説明

超電導線材の製造装置、超電導線材の製造設備および超電導線材の製造方法

【課題】表面上に部分的にセラミックスが付着された超電導線材上に、高効率に補強材を接合し、高品質かつ高強度な超電導線材を形成することが可能な超電導線材の製造装置、超電導線材の製造設備、および超電導線材の製造方法を提供する。
【解決手段】製造装置10は、超電導線材15を構成する線材13を接触させるための半田液1を内部に保持する半田槽5と、超音波振動子3とを備える。超音波振動子3は線材15、半田液1、半田槽5からなる群から選択される少なくとも1つと振動伝達可能なように接触している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超電導線材の製造装置、超電導線材の製造設備および超電導線材の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、たとえばBi2223相などを有する酸化物超電導体を銀などのシース部で被覆した多芯線からなるテープ状の超電導線材(超電導テープ)は、液体窒素温度での使用が可能であり、比較的高い臨界電流密度が得られること、長尺化が比較的容易であることから、超電導コイルやマグネットへの応用が期待されている。
【0003】
こういった長尺形状を有する超電導線材は、たとえばパウダーインチューブ法を用いて形成する。具体的には、たとえばBi2223などの原料粉末を、銀で形成された長尺形状のチューブ(金属管)の内部に充填する。充填したチューブを複数本束ねたものを、長尺形状の別のチューブの内部に挿入する。そして当該チューブに対して熱処理を施したり、伸線加工や圧延加工を施すことにより、目的の超電導線材を形成する。
【0004】
しかしながら、このような銀のチューブの内部に酸化物超電導体が配置された構成を有する超電導線材には、より高い機械的強度を実現する課題が残されている。これは使用時における空隙やクラックなどの不具合を抑制するためである。
このため、たとえば以下の非特許文献1に示すように、銀のチューブを用いてパウダーインチューブ法で形成した超電導線材に対して、補強テープ(補強材)を接合する。補強テープとしては、たとえばステンレステープ、銅合金テープを使用する。超電導線材と補強テープとを半田槽の中で集合させた状態で、ダイスの内部に両者を貫通させる。このようにすれば、半田槽の中に存在する溶解された半田液により超電導線材と補強テープとを接合し、両者を一体化することができる。補強テープは超電導線材よりも強度が高いため、補強テープが接合された超電導線材は強度が高くなる。
【0005】
ところで、酸化物超電導導体の電極部を作成する方法として、特開平8−50937号公報(特許文献1)には以下の方法が開示されている。長尺状の基材上に酸化物超電導膜が形成された酸化物超電導導体において、酸化物超電導膜上に形成された絶縁膜のうち、電極を形成したい領域のみレーザを照射して除去する。そして絶縁膜を除去した領域に対して酸化物超電導膜上に、インジウムまたはインジウム−カドミウム合金の半田を用いて電流リード線を接合する。またこのときの半田を用いた接合としては、超音波半田付けを用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−50937号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】菊地昌志、外10名、「新製品DI−BSCCOの開発」、SEIテクニカルレビュー、2008年1月、第172号、p.71−77
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述した非特許文献1に開示されている半田を用いた補強テープの接合方法を用いた場合、補強テープの超電導線材に対する密着性が劣ることがある。これは、半田槽の内部に存在する溶解した半田液に超電導線材を浸漬しても、当該半田液の超電導線材表面に対する濡れ性に劣るためである。
【0009】
上述したように、超電導線材を形成する際には、原料粉末が充填された銀のチューブを熱処理することにより焼結する。この焼結の際に、1本の長尺形状の線材同士が(1本の線材の一の領域と、当該一の領域と異なる他の領域とが)密着する現象を抑制するため、当該線材と、長尺状のペーパーとを束ねたものをパンケーキ巻きする。ここで長尺状のペーパーとして、たとえばジルコニウムからなる、または表面にジルコニウムの薄膜が配置された長尺状のシートを使用する。このようにすれば、パンケーキ巻きにより重畳していて隣り合う超電導線材の間に上記長尺状のペーパーが挟まれる。この長尺状のペーパーが挟まれるために、重畳していて隣り合う超電導線材同士が接触したり、当該超電導線材同士が接着したりする現象を抑制することができる。
【0010】
このような長尺状のペーパーが配置された状態で超電導線材を焼結する。このため、焼結時に長尺状のペーパーも酸化する。これが超電導線材の表面上に付着することにより、超電導線材を構成する銀の表面上には酸化ジルコニウムが付着した状態となる。酸化ジルコニウムはセラミックスであるため、金属である銀と比較して半田液の濡れ性に劣る。このため、酸化ジルコニウムが付着した超電導線材の表面上に、半田を用いて補強テープを接合すると密着性が悪くなることがある。
【0011】
