説明

超微粒子シリカ分散液、超微粒子シリカ分散体及びこれらの製造方法

【課題】 本発明は、超微粒子シリカが高度に分散された超微粒子シリカ分散液及び分散体並びにこれらの製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】 本発明の超微粒子シリカ分散液は、微粒子シリカが水酸基含有溶剤を主成分とする溶剤に分散されており、外観が透明ないしオルガノゾル状態である。この超微粒子シリカ分散液は、水酸基含有溶剤を主成分とする溶剤と超微粒子シリカとを混合し、得られる混合物を超音波で処理することにより製造される。更に超微粒子シリカ分散液に合成樹脂製造のための単量体又は初期重合物を混合した後、溶剤を除去することにより、超微粒子シリカの分散体が得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超微粒子シリカ分散液、超微粒子シリカ分散体及びこれらの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、超微粒子シリカを合成樹脂等に高度に分散させた、いわゆるナノコンポジットの一種がエレクトロニクス関連の材料を中心に注目され、よりコストパフォーマンスの優れたものへの関心が高まっている。
【0003】
今日まで、超微粒子シリカの合成樹脂製造のための単量体又は初期重合物への分散体は、(1)合成樹脂製造のための単量体又は初期重合物中で、シリカ化合物からゾルゲル法等により超微粒子シリカを合成する方法、(2)シリカ化合物からゾルゲル法等により合成した超微粒子シリカを、合成樹脂製造のための単量体又は初期重合物中に分散させる方法等により製造されている(非特許文献1)。
【0004】
しかしながら、これらの方法で得られた分散体は、下記に示す欠点を有している。
(i) 上記方法で得られる分散体には、原料、触媒、副生成物等に起因する不純物が含まれており、エレクトロニクス関連材料等の高純度が要求されている用途に使用できない。
(ii) 上記方法で得られる分散体は、超微粒子シリカの分散性が不十分であって、シリカの凝集が起こり易く、そのためナノコンポジット又はその製造原料にはなり得ない。
(iii) 上記方法で使用される原料が高価であり、また製造工程が複雑であるため、生産効率が極めて悪い。
【0005】
また、高純度の超微粒子シリカを溶剤中に又は合成樹脂製造のための単量体もしくは初期重合物中に直接分散させる試みがなされている。しかしながら、高純度の超微粒子シリカは、単粒子表面のシラノール基同士が水素結合し易いために非常に凝集し易く、それ故、高純度超微粒子シリカを溶剤中に直接分散させた分散液、及び高純度超微粒子シリカを合成樹脂製造のための単量体又は初期重合物中に直接分散させた分散体は、長期安定性が極めて乏しいものであった(非特許文献2)。
【非特許文献1】有機・無機ナノ複合材料の新局面,発行所株式会社エヌ・ティー・エス,発行者吉田隆,発行日2004年11月1日,第16〜17頁
【非特許文献2】混練・分散の基礎と先端的応用技術,発行所株式会社テクノシステム,発行者中嶋但,発行日2003年11月30日,第439頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、超微粒子シリカが高度に分散された超微粒子シリカ分散液及び分散体並びにこれらの製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、超微粒子シリカが高度に分散された超微粒子シリカ分散液を開発すべく鋭意研究を重ねて来た。その結果、超微粒子シリカを特定の溶剤と混合し、得られる混合物を特定条件下で処理することにより所望の超微粒子シリカ分散液が得られることを見い出した。更に、本発明者は、得られる超微粒子シリカ分散液に合成樹脂製造のための単量体又は初期重合物を混合した後、溶剤を除去することにより所望の超微粒子シリカ分散体が得られることを見い出した。本発明は、このような知見に基づき完成されたものである。
【0008】
本発明は、下記1〜4に示す分散液、分散体及びこれらの製造方法を提供する。
1.超微粒子シリカが水酸基含有溶剤を主成分とする溶剤に分散されてなる、外観が透明ないしオルガノゾル状態の超微粒子シリカ分散液。
2.超微粒子シリカが水酸基含有溶剤を主成分とする溶剤に分散されてなる、外観が透明ないしオルガノゾル状態の超微粒子シリカ分散液を製造する方法であって、
水酸基含有溶剤を主成分とする溶剤と超微粒子シリカとを混合し、得られる混合物を激しく撹拌するか、又は該混合物を超音波で処理する工程
を備えている、超微粒子シリカ分散液の製造方法。
3.超微粒子シリカが合成樹脂製造のための単量体又は初期重合物に分散されてなる、外観が透明ないし半透明の超微粒子シリカ分散体。
