法を使用するとき、凍結した超偏極溶媒を更に4Heに暴露させ、溶媒から3Heを排除する。
【0152】
当業者に更に理解されるように、溶媒を処理することに加えて、検体を溶媒に溶解させて溶液を作製し、本明細書に記載されるようにそれを粉末化させることも可能である。また、本発明に従って、この粉末を超偏極状態にすることもできる。このようなものとして、本発明に従って、本明細書に記載されるような、超偏極溶液並びに超偏極サスペンション、エマルション、コロイド、および複合材料又はこれらの成分を製造する目的で任意の液体および/又は溶液を粉末化することが可能である。
【0153】
それをどのようにして超偏極させたかに関わらず、溶媒は超偏極すると長時間貯蔵され得る状態になる。超偏極の維持は、超偏極溶液を磁場中および/又は低温に、例えば、保持磁場を維持できる本明細書に記載されるようなデュワー容器(例えば、305)内に貯蔵することによって容易になる。一般に、超偏極物質の貯蔵および/又は移送の目的では、少なくとも1Gを超える磁場の印加、および低温環境の維持が好ましい。
【0154】
更に、凍結されて、実質的に安定な超偏極状態になると、溶媒は容器(例えば、本明細書に記載されるような305、605)に入れて第1の位置から第2の位置に移送されてもよい。超偏極溶媒は第2の位置で使用されてもよく、又は第2の位置で貯蔵されてもよい。例えば、凍結した超偏極溶媒は、最終使用者が購入するために注文し、その後、第3の位置の最終使用者に送給されるまで、在庫に保管されてもよい。超偏極物質を貯蔵する、および超偏極物質を貯蔵場所および/又は最終使用者に移送するこれらの教示は、物質がどのようにして超偏極状態にされるかに関わらず、本明細書に記載の全ての超偏極物質に適用されることが分かる。
【0155】
超偏極物質を貯蔵および/又は移送するために、様々な容器のいずれかを使用してもよい。理解されるように、図6は、超偏極物質を貯蔵するおよび/又は顧客の場所に移送するためのこのような例示的な容器605を構成し得る方法、およびNMR又はMRI検査を容易にするために超偏極物質にアクセスし得る方法を示す。図6に示されるように、安定化された超偏極物質600を貯蔵および移送するために、例えば、真空断熱されたデュワーを含む貯蔵容器605を提供してもよい。図から、デュワーの設計は、超偏極物質を低温に維持すると同時に十分な磁場中に維持することを可能にし、その目的は、移送/貯蔵中、できるだけ長時間、物質の超偏極の維持を可能にすることであるということが分かる。
【0156】
好ましくは、容器605は、物質600を環境から隔離するための密封されたチャンバ620、可搬式冷凍機および/又は液体低温流体(例えば、液体LN2等)の浴などの低温を維持するための第1の手段630、および物質600の周囲に磁場を維持するための手段(例えば、マグネット)640を具備する。
【0157】
液体ヘリウム、液体水素、液体ネオン、液体窒素、液体アルゴン、液体酸素、および液体二酸化炭素等の様々な低温流体を使用して低温を維持してもよい。追加で又は代わりに、移動可能な冷凍機を使用して、試料領域で4Kの低さの温度を維持することができる。このような軽量の冷凍機の設計および構造は、当該技術分野で周知であり、市販されている。更に、低温で非常に高い比熱を有する物質を低温維持装置内に装填し、貯蔵/移送中、超偏極物質を冷却された状態に維持してもよい。
【0158】
低温と磁場を使用することの他に、核偏極の寿命を延ばす様々な方法が文献に記載されてきた。例えば、一重項状態の方がスピン集団の標準T1よりも長い−10倍長いこともある−寿命を有することが多いことが知られている。カラヴェッタおよびレヴィット、化学物理学誌122、2145059(2005年)(Caravetta and Levitt, Journal of Chemical Physics 122, 2145059(2005))に記載されているように、双極子結合した1/2スピン系の一重項状態への核偏極をロードするようにパルス・シーケンスを作成することができる。一重項状態自体はNMRを使用して検出することはできないが、得られるスピン秩序は、他のRFパルスを印加することによって一定の時間後に再現することができる。このようなものとして、核偏極の寿命を延ばすための当該技術分野で既知の前記および他の方法を、本明細書に記載される本発明の方法およびシステムのいずれかと一緒に使用してもよい。
【0159】
マグネット640は、永久磁石であっても、又は、超伝導および/又は「通常の」非超伝導ワイヤから製造されたソレノイド形状であってもよい。所望する場合、内部に収容される物質にRFパルスを効率的に印加することを可能にするため、標準より高い均質性を有するようにマグネット640を形成することができる。巻線として使用される多くの超伝導物質は、超伝導状態への遷移を可能にするように従来の伝導性物質と一体化され、それによって、特定の温度とバックグラウンド磁場が両方とも超伝導状態を可能にするほど十分低い場合、電子は、超伝導物質が所与の電流密度を伝えることができる点で、超伝導物質を通って流れ始めることが分かる。使用しやすいように、試料領域の外側の漏洩磁場(stray field)の形成が最小限になるようにソレノイド又は永久磁石の形状を作ることもできる。
【0160】
試料領域の磁場は、核間で上から下の状態への又はその逆の遷移を引き起こす事象ができるだけ起こらないようにするのに、特にゼーマン遷移を最小限にするのに十分でなければならない。更に、任意に、磁気遮蔽を使用し、1つ又は複数の超偏極物質に脱偏極放射線(depolarizing radiation)が当たることを最小限にしてもよい。例えば、核がその偏極を損失する事象を防止するためのシールドとしてミューメタルなどの物質を使用することは本発明の範囲に入る。ミューメタルは、非常に高い透磁率を有するニッケル−鉄合金(ニッケル75%、鉄15%、プラス銅およびモリブデン)である。高い透磁率のため、ミューメタルは、他の方法で減衰させることができない静磁場又は低周波数磁場を遮蔽するのに非常に有効である。
【0161】
更に、使用するために後で液化され得る超偏極物質を提供する場合、導管650の通路に物質600を配置してもよい。導管は、投入端652および物質の流れを受け入れるための投入弁656、並びに、物質と超偏極物質600の混合物を使用する最終位置に送るための放出弁658を有する放出端654を具備する。別の方法では、超偏極物質を使用するために、導管650を使用して容器610内に超偏極物質を「流して」もよい。導管650は、テフロン(Teflon)(登録商標)又はポリエチレンなどのできるだけ非脱偏極性の物質から製造されていなければならない。弁656、658も好ましくは非脱偏極物質から製造される。
【0162】
顧客などの使用者がNMR検査の実施を希望するとき、使用者はまず、好ましくは、試料領域内のものと同一の溶媒および目的の検体から溶液を作製する。使用者は通常より少量の溶媒を使用するが、それは、残部が試料領域に収容される凍結した超偏極溶媒からなるためである。次に、使用者は、試料出口管の端部を、投入端652を密封する弁656の開放端に取り付ける。使用者は、NMR試料管(例えば、本明細書に記載の190)への入口管を、排出端654を密封する弁658の開放端に取り付ける。例えば、シリンジ又は他の圧力源(例えば、圧縮ガス等)、又は、更には容器605内で試料を加熱することによる圧力を使用することによって試料に僅かな圧力を加えることにより、弁656を開放することにより、使用者の試料は試料領域を通って流れる。ヒーター670を使用して、試料領域の偏極溶媒を融解させる。僅かな圧力を使用してそれらを混合領域(直径が狭くなった小さい体積など)を通らせ、それによって無偏極溶媒と偏極溶媒が完全に混合されることにより、2つの溶媒は一緒に混合される。これによって、混合物の全体的な超偏極が増大し、その後、シリンジから継続的に圧力を加えることによって、混合物をNMR領域に入れる。
【0163】
米国特許第5,642,625号明細書は、低温で超偏極キセノンの寿命を延ばすために低温を使用することを記載している。米国特許第7,066,319号明細書は、磁場を印加することによって超偏極気体の移送を容易にするための移送デュアーを記載している。米国特許第6,807,810号明細書は、漏洩RF磁場を遮断することによって移送される超偏極気体の偏極損失を最小限にする方法を記載している。米国特許第5,612,103号明細書は、超偏極気体の移送中又は貯蔵中の偏極損失を最小限にする特殊なコーティングの使用を記載している。これらの特許はそれぞれ、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる。
【0164】
米国特許第6,466,814号明細書(「’814特許」)には、高T1剤をまず偏極させた後、溶媒に溶解させる超偏極溶液の製造方法が記載されている。この特許も参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる。この方法には多数の欠点がある。
【0165】
第1の例として、’814特許では、薬剤のT1によって超偏極は制限される。本明細書に開示されるある一定の実施形態のように溶媒をまず超偏極させることによって、ある一定の溶媒で得られるより長いT1を使用し、製造され得る生成物の全体的な超偏極を増大させることができる。
【0166】
第2の例として、’814特許の方法は、超偏極される物質を低温に暴露させることを必要とする方法を記載している。本明細書に開示される本発明の様々な態様では、媒体を超偏極させ、その媒体を室温に加温し、室温で媒体に検体を混合し、NMR分析、MRイメージングのため混合物を送ること、および/又は媒体から検体に超偏極を移動させることが可能である。検体の代わりに媒体を凍結させることによって、とりわけ、細胞又は破裂し得る他の生物器官などの、凍結により損傷又は破壊され得る物質を分析することが可能である。更に、’814特許はDNPおよび極限法(低温、高磁場、長時間)による検体の超偏極を教示しているが、量子緩和スイッチを極限環境と組み合わせて使用することを教示していない。
【0167】
更に、’814に記載の方法は、検体又は標的物質を偏極させるが、本明細書に開示される方法は溶媒を偏極させた後、偏極を検体に移動させる。この手法は、固化された形態と液体の形態の両方で非常に長いT1を有する溶媒の選択を可能にするという点で、超偏極物質の移送に大きな利点がある。
【0168】
更に、典型的なNMR/MRI検査の溶媒は、典型的には、目的の検体よりずっと多くのスピンを有する。溶媒を偏極させることによって、検体への移動に大きい偏極スピン集団が使用可能になる。この移動を使用して、NMR/MRI操作を実施し得る時間を延ばすことができる。適切な条件で、この方法を使用して、目的の検体の核への超偏極の部位選択的な移動を可能にすることもできる。
【0169】
更に、本明細書に記載されるように、QRS法はトリチル基の使用を必要とせず、また拡張性がある。また、本明細書に記載されるようにまず溶媒を超偏極させた後、検体に超偏極を移動させることによって、超偏極溶液をNMRマグネットなどの最終位置に、又は患者などの目的の部位に最小限の偏極損失で移動させることが可能であるという点で、更なる利点が提供される。
【0170】
別の例として、多くの超偏極溶媒にアクセスし易くすることによって、一方の物質から他方に偏極を移動させるためにRFパルスを使用する必要性を回避することが可能である。例えば、超偏極液体キセノン中に配置された物質を使用し、RFパルスを使用して偏極を移動させることは可能であるが、容易に達成されず、NMRデータにアーチファクトが生じ得、それを説明する必要がある。対照的に、本明細書に開示される実施形態の幾つかに従って、溶質の核と同一の核を有する超偏極溶媒を提供することによって、RFパルスを必要としない又は最終データ中に望ましくないアーチファクトを作り出さないスピン拡散による溶媒から溶質への超偏極移動を達成してもよい。このようなものとして、本発明はまた、スピン拡散による偏極の移動を促進するように、キセノンの他に、好ましくは溶媒と同じ又は実質的に同じ物質である核を含有する無偏極物質に超偏極を移動させるのに使用され得る超偏極溶媒を提供する。
【0171】
しかし、本明細書に記載されるように、様々な文脈で超偏極され、第2の物質を超偏極させるのに使用され得る第1の物質として、キセノンを本発明に従って使用してもよいことが分かる。例えば、キセノンを超偏極キャリヤとして使用し、本明細書の他の箇所に記載されるように多孔質のカプセル化層を有するカプセル化された薬剤の芯部分の超偏極を助けてもよい。より一般的には、第2の物質を超偏極させるのに使用され得る第1の超偏極物質としてキセノンを使用してもよく、第2の物質はまた、検査に使用するため、又は他の理由で別の位置に移送される。
【0172】
前記特許に記載されている方法では全て、例えば、超偏極物質を加温した後、それを移送容器から流すだけで、超偏極物質の送給を達成することができる。対照的に、超偏極溶媒の使用には、溶媒の超偏極が顧客の場所までの移動に耐えることだけでなく、HP溶媒の融解が試料領域並びに顧客のNMRマグネットへの無偏極溶媒の投入と相関することが必要である。更に、顧客の検体への超偏極の効率的な移動を確実にするには、顧客の元の溶液と融解した偏極溶媒ができるだけ迅速且つ完全に混合されることが必要である。これがない場合、超偏極は大きく減少し得る。このようなものとして、超偏極溶媒を移送し、NMR/MRI検査を実施する準備が整ったときに無偏極溶液と融解した偏極溶媒の完全な混合を達成できる容器が非常に必要とされている。
【0173】
所望する場合、移送容器を使用して、米国特許第6,466,814号明細書に記載のものと異なる方法で製造された予め混合された溶液を移送できることが分かる。この場合、溶液全体が目的の場所に移送される。NMR/MRI検査の実施が所望されるとき、溶液を加温し、NMRマグネットの試料領域に(生体外NMRの目的では)、又は、生体内に、例えば、患者に(生体内MRIの目的では)導入してもよい。
【0174】
超偏極溶媒が使用される位置に移送された後、超偏極溶媒を分析される試料などの物質と混合してもよい。研究所、病院、大学、画像診断クリニック(imaging clinics)、薬品開発研究室、および契約NMR研究施設等を含む様々な最終使用者のいずれかが可能である。様々な方法でこれを実施することができる。例えば、凍結した液体の場合、超偏極溶媒を液体の形態の追加の無偏極溶媒と混合し、前記に詳述したような溶媒混合物を形成してもよい。無偏極溶媒の中に目的の検体が既に溶解していてもよい。或いは、検体が偏極溶媒と無偏極溶媒の混合物に溶解するように、検体を有する容器に無偏極溶媒と偏極溶媒の混合物を送ってもよく;次いで、得られた溶液および/又はサスペンション、コロイド、エマルション等を分析のためにNMRマグネットに送ってもよい。或いは、無偏極溶液を偏極溶媒に添加しなくてもよく、偏極溶媒を加温し、目的の検体を有する容器に送り、次いで、得られた溶液および/又はサスペンション、コロイド、エマルション等を分析のためにNMRマグネットに送ってもよい。このようなものとして、前述の容器605の導管650を使用して、凍結した超偏極物質600上に無偏極物質の流れを送給し、それによって超偏極物質を含有する混合物を作り出すことができ、次いで、それを生体内MRI又は生体外NMR分析に使用することができる。
【0175】
分析のために超偏極溶媒を使用する時、一般に、使用され得るように物質の温度を上昇させることが望ましい。好ましくは、約1.0ガウスより大きい強度を有する磁場の存在下で超偏極溶媒の温度を上昇させる。本方法のこの態様の一実施形態の良い例は、好ましくは磁場を提供する手段640を具備する容器605を使用することによって実証することができる。別の例として、超偏極溶媒の移送に使用される容器を磁場中に配置し、本発明のこの実施形態を容易にしてもよい。
【0176】
更により好ましくは、約1.0、1.5、3.0、7.0テスラ又は更には約10.0テスラより大きい強度を有する磁場の存在下で、超偏極溶媒の温度を上昇させる。好ましくは、超偏極の実質的な損失を回避するのに十分な時間内で溶媒の温度を上昇させる。所望する場合、溶媒の温度を室温に上昇させてもよい。溶液を最初に凍結し、高温の基材上で超偏極させた場合、所望する場合、超偏極溶媒を表面積の大きい基材から溶出させてもよい。別の例として、本明細書に記載されるように溶液を噴霧凍結により凍結させる場合、凍結した粒子を単に融解させてもよい。一般的には、高い磁場の存在下で超偏極溶媒の温度を上昇させる方が、一般に弱い磁場(他の変数は全て一定のままである)よりも超偏極がよく維持される。
【0177】
別の例として、超偏極溶媒を提供した後、それを標的物質と混合し、とりわけ(i)溶液、(ii)サスペンション、(iii)エマルション、(iv)コロイド、および(v)複合材料などの混合物を作り出してもよい。これらは、とりわけ、水又は生理食塩水中のピルビン酸塩から製造された溶液、本明細書に記載されるような複合材料から製造されたサスペンション、水/生理食塩水又は別の生理学的に許容される流体中に直接懸濁された超偏極ヘキサフルオロベンゼン又は他のハロゲン、空気又は吸入療法の目的の別の気体中の固体粒子のサスペンションとすることができる。エマルションは、プロポフォール(Propofol)又はディプリバン(Diprivan)、又は典型的には生体内で使用するのに好適な他のエマルションから製造されてもよい。コロイドは、コロイド状銀又はケラチン・タンパク質、又はTc−99mイオウ等であってもよい。複合材料は、カプセル化されたデカフルオロブタンガス等の2相のカプセル化された薬剤であってもよい。
【0178】
標的物質を超偏極溶液と混合した時、所望する場合、超偏極を標的物質に移動させることが可能である。第1の例として、前述のように完全に混合することにより標的物質を超偏極させてもよい。更に、前述のように電磁結合により標的物質を超偏極させてもよい。
【0179】
従って、超偏極溶媒を使用して、標的物質を超偏極させ、その分析を容易にしてもよい。このようにして、参照によりその内容全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,466,814号明細書に記載されているものなどの従来技術の方法とは対照的に、本発明の溶媒は、超偏極粒子を非超偏極溶媒中に導入して超偏極溶液を提供するのとは対照的に、偏極された後、分析される物質を超偏極させるのに使用される。このようなものとして、本発明の超偏極溶媒を使用して、NMR分光法を使用して又はMRイメージングにより分析される物質の分析を容易にすることが可能である。超偏極溶媒を使用して、分析される物質の分析を非常に速くすることができる、又は、以前は濃度が低過ぎてNMRプロトコルで検出できなかった試料の検査の実施を容易にすることができる。更に、溶媒(比較的長いT1緩和時間を有するように選択することができる)の超偏極を保つことによって、様々な物質で超偏極の利点を使用することが可能である。
【0180】
更に本発明に従って、超偏極サスペンションを製造するシステムおよび方法、並びに超偏極サスペンション自体を提供する。
【0181】
更に本発明に従って、超偏極サスペンションを製造する方法、並びに超偏極サスペンション自体を提供する。本方法は、超偏極物質を提供する工程、および超偏極物質を媒体に分散させて超偏極サスペンションを作り出す工程を含む。別の例として、媒体を超偏極させ、物質をその媒体に分散させて超偏極サスペンションを作り出すことによって、超偏極サスペンションを提供してもよい。更に、非超偏極成分からサスペンションを製造し、その製造後にサスペンションを超偏極させることによって超偏極サスペンションを製造してもよい。また、3つ以上の成分で構成されるサスペンションを提供してもよく、ここで、サスペンションの成分の1つ以上は、それらを混合する前に超偏極される。
