超音波プローブアダプタ、超音波診断システムおよび超音波診断装置
【課題】超音波診断装置において、超音波ビーム走査の空間的条件を容易に検出することを目的とする。
【解決手段】超音波プローブアダプタ12は、超音波を送受信する超音波プローブと超音波診断対象の生体との間に介在し、超音波プローブを移動可能にしつつ支持する。超音波プローブアダプタ12は、生体が接触する生体接触面および当該生体接触面に対向し超音波プローブが接触するプローブ接触面を有する。また、超音波プローブアダプタ12内で延伸する領域を占める超音波反射マーカ38を備える。超音波診断装置は、超音波プローブを生体接触面上で移動させつつ繰り返し一次元走査を行う。超音波診断装置は、繰り返し行われた一次元走査による各断層画像データに基づいて生体の像を示すボリュームデータを生成する。
【解決手段】超音波プローブアダプタ12は、超音波を送受信する超音波プローブと超音波診断対象の生体との間に介在し、超音波プローブを移動可能にしつつ支持する。超音波プローブアダプタ12は、生体が接触する生体接触面および当該生体接触面に対向し超音波プローブが接触するプローブ接触面を有する。また、超音波プローブアダプタ12内で延伸する領域を占める超音波反射マーカ38を備える。超音波診断装置は、超音波プローブを生体接触面上で移動させつつ繰り返し一次元走査を行う。超音波診断装置は、繰り返し行われた一次元走査による各断層画像データに基づいて生体の像を示すボリュームデータを生成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波プローブアダプタに関し、特に、超音波を送受信する超音波プローブと超音波診断対象の生体との間に介在させるものに関する。また、そのような超音波プローブアダプタを用いた超音波診断システムおよび超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療の分野において、生体内の組織を超音波画像として表示する超音波診断装置が広く用いられている。超音波診断装置は超音波の送受信により得られた超音波データを処理するモジュール(計測モジュール、画像化モジュール)を備えており、当該モジュールは超音波データ処理装置に相当する。超音波診断装置から超音波データを受け入れて、それを処理する情報処理装置(コンピュータ)も超音波データ処理装置の一種である。
【0003】
一般に、超音波診断装置は、与えられた電気信号に応じた超音波を送信し、受信した超音波に応じた電気信号を出力する超音波プローブを備える。超音波プローブには、複数の超音波振動子を配列することにより、超音波ビームの電気的な走査を可能としたアレイ型超音波プローブがある。
【0004】
アレイ型超音波プローブを備える超音波診断装置は、2次元画像(断層画像)を表示するモード、3次元画像を表示するモード等の動作モードによって動作する。前者による断層画像は超音波ビームの一次元走査によって取得された断層画像データ(フレームデータとも称される。)に基づいて形成され、後者による3次元画像は超音波ビームの2次元走査によって取得されたボリュームデータに基づいて形成される。ボリュームデータは、診断対象組織を含む生体内3次元領域における各位置に対応づけられたボクセルデータの集合として構成されるものであり、複数の断層画像データの集合として構成される。各ボクセルデータのデータ値は、生体内の各点で反射した超音波の強度を示す。3次元画像表示モードでは、ボリュームデータに基づいて生体内の組織が奥行感をもって3次元画像としてディスプレイに表示される。
【0005】
超音波診断装置においてボリュームデータを取得する方式には、超音波プローブを空間的に移動させつつ超音波ビームの一次元走査を繰り返し行うものがある。この方式では、一次元走査によって得られた各断層画像データに、対応する走査位置情報を対応付けることでボリュームデータが生成される。
【0006】
例えば、特許文献1および2には、超音波ビームの一次元走査を行いつつ超音波プローブを移動させて、ボリュームデータを取得する超音波診断装置について記載されている。これらの特許文献に記載の超音波診断装置では、超音波プローブの走査位置を検出する機構が備えられている。これによって、各断層画像データに対応する走査位置が検出され、ボリュームデータが生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−56845号公報
【特許文献2】特開2009−39149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1および2に記載されている超音波診断装置は、超音波プローブと生体との間に介在させて超音波プローブを支持する水袋を備える。このような水袋を備えることで、超音波プローブを移動させつつ繰り返し超音波ビーム走査を行う際に、各超音波ビーム走査面の方向が揃えられ、ボリュームデータを求める処理が簡略化される。
【0009】
しかし、このような超音波診断装置は、超音波プローブを支持する構成要素に加えて、超音波プローブの位置を検出する機構を別途備える。そのため、装置の構成が複雑になるという問題がある。
【0010】
本発明は、このような課題に対してなされたものである。すなわち、超音波診断装置において、超音波ビーム走査の空間的条件を簡単な構成により検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、超音波を送受信する超音波プローブと超音波診断対象の生体との間に介在させ、前記超音波プローブを移動可能にしつつ支持する超音波プローブアダプタにおいて、前記生体が接触する生体接触面と、当該生体接触面に対向し前記超音波プローブが接触するプローブ接触面とを有する、立体形状の超音波伝搬部と、前記超音波伝搬部内で延伸する領域を占める超音波反射マーカと、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る超音波診断システムは、前記超音波プローブアダプタと、前記超音波プローブと、前記超音波プローブが受信した超音波に基づいて、前記超音波プローブの複数の異なる位置に対応する前記生体の複数の断層画像データを生成する断層画像データ生成部と、前記断層画像データに含まれる前記超音波反射マーカに関する情報に基づいて、各断層画像データが示す断層画像の位置情報を求める位置情報決定部と、前記断層画像データと、その断層画像の位置情報とに基づいて、前記生体の超音波診断ボリュームデータを生成するボリュームデータ生成部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る超音波診断装置は、超音波を送受信する超音波プローブと、前記超音波プローブを支持する超音波プローブアダプタが超音波診断対象の生体との間に介在した状態で前記超音波プローブが受信した超音波に基づいて、前記生体の断層画像データを生成する断層画像データ生成部と、前記断層画像データに含まれる、前記超音波プローブアダプタが備える超音波反射マーカに関する情報に基づいて、各断層画像データが示す断層画像の位置情報を求める位置情報決定部と、前記断層画像データと、その断層画像の位置情報とに基づいて、前記生体の超音波診断ボリュームデータを生成するボリュームデータ生成部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る超音波プローブアダプタにおいては、望ましくは、前記超音波反射マーカが、前記超音波プローブの移動方向に沿った方向に配列された複数の超音波反射片を含む。
【0015】
また、本発明に係る超音波診断システムは、前記超音波プローブアダプタと、前記超音波プローブと、前記超音波プローブが受信した超音波に基づいて、前記超音波プローブの複数の異なる位置に対応する前記生体の複数の断層画像データを生成する断層画像データ生成部と、前記生体の複数の断層画像データから、前記超音波反射片の像が断層画像に現れる基準断層画像データを選択する基準断層画像データ選択部と、前記超音波反射片の位置情報に基づいて、前記基準断層画像データが示す断層画像の位置情報を求める位置情報決定部と、前記基準断層画像データと、その断層画像の位置情報と、前記基準断層画像データでないその他の前記断層画像データと、に基づいて、前記生体の超音波診断ボリュームデータを生成するボリュームデータ生成部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る超音波診断システムは、望ましくは、前記基準断層画像データ選択部が、前記基準断層画像データに対応するテンプレート画像データを取得するテンプレート画像取得手段と、前記生体の複数の断層画像データのそれぞれから、前記基準断層画像データを選択するために予め定められた判定画像データを抽出する判定画像抽出手段と、前記判定画像抽出手段によって抽出された各判定画像データと、前記テンプレート画像データと、の相関度を求める相関手段と、を備え、前記生体の複数の断層画像データのそれぞれに対して求められた相関度に基づいて、前記基準断層画像データを選択する。
【0017】
また、本発明に係る超音波診断システムは、望ましくは、前記超音波診断ボリュームデータが、前記断層画像データに含まれる画素データと、その画素データに対応する座標値とを対応付けたデータであり、前記ボリュームデータ生成部が、前記基準断層画像データが示す各画素の座標値、および前記基準断層画像データでないその他の前記断層画像データが示す各画素の座標値を、前記基準断層画像データが示す断層画像の位置情報に基づいて求め、前記超音波診断ボリュームデータを生成する。
【0018】
また、本発明は、超音波を送受信する超音波プローブと、前記超音波プローブを支持する超音波プローブアダプタが超音波診断対象の生体との間に介在した状態で前記超音波プローブが受信した超音波に基づいて、前記超音波プローブの複数の異なる位置に対応する前記生体の複数の断層画像データを生成する断層画像データ生成部と、前記生体の複数の断層画像データから、前記超音波プローブアダプタが備える超音波反射片の像が断層画像に現れる基準断層画像データを選択する基準断層画像データ選択部と、前記超音波反射片の位置情報に基づいて、前記基準断層画像データが示す断層画像の位置情報を求める位置情報決定部と、前記基準断層画像データと、その断層画像の位置情報と、前記基準断層画像データでないその他の前記断層画像データと、に基づいて、前記生体の超音波診断ボリュームデータを生成するボリュームデータ生成部と、を備えることを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る超音波診断装置は、望ましくは、前記基準断層画像データ選択部が、前記基準断層画像データに対応するテンプレート画像データを取得するテンプレート画像取得手段と、前記生体の複数の断層画像データのそれぞれから、前記基準断層画像データを選択するために予め定められた判定画像データを抽出する判定画像抽出手段と、前記判定画像抽出手段によって抽出された各判定画像データと、前記テンプレート画像データと、の相関度を求める相関手段と、を備え、前記生体の複数の断層画像データのそれぞれに対して求められた相関度に基づいて、前記基準断層画像データを選択する。
【0020】
また、本発明に係る超音波診断装置は、望ましくは、前記超音波診断ボリュームデータが、前記断層画像データに含まれる画素データと、その画素データに対応する座標値とを対応付けたデータであり、前記ボリュームデータ生成部が、前記基準断層画像データが示す各画素の座標値、および前記基準断層画像データでないその他の前記断層画像データが示す各画素の座標値を、前記基準断層画像データが示す断層画像の位置情報に基づいて求め、前記超音波診断ボリュームデータを生成する。
【0021】
また、本発明に係る超音波プローブアダプタは、望ましくは、前記超音波反射マーカが、前記プローブの移動方向に対し斜めに延伸する超音波反射部を含む。
【0022】
また、本発明に係る超音波プローブアダプタは、望ましくは、前記超音波伝搬部が、外側底面が前記生体接触面をなし、当該外側底面が前記生体の表面形状に適合するよう変形しつつ前記生体に接触する生体側容器と、外側底面が前記プローブ接触面をなし、その開口が前記生体側容器の開口と合致するプローブ側容器と、前記生体側容器および前記プローブ側容器に収容される超音波伝搬部材と、を備え、前記超音波反射マーカが、前記プローブ側容器に固定される。
【0023】
また、本発明に係る超音波プローブアダプタは、望ましくは、前記超音波反射マーカが、方向を揃えて延伸する少なくとも3系統の前記超音波反射部を備える。
【0024】
また、本発明に係る超音波診断システムは、前記超音波プローブアダプタと、前記超音波プローブと、前記超音波プローブが受信した超音波に基づいて前記生体の断層画像データを生成する断層画像データ生成部と、前記超音波反射マーカの断層画像を示すマーカ画像データを前記断層画像データから抽出するマーカ画像抽出部と、前記断層画像データが示す断層画像の空間配置情報を、前記マーカ画像データに基づいて求める配置情報決定部と、前記断層画像データと、その断層画像の空間配置情報とに基づいて、前記生体の超音波診断ボリュームデータを生成するボリュームデータ生成部と、を備えることを特徴とする。
【0025】
また、本発明に係る超音波診断システムは、望ましくは、前記配置情報決定部が、断層画像の空間配置情報に対応するテンプレート画像データを生成するテンプレート画像生成手段と、前記マーカ画像データと、前記テンプレート画像データと、の相関度を求める相関手段と、を備え、異なる複数の空間配置情報について生成された各テンプレート画像データと、前記マーカ画像データと、の相関度に基づいて、当該複数の空間配置情報のうちいずれかを選択し、前記断層画像データが示す断層画像の空間配置情報を求める。
【0026】
また、本発明に係る超音波診断システムは、望ましくは、前記超音波診断ボリュームデータが、前記断層画像データに含まれる画素データと、その画素データに対応する座標値とを対応付けたデータであり、前記ボリュームデータ生成部が、前記断層画像データが示す各画素の座標値を、当該断層画像データが示す断層画像の空間配置情報に基づいて求め、前記超音波診断ボリュームデータを生成する。
【0027】
また、本発明は、超音波を送受信する超音波プローブと、前記超音波プローブを支持する超音波プローブアダプタが超音波診断対象の生体との間に介在した状態で前記超音波プローブが受信した超音波に基づいて、前記生体の断層画像データを生成する断層画像データ生成部と、前記超音波プローブアダプタが備える超音波反射マーカの断層画像を示すマーカ画像データを、前記断層画像データから抽出するマーカ画像抽出部と、前記断層画像データが示す断層画像の空間配置情報を、前記マーカ画像データに基づいて求める配置情報決定部と、前記断層画像データと、その断層画像の空間配置情報とに基づいて、前記生体の超音波診断ボリュームデータを生成するボリュームデータ生成部と、を備えることを特徴とする。
【0028】
また、本発明に係る超音波診断装置は、望ましくは、前記配置情報決定部が、断層画像の空間配置情報に対応するテンプレート画像データを生成するテンプレート画像生成手段と、前記マーカ画像データと、前記テンプレート画像データと、の相関度を求める相関手段と、を備え、異なる複数の空間配置情報について生成された各テンプレート画像データと、前記マーカ画像データと、の相関度に基づいて、当該複数の空間配置情報のうちいずれかを選択し、前記断層画像データが示す断層画像の空間配置情報を求める。
【0029】
また、本発明に係る超音波診断装置は、望ましくは、前記超音波診断ボリュームデータが、前記断層画像データに含まれる画素データと、その画素データに対応する座標値とを対応付けたデータであり、前記ボリュームデータ生成部が、前記断層画像データが示す各画素の座標値を、当該断層画像データが示す断層画像の空間配置情報に基づいて求め、前記超音波診断ボリュームデータを生成する。
【0030】
本発明に係る超音波診断システムまたは超音波診断装置においては、望ましくは、前記空間配置情報は、位置情報および姿勢角情報のうち少なくともいずれかを含む情報である。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、超音波ビーム走査の空間的条件を容易に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す図である。
【図2】超音波プローブアダプタの斜視図および断面図である。
【図3】複数の断層画像を概念的に示した図である。
【図4】制御/演算処理部がボリュームデータを生成する処理を示すフローチャートである。
【図5】判定画像データが示す画像を示す図である。
【図6】超音波プローブアダプタの変形例を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す図である。
【図8A】超音波プローブアダプタの上面図、正面図、左側面図および右側面図である。
【図8B】超音波プローブアダプタの断面図である。
【図8C】超音波プローブアダプタの断面図である。
【図9】一次元走査面の位置および姿勢角の定義を説明する図である。
【図10】ボリュームデータを生成する処理を示すフローチャートである。
【図11】マーカ画像データによって示されるマーカ画像を概念的に示した図である。
【図12】テンプレート画像データの画像を示す図である。
【図13】位置および姿勢角を決定する処理の具体例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1に本発明の第1実施形態に係る超音波診断装置10の構成を示す。この超音波診断装置10は、超音波プローブ14と生体との間に超音波プローブアダプタ12を介在させ、超音波プローブ14を移動させつつ繰り返し一次元走査を行うものである。超音波診断装置10は、繰り返し行われた一次元走査による各断層画像データに基づいて生体の像を示すボリュームデータを生成する。
【0034】
図2に超音波プローブアダプタ12の構成を示す。図2(a)は斜視図を示し、図2(b)および(c)は、それぞれ、図2(a)のAB線断面図およびCD線断面図を示す。超音波プローブアダプタ12は、超音波プローブアダプタ12全体を覆う外壁36、超音波プローブアダプタ12内に固定される超音波反射マーカ38、および外壁36内に収容された超音波伝搬材料40を備えて構成される。
【0035】
