説明

超臨界CO2を用いた汚染土壌の浄化方法

【課題】効率的な汚染土壌の浄化方法を提供する。
【解決手段】予備循環経路16内に供給した液体CO2を第1の温度、かつ第1の圧力に制御しながら循環させて、液体CO2を超臨界CO2とし、洗浄槽12に収容した被処理土壌から軽質成分及び重質成分を抽出する。超臨界CO2を分離冷却槽26に供給して冷却し、CO2に対する重質成分の溶解度や蒸気圧を低下させて重質成分をCO2から分離し、分離したCO2を軽質成分を重質成分の助溶剤として溶解させたまま第2温度調節手段23により加熱し超臨界CO2にして第1循環経路24を循環させて、被処理土壌に残留する重質成分を取除く。超臨界CO2を分離減圧槽34に供給して減圧し、超臨界CO2をCO2ガスに状態変化させて軽質成分をCO2から分離し、分離したCO2ガスを冷却して液体CO2とし、更に加熱、加圧しながら第2循環経路33を循環させて、被処理土壌に残留する軽質成分を取除く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超臨界CO2を用いてガソリン、灯油、軽油等の軽質成分やA重油、C重油等の重質成分等の石油製品に汚染された土壌を浄化する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
石油製品に汚染された土壌としては、(1)タンカーなどからの漏洩油又は不法投棄油が海岸等に流れ着いて土壌が汚染された例や、(2)精油所等において石油製品が漏洩することにより土壌が汚染された例等が挙げられる。このような汚染土壌を浄化するには、土壌をそのままにして直接行う原位置処理と、適当な場所に汚染土壌を移動して行う処理に分類される。原位置処理には、ガス吸引法、エアパージング法、植栽などによるファイトレメディエーション法、微生物を利用するバイオメディエーション法等がある。移動して行う処理では、加熱法、焼却・溶融法、溶剤抽出法、超臨界流体法、化学処理法などが挙げられる。このうち、超臨界流体法による超臨界CO2を用いた汚染土壌の浄化方法は、油成分の溶解性を超臨界CO2の温度、圧力及び添加剤等によって調整できるため、迅速な除染が期待できる。
【0003】
超臨界CO2を用いた汚染土壌の浄化方法については、効率的な浄化方法が開発されている。具体的には、超臨界流体法として超臨界CO2を用いた汚染土壌浄化技術が紹介されている(例えば、非特許文献1参照。)。この非特許文献1では、ダイオキシンの研究として、2μgのダイオキシンを含む10gの土壌から超臨界抽出実験結果が報告され、超臨界CO2のみでは回収率は40%程度にしかならないが、2%のメタノールを加えれば90%に達することが開示されている。また、超臨界CO2を用いて土壌から汚染物質を抽出する第1ステップと、活性炭層で汚染物質を吸着させる第2ステップからなるパイロットプラントを用いた超臨界技術が紹介されている(例えば、非特許文献2参照。)。また、ソックスレー抽出と低温や高温での超臨界CO2による抽出を比較した文献が紹介されている(例えば、非特許文献3参照。)。
【非特許文献1】荒井康彦監修、「超臨界流体のすべて」、初版、株式会社テクノシステム、2002年10月20日、p391〜392
【非特許文献2】E.Alonso et al, Journal of Supercritical Fluids, 24 (2002) 123-135
【非特許文献3】S.B.Hawthorne et al, Anal. Chem. 1994, Vol.66, No.22, P4005-P4012
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記非特許文献1〜3に示される方法では、石油製品に含まれるレジン等の超重質な成分は除去することができず、またCO2で抽出可能であっても溶解度の低い汚染土壌は処理量を増やすことができず、ランニングコストがかかっていた。
【0005】
本発明の目的は、浄化効率を高めた超臨界CO2を用いた汚染土壌の浄化方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、図1に示すように、軽質成分及び重質成分に汚染された被処理土壌を洗浄槽12に収容する工程と、CO2貯留槽11に貯留された液体CO2を第1温度調節手段13を介して供給ポンプ14により予備循環経路16に供給する工程と、供給した液体CO2を第2温度調節手段23により加熱し、かつ循環ポンプ17により予備循環経路16を循環させることにより、予備循環経路16内に供給したCO2を31〜300℃の第1の温度、かつ7〜40MPaの第1の圧力の超臨界CO2とし、超臨界CO2により洗浄槽12内に収容した被処理土壌から軽質成分及び重質成分を抽出する工程と、洗浄槽12内の軽質成分及び重質成分が溶解した超臨界CO2を循環ポンプ17により分離冷却槽26に供給して第1の温度より低い−10〜50℃