しかし、付着した酸化ジルコニウムをたとえば水洗浄により除去しようとすれば、超電導線材の電気特性が劣化する可能性がある。このため表面上に酸化ジルコニウムが部分的に付着した超電導線材に対しても、半田液の濡れ性を良くするために、半田液の内部に超電導線材を浸漬する時間を長くしたり、半田液の温度を上げるなどの方法を用いている。ところが、たとえば超電導線材をその延在する方向に関して進行させる速度(線速)を遅くすることにより当該超電導線材の各領域が半田液の内部に浸漬する時間を長くすれば、生産工程を長くすることになる。このため、コスト高や生産効率の低下を招くことになる。また、半田液の温度を上げると、超電導線材の外枠を構成する銀は融点が低いため、当該銀が溶解される可能性がある。したがって当該半田液の温度を上げることは好ましくない。
【0012】
さらに、当該超電導線材の表面上への半田の密着性を良好にするためには、上述した特許文献1に開示される、超音波を用いた半田付けを行なうことが考えられる。しかし特許文献1に開示される一般周知の超音波半田付けは、半田付けを行なう機材(半田ごてなど)を超音波振動させ、その振動を利用して半田の濡れ性を良好にする処理である。すなわち当該方法により振動させることが可能なのは処理を行なう瞬間に半田ごてなどにより半田液を塗布する局所的な領域に限られる。このため上記一般周知の超音波半田付けを本件の超電導線材の表面全体に対してこのような処理を行なおうとしても処理時間が非常にかかり、コスト高を招く可能性がある。
【0013】
本発明は以上の問題に鑑みなされたものであり、その目的は、表面上に部分的にセラミックスが付着された超電導線材上に、高効率に補強材を接合し、高品質かつ高強度な超電導線材を形成することが可能な超電導線材の製造装置、超電導線材の製造設備、および超電導線材の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明に係る超電導線材の製造装置は、超電導線材を構成する線材を接触させるための半田液を内部に保持する半田槽と、超音波振動子とを備える。上記超音波振動子は上記線材、上記半田液、上記半田槽からなる群から選択される少なくとも1つと振動伝達可能なように接触している。
【0015】
このようにすれば、表面上に酸化ジルコニウムなどのセラミックス成分が付着した線材と補強テープ(補強材)とを半田により接合する場合において、超音波振動子が線材の表面上に付着する半田液に振動を与えることができる。ここで線材、半田液、半田槽のいずれが振動を受けたとしても、同時に半田液にも超音波振動が伝達される。なお、ここで線材とは、たとえば銀のチューブの内部に酸化物超電導体の原料粉末を充填したものを焼結することにより形成される、超電導線材を構成する一要素を指すものとする。
【0016】
このため、たとえば半田液の内部に浸漬された線材に付着されたセラミックス成分は、超音波振動子による半田液の振動により線材の表面上から除去されることがある。このようにセラミックス成分が除去されれば、線材の表面上に半田液を付着する濡れ性を向上することができる。
【0017】
なお、超音波振動子の振動によって線材の表面上のセラミックス成分が除去されない場合においても、半田液の内部に浸漬された線材上には、超音波により振動された半田液が付着する。この場合、上記振動が存在しない場合に比べて強いエネルギで半田液が付着するため、たとえ線材の表面上にセラミックス成分が付着していても、当該表面上への半田液の濡れ性は改善される。
【0018】
また、長尺上の線材の表面のうち半田液の内部に浸漬した領域の全体に対して一時に、瞬時に上記振動を与えることができる。このため、上記処理により生産効率の低下を招くことなく、安定した処理を行なうことができる。
【0019】
以上により、上記製造装置を用いれば、線材の表面上への半田液の濡れ性を改善し、かつ生産性を確保することができる。このため、線材と補強材との密着性が改善された超電導線材を安価に提供することができる。
【0020】
上述した超電導線材の製造装置においては、超音波振動子は、半田液中において線材と接触する接触部を含むことが好ましい。
【0021】
振動を提供する超音波振動子の少なくとも一部の領域が半田液中に浸漬し、この浸漬した領域が半田液に浸漬した線材と接触すれば、半田液の内部に浸漬した線材には超音波振動子から直接、超音波振動が伝達される。したがってこのような構成とすることにより、より強い振動を当該線材の表面上に与えることができる。したがって、当該線材の表面上のセラミックス成分をより確実に、かつ短時間で除去することができる。このようにすれば当該線材の表面上における半田液の濡れ性がさらに改善される。
【0022】
あるいは当該セラミックス成分が除去できない場合においても、セラミックス成分が付着された線材の表面上に、より高い確率で濡れ性よく半田液を付着させることができる。以上により、線材と補強材との接合性や密着性をさらに向上することができ、その結果、線材と補強材との密着性がさらに改善された超電導線材をさらに安価に提供することができる。
【0023】
上述した超電導線材の製造装置においては、超音波振動子は、半田槽の壁面に接続されていてもよい。上述したようにこの場合においても、超音波振動子が半田槽に与える振動が、半田槽の内部の半田液に伝達される。このため振動された半田液が、当該半田液に浸漬された線材に付着されたセラミックス成分を除去することができる。当該セラミックス成分が除去されない場合においても、振動のエネルギにより、線材の表面の半田液に対する濡れ性が改善する。
【0024】