本実施形態において、外壁36は直方体形状をなす。図2(a)の上面は超音波プローブ14と接触するプローブ接触面であり、底面は生体と接触する生体接触面である。図2(a)において、図2(a)の手前から奥へと向かう矢印Mで示された方向が超音波プローブ14の移動方向である。外壁36の材料には、超音波プローブ14の音響整合層との間で音響整合が図られる材料を用いることが好ましい。また、外壁36は、プローブ接触面の領域を剛性の材料によって形成し、生体接触面の領域を生体の表面形状に適合するよう変形する材料によって形成することが好ましい。ここでは、外壁36は直方体形状をなすものとしているが、外壁36は、互いに対向するプローブ接触面および生体接触面を有する立体形状をなすものとしてもよい。
【0036】
超音波伝搬材料40は外壁36内に収容されている。超音波伝搬材料40には、その音響インピーダンスが生体のそれと近似した水、油脂等の液体を用いることができる。
【0037】
このような構成によれば、超音波プローブアダプタ12の生体接触面を生体に接触させ、プローブ接触面に接触する超音波プローブ14と生体との間の超音波結合を図ることができる。
【0038】
超音波反射マーカ38は、超音波反射片44およびフレーム42を備えて構成される。フレーム42は長方形状に周回する線状部材によって形成することができる。フレーム42は剛性の部材で形成することが好ましい。ここでは、フレーム42が形成する長方形の図2(b)における下辺をなす区間は外壁36に固定されている。また、フレーム42が取り付けられる向きは、フレーム42が形成する長方形の面が、プローブ接触面および生体接触面と平行になる向きとする。
【0039】
フレーム42が形成する長方形状の4辺のうちの図2(b)の上下の辺をなす区間には、超音波反射片44が配列され固定されている。これによって、超音波プローブ14の移動方向と一致する方向に複数の超音波反射片44が配列される。超音波反射片44は、必ずしも等間隔に配列しなくてもよいが、等間隔に配列することで後述の画像処理が容易になることが多い。また、ここでは、超音波反射片44を図2(b)の上下の辺をなす2つの区間に配列した例を採り上げているが、いずれか一方の辺をなす区間にのみ超音波反射片44を配列することとしてもよい。
【0040】
超音波反射片44は、超音波伝搬材料40内で超音波を反射する材料によって形成する。例えば、超音波伝搬材料40が水である場合には、水と音響インピーダンスが異なるシリコン、金属等の材料を用いることができる。また、超音波反射片44の基本材料として、超音波伝搬材料40と音響インピーダンスが近似した材料を用い、超音波反射片44内に超音波伝搬材料40と音響インピーダンスが異なる粉末状の材料を混入させたものを用いてもよい。この場合、超音波反射片44内に混入させる粉末状材料の量に応じて断層画像に現れる像の輝度を調整することができる。
【0041】
なお、外壁36およびその内部を占める超音波伝搬材料40の部分は、生体表面の形状に応じて変形し、生体との間で音響整合が図られる弾性部材に置き換えることができる。ただし、プローブ接触面と超音波反射片44との位置関係は、生体表面の形状の変化に関わらず一定となるよう構成することが好ましい。
【0042】
このような構成によれば、超音波プローブ14の一次元走査面上に超音波反射片44が位置する場合は、断層画像上にその超音波反射片44の像が現れる。したがって、超音波反射片44の位置を予め求めておくことで、超音波診断装置10は超音波反射片44の像が現れた断層画像に対する一次元走査面の位置を検出することができる。これによって、後述のように、超音波プローブ14の移動速度が一定でないことに基づくボリュームデータの誤差を低減することができる。
【0043】
次に、超音波診断装置10が断層画像データを取得し、ボリュームデータを生成する処理について説明する。超音波プローブ14は、本実施形態において、生体内の3次元空間に対して超音波を送受波する送受波器である。超音波プローブ14は、本実施形態において、超音波ビームを一次元走査するための1Dアレイ振動子を備えている。ただし、2Dアレイ振動子を備えるものを採用し、一次元走査を行うこととしてもよい。ここで、1Dアレイ振動子は一次元配列された複数の振動素子により構成されるものであり、2Dアレイ振動子は2次元配列された複数の振動素子により構成されるものである。
【0044】
超音波プローブアダプタ12は、診断対象の生体に生体接触面が接触するよう、生体表面上に配置される。施術者は、送受信ビームの一次元走査が繰り返し行われている間、超音波プローブ14を超音波プローブアダプタ12に接触させつつ、図2(a)および(b)の矢印Mの方向に移動させる。ここで、超音波プローブ14の姿勢は、一次元走査面の法線方向が矢印Mの方向にほぼ一致する姿勢とする。
【0045】
送信回路16および受信回路18は、制御/演算処理部20の制御に基づいて次のような処理を実行する。送信回路16は、送信ビームフォーマーとして機能し、具体的には、複数の送信信号を生成しそれらを超音波プローブ14内のアレイ振動子へ並列的に出力する。超音波プローブ14では、それらの送信信号に基づいて超音波が生成され、それが超音波プローブアダプタ12を介して生体内へと放射される。これにより送信ビームが形成される。
【0046】
超音波プローブ14内のアレイ振動子は、人体内で生じた反射波を超音波プローブアダプタ12を介して受信し、受信した反射波に基づき複数の受信信号を生成してそれらを受信回路18に並列的に出力する。受信回路18は、受信ビームフォーマーとして機能するものであり、具体的には、複数の受信信号に対する整相加算処理により、受信ビームに相当するビームデータ(整相加算後の受信信号)を生成する。このビームデータは、受信ビーム一本分に相当するエコーデータ列として構成される。すなわち、ビームデータは、特定の超音波送受信方向について、超音波プローブ14からの各距離上で生じた反射波の強度を時間軸上に表したデータである。このようにして生成されたビームデータは、受信回路18から制御/演算処理部20に出力される。制御/演算処理部20は、受信回路18から出力されたビームデータをビームデータ記憶部22に記憶する。
【0047】
本実施形態に係る超音波診断装置10では、生体内の注目組織に対し、超音波プローブアダプタ12を介して超音波ビームが一次元走査される。この一次元走査は、超音波プローブ14が移動する間、複数回にわたって繰り返し行われ、各一次元走査ごとに得られるビームデータ群が、断層画像データとしてビームデータ記憶部22に記憶される。したがって、ビームデータ記憶部22に記憶される各断層画像データは、一次元走査面内における複数の方位に対応する複数のビームデータから構成される。また、一次元走査が繰り返し行われている間、超音波プローブ14が移動するため、各断層画像データは、超音波プローブ14の移動に伴って変位する一次元走査面の位置に対応する断層画像を示す。
【0048】
制御/演算処理部20は、ビームデータ記憶部22に記憶された断層画像データに対して座標変換処理を施し、これにより直交座標系の断層画像データを生成する。この断層画像データは、断層画像を構成する各画素についての画素データを含む。ここで、画素データは、画素値と画素の2次元座標値とが対応付けられたデータである。直交座標系の断層画像データは、断層画像データ記憶部24に記憶される。なお、上記の座標変換処理がビームデータ記憶部22への各ビームデータの最初の記憶時に実行されてもよい。通常、記憶される各ビームデータに対しては、検波処理、対数圧縮処理等の信号処理が施される。
【0049】
次に、断層画像データ記憶部24に記憶された断層画像データに基づいて、ボリュームデータを生成する処理について説明する。ここでは、ボリュームデータの3次元座標を図2(a)に記載したxyz座標を以て定義する。すなわち、図2(a)の矢印Mの方向を正方向とする座標軸をx軸、図2(a)の左方向を正方向とする座標軸をy軸、そして、図2(a)の上方向を正方向とする座標軸をz軸とする。
【0050】
複数回の一次元走査によって得られた複数の断層画像データは、面方向を揃えて超音波プローブ14の移動方向に連ねられた複数の断層画像を示す。図3は、この複数の断層画像を概念的に示したものである。この図は、一次元走査が等時間間隔で行われ、一次元走査が実際に行われた位置に断層画像を概念的に配置したものを示す。
【0051】
施術者がフリーハンドで超音波プローブ14を移動させた場合、超音波プローブ14の移動速度は一定とならないことがある。この場合、複数の断層画像の配置間隔は均一にならず、ばらつきが生じる。例えば、図3においては、領域aとbとで断層画像の配置間隔の粗密が異なったものとなっている。
【0052】
このようにして得られた複数の断層画像データに対し、断層画像の配置間隔が均一であるものとして各断層画像データに座標値を対応付けてボリュームデータを生成すると、ボリュームデータを構成するボクセルデータの座標値に誤差が生じる。
【0053】
そこで、本実施形態においては、複数の断層画像データのうち、断層画像に超音波反射片44の像が現れるものを基準断層画像データとして選択する。そして、基準断層画像データに対応する基準断層画像が超音波反射片44の配置位置に整合するよう、基準断層画像データに座標値を対応付ける。
【0054】
すなわち、図3に示すように、矢印が付された断層画像が超音波反射片44の像が現れる断層画像である場合、矢印が付された断層画像を示す断層画像データが基準断層画像データとして選択される。そして、超音波反射片44の配置位置に整合するよう、各基準断層画像データに座標値が対応付けられる。例えば、図2に示すように超音波反射片44が等間隔に配列されている場合には、基準断層画像が等間隔に配置されるよう、各基準断層画像データに座標値が対応づけられることとなる。
【0055】
他方、複数の断層画像データのうち、基準断層画像データでないその他の断層画像データには、これらの断層画像が基準断層画像の間に等間隔で配置されるよう、座標値が対応付けられる。すなわち、図3において矢印が付された基準断層画像の間の断層画像を示す断層画像データには、基準断層画像に挟まれる領域内で等間隔に断層画像が配置されるよう座標値が対応づけられることとなる。
【0056】
図4は、制御/演算処理部20がボリュームデータを生成する処理を示すフローチャートである。このフローチャートに従う処理では、断層画像データ記憶部24に記憶されている各断層画像データに対応する一次元走査面のx座標値が求められ、断層画像データを特定する情報と対応付けられた上で位置情報記憶部30に記憶される。そして、各断層画像データと各断層画像データに対応するx座標値とに基づいてボリュームデータが生成される。
【0057】
制御/演算処理部20は、断層画像データ記憶部24から1枚の断層画像を示す断層画像データを読み込む(S11)。そして、読み込んだ断層画像データから判定画像データを抽出する(S12)。ここで、判定画像データとは、断層画像上の領域のうち超音波反射片44の像が現れる領域外の像を取り除いた画像データをいう。
【0058】
一次走査面上に超音波反射片44がある場合には、判定画像データが示す画像は超音波反射片44の像が現れた画像となる。例えば、図2の超音波プローブアダプタ12を用いた場合、図5(a)に示す断層画像上の領域のうち、破線で示したアダプタ画像領域46が超音波反射片44の像が現れる領域となる。このアダプタ画像領域46は、超音波プローブアダプタ12内の領域に対応する画像領域である。
【0059】
制御/演算処理部20は、抽出された判定画像データに対し2値化を施す(S13)。ここで、2値化とは、所定の閾値を超えるデータ値を1に置き換え、所定の閾値以下のデータ値を0に置き換える処理をいう。この閾値は、超音波プローブアダプタ12内の超音波伝搬材料40と超音波反射片44とが弁別されるよう定められる。2値化によってエコー値の高い領域が抽出され、超音波反射片44の輪郭が明確化される。このような2値化の代わりに、2値化されたデータ値につき1と0を入れ換える反転2値化を行ってもよい。
【0060】
本実施形態に係る超音波診断装置10は、テンプレート画像データ記憶部26を備える。ここに記憶されるテンプレート画像データは、超音波反射片44の像が現れた判定画像データと同一の仮想的な画像データである。テンプレート画像データが示す画像は、図5(b)に示すように、仮想上の超音波反射片48を示した画像となる。
【0061】
ステップS14において制御/演算処理部20は、テンプレート画像データと、ステップS13において2値化された判定画像データとの相関演算を行う。そして、求められた相関値とそれに対応する断層画像データを特定する情報と対応付けた選択パラメータを生成し、選択パラメータ記憶部28に記憶させる(S14)。ここで、断層画像データを特定する情報は、例えば、複数の断層画像データが取得された順番、すなわち図2(a)および(b)の矢印Mの方向への配列順序を表す情報とする。
【0062】
制御/演算処理部20は、断層画像データ記憶部24に記憶されている総ての断層画像データについてステップS11〜S14の処理が実行されたか否かを判定する(S15)。そして、総ての断層画像データについて処理が実行されていない場合には、ステップS11に戻る。次に実行されるステップS11においては、ステップS11〜S14の処理が施されていない断層画像データが読み込まれる。
【0063】
複数の断層画像データのうち、テンプレート画像データと判定画像データとの相関値が極大値となる断層画像データは、その断層画像上に超音波反射片44の像が現れる基準断層画像データである。例えば、図3の例では矢印が付された断層画像に対応する選択パラメータの相関値は極大値を示す。したがって、選択パラメータ記憶部28に記憶された複数の選択パラメータのうち、相関値が予め定められた閾値を超えるものを選択することで、複数の断層画像データから基準断層画像データを特定することができる。
【0064】
そこで、制御/演算処理部20は、総ての断層画像データについてステップS11〜S14の処理が実行された後、選択パラメータ記憶部28に記憶されている選択パラメータのうち、相関値が所定の閾値を超えたものを取得する(S16)。基準断層画像データは、相関値が所定の閾値を超えた選択パラメータによって特定される。
【0065】
制御/演算処理部20は、各基準断層画像データに図2(a)および(b)の矢印Mで示される配列順にx座標値を対応付ける。すなわち、制御/演算処理部20は、基準断層画像データを特定する情報とその位置情報であるx軸座標値とを対応付けて位置情報記憶部30に記憶する(S17)。
【0066】
この処理は、各基準断層画像データに、対応する超音波反射片44のx座標値を対応付けることで行われる。より具体的には、制御/演算処理部20は、配列順位が第1番目の基準断層画像データに、図2(b)において最も左にある超音波反射片44のx軸座標値を対応付ける。そして、配列順位が第2番目である基準断層画像データに、図2(b)において左から2番目にある超音波反射片44のx軸座標値を対応付ける。さらに、配列順位が第n番目である基準断層画像データに、図2(b)において左からn番目にある超音波反射片44のx軸座標値を対応付ける。
【0067】
制御/演算処理部20は、基準断層画像データでないその他の断層画像データに、断層画像が基準断層画像の間に等間隔で配置されるようx座標値を対応付ける。すなわち、制御/演算処理部20は、選択パラメータ記憶部28を参照し、基準断層画像データでないその他の断層画像データを特定する情報とそのx軸座標値とを対応付けて位置情報記憶部30に記憶する(S18)。
【0068】
この処理は、2つの基準断層画像の間に挟まれる断層画像に、図2(a)および(b)の矢印Mで示される配列順に等間隔でx座標値を対応付けることで行われる。より具体的には、制御/演算処理部20は、2つの基準断層画像の間に挟まれるm枚の断層画像について、図2(a)および(b)の矢印Mの順に、基準断層画像の配置間隔をm+1で除した間隔でx座標値を対応付ける。
【0069】
次に制御/演算処理部20は、ステップS17およびS18によって断層画像データにx座標値を対応付けた後、次に説明する処理に基づいてボリュームデータを生成する(S19)。
【0070】
まず、制御/演算処理部20は、断層画像データ記憶部24に記憶されている断層画像データを読み込む。さらに、その断層画像データを特定する情報に対応するx座標値を位置情報記憶部30から読み込む。
【0071】
上述のように、断層画像データの各画素データは、一次元走査面上での位置を示す2次元座標値を有する。そこで、制御/演算処理部20は、断層画像データの画素データの2次元座標値と、位置情報記憶部30から読み込まれたx座標値とに基づいて、その画素データに対応する3次元直交座標値を求める。
【0072】
例えば、断層画像データの一次元走査面上に定義された2次元座標値A(α,β)と、図2(a)に定義された3次元直交座標値X(x,y,z)との関係は、座標変換処理を示す関数fによってX=f(x1,A)として表される。ここで、x1は座標変換処理対象の断層画像のx座標値である。この場合、断層画像データに含まれる画素データの座標B(α1,β1)については、断層画像の位置がx1として求められた場合には、f(x1,B)として3次元直交座標値が求められる。
【0073】
制御/演算処理部20は、断層画像データに含まれる画素データの画素値と新たに求められた3次元座標値とを対応付けることにより、ボリュームデータを構成するボクセルデータを求める。そして、求められたボクセルデータをボリュームデータ記憶部32に記憶する。制御/演算処理部20は、断層画像データ記憶部24に記憶されている各断層画像データについて、上述の座標変換処理を行い、それによって得られたボクセルデータをボリュームデータ記憶部32に記憶する。このような処理によってボリュームデータ記憶部32に記憶されたボクセルデータ群は、ボリュームデータを構成する。
【0074】
制御/演算処理部20は、ボリュームデータ記憶部32に記憶されたボリュームデータに基づいて、生体のエコー画像をディスプレイ34に表示する。表示に当たっては、望ましくはボリュームレンダリング法が採用される。ボリュームレンダリング法は、視点から伸びる各視線(レイ)上において奥行き方向に各ボクセルを参照して、不透明度(オパシティ)を示す情報を所定のボクセル演算によって求め、最終的なボクセル演算結果を当該視線に対応する画素の画素値とする公知のレンダリング処理法である。ボリュームレンダリング法によれば、視点から奥行き方向側にある組織が、輝度の強弱を以て立体的に表示される。
【0075】
