説明

超音波シーム溶接装置

【課題】生産性を向上させる超音波シーム溶接装置を提供する。
【解決手段】電子デバイスの素子搭載部材と蓋部材とを接合する超音波シーム溶接装置100であって、円盤状のローラー本体111とこのローラー本体の側面に所定の間隔をあけて設けられる少なくとも2つのフランジ部とからなるローラーと、ローラーの一方の主面と接続し超音波を発する第一のホーン113aと、ローラーの他方の主面と接続し超音波を発する第二のホーン113bと、を備え、ローラーが、第一のフランジ部とローラー本体と第二のフランジ部とにより、電子デバイスの蓋部材との接合部分以外の部分を跨ぎつつ蓋部材の接合部分に接触可能に構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波シーム溶接装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスには、素子搭載部材に蓋部材を接合して用いるものがあり、その例として、圧電振動子や圧電発振器がある。
例えば、圧電振動子は、圧電振動素子と、この圧電振動素子が搭載された素子搭載部材と、この素子搭載部材に接合される蓋部材とから主に構成される。
【0003】
このような圧電振動子は、例えば、素子搭載部材が凹部を有し、その凹部内に圧電振動素子が搭載され、凹部が封止されるように平板状の蓋部材を素子搭載部材に接合した状態となっている。
また、他の例の圧電振動子としては、平板状の素子搭載部材に圧電振動素子を搭載し、凹部を有する蓋部材を用いて、凹部内に圧電振動素子が入るように蓋部材を素子搭載部材に接合した状態となっている。
【0004】
また、圧電発振器は、素子搭載部材に発振回路を備えた集積回路素子と圧電振動素子とを搭載する構造のものが知られている。
このような圧電発振器は、圧電振動素子を封止する必要があるため、集積回路素子の搭載位置を設けている点に違いはあるが、前記圧電振動子と同様な構造で用いられる。
つまり、素子搭載部材が凹部を有する場合は、凹部内に集積回路素子を搭載し、さらに圧電振動素子を搭載して、凹部を蓋部材で封止した構造となっている。また、他の例の圧電発振器としては、凹部を2つ有する素子搭載部材が用いられ、圧電振動素子が搭載される凹部を蓋部材で封止する構造となっている。
【0005】
このような素子搭載部材と蓋部材との接合には、シーム溶接装置が用いられる場合がある。このシーム溶接装置は、主に、電源供給部と2つ一対のローラー電極とローラー電極を保持移動させる可動部から構成されている。
このシーム溶接装置は、回転しながら移動する一方のローラー電極に電源供給部から電気を送り、その電気が蓋部材を介して回転しながら移動する他方のローラー電極に電気が流れ込むようになっている。この流れる電気によって熱が発生し、素子搭載部材と蓋部材とが接合された状態となる。
【0006】
ここで、ローラー電極は、円錐台形状に形成されており、円錐台形状の2つの円の中心を結ぶ軸線方向を回転軸として回転させられる。このとき、2つ一対のローラー電極は、円形となる両主面のうち、面積が小さいほうを互いに向かい合わせた状態で用いられる。
2つ一対のローラー電極は、前記状態で傾斜した側面を素子搭載部材と蓋部材とに接触させて、素子搭載部材と蓋部材とを接合させている。
【0007】
ところで、2つの金属部材を接合する装置として、超音波シーム溶接装置が提案されている。
このような超音波シーム溶接装置は、超音波の振動をする円盤状のローラーを2つの金属部材のうちの一方の金属部材に回転しながら押し当てて用いられる。これにより、2つの金属部材は接合される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−095571号公報
【特許文献2】特開2001−025883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、電子部品の小型化や多品種化により、2つ一対のローラー電極を用いたシーム溶接装置では、素子搭載部材と蓋部材との接合が煩雑となり、生産性が悪くなる恐れがある。
例えば、前記のような円錐台形のローラー電極を用いた場合、圧電振動子や圧電発振器が小型になると素子搭載部材の厚みが薄く形成されるため、ローラー電極が圧電振動子や圧電発振器を載置固定するテーブルに近接して放電が起こり、蓋部材の材料が飛散して接合が不十分なまま溶接動作が終了してしまう場合がある。
また、このようなローラー電極を用いた場合は、圧電振動子や圧電発振器に用いられる素子搭載部材と蓋部材とを個片に加工してから用いるため、個々の部材の固定や保持が煩雑であり、作業性が悪くなる。