上述した超電導線材の製造装置においては、半田槽において、半田液の一部を半田槽から上方へ噴射する噴流部材をさらに備え、線材は半田槽から上方へ噴射された半田液の一部と接触するように配置され、超音波振動子は、線材と接触する半田液の一部と振動伝達可能なように配置されることが好ましい。
【0025】
このようにすれば、接合させようとする線材と補強材とを、半田液の内部に浸漬することなく、線材と補強材との表面上に半田液を付着させることができる。たとえば半田槽の内部の半田液に線材などを浸漬すれば、浸漬した領域において当該線材が曲がることになる。当該線材の品質を保持するためには当該線材を曲げる回数は少ない方が好ましい。しかし半田液が半田槽の上部に噴射することができる構成とすれば、線材などを延在する方向に関して直線状の状態を保ちながら半田液の液面に対向するように配置し、半田液を噴射させて線材などの表面上に付着させることができる。しかも超音波振動子は、線材と接触する半田液の一部と振動伝達可能なように配置されるため、噴射された半田液は振動が伝達された状態で線材などの表面上に付着される。
【0026】
以上により、線材を曲げることなく、超音波振動が伝達された半田液を濡れ性よく線材などの表面上に付着させることができる。したがって線材と補強材との密着性がさらに改善された高品質な超電導線材をさらに安価に提供することができる。
【0027】
上述した超電導線材の製造装置においては、半田槽に導入される線材を案内するガイド部材をさらに備え、超音波振動子はガイド部材と振動伝達可能なように接続されていてもよい。この場合、超音波振動子はガイド部材を振動させる。このため、ガイド部材により案内される線材に超音波振動が伝達される。したがって線材の振動により、線材が浸漬する半田液にも当該振動が伝達される。このため、上記した各形態の製造装置を用いた場合と同様に、超音波振動が伝達された半田液を濡れ性よく線材などの表面上に付着させることができる。
【0028】
本発明に係る超電導線材の製造設備は、上述した各形態の超電導線材の製造装置と、上記製造装置における半田槽に複数の線材を供給するための線材供給部と、上記製造装置において半田槽を通過した複数の線材からなる集合線材を超電導線材として回収する回収部とを備えることが好ましい。
【0029】
このようにすれば、たとえば補強材により機械的な強度を向上させようとする線材と、補強材である補強テープなどとを、線材供給部から上記製造装置の半田槽などに導入する。そして上記製造装置の半田槽などにて半田液を線材などの表面上に付着させ、当該線材と当該補強材とを接合させる。そして接合により一体化した超電導線材を、回収部にて回収させる。以上の構成を備えることにより、線材と補強材とを接合させる処理をスムーズに行なうことができる。また上述したように、半田液などに対して超音波振動を伝達させることが可能な製造装置を用いているため、線材などへの半田液の濡れ性を向上し、線材と補強材との接合の密着性を向上することができる。このため、高品質な超電導線材を安価に提供することができる。
【0030】
本発明に係る超電導線材の製造方法においては、超電導線材を構成する複数の線材を準備する工程と、複数の上記線材を、半田槽に保持された半田液により接合する工程とを備えている。上記接合する工程においては、上記線材、上記半田液、上記半田槽からなる群から選択される少なくとも1つを超音波振動子により振動させる。
【0031】
上述した超電導線材の製造装置、超電導線材の製造設備を用いれば、上述した製造方法を用いて処理を行なうことにより、上記と同様に、線材の表面上への半田液の濡れ性を改善し、かつ生産性を確保することができる。このため、線材と補強材との密着性が改善された超電導線材を安価に提供することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、表面上に部分的にセラミックスが付着された超電導線材上に、高効率に補強材を接合することができる。その結果、高品質かつ高強度な超電導線材を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の実施の形態1に係る製造設備の構成を示す概略断面図である。
【図2】線材と補強材とが接合されて超電導線材が形成される態様を示す概略図である。
【図3】本発明に係る超電導線材の製造方法を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態2に係る製造設備の構成を示す概略断面図である。
【図5】本発明の実施の形態3に係る製造設備の構成を示す概略断面図である。
【図6】本発明の実施の形態4に係る製造設備の、特に製造装置の構成を示す概略斜視図である。
【図7】図6の線分VII−VIIにおける概略断面図である。
【図8】図7における超音波振動子の位置を変化させた製造装置の概略断面図である。
【図9】図7および図8における超音波振動子の位置を変化させた製造装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照しながら、本発明の各実施の形態について説明する。なお、各実施の形態において、同一の機能を果たす要素には同一の参照符号を付し、その説明は、特に必要がなければ繰り返さない。
