説明

超純水製造方法および超純水製造装置

【課題】超純水中の溶存酸素濃度の増加を経済的にほぼ防止するとともに、全有機炭素濃度(TOC)の低減を実現する超純水製造方法および超純水製造装置を提供する。
【解決手段】真空脱気塔8により溶存酸素を除去した被処理水に、紫外線照射装置9により紫外線を照射して第1の処理水を生成し、前記第1の処理水に対し混床式イオン交換塔10によりイオン交換を実行して、第2の処理水を生成する超純水製造方法および超純水製造装置であり、少なくとも被処理水中のTOC濃度を測定し、前記測定の結果に基づいて被処理水に照射する前記紫外線の照射量を決定して該照射量の紫外線を被処理水に照射する超純水製造方法および超純水製造装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶や半導体素子を製造する電子工業、原子力発電所あるいは医薬品製造工場等で広く利用される超純水を製造する超純水製造方法および超純水製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液晶や半導体素子(LSI)、あるいは医薬品の製造工程においては、イオン状物質、微粒子、有機物、溶存ガスおよび生菌等の含有量の極めて少ない超純水が用いられている。特に、電子工業においては、LSIの集積度の増加に伴って超純水の純度に対する要求は益々厳しくなってきており、特に、超純水中の溶存酸素および有機物の低減を両立させることが大きな課題である。具体的には、例えば、16MのDRAMを製造するにあたっては、全有機炭素濃度(TOC)が5ppb以下、溶存酸素濃度(DO)が10ppb以下の超純水が要求されている。さらに、64Mおよび256MのDRAMを製造するにあたっては、全有機炭素濃度(TOC)および溶存酸素濃度(DO)が1ppb以下の超純水が要求されている(THEODOKE H.MELTZER;HIGH-PURITY WATER PREPARATION TALL OAKS PUBLISHING INC.)。
【0003】
一般に、超純水の製造は、原水中の濁質成分を除去する前処理システム、イオン状物質、微粒子、有機物、溶存ガスおよび生菌等を除去する一次系システムおよび一次系システムより得られた一次純水の精密仕上げを目的とした二次系システムの組み合わせにより行われている。
【0004】
ところで、被処理水に溶存した有機物を除去する方法としては、185nmの波長を有する紫外線を被処理水に対し照射したり、被処理水にオゾンを添加して185nmの波長を有する紫外線を照射する方法が知られている(Robert A.Governal,Farhang Shadman; WATER TECH EXPO,1991)。しかしながら、本方法は、被処理水中のフミン酸等に代表される高分子の分解には有効であるものの、被処理水にオゾンを添加した場合には、オゾンによって過酸化水素が発生するため、被処理水中の溶存酸素濃度(DO)が上昇してしまう。また、被処理水に溶存した有機物を紫外線の照射によって除去する際に、紫外線による有機物の分解を促進する目的から、過酸化水素を酸化助剤として被処理水に添加する方法があるが、本方法においては、被処理水より余剰の過酸化水素を除去しなければならない。被処理水より過酸化水素を除去する方法として、活性炭を使用する方法やアニオン交換樹脂を用いる方法(特許文献1参照)があるが、これらの方法は、被処理水中の過酸化水素の濃度が高い場合を想定しており、また、被処理水の汚染を招くことから、特に、一次純水の精密仕上げを目的とした二次系システムで用いることは困難である。さらに、被処理水中に含まれる有機物の濃度が100ppb以下の低濃度の場合には、紫外線による有機物の分解を促進する目的から、被処理水中の溶存酸素濃度を10〜100ppbに調整する方法がある(特許文献2参照)。しかしながら、処理水の溶存酸素濃度を1ppb以下にする場合には、被処理水中の溶存酸素濃度を、被処理水中の有機物の濃度や種類と関連させて調整する必要があるため、事実上、実行することは困難である。
【0005】
したがって、一次純水の精密仕上げを目的とした二次系システムにおいては、超純水中の有機物濃度を減少させるための処理方法として、イオン交換処理や逆浸透法による膜処理の施された一次純水に紫外線を照射して含有有機物を分解し、次いで、この分解した有機物を混床式イオン交換塔により除去する方法がとられている。また、被処理水である一次純水に照射する紫外線として、180〜190nm(特に184.9nm)の波長を有する紫外線を用いることにより、効率的に含有有機物の分解が達成されることが知られている(特許文献3参照)。すなわち、原水に由来した有機物は、一次系システムにおいてほぼ除去されており、一次系システムからリークする有機物は分子量が数百以下の比較的低分子の有機物であるので、185nmの波長を有する紫外線の照射によって十分分解できるのである(特許文献4参照)。
【0006】
ところが、一次系システムにより有機物濃度を極めて低濃度にまで減少させた被処理水である一次純水を、180〜190nmの波長を有する紫外線を発生する紫外線照射装置とポリッシャー装置(混床式イオン交換塔)とを有する二次系システムにおいて処理した際に、ポリッシャー装置(混床式イオン交換塔)を通過した被処理水中の溶存酸素濃度が、二次系システムにおいて処理する以前の一次純水に比べて上昇するという問題が発生した。