また、円盤状のローラーを用いた超音波シーム溶接装置は、溶接できる部分が1条の接合部分しかなく、生産性が悪いという問題がある。
【0010】
そこで、本発明は、前記した問題を解決し、電子デバイスの生産性を向上させる超音波シーム溶接装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するため、本発明は、電子デバイスの素子搭載部材と蓋部材とを接合する超音波シーム溶接装置であって、円盤状のローラー本体とこのローラー本体の側面に所定の間隔をあけて設けられる少なくとも2つのフランジ部とからなるローラーと、前記ローラーの一方の主面と接続し超音波を発する第一のホーンと、前記ローラーの他方の主面と接続し超音波を発する第二のホーンと、を備え、前記ローラーが、前記ローラー本体と前記フランジ部とにより、前記電子デバイスの前記蓋部材の接合部分以外の部分を跨ぎつつ前記蓋部材の接合部分に接触可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の圧電振動子によれば、円盤状のローラー本体とこのローラー本体の側面に所定の間隔をあけて設けられる少なくとも2つのフランジ部とからなるローラーを用いることで、接合部分以外の部分を跨いで少なくとも2条の接合部分が同時に接合できるので、電子デバイスの生産性を向上させることができる。
また、第一のホーンと第二のホーンとでローラーを挟んだ状態となるので、少なくとも2つのフランジ部の振動を安定させることができる。したがって、すくなくとも2条の接合部分の接合を同時に行っても、接合が不十分となるのを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第一の実施形態に係る超音波シーム溶接装置の一例を示す模式図である。
【図2】ローラーの一例を示す模式図である。
【図3】本発明の第一の実施形態に係る超音波シーム溶接装置の他の使用状態の一例を示す模式図である。
【図4】本発明の第二の実施形態に係る超音波シーム溶接装置に用いられるローラーの一例を示す模式図である。
【図5】電子デバイスの一例を示す図である。
【図6】電子デバイスの一例を示す図である。
【図7】電子デバイスの一例を示す図である。
【図8】電子デバイスの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)について図面を参照して説明する。なお、各構成要素について、状態をわかりやすくするために、誇張して図示している。
【0015】
(電子デバイス)
まず、電子デバイスの一例として圧電振動子の説明をする。
図5に示すように、圧電振動子10は、圧電材料である水晶片2aに励振電極2bと引回しパターン2cとが設けられた圧電振動素子2と、この圧電振動素子2が搭載される素子搭載部材1と、圧電振動素子2を気密封止するために素子搭載部材1に接合される蓋部材3とから主に構成されている。
この素子搭載部材1は、例えば、平板状に形成されており、一方の主面に圧電振動素子2を搭載するための搭載パッドPが設けられ、また、縁部分に蓋部材3と接合するためのメタライズ層Mが設けられている。なお、素子搭載部材1は、図6に示すように、このメタライズ層Mが設けられていない範囲で凹部1aを形成しても良い。この場合は、搭載パッドPは、凹部1a内に形成されることとなる。
図5に示すように、蓋部材3は、例えば、金属材料が用いられ、環状のフランジ部3aと、このフランジ部3aの内周縁から立ち上がる壁部3bと、この壁部3bの先端と接続する平板部3cとから構成され、壁部3bと平板部3cとで凹部3dが形成されている。
なお、素子搭載部材1が凹部1aを有する構成で用いられる場合は、蓋部材3を平板状に形成して用いても良い。
本実施形態の説明においては、素子搭載部材1が平板状の構造の場合について説明し、また、蓋部材3が凹部3dを有する構造の場合について説明する。
【0016】
(第一の実施形態)
図1に示すように、本発明の第一の実施形態に係る超音波シーム溶接装置100は、ローラー110aと、第一のホーン113aと、第二のホーン113bとを備え、これらローラー110aと第一のホーン113aと第二のホーン113bとを移動可能に支持する構造部120とから主に構成されている。
【0017】
図1及び図2に示すように、ローラー110aは、円盤状のローラー本体111とこのローラー本体111の側面に所定の間隔をあけて設けられる少なくとも2つのフランジ部112(112a,112b)とから構成されている。