の第2の温度に冷却することにより、CO2に対する重質成分の溶解度と蒸気圧を低下させて重質成分をCO2から分離し、分離したCO2を軽質成分を重質成分の助溶剤として溶解させたまま第2温度調節手段23にて第1の温度に加熱した後に洗浄槽12に戻して第1循環経路24を循環させることにより、洗浄槽12内の被処理土壌に残留する重質成分を取除く重質成分浄化工程と、重質成分浄化工程が終了した後に、洗浄槽12内の軽質成分が溶解した超臨界CO2を循環ポンプ17により分離減圧槽34に供給して第1の圧力より低い0.1〜6.5MPaの第2の圧力に減圧することにより、超臨界CO2をCO2ガスに状態変化させて軽質成分をCO2から分離し、分離したCO2ガスを分離冷却槽26に供給して第1の温度より低い−10〜25℃の第3の温度に冷却することにより液体CO2にしてCO2貯留槽11に戻し、更に液体CO2を供給ポンプ14により第1の圧力に加圧しながら第2温度調節手段23に供給して第1の温度に加熱し、洗浄槽12に戻して第2循環経路33を循環させることにより、洗浄槽12内の被処理土壌に残留する軽質成分を取除く軽質成分浄化工程とを含む汚染土壌の浄化方法である。
請求項1に係る浄化方法では、先ず、抽出工程において超臨界CO2を予備循環経路16に循環させて、被処理土壌中の軽質成分及び重質成分を超臨界CO2により抽出する。この抽出工程では被処理土壌から軽質成分及び重質成分の双方が超臨界CO2によって抽出されるので、超臨界CO2に軽質成分が溶解することで、軽質成分が超臨界CO2と重質成分の橋渡しとなって超臨界CO2への重質成分の親和力が高まり、超臨界CO2への重質成分の溶解度が向上した状態で重質成分が抽出される。次いで、重質成分浄化工程において洗浄槽12内の軽質成分及び重質成分の双方が溶解した超臨界CO2を分離冷却槽26に送り、超臨界CO2を第2の温度にまで冷却して超臨界CO2への重質成分の溶解度と蒸気圧を低下させて、軽質成分を溶解させたまま重質成分のみをCO2から分離することにより重質成分を回収する。重質成分を分離したCO2は軽質成分を重質成分の助溶剤として溶解させたまま第1の温度にまで加熱して超臨界CO2への重質成分の溶解度を上記抽出工程の溶解度にまで高め、洗浄槽12に戻して第1循環経路24を循環させることで洗浄槽12内の被処理土壌に残留する重質成分を効率的に取除く。次に、軽質成分浄化工程において軽質成分が溶解した超臨界CO2を分離減圧槽34で第2の圧力にまで減圧して超臨界CO2をCO2ガスに状態変化させて軽質成分をCO2から分離することにより軽質成分を回収し、分離したCO2ガスを第3の温度に冷却して液体CO2にしてCO2貯留槽11に戻し、更に液体CO2を第1の温度に加熱、第1の圧力に加圧して超臨界CO2として洗浄槽12に戻して第2循環経路33を循環させることで洗浄槽12内の被処理土壌に残留する軽質成分を取除く。
【0007】
請求項2に係る発明は、図5に示すように、軽質成分及び重質成分に汚染された被処理土壌を洗浄槽12に収容する工程と、CO2貯留槽11に貯留された液体CO2を第1温度調節手段13を介して供給ポンプ14により予備循環経路16に供給する工程と、供給した液体CO2を第2温度調節手段23により加熱し、かつ循環ポンプ17により予備循環経路16を循環させながら、助溶剤貯留槽44に貯留された軽質成分を重質成分助溶剤として予備循環経路16に供給することにより、予備循環経路16内に供給したCO2を31〜300℃の第1の温度、かつ7〜40MPaの第1の圧力の超臨界CO2とし、供給した重質成分助溶剤とともに超臨界CO2により洗浄槽12内に収容した被処理土壌から軽質成分及び重質成分を抽出する工程と、洗浄槽12内の軽質成分及び重質成分が溶解した超臨界CO2を循環ポンプ17により分離冷却槽26に供給して第1の温度より低い−10〜50℃の第2の温度に冷却することにより、CO2に対する重質成分の溶解度と蒸気圧を低下させて重質成分をCO2から分離し、分離したCO2を軽質成分を重質成分の助溶剤として溶解させたまま第2温度調節手段23にて第1の温度に加熱した後に洗浄槽12に戻して第1循環経路24を循環させることにより、洗浄槽12内の被処理土壌に残留する重質成分を取除く重質成分浄化工程と、重質成分浄化工程が終了した後に、洗浄槽12内の軽質成分が溶解した超臨界CO2を循環ポンプ17により分離減圧槽34に供給して第1の圧力より低い0.1〜6.5MPaの第2の圧力に減圧することにより、超臨界CO2をCO2ガスに状態変化させて軽質成分をCO2から分離し、分離したCO2ガスを分離冷却槽26に供給して第1の温度より低い−10〜25℃の第3の温度に冷却することにより液体CO2にしてCO2貯留槽11に戻し、更に液体CO2を供給ポンプ14により第1の圧力に加圧しながら第2温度調節手段23に供給して第1の温度に加熱し、洗浄槽12に戻して第2循環経路33を循環させることにより、洗浄槽12内の被処理土壌に残留する軽質成分を取除く軽質成分浄化工程とを含む汚染土壌の浄化方法である。
