説明

超撥水フィルムの製造装置及びこれを利用した超撥水フィルムの製造方法

【課題】親水性または疎水性液状ポリマーをキャスティングした後分離させ、連続的な超撥水フィルムの製造装置及びこれを利用した超撥水フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】超撥水フィルムの製造装置は、多数のローラー112外周面に巻取されて連続的に回転するキャタピラー110と、内部に液状ポリマーMを収容してキャタピラー上面に供給するポリマー供給手段120と、キャタピラー上面に供給された液状ポリマーMの厚さを調節する厚さ調節手段130と、厚さが調節された液状ポリマーMを乾燥させるポリマー乾燥手段140と、乾燥されて形成された超撥水フィルムFをキャタピラーから分離するフィルム分離手段150と、超撥水フィルムFが分離されたキャタピラーの外面を洗浄する軌道洗浄手段160と、洗浄されたキャタピラーの表面を改質する表面改質手段170を含んで構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親水性または疎水性液状ポリマーをキャタピラーの外面にキャスティングした後分離させることで、連続的な超撥水フィルムの製造を可能にした超撥水フィルムの製造装置及びこれを利用した超撥水フィルムの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
撥水性は水との親和力が少ない性質である疎水性と一脈相通ずる性質を称えることで、日常生活でも観察することができる。例えば、蓮の花びらに水玉が落ちた時、葉が濡れず水玉が転んで落ちるようにすることは撥水性の典型的例である。
【0003】
このような現象は、蓮の花びら表面に積もっていた異物を水玉とともにとり除くことで自己洗浄效果を誘発するが、研究者たちはこれを注意深く観察することで蓮の花びらの表面に数〜数十umの突起が形成されていることを発見し、更にこれらの突起の表面には数十〜数百nm大きさの突起が分布されていることを発見した。そして、このような突起は水に対して140°以上の接触角を持つということを究明するに至った。
【0004】
参考に、空気は水に対する接触角が180°である。そして、1930年代に入ってはこのような自己洗浄效果と、表面に汚染物が吸着され難い特性を工学的に研究し始め、撥水性表面に対する研究が続いている。
【0005】
このような研究の一環として、大韓民国公開特許公報1996-0033562には「シリコンゴムの疎水性コーティング方法及び疎水性コーティング材」が開示されている。
【0006】
そこには、シリコンゴムの表面をプラズマエッチング法で活性化改質させて親水性に修飾されたゴム表面を得て、修飾された表面にプライマー(接着力を増大させるための部材)処理をした後、疎水性を持つポリウレタンコーティング材をコーティングすることで、耐磨耗性、印刷性及びノンスリップ性が優れて感触が良い薄膜を有するシリコンゴムの表面を造成しようとする発明が開示されている。
【0007】
しかし、前記のような構成を持つ従来技術では次のような問題点がある。
【0008】
すなわち、プラズマエッチングを通じた被処理物表面の活性化と、活性化された被処理物表面のプライマー処理及びポリウレタンコーティング材コーティングなど、多様な工程を通じて被処理物は疎水性を持つようになるが、ポリウレタンコーティング材のコーティング工程では、コーティングの厚さを一定するように管理することが難しいという問題点がある。
【0009】
また、前記した方法に適用可能な被処理物の大きさが制限性を持っており、大面積を持つ被処理物の疎水性処理には不向きで、不良率が増加するといった問題点がある。
【0010】