ローラー本体111の厚みは、例えば、電子デバイスの蓋部材3(図5参照)の長辺の長さ、又は、短辺の長さと同じとなる厚みに形成されている。
フランジ部112は、例えば、2つ一対で用いられ、ローラー本体111の側面の縁部分に設けられる。例えば、ローラー本体111の側面において、一方の主面側の縁部分に第1のフランジ部112aが設けられ、他方の主面側の縁部分に第二のフランジ部112bが設けられている。
この第一のフランジ部112aと第二のフランジ部112bとの間隔は、電子デバイスの素子搭載部材1と蓋部材3(図3及び図5参照)との接合部分A以外の部分の間隔W1又は間隔W2と同一となっている。
なお、このローラー110aは、図1及び図2に示すように、ローラー本体111の両主面の平面中心を通る中心軸線Cを回転中心とし、この中心軸線Cが両端部側の平面中心を通る回転軸部RBにより回転させられる。
【0018】
第一のホーン113aは、ローラー110aの一方の主面と接続し超音波を発して、前記ローラー110aを振動させる役割を果たす。この第一のホーン113aは、ローラー110aの回転軸線Cと同一に設けられる回転軸部RBと接触し、発した超音波をローラー110aに伝えることができる。
【0019】
図2に示すように、第二のホーン113bは、ローラー110aの他方の主面と接続し超音波を発して、前記ローラー110aを振動させる役割を果たす。この第二のホーン113bは、ローラー110aの回転軸線Cと同一に設けられる回転軸部RBと接触し、発した超音波をローラー110aに伝えることができる。
【0020】
これにより、ローラー110aがローラー本体111と一対のフランジ部112とにより、電子デバイスの蓋部材3の接合部分A以外の部分を跨ぎつつ蓋部材3の接合部分Aに接触可能に構成される。
【0021】
図1に示すように、構造部120は、ローラー110aと第一のホーン113aと第二のホーン113bとを移動可能に支持する役割を果たす。
例えば、構造部120は、ローラー110aのローラー本体111に設けられた回転軸部RB(図2参照)をベアリングBを介して回転可能に支持する回転支持部121と、この回転支持部121を平行移動可能に支持する移動支持部122と、この移動支持部122を支持する支持本体部123とから構成されている。
ここで、移動支持部122は、支持本体部123に固定される固定部122bと、固定部122bに設けられ平行移動を行う移動部122aとから構成されている。
なお、平行移動とは、例えば、蓋部材3の主面と平行となるように移動することをいう(図1参照)。
このように構造部120を構成することにより、ローラー110aを回転させながら移動させて素子搭載部材1と蓋部材3とを接合することができる。
【0022】
次に、本発明の第一の実施形態に係る超音波シーム溶接装置100の使い方について説明する。
例えば、図3に示すように、電子デバイスの蓋部材3の長辺の長さと同一となる厚さを有するローラー本体111を用いたローラー(以下、「第1ローラー」という)110aと、電子デバイスの蓋部材3の短辺の長さと同一となる厚さを有するローラー本体111を用いたローラー(以下、「第2ローラー」という)110bとを用いる。
【0023】
ここで、第1ローラー110aには回転軸線C上に回転軸部RBが設けられており、この回転軸部RBの周りに第一のホーン113aと第二のホーン113bとがローラー本体111を挟むようにして設けられている。
この第1ローラー110aの回転軸部RBには構造部120の回転支持部121が設けられており、ベアリングB(図1参照)を介することで第1ローラー110aが回転できるようになっている。この回転支持部121は、移動支持部122に固定されており、第1ローラー110aを回転させながら平行に移動できるようになっている。また、この移動支持部122は、支持本体部123に固定されており、移動支持部122の移動部122aが移動できるようになっている(図1参照)。
【0024】
同様に、第2ローラー110bには回転軸線C上に回転軸部RBが設けられており、この回転軸部RBの周りに第一のホーン113aと第二のホーン113bとがローラー本体111を挟むようにして設けられている。
第1ローラー110aと同様に第2ローラー110bの回転軸部RBには構造部120の回転支持部121が設けられており、ベアリングB(図1参照)を介することで第2ローラー110bが回転できるようになっている。この回転支持部121は、移動支持部122に固定されており、第2ローラー110bを回転させながら平行に移動できるようになっている。また、この移動支持部122は、支持本体部123に固定されており、移動支持部122の移動部122aが移動できるようになっている。