請求項2に係る浄化方法では、先ず、抽出工程において超臨界CO2を予備循環経路16に循環させながら、助溶剤貯留槽44に貯留された軽質成分を超臨界CO2に対する重質成分の溶解度を高める助溶剤として供給することで、超臨界CO2に溶解する軽質成分の濃度を調整し、被処理土壌中の軽質成分及び重質成分を超臨界CO2によって効率的に抽出する。この抽出工程では被処理土壌から軽質成分及び重質成分の双方が超臨界CO2によって抽出されるので、超臨界CO2に軽質成分が溶解することで、軽質成分が超臨界CO2と重質成分の橋渡しとなって超臨界CO2への重質成分の親和力が高まり、超臨界CO2への重質成分の溶解度が向上した状態で重質成分が抽出される。次いで、重質成分浄化工程において洗浄槽12内の軽質成分及び重質成分の双方が溶解した超臨界CO2を分離冷却槽26に送り、超臨界CO2を第2の温度にまで冷却して超臨界CO2への重質成分の溶解度と蒸気圧を低下させて、軽質成分を溶解させたまま重質成分のみをCO2から分離することにより重質成分を回収する。重質成分を分離したCO2は軽質成分を重質成分の助溶剤として溶解させたまま第1の温度にまで加熱して超臨界CO2への重質成分の溶解度を上記抽出工程の溶解度にまで高め、洗浄槽12に戻して第1循環経路24を循環させることで洗浄槽12内の被処理土壌に残留する重質成分を効率的に取除く。次に、軽質成分浄化工程において軽質成分が溶解した超臨界CO2を分離減圧槽34で第2の圧力にまで減圧して超臨界CO2をCO2ガスに状態変化させて軽質成分をCO2から分離することにより軽質成分を回収し、分離したCO2ガスを第3の温度に冷却して液体CO2にしてCO2貯留槽11に戻し、更に液体CO2を第1の温度に加熱、第1の圧力に加圧して超臨界CO2として洗浄槽12に戻して第2循環経路33を循環させることで洗浄槽12内の被処理土壌に残留する軽質成分を取除く。
【0008】
請求項3に係る発明は、請求項2に係る発明であって、軽質成分浄化工程で分離した軽質成分を助溶剤貯留槽44に送り、重質成分助溶剤として再利用する方法である。
請求項3に係る発明では、被処理土壌から回収した軽質成分を重質成分助溶剤として再利用することで、浄化に使用する重質成分助溶剤のうち、事前に用意する重質成分助溶剤量を抑制できる。
【発明の効果】
【0009】
以上述べたように、本発明によれば、軽質成分及び重質成分に汚染された被処理土壌を洗浄槽に収容し、CO2貯留槽に貯留された液体CO2を第1温度調節手段を介して供給ポンプにより予備循環経路に供給し、供給した液体CO2を第2温度調節手段により加熱し、かつ循環ポンプにより予備循環経路を循環させることにより、供給したCO2を一定条件の超臨界CO2とし、超臨界CO2により洗浄槽に収容した被処理土壌から軽質成分及び重質成分を抽出する工程を行い、抽出工程が終了した後に、洗浄槽内の軽質成分及び重質成分が溶解した超臨界CO2を循環ポンプにより分離冷却槽に供給して冷却することにより、CO2に対する重質成分の溶解度と蒸気圧を低下させて重質成分をCO2から分離し、分離したCO2を軽質成分を重質成分の助溶剤として溶解させたまま第2温度調節手段にて加熱した後に洗浄槽に戻して第1循環経路を循環させることにより、洗浄槽内の被処理土壌に残留する重質成分を取除く重質成分浄化工程を行い、重質成分浄化工程が終了した後に、洗浄槽内の軽質成分が溶解した超臨界CO2を循環ポンプにより分離減圧槽に供給して減圧することにより、超臨界CO2をCO2ガスに状態変化させて軽質成分をCO2から分離し、分離したCO2ガスを分離冷却槽に供給して冷却することにより液体CO2にしてCO2貯留槽に戻し、更に液体CO2を供給ポンプにより加圧しながら第2温度調節手段に供給して加熱し、洗浄槽に戻して第2循環経路を循環させることにより、洗浄槽内の被処理土壌に残留する軽質成分を取除く軽質成分浄化工程を行えば、軽質成分によって超臨界CO2への重質成分の溶解度が高められた状態を維持したまま、被処理土壌に汚染した重質成分を抽出するので、高い効率で被処理土壌を浄化することができる。
【0010】
また、軽質成分及び重質成分に汚染された被処理土壌を洗浄槽に収容し、CO2貯留槽に貯留された液体CO2を第1温度調節手段を介して供給ポンプにより予備循環経路に供給し、供給した液体CO2を第2温度調節手段により加熱し、かつ循環ポンプにより予備循環経路を循環させながら、助溶剤貯留槽に貯留された軽質成分を重質成分助溶剤として予備循環経路に供給することにより、供給したCO2を一定条件の超臨界CO2とし、供給した重質成分助溶剤とともに超臨界CO2により洗浄槽に収容した被処理土壌から軽質成分及び重質成分を抽出する工程を行い、抽出工程が終了した後に、洗浄槽内の軽質成分及び重質成分が溶解した超臨界CO2を循環ポンプにより分離冷却槽に供給して冷却することにより、CO2に対する重質成分の溶解度と蒸気