それだけではなく、被処理物が疎水性を持つ材質に形成されたとしでも、必ずポリウレタンコーティング材をコーティングしなければならないので、製造原価が上昇を招き価格競争力が低下する問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、親水性または疎水性液状ポリマーをキャタピラーの外面にキャスティングした後分離させることで、連続的な超撥水フィルムの製造が可能な超撥水フィルムの製造装置及びこれを利用した超撥水フィルムの製造方法を提供することを課題にする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記のような目的を果たすための本発明による超撥水フィルムの製造装置は、多数のローラー外周面に巻取されて連続的に回転するキャタピラーと、液状ポリマーを前記キャタピラー上面に供給するポリマー供給手段と、前記キャタピラー上面に供給された液状ポリマーの厚さを調節する厚さ調節手段と、厚さが調節された液状ポリマーを乾燥させるポリマー乾燥手段と、前記ポリマー乾燥手段によって乾燥されて形成された超撥水フィルムをキャタピラーから分離するフィルム分離手段と、前記超撥水フィルムが分離されたキャタピラーの外面を洗浄する軌道洗浄手段と、洗浄されたキャタピラーの表面を改質する表面改質手段を含んで構成される。
【0013】
前記キャタピラーの外面には、メッキ処理とプラズマ処理の中で一つ以上が実施されて粗い面が形成される。
【0014】
前記ポリマー乾燥手段は、前記液状ポリマーに熱を加える、或は紫外線を照射するように構成される。
【0015】
前記軌道洗浄手段は、前記キャタピラーの外面に残留するポリマー成分の異物をプラズマまたは溶媒で洗浄するように構成される。
【0016】
前記表面改質手段は、前記キャタピラー上面に、大気圧下でプラズマを発生させる。
【0017】
前記ポリマー乾燥手段とフィルム分離手段の間には、前記液状ポリマーが親水性部材である場合、プラズマを利用して超撥水フィルムの一面に疎水性部材を噴射する疎水部材噴射手段が具備される。
【0018】
本発明による超撥水フィルムの製造装置を利用した超撥水フィルムの製造方法は、粗い面が形成されたキャタピラーを回転させて進行されるようにするキャタピラー進行段階と、前記キャタピラー上面に液状ポリマーを供給する液状ポリマー供給段階と、前記キャタピラー上面に供給された液状ポリマーの厚さを調節する厚さ調節段階と、前記厚さ調節段階で厚さが調節された液状ポリマーを乾燥させる液状ポリマー乾燥段階と、前記液状ポリマーが乾燥されて形成された超撥水フィルムをキャタピラーから分離する超撥水フィルム分離段階と、前記超撥水フィルムが分離されたキャタピラーの外面に附着した異物をとり除くキャタピラー洗浄段階と、前記キャタピラーにプラズマを発生させて表面を改質するキャタピラー表面改質段階で構成される。
【0019】
前記液状ポリマー乾燥段階は、前記液状ポリマーに熱を加える、或は紫外線を照射して液状ポリマーを硬化させる過程である。
【0020】
前記キャタピラー洗浄段階は、前記キャタピラーにプラズマを発生させる、或は溶媒に前記キャタピラーを通過させて異物をとり除く過程である。
【0021】
前記液状ポリマー乾燥段階と超撥水フィルム分離段階の間には、前記液状ポリマー乾燥段階が完了したフィルムの一面に、大気圧下でプラズマを利用して疎水性部材を噴射するフィルム疎水化段階が実施される。
【発明の効果】
【0022】
本発明の超撥水フィルムの製造装置及びこれを利用した超撥水フィルムの製造方法によれば、生産性が向上し、大面積の超撥水フィルムの連続的な製造が可能な長所がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明による超撥水フィルムの製造装置の構成を添付された図1を参照して説明する。
【0024】
図1には、本発明による超撥水フィルムの製造装置の構成を現わした概略図が図示されている。
【0025】
図1に示しているように、超撥水フィルムの製造装置100は、多数のローラー112外周面に巻取されて連続的に回転するキャタピラー110と、内部に液状ポリマーMを収容して前記キャタピラー110上面に供給するポリマー供給手段120と、前記キャタピラー110上面に供給された液状ポリマーMの厚さを調節する厚さ調節手段130と、厚さが調節された液状ポリマーMを乾燥させるポリマー乾燥手段140と、前記ポリマー乾燥手段140によって乾燥されて形成された超撥水フィルムFをキャタピラー110から分離するフィルム分離手段150と、前記超撥水フィルムFが分離されたキャタピラー110の外面を洗浄する軌道洗浄手段160と、洗浄されたキャタピラー110の表面を改質する表面改質手段170を含んで構成される。
【0026】
前記キャタピラー110は、上面に供給された液状ポリマーMの下面に粗い面を形成させるためのものとして、メッキまたはレーザー加工によってパターンが形成されたストラップをニッケル(Ni)電鋳メッキして、この表面に酸素(O2)、窒素(N2)、空気及びフッ素含有ガスなどを大気圧下でプラズマ処理して形成される。