【0007】
すなわち、一次系システムにより有機物濃度を極めて低濃度にまで減少させた一次純水を従来の二次系システムにより処理する場合、得られた超純水中の溶存酸素濃度の増加が著しくなるという間題があった。
【0008】
一次純水のように、被処理水の全有機炭素濃度(TOC)が100ppb以下であり、かつ、溶存酸素濃度が1ppbと低い場合には、紫外線の照射により溶存酸素濃度の上昇を招くことなく有機物を除去する目的から、紫外線照射直前に被処理水の全有機炭素濃度を一定に保持する方法がある(特許文献5参照)。しかしながら、被処理水に有機物を添加する等して、被処理水の全有機炭素濃度を一定に制御することは困難であり、また、コストの著しい上昇を招くことになる。また、特許文献6で提案されたように、紫外線照射装置の後段に還元性樹脂を設けて処理水中の溶存酸素濃度を低下させる方法もあるが、本方法においては、還元性樹脂を設けることによりコストが上昇するとともに、還元性樹脂による処理水の汚染が考えられる。二次系システムにより超純水を処理する場合には、処理水中へ不純物を添加したり、不純物の発生を生じる可能性の高い単位機器は可能な限り少ない方が好ましい。
【特許文献1】特開平5−300号公報
【特許文献2】特開平4−40292号公報
【特許文献3】特開平1−164488号公報
【特許文献4】米国特許第5573662号
【特許文献5】特開平8−10758号公報
【特許文献6】特開平7−16580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来の問題を解決すべくなされたもので、超純水中の溶存酸素濃度の増加を経済的にほぼ防止するとともに、全有機炭素濃度(TOC)の低減を実現する超純水製造方法および超純水製造装置を提供することを目的とする。
【0010】
上述したように、一次系システムにより有機物濃度を極めて低濃度にまで減少させた一次純水を従来の二次系システムにより処理する場合、混床式イオン交換塔を通過した被処理水中の溶存酸素濃度が、二次系システムにおいて処理する以前の一次純水に比べて大きく上昇する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この問題について、本発明者らが鋭意研究した結果、有機物濃度を極めて低濃度まで減少させた一次純水に対し、180〜190nmの波長を有する紫外線、特に、184.9nmに波長のピークを有する紫外線を紫外線照射装置により照射した場合、当該紫外線照射装置出口において微量の過酸化水素(H22)がリークすることを見いだした。微量の過酸化水素が生成する機構としては、次式に示すように、水の紫外線分解により生成したOHラジカル(ヒドロキシラジカル)が一次純水中の微量な有機物と反応できず、OHラジカル同士が反応して生成する機構が提示される。
【0012】
2O+hν→・OH ・OH+・OH→H22 つまり、被処理水中に、分解すべき溶存有機物がほとんど存在しない場合、余剰のOHラジカル同士が反応して過酸化水素が生成すると考えられる。そして、リークした過酸化水素の一部がイオン交換塔内部のイオン交換樹脂の表面近傍において酸素と水とに分解されることにより、イオン交換塔を通過した被処理水中の溶存酸素濃度が、二次系システムにおいて処理する以前の一次純水に比べて上昇したと推測されるのである。
【0013】
本願第1の発明に係る超純水製造方法は、溶存酸素を除去した被処理水中の全有機炭素濃度を測定する工程と、前記測定した全有機炭素濃度に基づき、前記被処理水に照射する紫外線の照射量を決定する工程と、前記決定した照射量の紫外線を前記被処理水に照射し、第1の処理水を生成する工程と、前記生成した第1の処理水に対してイオン交換を実行し、第2の処理水を生成する工程とを具備したことを特徴としている。
【0014】
本願第1の発明に係る超純水製造方法においては、被処理水中の全有機炭素濃度(TOC)が測定され、この測定結果に基づいて、第1の処理水中へリークする過酸化水素が最小となるように被処理水に照射する紫外線の照射量が決定される。次いで、決定された照射量の紫外線が被処理水に照射され、過酸化水素の発生をほぼ防止しつつ、被処理水中に溶存する有機物がほぼ完全に有機酸あるいは二酸化炭素にまで分解されて、第1の処理水が生成される。そして、第1の処理水から溶存酸素濃度を上昇させることなくイオン成分が除去されて、第2の処理水が生成される。
【0015】
また、本願第2の発明に係る超純水製造方法は、紫外線を被処理水に照射し、第1の処理水を生成する工程と、前記生成した第1の処理水に対してイオン交換を実行し、第2の処理水を生成する工程と、前記被処理水に照射する紫外線の照射量を、(1)前記被処理水中の全有機炭素濃度、および、(2)前記第1の処理水中の過酸化水素濃度および/または前記第2の処理水中の溶存酸素濃度に基づいて決定する工程とを具備したことを特徴としている。
【0016】
本願第2の発明に係る超純水製造方法においては、(1)被処理水中の全有機炭素濃度(TOC)、および、(2)第1の処理水中の過酸化水素濃度および/または第2の処理水中の溶存酸素濃度が測定される。次に、この測定結果に基づいて、第1の処理水中へリークする過酸化水素が最小となるように被処理水に照射する紫外線の照射量が決定される。次いで、決定された照射量の紫外線が被処理水に照射され、過酸化水素の発生をほぼ防止しつつ、被処理水中に溶存する有機物がほぼ完全に有機酸あるいは二酸化炭素にまで分解されて、第1の処理水が生成される。最後に、第1の処理水から溶存酸素濃度を上昇させることなくイオン成分が除去されて、第2の処理水が生成される。