【0035】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る製造設備100は、たとえば酸化物超電導体からなる線材に、機械的な強度を向上するための補強材を接合するために用いる設備である。図1に示すように製造設備100は、線材や補強材の表面上に半田液を付着させて、線材と補強材とを接合する製造装置10と、接合しようとする線材や補強材を製造装置10へ供給するための線材供給部(図1における製造装置10の左側)と、線材と補強材とが接合された超電導線材を回収する回収部(図1における製造装置10の右側)とから構成される。
【0036】
線材供給部は、ここでは上述したように酸化物超電導体からなる線材のみならず、線材に接合しようとする補強材を製造装置10へ供給する部材を指すものとする。線材供給部は線材13を製造装置10へ供給する線材用ローラ23と、補強材11を製造装置10へ供給する補強材用ローラ21とを備えている。
【0037】
図2の左側の線材13と補強材11とを示す図において、手前側は線材13や補強材11の延在する方向に交差する一断面を示す。したがって奥行き方向が線材13や補強材11の延在する方向であり、一方および他方の端部については省略している。図2に示すように、たとえば2本の線材13と補強材11とを半田液を用いて接合し、図2の右側に示す構成を有する超電導線材15を形成することができる。この場合は図1に示すように、製造設備100の線材供給部には、線材用ローラ23および補強材用ローラ21が2台ずつ配置される。ただし超電導線材15を構成する線材13や補強材11は2本ずつである必要はなく、1本であったり3本以上であったり、任意の本数とすることができる。したがって線材用ローラ23および補強材用ローラ21は、形成しようとする超電導線材15の構成に応じた任意の台数とすることができる。
【0038】
線材13としてはたとえばBi2212やBi2223などの酸化物超電導体の原料粉末が銀製のチューブの内部に充填されたものを焼結することにより形成された線材であることが好ましい。ただし長尺形状を有する基板の一方の主表面上に中間層、超電導層が形成され、さらにこれらの積層された構造体の表面上を銀の薄膜などで被覆した構成を有する積層構造を線材13として、ここへ補強材11を接合することもできる。また補強材11は、機械的強度の高い材質で構成される長尺形状の構造体であることが好ましい。具体的には、たとえばステンレス製の長尺形状や、銅合金からなる長尺形状であることが好ましい。なお線材13や補強材11の幅(延在する方向に交差する方向の幅)としてはたとえば4mm以上5mm以下のものを形成することが好ましい。
【0039】
製造設備100の製造装置10は、図1に示すように、線材13や補強材11の表面上に接触(付着)させる半田液1と、当該半田液1を内部に保持する半田槽5と、超音波振動子3とを備えている。半田槽5は図1に示すように直方体状の容器としての態様を有するものであり、一例としてたとえば奥行き方向の長さが150mm、横方向の幅(図1における左右方向)が300mm、図1における上下方向の高さが250mmのものを挙げることができる。そして半田槽5の内部には、半田液1を液体の状態で保持するために加熱溶解するための加熱手段(図1において図示されない)を含んでいる。半田液1としては、たとえば鉛とスズとの合金や、亜鉛とスズとの合金からなる共晶半田を用いてもよいが、鉛を含まない鉛フリー半田を用いてもよい。
【0040】
製造装置10における超音波振動子3は、その一部が半田液1の内部に浸漬するように配置されている。このため超音波振動子3が超音波振動を与えると、当該振動は半田液1に伝達される。
【0041】
また回収部は、図1の半田槽5の右側に示すようにダイス7と、線材13と補強材11とが接合されて一体の超電導線材15となったものをたとえばパンケーキ巻きして回収する回収用ローラ25とを備えている。ダイス7は、図1に示すように幅方向(左右方向)に関してくびれた領域において、半田液1が付着された線材13と補強材11とが集合することにより、両者を接合させる部材である。ダイス7は図1に示すように線材13と補強材11とを集合させるために一部の領域がくびれた形状であってもよい。しかしたとえば円柱状のダイスの長尺方向に関する一部の領域に貫通穴が設けてあり、当該貫通穴を線材13と補強材11とが貫通することにより、貫通穴が線材13と補強材11とを集合させ、両者を接合させる構成であってもよい。
【0042】
ここで当該製造設備100および製造装置10について説明する。製造設備100においては、接合しようとする単数または複数の線材13と補強材11とが延在する方向に沿って進行し、延在する方向に関する一方の端部から順次、製造装置10の半田槽5の内部に保持された半田液1に浸漬される。なお、線材13および補強材11が進行する方向については、たとえば図1に示すように超音波振動子3の下部のR部分の外周表面や、その他の図1に図示しないガイド部材を用いて所望の方向に案内され、概ね図1の左側から右側へ進行する。
【0043】
超音波振動子3が振動することにより半田液1が振動するため、半田液1の内部に浸漬された線材13や補強材11の表面上には、振動する半田液1が付着する。すると、振動による衝撃力(エネルギ)が、線材13の表面上に付着するセラミックス成分を除去する。このようにしてセラミックス成分が除去され、線材13の表面を構成する銀などの金属成分の上に半田液1が付着する。セラミックス成分よりも銀などの金属成分の方が、半田液1に対する濡れ性が良好である。このため線材13の表面上のセラミックス成分が除去されれば、当該線材13の表面上に半田液1が良好に付着される。したがって、表面上のほぼ全面に濡れ性よく半田液1が付着された線材13と補強材11とがダイス7の部分にて集合すると、良好な密着性をもって線材13と補強材11とを接合することができる。