圧を低下させて重質成分をCO2から分離し、分離したCO2を軽質成分を重質成分の助溶剤として溶解させたまま第2温度調節手段にて加熱した後に洗浄槽に戻して第1循環経路を循環させることにより、洗浄槽内の被処理土壌に残留する重質成分を取除く重質成分浄化工程を行い、重質成分浄化工程が終了した後に、洗浄槽内の軽質成分が溶解した超臨界CO2を循環ポンプにより分離減圧槽に供給して減圧することにより、超臨界CO2をCO2ガスに状態変化させて軽質成分をCO2から分離し、分離したCO2ガスを分離冷却槽に供給して冷却することにより液体CO2にしてCO2貯留槽に戻し、更に液体CO2を供給ポンプにより加圧しながら第2温度調節手段に供給して加熱し、洗浄槽に戻して第2循環経路を循環させることにより、洗浄槽内の被処理土壌に残留する軽質成分を取除く軽質成分浄化工程を行えば、超臨界CO2に溶解する軽質成分の濃度を調整して、被処理土壌中の軽質成分及び重質成分を超臨界CO2によって効率的に抽出し、軽質成分によって超臨界CO2への重質成分の溶解度が高められた状態を維持したまま、被処理土壌に汚染した重質成分を抽出するので、より高い効率で被処理土壌を浄化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施の形態>
図1に示すように、本発明の第1の浄化方法に好適な洗浄装置10は、液体CO2が貯留されたCO2貯留槽11と、軽質成分及び重質成分に汚染された被処理土壌が収容された洗浄槽12と、洗浄槽12を含む予備循環経路16と、液体CO2を所定の温度にまで冷却する第1温度調節手段13と、CO2貯留槽11に貯留された液体CO2を予備循環経路16に供給する供給ポンプ14と、洗浄槽12内の超臨界CO2又は液体CO2を予備循環経路16に循環させる循環ポンプ17と、所定の温度に加熱する第2温度調節手段23を備える。
【0012】
また本発明の浄化方法の処理対象となる軽質成分及び重質成分に汚染された被処理土壌とは、汚染物質である軽質成分及び重質成分等の油成分が全重量の10重量%以下の割合となっている汚染土壌が好適である。油成分が10重量%を越えると被処理土壌の浄化に時間がかかり非効率なためである。油成分が全重量の10重量%を越える汚染土壌に対しては、本発明の方法を施す前に油切りなどの前処理を施して油成分の割合を10重量%以下にまで低下させた後に、洗浄槽12に収容し、本発明の方法により更に土壌から油成分を取除いて土壌を浄化する。また、被処理土壌は含水率10重量%以下が好ましい。被処理土壌は所定の大きさに粉砕して超臨界CO2との接触面積を増大させてから浄化処理を施すことが好ましい。
【0013】
CO2貯留槽11の側面下部又は底面には供給管路18の一端が接続され、供給管路18の他端は洗浄槽12に接続され、供給管路18の途中に第1温度調節手段13と供給ポンプ14と供給管路用開閉弁19と第2温度調節手段23が設けられる。供給ポンプ14としては往復動式ポンプが挙げられる。予備循環経路16は、洗浄槽12を中心として超臨界CO2を循環させるための経路であり、一端が洗浄槽12に接続されかつ他端が供給管路用開閉弁19と第2温度調節手段23の間の供給管路18に接続された予備循環パイプ21を有する。また予備循環パイプ21には、このパイプ21の一端側から他端側に向って順に循環ポンプ17と予備循環パイプ用開閉弁22とが設けられる。従って、予備循環経路16は、洗浄槽12、循環ポンプ17、予備循環パイプ用開閉弁22、第2温度調節手段23、及びこれらを接続する供給管路18の一部、予備循環パイプ21からなる。
【0014】
上記洗浄槽12並びに予備循環経路16内の温度は31〜300℃、好ましくは40〜250℃の第1の温度に保たれ、洗浄槽12並びに予備循環経路16内の圧力は7〜40MPa以下、好ましくは10〜30MPaの第1の圧力に保たれる。ここで、洗浄槽12並びに予備循環経路16内の温度を上記範囲内に限定したのは、下限値未満では高い洗浄効果を期待できないからであり、上限値を越えると洗浄槽12のシール部材や被処理土壌の劣化などの問題があるからである。また洗浄槽12並びに予備循環経路16内の圧力を上記範囲内に限定したのは、下限値未満ではCO2密度が低下して洗浄効果が低くなり、上限値を越えると耐圧性能の高い洗浄槽12を用いなければならず装置負荷が重くなるからである。また予備循環パイプ用開閉弁22は予備循環経路16を開閉する弁(電磁弁等)であり、第2温度調節手段23は供給したCO2を所定の温度にするとともに予備循環経路16を循環する超臨界CO2を第1の温度の範囲内の一定温度に保つ熱交換器である。超臨界CO2が予備循環経路16を循環しているときに、洗浄槽12内の超臨界CO2の温度は、洗浄槽12内に設けられた温度センサ(図示せず)の検出出力に基づいて上記第2温度調節手段23により調節される。なお、循環ポンプ17としては遠心式ポンプ、往復動式ポンプ等が挙げられる。
【0015】