【0182】
(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)量子緩和スイッチを使用する超偏極、および(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に物質の分子を暴露させることによる物質の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせなどの本明細書に開示されるいずれかの方法を使用して、サスペンションの製造に使用される超偏極物質を超偏極させてもよい。
【0183】
サスペンションの製造に使用される超偏極物質は、好ましくは、平均直径約1000μm未満の粒子の形態で提供される。より好ましくは、超偏極物質の直径は、約100μm未満である。更により好ましくは、超偏極物質の直径は約10μm、5μm、又は1μm未満である。好ましくは、媒体は、前述のような生理学的に許容され得る媒体である。
【0184】
好ましくは、磁場の存在下で超偏極物質を媒体に分散させ、サスペンションを作り出す。磁場は、1.0ガウスを越える磁場強度を有してもよい。更に別の態様に従って、媒体は(i)固体、(ii)液体、および(iii)気体を含む群から選択されてもよい。例えば、媒体は空気であってもよい。従って、所望する場合、本方法は、超偏極サスペンションを、患者の気道などの目的の部位に導入する工程を更に含んでもよい。懸濁され得る物質としては、例えば、とりわけ、粉末状ダニゾール、粉末状インスリン、および他の粉末状APIおよび/又は賦形剤が挙げられる。
【0185】
好ましくは、本システムは、更に、前記の超偏極溶媒と同様に、容器605に類似の容器などの超偏極サスペンションを第1の位置から第2の位置に移送する手段を具備する。このようなものとして、超偏極物質が最初に超偏極される位置と同じ位置、又は、製造施設又は病院若しくはクリニックなどの最終使用者の位置などの異なる位置で超偏極サスペンションを製造し得ることが分かる。
【0186】
更に本発明に従って、超偏極エマルションの製造方法、並びに超偏極エマルション自体を提供する。本方法は、超偏極物質を提供する工程、および超偏極物質を媒体と混合して超偏極エマルションを作り出す工程を含む。或いは、本方法は、媒体を超偏極させる工程、およびその媒体に物質を混合して超偏極エマルションを作り出す工程を含んでもよい。更に、非超偏極成分からエマルションを製造し、その製造後にエマルションを超偏極させることによって超偏極エマルションを製造してもよい。また、3つ以上の成分で構成されるエマルションを提供してもよく、ここで、エマルションの成分の1つ以上は、それらを混合する前に超偏極される。
【0187】
限定の目的ではなく例証の目的で、本明細書に具体的に示されるように、超偏極物質を提供し、その後、超偏極物質を媒体と混合して超偏極エマルションを作り出す。(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)量子緩和スイッチを使用する超偏極、および(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に物質の分子を暴露させることによる物質の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される方法を使用して、超偏極物質を超偏極させてもよい。好ましくは、媒体は、生理学的に許容され得る媒体である。
【0188】
超偏極物質と媒体の混合は、好ましくは、少なくとも約1.0ガウスの強度を有する磁場の存在下で行われる。更に、混合工程は、好ましくは超偏極物質と媒体が両方とも液体の形態である温度で行われる。しかし、所望する場合、超偏極物質と媒体はどちらも、混合時に、固体、液体、又は気体の形態であってもよい。エマルションは、例えば、プロポフォール(Propofol)又はディプリバン(Diprivan)、又は典型的には生体内で使用するのに好適な他のエマルションから製造されてもよい。前述の溶液を使用して混合物を作り出すのに使用され、且つ超偏極物質を移送する様々な機器を本発明のこの態様の実施に使用してもよい。
【0189】
更に本発明に従って、超偏極コロイドを製造する方法、並びに超偏極コロイド自体を提供する。本方法は、超偏極物質を提供する工程、および超偏極物質を媒体と混合して超偏極コロイドを作り出す工程を含む。或いは、本方法は、媒体を超偏極させる工程、および物質をその媒体に混入させて超偏極コロイドを作り出す工程を含んでもよい。更に、非超偏極成分からコロイドを製造し、その製造後にコロイドを超偏極させることによって超偏極コロイドを製造してもよい。また、3つ以上の成分で構成されるコロイドを提供してもよく、ここで、コロイドの成分の1つ以上は、それらを混合する前に超偏極される。
【0190】
限定の目的ではなく例証の目的で、本明細書に具体的に示されるように、まず超偏極物質を提供し、それを媒体と混合して超偏極コロイドを作り出す。理解されるように、コロイドは、一般に、連続的な気体、液体又は固体の媒体に分散された約1×10-7〜5×10-5cmの範囲の線形の寸法を有する粒子の系を含み、その特性は大きい比表面積に依存する。粒子は、タンパク質、又は、固体、液体、若しくは気体の凝集体のような大分子とすることができる。粒子は一般にいつまでも分散されたままである。例としては、とりわけ、コロイド状銀又はケラチン・タンパク質、又はTc−99mイオウが挙げられる。
【0191】
本明細書に記載される方法のいずれかを使用して、超偏極物質を超偏極させてもよい。更に、媒体は、好ましくは、生理学的に許容され得る媒体である。
【0192】
別の態様に従って、混合工程は、少なくとも約1.0ガウスの強度を有するものなどの磁場の存在下で行われてもよい。更に別の態様に従って、超偏極コロイドを製造するシステムを提供する。本システムは、超偏極物質を提供する手段、および超偏極物質を媒体と混合して超偏極コロイドを作り出す手段を含む。所望する場合、本システムは、更に、本明細書に記載されるように、超偏極懸コロイドを第1の位置から第2の位置に移送する手段を具備してもよい。前述の溶液を使用して混合物を作り出すのに使用され、且つ超偏極物質を移送する様々な機器を、本発明のこの態様を実施するのに使用してもよい。
【0193】
更に本発明に従って、超偏極複合材料を製造する方法およびシステム、並びに、本方法に従って製造される超偏極複合材料を提供する。本方法は、超偏極物質を提供する工程、および超偏極物質を媒体と混合して超偏極複合材料を作り出す工程を含む。或いは、本方法は、媒体を超偏極させる工程、および物質を媒体に混入させて超偏極複合材料を作り出す工程を含んでもよい。更に、非超偏極成分から複合材料を製造し、その製造後に複合材料を超偏極させることによって超偏極複合材料を製造してもよい。また、3つ以上の成分で構成される複合材料を提供してもよく、ここで、複合材料の成分の1つ以上は、それらを混合する前に超偏極される。本システムは、本方法の各態様を実施するための手段を具備する。同様に、前述の溶液を使用して混合物を作り出すのに使用され、且つ超偏極物質を移送する様々な機器を、本発明のこの態様を実施するのに使用してもよい。
【0194】
例えば、超偏極物質を提供し、超偏極物質を媒体と混合して超偏極複合材料を作り出すことによって超偏極複合材料を製造してもよい。本明細書に記載する方法のいずれかを使用して超偏極物質を製造してもよい。好ましくは、媒体は、生理学的に許容される媒体である。
【0195】
更に別の態様に従って、混合工程は、磁場の存在下で行われてもよい。好ましくは、磁場は、少なくとも約1.0ガウスの強度を有する。超偏極物質は、(i)固体物質、(ii)液体物質、(iii)気体物質およびこれらの組み合わせを含む群から選択されてもよい。媒体は、とりわけ水および生理食塩水などの、超偏極複合材料を形成するのに好適な任意の媒体であってもよい。
【0196】
更に本発明に従って、有益な薬剤を提供する。有益な薬剤は、多孔質のカプセル化剤で取り囲まれた超偏極芯物質を含む。
【0197】
限定の目的ではなく例証の目的で、本明細書に具体的に示され、図7(A)〜図7(F)に図示されるように、カプセル化層又は媒体710と芯部分720を有する有益な薬剤700を調製する方法およびシステムを提供する。
【0198】
カプセル化剤710の多孔度は、気体がカプセル化剤を通過して芯物質720に到達することを実質的に可能にしてもよい。例えば、カプセル化剤710の多孔度は、ヘリウムがカプセル化剤を通過することを実質的に可能にしてもよいが、また、ヘリウムより大きい気体分子がカプセル化剤を通過することを防止してもよい。3Heおよび4Heは芯720に入りそれを超偏極させることを助け得るため、QRSなどの方法を使用して芯物質を超偏極させるとき、これは特に有用となり得る。3Heは、冷却前又は冷却後に気体又は液体の形態でカプセル化材料を通過し得る。超流体4Heは、物質が冷却および超偏極され、従って液体の形態だけになった後、最も有利に使用される。
【0199】
更に別の態様に従って、超偏極芯物質は、比較的長いスピン−格子緩和時間を有してもよい。例えば、超偏極芯物質は、とりわけ、13C、15N、1H、2H、31P、19F、29Siおよびこれらの組み合わせを含む群から選択される核を含有する物質を含んでもよい。
【0200】
更に別の態様に従って、カプセル化剤はポリマー材料を含んでもよい。ポリマー材料としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせを含む群から選択される物質が挙げられる。好ましくは、カプセル化剤は、所望する場合、100K、10Kおよび1K未満の温度でその構造的一体性を実質的に維持するように調製および構成される。別の例として、カプセル化材料はまた超偏極物質を含んでもよい。
【0201】
別の態様に従って、超偏極芯物質は、標準条件で固体である物質を含んでもよい。本明細書で使用する時、「標準条件」の用語は、室温(華氏約60〜約80度)および大気圧(約1気圧)の条件を意味することが意図されている。
【0202】
超偏極芯物質は、標準条件で液体、気体、又は固体である物質を含んでもよい。所望する場合、平均直径約0.001μm〜約100μmのカプセルの形態で有益な薬剤を提供してもよい。好ましくは、平均直径約0.001μm〜約10μmのカプセルの形態で有益な薬剤を提供する。特に有利なサイズ範囲は、カプセルが小さい生体内毛細管(数μm以下)を通過することを可能にするサイズ範囲であり、これによって、血液脳関門を通過して又は他の任意の種類の組織に浸透することが速くなる。
【0203】
非排他的な例として、多孔質の微粒子内にカプセル化されたデカフルオロブタンガスは、現在、超音波イメージング・プロトコルにおけるように使用するための高次(advanced)FDA試験中である。本明細書の教示に従って、デカフルオロブタンの19FスピンをHP剤として使用してもよい。類似の配置のハロゲンの中で19Fスピンは比較的長居T1緩和時間を有することが分かっており、19Fは生体内で非常に低い自然バックグラウンドを有する。
【0204】
別の態様に従って、有益な薬剤は、カプセル化剤の近位に配置された機能性要素を含んでもよく、機能性要素は、使用時に有益な結果が得られるように調製および構成されている。機能性要素は、とりわけ、タンパク質、mRNA、遺伝子プローブ、又は、生物活性に優先的に結び付けられる若しくは他の方法で生物活性を見つけ出す他の任意の物質、およびこれらの組み合わせを含む群から選択されてもよい。必要に応じて、超偏極前、超偏極中、又は超偏極後に有益な薬剤に機能性要素を添加してもよい。
【0205】
従って、理解されるように、図7(F)に示されるように、有益な薬剤700の表面に機能性要素のコーティング770を提供してもよい。機能性要素を外殻710の表面に直接配置してもよく、又は、好適な表面処理によって有益な薬剤700の表面に付着させてもよい。
【0206】
複合材料と有益な薬剤700の別の例は、超偏極物質を含有するリポソームである。その特有の性質のため、リポソームを薬物送達に使用してもよい。リポソームは、溶解した親水性溶質が脂質を容易に通過できないように、疎水性の膜の内側に水溶液の部位を封入する。疎水性化学物質を膜に溶解させることができ、このようにして、リポソームは疎水性分子と親水性分子の両方を運ぶことができる。分子を作用部位に送達するために、脂質二重層は細胞膜などの他の二重層と融合し、このようにしてリポソームの内容物を送達することができる。(通常は膜を通って拡散することができない)DNA又は薬物の溶液中でリポソームを作製することによって、それらを脂質二重層を通過して(無差別に)送達することができる。
【0207】
リポソームはまた、癌を標的にする固有の能力を有する。健常なヒトの全ての血管の内皮壁は、密着結合で一緒に結合している内皮細胞によって封入されている。これらの密着結合は、血液中のあらゆる大粒子が血管から漏出することを防止する。腫瘍血管は、細胞間に同レベルの密封を含まず、診断上漏れ易い。この能力は向上した浸透性および保持効果として知られている。典型的には400nm未満のある一定のサイズのリポソームは、血液から腫瘍部位に迅速に入ることができるが、健常な組織血管系の内皮壁によって血流中に維持される。
【0208】
理解されるように、超偏極物質を送達するためのビヒクルとしてリポソームを使用することができる。例えば、超偏極物質(例えば、本明細書に記載されるような超偏極溶媒又は他の混合物又は物質)をリポソームに組み込んでもよく、又はリポソームの材料自体を超偏極させてもよい。これらのリポソームを患者の一部分などの目的の部位に注入してもよい。リポソームは特定の解剖学的構造を見つけ出し、リポソームの内容物が代謝され得る細胞に超偏極物質を有効に送達する。従って、例えば、リポソームによって癌細胞に送達される超偏極ピルビン酸塩の代謝の代謝産物をNMR/MR法を使用して検出し、腫瘍の存在を決定することができる。最後に、ピルビン酸塩からの超偏極が代謝産物に移動する。
【0209】
更に、2つの物質が直接物理的に接触していないときでも、バリアを通して第1の物質から第2の物質に超偏極を移動させることが可能である。特に、2つの物質のうち少なくとも1つが高い「遠方双極子磁場」又は「DDF」を有する場合、所望する場合、本発明に従って、この現象を利用してバリア(例えば、リポソーム本体又はカプセル化材料)を越えてリポソーム又はカプセル化された物質などの物体の内容物を超偏極させてもよい。
【0210】
このようにして、本発明に従って、有益な薬剤を、とりわけ溶液、サスペンション、エマルション、コロイド、又は複合材料などの超偏極混合物の形態で患者などの目的の部位に投与することが可能である。混合物中の核スピン遷移を励起させるように選択された周波数の放射線に混合物を暴露させてもよい。次に、混合物からの磁気共鳴信号を検出することが可能である。理解されるように、任意に、画像、動的流れデータ、拡散データ、灌流データ、生理学的データ、代謝データ、又は、検出された信号からの他の任意の好適なデータを生成すること、および、このような物質を第1の位置から第2の位置に移送することが可能である。
【0211】
このようにして、生体内静脈内送達されるとき、例えば、機能性要素(又は本明細書に記載されるようなリポソーム)の層770は、腫瘍等の画像化することが望ましい組織に付着する傾向がある。これは目的の部位から強いMR信号を得ることを容易にし、このようにして、大きい感度で目的の組織の場所を決定的に突き止めることを容易にする。
【0212】
別の例として、本発明は、また、カプセル化剤によって取り囲まれた超偏極芯物質を含む有益な薬剤を提供し、ここで、超偏極芯物質は、(i)液体物質、(ii)固体物質、(iii)固体物質を散在させた気体物質、(iv)液体物質を散在させた気体物質、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される物質を含む。カプセル化剤は、本発明のこの態様に従って、多孔質である必要はない。前述のカプセル化された媒体の他の態様は、本発明のこの実施形態にも同様に適用可能である。従って、孔なしでカプセル化剤を閉鎖してもよく、例えば、DNPを使用することによって芯物質を超偏極させてもよい。
【0213】
更に本発明に従って、超偏極物質を提供するためのキットを提供する。
【0214】
限定の目的ではなく例証の目的で、本明細書に具体的に示されるように、キットは、前記の物質700に類似する少なくとも1つのカプセル化された物質を含む。カプセル化された物質は芯物質720を含み、芯物質720は、本明細書に記載されるような比較的長いスピン−格子緩和時間を有する物質を含む。カプセル化された物質は、更に、芯物質を取り囲むカプセル化剤710を含む。キットはまた、カプセル化された物質の超偏極を促進するための使用説明書を含む。
【0215】
キットの使用説明書は、好ましくは、カプセル化された物質の超偏極を促進する方法を記載する。例えば、使用説明書は、量子緩和スイッチを使用して芯物質を超偏極させるための手引きを提供してもよい。別の例として、キットの使用説明書は、超偏極キャリヤから芯物質に超偏極を移動させることによって、カプセル化された物質の超偏極を促進する方法を記載してもよい。更に別の態様に従って、(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)量子緩和スイッチを使用する超偏極、および(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に芯物質の分子を暴露させることによる芯物質の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される方法を使用して、芯物質を超偏極させてもよい。
【0216】
更に本発明に従って、超偏極したカプセル化された物質を調製し、提供する方法を提供する。
【0217】
限定の目的ではなく例証の目的で、本明細書に具体的に示されるように、第1の態様に従って、本方法は、カプセル化された物質を提供する工程、カプセル化された物質を超偏極キャリヤ(および/又は、QRSの文脈では、超偏極を促進するが、必ずしも超偏極キャリヤ自体ではない3Heなどの超偏極促進剤)に暴露させる工程、超偏極キャリヤを超偏極させる工程、および超偏極キャリヤからカプセル化された物質に超偏極を移動させる工程を含む。
【0218】
(i)動的核偏極、(ii)光ポンピング、(iii)パラ水素誘起分極、(iv)量子緩和スイッチを使用する超偏極、(v)予め超偏極した気体の超偏極核に超偏極キャリヤの分子を暴露させることによる超偏極キャリヤの分子への超偏極の移動、(vi)核オーバーハウザー効果、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される方法を使用して、超偏極キャリヤを超偏極させてもよい。
【0219】
カプセル化された物質は、本明細書に記載されるように超偏極キャリヤの通過を可能にする多孔質の表面部分を含んでもよい。このようなものとして、超偏極キャリヤは、表面部分を通過して芯部分に到達し得る。例えば、超偏極キャリヤは、気体の超偏極キセノンを含んでもよい。更に別の態様に従って、芯部分は、13C、15N、1H、31P、19F、29Siおよびこれらの組み合わせを含む群から選択される核を含有する物質を含んでもよい。
【0220】