【0044】
また、振動する半田液1が与える衝撃力(エネルギ)をもっても線材13の表面上のセラミックス成分が除去できなかったとしても、振動しながら半田液1が線材13の表面上に付着する。したがって振動が存在しない場合に比べて半田液1が線材13の表面上に付着するエネルギが強い。このためセラミックス成分が存在したとしても、振動させた半田液1は振動しない半田液1に比べて線材13の表面上に濡れ性よく付着される。
【0045】
なお、超音波振動を与えることにより、補強材11の表面上における半田液1の濡れ性についても、線材13の表面上への半田液1の濡れ性と同様に向上する。振動が存在する場合の方が、振動が存在しない場合に比べて半田液1が補強材11の表面上に付着するエネルギが強いためである。
【0046】
以上より、超音波振動子3の配置により、当該線材13および補強材11の表面上には濡れ性よく半田液1を付着させることができる。このため線材13と補強材11との接合性や密着性を向上することができる。
【0047】
以上のように濡れ性が向上するため、線材13の進行速度を遅くするなどの措置を行なう必要がない。また、濡れ性を向上させるために半田液1の温度を高くする必要もない。したがって線材13の進行速度が遅いことにより生産性が低下するなどの問題を回避することができる。また、超音波振動子3が与える振動の周波数(振動数)を調整することにより、当該振動が線材13の表面上のセラミックス成分を除去する衝撃力、ないしセラミックス成分が付着された線材13の表面上に濡れ性よく半田液1を付着させるエネルギの強さを調整することができる。このため、半田液1の濡れ性を向上させるために半田液1の温度を上げるなどの措置を行なう必要がない。したがって、半田液1が高温であることにより線材13の表面の銀が溶融し、結果的に超電導線材15の品質が低下するなどの問題を回避することができる。その結果、高い品質と生産性を確保することもできる。したがって、線材13と補強材11との密着性がさらに改善された超電導線材15を安価に提供することができる。
【0048】
なお図1の場合、線材13や補強材11が超音波振動子3の下部のR部分の外周表面に接触している。すなわち半田液1の内部に浸漬された超音波振動子3が、接触部3Aにおいて線材13および補強材11を下方へ押さえ付けるように接触している。このようにすれば、超音波振動子3から線材13に直接、超音波振動を伝達することができる。したがってより確実に、線材13の表面上に付着されたセラミックス成分を除去することができるため、線材13の表面上への半田液1の濡れ性をさらに確実に改善することができる。また線材13の表面上のセラミックス成分が除去できない場合においても、線材13は接触部3Aにおいて超音波振動子3から直接振動を受けるため、より強い衝撃力(エネルギ)で半田液1を線材13の表面上に付着することができる。したがってこの場合においても線材13の表面上への半田液1の濡れ性をさらに確実に改善することができる。このため、線材13の補強材11との密着性をさらに向上することができる。
【0049】
ここで、製造設備100(製造装置10)を用いた超電導線材15の製造方法について説明する。図3のフローチャートに示すように、まず線材を準備する工程(S10)を実施する。ここで線材とは上述した線材13および補強材11を指す。線材13はたとえば酸化物超電導体を含む長尺形状の構造体である。線材13は、パウダーインチューブ法を用いて形成された細いチューブを数本束ねたものを太いチューブの内部に収納して焼結したものであってもよいし、長尺形状の基板の一方の主表面上に中間層や超電導層などを積層したいわゆる薄膜超電導線材であってもよい。補強材11としてはステンレスまたは銅合金製の長尺形状の構造体を形成する。
【0050】
次に線材を接合する工程(S20)を実施する。これは具体的には図1の製造装置10(製造設備100)を用いて、線材13と補強材11とを接合する工程である。
【0051】
図1に示す製造設備100を用いる場合には、線材13および補強材11が超音波振動子3と、半田液1の内部の接触部3Aにて接触するように配置することが好ましい。図1中に示されていないが、線材用ローラ23や補強材用ローラ21から半田槽5側へ送られる線材13や補強材11を超音波振動子3の下部のR部分に接触する方向に進行させたり、接触部3Aからダイス7のくぼんだ領域に向かう方向へ進行させるように案内するガイドを用いることが好ましい。
【0052】
線材を接合する工程(S20)においては、半田液1の内部に線材13などを浸漬してダイス7にて両者を接合させる。この際、対象物を振動させる工程(S21)にて超音波振動子3から超音波振動を半田液1に与える。超音波振動子3の振動数は、線材13の表面上に付着しているセラミックス成分を除去することが可能な程度に十分高いことが好ましい。あるいは当該振動数は、当該線材13の表面上に付着しているセラミックス成分を除去することが困難である場合においても、セラミックス成分が付着した表面上に濡れ性よく半田液1を付着することが可能な程度に十分高いことが好ましい。これは具体的にはたとえば20kHz以上である。当該振動数を高くすれば所望の表面上への半田液1の濡れ性を向上することができる。
