説明

超音波の臨界角反射測定法を使用する、迅速で正確な骨質の検出

本発明は、伝送器(12)及び2以上の受信器(16a、16b)を含む超音波変換器(10)を使用して標的からの超音波の2以上の臨界角反射値を同時に検出、決定し、そして標的(24)の弾性係数を計算することにより、標的(24)の弾力性の係数を決定するための装置、方法及びシステムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は概括的に骨質決定の分野に関し、そして更にとりわけ、皮質及び海綿質に対する、インビボにおける弾性係数の迅速で正確な測定に関する。
【背景技術】
【0002】
骨質の非侵襲的測定の必要性
骨粗鬆症は、非外傷性骨折(最少の外傷を受ける骨折)を受け易い高率の高齢者を伴ない、主要な医学的課題である。骨の強度は骨折の主要な予測因子(predictor)である。骨の強度は骨密度及び実験室で測定可能な生体機械的アスペクトの骨質双方により、そして生体においては超音波により決定される。
【0003】
近年、骨密度は二重(dual)エネルギーx−線吸光光度分析法及びコンピューター補助断層撮影を含む幾つかの方法により測定することができる。疫学的研究から、骨密度は骨格の骨折率と逆相関する。従って、骨折が存在しない場合においても骨粗鬆症と呼ばれる−2.5未満のT−評価(又は下部脊柱における正常ピーク値の約75%未満)により、骨粗鬆症を定義するために骨密度が使用されてきた。
【0004】
しかし、近年の発見は、骨質の重篤な損傷が起り得る状況を提示した。1996年に紹介された「ビスホスホネート」と呼ばれる新規のクラスの薬剤が骨粗鬆症の処置に広範に使用されてきた(非特許文献1参照)。新規の研究により、これらの薬剤は長期間の使用によると、骨質を重篤に損傷し、適当に治癒しない再発性骨折をもたらすことが示唆されている(非特許文献2、3、4及び5参照)。更に、外科的技術及び拒絶を予防する医学的処置の改善により、腎臓移植後に、より多数の患者がより長生きしている。これらの患者は恐らく、ステロイドを摂取することからの欠陥性の骨をもち、そして骨に有害な他の因子を受けるために、骨折の受け易さを増加したことが知られている。これらの臨床的状態は、骨質の目立った減少が起る可能性がある状況を提示した。
【0005】
骨質を測定する信頼できる方法の必要を強調するもう1つの近年の兆候は、骨密度以外の骨の質が骨粗鬆症における骨折の重要な決定因子であるという認識である。1994年に、世界保健機構は骨粗鬆症を骨密度のみに基づいて定義した。2000年に、「骨粗鬆症に関するNIH合意会議」は、骨粗鬆症を「骨折の増加したリスクの傾向を有する、欠陥性骨強度を特徴として有する骨格障害」と定義した。
【0006】
明らかに、インビボで骨の生体機械的性質を信頼性に、迅速にそして非侵襲的に測定することができる装置が必要である。その装置は弾力性及び強度のデータの迅速で、正確でそして恒常的な検出を許さなければならない。更に、自動化され、そして使用者に優しい、データ獲得のためのデザイン、工学技術及びソフトウエアを有するシステムの開発の必要が存在する。最後に、例えば、骨粗鬆症又は他の状態の処置期間中に患者の骨質の情報の状況をモニターするための信頼性で、安価な方法の必要が生じてきた。
【非特許文献1】Liberman等、N.Engl.J.Med.333:1437−1443,1995
【非特許文献2】Ott,J.Clin.Endo.Metab.86:1835,2001
【非特許文献3】Pdvina等、J.Bone Miner.Res.,September,2003
【非特許文献4】Richer等、J.Bone Miner.Res.,September,2003
【非特許文献5】Li等、Calc.Tissue Intern.69:281−286,2001
【発明の開示】
【0007】
本発明の装置、方法及びシステムは患者の手当を改善するために超音波の臨界角反射測定(UCR)を使用する。本発明はUCRを使用して、骨の弾性係数を計算し、それにより先行装置におけるより実際的で、迅速な骨質の測定を可能にする。本発明はまた、当該方法を拡大して、六方向に対称的であると仮定される骨の異方性を明白に考慮に入れる。異方性は最大及び最少弾性係数を測定することにより計算することができる。装置は骨の多数の部位で測定値を収集するようになっており、それぞれの部位で、皮質(cortical bone)及び海綿質(trabecular bone)を弾性係数及び異方性につき別々に分析することができる。装置の不可欠部分は骨に対する「法線の」(骨の表面に垂直な測定装置の配置)迅速な決定を可能にし、そして異なる方向におけるスペクトルの測定を自動化するように構成された特有のデザインのロボットガントリーである。骨に対する法線は、それが角度システム中の最初の角度(度)を表わし、従って測定の精度を支配するので、かなりの精度を伴なって決定しなければならない。このガントリーを使用して、法線が一旦決定されると、回転軸として法線を使用してヘッドを回転して、異なる方向のスペクトルを得ることができる。この活動は今や迅速で、自動化されている。装置のサイズは同定の部位のために製造されると、同様な基礎的特徴物を包含しながらより小型にすることができる。
【0008】
1態様において、本発明は、少なくとも1基の超音波伝送器並びに、そこで受信器アレーが標的からの反射超音波エネルギーを同時に検出する、伝送器と焦点を共有する同軸アークに沿ってアレーに配列された2以上の受信器要素を備える変換器である。変換器は少なくとも一次元で凹面である伝送器及び/又は少なくとも一次元で凹面のアレーを形成する2以上の受信器、並びに/あるいは1基の伝送器及び、凹面で、例えば、共通の焦点の周囲に同軸である2以上の受信器を備えることができる。変換器は奇数もしくは偶数の受信器要素又は、1を超える受信器、例えば、2、4、8、16、24、36、48、64、128もしくはそれを超える独立の受信器を備えることができる。1態様において、2以上の受信器はハウジング内に配置された少なくとも1基の伝送器及び48−要素の受信器のアレーを備える受信アレーシステムを形成し、そこで受信器アレーが伝送器の焦点の又はその周囲の検査地点から120度にわたり超音波の速度を同時に測定する。伝送器及び少なくとも2基の受信器のためのハウジングは伝送器及び受信器の焦点又はその周囲に少なくとも1個の開口部をもつ。
【0009】
1態様において、変換器は伝送器及び少なくとも2基の受信器のためのハウジングを備え、そこでハウジングが少なくとも1個の開口部、ハウジングの開口部の又はその周囲のラテックスの膜及びハウジング内の超音波伝導性物質を有する。1態様において、超音波伝導性物質は水、生理食塩水等を含むことができる。変換器は、変換器の運動が検査地点上の装置の正確な配置を可能にする、変換器に接続された、コンピューターにより制御される配置アームを更に含む超音波システムの部分であることができる。変換器はまた、超音波伝導性物質と連絡した圧力検出装置を備えることができ、次にこのシステムがラテックスの膜を破損する可能性があるハウジング内の圧力の上昇を検出することができる。コンピューターは変換器の伝送器及び受信器に接続することができ、ここで当該コンピューターは、各角度において各受信器から1以上の反射スペクトルを集めて、そのスペクトルから、検査されている骨の皮質成分及び海綿質成分に対する臨界角を計算する少なくとも1個のコードセグメントを含む。コンピューターは更に、獲得されたデータから、臨界角速度を決定し、そしてそれらを少なくとも2個の主要な弾性係数の決定のための一次−二次方程式に当てはめる少なくとも1コードセグメントを含むことができる。
【0010】
本発明の更にもう1つの態様は、少なくとも1基の超音波伝送器及び、伝送器と同軸で、焦点を共有する受信器のアレーを備える変換器であり、ここで受信器のアレーは多数の角度で、標的からの反射超音波エネルギーを同時に検出する。変換器は、皮質及び海綿質の弾性係数を決定するために、例えば、骨粗鬆症のための骨の処置治療を受けている骨からの反射スペクトルを決定するために使用することができ、そして次に外側の硬い骨及び内側の海綿状の骨の、骨異方性を計算するために使用することができる圧力波を検出する。臨界角速度は例えば、ビスホスホネート、ステロイド及び他の治療薬による処置期間中の、骨の改善又は変性を追跡するために使用することができる骨の質及び強度のデータと相関する少なくとも2種の主要な弾力性の係数を決定するために使用することができる。
【0011】
本発明はまた、骨の特性の期待される変動に対して十分な角度のスペクトルに対して作動する1基の伝送器及び2以上の受信器を備える超音波変換器を使用して、標的からの超音波の2以上の臨界角反射値を同時に検出し、そして標的の弾性係数を計算する段階を含んでなる、標的の弾性係数を決定する方法を含む。本明細書における臨界角度及び振幅の測定方法は先行特許(米国特許第5,038,787号明細書)に記載された。標的は例えば、骨粗鬆症をもつことが疑われ得るヒトからの骨であることができる。方法は更に、骨粗鬆症予防薬(例えば、ビスホスホネート、その塩又はそれらの混合物、エストローゲン、エストローゲン類似体又は選択的エストローゲン受容体変調剤、副甲状腺ホルモンペプチド、フッ化物、ビタミンD又はカルシトニン)又は骨喪失を誘起することが知られている薬剤(例えば、ステロイド及び抗痙攣剤)で処置されている、骨粗鬆症をもつことが知られている又はそれを疑われるヒトにおける疾患の進行の決定を含むことができる。本発明は非侵襲的である変換器の使用を含む。本発明は超音波変換器から、多数の方向で検出される値を使用して、固定位置における骨の固有の方向に対する臨界角度から決定される音速の二乗として計算される、弾性係数を決定するために使用することができる。最大弾性係数及び最小弾性係数を使用して、標的の異方性の度合い(例えば、骨異方性)を迅速で自動化された方法で予測することができる。より信頼できる結果を得るために、本明細書に開示される装置、方法及びシステムはまた、標的に対する変換器の法線を迅速に、恒常的に決定するための自動化アームの使用を含む。データ処理及び計算はまた、例えば、2、4、8、16、24、36、48、64又は128個の受信器からの同時の(concurrent or simultaneous)検出により更に効率的にすることができる。
【0012】
伝送器と同軸の2個以上の受信器における超音波の臨界角反射値はまた、更なる分析のために検出し、保存し、表示しそして/又は印刷することができる。従って、本発明の方法はまた、異なる時点の超音波の検出された臨界角反射値を保存し、そして経時的に標的の弾性係数の変化を追跡するために測定値を比較することを含むことができる。
【0013】
本発明はまた、1以上の伝送器及び2以上の受信器をもつ超音波変換器を使用して骨に向けた超音波の反射の2以上の臨界角を同時に検出し、2以上の各受信器で検出された値を使用して固定位置における骨の固有の方向に対する音速の二乗として骨の弾性係数を決定し、そして弾性係数から骨の異方性を計算する段階を含んでなる、骨粗鬆症の治療を受けている患者からの骨の弾性係数に対する影響を決定するために使用することができる。本明細書に開示された装置、方法及びシステムはまた、ビスホスホネート又はその誘導体による処置の前に又はそれと同時に2以上の受信器における超音波の第1の検出臨界角反射値を保存し、一定の期間後に2以上の受信器における超音波の第2の検出臨界角反射値を保存し、そして、第1及び第2の測定値を比較して、ビスホスホネート又はその誘導体による処置期間中の骨の弾性係数の変化を追跡する段階を含むことができる。骨の皮質領域及び海綿質領域の最大弾性係数及び最小弾性係数の検出及び計算は、ビスホスホネートによる患者の処置前及びその期間中にインビボで骨の異方性を予測するために、そして処置に有効に反応しない又は処置に否定的に反応する患者に対してはこれらの患者を同定し
、そして更なる損傷の前に処置を変更するために使用することができる。本発明は非侵襲的な方法で、例えば、患者に踵で患者の骨の皮質、海綿質の弾力性及び異方性の決定を可能にする。獲得され、保存されそして/又は処理されたデータを使用して、使用者は骨の異方性(皮質領域及び海綿質領域の最大弾性係数及び最小弾性係数を決定することにより)を計算することができ、そこで測定値は体重担持骨及び体重非担持骨それぞれの軸に対応する。この装置により追跡される処置はまた、骨粗鬆症を処置するために使用される他の薬剤(例えば、エストローゲン、エストローゲン類似体、副甲状腺ホルモンペプチド、フッ化物、ビタミンD及びカルシトニン)又は骨喪失を誘起することができる薬剤(例えば、ステロイド及び抗痙攣剤)を含むことができる。この装置はまた、損傷した骨質を有することが疑われる疾患又は状態(例えば、パジェット病及び運動不足)を追跡するために使用することができる。
【0014】