4.超微粒子シリカが合成樹脂製造のための単量体又は初期重合物に分散されてなる、外観が透明ないし半透明の超微粒子シリカ分散体を製造する方法であって、
(a)水酸基含有溶剤を主成分とする溶剤と超微粒子シリカとを混合し、得られる混合物を激しく撹拌するか、又は該混合物を超音波で処理することにより、超微粒子シリカ分散液を製造する工程、
(b)前記(a)工程で得られる超微粒子シリカ分散液を、合成樹脂製造のための単量体又は初期重合物と混合する工程、及び
(c)前記(b)工程で得られる混合物から溶剤を除去する工程
を備えている、超微粒子シリカ分散体の製造方法。
【0009】
超微粒子シリカ分散液
本発明の超微粒子シリカ分散液は、水酸基含有溶剤を主成分とする溶剤と超微粒子シリカとを混合し、得られる混合物を激しく撹拌するか、又は該混合物を超音波で処理することにより製造される。
【0010】
本明細書において、「激しく撹拌する」とは、例えば、φ50mm4枚羽根付き攪拌機で回転数1000rpm以上且つ撹拌時間30分間以上撹拌することをいう。
【0011】
本発明で使用される超微粒子シリカは、公知であり、具体的には、ケイ素化合物を酸素と水素の炎中で加水分解処理して得られる超微粒子無水シリカ(ヒュームドシリカ)である。
【0012】
超微粒子シリカの最大粒子径は、通常300nm以下、好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下である。
【0013】
超微粒子シリカの粒子径は、例えば、透過電子顕微鏡(TEM)写真から求めることができる。
【0014】
水酸基含有溶剤としては、水酸基を有し、沸点が200℃程度以下である限り、公知の有機溶剤を広く使用することができる。このような溶剤としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコールが挙げられる。これらの溶剤のうち、エチルアルコール及びイソプロピルアルコールが好ましい。
【0015】
超微粒子シリカを分散する溶剤は、上記水酸基含有溶剤を主成分とする溶剤である。水酸基含有溶剤の割合は、全溶剤中に通常50重量%以上、好ましくは80重量%以上、より好ましくは90重量%以上である。
【0016】
水酸基含有溶剤以外の溶剤としては、水酸基含有溶剤との相溶性が良好で、沸点が200℃程度以下である限り、公知の疎水性有機溶剤を使用することができる。
【0017】
このような疎水性有機溶剤としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤を挙げることができる。
【0018】
水酸基含有溶剤と疎水性有機溶剤との混合溶剤を使用することにより、より良好な超微粒子シリカ分散液を得ることができる。
【0019】
水酸基含有溶剤を主成分とする溶剤と超微粒子シリカとの混合割合としては、特に限定されるものではないが、溶剤に対して超微粒子シリカが、通常1〜70重量%、好ましくは5〜60重量%、より好ましくは10〜50重量%となるように、両者を混合するのが望ましい。
【0020】
上記溶剤と超微粒子シリカとの混合物は、激しく撹拌されるか、又は超音波処理される。
【0021】
撹拌は、混合物のpH値を酸性域に調整した後に行うのが好ましい。混合物のpH値は、3〜5程度がより好ましく、3〜4程度が特に好ましい。
【0022】
混合液のpH値を酸性域に調整するには、例えば、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、シュウ酸、クエン酸等が挙げられる。
【0023】
超音波処理の条件は、例えば、出力は通常100〜2000W程度、発振周波数は通常20〜100KHz程度がよく、超音波処理時間は1分間以上が適当である。
【0024】
超音波処理する際にも、混合物のpHが酸性域であるのが望ましい。
【0025】
以上のようにして本発明の超微粒子シリカ分散液は、超微粒子シリカが水酸基含有溶剤を主成分とする溶剤に分散されており、その外観は透明ないしオルガノゾル状態である。この超微粒子シリカ分散液は、安定性に極めて優れており、長期間(例えば6ヶ月)放置しておいても超微粒子シリカの凝集による析出は実質的に認められない。
【0026】
超微粒子シリカ分散体
超微粒子シリカ分散体は、上記で得られる超微粒子シリカ分散液に、合成樹脂製造のための単量体又は初期重合物を混合し、次いで得られる混合物から溶剤を除去することにより、容易に製造される。
【0027】
合成樹脂製造のための単量体としては、例えば、アクリル系モノマーの他、スチレン、α−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、無水マレイン酸、イタコン酸等を挙げることができる。これらの中では、アクリル系モノマーが好ましい。