超偏極の誘導および/又は維持を助けるために、カプセル化された物質を冷却してもよい、および/又は磁場にさらしてもよい。好ましくは、カプセル化された物質は、約100K、10K、又は1K未満の温度に冷却される。磁場は、例えば、10mT、1T、又は10Tを超える最大強度を有してもよい。
【0221】
所望する場合、カプセル化された物質を低温で磁場中に長時間(約10分の1秒〜約1週間など)維持してもよい。本明細書に記載されるように、カプセル化された超偏極物質を容器に入れて第1の位置から第2の位置に移送してもよい。カプセル化された超偏極物質を使用する前に、超偏極の実質的な損失が回避されるように、カプセル化された物質の温度をまず上昇させてもよい。次いで、カプセル化された超偏極物質を分析される目的の部位に導入してもよい。例えば、目的の部位の磁気共鳴画像を生成してもよい。別の例として、生体外又は生体内試料のNMRスペクトルを分析してもよい。
【0222】
カプセル化された物質を使用することの利点は、超偏極芯が、最小限の超偏極損失で生体内の所望の部位に送達され得ることであるということが分かる。特に、酸素又は他の脱偏極要素を通過させないカプセル化剤を使用することによって、カプセル化された物質の超偏極をできるだけ長く延ばしてもよい。生体内での使用が既に認可されているカプセル化材料が市販されている。
【0223】
好ましい実施形態に従って、QRSを使用し、カプセル化された物質を超偏極させる。従って、カプセル化された物質を、気体(例えば、129Xe又は他のもの)などの予め超偏極させた異なる物質の代わりに3Heに暴露させる。好ましくは、本明細書に具体的に示され、図7(A)〜図7(F)に図示されるように、カプセル化された物質700は、3Heの通過を可能にする多孔質の外殻部分710を有する。しかし、カプセルは、超偏極され得る表面部分を有してもよく、別々の芯部分を提供する必要がないことが分かる。しかし、表面部分はそれにもかかわらず、前述のように、気体が表面部分を通過して、カプセル化された物質の芯部分に入ることを可能にしてもよい。
【0224】
カプセルおよび/又はカプセル化された物質を超偏極させるために、図7(C)に示されるように、例えば、有益な薬剤700を収容するチャンバ730から他の全ての気体を排出することによって、超偏極される構造上に少なくとも1つの3Heの単分子層が形成される。一実施形態に従って、その後、薬剤720は凍結してポリマー外殻710から離れるように収縮し、図7(D)に示されるような間隙740を残してもよい。層710は、好ましくは、液体3Heを透過させることができ、薬剤720の周囲に3Heの層が形成することを可能にする。3Heは薬剤720の核を緩和させ、超偏極状態を促進する。次いで、薬剤720を高磁場に低温で、核超偏極が起こるのに十分な時間、暴露させる。
【0225】
図7(F)に示されるように、3Heを物質から排除するために、薬剤700を4Heに暴露させ、このようにして物質の超偏極を維持し、3Heを除去してもよい。一実施形態に従って、超偏極物質を低温および/又は磁場中に、長時間維持してもよい。このようにして超偏極物質を維持すると、物質の貯蔵および/又は移送が容易になり、かなりの時間、本明細書に記載されるように物質からの超偏極の損失が最小限になる。所望する場合、本明細書に記載されるように、超偏極したカプセル化された物質/カプセルの温度を上昇させて使用してもよい。好ましくは、物質の超偏極の実質的な損失が最小限になるように、カプセル化された物質/カプセルの温度を上昇させる。
【0226】
前述し、図面に示したように、本発明の組成物、方法およびシステムは、新規で有用な形態の超偏極物質を提供し、並びに、超偏極物質の製造と、最終使用者への超偏極物質の送給を容易にすることが分かる。
【0227】
当業者には、本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、本発明のデバイスおよび方法および組成物に様々な修正および変更をなし得ることが明らかである。例えば、本明細書に開示されるいずれかの溶液、サスペンション、エマルション、コロイド、又は複合材料等のいずれかの成分を超偏極させてもよいことが分かる。別の例として、このような混合物の複数の成分を超偏極させてもよい。更に、いずれかのこのような物質を、少なくとも:(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)極限環境を、最も好ましくは量子緩和スイッチと共に使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に様々な物質から構成された粒子の分子を暴露させることによる様々な物質から構成された粒子の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせで、超偏極させてもよいことが更に分かる。
【0228】
本明細書に記載されるように、超偏極を誘導する前又は誘導した後、本明細書に開示されている様々な混合物の成分の混合を行ってもよい。このようにして、本発明は、添付の請求項およびその同等物の範囲に入る修正および変更を含むことが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0229】
【図1】本発明に従って製造された第1のシステムの概略図である。
【図2】本発明に従って製造された第2のシステムの概略図である。
【図3】本発明に従って製造された第3のシステムの概略図である。
【図4】本発明に従って製造された第4のシステムの概略図である。
【図5】本発明に従って製造された第5のシステムの概略図である。
【図6】本発明に従って製造された第6のシステムの概略図である。
【図7A】本発明に従って製造された有益な薬剤を製造する方法およびプロセスの概略図である。
【図7B】本発明に従って製造された有益な薬剤を製造する方法およびプロセスの概略図である。
【図7C】本発明に従って製造された有益な薬剤を製造する方法およびプロセスの概略図である。
【図7D】本発明に従って製造された有益な薬剤を製造する方法およびプロセスの概略図である。
【図7E】本発明に従って製造された有益な薬剤を製造する方法およびプロセスの概略図である。
【図7F】本発明に従って製造された有益な薬剤を製造する方法およびプロセスの概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)(i)標準条件で液体である物質、(ii)標準条件で非希ガスである物質、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される第1の物質を準備する工程と、
b)前記第1の物質が超偏極状態になるまで、前記第1の物質の核超偏極を増大させる工程と、
c)前記第1の物質から第2の物質に核超偏極を移動させる工程と、
を含む、超偏極物質の製造方法。
【請求項2】
前記第1の物質を前記第2の物質と混合し、(i)溶液、(ii)サスペンション、(iii)エマルション、(iv)コロイド、および(v)複合材料からなる群から選択される混合物を作り出す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の物質を前記第2の物質と混合することによって、前記第1の物質から前記第2の物質に核超偏極を移動させる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の物質と前記第2の物質を混合し、前記第1の物質と前記第2の物質を密接させることを確実にすることによって、前記第1の物質から前記第2の物質への核超偏極の移動を促進する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の物質と前記第2の物質の混合物に電磁エネルギーを印加することによって、前記第1の物質から前記第2の物質への核超偏極の移動を促進する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の物質から前記第2の物質への核超偏極の移動が、前記第1の物質と前記第2の物質の混合物に電磁エネルギーを印加することを含まない、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
熱混合により、前記第1の物質から前記第2の物質への核超偏極の移動を促進する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の物質を前記第1の物質に溶解させる、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
電磁結合により、前記第1の物質から前記第2の物質に核超偏極を移動させる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記電磁結合が電磁パルス・シーケンスによって提供される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の物質および前記第2の物質のうち少なくとも1つが、生体外NMR分析に好適である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の物質および前記第2の物質のうち少なくとも1つが、水、重水、アセトン−d6、エタノール−d6、アセトニトリル−d3、蟻酸−d2、ベンゼン−d6、メタノール−d4、クロロホルム−d1、ニトロメタン−d3、酸化ジュウテリウム、ピリジン−d5、ジクロロメタン−d2、1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2、ジメチルホルムアミド−d7、テトラヒドロフラン−d8、ジメチルスルホキシド−d6、トルエン−d8、1,4−ジオキサン−d8、トリフルオロ酢酸−d1、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の物質および前記第2の物質のうち少なくとも1つが、生体内MRI検査に使用するのに好適な生理学的に許容される液体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の物質および前記第2の物質のうち少なくとも1つが、水、重水およびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
(i)標的物質の近位にある部位、又は(ii)標的物質の分析を実施する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記分析が、目的の部位の磁気共鳴画像を形成することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記分析が、生体外又は生体内の試料のNMRスペクトルを分析することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
a)(i)標準条件で液体である物質、(ii)標準条件で非希ガスである物質、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される第1の物質を準備する手段と、
b)前記第1の物質が超偏極されるまで、前記第1の物質の核超偏極を増大させる手段と、
c)前記第1の物質から第2の物質に核超偏極を移動させる手段と、
を備える、超偏極物質を製造するシステム。
【請求項19】
a)(i)標準条件で液体である物質、(ii)標準条件で非希ガスである物質、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される第1の物質を準備する工程と、
b)(i)標準条件で液体である物質、(ii)標準条件で非希ガスである物質、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される第2の物質を準備する工程と、
c)前記第2の物質が超偏極状態になるまで、前記第2の物質の核超偏極を増大させる工程と、
d)前記第2の物質から前記第1の物質に超偏極を移動させる工程と、
を含む、超偏極物質の製造方法。
【請求項20】
a)(i)標準条件で液体である物質、(ii)標準条件で固体である物質、および(iii)標準条件で非希ガスである物質、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される第1の物質を準備する工程と、
b)第2の物質を準備する工程と、
c)前記第1の物質と前記第2の物質を混合し、混合物を形成する工程と、
d)前記混合物が超偏極状態になるまで、前記混合物の核超偏極を増大させる工程と、
を含む、超偏極物質の製造方法。
【請求項21】
前記混合物が、(i)溶液、(ii)サスペンション、(iii)エマルション、(iv)コロイド、および(v)複合材料からなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
a)超偏極物質を含む固体表面を有する物体を準備する工程と、
b)前記超偏極物質から、前記固体表面と接触する流体に超偏極を移動させる工程と、
を含む、方法。
【請求項23】
前記物体の形状が球状である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
a)超偏極物質を含む表面と、
b)流体を前記表面と接触するように送る手段と、
c)前記表面から前記流体に超偏極を移動させる手段と、
を含む、超偏極を移動させる装置。
【請求項25】
前記表面が、複数の球状物体から構成される、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記表面が、13C、15N、1H、31P、19F、29Siおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記流体が液体である、請求項24に記載の装置。
【請求項28】
前記流体が、水、重水、アセトン−d6、エタノール−d6、アセトニトリル−d3、蟻酸−d2、ベンゼン−d6、メタノール−d4、クロロホルム−d1、ニトロメタン−d3、酸化ジュウテリウム、ピリジン−d5、ジクロロメタン−d2、1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2、ジメチルホルムアミド−d7、テトラヒドロフラン−d8、ジメチルスルホキシド−d6、トルエン−d8、1,4−ジオキサン−d8、トリフルオロ酢酸−d1、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項24に記載の装置。
【請求項29】
前記流体が気体である、請求項24に記載の装置。
【請求項30】
前記気体が吸入療法に使用するのに好適である、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記気体が、空気、窒素、二酸化炭素、キセノン、3He、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
a)溶媒を準備する工程と、
b)前記溶媒を超偏極させる工程と、
c)前記溶媒から標的物質に超偏極を移動させる工程と、
を含む、超偏極物質の製造方法。
【請求項33】
前記溶媒を標的物質と混合し、(i)溶液、(ii)サスペンション、(iii)エマルション、(iv)コロイド、および(v)複合材料からなる群から選択される混合物を作り出す、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記標的物質を超偏極させる工程を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記標的物質を前記溶媒と混合することにより前記標的物質を超偏極させる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記標的物質を前記溶媒に溶解させる、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
電磁結合によって前記標的物質を超偏極させる、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記電磁結合が電磁パルス・シーケンスによって提供される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記溶媒が生体外NMR分析に好適な液体を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項40】
前記溶媒が、水、重水、アセトン−d6、エタノール−d6、アセトニトリル−d3、蟻酸−d2、ベンゼン−d6、メタノール−d4、クロロホルム−d1、ニトロメタン−d3、酸化ジュウテリウム、ピリジン−d5、ジクロロメタン−d2、1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2、ジメチルホルムアミド−d7、テトラヒドロフラン−d8、ジメチルスルホキシド−d6、トルエン−d8、1,4−ジオキサン−d8、トリフルオロ酢酸−d1、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記溶媒が、生体内MRI検査に使用するのに好適な生理学的に許容される液体を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項42】
前記溶媒が、水、重水およびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
(i)前記標的物質の近位にある部位、又は(ii)前記標的物質の分析を実施する工程を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項44】
前記分析が、患者の磁気共鳴画像を形成することを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記分析が、生体外又は生体内の試料のNMRスペクトルを分析することを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記溶媒を粉末状に固化させる工程を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項47】
前記溶媒を超偏極させる前に前記溶媒を固化させる、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)量子緩和スイッチを使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に溶媒の分子を暴露させることによる溶媒の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される方法を使用して前記固化した溶媒を超偏極させる、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記溶媒を超偏極させた後で前記溶媒を固化させる、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記超偏極した溶媒上に前記標的物質を流すことによって、前記標的物質に超偏極を移動させる、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
a)媒体を準備する工程と、
b)第2の物質を準備する工程と、
c)前記第2の物質が超偏極状態になるまで、前記第2の物質の核超偏極を増大させる工程と、