一方、洗浄槽12と循環ポンプ17と第2温度調節手段23とを含む第1循環経路24は、洗浄槽12と後述する分離冷却槽26をメインとして超臨界CO2を循環させるための経路であり、一端が循環ポンプ17と予備循環パイプ用開閉弁22との間の予備循環パイプ21に接続されかつ他端が予備循環パイプ用開閉弁22と第2温度調節手段との間の予備循環パイプ21に接続された第1循環パイプ27を有する。また第1循環パイプ27には、このパイプ27の一端側から順に第1循環パイプ用第1開閉弁28と分離冷却槽26と第1循環パイプ用第2開閉弁29とが設けられる。従って、第1循環経路24は、洗浄槽12、循環ポンプ17、第1循環パイプ用第1開閉弁28、分離冷却槽26、第1循環パイプ用第2開閉弁29及び第2温度調節手段23と、これらを接続する供給管路18の一部、予備循環パイプ21の一部及び第1循環パイプ27からなる。第1循環パイプ用第1開閉弁28及び第1循環パイプ用第2開閉弁29は第1循環経路24を開閉する弁(電磁弁等)である。また分離冷却槽26には図示しない冷却手段が設けられ、この冷却手段により分離冷却槽26内の超臨界CO2が第1の温度より低い−10〜50℃、好ましくは−5〜10℃の第2の温度に冷却される。分離冷却槽26の冷却手段により冷却された超臨界CO2又は液体CO2は重質成分の溶解度や蒸気圧が低下することにより、超臨界CO2又は液体CO2に含まれる重質成分の大部分が分離されるように構成される。なお、図1の符号31はCO2から分離された重質成分を排出するために分離冷却槽26の下面に接続された排出パイプであり、この排出パイプ31には排出用弁32が設けられる。
【0016】
一方、CO2貯留槽11と第1温度調節手段13と供給ポンプ14と第2温度調節手段23と洗浄槽12と循環ポンプ17と分離冷却槽26とを含む第2循環経路33は、洗浄槽12と分離減圧槽34をメインとして超臨界CO2、CO2ガス及び液体CO2へと状態変化させながら循環させるための経路であり、一端が循環ポンプ17と予備循環パイプ用開閉弁22との間の予備循環パイプ21、循環ポンプ17と第1循環パイプ用第1開閉弁28との間の第1循環パイプ27、或いは予備循環パイプ21と第1循環パイプ27の接続位置に接続されかつ他端が分離冷却槽26の底面に接続された第2循環第1パイプ36を有する。また、一端が分離冷却槽26の上面に接続されかつ他端がCO2貯留槽11の側面上部又は上面に接続された第2循環第2パイプ37を有する。また第2循環第1パイプ36には、このパイプ36の一端側から順に第2循環パイプ用第1開閉弁38と分離減圧槽34と第2循環パイプ用第1開閉弁39とが設けられる。また第2循環第2パイプ37には、第2循環パイプ用第3開閉弁41が設けられる。従って、第2循環経路33は、CO2貯留槽11、第1温度調節手段13、供給ポンプ14、第2温度調節手段23、洗浄槽12、循環ポンプ17、第2循環パイプ用第1開閉弁38、分離減圧槽34、第2循環パイプ用第2開閉弁39、分離冷却槽26及び第2循環パイプ用第3開閉弁41と、これらを接続する供給管路18、予備循環パイプ21の一部、第1循環パイプ27の一部、第2循環第1パイプ36及び第2循環第2パイプ37からなる。3つの第2循環パイプ用第1開閉弁38、第2循環パイプ用第2開閉弁39及び第2循環パイプ用第3開閉弁41は第2循環経路33を開閉する弁(電磁弁等)である。分離減圧槽34では、洗浄槽12内の超臨界CO2を減圧してCO2へと状態変化させ、軽質成分が分離されるように構成される。なお、図1の符号42はCO2から分離された軽質成分を排出するために分離減圧槽34の下面に接続された排出パイプであり、この排出パイプ42には排出用弁43が設けられる。
【0017】
このように構成された洗浄装置10を用いた汚染土壌の浄化方法を説明する。
先ず各開閉弁を閉じた状態で、軽質成分及び重質成分に汚染された被処理土壌を洗浄槽12に収容した後に、洗浄槽12を密閉する。この状態で供給管路用開閉弁19と予備循環パイプ用開閉弁22を開いて供給ポンプ14を作動させる。これによりCO2貯留槽11に貯留された液体CO2が供給ポンプ14により第1温度調節手段13を介して予備循環経路16に供給される。第1温度調節手段13は、液体CO2を安定して供給するための冷却器として使用される。予備循環経路16内に供給される液体CO2は第2温度調節手段23により第1の温度に加熱される。予備循環経路16に所定量の超臨界CO2又は液体CO2が貯留されると、供給ポンプ14を停止するとともに、循環ポンプ17を作動させる。ここで、CO2貯留槽11に液体CO2を貯留するとしたのに対し、予備循環経路16に超臨界CO2又は液体CO2を貯留するとしたのは、CO2貯留槽11内の液体CO2が第2温度調節手段23を通過する際に加熱され、供給ポンプ14により加圧されて予備循環経路16内で超臨界CO2となる場合を含むためである。循環ポンプ17が作動することにより超臨界CO2又は液体CO2が予備循環経路16を循環する。