【0028】
アクリル系モノマーの具体例としては、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸tert−ブチル、アクリル酸アリル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ヘプチル、アクリル酸オクチル、アクリル酸ノニル、アクリル酸デシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸フェニル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸グリシジル、アクリル酸テトラヒドロフルフリル、アクリル酸ジエチレングリコールエトキシル、ジアクリル酸エチレングリコール、ジアクリル酸ジエチレングリコール、ジアクリル酸トリエチレングリコール、ジアクリル酸テトラエチレングリコール、ジアクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジアクリル酸1,4−ブチレングリコール、ジアクリル酸1,6−ヘキサメチレングリコール、ジアクリル酸ジグリシジルビスフェノールA、トリアクリル酸トリメチロールプロパン、トリアクリル酸ペンタエリスリトール、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸アリル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ヘプチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸ノニル、メタクリル酸デシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸ジエチレングリコールエトキシル、ジメタクリル酸エチレングリコール、ジメタクリル酸ジエチレングリコール、ジメタクリル酸トリエチレングリコール、ジメタクリル酸テトラエチレングリコール、ジメタクリル酸1,3−ブチレングリコール、ジメタクリル酸1,4−ブチレングリコール、ジメタクリル酸1,6−ヘキサメチレングリコール、ジメタクリル酸ジグリシジルビスフェノールA、トリメタクリル酸トリメチロールプロパン、トリメタクリル酸ペンタエリスリトール、アクリロニトリル、アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等が挙げられる。
【0029】
これらのアクリル系モノマーの中では、特にアクリル酸、メタクリル酸、メタクリル酸メチル及びメタクリル酸2−ヒドロキシエチルが好ましい。
【0030】
合成樹脂製造のための初期重合物としては、例えば、エポキシ樹脂初期縮合物、フェノール樹脂初期縮合物等を挙げることができる。
【0031】
エポキシ樹脂初期縮合物の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂初期縮合物(例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂初期縮合物、キシレノール型エポキシ樹脂初期縮合物、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂初期縮合物、フェノールノボラック型エポキシ樹脂初期縮合物、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂初期縮合物、グリシジルエステル型エポキシ樹脂初期縮合物、グリシジルアミン型エポキシ樹脂初期縮合物、脂環型エポキシ樹脂初期縮合物、脂肪族型エポキシ樹脂初期縮合物(例えば、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル)等が挙げられる。
【0032】
フェノール樹脂初期縮合物の具体例としては、ノボラック型フェノール樹脂初期縮合物、レゾール型フェノール樹脂初期縮合物等が挙げられる。
【0033】
これらの初期縮合物の中では、ノボラック型フェノール樹脂初期縮合物が好ましい。
【0034】
上記初期重合物の数平均分子量は、通常200〜2000程度、好ましくは300〜1200程度である。
【0035】
上記超微粒子シリカ分散液と、合成樹脂製造のための単量体又は初期重合物との混合割合は、特に制限がなく、広い範囲内から適宜選択することができる。例えば、上記単量体又は初期重合物に対して、上記超微粒子シリカが、通常1〜70重量%程度、好ましくは5〜50重量%程度となるように、両者を混合するのがよい。
【0036】
混合手段は、特に限定がなく、公知の混合手段を広く採用することができる。
【0037】