【0027】
よって、前記キャタピラー110の外面は、液状ポリマーMと接触時に液状ポリマーMがより均一に広がるようにし、液状ポリマーMとの親和力を低下させてキャタピラー110から超撥水フィルムFの分離を容易くする。
【0028】
そして、前記液状ポリマーMは、疎水性(撥水性)を持つすべての液状のポリマーが適用可能であり、紫外線に対しての劣化を抑制するために耐紫外線成分が含まれる。
【0029】
よって、前記液状ポリマーMは、前記キャタピラー110の粗い面と接触した後分離されると、前記液状ポリマーMの一面は前記キャタピラー110の粗い面と対応する表面形状を持つようになり超撥水性を持つようになる。
【0030】
また、前記液状ポリマーMは、親水性を持つ液状のポリマーも適用可能である。前記液状ポリマーMが親水性を持つ場合、後述される疎水部材噴射手段180を選択的に作動させて、超撥水性を持つ超撥水フィルムFを製造することもできる。
【0031】
前記キャタピラー110の上面左側には、ポリマー供給手段120が前記キャタピラー110の上面に対し直立するように設置される。前記ポリマー供給手段120は内部が空いていて液状ポリマーMが収容され、下部に行くほど断面積が減少し下端部にはノズル122が具備されていて、下方向に開口される。
【0032】
よって、前記ポリマー供給手段120は、内部に収容された液状ポリマーMをノズル122を通じてキャタピラー110上面に供給可能になる。
【0033】
そして、図示されではないが前記ポリマー供給手段120のノズル122には、液状ポリマーMの供給量を調節するための供給量調節手段が具備されることが望ましく、前記ノズル122の下端部の前/後方向の長さは、製造しようとする超撥水フィルムFの幅と対応する。
【0034】
前記ポリマー供給手段120の右側へと少し離隔された所には、厚さ調節手段130が具備される。前記厚さ調節手段130は、ポリマー供給手段120によってキャタピラー110上面に供給された液状ポリマーMが右側方向に移動する時、干渉して液状ポリマーMの厚さを調節するための構成である。
【0035】
よって、前記厚さ調節手段130は、製造される超撥水フィルムFの厚さに応じて上/下方向に移動し、超撥水フィルムFの液状ポリマーMの厚さ調節が可能になるように構成されることが好ましい。
【0036】
そして、前記キャタピラー110上面に供給された液状ポリマーM全体の厚さを調節するために、前/後方向に長く形成されることが好ましい。
【0037】
前記キャタピラー110の上面右側には、前記ポリマー乾燥手段140が具備される。前記ポリマー乾燥手段140は、液状ポリマーMを乾燥させて超撥水フィルムFを形成するためのものであって、加熱器を利用した乾燥が可能であり、紫外線を照射して液状ポリマーMが硬化するように構成することも可能である。
【0038】
そして、前記ポリマー乾燥手段140は、液状ポリマーMを硬化させる時の硬化条件を制御して液状ポリマーMの収縮率を調節することで、フィルム分離手段150による超撥水フィルムFの分離がより容易くなるようにする。
【0039】
前記キャタピラー110より右側へと離隔された所には、フィルム分離手段150が具備される。前記フィルム分離手段150は、中心を基準に時計方向に回転し、前記ポリマー乾燥手段140を通り製造された超撥水フィルムFを巻取するものであり、前記キャタピラー110の移送速度と対応する回転速度で回転するように調節される。
【0040】
よって、前記キャタピラー110外面に附着した状態で移動した超撥水フィルムFは、前記フィルム分離手段150の外側に巻取されることでキャタピラー110から分離されて、連続的なシーツ模様を持つことができるようになる。
【0041】
前記キャタピラー110の中央下側には、軌道洗浄手段160が具備される。前記軌道洗浄手段160は、フィルム分離手段150によって超撥水フィルムFが分離されたキャタピラー110の外面に残留することがあるポリマー成分の異物をとり除くための構成であり、プラズマを発生させ、或は溶媒を利用して洗浄するようになる。
【0042】
よって、前記キャタピラー110は、ローラー112をついて繰り返し回転しでも、異物が含まれない一定する高品質の超撥水フィルムFが製造できる。
【0043】