【0053】
なお図1に示すように、線材13および補強材11を超音波振動子3の接触部3Aにおいて接触させるようにすれば、接触部3Aにおいて線材13と補強材11とが接触する。このため図1における接触部3Aからダイス7において接合されるまでの領域においても、両者が互いに接触した状態を保ちながら進行させることができる。この場合、ダイス7においてより高精度に線材13と補強材11とを接合することができる。
【0054】
上述したようにたとえば接触部3Aにおいて接触して仮に接合された状態の線材13と補強材11とが、ダイス7のくぼんだ領域、あるいは円柱状のダイス7に設けられた貫通穴を通ることにより、線材13と補強材11との両側から圧縮応力が加えられる。すると当該応力により、線材13と補強材11とが接合される。線材13に補強材11が接合されることにより、機械的な強度が向上した超電導線材15となり、回収用ローラ25にて回収される。このように線材13よりも機械的強度の高い補強材11を半田付けにより接合すれば、線材13を構成する超電導体からなる組織の内部構造や、電気特性などを維持しつつ、当該超電導線材15の機械的強度を向上することができる。
【0055】
したがって図1に示す線材13および補強材11は、いずれも長尺形状であって概ね図1の左側から右側へ延在している。すなわちたとえば図1の1本の線材13は、図1における超音波振動子3の左側では単独の線材13であるが、超音波振動子3の右側、特にダイス7の右側では補強材11と接合した超電導線材15となっている。このような接合が線材13の延在方向に関するすべての領域に対して行なわれることにより、1本の超電導線材15が形成される。
【0056】
(実施の形態2)
図4に示すように、本発明の実施の形態2に係る製造設備200は、図1の本発明の実施の形態1に係る製造設備100と、基本的に同様の構成を備えている。しかし図4の製造設備200は、製造装置20の一部が図1の製造装置10と異なっている。具体的には、超音波振動子8が半田槽5の壁面に配置されている。
【0057】
超音波振動子8は、図4においては半田槽5の外側の壁面上に複数配置されている。図4は製造設備200の概略断面図であるが、矩形状(直方体状)の超音波振動子8が、当該断面図中の半田槽5の外側の側面上に1対、そして半田槽5の外側の底面上に5台配置されている。しかし超音波振動子8は、たとえば出力する振動の振動数が高いなど、出力する振動のエネルギが十分に大きい場合には1台のみの設置であってもよい。
【0058】
この場合においても、製造設備100を用いた場合と同様に、線材供給部から線材用ローラ23および補強材用ローラ21により搬送され、製造装置20の半田槽5中に浸漬される線材13および補強材11は、一部の領域(下部)が半田槽5中に浸漬された接触用部材4の下部のR部分の外周表面に押さえ付けられることにより接触する。このようにして線材13と補強材11とが仮に接合された状態で半田槽5から引き上げられ、ダイス7にて圧縮応力を受けることにより接合されて超電導線材15となり、回収用ローラ25にて回収される。
【0059】
接触用部材4は図1の製造装置10の超音波振動子3と同様の外観形状を有し、上方から下方へ線材13などを押さえ付ける機能を有する部材である。図4の製造装置20においては超音波振動子8を有するため、線材13を押さえ付ける部材として超音波振動子3の代わりに接触用部材4を用いている。しかし製造装置20においても超音波振動子3を用い、超音波振動子3と超音波振動子8とを併用する構成としてもよい。
【0060】
なお、図4においては超音波振動子8は半田槽5の外側の壁面上に配置されているが、超音波振動子8は半田槽5の内側の壁面上に配置されていてもよい。このようにすれば、超音波振動子8の与える振動をより確実に半田液1に伝達することができる。このため振動した半田液1が、線材13の表面上のセラミックス成分をより確実に除去し、半田液1の線材13の表面上への濡れ性をより向上させることができる。当該セラミックス成分が線材13の表面上から除去できない場合についても、上述のように、当該表面上への半田液1の濡れ性をより向上させることができる。このため線材13と補強材11との接合性や密着性を向上することができる。また、高い生産効率や高品質を確保することもできるため、線材13と補強材11との密着性がさらに改善された超電導線材15を安価に提供することができる。
【0061】
製造設備200を用いた超電導線材の製造方法は、製造設備100を用いた超電導線材の製造方法と同様に、図3のフローチャートを用いて説明することができる。
【0062】
実施の形態2は以上に述べた各点についてのみ、実施の形態1と異なる。したがって実施の形態2について、上述しなかった構成や条件、手順や効果などは、全て実施の形態1に順ずる。
【0063】
(実施の形態3)
図5に示すように、本発明の実施の形態3に係る製造設備300は、図1の本発明の実施の形態1に係る製造設備100と、基本的に同様の構成を備えている。しかし図5の製造設備300は、製造装置30の一部が図1の製造装置10と異なっている。具体的には、超音波振動子9が、線材供給部から線材13および補強材11を半田槽5(半田液1)の内部へ案内するガイド部材に取り付けられている。つまり超音波振動子9は、ガイド部材から線材13や補強材11へ、振動が伝達可能なように接続されている。
【0064】