本発明はまた多数の角度で同時にそして自動的に超音波速度を検出するコンピューターにより制御される超音波臨界角反射測定変換器、超音波変換器を支持する三次元の運動を可能にする接合(articulated)アーム及び、超音波変換器からの臨界角反射測定データを計算するために超音波変換器からの信号を受信するように接続され、受信することができるコンピューターを含む、骨の異方性を測定するためのシステムを含む。コンピューターは三次元で変換器の位置を指示する接合アームの1以上の制御装置に接続されている。変換器は骨粗鬆症を罹患している又はそれをもつことが疑われるヒトからの骨の弾性係数、例えば、ビスホスホネート又はステロイドで処置された骨粗鬆症を罹患している又はそれをもつことが疑われるヒトの骨の弾性係数を測定するために使用することができる。コンピューターはUCRにより決定されるような超音波の速度から弾性係数を決定し、そして/又は最大弾性係数及び最小弾性係数を計算して、標的の異方性度合いを予測することができる。本システムのコンピューターはデータを使用して、更に、最大弾性係数及び最小弾性係数を計算して、骨の異方性度合いを予測することができる。迅速で恒常的な結果を伴なって骨の異方性の決定を自動化するために、本発明のコンピューターは標的に対する変換器の法線の決定を自動化する。コンピューターは異なる時点における超音波の臨界角反射の値を保存し、比較すらし、そして、第1及び第2の時点における患者の異方性の第1及び第2の値を保存することにより処置の、骨異方性に対する効果のみならずまた、第1及び第2の時点における患者の弾性係数に対する第1及び第2の値を保存することにより、骨粗鬆症に対する治療を受けている患者からの骨の弾性係数に対する効果を示す、使用者に優しい出力を使用者に提供することができる。
【0015】
更にもう1つの態様において、本発明のシステムは第1及び第2の時点の患者の弾性係数の第1及び第2の値を保存することにより、骨粗鬆症のビスホスホネート治療を受けている患者からの骨の弾性係数に対する効果を決定し、そして更に最大及び最小弾性係数から計算される骨異方性の値に対する処置の効果を追跡する。処置は骨粗鬆症を誘起する可能性があるもののみならずまた、骨粗鬆症のために使用される他の薬剤であることができる。
【0016】
更にとりわけ、本発明は全反射角度にわたりほとんど瞬間的な測定を可能にする、注文設計される変換器ヘッドを含む。ヘッドは弾性の曲げ易い接合面(検査下の骨組織上に配置される)を伴なう防水囲い物内に封入された2個の超音波要素を備える。1態様において、単一要素の伝送器及び48−要素の受信器のアレーは別個である。双方とも、120度の範囲にわたる、異なる半径をもつが共通軸をもつ直円柱の部分である。軸の部分の中点は変換器の名目上の中心である。水で充填され、変換器の共通の中心が窓を越えて約1.5cm突き出すような形態のラテックス膜により覆われた窓中で終結する防水の硬い容器内に固定された構造で固定されている。操作時には、液体は重力により制御される僅かな圧力下にあり(支持土台上の変換器ヘッドより僅かに高い高度に配置された水のレザボアを使用することにより)、そしてラテックス膜は窓枠を越えて少なくとも0.5cm膨
張する。膨らみが患者の皮膚(検査されている骨の上にある)と接すると、変換器の中心は深部の皮膚の下方に推定される仮想地点である。
【0017】
配置アームは平行四辺形のような形状の2部分(1つは土台に固定され、1つは変換器ヘッドを支持する)を含むパンタグラフである。アームは土台に固定されたモーターにより垂直及び水平に(3自由度)動かすことができる。アームは変換器ヘッドが変換器の中心と同一の固定地点の周囲を回転するように関節をなす(articulated)。この幾何学的特性が回転角度Ψの2個の相互に直交する値における傾斜角Φ及びθを変えることにより法線を決定することを可能にする。このようにして、変換器ヘッドの軸は固定地点で骨に対する法線と一致するように2自由度をもって回転することができ、変換器ヘッドは骨の表面に沿った任意の方向を採るようにその軸の周囲を角度Ψだけ回転することができる。
【0018】
検査中に、オペレーターは問題の部位(検査されている骨組織)上に変換器ヘッドを配置し、そして変換器ヘッドは変換器の中心が研究下の骨の表面にくるまで、コンピューター制御装置を使用して、アームの精細な、ミリメーター未満の段階を使用してオペレーターにより前進される。踵に対しては、この前進は0.5〜1.0cmに限定され、患者の皮膚は柔軟な膜との接触を維持し、枠又は硬い表面のどんな他の要素とも接触しない。過剰な圧力(例えば、測定されている足の突然の運動から起る可能性がある)は前進を停止させ、ヘッドを引っ込めさせる。伝送器により単一の(集中する(imploding)円筒状の)波が放射され、そして各受信要素が受信アレーの連続的要素として操作により決定される一組の反射角にわたり、反射される振幅を検出する。臨界角βはこの分布(distribution)中の最大値に対応する。次に速度VはV=V/Sinβにより与えられ、ここでVは検定溶媒(水)中の音速である。各方向Ψに対してVの異なる値V(Ψ)が得られる。骨は固有の六方向に対称性を有するので、分布は推測的にV(Ψ)=ACosΨ+BCosΨ+Cであることが決定される。古典的な教科書の標記法においては、これらは剛性マトリックスのエレメント{C}に関してA=C11+C33−k、B=k−2C11、C=C11そしてk=2(C13+2C44)として表わされる。本発明は2個の主要な係数、Emin=C(=C11)及びEmax=A+B+C(=C33)の決定を可能にする。これらの係数はその機械的特性を映す骨の固有の特性である。
【0019】
従って、このUCR変換器及びシステムの重要な発明物は:(a)散乱角度の全スペクトルにわたり臨界角速度の同時測定を可能にする、単一の伝送器及び複数の受信器要素、例えば、48−受信器要素の「デュアルアレー」システム、(b)検査されている骨組織の部位上の変換器ヘッドの、骨に対する法線に沿った正確は配置及び整列を可能にする運動を自然に取り入れるように製作されたロボットアーム、(c)水浴中への骨組織の浸漬を回避する、変換器ヘッド中に水を含むラテックス膜の使用、(d)膜(変換器内部に超音波伝導性物質を封入する)又は患者上に形成する過剰圧力を防止する特別な工学的特徴物、(e)各角度における反射波トレインの測定値から反射スペクトルを得、そしてそのスペクトルから皮質及び海綿質に対する臨界角を引き出すためのデータ獲得ソフトウエア並びに(f)各角度Ψの臨界角速度Vを決定し、次に2個の主要弾性係数を決定するために角度ΨのCosにVを関連付ける一次−二次方程式にそのデータを当てはめるための特別の後処理ソフトウエアである。
【0020】
本発明の装置、方法及びシステムは例えば、より正確なそして反復可能な測定のための、変換器に対する「法線の」ベクトルの簡単で迅速な決定を可能にする。本発明は変換器の方向に左右されることが少なく、音響信号の速度の同時の自動化された検出を可能にする。更に、本システムは弾性係数の迅速な、自動化されたそして早い決定を可能にし、従って初めて、異方性の計算を可能にする。本明細書に開示の変換器、方法及びシステムを
使用して、完全自動化を伴なう、より複雑な、従ってより正確な決定及び測定を、例えば、現在利用可能なものの1/3以下の測定時間の減少を伴なって6方向の3地点で実施することができる。当該方法は非侵襲的であり、超音波担持媒質を含む浸漬浴中に患者又は患者の身体の一部の浸漬を必要としない。更に、本発明は例えば、ビスホスホネート、その塩又はそれらの誘導体を使用する患者の治療効果を決定し、追跡するために使用することができる。他の患者、例えば、腎臓移植を有する及び骨粗鬆症を処置するために使用される他の薬剤又は骨喪失を誘起する可能性がある薬剤を摂取している患者もまた、本発明から利益を得るであろう。
【0021】
本発明者は、骨密度のみでは骨折の危険性を予測することができないことを認識してきた。正常な骨密度をもつ何人かの患者は非外傷性骨折を発症し、そして低い骨密度をもつ何人かの患者は骨折を受けない。この所見の1つの説明は、骨の質は骨密度と「一致していない」かも知れないことである。従って、骨の質が優れている場合は、低い骨密度をもつ何人かの患者は骨折を受け易くないかも知れない。他方、高い骨密度をもつ何人かは骨質が劣る場合は、骨折を受け易いかも知れない。
【0022】
骨質の測定は、骨の質の低下と関連した又はそれを誘起する可能性のあるいくつかの状態又は処置が存在するために重要である。骨質が損傷されると推定される例は:骨のパジェット病(繊維形成を伴なう異常な骨の過剰形成)、骨軟化症又は佝僂病(石化の低い骨を伴なう)、運動不足及びフッ素沈着症(異常モザイク風の骨を伴なう毒性のフッ化物露出)である。不幸にも、骨質を非侵襲的に(安全に)測定することができる商業的装置は存在しない。利用可能な超音波法は骨組織中の超音波の伝達に基づき、従って大部分骨密度の測定値をもたらすのみである。
【0023】
本発明の臨床的適用は骨の弾力性、異方性及び強度データの測定を可能にする。骨の異なる部位において弾性係数を測定することができる装置は新規のUCR法により構成され、踵骨(踵)中で試験され、そしてその重要な臨床的応用が確認された。この新UCR装置により、多数の測定を迅速にそして信頼性に実施することができ、そのためインビボで(生存しているヒトにおいて)非侵襲的に、皮質及び海綿質の弾性係数をもたらすことができる。本明細書に開示された変換器はピーク及び最小の弾性係数を決定することができ、ここで最大の弾性係数は体重担持において重要な骨の固有の特性であり、そして最小の弾性係数は体重担持においてはあまり重要ではないものである。最大及び最小弾性係数の比率から、骨の異方性(非対称性)を予測することができる。この装置はビスホスホネート(骨粗鬆症のために広範に使用される薬剤)による処置期間中及び腎臓移植(ステロイド処置にある)における低下した骨質を検出する際に臨床的に有用であることが示された。以下に説明されるように、これらの状態で示される骨質の減少は閉経後骨粗鬆症にこれまで開示されたものよりずっと大きかった。本装置はまた、同定の処置(例えば、低投与量の間欠的フッ化物)からの骨質の改善を検出する時にも有用であることができる。
【0024】
本発明の特徴物及び利点をより完全に理解するために、今度は、異なる図における対応する数値は対応する部品を表わす、付記の図面と一緒に本発明の詳細な説明を参照する。
【0025】
本発明の様々な態様の作製及び使用を以下に詳細に考察する間に、本発明が広範な同定の背景において具体化されることができる多数の適用可能な本発明の概念を提供することを認めなければならない。本明細書で考察される同定の態様は、本発明を作製し、使用する同定の方法を単に具体的に示し、本発明の範囲を限定はしない。
【0026】
超音波臨界角反射測定(UCR)
1990年代初期に、本発明者は約0.2mmの骨の表面の小部分中の超音波の「反射」に基づいて骨質を測定するための、超音波臨界角反射測定又はUCRと呼ばれる新規の
方法を紹介した(Antich等、J.Bone Min.Res.6:417−426,1991)。骨質は超音波速度から誘導又は推理することができる。当初のUCR装置は皮質(骨組織の外側部分の「硬い骨」)並びに海綿質(骨組織の内核の「海綿状の骨」)内の速度を決定した。
【0027】
本発明はヒトにおいてインビボで非侵襲的に皮質(硬い)及び海綿質(海綿状)の骨の弾性係数(質)の迅速で信頼できる測定を可能にする、超音波の臨界角反射測定の方法の改善を説明する。改良点は、特別な「アレーシステム」及び新規の工学及びソフトウエアデザインを使用して、多数の入射角において反射された超音波振幅の同時検出及び一連の方向にわたる臨界角における超音波速度の測定を可能にする。これらのデータから、ソフトウエアが速度の二乗から主要な弾性係数の計算を実行する。最大弾性係数C33(体重担持に重要な垂直軸にほぼ沿った)及び最小弾性係数C11(体重担持にあまり重要ではない水平軸にほぼ沿った)双方が皮質及び海綿質において別々に計算される。この測定は、骨の固有の方向は姿勢(position)とともに変化し、従って与えられた解剖学的方向に沿った速度を測定誤差よりも大きく変化させ、他方、与えられた固有の方向に沿った速度は測定誤差によってのみ影響を受けるために、固定された解剖学的方向において得られるものより正確である。速度の二乗と固有の方向の間には決定要因的相関が存在するので、多数の方向における値に当てはめることは測定誤差を最小にする。更に、主軸に沿って伝播しない音波は混合した特性をもち(それらは疑似圧力波である)、従って弾力性及び強度のような機械的特性との相関を隠すので、測定がより正確である。最大及び最小の弾性係数の比率から、「異方性」(非対称性)の度合いを正確に予測することができる。本明細書に開示されたUCR装置及び方法は骨粗鬆症の骨折の原因となる損傷された骨の質を検出するために適用されてきた。
【0028】