本実施形態に係る超音波診断装置10においては、超音波プローブ14と生体との間に超音波プローブアダプタ12を介在させ、一次元走査を繰り返しつつ超音波プローブ14を移動させる。この際、一次元走査面の位置が断層画像データに基づいて求められる。したがって、一次元走査面の位置を簡単な構成によって容易に求めることができる。
【0076】
さらに、本実施形態においては、複数の断層画像データのうち、断層画像に超音波反射片44の像が現れるものを基準断層画像データとして選択する。そして、選択された基準断層画像データに対応する基準断層画像が超音波反射片44の配置位置に整合するよう、基準断層画像データに座標値が対応付けられる。さらに、複数の断層画像データのうち、基準断層画像データでないその他の断層画像データには、これらの断層画像が基準断層画像の間に等間隔で配置されるよう、座標値が対応付けられる。これによって、フリーハンドで超音波プローブ14を移動させた場合であっても、超音波プローブ14の移動速度が一定でないことに基づくボクセルデータの誤差を低減することができる。
【0077】
なお、図4のフローチャートに基づく処理では、2値化された判定画像データとテンプレート画像データとの相関値に基づく処理が実行される。このような相関値を求める代わりに、アダプタ画像領域46内の画素値の加算合計値を求めることとしてもよい。
【0078】
また、上記では、超音波反射片44の配列方向をプローブ接触面に対して平行とした超音波プローブアダプタ12について説明した。このような超音波プローブアダプタの他、超音波反射片44の配列方向をプローブ接触面に対して斜めの方向とした超音波プローブアダプタを用いてもよい。この場合の超音波プローブアダプタの構成を図6に示す。
【0079】
この超音波プローブアダプタ12Aを用いる場合、図4のフローチャートに基づく処理においては、アダプタ画像領域46内の画素値の加算合計値を相関値の代わりに用いることが好ましい。
【0080】
超音波プローブアダプタ12Aを用いた場合、超音波反射片44の像のz軸方向の位置は、基準断層画像のx座標値に応じて異なる。制御/演算処理部20は、このことを利用して基準断層画像のx座標値を求めることができる。
【0081】
この場合、超音波診断装置10は、超音波反射片44の像のアダプタ画像領域46内における位置と、その超音波反射片44のx座標値との対応関係を記憶する手段を備えるものとする。この構成の下、制御/演算処理部20は、判定画像データに基づいて超音波反射片44の像のアダプタ画像領域46内における位置を検出する。そして、予め記憶された上記対応関係に基づいてその判定画像データに対応する基準断層画像のx座標値を求める。なお、基準断層画像データでないその他の断層画像データに対する処理は、図2の超音波プローブアダプタ12を用いた場合の処理と同様である。
【0082】
図7に本発明の第2実施形態に係る超音波診断装置50の構成を示す。この超音波診断装置50は、超音波プローブ14と生体との間に、上述の超音波プローブアダプタ12とは構造が異なる超音波プローブアダプタ52を介在させ、超音波プローブ14を移動させつつ繰り返し一次元走査を行うものである。超音波診断装置50は、繰り返し行われた一次元走査による各断層画像データに基づいて生体の像を示すボリュームデータを生成する。図1に示す超音波診断装置10が備える構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0083】
図8A〜図8Cに超音波プローブアダプタ52の構成を示す。図8A(a)および(b)は、それぞれ、上面図および正面図を示す。図8A(c)および(d)は、それぞれ、左側面図および右側面図を示す。また、図8B(e)および(f)は、それぞれ、図8A(a)のAB線断面図および図8A(b)のCD線断面図を示し、図8Cは、図8A(b)のEF線断面図を示す。
【0084】
図8Aおよび図8Bに示されるように、超音波プローブアダプタ52は、互いに開口を合致させたプローブ側容器60および生体側容器62を備えて構成される。プローブ側容器60は、剛性の材料によって形成されている。プローブ側容器60の材料には、超音波プローブ14の音響整合層との間で音響整合が図られる材料を用いることが好ましい。プローブ側容器60の上壁は、その外側に超音波プローブ14が接触しつつ移動可能となるよう平面状に形成されている。ここでは、図8Aの矢印Mの方向に超音波プローブ14を移動させるものとする。プローブ側容器60の開口は、その開口面が下方を臨み、上壁に対し斜めとなるよう形成されている。
【0085】
生体側容器62は、生体の表面形状に適合するよう変形する材料によって形成されている。生体側容器62の材料には、生体との間で音響整合が図られる材料を用いることが好ましい。生体側容器62は、プローブ側容器60の開口に合致する開口を有する形状に形成される。すなわち、生体側容器62の開口は、その開口面が上方を臨み、底壁に対し斜めとなるよう形成されている。
【0086】
プローブ側容器60および生体側容器62は、互いに開口面が合致するよう接合され、内部に超音波伝搬材料70を収容する。超音波伝搬材料70には、その音響インピーダンスが生体のそれと近似した水、油脂等の液体を用いることができる。
【0087】
このような構成によれば、超音波プローブアダプタ52を生体に接触させたときは、生体側容器62が生体表面に密着する。これによって、プローブ側容器60の上壁に接触する超音波プローブ14と生体との間の超音波結合を図ることができる。
【0088】
なお、生体側容器62およびその内部を占める超音波伝搬材料70の部分は、生体表面の形状に応じて変形し、生体との間で音響整合が図られる弾性部材に置き換えてもよい。同様に、プローブ側容器60およびその内部を占める超音波伝搬材料70の部分もまた、超音波プローブ14の音響整合層との間で音響整合が図られる部材に置き換えてもよい。
【0089】
図8Bに示すように、本実施形態に係る超音波プローブアダプタ52は超音波反射マーカ64を備える。超音波反射マーカ64は、超音波プローブアダプタ52と生体との間に超音波プローブアダプタ52を介在させ、一次元走査によって断層画像データを取得したときに、断層画像にその反射波による像を発生させる。
【0090】
超音波反射マーカ64の具体的な構成について図8Bおよび図8Cを参照して説明する。超音波反射マーカ64は、線状に形成された4本のマーカ部66、およびマーカ部66を方向を揃えてプローブ側容器60に固定するマーカ固定板68Aおよび68Bを備える。マーカ部66は、超音波プローブアダプタ52の超音波伝搬材料70内で超音波を反射する材料によって形成する。例えば、超音波伝搬材料70が水である場合には、水と音響インピーダンスが異なるシリコン、金属等の材料を用いることができる。また、マーカ部66の基本材料として、超音波伝搬材料70と音響インピーダンスが近似した材料を用い、マーカ部66内に超音波伝搬材料70と音響インピーダンスが異なる粉末状の材料を混入させたものを用いてもよい。この場合、マーカ部66内に混入させる粉末状材料の量に応じて断層画像に現れる像の輝度を調整することができる。
【0091】
マーカ部66は、超音波プローブ14の移動方向に対して斜め方向に延伸するよう配置される。ここでは、マーカ部66は、直方体形状のブロックが階段形状に連ねて接合された形状を有するものとし、図8B(e)の右から左へ向かうにつれて、プローブ側容器60の上壁から反れる方向に延伸するよう配置されるものとする。この階段形状のステップの細かさの程度は、断層画像の位置の検出精度に応じて決定することが好ましい。また、図8B(e)および(f)に示すように、正面側および背面側の各側面の近傍において、側面に沿って2段重ねとなるよう、2本のマーカ部66が右肩上がりに方向を揃えて配置される。
【0092】
各マーカ部66の一端はマーカ固定板68Aに接合され、他端はマーカ固定板68Bに接合されている。マーカ固定板68Aおよび68Bは長方形状に形成されている。マーカ固定板68Aは、生体側容器62内に位置し、プローブ側容器60の開口縁の左側辺に接合されている。また、マーカ固定板68Bは、プローブ側容器60内に位置し、プローブ側容器60の開口縁の右側辺に接合されている。なお、ここでは、マーカ固定板68Aおよび68Bを長方形状に形成する例を示したが、各マーカ部66の位置関係を上述のように保ちつつ、各マーカ部66をプローブ側容器60に固定する形状であればどのような形状であってもよい。
【0093】
このような構成によれば、超音波反射マーカ64のマーカ部66は、一次元走査面の位置および方向に応じて、断層画像上の異なる位置に像を発生させる。したがって、断層画像上に現れるマーカ部66の像の位置と、断層画像の位置および方向との関係を予め求めておくことで、超音波診断装置50は、マーカ部66の像の位置によって、断層画像の位置および方向を検出することができる。
【0094】
なお、ここでは、4本のマーカ部を設けた構成について説明した。以下に説明する画像処理の原理から、マーカ部は3本以上設けられていればよい。また、マーカ部としては、直方体形状のブロックが階段形状に連ねて接合された形状を有するものを採り上げているが、マーカ部の形状は、太さが一様な線状のものであってもよい。例えば、マーカ部として金属ワイヤを採用することができる。
【0095】
本実施形態に係る超音波診断装置50は、図1に示す超音波診断装置10が実行する処理と同様の処理によって、生体の断層画像データを取得し断層画像データ記憶部24に記憶する。ここでは、断層画像データ記憶部24に記憶された断層画像データに基づいて、ボリュームデータを生成する処理について説明する。上述のように、断層画像データは、それに対応する一次元走査面における断層画像を示す。断層画像データの各画素データは、一次元走査面上での位置を示す2次元座標値を有する。
【0096】
超音波診断装置50においては、一次元走査面の3次元空間における位置および姿勢角を検出する。そして、検出された位置および姿勢角と、画素データの2次元座標値とに基づいて、その画素データに対応する3次元直交座標値を求める。さらに、その画素データの画素値と新たに求められた3次元直交座標値を対応付けることにより、ボリュームデータを構成するボクセルデータを求める。
【0097】
図9は、一次元走査面Sの位置および姿勢角の定義を説明する図である。超音波プローブアダプタ52においては、その内部に決定された基準点Gを通り、プローブ側容器60の上壁の長手方向に平行なx軸が定義される。基準点Gは、例えば、超音波プローブアダプタ52の重心とする。一次元走査面Sの位置は、一次元走査面Sとx軸との交点のx座標値によって表される。
【0098】
また、一次元走査面Sには、ロール軸Rおよびピッチ軸Pが定義される。ロール軸Rは、一次元走査面Sとx軸との交点を通る直線であり、一次元走査面Sの法線方向をx軸方向と一致させたときに、プローブ側容器60の上壁面に対し垂直となる直線である。ピッチ軸Pは、一次元走査面Sとx軸との交点を通る一次元走査面S上の直線であり、ロール軸Rに垂直な直線である。一次元走査面Sの姿勢角は、ロール角φRおよびピッチ角φPによって表される。ロール角φRは、一次元走査面Sがロール軸Rを中心に回転したときの回転角によって表される。また、ピッチ角φPは、一次元走査面Sがピッチ軸Pを中心に回転したときの回転角によって表される。ロール角φRおよびピッチ角φPは、例えば、一次元走査面Sの法線方向をx軸方向と一致させたときに0であるものとする。ピッチ角φPおよびロール角φRの極性は、例えば、図9の正面側を見て時計回り方向をピッチ角φPの正方向とし、図9の上面側から見て時計回り方向をロール角φRの正方向とする。
【0099】
図10は、制御/演算処理部20がボリュームデータを生成する処理を示すフローチャートである。この処理においては、断層画像データ記憶部24に記憶されている各断層画像データに対し、一次元走査面の位置および姿勢角を求め、空間配置情報記憶部58に記憶する。そして、各断層画像データと、各断層画像データに対応する位置および姿勢角とに基づいてボリュームデータを生成する。
【0100】
制御/演算処理部20は、断層画像データ記憶部24から1枚の断層画像を示す断層画像データを読み込む(S21)。そして、読み込んだ断層画像データから、マーカ部66の像を示すマーカ画像データを抽出する(S22)。より具体的には、制御/演算処理部20は、断層画像上の領域のうちマーカ部66の像が現れる領域外の像を取り除いた画像データを断層画像データから抽出する。図11はマーカ画像データによって示されるマーカ画像を概念的に示したものである。図11に示すように、マーカ画像は、一次元走査範囲内に4本のマーカ部の像72が現れたものとなる。制御/演算処理部20は、抽出されたマーカ画像に対し2値化を施す(S23)。2値化の際の閾値は、超音波プローブアダプタ52内の超音波伝搬材料70とマーカ部66とが弁別されるよう定められる。2値化によってエコー値の高い領域が抽出され、マーカ部66の輪郭が明確化される。このような2値化の代わりに、2値化されたデータ値につき1と0を入れ換える反転2値化を行ってもよい。
【0101】
本実施形態に係る超音波診断装置50は、テンプレートボリュームデータ記憶部54を備える。ここに記憶されるテンプレートボリュームデータは、マーカ部66に対応するボクセルデータの値を1とし、その他の領域のボクセルデータの値を0とした仮想的なボリュームデータである。ただし、反転2値化データである場合は1と0とが逆になる。また、テンプレートボリュームデータの各ボクセルデータの3次元直交座標は、図9に示されるxyz座標系を以て定義される。すなわち、テンプレートボリュームデータが示すテンプレート空間は、図9の超音波プローブアダプタ52からマーカ部66以外の構成要素が取り除かれた空間に対応する。
【0102】
本実施形態においては、制御/演算処理部20は、位置xおよび姿勢角(φR、φP)を空間配置パラメータ(x,φR,φP)として指定することによって定まる一次元走査面に対しテンプレート画像データを生成する。ここで、テンプレート画像データとは、テンプレート空間に対し仮想的に一次元走査を行うことで得られる断層画像データをいう。
【0103】
図12(a)は一次元走査面がx軸に垂直である場合のテンプレート画像データの画像を示す。ただし、この画像はx軸の正方向を臨んだものである。図12(b)はその状態から一次元走査面のロール角を正方向に増大させた場合のテンプレート画像データの画像を示す。テンプレート空間中の各マーカ部は、x座標値の増加に対し、上方へと向かう方向に延伸している。そのため、画像右側のマーカ部の像72はロール角の増加に伴って下方へと移動し、画像左側のマーカ部の像72はロール角の増加に伴って上方へと移動する。
【0104】
図12(c)は一次元走査面がx軸に垂直である状態からそのピッチ角を正方向に増大させた場合のテンプレート画像データの画像を示す。画像上段のマーカ部の像72はピッチ角の増加に伴って上方へと移動し、画像下段のマーカ部の像72はピッチ角の増加に伴って下方へと移動する。
【0105】
ステップS24において制御/演算処理部20は、空間配置パラメータが異なる複数のテンプレート画像データのそれぞれと、ステップS23において2値化されたマーカ画像データとの相関演算を行う。そして、相関値が極大となるテンプレート画像データに対応する空間配置パラメータに基づいて、断層画像データに対応する一次元走査面の位置および姿勢角を決定する(S24)。
【0106】
図13にステップS24の処理の具体例を示すフローチャートを示す。制御/演算処理部20は、空間配置パラメータを予め定められた初期値に設定する(S24−1)。そして、テンプレートボリュームデータ記憶部54に記憶されているテンプレートボリュームデータを参照し、設定された空間配置パラメータに対応するテンプレート画像データを生成する(S24−2)。
【0107】
制御/演算処理部20は、ステップS23で求められたマーカ画像データと、テンプレート画像データとの相関演算を行う(S24−3)。そして、相関演算によって求められた相関値を、その相関値を求める際に設定された空間配置パラメータと対応づけて相関値記憶部56に記憶させる(S24−4)。
【0108】
制御/演算処理部20は、相関値記憶部56に相関値の極大値が記憶されているか否かを判定する(S24−5)。そして、相関値の極大値が記憶されていない旨の判定をしたときは、空間配置パラメータを変更し(S24−6)、ステップS24−2の処理に戻る。なお、制御/演算処理部20は、極大値を検索するための十分な個数の相関値が相関値記憶部56に記憶されていない場合には、相関値記憶部56に相関値の極大値が記憶されていない旨の判定をする。また、ステップS24−6において変化させる空間配置パラメータは、位置x、ロール角φRおよびピッチ角φPのうちいずれかとすることができる。例えば、一次走査面がx軸に対して垂直であるものと仮定してロール角φRおよびピッチ角φPを0に固定し、位置xのみを変化させる処理を実行してもよい。
【0109】
ステップS24−5において、相関値の極大値が記憶されている旨の判定がされるまでの間、すなわち、極大値が検索されるまでの間は、ステップS24−2〜S24−6のループが繰り返し実行される。このステップS24−2〜S24−6のループが繰り返し実行されるフローについては、空間配置パラメータ(x,φR,φP)を独立変数とし、相関値を従属変数とした関数について、関数値の極大値を与える独立変数値を求める周知のアルゴリズムを用いることができる。
【0110】
制御/演算処理部20は、ステップS24−5において、相関値の極大値が記憶されている旨の判定をしたときはステップS24−7の処理に進む。制御/演算処理部20は、相関値の極大値を与える空間配置パラメータが示す位置および姿勢角を、処理対象の断層画像データに対応する位置および姿勢角として決定する(S24−7)。そして、決定した位置および姿勢角を、断層画像データを特定する情報と対応付けて空間配置情報記憶部58に記憶する。断層画像データを特定する情報に対応する位置および姿勢角は、断層画像データの一次元走査面、すなわち、その断層画像の位置および姿勢角を示すこととなる。
【0111】
再び図10に戻り、制御/演算処理部20は、断層画像データ記憶部24に記憶されている総ての断層画像データについてステップS21〜S24の処理が実行されたか否かを判定する(S25)。そして、総ての断層画像データについて処理が実行されていない場合には、ステップS21に戻る。次に実行されるステップS21においては、ステップS21〜S24の処理が施されていない断層画像データが読み込まれる。
【0112】
制御/演算処理部20は、総ての断層画像データについてステップS21〜S24の処理が実行された場合には、次に説明する処理に基づいてボリュームデータを生成する(S26)。