【0025】
これら第1ローラー110aと第2ローラー110bとを並べ、各ローラー110a,110bの平行移動できる範囲内にガイドレールRを設ける。
このガイドレールRの内側には、複数の素子搭載部材が設けられた素子搭載部材ウェハWF1と、複数の蓋部材が設けられた蓋部材ウェハWF2とが重ねられた状態で配置される。このとき、蓋部材ウェハWF2がローラー110a,110b側に配置される。
また、ガイドレールRの内側であって、第1ローラー110aと第2ローラー110bとの間には、前記重ねられた素子搭載部材ウェハWF1と蓋部材ウェハWF2とを面内方向に90度、回転させる回転テーブル130が設けられている。このガイドレールR及び回転テーブル130は、支持本体部123に設けられている。
【0026】
このとき、重ね合わせた素子搭載部材ウェハWF1と蓋部材ウェハWF2とをガイドレールRに配置する。ガイドレールRに配置された素子搭載部材ウェハWF1と蓋部材ウェハWF2とは、第1ローラー110aの移動範囲まで移動させられる。素子搭載部材ウェハWF1と蓋部材ウェハWF2とが第1ローラー110aの平行移動できる範囲内まで移動したら、各ウェハWF1,WF2の素子搭載部材となる部分と蓋部材となる部分との最初の2条の接合部分Aで各ウェハWF1,WF2を停止させる。この状態で、第1ローラー110aを蓋部材ウェハWF2に接触させた状態で移動支持部122の移動部122aを平行移動させる。これにより、第1ローラー110aは、蓋部材ウェハWF2上を転がりながら蓋部材ウェハWF2の主面と平行に移動する。このとき、第1ローラー110aは超音波振動をしており、接触している蓋部材ウェハWF2と素子搭載部材ウェハWF1とを接合させる。ここで、第1ローラー110aの2つ一対のフランジ部112は、互いに向かい合う面の間隔が素子搭載部材と蓋部材との接合部分A以外の範囲と同一の幅W1で構成されて蓋部材の短辺の接合部分A以外の凹部を跨ぐようにして設けられているため、容易に素子搭載部材ウェハWF1と蓋部材ウェハWF2とを接合することができる。接合が完了したところで、順次、各ウェハWF1,WF2をガイドレールRに沿って移動させ、短辺方向の接合部分Aの接合を完了させる。
【0027】
次に、各ウェハWF1,WF2を第1ローラー110aから離れさせ、回転テーブル130の位置で停止させる。
この回転テーブル130は、初期状態でガイドレールRよりも支持本体部123側に位置しており、各ウェハWF1,WF2が直上で停止した状態で、各ウェハWF1,WF2側に回転テーブル130を移動させて素子搭載部材ウェハWF1に接触させる。また、回転テーブル130は、素子搭載部材ウェハWF1を接触させたままガイドレールRから離れる方向に移動し、回転テーブル130の移動方向と平行に設けられる回転軸線CTを回転軸として、各ウェハWF1,WF2の面内方向に90度、回転させる。その後、回転テーブル130は、支持本体部123の方向に移動することで、各ウェハをガイドレールRに配置させることとなる。
【0028】
各ウェハWF1,WF2の回転が完了したところで、各ウェハWF1,WF2を第2ローラー110bの移動範囲まで移動させる。以後、第1ローラー110aで接合した場合と同様に、素子搭載部材ウェハWF1と蓋部材ウェハWF2とが第2ローラー110bの平行移動できる範囲内まで移動したら、各ウェハWF1,WF2の素子搭載部材と蓋部材との最初の2条の接合部分で各ウェハWF1,WF2を停止させる。この状態で、第2ローラー110bを蓋部材ウェハWF2に接触させた状態で移動支持部122の移動部122aを平行移動させる。これにより、第2ローラー110bは、蓋部材ウェハWF2上を転がりながら蓋部材ウェハWF2の主面と平行に移動する。このとき、第2ローラー110bは超音波振動をしており、接触している蓋部材ウェハWF2と素子搭載部材ウェハWF1とを接合させる。第2ローラー110bの2つ一対のフランジ部112は、互いに向かい合う面の間隔が素子搭載部材と蓋部材との接合部分以外の範囲と同一の幅W2で構成されて蓋部材の短辺の接合部分以外の凹部を跨ぐようにして設けられているため、容易に素子搭載部材ウェハWF1と蓋部材ウェハWF2とを接合することができる。接合が完了したところで、順次、各ウェハWF1,WF2をガイドレールRに沿って移動させ、長辺方向の接合部分の接合を完了させる。
【0029】