【0017】
被処理水に照射する紫外線の最適照射量を決定するに際しては、被処理水中の全有機炭素濃度、第1の処理水中の過酸化水素濃度および第2の処理水中の溶存酸素濃度の要素のうち、被処理水中の全有機炭素濃度を測定すれば十分であるが、上記要素のうち、複数、可能であれば全ての要素を測定することで、被処理水中の全有機炭素濃度に対して最適照射量の紫外線が照射されていることを確認し、また、各工程での異常の発生の監視等を確実に実行することができる。
【0018】
本願第1の発明に係る超純水製造方法においては、測定された被処理水中の全有機炭素濃度に基づき、該全有機炭素濃度を分解するとともに酸素の発生を防止するよう、過剰照射とならない範囲の紫外線の照射量が、被処理水中の全有機炭素濃度に応じて予め設定された最適照射量に基づいて決定され、被処理水に最適照射量の紫外線が照射される。また、本願第2の発明に係る超純水製造方法においては、(1)被処理水中の全有機炭素濃度(TOC)、および、(2)第1の処理水中の過酸化水素濃度および/または第2の処理水中の溶存酸素濃度に基づき、該全有機炭素濃度に対して過剰照射とならない範囲の紫外線の照射量と、測定された第1の処理水中の過酸化水素濃度と比較して第1の処理水中の過酸化水素濃度が最小となるような紫外線の照射量および/または測定された第2の処理水中の溶存酸素濃度と比較して第2の処理水中の溶存酸素濃度が最小となるような紫外線の照射量が、被処理水中の全有機炭素濃度と、第1の処理水中の過酸化水素濃度および/または測定された第2の処理水中の溶存酸素濃度に応じて予め設定された最適照射量に基づいて決定され、被処理水に最適な照射量の紫外線が照射される。
【0019】
なお、被処理水に対する紫外線の照射量を決定するに際し、被処理水中のTOC、第1の処理水中の過酸化水素濃度および第2の処理水中の溶存酸素濃度の複数を測定した場合には、紫外線照射量の決定に用いる測定結果に優先順位を設けておき、全ての測定結果により決定された紫外線の照射量が同じ場合には、その決定にしたがって被処理水に紫外線を照射し、それぞれの測定結果により決定された紫外線の照射量が異なる場合には、より上位の測定結果による決定に基づいて被処理水に紫外線を照射するようにできる。例えば、被処理水中のTOC、第1の処理水中の過酸化水素濃度および第2の処理水中の溶存酸素濃度の全てを測定した場合には、紫外線照射量の決定に用いる測定結果の優先順位を、1)被処理水中のTOC、2)第1の処理水中の過酸化水素濃度、3)第2の処理水中の溶存酸素濃度、の順に設定しておき、それぞれの測定結果により決定された紫外線照射量が異なる場合には、1)被処理水中のTOCの測定結果による決定に基づいて被処理水に最適照射量の紫外線を照射するように構成することができる。
【0020】
さらに、被処理水中のTOC、第1の処理水中の過酸化水素濃度および/または第2の処理水中の溶存酸素濃度に上限を設けておき、測定結果がこの上限を越えないように、被処理水に対し、ある一定の範囲で紫外線を照射するように構成してもよく、また、測定結果がこの上限を越えた場合に、被処理水に対し、ある一定の範囲で紫外線を照射するように構成してもよい。
【0021】
本願第1および第2の発明に係る超純水製造方法は、本質的には、第1の処理水へリークする過酸化水素量を最小にするものであるので、測定結果に基づき、被処理水に照射する紫外線の最適な照射量を決定する方法は、第1の処理水へリークする過酸化水素量を最小にする目的を達成可能であれば、どのような形態をもとり得るものである。
【0022】
また、本願第1および第2の発明に係る超純水製造方法において、被処理水に照射される紫外線の最適照射量は、対象となる被処理水の性状により適宜設定されるものである。すなわち、一般に、被処理水中の全有機炭素濃度、成分および成分比等は、地域や被処理水の用途によって異なっており、例えば、被処理水が半導体洗浄に用いられたリサイクル水である場合には、被処理中の有機物としてはアルコール類等を挙げることができる。したがって、被処理水に照射する紫外線の最適な照射量を一意に決定することは不可能であり、対象となる被処理水ごとに照射する紫外線の最適な照射量が設定される。
【0023】
本願第1および第2の発明に係る超純水製造方法においては、決定された照射量の紫外線を照射するに際し特に制限はないが、例えば、紫外線を発生する紫外線照射装置内に複数装備されている紫外線ランプの一部を消灯する方法を用いることができる。また、複数の紫外線照射装置を配置した場合には、紫外線照射装置の台数を任意の割合で分割したうえで流路に沿って順に設置し、いずれかの紫外線照射装置群を消灯する方法を用いることもできる。さらに、紫外線照射装置内の紫外線ランプを点灯させる電源として、高周波電子安定器を装備した高周波電源を使用する場合では、高周波電源の周波数を増加もしくは減少させて、発生する紫外線の照射量を調節することができる。また、上記以外にも、紫外線の照射量を制御する方法は考え得るので、上記方法に特に限定されない。
