説明

超音波センサ用ケース及びそれを利用した超音波センサ

【課題】ケースに圧電素子を接着する際、接着剤が圧電素子に影響を与えないようにすることができるとともに、ケースに基板をより容易に実装することができる超音波センサ用ケース及びそれを利用した超音波センサを提供する。
【解決手段】本発明の実施例による超音波センサ用ケース110は、筒状であって、内側底面が圧電素子の配置領域121及び圧電素子の配置領域121の縁に沿って形成された第1の溝120を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波センサ用ケース及びそれを利用した超音波センサに関する。
【背景技術】
【0002】
超音波センナは、圧電物質に電圧を印加すると圧電物質が周期的に変形を起こすことにより超音波が発生し、発生した超音波が障害物に反射して戻る超音波を再測定して実際の距離を計算する原理のセンサである。
【0003】
上述の超音波センサは、自動車の後進時に障害物を検知して事故を予防できるようにする自動車用後方安全装置をはじめ、様々な分野に適用されている傾向にある。
【0004】
上述の超音波センサは、超音波を発生させる圧電素子を実装しており、圧電素子の振動がケースの外部に広がることにより、センサの機能を遂行する。
【0005】
この際、事物を検知するために求められる振動以外のノイズに該当する内部振動が発生するが、これは、事物の検出結果の正確性を低下させる要因として作用する。
【0006】
一方、超音波センサのケースに圧電素子を実装するために接着剤を使用するが、この際、接着剤の量を必要以上に多く使用すると、接着剤が圧電素子の側面に溢れ出て、圧電素子の側面から上部面にまで移る場合がたびたび発生する。
【0007】
これは、圧電素子の振動力の制御能力を減少させ、事物を認知するための振動力を減衰させて、ノイズに該当する振動の減衰時間を増加させるという問題点として作用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上述の従来技術の問題点を解決するためのものであり、本発明の一側面は、ケースに圧電素子を接着する際、接着剤が圧電素子に影響を与えないようにするための超音波センサ用ケース及びそれを利用した超音波センサを提供することをその目的とする。
【0009】
本発明の他の側面は、ケースに基板をより容易に実装することができる超音波センサ用ケース及びそれを利用した超音波センサを提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施例による超音波センサ用ケースは、筒状であって、内側底面が圧電素子の配置領域及び前記圧電素子の配置領域の縁に沿って形成された第1の溝を含むことができる。
【0011】
ここで、前記圧電素子の配置領域のサイズは、前記圧電素子のサイズに対応することができる。
【0012】
また、前記第1の溝と前記ケースの側壁との間に形成され、前記圧電素子の配置領域と同一の高さを有する離隔空間をさらに含むことができる。
【0013】
また、内側壁面にケースの厚さ方向を基準に、底面から部品の実装領域に対応するように離隔された地点から前記ケースの上部面まで形成された第2の溝をさらに含むことができる。
【0014】
また、前記第2の溝は、二つの溝を含み、前記二つの溝夫々は、内側壁面の両側に互いに対向するように離隔形成されることができる。
【0015】
本発明の他の実施例による超音波センサは、筒状であって、内側底面が圧電素子の配置領域及び前記圧電素子の配置領域の縁に沿って形成された第1の溝を含むケースと、前記圧電素子の配置領域に実装される圧電素子と、前記圧電素子を前記ケースに実装するための接着剤と、を含むことができる。
【0016】
ここで、前記接着剤は、エポキシであることが好ましい。
【0017】
また、前記圧電素子の配置領域のサイズは、前記圧電素子のサイズに対応することができる。
【0018】
また、前記ケースは、前記第1の溝と前記ケースの側壁との間に形成され、前記圧電素子の配置領域と同一の高さを有する離隔空間をさらに含むことができる。
【0019】
また、前記ケースは、内側壁面にケースの厚さ方向を基準に、底面から部品の実装領域に対応するように離隔された地点から前記ケースの上部面まで形成された第2の溝をさらに含むことができる。
【0020】
また、前記第2の溝は、二つの溝を含み、前記二つの溝夫々は、内側壁面の両側に互いに対向するように離隔形成されることができる。
【0021】
本発明の特徴及び利点は、添付図面に基づいた以下の詳細な説明によってさらに明らかになるであろう。
【0022】
本発明の詳細な説明に先立ち、本明細書及び特許請求の範囲に用いられた用語や単語は、通常的かつ辞書的な意味に解釈されてはならず、発明者が自らの発明を最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に従って本発明の技術的思想にかなう意味と概念に解釈されるべきである。
【発明の効果】
【0023】
本発明の超音波センサ用ケース及びそれを利用した超音波センサは、ケースの内側底面のうち、圧電素子の実装領域の縁に溝を形成するため、ケースに圧電素子を接着する際に溢れ出る接着剤が溝に流入され、圧電素子に影響を与えることがないという効果を期待することができる。
【0024】
また、本発明は、ケースの内側壁面に溝を形成して、ケースに基板を実装する際に基板に連結された電線を溝に挿入するため、基板をはじめ、部品の実装容易性を向上させることができるという長所がある。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施例による超音波センサ用ケースの構成を示す断面図である。