前記キャタピラー110の上側、より詳しくは前記ポリマー供給手段120から離隔された左側には、表面改質手段170が具備される。前記表面改質手段170は、キャタピラー110上面にプラズマを発生させて表面を改質するためのものであり、大気圧下でプラズマを発生させて、前記フィルム分離手段150から超撥水フィルムFが分離される時、より容易く分離されるようにする。
【0044】
一方、前記フィルム分離手段150の左側には、疎水部材噴射手段180が具備される。前記疎水部材噴射手段180は、大気圧下でプラズマを利用して疎水性部材を上方向に噴射することで、前記疎水部材噴射手段180によって噴射された疎水性部材は、前記フィルム分離手段150に巻取される前の超撥水フィルムFの下面に附着する。
【0045】
よって、前記超撥水フィルムの製造装置100を利用して超撥水フィルムFを製造時に、前記液状ポリマーが親水性を持っていでも、前記疎水部材噴射手段180によって超撥水フィルムFの製造が可能になる。
【0046】
以下、前記のように構成される超撥水フィルムの製造装置を利用した超撥水フィルムの製造方法を、添付された図2を参照して説明する。
【0047】
[前記液状ポリマーMが疎水性である場合]
先ず、超撥水フィルムを製造するための液状ポリマーMをポリマー供給手段120に投入した状態で、前記ローラー112を回転させてキャタピラー110が進行されるようにするキャタピラー進行段階S100が実施される。
【0048】
同時に、前記ポリマー乾燥手段140、フィルム分離手段150、軌道洗浄手段160及び表面改質手段170は同時に作動するようになる。
【0049】
前記キャタピラー進行段階S100の以後、前記キャタピラー110上面には、ポリマー供給手段120に収容された液状ポリマーMがノズル122を通じて供給される(液状ポリマー供給段階:S200)。
【0050】
より詳しくは、前記液状ポリマーMが供給されたキャタピラー110の上面は、先立って軌道洗浄手段160と表面改質手段170によって異物が除去されて、表面が改質された状態である。
【0051】
その後、前記キャタピラー110上面に供給された液状ポリマーMは、前記厚さ調節手段130の下端によって厚さが制御されて、より薄い厚さを形成しながら右側方向に移動するようになる(厚さ調節段階:S300)。
【0052】
前記厚さ調節段階S300で厚さが調節された液状ポリマーMは、前記ポリマー乾燥手段140の下側を通りながら乾燥される(液状ポリマー乾燥段階:S400)。
【0053】
前記液状ポリマーMは、液状ポリマー乾燥段階S400で乾燥されながら、下面(前記キャタピラー110の上面と接した面)にはキャタピラー110の上面と対応する粗い面が形成される。
【0054】
以後、前記超撥水フィルムFは、フィルム分離手段150の外側に巻取されて前記キャタピラー110から分離されることで、超撥水フィルム分離段階S500を経ることになる。
【0055】
そして、前記超撥水フィルムFが離されたキャタピラー110の下面は、左側方向に移動して前記軌道洗浄手段160を通るようになり、この時前記キャタピラーの外面には異物が除去されるキャタピラー洗浄段階S600が進行される。
【0056】
前記キャタピラー洗浄段階S600を通りながら洗浄されたキャタピラー110には、表面改質手段170を劣りながら表面が改質されるキャタピラー表面改質段階S700が実施される。
【0057】
前記した全ての段階が順次に進行された以後には、前記キャタピラー110が進行する過程の間、無限繰り返し過程を経ることになり、連続的な超撥水フィルムFの製造が可能になる。
【0058】
[前記液状ポリマーMが親水性の場合]
前記液状ポリマーMが疎水性である場合の超撥水フィルムの製造方法と順序は同一であるが、ただ、前記液状ポリマー乾燥段階S400と超撥水フィルム分離段階S500の間には、フィルム疎水化段階S450が更に具備される。前記フィルム疎水化段階S450は、疎水部材噴射手段180を作動させることで、液状ポリマー乾燥段階S400まで完了した超撥水フィルムFの下面に、疎水性部材を噴射してコーティングする過程である。
【0059】
よって、前記フィルム疎水化段階S450が完了すれば、親水性を持った超撥水フィルムFは疎水性を持つことができるようになる。
【0060】
以下、本発明の超撥水フィルムの製造装置を利用した超撥水フィルムの製造方法の実施例を、添付された図3乃至図7を参照して説明することにする。