ステロイドを摂取している腎臓移植、損傷された骨質と関連することが知られている状態及び骨折し易さの増加を有する患者においては、皮質及び海綿質の弾性係数は、正常な閉経前状態から15〜30%だけ減少していた。骨粗鬆症を処置するために広範に使用される薬剤のビスホスホネートによる処置は長期使用後に、「無力骨疾患」(骨の代謝率の重篤な低下)を誘起し、従って治癒が遅い長骨の骨折をもたらす可能性がある。新規のUCR法により、皮質及び海綿質の弾性係数はまた、損傷された骨強度を示す、長期のビスホスホネート処置期間中に15〜30%だけ減少していた。従って本発明は低下した骨強度をもつ状態を検出し、そしてビスホスホネート又はステロイドを摂取している患者間の欠陥骨の発症に警告するために有用な、皮質及び海綿質の固有の(物質の)質を、ヒトにおいて非侵襲的に測定するための信頼できる、迅速な方法を請求している。
【0029】
当初のUCR装置の方法及び適用に対して本発明者に対して3種の特許が許可された(米国特許第5,038,787号、第5,197,475号及び第5,228,445号明細書、UCRの関連する説は引用により本明細書に取り入れられている)。この方法において、骨中の超音波信号は入射角を変え、骨により反射される超音波の振幅を分析しながら測定された。臨界角で超音波速度を測定することができる装置は記載された(Antich等、J.Bone Miner.Res.6:417−426,1991;Antich等、J.Bone Miner.Res.8:301−311,1993)。この装置を使用して、海綿質中の超音波速度は正常な閉経前の婦人に比較して、正常な閉経後の婦人において7%だけ、そして未処置の閉経後の骨粗鬆症をもつ患者においては13%だけ減少することが示された。治療的毒性量以下のフッ化物を投与することにより骨密度を増加し、脊椎の骨折を妨げる(Pak等、Arch.Intern.Med.123:401−408,1995)徐放性フッ化ナトリウムによる処置は、正常な閉経後婦人のレベルまで海綿質の超音波速度を増加することが認められた(Antich等、J.Bone Miner.Res.8:301−311,1993;Zerwekh等、J.Bone Miner.Res.6:239−244,1991)。
【0030】
当初のUCR装置は直線運動及び回転を可能にする簡単な構台上に固定され、その変換器ヘッドは同時に運動する2個の変換器を含むことができる。それはデザインは簡単であったが、与えられた骨の位置で、異なる方向の臨界角速度を測定するためには、かなりの手動の調整及び複雑な動きを必要とする(Antich等、J.Bone Miner.Res.6:417−426,1991)。従って、皮質及び海綿質においてインビボでは唯一の速度の測定値を得ることができた。最大及び最小速度は信頼性に決定することはできず、従って異方性の正確な予測は不可能であった。更に、最初の装置は使用するのに面倒で、時間がかかった。最後に、当初のUCR装置により示された疾患に伴なう超音波速度の変化の度合いは前記のように僅かであり、閉経後の骨粗鬆症における値は正常な閉経前の婦人の値より約13%低かった(Antich等、J.Bone Miner.Res.8:301−311,1993)。
【0031】
使用される用語「放射(emitting)」は超音波伝送器による超音波又はパルスの伝達を表わすために使用される。本明細書で使用される「受信(receiving)」の用語は物質により反射される超音波圧力パルス又は波の超音波受信器による受信を表わすために使用される。伝送器及び受信器は一緒に、波が標的に直接当り、そして/又は、標的の点又は面であってもよい、標的に当る前に、波が超音波伝導性又は伝達性物質を横切るかどうかに拘わらず、標的物質から反射される超音波を放射し、そして受信することができる「変換器」を形成するものとして説明される。
【0032】
本明細書で使用される用語「臨界角反射」は、そこで反射された超音波が超音波伝送器の方向に戻って進行し、受信器アレー又は単一の受信器により検出される、標的に当った後に、超音波伝送器から放射される超音波の反射を表わすために使用される。臨界角反射として標的から反射される超音波を受信又は検出するためには、超音波の受信器は、超音波伝送器に又はその周囲にある、例えば、その中央領域の要素が概括的に伝送器及び受信器の共通の中心である標的の方向にある。
【0033】
受信器のアレーは受信された超音波の少なくとも1種の特徴、例えば、受信超音波の振幅及び相を決定するように作動する1以上の信号分析装置に接続されている。受信器はデータを分析装置、例えば、受信した超音波の振幅、最大、最小(集合的に「極値」と呼ばれる)のようなパラメーター及び様々な速度を決定するために使用されるエッジ(edges)及び/又は標的物質の機械的特性の予測値に対して2以上の受信器からのデータを獲得し、処理しそして/又は保存するコードセグメントを含むコンピューター、に伝達する。相に関しては、相が最初にゼロから著しく偏る入射角のようなパラメーターもまた獲得され、処理されそして/又は保存され、そして標的物質の機械的特性を計算しそして/又は予測するために使用されることができる。
【0034】
受信アレーから獲得されるデータを使用して、本発明はまた、受信アレーにより獲得されるデータから例えばコンピューターを使用して「法線」の検出を決定し、獲得しそして自動化するためのシステム及び方法を含む。法線の自動化された決定は、標的、例えば、骨粗鬆症処置に対する薬剤又は骨喪失を誘起する可能性があるものを摂取している患者からの骨の表面に対する現在、過去及び未来の測定値の精度を増加し、それが現在及び未来の測定値において、検出装置と骨を関連づけるために、合理的な測定値の1組の使用を可能にする。法線はゼロ角度並びに、法線及び入射波(I)を含まなければならない放射面(又は散乱面)、を特定するために、法線の恒常的な、自動化された決定は重要である。面及びゼロが不正確に選択されると、角度が正確に測定されないために、得られる測定値はほとんど価値がないと思われる。本発明の方法及びシステムは法線の決定の精度及び速度双方を増加し、従って重要な標的のデータ、例えば、患者の待機時間の著しい減少を伴なう患者の骨の質の迅速で、正確でそして反復可能な測定及び計算を促進する。患者の処
理時間を短縮することにより、より多数の患者を処置することができ、1回の決定当りの経費を低減させる。更に、データをより正確に獲得し、処理することにより、患者のデータ、患者のコンプライアンスを改善し、そして患者の処置を改善するために減少した数の決定を必要とする。
【0035】
新UCR装置の全般的説明及び操作法
本明細書に開示された変換器は、測定を実際的にそして先行装置におけるよりより迅速にすることにより、超音波臨界角反射測定の方法を実施するようにさせ(Antich等、J.Bone Min.Res.6:417−426,1991;Antich等、J.Bone Min.Res.8:301−311,1993)、六方向に対称性であると推定される骨の異方性を明白に考慮するように方法を拡大する。本明細書に開示される装置は骨の多数の部位で測定を実施するようになっている。同定の部位に対して作製される時は、同様な基礎的特徴物を包含するが、装置のサイズはずっと小型であるにちがいない。
【0036】
図1及び2は本発明の反射装置及び方法の概括的臨界角を表わす。図1は伝送器12及び2以上の受信器(16a、16b)を含む受信器アレー14として働く超音波変換器10を表わす。角度θをもつ超音波(I)は硬い標的22(例えば、骨組織)に当る。便宜上、伝達波の進行方向により特定される面は、伝送器12及び受信器アレー14に対する焦点32を含む標的24の表面に対する法線(N)から特定される。反射された(R)超音波は、前以て特定された角度θにより分離される、前以て特定された標的の角度θを伴なって受信器16a、16bに到達する。
【0037】
図2は、伝達された波(I)が軟い層22(例えば、皮膚のような軟組織)を横断後、標的24に接し、そして伝送器12及び受信器アレー14の焦点32の周囲にある焦点32に当った後に、奇数の受信器16a〜16iを含む代わりの受信器アレー14を示す、本発明のもう1つの態様を示す。受信器アレー14は圧力波が軟い層22を横断後、標的24からの反射波Rを同時に検出する。
【0038】
図3は標的24と密着している、UCR測定の準備ができた変換器ヘッド10の断面を示す、本発明のもう1つの態様の図による解釈である。変換器ヘッド10の中心の要素は伝送器12及び、受信器アレー14中の2以上の受信器16a、16bを含む受信器アレー14(超音波要素12、14を備える)である。変換器12は、図2〜4に示されるように、ここでは患者の接合面20が検査下の骨組織24において、又はその周囲で軟組織22(例えば、皮膚)と接して表わされている、ハウジング18又は容器中に封入された2個の超音波要素(12、14)を備える。1例において、単一要素の伝送器12及び48−要素の受信器アレー14は別個である。双方は120度にわたり、共通軸をもつ直円柱の部分である。軸部分の中点は変換器要素12、14の名目上の中心である。2個の超音波要素12、14は、超音波伝導性物質26(例えば、水)で充填され、超音波要素12、14の共通の中心又は焦点32が窓28を越えて例えば、約1.5cm飛び出すような形態で、例えば、ラテックス膜30により覆われた窓28中で終結する、例えば、防水の硬いハウジング18内に固定された幾何学構造を伴なって固定することができる。法線Nは焦点における骨の表面に対する垂線として図1及び3に示されている。
【0039】
操作時には、超音波伝導性物質26は重力により制御される僅かな圧力下にあり(例えば、支持土台(図3には示されていない)上の変換器ヘッド10より僅かに高い高度に配置された水のレザボアにより)、そしてラテックス膜30が窓28の枠を越えて例えば、0.5cmまで膨張する。ラテックス膜30の膨らみが患者の軟組織22(検査されている骨と重なっている)と接すると、変換器の共通の中心32は軟組織22下の深部に推定される仮想地点である。
【0040】
1つは土台52に固定されたもの及びもう1つは変換器ヘッド10を支持する、平行四辺形の形状をした2個の部分を含むパンタグラフである、変換器ヘッド10のための配置アーム50は図5に示される。アーム54は例えば、土台52上に固定されたモーターにより垂直及び水平に(3自由度)動くことができる。アーム54は、変換器ヘッド10が超音波要素の中心と一致した固定点の周囲を旋回するように接合されている。このようにして、変換器ヘッド10の軸は固定点の周囲の任意の方向を採るように2自由度を伴なって回転することができる。
【0041】
検査中に、オペレーターは問題の部位(検査されている骨組織)上に変換器ヘッド10を配置し、変換器ヘッド10は変換器の中心が検査下の骨の表面にくるまで、コンピューター制御装置を使用してアーム54の精細なミリメーター未満の段階を使用してオペレーターにより前進される。この前進は踵に対しては0.5〜1cmに限定され、患者の皮膚は柔軟な膜に接触したままであり、枠又は硬い表面の他のどんな要素とも接触しない。例えば、測定されている足の突然の動きから起る過剰な圧力は前進を停止させ、ヘッドを退却させる。
【0042】
変換器ヘッド
超音波変換器ヘッドは例えば、PVDF(ポリビニルジフルオレン)基材に基づいて構築された2個の要素を備える。伝送器として使用される要素は単一であり、中心から大きい範囲の角度にわたり、ラテックスでおおわれた窓中で終結する。単一の共軸ケーブルが低電流(xA)、低電圧(xV)の1.5−MHz信号を発生器から伝送器に運搬し、1組の共軸ケーブルがその信号を受信器からデータ獲得システムに運ぶ。ヘッドの図は図3に示され、図の拡大詳細図は図4に示され、それは更に個々の受信器により獲得される信号を例えば、コンピューターに運ぶリード線又は接合体を含む。
【0043】
音響エネルギーを電気的エネルギーに平行移動するため及びその逆のために、超音波は伝統的にPZT(鉛ジルコネートチタネート)及び石英のようなセラミックス及び結晶を使用してきたが、PVDFは組織及び柔軟な皮に適するので、その特性において医学的超音波における使用に理想的に適する。更に、概括的に、伝統的なセラミックス及び結晶よりも取り入れることが安価で、容易である。当業者は例えば、データの精度、信号の強度を最大にし、そして/又は信号対ノイズ比率を最適化するために同定の標的に対して物質をいかにして適合させるかを知るであろうために、本発明は本明細書に記載の実際の物質に限定されない。PZTに比較して、PVDFは受信要素として2つの重要な利点を有する。それは生体医学の超音波の標準範囲を容易に網羅する広範な振動数応答(0.001〜1GHz)を有する。更に、それは水及びヒトの組織のインピーダンスに近い、低い音響インピーダンスを有する。それに対し、PZTは概して液体及び軟組織に連結するためには多数の適合層を必要とする高いQ物質である。
【0044】