【図2】本発明の実施例による超音波センサ用ケースの構成を示す平面図である。
【図3】本発明の実施例による超音波センサの構成を示す平面図である。
【図4】本発明の実施例による圧電素子の接合方法を詳細に説明するための図面である。
【図5】本発明の実施例による第2の溝の構成を詳細に示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
本発明の目的、特定の長所及び新規の特徴は、添付図面に係る以下の詳細な説明及び好ましい実施例によってさらに明らかになるであろう。本明細書において、各図面の構成要素に参照番号を付け加えるに際し、同一の構成要素に限っては、たとえ異なる図面に示されても、できるだけ同一の番号を付けるようにしていることに留意しなければならない。また、本発明を説明するにあたり、係わる公知技術についての具体的な説明が本発明の要旨を不明瞭にする可能性があると判断される場合には、その詳細な説明は省略する。本明細書において、第1、第2などの用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別するために用いられるものであり、構成要素が前記用語によって限定されるものではない。
【0027】
以下、添付図面を参照して、本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0028】
(超音波センサ用ケース)
図1は、本発明の実施例による超音波センサ用ケースの構成を示す断面図であり、図2は、本発明の実施例による超音波センサ用ケースの構成を示す平面図であり、図3は、本発明の実施例による超音波センサの構成を示す平面図であり、図4は、本発明の実施例による圧電素子の接合方法を詳細に説明するための図面であり、図5は、本発明の実施例による第2の溝の構成を詳細に示す図面である。
【0029】
図1に図示するように、超音波センサ用ケース110は、筒状であって、内側底面が圧電素子の配置領域121及び圧電素子の配置領域121の縁に沿って形成された第1の溝120を含むことができる。
【0030】
ここで、圧電素子の配置領域121のサイズは、圧電素子のサイズに対応するように形成される。
【0031】
即ち、図2に図示するように、圧電素子の配置領域121は、圧電素子の形状(例えば円状)が反映されたサイズと同一に形成される。この際、「同一」とは、数学的な意味で正確に同一の寸法の厚さにおいて、製造誤差、測定誤差などを勘案して実質的に同一の平面サイズを意味する。
【0032】
また、超音波センサ用ケース110は、第1の溝120とケース110の側壁との間に形成され、圧電素子の配置領域121と同一の高さを有する離隔空間123を含む。
【0033】
図3及び図4に図示するように、上述の第1の溝120は、ケース110の底面に圧電素子150が接着剤140を介して接合される際、溢れ出る接着剤140が流入されるようにするためのものである。
【0034】
これにより、圧電素子150を接合する際、接着剤140の量が多い場合でも、接着剤140が圧電素子150の側面に沿って上がり上部面まで覆うという問題点を予め防止することができるという効果を期待することができる。
【0035】
圧電素子150の側面及び上部面を覆う接着剤140は、圧電素子150の振動力の制御能力を減少させ、事物を認知するための振動力を減衰させて、ノイズに該当する振動の減衰時間を増加させる可能性があるが、本発明の実施例による第1の溝120により、上述の問題点を防止することができる。
【0036】
例えば、第1の溝120に流入された接着剤140により、減衰時間(Decay time)が約10%以上短縮される。この際、減衰時間は、超音波が送信するにつれて発生する振動が減衰することにかかる時間を意味する。
【0037】
また、図5に図示するように、超音波センサ用ケース110は、その内側壁面に、ケースの厚さ方向を基準に、底面から部品の実装領域に対応するように離隔(図1のA)された地点からケース110の上部面まで形成された第2の溝130をさらに含むことができる。
【0038】
ここで、第2の溝130は、二つの溝を含み、二つの溝夫々は、内側壁面の両側に互いに対向するように離隔形成することが好ましい。
【0039】
上述の第2の溝130は、電気連結のために基板(不図示)に接合された電線を挿入することができる構成であり、ケース110に基板を実装する際、電線をケース110の両側に形成された第2の溝130に挿入する。
【0040】
これにより、ケース110に基板を搭載する工程が容易になるという効果を期待することができる。
【0041】
また、図1のAは、基板を実装する前にケースに実装される圧電素子、吸音材などのための空間を考慮したものである。
【0042】
(超音波センサ)
図1及び図3に図示するように、超音波センサ100は、筒状であって、内側底面が圧電素子の配置領域121及び圧電素子の配置領域の縁に沿って形成された第1の溝120を含むケース110と、圧電素子の配置領域に実装される圧電素子150と、圧電素子150をケース110に実装するための接着剤140と、を含むことができる。
【0043】
ここで、接着剤140は、エポキシであることが好ましいが、特にこれに限定されない。
【0044】
また、圧電素子の配置領域121のサイズは、圧電素子150のサイズに対応するように形成することができる。
【0045】