この場合は超音波振動子9が、線材供給部の線材13や補強材11に振動を与えて伝達させる。そして線材13や補強材11には、それらが延在する方向に振動が伝達される。線材13や補強材11は、一部の領域が半田液1の内部に浸漬しているため、線材13が振動すれば、半田液1にも振動が伝達される。すると上述した各製造設備(製造装置)を用いた場合と同様に、線材13や補強材11の表面上への半田液1の濡れ性が向上する。したがって線材13と補強材11との接合性や密着性を向上することができる。また、高い生産効率や高品質を確保することもできるため、線材13と補強材11との密着性がさらに改善された超電導線材15を安価に提供することができる。
【0065】
なお、製造設備300においては図5に示すように、半田液1の内部に線材13などを浸漬する半田槽5の内部や外壁面などには超音波振動子が配置されていない。しかし、たとえば製造設備300のようにガイド部材に超音波振動子9を接続した状態で、図1の製造設備100のように接触用部材4の代わりに超音波振動子3を用いたり、図2の製造設備200のように半田槽5の外側の壁面上に超音波振動子8を配置することにより、複数種類の超音波振動子を併用した構成としてもよい。このようにすれば、半田液1から線材13などに伝達される振動がより大きくなる。このため上述したように、線材13と補強材11との接合性や密着性をさらに向上することができる。また、高い生産効率や高品質を確保することもできるため、線材13と補強材11との密着性がさらに改善された超電導線材15を安価に提供することができる。
【0066】
製造設備300を用いた超電導線材の製造方法は、製造設備100を用いた超電導線材の製造方法と同様に、図3のフローチャートを用いて説明することができる。
【0067】
実施の形態3は以上に述べた各点についてのみ、実施の形態1と異なる。したがって実施の形態3について、上述しなかった構成や条件、手順や効果などは、全て実施の形態1に順ずる。
【0068】
(実施の形態4)
図6の斜視図は、本発明の実施の形態4に係る製造設備400の、特に製造装置40の部分を描写したものである。図6の製造設備400においても、たとえば図の左上側の線材13および補強材11の延在方向における一方の端部に向かう領域には線材供給部が存在する。また、図の右下部の接合された超電導線材15の延在方向における他方の端部に向かう領域には回収用ローラ25が存在する。しかしこれらの部材(領域)は、上述した各実施の形態に係る製造設備のそれらと基本的に同様であるため、図6においては省略している。
【0069】
図6の斜視図および図7の断面図に示すように、本発明の実施の形態4に係る製造設備400の製造装置40は、半田槽5の内部に保持される半田液1の一部を半田槽5から、特に半田液1の上面の上方へ噴射する噴射部材16を備えている。噴射部材16としてはたとえばスクリューポンプなどを用いることが好ましい。
【0070】
図6の左上側から延在する線材13および補強材11は、半田液1の内部から上方へ延在するように配置された1対の敷居板18に挟まれた領域を通るように、図6の右下側へ向かって進行する。上述した噴射部材16は、半田槽5の内部の半田液1を、図7の矢印に示すように1対の敷居板18に挟まれた領域に廻りこむように噴射させることが好ましい。
【0071】
線材13および補強材11は当該敷居板18に挟まれた領域にて、図7の矢印に示す方向に噴射された半田液1の付着を受ける。噴射される半田液1には、図7に示すように1対の敷居板18のそれぞれに設置された超音波振動子12により振動が伝達される。このため敷居板18の間を通る線材13などの表面上に付着する半田液1は、振動しながら当該表面上に付着する。したがって本製造設備400を用いた場合においても、上述した他の製造設備を用いた場合と同様に、半田液1の濡れ性を向上することができ、線材13と補強材11との接合性や密着性を向上することができる。また、高い生産効率や高品質を確保することもできるため、線材13と補強材11との密着性がさらに改善された超電導線材15を安価に提供することができる。
【0072】
なお1対の敷居板18のそれぞれに取り付けられた超音波振動子12は、これらに挟まれた領域に存在する、噴射された半田液1とは非接触である。しかしこのような場合においても、1対の超音波振動子12に挟まれた領域に存在する半田液1に対しては電波のごとく振動が伝達されるという理由により、当該噴射された半田液1に振動を伝達することができる。ただしこのように半田液1に振動を伝達するためには、図6や図7に示す1対の敷居板18の主表面の間隔(1対の敷居板18に挟まれた領域の幅)をたとえば40mm以下とすることが好ましい。
【0073】
また、上記超音波振動子12に挟まれた領域を通るように線材13や補強材11が配置される。このため1対の超音波振動子12は、これらに挟まれた領域に配置された線材13や補強材11に対しても振動を伝達することができる。このようにすれば、噴射された半田液1および線材13の両方に振動を与えることにより、線材13や補強材11の表面上への半田液1の濡れ性をさらに向上することができる。
【0074】