【0113】
制御/演算処理部20は、断層画像データ記憶部24に記憶されている断層画像データを読み込む。さらに、その断層画像データを特定する情報に対応する位置および姿勢角を空間配置情報記憶部58から読み込む。
【0114】
上述のように、断層画像データの各画素データは、一次元走査面上での位置を示す2次元座標値を有する。そこで、制御/演算処理部20は、断層画像データの画素データの2次元座標値と、空間配置情報記憶部58から読み込まれた位置および姿勢角とに基づいて、その画素データに対応する3次元直交座標値を求める。
【0115】
例えば、断層画像データの一次元走査面上に定義された2次元座標値A(α,β)と、図9に定義された3次元直交座標値X(x,y,z)との関係は、座標変換処理を示す関数gによってX=g(x1,φP1,φR1,A)として表される。ここで、x1は、空間配置情報記憶部58から読み込まれた位置である。また、φP1およびφR1は、空間配置情報記憶部58から読み込まれた姿勢角である。この場合、断層画像データに含まれる画素データの座標B(α1,β1)については、g(x1,φP1,φR1,B)として3次元直交座標値が求められる。
【0116】
制御/演算処理部20は、断層画像データに含まれる画素データの画素値と新たに求められた3次元座標値とを対応付けることにより、ボリュームデータを構成するボクセルデータを求める。そして、求められたボクセルデータをボリュームデータ記憶部32に記憶する。制御/演算処理部20は、断層画像データ記憶部24に記憶されている各断層画像データについて、上述の座標変換処理を行い、それによって得られたボクセルデータをボリュームデータ記憶部32に記憶する。このような処理によってボリュームデータ記憶部32に記憶されたボクセルデータ群は、ボリュームデータを構成する。
【0117】
制御/演算処理部20は、ボリュームデータ記憶部32に記憶されたボリュームデータに基づいて、生体のエコー画像をディスプレイ34に表示する。表示に当たっては、望ましくは上述のボリュームレンダリング法が採用される。
【0118】
なお、ここでは、断層画像データ記憶部24に記憶されている総ての断層画像データについて図10のステップS21〜S24の処理を実行し、各断層画像データについて求められた断層画像の位置および姿勢角に基づいて、ステップS26においてボリュームデータを構成する処理について説明した。このような処理の他、断層画像データ記憶部24に記憶された断層画像データのうち一部を、位置および姿勢角を求める対象の代表断層画像データとして選択し、代表断層画像データについて求められた断層画像の位置および姿勢角に基づいて、ボリュームデータを構成する処理を実行してもよい。
【0119】
この場合、制御/演算処理部20は、例えば図8A(a)の矢印Mの方向に所定の画像枚数おきに配列される断層画像を代表断層画像として選択し、この代表断層画像に対応する断層画像データを代表断層画像データとして断層画像データ記憶部24から取得する。そして、代表断層画像データに対して図10のステップS21〜S24の処理を実行し、求められた位置および姿勢角と、代表断層画像データを特定する情報とを対応付けた情報を空間配置情報記憶部58に記憶する。
【0120】
さらに、制御/演算処理部20は、代表断層画像データでないその他の断層画像データに、断層画像が代表断層画像の間に等間隔で配置されるようx座標値を対応付ける。この処理は、2つの代表断層画像の間に挟まれる断層画像に、図8A(a)の矢印Mで示される配列順に等間隔でx座標値を対応付けることで行われる。例えば、2つの代表断層画像の間に挟まれるm個の断層画像については、代表断層画像の配置間隔をm+1で除した間隔でx座標値が対応付けられる。
【0121】
また、制御/演算処理部20は、代表断層画像データでないその他の断層画像データについてはS21〜S24の処理を行わないため、その他の断層画像データには、任意の姿勢角、例えば、φP=φR=0°を対応付ける。制御/演算処理部20は、基準断層画像データでないその他の断層画像データを特定する情報とそのx軸座標値および姿勢角とを対応付けて空間配置情報記憶部58に記憶する。このような処理が実行された後、制御/演算処理部20は、上述のステップS26の処理に従いボリュームデータを生成する。
【0122】
本実施形態に係る超音波診断装置50においては、超音波プローブ14と生体との間に超音波プローブアダプタ52を介在させ、一次元走査を繰り返しつつ超音波プローブ14を移動させる。この際、一次元走査面の位置および姿勢角の検出が、取得された断層画像データに基づいて行われる。したがって、一次元走査面の位置および姿勢角を簡単な構成によって容易に検出することができる。
【0123】
さらに、一次元走査面については、その位置のみならず姿勢角が検出され、検出された位置および姿勢角に基づいて、各断層画像データがボリュームデータに変換される。これによって、一次元走査面の法線方向と超音波プローブ14の移動方向とを一致させなくとも、ボリュームデータを取得することが可能となる。したがって、フリーハンドで超音波プローブ14を移動させた場合であっても、一次元走査面の姿勢角が一定でないことに基づくボクセルデータの誤差を低減することができる。
【0124】
なお、制御/演算処理部20は、プログラム動作するプロセッサによって構成することができる。この場合、制御/演算処理部20が有する各機能はソフトウエア機能として実現することが可能である。すなわち、それらの機能を外部のコンピュータで実行させることも可能である。他方、制御/演算処理部20を、各機能を実現するハードウエアによって個別に構成してもよい。
【0125】
また、上記では、情報を記憶する手段として、ビームデータ記憶部22、断層画像データ記憶部24、テンプレート画像データ記憶部26、選択パラメータ記憶部28、位置情報記憶部30、ボリュームデータ記憶部32、テンプレートボリュームデータ記憶部54、相関値記憶部56、空間配置情報記憶部58等の記憶部を備える構成について説明した。これらの記憶部は、任意の個数のメモリ、ハードディスク等のハードウエアに記憶領域を割り当てることで構成することができる。
【符号の説明】
【0126】
10,50 超音波診断装置、12,12A,52 超音波プローブアダプタ、14 超音波プローブ、16 送信回路、18 受信回路、20 制御/演算処理部、22 ビームデータ記憶部、24 断層画像データ記憶部、26 テンプレート画像データ記憶部、28 選択パラメータ記憶部、30 位置情報記憶部、32 ボリュームデータ記憶部、34 ディスプレイ、36 外壁、38,64 超音波反射マーカ、40,70 超音波伝搬材料、42 フレーム、44 超音波反射片、46 アダプタ画像領域、48 仮想上の超音波反射片、54 テンプレートボリュームデータ記憶部、56 相関値記憶部、58 空間配置情報記憶部、60 プローブ側容器、62 生体側容器、66 マーカ部、68A,68B マーカ固定板、72 マーカ部の像。
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波プローブアダプタに関し、特に、超音波を送受信する超音波プローブと超音波診断対象の生体との間に介在させるものに関する。また、そのような超音波プローブアダプタを用いた超音波診断システムおよび超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
医療の分野において、生体内の組織を超音波画像として表示する超音波診断装置が広く用いられている。超音波診断装置は超音波の送受信により得られた超音波データを処理するモジュール(計測モジュール、画像化モジュール)を備えており、当該モジュールは超音波データ処理装置に相当する。超音波診断装置から超音波データを受け入れて、それを処理する情報処理装置(コンピュータ)も超音波データ処理装置の一種である。
【0003】
一般に、超音波診断装置は、与えられた電気信号に応じた超音波を送信し、受信した超音波に応じた電気信号を出力する超音波プローブを備える。超音波プローブには、複数の超音波振動子を配列することにより、超音波ビームの電気的な走査を可能としたアレイ型超音波プローブがある。
【0004】
アレイ型超音波プローブを備える超音波診断装置は、2次元画像(断層画像)を表示するモード、3次元画像を表示するモード等の動作モードによって動作する。前者による断層画像は超音波ビームの一次元走査によって取得された断層画像データ(フレームデータとも称される。)に基づいて形成され、後者による3次元画像は超音波ビームの2次元走査によって取得されたボリュームデータに基づいて形成される。ボリュームデータは、診断対象組織を含む生体内3次元領域における各位置に対応づけられたボクセルデータの集合として構成されるものであり、複数の断層画像データの集合として構成される。各ボクセルデータのデータ値は、生体内の各点で反射した超音波の強度を示す。3次元画像表示モードでは、ボリュームデータに基づいて生体内の組織が奥行感をもって3次元画像としてディスプレイに表示される。
【0005】
超音波診断装置においてボリュームデータを取得する方式には、超音波プローブを空間的に移動させつつ超音波ビームの一次元走査を繰り返し行うものがある。この方式では、一次元走査によって得られた各断層画像データに、対応する走査位置情報を対応付けることでボリュームデータが生成される。
【0006】
例えば、特許文献1および2には、超音波ビームの一次元走査を行いつつ超音波プローブを移動させて、ボリュームデータを取得する超音波診断装置について記載されている。これらの特許文献に記載の超音波診断装置では、超音波プローブの走査位置を検出する機構が備えられている。これによって、各断層画像データに対応する走査位置が検出され、ボリュームデータが生成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−56845号公報
【特許文献2】特開2009−39149号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1および2に記載されている超音波診断装置は、超音波プローブと生体との間に介在させて超音波プローブを支持する水袋を備える。このような水袋を備えることで、超音波プローブを移動させつつ繰り返し超音波ビーム走査を行う際に、各超音波ビーム走査面の方向が揃えられ、ボリュームデータを求める処理が簡略化される。
【0009】
しかし、このような超音波診断装置は、超音波プローブを支持する構成要素に加えて、超音波プローブの位置を検出する機構を別途備える。そのため、装置の構成が複雑になるという問題がある。
【0010】
本発明は、このような課題に対してなされたものである。すなわち、超音波診断装置において、超音波ビーム走査の空間的条件を簡単な構成により検出することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、超音波を送受信する超音波プローブと超音波診断対象の生体との間に介在させ、前記超音波プローブを移動可能にしつつ支持する超音波プローブアダプタにおいて、前記生体が接触する生体接触面と、当該生体接触面に対向し前記超音波プローブが接触するプローブ接触面とを有する、立体形状の超音波伝搬部と、前記超音波伝搬部内で延伸する領域を占める超音波反射マーカと、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る超音波診断システムは、前記超音波プローブアダプタと、前記超音波プローブと、前記超音波プローブが受信した超音波に基づいて、前記超音波プローブの複数の異なる位置に対応する前記生体の複数の断層画像データを生成する断層画像データ生成部と、前記断層画像データに含まれる前記超音波反射マーカに関する情報に基づいて、各断層画像データが示す断層画像の位置情報を求める位置情報決定部と、前記断層画像データと、その断層画像の位置情報とに基づいて、前記生体の超音波診断ボリュームデータを生成するボリュームデータ生成部と、を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る超音波診断装置は、超音波を送受信する超音波プローブと、前記超音波プローブを支持する超音波プローブアダプタが超音波診断対象の生体との間に介在した状態で前記超音波プローブが受信した超音波に基づいて、前記生体の断層画像データを生成する断層画像データ生成部と、前記断層画像データに含まれる、前記超音波プローブアダプタが備える超音波反射マーカに関する情報に基づいて、各断層画像データが示す断層画像の位置情報を求める位置情報決定部と、前記断層画像データと、その断層画像の位置情報とに基づいて、前記生体の超音波診断ボリュームデータを生成するボリュームデータ生成部と、を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る超音波プローブアダプタにおいては、望ましくは、前記超音波反射マーカが、前記超音波プローブの移動方向に沿った方向に配列された複数の超音波反射片を含む。
【0015】
また、本発明に係る超音波診断システムは、前記超音波プローブアダプタと、前記超音波プローブと、前記超音波プローブが受信した超音波に基づいて、前記超音波プローブの複数の異なる位置に対応する前記生体の複数の断層画像データを生成する断層画像データ生成部と、前記生体の複数の断層画像データから、前記超音波反射片の像が断層画像に現れる基準断層画像データを選択する基準断層画像データ選択部と、前記超音波反射片の位置情報に基づいて、前記基準断層画像データが示す断層画像の位置情報を求める位置情報決定部と、前記基準断層画像データと、その断層画像の位置情報と、前記基準断層画像データでないその他の前記断層画像データと、に基づいて、前記生体の超音波診断ボリュームデータを生成するボリュームデータ生成部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係る超音波診断システムは、望ましくは、前記基準断層画像データ選択部が、前記基準断層画像データに対応するテンプレート画像データを取得するテンプレート画像取得手段と、前記生体の複数の断層画像データのそれぞれから、前記基準断層画像データを選択するために予め定められた判定画像データを抽出する判定画像抽出手段と、前記判定画像抽出手段によって抽出された各判定画像データと、前記テンプレート画像データと、の相関度を求める相関手段と、を備え、前記生体の複数の断層画像データのそれぞれに対して求められた相関度に基づいて、前記基準断層画像データを選択する。
【0017】
また、本発明に係る超音波診断システムは、望ましくは、前記超音波診断ボリュームデータが、前記断層画像データに含まれる画素データと、その画素データに対応する座標値とを対応付けたデータであり、前記ボリュームデータ生成部が、前記基準断層画像データが示す各画素の座標値、および前記基準断層画像データでないその他の前記断層画像データが示す各画素の座標値を、前記基準断層画像データが示す断層画像の位置情報に基づいて求め、前記超音波診断ボリュームデータを生成する。
【0018】
また、本発明は、超音波を送受信する超音波プローブと、前記超音波プローブを支持する超音波プローブアダプタが超音波診断対象の生体との間に介在した状態で前記超音波プローブが受信した超音波に基づいて、前記超音波プローブの複数の異なる位置に対応する前記生体の複数の断層画像データを生成する断層画像データ生成部と、前記生体の複数の断層画像データから、前記超音波プローブアダプタが備える超音波反射片の像が断層画像に現れる基準断層画像データを選択する基準断層画像データ選択部と、前記超音波反射片の位置情報に基づいて、前記基準断層画像データが示す断層画像の位置情報を求める位置情報決定部と、前記基準断層画像データと、その断層画像の位置情報と、前記基準断層画像データでないその他の前記断層画像データと、に基づいて、前記生体の超音波診断ボリュームデータを生成するボリュームデータ生成部と、を備えることを特徴とする。
【0019】
また、本発明に係る超音波診断装置は、望ましくは、前記基準断層画像データ選択部が、前記基準断層画像データに対応するテンプレート画像データを取得するテンプレート画像取得手段と、前記生体の複数の断層画像データのそれぞれから、前記基準断層画像データを選択するために予め定められた判定画像データを抽出する判定画像抽出手段と、前記判定画像抽出手段によって抽出された各判定画像データと、前記テンプレート画像データと、の相関度を求める相関手段と、を備え、前記生体の複数の断層画像データのそれぞれに対して求められた相関度に基づいて、前記基準断層画像データを選択する。
【0020】
また、本発明に係る超音波診断装置は、望ましくは、前記超音波診断ボリュームデータが、前記断層画像データに含まれる画素データと、その画素データに対応する座標値とを対応付けたデータであり、前記ボリュームデータ生成部が、前記基準断層画像データが示す各画素の座標値、および前記基準断層画像データでないその他の前記断層画像データが示す各画素の座標値を、前記基準断層画像データが示す断層画像の位置情報に基づいて求め、前記超音波診断ボリュームデータを生成する。
【0021】
また、本発明に係る超音波プローブアダプタは、望ましくは、前記超音波反射マーカが、前記プローブの移動方向に対し斜めに延伸する超音波反射部を含む。
【0022】
また、本発明に係る超音波プローブアダプタは、望ましくは、前記超音波伝搬部が、外側底面が前記生体接触面をなし、当該外側底面が前記生体の表面形状に適合するよう変形しつつ前記生体に接触する生体側容器と、外側底面が前記プローブ接触面をなし、その開口が前記生体側容器の開口と合致するプローブ側容器と、前記生体側容器および前記プローブ側容器に収容される超音波伝搬部材と、を備え、前記超音波反射マーカが、前記プローブ側容器に固定される。
【0023】
また、本発明に係る超音波プローブアダプタは、望ましくは、前記超音波反射マーカが、方向を揃えて延伸する少なくとも3系統の前記超音波反射部を備える。
【0024】
また、本発明に係る超音波診断システムは、前記超音波プローブアダプタと、前記超音波プローブと、前記超音波プローブが受信した超音波に基づいて前記生体の断層画像データを生成する断層画像データ生成部と、前記超音波反射マーカの断層画像を示すマーカ画像データを前記断層画像データから抽出するマーカ画像抽出部と、前記断層画像データが示す断層画像の空間配置情報を、前記マーカ画像データに基づいて求める配置情報決定部と、前記断層画像データと、その断層画像の空間配置情報とに基づいて、前記生体の超音波診断ボリュームデータを生成するボリュームデータ生成部と、を備えることを特徴とする。