d)前記媒体と前記第2の物質を混合し、(i)サスペンション、(ii)エマルション、(iii)コロイド、および(iv)複合材料からなる群から選択される混合物を形成する工程と、
e)前記第2の物質から前記溶媒に超偏極を移動させる工程と、
を含む、超偏極物質の製造方法。
【請求項52】
前記混合物がサスペンションである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
a)溶媒を準備する工程と、
b)第2の物質を準備する工程と、
c)前記第1の物質と前記第2の物質を混合し、混合物を形成する工程と、
d)前記混合物が超偏極状態になるまで、前記混合物の核超偏極を増大させる工程と、
を含む、超偏極物質の製造方法。
【請求項54】
前記混合物が、(i)溶液、(ii)サスペンション、(iii)エマルション、(iv)コロイド、および(v)複合材料からなる群から選択される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
a)溶媒を準備する手段と、
b)前記溶媒を超偏極させる手段と、
c)前記溶媒から標的物質に超偏極を移動させる手段と、
を備える、超偏極物質を製造するシステム。
【請求項56】
(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)量子緩和スイッチを使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に溶媒の分子を暴露させることによる溶媒の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される方法により前記溶媒の分子を超偏極させる、溶媒を超偏極させる方法。
【請求項57】
前記溶媒が生体外NMR分析に好適な液体を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記溶媒が、水、重水、アセトン−d6、エタノール−d6、アセトニトリル−d3、蟻酸−d2、ベンゼン−d6、メタノール−d4、クロロホルム−d1、ニトロメタン−d3、酸化ジュウテリウム、ピリジン−d5、ジクロロメタン−d2、1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2、ジメチルホルムアミド−d7、テトラヒドロフラン−d8、ジメチルスルホキシド−d6、トルエン−d8、1,4−ジオキサン−d8、トリフルオロ酢酸−d1、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記溶媒が、生体内MRI検査に使用するのに好適な生理学的に許容される液体を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
前記溶媒が、水、重水およびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
超偏極される前に前記溶媒を表面積の大きい構成にする工程を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項62】
超偏極される前に前記溶媒を表面積の大きい基材上に塗布することによって、前記溶媒を表面積の大きい構成にする、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
磁性不純物を前記表面積の大きい基材の表面から取り除く工程を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記磁性不純物が酸素基を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記表面積の大きい基材が磁気的に不活性である、請求項62に記載の方法。
【請求項66】
前記表面積の大きい基材が、エアロゲル材料、ガラス・ビーズ、ヒュームド・シリカ、カーボン・ナノ構造体、シリコン・ナノファイバー、膨張化炭素、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記溶媒を超偏極させる前に、前記溶媒を冷却する工程を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項68】
前記溶媒を超偏極させる前に、前記溶媒を100K未満の温度に冷却する、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記溶媒を超偏極させる前に、前記溶媒を80K未満の温度に冷却する、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記溶媒を超偏極させる前に、前記溶媒を60K未満の温度に冷却する、請求項67に記載の方法。
【請求項71】
前記溶媒を超偏極させる前に、前記溶媒を40K未満の温度に冷却する、請求項67に記載の方法。
【請求項72】
前記溶媒を超偏極させる前に、前記溶媒を20K未満の温度に冷却する、請求項67に記載の方法。
【請求項73】
前記溶媒を超偏極させる前に、前記溶媒を10K未満の温度に冷却する、請求項67に記載の方法。
【請求項74】
前記溶媒を超偏極させる前に、前記溶媒を5K未満の温度に冷却する、請求項67に記載の方法。
【請求項75】
前記溶媒を超偏極させる前に、前記溶媒を1K未満の温度に冷却する、請求項67に記載の方法。
【請求項76】
前記溶媒の超偏極を促進するために、前記溶媒を磁場に暴露させる、請求項56に記載の方法。
【請求項77】
前記磁場の強度が10mTより大きい、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記磁場の強度が0.5Tより大きい、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
前記磁場の強度が1.0Tより大きい、請求項76に記載の方法。
【請求項80】
前記磁場の強度が2.0Tより大きい、請求項76に記載の方法。
【請求項81】
前記磁場の強度が5.0Tより大きい、請求項76に記載の方法。
【請求項82】
前記磁場の強度が10.0Tより大きい、請求項76に記載の方法。
【請求項83】
前記磁場の強度が15.0Tより大きい、請求項76に記載の方法。
【請求項84】
前記磁場の強度が20.0Tより大きい、請求項76に記載の方法。
【請求項85】
前記磁場の強度が25.0Tより大きい、請求項76に記載の方法。
【請求項86】
前記溶媒の超偏極を促進するために、前記溶媒をヘリウムに暴露させる工程を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項87】
前記ヘリウムが3Heを含む、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記溶媒上に3Heの単分子層を形成させるのに十分な量の3Heに前記溶媒を暴露させる、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記溶媒のかなりの部分が緩和して超偏極状態になることを可能にするのに十分な時間、前記溶媒を低温で磁場中に維持する、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記時間が1時間である、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記時間が5分である、請求項89に記載の方法。
【請求項92】
前記溶媒から3Heを排除するため、前記溶媒を4Heに暴露させる工程を含む、請求項89に記載の方法。
【請求項93】
前記超偏極溶媒の温度を上昇させる工程を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項94】
磁場の存在下で前記超偏極溶媒の温度を上昇させる、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
1.0ガウスより大きい強度を有する磁場の存在下で、前記超偏極溶媒の温度を上昇させる、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
1.0テスラより大きい強度を有する磁場の存在下で、前記超偏極溶媒の温度を上昇させる、請求項94に記載の方法。
【請求項97】
10.0テスラより大きい強度を有する磁場の存在下で、前記超偏極溶媒の温度を上昇させる、請求項94に記載の方法。
【請求項98】
前記表面積の大きい基材から前記超偏極溶媒を溶出させる工程を含む、請求項94に記載の方法。
【請求項99】
超偏極の損失を回避するのに十分な時間内で、前記溶媒の温度を上昇させる、請求項93に記載の方法。
【請求項100】
前記溶媒を室温に上昇させる、請求項93に記載の方法。
【請求項101】
前記溶媒を微細な形態に転換することによって、前記溶媒を表面積の大きい構成にする、請求項61に記載の方法。
【請求項102】
前記溶媒を粉末に転換する、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記溶媒を霧化および凍結することによって、前記溶媒を粉末に転換する、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記溶媒を低温で磁場中に長時間維持する工程を含む、請求項92に記載の方法。
【請求項105】
前記長時間が10分の1秒〜1週間である、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記超偏極溶媒を容器に入れて第1の位置から第2の位置に移送する工程を含む、請求項104に記載の方法。
【請求項107】
前記超偏極溶媒から、分析される物質に超偏極を移動させる工程を含む、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記超偏極溶媒を追加の無偏極溶媒と混合し、溶媒混合物を形成する工程を含む、請求項106に記載の方法。
【請求項109】
前記溶媒混合物を、分析される目的の部位に送達する工程を含む、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記目的の部位の磁気共鳴画像を生成する工程を含む、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記目的の部位のNMRスペクトルを測定する工程を含む、請求項109に記載の方法。
【請求項112】
請求項56に記載の方法に従って製造される超偏極溶媒。
【請求項113】
溶媒の分子を超偏極させる手段を備える、溶媒を超偏極させるシステムであって、前記超偏極させる手段が、(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)量子緩和スイッチを使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に溶媒の分子を暴露させることによる溶媒の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される方法を使用して、前記溶媒の分子を超偏極させるシステム。
【請求項114】
前記超偏極溶液を第1の位置から第2の位置に移送する手段を備える、請求項113に記載のシステム。
【請求項115】
a)超偏極物質を準備する工程と、
b)超偏極サスペンションを作り出すために前記超偏極物質を媒体に分散させる工程と、
を含む、超偏極サスペンションの製造方法。
【請求項116】
(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)量子緩和スイッチを使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に前記物質の分子を暴露させることによる前記物質の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される方法を使用して、前記超偏極物質を超偏極させる、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記超偏極物質の直径が1000μm未満である、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
前記超偏極物質の直径が100μm未満である、請求項116に記載の方法。
【請求項119】
前記超偏極物質の直径が10μmン未満である、請求項116に記載の方法。
【請求項120】
前記超偏極物質の直径が5μm未満である、請求項116に記載の方法。
【請求項121】
前記超偏極物質の直径が1μm未満である、請求項116に記載の方法。
【請求項122】
量子緩和スイッチを使用して前記物質を超偏極させる、請求項120に記載の方法。
【請求項123】
前記媒体が、生理学的に許容される媒体である、請求項115に記載の方法。
【請求項124】
前記分散させる工程が磁場の存在下で行われる、請求項115に記載の方法。
【請求項125】
前記磁場が、1.0ガウスを超える磁場強度を有する、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
前記媒体が、(i)固体、(ii)液体、および(iii)気体からなる群から選択される、請求項115に記載の方法。
【請求項127】
前記媒体が空気である、請求項126に記載の方法。
【請求項128】
請求項127に記載の方法に従って調製した超偏極サスペンションを目的の部位に導入する工程を含む、MR検査の実施方法。
【請求項129】
請求項115に記載の方法に従って製造される超偏極サスペンション。
【請求項130】
a)超偏極物質を準備する手段と、
b)前記超偏極物質を媒体に分散させて超偏極サスペンションを作り出す手段と、
を備える、超偏極サスペンションを製造するシステム。
【請求項131】
前記超偏極サスペンションを第1の位置から第2の位置に移送する手段を備える、請求項130に記載のシステム。
【請求項132】
a)第1の物質を準備する工程と、
b)媒体を準備する工程と、
c)前記媒体が超偏極状態になるまで、前記媒体の核超偏極を増大させる工程と、
d)前記第1の物質を前記媒体に分散させてサスペンションを形成する工程と、
を含む、超偏極サスペンションの製造方法。
【請求項133】
前記媒体から前記第1の物質に超偏極を移動させる工程を含む、請求項132に記載の方法。
【請求項134】
a)第1の物質を準備する工程と、
b)媒体を準備する工程と、
c)前記第1の物質を前記媒体に分散させてサスペンションを形成する工程と、
d)前記サスペンションが超偏極状態になるまで、前記サスペンションの核超偏極を増大させる工程と、
を含む、超偏極サスペンションの製造方法。
【請求項135】
a)超偏極物質を準備する工程と、
b)超偏極エマルションを作り出すために前記超偏極物質を媒体と混合する工程と、
を含む、超偏極エマルションの製造方法。
【請求項136】
(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)量子緩和スイッチを使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に前記物質の分子を暴露させることによる前記物質の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される方法を使用して、前記超偏極物質を超偏極させる、請求項135に記載の方法。
【請求項137】
前記媒体が、生理学的に許容される媒体である、請求項135に記載の方法。
【請求項138】
前記混合する工程が磁場の存在下で行われる、請求項135に記載の方法。
【請求項139】
前記混合する工程が少なくとも1.0ガウスの強度を有する磁場中で行われる、請求項138に記載の方法。
【請求項140】
前記超偏極物質と媒体が両方とも液体の形態である温度で前記混合する工程が行われる、請求項135に記載の方法。
【請求項141】
請求項135に記載の方法に従って製造される超偏極エマルション。
【請求項142】
a)超偏極物質を準備する手段と、
b)前記超偏極物質を媒体と混合して超偏極エマルションを作り出す手段と、
を備える、超偏極エマルションを製造するシステム。
【請求項143】
前記超偏極エマルションを第1の位置から第2の位置に移送する手段を備える、請求項142に記載のシステム。
【請求項144】
a)第1の物質を準備する工程と、
b)媒体を準備する工程と、
c)前記媒体が超偏極状態になるまで、前記媒体の核超偏極を増大させる工程と、
d)前記第1の物質を前記媒体と混合してエマルションを形成する工程と、
を含む、超偏極エマルションの製造方法。
【請求項145】
前記媒体から前記第1の物質に超偏極を移動させる工程を含む、請求項144に記載の方法。
【請求項146】
a)第1の物質を準備する工程と、
b)媒体を準備する工程と、
c)前記第1の物質を前記媒体と混合してエマルションを形成する工程と、
d)前記エマルションが超偏極状態になるまで、前記エマルションの核超偏極を増大させる工程と、
を含む、超偏極エマルションの製造方法。
【請求項147】
a)超偏極物質を準備する工程と、
b)超偏極コロイドを作り出すために前記超偏極物質を媒体と混合する工程と、
を含む、超偏極コロイドの製造方法。
【請求項148】
(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)量子緩和スイッチを使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に前記物質の分子を暴露させることによる前記物質の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される方法を使用して、前記超偏極物質を超偏極させる、請求項147に記載の方法。
【請求項149】
前記媒体が、生理学的に許容される媒体である、請求項147に記載の方法。
【請求項150】
前記混合する工程が磁場の存在下で行われる、請求項147に記載の方法。
【請求項151】
前記混合する工程が少なくとも1.0ガウスの強度を有する磁場中で行われる、請求項150に記載の方法。
【請求項152】
前記超偏極物質と媒体が両方とも液体の形態である温度で前記混合する工程が行われる、請求項147に記載の方法。
【請求項153】
請求項147に記載の方法に従って製造される超偏極コロイド。
【請求項154】
a)超偏極物質を準備する手段と、
b)前記超偏極物質を媒体と混合して超偏極コロイドを作り出す手段と、
を備える、超偏極コロイドを製造するシステム。
【請求項155】
前記超偏極コロイドを第1の位置から第2の位置に移送する手段を備える、請求項154に記載のシステム。
【請求項156】
a)第1の物質を準備する工程と、
b)媒体を準備する工程と、
c)前記媒体が超偏極状態になるまで、前記媒体の核超偏極を増大させる工程と、
d)前記第1の物質を前記媒体と混合してコロイドを形成する工程と、
を含む、超偏極コロイドの製造方法。
【請求項157】
前記媒体から前記第1の物質に超偏極を移動させる工程を含む、請求項156に記載の方法。
【請求項158】
a)第1の物質を準備する工程と、
b)媒体を準備する工程と、
c)前記第1の物質を前記媒体と混合してコロイドを形成する工程と、
d)前記コロイドが超偏極状態になるまで、前記コロイドの核超偏極を増大させる工程と、
を含む、超偏極コロイドの製造方法。
【請求項159】
a)超偏極物質を準備する工程と、