即ち、図2に図示するように、圧電素子の配置領域121は、圧電素子の形状(例えば円状)が反映されたサイズと同一に形成される。この際、「同一」とは、数学的な意味で正確に同一の寸法の厚さにおいて、製造誤差、測定誤差などを勘案して、実質的に同一の平面サイズを意味する。
【0046】
また、超音波センサ用ケース110は、第1の溝120とケース110の側壁との間に形成され、圧電素子の配置領域121と同一の高さを有する離隔空間123を含む。
【0047】
図3及び図4に図示するように、上述の第1の溝120は、ケース110の底面に圧電素子150が接着剤140を介して接合される際、溢れ出る接着剤140が流入されるようにするためのものである。
【0048】
これにより、圧電素子150を接合する際、接着剤140の量が多い場合でも、接着剤140が圧電素子150の側面に沿って上がり、上部面まで覆う問題点を予め防止することができるという効果を期待することができる。
【0049】
圧電素子150の側面及び上部面を覆う接着剤140は、圧電素子150の振動力の制御能力を減少させ、事物を認知するための振動力を減衰させて、ノイズに該当する振動の減衰時間を増加させる可能性があるが、本発明の実施例による第1の溝120により、上述の問題点を防止することができる。
【0050】
また、図5に図示するように、超音波センサ用ケース110は、内側壁面にケースの厚さ方向を基準に、底面から部品の実装領域に対応するように離隔(図1のA)された地点からケース110の上部面まで形成された第2の溝130をさらに含むことができる。
【0051】
ここで、第2の溝130は、二つの溝を含み、二つの溝夫々は、内側壁面の両側に互いに対向するように離隔形成することが好ましい。
【0052】
以上、本発明を具体的な実施例に基づいて詳細に説明したが、これは、本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明による超音波センサ用ケース及びそれを利用した超音波センサは、これに限定されず、該当分野における通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想内にての変形や改良が可能であることは明白であろう。
【0053】
本発明の単純な変形乃至変更は、いずれも本発明の領域に属するものであり、本発明の具体的な保護範囲は、添付の特許請求の範囲により明確になるであろう。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、ケースに圧電素子を接着する際、接着剤が圧電素子に影響を与えないようにすることができるとともに、ケースに基板をより容易に実装することができる超音波センサ用ケース及びそれを利用した超音波センサに適用可能である。
【符号の説明】
【0055】
100 超音波センサ
110 ケース(超音波センサ用ケース)
120 第1の溝
121 圧電素子の配置領域
123 離隔空間
130 第2の溝
140 接着剤
150 圧電素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状であって、内側底面が圧電素子の配置領域及び前記圧電素子の配置領域の縁に沿って形成された第1の溝を含む超音波センサ用ケース。
【請求項2】
前記圧電素子の配置領域のサイズは、前記圧電素子のサイズに対応する請求項1に記載の超音波センサ用ケース。
【請求項3】
前記第1の溝と前記ケースの側壁との間に形成され、前記圧電素子の配置領域と同一の高さを有する離隔空間をさらに含む請求項1に記載の超音波センサ用ケース。
【請求項4】
内側壁面にケースの厚さ方向を基準に、底面から部品の実装領域に対応するように離隔された地点から前記ケースの上部面まで形成された第2の溝をさらに含む請求項1に記載の超音波センサ用ケース。
【請求項5】
前記第2の溝は二つの溝を含み、
前記二つの溝夫々は内側壁面の両側に互いに対向するように離隔形成される請求項4に記載の超音波センサ用ケース。
【請求項6】
筒状であって、内側底面が圧電素子の配置領域及び前記圧電素子の配置領域の縁に沿って形成された第1の溝を含むケースと、
前記圧電素子の配置領域に実装される圧電素子と、
前記圧電素子を前記ケースに実装するための接着剤と、
を含む超音波センサ。
【請求項7】
前記接着剤はエポキシである請求項6に記載の超音波センサ。
【請求項8】
前記圧電素子の配置領域のサイズは、前記圧電素子のサイズに対応する請求項6に記載の超音波センサ。
【請求項9】
前記ケースは、前記第1の溝と前記ケースの側壁との間に形成され、前記圧電素子の配置領域と同一の高さを有する離隔空間をさらに含む請求項6に記載の超音波センサ。
【請求項10】
前記ケースは、内側壁面にケースの厚さ方向を基準に、底面から部品の実装領域に対応するように離隔された地点から前記ケースの上部面まで形成された第2の溝をさらに含む請求項6に記載の超音波センサ。
【請求項11】
前記第2の溝は二つの溝を含み、
前記二つの溝夫々は内側壁面の両側に互いに対向するように離隔形成される請求項10に記載の超音波センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−46408(P2013−46408A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−256531(P2011−256531)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(594023722)サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド. (1,585)
【Fターム(参考)】