【0025】
また、本発明に係る超音波診断システムは、望ましくは、前記配置情報決定部が、断層画像の空間配置情報に対応するテンプレート画像データを生成するテンプレート画像生成手段と、前記マーカ画像データと、前記テンプレート画像データと、の相関度を求める相関手段と、を備え、異なる複数の空間配置情報について生成された各テンプレート画像データと、前記マーカ画像データと、の相関度に基づいて、当該複数の空間配置情報のうちいずれかを選択し、前記断層画像データが示す断層画像の空間配置情報を求める。
【0026】
また、本発明に係る超音波診断システムは、望ましくは、前記超音波診断ボリュームデータが、前記断層画像データに含まれる画素データと、その画素データに対応する座標値とを対応付けたデータであり、前記ボリュームデータ生成部が、前記断層画像データが示す各画素の座標値を、当該断層画像データが示す断層画像の空間配置情報に基づいて求め、前記超音波診断ボリュームデータを生成する。
【0027】
また、本発明は、超音波を送受信する超音波プローブと、前記超音波プローブを支持する超音波プローブアダプタが超音波診断対象の生体との間に介在した状態で前記超音波プローブが受信した超音波に基づいて、前記生体の断層画像データを生成する断層画像データ生成部と、前記超音波プローブアダプタが備える超音波反射マーカの断層画像を示すマーカ画像データを、前記断層画像データから抽出するマーカ画像抽出部と、前記断層画像データが示す断層画像の空間配置情報を、前記マーカ画像データに基づいて求める配置情報決定部と、前記断層画像データと、その断層画像の空間配置情報とに基づいて、前記生体の超音波診断ボリュームデータを生成するボリュームデータ生成部と、を備えることを特徴とする。
【0028】
また、本発明に係る超音波診断装置は、望ましくは、前記配置情報決定部が、断層画像の空間配置情報に対応するテンプレート画像データを生成するテンプレート画像生成手段と、前記マーカ画像データと、前記テンプレート画像データと、の相関度を求める相関手段と、を備え、異なる複数の空間配置情報について生成された各テンプレート画像データと、前記マーカ画像データと、の相関度に基づいて、当該複数の空間配置情報のうちいずれかを選択し、前記断層画像データが示す断層画像の空間配置情報を求める。
【0029】
また、本発明に係る超音波診断装置は、望ましくは、前記超音波診断ボリュームデータが、前記断層画像データに含まれる画素データと、その画素データに対応する座標値とを対応付けたデータであり、前記ボリュームデータ生成部が、前記断層画像データが示す各画素の座標値を、当該断層画像データが示す断層画像の空間配置情報に基づいて求め、前記超音波診断ボリュームデータを生成する。
【0030】
本発明に係る超音波診断システムまたは超音波診断装置においては、望ましくは、前記空間配置情報は、位置情報および姿勢角情報のうち少なくともいずれかを含む情報である。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、超音波ビーム走査の空間的条件を容易に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す図である。
【図2】超音波プローブアダプタの斜視図および断面図である。
【図3】複数の断層画像を概念的に示した図である。
【図4】制御/演算処理部がボリュームデータを生成する処理を示すフローチャートである。
【図5】判定画像データが示す画像を示す図である。
【図6】超音波プローブアダプタの変形例を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る超音波診断装置の構成を示す図である。
【図8A】超音波プローブアダプタの上面図、正面図、左側面図および右側面図である。
【図8B】超音波プローブアダプタの断面図である。
【図8C】超音波プローブアダプタの断面図である。
【図9】一次元走査面の位置および姿勢角の定義を説明する図である。
【図10】ボリュームデータを生成する処理を示すフローチャートである。
【図11】マーカ画像データによって示されるマーカ画像を概念的に示した図である。
【図12】テンプレート画像データの画像を示す図である。
【図13】位置および姿勢角を決定する処理の具体例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1に本発明の第1実施形態に係る超音波診断装置10の構成を示す。この超音波診断装置10は、超音波プローブ14と生体との間に超音波プローブアダプタ12を介在させ、超音波プローブ14を移動させつつ繰り返し一次元走査を行うものである。超音波診断装置10は、繰り返し行われた一次元走査による各断層画像データに基づいて生体の像を示すボリュームデータを生成する。
【0034】
図2に超音波プローブアダプタ12の構成を示す。図2(a)は斜視図を示し、図2(b)および(c)は、それぞれ、図2(a)のAB線断面図およびCD線断面図を示す。超音波プローブアダプタ12は、超音波プローブアダプタ12全体を覆う外壁36、超音波プローブアダプタ12内に固定される超音波反射マーカ38、および外壁36内に収容された超音波伝搬材料40を備えて構成される。
【0035】
本実施形態において、外壁36は直方体形状をなす。図2(a)の上面は超音波プローブ14と接触するプローブ接触面であり、底面は生体と接触する生体接触面である。図2(a)において、図2(a)の手前から奥へと向かう矢印Mで示された方向が超音波プローブ14の移動方向である。外壁36の材料には、超音波プローブ14の音響整合層との間で音響整合が図られる材料を用いることが好ましい。また、外壁36は、プローブ接触面の領域を剛性の材料によって形成し、生体接触面の領域を生体の表面形状に適合するよう変形する材料によって形成することが好ましい。ここでは、外壁36は直方体形状をなすものとしているが、外壁36は、互いに対向するプローブ接触面および生体接触面を有する立体形状をなすものとしてもよい。
【0036】
超音波伝搬材料40は外壁36内に収容されている。超音波伝搬材料40には、その音響インピーダンスが生体のそれと近似した水、油脂等の液体を用いることができる。
【0037】
このような構成によれば、超音波プローブアダプタ12の生体接触面を生体に接触させ、プローブ接触面に接触する超音波プローブ14と生体との間の超音波結合を図ることができる。
【0038】
超音波反射マーカ38は、超音波反射片44およびフレーム42を備えて構成される。フレーム42は長方形状に周回する線状部材によって形成することができる。フレーム42は剛性の部材で形成することが好ましい。ここでは、フレーム42が形成する長方形の図2(b)における下辺をなす区間は外壁36に固定されている。また、フレーム42が取り付けられる向きは、フレーム42が形成する長方形の面が、プローブ接触面および生体接触面と平行になる向きとする。
【0039】
フレーム42が形成する長方形状の4辺のうちの図2(b)の上下の辺をなす区間には、超音波反射片44が配列され固定されている。これによって、超音波プローブ14の移動方向と一致する方向に複数の超音波反射片44が配列される。超音波反射片44は、必ずしも等間隔に配列しなくてもよいが、等間隔に配列することで後述の画像処理が容易になることが多い。また、ここでは、超音波反射片44を図2(b)の上下の辺をなす2つの区間に配列した例を採り上げているが、いずれか一方の辺をなす区間にのみ超音波反射片44を配列することとしてもよい。
【0040】
超音波反射片44は、超音波伝搬材料40内で超音波を反射する材料によって形成する。例えば、超音波伝搬材料40が水である場合には、水と音響インピーダンスが異なるシリコン、金属等の材料を用いることができる。また、超音波反射片44の基本材料として、超音波伝搬材料40と音響インピーダンスが近似した材料を用い、超音波反射片44内に超音波伝搬材料40と音響インピーダンスが異なる粉末状の材料を混入させたものを用いてもよい。この場合、超音波反射片44内に混入させる粉末状材料の量に応じて断層画像に現れる像の輝度を調整することができる。
【0041】
なお、外壁36およびその内部を占める超音波伝搬材料40の部分は、生体表面の形状に応じて変形し、生体との間で音響整合が図られる弾性部材に置き換えることができる。ただし、プローブ接触面と超音波反射片44との位置関係は、生体表面の形状の変化に関わらず一定となるよう構成することが好ましい。
【0042】
このような構成によれば、超音波プローブ14の一次元走査面上に超音波反射片44が位置する場合は、断層画像上にその超音波反射片44の像が現れる。したがって、超音波反射片44の位置を予め求めておくことで、超音波診断装置10は超音波反射片44の像が現れた断層画像に対する一次元走査面の位置を検出することができる。これによって、後述のように、超音波プローブ14の移動速度が一定でないことに基づくボリュームデータの誤差を低減することができる。
【0043】
次に、超音波診断装置10が断層画像データを取得し、ボリュームデータを生成する処理について説明する。超音波プローブ14は、本実施形態において、生体内の3次元空間に対して超音波を送受波する送受波器である。超音波プローブ14は、本実施形態において、超音波ビームを一次元走査するための1Dアレイ振動子を備えている。ただし、2Dアレイ振動子を備えるものを採用し、一次元走査を行うこととしてもよい。ここで、1Dアレイ振動子は一次元配列された複数の振動素子により構成されるものであり、2Dアレイ振動子は2次元配列された複数の振動素子により構成されるものである。
【0044】
超音波プローブアダプタ12は、診断対象の生体に生体接触面が接触するよう、生体表面上に配置される。施術者は、送受信ビームの一次元走査が繰り返し行われている間、超音波プローブ14を超音波プローブアダプタ12に接触させつつ、図2(a)および(b)の矢印Mの方向に移動させる。ここで、超音波プローブ14の姿勢は、一次元走査面の法線方向が矢印Mの方向にほぼ一致する姿勢とする。
【0045】
送信回路16および受信回路18は、制御/演算処理部20の制御に基づいて次のような処理を実行する。送信回路16は、送信ビームフォーマーとして機能し、具体的には、複数の送信信号を生成しそれらを超音波プローブ14内のアレイ振動子へ並列的に出力する。超音波プローブ14では、それらの送信信号に基づいて超音波が生成され、それが超音波プローブアダプタ12を介して生体内へと放射される。これにより送信ビームが形成される。
【0046】
超音波プローブ14内のアレイ振動子は、人体内で生じた反射波を超音波プローブアダプタ12を介して受信し、受信した反射波に基づき複数の受信信号を生成してそれらを受信回路18に並列的に出力する。受信回路18は、受信ビームフォーマーとして機能するものであり、具体的には、複数の受信信号に対する整相加算処理により、受信ビームに相当するビームデータ(整相加算後の受信信号)を生成する。このビームデータは、受信ビーム一本分に相当するエコーデータ列として構成される。すなわち、ビームデータは、特定の超音波送受信方向について、超音波プローブ14からの各距離上で生じた反射波の強度を時間軸上に表したデータである。このようにして生成されたビームデータは、受信回路18から制御/演算処理部20に出力される。制御/演算処理部20は、受信回路18から出力されたビームデータをビームデータ記憶部22に記憶する。
【0047】
本実施形態に係る超音波診断装置10では、生体内の注目組織に対し、超音波プローブアダプタ12を介して超音波ビームが一次元走査される。この一次元走査は、超音波プローブ14が移動する間、複数回にわたって繰り返し行われ、各一次元走査ごとに得られるビームデータ群が、断層画像データとしてビームデータ記憶部22に記憶される。したがって、ビームデータ記憶部22に記憶される各断層画像データは、一次元走査面内における複数の方位に対応する複数のビームデータから構成される。また、一次元走査が繰り返し行われている間、超音波プローブ14が移動するため、各断層画像データは、超音波プローブ14の移動に伴って変位する一次元走査面の位置に対応する断層画像を示す。
【0048】
制御/演算処理部20は、ビームデータ記憶部22に記憶された断層画像データに対して座標変換処理を施し、これにより直交座標系の断層画像データを生成する。この断層画像データは、断層画像を構成する各画素についての画素データを含む。ここで、画素データは、画素値と画素の2次元座標値とが対応付けられたデータである。直交座標系の断層画像データは、断層画像データ記憶部24に記憶される。なお、上記の座標変換処理がビームデータ記憶部22への各ビームデータの最初の記憶時に実行されてもよい。通常、記憶される各ビームデータに対しては、検波処理、対数圧縮処理等の信号処理が施される。
【0049】
次に、断層画像データ記憶部24に記憶された断層画像データに基づいて、ボリュームデータを生成する処理について説明する。ここでは、ボリュームデータの3次元座標を図2(a)に記載したxyz座標を以て定義する。すなわち、図2(a)の矢印Mの方向を正方向とする座標軸をx軸、図2(a)の左方向を正方向とする座標軸をy軸、そして、図2(a)の上方向を正方向とする座標軸をz軸とする。
【0050】
複数回の一次元走査によって得られた複数の断層画像データは、面方向を揃えて超音波プローブ14の移動方向に連ねられた複数の断層画像を示す。図3は、この複数の断層画像を概念的に示したものである。この図は、一次元走査が等時間間隔で行われ、一次元走査が実際に行われた位置に断層画像を概念的に配置したものを示す。
【0051】
施術者がフリーハンドで超音波プローブ14を移動させた場合、超音波プローブ14の移動速度は一定とならないことがある。この場合、複数の断層画像の配置間隔は均一にならず、ばらつきが生じる。例えば、図3においては、領域aとbとで断層画像の配置間隔の粗密が異なったものとなっている。
【0052】
このようにして得られた複数の断層画像データに対し、断層画像の配置間隔が均一であるものとして各断層画像データに座標値を対応付けてボリュームデータを生成すると、ボリュームデータを構成するボクセルデータの座標値に誤差が生じる。
【0053】
そこで、本実施形態においては、複数の断層画像データのうち、断層画像に超音波反射片44の像が現れるものを基準断層画像データとして選択する。そして、基準断層画像データに対応する基準断層画像が超音波反射片44の配置位置に整合するよう、基準断層画像データに座標値を対応付ける。
【0054】
すなわち、図3に示すように、矢印が付された断層画像が超音波反射片44の像が現れる断層画像である場合、矢印が付された断層画像を示す断層画像データが基準断層画像データとして選択される。そして、超音波反射片44の配置位置に整合するよう、各基準断層画像データに座標値が対応付けられる。例えば、図2に示すように超音波反射片44が等間隔に配列されている場合には、基準断層画像が等間隔に配置されるよう、各基準断層画像データに座標値が対応づけられることとなる。
【0055】
他方、複数の断層画像データのうち、基準断層画像データでないその他の断層画像データには、これらの断層画像が基準断層画像の間に等間隔で配置されるよう、座標値が対応付けられる。すなわち、図3において矢印が付された基準断層画像の間の断層画像を示す断層画像データには、基準断層画像に挟まれる領域内で等間隔に断層画像が配置されるよう座標値が対応づけられることとなる。
【0056】
図4は、制御/演算処理部20がボリュームデータを生成する処理を示すフローチャートである。このフローチャートに従う処理では、断層画像データ記憶部24に記憶されている各断層画像データに対応する一次元走査面のx座標値が求められ、断層画像データを特定する情報と対応付けられた上で位置情報記憶部30に記憶される。そして、各断層画像データと各断層画像データに対応するx座標値とに基づいてボリュームデータが生成される。
【0057】
制御/演算処理部20は、断層画像データ記憶部24から1枚の断層画像を示す断層画像データを読み込む(S11)。そして、読み込んだ断層画像データから判定画像データを抽出する(S12)。ここで、判定画像データとは、断層画像上の領域のうち超音波反射片44の像が現れる領域外の像を取り除いた画像データをいう。
【0058】
一次走査面上に超音波反射片44がある場合には、判定画像データが示す画像は超音波反射片44の像が現れた画像となる。例えば、図2の超音波プローブアダプタ12を用いた場合、図5(a)に示す断層画像上の領域のうち、破線で示したアダプタ画像領域46が超音波反射片44の像が現れる領域となる。このアダプタ画像領域46は、超音波プローブアダプタ12内の領域に対応する画像領域である。
【0059】
制御/演算処理部20は、抽出された判定画像データに対し2値化を施す(S13)。ここで、2値化とは、所定の閾値を超えるデータ値を1に置き換え、所定の閾値以下のデータ値を0に置き換える処理をいう。この閾値は、超音波プローブアダプタ12内の超音波伝搬材料40と超音波反射片44とが弁別されるよう定められる。2値化によってエコー値の高い領域が抽出され、超音波反射片44の輪郭が明確化される。このような2値化の代わりに、2値化されたデータ値につき1と0を入れ換える反転2値化を行ってもよい。
【0060】
本実施形態に係る超音波診断装置10は、テンプレート画像データ記憶部26を備える。ここに記憶されるテンプレート画像データは、超音波反射片44の像が現れた判定画像データと同一の仮想的な画像データである。テンプレート画像データが示す画像は、図5(b)に示すように、仮想上の超音波反射片48を示した画像となる。
【0061】
ステップS14において制御/演算処理部20は、テンプレート画像データと、ステップS13において2値化された判定画像データとの相関演算を行う。そして、求められた相関値とそれに対応する断層画像データを特定する情報と対応付けた選択パラメータを生成し、選択パラメータ記憶部28に記憶させる(S14)。ここで、断層画像データを特定する情報は、例えば、複数の断層画像データが取得された順番、すなわち図2(a)および(b)の矢印Mの方向への配列順序を表す情報とする。
【0062】
制御/演算処理部20は、断層画像データ記憶部24に記憶されている総ての断層画像データについてステップS11〜S14の処理が実行されたか否かを判定する(S15)。そして、総ての断層画像データについて処理が実行されていない場合には、ステップS11に戻る。次に実行されるステップS11においては、ステップS11〜S14の処理が施されていない断層画像データが読み込まれる。