図2中の線幅の太い経路は抽出工程におけるCO2の経路を示す。具体的には、予備循環経路16内の超臨界CO2又は液体CO2は、洗浄槽12、循環ポンプ17、予備パイプ用開閉弁22及び第2温度調節手段23を循環する。この予備循環経路16を循環するCO2の温度は第2温度調節手段23により31〜300℃、好ましくは40〜250℃の第1の温度に保たれ、CO2の圧力は図示しない圧力調整弁により7〜40MPa、好ましくは10〜30MPaの第1の圧力に保たれてCO2は超臨界CO2となり、上記超臨界CO2が予備循環経路16を循環することにより、洗浄槽12内に収容した被処理土壌中の軽質成分及び重質成分の双方が超臨界CO2により抽出される。超臨界CO2に軽質成分が溶解することで、軽質成分が超臨界CO2と重質成分の橋渡しとなって超臨界CO2への重質成分の親和力が高まり、超臨界CO2への重質成分の溶解度が向上した状態で重質成分が抽出される。超臨界CO2に溶解する軽質成分の濃度は0.1〜50重量%、好ましくは5〜15重量%とする。軽質成分の濃度が上限値を越えると、超臨界CO2への軽質成分の溶解度上限を越えてしまい、予備循環経路16に循環する媒体が超臨界相と液相の2相となって洗浄効率が低下する不具合を生じる。
【0018】
次に、図1に戻って、予備循環パイプ用開閉弁22を閉じ、第1循環パイプ用第1開閉弁28及び第1循環パイプ用第2開閉弁29を開いて循環ポンプ17を作動し続けると、抽出工程で軽質成分及び重質成分が溶解した超臨界CO2が分離冷却槽26に移行する。これらの一連の操作により、洗浄槽12内の超臨界CO2が第1循環経路24を循環する。図3中の線幅の太い経路は重質成分浄化工程におけるCO2の経路を示す。具体的には、洗浄槽12内の軽質成分及び重質成分が溶解した超臨界CO2は、洗浄槽12、循環ポンプ17、第1循環パイプ用第1開閉弁28、分離冷却槽26、第1循環パイプ用第2開閉弁29、第2温度調節手段23を循環する。軽質成分及び重質成分が溶解した超臨界CO2は特に圧力を変動させることなく洗浄槽12から分離冷却槽26に移行する。そして分離冷却槽26内の冷却手段により第1の温度より低い−10〜50℃、好ましくは−5〜10℃の第2の温度に冷却される。超臨界CO2は第2の温度にまで冷却され、CO2に対する重質成分の溶解度や蒸気圧が低下してCO2と重質成分が分離していれば超臨界状態を維持していても、液体CO2に状態変化しても良く、この冷却により分離冷却槽26に供給された超臨界CO2或いは液体CO2は重質成分の溶解度や蒸気圧が低下し、軽質成分を溶解させたまま重質成分のみをCO2から分離する。即ち、分離冷却槽26では超臨界CO2或いは液体CO2に溶解している重質成分のみが分離され、軽質成分は溶解状態が維持されている。分離冷却槽26内にて超臨界CO2或いは液体CO2から分離された重質成分は、排出用弁32を開くことにより、分離冷却槽26の下面に接続された排出パイプ31を通って排出される。重質成分を分離したCO2は軽質成分を溶解させたまま分離冷却槽26から排出され、第1循環パイプ用第1開閉弁29を通って第2温度調節手段23で第1の温度にまで加熱して超臨界CO2への重質成分の溶解度を上記抽出工程の溶解度にまで高め、洗浄槽12に戻して第1循環経路24を循環させることで洗浄槽12内の被処理土壌に残留している重質成分を効率的に取除く。この重質成分浄化工程では、分離冷却槽26で重質成分の分離をした後も、超臨界CO2に対する重質成分の溶解度を高めた状態を維持したまま、被処理土壌に残留する重質成分を除去するので極めて効率的な浄化をすることができる。重質成分浄化工程では所定時間経過した後に、排出パイプ31から排出される重質成分を適宜サンプリングし、一定時間あたりの重質成分の回収量が所定の範囲以下となったときに、被処理土壌から重質成分が除去されたとみなして次に続く軽質成分浄化工程に移行する。
【0019】
次に、図1に戻って、第1循環パイプ用第1開閉弁28及び第1循環パイプ用第2開閉弁29を閉じ、第2循環パイプ用第1開閉弁38、第2循環パイプ用第2開閉弁39及び第2循環パイプ用第3開閉弁41を開いて循環ポンプ17を作動し続けると、軽質成分が溶解した超臨界CO2が分離減圧槽34に移行する。これらの一連の操作により、洗浄槽12内の超臨界CO2が第2循環経路33を循環する。図4中の線幅の太い経路は軽質成分浄化工程におけるCO2の経路を示す。具体的には、洗浄槽12内の軽質成分が溶解した超臨界CO2は、洗浄槽12、循環ポンプ17、第2循環パイプ用第1開閉弁38、分離減圧槽34、第2循環パイプ用第2開閉弁39、分離冷却槽26、第2循環パイプ用第3開閉弁41、CO2貯留槽11、第1温度調節手段13、供給ポンプ14、供給管路用開閉弁19、第2温度調節手段23を循環する。