混合物から溶剤を除去するに当たっては、特に限定がなく、公知の溶剤除去手段を広く用いることができる。例えば、加熱により溶媒を蒸発させてもよいし、減圧下に溶媒を蒸発させてもよい。蒸発により混合物から除去された溶剤は、公知の回収装置を用いて回収し、再利用することが可能である。
【0038】
以上のようにして本発明の超微粒子シリカ分散体は、超微粒子シリカが合成樹脂製造のための単量体又は初期重合物に均一に分散されており、その外観は透明ないし半透明である。この超微粒子シリカ分散体は、安定性に極めて優れており、長期間(例えば6ヶ月)放置しておいても超微粒子シリカの凝集による析出は実質的に認められない。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、溶剤中に超微粒子シリカが高度に分散された超微粒子シリカ分散液が提供される。
【0040】
本発明の超微粒子シリカ分散液は、高純度の超微粒子シリカが溶剤中に均一に分散されており、また、安定性に優れているため、超微粒子シリカが凝集を起こすことなく、長期間に亘って望ましい分散状態を保持しておくことができる。
【0041】
本発明によれば、合成樹脂製造のための単量体又は初期重合物中に超微粒子シリカが高度に分散された超微粒子シリカ分散体が提供される。
【0042】
本発明の超微粒子シリカ分散体は、高純度の超微粒子シリカが単量体又は初期重合物中に均一に分散されており、また、安定性に優れているため、超微粒子シリカが凝集を起こすことなく、長期間に亘って望ましい分散状態を保持しておくことができる。
【0043】
本発明の超微粒子シリカ分散液及び本発明の超微粒子シリカ分散体には、使用される超微粒子シリカが高純度の超微粒子シリカであるため、原料、触媒、副生成物等に起因する不純物は全く含まれておらず、それ故、エレクトロニクス関連材料等の高純度が要求されている用途に好適に使用することができる。
【0044】
また、上記したように、本発明の超微粒子シリカ分散液及び本発明の超微粒子シリカ分散体は、分散性に優れ、シリカの凝集が起こり難いため、ナノコンポジット又はその製造原料に問題なく使用することができる。
【0045】
更に、本発明の超微粒子シリカ分散液及び本発明の超微粒子シリカ分散体の製造方法は、使用される原料が入手が容易且つ安価であり、また製造工程が簡便であるため、生産コスト及び生産効率の観点において極めて優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下に実施例及び比較例を掲げて、本発明をより一層明らかにする。
【0047】
実施例1
1リットルのビーカーに450gのエタノールを入れ、φ50mm4枚羽根付き攪拌機(自社組立品)にて300rpmで撹拌しながら、超微粒子ヒュームドシリカ(平均粒子径:40nm、最大粒子径90nm、商品名:アエロジルOX50、日本アエロジル社製)50gを少量ずつ添加し、混合液を得た。
【0048】
次に、ビーカーの口の部分をアルミホイルで覆い、このビーカーを超音波洗浄機(商品名:UT604、シャープ(株)製)の水槽内に置き、ビーカー内の混合液と液面の高さが一致するまで水槽に水道水を注いだ後、超音波を最大出力で60分間発生させ、超微粒子シリカ分散液を製造した。
【0049】
実施例2
エタノールの代わりにn−ブタノール450gを用いる以外は、実施例1と同様にして、超微粒子シリカ分散液を製造した。
【0050】
比較例1
エタノールの代わりにメチルエチルケトン450gを用いる以外は、実施例1と同様にして、超微粒子シリカ分散液を製造した。
【0051】
比較例2
エタノールの代わりに酢酸エチル450gを用いる以外は、実施例1と同様にして、超微粒子シリカ分散液を製造した。
【0052】
実施例3
1リットルのビーカーに450gのエタノールを入れ、φ50mm4枚羽根付き攪拌機(自社組立品)にて300rpmで撹拌しながら、超微粒子ヒュームドシリカ(平均粒子径:40nm、最大粒子径90nm、商品名:アエロジルOX50、日本アエロジル社製)50gを少量ずつ添加し、混合液を得た。
【0053】
次に、撹拌棒以外の口の部分をアルミホイルで覆い、更に攪拌機の回転数を1500rpmに上げ、1500rpmで60分間撹拌を続けて、超微粒子シリカ分散液を製造した。
【0054】
比較例3
1リットルのビーカーに450gのエタノールを入れ、φ50mm4枚羽根付き攪拌機(自社組立品)にて300rpmで撹拌しながら、超微粒子ヒュームドシリカ(平均粒子径:40nm、最大粒子径90nm、商品名:アエロジルOX50、日本アエロジル社製)50gを少量ずつ添加し、混合液を得た。
【0055】
次に、撹拌棒以外の口の部分をアルミホイルで覆い、更に攪拌機の回転数300rpmで60分間撹拌を続けて、超微粒子シリカ分散液を製造した。
【0056】
実施例4
エタノールの代わりにエタノール300g及びメチルエチルケトン150gの混合液を用いる以外は、実施例1と同様にして、超微粒子シリカ分散液を製造した。