【0024】
本願第1および第2の発明に係る超純水製造方法において、被処理水に照射する紫外線としては、180〜190nm、とりわけ184.9nmの波長の紫外線を有していれば、殺菌波長である254nmの紫外線を同時に発生していてもよい。上記紫外線照射装置としては特に制限はないが、紫外線酸化用低圧紫外線ランプを用いるのが好ましい。なお、この紫外線による反応は以下に示した通りであり、(1)一次純水より生成したOHラジカル(ヒドロキシラジカル)により、(2)被処理水である一次純水中の有機物がカルボン酸等の有機酸の段階にまで酸化分解され、(3)さらに一部は二酸化炭素にまで酸化分解されるというものである。
【0025】
(1)H2O+hν→・OH(2)R−C+・OH→RCOOH(3)RCOOH+・OH→CO2+H2O また、一次純水のように被処理水中の溶存有機物が微量である場合、(4)に示すように、OHラジカル同士の反応により過酸化水素が同時に発生する。(4)・OH+・OH→H22 したがって、本願第1および第2の発明に係る超純水製造方法において、被処理水中の全有機炭素濃度を分解するのに最適な量のヒドロキシラジカルが生成するように、被処理水に照射する紫外線の照射量を制御することにより、OHラジカル同士の反応による過酸化水素の発生を最小とすることができるので、過酸化水素に起因する酸素の発生を抑制することができる。また、図9に示すように、紫外線照射装置による紫外線の照射量と消費電力との関係は比例関係にあるので、被処理水中の全有機炭素濃度を分解するのに最適な量のヒドロキシラジカルが生成するように、被処理水に照射する紫外線の照射量を制御することにより、紫外線の照射に伴う消費電力を抑制することができる。したがって、超純水の製造コストを低減することが可能となる。
【0026】
本願第1および第2の発明に係る超純水製造方法において、紫外線を照射する対象である被処理水としては、紫外線による被処理中の有機物の分解能を十分に発揮させ、過酸化水素の発生を確実に押さえる観点から、全有機炭素濃度(TOC)が500ppb以下、好ましくは100ppb以下であるものが望ましい。
【0027】
さらに、本願第3の発明に係る超純水製造装置は、被処理水から溶存酸素を除去する溶存酸素除去手段と、前記溶存酸素除去手段で処理した被処理水中の全有機炭素濃度を測定する手段と、前記測定した全有機炭素濃度に基づき、前記被処理水に照射する紫外線の照射量を決定する手段と、前記決定した照射量の紫外線を前記被処理水に照射し、第1の処理水を生成する手段と、前記生成した第1の処理水に対してイオン交換を実行し、第2の処理水を生成する手段とを具備したことを特徴としている。
【0028】
本願第3の発明に係る超純水製造装置によれば、被処理水中の全有機炭素濃度に基づいて、第1の処理水中へリークする過酸化水素が最小となるよう被処理水に照射する紫外線の照射量を制御することにより、第1の処理水から溶存酸素濃度を上昇させることなくイオン交換が実行でき、全有機炭素濃度および溶存酸素濃度が大きく低減された超純水を容易に製造することが可能となる。
【0029】
また、本願第4の発明に係る超純水製造装置は、紫外線を被処理水に照射し、第1の処理水を生成する手段と、前記生成した第1の処理水に対してイオン交換を実行し、第2の処理水を生成する手段と、前記被処理水に照射する紫外線の照射量を、(1)前記被処理水中の全有機炭素濃度、および、(2)前記第1の処理水中の過酸化水素濃度および/または前記第2の処理水中の溶存酸素濃度、に基づいて決定する手段とを具備したことを特徴としている。
【0030】
本願第4の発明に係る超純水製造装置によれば、(1)被処理水中の全有機炭素濃度、および、(2)前記第1の処理水中の過酸化水素濃度および/または前記第2の処理水中の溶存酸素濃度に基づいて、第1の処理水中へリークする過酸化水素が最小となるよう被処理水に照射する紫外線の照射量を制御することにより、第1の処理水から溶存酸素濃度を上昇させることなくイオン交換が実行でき、全有機炭素濃度および溶存酸素濃度が大きく低減された超純水を容易に製造することが可能となる。
【0031】
本願第3および第4の発明に係る超純水製造装置において、被処理水中の全有機炭素濃度を測定する手段としては、被処理水中の全有機炭素濃度を適格に測定できるものであれば限定はされず、通常用いられるTOC測定器を好適に用いることができる。また、本願第4の発明に係る超純水製造装置において、第1の処理水中の過酸化水素濃度および第2の処理水中の溶存酸素濃度を測定する手段としては、第1の処理水中の過酸化水素濃度および第2の処理水中の溶存酸素濃度を適格に測定できるものであれば限定はされず、通常用いられる過酸化水素濃度計および溶存酸素濃度計を好適に用いることができる。また、測定した全有機炭素濃度あるいは、(1)被処理水中の全有機炭素濃度、および、(2)前記第1の処理水中の過酸化水素濃度および/または前記第2の処理水中の溶存酸素濃度に基づき、前記被処理水に対して照射する紫外線の照射量を決定する手段としては、各測定結果に基づいて、第1の処理水へリークする過酸化水素量を最小にするように被処理水に照射する紫外線の最適な照射量を決定する方法を備えているものであれば限定されない。
【0032】