【0063】
複数の断層画像データのうち、テンプレート画像データと判定画像データとの相関値が極大値となる断層画像データは、その断層画像上に超音波反射片44の像が現れる基準断層画像データである。例えば、図3の例では矢印が付された断層画像に対応する選択パラメータの相関値は極大値を示す。したがって、選択パラメータ記憶部28に記憶された複数の選択パラメータのうち、相関値が予め定められた閾値を超えるものを選択することで、複数の断層画像データから基準断層画像データを特定することができる。
【0064】
そこで、制御/演算処理部20は、総ての断層画像データについてステップS11〜S14の処理が実行された後、選択パラメータ記憶部28に記憶されている選択パラメータのうち、相関値が所定の閾値を超えたものを取得する(S16)。基準断層画像データは、相関値が所定の閾値を超えた選択パラメータによって特定される。
【0065】
制御/演算処理部20は、各基準断層画像データに図2(a)および(b)の矢印Mで示される配列順にx座標値を対応付ける。すなわち、制御/演算処理部20は、基準断層画像データを特定する情報とその位置情報であるx軸座標値とを対応付けて位置情報記憶部30に記憶する(S17)。
【0066】
この処理は、各基準断層画像データに、対応する超音波反射片44のx座標値を対応付けることで行われる。より具体的には、制御/演算処理部20は、配列順位が第1番目の基準断層画像データに、図2(b)において最も左にある超音波反射片44のx軸座標値を対応付ける。そして、配列順位が第2番目である基準断層画像データに、図2(b)において左から2番目にある超音波反射片44のx軸座標値を対応付ける。さらに、配列順位が第n番目である基準断層画像データに、図2(b)において左からn番目にある超音波反射片44のx軸座標値を対応付ける。
【0067】
制御/演算処理部20は、基準断層画像データでないその他の断層画像データに、断層画像が基準断層画像の間に等間隔で配置されるようx座標値を対応付ける。すなわち、制御/演算処理部20は、選択パラメータ記憶部28を参照し、基準断層画像データでないその他の断層画像データを特定する情報とそのx軸座標値とを対応付けて位置情報記憶部30に記憶する(S18)。
【0068】
この処理は、2つの基準断層画像の間に挟まれる断層画像に、図2(a)および(b)の矢印Mで示される配列順に等間隔でx座標値を対応付けることで行われる。より具体的には、制御/演算処理部20は、2つの基準断層画像の間に挟まれるm枚の断層画像について、図2(a)および(b)の矢印Mの順に、基準断層画像の配置間隔をm+1で除した間隔でx座標値を対応付ける。
【0069】
次に制御/演算処理部20は、ステップS17およびS18によって断層画像データにx座標値を対応付けた後、次に説明する処理に基づいてボリュームデータを生成する(S19)。
【0070】
まず、制御/演算処理部20は、断層画像データ記憶部24に記憶されている断層画像データを読み込む。さらに、その断層画像データを特定する情報に対応するx座標値を位置情報記憶部30から読み込む。
【0071】
上述のように、断層画像データの各画素データは、一次元走査面上での位置を示す2次元座標値を有する。そこで、制御/演算処理部20は、断層画像データの画素データの2次元座標値と、位置情報記憶部30から読み込まれたx座標値とに基づいて、その画素データに対応する3次元直交座標値を求める。
【0072】
例えば、断層画像データの一次元走査面上に定義された2次元座標値A(α,β)と、図2(a)に定義された3次元直交座標値X(x,y,z)との関係は、座標変換処理を示す関数fによってX=f(x1,A)として表される。ここで、x1は座標変換処理対象の断層画像のx座標値である。この場合、断層画像データに含まれる画素データの座標B(α1,β1)については、断層画像の位置がx1として求められた場合には、f(x1,B)として3次元直交座標値が求められる。
【0073】
制御/演算処理部20は、断層画像データに含まれる画素データの画素値と新たに求められた3次元座標値とを対応付けることにより、ボリュームデータを構成するボクセルデータを求める。そして、求められたボクセルデータをボリュームデータ記憶部32に記憶する。制御/演算処理部20は、断層画像データ記憶部24に記憶されている各断層画像データについて、上述の座標変換処理を行い、それによって得られたボクセルデータをボリュームデータ記憶部32に記憶する。このような処理によってボリュームデータ記憶部32に記憶されたボクセルデータ群は、ボリュームデータを構成する。
【0074】
制御/演算処理部20は、ボリュームデータ記憶部32に記憶されたボリュームデータに基づいて、生体のエコー画像をディスプレイ34に表示する。表示に当たっては、望ましくはボリュームレンダリング法が採用される。ボリュームレンダリング法は、視点から伸びる各視線(レイ)上において奥行き方向に各ボクセルを参照して、不透明度(オパシティ)を示す情報を所定のボクセル演算によって求め、最終的なボクセル演算結果を当該視線に対応する画素の画素値とする公知のレンダリング処理法である。ボリュームレンダリング法によれば、視点から奥行き方向側にある組織が、輝度の強弱を以て立体的に表示される。
【0075】
本実施形態に係る超音波診断装置10においては、超音波プローブ14と生体との間に超音波プローブアダプタ12を介在させ、一次元走査を繰り返しつつ超音波プローブ14を移動させる。この際、一次元走査面の位置が断層画像データに基づいて求められる。したがって、一次元走査面の位置を簡単な構成によって容易に求めることができる。
【0076】
さらに、本実施形態においては、複数の断層画像データのうち、断層画像に超音波反射片44の像が現れるものを基準断層画像データとして選択する。そして、選択された基準断層画像データに対応する基準断層画像が超音波反射片44の配置位置に整合するよう、基準断層画像データに座標値が対応付けられる。さらに、複数の断層画像データのうち、基準断層画像データでないその他の断層画像データには、これらの断層画像が基準断層画像の間に等間隔で配置されるよう、座標値が対応付けられる。これによって、フリーハンドで超音波プローブ14を移動させた場合であっても、超音波プローブ14の移動速度が一定でないことに基づくボクセルデータの誤差を低減することができる。
【0077】
なお、図4のフローチャートに基づく処理では、2値化された判定画像データとテンプレート画像データとの相関値に基づく処理が実行される。このような相関値を求める代わりに、アダプタ画像領域46内の画素値の加算合計値を求めることとしてもよい。
【0078】
また、上記では、超音波反射片44の配列方向をプローブ接触面に対して平行とした超音波プローブアダプタ12について説明した。このような超音波プローブアダプタの他、超音波反射片44の配列方向をプローブ接触面に対して斜めの方向とした超音波プローブアダプタを用いてもよい。この場合の超音波プローブアダプタの構成を図6に示す。
【0079】
この超音波プローブアダプタ12Aを用いる場合、図4のフローチャートに基づく処理においては、アダプタ画像領域46内の画素値の加算合計値を相関値の代わりに用いることが好ましい。
【0080】
超音波プローブアダプタ12Aを用いた場合、超音波反射片44の像のz軸方向の位置は、基準断層画像のx座標値に応じて異なる。制御/演算処理部20は、このことを利用して基準断層画像のx座標値を求めることができる。
【0081】
この場合、超音波診断装置10は、超音波反射片44の像のアダプタ画像領域46内における位置と、その超音波反射片44のx座標値との対応関係を記憶する手段を備えるものとする。この構成の下、制御/演算処理部20は、判定画像データに基づいて超音波反射片44の像のアダプタ画像領域46内における位置を検出する。そして、予め記憶された上記対応関係に基づいてその判定画像データに対応する基準断層画像のx座標値を求める。なお、基準断層画像データでないその他の断層画像データに対する処理は、図2の超音波プローブアダプタ12を用いた場合の処理と同様である。
【0082】
図7に本発明の第2実施形態に係る超音波診断装置50の構成を示す。この超音波診断装置50は、超音波プローブ14と生体との間に、上述の超音波プローブアダプタ12とは構造が異なる超音波プローブアダプタ52を介在させ、超音波プローブ14を移動させつつ繰り返し一次元走査を行うものである。超音波診断装置50は、繰り返し行われた一次元走査による各断層画像データに基づいて生体の像を示すボリュームデータを生成する。図1に示す超音波診断装置10が備える構成要素と同一の構成要素については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0083】
図8A〜図8Cに超音波プローブアダプタ52の構成を示す。図8A(a)および(b)は、それぞれ、上面図および正面図を示す。図8A(c)および(d)は、それぞれ、左側面図および右側面図を示す。また、図8B(e)および(f)は、それぞれ、図8A(a)のAB線断面図および図8A(b)のCD線断面図を示し、図8Cは、図8A(b)のEF線断面図を示す。
【0084】
図8Aおよび図8Bに示されるように、超音波プローブアダプタ52は、互いに開口を合致させたプローブ側容器60および生体側容器62を備えて構成される。プローブ側容器60は、剛性の材料によって形成されている。プローブ側容器60の材料には、超音波プローブ14の音響整合層との間で音響整合が図られる材料を用いることが好ましい。プローブ側容器60の上壁は、その外側に超音波プローブ14が接触しつつ移動可能となるよう平面状に形成されている。ここでは、図8Aの矢印Mの方向に超音波プローブ14を移動させるものとする。プローブ側容器60の開口は、その開口面が下方を臨み、上壁に対し斜めとなるよう形成されている。
【0085】
生体側容器62は、生体の表面形状に適合するよう変形する材料によって形成されている。生体側容器62の材料には、生体との間で音響整合が図られる材料を用いることが好ましい。生体側容器62は、プローブ側容器60の開口に合致する開口を有する形状に形成される。すなわち、生体側容器62の開口は、その開口面が上方を臨み、底壁に対し斜めとなるよう形成されている。
【0086】
プローブ側容器60および生体側容器62は、互いに開口面が合致するよう接合され、内部に超音波伝搬材料70を収容する。超音波伝搬材料70には、その音響インピーダンスが生体のそれと近似した水、油脂等の液体を用いることができる。
【0087】
このような構成によれば、超音波プローブアダプタ52を生体に接触させたときは、生体側容器62が生体表面に密着する。これによって、プローブ側容器60の上壁に接触する超音波プローブ14と生体との間の超音波結合を図ることができる。
【0088】
なお、生体側容器62およびその内部を占める超音波伝搬材料70の部分は、生体表面の形状に応じて変形し、生体との間で音響整合が図られる弾性部材に置き換えてもよい。同様に、プローブ側容器60およびその内部を占める超音波伝搬材料70の部分もまた、超音波プローブ14の音響整合層との間で音響整合が図られる部材に置き換えてもよい。
【0089】
図8Bに示すように、本実施形態に係る超音波プローブアダプタ52は超音波反射マーカ64を備える。超音波反射マーカ64は、超音波プローブアダプタ52と生体との間に超音波プローブアダプタ52を介在させ、一次元走査によって断層画像データを取得したときに、断層画像にその反射波による像を発生させる。
【0090】
超音波反射マーカ64の具体的な構成について図8Bおよび図8Cを参照して説明する。超音波反射マーカ64は、線状に形成された4本のマーカ部66、およびマーカ部66を方向を揃えてプローブ側容器60に固定するマーカ固定板68Aおよび68Bを備える。マーカ部66は、超音波プローブアダプタ52の超音波伝搬材料70内で超音波を反射する材料によって形成する。例えば、超音波伝搬材料70が水である場合には、水と音響インピーダンスが異なるシリコン、金属等の材料を用いることができる。また、マーカ部66の基本材料として、超音波伝搬材料70と音響インピーダンスが近似した材料を用い、マーカ部66内に超音波伝搬材料70と音響インピーダンスが異なる粉末状の材料を混入させたものを用いてもよい。この場合、マーカ部66内に混入させる粉末状材料の量に応じて断層画像に現れる像の輝度を調整することができる。
【0091】
マーカ部66は、超音波プローブ14の移動方向に対して斜め方向に延伸するよう配置される。ここでは、マーカ部66は、直方体形状のブロックが階段形状に連ねて接合された形状を有するものとし、図8B(e)の右から左へ向かうにつれて、プローブ側容器60の上壁から反れる方向に延伸するよう配置されるものとする。この階段形状のステップの細かさの程度は、断層画像の位置の検出精度に応じて決定することが好ましい。また、図8B(e)および(f)に示すように、正面側および背面側の各側面の近傍において、側面に沿って2段重ねとなるよう、2本のマーカ部66が右肩上がりに方向を揃えて配置される。
【0092】
各マーカ部66の一端はマーカ固定板68Aに接合され、他端はマーカ固定板68Bに接合されている。マーカ固定板68Aおよび68Bは長方形状に形成されている。マーカ固定板68Aは、生体側容器62内に位置し、プローブ側容器60の開口縁の左側辺に接合されている。また、マーカ固定板68Bは、プローブ側容器60内に位置し、プローブ側容器60の開口縁の右側辺に接合されている。なお、ここでは、マーカ固定板68Aおよび68Bを長方形状に形成する例を示したが、各マーカ部66の位置関係を上述のように保ちつつ、各マーカ部66をプローブ側容器60に固定する形状であればどのような形状であってもよい。
【0093】
このような構成によれば、超音波反射マーカ64のマーカ部66は、一次元走査面の位置および方向に応じて、断層画像上の異なる位置に像を発生させる。したがって、断層画像上に現れるマーカ部66の像の位置と、断層画像の位置および方向との関係を予め求めておくことで、超音波診断装置50は、マーカ部66の像の位置によって、断層画像の位置および方向を検出することができる。
【0094】
なお、ここでは、4本のマーカ部を設けた構成について説明した。以下に説明する画像処理の原理から、マーカ部は3本以上設けられていればよい。また、マーカ部としては、直方体形状のブロックが階段形状に連ねて接合された形状を有するものを採り上げているが、マーカ部の形状は、太さが一様な線状のものであってもよい。例えば、マーカ部として金属ワイヤを採用することができる。
【0095】
本実施形態に係る超音波診断装置50は、図1に示す超音波診断装置10が実行する処理と同様の処理によって、生体の断層画像データを取得し断層画像データ記憶部24に記憶する。ここでは、断層画像データ記憶部24に記憶された断層画像データに基づいて、ボリュームデータを生成する処理について説明する。上述のように、断層画像データは、それに対応する一次元走査面における断層画像を示す。断層画像データの各画素データは、一次元走査面上での位置を示す2次元座標値を有する。
【0096】
超音波診断装置50においては、一次元走査面の3次元空間における位置および姿勢角を検出する。そして、検出された位置および姿勢角と、画素データの2次元座標値とに基づいて、その画素データに対応する3次元直交座標値を求める。さらに、その画素データの画素値と新たに求められた3次元直交座標値を対応付けることにより、ボリュームデータを構成するボクセルデータを求める。
【0097】
図9は、一次元走査面Sの位置および姿勢角の定義を説明する図である。超音波プローブアダプタ52においては、その内部に決定された基準点Gを通り、プローブ側容器60の上壁の長手方向に平行なx軸が定義される。基準点Gは、例えば、超音波プローブアダプタ52の重心とする。一次元走査面Sの位置は、一次元走査面Sとx軸との交点のx座標値によって表される。
【0098】
また、一次元走査面Sには、ロール軸Rおよびピッチ軸Pが定義される。ロール軸Rは、一次元走査面Sとx軸との交点を通る直線であり、一次元走査面Sの法線方向をx軸方向と一致させたときに、プローブ側容器60の上壁面に対し垂直となる直線である。ピッチ軸Pは、一次元走査面Sとx軸との交点を通る一次元走査面S上の直線であり、ロール軸Rに垂直な直線である。一次元走査面Sの姿勢角は、ロール角φRおよびピッチ角φPによって表される。ロール角φRは、一次元走査面Sがロール軸Rを中心に回転したときの回転角によって表される。また、ピッチ角φPは、一次元走査面Sがピッチ軸Pを中心に回転したときの回転角によって表される。ロール角φRおよびピッチ角φPは、例えば、一次元走査面Sの法線方向をx軸方向と一致させたときに0であるものとする。ピッチ角φPおよびロール角φRの極性は、例えば、図9の正面側を見て時計回り方向をピッチ角φPの正方向とし、図9の上面側から見て時計回り方向をロール角φRの正方向とする。
【0099】
図10は、制御/演算処理部20がボリュームデータを生成する処理を示すフローチャートである。この処理においては、断層画像データ記憶部24に記憶されている各断層画像データに対し、一次元走査面の位置および姿勢角を求め、空間配置情報記憶部58に記憶する。そして、各断層画像データと、各断層画像データに対応する位置および姿勢角とに基づいてボリュームデータを生成する。
【0100】
制御/演算処理部20は、断層画像データ記憶部24から1枚の断層画像を示す断層画像データを読み込む(S21)。そして、読み込んだ断層画像データから、マーカ部66の像を示すマーカ画像データを抽出する(S22)。より具体的には、制御/演算処理部20は、断層画像上の領域のうちマーカ部66の像が現れる領域外の像を取り除いた画像データを断層画像データから抽出する。図11はマーカ画像データによって示されるマーカ画像を概念的に示したものである。図11に示すように、マーカ画像は、一次元走査範囲内に4本のマーカ部の像72が現れたものとなる。制御/演算処理部20は、抽出されたマーカ画像に対し2値化を施す(S23)。2値化の際の閾値は、超音波プローブアダプタ52内の超音波伝搬材料70とマーカ部66とが弁別されるよう定められる。2値化によってエコー値の高い領域が抽出され、マーカ部66の輪郭が明確化される。このような2値化の代わりに、2値化されたデータ値につき1と0を入れ換える反転2値化を行ってもよい。
【0101】