軽質成分が溶解した超臨界CO2は洗浄槽12から第2循環パイプ用第1開閉弁38を通って分離減圧槽34に移行し、この分離減圧槽34で第1の圧力より低い0.1〜6.5MPa、好ましくは4〜6MPaの第2の圧力にまで減圧することにより、超臨界CO2をCO2ガスに状態変化させて軽質成分をCO2から分離する。分離減圧槽34内にてCO2ガスから分離された軽質成分は、排出用弁43を開くことにより、分離減圧槽34の下面に接続された排出パイプ42を通って排出される。軽質成分を分離したCO2ガスは分離減圧槽34から排出され、第2循環パイプ用第2開閉弁39を通って分離冷却槽26に送られ、この分離冷却槽26で第1の温度より低い−10〜25℃、好ましくは−5〜10℃の第3の温度に冷却することにより液体CO2にする。続いて液体CO2は分離冷却槽26から排出され、第2循環パイプ用第3開閉弁41を通ってCO2貯留槽11に戻して貯留され、液体CO2を供給ポンプ14により第1の圧力に加圧し、第2温度調節手段23で第1の温度に加熱して超臨界CO2として洗浄槽12に戻して第2循環経路33を循環させることで洗浄槽12内の被処理土壌に残留する軽質成分を効率的に取除く。軽質成分浄化工程では第2循環第1パイプ36にUV又はIRセンサを設けておき、循環する超臨界CO2にUV又はIR照射し、その吸光度を測定して、超臨界CO2中に含まれるUV又はIR領域に吸収を持つ有機物量が所定の濃度以下となったときに、被処理土壌から軽質成分が除去されたものとみなして軽質成分浄化工程を終える。
【0020】
即ち、上記抽出工程、重質成分浄化工程及び軽質成分浄化工程の各工程を経ることにより、洗浄槽12内の被処理土壌に含まれる軽質成分及び重質成分の殆ど全てが被洗浄物から離脱し、被処理土壌は極めて清浄になる。軽質成分浄化工程の終了後、第2循環経路33を循環するCO2を全てCO2貯留槽11に戻した後に、洗浄槽12内を大気圧まで減圧して洗浄槽12から被処理土壌を取出す。そして軽質成分及び重質成分に汚染された別の被処理土壌を洗浄槽12に収容して上記と同様の洗浄を行う。
【0021】
<第2の実施の形態>
図5は本発明の第2の浄化方法に好適な洗浄装置を示す。図5において図1と同一符号は同一部品を示す。
この実施の形態では、抽出工程において、助溶剤貯留槽44に貯留された軽質成分を重質成分助溶剤として供給ポンプ46により予備循環経路16に供給する以外は、第1の実施の形態と同一に構成される。抽出工程において超臨界CO2を予備循環経路16に循環させながら、助溶剤貯留槽44に貯留された軽質成分を超臨界CO2に対する重質成分の溶解度を高める助溶剤として供給することで、超臨界CO2に溶解する軽質成分の濃度を調整し、被処理土壌中の軽質成分及び重質成分を超臨界CO2によって効率的に抽出することができる。重質成分助溶剤として使用する軽質成分としては、単環の芳香族炭化水素、炭素数13以下の飽和炭化水素等の単一組成成分、ガソリン、灯油、軽油などの複合組成成分、或いはこれらの混合物が挙げられる。単一組成成分ではトルエンやキシレンが好ましい。また混合物では30〜400℃の範囲で沸点を有する成分が混合されたものが好ましい。また、軽質成分浄化工程で分離した軽質成分を助溶剤貯留槽44に送り、重質成分助溶剤として再利用することもできる。被処理土壌から回収した軽質成分を重質成分助溶剤として再利用することで、浄化に使用する重質成分助溶剤のうち、事前に用意する重質成分助溶剤量を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】第1の実施の形態における汚染土壌の浄化方法を示す図。
【図2】第1の実施の形態における抽出工程のCO2経路を示す図。
【図3】第1の実施の形態における重質成分浄化工程のCO2経路を示す図。
【図4】第1の実施の形態における軽質成分浄化工程のCO2経路を示す図。
【図5】第2の実施の形態における汚染土壌の浄化方法を示す図。
【符号の説明】
【0023】
11 CO2貯留槽
12 洗浄槽
13 第1温度調節手段
14 供給ポンプ
16 予備循環経路
17 循環ポンプ
23 第2温度調節手段
24 第1循環経路
26 分離冷却槽
33 第2循環経路
34 分離減圧槽
44 助溶剤貯留槽

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽質成分及び重質成分に汚染された被処理土壌を洗浄槽(12)に収容する工程と、
CO2貯留槽(11)に貯留された液体CO2を第1温度調節手段(13)を介して供給ポンプ(14)により予備循環経路(16)内に供給する工程と、
前記供給した液体CO2を第2温度調節手段(23)により加熱し、かつ循環ポンプ(17)により前記予備循環経路(16)を循環させることにより、前記予備循環経路(16)内に供給したCO2を31〜300℃の第1の温度、かつ7〜40MPaの第1の圧力の超臨界CO2とし、前記超臨界CO2により前記洗浄槽(12)内に収容した被処理土壌から軽質成分及び重質成分を抽出する工程と、