b)超偏極複合材料を作り出すために前記超偏極物質を第2の物質と混合する工程と、
を含む、超偏極複合材料の製造方法。
【請求項160】
(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)量子緩和スイッチを使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に前記物質の分子を暴露させることによる前記物質の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される方法を使用して、前記超偏極物質を超偏極させる、請求項159に記載の方法。
【請求項161】
前記第2の物質が、生理学的に許容される媒体である、請求項159に記載の方法。
【請求項162】
前記混合する工程が磁場の存在下で行われる、請求項159に記載の方法。
【請求項163】
前記混合する工程が少なくとも1.0ガウスの強度を有する磁場中で行われる、請求項162に記載の方法。
【請求項164】
前記超偏極物質が、(i)固体物質、(ii)液体物質、(iii)気体物質およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項159に記載の方法。
【請求項165】
前記第2の物質が、水および生理食塩水からなる群から選択される、請求項161に記載の方法。
【請求項166】
請求項159に記載の方法に従って製造される超偏極複合材料。
【請求項167】
a)超偏極物質を準備する手段と、
b)前記超偏極物質を第2の物質と混合して超偏極複合材料を作り出す手段と、
を備える、超偏極複合材料を製造するシステム。
【請求項168】
前記超偏極複合材料を第1の位置から第2の位置に移送する手段を備える、請求項167に記載のシステム。
【請求項169】
前記超偏極物質が、(i)固体物質、(ii)液体物質、(iii)気体物質およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項167に記載の方法。
【請求項170】
a)第1の物質を準備する工程と、
b)第2の物質を準備する工程と、
c)前記第2の物質が超偏極状態になるまで、前記第2の物質の核超偏極を増大させる工程と、
d)前記第1の物質を前記第2の物質と混合して複合材料を形成する工程と、
を含む、超偏極複合材料の製造方法。
【請求項171】
前記第2の物質から前記第1の物質に超偏極を移動させる工程を含む、請求項170に記載の方法。
【請求項172】
a)第1の物質を準備する工程と、
b)第2の物質を準備する工程と、
c)前記第1の物質を前記第2の物質と混合して複合材料を形成する工程と、
d)前記複合材料が超偏極状態になるまで、前記複合材料の核超偏極を増大させる工程と、
を含む、超偏極複合材料の製造方法。
【請求項173】
多孔質のカプセル化剤によって取り囲まれた超偏極芯物質を含む、有益な薬剤。
【請求項174】
前記カプセル化剤の多孔度は、気体が前記カプセル化剤を通過して前記芯物質に到達することを可能にする、請求項173に記載の有益な薬剤。
【請求項175】
前記カプセル化剤の多孔度は、ヘリウムが前記カプセル化剤を通過することを可能にする、請求項174に記載の有益な薬剤。
【請求項176】
前記カプセル化剤の多孔度は、キセノンが前記カプセル化剤を通過することを可能にする、請求項174に記載の有益な薬剤。
【請求項177】
前記カプセル化剤の多孔度は、ヘリウムより大きい気体分子が前記カプセル化剤を通過することを防止する、請求項175に記載の有益な薬剤。
【請求項178】
前記超偏極芯物質が、比較的長いスピン−格子緩和時間を有する、請求項173に記載の有益な薬剤。
【請求項179】
前記超偏極芯物質が、13C、15N、1H、31P、19F、29Siおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項173に記載の有益な薬剤。
【請求項180】
前記カプセル化剤がポリマー材料を含む、請求項173に記載の有益な薬剤。
【請求項181】
前記ポリマー材料が、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項180に記載の有益な薬剤。
【請求項182】
前記有益な薬剤が、10K未満の温度でその構造的一体性を維持するように調製および構成されている、請求項173に記載の有益な薬剤。
【請求項183】
前記有益な薬剤が、1K未満の温度でその構造的一体性を維持するように調製および構成されている、請求項173に記載の有益な薬剤。
【請求項184】
前記カプセル化材料が超偏極物質を含む、請求項173に記載の有益な薬剤。
【請求項185】
前記超偏極芯物質が、標準条件で固体である物質を含む、請求項173に記載の有益な薬剤。
【請求項186】
前記超偏極芯物質が、標準条件で液体である物質を含む、請求項173に記載の有益な薬剤。
【請求項187】
前記超偏極芯物質が、標準条件で気体である物質を含む、請求項173に記載の有益な薬剤。
【請求項188】
前記有益な薬剤が、0.001μm〜100μmの平均直径を有するカプセルの形態で提供される、請求項173に記載の有益な薬剤。
【請求項189】
前記有益な薬剤が、0.001μm〜10μmの平均直径を有するカプセルの形態で提供される、請求項173に記載の有益な薬剤。
【請求項190】
前記有益な薬剤が、前記カプセル化剤の近位に配置された機能性要素を含み、前記機能性要素は使用時に有益な結果が得られるように調製および構成されている、請求項173に記載の有益な薬剤。
【請求項191】
前記機能性要素が、特定の生物活性を有する部位に優先的に結合する、請求項190に記載の有益な薬剤。
【請求項192】
前記機能性要素が、特定の生物学的な機能を果たす組織を見つけ出すように調製および構成されている、請求項190に記載の有益な薬剤。
【請求項193】
前記機能性要素がタンパク質を含む、請求項190に記載の有益な薬剤。
【請求項194】
前記機能性要素がmRNAを含む、請求項190に記載の有益な薬剤。
【請求項195】
前記機能性要素が遺伝子プローブを含む、請求項190に記載の有益な薬剤。
【請求項196】
カプセル化剤によって取り囲まれた超偏極芯物質を含む有益な薬剤であって、前記超偏極芯物質が、(i)液体物質、(ii)固体物質、(iii)固体物質を散在させた気体物質、(iv)液体物質を散在させた気体物質、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、有益な薬剤。
【請求項197】
前記カプセル化剤が多孔質である、請求項196に記載の有益な薬剤。
【請求項198】
前記カプセル化剤の多孔度は、キセノンが前記カプセル化剤を通過して前記芯物質に到達することを可能にする、請求項197に記載の有益な薬剤。
【請求項199】
前記カプセル化剤の多孔度は、ヘリウムが前記カプセル化剤を通過することを可能にする、請求項198に記載の有益な薬剤。
【請求項200】
前記カプセル化剤の多孔度は、ヘリウムより大きい気体分子が前記カプセル化剤を通過することを防止する、請求項199に記載の有益な薬剤。
【請求項201】
前記超偏極芯物質が、比較的長いスピン−格子緩和時間を有する、請求項196に記載の有益な薬剤。
【請求項202】
前記超偏極芯物質が、13C、15N、1H、31P、19F、29Siおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項196に記載の有益な薬剤。
【請求項203】
前記カプセル化剤がポリマー材料を含む、請求項196に記載の有益な薬剤。
【請求項204】
前記ポリマー材料が、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項203に記載の有益な薬剤。
【請求項205】
前記有益な薬剤が、100K未満の温度でその構造的一体性を維持するように調製および構成されている、請求項196に記載の有益な薬剤。
【請求項206】
前記有益な薬剤が、10K未満の温度でその構造的一体性を維持するように調製および構成されている、請求項205に記載の有益な薬剤。
【請求項207】
前記有益な薬剤が、1K未満の温度でその構造的一体性を維持するように調製および構成されている、請求項206に記載の有益な薬剤。
【請求項208】
前記カプセル化材料が超偏極物質を含む、請求項196に記載の有益な薬剤。
【請求項209】
前記有益な薬剤は、生体内での使用が許容される物質で構成されている、請求項196に記載の有益な薬剤。
【請求項210】
前記有益な薬剤が、0.001μm〜100μmの平均直径を有するカプセルの形態で提供される、請求項196に記載の有益な薬剤。
【請求項211】
前記有益な薬剤が、0.001μm〜10μmの平均直径を有するカプセルの形態で提供される、請求項196に記載の有益な薬剤。
【請求項212】
前記有益な薬剤が、前記カプセル化剤の近位に配置された機能性要素を含み、前記機能性要素が使用時に有益な結果が得られるように調製および構成されている、請求項196に記載の有益な薬剤。
【請求項213】
前記機能性要素が特定の生物活性を有する部位に優先的に結合する、請求項212に記載の有益な薬剤。
【請求項214】
前記機能性要素が、特定の生物学的な機能を果たす組織を見つけ出すように調製および構成されている、請求項212に記載の有益な薬剤。
【請求項215】
前記機能性要素がタンパク質を含む、請求項212に記載の有益な薬剤。
【請求項216】
前記機能性要素がmRNAを含む、請求項212に記載の有益な薬剤。
【請求項217】
前記機能性要素が遺伝子プローブを含む、請求項212に記載の有益な薬剤。
【請求項218】
前記カプセル化剤がリポソームを含む、請求項196に記載の有益な薬剤。
【請求項219】
前記リポソームの材料が少なくとも部分的に超偏極している、請求項218に記載の有益な薬剤。
【請求項220】
a)
i)比較的長いスピン−格子緩和時間を有する物質を含む芯物質、および
ii)前記芯物質を取り囲むカプセル化剤、
を有する、少なくとも1つのカプセル化された物質と、
b)前記カプセル化された物質の超偏極を促進するための使用説明書と、
を備える、超偏極物質を提供するためのキット。
【請求項221】
前記カプセル化剤が多孔質である、請求項220に記載のキット。
【請求項222】
前記カプセル化剤の多孔度は、気体が前記カプセル化剤を通過して前記芯物質に到達することを可能にする、請求項221に記載のキット。
【請求項223】
前記カプセル化剤の多孔度は、ヘリウムが前記カプセル化剤を通過することを可能にする、請求項222に記載のキット。
【請求項224】
前記カプセル化剤の多孔度は、ヘリウムより大きい気体分子が前記カプセル化剤を通過することを防止する、請求項223に記載のキット。
【請求項225】
前記芯物質が、13C、15N、1H、31P、19F、29Siおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項220に記載のキット。
【請求項226】
前記カプセル化剤がポリマー材料を含む、請求項220に記載のキット。
【請求項227】
前記ポリマー材料が、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項226に記載のキット。
【請求項228】
前記有益な薬剤が、100K未満の温度でその構造的一体性を維持するように調製および構成されている、請求項220に記載のキット。
【請求項229】
前記有益な薬剤が、10mTを超える磁場の存在下でその構造的一体性を維持するように調製および構成されている、請求項228に記載のキット。
【請求項230】
前記カプセル化材料が、比較的長いスピン−格子緩和時間を有する物質を含む、請求項220に記載のキット。
【請求項231】
前記芯物質が、標準条件で固体である物質を含む、請求項220に記載のキット。
【請求項232】
前記芯物質が、標準条件で液体である物質を含む、請求項220に記載のキット。
【請求項233】
前記芯物質が、標準条件で気体である物質を含む、請求項220に記載のキット。
【請求項234】
前記使用説明書が、量子緩和スイッチを使用して前記カプセル化された物質の超偏極を促進する方法を記載する、請求項220に記載のキット。
【請求項235】
前記使用説明書が、超偏極キャリヤから前記芯物質に超偏極を移動させることにより、前記カプセル化された物質の超偏極を促進する方法を記載する、請求項220に記載のキット。
【請求項236】
前記使用説明書が、量子緩和スイッチを使用して前記芯物質を超偏極させることにより、前記カプセル化された物質の超偏極を促進する方法を記載する、請求項220に記載のキット。
【請求項237】
(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)量子緩和スイッチを使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に前記芯物質の分子を暴露させることによる前記芯物質の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される方法を使用して、前記芯物質を超偏極させる、請求項235に記載のキット。
【請求項238】
a)カプセル化された物質を準備する工程と、
b)前記超偏極キャリヤを超偏極させる工程と、
c)前記カプセル化された物質を超偏極キャリヤに暴露させる工程と、
d)前記超偏極キャリヤから前記カプセル化された物質に超偏極を移動させる工程と、
を含む、超偏極したカプセル化された物質を調製し、提供する方法。
【請求項239】
(i)動的核偏極、(ii)光ポンピング、(iii)パラ水素誘起分極、(iv)量子緩和スイッチを使用する超偏極、(v)予め超偏極した気体の超偏極核に超偏極キャリヤの分子を暴露させることによる超偏極キャリヤの分子への超偏極の移動、(vi)核オーバーハウザー効果、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される方法を使用して、前記超偏極キャリヤを超偏極させる、請求項238に記載の方法。
【請求項240】
前記カプセル化された物質が、前記超偏極キャリヤの通過を可能にする多孔質の表面部分を有する、請求項238に記載の方法。
【請求項241】
前記多孔質の表面部分は、前記超偏極キャリヤが前記多孔質の表面部分を通過して、前記カプセル化された物質の芯部分に入ることを可能にする、請求項240に記載の方法。
【請求項242】
前記芯部分が、標準条件で固体である物質を含む、請求項241に記載の方法。
【請求項243】
前記芯部分が、標準条件で液体である物質を含む、請求項241に記載の方法。
【請求項244】
前記芯部分が、標準条件で気体である物質を含む、請求項241に記載の方法。
【請求項245】
前記カプセルの多孔質の表面部分がポリマー材料を含む、請求項238に記載の方法。
【請求項246】
前記ポリマー材料が、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項245に記載の方法。
【請求項247】
前記超偏極キャリヤが、前記表面部分を通過して前記芯部分に到達する、請求項240に記載の方法。
【請求項248】
前記超偏極キャリヤが、気体の超偏極キセノンを含む、請求項247に記載の方法。
【請求項249】
前記芯部分が、13C、15N、1H、31P、19F、29Siおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項238に記載の方法。
【請求項250】
a)カプセル化された物質を準備する工程と、
b)量子緩和スイッチを使用して前記カプセル化された物質を超偏極させる工程と、
を含む、超偏極したカプセル化された物質を調製し、提供する方法。
【請求項251】
前記カプセル化された物質を3Heに暴露させる工程を含む、請求項250に記載の方法。
【請求項252】
前記カプセル化された物質が、3Heの通過を可能にする多孔質の表面部分を有する、請求項250に記載の方法。
【請求項253】
前記多孔質の表面部分は、気体が前記多孔質の表面部分を通過して前記カプセル化された物質の芯部分に入ることを可能にする、請求項252に記載の方法。
【請求項254】
前記芯部分が、標準条件で固体である物質を含む、請求項253に記載の方法。
【請求項255】
前記芯部分が、標準条件で液体である物質を含む、請求項253に記載の方法。
【請求項256】
前記芯部分が、標準条件で気体である物質を含む、請求項253に記載の方法。
【請求項257】
前記カプセルの多孔質の表面部分がポリマー材料を含む、請求項250に記載の方法。
【請求項258】
前記ポリマー材料が、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項257に記載の方法。
【請求項259】
前記カプセル化剤の多孔度は、ヘリウムが前記カプセル化剤を通過することを可能にし、ヘリウムより大きい分子が前記カプセル化剤を通過することを防止する、請求項250に記載の方法。
【請求項260】
前記芯部分が、13C、15N、1H、31P、19F、29Siおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項250に記載の方法。
【請求項261】
前記カプセル化された物質を冷却する工程を含む、請求項250に記載の方法。
【請求項262】
前記カプセル化された物質を100K未満の温度に冷却する、請求項261に記載の方法。
【請求項263】
前記カプセル化された物質を10K未満の温度に冷却する、請求項262に記載の方法。
【請求項264】
前記カプセル化された物質を1K未満の温度に冷却する、請求項261に記載の方法。
【請求項265】
前記カプセル化された物質を磁場に暴露させる工程を含む、請求項261に記載の方法。
【請求項266】
前記磁場が10mTを超える最大強度を有する、請求項265に記載の方法。
【請求項267】
前記磁場が1Tを超える最大強度を有する、請求項265に記載の方法。
【請求項268】
前記磁場が10Tを超える最大強度を有する、請求項265に記載の方法。
【請求項269】
前記芯物質が緩和して超偏極状態になることを可能にするのに十分な時間、前記芯物質を低温で磁場中に維持する、請求項265に記載の方法。
【請求項270】
前記芯物質から3Heを排除するために、前記芯物質を4Heに暴露させる工程を含む、請求項269に記載の方法。
【請求項271】
前記カプセル化された物質を低温で磁場中に長時間維持する工程を含む、請求項270に記載の方法。
【請求項272】
前記長時間が10分の1秒〜1週間である、請求項271に記載の方法。
【請求項273】
前記カプセル化された超偏極物質を容器に入れて第1の位置から第2の位置に移送する工程を含む、請求項271に記載の方法。
【請求項274】
超偏極の損失を回避するように、前記カプセル化された物質の温度を上昇させる、請求項271に記載の方法。
【請求項275】
前記カプセル化された超偏極物質を分析される目的の部位に導入する工程を含む、請求項274に記載の方法。
【請求項276】
前記目的の部位の磁気共鳴画像を生成する工程を含む、請求項275に記載の方法。
【請求項277】
生体外又は生体内試料のNMRスペクトルを分析する、請求項275に記載の方法。
【請求項278】
a)超偏極したカプセル化された物質を目的の部位に導入する工程と、
b)電磁エネルギーのパルスを前記目的の部位に送信し、前記超偏極したカプセル化された物質を励起させる工程と、