さらに、本願第3および第4の発明に係る超純水製造装置において、決定した照射量の紫外線を被処理水に照射し第1の処理水を生成する手段としては、通常の紫外線照射装置を好適に用いることができ、紫外線ランプをON/OFFさせることにより、紫外線の照射量を制御することが可能である。しかしながら、紫外線ランプをON/OFFさせる方法は、応答の速度あるいは紫外線ランプの寿命といった点にやや問題があることから、望ましくは、被処理水に照射する紫外線の照射量を容易に変更できる構成を持つとよい。例えば、紫外線ランプを複数装備する構成を有する紫外線照射装置や、紫外線ランプを点灯させる電源として、高周波電子安定器を装備した高周波電源を使用する紫外線照射装置を用いれば、被処理水に照射する紫外線の照射量を容易に調節することができる。
【0033】
また、生成した第1の処理水に対してイオン交換を実行し、第2の処理水を生成する手段としては、強塩基性アニオン交換樹脂およびカチオン交換樹脂を充填した非再生型の混床式イオン交換塔を好ましく用いることができる。また、第1の処理水よりイオン交換を実行する部材として、イオン交換繊維またはイオン交換膜を適用することも可能である。イオン交換塔に用いるイオン交換樹脂としては、新品もしくはそれに類する破砕が無く、イオン交換性能が高く、また不純物の溶出のないものが望ましい。また、イオン交換繊維またはイオン交換膜についても、イオン交換性能が高く、不純物の溶出のないものが望ましい。
【発明の効果】
【0034】
本願第1および第2の発明に係る超純水製造方法、および、本願第3および第4の発明に係る超純水製造装置によれば、第2の処理水中の溶存酸素濃度は1ppb以下にまで低減でき、また、全有機炭素濃度(TOC)も1ppb以下にまで低減することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下に、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明は、その要旨を逸脱しないならば、本実施形態に限定されるものではない。
【0036】
(実施例1および比較例)
図1は、本願発明の一実施形態である超純水製造装置の構成を示した図である。
【0037】
図1において、原水は膜前処理装置1(野村マイクロ・サイエンス株式会社;NML−E20HS4)に導入され、原水中の懸濁物質等が分離、除去される。次いで、膜前処理装置1で処理された被処理水は、カチオン交換塔2(野村マイクロ・サイエンス株式会社;#200C−C)、脱炭酸塔3(野村マイクロ・サイエンス株式会社;NDG−15)およびアニオン交換塔4(野村マイクロ・サイエンス株式会社;#200A−C)からなる、いわゆる2床3塔によりイオン成分が除去された後、逆浸透装置5(東レ株式会社;SU−710)に導入されて微粒子およびコロイド状物質等の除去が行われる。
【0038】
次に、被処理水は、逆浸透装置5から第1の紫外線照射装置6(野村マイクロ・サイエンス株式会社;NNUV−104)に導入されて溶存有機物が分解され、混床式イオン交換塔7(野村マイクロ・サイエンス株式会社;#200M−A)により被処理水中のイオン成分が除去される。続いて、被処理水は、窒素ガス添加方式の真空脱気塔8(米国特許第5180403号)に導入されて溶存酸素等の溶存気体が除去される。
【0039】
次いで、被処理水は、紫外線照射装置9(野村マイクロ・サイエンス株式会社;NNUV−104の改良型)に導入されて溶存有機物が分解されて第1の処理水が生成され、第1の処理水が混床式イオン交換塔10(野村マイクロ・サイエンス株式会社;#200M−A)に導入されて被処理水中のイオン成分が除去され、第2の処理水が生成される。
【0040】
最後に、第2の処理水は限外濾過膜11(日東電工株式会社;NTU−3306 K4R)に導入され、極微量の微粒子等が除去される。なお、真空脱気塔8は、直径が250mm、充填高が2mであり、窒素ガスと被処理水との体積比率は0.03:1、真空度は25torrに保たれている。なお、ここでは膜前処理装置1が前処理システム、カチオン交換塔2から真空脱気塔8までが一次系システム、紫外線照射装置9から限外濾過膜11までが二次系システムと区分される。
【0041】
また、本超純水製造装置は、窒素ガス添加型真空脱気塔8の出口におけるTOCモニター12(アナテル(Anatel)株式会社;A−1000)からのTOC濃度信号A、第2の低圧紫外線ランプ酸化装置9の出口における過酸化水素モニター13(電気化学計器株式会社;CHP−003)からの過酸化水素濃度信号Bおよびポリッシャー装置10の出口における溶存酸素モニター14からの溶存酸素濃度信号Cを制御装置15にリアルタイムで入力し、制御装置15は、入力されたTOC濃度信号A、過酸化水素濃度信号Bおよび溶存酸素濃度信号Cに基づいて、予め制御装置15内に設定された最適照射量テーブルを参照し、最適照射量を決定して、紫外線照射装置9における低圧紫外線ランプの点灯本数をコントロールするように構成されている。
【0042】
ここで、最適照射量テーブルを図2に示し、紫外線の最適照射量の決定方法について詳述する。
【0043】
制御装置15にTOCモニター12からのTOC信号A、過酸化水素モニター13からの過酸化水素濃度信号Bおよび溶存酸素モニター14からの溶存酸素濃度信号Cが入力されると、TOC信号A、過酸化水素濃度信号Bおよび溶存酸素濃度信号Cの測定結果は、最適照射量テーブルの測定結果と参照され、該当するテーブルナンバが選択される。