前記洗浄槽(12)内の軽質成分及び重質成分が溶解した超臨界CO2を前記循環ポンプ(17)により分離冷却槽(26)に供給して前記第1の温度より低い−10〜50℃の第2の温度に冷却することにより、CO2に対する重質成分の溶解度と蒸気圧を低下させて重質成分をCO2から分離し、前記分離したCO2を軽質成分を重質成分の助溶剤として溶解させたまま前記第2温度調節手段(23)にて前記第1の温度に加熱した後に前記洗浄槽(12)に戻して第1循環経路(24)を循環させることにより、前記洗浄槽(12)内の被処理土壌に残留する重質成分を取除く重質成分浄化工程と、
前記重質成分浄化工程が終了した後に、前記洗浄槽(12)内の軽質成分が溶解した超臨界CO2を前記循環ポンプ(17)により分離減圧槽(34)に供給して前記第1の圧力より低い0.1〜6.5MPaの第2の圧力に減圧することにより、前記超臨界CO2をCO2ガスに状態変化させて軽質成分をCO2から分離し、前記分離したCO2ガスを前記分離冷却槽(26)に供給して前記第1の温度より低い−10〜25℃の第3の温度に冷却することにより液体CO2にして前記CO2貯留槽(11)に戻し、更に液体CO2を前記供給ポンプ(14)により第1の圧力に加圧しながら前記第2温度調節手段(23)に供給して前記第1の温度に加熱し、前記洗浄槽(12)に戻して第2循環経路(33)を循環させることにより、前記洗浄槽(12)内の被処理土壌に残留する軽質成分を取除く軽質成分浄化工程と
を含む汚染土壌の浄化方法。
【請求項2】
軽質成分及び重質成分に汚染された被処理土壌を洗浄槽(12)に収容する工程と、
CO2貯留槽(11)に貯留された液体CO2を第1温度調節手段(13)を介して供給ポンプ(14)により予備循環経路(16)に供給する工程と、
前記供給した液体CO2を第2温度調節手段(23)により加熱し、かつ循環ポンプ(17)により前記予備循環経路(16)を循環させながら、助溶剤貯留槽(44)に貯留された軽質成分を重質成分助溶剤として前記予備循環経路(16)に供給することにより、前記予備循環経路(16)内に供給したCO2を31〜300℃の第1の温度、かつ7〜40MPaの第1の圧力の超臨界CO2とし、供給した重質成分助溶剤とともに前記超臨界CO2により前記洗浄槽(12)内に収容した被処理土壌から軽質成分及び重質成分を抽出する工程と、
前記洗浄槽(12)内の軽質成分及び重質成分が溶解した超臨界CO2を前記循環ポンプ(17)により分離冷却槽(26)に供給して前記第1の温度より低い−10〜50℃の第2の温度に冷却することにより、CO2に対する重質成分の溶解度と蒸気圧を低下させて重質成分をCO2から分離し、前記分離したCO2を軽質成分を重質成分の助溶剤として溶解させたまま第2温度調節手段(23)にて前記第1の温度に加熱した後に前記洗浄槽(12)に戻して第1循環経路(24)を循環させることにより、前記洗浄槽(12)内の被処理土壌に残留する重質成分を取除く重質成分浄化工程と、
前記重質成分浄化工程が終了した後に、前記洗浄槽(12)内の軽質成分が溶解した超臨界CO2を前記循環ポンプ(17)により分離減圧槽(34)に供給して前記第1の圧力より低い0.1〜6.5MPaの第2の圧力に減圧することにより、前記超臨界CO2をCO2ガスに状態変化させて軽質成分をCO2から分離し、前記分離したCO2ガスを前記分離冷却槽(26)に供給して前記第1の温度より低い−10〜25℃の第3の温度に冷却することにより液体CO2にして前記CO2貯留槽(11)に戻し、更に液体CO2を前記供給ポンプ(14)により第1の圧力に加圧しながら前記第2温度調節手段(23)に供給して前記第1の温度に加熱し、前記洗浄槽(12)に戻して第2循環経路(33)を循環させることにより、前記洗浄槽(12)内の被処理土壌に残留する軽質成分を取除く軽質成分浄化工程と
を含む汚染土壌の浄化方法。
【請求項3】
軽質成分浄化工程で分離した軽質成分を助溶剤貯留槽(44)に送り、重質成分助溶剤として再利用する請求項2記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2007−117944(P2007−117944A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−316512(P2005−316512)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 2005年6月 第11回地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会実行委員会発行の「第11回 地下水・土壌汚染とその防止対策に関する研究集会要旨集」に発表
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【出願人】(590000455)財団法人石油産業活性化センター (249)
【Fターム(参考)】