c)前記超偏極したカプセル化された物質から受信した信号を使用して、前記目的の部位の磁気共鳴画像を作り出す工程と、
を含む、目的の部位の磁気共鳴検査を実施する方法。
【請求項279】
a)超偏極したカプセル化された物質を目的の部位に導入する工程と、
b)電磁エネルギーのパルスを前記目的の部位に送信し、前記超偏極したカプセル化された物質を励起させる工程と、
c)前記目的の部位からNMRスペクトルを受信する工程と、
を含む、NMR分光法の実施方法。
【請求項280】
a)物質を準備する工程と、
b)前記物質を粉末物質に転換する工程と、
c)前記粉末物質を超偏極させる工程と、
を含む、超偏極物質を提供する方法。
【請求項281】
前記粉末物質に転換されるように準備される物質が、最初に、(i)気体、(ii)液体、(iii)固体およびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項280に記載の方法。
【請求項282】
前記粉末物質に転換されるように準備される物質が、最初に、(i)溶媒、(ii)溶液、(iii)サスペンション、(iv)コロイド、(v)エマルション、(vi)複合材料、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項280に記載の方法。
【請求項283】
(i)動的核偏極、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)量子緩和スイッチを使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に超偏極キャリヤの分子を暴露させることによる超偏極キャリヤの分子への超偏極の移動、(v)核オーバーハウザー効果、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される方法を使用して、前記粉末物質を超偏極させる、請求項280に記載の方法。
【請求項284】
a)超偏極される物質を取り囲むカプセル化層を有するカプセル化された物質を準備する工程と、
b)前記カプセル化層の近位に高い遠方双極子磁場を有する超偏極物質を配置する工程と、
c)前記超偏極物質から前記カプセル化層を越えて前記超偏極される物質に超偏極を移動させる工程と、
を含む、超偏極物質の製造方法。
【請求項285】
a)超偏極される物質を取り囲む外層を有するリポソームを準備する工程と、
b)前記外層の近位に高い遠方双極子磁場を有する超偏極物質を配置する工程と、
c)前記超偏極物質から前記外層を越えて前記超偏極される物質に超偏極を移動させる工程と、
を含む、超偏極物質の製造方法。
【請求項286】
a)生物学的プロセスで代謝されるのに好適な物質を超偏極させる工程と、
b)前記超偏極物質を目的の部位に導入する工程と、
c)前記超偏極物質の代謝を示すNMRデータ又はMR画像を受信する工程と、
を含む、方法。
【請求項1】
a)(i)標準条件で液体である物質、(ii)標準条件で非希ガスである物質、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される第1の物質を準備する工程と、
b)前記第1の物質が超偏極状態になるまで、前記第1の物質の核超偏極を増大させる工程と、
c)前記第1の物質から第2の物質に核超偏極を移動させる工程と、
を含む、超偏極物質の製造方法。
【請求項2】
前記第1の物質を前記第2の物質と混合し、(i)溶液、(ii)サスペンション、(iii)エマルション、(iv)コロイド、および(v)複合材料からなる群から選択される混合物を作り出す、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の物質を前記第2の物質と混合することによって、前記第1の物質から前記第2の物質に核超偏極を移動させる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の物質と前記第2の物質を混合し、前記第1の物質と前記第2の物質を密接させることを確実にすることによって、前記第1の物質から前記第2の物質への核超偏極の移動を促進する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の物質と前記第2の物質の混合物に電磁エネルギーを印加することによって、前記第1の物質から前記第2の物質への核超偏極の移動を促進する、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記第1の物質から前記第2の物質への核超偏極の移動が、前記第1の物質と前記第2の物質の混合物に電磁エネルギーを印加することを含まない、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
熱混合により、前記第1の物質から前記第2の物質への核超偏極の移動を促進する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の物質を前記第1の物質に溶解させる、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
電磁結合により、前記第1の物質から前記第2の物質に核超偏極を移動させる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記電磁結合が電磁パルス・シーケンスによって提供される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記第1の物質および前記第2の物質のうち少なくとも1つが、生体外NMR分析に好適である、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記第1の物質および前記第2の物質のうち少なくとも1つが、水、重水、アセトン−d6、エタノール−d6、アセトニトリル−d3、蟻酸−d2、ベンゼン−d6、メタノール−d4、クロロホルム−d1、ニトロメタン−d3、酸化ジュウテリウム、ピリジン−d5、ジクロロメタン−d2、1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2、ジメチルホルムアミド−d7、テトラヒドロフラン−d8、ジメチルスルホキシド−d6、トルエン−d8、1,4−ジオキサン−d8、トリフルオロ酢酸−d1、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記第1の物質および前記第2の物質のうち少なくとも1つが、生体内MRI検査に使用するのに好適な生理学的に許容される液体を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の物質および前記第2の物質のうち少なくとも1つが、水、重水およびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
(i)標的物質の近位にある部位、又は(ii)標的物質の分析を実施する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記分析が、目的の部位の磁気共鳴画像を形成することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記分析が、生体外又は生体内の試料のNMRスペクトルを分析することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
a)(i)標準条件で液体である物質、(ii)標準条件で非希ガスである物質、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される第1の物質を準備する手段と、
b)前記第1の物質が超偏極されるまで、前記第1の物質の核超偏極を増大させる手段と、
c)前記第1の物質から第2の物質に核超偏極を移動させる手段と、
を備える、超偏極物質を製造するシステム。
【請求項19】
a)(i)標準条件で液体である物質、(ii)標準条件で非希ガスである物質、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される第1の物質を準備する工程と、
b)(i)標準条件で液体である物質、(ii)標準条件で非希ガスである物質、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される第2の物質を準備する工程と、
c)前記第2の物質が超偏極状態になるまで、前記第2の物質の核超偏極を増大させる工程と、
d)前記第2の物質から前記第1の物質に超偏極を移動させる工程と、
を含む、超偏極物質の製造方法。
【請求項20】
a)(i)標準条件で液体である物質、(ii)標準条件で固体である物質、および(iii)標準条件で非希ガスである物質、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される第1の物質を準備する工程と、
b)第2の物質を準備する工程と、
c)前記第1の物質と前記第2の物質を混合し、混合物を形成する工程と、
d)前記混合物が超偏極状態になるまで、前記混合物の核超偏極を増大させる工程と、
を含む、超偏極物質の製造方法。
【請求項21】
前記混合物が、(i)溶液、(ii)サスペンション、(iii)エマルション、(iv)コロイド、および(v)複合材料からなる群から選択される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
a)超偏極物質を含む固体表面を有する物体を準備する工程と、
b)前記超偏極物質から、前記固体表面と接触する流体に超偏極を移動させる工程と、
を含む、方法。
【請求項23】
前記物体の形状が球状である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
a)超偏極物質を含む表面と、
b)流体を前記表面と接触するように送る手段と、
c)前記表面から前記流体に超偏極を移動させる手段と、
を含む、超偏極を移動させる装置。
【請求項25】
前記表面が、複数の球状物体から構成される、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記表面が、13C、15N、1H、31P、19F、29Siおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項24に記載の装置。
【請求項27】
前記流体が液体である、請求項24に記載の装置。
【請求項28】
前記流体が、水、重水、アセトン−d6、エタノール−d6、アセトニトリル−d3、蟻酸−d2、ベンゼン−d6、メタノール−d4、クロロホルム−d1、ニトロメタン−d3、酸化ジュウテリウム、ピリジン−d5、ジクロロメタン−d2、1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2、ジメチルホルムアミド−d7、テトラヒドロフラン−d8、ジメチルスルホキシド−d6、トルエン−d8、1,4−ジオキサン−d8、トリフルオロ酢酸−d1、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項24に記載の装置。
【請求項29】
前記流体が気体である、請求項24に記載の装置。
【請求項30】
前記気体が吸入療法に使用するのに好適である、請求項29に記載の装置。
【請求項31】
前記気体が、空気、窒素、二酸化炭素、キセノン、3He、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
a)溶媒を準備する工程と、
b)前記溶媒を超偏極させる工程と、
c)前記溶媒から標的物質に超偏極を移動させる工程と、
を含む、超偏極物質の製造方法。
【請求項33】
前記溶媒を標的物質と混合し、(i)溶液、(ii)サスペンション、(iii)エマルション、(iv)コロイド、および(v)複合材料からなる群から選択される混合物を作り出す、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記標的物質を超偏極させる工程を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記標的物質を前記溶媒と混合することにより前記標的物質を超偏極させる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記標的物質を前記溶媒に溶解させる、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
電磁結合によって前記標的物質を超偏極させる、請求項34に記載の方法。
【請求項38】
前記電磁結合が電磁パルス・シーケンスによって提供される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記溶媒が生体外NMR分析に好適な液体を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項40】
前記溶媒が、水、重水、アセトン−d6、エタノール−d6、アセトニトリル−d3、蟻酸−d2、ベンゼン−d6、メタノール−d4、クロロホルム−d1、ニトロメタン−d3、酸化ジュウテリウム、ピリジン−d5、ジクロロメタン−d2、1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2、ジメチルホルムアミド−d7、テトラヒドロフラン−d8、ジメチルスルホキシド−d6、トルエン−d8、1,4−ジオキサン−d8、トリフルオロ酢酸−d1、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記溶媒が、生体内MRI検査に使用するのに好適な生理学的に許容される液体を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項42】
前記溶媒が、水、重水およびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
(i)前記標的物質の近位にある部位、又は(ii)前記標的物質の分析を実施する工程を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項44】
前記分析が、患者の磁気共鳴画像を形成することを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記分析が、生体外又は生体内の試料のNMRスペクトルを分析することを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記溶媒を粉末状に固化させる工程を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項47】
前記溶媒を超偏極させる前に前記溶媒を固化させる、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)量子緩和スイッチを使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に溶媒の分子を暴露させることによる溶媒の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される方法を使用して前記固化した溶媒を超偏極させる、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記溶媒を超偏極させた後で前記溶媒を固化させる、請求項46に記載の方法。
【請求項50】
前記超偏極した溶媒上に前記標的物質を流すことによって、前記標的物質に超偏極を移動させる、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
a)媒体を準備する工程と、
b)第2の物質を準備する工程と、
c)前記第2の物質が超偏極状態になるまで、前記第2の物質の核超偏極を増大させる工程と、
d)前記媒体と前記第2の物質を混合し、(i)サスペンション、(ii)エマルション、(iii)コロイド、および(iv)複合材料からなる群から選択される混合物を形成する工程と、
e)前記第2の物質から前記溶媒に超偏極を移動させる工程と、
を含む、超偏極物質の製造方法。
【請求項52】
前記混合物がサスペンションである、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
a)溶媒を準備する工程と、
b)第2の物質を準備する工程と、
c)前記第1の物質と前記第2の物質を混合し、混合物を形成する工程と、
d)前記混合物が超偏極状態になるまで、前記混合物の核超偏極を増大させる工程と、
を含む、超偏極物質の製造方法。
【請求項54】
前記混合物が、(i)溶液、(ii)サスペンション、(iii)エマルション、(iv)コロイド、および(v)複合材料からなる群から選択される、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
a)溶媒を準備する手段と、
b)前記溶媒を超偏極させる手段と、
c)前記溶媒から標的物質に超偏極を移動させる手段と、
を備える、超偏極物質を製造するシステム。
【請求項56】
(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)量子緩和スイッチを使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に溶媒の分子を暴露させることによる溶媒の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される方法により前記溶媒の分子を超偏極させる、溶媒を超偏極させる方法。
【請求項57】
前記溶媒が生体外NMR分析に好適な液体を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記溶媒が、水、重水、アセトン−d6、エタノール−d6、アセトニトリル−d3、蟻酸−d2、ベンゼン−d6、メタノール−d4、クロロホルム−d1、ニトロメタン−d3、酸化ジュウテリウム、ピリジン−d5、ジクロロメタン−d2、1,1,2,2−テトラクロロエタン−d2、ジメチルホルムアミド−d7、テトラヒドロフラン−d8、ジメチルスルホキシド−d6、トルエン−d8、1,4−ジオキサン−d8、トリフルオロ酢酸−d1、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記溶媒が、生体内MRI検査に使用するのに好適な生理学的に許容される液体を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項60】
前記溶媒が、水、重水およびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
超偏極される前に前記溶媒を表面積の大きい構成にする工程を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項62】
超偏極される前に前記溶媒を表面積の大きい基材上に塗布することによって、前記溶媒を表面積の大きい構成にする、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
磁性不純物を前記表面積の大きい基材の表面から取り除く工程を含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記磁性不純物が酸素基を含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記表面積の大きい基材が磁気的に不活性である、請求項62に記載の方法。