【0044】
次に、選択されたテーブルナンバの優先順位が比較され、優先順位の高いテーブルナンバにしたがって紫外線ランプの点灯状態が決定される。
【0045】
例えば、TOCモニター12からのTOC信号Aが4ppb、過酸化水素モニター13からの過酸化水素濃度信号Bが0.02ppm、溶存酸素モニター14からの溶存酸素濃度信号Cが60分以上0.4ppbであったとすると、テーブルナンバ1、テーブルナンバ3、テーブルナンバ6が選択され、最も優先順位の高いテーブルナンバ3に基づいて紫外線ランプの点灯状態が決定される。この場合には、紫外線の照射量は、現時点より25%減少するように決定される。そして、この決定に基づき、制御装置15により第2の低圧紫外線ランプ酸化装置9に信号が送られて、低圧紫外線ランプの点灯本数がコントロールされる。
【0046】
なお、本超純水製造装置においては、測定結果に該当するテーブルナンバが1つ、あるいは存在しない場合には、紫外線ランプの点灯状態は現状のまま維持され、測定結果に該当するテーブルナンバが2つの場合には、この2つのテーブルナンバの内、優先順位の高いテーブルナンバに基づいて紫外線ランプの点灯状態が決定される。また、TOCモニター12からのTOC信号A、過酸化水素モニター13からの過酸化水素濃度信号Bおよび溶存酸素モニター14からの溶存酸素濃度信号Cに基づく紫外線ランプの点灯状態が達成できなくなった場合(例えば、紫外線照射装置9の紫外線ランプの許容照射量を越えてもなお、紫外線の照射量が増加する決定がなされた場合)には、異常が発生したと認識して、外部に警報が発令されるようになっている。
【0047】
そして、このように構成された超純水製造装置により、連続的に超純水を製造した(実施例1)。なお、本超純水製造装置の運転開始時には、紫外線照射装置9の紫外線ランプの点灯率を100%とした。
【0048】
図3に、実施例1における混床式イオン交換塔10の出口での溶存酸素濃度と、紫外線照射装置9における低圧紫外線ランプの点灯率との関係を、経時的に追跡した結果を示す。
【0049】
また、制御装置15により、第2の紫外線照射装置9のコントロールをせず、紫外線照射装置9における低圧紫外線ランプを常に100%点灯して超純水を製造した(比較例)。
【0050】
図4に、本比較例における混床式イオン交換塔10の出口での溶存酸素濃度と、紫外線照射装置9における低圧紫外線ランプの点灯率との関係を、経時的に追跡した結果を示す。
【0051】
図3より明らかなように、実施例1においては、溶存酸素濃度の変動がほぼ抑制され、溶存酸素濃度は常に1ppb以下に維持されている。一方、図4より明らかなように、比較例では、溶存酸素濃度の変動が実施例1に比べて大きく、溶存酸素濃度を1ppb以下に維持することは不可能であった。
【0052】
これは、実施例1では、紫外線照射装置9における紫外線照射量を最適化しているために、被処理水の紫外線分解により生成するOHラジカルが被処理水中の有機物と反応できる当量以上には生成されないが、比較例では、紫外線照射装置9における紫外線照射量の制御を行っていないため、被処理水の紫外線分解により生成するOHラジカルが被処理水中の有機物と反応できる当量以上に過剰に生成し、このため、余剰のOHラジカル同士が反応することにより過酸化水素が発生して、過酸化水素が混床式イオン交換塔10内に充填されたイオン交換樹脂表面近傍にて酸素と水とに分解され、酸素を生成したからであると推測される。
【0053】
(実施例2)
図5は、本願発明の他の実施形態である超純水製造装置の構成を示した図である。
【0054】
図5に示すように、逆浸透装置5で処理された被処理水は、窒素ガス添加方式の真空脱気塔8に導入されて溶存酸素等の溶存気体が除去された後、紫外線照射装置6(野村マイクロ・サイエンス株式会社;NNUV−104)に導入されて溶存有機物が分解され、混床式イオン交換塔7(野村マイクロ・サイエンス株式会社;#200M−A)により被処理水中のイオン成分が除去される。次いで、被処理水は、紫外線照射装置9(野村マイクロ・サイエンス株式会社;NNUV−104の改良型)に導入されて溶存有機物が分解されて第1の処理水が生成される。そして、第1の処理水が混床式イオン交換塔10(野村マイクロ・サイエンス株式会社;#200M−A)に導入されて被処理水中のイオン成分が除去され、第2の処理水が生成される。また、本超純水製造装置は、混床式イオン交換塔7の出口におけるTOCモニター12(アナテル(Anatel)株式会社;A−1000)からのTOC信号Aを制御装置15にリアルタイムで入力し、制御装置15は、入力されたTOC濃度信号Aに基づいて最適照射量を決定して、紫外線照射装置9における低圧紫外線ランプの点灯本数をコントロールするように構成されている。なお、実施例2に係る超純水製造装置の他の構成は、実施例1と同一となっている。上述したように、被処理水中の全有機炭素濃度、成分および成分比等は、地域や被処理水の用途によって異なっているため、対象となる被処理水ごとに照射する紫外線の最適な照射量を設定しなければならない。実施例2においては、図5に示す超純水製造装置を用い、被処理水に照射する紫外線の最適な照射量を、厚木市水を原水として設定することを試みた。
【0055】