本明細書に開示されたUCR変換器ヘッドにおいては、PVDFはまた、それを使用する作業及び受信器アレー中への取り入れの容易性のために、受信要素として使用することができる。フィルムとして、PVDFは様々な厚さで、従って様々な感度で得ることができる。市販の接着剤(微小測定値のAE−10の薄い膠付けエポキシ)の使用を伴ない、PVDFフィルムは本発明における非伝統的なデザイン及び形状の構造物を支持するために膠付けされた。更に、新規の検出要素を作製するためにPVDFフィルムを一緒に膠付けする独特な方法が開発された。更に、全波形受信及び優れたビーム形態のサンプリングの双方が可能な新規の超音波検出装置を作製するために、1D及び2D電気アレーにこれらの多層フィルムを結合するための方法が開発された。受信器アレーのパターンは例えば、0.005”の厚さのガラス繊維の銅張り板上にエッチングされる。一体式PVDF受信器のアレーは、ヒトの軟組織に良好に適合する、PVDFの固有の電気的特性に良好に適合する、特別にデザインされた、多チャンネル増幅器及びデジタル化システムと一体化
される。
【0045】
UCR測定値の精度を改善し、自動化するために、本発明のシステムが開発された。超音波ヘッドが各測定部位において、骨の表面に垂直に配置される時に患者のコンプライアンス及び再現可能な測定が最良に達成されることが発見された。本発明のシステムは伝送器の中心の周囲に2種の、1つは縦の、及び他方は横の、直交する回転(旋回)運動を使用することにより患者のコンプライアンス及び再現可能性の目標を達成する。これらの運動は通常の配列のために最少の条件を提供することが認められた。縦の回転は第1は土台の軸に結合し、第2は変換器ヘッドに結合された2種の平行四辺形を含むことができるパンタグラフ機構を使用して実行される。その機構は例えば、1以上のA−max 12V−DCギアモーター(Maxon Precision Motors,Inc.,Burlingame,CA)により駆動される。アームの実際の角度の位置は角度の0.9分の有効角分解能(MOA)に対して24,000ステップ/周期(revolution)の光学的エンコーダー(モデル755A−高精度、Encoder Products Co.,Sagle,ID)を使用して読み取られる。運動の範囲は垂直の中心位置から±45°である。
【0046】
横の回転は土台の軸により実施され、変換器ヘッド及びパンタグラフ機構双方を含む。駆動機構は精密回転テーブル(モデル200RT、Parker Hannifin Corporation, Daedal Division, Irwin,PA)及びモーター/光学的エンコーダーアセンブリーを含むことができる。横の回転のための角度分解能は0.12MOAであり、運動の範囲は±180°である。
【0047】
これらの2種の旋回運動に加えて、異方性の測定には表面の法線の周囲の第3の回転が必要である。その運動は2.16MOAの角度分解能及び±180°の運動範囲に対して同様なMaxon 12V DCモーター及び10,000ステップ/周期の光学的エンコーダー(モデル260 accucoder,Encoder Products Co.,Sagle,ID)を使用して実施することができる。
【0048】
機構の機械的精度を確保するために、すべての回転部品に対して精密ボールベアリング(ABEC 3)を使用することができる。測定される表面上の走査は直交座標系の軸に沿って配向された3本の直線運動を必要とする。各運動はMaxon 12V DCモーター及び精密ボールスクリュー及びナット機構により駆動される精密リニアボールベアリング及び軸を使用して実行される。各運動要素の位置は1.25μmのリニア分解能を提供する4,000ステップ/周期の光学的エンコーダーにより読み取られる。
【0049】
従って、合計6自由度(DOF)、3平行移動及び3回転が超音波変換器ヘッドの正確な配置のために実行される。各6DOFの運動はPCI−Flexmotion運動制御カード(National Instruments,Austin,TX)を使用して制御される。このカードは各軸に対しPID閉鎖ループフィードバック制御アルゴリスムを使用し、複雑な3Dの軌道の実行を可能にする。
【0050】
制御アルゴリスムは「誤差」(同定の時点の実際の位置と要求される軌道上の所望される位置間の相異)をモニターし、誤差が直線運動に対しては1mm、そして回転に対しては1°に設定される閾値より大きくなると、それが装置の運動を停止するであろう。従って、変換器ヘッドのプログラムされた軌道の正確な実行が恒久的にモニターされる。
【0051】
更に、圧力センサーが患者と変換器ヘッドの弾力性の膜の間の接触力をモニターする。接触力が例えば、患者の突然の動き又は変換器ヘッドの軌道のプログラム作製のエラーから10Nより大きくなると、測定される表面に対する法線の方向に沿って変換器ヘッドが
引っ込み、それにより検査されている被験者に対する可能な傷害を防止する。更に、運動制御カードは、機構により与えられる最大力が20Nを超えることができないように、電気モーター755A−により発生されるトルクを制限する。
【0052】
UCRデータ収集システム及びモーター制御電子機器
UCRシステムを作動させるために要する電子機器はすべて、それを移動性にさせるための車輪をもつ、1個の32インチ(81.3cm)の高さ、19インチ(48.3cm)の幅のリレーラック中に含まれる。机上の高さはラック上にモニター及びコンピューターのキーボードを固定させ、そしてすべての機器は120−ボルトで、サージ保安された、ラックマウント式電源コードに接続される。以下の6基の装置を含むシステムには、ラックマウント式の5個のモジュールが存在する:
(1)コンピューター
コンピューターは4個のPCIスロット及び1個のISAスロットをもつ1.3GHz
AMD Athlonマザーボードを有する。それはPC100メモリーの512MB及び10GBのハードドライブを有する。それは遅延モジュール(後に説明される)及び、データ収集モジュールにそしてそれからデータを移動するためにアドレス及びデータラインを本質的にバッファーする、独自のISAバスインターフェースカードと連絡するために使用されるPCIバス、48−ビットのデジタルI/Oカードを含む。PCIのGPIBカードは伝送器をプログラムするために使用され、6個のDCモーターを制御し、UCRシステムにおいて運動を提供するために使用されるエンコーダーを読むPCIカードが差し込まれる。コンピューターは7−インチ(17.8cm)の高さの工業用ラックマウント式ケース内にある。本発明による使用のための1以上のコンピューターは概括的に、データ収集、通常の獲得及びアームの配置、データの保存、データの処理を可能にするコードセグメント並びに、使用者に測定サイクルを開始させ、データ収集及び捕捉を実行させ、データ及びグラフを解釈させ、そして/又は即時の分析、経時的分析、他のデータとの統合及び/又はデータのエクスポートのためのフォーマットでデータを出力させる使用者−インターフェース、を含むであろう。
【0053】
(2)データ収集モジュール
データ収集モジュールは7インチ(17.8cm)の高さのケース中に固定され(図6)、UCR受信器からの信号をデジタル化させるために開発された1組の独占的カード上の信号と合致するように再特定されたコネクターピン数をもつ12−スロットのISA受動バックプレーンであることができる。図6には本発明による使用のためのアナログからデジタルへのカードの1例が示される。
【0054】
A/Dカードは1ボード当り合計8チャンネルに対する4種のデュアル8−ビットのアナログ−から−デジタル変換装置(Analog Devices AD9059)を含むことができる。1例において、システム当り6ボードが存在し、コンピューター中でISAバスインターフェースカードを介する分析のためにコンピューターに送られるデジタル化データの48チャンネルを与える。すべての6A/Dカードは、40−MHzのクリスタル制御されたマスタークロックから作動させて、すべてのA/D変換装置がその信号の同一地点でデジタル化を開始することを確保する。これはポイント分解能当り25ナノセカンドを与える。64の8−ビットポイントが獲得サイクル当りにコレクトされる。すべてのA/D変換装置からのデジタル化データは2バイトに編成された16ビットの幅であるデュアルポートスタチックラムチップ中に同時に読み取られる。デュアルA/D変換装置の半分は上部バイト中に書き込み、そして他の半分は下方のバイトに書き込む。この配列がより早い処理量のために一度に2チャンネルからデータを移送させるために、16−ビットのISAの使用を可能にする。データはラムチップの一次ポートに保存され、12−MHzのISAコンピューターバスにより二次ポートから読み出される。データはIBMコンピューター・アーキテクチャー中の追加カードのために保存された空間であるロ
ケーションC000hにおける外部メモリーとして単に読み取られる。コンピューター中のもう1つのボードと抵触する場合は、DIP−スイッチがこのアドレスを変更することができる。
【0055】
読み取り及び書き込みアドレス機能は受動バックプレーン上のアドレスデコーダーカードにより実施される。アドレスデコーダーカードはラムチップのためのマスタークロック及び書き込みアドレスを発生し、そして更に各ボードのためのメモリーアドレスをデコードする。獲得シャシ中のデコーダーカードは50−ピンのリボンケーブルによりコンピューターシャシ中のISAバスインターフェースカードに接続される。より一般に使用される切り替え調節装置の電力供給体により発生されるノイズを排除するために、すべての6A/Dカードにより要求される1アンペア、マイナス5ボルト及び10アンペア、プラス5ボルトを供給するためにリニアタイプの電力供給装置が使用される。
【0056】
(3)伝送器
UCR変換器の送信部分を励起するために使用される伝送器は2個の構成部品、ラックマウント式の統合された(synthesized)機能の発電機(Stanford Research SystemsモデルDS345)及びその24−ボルトの電力供給を伴なうラックの背部に固定された、Mini−CircuitsモデルZHL−32A
RF電力増幅装置、を含む。当該伝送器の構造は50−オームのロードにバーストされる24−ボルトのピークからピークの、3−サイクル、1MHzの正弦波を発生する。伝送器は1つのPCIスロット中に固定されたGBIBインターフェースを介してコンピューターによりプログラムされる能力を有する。
【0057】
(4)前置増幅アセンブリー
前置増幅器の機能はA/Dカードの100−ミリボルトのピークからピークのインプット感度に適合するようにUCR変換器の受信部分からの低レベル(ミリボルト範囲)信号を増幅することである。A/D変換装置は各A/DインプットにおいてX10増幅装置により例えば、1−ボルトの感度を有する。前置増幅装置は100(40dB)の増幅率をもち、それは合計1000の増幅率を与える。総計48チャンネルに対し、システム中には6ボードを伴ない、1ボード当り8チャンネルが存在することができる。各チャンネルはA/Dカードのインプットインピーダンスに適合させ、前置増幅アセンブリーを隔離することによりグラウンド・ループを防止するために50−オームパルスの変換装置を含む。前置増幅装置(Analogu Devices AD844)のインプットインピーダンスは受信器構成物中に使用されるPVDFフィルムの高いインピーダンスに適合するために10,000オームに設定される。図示されるように、前置増幅カードは内蔵されたリニアの、プラス及びマイナス15−ボルトの電力供給を伴なう、EIA−標準サブ−ラック中に固定される。インプットコネクターはA/Dカードインプット上のコネクターと同様な標準DB37Sである。
【0058】
(5)モーター制御装置のシャシ
UCRシステム中にはプラットホーム、アーム及び変換器アセンブリーの運動を制御するために使用される、それぞれそれら自体の配置エンコーダーを伴なう6個の12−ボルトのDCモーターが存在する。モーター制御装置のシャシはコンピューター中に、電力供給装置、モーターのための駆動装置及びモーター制御ボードへのインターフェースを含む。モーター駆動装置は直接結合形態に使用されるNational Semiconductor LM1875電力増幅装置である。この配列は任意の速度の時計回り及び反時計回りの回転を可能にし、4−相の配置エンコーダーが正確な配置を提供する。
【0059】
(6)プログラム可能な遅延ジェネレーター
それはコンピューター中のPIOカード上の8−ビットポートのうちの3ポートにより
プログラムされ、伝送器を発射するソフトウエアの指示とデータ収集を開始する信号間の遅延を単に設定する。変換器ヘッド中に封入される水中の音速は、直接補正することができる温度により、毎秒約1.5Kmである。データ収集は超音波の適切な伝達を可能にするために遅延される。前記の配列は伝達信号及び受信信号間のすべての不感時間のデジタル化を妨げる。カウンターは100−ナノセカンドの分解能を伴なって4096マイクロセカンドまでプログラム可能である。それは3個の74F163の前以て設定可能な2進カウンター及び10−MHzクォーツ時計を含むことができる。それはラックの背部に電力供給体を伴なう小型シャシ中に収納される。