【実施例1】
【0061】
前記キャタピラー110の一面にメッキを実施して粗い面を形成し、表面の粗さと形状をAFMで測定した結果を図3に示している。
【0062】
図3のように、キャタピラー110表面の中心線粗さは150nmを現わし、キャタピラー110表面に落とした水玉の接触角は120゜を成していた。
【0063】
そして、前記キャタピラー110が適用された超撥水フィルムの製造装置100を利用して製造された超撥水フィルムF表面の中心線粗さは、図4に示しているように121nmを現わし、前記超撥水フィルムFには、メッキ面と超撥水フィルムFを分離させる時、接着面においての密着力が高いので超撥水フィルムFの表面が伸びたことから白く現れた。そして、前記超撥水フィルムF表面に水を落として接触角を測定した結果113゜を現わした。
【実施例2】
【0064】
前記キャタピラー110のメッキ面に、真空又は大気圧下でプラズマを発生させた後、酸素(O2)ガスを供給して表面を洗浄し活性化させた後、酸素(O2)ガスの供給を中断しCF、CF2、CF3のような疎水性物質をコーティングすることができるCHF3ガスを供給して、メッキ面表面を疎水処理した。
【0065】
このように成形された超撥水フィルムFの表面形状をAFMで測定した結果は図5のようである。
【0066】
すなわち、プラズマ処理されたキャタピラー110を適用して製作した超撥水フィルムFの表面は、そうでない表面に比べてきれいな面を見せていることが分かる。
【0067】
よって、プラズマ処理されたキャタピラー110の表面から超撥水フィルムFを分離させることが、そうでない表面から超撥水フィルムFを分離させるより容易いことが分かる。
【実施例3】
【0068】
前記液状ポリマーMをHyflon素材で適用して、超撥水フィルムの製造装置を利用した超撥水フィルムの製造方法によって超撥水フィルムFを製造した。
【0069】
この時、超撥水フィルムFの表面には、キャタピラー110の表面形状と対応されるように陰刻されて、図6のような状態を現わした。
【0070】
そして、Hyflonで形成された超撥水フィルムFの両面に対して、それぞれ水に対する接触角を測定した結果、キャタピラー110の表面と接触した表面は図7の左側写真のように150゜以上の接触角を現わし、反面キャタピラー110の表面と接触しない表面は90゜の接触角を現わした。
【0071】
よって、前記超撥水フィルムFは、キャタピラー110の粗い表面によって粗く形成された面が、そうでない面より高い超撥水性を持つことが分かる。
【0072】
このような本発明の範囲は、前記で例示した実施例に限定されるのではなく、前記のような技術範囲内で当業界の通常の技術者においては、本発明を基にする他の多い変形が可能であろう。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明による超撥水フィルムの製造装置の構成を現わした概略図。
【図2】本発明による超撥水フィルムの製造装置を利用した超撥水フィルムの製造方法を現わした順序図。
【図3】本発明による超撥水フィルムの製造装置の一構成であるキャタピラーの外面をメッキ処理で粗くした後拡大した写真。
【図4】図3に伝写された後分離された超撥水フィルムの外面を拡大した写真。
【図5】本発明による超撥水フィルムの製造装置の一構成であるキャタピラーの外面をメッキ及びプラズマで粗くした後形成された超撥水フィルムの外面を拡大した写真。
【図6】本発明による超撥水フィルムの製造装置を利用した超撥水フィルムの製造方法によって製造された超撥水フィルムの外面を拡大した写真。
【図7】図6の超撥水フィルムで粗い面と平坦な面に対する水の接触角を現わした写真。
【符号の説明】
【0074】
100 超撥水フィルムの製造装置
110 キャタピラー
112 ローラー
120 ポリマー供給手段
122 ノズル
130 厚さ調節手段
140 ポリマー乾燥手段
150 フィルム分離手段
160 キャタピラー洗浄手段
170 表面改質手段
180 疎水部材噴射手段
F 超撥水フィルム
M 液状ポリマー
S100 キャタピラー進行段階
S200 液状ポリマー供給段階
S300 厚さ調節段階
S400 液状ポリマー乾燥段階
S450 フィルム疎水化段階
S500 超撥水フィルム分離段階