なお1対の超音波振動子12は、図7に示すように1対の敷居板18の互いに対向する(線材13や補強材11と対向する)主表面(内側の主表面)と反対側の主表面(外側の主表面)上に設置されていてもよい。しかしたとえば図8に示すように超音波振動子12が、1対の敷居板18の互いに対向する内側の主表面と、上記主表面と反対側の外側の主表面とに挟まれた領域を埋めるように配置されていてもよい。さらにたとえば図9に示すように、当該1対の超音波振動子12が、互いに対向する内側の主表面上に設置されていることがより好ましい。超音波振動子12が図7に示すように線材13などに対する背面側に配置されるよりも、図8や図9に示すように線材13などに対向するように配置されることにより、さらに確実に振動を半田液1などに伝達することができる。このため、当該半田液1の濡れ性をさらに確実に向上することができる。
【0075】
また、図6〜図9に示す製造装置40においては、超音波振動子として超音波振動子12のみが配置されている。しかしここへ上述した各実施の形態に係る製造装置の超音波振動子3、8、9を適宜併用してもよい。このようにすれば、伝達される振動がさらに大きくなるため、さらに確実に振動を半田液1などに伝達することができる。このため、当該半田液1の濡れ性をさらに確実に向上することができる。
【0076】
以上に述べた製造設備400において、上述した各実施の形態の製造設備と異なる点は、線材13や補強材11が半田液1の内部に浸漬されていない点である。このため半田槽5の内部に設置された噴射部材16により上方へ噴射された半田液1が、半田液1の上方を進行する線材13などの表面上に付着する。
【0077】
このように、線材13や補強材11を半田槽5の内部の半田液1に浸漬しないため、線材13や補強材11をたとえばガイド部材を用いて半田槽5の内部の方へ屈曲させる必要がない。つまり、線材13や補強材11を、接合前の線材供給部から接合後の回収部まで、一貫してほぼ直線の状態を保ったまま接合処理を行なうことができる。(途中削除)本実施の形態4のように、線材13などを屈曲させることなく補強材11を接合させることができれば、形成される超電導線材15における上述したような物理的ダメージや機械的ダメージの発生を抑制することができる。したがって、当該超電導線材15の品質をさらに向上することができる。
【0078】
実施の形態4は以上に述べた各点についてのみ、実施の形態1と異なる。したがって実施の形態4について、上述しなかった構成や条件、手順や効果などは、全て実施の形態1に順ずる。
【0079】
以上のように本発明の各実施の形態について説明を行なったが、今回開示した各実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、表面上に部分的にセラミックスが付着された超電導線材上に、高効率に補強材を接合し、高品質かつ高強度な超電導線材を形成する技術として、特に優れている。
【符号の説明】
【0081】
1 半田液、3,8,9,12 超音波振動子、3A 接触部、4 接触用部材、5 半田槽、7 ダイス、10,20,30,40 製造装置、11 補強材、13 線材、15 超電導線材、16 噴射部材、18 敷居板、21 補強材用ローラ、23 線材用ローラ、25 回収用ローラ、100,200,300,400 製造設備。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超電導線材を構成する線材を接触させるための半田液を内部に保持する半田槽と、
超音波振動子とを備え、
前記超音波振動子は前記線材、前記半田液、前記半田槽からなる群から選択される少なくとも1つと振動伝達可能なように接触している、超電導線材の製造装置。
【請求項2】
前記超音波振動子は、前記半田液中において前記線材と接触する接触部を含む、請求項1に記載の超電導線材の製造装置。
【請求項3】
前記超音波振動子は、前記半田槽の壁面に接続されている、請求項1または2に記載の超電導線材の製造装置。
【請求項4】
前記半田槽において、前記半田液の一部を前記半田槽から上方へ噴射する噴流部材をさらに備え、
前記線材は前記半田槽から上方へ噴射された前記半田液の一部と接触するように配置され、
前記超音波振動子は、前記線材と接触する前記半田液の一部と振動伝達可能なように配置される、請求項1に記載の超電導線材の製造装置。
【請求項5】
前記半田槽に導入される前記線材を案内するガイド部材をさらに備え、
前記超音波振動子は前記ガイド部材と振動伝達可能なように接続されている、請求項1〜4のいずれか1項に記載の超電導線材の製造装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の超電導線材の製造装置と、
前記製造装置における前記半田槽に複数の前記線材を供給するための線材供給部と、
前記製造装置において前記半田槽を通過した複数の前記線材からなる集合線材を超電導線材として回収する回収部とを備える、超電導線材の製造設備。
【請求項7】
超電導線材を構成する複数の線材を準備する工程と、
複数の前記線材を、半田槽に保持された半田液により接合する工程とを備えており、
前記接合する工程においては、
前記線材、前記半田液、前記半田槽からなる群から選択される少なくとも1つを超音波振動子により振動させる、超電導線材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−23237(P2011−23237A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−167997(P2009−167997)
【出願日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【Fターム(参考)】