【請求項66】
前記表面積の大きい基材が、エアロゲル材料、ガラス・ビーズ、ヒュームド・シリカ、カーボン・ナノ構造体、シリコン・ナノファイバー、膨張化炭素、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記溶媒を超偏極させる前に、前記溶媒を冷却する工程を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項68】
前記溶媒を超偏極させる前に、前記溶媒を100K未満の温度に冷却する、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記溶媒を超偏極させる前に、前記溶媒を80K未満の温度に冷却する、請求項67に記載の方法。
【請求項70】
前記溶媒を超偏極させる前に、前記溶媒を60K未満の温度に冷却する、請求項67に記載の方法。
【請求項71】
前記溶媒を超偏極させる前に、前記溶媒を40K未満の温度に冷却する、請求項67に記載の方法。
【請求項72】
前記溶媒を超偏極させる前に、前記溶媒を20K未満の温度に冷却する、請求項67に記載の方法。
【請求項73】
前記溶媒を超偏極させる前に、前記溶媒を10K未満の温度に冷却する、請求項67に記載の方法。
【請求項74】
前記溶媒を超偏極させる前に、前記溶媒を5K未満の温度に冷却する、請求項67に記載の方法。
【請求項75】
前記溶媒を超偏極させる前に、前記溶媒を1K未満の温度に冷却する、請求項67に記載の方法。
【請求項76】
前記溶媒の超偏極を促進するために、前記溶媒を磁場に暴露させる、請求項56に記載の方法。
【請求項77】
前記磁場の強度が10mTより大きい、請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記磁場の強度が0.5Tより大きい、請求項76に記載の方法。
【請求項79】
前記磁場の強度が1.0Tより大きい、請求項76に記載の方法。
【請求項80】
前記磁場の強度が2.0Tより大きい、請求項76に記載の方法。
【請求項81】
前記磁場の強度が5.0Tより大きい、請求項76に記載の方法。
【請求項82】
前記磁場の強度が10.0Tより大きい、請求項76に記載の方法。
【請求項83】
前記磁場の強度が15.0Tより大きい、請求項76に記載の方法。
【請求項84】
前記磁場の強度が20.0Tより大きい、請求項76に記載の方法。
【請求項85】
前記磁場の強度が25.0Tより大きい、請求項76に記載の方法。
【請求項86】
前記溶媒の超偏極を促進するために、前記溶媒をヘリウムに暴露させる工程を含む、請求項56に記載の方法。
【請求項87】
前記ヘリウムが3Heを含む、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記溶媒上に3Heの単分子層を形成させるのに十分な量の3Heに前記溶媒を暴露させる、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記溶媒のかなりの部分が緩和して超偏極状態になることを可能にするのに十分な時間、前記溶媒を低温で磁場中に維持する、請求項88に記載の方法。
【請求項90】
前記時間が1時間である、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記時間が5分である、請求項89に記載の方法。
【請求項92】
前記溶媒から3Heを排除するため、前記溶媒を4Heに暴露させる工程を含む、請求項89に記載の方法。
【請求項93】
前記超偏極溶媒の温度を上昇させる工程を含む、請求項72に記載の方法。
【請求項94】
磁場の存在下で前記超偏極溶媒の温度を上昇させる、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
1.0ガウスより大きい強度を有する磁場の存在下で、前記超偏極溶媒の温度を上昇させる、請求項94に記載の方法。
【請求項96】
1.0テスラより大きい強度を有する磁場の存在下で、前記超偏極溶媒の温度を上昇させる、請求項94に記載の方法。
【請求項97】
10.0テスラより大きい強度を有する磁場の存在下で、前記超偏極溶媒の温度を上昇させる、請求項94に記載の方法。
【請求項98】
前記表面積の大きい基材から前記超偏極溶媒を溶出させる工程を含む、請求項94に記載の方法。
【請求項99】
超偏極の損失を回避するのに十分な時間内で、前記溶媒の温度を上昇させる、請求項93に記載の方法。
【請求項100】
前記溶媒を室温に上昇させる、請求項93に記載の方法。
【請求項101】
前記溶媒を微細な形態に転換することによって、前記溶媒を表面積の大きい構成にする、請求項61に記載の方法。
【請求項102】
前記溶媒を粉末に転換する、請求項101に記載の方法。
【請求項103】
前記溶媒を霧化および凍結することによって、前記溶媒を粉末に転換する、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記溶媒を低温で磁場中に長時間維持する工程を含む、請求項92に記載の方法。
【請求項105】
前記長時間が10分の1秒〜1週間である、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記超偏極溶媒を容器に入れて第1の位置から第2の位置に移送する工程を含む、請求項104に記載の方法。
【請求項107】
前記超偏極溶媒から、分析される物質に超偏極を移動させる工程を含む、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記超偏極溶媒を追加の無偏極溶媒と混合し、溶媒混合物を形成する工程を含む、請求項106に記載の方法。
【請求項109】
前記溶媒混合物を、分析される目的の部位に送達する工程を含む、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記目的の部位の磁気共鳴画像を生成する工程を含む、請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記目的の部位のNMRスペクトルを測定する工程を含む、請求項109に記載の方法。
【請求項112】
請求項56に記載の方法に従って製造される超偏極溶媒。
【請求項113】
溶媒の分子を超偏極させる手段を備える、溶媒を超偏極させるシステムであって、前記超偏極させる手段が、(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)量子緩和スイッチを使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に溶媒の分子を暴露させることによる溶媒の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される方法を使用して、前記溶媒の分子を超偏極させるシステム。
【請求項114】
前記超偏極溶液を第1の位置から第2の位置に移送する手段を備える、請求項113に記載のシステム。
【請求項115】
a)超偏極物質を準備する工程と、
b)超偏極サスペンションを作り出すために前記超偏極物質を媒体に分散させる工程と、
を含む、超偏極サスペンションの製造方法。
【請求項116】
(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)量子緩和スイッチを使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に前記物質の分子を暴露させることによる前記物質の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される方法を使用して、前記超偏極物質を超偏極させる、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記超偏極物質の直径が1000μm未満である、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
前記超偏極物質の直径が100μm未満である、請求項116に記載の方法。
【請求項119】
前記超偏極物質の直径が10μmン未満である、請求項116に記載の方法。
【請求項120】
前記超偏極物質の直径が5μm未満である、請求項116に記載の方法。
【請求項121】
前記超偏極物質の直径が1μm未満である、請求項116に記載の方法。
【請求項122】
量子緩和スイッチを使用して前記物質を超偏極させる、請求項120に記載の方法。
【請求項123】
前記媒体が、生理学的に許容される媒体である、請求項115に記載の方法。
【請求項124】
前記分散させる工程が磁場の存在下で行われる、請求項115に記載の方法。
【請求項125】
前記磁場が、1.0ガウスを超える磁場強度を有する、請求項124に記載の方法。
【請求項126】
前記媒体が、(i)固体、(ii)液体、および(iii)気体からなる群から選択される、請求項115に記載の方法。
【請求項127】
前記媒体が空気である、請求項126に記載の方法。
【請求項128】
請求項127に記載の方法に従って調製した超偏極サスペンションを目的の部位に導入する工程を含む、MR検査の実施方法。
【請求項129】
請求項115に記載の方法に従って製造される超偏極サスペンション。
【請求項130】
a)超偏極物質を準備する手段と、
b)前記超偏極物質を媒体に分散させて超偏極サスペンションを作り出す手段と、
を備える、超偏極サスペンションを製造するシステム。
【請求項131】
前記超偏極サスペンションを第1の位置から第2の位置に移送する手段を備える、請求項130に記載のシステム。
【請求項132】
a)第1の物質を準備する工程と、
b)媒体を準備する工程と、
c)前記媒体が超偏極状態になるまで、前記媒体の核超偏極を増大させる工程と、
d)前記第1の物質を前記媒体に分散させてサスペンションを形成する工程と、
を含む、超偏極サスペンションの製造方法。
【請求項133】
前記媒体から前記第1の物質に超偏極を移動させる工程を含む、請求項132に記載の方法。
【請求項134】
a)第1の物質を準備する工程と、
b)媒体を準備する工程と、
c)前記第1の物質を前記媒体に分散させてサスペンションを形成する工程と、
d)前記サスペンションが超偏極状態になるまで、前記サスペンションの核超偏極を増大させる工程と、
を含む、超偏極サスペンションの製造方法。
【請求項135】
a)超偏極物質を準備する工程と、
b)超偏極エマルションを作り出すために前記超偏極物質を媒体と混合する工程と、
を含む、超偏極エマルションの製造方法。
【請求項136】
(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)量子緩和スイッチを使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に前記物質の分子を暴露させることによる前記物質の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される方法を使用して、前記超偏極物質を超偏極させる、請求項135に記載の方法。
【請求項137】
前記媒体が、生理学的に許容される媒体である、請求項135に記載の方法。
【請求項138】
前記混合する工程が磁場の存在下で行われる、請求項135に記載の方法。
【請求項139】
前記混合する工程が少なくとも1.0ガウスの強度を有する磁場中で行われる、請求項138に記載の方法。
【請求項140】
前記超偏極物質と媒体が両方とも液体の形態である温度で前記混合する工程が行われる、請求項135に記載の方法。
【請求項141】
請求項135に記載の方法に従って製造される超偏極エマルション。
【請求項142】
a)超偏極物質を準備する手段と、
b)前記超偏極物質を媒体と混合して超偏極エマルションを作り出す手段と、
を備える、超偏極エマルションを製造するシステム。
【請求項143】
前記超偏極エマルションを第1の位置から第2の位置に移送する手段を備える、請求項142に記載のシステム。
【請求項144】
a)第1の物質を準備する工程と、
b)媒体を準備する工程と、
c)前記媒体が超偏極状態になるまで、前記媒体の核超偏極を増大させる工程と、
d)前記第1の物質を前記媒体と混合してエマルションを形成する工程と、
を含む、超偏極エマルションの製造方法。
【請求項145】
前記媒体から前記第1の物質に超偏極を移動させる工程を含む、請求項144に記載の方法。
【請求項146】
a)第1の物質を準備する工程と、
b)媒体を準備する工程と、
c)前記第1の物質を前記媒体と混合してエマルションを形成する工程と、
d)前記エマルションが超偏極状態になるまで、前記エマルションの核超偏極を増大させる工程と、
を含む、超偏極エマルションの製造方法。
【請求項147】
a)超偏極物質を準備する工程と、
b)超偏極コロイドを作り出すために前記超偏極物質を媒体と混合する工程と、
を含む、超偏極コロイドの製造方法。
【請求項148】
(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)量子緩和スイッチを使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に前記物質の分子を暴露させることによる前記物質の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される方法を使用して、前記超偏極物質を超偏極させる、請求項147に記載の方法。
【請求項149】
前記媒体が、生理学的に許容される媒体である、請求項147に記載の方法。
【請求項150】
前記混合する工程が磁場の存在下で行われる、請求項147に記載の方法。
【請求項151】
前記混合する工程が少なくとも1.0ガウスの強度を有する磁場中で行われる、請求項150に記載の方法。
【請求項152】
前記超偏極物質と媒体が両方とも液体の形態である温度で前記混合する工程が行われる、請求項147に記載の方法。
【請求項153】
請求項147に記載の方法に従って製造される超偏極コロイド。
【請求項154】
a)超偏極物質を準備する手段と、
b)前記超偏極物質を媒体と混合して超偏極コロイドを作り出す手段と、
を備える、超偏極コロイドを製造するシステム。
【請求項155】
前記超偏極コロイドを第1の位置から第2の位置に移送する手段を備える、請求項154に記載のシステム。
【請求項156】
a)第1の物質を準備する工程と、
b)媒体を準備する工程と、
c)前記媒体が超偏極状態になるまで、前記媒体の核超偏極を増大させる工程と、
d)前記第1の物質を前記媒体と混合してコロイドを形成する工程と、
を含む、超偏極コロイドの製造方法。
【請求項157】
前記媒体から前記第1の物質に超偏極を移動させる工程を含む、請求項156に記載の方法。
【請求項158】
a)第1の物質を準備する工程と、
b)媒体を準備する工程と、
c)前記第1の物質を前記媒体と混合してコロイドを形成する工程と、
d)前記コロイドが超偏極状態になるまで、前記コロイドの核超偏極を増大させる工程と、
を含む、超偏極コロイドの製造方法。
【請求項159】
a)超偏極物質を準備する工程と、
b)超偏極複合材料を作り出すために前記超偏極物質を第2の物質と混合する工程と、
を含む、超偏極複合材料の製造方法。
【請求項160】
(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)量子緩和スイッチを使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に前記物質の分子を暴露させることによる前記物質の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される方法を使用して、前記超偏極物質を超偏極させる、請求項159に記載の方法。
【請求項161】
前記第2の物質が、生理学的に許容される媒体である、請求項159に記載の方法。
【請求項162】
前記混合する工程が磁場の存在下で行われる、請求項159に記載の方法。
【請求項163】
前記混合する工程が少なくとも1.0ガウスの強度を有する磁場中で行われる、請求項162に記載の方法。
【請求項164】
前記超偏極物質が、(i)固体物質、(ii)液体物質、(iii)気体物質およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項159に記載の方法。
【請求項165】
前記第2の物質が、水および生理食塩水からなる群から選択される、請求項161に記載の方法。
【請求項166】
請求項159に記載の方法に従って製造される超偏極複合材料。
【請求項167】
a)超偏極物質を準備する手段と、
b)前記超偏極物質を第2の物質と混合して超偏極複合材料を作り出す手段と、
を備える、超偏極複合材料を製造するシステム。
【請求項168】
前記超偏極複合材料を第1の位置から第2の位置に移送する手段を備える、請求項167に記載のシステム。
【請求項169】
前記超偏極物質が、(i)固体物質、(ii)液体物質、(iii)気体物質およびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項167に記載の方法。
【請求項170】
a)第1の物質を準備する工程と、
b)第2の物質を準備する工程と、
c)前記第2の物質が超偏極状態になるまで、前記第2の物質の核超偏極を増大させる工程と、
d)前記第1の物質を前記第2の物質と混合して複合材料を形成する工程と、
を含む、超偏極複合材料の製造方法。
【請求項171】
前記第2の物質から前記第1の物質に超偏極を移動させる工程を含む、請求項170に記載の方法。
【請求項172】
a)第1の物質を準備する工程と、
b)第2の物質を準備する工程と、
c)前記第1の物質を前記第2の物質と混合して複合材料を形成する工程と、
d)前記複合材料が超偏極状態になるまで、前記複合材料の核超偏極を増大させる工程と、
を含む、超偏極複合材料の製造方法。
【請求項173】
多孔質のカプセル化剤によって取り囲まれた超偏極芯物質を含む、有益な薬剤。
【請求項174】
前記カプセル化剤の多孔度は、気体が前記カプセル化剤を通過して前記芯物質に到達することを可能にする、請求項173に記載の有益な薬剤。
【請求項175】
前記カプセル化剤の多孔度は、ヘリウムが前記カプセル化剤を通過することを可能にする、請求項174に記載の有益な薬剤。
【請求項176】
前記カプセル化剤の多孔度は、キセノンが前記カプセル化剤を通過することを可能にする、請求項174に記載の有益な薬剤。
【請求項177】
前記カプセル化剤の多孔度は、ヘリウムより大きい気体分子が前記カプセル化剤を通過することを防止する、請求項175に記載の有益な薬剤。
【請求項178】
前記超偏極芯物質が、比較的長いスピン−格子緩和時間を有する、請求項173に記載の有益な薬剤。
【請求項179】
前記超偏極芯物質が、13C、15N、1H、31P、19F、29Siおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項173に記載の有益な薬剤。
【請求項180】
前記カプセル化剤がポリマー材料を含む、請求項173に記載の有益な薬剤。
【請求項181】
前記ポリマー材料が、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項180に記載の有益な薬剤。
【請求項182】