このように、本発明の第一の実施形態に係る超音波シーム溶接装置100を構成したので、容易に電子デバイスの素子搭載部材1と蓋部材3(図5参照)とを接合することができ、接合部分で放電等が起きないため、接合不良が起きることがなく生産性を向上させることができる。
【0030】
(第二の実施形態)
本発明の第二の実施形態に係る超音波シーム溶接装置は、図4に示すように、複数の接合部分の数と同一となるフランジ部がローラー本体部に設けられたローラー110cを用いている点で第一の実施形態と異なる。
この場合、ローラー110cのローラー本体111は、複数の蓋部材が設けられた蓋部材ウェハWF2において、例えば、蓋部材がウェハWF2内で並べられる数に相当する長さと同一の厚みとなっている。つまり、ローラー本体111の厚みは、蓋部材の長辺を重ねた場合の長さに相当する厚み又は、蓋部材の短辺を重ねた場合の長さに相当する厚みとする。
フランジ部112は、素子搭載部材と蓋部材との接合部分の数に応じてローラー本体111の側面に設けられる。
したがって、素子搭載部材ウェハWF1と蓋部材ウェハWF2とを重ねた状態で一括で接合することができる。また、第一のホーン113aと第二のホーン113bとでローラー本体111を挟んで構成されるので、各フランジ部112に安定した超音波振動を伝えることができる。
【0031】
なお、本発明に係る超音波シーム溶接装置は、各実施形態に限定されず、適宜変更が可能である。例えば、電子デバイスは、圧電振動子に限定されず、2つの部材を接合して用いられる他の電子デバイスでも良い。
例えば、図7に示すように、電子デバイスが圧電発振器20である場合、この圧電発振器20は、圧電材料である水晶片2aに励振電極2bと引回しパターン2cとが設けられた圧電振動素子2と、この圧電振動素子2が搭載される素子搭載部材4と、圧電振動素子2を気密封止するために素子搭載部材4に接合される蓋部材3と、少なくとも発振回路を有する集積回路素子5とから主に構成されている。
この素子搭載部材4は、例えば、一方の主面に凹部4aが形成されており、その凹部4a内に圧電振動素子2を搭載するための搭載パッドPが設けられ、また、凹部4aが設けられる一方の主面の縁部分に蓋部材3と接合するためのメタライズ層Mが設けられている。
ここで、素子搭載部材4は、この凹部4a内に集積回路素子5を搭載するための集積回路素子用搭載パッドICPが設けられている。
なお、素子搭載部材4は、図8に示すように、一方の主面と他方の主面とにそれぞれ凹部4b,4cを形成した構造としても良い。この場合は、一方の主面に設けられる凹部4bに圧電振動素子2を搭載するための搭載パッドPと一方の主面の縁部分にメタライズ層Mを設け、他方の主面に設けられる凹部4cに集積回路素子5を搭載するための集積回路素子用搭載パッドICPが設けられる。このような素子搭載部材4を用いる場合は、蓋部材3を平板状で用いることができる。
また、電子デバイスは、素子部品を容器となる素子搭載部材に搭載し、蓋部材で封止する構造でも良い。
【符号の説明】
【0032】
100 超音波シーム溶接装置
110a,110b,110c ローラー
111 ローラー本体
112 フランジ部
113a 第一のホーン
113b 第二のホーン
120 構造部
121 回転支持部
122 移動支持部
123 支持本体部
130 回転テーブル
R ガイドレール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子デバイスの素子搭載部材と蓋部材とを接合する超音波シーム溶接装置であって、
円盤状のローラー本体とこのローラー本体の側面に所定の間隔をあけて設けられる少なくとも2つのフランジ部とからなるローラーと、
前記ローラーの一方の主面と接続し超音波を発する第一のホーンと、
前記ローラーの他方の主面と接続し超音波を発する第二のホーンと、
を備え、
前記ローラーが、前記ローラー本体と前記フランジ部とにより、前記電子デバイスの前記蓋部材の接合部分以外の部分を跨ぎつつ前記蓋部材の接合部分に接触可能に構成されていることを特徴とする超音波シーム溶接装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−177736(P2011−177736A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−42772(P2010−42772)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(000104722)京セラキンセキ株式会社 (870)
【Fターム(参考)】