図6および図7は、厚木市水を原水とし、実施例2の超純水製造装置を用いて超純水を製造した場合の全有機炭素濃度(TOC)および溶存酸素濃度(DO)を、真空脱気塔8、混床式イオン交換塔7、紫外線照射装置9および混床式イオン交換塔10の各出口において計測した結果である。図6および図7に示すように、紫外線の照射量を、紫外線照射装置6および紫外線照射装置9の出力100%(0.28kWh/m3)から出力30%(0.08kWh/m3)の間で変動させたところ、紫外線照射装置6および紫外線照射装置9の出力が40〜50%の点で、処理水中の全有機炭素濃度(TOC)および溶存酸素濃度(DO)が低く保たれることが分かった。したがって、図5に示した超純水製造装置では、紫外線照射装置6の入口におけるTOCが4ppbの場合には、紫外線照射装置6および紫外線照射装置9の出力を40〜50%に制御することで、処理水中の全有機炭素濃度(TOC)および溶存酸素濃度(DO)を低く保てることが分かった。
【0056】
次に、処理水中にイソプロピルアルコールを添加し、処理水中の全有機炭素濃度(TOC)を変動させて、処理水中の各全有機炭素濃度ごとに最適な紫外線照射装置6および紫外線照射装置9の出力を決定した。なお、処理水へのイソプロピルアルコールの添加は、紫外線照射装置6の入口において、被処理水中の全有機炭素濃度が、5〜7ppb、7〜10ppbおよび10〜15ppbとなるように行われた。その結果、図8に示すような結果を得ることができた。すなわち、紫外線照射装置6の入口における被処理水中の全有機炭素濃度が5〜7ppb、7〜10ppbおよび10〜15ppbの場合には、紫外線照射装置6および紫外線照射装置9の出力をそれぞれ63%、80%および100%に制御することで、処理水中の全有機炭素濃度(TOC)および溶存酸素濃度(DO)を低く保てることが分かった。すなわち、被処理水中の全有機炭素濃度に対応させて適正な紫外線を照射することにより、処理水中の全有機炭素濃度(TOC)および溶存酸素濃度(DO)を1ppb以下とでき、しかも消費電力を抑制することが可能となる。そして、制御装置15に、図8に示した結果をもとに作成した最適照射量テーブルを与え、この最適照射量テーブルに基づいて被処理水に対する紫外線の照射量を制御したところ、処理水中の全有機炭素濃度(TOC)および溶存酸素濃度(DO)を1ppb以下に保つことができた。また、消費電力も、紫外線照射装置6および紫外線照射装置9の出力を100%に維持した場合と比較して大きく削減することができた。
【産業上の利用可能性】
【0057】
以上詳述したように、本願第1の発明に係る超純水製造方法によれば、被処理水中の全有機炭素濃度(TOC)を測定し、該測定した結果に基づいて最適化された照射量の紫外線を被処理水に照射するので、被処理水への紫外線の照射時に過酸化水素の発生がほぼ防止される。したがって、過酸化水素に起因する酸素の生成がほぼ抑制され、超純水中の溶存酸素濃度の増加をほぼ防止することができる。また、被処理水中の有機物を効率よく確実に分解することができる。さらに、前記測定した結果に基づいて最適化された照射量の紫外線を被処理水に照射するので、紫外線の照射量を常に最小とすることができる。したがって、経済性に優れ、溶存酸素濃度および全有機炭素濃度(TOC)が低く保たれた超純水を得ることが可能な超純水製造方法を提供することができる。
【0058】
また、本願第2の発明に係る超純水製造方法によれば、(1)被処理水中の全有機炭素濃度(TOC)、および、(2)第1の処理水中の過酸化水素濃度および/または第2の処理水中の溶存酸素濃度を測定し、該測定した結果に基づいて最適化された照射量の紫外線を被処理水に照射するので、被処理水への紫外線の照射時に過酸化水素の発生がほぼ防止される。したがって、過酸化水素に起因する酸素の生成がほぼ抑制され、超純水中の溶存酸素濃度の増加をほぼ防止することができる。また、被処理水中の有機物を効率よく確実に分解することができる。さらに、前記測定した結果に基づいて最適化された照射量の紫外線を被処理水に照射するので、紫外線の照射量を常に最小とすることができる。したがって、経済性に優れ、溶存酸素濃度および全有機炭素濃度(TOC)が低く保たれた超純水を得ることが可能な超純水製造方法を提供することができる。
【0059】
さらに、本願第3の発明に係る超純水製造装置によれば、被処理水中の全有機炭素濃度に基づいて、第1の処理水中へリークする過酸化水素が最小となるよう被処理水に照射する紫外線の照射量を制御できるので、第1の処理水から溶存酸素濃度を上昇させることなくイオン交換が実行できる。また、被処理水中の有機物を効率よく確実に分解することができる。さらに、前記測定した結果に基づいて最適化された照射量の紫外線を被処理水に照射できるので、紫外線の照射量を常に最小とすることができる。したがって、全有機炭素濃度および溶存酸素濃度が大きく低減された超純水を、容易かつ経済的に得ることが可能な超純水製造装置を提供することができる。
【0060】