本実施形態に係る超音波診断装置50は、テンプレートボリュームデータ記憶部54を備える。ここに記憶されるテンプレートボリュームデータは、マーカ部66に対応するボクセルデータの値を1とし、その他の領域のボクセルデータの値を0とした仮想的なボリュームデータである。ただし、反転2値化データである場合は1と0とが逆になる。また、テンプレートボリュームデータの各ボクセルデータの3次元直交座標は、図9に示されるxyz座標系を以て定義される。すなわち、テンプレートボリュームデータが示すテンプレート空間は、図9の超音波プローブアダプタ52からマーカ部66以外の構成要素が取り除かれた空間に対応する。
【0102】
本実施形態においては、制御/演算処理部20は、位置xおよび姿勢角(φR、φP)を空間配置パラメータ(x,φR,φP)として指定することによって定まる一次元走査面に対しテンプレート画像データを生成する。ここで、テンプレート画像データとは、テンプレート空間に対し仮想的に一次元走査を行うことで得られる断層画像データをいう。
【0103】
図12(a)は一次元走査面がx軸に垂直である場合のテンプレート画像データの画像を示す。ただし、この画像はx軸の正方向を臨んだものである。図12(b)はその状態から一次元走査面のロール角を正方向に増大させた場合のテンプレート画像データの画像を示す。テンプレート空間中の各マーカ部は、x座標値の増加に対し、上方へと向かう方向に延伸している。そのため、画像右側のマーカ部の像72はロール角の増加に伴って下方へと移動し、画像左側のマーカ部の像72はロール角の増加に伴って上方へと移動する。
【0104】
図12(c)は一次元走査面がx軸に垂直である状態からそのピッチ角を正方向に増大させた場合のテンプレート画像データの画像を示す。画像上段のマーカ部の像72はピッチ角の増加に伴って上方へと移動し、画像下段のマーカ部の像72はピッチ角の増加に伴って下方へと移動する。
【0105】
ステップS24において制御/演算処理部20は、空間配置パラメータが異なる複数のテンプレート画像データのそれぞれと、ステップS23において2値化されたマーカ画像データとの相関演算を行う。そして、相関値が極大となるテンプレート画像データに対応する空間配置パラメータに基づいて、断層画像データに対応する一次元走査面の位置および姿勢角を決定する(S24)。
【0106】
図13にステップS24の処理の具体例を示すフローチャートを示す。制御/演算処理部20は、空間配置パラメータを予め定められた初期値に設定する(S24−1)。そして、テンプレートボリュームデータ記憶部54に記憶されているテンプレートボリュームデータを参照し、設定された空間配置パラメータに対応するテンプレート画像データを生成する(S24−2)。
【0107】
制御/演算処理部20は、ステップS23で求められたマーカ画像データと、テンプレート画像データとの相関演算を行う(S24−3)。そして、相関演算によって求められた相関値を、その相関値を求める際に設定された空間配置パラメータと対応づけて相関値記憶部56に記憶させる(S24−4)。
【0108】
制御/演算処理部20は、相関値記憶部56に相関値の極大値が記憶されているか否かを判定する(S24−5)。そして、相関値の極大値が記憶されていない旨の判定をしたときは、空間配置パラメータを変更し(S24−6)、ステップS24−2の処理に戻る。なお、制御/演算処理部20は、極大値を検索するための十分な個数の相関値が相関値記憶部56に記憶されていない場合には、相関値記憶部56に相関値の極大値が記憶されていない旨の判定をする。また、ステップS24−6において変化させる空間配置パラメータは、位置x、ロール角φRおよびピッチ角φPのうちいずれかとすることができる。例えば、一次走査面がx軸に対して垂直であるものと仮定してロール角φRおよびピッチ角φPを0に固定し、位置xのみを変化させる処理を実行してもよい。
【0109】
ステップS24−5において、相関値の極大値が記憶されている旨の判定がされるまでの間、すなわち、極大値が検索されるまでの間は、ステップS24−2〜S24−6のループが繰り返し実行される。このステップS24−2〜S24−6のループが繰り返し実行されるフローについては、空間配置パラメータ(x,φR,φP)を独立変数とし、相関値を従属変数とした関数について、関数値の極大値を与える独立変数値を求める周知のアルゴリズムを用いることができる。
【0110】
制御/演算処理部20は、ステップS24−5において、相関値の極大値が記憶されている旨の判定をしたときはステップS24−7の処理に進む。制御/演算処理部20は、相関値の極大値を与える空間配置パラメータが示す位置および姿勢角を、処理対象の断層画像データに対応する位置および姿勢角として決定する(S24−7)。そして、決定した位置および姿勢角を、断層画像データを特定する情報と対応付けて空間配置情報記憶部58に記憶する。断層画像データを特定する情報に対応する位置および姿勢角は、断層画像データの一次元走査面、すなわち、その断層画像の位置および姿勢角を示すこととなる。
【0111】
再び図10に戻り、制御/演算処理部20は、断層画像データ記憶部24に記憶されている総ての断層画像データについてステップS21〜S24の処理が実行されたか否かを判定する(S25)。そして、総ての断層画像データについて処理が実行されていない場合には、ステップS21に戻る。次に実行されるステップS21においては、ステップS21〜S24の処理が施されていない断層画像データが読み込まれる。
【0112】
制御/演算処理部20は、総ての断層画像データについてステップS21〜S24の処理が実行された場合には、次に説明する処理に基づいてボリュームデータを生成する(S26)。
【0113】
制御/演算処理部20は、断層画像データ記憶部24に記憶されている断層画像データを読み込む。さらに、その断層画像データを特定する情報に対応する位置および姿勢角を空間配置情報記憶部58から読み込む。
【0114】
上述のように、断層画像データの各画素データは、一次元走査面上での位置を示す2次元座標値を有する。そこで、制御/演算処理部20は、断層画像データの画素データの2次元座標値と、空間配置情報記憶部58から読み込まれた位置および姿勢角とに基づいて、その画素データに対応する3次元直交座標値を求める。
【0115】
例えば、断層画像データの一次元走査面上に定義された2次元座標値A(α,β)と、図9に定義された3次元直交座標値X(x,y,z)との関係は、座標変換処理を示す関数gによってX=g(x1,φP1,φR1,A)として表される。ここで、x1は、空間配置情報記憶部58から読み込まれた位置である。また、φP1およびφR1は、空間配置情報記憶部58から読み込まれた姿勢角である。この場合、断層画像データに含まれる画素データの座標B(α1,β1)については、g(x1,φP1,φR1,B)として3次元直交座標値が求められる。
【0116】
制御/演算処理部20は、断層画像データに含まれる画素データの画素値と新たに求められた3次元座標値とを対応付けることにより、ボリュームデータを構成するボクセルデータを求める。そして、求められたボクセルデータをボリュームデータ記憶部32に記憶する。制御/演算処理部20は、断層画像データ記憶部24に記憶されている各断層画像データについて、上述の座標変換処理を行い、それによって得られたボクセルデータをボリュームデータ記憶部32に記憶する。このような処理によってボリュームデータ記憶部32に記憶されたボクセルデータ群は、ボリュームデータを構成する。
【0117】
制御/演算処理部20は、ボリュームデータ記憶部32に記憶されたボリュームデータに基づいて、生体のエコー画像をディスプレイ34に表示する。表示に当たっては、望ましくは上述のボリュームレンダリング法が採用される。
【0118】
なお、ここでは、断層画像データ記憶部24に記憶されている総ての断層画像データについて図10のステップS21〜S24の処理を実行し、各断層画像データについて求められた断層画像の位置および姿勢角に基づいて、ステップS26においてボリュームデータを構成する処理について説明した。このような処理の他、断層画像データ記憶部24に記憶された断層画像データのうち一部を、位置および姿勢角を求める対象の代表断層画像データとして選択し、代表断層画像データについて求められた断層画像の位置および姿勢角に基づいて、ボリュームデータを構成する処理を実行してもよい。
【0119】
この場合、制御/演算処理部20は、例えば図8A(a)の矢印Mの方向に所定の画像枚数おきに配列される断層画像を代表断層画像として選択し、この代表断層画像に対応する断層画像データを代表断層画像データとして断層画像データ記憶部24から取得する。そして、代表断層画像データに対して図10のステップS21〜S24の処理を実行し、求められた位置および姿勢角と、代表断層画像データを特定する情報とを対応付けた情報を空間配置情報記憶部58に記憶する。
【0120】
さらに、制御/演算処理部20は、代表断層画像データでないその他の断層画像データに、断層画像が代表断層画像の間に等間隔で配置されるようx座標値を対応付ける。この処理は、2つの代表断層画像の間に挟まれる断層画像に、図8A(a)の矢印Mで示される配列順に等間隔でx座標値を対応付けることで行われる。例えば、2つの代表断層画像の間に挟まれるm個の断層画像については、代表断層画像の配置間隔をm+1で除した間隔でx座標値が対応付けられる。
【0121】
また、制御/演算処理部20は、代表断層画像データでないその他の断層画像データについてはS21〜S24の処理を行わないため、その他の断層画像データには、任意の姿勢角、例えば、φP=φR=0°を対応付ける。制御/演算処理部20は、基準断層画像データでないその他の断層画像データを特定する情報とそのx軸座標値および姿勢角とを対応付けて空間配置情報記憶部58に記憶する。このような処理が実行された後、制御/演算処理部20は、上述のステップS26の処理に従いボリュームデータを生成する。
【0122】
本実施形態に係る超音波診断装置50においては、超音波プローブ14と生体との間に超音波プローブアダプタ52を介在させ、一次元走査を繰り返しつつ超音波プローブ14を移動させる。この際、一次元走査面の位置および姿勢角の検出が、取得された断層画像データに基づいて行われる。したがって、一次元走査面の位置および姿勢角を簡単な構成によって容易に検出することができる。
【0123】
さらに、一次元走査面については、その位置のみならず姿勢角が検出され、検出された位置および姿勢角に基づいて、各断層画像データがボリュームデータに変換される。これによって、一次元走査面の法線方向と超音波プローブ14の移動方向とを一致させなくとも、ボリュームデータを取得することが可能となる。したがって、フリーハンドで超音波プローブ14を移動させた場合であっても、一次元走査面の姿勢角が一定でないことに基づくボクセルデータの誤差を低減することができる。
【0124】
なお、制御/演算処理部20は、プログラム動作するプロセッサによって構成することができる。この場合、制御/演算処理部20が有する各機能はソフトウエア機能として実現することが可能である。すなわち、それらの機能を外部のコンピュータで実行させることも可能である。他方、制御/演算処理部20を、各機能を実現するハードウエアによって個別に構成してもよい。
【0125】
また、上記では、情報を記憶する手段として、ビームデータ記憶部22、断層画像データ記憶部24、テンプレート画像データ記憶部26、選択パラメータ記憶部28、位置情報記憶部30、ボリュームデータ記憶部32、テンプレートボリュームデータ記憶部54、相関値記憶部56、空間配置情報記憶部58等の記憶部を備える構成について説明した。これらの記憶部は、任意の個数のメモリ、ハードディスク等のハードウエアに記憶領域を割り当てることで構成することができる。
【符号の説明】
【0126】
10,50 超音波診断装置、12,12A,52 超音波プローブアダプタ、14 超音波プローブ、16 送信回路、18 受信回路、20 制御/演算処理部、22 ビームデータ記憶部、24 断層画像データ記憶部、26 テンプレート画像データ記憶部、28 選択パラメータ記憶部、30 位置情報記憶部、32 ボリュームデータ記憶部、34 ディスプレイ、36 外壁、38,64 超音波反射マーカ、40,70 超音波伝搬材料、42 フレーム、44 超音波反射片、46 アダプタ画像領域、48 仮想上の超音波反射片、54 テンプレートボリュームデータ記憶部、56 相関値記憶部、58 空間配置情報記憶部、60 プローブ側容器、62 生体側容器、66 マーカ部、68A,68B マーカ固定板、72 マーカ部の像。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を送受信する超音波プローブと超音波診断対象の生体との間に介在させ、前記超音波プローブを移動可能にしつつ支持する超音波プローブアダプタにおいて、
前記生体が接触する生体接触面と、当該生体接触面に対向し前記超音波プローブが接触するプローブ接触面とを有する、立体形状の超音波伝搬部と、
前記超音波伝搬部内で延伸する領域を占める超音波反射マーカと、
を備えることを特徴とする超音波プローブアダプタ。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波プローブアダプタと、
前記超音波プローブと、
前記超音波プローブが受信した超音波に基づいて、前記超音波プローブの複数の異なる位置に対応する前記生体の複数の断層画像データを生成する断層画像データ生成部と、
前記断層画像データに含まれる前記超音波反射マーカに関する情報に基づいて、各断層画像データが示す断層画像の位置情報を求める位置情報決定部と、
前記断層画像データと、その断層画像の位置情報とに基づいて、前記生体の超音波診断ボリュームデータを生成するボリュームデータ生成部と、
を備えることを特徴とする超音波診断システム。
【請求項3】
超音波を送受信する超音波プローブと、
前記超音波プローブを支持する超音波プローブアダプタが超音波診断対象の生体との間に介在した状態で前記超音波プローブが受信した超音波に基づいて、前記生体の断層画像データを生成する断層画像データ生成部と、
前記断層画像データに含まれる、前記超音波プローブアダプタが備える超音波反射マーカに関する情報に基づいて、各断層画像データが示す断層画像の位置情報を求める位置情報決定部と、
前記断層画像データと、その断層画像の位置情報とに基づいて、前記生体の超音波診断ボリュームデータを生成するボリュームデータ生成部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項4】
請求項1に記載の超音波プローブアダプタにおいて、
前記超音波反射マーカは、
前記超音波プローブの移動方向に沿った方向に配列された複数の超音波反射片を含むことを特徴とする超音波プローブアダプタ。
【請求項5】
請求項4に記載の超音波プローブアダプタと、
前記超音波プローブと、
前記超音波プローブが受信した超音波に基づいて、前記超音波プローブの複数の異なる位置に対応する前記生体の複数の断層画像データを生成する断層画像データ生成部と、
前記生体の複数の断層画像データから、前記超音波反射片の像が断層画像に現れる基準断層画像データを選択する基準断層画像データ選択部と、
前記超音波反射片の位置情報に基づいて、前記基準断層画像データが示す断層画像の位置情報を求める位置情報決定部と、
前記基準断層画像データと、その断層画像の位置情報と、前記基準断層画像データでないその他の前記断層画像データと、に基づいて、前記生体の超音波診断ボリュームデータを生成するボリュームデータ生成部と、
を備えることを特徴とする超音波診断システム。
【請求項6】
請求項5に記載の超音波診断システムにおいて、
前記基準断層画像データ選択部は、
前記基準断層画像データに対応するテンプレート画像データを取得するテンプレート画像取得手段と、
前記生体の複数の断層画像データのそれぞれから、前記基準断層画像データを選択するために予め定められた判定画像データを抽出する判定画像抽出手段と、
前記判定画像抽出手段によって抽出された各判定画像データと、前記テンプレート画像データと、の相関度を求める相関手段と、
を備え、
前記生体の複数の断層画像データのそれぞれに対して求められた相関度に基づいて、前記基準断層画像データを選択することを特徴とする超音波診断システム。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の超音波診断システムにおいて、
前記超音波診断ボリュームデータは、
前記断層画像データに含まれる画素データと、その画素データに対応する座標値とを対応付けたデータであり、
前記ボリュームデータ生成部は、
前記基準断層画像データが示す各画素の座標値、および前記基準断層画像データでないその他の前記断層画像データが示す各画素の座標値を、前記基準断層画像データが示す断層画像の位置情報に基づいて求め、前記超音波診断ボリュームデータを生成することを特徴とする超音波診断システム。
【請求項8】
超音波を送受信する超音波プローブと、
前記超音波プローブを支持する超音波プローブアダプタが超音波診断対象の生体との間に介在した状態で前記超音波プローブが受信した超音波に基づいて、前記超音波プローブの複数の異なる位置に対応する前記生体の複数の断層画像データを生成する断層画像データ生成部と、
前記生体の複数の断層画像データから、前記超音波プローブアダプタが備える超音波反射片の像が断層画像に現れる基準断層画像データを選択する基準断層画像データ選択部と、
前記超音波反射片の位置情報に基づいて、前記基準断層画像データが示す断層画像の位置情報を求める位置情報決定部と、
前記基準断層画像データと、その断層画像の位置情報と、前記基準断層画像データでないその他の前記断層画像データと、に基づいて、前記生体の超音波診断ボリュームデータを生成するボリュームデータ生成部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項9】
請求項8に記載の超音波診断装置において、
前記基準断層画像データ選択部は、
前記基準断層画像データに対応するテンプレート画像データを取得するテンプレート画像取得手段と、
前記生体の複数の断層画像データのそれぞれから、前記基準断層画像データを選択するために予め定められた判定画像データを抽出する判定画像抽出手段と、
前記判定画像抽出手段によって抽出された各判定画像データと、前記テンプレート画像データと、の相関度を求める相関手段と、
を備え、