【0060】
データ収集の操作の説明
拡張可能な多チャンネルデータ収集システム(SMDAS)は標準の超音波振動数範囲(50kHz〜10MHz)におけるデータを収集するための高振動数デジタルシステムである。SMDASハードウエア構成部品は概括的に2段階:前置増幅及びデジタル化をもつ多チャンネルを含む。システムは例えば、8チャンネルの粒度で拡張可能である。
【0061】
SMDASは低コストの8−ビット、60−MHzのアナログからデジタル変換装置に基づくトリガーを伴なわないコンピューター制御システムである。伝統的なUCRは3サイクルの4−MHzパルスを使用したので、これらの信号の10倍の過剰サンプリングを可能にするように、40−MHzのソリューションが選択された。64サンプル(1.6μs)のサンプリングメモリーは各チャンネルに十分な記憶(storage)を提供する。各チャンネルは同定の入射角に対して写像するので合計48チャンネルが選択され、問題の固体(solids)中で40度未満の角度に対してすべての圧力の臨界角度及び2−ガンマの剪断動力学が起る。
【0062】
デジタル化サブシステム
デジタル化の中心は毎秒4千万サンプルの割合でサンプリング可能なデュアルチャンネルICパッケージのAD9059(Analog Devices,Norwood,MA)である。外部参照電圧をこのチップに適用することができるが、AD9059はまたコンパレーターの内部パイプラインを作動するために必要なレベルを自己発電することができる。自己参照が可能なため、AD9059は1.5〜2.5ボルト間の電圧範囲をもつ2種のシングルエンド型インプットを受信する。TTL互換性時計でサイクリング時に、AD9059上の16デジタル出力ピンが2インプットチャンネルに対して8−ビットのデジタルサンプルを出力するであろう。デジタルクロストークは無視できるが、AD9059は1.5ビットのノイズをもつと見なされる。8チャンネルに対し、2層にプリントされた回路基板がデザインされ、ワイヤラップ試験され、2チャンネルの4種の独立したサブシステムを収容するように構成される(Alph Printed Circuits,Mesquite,TX)。各AD9059に対して、原則的に128バイトのみのメモリーで十分であるべきであるが、2チャンネルに対して64サンプルを記録するために〜25nsのアクセス時間をもつ16−ビットのデュアルポートのスタティックRAM(CY7C133,Cypress Semiconductor,San Jose,CA)が使用される。PCBはDB37Fコネクター(Amphenol,Wallingford,CT)を備え、各チャンネルはPCB上のトレースと関連するノイズを回避するために共軸のワイヤによる前置増幅段階にルートされる。
【0063】
デジタル化の前に、各チャンネルは10の増幅率をもつ操作可能な増幅装置(CLC440,ComLinear/National Semiconductor,Santa Clara,CA)を通過する。増幅段階はすべてのインプットが50オームのインピーダンスであることを期待する。各ボードは別個のコンピューターシャシ中に固定された14−スロットのISA標準バックプレーン(JDR Microdevices,San Jose,CA,部品番号BP141)中に嵌合するようになっている98−ピン
のオンボードエッジコネクターを有する。各ボードに対し、更に、与えられるカードからの読み取りのために必要な、選択可能なボード認識ジャンパーが存在する。更にバス中の特別のデコーダーボードは128バイト(0×080h)の段階で、幾つかの選択可能なベースアドレスに対するメモリーアドレスと各デジタル化ボードを結合する。デコーダーボードは順次、コンピューターシステムのISAバス上のバッファーボードに平行リボンケーブルで接続される。ベースアドレスが×86アーキテクチャーの高メモリー領域(すなわち、0×D0000h〜0×E0000h)中にあるように設定される場合は、この形態は各個別のチャンネルに対してメモリー中に保存されるサンプルへの直接のメモリーアクセスを可能にする。2−バイトの読み取りが使用される時は、データは2チャンネルに対して同時に読み取られることができる。当初のデザインでは、サンプリングはベースアドレスへのメモリー書き込みにより開始された。メモリー読み取りは、最近のマザーボード上では12.5MHzに最大化された、ISAバスのクロッキングにより時間が制限されることに注意しなければならない。
【0064】
前置増幅サブシステム
デジタル化サブシステムはいくらかの増幅を含むが、しばしば、変換器からの信号を更なる増幅で調整することが必要である。同定の変換器により、特に高インピーダンスのポリマー基材の圧電システムに対してはインピーダンスマッチングを伴なう問題も存在するかも知れない。高インピーダンスのインプット増幅システムがデザインされ、44−ピンのEIAカードのサブラック(Vector Electronics,North Hollywood,CA)の周囲に構築された。各増幅カードはPVDF変換器からの信号を理想的に増幅するために、高インピーダンス作動増幅装置(Analog Devices,AD844)を使用する。10,000オームのインプットインピーダンスに対して100の名目増幅率により、これらの増幅装置はまた、インピーダンスのミスマッチにより起る可能性がある振動に抵抗する。AD844は300MHzを超える帯域幅−増幅率プロダクトを有するので、典型的な超音波振動数においては信号の歪は無視しなければならない。各チャンネルの出力は破局的グラウンド・ループを防止するために接続された変圧器(Mini Circuits,Brooklyn,NY,部品番号T1−1)である。EIAラックは絶縁共軸ケーブルにより、デジタル化サブシステムを含むシャシに接続されている。
【0065】
信号発生及びタイミング
パルス発生及びサンプリングの開始間の正確なタイミングをもつために、最初のSMDASのデザインはほとんど又は全くオーバーヘッドをもたないコンピューターシステムをもつことが必要であった。1.6μsのデータ収集窓により、リアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)により正確なタイミングを保証することができると考えられる。Windows(Microsoft,Redmond,MA)又はLinuxブランドのオペレーティングシステムを使用して、システムタイミング粒度は1ミリセカンドの次元にある。高価な封入溶液を使用するよりむしろ、産業で標準のオペレーティングシステムの柔軟性を保持し、信号発生とサンプリングに対するタイミングを注文に応じた外部モジュールに移動させた。タイミングモジュールはラックマウント可能なケース中に包含される。それはPIOカード(PCI−DIO48H,Measurement Computing,Middleboro,MA)からのデジタル出力によりプログラム可能な、10MHzで作動する3個の4−ビットの2進カウンターを含む。10MHzで12ビットのプログラム可能性は409.6μsの遅延範囲に変換する(translate)。水及び軟組織中の典型的な超音波の速度に対して、この窓は60cmまでの伝播と見なす。パルス発生装置の放電(firing)が開始された後に、カウンターはそれらのプログラムされた遅延を完了し、次にTTLレベルの信号がサンプリングを開始するためにDAQシャシ中のデコーダーボードに外部共軸ケーブルを介して伝達される。
【0066】
データ収集のためのソフトウエア
SMDASソフトウエア構成部品は例えば、SMDASハードウエア構成部品にアクセスするための数層のライブラリーを含む。SMDASソフトウエアは数層のシステムのプログラム作製においてエントリーポイントを提供し、それにより適用の開発及び未来のシステム統合のための最大の柔軟性を提供する。
【0067】
メモリーマッピング
サンプリングされたデータを含むデータ収集ボードのメモリーは、デザインされたように、Intelの×86アーキテクチャーの上部メモリー領域中の物理的メモリーアドレスにマッピングされる。このアドレスで読み取り、様々なアレー中に情報を保存することにより、サンプリングされたデータは複雑な通信又はシステム駆動装置の必要を伴なわずに、ボードメモリーからシステムメモリーに移動させることができる。サンプリングされたデータの読み取りは最終的にはISAバス上で多重化されるので、バスの帯域幅を最大にするために2−バイトのワードで読み取ることがもっとも効率的である。移動後に、8−ビットのサンプルを分離しなければならない。Pentium(Intel Corporation,Santa Clara,CA)又はAthlon(AMD,Sunnyvale,CA)クラスのチップのような現代のマイクロプロセッサーにおいては、この分離は1クロックサイクルの命令で達成しなければならない。16−ビットのワードからより高い又はより低い8ビットを引き出す(extract)ためには任意のビットシフト(バレルシフトとしても知られる)又はビット様ANDオペレーションを使用することができる。
【0068】
メモリーマッピングされた読み取りを容易にするために、Cプログラミング言語を使用するVisual Studio Professional 6.0(Microsoft Corporation,Redmond,WA)を使用して、ダイナミックリンクトライブラリー(DLL)が作製された。この低レベルのライブラリーは上部メモリー領域(無署名の短いint lv48chdaq(int addr))中の任意のアドレスにおける2−バイトのワードを読み取るための機能並びに上部及び下部サンプル(無署名char left/right(無署名の短いint a))を引き出すための2機能を提供する。このポータブルDLLは例えば、様々なプログラム言語中で開発されたWindowsの適用に関連付けることができ、そしてメモリーアドレス中をサイクルすることにより、すべてのサンプリングされたデータは分析のため又は保存媒体に保存するためにシステムメモリーに移動させることができる。
【0069】
ノイズの減少
その迅速な開発スキーム、その使用の容易性及び産業の基準としてのその認識のために、視覚的プログラム作製環境LabVIEW(National Instruments,Austin,TX)をデータ収集ソフトウエアの開発のために選択した。将来の適用のための柔軟性を最大にするために、特別のグローバルVIがすべての構成部品に共通のパラメーター(すなわち、チャンネル数、ベースメモリーアドレス)を含むボトムアップのアプローチを使用して「仮想装置」(VI)の中間ライブラリーを開発した。
【0070】
最下レベルでは「2チャンネルをダウンロード」VIが前記のDLLに付けられ、そしてシステムのメモリーに128バイトを移動するための適当なメモリーアドレスをとおってサイクルされる。各チャンネルは無効な(disabled)前置増幅段階により測定可能な反復可能な誤差又は空のインプット(open inputs)を有する。この残余の平均のフーリエ(Fourier)分析は40MHz及びその低調波における寄与を示す。これはバッファーメモリーに対するアドレスライン上のシールドの欠乏による対照電圧ノイズと完全に一致する。6アドレスラインが必要であるため、基本波及び5種の低調波(20、10、5、2.5及び1.25MHz)でノイズを見出すことに驚くには当
らないであろう。
【0071】
「2クリーナーチャンネルをダウンロード」VIはサンプリングされたデータからこの反復可能な信号を差し引き、生成されるノイズは製造会社の規格と一致する。適用はこれらの平均背景波形自体を生成するか又は「平均背景波形を校正する」VIにより作製されるデフォルト(default)を使用することができる。「nクリーナーチャンネルをダウンロードする」VIは多チャンネルを64マトリックスだけnにパッケージする。
【0072】
AD9059のパイプライン・アーキテクチャーは1−MHzの最少サンプリング速度を要する。より遅い速度においては、内部レジスターは劣化し、サンプリングは極めて不正確である。64の2−チャンネルワードの1ブロックの移動はISAバスの速度(10MHzの次元)で起るので、連続的収集のために有効な速度は200kHz未満である。従って、各チャンネルの各収集の最初の5サンプルは疑わしい可能性がある。タイム遅延サブシステムの粒度は0.1μsであるので、最初の8サンプル(0.2μs)をドロップすることが好都合である。
【0073】
多フレーム収集
この中間ライブラリーの真の価値は64サンプルにより与えられる1.6μsより大きい時間窓を構成するその能力である。定常状態の動力学を使用する1決定法において、それらが経時的に適当に整列するように連続的収集間の遅延時間を調整することができる。「収集」VIは「遅延時間を設定」VIを使用して、「nクリーナーチャンネルをダウンロードする」から連続フレームを形成する。その過程を何回か繰り返し、各連続的収集が前の組みのデータに追加される。Nチャンネル及びM1.4μsのフレームの生成されるアウトプットはディメンションN×(56×M)のマトリックスを与える。データ収集過程中の速度限定段階はISAバス中の情報の移動であることに注意しなければならない。フレーム及び時間窓数の増加は、概括的に直線速度で増加する走査時間を増加する。