また、本願第4の発明に係る超純水製造装置によれば、(1)被処理水中の全有機炭素濃度、および、(2)前記第1の処理水中の過酸化水素濃度および/または前記第2の処理水中の溶存酸素濃度に基づいて、第1の処理水中へリークする過酸化水素が最小となるよう被処理水に照射する紫外線の照射量を制御できるので、第1の処理水から溶存酸素濃度を上昇させることなくイオン交換が実行できる。また、被処理水中の有機物を効率よく確実に分解することができる。さらに、前記測定した結果に基づいて最適化された照射量の紫外線を被処理水に照射できるので、紫外線の照射量を常に最小とすることができる。したがって、全有機炭素濃度および溶存酸素濃度が大きく低減された超純水を容易かつ経済的に得ることが可能な超純水製造装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明による超純水製造装置の一構成を示した図である。
【図2】制御装置15内に設定された最適照射量テーブルの一例を示した図である。
【図3】実施例1における混床式イオン交換塔10の出口での溶存酸素濃度と、紫外線照射装置9における低圧紫外線ランプの点灯率との関係を、経時的に追跡した結果を示した図である。
【図4】比較例における混床式イオン交換塔10の出口での溶存酸素濃度と、紫外線照射装置9における低圧紫外線ランプの点灯率との関係を、経時的に追跡した結果を示した図である。
【図5】本発明による超純水製造装置の他の構成を示した図である。
【図6】厚木市水を原水とし、実施例2の超純水製造装置を用いて超純水を製造した場合の全有機炭素濃度(TOC)を、真空脱気塔8、混床式イオン交換塔7、紫外線照射装置9および混床式イオン交換塔10の各出口において計測した結果を示した図である。
【図7】厚木市水を原水とし、実施例2の超純水製造装置を用いて超純水を製造した場合の溶存酸素濃度(DO)を、真空脱気塔8、混床式イオン交換塔7、紫外線照射装置9および混床式イオン交換塔10の各出口において計測した結果を示した図である。
【図8】処理水中の各全有機炭素濃度ごとに、紫外線照射装置6および紫外線照射装置9の最適な出力を示した図である。
【図9】紫外線照射装置による紫外線の照射量と消費電力との関係を示した図である。
【符号の説明】
【0062】
1…前処理装置、2…カチオン交換塔、3…脱炭酸塔、4…アニオン交換塔、5…逆浸透装置、6…紫外線照射装置、7…混床式イオン交換塔、8…窒素ガス添加型真空脱気塔、9…紫外線照射装置、10…混床式イオン交換塔、11…限外濾過膜、12…TOCモニター、13…過酸化水素モニター、14…溶存酸素モニター、15…制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶存酸素を除去した被処理水中の全有機炭素濃度を測定する工程と、
前記測定した全有機炭素濃度に基づき、前記被処理水に照射する紫外線の照射量を決定する工程と、
前記決定した照射量の紫外線を前記被処理水に照射し、第1の処理水を生成する工程と、
前記生成した第1の処理水に対してイオン交換を実行し、溶存酸素濃度を上昇させることなく第2の処理水を生成する工程と、
を具備したことを特徴とする超純水製造方法。
【請求項2】
前記被処理水の全有機炭素濃度は、500ppb以下であることを特徴とする請求項1に記載の超純水製造方法。
【請求項3】
前記紫外線は、180〜190nmの波長を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の超純水製造方法。
【請求項4】
前記第2の処理水を生成する工程は、前記第1の処理水を、イオン交換樹脂、イオン交換繊維およびイオン交換膜からなる群より選択された少なくとも1つの部材に接触させる工程を具備したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超純水製造方法。
【請求項5】
被処理水から溶存酸素を除去する溶存酸素除去手段と、
前記溶存酸素除去手段で処理した被処理水中の全有機炭素濃度を測定する手段と、
前記測定した全有機炭素濃度に基づき、前記被処理水に照射する紫外線の照射量を決定する手段と、
前記決定した照射量の紫外線を前記被処理水に照射し、第1の処理水を生成する手段と、
前記生成した第1の処理水に対してイオン交換を実行し、溶存酸素濃度を上昇させることなく第2の処理水を生成する手段と、
を具備したことを特徴とする超純水製造装置。
【請求項6】
前記被処理水の全有機炭素濃度は、500ppb以下であることを特徴とする請求項5に記載の超純水製造装置。
【請求項7】
前記紫外線は、180〜190nmの波長を有することを特徴とする請求項5又は6に記載の超純水製造装置。
【請求項8】
前記第2の処理水を生成する手段は、前記第1の処理水を、イオン交換樹脂、イオン交換繊維およびイオン交換膜からなる群より選択された少なくとも1つの部材に接触させる手段を具備したことを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項に記載の超純水製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−173637(P2008−173637A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−26861(P2008−26861)
【出願日】平成20年2月6日(2008.2.6)
【分割の表示】特願平9−529984の分割
【原出願日】平成9年2月20日(1997.2.20)
【出願人】(000245531)野村マイクロ・サイエンス株式会社 (116)
【Fターム(参考)】