前記生体の複数の断層画像データのそれぞれに対して求められた相関度に基づいて、前記基準断層画像データを選択することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の超音波診断装置において、
前記超音波診断ボリュームデータは、
前記断層画像データに含まれる画素データと、その画素データに対応する座標値とを対応付けたデータであり、
前記ボリュームデータ生成部は、
前記基準断層画像データが示す各画素の座標値、および前記基準断層画像データでないその他の前記断層画像データが示す各画素の座標値を、前記基準断層画像データが示す断層画像の位置情報に基づいて求め、前記超音波診断ボリュームデータを生成することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項11】
請求項1に記載の超音波プローブアダプタにおいて、
前記超音波反射マーカは、
前記プローブの移動方向に対し斜めに延伸する超音波反射部を含むことを特徴とする超音波プローブアダプタ。
【請求項12】
請求項11に記載の超音波プローブアダプタにおいて、
前記超音波伝搬部は、
外側底面が前記生体接触面をなし、当該外側底面が前記生体の表面形状に適合するよう変形しつつ前記生体に接触する生体側容器と、
外側底面が前記プローブ接触面をなし、その開口が前記生体側容器の開口と合致するプローブ側容器と、
前記生体側容器および前記プローブ側容器に収容される超音波伝搬部材と、
を備え、
前記超音波反射マーカは、
前記プローブ側容器に固定されることを特徴とする超音波プローブアダプタ。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載の超音波プローブアダプタにおいて、
前記超音波反射マーカは、
方向を揃えて延伸する少なくとも3系統の前記超音波反射部を備えることを特徴とする超音波プローブアダプタ。
【請求項14】
請求項11から請求項13のいずれか1項に記載の超音波プローブアダプタと、
前記超音波プローブと、
前記超音波プローブが受信した超音波に基づいて前記生体の断層画像データを生成する断層画像データ生成部と、
前記超音波反射マーカの断層画像を示すマーカ画像データを前記断層画像データから抽出するマーカ画像抽出部と、
前記断層画像データが示す断層画像の空間配置情報を、前記マーカ画像データに基づいて求める配置情報決定部と、
前記断層画像データと、その断層画像の空間配置情報とに基づいて、前記生体の超音波診断ボリュームデータを生成するボリュームデータ生成部と、
を備えることを特徴とする超音波診断システム。
【請求項15】
請求項14に記載の超音波診断システムにおいて、
前記配置情報決定部は、
断層画像の空間配置情報に対応するテンプレート画像データを生成するテンプレート画像生成手段と、
前記マーカ画像データと、前記テンプレート画像データと、の相関度を求める相関手段と、
を備え、
異なる複数の空間配置情報について生成された各テンプレート画像データと、前記マーカ画像データと、の相関度に基づいて、当該複数の空間配置情報のうちいずれかを選択し、前記断層画像データが示す断層画像の空間配置情報を求めることを特徴とする超音波診断システム。
【請求項16】
請求項14または請求項15に記載の超音波診断システムにおいて、
前記超音波診断ボリュームデータは、
前記断層画像データに含まれる画素データと、その画素データに対応する座標値とを対応付けたデータであり、
前記ボリュームデータ生成部は、
前記断層画像データが示す各画素の座標値を、当該断層画像データが示す断層画像の空間配置情報に基づいて求め、前記超音波診断ボリュームデータを生成することを特徴とする超音波診断システム。
【請求項17】
超音波を送受信する超音波プローブと、
前記超音波プローブを支持する超音波プローブアダプタが超音波診断対象の生体との間に介在した状態で前記超音波プローブが受信した超音波に基づいて、前記生体の断層画像データを生成する断層画像データ生成部と、
前記超音波プローブアダプタが備える超音波反射マーカの断層画像を示すマーカ画像データを、前記断層画像データから抽出するマーカ画像抽出部と、
前記断層画像データが示す断層画像の空間配置情報を、前記マーカ画像データに基づいて求める配置情報決定部と、
前記断層画像データと、その断層画像の空間配置情報とに基づいて、前記生体の超音波診断ボリュームデータを生成するボリュームデータ生成部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項18】
請求項17に記載の超音波診断装置において、
前記配置情報決定部は、
断層画像の空間配置情報に対応するテンプレート画像データを生成するテンプレート画像生成手段と、
前記マーカ画像データと、前記テンプレート画像データと、の相関度を求める相関手段と、
を備え、
異なる複数の空間配置情報について生成された各テンプレート画像データと、前記マーカ画像データと、の相関度に基づいて、当該複数の空間配置情報のうちいずれかを選択し、前記断層画像データが示す断層画像の空間配置情報を求めることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項19】
請求項17または請求項18に記載の超音波診断装置において、
前記超音波診断ボリュームデータは、
前記断層画像データに含まれる画素データと、その画素データに対応する座標値とを対応付けたデータであり、
前記ボリュームデータ生成部は、
前記断層画像データが示す各画素の座標値を、当該断層画像データが示す断層画像の空間配置情報に基づいて求め、前記超音波診断ボリュームデータを生成することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項20】
前記空間配置情報は、
位置情報および姿勢角情報のうち少なくともいずれかを含む情報であることを特徴とする、請求項14から請求項16のいずれか1項に記載の超音波診断システム、または請求項17から請求項19のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
【請求項1】
超音波を送受信する超音波プローブと超音波診断対象の生体との間に介在させ、前記超音波プローブを移動可能にしつつ支持する超音波プローブアダプタにおいて、
前記生体が接触する生体接触面と、当該生体接触面に対向し前記超音波プローブが接触するプローブ接触面とを有する、立体形状の超音波伝搬部と、
前記超音波伝搬部内で延伸する領域を占める超音波反射マーカと、
を備えることを特徴とする超音波プローブアダプタ。
【請求項2】
請求項1に記載の超音波プローブアダプタと、
前記超音波プローブと、
前記超音波プローブが受信した超音波に基づいて、前記超音波プローブの複数の異なる位置に対応する前記生体の複数の断層画像データを生成する断層画像データ生成部と、
前記断層画像データに含まれる前記超音波反射マーカに関する情報に基づいて、各断層画像データが示す断層画像の位置情報を求める位置情報決定部と、
前記断層画像データと、その断層画像の位置情報とに基づいて、前記生体の超音波診断ボリュームデータを生成するボリュームデータ生成部と、
を備えることを特徴とする超音波診断システム。
【請求項3】
超音波を送受信する超音波プローブと、
前記超音波プローブを支持する超音波プローブアダプタが超音波診断対象の生体との間に介在した状態で前記超音波プローブが受信した超音波に基づいて、前記生体の断層画像データを生成する断層画像データ生成部と、
前記断層画像データに含まれる、前記超音波プローブアダプタが備える超音波反射マーカに関する情報に基づいて、各断層画像データが示す断層画像の位置情報を求める位置情報決定部と、
前記断層画像データと、その断層画像の位置情報とに基づいて、前記生体の超音波診断ボリュームデータを生成するボリュームデータ生成部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項4】
請求項1に記載の超音波プローブアダプタにおいて、
前記超音波反射マーカは、
前記超音波プローブの移動方向に沿った方向に配列された複数の超音波反射片を含むことを特徴とする超音波プローブアダプタ。
【請求項5】
請求項4に記載の超音波プローブアダプタと、
前記超音波プローブと、
前記超音波プローブが受信した超音波に基づいて、前記超音波プローブの複数の異なる位置に対応する前記生体の複数の断層画像データを生成する断層画像データ生成部と、
前記生体の複数の断層画像データから、前記超音波反射片の像が断層画像に現れる基準断層画像データを選択する基準断層画像データ選択部と、
前記超音波反射片の位置情報に基づいて、前記基準断層画像データが示す断層画像の位置情報を求める位置情報決定部と、
前記基準断層画像データと、その断層画像の位置情報と、前記基準断層画像データでないその他の前記断層画像データと、に基づいて、前記生体の超音波診断ボリュームデータを生成するボリュームデータ生成部と、
を備えることを特徴とする超音波診断システム。
【請求項6】
請求項5に記載の超音波診断システムにおいて、
前記基準断層画像データ選択部は、
前記基準断層画像データに対応するテンプレート画像データを取得するテンプレート画像取得手段と、
前記生体の複数の断層画像データのそれぞれから、前記基準断層画像データを選択するために予め定められた判定画像データを抽出する判定画像抽出手段と、
前記判定画像抽出手段によって抽出された各判定画像データと、前記テンプレート画像データと、の相関度を求める相関手段と、
を備え、
前記生体の複数の断層画像データのそれぞれに対して求められた相関度に基づいて、前記基準断層画像データを選択することを特徴とする超音波診断システム。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の超音波診断システムにおいて、
前記超音波診断ボリュームデータは、
前記断層画像データに含まれる画素データと、その画素データに対応する座標値とを対応付けたデータであり、
前記ボリュームデータ生成部は、
前記基準断層画像データが示す各画素の座標値、および前記基準断層画像データでないその他の前記断層画像データが示す各画素の座標値を、前記基準断層画像データが示す断層画像の位置情報に基づいて求め、前記超音波診断ボリュームデータを生成することを特徴とする超音波診断システム。
【請求項8】
超音波を送受信する超音波プローブと、
前記超音波プローブを支持する超音波プローブアダプタが超音波診断対象の生体との間に介在した状態で前記超音波プローブが受信した超音波に基づいて、前記超音波プローブの複数の異なる位置に対応する前記生体の複数の断層画像データを生成する断層画像データ生成部と、
前記生体の複数の断層画像データから、前記超音波プローブアダプタが備える超音波反射片の像が断層画像に現れる基準断層画像データを選択する基準断層画像データ選択部と、
前記超音波反射片の位置情報に基づいて、前記基準断層画像データが示す断層画像の位置情報を求める位置情報決定部と、
前記基準断層画像データと、その断層画像の位置情報と、前記基準断層画像データでないその他の前記断層画像データと、に基づいて、前記生体の超音波診断ボリュームデータを生成するボリュームデータ生成部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項9】
請求項8に記載の超音波診断装置において、
前記基準断層画像データ選択部は、
前記基準断層画像データに対応するテンプレート画像データを取得するテンプレート画像取得手段と、
前記生体の複数の断層画像データのそれぞれから、前記基準断層画像データを選択するために予め定められた判定画像データを抽出する判定画像抽出手段と、
前記判定画像抽出手段によって抽出された各判定画像データと、前記テンプレート画像データと、の相関度を求める相関手段と、
を備え、
前記生体の複数の断層画像データのそれぞれに対して求められた相関度に基づいて、前記基準断層画像データを選択することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の超音波診断装置において、
前記超音波診断ボリュームデータは、
前記断層画像データに含まれる画素データと、その画素データに対応する座標値とを対応付けたデータであり、
前記ボリュームデータ生成部は、
前記基準断層画像データが示す各画素の座標値、および前記基準断層画像データでないその他の前記断層画像データが示す各画素の座標値を、前記基準断層画像データが示す断層画像の位置情報に基づいて求め、前記超音波診断ボリュームデータを生成することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項11】
請求項1に記載の超音波プローブアダプタにおいて、
前記超音波反射マーカは、
前記プローブの移動方向に対し斜めに延伸する超音波反射部を含むことを特徴とする超音波プローブアダプタ。
【請求項12】
請求項11に記載の超音波プローブアダプタにおいて、
前記超音波伝搬部は、
外側底面が前記生体接触面をなし、当該外側底面が前記生体の表面形状に適合するよう変形しつつ前記生体に接触する生体側容器と、
外側底面が前記プローブ接触面をなし、その開口が前記生体側容器の開口と合致するプローブ側容器と、
前記生体側容器および前記プローブ側容器に収容される超音波伝搬部材と、
を備え、
前記超音波反射マーカは、
前記プローブ側容器に固定されることを特徴とする超音波プローブアダプタ。
【請求項13】
請求項11または請求項12に記載の超音波プローブアダプタにおいて、
前記超音波反射マーカは、
方向を揃えて延伸する少なくとも3系統の前記超音波反射部を備えることを特徴とする超音波プローブアダプタ。
【請求項14】
請求項11から請求項13のいずれか1項に記載の超音波プローブアダプタと、
前記超音波プローブと、
前記超音波プローブが受信した超音波に基づいて前記生体の断層画像データを生成する断層画像データ生成部と、
前記超音波反射マーカの断層画像を示すマーカ画像データを前記断層画像データから抽出するマーカ画像抽出部と、
前記断層画像データが示す断層画像の空間配置情報を、前記マーカ画像データに基づいて求める配置情報決定部と、
前記断層画像データと、その断層画像の空間配置情報とに基づいて、前記生体の超音波診断ボリュームデータを生成するボリュームデータ生成部と、
を備えることを特徴とする超音波診断システム。
【請求項15】
請求項14に記載の超音波診断システムにおいて、
前記配置情報決定部は、
断層画像の空間配置情報に対応するテンプレート画像データを生成するテンプレート画像生成手段と、
前記マーカ画像データと、前記テンプレート画像データと、の相関度を求める相関手段と、
を備え、
異なる複数の空間配置情報について生成された各テンプレート画像データと、前記マーカ画像データと、の相関度に基づいて、当該複数の空間配置情報のうちいずれかを選択し、前記断層画像データが示す断層画像の空間配置情報を求めることを特徴とする超音波診断システム。
【請求項16】
請求項14または請求項15に記載の超音波診断システムにおいて、
前記超音波診断ボリュームデータは、
前記断層画像データに含まれる画素データと、その画素データに対応する座標値とを対応付けたデータであり、
前記ボリュームデータ生成部は、
前記断層画像データが示す各画素の座標値を、当該断層画像データが示す断層画像の空間配置情報に基づいて求め、前記超音波診断ボリュームデータを生成することを特徴とする超音波診断システム。
【請求項17】
超音波を送受信する超音波プローブと、
前記超音波プローブを支持する超音波プローブアダプタが超音波診断対象の生体との間に介在した状態で前記超音波プローブが受信した超音波に基づいて、前記生体の断層画像データを生成する断層画像データ生成部と、
前記超音波プローブアダプタが備える超音波反射マーカの断層画像を示すマーカ画像データを、前記断層画像データから抽出するマーカ画像抽出部と、
前記断層画像データが示す断層画像の空間配置情報を、前記マーカ画像データに基づいて求める配置情報決定部と、
前記断層画像データと、その断層画像の空間配置情報とに基づいて、前記生体の超音波診断ボリュームデータを生成するボリュームデータ生成部と、
を備えることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項18】
請求項17に記載の超音波診断装置において、
前記配置情報決定部は、
断層画像の空間配置情報に対応するテンプレート画像データを生成するテンプレート画像生成手段と、
前記マーカ画像データと、前記テンプレート画像データと、の相関度を求める相関手段と、
を備え、
異なる複数の空間配置情報について生成された各テンプレート画像データと、前記マーカ画像データと、の相関度に基づいて、当該複数の空間配置情報のうちいずれかを選択し、前記断層画像データが示す断層画像の空間配置情報を求めることを特徴とする超音波診断装置。
【請求項19】
請求項17または請求項18に記載の超音波診断装置において、
前記超音波診断ボリュームデータは、
前記断層画像データに含まれる画素データと、その画素データに対応する座標値とを対応付けたデータであり、
前記ボリュームデータ生成部は、
前記断層画像データが示す各画素の座標値を、当該断層画像データが示す断層画像の空間配置情報に基づいて求め、前記超音波診断ボリュームデータを生成することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項20】
前記空間配置情報は、
位置情報および姿勢角情報のうち少なくともいずれかを含む情報であることを特徴とする、請求項14から請求項16のいずれか1項に記載の超音波診断システム、または請求項17から請求項19のいずれか1項に記載の超音波診断装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−29718(P2012−29718A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−169389(P2010−169389)
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(390029791)日立アロカメディカル株式会社 (899)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月28日(2010.7.28)
【出願人】(390029791)日立アロカメディカル株式会社 (899)
【Fターム(参考)】
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