S600 キャタピラー洗浄段階
S700 キャタピラー表面改質段階

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多数のローラー外周面に巻取されて連続的に回転するキャタピラーと、
液状ポリマーを前記キャタピラー上面に供給するポリマー供給手段と、
前記キャタピラー上面に供給された液状ポリマーの厚さを調節する厚さ調節手段と、
厚さが調節された液状ポリマーを乾燥させるポリマー乾燥手段と、
前記ポリマー乾燥手段によって乾燥されて形成された超撥水フィルムをキャタピラーから分離するフィルム分離手段と、
前記超撥水フィルムが分離されたキャタピラーの外面を洗浄する軌道洗浄手段と、
洗浄されたキャタピラーの表面を改質する表面改質手段、
を含んで構成されることを特徴とする、
超撥水フィルムの製造装置。
【請求項2】
前記キャタピラーの外面には、メッキ処理とプラズマ処理の中で、少なくとも一つ以上が実施されて粗い面が形成されることを特徴とする請求項1に記載の超撥水フィルムの製造装置。
【請求項3】
前記ポリマー乾燥手段は、前記液状ポリマーに熱を加える、或は紫外線を照射するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の超撥水フィルムの製造装置。
【請求項4】
前記軌道洗浄手段は、前記キャタピラーの外面に残留するポリマー成分の異物を、プラズマまたは溶媒で洗浄するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の超撥水フィルムの製造装置。
【請求項5】
前記表面改質手段は、前記キャタピラー上面に、大気圧下でプラズマを発生させることを特徴とする請求項1に記載の超撥水フィルムの製造装置。
【請求項6】
前記ポリマー乾燥手段とフィルム分離手段の間には、前記液状ポリマーが親水性部材である場合、プラズマを利用して超撥水フィルムの一面に疎水性部材を噴射する疎水部材噴射手段が具備されることを特徴とする請求項1に記載の超撥水フィルムの製造装置。
【請求項7】
粗い面が形成されたキャタピラーを回転させて進行されるようにするキャタピラー進行段階と、
前記キャタピラー上面に液状ポリマーを供給する液状ポリマー供給段階と、
前記キャタピラー上面に供給された液状ポリマーの厚さを調節する厚さ調節段階と、
前記厚さ調節段階で厚さが調節された液状ポリマーを乾燥させる液状ポリマー乾燥段階と、
前記液状ポリマーが乾燥されて形成された超撥水フィルムをキャタピラーから分離する超撥水フィルム分離段階と、
前記超撥水フィルムが分離されたキャタピラーの外面に附着した異物をとり除くキャタピラー洗浄段階と、
前記キャタピラーにプラズマを発生させて表面を改質するキャタピラー表面改質段階、
で構成されることを特徴とする、
超撥水フィルムの製造装置を利用した超撥水フィルムの製造方法。
【請求項8】
前記液状ポリマー乾燥段階は、前記液状ポリマーに熱を加える、或は紫外線を照射して液状ポリマーを硬化させる過程であることを特徴とする請求項7に記載の超撥水フィルムの製造装置を利用した超撥水フィルムの製造方法。
【請求項9】
前記キャタピラー洗浄段階は、前記キャタピラーにプラズマを発生させる、或は溶媒に前記キャタピラーを通過させて異物をとり除く過程であることを特徴とする請求項7に記載の超撥水フィルムの製造装置を利用した超撥水フィルムの製造方法。
【請求項10】
前記液状ポリマー乾燥段階と超撥水フィルムの分離段階の間には、前記液状ポリマー乾燥段階が完了したフィルムの一面に、大気圧下でプラズマを利用して疎水性部材を噴射するフィルム疎水化段階が実施されることを特徴とする請求項7に記載の超撥水フィルムの製造装置を利用した超撥水フィルムの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−292143(P2009−292143A)
【公開日】平成21年12月17日(2009.12.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325631(P2008−325631)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(501384562)コリア インスティチュート オブ マシナリー アンド マテリアルズ (15)
【Fターム(参考)】