【0074】
確率論的フレーム収集
幾つかの撮像状況において、連続的時間フレームの整列は偽信号をもたらすであろう。この問題は特に、初期のパルスからの二次的反射又は残響が後のフレーム中に捕捉される場合のシナリオ中の大きいブロックの時間(100μsの次元)で明白である。これらの信号は平均を採ることにより除去することはできない。これらの望ましくないデータを最少にするために、確率論的方法で多数のフレームを収集することが時々必要である。与えられた時間窓に対して1.4μsのフレームが枯渇するまでリストからアトランダムに選択され、窓を充填する。この方法を繰り返し、平均すると、別々のフレームパルスからの相互相関された信号を排除することができる。
【0075】
操作においては、本発明のシステムは図7のフロー図70中に要約される。段階72において、超音波又はパルスが標的、例えば、骨の方向に伝達され、段階74で、反射された信号が2以上の受信器により捕捉される。受容体から収集された信号に基づき、法線が発見されたかどうかの決定を段階76で実施し、それは変換器を動かすように接合アームに指示するか又はデータ収集を開始するコンピューターにより実施される。法線が発見されると、次に最終データ収集段階78において、標的からの最終データを同時に収集し、結果はアナログ信号又はデジタル同等物として保存される。最終収集段階78から収集されたデータに基づき、段階80で最大(Emax)及び最小(Emin)弾性係数が計算されて、標的の反射測定データを決定し、段階82で、それから異方性を計算することができる。最後に、生のデータ、処理データ及び/又は計算結果を保存し、処理し、表示し、印刷しそして/又は初期の又は後の標的データ及び計算値に比較して、使用者に有用な結果を提供することができる。
【0076】
図8中のフロー図90で、例えば、骨粗鬆症をもつ患者の処置のための決定を実施するための反射測定収集変換器、方法及びシステムが使用される。段階92において、骨、本実施例では踵において法線が決定される。法線を収集すると、変換器が臨界UCR測定値を採る。段階96で起る、患者が同時に又はほぼ同時に処置計画を開始する場合は、段階98でその後の測定値を時間を空けて(医師の指示及び処置の種類に応じて例えば、毎週、半年毎、又は毎年)採取される。患者の処置の前(段階94)及びその後の処置(段階98)からのデータを収集し、処理し、そして/又は患者のデータとして保存する(段階100)。次に測定値、データ及び処理された患者の情報を段階102で正常な患者のデータと、そして同一及び/又は他の患者からの同一又は他の処置からのUCR測定値と比較し(段階104)、段階106で患者が改善しているかどうかを見るための決定が実施される。患者が改善している場合は、処置を維持することができ、そして必要な場合にはその後のUCR測定値を採取して患者の予後をモニターする。患者が改善していないか又は悪化している場合には、医師は処置の変更を指示することができ、患者はモニター計画に復帰される。骨の喪失の誘起又は骨質の損傷を疑われる同定の処置、例えば、ステロイド、大量投与フッ化物及び抗痙攣剤の効果を追跡するために同様なフロー図を使用することができる。
【0077】
骨の表面に到達されると反射信号の収集が開始する。この時点は、すべての角度にわたり反射信号中の突然の増加により操作により特定される。次にオペレーターは法線を正確に同定するための一連の自動化段階を開始する。これらの段階は骨の表面上の少なくとも2種の直交方向からの反射される角スペクトルの収集を制御する。各方向に対し、法線の面は統合された信号が最大になるまで変換器ヘッドを傾けることにより発見され、すなわち2枚の直交面の交差部が法線を特定する。次に反射スペクトル(すべての受信器要素における信号)を、第1の臨界角が最小であり、最大が骨の2本の主軸を同定する、2方向で、120度にわたり、15−度の間隔で法線の周囲にヘッドを回転することにより得る。
【0078】
UCRからの骨質のキーインデックスの計算
一般的実施において、検査されている骨組織の3種の離れた領域で測定を実施する。各部位において、120度にわたり多数の臨界角速度(v)を得る。vに対するデータは数学的に方程式:v=a+bx+cx(ここでx=cos(配向)であり、vは1g/ccの密度に対して正規化された(normalized)弾力性である)に当てはめられる。生成されるグラフから海綿質及び皮質の最小(Emin)及び最大(Emax)弾力性が骨物質の質の指標として計算される。(これからは、「弾力性」の用語は「弾性係数」の用語と互換性に使用されるであろう)。vデータの曲線の下方面積から「集積(integrated)」又は「平均(mean)」弾力性(Eint)が計算される。Eintは本質的に平均速度の二乗と同一である。異方性(A)は対応する最大及び最小弾力性の比率として計算される。
【0079】
新UCR装置の臨床応用
(1)骨粗鬆症のビスホスホネート処置期間中の無力骨疾患の発症
ビスホスホネート(例えば、Fosamax(R)及びActonel(R))は世界中で閉経後骨粗鬆症の処置に広範に使用される。この処置は骨密度を増加し、骨折を減少することが知られている(Liberman等、N.Engl.J.Med.333:1437−1443,1995)。本剤の主要な作用は骨の吸収(破壊)を妨げることである。処置の最初の1〜3年間に骨吸収の低下に遅れる骨形成の二次的減少が起る。この期間中に、骨質量の増加率が増加した骨密度をもたらす。骨折の阻止は骨密度のこの上昇に起因されてきた。しかし、実験動物における研究から、ビスホスホネートが、微小な損傷を誘起し、骨質を危うくする可能性がある骨の代謝回転の著明な抑制をもたらす可能性があるという懸念が持ち上がった(Li等、Calc.Tissue Intern.,6
9:281−286)。更に、ヒトにおいて、慢性のビスホスホネート処置は骨の代謝回転の著明な抑制から骨質を損傷し、そのため長期のビスホスホネート処置後に骨折率の増加をもたらす可能性があることが示唆された(Ott,J.Clin.Endo.Metab.86:1835,2001)。
【0080】
以下に要約される研究は、本明細書に開示された装置、方法及びシステムを使用して、ヒトにおいて、このような合併症が起り得るかどうかを決定するために実施された。本発明を使用して、長期のビスホスホネート処置が「無力骨疾患」、細胞活動の実質的な不在を伴なう骨の代謝回転の著明な抑制を示す骨の組織学的状況、を誘起することが発見された(Odvina等、J.Bone Miner.Res.,2003年9月刊行予定)。
【0081】
3〜7年間、長期ビスホスホネート処置を受けてきた後に、骨折を発症した6人の閉経後骨粗鬆症の婦人(49〜76歳)で腸骨間稜骨生検を実施した。3人の患者はビスホスホネートの外に、ホルモン代用治療、2人はプレドニソン(一人は繊維筋肉痛のため、他方は喘息のために)、4人はビタミンDそして6人全員がカルシウムサプリメントを採っていた。骨折は1人の患者で指に、3人に骨盤、1人に腰骨、1人に足、そして2人に大腿骨に起った。4人の患者において、ビスホスホネート処置下に維持された3カ月〜2年間に、骨折の治癒(座骨、大腿骨、骨盤の)の遅れを示したために、骨の生検を得た。2人の患者においては医師が無力骨疾患の疑いの兆候が高いと感じたために、骨折(仙骨、恥骨枝、肋骨)を発症した直後に生検を採取した。
【0082】
海綿質の組織形態計測学的所見は表1に要約される。図9A及び9Bに示すように、骨形成は低い骨芽細胞表面(Ob.S/BS)及び2倍のテトラサイクリン標識(dLS)の不在及びすべての標本における不在もしくは減少した単一標識(sLS)を伴なって著明に減少していた。生検を得る前に、テトラサイクリンを10日間離して、2コースで投与した。テトラサイクリンは活性な骨形成領域で取り込まれ、紫外線照射下で黄色蛍光線を与える。図9A及び9Bは長期ビスホスホネート処置にある患者におけるテトラサイクリン標識の不在(9A)及び正常な患者における正常な標識(9B)を示す、紫外線照射下の単一の海綿質の顕微鏡写真である。テトラサイクリンの2コースは10日間離して投与した。テトラサイクリンは活性な骨形成の領域で取り込まれて、偏光顕微鏡下で黄色の線を与える。2標識間の距離は10日間に石灰化した新規の骨の量を表わす。テトラサイクリン標識の不在は著明に損傷された骨形成を示した。骨の再吸収(破壊)パラメーター(ES/BS及びOc.S/BS)もまた、3人の患者で減少した。同様な傾向が皮質(図示されていない)でも認められた。
【0083】
【表1】

【0084】
結果は、ビスホスホネートが著明に減少した骨形成により無力骨疾患を誘起する可能性があることを示唆している。「骨代謝回転」、骨の「古い」又は損傷部分が除去され、新しい健康な骨により代わられる過程も同様に著明に抑制されている。骨の代謝回転の慢性的抑制後に、骨の微細な損傷が蓄積する可能性がある(Li等、Calc.Tissure Intern.69:281−286,2001)。この説明は治癒の遅れを示す再発性骨折を説明することができる。
【0085】
(2)無力骨疾患をもつ患者間のインビボのUCR反射測定
骨の弾力性を、ビスホスホネート処置の撤退の8カ月及び12カ月後に、ビスホスホネート処置時に無力骨疾患をもつ以前の研究からの2人の患者において、新UCRにより踵骨内でインビボで骨の弾力性を測定した。本研究の開始時にはUCRは利用可能でなかった。前者の患者においては平均(積算)皮質及び海綿質弾力性は正常な閉経前婦人の平均からそれぞれ15.4%及び27.1%だけ低下していた。後者の患者においては、平均(積算)皮質及び海綿質弾力性は、ビスホスホネート処置停止後の欠陥骨質の最終的な是正を示す、正常な閉経前婦人における値の範囲内にあった。
【0086】
2人の患者において、いまだビスホスホネート処置下にある間に骨折を呈した時に、踵のUCR分析をインビボで実施した。平均皮質弾力性は正常な閉経前婦人の平均値に比較して25%及び26%だけ減少し、そして平均海綿質速度は16%及び15%だけ減少した。残りの2人の患者は他の場所で骨生検を受け、UCR測定に対して利用可能ではなかった。
【0087】
ビスホスホネート処置からの無力骨疾患をもつ患者における皮質及び海綿質の減少した弾力性の所見は、骨の異常な構造的混乱(組織形態測定学で示された)が損傷された骨質と相関することを強く示唆し、従って前記の仮説を確証している。
【0088】
(3)長期ビスホスホネート処置下の患者間のインビボの新規UCRによる損傷骨質の検出
本明細書に開示された新UCR装置を使用して、皮質及び海綿質の超音波弾力性をインビボの踵骨中で多方向で測定した。本発明を使用するUCR分析を14人の正常な閉経後の婦人、通常の処置下の閉経後骨粗鬆症をもつ9人(未処置PO)、及びビスホスホネート処置下(平均期間3.5年)にある25人で実施した。値は14人の正常な閉経前婦人
における値の百分率として表わした(表2)。正常な閉経後婦人においては軽度の減少(<5%)を認めたか又は全く減少を認めなかった。未処置閉経後婦人においては、弾力性の軽度〜中程度の減少(〜10%)を示した。ビスホスホネート処置においては、海綿質の弾力性(最大及び最小の双方)は約15%だけ有意に低下し、そして皮質の弾力性は約25%だけ減少した。皮質及び海綿質の異方性は最大弾力性のより卓越した減少のおかげで、ビスホスホネート処置期間中に減少した。従って、骨物質はこの処置後に異方性が少なくなり、骨の異常な特性を示唆した。積算皮質弾力性は、ビスホスホネート処置後の正常な閉経前値から皮質中で25.9%だけそして海綿質において17.5%だけ、有意に減少した。
【0089】
【表2】

【0090】
弾力性の低下の大部分はビスホスホネート処置の最初の3年間に起った。ビスホスホネート処置期間中、骨弾力性は図10に示したように、二重フォトンx−線吸収測定法により同時に得られた踵骨の鉱物密度とは独立であった。
【0091】
図10はまた、骨弾力性がビスホスホネートで処置された患者と同様に、ステロイドを摂取している腎臓移植をもつ患者においては骨弾力性と独立していることを示す。新UCRによる皮質の集積(平均)弾性係数及び二重フォトンx−線吸光光度分析法による骨密度はインビボの踵骨において同時に測定された。他よりずっと高い弾性係数をもつ2人の「異常者」が存在した。その1人はビスホスホネート処置が1年間停止されていた患者であった。他方においては、皮質の弾力性が広範な骨密度にわたりあまり変動しなかった。
【0092】
この所見はUCRが器官レベルで物質又は固有の骨質を測定するが、骨密度を測定しないという早期の結論を確証する(Antich等、J.Bone Miner.Res.,8:301−311,1993)。正常な閉経前及び閉経後の婦人並びに通常の処置下の閉経後の骨粗鬆症患者において、弾力性は骨密度と軽度に相関した。