【0057】
実施例5
エタノールの代わりにエタノール300g、メチルエチルケトン150g及びベンゼンスルホン酸0.05gの混合液(pH約3〜4)を用いる以外は、実施例1と同様にして、超微粒子シリカ分散液を製造した。
【0058】
上記実施例1〜5及び比較例1〜2で得られた各超微粒子シリカ分散液の外観を目視にて観察し、またB型粘度計ローターNo.1(東京計器社製)を用いて25℃における粘度(cps)を測定した。
【0059】
結果を次表に示す。
【0060】
【表1】

【0061】
実施例6
100mlのビーカー中で、実施例1で得られた分散液10.0gとネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル9.0gとを、ガラス棒でよく撹拌し、混合した。
【0062】
次に、100℃のオイルバスに上記ビーカーを入れ、ガラス棒で内容物を激しく撹拌し、発泡及び溶剤臭がなくなるまで溶剤を蒸発させることにより、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルに超微粒子シリカが分散された分散体を製造した。
【0063】
比較例4
実施例1で得られた分散液の代わりに比較例1で得られた分散液を用いる以外は、実施例6と同様にして、超微粒子シリカ分散体を製造した。
【0064】
比較例5
実施例1で得られた分散液の代わりに比較例3で得られた分散液を用いる以外は、実施例6と同様にして、超微粒子シリカ分散体を製造した。
【0065】
実施例7
実施例1で得られた分散液の代わりに実施例5で得られた分散液を用いる以外は、実施例6と同様にして、超微粒子シリカ分散体を製造した。
【0066】
実施例8
100mlのビーカー中で、実施例5で得られた分散液10.0gとビスフェノールAジグリシジルエーテル9.0gとを、ガラス棒でよく撹拌し、混合した。以下、実施例6と同様にして、超微粒子シリカ分散体を製造した。
【0067】
実施例9
100mlのビーカー中で、実施例5で得られた分散液10.0gとフェノールノボラック樹脂(商品名:フェノライトTD−2131、大日本インキ工業(株)製、水酸基当量103)9.0gとを、ガラス棒でよく撹拌し、混合した。以下、実施例6と同様にして、超微粒子シリカ分散体を製造した。
【0068】
実施例10
100mlのビーカー中で、実施例5で得られた分散液10.0gと2−ヒドロキシエチルメタクリレート9.0gとを、ガラス棒でよく撹拌し、混合した。以下、実施例6と同様にして、超微粒子シリカ分散体を製造した。
【0069】
上記実施例6〜10及び比較例4で得られた各超微粒子シリカ分散体の外観を目視にて観察し、またB型粘度計ローターNo.3(東京計器社製)(実施例8のみローターNo.6(東京計器社製))を用いて25℃における粘度(cps)を測定した。
【0070】
結果を次表に示す。
【0071】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
超微粒子シリカが水酸基含有溶剤を主成分とする溶剤に分散されてなる、外観が透明ないしオルガノゾル状態の超微粒子シリカ分散液。
【請求項2】
超微粒子シリカが水酸基含有溶剤を主成分とする溶剤に分散されてなる、外観が透明ないしオルガノゾル状態の超微粒子シリカ分散液を製造する方法であって、
水酸基含有溶剤を主成分とする溶剤と超微粒子シリカとを混合し、得られる混合物を激しく撹拌するか、又は該混合物を超音波で処理する工程
を備えている、超微粒子シリカ分散液の製造方法。
【請求項3】
超微粒子シリカが合成樹脂製造のための単量体又は初期重合物に分散されてなる、外観が透明ないし半透明の超微粒子シリカ分散体。
【請求項4】
超微粒子シリカが合成樹脂製造のための単量体又は初期重合物に分散されてなる、外観が透明ないし半透明の超微粒子シリカ分散体を製造する方法であって、
(a)水酸基含有溶剤を主成分とする溶剤と超微粒子シリカとを混合し、得られる混合物を激しく撹拌するか、又は該混合物を超音波で処理することにより、超微粒子シリカ分散液を製造する工程、
(b)前記(a)工程で得られる超微粒子シリカ分散液を、合成樹脂製造のための単量体又は初期重合物と混合する工程、及び
(c)前記(b)工程で得られる混合物から溶剤を除去する工程
を備えている、超微粒子シリカ分散体の製造方法。

【公開番号】特開2006−282491(P2006−282491A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−108562(P2005−108562)
【出願日】平成17年4月5日(2005.4.5)
【出願人】(000238234)シキボウ株式会社 (33)
【Fターム(参考)】