前記有益な薬剤が、10K未満の温度でその構造的一体性を維持するように調製および構成されている、請求項173に記載の有益な薬剤。
【請求項183】
前記有益な薬剤が、1K未満の温度でその構造的一体性を維持するように調製および構成されている、請求項173に記載の有益な薬剤。
【請求項184】
前記カプセル化材料が超偏極物質を含む、請求項173に記載の有益な薬剤。
【請求項185】
前記超偏極芯物質が、標準条件で固体である物質を含む、請求項173に記載の有益な薬剤。
【請求項186】
前記超偏極芯物質が、標準条件で液体である物質を含む、請求項173に記載の有益な薬剤。
【請求項187】
前記超偏極芯物質が、標準条件で気体である物質を含む、請求項173に記載の有益な薬剤。
【請求項188】
前記有益な薬剤が、0.001μm〜100μmの平均直径を有するカプセルの形態で提供される、請求項173に記載の有益な薬剤。
【請求項189】
前記有益な薬剤が、0.001μm〜10μmの平均直径を有するカプセルの形態で提供される、請求項173に記載の有益な薬剤。
【請求項190】
前記有益な薬剤が、前記カプセル化剤の近位に配置された機能性要素を含み、前記機能性要素は使用時に有益な結果が得られるように調製および構成されている、請求項173に記載の有益な薬剤。
【請求項191】
前記機能性要素が、特定の生物活性を有する部位に優先的に結合する、請求項190に記載の有益な薬剤。
【請求項192】
前記機能性要素が、特定の生物学的な機能を果たす組織を見つけ出すように調製および構成されている、請求項190に記載の有益な薬剤。
【請求項193】
前記機能性要素がタンパク質を含む、請求項190に記載の有益な薬剤。
【請求項194】
前記機能性要素がmRNAを含む、請求項190に記載の有益な薬剤。
【請求項195】
前記機能性要素が遺伝子プローブを含む、請求項190に記載の有益な薬剤。
【請求項196】
カプセル化剤によって取り囲まれた超偏極芯物質を含む有益な薬剤であって、前記超偏極芯物質が、(i)液体物質、(ii)固体物質、(iii)固体物質を散在させた気体物質、(iv)液体物質を散在させた気体物質、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、有益な薬剤。
【請求項197】
前記カプセル化剤が多孔質である、請求項196に記載の有益な薬剤。
【請求項198】
前記カプセル化剤の多孔度は、キセノンが前記カプセル化剤を通過して前記芯物質に到達することを可能にする、請求項197に記載の有益な薬剤。
【請求項199】
前記カプセル化剤の多孔度は、ヘリウムが前記カプセル化剤を通過することを可能にする、請求項198に記載の有益な薬剤。
【請求項200】
前記カプセル化剤の多孔度は、ヘリウムより大きい気体分子が前記カプセル化剤を通過することを防止する、請求項199に記載の有益な薬剤。
【請求項201】
前記超偏極芯物質が、比較的長いスピン−格子緩和時間を有する、請求項196に記載の有益な薬剤。
【請求項202】
前記超偏極芯物質が、13C、15N、1H、31P、19F、29Siおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項196に記載の有益な薬剤。
【請求項203】
前記カプセル化剤がポリマー材料を含む、請求項196に記載の有益な薬剤。
【請求項204】
前記ポリマー材料が、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項203に記載の有益な薬剤。
【請求項205】
前記有益な薬剤が、100K未満の温度でその構造的一体性を維持するように調製および構成されている、請求項196に記載の有益な薬剤。
【請求項206】
前記有益な薬剤が、10K未満の温度でその構造的一体性を維持するように調製および構成されている、請求項205に記載の有益な薬剤。
【請求項207】
前記有益な薬剤が、1K未満の温度でその構造的一体性を維持するように調製および構成されている、請求項206に記載の有益な薬剤。
【請求項208】
前記カプセル化材料が超偏極物質を含む、請求項196に記載の有益な薬剤。
【請求項209】
前記有益な薬剤は、生体内での使用が許容される物質で構成されている、請求項196に記載の有益な薬剤。
【請求項210】
前記有益な薬剤が、0.001μm〜100μmの平均直径を有するカプセルの形態で提供される、請求項196に記載の有益な薬剤。
【請求項211】
前記有益な薬剤が、0.001μm〜10μmの平均直径を有するカプセルの形態で提供される、請求項196に記載の有益な薬剤。
【請求項212】
前記有益な薬剤が、前記カプセル化剤の近位に配置された機能性要素を含み、前記機能性要素が使用時に有益な結果が得られるように調製および構成されている、請求項196に記載の有益な薬剤。
【請求項213】
前記機能性要素が特定の生物活性を有する部位に優先的に結合する、請求項212に記載の有益な薬剤。
【請求項214】
前記機能性要素が、特定の生物学的な機能を果たす組織を見つけ出すように調製および構成されている、請求項212に記載の有益な薬剤。
【請求項215】
前記機能性要素がタンパク質を含む、請求項212に記載の有益な薬剤。
【請求項216】
前記機能性要素がmRNAを含む、請求項212に記載の有益な薬剤。
【請求項217】
前記機能性要素が遺伝子プローブを含む、請求項212に記載の有益な薬剤。
【請求項218】
前記カプセル化剤がリポソームを含む、請求項196に記載の有益な薬剤。
【請求項219】
前記リポソームの材料が少なくとも部分的に超偏極している、請求項218に記載の有益な薬剤。
【請求項220】
a)
i)比較的長いスピン−格子緩和時間を有する物質を含む芯物質、および
ii)前記芯物質を取り囲むカプセル化剤、
を有する、少なくとも1つのカプセル化された物質と、
b)前記カプセル化された物質の超偏極を促進するための使用説明書と、
を備える、超偏極物質を提供するためのキット。
【請求項221】
前記カプセル化剤が多孔質である、請求項220に記載のキット。
【請求項222】
前記カプセル化剤の多孔度は、気体が前記カプセル化剤を通過して前記芯物質に到達することを可能にする、請求項221に記載のキット。
【請求項223】
前記カプセル化剤の多孔度は、ヘリウムが前記カプセル化剤を通過することを可能にする、請求項222に記載のキット。
【請求項224】
前記カプセル化剤の多孔度は、ヘリウムより大きい気体分子が前記カプセル化剤を通過することを防止する、請求項223に記載のキット。
【請求項225】
前記芯物質が、13C、15N、1H、31P、19F、29Siおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項220に記載のキット。
【請求項226】
前記カプセル化剤がポリマー材料を含む、請求項220に記載のキット。
【請求項227】
前記ポリマー材料が、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項226に記載のキット。
【請求項228】
前記有益な薬剤が、100K未満の温度でその構造的一体性を維持するように調製および構成されている、請求項220に記載のキット。
【請求項229】
前記有益な薬剤が、10mTを超える磁場の存在下でその構造的一体性を維持するように調製および構成されている、請求項228に記載のキット。
【請求項230】
前記カプセル化材料が、比較的長いスピン−格子緩和時間を有する物質を含む、請求項220に記載のキット。
【請求項231】
前記芯物質が、標準条件で固体である物質を含む、請求項220に記載のキット。
【請求項232】
前記芯物質が、標準条件で液体である物質を含む、請求項220に記載のキット。
【請求項233】
前記芯物質が、標準条件で気体である物質を含む、請求項220に記載のキット。
【請求項234】
前記使用説明書が、量子緩和スイッチを使用して前記カプセル化された物質の超偏極を促進する方法を記載する、請求項220に記載のキット。
【請求項235】
前記使用説明書が、超偏極キャリヤから前記芯物質に超偏極を移動させることにより、前記カプセル化された物質の超偏極を促進する方法を記載する、請求項220に記載のキット。
【請求項236】
前記使用説明書が、量子緩和スイッチを使用して前記芯物質を超偏極させることにより、前記カプセル化された物質の超偏極を促進する方法を記載する、請求項220に記載のキット。
【請求項237】
(i)動的核偏極、(ii)核オーバーハウザー効果、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)量子緩和スイッチを使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に前記芯物質の分子を暴露させることによる前記芯物質の分子への超偏極の移動、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される方法を使用して、前記芯物質を超偏極させる、請求項235に記載のキット。
【請求項238】
a)カプセル化された物質を準備する工程と、
b)前記超偏極キャリヤを超偏極させる工程と、
c)前記カプセル化された物質を超偏極キャリヤに暴露させる工程と、
d)前記超偏極キャリヤから前記カプセル化された物質に超偏極を移動させる工程と、
を含む、超偏極したカプセル化された物質を調製し、提供する方法。
【請求項239】
(i)動的核偏極、(ii)光ポンピング、(iii)パラ水素誘起分極、(iv)量子緩和スイッチを使用する超偏極、(v)予め超偏極した気体の超偏極核に超偏極キャリヤの分子を暴露させることによる超偏極キャリヤの分子への超偏極の移動、(vi)核オーバーハウザー効果、およびこれらの組み合わせを含む群から選択される方法を使用して、前記超偏極キャリヤを超偏極させる、請求項238に記載の方法。
【請求項240】
前記カプセル化された物質が、前記超偏極キャリヤの通過を可能にする多孔質の表面部分を有する、請求項238に記載の方法。
【請求項241】
前記多孔質の表面部分は、前記超偏極キャリヤが前記多孔質の表面部分を通過して、前記カプセル化された物質の芯部分に入ることを可能にする、請求項240に記載の方法。
【請求項242】
前記芯部分が、標準条件で固体である物質を含む、請求項241に記載の方法。
【請求項243】
前記芯部分が、標準条件で液体である物質を含む、請求項241に記載の方法。
【請求項244】
前記芯部分が、標準条件で気体である物質を含む、請求項241に記載の方法。
【請求項245】
前記カプセルの多孔質の表面部分がポリマー材料を含む、請求項238に記載の方法。
【請求項246】
前記ポリマー材料が、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項245に記載の方法。
【請求項247】
前記超偏極キャリヤが、前記表面部分を通過して前記芯部分に到達する、請求項240に記載の方法。
【請求項248】
前記超偏極キャリヤが、気体の超偏極キセノンを含む、請求項247に記載の方法。
【請求項249】
前記芯部分が、13C、15N、1H、31P、19F、29Siおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項238に記載の方法。
【請求項250】
a)カプセル化された物質を準備する工程と、
b)量子緩和スイッチを使用して前記カプセル化された物質を超偏極させる工程と、
を含む、超偏極したカプセル化された物質を調製し、提供する方法。
【請求項251】
前記カプセル化された物質を3Heに暴露させる工程を含む、請求項250に記載の方法。
【請求項252】
前記カプセル化された物質が、3Heの通過を可能にする多孔質の表面部分を有する、請求項250に記載の方法。
【請求項253】
前記多孔質の表面部分は、気体が前記多孔質の表面部分を通過して前記カプセル化された物質の芯部分に入ることを可能にする、請求項252に記載の方法。
【請求項254】
前記芯部分が、標準条件で固体である物質を含む、請求項253に記載の方法。
【請求項255】
前記芯部分が、標準条件で液体である物質を含む、請求項253に記載の方法。
【請求項256】
前記芯部分が、標準条件で気体である物質を含む、請求項253に記載の方法。
【請求項257】
前記カプセルの多孔質の表面部分がポリマー材料を含む、請求項250に記載の方法。
【請求項258】
前記ポリマー材料が、ポリテトラフルオロエチレン、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリ酸無水物、ポリオルトエステル、ポリビニルアルコールおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項257に記載の方法。
【請求項259】
前記カプセル化剤の多孔度は、ヘリウムが前記カプセル化剤を通過することを可能にし、ヘリウムより大きい分子が前記カプセル化剤を通過することを防止する、請求項250に記載の方法。
【請求項260】
前記芯部分が、13C、15N、1H、31P、19F、29Siおよびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項250に記載の方法。
【請求項261】
前記カプセル化された物質を冷却する工程を含む、請求項250に記載の方法。
【請求項262】
前記カプセル化された物質を100K未満の温度に冷却する、請求項261に記載の方法。
【請求項263】
前記カプセル化された物質を10K未満の温度に冷却する、請求項262に記載の方法。
【請求項264】
前記カプセル化された物質を1K未満の温度に冷却する、請求項261に記載の方法。
【請求項265】
前記カプセル化された物質を磁場に暴露させる工程を含む、請求項261に記載の方法。
【請求項266】
前記磁場が10mTを超える最大強度を有する、請求項265に記載の方法。
【請求項267】
前記磁場が1Tを超える最大強度を有する、請求項265に記載の方法。
【請求項268】
前記磁場が10Tを超える最大強度を有する、請求項265に記載の方法。
【請求項269】
前記芯物質が緩和して超偏極状態になることを可能にするのに十分な時間、前記芯物質を低温で磁場中に維持する、請求項265に記載の方法。
【請求項270】
前記芯物質から3Heを排除するために、前記芯物質を4Heに暴露させる工程を含む、請求項269に記載の方法。
【請求項271】
前記カプセル化された物質を低温で磁場中に長時間維持する工程を含む、請求項270に記載の方法。
【請求項272】
前記長時間が10分の1秒〜1週間である、請求項271に記載の方法。
【請求項273】
前記カプセル化された超偏極物質を容器に入れて第1の位置から第2の位置に移送する工程を含む、請求項271に記載の方法。
【請求項274】
超偏極の損失を回避するように、前記カプセル化された物質の温度を上昇させる、請求項271に記載の方法。
【請求項275】
前記カプセル化された超偏極物質を分析される目的の部位に導入する工程を含む、請求項274に記載の方法。
【請求項276】
前記目的の部位の磁気共鳴画像を生成する工程を含む、請求項275に記載の方法。
【請求項277】
生体外又は生体内試料のNMRスペクトルを分析する、請求項275に記載の方法。
【請求項278】
a)超偏極したカプセル化された物質を目的の部位に導入する工程と、
b)電磁エネルギーのパルスを前記目的の部位に送信し、前記超偏極したカプセル化された物質を励起させる工程と、
c)前記超偏極したカプセル化された物質から受信した信号を使用して、前記目的の部位の磁気共鳴画像を作り出す工程と、
を含む、目的の部位の磁気共鳴検査を実施する方法。
【請求項279】
a)超偏極したカプセル化された物質を目的の部位に導入する工程と、
b)電磁エネルギーのパルスを前記目的の部位に送信し、前記超偏極したカプセル化された物質を励起させる工程と、
c)前記目的の部位からNMRスペクトルを受信する工程と、
を含む、NMR分光法の実施方法。
【請求項280】
a)物質を準備する工程と、
b)前記物質を粉末物質に転換する工程と、
c)前記粉末物質を超偏極させる工程と、
を含む、超偏極物質を提供する方法。
【請求項281】
前記粉末物質に転換されるように準備される物質が、最初に、(i)気体、(ii)液体、(iii)固体およびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項280に記載の方法。
【請求項282】
前記粉末物質に転換されるように準備される物質が、最初に、(i)溶媒、(ii)溶液、(iii)サスペンション、(iv)コロイド、(v)エマルション、(vi)複合材料、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される物質を含む、請求項280に記載の方法。
【請求項283】
(i)動的核偏極、(ii)パラ水素誘起分極、(iii)量子緩和スイッチを使用する超偏極、(iv)予め超偏極した気体の超偏極核に超偏極キャリヤの分子を暴露させることによる超偏極キャリヤの分子への超偏極の移動、(v)核オーバーハウザー効果、およびこれらの組み合わせからなる群から選択される方法を使用して、前記粉末物質を超偏極させる、請求項280に記載の方法。
【請求項284】
a)超偏極される物質を取り囲むカプセル化層を有するカプセル化された物質を準備する工程と、
b)前記カプセル化層の近位に高い遠方双極子磁場を有する超偏極物質を配置する工程と、
c)前記超偏極物質から前記カプセル化層を越えて前記超偏極される物質に超偏極を移動させる工程と、
を含む、超偏極物質の製造方法。
【請求項285】
a)超偏極される物質を取り囲む外層を有するリポソームを準備する工程と、
b)前記外層の近位に高い遠方双極子磁場を有する超偏極物質を配置する工程と、
c)前記超偏極物質から前記外層を越えて前記超偏極される物質に超偏極を移動させる工程と、
を含む、超偏極物質の製造方法。
【請求項286】
a)生物学的プロセスで代謝されるのに好適な物質を超偏極させる工程と、
b)前記超偏極物質を目的の部位に導入する工程と、
c)前記超偏極物質の代謝を示すNMRデータ又はMR画像を受信する工程と、
を含む、方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図7E】
【図7F】
【公表番号】特表2009−527768(P2009−527768A)
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−556426(P2008−556426)
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/004654
【国際公開番号】WO2007/136439
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(508253502)
【出願人】(508253487)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年2月21日(2007.2.21)
【国際出願番号】PCT/US2007/004654
【国際公開番号】WO2007/136439
【国際公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【出願人】(508253502)
【出願人】(508253487)
【Fターム(参考)】
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