【0093】
(4)新UCRにより示される腎臓移植における低下した骨質
腎臓移植を受け、ステロイドを摂取している9人の患者において新UCR装置を使用して超音波分析をインビボで実施した(表3)。腎臓移植、弱体化した骨と関連することが知られた状態及び骨折の傾向において、海綿質中の最大及び最小弾力性は正常な閉経前婦人に比較して15〜17%だけ有意に低かった。皮質の弾力性は25〜29%だけ減少した。最大弾力性の低下は最小弾力性の低下より著しく、そのため正常な閉経前状態に比較
して有意に低下した異方性をもたらした。所見はビスホスホネート処置の所見と明白に類似していた(表2対表3)。
【0094】
【表3】

【0095】
(5)徐放性フッ化ナトリウムによる処置後の改善された骨質
徐放性フッ化ナトリウムによる骨粗鬆症患者の処置は、当初のUCR装置により測定されると、海綿質速度を増加することが示された(Zerwekh等、J.Bone Miner.Res.6:239−244,1991;Antich等、J.Bone Miner.Res.8:301−311,1993、更に引用により関連部分が本明細書に取り入れられている、米国特許第5,228,445号明細書を参照されたい)。踵の超音波分析を徐放性フッ化ナトリウムによる処置後の骨粗鬆症をもつ8人の患者に新UCR装置を使用してインビボで実施した。この処置を受けている患者からの皮質及び海綿質の弾性係数は、正常な閉経後の婦人及び通常の処置下の閉経後の骨粗鬆症患者の値の中間にあった(表2対表3)。徐放性フッ化ナトリウム処置を受けている患者の異方性はそのままであることが認められた。従って、新UCR装置は、徐放性フッ化ナトリウムによる改善された骨質及び不変の異方性を検出することができる。
【0096】
本発明は具体的な態様に関して説明されてきたが、この説明は限定的意味で解釈することができることを意図されていない。説明を参照すると、本発明の他の態様のみならずまた、具体的な態様の様々な修正物及び組み合わせ物が当業者に対して明白になるであろう。従って付記の請求の範囲は任意のこれらの修正物又は態様を包含することが意図される。
【0097】
引用文献
米国特許文献
第5,038,787号 8/31/1991 Antich等
第5,197,475号 3/30/1993 Antich等
第5,228,445号 7/20/1993 Pak及びAntich
他の刊行物
Antich等、”Measurement of mechanical properties of bone material in vitro by ultrasound reflection:methodology and comparison with ultrasound transmission(超音波反射に
よるインビトロの骨物質の機械的特性の測定:超音波伝達による方法及び比較)”,Journal of Bone and Mineral Research,6:417−426(1991).
Antich等、”Measurement of intrinsic bone strength in vivo by reflection ultrasound:correction of impaired quality with slow−release sodium fluoride and calcium citrate(反射超音波によるインビボの固有の骨強度の測定:徐放性フッ化ナトリウム及びクエン酸カルシウムで損傷された質の是正)”,Journal of Bone
and Mineral Research,8:301−311(1993).
Li等、”Bisphosphonate treatment suppresses not only stochastic remodeling but also the targeted repair of microdamage(ビスホスホネート処置は確率論的レモデリングのみならず、微小損傷の標的の補修をも抑制する)”,Calcified Tissue International,69:281−286(2001).
Liberman等、”Effect of oral alendronate on bone mineral density and the incidence
of fractures in postmenopausal osteoporosis(閉経後骨粗鬆症における骨鉱物密度及び骨折の発生率に対する経口アレンドロネートの効果)”,New England Journal of Medicine,333:1437−1447(1995).
NIH Consensus Conference,”Osteoporosis,diagnosis and therapy(骨粗鬆症、診断及び治療)”,Journal of American Medical Association,285:785−795(2001).
Odvina等、”Adynamic bone disease during bisphosphonate therapy:should we be concerned?(ビスホスホネート治療中の無力骨疾患:心配するべきか?)”,Journal of Bone and Mineral Research(September,2003).
Ott,”Fractures after long−term alendronate therapy(長期のアレンドロネート治療後の骨折)”,Journal of Endocrinology and Metabolism,86:1835(2001).
Pak等、”Treatment of postmenopausal osteoporosis with slow−release sodium fluoride:final update of randomized trial(徐放性フッ化ナトリウムによる閉経後骨粗鬆症の処置:ランダム試験の最終アップデート)”,Archives of Internal Medicene,123:401−408(1995).
Richer等、”Impaired bone quality in bisphosphonate(BISPHOS) treatment and in renal transplantation(ビスホスホネート処置及び腎臓移植における損傷された骨質)”,Journal of Bone and Mineral Research(September,2003).
Zerwekh等、”Assessment by reflection ultrasound method of the effect of intermittent slow−release sodium fluoride−calcium
citrate therapy on material strength of
bone(骨の物質強度に対する間歇的徐放性フッ化ナトリウム−クエン酸カルシウム治療の効果の反射超音波法による評価)”,Journal of Bone and Mineral Research,6:239−244(1991).
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1−2】本発明の装置及びシステムの2種の代わりの態様を使用する、UCRの全般的原理を示す略図表示である。
【図3】水を充填されたラテックス膜により骨に重なっている軟組織と密着した、UCR測定の準備ができた、骨組織上に配置された変換器ヘッドの断面を示す、本発明のもう1つの態様の略図表示である。
【図4】変換器ヘッドの等距離概観図を示し、ここで、主要本体は左側にあり、右側にカバーがある。水は変換器と窓の間の容積を充填する。単一の同軸ケーブルが低電流(xA)、低電圧(xV)の1.5MHzの信号を発信機から伝送器要素に輸送し、1組みの同軸のケーブルが多数要素コネクターを介して受信器からデータ収集システムに信号を運ぶ。
【図5】変換器支持アームの運動学的な動作図であり、土台及びエレエーター上に固定された3基のモーターが三次元の平行移動を支持し、他方アーム上に固定された3個のモーターが2種の傾斜回転(骨に対する「法線」を同定し、選択するために必要なθ及びΦ)及び法線(Ψ)の周囲のヘッドの回転を支持する。
【図6】本発明の変換器と接続し、それからデータを受信するようになっているアナログ−から−デジタル獲得ボードを示す。
【図7】本発明の基礎データ収集模型を要約する基本的流れ図である。
【図8】患者の評価及び処置における本発明の使用を示す基本的流れ図である。
【図9A−9B】長期のビスホスホネート処置(9A)における患者のテトラサイクリン標識の不在及び正常被験者(9B)における正常な標識を示す紫外線照明の顕微鏡写真である。
【図10】ビスホスホネート処置期間中及び腎臓移植時の骨密度からの骨弾力性の独立性を示すグラフである。
【図1】

【図2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
伝送器及び2以上の受信器を備える超音波変換器を使用して、標的からの超音波の2以上の臨界角反射値を同時に決定し、そして
標的の弾性係数を計算する、
段階を含んでなる、標的の弾性係数を決定する方法。
【請求項2】
標的が骨を含んでなる、請求項1の方法。
【請求項3】
標的がヒトの骨を含んでなる、請求項1の方法。
【請求項4】
標的が骨粗鬆症を罹患している又は骨粗鬆症を有することが疑われるヒトからのヒトの骨を含んでなる、請求項1の方法。
【請求項5】
標的がビスホスホネート処置下にある、骨粗鬆症を罹患している又は骨粗鬆症を有することが疑われるヒトからの骨を含んでなる、請求項1の方法。
【請求項6】
検出段階が非侵襲的である、請求項1の方法。
【請求項7】
1又は複数の弾性係数が同定された臨界角から決定される超音波の速度の二乗から決定される、請求項1の方法。
【請求項8】
最大弾性係数及び最小弾性係数を決定して、標的の異方性度合いを予測し、そして
骨の表面に対する法線の位置に固定された超音波変換器から多数の回転方向で検出される臨界角反射値を使用する、
段階を更に含んでなる、請求項1の方法。
【請求項9】
最大弾性係数及び最小弾性係数を決定して骨の異方性度合いを予測する段階を更に含んでなる、請求項2の方法。
【請求項10】
標的に対する変換器の法線の決定を自動化する段階を更に含んでなる、請求項1の方法。
【請求項11】
同時に検出する段階が2、4、8、16、24、36、48、64又は128個の受信器からの同時受信を含んでなるように更に特定される、請求項1の方法。
【請求項12】
伝送器に同軸の2個以上の受信器における超音波の反射において検出される臨界角値を保存する段階を更に含んでなる、請求項1の方法。
【請求項13】
異なる時点における超音波の検出された臨界−角反射値を保存し、そして
標的の弾性係数の変化を追跡するために測定値を比較する、
段階を含んでなる、請求項1の方法。
【請求項14】
2種以上の角度で検出する段階が、標的から反射される超音波エネルギーを同時に検出する少なくとも1基の伝送器及び2以上の受信器を備えており、かつ、伝送器及び2以上の変換器が共通の焦点を有するものである、変換器ヘッドを使用する、請求項1の方法。
【請求項15】
伝送器が凹面である、請求項1の方法。
【請求項16】
凹面の部分に対して2基以上の受信器が少なくとも二次元に配列する、請求項1の方法

【請求項17】
伝送器及び2基以上の受信器が凹面であり、そして同軸である、請求項1の方法。
【請求項18】
伝送器が凹面であり、2以上の受信器が凹面であり、そして伝送器及び2以上の受信器が共通の焦点の周囲で同軸である、請求項1の方法。
【請求項19】
受信器が受信アレーとして更に特定されており、そしてアレーが、同軸であり、凹面であり、そして伝送器と焦点を共有する48の独立した受信変換器を備える、請求項1の方法。
【請求項20】
ヒトが骨の疾患、骨粗鬆症以外の骨を喪失する状態又は低下した骨強度をもたらすことが疑われる状態を有する、請求項4の方法。
【請求項21】
骨粗鬆症の処置が、ビスホスホネート以外の薬剤、例えば、エストローゲン、エストローゲン類似体、副甲状腺ホルモンペプチド、フッ化物、ビタミンD及びカルシトニンを含んでなる、請求項5の方法。
【請求項22】
処置が骨喪失を引き起こすことが疑われる、請求項5の方法。
【請求項23】
処置がステロイド又は抗痙攣剤により誘起される骨喪失を引き起こすことが疑われる、請求項5の方法。
【請求項24】
ビスホスホネートを注意して使用しなければならない低下した骨質をもつ患者を同定するために、ビスホスホネート処置開始の前に、標的から超音波の2種以上の臨界角反射値を同時に検出する段階が採られる、請求項5の方法。
【請求項25】
1以上の伝送器及び2以上の受信器を備える超音波変換器を使用して骨に向けられる超音波の臨界角反射値を2種以上の角度で同時に検出し、そして
最大弾性係数及び最小弾性係数の比率から骨の異方性を計算し、かつ、弾性係数が臨界角から決定される超音波の速度の二乗として誘導される、
段階を含んでなる、骨粗鬆症の処置を受けている患者からの骨の弾性係数に対する影響を決定する方法。
【請求項26】
ビスホスホネート又はその誘導体による処置の前又はそれと同時に、2以上の受信器における超音波の第1の検出される臨界角反射値を保存し、
一定の時間後に2以上の受信器に対する超音波の第2の検出される臨界角反射値を保存し、そして
ビスホスホネート又はその誘導体による処置期間中の骨の弾性係数の変化を追跡するために第1及び第2の測定値を比較する、
段階を含んでなる、請求項25の方法。
【請求項27】
超音波変換器を使用して骨に向けられる超音波の臨界角反射値を2種以上の角度で同時に検出する段階が更に、骨の皮質領域及び海綿質領域の最大及び最小弾力性を測定し、そして
インビボで骨の異方性を予測する、
ことを含んでなる、請求項25の方法。
【請求項28】
患者の骨の皮質、海綿質の弾力性及び異方性を決定することが非侵襲的である、請求項27の方法。
【請求項29】
弾力性の測定が踵において実施される、請求項28の方法。
【請求項30】
骨の異方性を計算する段階が更に、皮質領域及び海綿質領域の最大及び最小弾性係数を決定することを含んでなり、かつ、測定値が体重担持骨及び体重非担持骨それぞれの軸に対応するものである、請求項28の方法。
【請求項31】
患者が骨の疾患、骨粗鬆症以外の骨喪失状態又は低下した骨強度を誘起することが疑われる状態を有する、請求項25の方法。
【請求項32】
骨粗鬆症の処置がエストローゲン、エストローゲン類似体、副甲状腺ホルモンペプチド、フッ化物、ビタミンD及びカルシトニンを含んでなる、請求項26の方法。
【請求項33】
処置がステロイド又は抗痙攣剤により誘起される骨喪失を誘起することが疑われる、請求項26の方法。
【請求項34】
ビスホスホネートを注意して使用しなければならない低下した骨質をもつ患者を同定するために、標的から超音波の2種以上の臨界角反射値を同時に検出する段階がビスホスホネート処置開始の前である、請求項26の方法。
【請求項35】
少なくとも1基の超音波伝送器及び
受信器アレーを形成するある角度により分離され、伝送器と同軸であり、そして焦点を共有する2以上の受信器(ここで、受信器アレーは標的から反射される超音波エネルギーを同時に検出する)、
を含んでなる、変換器。
【請求項36】
伝送器が少なくとも二次元で凹面である、請求項36の変換器。
【請求項37】
凹面の部分を形成する2以上の受信器が少なくとも二次元で配列する、請求項36の変換器。
【請求項38】
伝送器及び2以上の受信器が凹面で、同軸である、請求項36の変換器。
【請求項39】
伝送器が凹面であり、2以上の受信器が凹面であり、そして伝送器及び2以上の受信器が共通の焦点の周囲に同軸である、請求項36の変換器。
【請求項40】
受信器が更に受信アレーとして特定され、そしてアレーが2、4、8、16、24、36、48、64又は128個の独立した受信器を備える、請求項36の変換器。
【請求項41】
アレーシステムがハウジング内に配置された単一の伝送器及び48−要素の受信器アレーから構成されており、そこで受信器アレーが伝送器の焦点又は焦点の周囲にある検査地点から120度にわたる超音波速度を同時に測定する、請求項36の変換器。
【請求項42】
伝送器及び少なくとも2個の受信器のためのハウジングを更に備えており、かつ、当該ハウジングが伝送器及び受信器の焦点又は焦点の周囲に少なくとも1個の開口部をもつものである、請求項36の変換器。
【請求項43】
伝送器及び少なくとも2個の受信器のためのハウジングであって、少なくとも1個の開口部を備えるハウジング、
ハウジングの開口部又はその周辺のラテックスの膜、及び
ハウジング内の超音波伝導性物質、
を更に備える請求項36の変換器。
【請求項44】
超音波伝導性物質が水を含んでなる、請求項44の変換器。
【請求項45】
変換器の運動が検査地点上へ装置の正確な配置を可能にする、変換器に接続されたコンピューターにより制御される配置アームを更に備える、請求項36の変換器。
【請求項46】
ラテックス膜を破損する可能性があるハウジング内の圧力増加を検出する、超音波伝導性物質と連絡する圧力検出装置を更に備える、請求項44の変換器。
【請求項47】
変換器の伝送器及び受信器に接続された少なくとも1基のコンピューターであって、各角度において各受信器から1種以上の反射スペクトルを集め、そしてそのスペクトルから皮質及び海綿質に対する臨界角を計算する少なくとも1種のコードセグメントを含んでなるコンピューターを更に備える、請求項36の変換器。
【請求項48】
コンピューターが更に、臨界角速度を決定し、そして少なくとも2種の主要な弾性係数の決定のために一次−二次方程式にそれらを当てはめる少なくとも1種のコードセグメントを含んでなる、請求項48の変換器。
【請求項49】
少なくとも1基の超音波伝送器及び
伝送器と同軸で、焦点を共有し、複数の角度で、標的からの反射超音波エネルギーを同時に検出する受信器アレー、
を備える変換器。
【請求項50】
伝送器が少なくとも二次元で凹面である、請求項49の変換器。
【請求項51】
受信器アレーが少なくとも二次元の凹面アレーを含んでなる、請求項49の変換器。
【請求項52】
受信器アレーが2、4、6、12、24、36又は48の独立した受信変換器を備える、請求項49の変換器。
【請求項53】
変換器が単一の伝送器及び受信器アレーを備えており、ここで受信器アレーが伝送器の焦点又はその周囲にある検査地点から120度にわたり、超音波の速度を同時に測定する、請求項52の変換器。
【請求項54】
伝送器及び受信器アレーのための、伝送器及び受信器アレーの焦点、その周囲又は近位に少なくとも1個の開口部を有するハウジングを更に備える、請求項49の変換器。
【請求項55】
伝送器及び少なくとも2個の受信器のための、少なくとも1個の開口部を有するハウジング、
ハウジングの開口部における又はその周囲の膜並びに
ハウジング内の超音波伝導性物質、
を更に備える、請求項49の変換器。
【請求項56】
超音波伝導性物質が水を含んでなり、そして膜がラテックスを含んでなる、請求項55の変換器。
【請求項57】
変換器(ここで変換器の運動が検査地点上への装置の正確な配置を可能にする)に接続されたコンピューターに制御される配置アームを更に備える、請求項49の変換器。
【請求項58】
ハウジング内で超音波伝導性物質を囲むラテックス膜に過剰な圧力が適用される時に検出する、超音波伝導性物質に接触するように配置された圧力検出装置を更に備える、請求項49の変換器。
【請求項59】
伝送器及び受信器アレーに接続された少なくとも1基のコンピューターを更に備える、請求項49の変換器。
【請求項60】
コンピューターが、受信器アレーから1以上の反射スペクトルを集め、そのスペクトルから皮質及び海綿質に対する1種以上の臨界角を計算する少なくとも1種のコードセグメントを備える、請求項59の変換器。
【請求項61】
コンピューターが、臨界角速度を決定し、その臨界角速度を少なくとも2種の主要な弾性係数の決定のために一次−二次方程式に当てはめる少なくとも1種のコードセグメントを備える、請求項59の変換器。
【請求項62】
多数の角度における超音波速度を同時にそして自動的に検出する、コンピューターに制御される超音波の臨界角反射測定変換器、
超音波変換器を支持する三次元の運動を可能にする接合アーム、及び
超音波変換器からの臨界角反射測定データを計算するために超音波変換器からの信号を受信するように接続され、そして受信することができるコンピューター、
を備える骨の異方性を測定するためのシステム。
【請求項63】
コンピューターが三次元で変換器の位置を誘導する接合アームの1以上の制御装置に接続されている、請求項62のシステム。
【請求項64】
変換器が骨粗鬆症を罹患している又はそれを有する疑いのある患者からの骨の弾性係数を測定する、請求項62のシステム。
【請求項65】
変換器が、ビスホスホネートで処置された、骨粗鬆症を罹患している又はそれを有することが疑われる患者からの骨の弾性係数を測定する、請求項62のシステム。
【請求項66】
コンピューターが、超音波変換器を使用して多数の方向で検出される値を使用して、固定された位置の骨の固有の方向と、超音波の速度の二乗を比較することにより弾性係数を決定する、請求項62のシステム。
【請求項67】
コンピューターが標的の異方性の度合いを予測するために、最大弾性係数及び最小弾性係数を計算する、請求項62のシステム。
【請求項68】
コンピューターが標的に対する変換器の法線の決定を自動化する、請求項62のシステム。
【請求項69】
コンピューターが2、4、8、16、24、36、48、64又は128の異なる受信器からの受信データを同時に受信する、請求項62のシステム。
【請求項70】
コンピューターが伝送器と同軸の2以上の受信器における超音波の、検出された臨界角反射値を保存する、請求項62のシステム。
【請求項71】
コンピューターが異なる時点における超音波の臨界角反射値を保存する、請求項62のシステム。
【請求項72】
コンピューターが弾性係数を決定するために異なる時点で超音波の臨界角反射値を保存し、そして標的の弾性係数の変化を追跡する、請求項62のシステム。
【請求項73】
受信器数が1を超える奇数である、請求項62のシステム。
【請求項74】
コンピューターが骨粗鬆症のための治療を受けている患者からの骨の弾性係数に対する影響を決定する、請求項62のシステム。
【請求項75】
コンピューターが、第1及び第2の時点において患者の弾性係数に対する第1及び第2の値を保存することにより骨粗鬆症に対する治療を受けている患者からの骨の弾性係数に対する影響を決定し、そして最大弾性係数及び最小弾性係数の比率から骨の異方性値を計算し、そして経時的に骨の異方性を追跡する、請求項62のシステム。
【請求項76】
コンピューターが、骨の質に対するビスホスホネート処置の影響を誘導するために、第1及び第2の時点において患者の弾性係数に対する第1及び第2の値を保存することにより骨粗鬆症に対する治療を受けている患者からの骨の弾性係数に対する影響を決定し、そして最大弾性係数及び最小弾性係数の比率から骨の異方性値を計算し、そして経時的に骨の異方性を追跡する、請求項62のシステム。
【請求項77】
変換器が踵における超音波の臨界角反射測定値を検出するために使用される、請求項62のシステム。
【請求項78】
コンピューターが更に、皮質領域及び海綿質領域の最大弾性係数及び最小弾性係数を決定することにより、骨の異方性を計算し、そこで当該測定値が体重担持骨及び体重非担持骨それぞれの軸に対応する、請求項62のシステム。
【請求項79】
ヒトが骨の疾患、骨粗鬆症以外の骨を喪失する状態又は低下した骨強度をもたらすことが疑われる状態を有する、請求項62のシステム。
【請求項80】
骨粗鬆症の処置が、エストローゲン、エストローゲン類似体、副甲状腺ホルモンペプチド、フッ化物、ビタミンD及びカルシトニンを含んでなる、請求項62のシステム。
【請求項81】
処置が骨喪失を誘起することが疑われる、請求項62のシステム。
【請求項82】
処置がステロイド又は抗痙攣剤により誘起される骨喪失を誘起することが疑われる、請求項62のシステム。
【請求項83】
ビスホスホネートを注意して使用しなければならない低下した骨質をもつ患者を同定するために、ビスホスホネート処置開始の前に、臨界角反射測定を実施される、請求項62のシステム。
【請求項84】
請求項1の方法に従ってインビボで非侵襲的に骨の最大及び最小弾性係数及び異方性の同時測定方法。
【請求項85】
請求項25の方法に従ってインビボで非侵襲的に皮質及び海綿質の最大及び最小弾性係数並びに異方性の同時の測定値の収集方法。
【請求項86】
請求項36の変換器を使用してインビボで非侵襲的に、皮質及び海綿質の最大及び最小弾性係数並びに異方性の同時測定値の収集方法。
【請求項87】
請求項49の変換器を使用してインビボで非侵襲的に、皮質及び海綿質の最大及び最小弾性係数並びに異方性の同時測定値の収集方法。
【請求項88】
請求項62のシステムを使用してインビボで非侵襲的に、皮質及び海綿質の最大及び最小弾性係数並びに異方性の同時測定値の収集方法。

【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−531549(P2007−531549A)
【公表日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−520360(P2006−520360)
【出願日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【国際出願番号】PCT/US2004/022869
【国際公開番号】WO2005/009245
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
【出願人】(301070450)ザ・ボード・オブ・リージエンツ,ザ・ユニバーシテイ・オブ・テキサス・システム (4)
【Fターム(参考)】